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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155674
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】手洗い装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
E03D9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065137
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】598171863
【氏名又は名称】有限会社倉敷システムデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 翔平
(72)【発明者】
【氏名】小山 恭男
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038KA01
2D038ZA01
(57)【要約】
【課題】エジェクタ形式の混合ノズルを備えた手洗い装置の洗浄液供給路における洗浄液固化防止手段を付加する。
【解決手段】水供給路12に第1開閉弁121を、洗浄液供給路13に第2開閉弁131を、第1開閉弁121下流と第2開閉弁131下流とを結ぶ分岐供給路に第3開閉弁141を設け、第1開閉弁121、第2開閉弁131、第3開閉弁141を開閉させる制御部3を備えてなり、混合ノズル11から洗浄泡を吐出させた後、制御部3が第2開閉弁131を閉じ、第1開閉弁121及び第3開閉弁141を開くことにより、水供給路12から水を混合ノズル11に供給し、分岐供給路14を通じて洗浄液供給路13から水を、空気吸入口111から空気を混合ノズル11に吸引させて、洗浄液供給路13に残存する洗浄液を押し流し、混合ノズル11から水を吐出させることを特徴とする手洗い装置1である。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動流体として水が供給され、吸入流体として洗浄液及び空気が吸引されて混合され、泡を吐出させる混合ノズルを備えた手洗い装置において、
混合ノズルは空気吸入口を有し、
混合ノズルへ水を供給する水供給路に第1開閉弁を設け、
混合ノズルへ洗浄液を供給する洗浄液供給路に第2開閉弁を設け、
水供給路の第1開閉弁下流と洗浄液供給路の第2開閉弁下流とを結ぶ分岐供給路に第3開閉弁を設けて構成され、
第1開閉弁、第2開閉弁、第3開閉弁を開閉させる制御部を備えてなり、
制御部が第1開閉弁及び第2開閉弁を開き、第3開閉弁を閉じることにより、水供給路から水を混合ノズルに供給し、洗浄液供給路から洗浄液を、空気吸入口から空気を混合ノズルに吸引させて、混合ノズルから洗浄泡を吐出させた後、制御部が第2開閉弁を閉じ、第1開閉弁及び第3開閉弁を開くことにより、水供給路から水を混合ノズルに供給し、分岐供給路を通じて洗浄液供給路から水を混合ノズルに供給し、空気吸入口から空気を混合ノズルに吸引させて、洗浄液供給路に残存する洗浄液を押し流し、混合ノズルから水を吐出させる
ことを特徴とする手洗い装置。
【請求項2】
第2開閉弁及び第3開閉弁は、三方弁により構成され、
三方弁の第1入力口及び流出口を結ぶ経路を第2開閉弁、三方弁の第2入力口及び流出口を結ぶ経路を第3開閉弁として、
第1入力口を洗浄液供給路の上流側に接続し、
第2入力口を分岐供給路に接続し、
流出口を洗浄液供給路の下流側に接続した請求項1記載の手洗い装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動流体として水が供給され、吸入流体として洗浄液及び空気が吸引されて混合されることにより洗浄泡を吐出させる混合ノズルを備えた手洗い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
良好な手洗いを実現するものとして、駆動流体として水が供給され、吸入流体として洗浄液及び空気が吸引されて混合されることにより洗浄泡を吐出させる混合ノズルを備えた手洗い装置がある(特許文献1、特許文献2)。混合ノズルは、水を駆動流体とするエジェクタであり、上水道から供給される水を吐出するだけで、洗浄液及び空気を吸引して混合できることから、洗浄液及び空気の供給のための駆動力を必要としない利点がある。また、エジェクタ形式の混合ノズルは、内部の構造を工夫することにより、きめ細やかなマイクロバブルを生成できる点も優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-159092号公報
【特許文献2】特開2006-161420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2が開示する手洗い装置は、洗浄液タンクと混合ノズルとを結ぶ洗浄液供給路を通じて洗浄液が吸引される。ここで、駆動流体である水の供給が停止すると洗浄液の吸引も停止し、洗浄液供給路に洗浄液が残存する。また、混合ノズルから水だけを吐出させるため、駆動流体である水の供給を続けながら洗浄液供給路に設けた開閉弁を閉じれば洗浄液の吸引が停止し、洗浄液供給路に洗浄液が残存する。洗浄液供給路に残存する洗浄液は、固化して洗浄液供給路を狭くし、次回の洗浄液の吸引を弱くしたり、洗浄液の混合ノズルへの吸引をできなくしたりする。
【0005】
エジェクタ形式の混合ノズルを備えた手洗い装置において、洗浄液供給路のメンテナンスや交換が容易であれば、残存する洗浄液が問題にはならない。しかし、例えば手洗い装置に連動してドアを開閉させる手洗い連動ドア開閉システムに、エジェクタ形式の混合ノズルを備えた手洗い装置を利用する場合、洗浄液供給路のメンテナンスや交換が容易にできない。そこで、例えばエジェクタ形式の混合ノズルを備えた手洗い装置を手洗い連動ドア開閉システムに利用する場合を想定し、洗浄液供給路のメンテナンスを容易にして交換頻度を低減できるように、エジェクタ形式の混合ノズルを備えた手洗い装置の洗浄液供給路における洗浄液固化防止手段を付加するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
検討の結果開発したものが、駆動流体として水が供給され、吸入流体として洗浄液及び空気が吸引されて混合され、洗浄泡を吐出させる混合ノズルを備えた手洗い装置において、混合ノズルは空気吸入口を有し、混合ノズルへ水を供給する水供給路に第1開閉弁を設け、混合ノズルへ洗浄液を供給する洗浄液供給路に第2開閉弁を設け、水供給路の第1開閉弁下流と洗浄液供給路の第2開閉弁下流とを結ぶ分岐供給路に第3開閉弁を設けて構成され、第1開閉弁、第2開閉弁、第3開閉弁を開閉させる制御部を備えてなり、制御部が第1開閉弁及び第2開閉弁を開き、第3開閉弁を閉じることにより、水供給路から水を混合ノズルに供給し、洗浄液供給路から洗浄液を、空気吸入口から空気を混合ノズルに吸引させて、混合ノズルから洗浄泡を吐出させた後、制御部が第2開閉弁を閉じ、第1開閉弁及び第3開閉弁を開くことにより、水供給路から水を混合ノズルに供給し、分岐供給路を通じて洗浄液供給路から水を混合ノズルに供給し、空気吸入口から空気を混合ノズルに吸引させて、洗浄液供給路に残存する洗浄液を押し流し、混合ノズルから水を吐出させることを特徴とする手洗い装置である。
【0007】
本発明の手洗い装置は、混合ノズルから洗浄泡を吐出させた後、分岐供給路を通じて洗浄液供給路から水を混合ノズルに供給することにより、洗浄液供給路に残存する洗浄液を押し流す。洗浄液供給路に残存する洗浄液を押し流し始めると、最初に少しだけ洗浄泡が生成されるが、洗浄泡の吐出を停止させてから間を開けず水を吐出させ始めれば、見かけ上、洗浄泡の吐出時間が少し長くなるだけで、少しだけ生成される洗浄泡が目立たなくできる。少しだけ生成される洗浄泡が特に気にならなければ、洗浄泡の吐出を停止させてから間を開けて水を吐出させ始めてもよい。洗浄液供給路に残存する洗浄液を押し流すことが目的であるから、少しだけ生成される洗浄泡が吐出し終われば、水の吐出をすぐに停止してもよい。
【0008】
制御部は、特定手順や特定時間に合わせて第1開閉弁~第3開閉弁を開閉させる制御信号を発信する機器で、例えばコンピュータで構成される。第1開閉弁~第3開閉弁が電磁弁である場合、制御信号は第1開閉弁~第3開閉弁を開閉操作する電気信号である。また、第1開閉弁~第3開閉弁が機械弁である場合、制御信号は第1開閉弁~第3開閉弁を開閉操作するそれぞれの駆動手段を駆動させる電気信号である。このほか、制御部は、第1開閉弁~第3開閉弁の制御の起点として、例えば作業者の手を感知するセンサからの電気信号を受信する働きや、第1開閉弁~第3開閉弁の制御の終点として、例えば自動ドアの駆動手段を制御する電気信号を発信する働きを有していてもよい。
【0009】
第2開閉弁及び第3開閉弁は、択一的に開閉することから、三方弁としてまとめることができる。すなわち、第2開閉弁及び第3開閉弁は、三方弁により構成され、三方弁の第1入力口及び流出口を結ぶ経路を第2開閉弁、三方弁の第2入力口及び流出口を結ぶ経路を第3開閉弁として、第1入力口を洗浄液供給路の上流側に接続し、第2入力口を分岐供給路に接続し、流出口を洗浄液供給路の下流側に接続するとよい。第1入力口及び流出口を結ぶ経路を第2開閉弁、第2入力口及び流出口を結ぶ経路を第3開閉弁とする三方弁は、第2開閉弁及び第3開閉弁を独立して配置するより供給路の構成が簡素かつ小型化でき、また制御対象も1つ減らせる利点がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の手洗い装置は、混合ノズルから洗浄泡を吐出させた後、分岐供給路を通じて洗浄液供給路から水を混合ノズルに供給することにより、洗浄液供給路に残存する洗浄液を押し流すことができる洗浄液固化防止手段を備えることにより、洗浄液供給路のメンテナンスを原則不要とし、洗浄液供給路の交換頻度も低減させる効果を得る。これは、水供給路と洗浄液供給路とを結ぶ分岐供給路を設け、制御部が洗浄液供給路の第2開閉弁と分岐供給路の第3開閉弁とを択一的に開閉させることによる効果である。これにより、エジェクタ形式の混合ノズルを備えた本発明の手洗い装置は、手洗い連動ドア開閉システムに利用しやすい利点がある。
【0011】
制御部は、例えば作業者の手を感知するセンサからの電気信号を受信する働きや、第1開閉弁~第3開閉弁の制御の終点として、例えば自動ドアの駆動手段を制御する電気信号を発信する働きを有することもでき、こうした働きの観点からも、本発明の手洗い装置は、手洗い連動ドア開閉システムに利用しやすい。このように、本発明の手洗い装置は、洗浄液供給路に残存する洗浄液を洗い流せるようにしたことにより、メンテナンスを原則不要として、洗浄液供給路の交換頻度も低減させて、手洗い連動ドア開閉システムに好適な構成になっている。
【0012】
第2開閉弁及び第3開閉弁は、三方弁としてまとめると、第2開閉弁及び第3開閉弁を独立して配置するより供給路の構成が簡素かつ小型化でき、また制御対象も1つ減らせる利点がある。供給路の構成が簡素かつ小型化できる点は、本発明の手洗い装置を手洗い連動ドア開閉システムに利用する際、レイアウトの自由度を高める効果をもたらす。また、制御対象を1つ減らせる点は、本発明の手洗い装置を手洗い連動ドア開閉システムに利用する際、制御対象の数に制限のある低廉な制御部を用いながらも、センサやドアの駆動も十分にこなせるシステムを構築できる効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の手洗い装置を用いた手洗い連動ドア開閉システムの正面図である。
図2】本例の手洗い連動ドア開閉システムの構成を表すブロック図である。
図3】水だけを吐出する第1手順の動作状態を表すブロック図である。
図4】洗浄泡を吐出する第2手順の動作状態を表すブロック図である。
図5】洗浄液を洗い流す第3手順の動作状態を表すブロック図である。
図6】水又は洗浄泡の吐出を停止した第4手順の動作状態を表すブロック図である。
図7】水だけを吐出する第5手順の動作状態を表すブロック図である。
図8】ドアを開く第6手順の動作状態を表すブロック図である。
図9】別例の手洗い連動ドア開閉システムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の手洗い装置1は、図1及び図2に見られるように、手洗い連動ドア開閉システムに利用される。本発明の手洗い装置1は、洗浄液供給路13に残存する洗浄液を洗い流すことができるため、洗浄液供給路13に残存する洗浄液が固化することで手洗い装置1が使用不能となり、結果としてドア2を開閉できなくなる事態を避けることができる。
【0015】
本例の手洗い連動ドア開閉システムは、衛生区画(例えば食品工場の工場内、図面奥側)と非衛生区画(例えば食品工場の外部廊下、図面手前側)とを仕切るドア2を、ドア2の左隣に配置された手洗い装置1により作業者が所定の手洗い手順で手洗いをした後に開閉させる。本例における手洗い装置1の制御部3は、手洗い装置1とドア2とを連動させる観点から、ドア2の駆動手段21も併せて制御する。ドア2の駆動手段21を制御する別の制御部を設け、手洗い装置1の制御部3と協働させてもよい。
【0016】
ドア2は、駆動手段21により開閉できるものであれば、開き戸式でも、引き戸式でもよい。また、ドア2を構成する戸板は、1枚でも、2枚以上でもよい。戸板が2枚以上の場合、開閉させる戸板を特定してもよい。本例のドア2は、戸板が1枚の引き戸式で、図面に向かって右開きである。駆動手段21は、従来公知の各種駆動手段が利用でき、電動モータや電動シリンダを例示できる。手洗い装置1の制御部3は、所定の手洗い手順を終えた後、駆動手段21に開閉信号を送信し、一定時間だけドア2を開放させる。
【0017】
本例の手洗い装置1は、空気吸入口111を有するエジェクタ方式の混合ノズル11を吐出口に設け、混合ノズル11へ上水道から水を供給する水供給路12に第1開閉弁121を設け、第1入力口151を洗浄液供給路13の上流側に接続し、第2入力口152を水供給路12の第1開閉弁121下流から分岐した分岐供給路14に接続し、流出口153を洗浄液供給路13の下流側に接続した三方弁15を設けて、第1開閉弁121を開閉させ、三方弁15を切り替える制御部3を備えて構成される。本例の第1開閉弁121、三方弁15は、電気信号により開閉や流路を切り替える電磁弁である。
【0018】
本例の手洗い装置1は、洗浄ボウル18に突き出す水栓本体112に、第1開閉弁121及び三方弁15が内蔵されている。水栓本体112は、吐出口に設けた混合ノズル11の直下に作業者が差し出した手を検知する非接触式のセンサ16(本例は赤外線センサ)を下面側に設けている。また、洗浄ボウル18は、手洗い手順が実行されていることを報知する手段として、手洗い開始からドア2の解放まで点灯する照明17(本例はLED)を、洗面ボウル18の凹み上面に設けている。洗浄液タンク19は、どこに設置されても良いが、本例は洗面ボウル18直下に隠して収納されている。
【0019】
本例の制御部3は、専用の制御機器や汎用のコンピュータを利用して構成され、洗面ボウル18上方の壁面に設置される。制御部3は、第1開閉弁121と第1開閉弁用信号線31により、三方弁15と三方弁用信号線32により、センサ16とセンサ用信号線33により、照明17と照明用信号線34により、そしてドア2の駆動手段21と駆動手段用信号線35によりそれぞれ電気的に接続され、それぞれ制御信号が送受信される。第1開閉弁用信号線31、三方弁用信号線32、センサ用信号線33、照明用信号線34、駆動手段用信号線35は、有線又は無線のいずれでもよい。
【0020】
本例の手洗い連動ドア開閉システムの作動手順(第1手順~第6手順)を説明する。手洗い装置1は、上水道から常時供給される水を第1開閉弁121で閉じている間は混合ノズル11から水又は洗浄泡を一切吐出せず(図2参照)、第1開閉弁121を開くと水が混合ノズル11に供給されて水が吐出される、又はエジェクタである混合ノズル11が洗浄液及び空気を吸引して洗浄泡を吐出させる。本例の手洗い連動ドア開閉システムは、こうした吐出しない、水のみ吐出、洗浄泡を吐出のパターンをあらかじめ定めた手洗いの手順に従って手洗いをさせた作業者に対してのみ、ドア2を開く。
【0021】
水又は洗浄泡を一切吐出していない状態で、作業者が混合ノズル11直下に手を差し込むと、図3に見られるように、センサ16が手を感知して一連の手洗いが始まる(第1手順)。センサ16から感知信号を受信した制御部3は、点灯信号(制御信号)を送信して照明17を点灯させ、開信号(制御信号)を送信して第1開閉弁121を開くと共に、三方弁15に切替信号(制御信号)を送信し、第2流入口152及び流出口153を結ぶ流路に切り替える。第1手順における三方弁15の切り替えは、第2開閉弁を閉じ、第3開閉弁を開く状態に相当する。
【0022】
制御部3は、一連の手洗いが完了してドア2が開くまで、センサ16が感知信号を再び送信してきても無視する。これにより、一連の手洗いが途中でリセットされる虞をなくすと共に、ドア2の開放後、制御部3がセンサ16から感知信号を受信すれば、次の作業者が手洗いを始めるものとして、一連の手洗いを開始できるようにしている。混合ノズル11は、水供給路12を通じて水が供給されると、分岐供給路14から洗浄液供給路13を通じて水が供給されながら、エジェクタとして吸引力が発揮されて、空気吸入口111からの空気が吸引され、気泡を含む水を吐出する。
【0023】
第1手順の水の吐出が設定された時間だけ実行されると、図4に見られるように、水だけの吐出から切り替わり、洗浄泡の吐出を始める(第2手順)。第1開閉弁121は、制御部3が開信号(制御信号)を送信し続ける限り、又は制御部が閉信号(制御信号)を送信してこない限り開いたままとし、水を混合ノズル11に供給し続ける。ここで、第1手順と異なり、制御部3は、三方弁15に切替信号(制御信号)を送信し、第1流入口151及び流出口153を結ぶ流路に切り替える。第2手順における三方弁15の切り替えは、第2開閉弁を開き、第3開閉弁を閉じる状態に相当する。混合ノズル11は、水供給路12を通じて水が供給され、洗浄液供給路13を通じて洗浄液が、空気吸入口111から空気がそれぞれ吸引されて、洗浄泡を吐出する。
【0024】
第2手順の洗浄泡の吐出が設定された時間だけ実行されると、図5に見られるように、洗浄泡の吐出を停止し、洗浄液供給路13に残存する洗浄液の洗い流しを始める(第3手順)。第1開閉弁121は、制御部3が開信号を送信し続ける限り、又は制御部が閉信号を送信してこない限り、開いたままとし、水を混合ノズル11に供給し続ける。制御部3は、三方弁15に切替信号(制御信号)を送信し、第2流入口151及び流出口153を結ぶ流路に再び切り替える。第3手順における三方弁15の切り替えは、第2開閉弁を閉じ、第3開閉弁を開く状態に相当する。混合ノズル11は、水供給路12を通じて水が供給され、分岐供給路14から洗浄液供給路13を通じて水が供給され、空気吸入口111からの空気が吸引されて、気泡を含む水を吐出する。
【0025】
ここで、分岐供給路14から洗浄液供給路13を通じて混合ノズル11に吸引される水は、第2手順で洗浄液供給路13を通じて混合ノズル11に供給され、洗浄液供給13に残存する洗浄液を洗い流す。このため、第3手順開始直後の混合ノズル11は、水に対して洗浄液が供給され(押し流され)、空気が吸引されて、一時的に洗浄泡を吐出する。しかし、分岐供給路14から洗浄液供給路13を通じて混合ノズル11に供給される水が、洗浄液供給路13に残存する洗浄液を洗い流し終わると、第1手順同様、混合ノズル11は気泡を含む水だけを吐出する。第3手順は、洗浄液供給路13に残存する洗浄液の洗い流しが主目的であるから、実行時間は極短時間でよい。洗い流される洗浄液は、三方弁15内部から混合ノズル11までの洗浄液供給路13に残存する洗浄液である。
【0026】
第3手順の水の吐出が設定された時間だけ実行されると、図6に見られるように、一旦、水又は洗浄泡の吐出を停止する(第4手順)。制御部3は、第1開閉弁121に閉信号を送信し、三方弁15に切替信号(制御信号)を送信して、第1流入口151及び流出口153を結ぶ流路に切り替える。第4手順における三方弁15の切り替えは、第2開閉弁を閉じ、第3開閉弁を開く状態に相当する。これにより、水供給路12は第1開閉弁121により遮断され、洗浄液供給路13は三方弁15により遮断され、分岐供給路14を通じた水の供給も停止するので、水又は洗浄泡の吐出が停止される。
【0027】
洗浄泡を吐出した第2手順に続く第3手順の実行時間が極短時間であるとすると、第2手順で吐出された洗浄泡はほとんど流されず、手に付着した状態にある。このため、本例の手洗い連動ドア開閉システムでは、洗浄泡を手の隅々に行き渡らせる手揉みの洗浄時間として、水又は洗浄泡の吐出を停止させた第4手順を実行する。このとき、水又は洗浄泡の吐出が停止したことで、作業者が一連の手洗いが完了したと間違って判断しないように、本例は、第1手順で点灯させた照明17を消灯させることなく、点灯させ続けている。
【0028】
第4手順の水又は洗浄泡の停止が設定された時間だけ経過すると、図7に見られるように、第1手順同様、水だけを吐出させる(第5手順)。制御部3は、開信号(制御信号)を送信して第1開閉弁121を開くと共に、三方弁15に切替信号(制御信号)を送信し、第2流入口152及び流出口153を結ぶ流路に切り替える。第5手順における三方弁15の切り替えは、第2開閉弁を閉じ、第3開閉弁を開く状態に相当する。混合ノズル11は、水供給路12を通じて水が供給されると、分岐供給路14から洗浄液供給路13を通じて水が供給され、エジェクタとして吸引力が発揮されて空気吸入口111からの空気が吸引され、気泡を含む水を吐出する。作業者は、手に残る洗浄泡を落として一連の手洗いを完了させる。
【0029】
第5手順の水の吐出が設定された時間だけ経過すると、図8に見られるように、所定の手順に基づいた手洗いが完了したとして、ドア2を開く(第6手順)。制御部3は、第1開閉弁121に閉信号を送信し、三方弁15に切替信号(制御信号)を送信して、第1流入口151及び流出口153を結ぶ流路に切り替える。第4手順における三方弁15の切り替えは、第2開閉弁を閉じ、第3開閉弁を開く状態に相当する。そして、制御部3は、ドア2の駆動手段21に起動信号(制御信号)を送信すると共に、照明17を消灯させる。照明17の消灯は、水又は洗浄泡の吐出停止やドア2の開放に加えて、一連の手洗いが完了したことを作業者に知らせる報知手段になっている。
【0030】
本例の手洗いドア連動システムは、1体のドア2に対して1体の手洗い装置1を割り当てた構成である。ここで、本発明の手洗い装置1は、洗浄液固化防止手段を有することから、洗浄液供給路のメンテナンスが原則不要で、洗浄液供給路の交換頻度も低減させることができるため、手洗い装置1を複数設置する手洗いドア連動システムも構成可能となる。例えばドア2が複数の場合、ドア2と同数の手洗い装置1を用意し、特定のドア2と特定の手洗い装置1とを関係付ける。また、手洗い装置1だけが複数ある場合、複数の手洗い装置1の制御部3を共有させ、どの手洗い装置1がドア2の開閉を実行しているかを制御部3で調整するとよい。
【0031】
本例の手洗い連動ドア開閉システムに利用した手洗い装置1は、第2開閉弁及び第3開閉弁を兼ねた三方弁15を内蔵させる構成とすることにより水栓本体112を小型化している。しかし、例示された手洗い手順において、第2開閉弁に相当する三方弁15の第1流入口151と流出口153とを結ぶ流路と、第3開閉弁に相当する三方弁15の第2流入口152と流出口153とを結ぶ流路とが、切り替わっていることから理解されるように、択一的に開閉される第2開閉弁及び第3開閉弁を用いて本発明の手洗い装置1を構成することもできる。
【0032】
別例の手洗い装置1は、図9に見られるように、水供給路12に電磁弁である第1開閉弁121を設ける点が本例(図2参照)と同じであるが、洗浄液供給路13に電磁弁である第2開閉弁131を設け、水供給路12の第1開閉弁121下流と洗浄液供給路13の第2開閉弁131下流とを結ぶ分岐供給路14に第3開閉弁141を設けている点で異なる。制御部3は、第2開閉弁131と第2開閉弁用信号線321により、第3開閉弁141と第3開閉弁用信号線322により、それぞれ電気的に繋がり、第2開閉弁131及び第3開閉弁141が独立して開閉制御できる。
【0033】
別例の手洗い装置1は、手洗い連動ドア開閉システムにおいて次のように作動する。第1手順は、第1開閉弁121を開き、第2開閉弁131及び第3開閉弁141を閉じて、混合ノズル11から水だけ吐出させる。第1手順において、第3開閉弁141は開いていても構わない。第2手順は、第1開閉弁121及び第2開閉弁131を開き、第3開閉弁141を閉じて、混合ノズル11から洗浄泡を吐出させる。第2手順では、第2開閉弁131が開き、第3開閉弁141が閉じることから、両者は択一的に開閉する。
【0034】
第3手順は、第1開閉弁121及び第3開閉弁141を開き、第2開閉弁131を閉じて、洗浄液供給路13に残存する洗浄液を洗い流す。洗い流される洗浄液は、分岐供給路14が接続される位置から混合ノズル11までの洗浄液供給路13に残存する洗浄液である。第3手順では、第2開閉弁131が閉じ、第3開閉弁141が開くことから、両者は択一的に開閉する。第4手順は、第1開閉弁121、第2開閉弁131及び第3開閉弁141すべてを閉じて、混合ノズル11からの吐出を停止させる。第4手順において、第3開閉弁141は開いていても構わない。
【0035】
第5手順では、第1手順同様、第1開閉弁121を開き、第2開閉弁131及び第3開閉弁141を閉じて、混合ノズル11から水だけ吐出させる。第5手順において、第3開閉弁141は開いていても構わない。第6手順は、第1開閉弁121、第2開閉弁131及び第3開閉弁141すべてを閉じて、混合ノズル11からの吐出を停止させる。第6手順において、第3開閉弁141は開いていても構わない。
【0036】
本発明の目的である洗浄液供給路に残存する洗浄液の洗い流しに関わる第2手順及び第3手順では、第2開閉弁131及び第3開閉弁141が択一的に開閉される。そして、第1手順、第4手順~第6手順では、第3開閉弁141が開いていても、閉じていてもよい。このことから、手洗い連動ドア開閉システムに用いる別例の手洗い装置1は、第1手順から第6手順にわたって、第2開閉弁131及び第3開閉弁141を択一的に開閉させてもよい。択一的に開閉する第2開閉弁131及び第3開閉弁141は、三方弁15と同じ働きをする。そこで、本例の手洗い装置1(図2参照)は、装置構成の簡素化及び小型化を鑑み、第2開閉弁131及び第3開閉弁141に代えて三方弁15を用いている。
【符号の説明】
【0037】
1 手洗い装置
11 混合ノズル
111 空気吸入口
112 水洗本体
12 水供給路
121 第1開閉弁
13 洗浄液供給路
131 第2開閉弁
14 分岐供給路
141 第3開閉弁
15 三方弁
151 第1流入口
152 第2流入口
153 流出口
16 センサ
17 照明(LED)
18 洗面ボウル
19 洗浄液タンク
2 ドア
21 駆動手段
3 制御部
31 第1開閉弁用信号線
32 三方弁用信号線
321 第2開閉弁用信号線
322 第3開閉弁用信号線
33 センサ用信号線
34 照明用信号線
35 駆動手段用信号線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9