(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155681
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】予測システム、予測方法、予測装置、学習装置、プログラム、学習済みモデル
(51)【国際特許分類】
G16H 50/70 20180101AFI20231016BHJP
【FI】
G16H50/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065155
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】507234438
【氏名又は名称】広島県公立大学法人
(71)【出願人】
【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】横山 詔常
(72)【発明者】
【氏名】小玉 龍
(72)【発明者】
【氏名】友國 慶子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正哉
(72)【発明者】
【氏名】野村 卓司
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】好適に将来の転倒を予測する予測システム、予測方法、予測装置、学習装置、プログラム及び学習済みモデルを提供する。
【解決手段】予測システムにおいて、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を記憶するモデル生成フェーズと、対象者の検出情報が入力された場合に、対応情報に基づいて、対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測フェーズと、を備える。
【選択図】
図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を記憶する対応情報記憶部と、
対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測部と、
を備える予測システム。
【請求項2】
前記身体の少なくとも一部は、脚部である
請求項1に記載の予測システム。
【請求項3】
前記予測情報は、将来、転倒する可能性を表す転倒予測情報であり、
前記予測部は、前記対象者が将来、転倒する可能性を予測する
請求項1又は請求項2に記載の予測システム。
【請求項4】
前記対応情報は、前記検出情報と歩行の異常性の評価を表す歩行評価情報とが予め対応付けられた第1対応情報、及び、前記歩行評価情報と前記予測情報とが予め対応付けられた第2対応情報を含み、
前記予測部は、前記対象者の検出情報が入力された場合に、前記第1対応情報に基づいて前記歩行評価情報を推定し、推定した歩行評価情報と前記第2対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項5】
複数の被験者について、前記検出情報が検出された後、特定の期間内に転倒したか否かを示す転倒履歴情報を取得する履歴情報取得部と、
前記複数の被験者について、前記検出情報と前記転倒履歴情報が対応付けられた学習情報を生成する学習情報生成部と、
前記学習情報に基づいて、前記対応情報を生成する学習部と、
を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項6】
前記検出情報は、歩行時の足の屈曲及び伸展の少なくとも1つを表す曲げ情報、足裏圧力を表す圧力情報、又は足の加速度を表す加速度情報である
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項7】
前記対応情報は、さらに、年齢或いは性別を含む属性情報、既往症情報、骨、関節或いは筋肉の異常の経験情報、介護サービス情報、服薬情報、又は運動習慣情報の少なくとも1つの属性情報が予め対応付けられ、
前記予測部は、前記対象者の前記属性情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項8】
前記対応情報は、さらに、前記検出情報が検出された以前の特定の期間内に転倒したか否かを示す過去転倒履歴情報が予め対応付けられ、
前記予測部は、前記対象者の前記過去転倒履歴情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項9】
前記対応情報は、さらに、人が立つ、歩く又は座る機能であって、日常生活に必要な身体の移動に関わる機能を評価する手法として複数の質問事項への回答により評価された運動器評価情報が予め対応付けられ、
前記予測部は、前記対象者の前記運動器評価情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項10】
前記対応情報は、さらに、運動機能低下の自覚症状を示す運動機能情報が予め対応付けられ、
前記予測部は、前記対象者の前記運動機能情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項11】
前記対応情報は、さらに、身長及び体重から算出される肥満度情報が予め対応付けられ、
前記予測部は、前記対象者の前記肥満度情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項12】
前記対応情報は、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、ロジスティック回帰分析、又は、これらのうちの2つ以上の手法を組み合わせて学習された学習済モデルである
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項13】
前記予測情報は、将来の転倒に対処するための介入要否を示す介入要否情報であり、
前記予測部は、将来の転倒に対処するための介入要否を予測する
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項14】
前記対応情報は、前記検出情報と、将来、転倒する可能性を表す転倒予測情報とが予め対応付けられた第3対応情報、及び、前記転倒予測情報と前記介入要否情報とが予め対応付けられた第4対応情報を含み、
前記予測部は、前記対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記第3対応情報に基づいて前記転倒予測情報を推定し、推定した前記転倒予測情報と前記第4対応情報に基づいて、前記対象者について、将来の転倒に対処するための介入要否を予測する
請求項13に記載の予測システム。
【請求項15】
複数の被験者について、前記検出情報が検出された後、特定の期間内の歩行の様子を評価者が参照して評価した前記介入要否情報を取得する評価情報取得部と、
前記複数の被験者について、前記検出情報と前記介入要否情報が対応付けられた学習情報を生成する学習情報生成部と、
前記学習情報に基づいて、前記対応情報を生成する学習部と、
を備える請求項13又は請求項14に記載の予測システム。
【請求項16】
前記予測部は、前記対象者が将来、転倒する可能性を予測し、
将来の転倒に対処するために介入要否、及び、前記将来、転倒する可能性に基づく分類に応じた出力情報を出力する出力部を備える
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の予測システム。
【請求項17】
予測システムにおける予測方法であって、
対応情報記憶部が、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を記憶する対応情報記憶過程と、
予測部が、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測過程と、
を有する予測方法。
【請求項18】
身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を参照する対応情報参照部と、
対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測部と、
を備える予測装置。
【請求項19】
身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報を取得する学習情報取得部と、
前記学習情報に基づいて、機械学習を行う学習部と、
を備える学習装置。
【請求項20】
コンピュータに、
身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を参照する対応情報参照手段、
対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測手段、
を実行させるためのプログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報を取得する学習情報取得手段、
前記学習情報に基づいて、機械学習を行う学習手段、
を実行させるためのプログラム。
【請求項22】
身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報に基づく機械学習により生成され、
対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測するための学習済みモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測システム、予測方法、予測装置、学習装置、プログラム、学習済みモデルに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者の足圧分布のデータを測定し、転倒の危険度を解析、提示するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の技術は、現時点での転倒の危険度を大まかに(高い/低い程度)に提示するものであり、将来の転倒確率を予測するのは難しい。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、好適に将来の転倒を予測する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を記憶する対応情報記憶部と、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測部と、を備える予測システムである。
【0007】
本発明の他の態様は、予測システムにおける予測方法であって、対応情報記憶部が、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を記憶する対応情報記憶過程と、予測部が、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測過程と、を有する予測方法である。
【0008】
本発明の他の態様は、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を参照する対応情報参照部と、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測部と、を備える予測装置である。
【0009】
本発明の他の態様は、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報を取得する学習情報取得部と、前記学習情報に基づいて、機械学習を行う学習部と、を備える学習装置である。
【0010】
本発明の他の態様は、コンピュータに、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を参照する対応情報参照手段、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測手段、を実行させるためのプログラムである。
【0011】
本発明の他の態様は、コンピュータに、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報を取得する学習情報取得手段、前記学習情報に基づいて、機械学習を行う学習手段、を実行させるためのプログラムである。
【0012】
本発明の他の態様は、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報に基づく機械学習により生成され、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測するための学習済みモデルである。
【発明の効果】
【0013】
好適に将来の転倒を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態(第2実施形態~第4実施形態も同様)の概要を説明する概念図である。
【
図2】センサ情報等について説明する説明図である。
【
図3】第1実施形態の予測装置の構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態における、学習済モデルについて説明する図である。
【
図5】第1実施形態における、予測装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態における、モデル生成装置の構成例を示す図である。
【
図7】第1実施形態における、学習用データセットについて説明する図である。
【
図8】第1実施形態における、モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】第1実施形態における、モデル生成装置の他の構成例を示す図である。
【
図10】第1実施形態における、入力データセットについて説明する図である。
【
図11】第1実施形態における、他の学習済モデルについて説明する図である。
【
図12】第1実施形態における、他の学習用データセットについて説明する図である。
【
図13】第2実施形態の予測装置の構成例を示す図である。
【
図14】第2実施形態における、学習済モデルについて説明する図である。
【
図15】第2実施形態における、予測装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図16】第2実施形態における、モデル生成装置の構成例を示す図である。
【
図17】第2実施形態における、学習用データセットについて説明する図である。
【
図18】第2実施形態における、モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図19】第2実施形態における、モデル生成装置の他の構成例を示す図である。
【
図20】第2実施形態における、入力データセットについて説明する図である。
【
図21】第2実施形態における、他の学習済モデルについて説明する図である。
【
図22】第2実施形態における、他の学習用データセットについて説明する図である。
【
図23】第3実施形態の予測装置の構成例を示す図である。
【
図24】第3実施形態における、学習済モデルについて説明する図である。
【
図25】第3実施形態における、予測装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図26】第3実施形態における、モデル生成装置の構成例を示す図である。
【
図27】第3実施形態における、学習用データセットについて説明する図である。
【
図28】第3実施形態における、モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図29】第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)の概要を説明する概念図である。
【
図30】第5実施形態の予測装置の構成例を示す図である。
【
図31】第5実施形態における、第1学習済モデルについて説明する図である。
【
図32】第5実施形態における、第2学習済モデルについて説明する図である。
【
図33】第5実施形態における、予測装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図34】第5実施形態における、第1学習済モデル生成装置の構成例を示す図である。
【
図35】第5実施形態における、第1学習済モデル用の学習用データセットについて説明する図である。
【
図36】第5実施形態における、第1学習済モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図37】第5実施形態における、第1学習済モデル生成装置の他の構成例を示す図である。
【
図38】第5実施形態における、入力データセットについて説明する図である。
【
図39】第5実施形態における、第1学習済モデル用の他の学習済モデルについて説明する図である。
【
図40】第5実施形態における、第1学習済モデル用の他の学習用データセットについて説明する図である。
【
図41】第5実施形態における、第2学習済モデル生成装置の構成例を示す図である。
【
図42】第5実施形態における、第2学習済モデル用の学習用データセットについて説明する図である。
【
図43】第5実施形態における、第2学習済モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図44】第6実施形態の予測装置の構成例を示す図である。
【
図45】第6実施形態における、第1学習済モデルについて説明する図である。
【
図46】第6実施形態における、予測装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図47】第6実施形態における、第2学習済モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図48】第5実施形態における、第2学習済モデル用の学習用データセットについて説明する図である。
【
図49】第5実施形態における、第2学習済モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図50】第7実施形態の予測装置の構成例を示す図である。
【
図51】第7実施形態における、第1学習済モデルについて説明する図である。
【
図52】第7実施形態における、予測装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図53】第7実施形態における、第1学習済モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図54】第7実施形態における、第1学習済モデル用の学習用データセットについて説明する図である。
【
図55】第7実施形態における、第1学習済モデル生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図56】モデルの評価について説明する説明図である。
【
図57】モデルの評価について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態(第2実施形態~第4実施形態も同様)の概要について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、第1実施形態(第2実施形態~第4実施形態も同様)の概要を説明する概念図である。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態(第2実施形態~第4実施形態も同様)に係るシステムは、モデル生成フェーズと、予測フェーズとを含む。モデル生成フェーズは、予測フェーズにて用いられる学習済モデルを生成するフェーズである。予測フェーズは、モデル生成フェーズにて生成された学習済モデルを用いて転倒確率を予測するフェーズである。
【0017】
以下に説明する各実施形態(第1実施形態~第7実施形態)の説明において、モデル生成フェーズにおいて、学習済モデルを生成するためのデータを採取する者を被験者と称し、予測フェーズにおいて、学習済モデルを用いて転倒確率を予測等する者を対象者と称する場合がある。つまり、モデル生成フェーズでは、被験者からデータを採取して学習済モデルを生成し、予測フェーズでは、対象者に対して転倒確率を予測等する。
【0018】
第1実施形態(第2実施形態~第4実施形態も同様)に係るシステムは、少なくとも歩行をセンシングしたセンサ情報(詳細は後述)を用いて、センシング後から所定期間(例えば、1年以内)における転倒確率を予測する。更に、第1実施形態(第2実施形態~第4実施形態も同様)に係るシステムは、少なくとも転倒確率の予測結果(0%~100%)を用いて、将来の転倒に対処するための専門家による介入の要否(介入要否)を判定する。専門家による介入とは、対面若しくは遠隔による個別診断、運動のアドバイス等である。
【0019】
転倒確率の予測、介入要否の判定において、センサ情報の他に、診断情報(詳細は後述)やアンケート情報(詳細は後述)を用いてもよい。つまり、第1実施形態(第2実施形態~第4実施形態も同様)に係るシステムは、下記構成1~構成9のうちの少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0020】
(構成1)センサ情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果に基づいて介入要否を判定する構成
(構成2)センサ情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果と診断情報とに基づいて介入要否を判定する構成
(構成3)センサ情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果とアンケート情報とに基づいて介入要否を判定する構成
(構成4)センサ情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果と診断情報とアンケート情報とに基づいて介入要否を判定する構成
(構成5)センサ情報と診断情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果に基づいて介入要否を判定する構成
(構成6)センサ情報と診断情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果とアンケート情報とに基づいて介入要否を判定する構成
(構成7)センサ情報とアンケート情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果に基づいて介入要否を判定する構成
(構成8)センサ情報とアンケート情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果と診断情報に基づいて介入要否を判定する構成
(構成9)センサ情報と診断情報とアンケート情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果に基づいて介入要否を判定する構成
【0021】
転倒確率の予測には、機械学習や統計的手法を用いる。従って、転倒確率の予測に先立って、必要な情報を収集し、学習済モデル(学習済みモデル)や統計モデルを作成しておく。一例として、構成1(構成2~4も同様)の場合、多数の被験者の、夫々のセンサ情報と、夫々の被験者についてセンサ情報を取得した日から所定期間内(1年以内)に実際に転倒したか否かを示した転倒有無情報(転倒履歴情報)とを収集し、センサ情報に基づく特徴量情報(センサ情報でもよい)を入力サンプルとし転倒履歴情報を出力サンプルとして学習した学習済モデル、または、センサ情報に基づく特徴量情報(センサ情報でもよい)を説明変数とし転倒履歴情報を目的変数とする統計モデルを作成する。
【0022】
(センサ情報)
図2は、センサ情報等について説明する説明図である。
図2(A)は、センサシューズ(歩行データ取得装置)の一例である。センサシューズは、例えば、
図2(A)に示すように、中足指節関節曲げセンサ(
図2(A)の符号A)、距腿曲げセンサ(
図2(A)の符号B)、土踏まず曲げセンサ(
図2(A)の符号C)距骨曲げセンサ(非図示)は、踵圧力センサ(
図2(A)の符号D)、中足指節関節圧力センサ(
図2(A)の符号E)、足指圧力センサ(
図2(A)の符号F)、ボックス(
図2(A)の符号G)を備える。ボックス内には加速度センサ(
図2(A)の符号H)、データ処理部(
図2(A)の符号I)及び電源部(
図2(A)の符号J)が収容されている。データ処理部は、マイクロコンピュータ及びデータ出力部を備える。
【0023】
中足指節関節曲げセンサは、足の中足指節関節軸の周りの屈曲度を計測する。距腿曲げセンサは、足首部の距腿関節軸の周りの屈曲度を計測する。土踏まず曲げセンサは、土踏まず部の屈曲度を計測する。距骨曲げセンサは、足首部の距骨下関節軸の周りの屈曲度を計測する。踵圧力センサは、足の裏側において踵部の圧力を計測する。中足指節関節圧力センサは、足の裏側において中足指節関節部の圧力を計測する。足指圧力センサは、足の裏側において母趾の圧力を計測する。加速度センサは、3軸方向の加速度を計測可能に構成されており、下腿部の上下方向加速度、前後方向加速度および左右方向(足の内外方向)加速度を計測する。これらは、データ出力部により出力される。
【0024】
なお、センサとして、歩行時の足の屈曲に代えて又は加えて歩行時の足の伸展を計測するセンサを用いてもよい。上記中足指節関節曲げセンサが、屈曲度から伸展度を算出してもよい。
【0025】
以下、センサシューズから取得されるセンサ情報(例えば、上述した各センサから得られる情報の全部又は一部)をセンサ情報1~センサ情報Nと称する場合がある。一のセンサによる複数の出力値(センサ値)の夫々をセンサ情報と称してもよい。例えば、中足指節関節曲げセンサによる1歩行周期内の複数のタイミングの夫々(例えば10等分した各タイミング)における出力値を、夫々センサ情報と称してもよい。
【0026】
センサ情報(センサ情報1~センサ情報N)は、歩行計測の測定者(モデル生成フェーズでは被験者、予測フェーズでは対象者)と紐づけて記憶する。例えば、測定者Aを識別する識別情報に対応付けて測定者Aのセンサ情報を記憶し、測定者Bを識別する識別情報に対応付けて測定者Bのセンサ情報を記憶する。
【0027】
(特徴量情報)
センサ情報1~センサ情報Nから歩行に関する種々の特徴量が抽出可能である。例えば、下記に示すような特徴量情報を取得可能である。
[基本データ]
・歩数、歩調(歩/分)
・ステップ長
・歩行速度
[歩行周期]
・踵接地,つま先離地時間
・平均1歩行周期時間(秒)
・立脚期,遊脚期(時間,%)
・単脚支持期(時間,%)
・両脚支持期(時間,%)
[波形(時間正規化)]
・1歩行周期、加算平均波形、標準偏差波形
[各種代表値]
・ロッカー区間
立脚期,遊脚期における最大,最少,レンジ値(幅)
・単位時間(傾き)、上記データの左右平均値
【0028】
以下、夫々の特徴量情報(上述した各特徴量情報の全部又は一部)を特徴量情報1~特徴量情報Nと称する場合がある。なお、特徴量情報Nの「N」とセンサ情報Nの「N」は数の一致を示すものではない。つまり、センサ情報Nの「N」はセンサシューズから取得される1以上のセンサ情報を示しており、特徴量情報Nの「N」は1以上のセンサ情報から抽出される1以上の特徴量情報を示しており、両者の数が一致しているかどうかを示すものではない。
【0029】
特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)は、歩行計測の測定者(モデル生成フェーズでは被験者、予測フェーズでは対象者)と紐づけて記憶してもよい。例えば、測定者Aのセンサ情報(測定者Aを識別する識別情報に対応付けて記憶されているセンサ情報)から特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を抽出した場合、当該特徴量情報を測定者Aに紐づけて記憶(測定者Aを識別する識別情報に対応付けて記憶)し、測定者Bのセンサ情報(測定者Bを識別する識別情報に対応付けて記憶されているセンサ情報)から特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を抽出した場合、当該特徴量情報を測定者Bに紐づけて記憶(測定者Bを識別する識別情報に対応付けて記憶)してもよい。
【0030】
図2(B)は、センサシューズから取得されるセンサ情報の一例である。
図2(B)では、一例として、足指圧力センサから取得される歩行周期のセンサ情報、中足指節関節曲げセンサから取得される歩行周期のセンサ情報、加速度センサから取得される歩行周期のセンサ情報を示している。
【0031】
歩行について、センサシューズを用いて脚部をセンシングすることに代えて又は加えて、腕や頭にセンサを装着し、腕や頭をセンシングしてもよい。つまり、センサ情報は、必ずしもセンサシューズから得られる情報でなくてもよい。
【0032】
(アンケート情報)
アンケート情報は、例えば、下記のようなアンケートに基づいて作成されるものであってもよい。
1.属性・基本情報(年齢、性別、身長、体重、足長等)
必要に応じて測定する。血圧、BMI(肥満度情報)、骨密度等を含めてもよい。
2.転倒履歴
(1)直近3カ月以内の転倒の有無
転倒有の場合、具体的な内容(〇〇月(朝方・昼・夕方・夜)、場所、状況(例えば、朝散歩中に段差に躓いた。かすり傷程度、病院に行っていない等))
(2)過去1年(直近3カ月を除く)以内の転倒の有無
転倒有の場合、(1)と同様
3.足腰の状況(ロコモ5調査)
(1)階段の昇り降りはどの程度困難か
(2)急ぎ足で歩くのはどの程度困難か
(3)休まずにどれくらい歩き続けることができるか
(4)2kg程度の買い物をして持ち帰ることはどの程度困難か
(5)家のやや重い仕事(掃除機の使用,ふとんの上げ下ろしなど)はどの程度困難か
4.身体の状況
(1)運動機能の低下の自覚症状(該当するものに印)
運動機能低下の自覚症状を示す運動機能情報。例えば、筋力の低下(上肢,体幹,下肢)/運動速度の低下(動作がゆっくり)/反応の低下(反応時間がかかる)/手先の器用さの低下/平衡感覚(バランス感覚)の低下/身体の柔軟性の低下/その他
【0033】
また、アンケート情報として、上記に代えて又は加えて、人が立つ、歩く又は座る機能であって、日常生活に必要な身体の移動に関わる機能を評価する手法として複数の質問事項への回答により評価された運動器評価情報を用いてもよい。
【0034】
また、アンケート情報として、既往症情報、骨、関節或いは筋肉の異常の経験情報、介護サービス情報、服薬情報、又は運動習慣情報の少なくとも1つを含めてもよい。
【0035】
以下、上述のようなアンケート(上述した質問項目の全部又は一部)に基づいて得られる情報をアンケート情報1~アンケート情報Nと称する場合がある。なお、アンケート情報Nの「N」は、用いる診断情報の数(項目数)を示すものであり、センサ情報N等の「N」、特徴量情報Nの「N」とは特に関連性はない。
【0036】
アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)は、歩行計測の測定者(モデル生成フェーズでは被験者、予測フェーズでは対象者)と紐づけて記憶する。例えば、測定者Aを識別する識別情報に対応付けて測定者Aのアンケート情報を記憶し、測定者Bを識別する識別情報に対応付けて測定者Bのアンケート情報を記憶する。
【0037】
(診断情報)
診断情報は、評価者である専門家が測定者(モデル生成フェーズでは被験者、予測フェーズでは対象者)の歩行の様子を参照して、当該歩行の異常性を評価した歩行評価情報である。診断情報として、例えば、GARS-M(修正歩行異常性尺度、以下、GARSと称する)を用いてもよい。GARSは、下記の7項目の夫々を0-3で点数化し、歩行の異常性を総合的な評価値(0~21点)で評価するものである。
GARS1:変動性
GARS2:勢いのなさ
GARS3:よろめき
GARS4:足の接地
GARS5:股関節の運動範囲
GARS6:腕ふりの後方化
GARS7:腕ふりと踵接地の同調性
【0038】
専門家は、歩行の様子を撮像した撮像画像(動画)において測定者(モデル生成フェーズでは被験者、予測フェーズでは対象者)の歩行の様子を確認し、上記7項目の夫々に点数を付けてもよい。なお、撮像画像は、歩行計測日に撮像することが好ましい。なお、撮像は、歩行測定とともに行われてもよいし歩行測定とは別に行われてもよいが(つまり、専門家はセンサシューズを装着した状態の測定者の様子を確認し点数をつけてもよいし、センサシューズを装着していない状態の測定者の様子を確認し点数をつけてもよいが)、装着の有無の条件は同一にする。
【0039】
以下、上述のような専門家の診断に基づいて得られる情報(例えば、上述したGARSの7項目(GARS1~GARS7)の全部又は一部の点数等)を診断情報1~診断情報Nと称する場合がある。例えば、GARS診断情報として、GARSの7項目の全部を用いる場合には診断情報1~診断情報7となる。なお、診断情報Nの「N」は、用いる診断情報の数(項目数)を示すものであり、センサ情報N等の「N」、特徴量情報Nの「N」、アンケート情報Nの「N」とは特に関連性はない。
【0040】
診断情報(診断情報1~診断情報N)は、歩行計測の測定者と紐づけて記憶する。例えば、測定者Aを識別する識別情報に対応付けて測定者Aの診断情報を記憶し、測定者Bを識別する識別情報に対応付けて測定者Bの診断情報を記憶する。
【0041】
(転倒履歴情報)
転倒実績(転倒有無の結果)を取得して転倒履歴情報を蓄積しておく。例えば、歩行計測(センサシューズによる計測)日から1年経過後に、歩行計測日~歩行計測日から1年経過日迄の1年間における転倒の有無をヒアリングしてもよい(例えば、後日アンケートとして回答をもらうようにしてもよい)。なお、上記1年間のうちに何回かに分けて転倒の有無をヒアリングしてもよい。例えば、歩行計測日から3カ月経過後に、歩行計測日~歩行計測日から3カ月経過日迄の3カ月間における転倒の有無をヒアリングし、歩行計測日から6カ月経過後に、歩行計測日から3カ月経過日~歩行計測日から6カ月経過日迄の3カ月間における転倒の有無をヒアリングし、歩行計測日から9カ月経過後に、歩行計測日から6カ月経過日~歩行計測日から9カ月経過日迄の3カ月間における転倒の有無をヒアリングし、歩行計測日から1年経過後に、歩行計測日から9カ月経過日~歩行計測日から1年経過日迄の3カ月間における転倒の有無をヒアリングしてもよい。
【0042】
なお、転倒履歴情報は、歩行計測の測定者(モデル生成フェーズでは被験者、予測フェーズでは対象者)と紐づけて記憶する。例えば、測定者Aを識別する識別情報に対応付けて測定者Aの転倒履歴情報を記憶し、測定者Bを識別する識別情報に対応付けて測定者Bの転倒履歴情報を記憶する。
【0043】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、
図3~
図12を参照して説明する。第1実施形態は、
図1において説明した構成1~構成9のうち構成1~構成4に相当する。なお、ンサ情報は、必ずしもセンサシューズから得られる情報でなくてもよいと説明したが、第1実施形態(他の実施形態も同様)では、センサ情報は、センサシューズから得られた情報であるものとして説明する。
【0044】
(予測装置10)
予測装置10は、学習済モデル2100(後述)を用いて対象者の転倒確率を予測する。学習済モデルとは、訓練(学習)によって最適化されたパラメータ(学習済パラメータ)によって表される学習モデルである。学習済モデルは、学習モデルを訓練し、訓練によってパラメータが最適化され、生成される。また、予測装置10は、少なくとも転倒確率の予測結果を用いて介入要否を判定する。予測装置10は、例えば、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0045】
図3は、予測装置10の構成例を示す図である。
図3に示すように、予測装置10は、取得部100と、特徴量抽出部101と、転倒予測部(推定部)102と、介入要否判定部103と、出力部104と、センサ情報記憶部105と、特徴量情報記憶部108と、モデル記憶部109と、予測結果記憶部110、判定結果記憶部111とを備える。予測装置10内の各部(予測装置12内の各部、予測装置14内の各部、予測装置16の各部、予測装置18の各部、予測装置20内の各部、予測装置22の各部も同様)は、バスを経由して互いに通信可能である。また、図示は省略したが、予測装置10(予測装置12、予測装置14、予測装置16、予測装置18、予測装置20、予測装置22の各部も同様)は、操作者からの操作を受け付ける操作部を備える。なお、破線にて示したが、予測装置10は、診断情報記憶部106、アンケート情報記憶部107を更に備えてもよい。
【0046】
特徴量推定部101、転倒予測部102及び介入要否判定部103は、CPU等によって実現される。各記憶部(センサ情報記憶部105、診断情報記憶部106、アンケート情報記憶部107、特徴量情報記憶部108、モデル記憶部109、予測結果記憶部110、判定結果記憶部111)は、HDDやSSD(Solid State Drive)等によって実現される。出力部104は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示部であってもよいし、スピーカー等の音声出力部であってもよいし、外部へ情報を送信可能な通信部であってもよいし、紙媒体等を印刷、発行する印刷部であってもよい。
【0047】
取得部100は、センサ情報を取得する。本例では、取得部100は、センサシューズから得られるセンサ情報(圧力センサ値、曲げセンサ値、加速度センサ値)を取得する。取得部100は、センサシューズから直接的にセンサ情報を取得(例えば、無線通信によって取得)してもよいし、他の装置(センサシューズからセンサ情報を取得した装置)を介してセンサ情報を取得(例えば、無線通信によって取得、有線通信又は無線通信、記憶媒体を用いて取得)してもよい。センサ情報を取得した取得部100は、センサ情報をセンサ情報記憶部105に記憶する。
【0048】
センサ情報記憶部105は、取得部100が取得したセンサ情報を記憶する。具体的には、センサ情報記憶部105は、対象者毎にセンサ情報を記憶する。
【0049】
また、取得部100は、対象者に対する専門家による診断の診断情報を取得してもよい。取得部100は、診断情報を取得した場合、診断情報記憶部106に記憶する。診断情報記憶部106は、取得部100が取得した診断情報を記憶する。具体的には、診断情報記憶部106は、対象者毎に診断情報を記憶する。なお、第1実施形態では、取得部100は、診断情報を取得してもよいが、診断情報を取得しなくてもよい。従って、取得部100が診断情報を取得しない場合には診断情報記憶部106は存在しなくてもよい。
【0050】
また、取得部100は、対象者自身が回答したアンケートのアンケート情報を取得してもよい。取得部100は、アンケート情報を取得した場合、アンケート情報記憶部107に記憶する。アンケート情報記憶部107は、取得部100が取得したアンケート情報を記憶する。具体的には、アンケート情報記憶部107は、対象者毎にアンケート情報を記憶する。なお、第1実施形態では、取得部100は、アンケート情報を取得してもよいが、アンケート情報を取得しなくてもよい。従って、取得部100がアンケート情報を取得しない場合にはアンケート情報記憶部107は存在しなくてもよい。
【0051】
特徴量抽出部101は、センサ情報記憶部105に記憶されているセンサ情報から特徴量を抽出する。特徴量を抽出した特徴量抽出部101は、抽出した特徴量を示した特徴量情報を特徴量情報記憶部108に記憶する。
【0052】
特徴量情報記憶部108は、特徴量抽出部101が抽出した特徴量を示した特徴量情報を記憶する。具体的には、特徴量情報記憶部108は、対象者毎に特徴量情報を記憶する。
【0053】
モデル記憶部109は、学習済モデル2100を記憶する。学習済モデル2100は、モデル生成装置30(後述)において生成され、予測装置10に供給される。モデル生成装置30において生成された学習済モデル2100は、通信によって、又は、記憶媒体(USBメモリ等)を用いて、モデル生成装置30から予測装置10に供給され、モデル記憶部109に記憶される。他の学習済モデルの供給、記憶についても同様である。
【0054】
図4は、学習済モデル2100について説明する図である。学習済モデル2100は、例えば、
図4に示すような、ニューラルネットワークを用いて表されるモデルである。学習済モデル2100は、例えば、DNN(Deep Neural Network)であってもよい。学習済パラメータは、例えば、ニューラルネットワークの層数、各層におけるニューロンの個数、ニューロン同士の結合関係、各ニューロン間の結合の重み(結合荷重)、及び各ニューロンの閾値を含む。
図4に示した学習済モデル2100は、入力層2101、1以上の中間層2102(隠れ層)、及び出力層2103を含む。各層2101、2102、2103は、1以上のニューロンを備えている。中間層2101の層数、各層におけるニューロンの個数等は、学習済パラメータによって設定されている。
【0055】
入力層2101には、特徴量情報記憶部108に記憶されている特徴量情報が入力される。出力層303から、所定期間内(具体的には1年以内)に転倒する確率を示した出力値、所定期間内に転倒しない確率を示した出力値が出力される。つまり、学習済モデル2100は、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を入力層2101に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2103から出力する学習済モデルである。
【0056】
転倒予測部102は、特徴量情報記憶部108に記憶されている特徴量情報と、モデル記憶部109に記憶されている学習済モデル2100と、を用いて対象者が将来の所定期間内(具体的には1年以内)に転倒する確率を予測する。転倒する確率を予測した転倒予測部102は、予測結果(0%~100%の値)を予測結果記憶部110に記憶する。
【0057】
予測結果記憶部110は、転倒予測部102による予測結果を記憶する。具体的には、予測結果記憶部110は、対象者毎に予測結果を記憶する。
【0058】
介入要否判定部103は、予測結果記憶部110に記憶されている予測結果に基づいて、専門家による介入要否を判定する。例えば、介入要否判定部103は、予測結果が所定の閾値(例えば60%)未満である場合、専門家による介入は不要であると判定し、予測結果が所定の閾値以上である場合、専門家による介入は必要であると判定してもよい。介入要否を判定した介入要否判定部103は、判定結果(必要/不要)を判定結果記憶部111に記憶する。
【0059】
なお、介入要否判定部103が参照可能な場所に、予測結果記憶部110に記憶されている予測結果と比較するための閾値60%を記憶しておいてもよいが、転倒確率60%未満の値に介入不要である旨が対応付けられ、転倒確率60%以上の値に介入必要である旨が対応付けられているテーブルを記憶しておいてもよい。要は、介入要否判定部103は、予測結果記憶部110に記憶されている予測結果と、上記閾値(又は上記テーブル)と参照し、専門家による介入の要否を判断すればよい。他の実施形態の介入要否判定部においても同様である。
【0060】
また、介入要否判定部103は、予測結果に加え、診断情報(診断情報記憶部106に記憶されている診断情報)とアンケート情報(アンケート情報記憶部107に記憶されているアンケート情報)のうちの一方又は両方に基づいて、専門家による介入要否を判定してもよい。診断情報やアンケート情報を介入要否の判定に用いる場合、夫々をスコア化(点数化)してもよい。診断情報については、例えば、診断情報1~Nの総合的な評価値(例えば、GARS1~GARS7の総合的な評価値(0~21点))を用いてスコア化してもよい。アンケート情報については、例えば、アンケート情報1~アンケート情報N(アンケートの質問項目の夫々)の回答を例えば重み付けして加算しスコア化してもよい。なお、転倒確率(0~100%)である予測結果と合わせるべく、診断情報やアンケート情報は、値が小さいほど介入が不要となるようにスコア化する。
【0061】
介入要否判定部103は、予測結果と診断情報とに基づいて介入要否を判定する場合、下記式(1)によって算出される介入要否の判定スコアY1ABを算出し、判定スコアY1ABが所定の判定用基準値R1AB未満である場合には介入は不要であると判定し、判定スコアY1ABが所定の判定用基準値R1AB以上である場合には介入は必要であると判定してもよい。なお、X1Aは予測結果の値、XBは診断情報のスコアの値、a、bは係数である。
【0062】
Y1AB=a×X1A+b×XB … (1)
【0063】
介入要否判定部103は、予測結果とアンケート情報とに基づいて介入要否を判定する場合、下記式(2)によって算出される介入要否の判定スコアY1ACを算出し、判定スコアY1ACが所定の判定用基準値R1AC未満である場合には介入は不要であると判定し、判定スコアY1ACが所定の判定用基準値R1AC以上である場合には介入は必要であると判定してもよい。なお、X1Aは予測結果の値、XCはアンケート情報のスコア値、c、dは係数である。
【0064】
Y1AC=c×X1A+d×XC … (2)
【0065】
介入要否判定部103は、予測結果と診断情報とアンケート情報とに基づいて介入要否を判定する場合、下記式(3)によって算出される介入要否の判定スコアY1ABCを算出し、判定スコアY1ABCが所定の判定用基準値R1ABC未満である場合には介入は不要であると判定し、判定スコアY1ABCが所定の判定用基準値R1ABC以上である場合には介入は必要であると判定してもよい。なお、X1Aは予測結果の値、XBは診断情報のスコアの値、XCはアンケート情報のスコア値、e、f、gは係数である。
【0066】
Y1ABC=e×X1A+f×XB+g×XC … (3)
【0067】
出力部104は、転倒予測部102による予測結果(予測結果記憶部110に記憶されている予測結果)と、介入要否判定部103による判定結果(判定結果記憶部111に記憶されている判定結果)を出力する。具体的には、出力部104は、対象者毎に、予測結果と判定結果を出力する。なお、出力部104は、上記に代えて又は加えて、対象者個人の端末(スマートフォン、パーソナルコンピュータ)に夫々の情報を送信してもよい。例えば、出力部104は、介入が必要である旨の判定結果であった場合、予測結果と判定結果(必要)と診断(介入)の予約に関する情報とを含む画面情報を対象者個人の端末に送信してもよい。
【0068】
なお、予め、予測結果(将来転倒する可能性)を値に応じて分類(例えば、20%未満,20~40%,40~60%,60~80%,80~100%)し、分類に応じた情報(問題無,…,非常に危険)を記憶しておき、出力部104(他の実施形態の出力部も同様)は、予測結果に基づく分類に応じた出力情報を出力してもよい。他の実施形態の出力部も同様である。
【0069】
図5は、予測装置10の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図5のフローチャートは、取得部100、特徴量抽出部101、転倒予測部102、介入要否判定部103、出力部104の動作例を示している。
【0070】
予測装置10(取得部100)は、センサ情報を取得する(ステップS10)。予測装置10(取得部100)は、センサ情報を記憶(センサ情報記憶部105に記憶)する。続いて、予測装置10(特徴量抽出部101)は、特徴量を抽出する(ステップS11)。予測装置10(特徴量抽出部101)は、特徴量情報を記憶(特徴量情報記憶部108に記憶)する。続いて、予測装置10(転倒予測部102)は、特徴量情報を学習済モデル2100に入力して転倒確率を予測する(ステップS12)。予測装置10(転倒予測部102)は、予測結果を記憶(予測結果記憶部110に記憶)する。続いて、予測装置10(介入要否判定部103)は、専門家による介入要否を判定する(ステップS13)。予測装置10(介入要否判定部103)は、判定結果を記憶(予測結果記憶部110に記憶)する。続いて、予測装置10(出力部104)は、転倒予測部102による予測結果、介入要否判定部103による判定結果を出力する(ステップS14)。そして、本フローチャートは終了する。
【0071】
(モデル生成装置30)
モデル生成装置30は、予測装置10において用いられる学習済モデル2100を生成する。具体的には、モデル生成装置30は、センサ情報を取得した複数の測定者(被験者)に由来する学習用データセット1100(後述)を用いて学習モデルを訓練し、学習済モデル2100を生成する。モデル生成装置30は、例えば、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0072】
図6は、モデル生成装置30の構成例を示す図である。
図6に示すように、モデル生成装置30は、取得部300と、モデル生成部302と、記憶部309とを備える。モデル生成装置30内の各部(モデル生成装置32の各部、モデル生成装置34の各部、モデル生成装置36の各部、第1学習済モデル生成装置38の各部、第2学習済モデル生成装置39の各部、第2学習済モデル生成装置41の各部、第1学習済モデル生成装置42の各部も同様)は、バスを経由して互いに通信可能である。また、図示は省略したが、モデル生成装置30(モデル生成装置32、モデル生成装置34、第1学習済モデル生成装置38、第2学習済モデル生成装置39、第2学習済モデル生成装置41、第1学習済モデル生成装置42も同様)は、操作者からの操作を受け付ける操作部や、他の装置と通信する通信部を備える。モデル生成部302は、CPU等によって実現される。記憶部309は、HDDやSSD(Solid State Drive)等によって実現される。
【0073】
取得部300は、外部から学習用データセット1100を取得する。取得部300は、記憶媒体(USBメモリ等)を用いて外部から学習用データセット1100を取得してもよいし、通信によって外部から学習用データセット1100を取得してもよい。他の学習用データセットの供給、記憶についても同様である。学習用データセット1100を取得した取得部300は、学習用データセット1100を記憶部2309に記憶する。
【0074】
学習用データセット1100(他の学習用データセットも同様)は、複数の学習用サンプル(学習用サンプル1~学習用サンプルN)から構成される。夫々の学習用サンプルは、夫々の被験者から得られた情報である。例えば、学習用サンプル1は被験者1から得られた情報であり、学習用サンプル2は被験者2から得られた情報である。また、夫々の学習用サンプルは、入力サンプルと出力サンプルとを含む。入力サンプルとは、学習モデルの訓練時に入力層に入力されるデータである。出力サンプルとは、学習モデルの訓練時に出力層からの出力値と比較するための正解となるデータ(教師データ、正解ラベルとも称する)である。
【0075】
図7は、学習用データセット1100について説明する図である。取得部300は、例えば、
図7に示すような学習用データセット1100を取得する。なお、取得部300は、学習用サンプル1~学習用サンプルNを纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部300は、特徴量情報と実績情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後に特徴量情報と実績情報とから一の学習用サンプルを生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル(つまり被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、特徴量情報と実績情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0076】
図7に示した学習用データセット1100(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプル(符号A)として、夫々の被験者から得られた夫々のセンサ情報に基づく夫々の特徴量情報を含む。また、出力サンプル(符号B)として、夫々の被験者の所定期間内(具体的には夫々のセンサ情報の取得日から1年以内)における転倒有無の実績情報(転倒履歴調査情報)を含む。
【0077】
なお、入力サンプルに相当する特徴量情報は、センサ情報から得られるが、センサ情報から特徴量情報を得る工程(抽出する工程)は、モデル生成装置30とは異なる装置(非図示。
図3に示した予測装置10の特徴量抽出部101と同様の特徴量抽出部を備える学習用データセット生成装置)において行われる。つまり、モデル生成装置30とは異なる装置(学習用データセット生成装置)が学習用データセット1100を生成し、モデル生成装置30は、学習用データセット生成装置から学習用データセット1100を取得する。
【0078】
記憶部309は、取得部300が取得した学習用データセット1100(
図7の学習用サンプル1~学習用サンプルN)を記憶する。更に、記憶部309は、学習モデルとパラメータとを記憶する。
【0079】
モデル生成部302は、記憶部309に記憶されている学習用データセット1100を用いて学習モデルを訓練し、学習済モデル2100を生成する(詳細は後述)。モデル生成部302は、生成した学習済モデル2100を記憶部309に記憶する。
【0080】
具体的には、モデル生成部302は、入力サンプルの夫々(
図7の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の特徴量情報)を入力層2101に入力して出力層2103から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々(
図7の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の実績情報)との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2100を生成する。一例として、モデル生成部302は、下記(1)~(5)に示すように、誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)を用いて、学習済モデル2100を生成してもよい。
【0081】
(1)モデル生成部302は、記憶部309に記憶されている学習用データセット1100の入力サンプル(学習用サンプル1~学習用サンプルNの特徴量情報)を入力層2101に入力し、学習モデルの順伝播方向の演算処理を行うことにより、出力層2103から出力値を得る。出力層2103からの出力値は、夫々の転倒する確率/転倒しない確率(尤度)を表す値である。
(2)モデル生成部302は、全ての入力サンプルについて、例えば誤差逆伝播法により、出力層2103からの出力値と出力サンプルとの誤差を算出する。出力サンプルは、実績情報(実際の転倒の有無)である。例えば、学習用サンプル1の出力サンプルが転倒無を示すものであるときに、学習用サンプル1の入力サンプル(特徴量情報)を入力層2101に入力して出力層2103からの得られる出力値として転倒する確率が0%(転倒しない確率が100%)であれば、学習用サンプル1に関する誤差はゼロである。また、学習用サンプル2の出力サンプルが転倒有を示すものであるときに、学習用サンプル2の入力サンプル(特徴量情報)を入力層2101に入力して出力層2103からの得られる出力値として転倒する確率が100%(転倒しない確率が0%)であれば、学習用サンプル2に関する誤差はゼロである。
(3)モデル生成部302は、算出した誤差が所定値以内であるか否かを判断する。
(4)モデル生成部302は、算出した誤差が所定値以内であれば、各ニューロン間の結合の重み等の各種パラメータ(各ニューロン間の結合の重み、各ニューロンの閾値等)は最適化されていると判断し、学習(訓練)を終了する。つまり、モデル生成部302による学習済モデル2100の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2100とする)。
(5)モデル生成部302は、算出した誤差が所定値以内でなければ、算出した各誤差に基づいて各種パラメータを更新する。以下、モデル生成部302は、各種パラメータを更新した学習モデルに対し、再度、入力サンプルを入力層2101に入力し、上記誤差が所定値以内になる迄、繰り返し、各種パラメータを更新する。
【0082】
以上のように、学習済モデル2100は、入力層2101に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を入力したときに出力層2103から出力される夫々の被験者の転倒確率(所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率)が、夫々の被験者の実際の転倒実績(転倒有無の結果)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0083】
図8は、モデル生成装置30の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図8のフローチャートは、モデル生成部302の動作例を示している。なお、
図8のフローチャートの開始時において、記憶部309には、
図7に示したような学習用データセット1100、学習モデル、パラメータが記憶されているものとする。
【0084】
モデル生成装置30(モデル生成部302。以下、同様)は、学習モデルに夫々(各被験者)の入力サンプル(特徴量情報)を入力し、学習モデルから夫々の出力値を取得する(ステップS20)。続いて、モデル生成装置30は、夫々の出力値と夫々の出力サンプル(転倒有無)との誤差を算出する(ステップS21)。続いて、モデル生成装置30は、誤差が所定値以内であるか否かを判断する(ステップS22)。誤差が所定値以内でなかった場合(ステップS22:NO)、モデル生成装置30は、各誤差に基づいて各種パラメータを更新し(ステップS23)、ステップS20に戻る。つまり、誤差が所定値以内となる迄、ステップS20~ステップS23を繰り返し実行する。誤差が所定値以内であった場合(ステップS22:YES)、モデル生成装置30は、訓練を終了する(ステップS24)。つまり、モデル生成装置30による学習済モデル2100の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2100とする)。そして、本フローチャートは終了する。
【0085】
(第1実施形態の変形例)
以下、第1実施形態の変形例について説明する。各変形例は、適宜、組み合わせてもよい。
【0086】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態では、センサ情報から特徴量情報を得る工程は、モデル生成装置30とは異なる装置(学習用データセット生成装置)において行われると説明したが、モデル生成装置30が、センサ情報から特徴量情報を得る工程を担当してもよい。
【0087】
図9は、モデル生成装置30の他の構成例を示す図である。モデル生成装置30は、
図9に示すように、取得部300、モデル生成部302及び記憶部309に加え、入力データ記憶部305及び特徴量抽出部301を更に備えてもよい。特徴量抽出部301は、予測装置10の特徴量抽出部101と同様、センサ情報から特徴量を抽出する。
【0088】
図10は、入力データセット1110について説明する図である。
図6に示したモデル生成装置30の取得部300は、
図7に示した学習用データセット1100を取得し、記憶部309に記憶するが、
図9に示したモデル生成装置30の取得部300は、
図10に示した入力データセット1110を取得し、入力データ記憶部305に記憶する。
【0089】
入力データセット1110(他の入力データセットも同様)は、複数の学習用サンプル用の情報(学習用サンプル1用の情報~学習用サンプルN用の情報)から構成される。夫々の学習用サンプル用の情報は、夫々の被験者から得られた情報である。例えば、学習用サンプル1用の情報は被験者1から得られた情報であり、学習用サンプル2用の情報は被験者2から得られた情報である。
【0090】
図10に示した入力データセット1110(夫々の学習用サンプル用の情報)は、
図7に示した学習用データセット1100(夫々の学習用サンプル)と、以下の点が異なる。
図7に示した学習用データセット1100は、入力サンプル(符号A)である特徴量情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含むのに対し、
図10に示した入力データセット1110は、入力サンプル(特徴量情報)を得るための情報(符号C)であるセンサ情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含む。
【0091】
図9に示したモデル生成装置30の取得部300は、入力データセット1110を取得する。なお、取得部300は、学習用サンプル1用の情報~学習用サンプルN用の情報を纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部300は、センサ情報と実績情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後にセンサ情報と実績情報とから一の学習用サンプル用の情報を生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル用の情報(つまり一の被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、センサ情報と実績情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0092】
特徴量抽出部301は、入力データセット1110内のセンサ情報から特徴量を抽出し(特徴量抽出部301は、学習用サンプル1用の情報に含まれるセンサ情報1~センサ情報Nに基づいて学習用サンプル1の入力サンプルとなる特徴量情報1~特徴量情報Nを抽出し、学習用サンプル2用の情報に含まれるセンサ情報1~センサ情報Nに基づいて学習用サンプル2の入力サンプルとなる特徴量情報1~特徴量情報Nを抽出し、…、学習用サンプルN用の情報に含まれるセンサ情報1~センサ情報Nに基づいて学習用サンプルNの入力サンプルとなる特徴量情報1~特徴量情報Nを抽出し)、学習用データセット1100を生成する。特徴量抽出部301は、生成した学習用データセット1100を記憶部309に記憶する。以下、
図9に示したモデル生成装置30は、
図6に示したモデル生成装置30と同様、学習用データセット1100を用いて、学習済モデル2100を生成する。
【0093】
(第1実施形態の変形例2)
図11は、他の学習済モデル2120について説明する図である。
図4に示した学習済モデル2100は、特徴量情報を入力して転倒する確率(転倒しない確率)を出力するが、
図11に示したような、センサ情報を入力して転倒する確率(転倒しない確率)を出力する学習済モデル2120を用いてもよい。
【0094】
図12は、他の学習用データセット1120について説明する図である。
図4に示したような学習済モデル2100を用いる場合には、
図7に示したような学習用データセット1100(又は、
図10に示したような入力データセット1110)を用いるが、
図11に示したような学習済モデル2120を用いる場合には、
図12に示したような学習用データセット1120を用いる。
【0095】
図12に示した学習用データセット1120(夫々の学習用サンプル)は、
図7に示した学習用データセット1100(夫々の学習用サンプル)と、以下の点が異なる。
図7に示した学習用データセット1100は、入力サンプル(符号A)である特徴量情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含むのに対し、
図12に示した学習用データセット1120は、入力サンプル(符号A)であるセンサ情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含む。なお、学習済モデル2120や学習用データセット1120を用いる場合、特徴量情報を用いないため言うまでもないが、各装置(予測装置、モデル生成装置)において特徴量に関係する構成は不要である。
【0096】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について、
図13~
図22を参照して説明する。第2実施形態は、
図1において説明した構成1~構成9のうち構成5、構成6に相当する。なお、第2実施形態については、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分については説明の一部又は全部を省略する。
【0097】
(予測装置12)
予測装置12は、学習済モデル2200(後述)を用いて対象者の転倒確率を予測する。また、予測装置12は、少なくとも転倒確率の予測結果を用いて介入要否を判定する。
【0098】
図13は、予測装置12の構成例を示す図である。
図13に示すように、予測装置12は、取得部120と、特徴量抽出部121と、転倒予測部(推定部)122と、介入要否判定部123と、出力部124と、センサ情報記憶部125と、診断情報記憶部126と、特徴量情報記憶部128と、モデル記憶部129と、予測結果記憶部130、判定結果記憶部131とを備える。なお、破線にて示したが、予測装置12は、アンケート情報記憶部127を更に備えてもよい。
【0099】
第2実施形態の予測装置12が備える特徴量抽出部121、出力部124、センサ情報記憶部125、診断情報記憶部126、特徴量情報記憶部128、予測結果記憶部130、判定結果記憶部131は、第1実施形態の予測装置10が備える特徴量抽出部101、出力部104、センサ情報記憶部105、診断情報記憶部106、特徴量情報記憶部108、予測結果記憶部110、判定結果記憶部111と同様である。
【0100】
取得部120は、第1実施形態の予測装置10の取得部100と同様、センサシューズから得られるセンサ情報を取得し、センサ情報記憶部125に記憶する。また、取得部120は、対象者に対する専門家による診断の診断情報を取得し、診断情報記憶部126に記憶する。
【0101】
また、取得部120は、第1実施形態の予測装置10の取得部100と同様、対象者自身が回答したアンケートのアンケート情報を取得し、アンケート情報記憶部127に記憶してもよい。取得部120がアンケート情報を取得しない場合にはアンケート情報記憶部127は存在しなくてもよい。
【0102】
モデル記憶部129は、学習済モデル2200を記憶する。学習済モデル2200は、モデル生成装置32(後述)において生成され、予測装置12に供給される。
【0103】
図14は、学習済モデル2200について説明する図である。学習済モデル2200は、例えば、
図14に示すような、ニューラルネットワークを用いて表されるモデルである。第2実施形態の学習済モデル2200は、
図14に示すように、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、及び、診断情報(診断情報1~診断情報N)を入力層2201に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2203から出力する学習済モデルである。
【0104】
転倒予測部122は、特徴量情報記憶部128に記憶されている特徴量情報と、診断情報記憶部126に記憶されている診断情報と、モデル記憶部129に記憶されている学習済モデル2200と、を用いて対象者が将来の所定期間内に転倒する確率を予測し、予測結果を予測結果記憶部130に記憶する。
【0105】
介入要否判定部123は、予測結果記憶部130に記憶されている予測結果に基づいて、専門家による介入要否を判定する。例えば、介入要否判定部123は、予測結果が所定の閾値(例えば60%)未満である場合、専門家による介入は不要であると判定し、予測結果が所定の閾値以上である場合、専門家による介入は必要であると判定してもよい。介入要否を判定した介入要否判定部123は、判定結果(必要/不要)を判定結果記憶部131に記憶する。
【0106】
また、介入要否判定部123は、予測結果に加え、アンケート情報(アンケート情報記憶部127に記憶されているアンケート情報)に基づいて、専門家による介入要否を判定してもよい。アンケート情報を介入要否の判定に用いる場合、アンケート情報をスコア化してもよい。アンケート情報については、例えば、アンケート情報1~アンケート情報N(アンケートの質問項目の夫々)の回答を例えば重み付けして加算しスコア化してもよい。なお、転倒確率(0~100%)である予測結果と合わせるべく、アンケート情報は、値が小さいほど介入が不要となるようにスコア化する。
【0107】
介入要否判定部123は、予測結果とアンケート情報とに基づいて介入要否を判定する場合、下記式(4)によって算出される介入要否の判定スコアY2ACを算出し、判定スコアY2ACが所定の判定用基準値R2AC未満である場合には介入は不要であると判定し、判定スコアY2ACが所定の判定用基準値R2AC以上である場合には介入は必要であると判定してもよい。なお、X2Aは予測結果の値、XCはアンケート情報のスコア値、h、iは係数である。
【0108】
Y2AC=h×X2A+i×XC … (4)
【0109】
図15は、予測装置12の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図15のフローチャートは、取得部120、特徴量抽出部121、転倒予測部122、介入要否判定部123、出力部124の動作例を示している。
【0110】
予測装置12(取得部120)は、センサ情報、診断情報を取得する(ステップS30)。予測装置12(取得部120)は、センサ情報、診断情報を記憶(センサ情報をセンサ情報記憶部125に記憶、診断情報を診断情報記憶部126に記憶)する。続いて、予測装置12(特徴量抽出部121)は、特徴量を抽出する(ステップS31)。予測装置12(特徴量抽出部121)は、特徴量情報を記憶(特徴量情報記憶部128に記憶)する。続いて、予測装置12(転倒予測部122)は、特徴量情報、診断情報を学習済モデル2200に入力して転倒確率を予測する(ステップS32)。予測装置12(転倒予測部122)は、予測結果を記憶(予測結果記憶部130に記憶)する。続いて、予測装置12(介入要否判定部123)は、専門家による介入要否を判定する(ステップS33)。予測装置12(介入要否判定部123)は、判定結果を記憶(予測結果記憶部130に記憶)する。続いて、予測装置12(出力部124)は、転倒予測部122による予測結果、介入要否判定部123による判定結果を出力する(ステップS34)。そして、本フローチャートは終了する。
【0111】
(モデル生成装置32)
モデル生成装置32は、予測装置12において用いられる学習済モデル2200を生成する。モデル生成装置32は、センサ情報を取得した複数の測定者(被験者)に由来する学習用データセット1200(後述)を用いて学習モデルを訓練し、学習済モデル2200を生成する。
【0112】
図16は、モデル生成装置32の構成例を示す図である。
図16に示すように、モデル生成装置32は、取得部320と、モデル生成部322と、記憶部329とを備える。
【0113】
取得部320は、外部から学習用データセット1200を取得する。学習用データセット1200を取得した取得部320は、学習用データセット1200を記憶部2329に記憶する。
【0114】
図17は、学習用データセット1200について説明する図である。取得部320は、例えば、
図17に示すような学習用データセット1200を取得する。なお、取得部320は、学習用サンプル1~学習用サンプルNを纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部320は、特徴量情報と診断情報と実績情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後に特徴量情報と診断情報と実績情報とから一の学習用サンプルを生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル(つまり被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、特徴量情報と診断情報と実績情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0115】
図17に示した学習用データセット1200(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプル(符号A)として、夫々の被験者から得られた夫々のセンサ情報に基づく夫々の特徴量情報、及び、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報を含む。また、出力サンプル(符号B)として、夫々の被験者の所定期間内(具体的には夫々のセンサ情報の取得日から1年以内)における転倒有無の実績情報(転倒履歴調査情報)を含む。
【0116】
なお、入力サンプルの一部に相当する特徴量情報は、センサ情報から得られるが、センサ情報から特徴量情報を得る工程(抽出する工程)は、モデル生成装置32とは異なる装置(非図示。
図13に示した予測装置12の特徴量抽出部121と同様の特徴量抽出部を備える学習用データセット生成装置)において行われる。つまり、モデル生成装置32とは異なる装置(学習用データセット生成装置)が学習用データセット1200を生成し、モデル生成装置32は、学習用データセット生成装置から学習用データセット1200を取得する。
【0117】
記憶部329は、取得部320が取得した学習用データセット1200(
図17の学習用サンプル1~学習用サンプルN)を記憶する。更に、記憶部329は、学習モデルとパラメータとを記憶する。
【0118】
モデル生成部322は、記憶部329に記憶されている学習用データセット1200を用いて学習モデルを訓練し、学習済モデル2200を生成する。モデル生成部322は、生成した学習済モデル2200を記憶部329に記憶する。
【0119】
具体的には、モデル生成部322は、入力サンプルの夫々(
図17の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の特徴量情報、及び、診断情報)を入力層2201に入力して出力層2203から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々(
図17の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の実績情報)との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2200を生成する。例えば、モデル生成部322は、第1実施形態のモデル生成装置30のモデル生成部302と同様、誤差逆伝播法を用いて、学習済モデル2200を生成してもよい。
【0120】
以上のように、学習済モデル2200は、入力層2201に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、及び、診断情報(診断情報1~診断情報N)を入力したときに出力層2203から出力される夫々の被験者の転倒確率(所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率)が、夫々の被験者の実際の転倒実績(転倒有無の結果)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0121】
図18は、モデル生成装置32の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図18のフローチャートは、モデル生成部322の動作例を示している。なお、
図18のフローチャートの開始時において、記憶部329には、
図17に示したような学習用データセット1200、学習モデル、パラメータが記憶されているものとする。
【0122】
モデル生成装置32(モデル生成部322。以下、同様)は、学習モデルに夫々(各被験者)の入力サンプル(特徴量情報、診断情報)を入力し、学習モデルから夫々の出力値を取得する(ステップS40)。続いて、モデル生成装置32は、夫々の出力値と夫々の出力サンプル(転倒有無)との誤差を算出する(ステップS41)。続いて、モデル生成装置32は、誤差が所定値以内であるか否かを判断する(ステップS42)。誤差が所定値以内でなかった場合(ステップS42:NO)、モデル生成装置32は、各誤差に基づいて各種パラメータを更新し(ステップS43)、ステップS40に戻る。つまり、誤差が所定値以内となる迄、ステップS40~ステップS43を繰り返し実行する。誤差が所定値以内であった場合(ステップS42:YES)、モデル生成装置32は、訓練を終了する(ステップS44)。つまり、モデル生成装置32による学習済モデル2200の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2200とする)。そして、本フローチャートは終了する。
【0123】
(第2実施形態の変形例)
以下、第2実施形態の変形例について説明する。各変形例は、適宜、組み合わせてもよい。
【0124】
(第2実施形態の変形例1)
第2実施形態では、センサ情報から特徴量情報を得る工程は、モデル生成装置32とは異なる装置(学習用データセット生成装置)において行われると説明したが、モデル生成装置32が、センサ情報から特徴量情報を得る工程を担当してもよい。
【0125】
図19は、モデル生成装置32の他の構成例を示す図である。モデル生成装置32は、
図19に示すように、取得部320、モデル生成部322及び記憶部329に加え、入力データ記憶部325及び特徴量抽出部321を更に備えてもよい。特徴量抽出部321は、予測装置12の特徴量抽出部121と同様、センサ情報から特徴量を抽出する。
【0126】
図20は、入力データセット1210について説明する図である。
図16に示したモデル生成装置32の取得部320は、
図17に示したような学習用データセット1200を取得し、記憶部329に記憶するが、
図19に示したモデル生成装置32の取得部320は、
図20に示したような入力データセット1210を取得し、入力データ記憶部325に記憶する。
【0127】
図20に示した入力データセット1210(夫々の学習用サンプル用の情報)は、
図17に示した学習用データセット1200(夫々の学習用サンプル)と、以下の点が異なる。
図17に示した学習用データセット1200は、入力サンプル(符号A)である特徴量情報及び診断情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含むのに対し、
図20に示した入力データセット1210は、入力サンプル(特徴量情報)を得るための情報(符号C)であるセンサ情報と、入力サンプル(符号A)である診断情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含む。
【0128】
図19に示したモデル生成装置32の取得部320は、入力データセット1210を取得する。なお、取得部320は、学習用サンプル1用の情報~学習用サンプルN用の情報を纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部320は、センサ情報と診断情報と実績情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後にセンサ情報と診断情報と実績情報とから一の学習用サンプル用の情報を生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル用の情報(つまり一の被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、センサ情報と診断情報と実績情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0129】
特徴量抽出部321は、入力データセット1210内のセンサ情報から特徴量を抽出し、学習用データセット1200を生成する。特徴量抽出部321は、生成した学習用データセット1200を記憶部329に記憶する。以下、
図19に示したモデル生成装置32は、
図16に示したモデル生成装置32と同様、学習用データセット1200を用いて、学習済モデル2200を生成する。
【0130】
(第2実施形態の変形例2)
図21は、他の学習済モデル2220について説明する図である。
図14に示した学習済モデル2200は、特徴量情報及び診断情報を入力して転倒する確率(転倒しない確率)を出力するが、
図14に示したような、センサ情報及び診断情報を入力して転倒する確率(転倒しない確率)を出力する学習済モデル2220を用いてもよい。
【0131】
図22は、他の学習用データセット1220について説明する図である。
図14に示したような学習済モデル2200を用いる場合には、
図17に示したような学習用データセット1200(又は、
図20に示したような入力データセット1210)を用いるが、
図21に示したような学習済モデル2220を用いる場合には、
図22に示したような学習用データセット1220を用いる。
【0132】
図22に示した学習用データセット1220(夫々の学習用サンプル)は、
図17に示した学習用データセット1200(夫々の学習用サンプル)と、以下の点が異なる。
図17に示した学習用データセット1200は、入力サンプル(符号A)である特徴量情報及び診断情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含むのに対し、
図22に示した学習用データセット1220は、入力サンプル(符号A)であるセンサ情報及び診断情報と、出力サンプル(符号B)である実績情報を含む。なお、学習済モデル2220や学習用データセット1220を用いる場合、特徴量情報を用いないため言うまでもないが、各装置(予測装置、モデル生成装置)において特徴量に関係する構成は不要である。
【0133】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態について、
図23~
図28を参照して説明する。第3実施形態は、
図1において説明した構成1~構成9のうち構成9に相当する。なお、第3実施形態については、第1実施形態や第2実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態や第2実施形態と共通する部分については説明の一部又は全部を省略する。
【0134】
(予測装置14)
予測装置14は、学習済モデル2300(後述)を用いて対象者の転倒確率を予測する。また、予測装置14は、転倒確率の予測結果を用いて介入要否を判定する。
【0135】
図23は、予測装置14の構成例を示す図である。
図23に示すように、予測装置14は、取得部140と、特徴量抽出部141と、転倒予測部(推定部)142と、介入要否判定部143と、出力部144と、センサ情報記憶部145と、診断情報記憶部126と、アンケート情報記憶部147と、特徴量情報記憶部148と、モデル記憶部149と、予測結果記憶部150、判定結果記憶部151とを備える。
【0136】
第3実施形態の予測装置14が備える特徴量抽出部141、出力部144、センサ情報記憶部145、診断情報記憶部146、アンケート情報記憶部147、特徴量情報記憶部148、予測結果記憶部150、判定結果記憶部151は、第1実施形態の予測装置10が備える特徴量抽出部101、出力部104、センサ情報記憶部105、診断情報記憶部106、アンケート情報記憶部107、特徴量情報記憶部108、予測結果記憶部110、判定結果記憶部111と同様である。
【0137】
取得部140は、第1実施形態の予測装置10の取得部100と同様、センサシューズから得られるセンサ情報を取得し、センサ情報記憶部145に記憶する。また、取得部140は、第2実施形態の予測装置12の取得部120と同様、対象者に対する専門家による診断の診断情報を取得し、診断情報記憶部146に記憶する。また、取得部140は、対象者自身が回答したアンケートのアンケート情報を取得し、アンケート情報記憶部147に記憶する。
【0138】
モデル記憶部149は、学習済モデル2300を記憶する。学習済モデル2300は、モデル生成装置34(後述)において生成され、予測装置14に供給される。
【0139】
図24は、学習済モデル2300について説明する図である。学習済モデル2300は、例えば、
図24に示すような、ニューラルネットワークを用いて表されるモデルである。第3実施形態の学習済モデル2300は、
図24に示すように、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、診断情報(診断情報1~診断情報N)、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力層2301に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2303から出力する学習済モデルである。
【0140】
転倒予測部142は、特徴量情報記憶部148に記憶されている特徴量情報と、診断情報記憶部146に記憶されている診断情報と、アンケート情報記憶部147に記憶されている診断情報と、モデル記憶部149に記憶されている学習済モデル2300と、を用いて対象者が将来の所定期間内に転倒する確率を予測し、予測結果を予測結果記憶部150に記憶する。
【0141】
介入要否判定部143は、予測結果記憶部150に記憶されている予測結果に基づいて、専門家による介入要否を判定する。例えば、介入要否判定部143は、予測結果が所定の閾値(例えば60%)未満である場合、専門家による介入は不要であると判定し、予測結果が所定の閾値以上である場合、専門家による介入は必要であると判定してもよい。介入要否を判定した介入要否判定部143は、判定結果(必要/不要)を判定結果記憶部151に記憶する。
【0142】
図25は、予測装置14の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図25のフローチャートは、取得部140、特徴量抽出部141、転倒予測部142、介入要否判定部143、出力部144の動作例を示している。
【0143】
予測装置14(取得部140)は、センサ情報、診断情報、アンケート情報を取得する(ステップS50)。予測装置14(取得部140)は、センサ情報、診断情報、アンケート情報を記憶(センサ情報をセンサ情報記憶部145に記憶、診断情報を診断情報記憶部146に記憶、アンケート情報をアンケート情報記憶部147に記憶)する。続いて、予測装置14(特徴量抽出部141)は、特徴量を抽出する(ステップS51)。予測装置14(特徴量抽出部141)は、特徴量情報を記憶(特徴量情報記憶部148に記憶)する。続いて、予測装置14(転倒予測部142)は、特徴量情報、診断情報、アンケート情報を学習済モデル2300に入力して転倒確率を予測する(ステップS52)。予測装置14(転倒予測部142)は、予測結果を記憶(予測結果記憶部150に記憶)する。続いて、予測装置14(介入要否判定部143)は、専門家による介入要否を判定する(ステップS53)。予測装置14(介入要否判定部143)は、判定結果を記憶(予測結果記憶部150に記憶)する。続いて、予測装置14(出力部144)は、転倒予測部142による予測結果、介入要否判定部143による判定結果を出力する(ステップS54)。そして、本フローチャートは終了する。
【0144】
(モデル生成装置34)
モデル生成装置34は、予測装置14において用いられる学習済モデル2300を生成する。モデル生成装置34は、センサ情報を取得した複数の測定者(被験者)に由来する学習用データセット1300(後述)を用いて学習モデルを訓練し、学習済モデル2300を生成する。
【0145】
図26は、モデル生成装置34の構成例を示す図である。
図26に示すように、モデル生成装置34は、取得部340と、モデル生成部342と、記憶部349とを備える。
【0146】
取得部340は、外部から学習用データセット1300を取得する。学習用データセット1300を取得した取得部340は、学習用データセット1300を記憶部2349に記憶する。
【0147】
図27は、学習用データセット1300について説明する図である。取得部340は、例えば、
図27に示すような学習用データセット1300を取得する。なお、取得部340は、学習用サンプル1~学習用サンプルNを纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部340は、特徴量情報と診断情報とアンケート情報と実績情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後に特徴量情報と診断情報とアンケート情報と実績情報とから一の学習用サンプルを生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル(つまり被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、特徴量情報と診断情報とアンケート情報と実績情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0148】
図27に示した学習用データセット1300(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプル(符号A)として、夫々の被験者から得られた夫々のセンサ情報に基づく夫々の特徴量情報、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報、及び、夫々の被験者から得られたにアンケート情報を含む。また、出力サンプル(符号B)として、夫々の被験者の所定期間内(具体的には夫々のセンサ情報の取得日から1年以内)における転倒有無の実績情報(転倒履歴調査情報)を含む。
【0149】
なお、入力サンプルの一部に相当する特徴量情報は、センサ情報から得られるが、センサ情報から特徴量情報を得る工程(抽出する工程)は、モデル生成装置34とは異なる装置(非図示。
図23に示した予測装置14の特徴量抽出部141と同様の特徴量抽出部を備える学習用データセット生成装置)において行われる。つまり、モデル生成装置34とは異なる装置(学習用データセット生成装置)が学習用データセット1300を生成し、モデル生成装置34は、学習用データセット生成装置から学習用データセット1300を取得する。
【0150】
記憶部349は、取得部340が取得した学習用データセット1300(
図27の学習用サンプル1~学習用サンプルN)を記憶する。更に、記憶部349は、学習モデルとパラメータとを記憶する。
【0151】
モデル生成部342は、記憶部349に記憶されている学習用データセット1300を用いて学習モデルを訓練し、学習済モデル2300を生成する。モデル生成部342は、生成した学習済モデル2300を記憶部349に記憶する。
【0152】
具体的には、モデル生成部342は、入力サンプルの夫々(
図27の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の特徴量情報、診断情報、及び、アンケート情報)を入力層2301に入力して出力層2303から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々(
図27の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の実績情報)との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2300を生成する。例えば、モデル生成部342は、第1実施形態のモデル生成装置30のモデル生成部302と同様、誤差逆伝播法を用いて、学習済モデル2300を生成してもよい。
【0153】
以上のように、学習済モデル2300は、入力層2301に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、診断情報(診断情報1~診断情報N)、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力したときに出力層2303から出力される夫々の被験者の転倒確率(所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率)が、夫々の被験者の実際の転倒実績(転倒有無の結果)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0154】
図28は、モデル生成装置34の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図28のフローチャートは、モデル生成部342の動作例を示している。なお、
図28のフローチャートの開始時において、記憶部349には、
図27に示したような学習用データセット1300、学習モデル、パラメータが記憶されているものとする。
【0155】
モデル生成装置34(モデル生成部342。以下、同様)は、学習モデルに夫々(各被験者)の入力サンプル(特徴量情報、診断情報、アンケート情報)を入力し、学習モデルから夫々の出力値を取得する(ステップS60)。続いて、モデル生成装置34は、夫々の出力値と夫々の出力サンプル(転倒有無)との誤差を算出する(ステップS61)。続いて、モデル生成装置34は、誤差が所定値以内であるか否かを判断する(ステップS62)。誤差が所定値以内でなかった場合(ステップS62:NO)、モデル生成装置34は、各誤差に基づいて各種パラメータを更新し(ステップS63)、ステップS60に戻る。つまり、誤差が所定値以内となる迄、ステップS60~ステップS63を繰り返し実行する。誤差が所定値以内であった場合(ステップS62:YES)、モデル生成装置34は、訓練を終了する(ステップS64)。つまり、モデル生成装置34による学習済モデル2300の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2300とする)。そして、本フローチャートは終了する。
【0156】
第3実施形態についても、第1実施形態、第2実施形態と同様の変形例(変形例1、変形例2)があるが、説明を省略する。
【0157】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、
図1において説明した構成1~構成9のうち構成7、8に相当する。なお、第4実施形態については、第1実施形態~第3実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態~第3実施形態と共通する部分については説明の一部又は全部を省略する。
【0158】
第4実施形態は、第2実施形態における診断情報をアンケート情報に置き換えたものであるため簡単に説明を省略する。つまり、第2実施形態の予測装置(予測装置12)は、特徴量情報と診断情報と学習済モデル(学習済モデル2200)とを用いて対象者が将来の所定期間内に転倒確率を予測し、予測結果(又は、予測結果及びアンケート情報)に基づいて専門家による介入要否を判定するが、第4実施形態の予測装置(予測装置16。非図示)は、特徴量情報とアンケート情報と学習済モデル(学習済モデル2400。非図示)とを用いて対象者が将来の所定期間内に転倒確率を予測し、予測結果(又は、予測結果及び診断情報)に基づいて専門家による介入要否を判定する。
【0159】
第4実施形態の学習済モデル2400(非図示)は、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力層2401に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2403から出力する学習済モデルである。
【0160】
第4実施形態のモデル生成装置(モデル生成装置36。非図示)は、学習用データセット1400(非図示)を用いて学習済モデル2400(非図示)を生成する。学習用データセット1400(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプルとして、夫々の被験者から得られた夫々のセンサ情報に基づく夫々の特徴量情報、及び、夫々の被験者から得られたにアンケート情報を含む。また、出力サンプルとして、夫々の被験者の所定期間内(具体的には夫々のセンサ情報の取得日から1年以内)における転倒有無の実績情報(転倒履歴調査情報)を含む。
【0161】
モデル生成装置36のモデル生成部362(非図示)は、入力サンプルの夫々を入力層2401に入力して出力層2403から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2400を生成する。例えば、モデル生成部362は、第1実施形態のモデル生成装置30のモデル生成部302と同様、誤差逆伝播法を用いて、学習済モデル2400を生成してもよい。
【0162】
以上のように、学習済モデル2400は、入力層2401に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力したときに出力層2403から出力される夫々の被験者の転倒確率(所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率)が、夫々の被験者の実際の転倒実績(転倒有無の結果)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0163】
予測装置16は、予測結果及び診断情報に基づいて専門家による介入要否を判定する場合、下記式(5)によって算出される介入要否の判定スコアY3ABを算出し、判定スコアY3ABが所定の判定用基準値R3AB未満である場合には介入は不要であると判定し、判定スコアY3ABが所定の判定用基準値R3AB以上である場合には介入は必要であると判定してもよい。なお、X3Aは予測結果の値、XBは診断情報のスコア値、j、kは係数である。
【0164】
Y3AB=j×X3A+k×XB … (5)
【0165】
第4実施形態についても、第1実施形態~第3実施形態と同様の変形例(変形例1、変形例2)があるが、説明を省略する。
【0166】
本発明の第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)の概要について、
図29を参照して説明する。
図29は、第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)の概要を説明する概念図である。
【0167】
図29に示すように、第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)に係るシステムは、第1実施形態~第4実施形態に係るシステムと同様、モデル生成フェーズと、予測フェーズとを含む。第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)におけるモデル生成フェーズでは、診断情報を予測(推定)する学習済モデル(後述する第1学習済モデル)や、診断情報(推定した診断情報)から転倒確率を予測する学習済モデル(後述する第2学習済モデル)を生成する。第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)における予測フェーズでは、第1学習済モデルを用いて診断情報を予測(推定)し、推定した診断情報と第2学習済モデルとを用いて転倒確率を予測等する。
【0168】
第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)に係るシステムは、少なくとも歩行をセンシングしたセンサ情報を用いて診断情報を予測(推定)する。また、第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)に係るシステムは、少なくとも推定した診断情報を用いて、センシング後から所定期間(例えば、1年以内)における転倒確率を予測する。更に、第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)に係るシステムは、少なくとも転倒確率の予測結果(0%~100%)を用いて、将来の転倒に対処するための専門家による介入の要否(介入要否)を判定する。
【0169】
診断情報の予測、転倒確率の予測、介入要否の判定において、センサ情報の他に、診断情報やアンケート情報を用いてもよい。つまり、第5実施形態(第6実施形態、第7実施形態も同様)に係るシステムは、下記構成10~構成13のうちの少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0170】
(構成10)センサ情報に基づいて診断情報を推定し、推定した診断情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果に基づいて介入要否を判定する構成
(構成11)センサ情報に基づいて診断情報を推定し、推定した診断情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果とアンケート情報とに基づいて介入要否を判定する構成
(構成12)センサ情報に基づいて診断情報を推定し、推定した診断情報とアンケート情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果に基づいて介入要否を判定する構成
(構成13)センサ情報とアンケート情報とに基づいて診断情報を推定し、推定した診断情報に基づいて転倒確率を予測し、転倒確率の予測結果に基づいて介入要否を判定する構成
【0171】
診断情報の予測には、機械学習や統計的手法を用いる。従って、診断情報の予測に先立って、必要な情報を収集し、第1学習済モデルや統計モデルを作成しておく。一例として、構成10の場合、多数の被験者の、夫々のセンサ情報と、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報とを収集し、センサ情報に基づく特徴量情報(センサ情報でもよい)を入力サンプルとし専門家による実際の診断情報を出力サンプルとして学習した第1学習済モデル、または、センサ情報に基づく特徴量情報(センサ情報でもよい)を説明変数とし専門家による実際の診断情報を目的変数とする統計モデルを作成する。
【0172】
転倒確率の予測には、機械学習や統計的手法を用いる。従って、転倒確率の予測に先立って、必要な情報を収集し、第2学習済モデルや統計モデルを作成しておく。一例として、構成10の場合、多数の被験者の、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報と、夫々の被験者についてセンサ情報を取得した日から所定期間内(1年以内)に実際に転倒したか否かを示した転倒有無情報(転倒履歴情報)とを収集し、専門家による実際の診断情報を入力サンプルとし転倒履歴情報を出力サンプルとして学習した第2学習済モデル、または、専門家による実際の診断情報を説明変数とし転倒履歴情報を目的変数とする統計モデルを作成する。
【0173】
(第5実施形態)
以下、本発明の第5実施形態について、
図30~
図43を参照して説明する。第5実施形態は、
図29において説明した構成10~構成13のうち構成10、構成11に相当する。なお、第5実施形態については、第1実施形態~第4実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態~第4実施形態と共通する部分については説明の一部又は全部を省略する。
【0174】
(予測装置18)
予測装置18は、第1学習済モデル2500(後述)を用いて対象者の診断情報を推定する。また、予測装置18は、第2学習済モデル2600(後述)を用いて対象者の転倒確率を予測する。また、予測装置18は、少なくとも転倒確率の予測結果を用いて介入要否を判定する。
【0175】
図30は、予測装置18の構成例を示す図である。
図30に示すように、予測装置18は、取得部180と、特徴量抽出部181と、診断値推定部(診断値予測部)182と、転倒予測部(推定部)183と、介入要否判定部184と、出力部185と、センサ情報記憶部186と、特徴量情報記憶部188と、第1学習済モデル記憶部189と、推定結果記憶部190と、第2学習済モデル記憶部191と、予測結果記憶部192、判定結果記憶部193とを備える。なお、破線にて示したが、予測装置18は、アンケート情報記憶部187を更に備えてもよい。
【0176】
第5実施形態の予測装置18が備える特徴量抽出部181、出力部185、センサ情報記憶部186、特徴量情報記憶部188、予測結果記憶部192、判定結果記憶部193は、第1実施形態の予測装置10が備える特徴量抽出部101、出力部104、センサ情報記憶部105、特徴量情報記憶部108、予測結果記憶部110、判定結果記憶部111と同様である。
【0177】
取得部180は、第1実施形態の予測装置10の取得部100と同様、センサ情報を取得し、センサ情報記憶部186に記憶する。また、取得部180は、第1実施形態の予測装置10の取得部100と同様、対象者自身が回答したアンケートのアンケート情報を取得し、アンケート情報記憶部187に記憶してもよい。取得部180がアンケート情報を取得しない場合にはアンケート情報記憶部187は存在しなくてもよい。
【0178】
第1学習済モデル記憶部189は、第1学習済モデル2500を記憶する。第1学習済モデル2500は、第1学習済モデル生成装置38(後述)において生成され、予測装置18に供給される。
【0179】
図31は、第1学習済モデル2500について説明する図である。第1学習済モデル2500は、例えば、
図31に示すような、ニューラルネットワークを用いて表されるモデルである。第5実施形態の第1学習済モデル2500は、
図31に示すように、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を入力層2501に入力すれば、当該対象者に対する専門家による診断情報の推定結果を出力層2503から出力する学習済モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第1学習済モデル2500は、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を入力層2501に入力すれば、当該対象者に対する専門家による診断情報の推定結果として、当該対象者のGARS1~GARS7の夫々の推定値を出力層2503から出力する学習済モデルである。
【0180】
診断値推定部182は、特徴量情報記憶部188に記憶されている特徴量情報と、第1学習済モデル記憶部189に記憶されている第1学習済モデル2500と、を用いて対象者の診断情報(例えば、GARS1~GARS7の夫々の値)を推定(予測)し、推定結果(推定診断情報。推定診断値とも称する)を推定結果記憶部190に記憶する。
【0181】
第2学習済モデル記憶部191は、第2学習済モデル2600を記憶する。第2学習済モデル2600は、第2学習済モデル生成装置39(後述)において生成され、予測装置18に供給される。
【0182】
図32は、第2学習済モデル2600について説明する図である。第2学習済モデル2600は、例えば、
図32に示すような、ニューラルネットワークを用いて表されるモデルである。第5実施形態の第2学習済モデル2600は、
図32に示すように、対象者の診断情報の推定結果を入力層2601に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2603から出力する学習済モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第2学習済モデル2600は、対象者のGARS1~GARS7の夫々の推定値を入力層2601に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2603から出力する学習済モデルである。
【0183】
転倒予測部183は、推定結果記憶部190に記憶されている推定結果と、第2学習済モデル記憶部191に記憶されている第2学習済モデル2600と、を用いて対象者が将来の所定期間内に転倒する確率を予測し、予測結果を予測結果記憶部192に記憶する。
【0184】
介入要否判定部184は、予測結果記憶部192に記憶されている予測結果に基づいて、専門家による介入要否を判定する。例えば、介入要否判定部184は、予測結果が所定の閾値(例えば60%)未満である場合、専門家による介入は不要であると判定し、予測結果が所定の閾値以上である場合、専門家による介入は必要であると判定してもよい。介入要否を判定した介入要否判定部184は、判定結果(必要/不要)を判定結果記憶部193に記憶する。
【0185】
また、介入要否判定部184は、第2実施形態の予測装置12(介入要否判定部123)と同様、予測結果に加え、アンケート情報(アンケート情報記憶部187に記憶されているアンケート情報)に基づいて、専門家による介入要否を判定してもよい。
【0186】
図33は、予測装置18の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図33のフローチャートは、取得部180、特徴量抽出部181、診断値推定部182、転倒予測部183、介入要否判定部184、出力部185の動作例を示している。
【0187】
予測装置18(取得部180)は、センサ情報を取得する(ステップS70)。予測装置18(取得部180)は、センサ情報を記憶する。続いて、予測装置18(特徴量抽出部181)は、特徴量を抽出する(ステップS71)。予測装置18(特徴量抽出部181)は、特徴量情報を記憶する。続いて、予測装置18(診断値推定部182)は、特徴量情報を第1学習済モデル2500に入力して診断情報を推定する(ステップS72)。続いて、予測装置18(診断値推定部182)は、推定診断情報を記憶する。予測装置18(転倒予測部183)は、推定診断情報を第2学習済モデル2600に入力して転倒確率を予測する(ステップS73)。予測装置18(転倒予測部183)は、予測結果を記憶する。続いて、予測装置18(介入要否判定部184)は、専門家による介入要否を判定する(ステップS74)。予測装置18(介入要否判定部184)は、判定結果を記憶する。続いて、予測装置18(出力部185)は、転倒予測部183による予測結果、介入要否判定部184による判定結果を出力する(ステップS75)。そして、本フローチャートは終了する。
【0188】
(第1学習済モデル生成装置38)
第1学習済モデル生成装置38は、予測装置18において用いられる第1学習済モデル2500を生成する。第1学習済モデル生成装置38は、センサ情報を取得した複数の測定者(被験者)に由来する学習用データセット1500(後述)を用いて学習モデルを訓練し、第1学習済モデル2500を生成する。
【0189】
図34は、第1学習済モデル生成装置38の構成例を示す図である。
図34に示すように、第1学習済モデル生成装置38は、取得部250と、モデル生成部382と、記憶部389とを備える。
【0190】
取得部380は、外部から学習用データセット1500を取得する。学習用データセット1500を取得した取得部380は、学習用データセット1500を記憶部2389に記憶する。
【0191】
図35は、学習用データセット1500について説明する図である。取得部380は、例えば、
図35に示すような学習用データセット1500を取得する。なお、取得部380は、学習用サンプル1~学習用サンプルNを纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部380は、特徴量情報と診断情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後に特徴量情報と診断情報とから一の学習用サンプルを生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル(つまり被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、特徴量情報と診断情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0192】
図35に示した学習用データセット1500(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプル(符号A)として、夫々の被験者から得られた夫々のセンサ情報に基づく夫々の特徴量情報を含む。また、出力サンプル(符号B)として、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報を含む。
【0193】
なお、入力サンプルの一部に相当する特徴量情報は、センサ情報から得られるが、センサ情報から特徴量情報を得る工程(抽出する工程)は、第1学習済モデル生成装置38とは異なる装置(非図示。
図30に示した予測装置18の特徴量抽出部181と同様の特徴量抽出部を備える学習用データセット生成装置)において行われる。つまり、第1学習済モデル生成装置38とは異なる装置(学習用データセット生成装置)が学習用データセット1500を生成し、第1学習済モデル生成装置38は、学習用データセット生成装置から学習用データセット1500を取得する。
【0194】
記憶部389は、取得部380が取得した学習用データセット1500(
図35の学習用サンプル1~学習用サンプルN)を記憶する。更に、記憶部389は、学習モデルとパラメータとを記憶する。
【0195】
モデル生成部382は、記憶部389に記憶されている学習用データセット1500を用いて学習モデルを訓練し、第1学習済モデル2500を生成する。デル生成部382は、生成した第1学習済モデル2500を記憶部389に記憶する。
【0196】
具体的には、モデル生成部382は、入力サンプルの夫々(
図35の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の特徴量情報)を入力層2501に入力して出力層2503から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々(
図35の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の診断情報)との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2500を生成する。例えば、モデル生成部382は、第1実施形態のモデル生成装置30のモデル生成部302と同様、誤差逆伝播法を用いて、第1学習済モデル2500を生成してもよい。
【0197】
以上のように、第1学習済モデル2500は、入力層2501に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を入力したときに出力層2503から出力される夫々の被験者の診断情報(診断情報1~診断情報N)の推定値(予測値)が、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報(診断情報1~診断情報N)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第1学習済モデル2500は、入力層2501に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)を入力したときに出力層2503から出力される夫々の被験者のGARS1~GARS7の推定値(具体的には、GARS1~GARS7の夫々について、値が0である確率、値が1である確率、値が2である確率、値が3である確率)が、夫々の被験者に対する専門家による実際のGARS1~GARS7の値と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0198】
図36は、第1学習済モデル生成装置38の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図36のフローチャートは、モデル生成部382の動作例を示している。なお、
図36のフローチャートの開始時において、記憶部389には、
図35に示したような学習用データセット1500、学習モデル、パラメータが記憶されているものとする。
【0199】
第1学習済モデル生成装置38(モデル生成部382。以下、同様)は、学習モデルに夫々(各被験者)の入力サンプル(特徴量情報)を入力し、学習モデルから夫々の出力値(推定診断値)を取得する(ステップS80)。続いて、第1学習済モデル生成装置38は、夫々の出力値(推定診断値)と夫々の出力サンプルとの誤差を算出する(ステップS81)。続いて、第1学習済モデル生成装置38は、誤差が所定値以内であるか否かを判断する(ステップS82)。誤差が所定値以内でなかった場合(ステップS82:NO)、第1学習済モデル生成装置38は、各誤差に基づいて各種パラメータを更新し(ステップS83)、ステップS80に戻る。つまり、誤差が所定値以内となる迄、ステップS80~ステップS83を繰り返し実行する。誤差が所定値以内であった場合(ステップS82:YES)、第1学習済モデル生成装置38は、訓練を終了する(ステップS84)。つまり、第1学習済モデル生成装置38による第1学習済モデル2500の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2500とする)。そして、本フローチャートは終了する。
【0200】
(第5実施形態の変形例)
以下、第5実施形態の変形例について説明する。各変形例は、適宜、組み合わせてもよい。
【0201】
(第5実施形態の変形例1)
第5実施形態では、センサ情報から特徴量情報を得る工程は、第1学習済モデル生成装置38とは異なる装置(学習用データセット生成装置)において行われると説明したが、第1学習済モデル生成装置38が、センサ情報から特徴量情報を得る工程を担当してもよい。
【0202】
図37は、第1学習済モデル生成装置38の他の構成例を示す図である。第1学習済モデル生成装置38は、
図37に示すように、取得部380、モデル生成部382及び記憶部389に加え、入力データ記憶部385及び特徴量抽出部381を更に備えてもよい。特徴量抽出部381は、予測装置18の特徴量抽出部181と同様、センサ情報から特徴量を抽出する。
【0203】
図38は、入力データセット1510について説明する図である。
図34に示した第1学習済モデル生成装置38の取得部380は、
図35に示したような学習用データセット1500を取得し、記憶部389に記憶するが、
図38に示した第1学習済モデル生成装置38の取得部380は、
図38に示したような入力データセット1510を取得し、入力データ記憶部385に記憶する。
【0204】
図38に示した入力データセット1510(夫々の学習用サンプル用の情報)は、
図35に示した学習用データセット1500(夫々の学習用サンプル)と、以下の点が異なる。
図35に示した学習用データセット1500は、入力サンプル(符号A)である特徴量情報と、出力サンプル(符号B)である診断情報を含むのに対し、
図38に示した入力データセット1510は、入力サンプル(特徴量情報)を得るための情報(符号C)であるセンサ情報と、出力サンプル(符号B)である診断情報を含む。
【0205】
図37に示した第1学習済モデル生成装置38の取得部380は、入力データセット1510を取得する。なお、取得部380は、学習用サンプル1用の情報~学習用サンプルN用の情報を纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部380は、センサ情報と診断情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後にセンサ情報と診断情報とから一の学習用サンプル用の情報を生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル用の情報(つまり一の被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、センサ情報と診断情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0206】
特徴量抽出部281は、入力データセット1510内のセンサ情報から特徴量を抽出し、学習用データセット1500を生成する。以下、
図37に示した第1学習済モデル生成装置38は、
図34に示した第1学習済モデル生成装置38と同様、第1学習済モデル2500を生成する。
【0207】
(第5実施形態の変形例2)
図39は、他の第1学習済モデル2520について説明する図である。
図31に示した第1学習済モデル2500は、特徴量情報を入力して診断情報を推定するが、
図39に示したような、センサ情報を入力して診断情報を推定する学習済モデル2520を用いてもよい。
【0208】
図40は、他の学習用データセット1520について説明する図である。
図31に示したような第1学習済モデル2500を用いる場合には、
図35に示したような学習用データセット1500(又は、
図37に示したような入力データセット1510)を用いるが、
図39に示したような第1学習済モデル2520を用いる場合には、
図40に示したような学習用データセット1520を用いる。
【0209】
図40に示した学習用データセット1520(夫々の学習用サンプル)は、
図35に示した学習用データセット1500(夫々の学習用サンプル)と、以下の点が異なる。
図35に示した学習用データセット1500は、入力サンプル(符号A)である特徴量情報と、出力サンプル(符号B)である診断情報を含むのに対し、
図40に示した学習用データセット1520は、入力サンプル(符号A)であるセンサ情報と、出力サンプル(符号B)である診断情報とを含む。なお、第1学習済モデル2520や学習用データセット1520を用いる場合、特徴量情報を用いないため言うまでもないが、各装置(予測装置、モデル生成装置)において特徴量に関係する構成は不要である。
【0210】
(第2学習済モデル生成装置39)
第2学習済モデル生成装置39は、予測装置18において用いられる第2学習済モデル2600を生成する。第2学習済モデル生成装置39は、被験者に由来する学習用データセット1600(後述)を用いて学習モデルを訓練し、第2学習済モデル2600を生成する。なお、上記被験者は、センサ情報を取得した者(測定者)であってもよいし、センサ情報を取得していない者であってもよい。
【0211】
図41は、第2学習済モデル生成装置39の構成例を示す図である。
図41に示すように、第2学習済モデル生成装置39は、取得部390と、モデル生成部392と、記憶部399とを備える。
【0212】
取得部390は、外部から学習用データセット1600を取得する。学習用データセット1600を取得した取得部390は、学習用データセット1600を記憶部399に記憶する。
【0213】
図42は、学習用データセット1600について説明する図である。取得部390は、例えば、
図42に示すような学習用データセット1600を取得する。なお、取得部390は、学習用サンプル1~学習用サンプルNを纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部390は、診断情報と実績情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後に診断情報と実績情報とから一の学習用サンプルを生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル(つまり被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、診断情報と実績情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0214】
図42に示した学習用データセット1600(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプル(符号A)として、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報を含む。また、出力サンプル(符号B)として、夫々の被験者の所定期間内(具体的には夫々のセンサ情報の取得日から1年以内)における転倒有無の実績情報(転倒履歴調査情報)を含む。
【0215】
記憶部399は、取得部390が取得した学習用データセット1600(
図42の学習用サンプル1~学習用サンプルN)を記憶する。更に、記憶部399は、学習モデルとパラメータとを記憶する。
【0216】
モデル生成部392は、記憶部399に記憶されている学習用データセット1600を用いて学習モデルを訓練し、第2学習済モデル2600を生成する。モデル生成部392は、生成した第2学習済モデル2600を記憶部399に記憶する。
【0217】
具体的には、モデル生成部392は、入力サンプルの夫々(
図42の学習用サンプル1~学習用サンプルNの診断情報)を入力層2601に入力して出力層2603から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々(
図42の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の実績情報)との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2600を生成する。例えば、モデル生成部392は、第1実施形態のモデル生成装置30のモデル生成部302と同様、誤差逆伝播法を用いて、学習済モデル2600を生成してもよい。
【0218】
以上のように、第2学習済モデル2600は、入力層2601に夫々の被験者の診断情報(診断情報1~診断情報N)を入力したときに出力層2603から出力される夫々の被験者の転倒確率(所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率)が、夫々の被験者の実際の転倒実績(転倒有無の結果)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第2学習済モデル2600は、入力層2601に夫々の被験者に対する専門家による実際のGARS1~GARS7の診断値を入力したときに出力層2603から出力される夫々の被験者の転倒確率が、夫々の被験者の実際の転倒実績と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0219】
図43は、第2学習済モデル生成装置39の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図43のフローチャートは、モデル生成部392の動作例を示している。なお、
図43のフローチャートの開始時において、記憶部399には、
図42に示したような学習用データセット1600、学習モデル、パラメータが記憶されているものとする。
【0220】
第2学習済モデル生成装置39(モデル生成部392。以下、同様)は、学習モデルに夫々(各被験者)の入力サンプル(診断情報)を入力し、学習モデルから夫々の出力値を取得する(ステップS90)。続いて、第2学習済モデル生成装置39は、夫々の出力値と夫々の出力サンプル(転倒有無)との誤差を算出する(ステップS91)。続いて、第2学習済モデル生成装置39は、誤差が所定値以内であるか否かを判断する(ステップS92)。誤差が所定値以内でなかった場合(ステップS92:NO)、第2学習済モデル生成装置39は、各誤差に基づいて各種パラメータを更新し(ステップS93)、ステップS90に戻る。つまり、誤差が所定値以内となる迄、ステップS90~ステップS93を繰り返し実行する。誤差が所定値以内であった場合(ステップS92:YES)、第2学習済モデル生成装置39は、訓練を終了する(ステップS94)。つまり、第2学習済モデル生成装置39による第2学習済モデル2600の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2600とする)。そして、本フローチャートは終了する。
【0221】
(第6実施形態)
続いて、本発明の第6実施形態について、
図44~
図49を参照して説明する。第6実施形態は、
図29において説明した構成10~構成13のうち構成12に相当する。なお、第6実施形態については、第5実施形態と異なる部分を中心に説明し、第5実施形態と共通する部分については説明の一部又は全部を省略する。
【0222】
(予測装置20)
予測装置20は、第1学習済モデル2500(
図31)を用いて対象者の診断情報を推定する。また、予測装置20は、第2学習済モデル2800(後述)を用いて対象者の転倒確率を予測する。また、予測装置20は、転倒確率の予測結果を用いて介入要否を判定する。
【0223】
図44は、予測装置20の構成例を示す図である。
図44に示すように、予測装置20は、取得部200と、特徴量抽出部201と、診断値推定部(診断値予測部)202と、転倒予測部(推定部)203と、介入要否判定部204と、出力部205と、センサ情報記憶部206と、アンケート情報記憶部207と、特徴量情報記憶部208と、第1学習済モデル記憶部209と、推定結果記憶部210と、第2学習済モデル記憶部211と、予測結果記憶部212、判定結果記憶部213とを備える。
【0224】
第6実施形態の予測装置20が備える特徴量抽出部201、診断値推定部202、出力部205、センサ情報記憶部206、アンケート情報記憶部207、特徴量情報記憶部208、第1学習済モデル記憶部209、推定結果記憶部210、予測結果記憶部212、判定結果記憶部213は、第5実施形態の予測装置18が備える特徴量抽出部181、診断値推定部182、出力部185、センサ情報記憶部186、アンケート情報記憶部187、特徴量情報記憶部188、第1学習済モデル記憶部189、推定結果記憶部190、予測結果記憶部192、判定結果記憶部193と同様である。
【0225】
取得部200は、第5実施形態の予測装置18の取得部180と同様、センサ情報を取得し、センサ情報記憶部206に記憶する。また、取得部200は、対象者自身が回答したアンケートのアンケート情報を取得し、アンケート情報記憶部207に記憶する。
【0226】
第2学習済モデル記憶部211は、第2学習済モデル2800を記憶する。第2学習済モデル2800は、第2学習済モデル生成装置41(後述)において生成され、予測装置20に供給される。
【0227】
図45は、第2学習済モデル2800について説明する図である。第2学習済モデル2800は、例えば、
図45に示すような、ニューラルネットワークを用いて表されるモデルである。第6実施形態の第2学習済モデル2800は、
図45に示すように、対象者の診断情報の推定結果、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力層2801に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2803から出力する学習済モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第2学習済モデル2800は、対象者のGARS1~GARS7の夫々の推定値、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力層2801に入力すれば、当該対象者が所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率を出力層2803から出力する学習済モデルである。
【0228】
転倒予測部203は、推定結果記憶部210に記憶されている推定結果と、アンケート情報記憶部207に記憶されているアンケート情報と、第2学習済モデル記憶部211に記憶されている第2学習済モデル2800と、を用いて対象者が将来の所定期間内に転倒する確率を予測し、予測結果を予測結果記憶部212に記憶する。
【0229】
介入要否判定部204は、予測結果記憶部212に記憶されている予測結果に基づいて、専門家による介入要否を判定する。例えば、介入要否判定部204は、予測結果が所定の閾値(例えば60%)未満である場合、専門家による介入は不要であると判定し、予測結果が所定の閾値以上である場合、専門家による介入は必要であると判定してもよい。介入要否を判定した介入要否判定部204は、判定結果(必要/不要)を判定結果記憶部213に記憶する。
【0230】
図46は、予測装置20の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図46のフローチャートは、取得部200、特徴量抽出部201、診断値推定部202、転倒予測部203、介入要否判定部204、出力部205の動作例を示している。
【0231】
予測装置20(取得部200)は、センサ情報、アンケート情報を取得する(ステップS100)。予測装置14(取得部200)は、センサ情報、アンケート情報を記憶する。続いて、予測装置20(特徴量抽出部201)は、特徴量を抽出する(ステップS101)。予測装置20(特徴量抽出部201)は、特徴量情報を記憶する。続いて、予測装置20(診断値推定部202)は、特徴量情報を第1学習済モデル2500に入力して診断情報を推定する(ステップS102)。続いて、予測装置20(診断値推定部202)は、推定診断情報を記憶する。予測装置20(転倒予測部203)は、推定診断情報とアンケート情報とを第2学習済モデル2800に入力して転倒確率を予測する(ステップS103)。予測装置20(転倒予測部203)は、予測結果を記憶する。続いて、予測装置20(介入要否判定部204)は、専門家による介入要否を判定する(ステップS104)。予測装置20(介入要否判定部204)は、判定結果を記憶する。続いて、予測装置20(出力部205)は、転倒予測部203による予測結果、介入要否判定部204による判定結果を出力する(ステップS105)。そして、本フローチャートは終了する。
【0232】
(第2学習済モデル生成装置41)
第2学習済モデル生成装置41は、予測装置20において用いられる第2学習済モデル2800を生成する。第2学習済モデル生成装置41は、被験者に由来する学習用データセット1800(後述)を用いて学習モデルを訓練し、第2学習済モデル2800を生成する。なお、上記被験者は、センサ情報を取得した者(測定者)であってもよいし、センサ情報を取得していない者であってもよい。
【0233】
図47は、第2学習済モデル生成装置41の構成例を示す図である。
図47に示すように、第2学習済モデル生成装置41は、取得部410と、モデル生成部412と、記憶部419とを備える。
【0234】
取得部410は、外部から学習用データセット1800を取得する。学習用データセット1800を取得した取得部410は、学習用データセット1800を記憶部419に記憶する。
【0235】
図48は、学習用データセット1800について説明する図である。取得部410は、例えば、
図48に示すような学習用データセット1800を取得する。なお、取得部410は、学習用サンプル1~学習用サンプルNを纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部410は、診断情報とアンケート情報と実績情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後に診断情報とアンケート情報と実績情報とから一の学習用サンプルを生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル(つまり被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、診断情報とアンケート情報と実績情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0236】
図48に示した学習用データセット1800(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプル(符号A)として、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報、及び、アンケート情報を含む。また、出力サンプル(符号B)として、夫々の被験者の所定期間内(具体的には夫々のセンサ情報の取得日から1年以内)における転倒有無の実績情報(転倒履歴調査情報)を含む。
【0237】
記憶部419は、取得部410が取得した学習用データセット1800(
図48の学習用サンプル1~学習用サンプルN)を記憶する。更に、記憶部419は、学習モデルとパラメータとを記憶する。
【0238】
モデル生成部412は、記憶部419に記憶されている学習用データセット1800を用いて学習モデルを訓練し、学習済モデル2800を生成する。モデル生成部412は、生成した学習済モデル2800を記憶部419に記憶する。
【0239】
具体的には、モデル生成部412は、入力サンプルの夫々(
図48の学習用サンプル1~学習用サンプルNの診断情報、及び、アンケート情報)を入力層2801に入力して出力層2803から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々(
図48の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の実績情報)との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2800を生成する。例えば、モデル生成部412は、第1実施形態のモデル生成装置30のモデル生成部302と同様、誤差逆伝播法を用いて、学習済モデル2800を生成してもよい。
【0240】
以上のように、第2学習済モデル2800は、入力層2801に夫々の被験者の診断情報(診断情報1~診断情報N)、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力したときに出力層2803から出力される夫々の被験者の転倒確率(所定期間内に転倒する確率、所定期間内に転倒しない確率)が、夫々の被験者の実際の転倒実績(転倒有無の結果)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第2学習済モデル2800は、入力層2801に夫々の被験者に対する専門家による実際のGARS1~GARS7の診断値、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力したときに出力層2803から出力される夫々の被験者の転倒確率が、夫々の被験者の実際の転倒実績と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0241】
図49は、第2学習済モデル生成装置41の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図49のフローチャートは、モデル生成部412の動作例を示している。なお、
図49のフローチャートの開始時において、記憶部419には、
図48に示したような学習用データセット1800、学習モデル、パラメータが記憶されているものとする。
【0242】
第2学習済モデル生成装置41(モデル生成部412。以下、同様)は、学習モデルに夫々(各被験者)の入力サンプル(診断情報、アンケート情報)を入力し、学習モデルから夫々の出力値(推定診断値)を取得する(ステップS110)。続いて、第2学習済モデル生成装置41は、夫々の出力値(推定診断値)と夫々の出力サンプル(転倒有無)との誤差を算出する(ステップS111)。続いて、第2学習済モデル生成装置41は、誤差が所定値以内であるか否かを判断する(ステップS112)。誤差が所定値以内でなかった場合(ステップS112:NO)、第2学習済モデル生成装置41は、各誤差に基づいて各種パラメータを更新し(ステップS113)、ステップS110に戻る。つまり、誤差が所定値以内となる迄、ステップS110~ステップS113を繰り返し実行する。誤差が所定値以内であった場合(ステップS112:YES)、第2学習済モデル生成装置41は、訓練を終了する(ステップS114)。つまり、第2学習済モデル生成装置41による第2学習済モデル2800の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2800とする)。そして、本フローチャートは終了する。
【0243】
第6実施形態についても、第5実施形態と同様の変形例(変形例1、変形例2)があるが、説明を省略する。
【0244】
(第7実施形態)
続いて、本発明の第7実施形態について、
図50~
図55を参照して説明する。第7実施形態は、
図29において説明した構成10~構成13のうち構成13に相当する。なお、第7実施形態については、第5実施形態と異なる部分を中心に説明し、第5実施形態と共通する部分については説明の一部又は全部を省略する。
【0245】
(予測装置22)
予測装置22は、第1学習済モデル2900(後述)を用いて対象者の診断情報を推定する。また、予測装置22は、第2学習済モデル2600(
図32)を用いて対象者の転倒確率を予測する。また、予測装置22は、転倒確率の予測結果を用いて介入要否を判定する。
【0246】
図50は、予測装置22の構成例を示す図である。
図50に示すように、予測装置22は、取得部220と、特徴量抽出部221と、診断値推定部(診断値予測部)222と、転倒予測部(推定部)223と、介入要否判定部224と、出力部225と、センサ情報記憶部226と、アンケート情報記憶部227と、特徴量情報記憶部228と、第1学習済モデル記憶部229と、推定結果記憶部230と、第2学習済モデル記憶部231と、予測結果記憶部232、判定結果記憶部233とを備える。
【0247】
第7実施形態の予測装置22が備える特徴量抽出部221、転倒予測部223、出力部225、センサ情報記憶部226、アンケート情報記憶部227、特徴量情報記憶部228、推定結果記憶部230、第2学習済モデル記憶部231、予測結果記憶部232、判定結果記憶部233は、第5実施形態の予測装置18が備える特徴量抽出部181、転倒予測部183、出力部185、センサ情報記憶部186、アンケート情報記憶部187、特徴量情報記憶部188、推定結果記憶部190、第2学習済モデル記憶部191、予測結果記憶部192、判定結果記憶部193と同様である。
【0248】
取得部220は、第5実施形態の予測装置18の取得部180と同様、センサシューズから得られるセンサ情報を取得し、センサ情報記憶部226に記憶する。また、取得部220は、対象者自身が回答したアンケートのアンケート情報を取得し、アンケート情報記憶部227に記憶する。
【0249】
第1学習済モデル記憶部229は、第1学習済モデル2900を記憶する。第1学習済モデル2900は、第1学習済モデル生成装置42(後述)において生成され、予測装置22に供給される。
【0250】
図51は、第1学習済モデル2900について説明する図である。第1学習済モデル2900は、例えば、
図51に示すような、ニューラルネットワークを用いて表されるモデルである。第7実施形態の第1学習済モデル2900は、
図51に示すように、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力層2901に入力すれば、当該対象者に対する専門家による診断情報の推定結果を出力層2903から出力する学習済モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第1学習済モデル2900は、対象者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力層2901に入力すれば、当該対象者に対する専門家による診断情報の推定結果として、当該対象者のGARS1~GARS7の夫々の推定値を出力層2903から出力する学習済モデルである。
【0251】
診断値推定部222は、特徴量情報記憶部228に記憶されている特徴量情報と、第1学習済モデル記憶部229に記憶されている第1学習済モデル2900と、を用いて対象者の診断情報(例えば、GARS1~GARS7の夫々の値)を推定(予測)し、推定結果を推定結果記憶部230に記憶する。
【0252】
介入要否判定部224は、予測結果記憶部232に記憶されている予測結果に基づいて、専門家による介入要否を判定する。例えば、介入要否判定部224は、予測結果が所定の閾値(例えば60%)未満である場合、専門家による介入は不要であると判定し、予測結果が所定の閾値以上である場合、専門家による介入は必要であると判定してもよい。介入要否を判定した介入要否判定部224は、判定結果(必要/不要)を判定結果記憶部233に記憶する。
【0253】
図52は、予測装置22の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図52のフローチャートは、取得部220、特徴量抽出部221、診断値推定部222、転倒予測部223、介入要否判定部224、出力部225の動作例を示している。
【0254】
予測装置22(取得部220)は、センサ情報、アンケート情報を取得する(ステップS120)。予測装置22(取得部220)は、センサ情報、アンケート情報を記憶する。続いて、予測装置22(特徴量抽出部221)は、特徴量を抽出する(ステップS121)。予測装置22(特徴量抽出部221)は、特徴量情報を記憶する。続いて、予測装置22(診断値推定部222)は、特徴量情報、アンケート情報を第1学習済モデル2900に入力して診断情報を推定する(ステップS122)。続いて、予測装置22(診断値推定部222)は、推定診断情報を記憶する。予測装置22(転倒予測部223)は、推定診断情報を第2学習済モデル2600に入力して転倒確率を予測する(ステップS123)。予測装置22(転倒予測部223)は、予測結果を記憶する。続いて、予測装置22(介入要否判定部224)は、専門家による介入要否を判定する(ステップS124)。予測装置22(介入要否判定部224)は、判定結果を記憶する。続いて、予測装置22(出力部225)は、転倒予測部223による予測結果、介入要否判定部224による判定結果を出力する(ステップS125)。そして、本フローチャートは終了する。
【0255】
(第1学習済モデル生成装置42)
第1学習済モデル生成装置42は、予測装置22において用いられる第1学習済モデル2900を生成する。第1学習済モデル生成装置42は、センサ情報を取得した複数の測定者(被験者)に由来する学習用データセット1900(後述)を用いて学習モデルを訓練し、第1学習済モデル2900を生成する。
【0256】
図53は、第1学習済モデル生成装置42の構成例を示す図である。
図53に示すように、第1学習済モデル生成装置42は、取得部420と、モデル生成部422と、記憶部429とを備える。
【0257】
取得部420は、外部から学習用データセット1900を取得する。学習用データセット1900を取得した取得部420は、学習用データセット1900を記憶部429に記憶する。
【0258】
図54は、学習用データセット1900について説明する図である。取得部420は、例えば、
図54に示したような学習用データセット1900を取得する。なお、取得部420は、学習用サンプル1~学習用サンプルNを纏めて取得してもよいし、個別に取得してもよい。また、取得部420は、特徴量情報とアンケート情報と診断情報とを個別に取得してもよい。この場合、取得後に特徴量情報とアンケート情報と診断情報とから一の学習用サンプルを生成できるように(つまり、同一の学習用サンプル(つまり被験者の情報)を構成するものであることがわかるように)、例えば、特徴量情報とアンケート情報と診断情報の夫々に共通の識別情報(被験者番号等)を付加しておいてもよい。
【0259】
図54に示した学習用データセット1500(夫々の学習用サンプル)は、入力サンプル(符号A)として、夫々の被験者から得られた夫々のセンサ情報に基づく夫々の特徴量情報、及び、夫々の被験者から得られたにアンケート情報を含む。また、出力サンプル(符号B)として、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報を含む。
【0260】
なお、入力サンプルの一部に相当する特徴量情報は、センサ情報から得られるが、センサ情報から特徴量情報を得る工程(抽出する工程)は、第1学習済モデル生成装置42とは異なる装置(非図示。
図50に示した予測装置22の特徴量抽出部221と同様の特徴量抽出部を備える学習用データセット生成装置)において行われる。つまり、第1学習済モデル生成装置42とは異なる装置(学習用データセット生成装置)が学習用データセット1900を生成し、第1学習済モデル生成装置42は、学習用データセット生成装置から学習用データセット1900を取得する。
【0261】
記憶部429は、取得部420が取得した学習用データセット1900(
図54の学習用サンプル1~学習用サンプルN)を記憶する。更に、記憶部429は、学習モデルとパラメータとを記憶する。
【0262】
モデル生成部422は、記憶部429に記憶されている学習用データセット1900を用いて学習モデルを訓練し、第1学習済モデル2900を生成する。モデル生成部422は、生成した第1学習済モデル2900を記憶部429に記憶する。
【0263】
具体的には、モデル生成部422は、入力サンプルの夫々(
図54の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の特徴量情報、及び、アンケート情報)を入力層2901に入力して出力層2903から得られる夫々の出力値と、出力サンプルの夫々(
図54の学習用サンプル1~学習用サンプルNの夫々の診断情報)との差が少なくなるように、学習モデルのパラメータを更新し、学習済モデル2900を生成する。例えば、モデル生成部422は、第1実施形態のモデル生成装置30のモデル生成部302と同様、誤差逆伝播法を用いて、第1学習済モデル2900を生成してもよい。
【0264】
以上のように、第1学習済モデル2900は、入力層2901に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力したときに出力層2903から出力される夫々の被験者の診断情報(診断情報1~診断情報N)の推定値(予測値)が、夫々の被験者に対する専門家による実際の診断情報(診断情報1~診断情報N)と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。例えば、診断情報としてGARS1~GARS7を用いる場合、第1学習済モデル2900は、入力層2901に夫々の被験者の特徴量情報(特徴量情報1~特徴量情報N)、及び、アンケート情報(アンケート情報1~アンケート情報N)を入力したときに出力層2903から出力される夫々の被験者のGARS1~GARS7の推定値(具体的には、GARS1~GARS7の夫々について、値が0である確率、値が1である確率、値が2である確率、値が3である確率)が、夫々の被験者に対する専門家による実際のGARS1~GARS7の値と合致(なるべく合致)するように訓練され、生成された学習モデルである。
【0265】
図55は、第1学習済モデル生成装置42の動作例を示すフローチャートである。具体的には、
図55のフローチャートは、モデル生成部422の動作例を示している。なお、
図55のフローチャートの開始時において、記憶部429には、
図54に示したような学習用データセット1900、学習モデル、パラメータが記憶されているものとする。
【0266】
第1学習済モデル生成装置42(モデル生成部422。以下、同様)は、学習モデルに夫々(各被験者)の入力サンプル(特徴量情報、アンケート情報)を入力し、学習モデルから夫々の出力値(推定診断値)を取得する(ステップS130)。続いて、第1学習済モデル生成装置42は、夫々の出力値(推定診断値)と夫々の出力サンプルとの誤差を算出する(ステップS131)。続いて、第1学習済モデル生成装置42は、誤差が所定値以内であるか否かを判断する(ステップS132)。誤差が所定値以内でなかった場合(ステップS132:NO)、第1学習済モデル生成装置42は、各誤差に基づいて各種パラメータを更新し(ステップS133)、ステップS130に戻る。つまり、誤差が所定値以内となる迄、ステップS130~ステップS133を繰り返し実行する。誤差が所定値以内であった場合(ステップS132:YES)、第1学習済モデル生成装置42は、訓練を終了する(ステップS134)。つまり、第1学習済モデル生成装置42による第1学習済モデル2900の生成は完了する(当該各種パラメータを学習済パラメータとした学習モデルを学習済モデル2900とする)。そして、本フローチャートは終了する。
【0267】
第7実施形態についても、第5実施形態と同様の変形例(変形例1、変形例2)があるが、説明を省略する。
【0268】
(転倒確率の予測に係る他の方法)
上記実施形態(第1実施形態~第7実施形態)では、機械学習としてニューラルネットワークを用いて転倒確率を予測する例を説明したが、機械学習の手法のニューラルネットワークに限定されない。例えば、サポートベクタマシン(線形カーネル,非線形カーネル)、ランダムフォレスト、勾配ブースティングを用いてもよいし、それらを組み合わせた多数決モデル(スタッキング)を用いてもよい。
【0269】
また、統計モデル(統計分析、数式)を用いて転倒確率を予測してもよい。例えば、ロジスティック回帰分析によって転倒確率を予測してもよい。例えば、第1実施形態の場合、特徴量情報を説明変数とし、転倒有無を目的変数とするロジスティック関数を作成(推定)すればよい。第2実施形態の場合、特徴量情報及び診断情報を説明変数とし、転倒有無を目的変数とするロジスティック関数を作成すればよい。第3実施形態の場合、特徴量情報、診断情報、アンケート情報を説明変数とし、転倒有無を目的変数とするロジスティック関数を作成すればよい。他の実施形態についても同様である。統計モデルは、モデル記憶部(モデル記憶部109、129、149等)に記憶してもよい。
【0270】
複数の説明変数の候補のうち何れを用いるかは、AIC(赤池情報量規準)に従って決定(AIC最小となる組み合わせを選択)してもよい。つまり、第1実施形態では、特徴量情報1~特徴量情報Nのうち何れを用いるかをAICに従って決定し、第2実施形態では、特徴量情報1~特徴量情報N及び診断情報1~診断情報Nのうち何れを用いるかをAICに従って決定し、第3実施形態では、特徴量情報1~特徴量情報N、診断情報1~診断情報N及びアンケート情報1~アンケート情報Nのうち何れを用いるかをAICに従って決定してもよい。他の実施形態についても同様である。統計モデルは、モデル記憶部(モデル記憶部109、129、149等)に記憶してもよい。
【0271】
また、各実施形態において、説明変数として特徴量情報に代えてセンサ情報を用いてもよい。つまり、第1実施形態では、センサ情報を説明変数とし、転倒有無を目的変数とするロジスティック関数を作成してもよい。第2実施形態では、センサ情報及び診断情報を説明変数とし、転倒有無を目的変数とするロジスティック関数を作成してもよい。第3実施形態では、センサ情報、診断情報、アンケート情報を説明変数とし、転倒有無を目的変数とするロジスティック関数を作成してもよい。他の実施形態についても同様である。
【0272】
図56は、モデルの評価(使用パラメータ別の評価)について説明する説明図である。
図56の上段は、1実施形態(特徴量情報に基づいて転倒確率を予測するケース)、第2実施形態(特徴量情報+診断情報に基づいて転倒確率を予測するケース)、第3実施形態(特徴量情報+診断情報+アンケートに基づいて転倒確率を予測するケース)の夫々において、特徴量情報として、加速度センサのみに基づく特徴量情報を用いた場合、全センサ(加速度センサ、圧力センサ、曲げセンサ)に基づく特徴量情報を用いた場合のAICの値を示している。
【0273】
図56の下段左側のグラフは、第1実施形態における予測値と観測値(実際の結果)とをプロットしたものである。
図56の下段中央のグラフは、第2実施形態における予測値と観測値とをプロットしたものである。
図56の下段右側のグラフは、第3実施形態における予測値と観測値とをプロットしたものである。なお、図面の都合上、他図である
図57(H)に示したが、右上及び左下(
図57(H)の符号A)にプロットが集中し、右下及び左上(
図56(H)の符号A)にはプロットされないのが理想(高精度)である。
【0274】
図56によれば、転倒確率の予測の精度は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の順に高くなっている。つまり、特徴量情報単体による予測よりも特徴量情報及び診断情報による予測の方が予測精度は高くなり、更に、特徴量情報及び診断情報による予測よりも特徴量情報、診断情報及びアンケート情報による予測の方が予測精度は高くなっている。また、
図56によれば、各実施形態において、加速度センサに基づく特徴量情報を用いる場合よりも全センサに基づく特徴量情報を用いる場合の方がAICの値が小さく好適である。
【0275】
図57は、モデルの評価(使用モデル別の評価)について説明する説明図である。
図57(A)は、ロジスティック回帰(ロジスティック関数)を用いたモデルによる予測値と観測値とをプロットしたものである。
図57(B)は、サポートベクタマシン(線形カーネル)を用いたモデルによる予測値と観測値とをプロットしたものである。
図57(C)は、サポートベクタマシン(非線形カーネル)を用いたモデルによる予測値と観測値とをプロットしたものである。
図57(D)は、ランダムフォレストを用いたモデルによる予測値と観測値とをプロットしたものである。
図57(E)は、ニューラルネットを用いたモデルによる予測値と観測値とをプロットしたものである。
図57(F)は、勾配ブースティングを用いたモデルによる予測値と観測値とをプロットしたものである。
図57(G)は、スタッキングを用いたモデルによる予測値と観測値とをプロットしたものである。
図57(H)は、見方について説明する説明図である。上述したように、右上及び左下(
図57(H)の符号A)にプロットが集中し、右下及び左上(
図57(H)の符号A)にはプロットされないのが理想(高精度)であるが、ニューラルネットを用いる場合が最もそれに近く、予測の精度が高い結果となっている。
【0276】
なお、単純な線形モデルを用いて転倒確率を予測してもよい。例えば、第1実施形態の場合、転倒確率を算出する算出式として、特徴量情報の夫々(特徴量情報1、特徴量情報2、…)を変数とする一次方程式を用いてもよい(一次方程式に近似させてもよい)。
【0277】
また、変換テーブルを用いて転倒確率を予測してもよい。例えば、第1実施形態の場合、特徴量情報の値(値の範囲)の組み合わせと転倒確率とを対応付け変換テーブル(例えば、特徴量情報1の値〇〇、特徴量情報2の値××、…、に対応付けて転倒確率△△%、特徴量情報1の値〇×、特徴量情報2の値×〇、…、に対応付けて転倒確率□□%等が記憶されている変換テーブル)を用いて転倒確率を予測してもよい。他の実施形態についても同様である。なお、線形モデルや変換テーブルを用いる場合には、機械学習や非線形モデルを用いる場合よりも、特徴量情報の数を減らしてもよい。変換テーブルは、モデル記憶部(モデル記憶部109等)に記憶してもよい。
【0278】
(介入要否の判定に係る他の方法)
第1実施形態では、転倒予測の予測結果に加え、他の情報(診断情報、アンケート情報)に基づいて介入要否を判定する場合、それらの情報をスコア化して介入要否を判定する例を説明したが、転倒予測の予測結果に加え、他の情報に基づいて介入要否を判定する場合の判定方法はこれに限定されない。
【0279】
例えば、統計モデルを用いて介入要否を判定してもよい。一例として、予測結果及び診断情報に基づいて介入要否を判定する場合には、予測結果及び診断情報をスコア化して介入要否を判定する方法に代えて、予測結果及び診断情報を説明変数とし、介入要否を目的変数とするロジスティック関数を作成し、介入要否を判定してもよい。なお、複数の説明変数(予測結果の1個を除く、特徴量情報1~特徴量情報NのN個の説明変数)の候補のうち何れを用いるかは、AICに従って決定してもよい。第2実施形態において転倒予測の予測結果に加え、他の情報(アンケート情報)に基づいて介入要否を判定する場合や、第4実施形態において転倒予測の予測結果に加え、他の情報(診断情報)に基づいて介入要否を判定する場合についても同様である。
【0280】
また、例えば、ニューラルネットワーク等の機械学習の手法を用いて介入要否を判定してもよい。一例として、入力層に対象者のセンサ情報(又は特徴量情報)を入力したときに出力層から当該対象者の介入要否の判定結果を出力する学習済モデルを用いて介入要否を判定してもよい。なお、複数の被験者について、特徴量情報(又はセンサ情報)の取得後、特定の期間内の歩行の様子を評価者が参照して評価した介入要否情報(例えば、複数回の診断情報、複数回のアンケート情報等に基づいて評価した情報)を取得し、入力サンプルとして夫々の被験者の検出情報を含み、出力サンプルとして夫々の被験者の介入要否情報を含む学習用データセットを生成し、当該学習用データセットを用いて上記学習済モデルを生成してもよい。
【0281】
以上、実施形態1~実施形態7について説明したが、何れの実施形態であっても、好適に将来の転倒を予測等することができる。また、実施形態5~実施形態7の実施形態では、専門家の診断情報も推定(予測)し、推定した診断情報を用いて将来の転倒を予測等する構成であり、将来の転倒を予測等に際し(つまり予測フェーズにおいて)、専門家の介在を要しないという特長もある。
【0282】
また、実施形態1~実施形態7として夫々の構成を説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、下記(1)~(16)のような構成であってもよい。なお、下記(1)~(16)は適宜組み合わせてもよい。
【0283】
(1)上記実施形態では、センサシューズを用いて脚部をセンシングし、転倒確率の予測に用いる例を説明したが、上述したように、身体の他部をセンシングし、転倒確率の予測に用いてもよい。例えば、脚部に代えて又は加えて、腕や頭にセンサを装着し、該センサ情報(該センサ情報に基づく特徴量情報)を転倒確率の予測に用いてもよい。
【0284】
(2)上記実施形態では、GARSを診断情報としているが、GARSは一例であって、診断情報はGARSでなくてもよい。例えば、他の診断基準を用いてもよいし、独自に診断項目を設定してもよい。
【0285】
(3)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第7実施形態)では、介入要否の判定として、必要/不要の2値の判定としたが、判定は3値以上であってもよい。例えば、4値(例えば、A判定:問題なし,B判定:要経過観察,C判定:病院などへ相談,D判定:すぐ病院を受診)の判定を行ってもよい。上記4値の判定の場合、A判定とB判定の境界、B判定とC判定の境界、C判定とD判定の境界を示した閾値や判定用基準値を3つ設けるようにすればよい。
【0286】
(4)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第7実施形態)では、介入要否を判定しているが、介入要否を判定しなくてもよい。つまり、予測フェーズにおいて、予測装置10(予測装置12、予測装置14、予測装置16、予測装置18、予測装置20、予測装置22も同様)は、介入要否を判定しなくてもよい。
【0287】
(5)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第4実施形態)では、専門家が撮像画像(歩行の様子を撮像した撮像画像)を確認して診断情報を作成する例を説明したが、専門家は直接的に歩行の様子を確認して診断情報を作成してもよい。
【0288】
(6)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第7実施形態)では、専門家が撮像画像を確認して診断情報を作成する例や、機械学習の手法等を用いて診断情報を推定する例を説明したが、撮像画像を解析し診断情報を生成(推定)してもよい。また、機械学習(例えばCNN(Convolutional Neural Network))と撮像画像とを用いて、診断情報を生成(推定)してもよい。
【0289】
(7)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第7実施形態)では、1回の歩行のセンシングに基づいて学習済モデルや統計モデル等を生成する例を説明したが、複数回の歩行(最初のセンシングから1年以内の複数回)のセンシングに基づいて学習済モデルや統計モデル等を生成してもよい。なお、当該学習済モデルを生成するための学習用データセットの入力サンプルは複数回のセンサ情報(又は、特徴量情報)を含む。また、転倒確率の予測に用いるセンサ情報(又は、特徴量情報)は、複数回分のセンサ情報(又は、特徴量情報)である。
【0290】
(8)上記実施形態(例えば、第2実施形態、第3実施形態)では、1回の専門家の診断に基づいて学習済モデルや統計モデル等を生成する例を説明したが、複数回の専門家の診断(最初の診断から1年以内の複数回の診断)に基づいて学習済モデルや統計モデル等を生成してもよい。なお、当該学習済モデルを生成するための学習用データセットの入力サンプルは複数回の診断情報を含む。また、転倒確率の予測に用いる診断情報は、複数回分の診断情報である。
【0291】
(9)上記実施形態(例えば、第3実施形態、第4実施形態、第6実施形態、第7実施形態)では、1回のアンケートに基づいて学習済モデルや統計モデル等を生成する例を説明したが、複数回のアンケート(最初のアンケートから1年以内の複数回のアンケート)に基づいて学習済モデルや統計モデル等を生成してもよい。なお、当該学習済モデルを生成するための学習用データセットの入力サンプルは複数回のアンケート情報を含む。また、転倒確率の予測に用いるアンケート情報は、複数回分のアンケート情報である。
【0292】
(10)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第7実施形態)にて説明した予測装置は、転倒確率を予測する機能と介入要否を判定する機能とを別々の部材(転倒予測部、介入要否判定部)が担当しているが、一の部材が担当してもよい。例えば、第1実施形態では、予測装置10の転倒予測部102が転倒確率を予測し、かつ、介入要否を判定してもよい。なお、転倒確率の予測(予測結果)に加え、介入要否の判定(判定結果)も、将来の転倒に関する予測情報と捉えてもよい。
【0293】
(11)上記実施形態(例えば、第5実施形態~第7実施形態)にて説明した予測装置は、診断情報を推定する機能と転倒確率を予測する機能とを別々の部材(診断値推定部、転倒予測部)が担当しているが、一の部材が担当してもよい。例えば、第5実施形態では、予測装置18の診断値推定部182が診断情報を推定し、かつ、転倒確率を予測してもよい。また、一の部材が、診断情報を推定する機能と転倒確率を予測する機能と介入要否を判定する機能を担当してもよい。なお、転倒確率の予測(予測結果)に加え、診断情報の推定(推定結果)も、将来の転倒に関する予測情報と捉えてもよい。
【0294】
(12)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第7実施形態)にて説明した各装置について、夫々の装置の機能を複数の装置に分散させてもよい。例えば、第1実施形態では、転倒確率を予測する機能(転倒予測部102)と介入要否を判定する機能(介入要否判定部103)とを備える予測装置10を用いているが、転倒確率を予測する機能を有する転倒確率予測装置と、介入要否を判定する機能を有する介入要否判定装置と、を用いてもよい。また、例えば、第5実施形態では、診断情報を推定する機能(診断値推定部182)と転倒確率を予測する機能(転倒予測部183)と介入要否を判定する機能(介入要否判定部184)とを備える予測装置18を用いているが、診断情報を推定する機能を有する診断情報推定装置と、転倒確率を予測する機能を有する転倒確率予測装置と、介入要否を判定する機能を有する介入要否判定装置と、を用いてもよい。
【0295】
(13)上記実施形態(例えば、第1実施形態~第7実施形態)にて説明した各装置について、夫々の装置の機能を1つの装置に集中させてもよい。例えば、第1実施形態では、モデル生成装置30と予測装置10とを用いているが、モデル生成装置30の機能と予測装置10の機能とを兼ね備えた装置を用いてもよい。また、例えば、第5実施形態では、第1学習済モデル生成装置38と第2学習済モデル生成装置39と予測装置18とを用いているが、第1学習済モデル生成装置38の機能と第2学習済モデル生成装置39の機能とを兼ね備えた装置と予測装置18と用いてもよいし、第1学習済モデル生成装置38の機能と第2学習済モデル生成装置39の機能と予測装置10の機能とを兼ね備えた装置を用いてもよい。
【0296】
(14)上記実施形態にて説明した各装置について、夫々の装置が備える機能を組み替えてもよい。例えば、第1実施形態では、転倒確率を予測する機能と介入要否を判定する機能とを備える予測装置10と、学習済モデル2100を生成する機能を備えるモデル生成装置30とについて説明したが、予測装置10やモデル生成装置30に代えて、学習済モデル2100を生成する機能と転倒確率を予測する機能とを備える装置と、介入要否を判定する機能を備える装置とを用意してもよい。
【0297】
(15)上記実施形態では、モデル生成フェーズでは、被験者からデータを採取して学習済モデルを生成し、予測フェーズでは、対象者に対して転倒確率を予測等すると説明したが、被験者=対象者であってもよい。つまり、モデル生成フェーズにおいて学習済モデルの生成に関与した被験者を対象者として予測フェーズにおいて転倒確率を予測等してもよい。また、予測フェーズにおいて転倒確率を予測等するために対象者から取得した情報を、モデル生成フェーズにおける学習済モデルの生成に利用してもよい。
【0298】
(16)上記(15)にも関連するが、予測フェーズで取得したデータをモデル生成フェーズで活用してもよい。すなわち、夫々の学習済モデルを、適宜、更新してもよい。
【0299】
なお、上記では、機械学習によるモデル(例えば、ニューラルネットワークによる機械学習)と、統計的手法によるモデル(統計モデル。例えば、ロジスティック関数によるモデル)と、を便宜上分けて説明したが、統計モデルは、説明変数と目的変数との関係を最適なパラメータで示したモデルであるため、パラメータを最適化させた学習済モデルと、最適化されたパラメータによって示されるモデルである点が共通する。つまり、機械学習によるモデルも統計モデル(算出式も同様)も、予測(推定)用に最適化されたパラメータが設定されたモデルである。統計モデル(例えば、ロジスティック関数によるモデル)のパラメータを機械学習によって求めてもよいし、あるいは、統計モデルにおけるパラメータを求める過程を学習と称してもよい。つまり、パラメータが設定されたモデルを以って学習済モデルと称してもよい。また、予測(推定)に用いる上記モデル(パラメータが設定されたモデル)は、単一の手法(例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、ロジスティック回帰分析のうちの何れかの手法)によって生成したモデルであってもよいし、複数の手法(例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、ロジスティック回帰分析のうちの2つ以上の手法)を組み合わせて生成したモデルであってもよい。つまり、単一の手法によって生成されたモデル(パラメータが設定されたモデル)を用いて予測(推定)してもよいし、複数の手法を組み合わせて生成されたモデルを用いて予測(推定)してもよい。
【0300】
上記実施形態にて説明した内容は、少なくとも以下の構成を含む。なお、上記実施形態では、説明の便宜上、センサ情報と特徴量情報とを区別して説明しているが、上述したように、特徴量情報はセンサ情報に基づく情報であり、共に直接又は間接的に検出される情報である。従って、センサ情報や特徴量情報を検出情報と称してもよい。
【0301】
(1)身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報(例えば、センサ情報、又は、センサ情報に基づく特徴量情報)と、将来の転倒に関する予測情報(例えば、転倒確率、推定診断情報)と、が予め対応付けられた対応情報(例えば、学習済モデル2100、2120、2200、2220、2300、2400、第1学習済モデル2500、2520、2900、第2学習済モデル2600、2800、統計モデル、変換テーブル)を記憶する対応情報記憶部と、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測部(例えば、予測装置10の転倒予測部102、予測装置12の転倒予測部122、予測装置14の転倒予測部142、予測装置16の転倒予測部、予測装置18の診断値推定部182や転倒予測部183、予測装置20の診断値推定部202や転倒予測部203、予測装置22の診断値推定部222や転倒予測部223)と、を備える予測システム。
【0302】
(2)前記身体の少なくとも一部は、脚部である(1)に記載の予測システム。
【0303】
(3)前記予測情報は、将来、転倒する可能性を表す転倒予測情報(例えば、転倒確率)であり、前記予測部(例えば、予測装置10の転倒予測部102、予測装置12の転倒予測部122、予測装置14の転倒予測部142、予測装置16の転倒予測部、予測装置18の転倒予測部183、予測装置20の転倒予測部203、予測装置22の転倒予測部223)は、前記対象者が将来、転倒する可能性を予測する(1)又は(2)に記載の予測システム。
【0304】
(4)前記対応情報は、前記検出情報と歩行の異常性の評価を表す歩行評価情報(例えば、診断情報)とが予め対応付けられた第1対応情報(例えば、第1学習済モデル2500、2520、2900、統計モデル、変換テーブル)、及び、前記歩行評価情報と前記予測情報とが予め対応付けられた第2対応情報(例えば、第2学習済モデル2600、2800、統計モデル、変換テーブル)を含み、前記予測部(予測装置18の診断値推定部182や転倒予測部183、予測装置20の診断値推定部202や転倒予測部203、予測装置22の診断値推定部222や転倒予測部223)は、前記対象者の検出情報が入力された場合に、前記第1対応情報に基づいて前記歩行評価情報を推定し、推定した歩行評価情報と前記第2対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する(1)から(3)のいずれかに記載の予測システム。
【0305】
(5)複数の被験者について、前記検出情報が検出された後、特定の期間内に転倒したか否かを示す転倒履歴情報を取得する履歴情報取得部(例えば、モデル生成装置30、32、34、36が転倒履歴情報を含む入力データセットを取得する構成)と、前記複数の被験者について、前記検出情報と前記転倒履歴情報が対応付けられた学習情報(学習用データセット1100、1120、1200、1220、1300、1400、1500)を生成する学習情報生成部(例えば、モデル生成装置30の特徴量抽出部301、モデル生成装置32の特徴量抽出部321、モデル生成装置34の特徴量抽出部、モデル生成装置36の特徴量抽出部)と、前記学習情報に基づいて、前記対応情報(例えば、学習済モデル2100、2120、2200、2220、2300、2400、統計モデル、変換テーブル)を生成する学習部(例えば、モデル生成装置30のモデル生成部302、モデル生成装置32のモデル生成部322、モデル生成装置34のモデル生成部342、モデル生成装置36のモデル生成部)と、を備える(1)から(4)のいずれかに記載の予測システム。
【0306】
(6)前記検出情報は、歩行時の足の屈曲及び伸展の少なくとも1つを表す曲げ情報、足裏圧力を表す圧力情報、又は足の加速度を表す加速度情報である(1)から(5)のいずれかに記載の予測システム。
【0307】
(7)前記対応情報(例えば、学習済モデル2300、2400、統計モデル、変換テーブル)は、さらに、年齢或いは性別を含む属性情報、既往症情報、骨、関節或いは筋肉の異常の経験情報、介護サービス情報、服薬情報、又は運動習慣情報の少なくとも1つの属性情報(例えば、アンケート情報の一部)が予め対応付けられ、前記予測部は、前記対象者の前記属性情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する(1)から(6)のいずれかに記載の予測システム。
【0308】
(8)前記対応情報は、さらに、前記検出情報が検出された以前の特定の期間内に転倒したか否かを示す過去転倒履歴情報(例えば、直近3カ月以内の転倒の有無を項目として含むアンケート情報)が予め対応付けられ、前記予測部は、前記対象者の前記過去転倒履歴情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する(1)から(7)のいずれかに記載の予測システム。
【0309】
(9)前記対応情報は、さらに、人が立つ、歩く又は座る機能であって、日常生活に必要な身体の移動に関わる機能を評価する手法として複数の質問事項への回答により評価された運動器評価情報(例えば、アンケート情報の一部)が予め対応付けられ、前記予測部は、前記対象者の前記運動器評価情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する(1)から(8)のいずれかに記載の予測システム。
【0310】
(10)前記対応情報は、さらに、運動機能低下の自覚症状を示す運動機能情報(例えば、アンケート情報の一部)が予め対応付けられ、前記予測部は、前記対象者の前記運動機能情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する(1)から(9)のいずれかに記載の予測システム。
【0311】
(11)前記対応情報は、さらに、身長及び体重から算出される肥満度情報(アンケート情報の一部)が予め対応付けられ、前記予測部は、前記対象者の前記肥満度情報及び前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者が将来転倒する可能性を予測する(1)から(10)のいずれかに記載の予測システム。
【0312】
(12)前記対応情報は、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、ロジスティック回帰分析、又は、これらのうちの2つ以上の手法を組み合わせて学習された学習済モデルである(1)から(11)のいずれかに記載の予測システム。
【0313】
(13)前記予測情報は、将来の転倒に対処するための介入要否を示す介入要否情報(例えば、転倒確率等に基づく専門家の介入要否を判定の情報)であり、前記予測部(例えば、各予測装置の介入要否判定部(又は転倒予測部))は、将来の転倒に対処するための介入要否を予測する(1)から(12)のいずれかに記載の予測システム。
【0314】
(14)前記対応情報は、前記検出情報(例えば、センサ情報、又は、センサ情報に基づく特徴量情報)と、将来、転倒する可能性を表す転倒予測情報(例えば、転倒確率)とが予め対応付けられた第3対応情報(例えば、学習済モデル2100、2200、2300、2400、統計モデル、変換テーブル)、及び、前記転倒予測情報(例えば、転倒確率)と前記介入要否情報とが予め対応付けられた第4対応情報(例えば、転倒確率の閾値60%とした場合に、転倒確率60%未満の値に介入不要である旨が対応付けられ、転倒確率60%以上の値に介入必要である旨が対応付けられているテーブル)を含み、前記予測部は、前記対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記第3対応情報に基づいて前記転倒予測情報を推定し、推定した前記転倒予測情報と前記第4対応情報に基づいて、前記対象者について、将来の転倒に対処するための介入要否を予測する(13)に記載の予測システム。
【0315】
(15)複数の被験者について、前記検出情報が検出された後、特定の期間内の歩行の様子を評価者が参照して評価した前記介入要否情報(例えば、複数回の診断情報、複数回のアンケート情報等に基づいて評価した情報)を取得する評価情報取得部と、前記複数の被験者について、前記検出情報と前記介入要否情報が対応付けられた学習情報(例えば、入力サンプルとして夫々の被験者の検出情報を含み、出力サンプルとして夫々の被験者の介入要否情報を含む学習用データセット)を生成する学習情報生成部と、前記学習情報に基づいて、前記対応情報(例えば、入力層に対象者のセンサ情報(又は特徴量情報)を入力したときに出力層から当該対象者の介入要否の判定結果を出力する学習済モデル)を生成する学習部と、を備える(13)又は(14)に記載の予測システム。
【0316】
(16)前記予測部は、前記対象者が将来、転倒する可能性を予測し、将来の転倒に対処するために介入要否、及び、前記将来、転倒する可能性に基づく分類に応じた出力情報を出力する出力部(例えば、各予測装置の出力部)を備える(1)から(15)のいずれかに記載の予測システム。
【0317】
(17)予測システムにおける予測方法であって、対応情報記憶部が、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を記憶する対応情報記憶過程と、予測部が、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測過程と、を有する予測方法。
【0318】
(18)身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を参照する対応情報参照部と、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測部と、を備える予測装置。
【0319】
(19)身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報を取得する学習情報取得部と、前記学習情報に基づいて、機械学習を行う学習部と、を備える学習装置。
【0320】
(20)コンピュータに、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が予め対応付けられた対応情報を参照する対応情報参照手段、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対応情報に基づいて、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測する予測手段、を実行させるためのプログラム。
【0321】
(21)コンピュータに、身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報を取得する学習情報取得手段、前記学習情報に基づいて、機械学習を行う学習手段、を実行させるためのプログラム。
【0322】
(22)身体の少なくとも一部がセンシングされた検出情報と、将来の転倒に関する予測情報と、が複数の被験者の各々について対応付けられた学習情報に基づく機械学習により生成され、対象者の前記検出情報が入力された場合に、前記対象者の将来の転倒に関する情報を予測するための学習済みモデル。
【0323】
以上に示した実施形態に係る装置(例えば、予測装置、モデル生成装置、第1学習済モデル生成装置、第2学習済モデル生成装置、学習用データセット生成装置等)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶して、この記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0324】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合の情報処理装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0325】
10、12、14、16、18、20、22…予測装置
30、32、34、36…モデル生成装置
38、42…第1学習済モデル生成装置
39、41…第2学習済モデル生成装置
1100、1120、1200、1220、1300、1400、1500、1520…1600、1800、1900…学習用データセット
1110、1210、1510…入力データセット
2100、2120、2200、2220、2300、2400…学習済モデル
2500、2520、2900…第1学習済モデル
2600、2800…第2学習済モデル