(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155655
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 33/36 20060101AFI20231016BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065111
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢島 佐保
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064BA17
3E064BA21
3E064BA24
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA12
3E064FA06
3E064HM01
3E064HN06
3E064HN12
3E064HN64
3E064HN70
3E064HP01
3E064HS05
(57)【要約】
【課題】粉粒体から成る内容物を密封し、これを少量ずつ振り出したり、あるいは一度に大量に取り出すことのできるパウチであって、しかも、その取り出し方法を誤ることのないパウチを提供すること。
【解決手段】表側フィルム10,裏側フィルム20、中間フィルム30及び開閉用テープ40でパウチ100を構成する。中間フィルムは折り曲げ線33で二つ折りされ、また、振り出し孔34が設けられている。開閉用テープは易破断線43を備え、この易破断線で区分された2つの区域の一方を表側テープ状区域41、他方を裏側テープ状区域42として、中間フィルムの一方端部が表側フィルムにシールされ、他方端部が裏側テープ状区域の端部にシールされ、表側テープ状区域端部が表側フィルムにシールされている。そして、表側テープ状区域と裏側フィルムとの間、裏側テープ状区域と裏側フィルムとの間に、開閉自在な閉塞部51,52が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体から成る内容物を密封したパウチであって、表側フィルムと裏側フィルムとを互いに周縁でシールして構成され、前記周縁のうち上部を開口して取り出し口を形成するパウチにおいて、
前記表側フィルムと裏側フィルムに加えて、中間フィルムと開閉用テープとを備えて構成されており、
前記中間フィルムは、折り曲げ線で二つ折りされており、この折り曲げ線を下方に向け、折り曲げ線で区分された2つの領域の先端を上方に向けて配置されており、
前記中間フィルムには、粉粒体から成る内容物の振り出し孔が設けられており、
中間フィルムの前記2つの領域のうち、前記表側フィルム側に位置する領域を表側領域とし、裏側フィルム側に位置する領域を裏側領域とし、
前記開閉用テープは、パウチの幅方向の全長に渡って延在しており、この開閉用テープの両側縁の間に、この開閉用テープを破断容易とする易破断線を備えており、この易破断線で区分され、パウチの幅方向の全長に渡って延在する2つの区域のうち、一方の区域を表側テープ状区域とし、他方の区域を裏側テープ状区域として、
中間フィルムの前記表側領域が表側フィルムにシールされており、中間フィルムの前記裏側領域の端部が開閉用テープの前記裏側テープ状区域の端部にシールされ、開閉用テープの前記表側テープ状区域の端部が前記表側フィルムにシールされており、
前記裏側テープ状区域と裏側フィルムとの間に、開閉自在な閉塞部(第2の閉塞部)が設けられていることを特徴とするパウチ。
【請求項2】
前記第2の閉塞部が、互に嵌合した雌型咬合具と雄型咬合具とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記表側テープ状区域と裏側フィルムとの間に、開閉自在な閉塞部(第1の閉塞部)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパウチ。
【請求項4】
前記第2の閉塞部が、互に嵌合した雌型咬合具と雄型咬合具とで構成されていることを特徴とする請求項3に記載のパウチ。
【請求項5】
前記振り出し孔が前記折り曲げ線周辺に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体から成る内容物を密封したパウチに関し、この内容物を2種類の方法で取り出すことができるパウチに関する。その取り出し方法の一つは、粉粒体から成る内容物を少量ずつ振り出して取り出す方法である。もう一つの方法は、内容物を大量に、例えば、その全量を一度に取り出す方法である。
【背景技術】
【0002】
胡椒や七味唐辛子等の粉粒体から成る調味料は、リジッドなボトルに詰めて販売されている。そして、そのボトルの中蓋には多数の振り出し孔が設けられており、このボトルを振ることにより、内容物を少量ずつ取り出すことができる。
【0003】
一方、リジッドなボトルに代えてフレキシブルなパウチを使用して、粉粒体から成る内容物を収容し、この内容物を2つの方法で取り出すことができるように工夫したパウチも知られている(特許文献1)。
【0004】
図3(a)はこのパウチ200を示す正面図、
図3(b)はその取り出し口周辺を説明するための模式図である。このパウチ200は、表側フィルム10と裏側フィルム20とを重ね、これらを互いに周縁でシールすることにより内容物を密封している。図中、aは左側シール線、bは右側シール線、cは下部シール線、dは上部シール線を示しており、この上部シール線dの直下には切断予定線eが設けられており、この切断予定線eでパウチ200を切断することにより、取り出し口が形成される。
【0005】
そして、このパウチ200では、表側フィルム10と裏側フィルム20とに加えて、中間フィルム30が使用されている。なお、これら表側フィルム10、裏側フィルム20及び中間フィルム30の幅は互いに等しい。このため、左側シール線a及び右側シール線bの一部において、これら表側フィルム10、裏側フィルム20及び中間フィルム30は一体にシールされている。
【0006】
ところで、
図3(b)に図示のように、中間フィルム30は幅方向に延在する折り曲げ線33で二つ折りされている。そして、この折り曲げ線33の周辺には、内容物を振り出す多数の振り出し孔34が設けられている。
【0007】
次に、前記折り曲げ線33で区分された2つの領域のうち、表側フィルム10側に位置する領域を表側領域31とし、裏側フィルム20側に位置する裏側領域32とすると、まず、表側領域31は表側フィルム10にシールされている。また、表側領域31と裏側領域32との間には第1の開閉用テープ62が取り付けられており、表側領域31と裏側領域32との間を自在に開閉できるように構成されている。また、裏側領域32と裏側フィルム20との間にも第2の開閉用テープ63が取り付けられており、裏側領域32と裏側フィルム20との間を自在に開閉できるように構成されている。
【0008】
このパウチ200は、
図4(a)及び
図4(b)のように使用する。すなわち、
図4(a)のように、まず、第1の開閉用テープ62を開くと、図中に矢印で示すように、振り出し孔34を通じて、少量ずつ、粉粒体から成る内容物を取り出すことができる。
【0009】
一方、
図4(b)のように、第2の開閉用テープ63を開くと、図中に矢印で示すように、振り出し孔34を通ることなく、裏側領域32と裏側フィルム20との間から内容物を大量に取り出すことが可能である。
【0010】
なお、これら
図4(a)及び
図4(b)において、62
1は第1の開閉用テープ62を構成する雌型咬合具、62
2は第1の開閉用テープ62を構成する雄型咬合具を示している。また、同様に、63
1は第2の開閉用テープ63を構成する雌型咬合具、63
2は第2の開閉用テープ63を構成する雄型咬合具を示している。
【0011】
なお、図から分かるように、内容物の一部を取り出したときには、両開閉用テープ62,63を閉じることにより、パウチ200を再封して保存することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、このようなパウチにおいては、第1の開閉用テープ62と第2の開閉用テープ63とを誤って開くことが少なくなかった。例えば、第1の開閉用テープ62を開いて少量ずつ振り出すつもりで、誤って第2の開閉用テープ63を開いた場合には、内容物が一度に大量に取り出されるのである。
【0014】
そこで、本発明は、粉粒体から成る内容物を密封し、この内容物を少量ずつ振り出したり、あるいは一度に大量に取り出すことのできるパウチであって、しかも、その取り出し方法を誤ることのないパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明は、粉粒体から成る内容物を密封したパウチであって、表側フィルムと裏側フィルムとを互いに周縁でシールして構成され、前記周縁のうち上部を開口して取り出し口を形成するパウチにおいて、
前記表側フィルムと裏側フィルムに加えて、中間フィルムと開閉用テープとを備えて構成されており、
前記中間フィルムは、折り曲げ線で二つ折りされており、この折り曲げ線を下方に向け、折り曲げ線で区分された2つの領域の先端を上方に向けて配置されており、
前記中間フィルムには、粉粒体から成る内容物の振り出し孔が設けられており、
中間フィルムの前記2つの領域のうち、前記表側フィルム側に位置する領域を表側領域とし、裏側フィルム側に位置する領域を裏側領域とし、
前記開閉用テープは、パウチの幅方向の全長に渡って延在しており、この開閉用テープの両側縁の間に、この開閉用テープを破断容易とする易破断線を備えており、この易破断線で区分され、パウチの幅方向の全長に渡って延在する2つの区域のうち、一方の区域を表側テープ状区域とし、他方の区域を裏側テープ状区域として、
中間フィルムの前記表側領域が表側フィルムにシールされており、中間フィルムの前記裏側領域の端部が開閉用テープの前記裏側テープ状区域の端部にシールされ、開閉用テープの前記表側テープ状区域の端部が前記表側フィルムにシールされており、
前記裏側テープ状区域と裏側フィルムとの間に、開閉自在な閉塞部(第2の閉塞部)が設けられていることを特徴とするパウチである。
【0016】
前記第2の閉塞部は、互に嵌合した雌型咬合具と雄型咬合具とで構成することができる。
【0017】
なお、このパウチには、前記表側テープ状区域と裏側フィルムとの間に、開閉自在な第1の閉塞部が設けられていてもよい。この第1の閉塞部も、互に嵌合した雌型咬合具と雄
型咬合具とで構成することができる。
【0018】
また、前記振り出し孔は前記折り曲げ線周辺に設けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のパウチは、開閉用テープの易破断線で破断することにより、振り出し孔を通じて、少量ずつ、粉粒体から成る内容物を取り出すことができる。
【0020】
また、第2の閉塞部を開いて、ここからスプーンを差し込んだり、あるいは、パウチ自体を傾けることにより、中間フィルムと裏側フィルムとの間から、内容物を大量に取り出すことができる。なお、易破断線で開閉用テープを破断すると共に第2の閉塞部を開いた場合にも、同様に、大量に取り出すことが可能である。
【0021】
以上のように、第2の閉塞部を開けば内容物を大量に取り出すことができる。これに対し、少量ずつ振り出すときにはこの第2の閉塞部を開くことなく、易破断線で開閉用テープを破断すればよい。第2の閉塞部を開くことと易破断線で開閉用テープを破断することとは混同するおそれのない別異の行為であるから、これを誤るおそれもない。
【0022】
また、開閉用テープを破断した後には、表側テープ状区域を摘まんでパウチを開けば少量ずつ振り出すことができる。一方、裏側テープ状区域を摘まんで開けば、大量に取り出すことができる。そして、表側テープ状区域の高さと裏側テープ状区域の高さとは異なっているから、これらを取り違えるおそれもない。
【0023】
そして、このため、少量ずつ振り出すつもりで、誤って大量に取り出したり、逆に大量に取り出すつもりなのに、誤って少量ずつ振り出したりすることを防止できる。
【0024】
なお、このように内容物を取り出した後、残りの内容物をパウチ内に密封するためには、第1の閉塞部や第2の閉塞部を閉じればよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態に係り、
図1(a)はこのパウチを示す正面図、
図1(b)はその取り出し口周辺を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は本発明の第1の実施形態に係り、
図2(a)は、内容物を少量ずつ振り出す方法を説明するための取り出し口周辺の模式図、
図2(b)は、内容物を大量に取り出す方法を説明するための取り出し口周辺の模式図である。
【
図3】
図3は従来のパウチに係り、
図3(a)はこのパウチを示す正面図、
図3(b)はその取り出し口周辺を説明するための模式図である。
【
図4】
図4は従来のパウチに係り、
図4(a)は、内容物を少量ずつ振り出す方法を説明するための取り出し口周辺の模式図、
図4(b)は、内容物を大量に取り出す方法を説明するための取り出し口周辺の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係り、
図1(a)はこのパウチ100を示す正面図、
図1(b)はその取り出し口周辺を説明するための模式図である。
【0027】
このパウチ100は、従来のパウチ200と同様に、表側フィルム10と裏側フィルム20とを重ね、これらを互いに周縁でシールすることにより粉粒体から成る内容物を密封したものである。図中、aは左側シール線、bは右側シール線、cは下部シール線、dは上部シール線を示しており、この上部シール線dの直下には切断予定線eが設けられてお
り、この切断予定線eでパウチ100を切断することにより、取り出し口が形成される。
【0028】
もっとも、このパウチ100は、表側フィルム10と裏側フィルム20に加えて、中間フィルム30と開閉用テープ40とを備えて構成されている。
【0029】
これらのうち、表側フィルム10、裏側フィルム20及び中間フィルム30の幅は互いに等しい。このため、左側シール線a及び右側シール線bの一部において、これら表側フィルム10、裏側フィルム20及び中間フィルム30は一体にシールされている。
【0030】
中間フィルム30は、パウチ100の幅方向、すなわち、左側シール線aから右側シール線bに延在する折り曲げ線33で二つ折りされており、この折り曲げ線33を下部に向けて、表側フィルム10と裏側フィルム20との間に配置されている。なお、以下の説明においては、その便宜上、この2つの領域31,32のうち、表側フィルム10側に位置する領域を表側領域31と呼び、裏側フィルム20側に位置する領域を裏側領域32と呼ぶ。これら表側領域31の先端と裏側領域32の先端とは、いずれも、上部、すなわち切断予定線eの方を向いている。
【0031】
そして、折り曲げ線33の周辺には、内容物を振り出す多数の振り出し孔34が設けられている。
【0032】
一方、前記開閉用テープ40は、表側フィルム10と裏側フィルム20との間に配置されており、しかも、パウチ100の幅方向の全長に渡って、すなわち、左側シール線aから右側シール線bに至るまで延在している。そして、
図1(b)から分るように、その長手方向の両側縁の間に、この開閉用テープ40を破断容易とする易破断線43を備えている。この易破断線43は、左側シール線aの内側縁部から右側シール線bの内側縁部まで延びていてもよいが、その一部に延在してもよい。
【0033】
この易破断線43は、これを手指で容易に破断できるものであれば任意でよい。例えば、ハーフカット線で構成することができる。また、ミシン目線で構成することもできるが、この場合には、粉粒体から成る内容物がミシン目を透過できないことが望ましい。この他、微細な傷痕を多数設けて、その集合で構成した線を易破断線43とすることも可能である。
【0034】
ところで、説明の便宜のため、以下の説明では、この易破断線43で区分され、パウチの幅方向の全長に渡って延在する2つの区域のうち、一方の区域を表側テープ状区域41と呼び、他方の区域を裏側テープ状区域42と呼ぶ。後述するように、この例では、表側テープ状区域41に第1の閉塞部51が配置されており、裏側テープ状区域42に第2の閉塞部52が配置されている。
【0035】
なお、易破断線43は開閉用テープ40のちょうど中央に位置する必要はない。この易破断線43で開閉用テープ40を破断することにより、第1の閉塞部51が配置された表側テープ状区域41と第2の閉塞部52が配置された裏側テープ状区域42とを分離して、粉粒体から成る内容物が通過できる隙間が両区域41,42の間にできれば十分である。なお、破断した後裏側テープ状区域42を掴み易くするため、易破断線43と第2の閉塞部52との間は10mm程度の長さがあることが望ましい。
【0036】
これら表側フィルム10、裏側フィルム20、中間フィルム30及び開閉用テープ40は、次のような関係に置かれている。すなわち、
図1(b)に示すように、まず、中間フィルム30の前記表側領域31が表側フィルム10にシールされている。表側領域31の全域が表側フィルム10にシールされている必要はないが、この両フィルム31,10の
間に隙間ができないように、パウチ100の幅方向の全長に渡ってシールされている必要がある。例えば、表側領域31の上部先端縁が幅方向の全長に渡ってシールされていれば十分である。
【0037】
次に、中間フィルム30の前記裏側領域32の端部は開閉用テープ40の裏側テープ状区域42の端部にシールされている。この場合にも、前記裏側領域32と開閉用テープ42との間に隙間ができないように、パウチ100の幅方向の全長に渡ってシールされている必要がある。
【0038】
以上のように、中間フィルム30の両側の領域31,32がそれぞれ表側フィルム10と開閉用テープ40とにシールされているため、表側フィルム10と開閉用テープ40とは、中間フィルム30を介して接続されている。そして、表側フィルム10と開閉用テープ40との間には、前記振り出し孔34が配置されている。
【0039】
次に、開閉用テープ40のもう一つの区域、すなわち、前記表側テープ状区域41の端部が前記表側フィルム10にシールされている。この場合にも、もちろん、前記表側テープ状区域と表側フィルム10との間に隙間ができないように、パウチ100の幅方向の全長に渡ってシールされている必要がある。
【0040】
そして、このように、表側フィルム10が中間フィルム30にシールされ、中間フィルム30が開閉用テープ40にシールされ、開閉用テープ40にシールされているため、これら表側フィルム10、中間フィルム30及び開閉用テープ40は、その断面が閉曲線を構成している(
図1(b)参照)。
【0041】
次に、開閉用テープ40には、2つの閉塞部51,52が配置されている。第1の閉塞部51は、表側テープ状区域41と裏側フィルム20との間を開閉自在に閉塞するものである。この第1の閉塞部51は本発明に必須のものではないが、一旦振り出し孔34から少量の内容物を振り出した後、パウチ100を密封して残余の内容物を保存する際に便利である。
【0042】
この第1の閉塞部51は、表側テープ状区域41と裏側フィルム20との間を開閉自在に閉塞するもので、互に嵌合する雌型咬合具511と雄型咬合具512とで構成されている。もちろん、この両咬合具511,512とは、いずれも、パウチ100の幅方向の全長に渡って延在している。
【0043】
そして、雌型咬合具511は、開閉用テープ40の表側テープ状区域41と一体化してこれに固定されており、雄型咬合具512は裏側フィルム20に固定されている。そして、これら雌型咬合具511と雄型咬合具512とを互いに嵌合させることによって表側テープ状区域41と裏側フィルム20との間を閉塞することができる。一方、これら両咬合具511,512の嵌合を解けば、開閉用テープ40と裏側フィルム20との間に、内容物の通過する通路を形成することができる。
【0044】
一方、第2の閉塞部52は、裏側テープ状区域42と裏側フィルム20との間を開閉自在に閉塞するもので、互に嵌合する雌型咬合具521と雄型咬合具522とで構成されている。もちろん、この両咬合具521,522とは、いずれも、パウチ100の幅方向の全長に渡って延在している。
【0045】
そして、雌型咬合具521は、開閉用テープ40の裏側テープ状区域42と一体化してこれに固定されており、雄型咬合具522は裏側フィルム20に固定されている。そして、これら雌型咬合具521と雄型咬合具522とを互いに嵌合させることによって裏側テープ状区域42と裏側フィルム20との間を閉塞することができる。一方、これら両咬合具521,522の嵌合を解けば、開閉用テープ40の裏側テープ状区域42と裏側フィルム20との間に、内容物の通過する通路を形成することができる。
【0046】
このパウチ100は、
図1(b)から分るように、内容物がその内部に密封されており、開封する前には、内容物が漏れることはない。そして、内容物を取り出す際には、2種類の方法で取り出すことが可能である。すなわち、まず、振り出し孔34を経由して、少量ずつ、内容物を取り出すことができる。また、振り出し孔34を経由することなく、大量に内容物を取り出すことも可能である。
【0047】
そこで、
図2(a)を参照して、まず、少量ずつ取り出す方法を説明する。このパウチ100から内容物を取り出すためには、まず、切断予定線eでパウチ100を切断すると共に、第1の閉塞部51を開く必要がある。
【0048】
そして、次に、易破断線43で開閉用テープ40を破断することにより、
図2(a)に矢印で示すように、振り出し孔34と破断した易破断線43とを通じて内容物を取り出すことができる。
【0049】
一方、第2の閉塞部52を開くことにより、
図2(b)に矢印で示すように、振り出し孔34や破断した易破断線43を通ることなく、ここからスプーンを差し込んだり、あるいは、パウチ自体を傾けることにより、内容物を大量に取り出すことが可能である。
【0050】
なお、このように大量に取り出す場合には、開閉用テープ40を易破断線43で破断する必要はないが、
図2(b)に示すように易破断線43で破断した場合であっても、同様に大量に取り出すことが可能である。易破断線43で開閉用テープ40を破断した場合には、第1の閉塞部51のある表側テープ状区域41を摘まんでパウチ100を開けば、
図2(a)のように、少量ずつ振り出すことができる。一方、第2の閉塞部52のある裏側テープ状区域42を摘まんでパウチ100を開けば、
図2(b)のように、大量に取り出すことができる。そして、表側テープ状区域41の高さと裏側テープ状区域42の高さとは異なっているから、これらを取り違えるおそれもない。
【0051】
そして、第1の閉塞部51と第2の閉塞部52とは、いずれも、開閉自在に構成されているから、一旦これらを開いた後にも、これらを閉じて、パウチ100に残った内容物を再度密封することが可能である。
【0052】
例えば、振り出し孔34と破断した易破断線43とを通じて少量の内容物を振り出した後、第1の閉塞部51を閉じれば、パウチ100を再封することが可能である。
【0053】
また、第2の閉塞部52を開いて内容物を取り出した後には、第1の閉塞部51と第2の閉塞部52のいずれかを閉じることによってパウチ100を再封することができる。また、第2の閉塞部43を開くと共に易破断線44で開閉用テープ40を破断した場合であっても、第1の閉塞部51を閉じることによって残りの内容物をパウチ100内に密封することが可能である。
【0054】
なお、こうして再密封したパウチ100にあっても、
図2(a)に示すように、第1の閉塞部51を開き、易破断線43を破断すると共に、第2の閉塞部52が閉じた状態とすることによって、振り出し孔34と破断した易破断線43とを通じて少量ずつ内容物を取り出すことができることは明らかである。もちろん、第1の閉塞部51と第2の閉塞部52の両者を開くことによって、残りの内容物を大量に取り出すことが可能である。
【0055】
次に、表側フィルム10、裏側フィルム20及び中間フィルム30は、任意のフィルムが使用できるが、基材フィルムにシーラント層を積層した多層構造のフィルムが好適である。
【0056】
基材フィルムとしては、機械的強度や寸法安定性を有するフィルムを好ましく使用できる。例えば、各種二軸延伸フィルムである。その材質としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル、ポリイミド等が例示できる。また、これら各種材質のフィルムを積層し、その他のフィルムを積層した多層構造のフィルムであってもよく、更に、蒸着層や印刷層を設けたフィルムを基材フィルムとしてもよい。
【0057】
その他のフィルムとしては、例えば、アルミニウム箔等の金属箔を例示できる。その層構成中に金属箔を含む基材フィルムは、水蒸気や酸素ガス等のバリア性に優れている。
【0058】
次に、蒸着層としては、アルミニウム等の金属を蒸着して形成した金属蒸着層の他に、無機物を材質とする無機蒸着層を利用することができる。無機物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物が使用できる。中でも生産性、価格面から酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好ましい。これら金属蒸着層又は無機蒸着層をその層構成中に含む基材フィルムも、水蒸気や酸素ガス等のバリア性に優れている。
【0059】
シーラント層としては、ポリオレフィン系樹脂が使用できる。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂である。これらの樹脂を押出し機により製膜してフィルム状として使用すればよい。
【0060】
基材フィルムとシーラント層とは、接着剤を使用して積層することができる。接着剤としてはドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤等である。積層方法としてはドライラミネート法にて可能である。このほか、接着性樹脂を溶融押出し製膜して、その接着力を失わない間に基材フィルムとシーラント層とを圧着して積層することも可能である。
【0061】
また、粉粒体から成る内容物としては、少量ずつ振り出すことのある調味料等が好適である。例えば、胡椒、七味唐辛子等である。この他、粉末コーヒー、ココア、小麦粉、あるいは粉末洗剤等であってもよい。また、ドロップ状に加工されたチューインガムやチョコレート等の粒状食品を内容物とすることもできる。
【符号の説明】
【0062】
100:パウチ
10:表側フィルム
20:裏側フィルム
30:中間フィルム 31:表側領域 32:裏側領域 33:折り曲げ線 34:振り出し孔
40:開閉用テープ 41:表側テープ状区域 42:裏側テープ状区域 43:易破断線
51:第1の閉塞部 511:雌型咬合具 512:雄型咬合具
52:第2の閉塞部 521:雌型咬合具 522:雄型咬合具
a:左側シール線 b:右側シール線 c:下部シール線 d:上部シール線
e:切断予定線