(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155695
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】測定装置、及び測定方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/17 20150101AFI20231016BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20231016BHJP
【FI】
H04B17/17
H04B17/29 200
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065173
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大芝 淳
(72)【発明者】
【氏名】大山 仁
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆
(57)【要約】
【課題】複数の被測定対象物の並列測定、及び被測定対象物の各アンテナ端子の同時測定の切り替えが容易であり、同時測定時にはアンテナ端子ごとに測定開始時刻を揃えて高精度の測定ができ、かつ接続切替え作業を軽減できる測定装置、及び測定方法を提供する。
【解決手段】DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7d、個々のDUTの送受信端子に接続可能な複数の無線送受信部16、26、36、46と、送受信開始を実施させる無線送受信部16、26、36、46を選択する選択手段としての無線送受信部選択画面122と、無線送受信部選択画面122により送受信開始を実施させる無線送受信部16、26、36、46のうちの2つ以上が選択された場合に、該選択されたそれぞれの無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御する送受信開始制御部105と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または単一の送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または、各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定装置(1)であって、
前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子に接続可能な無線送信部(15、25、35、45)及び無線受信部(14、24、34、44)を各々有する複数の無線送受信部(16、26、36、46)と、
送受信開始を実施させる前記無線送受信部を選択する選択手段(122)と、
前記選択手段により送受信開始を実施させる前記無線送受信部が2つ以上選択された場合に、該選択されたそれぞれの前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御する送受信開始制御手段(105)と、
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記複数の無線送受信部にそれぞれ対応して設けられる複数の無線送受信部選択ツール(123a、124a、125a、126a)を有するGUI画面(122)を備え、
前記送受信開始制御手段は、前記GUI画面上で2つ以上の前記無線送受信部選択ツールが押下されたときに、該押下された前記無線送受信部選択ツールに対応するそれぞれの前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記GUI画面は、当該測定装置が備える全ての前記無線送受信部の一括選択を指示する一括選択ツール(122a)をさらに有し、
前記送受信開始制御手段は、前記GUI画面上で前記一括選択ツールが押下されたときに全ての前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御することを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記第1の被測定対象物として、前記複数のアンテナ端子にそれぞれ接続されたアンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置の測定を行い、前記第2の被測定対象物として、前記送受信端子に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局、または、携帯端末の測定を行うことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の測定装置を用い、複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または単一の送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または、各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定方法であって、
前記複数の無線送受信部(16、26、36、46)に対し、前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子をそれぞれ接続する接続ステップ(S10)と、
送受信開始を実施させる前記無線送受信部を選択する選択ステップ(S31、S31a)と、
前記選択ステップにより送受信開始を実施させる前記無線送受信部が2つ以上選択された場合に、該選択されたそれぞれの前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御する送受信開始制御ステップ(S15、S22)と、
を含むことを特徴とする測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置等の被試験対象(Device Under Test:DUT)の送信特性及び受信特性の測定を行う測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動体通信端末と無線通信を行なう基地局装置の製造にあたり、組立、調整後に無線信号の送受信を測定する測定装置が用いられる。測定装置は、基地局装置の送信する無線信号を測定する送信試験や、基地局装置に無線信号を送信して基地局装置の受信スループットなどを測定する受信試験などが行なえるようになっている。
【0003】
近年、基地局装置では、複数のアンテナ端子を備え、移動通信端末とMIMO(多入力多出力)方式の通信を行うことにより高速の通信を実現するものが開発されている。このため、この種の基地局装置の製造ラインでは、MIMO方式の通信に対応する基地局をDUTとして、その送受信特性をより高速に測定できる測定装置が求められている。
【0004】
複数のアンテナ端子を備えた基地局装置との間で無線信号を送受信して無線信号の測定を行なう測定装置として、特許文献1には、信号発生器から出力された無線信号を分配器で2つ以上に分配し、その分配器により分配された無線信号を複数のアンテナ端子のそれぞれに入力して、予め操作部にて入力された測定項目について複数のアンテナ端子に対する測定を並行して行なう制御機能を有するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の測定装置のユーザにおいては、例えば、特許文献1に記載の測定装置のように、複数のアンテナ端子を有するDUTに対する測定を行えるうえで、アンテナ端子(送受信部)が一つの移動通信端末(例えば、スマートフォン等の無線端末)の送受信特性を測定する場合にも使いたいという要求も少なくない。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の測定装置によれば、複数のアンテナ端子を有する1台の基地局の測定には対応可能であるものの、アンテナ端子を一つだけ有する基地局あるいは移動無線通信端末を複数台測定することに対応し得る点については開示されていない。
【0008】
なお、複数のアンテナ端子を有するDUTを測定可能とする従来の測定装置の中には、複数の送受信部を有し、その送受信部とDUTの各アンテナ端子との間で送受信特性の測定を並行して行うものも存在している。
【0009】
この種の従来の測定装置では、送受信部を1つしか有しない複数台の基地局あるいは移動無線通信端末の送受信特性を個別に測定し得るうえに、複数のアンテナ端子を有するDUTの測定にも対応し得る。
【0010】
しかしながら、この種の従来の測定装置にあっては、複数の無線送受信部に対して送受信の開始を一括で制御できる機能を有してはいなかった。このため、ユーザは、測定装置に複数ある送受信部のそれぞれについて、対応する試験信号の設定、測定開始の制御、などを行う必要があった。また、測定にあたっては送受信部ごとの測定開始時刻を揃えることが難しく、基地局試験の結果において時間方向の測定誤差の要因となっていた。さらには、測定対象の送受信部を切り替えるために多くの作業時間を必要とした。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、複数の被測定対象物の並列測定、及び被測定対象物の各アンテナ端子の同時測定の切り替えが容易であり、同時測定時にはアンテナ端子ごとに測定開始時刻を揃えて高精度の測定ができ、かつ接続切替え作業を軽減できる測定装置、及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る測定装置は、複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または単一の送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または、各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定装置(1)であって、前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子に接続可能な無線送信部(15、25、35、45)及び無線受信部(14、24、34、44)を各々有する複数の無線送受信部(16、26、36、46)と、送受信開始を実施させる前記無線送受信部を選択する選択手段(122)と、前記選択手段により送受信開始を実施させる前記無線送受信部が2つ以上選択された場合に、該選択されたそれぞれの前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御する送受信開始制御手段(105)と、を有することを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明の請求項1に係る測定装置は、第1の被測定対象の複数のアンテナ端子に対する送受信特性の同時測定と、複数の第2の被測定対象物ごとの送受信特性の並列測定とに用いる(転用する)場合に、送受信開始を実施させる無線送受信部を2つ以上選択するか、1つずつ選択するかによって容易に対応可能であり、転用に際して接続を切り替えることや、逐一測定開始操作を行う手間を軽減できる。特に、第1の被測定対象物の複数のアンテナ端子を対象とする同時測定にあっては、送受信開始を実施させる所望の2つ以上の無線送受信部を選択することで、第1の被測定対象物の無線送受信部ごとの測定開始時刻を揃えることが可能となり、時間方向の測定結果の誤差を低減することができ、測定精度の向上が見込めるようになる。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る測定装置において、前記選択手段は、前記複数の無線送受信部にそれぞれ対応して設けられる複数の無線送受信部選択ツール(123a、124a、125a、126a)を有するGUI画面(122)を備え、前記送受信開始制御手段は、前記GUI画面上で2つ以上の前記無線送受信部選択ツールが押下されたときに、該押下された前記無線送受信部選択ツールに対応するそれぞれの前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御する構成であってもよい。
【0015】
この構成により、本発明の請求項2に係る測定装置は、第1の被測定対象の複数のアンテナ端子に対する送受信特性の同時測定に際し、送受信開始を同時に制御する2つ以上の無線送受信部を、GUI(Graphical User Interface)画面を用いて簡単に選択することができ、同時測定時の操作性が向上する。
【0016】
また、本発明の請求項3に係る測定装置において、前記GUI画面は、当該測定装置が備える全ての前記無線送受信部の一括選択を指示する一括選択ツール(122a)をさらに有し、前記送受信開始制御手段は、前記GUI画面上で前記一括選択ツールが押下されたときに全ての前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御する構成であってもよい。
【0017】
この構成により、本発明の請求項3に係る測定装置は、第1の被測定対象の複数のアンテナ端子に対する送受信特性の同時測定に際し、当該測定装置に備わる全ての無線送受信部を一括選択ツールの押下により簡単に選択することができ、同時測定時の操作性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に係る測定装置は、前記第1の被測定対象物として、前記複数のアンテナ端子にそれぞれ接続されたアンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置の測定を行い、前記第2の被測定対象物として、前記送受信端子に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局、または、携帯端末の測定を行う構成であってもよい。
【0019】
この構成により、本発明の請求項4に係る測定装置1は、送受信開始を実施させる無線送受信部を2つ以上選択するか、1つずつ選択するかの操作を行うだけで、MIMO通信方式の基地局装置の各アンテナ端子の同時測定、またはSISO通信方式の基地局、若しくは携帯端末の測定に容易に対応可能であり、特に、MIMO通信方式の基地局装置の各アンテナ端子の同時測定にあっては、時間方向の測定結果の誤差を低減し、測定精度を向上させることができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の請求項5に係る測定方法は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の測定装置を用い、複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または単一の送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または、各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定方法であって、前記複数の無線送受信部(16、26、36、46)に対し、前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子をそれぞれ接続する接続ステップ(S10)と、送受信開始を実施させる前記無線送受信部を選択する選択ステップ(S31、S31a)と、前記選択ステップにより送受信開始を実施させる前記無線送受信部が2つ以上選択された場合に、該選択されたそれぞれの前記無線送受信部に対する送受信開始を同時に制御する送受信開始制御ステップ(S15、S22)と、を含むことを特徴とする。
【0021】
この構成により、本発明の請求項5に係る測定方法は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された測定装置を用いることで、第1の被測定対象の複数のアンテナ端子に対する送受信特性の同時測定と、複数の第2の被測定対象物ごとの送受信特性の並列測定とに用いる(転用する)場合に、送受信開始を実施させる無線送受信部を2つ以上選択するか、1つずつ選択するかによって容易に対応可能であり、転用に際して接続を切り替えることや、逐一測定開始操作を行う手間を軽減できる。特に、第1の被測定対象物の複数のアンテナ端子を対象とする同時測定にあっては、送受信開始を実施させる所望の2つ以上の無線送受信部を選択することで、第1の被測定対象物の無線送受信部ごとの測定開始時刻を揃えることが可能となり、時間方向の測定結果の誤差を低減することができ、測定精度の向上が見込めるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、複数の被測定対象物の並列測定、及び被測定対象物の各アンテナ端子の同時測定の切り替えが容易であり、同時測定時にはアンテナ端子ごとに測定開始時刻を揃えて高精度の測定ができ、かつ接続切替え作業を軽減できる測定装置、及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る測定装置のDUT測定態様を示す概念図であり、(a)は複数のアンテナ端子を有するDUTの同時測定時の態様を示し、(b)は複数のDUTを対象とする並列測定時の態様を示している。
【
図3】本実施形態に係る測定装置のDUTの測定に用いる画面の構成例を示す図であり、(a)は測定用画面の要部構成を示し、(b)は測定用画面から遷移可能な無線送受信部選択画面の要部構成を示している。
【
図4】本発明の一実施形態に係る測定装置における複数のアンテナ端子を有するDUTまたは単一のアンテナ端子を有する複数台のDUTの送信特性の測定処理動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る測定装置における複数のアンテナ端子を有するDUTまたは単一のアンテナ端子を有する複数台のDUTの受信特性の測定処理動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る測定装置における測定対象の無線送受信部の選択動作を示すフローチャートであり、(a)は各無線送受信部に対応する無線送受信部選択ボタンによる選択動作例を示し、(b)はALLボタンによる選択動作例を示している。
【
図7】本発明の一実施形態に係る測定装置でのDUTの送信特性測定時におけるトリガ信号の送受信イメージを示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る測定装置でのDUTの受信特性測定時におけるトリガ信号の送受信イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る測定装置、及び測定方法の実施形態について説明する。
【0025】
まず、本発明に係る測定装置1の一実施形態における構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態における測定装置1は、分配器5、測定部10、20、30及び40(以下、総称して「測定部10等」という)、制御装置101、操作部110、表示部120を備えている。
【0026】
測定装置1は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェースが接続される入出力回路等を備えたマイクロコンピュータを含む。測定装置1は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行させることにより、マイクロコンピュータを測定装置1の各機能部として機能させるようになっている。測定装置1において、制御装置101と測定部10等は、例えば、イーサネット(登録商標)等の通信ネットワーク3で接続されている。分配器5は、制御装置101から通信ネットワーク3を介して送られてくる制御情報等を測定部10等に分配するものである。
【0027】
測定部10等は、例えば、
図1、
図2(a)に示すように、複数の周波数帯域を使用可能な複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有するDUT6の上記各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに例えばケーブルを介してそれぞれ接続され、制御装置101から設定される周波数帯域の信号を使用して各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの送信特性及び受信特性の少なくとも一方の特性を同時測定するものである。また、測定部10等は、例えば、
図2(b)に示すように、複数の周波数帯域を使用可能な複数のDUT8a、8b、8c、8d(以下、総称して「DUT8a等」という)の送受信端子9に、例えばケーブルを介してそれぞれ接続され、制御装置101から設定される周波数帯域の信号を使用してDUT8a等の送信特性及び受信特性の少なくとも一方の特性を測定することも可能である。この場合において、例えば、DUT8aとDUT8bについては同じ周波数帯域を対象に測定し、DUT8aと、DUT8c、DUT8dについてはそれぞれ異なる周波数帯を対象に測定するという運用も可能である。DUT6、及びDUT8a等は、それぞれ、本発明の第1の被測定対象物、及び第2の被測定対象物を構成している。
【0028】
測定部10等は、例えば、無線LANで使用される2GHz帯域及び5GHz帯域の信号を用いてDUT6及びDUT8a等の送信特性及び受信特性を測定できるものである。DUT6は、例えば、複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有する基地局装置であり、DUT8a等は、例えば、送受信端子9として一つのアンテナ端子を有する基地局装置である。なお、DUT8a等は、例えば、一つの送受信端子9を有するスマートフォン等の携帯端末装置であってもよい。
【0029】
測定部10は、DUT6及びDUT8a等の測定に関する制御を行う制御部11と、DUT6及びDUT8a等の送信特性及び受信特性を測定する測定ユニット13と、を備えている。
【0030】
制御部11は、測定ユニット13に対してDUT8a等、及びDUT6の測定に関する制御を行うものである。また、制御部11は、測定ユニット13を介し、DUT8a等、及びDUT6と通信できるようになっている。例えば、制御部11は、DUT8a等(DUT6についても同様)の送信特性を測定する場合には、DUT8a等(同、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7d(以下、アンテナ端子7a等))からの信号で用いる帯域周波数をDUT8a等(同、DUT6)に通知するようになっている。また、例えば、制御部11は、DUT8a等(同、DUT6のアンテナ端子7a等)の受信特性を測定する場合には、DUT8a(同、DUT6のアンテナ端子7a等)の受信特性を示すデータをDUT8a(同、DUT6)から取得するようになっている。なお、制御部11は、測定装置1の外部の装置、例えばパーソナルコンピュータ等に設けられた構成であってもよい。
【0031】
測定ユニット13は、信号解析装置(以下「SA」という)14、信号発生装置(以下「SG」という)15を備えている。
【0032】
SA14は、DUT8a(または、DUT6のアンテナ端子7a)の送信特性を測定するために所定の周波数帯域の周波数を有する信号をDUT8aから入力するようになっている。このSA14は、本発明の無線受信部の一例であり、例えばスペクトラムアナライザのような信号解析装置である。
【0033】
SG15は、受信特性を測定するために所定の周波数帯域の周波数を有する信号をDUT8a(または、DUT6のアンテナ端子7a)に出力するようになっている。このSG15は、本発明の無線送信部の一例であり、例えば、所定周波数の信号や試験用のパターン信号を発生する信号発生装置である。
【0034】
測定部20、30及び40の構成は測定部10と同じである。すなわち、測定部20は、制御部11、測定ユニット13、SA14、SG15とそれぞれ同等の制御部21、測定ユニット23、SA24、SG25、を備えている。測定部30、及び測定部40も、測定部10の制御部11、測定ユニット13、SA14、SG15とそれぞれ同等の制御部31、測定ユニット33、SA34、SG35、及び制御部41、測定ユニット43、SA44、SG45を備えている。これにより、測定部20、30及び40は、それぞれの制御部21、31、41の制御下で、それぞれ、測定ユニット23、33、43に対してDUT8b、8c、8d、またはDUT6のアンテナ端子7b、7c、7dを対象とする送受信特性(送信特性、及び受信特性)の測定制御を行うようになっている。
【0035】
上記構成において、測定ユニット13、23、33、43のSA14とSG15、SA24とSG25、SA34とSG35、SA44とSG45は、それぞれ、無線送受信部16、26、36、46を構成している。SA14、24、34、44は、本発明の無線受信部の一例であり、SG15、25、35、45は、本発明の無線送信部の一例である。上記構成において、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定を行うには、例えば、
図2(a)に示すように、無線送受信部16、26、36、46と、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dとを例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。また、DUT8a等の並列測定を行うためには、例えば、
図2(b)に示すように、無線送受信部16、26、36、46と、DUT8a、8b、8c、8dの各送受信端子9とを例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。
【0036】
制御装置101は、測定部10等の各制御部11、21、31及び41の動作を制御するものである。制御装置101は、設定部103、試験実行制御部104、送受信開始制御部105を備えている。
【0037】
設定部103は、DUT8a等、またはDUT6のアンテナ端子7a等の測定に際し、試験種別、測定周波数帯、測定対象の無線送受信部16、26、36、46の選択等の各項目の測定条件を設定する機能部である。本実施形態において、設定部103は、測定対象の無線送受信部16、26、36、46(後述するSlot/TRxに相当する。以下、無線送受信部16、26、36、46をSlot/TRxと称することもある)の選択については、DUT8a等を対象とする並列測定、またはDUT6のアンテナ端子7a等を対象とする同時測定に際し、事前に、後述する無線送受信部選択画面122(
図3(b)参照)を用いたユーザによる選択操作を受け付けて測定対象の各無線送受信部(Slot/TRX)を選択(設定)することができるようになっている。
【0038】
無線送受信部選択画面122を用いた無線送受信部(Slot/TRx)の選択機能について
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る測定装置1のDUTの測定に用いる画面の構成例を示す図であり、(a)は測定用画面121の要部構成を示し、(b)は測定用画面121から遷移可能な無線送受信部選択画面122の要部構成を示している。
【0039】
測定用画面121は、例えば、DUT8a等、DUT6の測定に先立ち、例えば、操作部110での所定の操作に応じて表示部120に表示可能な画面である。
図3(a)に示すように、測定用画面121は、操作ツールとして、DUT8a等を個々に測定することを指示するSingleボタン121a、及び次の画面に遷移することを指示する遷移ボタン121cを有している。Singleボタン121aには、例えば、点消灯可能な例えば4つのランプ121bが備わっている。4つのランプ121bは、例えば、無線送受信部16、26、36、46における各Slot/TRxの作動状態(例えば、作動時点灯、非作動時消灯)を示すものである。なお、各Slot/TRxの作動状態を示す機能については、上述したランプ121bに限らず、ソフトウェア上のインジケータにより実現する構成としてもよい。
【0040】
測定用画面121において、遷移ボタン121cを押下すると(図中、○印で囲んでいる領域参照)、表示部120には、例えば
図3(b)に示すような無線送受信部選択画面122が表示される。
【0041】
図3(b)に示すように、無線送受信部選択画面122は、操作ツールとして、上述したSingleボタン121a、遷移ボタン121cに加えて、ALLボタン122a、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを有している。ALLボタン122aと、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aには、それぞれ、ランプ122bと、ランプ123b、124b、125b、126bが設けられている。
【0042】
ALLボタン122aは、DUT6を対象に全てのアンテナ端子7a等に対して測定を行う際に全ての無線送受信部16、26、36、46を選択することを指示するためのツールである。ALLボタン122aは、1回押下するごとに上記指示が有効、無効とされるものであり、設定が有効なときにはランプ122bが点灯し、設定が無効である場合にはランプ122bが消灯するように制御される。ALLボタン122aは、本発明の一括選択ツールを構成している。
【0043】
Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aは、測定部10等の測定対象となる無線送受信部16、26、36、46(Slot/TRx)を選択するためのツールである。Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aには、それぞれ、1回押下するごとに上記選択が有効、無効とされるものであり、選択が有効なときには対応するランプ123b、124b、125b、126bがそれぞれ点灯し、選択が無効である場合にはランプ123b、124b、125b、126bがそれぞれ消灯するように制御される。Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aは、本発明の無線送受信部選択ツールの一例である。
【0044】
図3(b)に示す構成を有する無線送受信部選択画面122を用いることで、ユーザは、例えば、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する同時測定を行う際に、ALLボタン122aを1回押下し、ランプ122bを点灯させることで、全てのSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aが押下された状態(すなわち、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応する各Slot/TRxが選択された状態)とすることができる。また、ALLボタン122aをもう1回押下し、ランプ122bを消灯させることで、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを押下して所望のSlot/TRxを1つ1つ選択できる状態へと復帰させることが可能となる。この状態でSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aのうちの2つ以上を押下することで、該押下したSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応するSlot/TRx(2つ以上)を選択した状態とすることができる。
【0045】
このように、無線送受信部選択画面122は、設定部103とともに本発明の選択手段を構成している。
図3(b)に示す無線送受信部選択画面122は、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aが4つの場合の構成例を示しているが、この種の選択ボタンは、測定装置1に備わるSlot/TRxの数に合わせて設ければよく、2つ以上の任意の数だけ設ける構成とすることができる。このように、本実施形態に係る測定装置1は、無線送受信部16、26、36、46の数は4つに限定されるものではなく、2つ以上の無線送受信部を有すものであれば本発明を適用可能である。
【0046】
Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを2つ以上押下した状態、またはALLボタン122aを押下した状態でDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する同時測定を行うためには、例えば、
図2(a)に示すように、測定ユニット13、23、33、43のそれぞれの無線送受信部16(SA14、SG15を含む)、無線送受信部26(SA24、SG25を含む)、無線送受信部36(SA34、SG35を含む)、無線送受信部46(SA44、SG45を含む)と、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dとを例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。また、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを個々に押下ししつつDUT8等に対する並列測定を行うためには、例えば、
図2(b)に示すように、測定部10、20、30、及び40のそれぞれの無線送受信部16、26、36、46と、DUT8a、8b、8c、8dの各送受信端子9とを例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。
【0047】
試験実行制御部104は、以下の(DUTの送信試験)、(DUTの受信試験)に示すように、DUT8a等、またはDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7d(ここではまとめてDUTと称する)の送信特性を測定するための送信試験、及び受信特性を測定するための受信試験を実行させるものである。
(DUTの送信試験)
制御装置101からDUTに対して送信試験用の試験信号(送信試験用信号)の送信を指令し、この指令を受信したDUTが送信する上記送信試験用信号を無線送受信部16、26、36、46のSA14、24、34、44で受信し、その解析結果に基づきDUTの送信特性を測定する試験(
図4のステップS17参照)。送信試験の一例として、DUTが応答送信する送信信号の出力レベルを測定する試験が挙げられる。
(DUTの受信試験)
制御装置101からDUTに対して受信試験用の試験信号(受信試験用信号)の受信を指令し、この指令に基づきDUTが上記受信試験用信号を受信したことにより送ってくる上記受信試験用信号の状況を示す通知内容に基づきDUTの送信特性を測定する試験(
図5のステップS24参照)。上記受信試験用信号は、制御装置101からの制御により無線送受信部16、26、36、46のSG15、25、35、45から出力されるようになっている。受信試験の一例として、DUTの受信感度を測定する試験が挙げられる。
【0048】
送受信開始制御部105は、無線送受信部選択画面122(
図3(b)参照)による送受信開始を実施させる無線送受信部(Slot/TRx)の選択(つまり、Slot/TRx選択ボタン123a、123b、123c、123d、またはALLボタン122aの押下)状況に応じて、DUT8a等、またはDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dでの測定開始のタイミングを制御する送受信開始制御機能を有している。送受信開始制御部105は、例えば、DUT8a等の測定に際し、無線送受信部選択画面122によりSlot/TRx選択ボタン123a、123b、123c、123dを用いてそれぞれ対応する無線送受信部が個別に選択されている場合には、これら各無線送受信部に対する送受信開始を並列に制御する。
【0049】
これに対して、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定に際し、無線送受信部選択画面122により、Slot/TRx選択ボタン123a、123b、123c、123dの押下により所望の2つ以上の無線送受信部(例えば、無線送受信部16、26)が選択されている場合、送受信開始制御部105は、該選択されているそれぞれの無線送受信部に対する送受信開始を同じタイミングで一括制御する。また、送受信開始制御部105は、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定に際し、無線送受信部選択画面122により、ALLボタン122aが押下されている場合には、全ての無線送受信部16、26、36、46に対する送受信開始を同じタイミングで一括制御するようになっている。このように、本実施形態に係る測定装置1は、ALLボタン122aの押下時に限らず、2つ以上の無線送受信部16、26、36、46が選択されている場合においても同時測定が可能な構成となっている。送受信開始制御部105は、本発明における送受信開始制御手段を構成する。
【0050】
次に、本実施形態に係る測定装置1での測定処理動作について
図4、及び
図5のフローチャートを参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る測定装置1におけるDUT6、DUT8a等の送信特性の測定処理動作を示し、
図5は、同じく受信特性の測定処理動作を示している。
【0051】
DUT6、DUT8a等の測定を行うには、測定装置1の無線送受信部16、26、36、46に対して測定対象となるDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7d、またはDUT8a等を接続する(ステップS10)。ここで例えば、DUT6を測定対象とする場合には、
図2(a)に示すように、測定装置1の無線送受信部16、26、36、46に対してDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dをそれぞれ接続する。また、DUT8a、8b、8c、8dを測定対象とする場合には、
図2(b)に示すように、測定装置1の無線送受信部16、26、36、46に対してそれぞれDUT8a、8b、8c、8dを接続する。
【0052】
DUT6、DUT8a等の接続が完了した後、例えば、操作部110、あるいは表示部120のタッチパネル機能等を用いて測定条件を設定する(ステップS11)。設定する測定条件としては、試験種別(送信試験、または受信試験)、測定対象周波数帯(通信規格)、無線送受信部(Slot/TRx)の選択等の各種の項目を設定するようになっている。無線送受信部(Slot/TRx)の選択については、例えば、GUI画面を用いて実施することができる。具体的には、例えば、ステップS11で無線送受信部(Slot/TRx)の選択以外の各項目についての測定条件の設定を終えた後に所定の測定開始操作によって表示部120に表示される測定用画面121(
図3(a)参照)を用いて無線送受信部(Slot/TRx)の選択を行うことができる。
【0053】
測定用画面121を用いた無線送受信部(Slot/TRx)の選択処理動作について
図6を参照して説明する。まず、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを用いて無線送受信部(Slot/TRx)を選択する処理動作について、
図6(a)を参照して説明する。無線送受信部(Slot/TRx)を選択するに際し、設定部103は、測定用画面121上でのユーザによる遷移ボタン121cの押下を受け付けて測定用画面121から無線送受信部選択画面122(
図3(b)参照)の表示に切り替える(ステップS30)。引き続き設定部103は、無線送受信部選択画面122上でのユーザによる所望のSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126a(1つ、または2つ以上)の押下を受け付ける(ステップS31)。その後、設定部103は、ステップS31で押下されたSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応する無線送受信部(Slot/TRx)が選択されている状態を保持する(ステップS32)。具体的に、無線送受信部(Slot/TRx)の選択状態は、他の項目の設定内容とともに、測定条件として、例えば、RAM等の設定項目格納領域に格納される。
【0054】
次に、ALLボタン122aを用いて無線送受信部(Slot/TRx)を選択する動作について、
図6(b)を参照して説明する。この場合、設定部103は、上述した無線送受信部選択画面122を表示した状態で(ステップS30a)、ユーザによるALLボタン122aの押下を受け付ける(ステップS32a)。その後、設定部103は、ステップS31でALLボタン122aが押下されたことに応じて、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応する無線送受信部(Slot/TRx)、すなわち、当該測定装置1に備わる全ての無線送受信部(Slot/TRx)が選択されている状態を保持する(ステップS33a)。ここでの無線送受信部(Slot/TRx)の選択状態は、他の項目の設定内容とともに、測定条件として、例えば、RAM等の設定項目格納領域に格納される。
【0055】
このように、同時測定を行うSlot/TRxは、無線送受信部選択画面122上で、測定を希望するSlot/TRxに対応するSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを2つ以上押下することにより行うことができる(
図6(a)参照)。
【0056】
また、同時測定を行う当該測定装置1に備わる全てのSlot/TRxは、無線送受信部選択画面122上で、ALLボタン122aを押下することにより選択することができる(
図6(b)参照)。
【0057】
再び
図4に戻って説明を続ける。上記ステップS11での測定条件の設定が完了すると、引き続き試験実行制御部104は、Singleボタン121aが押下されたか否かをチェックする(ステップS12)。ここでSingleボタン121aが押下されなかった場合(ステップS12でNO)、上記チェックを続行する。これに対し、Singleボタン121aが押下された場合(ステップS12でYES)、試験実行制御部104は、上記設定項目格納領域をサーチし、ステップS11で設定された試験種別がDUTの送信試験または受信試験のいずれであるかを判定する(ステップS13)。ここで、設定された試験種別が送信試験である場合(ステップS13で「送信試験」)、試験実行制御部104はステップS14に進んでDUT6、DUT8a等の送信試験を実施し、設定された試験種別が受信試験である場合(ステップS13で「受信試験」)には、ステップS21に進んでDUT6、DUT8a等の受信試験を実施する。
【0058】
送信試験に移行すると、送受信開始制御部105は、上記設定項目格納領域をサーチし、ステップS11での無線送受信部の選択受け付けに際して、2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されているかどうかをチェックする(ステップS14)。
【0059】
ここで2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていると判定された場合(ステップS14で「選択されている」)、送受信開始制御部105は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機に、測定対象として選択された例えばSlot/TRx(無線送受信部16、26、36、46)に対して、Singleでの受信開始を当該選択されたそれぞれのSlot/TRx相互に同タイミングで実施させるように制御する(ステップS15)。
【0060】
また、上記ステップS14で2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていない(すなわち、1つしか選択されていない)と判定された場合(ステップS14で「選択されていない」)、送受信開始制御部105は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機に、測定対象として選択されているSlot/TRx(例えば、無線送受信部16、26、36、46))に対して、順次、受信開始させるように制御する(ステップS16)。
【0061】
ここで、上記ステップS14と上記ステップS15の間、及び上記ステップS14と上記ステップS16の間のトリガ信号の入力待ち状態について、
図7を参照して説明する。
図7は本実施形態に係る測定装置1における
図4のステップS15、またはステップS16でのトリガ信号の送受信イメージを示している。
図7に示すように、
図4のステップS15、またはステップS16においては、測定装置1のSA14(SA24、SA34、SA44においても同様)が、DUT6(または、DUT8等)から送信されるトリガ信号Stの受信を契機に、DUT6(またはDUT8等)から送信される送信試験用信号(図中の「試験信号」)を受信し、そのとき選択されている無線送受信部(Slot/TRx)の受信開始タイミングを制御する。特に、
図4のステップS15では、そのときに選択されている2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)の受信開始を同タイミングで実施させる。
【0062】
図7に示す例においては、DUT6(またはDUT8等)は、例えば、ステップS12でSingleボタン121aが押下された後、タイミングを見計らってトリガ信号St及び送信試験用信号を送信し(トリガ信号Stなしで送信試験用試験信号を送信する場合もある)、測定装置1側では当該トリガ信号Stの受信を契機に送信試験用信号を受信して
図4のステップS14またはステップS15の受信開始制御を実施する。その変形例としては、例えば、SA14からDUT6(またはDUT8等)に対してトリガ信号Stの送信を促す適宜な信号S0を送信し、DUT6(またはDUT8等)が上記信号S0を受信したことによりトリガ信号StをSA14に送信するようにしてもよい。また、トリガ信号Stは、測定装置1の外部に設けたトリガ信号源(Trigger Source)50からSA14に供給するようにしてもよい。さらには、トリガ信号源50から、送受信開始制御部105とDUT6(またはDUT8等)の両方へ、分配、送出する構成とすることも可能である。トリガ信号Stは、例えば、DUT6(またはDUT8等)の送信試験において当該DUT6(またはDUT8等)が送信する送信試験用信号を受信する契機となる信号ではあるが、該トリガ信号StのSA14に対する供給パターンは上述したように種々のパターンが存在する。
【0063】
上記ステップS15での測定対象として選択されたSlot/TRxへの同タイミングでの受信開始制御により、当該送信試験で測定対象とされるDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dから送出される送信試験用信号を上記全てのSlot/TRxにて同タイミングで受信させながらDUT6の送信特性を測定させる制御が実施される(ステップS17)。
図2(a)においては、全てのSlot/TRxへの同タイミングでの受信開始制御により、これら全てのSlot/TRxにて上記送信試験用信号が同タイミングで受信されるイメージを実線の矢印で示している。
【0064】
同じく、ステップ17においては、上記ステップS16での並列測定の対象として選択された各Slot/TRxに対するSingleボタン121aの押下ごとに実施される個別の受信開始制御により、当該送信試験で測定対象とされるDUT8a、8b、8c、8dから送出される送信試験用信号を対応するSlot/TRxをそれぞれの受信開始制御に対応するタイミングで並列に受信させながらDUT8a、8b、8c、8dの送信特性を測定させる制御が実施される。
【0065】
ステップS17でのDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする送信特性の同時測定、及びDUT8a、8b、8c、8dの送信特性の並列測定が完了すると、その測定結果を取得することが可能となる(ステップS18)。
【0066】
一方で、
図4のステップS13にて試験種別が受信試験であると判定された場合(ステップS13で「受信試験」)、試験実行制御部104は、
図5のステップS21へ進んでDUT6、DUT8a等の受信試験を実施する。
【0067】
受信試験に移行すると、送受信開始制御部105は、上記設定項目格納領域をサーチし、ステップS11での無線送受信部の選択受け付けに際して、2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されているかどうかをチェックする(ステップS21)。
【0068】
ここで2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていると判定された場合(ステップS21で「選択されている」)、送受信開始制御部105は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機として、測定対象として選択された例えばSlot/TRx(無線送受信部16、26、36、46)に対して、送信開始を上記全Slot/TRx相互に同タイミングで実施させるように制御する(ステップS22)。
【0069】
また、上記ステップS21で2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていない(すなわち、1つしか選択されていない)と判定された場合(ステップS21で「選択されていない」)、送受信開始制御部105は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機として、測定対象として選択されたSlot/TRx(例えば、無線送受信部16、26、36、46))に対して、順次、送信開始させるように制御する(ステップS23)。
【0070】
ここで、上記ステップS21と上記ステップS22の間、及び上記ステップS21と上記ステップS23の間のトリガ待ち状態について、
図8を参照して説明する。
図8は本実施形態に係る測定装置1における
図5のステップS22、またはステップS23でのトリガ信号の送受信イメージを示している。
図8に示すように、
図5のステップS22、またはステップS23においては、測定装置1のSG15(SG25、35、45においても同様)が、DUT6(または、DUT8等)から送信されるトリガ信号Stの受信を契機に、そのとき選択されている無線送受信部(Slot/TRx)からDUT6(またはDUT8等)に対する受信試験用信号(図中の「試験信号」)の送信開始タイミングを制御する。特に、
図5のステップS22では、そのときに選択されている2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)の送信開始を同タイミングで実施させる。
【0071】
図8に示す例においては、DUT6(またはDUT8等)は、例えば、ステップS12でSingleボタン121aが押下された後、タイミングを見計らってトリガ信号Stを送信し、測定装置1側では当該トリガ信号Stの受信を契機に受信試験用信号を送信させるように
図5のステップS22またはステップS23の送信開始制御を実施する。その変形例としては、例えば、SG15からDUT6(またはDUT8等)に対してトリガ信号Stの送信を促す適宜な信号S0を送信し、DUT6(またはDUT8等)が上記信号S0を受信したことによりトリガ信号StをSG15に送信するようにしてもよい。トリガ信号Stは、測定装置1の外部に設けたトリガ信号源(Trigger Source)50からSG15に供給するようにしてもよい。トリガ信号Stは、例えば、DUT6(またはDUT8等)の受信試験において当該DUT6(またはDUT8等)に対して受信試験用信号を送信する契機となる信号ではあるが、該トリガ信号StのSG15に対する供給パターンは上述したように種々のパターンが存在する。
【0072】
上記ステップS22での測定対象として選択された当該測定装置1が備える全てのSlot/TRxへの同タイミングでの送信開始制御により、当該受信試験のための受信試験用信号を上記全てのSlot/TRxから同タイミングで送信させながら、当該受信試験で測定対象とされるDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dでの上記受信試験用信号の受信状況を収集するDUT6の受信特性の同時測定制御が実施される(ステップS24)。
図2(a)においては、全てのSlot/TRxから同タイミングで受信試験用信号が送信され、送信された全ての受信試験用信号が同タイミングでDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dでそれぞれ受信されるイメージを点線の矢印で示している。
【0073】
同じく、ステップ24では、上記ステップS23での並列測定の対象として選択された各Slot/TRxに対するSingleボタン121aの押下ごとに個別に実施される送信開始制御により、送受信開始制御部105では、当該受信試験での測定対象とされるDUT8a、8b、8c、8dに対して受信試験用信号を対応するSlot/TRxからそれぞれの送信開始制御に対応するタイミングで並列に送信させながらDUT8a、8b、8c、8dの受信特性を測定させる制御が実施される。
【0074】
ステップS24でのDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする受信特性の同時測定、及びDUT8a、8b、8c、8dの受信特性の並列測定が完了すると、その測定結果を取得することが可能となる(ステップS24)。
【0075】
なお、
図4、及び
図5に示す送信特性、及び受信特性の同時測定(ステップS15、S22)については、DUT6の全てのアンテナ端子7a、7b、7c、7dを測定対象とする例を挙げているが、そのうちの少なくとも2つ以上の組を測定対象として選択することが可能とある。
図4、及び
図5に示す送信特性、受信特性の並列測定(ステップS16、S23)についても、DUT8a、8b、8c、8dを測定対象とすることに限らず、そのうちの2つ以上を対象とすることが可能である。
【0076】
次に、本実施形態に係る測定装置1とこの種の従来装置の構成及び制御機能について比較、検討する。
【0077】
本実施形態に係る測定装置1の運用については、DUT6として、例えば、複数のアンテナ端子を備えたMIMO方式の基地局装置を対象に、その送信特性、及び受信特性の同時測定を行う基地局測定装置としての運用が想定される。ここで基地局装置が、例えば、時分割複信(TDD:Time Domain Duplex)の通信方式を採用しているものとすると、基地局測定装置による測定実行中、一定時間に限って無線信号を送信するタイミングにおいて、各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに接続されたそれぞれのアンテナからは同じ時刻に無線信号が送信されている状況が考えられる。
【0078】
上述したMIMO方式の基地局装置では、通常、基地局装置送信試験を行う際には、各アンテナ端子から、それぞれに対応した試験信号を送信する。このとき、基地局測定装置は、基地局装置の各アンテナ端子が試験信号を送信した時刻及びその差分を解析する必要がある。同様に、基地局受信試験を行う際には、基地局測定装置は、各送受信部から、同時刻に試験信号を送信する必要がある。
【0079】
この種の従来の基地局測定装置では、ユーザが、当該装置に複数設けられる送受信部のそれぞれについて、対応する試験信号の設定、測定開始の制御、などを行っていた。具体的には、例えば、
図3(a)に示す測定用画面121に相当する画面上で、基地局測定装置の測定対象のSlot/TRxにその都度基地局測定のアンテナ端子を繋ぎ替え、その都度、Singleボタン121aを押下する測定作業を複数回繰り返すようになっていた。この従来の基地局測定装置の構成によれば、送受信部ごとの測定開始時刻を揃えることが難しく、基地局試験の結果において時間方向の測定誤差の要因となっていた。また、制御対象の送受信部を切り替えるための作業時間を必要とした。
【0080】
これに対して、本実施形態に係る測定装置1では、上述の基地局装置を測定対象とする場合、測定用画面121から遷移可能な無線送受信部選択画面122(
図3(b)参照)上で、 例えば、ALLボタン122aを押下する操作、または、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aのうち2つ以上を押下する操作を行うことで、全てのSlot/TRx、または押下した2つ以上のSlot/TRx選択ボタンにそれぞれ対応するSlot/TRxを測定対象として選択することができ、その測定対象とするSlot/TRxに対して同タイミングで送信開始させる制御、または受信開始させる制御を実施することができる。このように、測定対象の基地局装置を対象に一括して複数のSlot/TRx(無線送受信部16、26、36、46)に測定を開始させるようにしたことで、無線送受信部16、26、36、46ごとの測定開始時刻を揃えることができ、時間方向の測定誤差の低減することが可能となる。さらには、制御対象の無線送受信部16、26、36、46を切り替えるために使っていた作業時間を短縮することができるという利点も生まれる。
【0081】
なお、上記実施形態では、時分割複信通信方式を採用した基地局測定装置を対象とする同時測定を主体に説明したが、本発明は、時分割複信通信方式を採用したものに限らず、周波数分割方式等、他の通信方式の基地局測定装置を対象とする同時測定に対応可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、第1の被測定対象物として、例えば、4つのアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有し、それぞれに接続された各アンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置を対象(DUT6)に同時測定を行う例について述べているが、2以上のアンテナ端子を備えた基地局装置の測定にも適用可能である。
【0083】
また、上記実施形態では、第1の被測定対象物として、単一の送受信端子9に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局装置(DUT8a等)を対象に並列測定を行う例について述べているが、これに限らず、単一の送受信端子に接続されたアンテナにより無線送受信を行う携帯端末を第1の被測定対象物として並列接続を行うことも可能である。
【0084】
また、上記実施形態では、測定装置1の測定部10、20、30、40が、それぞれ、独立した4筐体で構成されている例を挙げているが、これら測定部10、20、30、40が1筐体で構成されていてもよい。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置1は、複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有するDUT6、または単一の送受信端子9を備えた複数のDUT8a、8b、8c、8dとの間でそれぞれ無線信号を送受信してDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの送受信特性の同時測定、または、DUT8a、8b、8c、8dの送受信特性の並列測定を行なうものであって、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7d、またはDUT8a、8b、8c、8dの送受信端子9に接続可能なSA14、24、34、44及びSG15、25、35、45を各々有する複数の無線送受信部16、26、36、46(Slot/TRx)と、送受信開始を実施させるSlot/TRxを選択する無線送受信部選択画面122と、無線送受信部選択画面122により送受信開始を実施させるSlot/TRxが2つ以上選択された場合に、該選択されたそれぞれのSlot/TRxに対する送受信開始を同時に制御する送受信開始制御部105と、を有して構成されている。
【0086】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、DUT6の複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する送受信特性の同時測定と、DUT8a等の送受信特性の並列測定とに用いる(転用する)場合に、送受信開始を実施させるSlot/TRxを2つ以上選択するか、1つずつ選択するかによって容易に対応可能であり、転用に際して接続を切り替えることや、逐一測定開始操作を行う手間を軽減できる。特に、DUT6の複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定にあっては、送受信開始を実施させる所望の2つ以上のSlot/TRxを選択することで、Slot/TRxごとにDUT6の測定開始時刻を揃えることが可能となり、時間方向の測定結果の誤差を低減することができ、測定精度の向上が見込めるようになる。
【0087】
また、本実施形態に係る測定装置1において、無線送受信部選択画面122は、複数のSlot/TRxにそれぞれ対応して設けられる複数のSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを有するGUI画面を備え、送受信開始制御部105は、GUI画面上で2つ以上のSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aが押下されたときに、該押下されたSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応するそれぞれのSlot/TRxに対する送受信開始を同時に制御する構成を有している。
【0088】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、DUT6の複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する送受信特性の同時測定に際し、送受信開始を同時に制御する2つ以上の無線送受信部を、GUI画面を用いて簡単に選択することができ、同時測定時の操作性が向上する。
【0089】
また、本実施形態に係る測定装置1において、GUI画面は、当該測定装置1が備える全てのSlot/TRxの一括選択を指示するALLボタン122aをさらに有し、送受信開始制御部105は、GUI画面上でALLボタン122aが押下されたときに全てのSlot/TRxに対する送受信開始を同時に制御する構成を有している。
【0090】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、DUT6の複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する送受信特性の同時測定に際し、当該測定装置1に備わる全てのSlot/TRxをALLボタン122aの押下により簡単に選択することができ、同時測定時の操作性をさらに向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態に係る測定装置1は、DUT6として、複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dにそれぞれ接続されたアンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置の測定を行い、DUT8a等として、送受信端子9に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局装置、または、携帯端末の測定を行う構成である。
【0092】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、並列測定モードまたは同時測定モードを所望に応じて設定することで、MIMO通信方式の基地局装置の測定、またはSISO通信方式の基地局、若しくは携帯端末の測定に容易に対応可能であり、特に、同時測定モードでのMIMO通信方式の基地局装置の測定にあっては、時間方向の測定結果の誤差を低減し、測定精度を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態に係る測定方法は、上述した構成を有する測定装置1を用い、複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有するDUT6、または単一の送受信端子9を備えた複数のDUT8a、8b、8c、8dとの間でそれぞれ無線信号を送受信してDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの送受信特性の同時測定、または、各々のDUT8a、8b、8c、8dの送受信特性の並列測定を行なう測定方法であって、複数の無線送受信部16、26、36、46に対し、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7d、またはDUT8a、8b、8c、8dの送受信端子9をそれぞれ接続する接続ステップ(S10)と、送受信開始を実施させる無線送受信部(Slot/TRx)16、26、36、46を選択する選択ステップ(S31、S31a)と、選択ステップにより送受信開始を実施させるSlot/TRxが2つ以上選択された場合に、該選択されたそれぞれのSlot/TRxに対する送受信開始を同時に制御する送受信開始制御ステップ(S15、S22)と、を含む構成を有している。
【0094】
この構成により、本実施形態に係る測定方法は、上述した構成を有する測定装置1を用い、DUT6の複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する送受信特性の同時測定と、DUT8a等の送受信特性の並列測定とに用いる(転用する)場合に、送受信開始を実施させるSlot/TRxを2つ以上選択するか、1つずつ選択するかによって容易に対応可能であり、転用に際して接続を切り替えることや、逐一測定開始操作を行う手間を軽減できる。特に、DUT6の複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定にあっては、送受信開始を実施させる所望の2つ以上のSlot/TRxを選択することで、Slot/TRxごとにDUT6の測定開始時刻を揃えることが可能となり、時間方向の測定結果の誤差を低減することができ、測定精度の向上が見込めるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明に係る測定装置、及び測定方法は、複数の被測定対象物の並列測定、及び被測定対象物の各アンテナ端子の同時測定の切り替えが容易であり、同時測定時にはアンテナ端子ごとに測定開始時刻を揃えて高精度の測定ができ、かつ接続切替え作業を軽減できるという効果を奏し、並列測定と同時測定の転用が見込まれる基地局装置等の送受信特性を測定する測定装置、及び測定方法全般に有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 測定装置
6 DUT(第1の被測定対象物)
7a、7b、7c、7d アンテナ端子
8a、8b、8c、8d DUT(第2の被測定対象物)
9 送受信端子
14、24、34、44 SA(無線受信部)
15、25、35、45 SG(無線送信部)
16、26、36、46 無線送受信部
103 設定部(選択手段)
105 送受信開始制御部(送受信開始制御手段)
122 無線送受信部選択画面(選択手段)
122a ALLボタン(一括選択ツール)
123a、123b、123c、124d Slot/TRx選択ボタン(無線送受信部選択ツール)