(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155696
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】測定装置、及び測定方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/29 20150101AFI20231016BHJP
H04B 17/17 20150101ALI20231016BHJP
【FI】
H04B17/29 200
H04B17/17
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065174
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大芝 淳
(72)【発明者】
【氏名】大山 仁
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆
(57)【要約】
【課題】トリガ信号経路を装置内部で変更でき、複数の被測定対象物の並列測定と複数のアンテナ端子に対する同時測定との転用が容易で、並列測定中の被測定対象物の交換にも簡単に対応可能な測定装置、及び測定方法を提供する。
【解決手段】無線送受信部16、26、36、46と、トリガ信号送受信部61、62、63、64と、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する受信特性の同時測定、または個々のDUTの受信特性の並列測定に際し、トリガ経路部5内部のトリガ信号経路を、入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54b間の4×4のトリガ信号経路の組合せの中から予め設定された任意の組み合わせに変更制御するトリガ経路変更制御部105と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定装置(1)であって、
前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子に接続可能な無線送信部(15、25、35、45)及び無線受信部(14、24、34、44)を各々有する複数の無線送受信部(16、26、36、46)と、
前記受信特性の測定に際し、前記複数の無線送受信部から前記第1の測定対象物、または前記第2の測定対象物に受信試験用信号を送信するタイミングを制御するためのトリガ信号を送受信する複数のトリガ信号送受信部(61、62、63、64)と、
前記複数のトリガ信号送受信部から前記トリガ信号をそれぞれ入力するn個の入力端子(51a、52a、53a、54a)と、入力した前記トリガ信号を前記複数の無線送受信部へそれぞれ出力するn個の出力端子(51b、52b、53b、54b)を有する信号経路手段(5)と、
前記信号経路手段内部のトリガ信号経路を、前記入力端子と前記出力端子の間のn×nの信号経路の組合せの中から予め設定された任意の組み合わせに変更制御するトリガ信号経路変更制御手段(105)と、を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記トリガ信号経路変更手段は、前記信号経路手段内部の前記トリガ信号経路を、前記送信端子側対前記受信端子側の比で、1対1をn経路から、1対nを1経路までの間のいずれか1つの組み合わせに変更可能である請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記信号経路手段の前記出力端子は、装置筐体(2)の前面に設けられる前記無線送受信部の送受信端子(16a、16b、16c、16d)に接続されるとともに、前記受信端子は、前記装置筐体の裏面に設けられる前記トリガ信号の入力ポート(61a、61b、61c、61d)に接続され、
前記トリガ信号経路変更制御手段は、前記入力ポートから入力する前記トリガ信号を前記送受信端子へと送出することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記信号経路手段の入力側の1つの経路から出力側のn個の経路にトリガ信号を分配して供給する分配経路モードを指定する分配経路モード指定ツール(128b)と、入力側と出力側のn個の経路を個別に使ってトリガ信号を供給する個別経路モードを指定する個別経路モード指定ツール(128c)と、有するGUI画面(128)を表示し、前記分配経路モード指定ツール、または前記個別経路モード指定ツールの操作に応じて前記任意の組み合わせを設定する組合せ設定手段(103)を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1の被測定対象物として、前記複数のアンテナ端子にそれぞれ接続されたアンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置の測定を行い、前記第2の被測定対象物として、前記送受信端子に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局、または携帯端末の測定を行うことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の測定装置を用い、複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定方法であって、
前記複数の無線送受信部(16、26、36、46)に対し、前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子をそれぞれ接続する接続ステップ(S10)と、
前記第1の被測定対象物の受信特性の同時測定、または各々の前記第2の被測定物の受信特性の並列測定に際し、前記信号経路手段内部のトリガ信号経路を、前記入力端子と前記出力端子の間のn×nの信号経路の組合せの中から予め設定された任意の組み合わせに変更制御するトリガ信号経路変更制御ステップ(S23、S26)と、
前記信号経路手段内部の変更された前記トリガ信号経路により供給される前記トリガ信号の入力を契機に前記複数の無線送受信部が前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物に対して受信試験用信号を送信開始する送信開始ステップ(S24、S27)と、
を含むことを特徴とする測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置等の被試験対象(Device Under Test:DUT)の送信特性及び受信特性の測定を行う測定装置、及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動体通信端末と無線通信を行なう基地局装置の製造にあたり、組立、調整後に無線信号の送受信を測定する測定装置が用いられる。測定装置は、基地局装置の送信する無線信号を測定する送信試験や、基地局装置に無線信号を送信して基地局装置の受信スループットなどを測定する受信試験などが行なえるようになっている。
【0003】
近年、基地局装置では、複数のアンテナ端子を備え、移動通信端末とMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output:多入力多出力)方式の通信を行うことにより高速の通信を実現するものが開発されている。このため、この種の基地局装置の製造ラインでは、MIMO方式の通信に対応する基地局をDUTとして、その送受信特性をより高速に測定できる測定装置が求められている。
【0004】
複数のアンテナ端子を備えた基地局装置との間で無線信号を送受信して無線信号の測定を行なう測定装置として、特許文献1には、信号発生器から出力された無線信号を分配器で2つ以上に分配し、その分配器により分配された無線信号を複数のアンテナ端子のそれぞれに入力して、予め操作部にて入力された測定項目について複数のアンテナ端子に対する測定を並行して行なう制御機能を有するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の測定装置のユーザにおいては、例えば、特許文献1に記載の測定装置のように、複数のアンテナ端子を有するDUTに対する測定を行えるうえで、アンテナ端子(送受信部)が一つの移動通信端末(例えば、スマートフォン等の無線端末)の送受信特性を測定する場合にも使いたいという要求も少なくない。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の測定装置によれば、複数のアンテナ端子を有する1台の基地局の測定には対応可能であるものの、アンテナ端子を一つだけ有する基地局あるいは移動無線通信端末を複数台測定することに対応し得る点については開示されていない。特に、基地局等のDUTの受信特性の測定に際して無線送受信部からDUTへの受信試験用信号の送信タイミングを制御するトリガ信号の信号経路変更に関して特許文献1に記載の測定装置には、何等、開示されていない。
【0008】
この種の従来装置におけるトリガ信号の供給方法としては、例えば、
図14に示す測定装置200のように、複数(例えば、4つ)の無線送受信部にトリガ信号を供給するには、DUT150からの1つのトリガ信号を4つに分配して供給する方法があった。この方法では、特別な治具などを使わない場合、4つに分配するにあたって3つのBNC(Bayonet Connector)分配器160a、160b、160c、7本のBNCケーブル91、92、93、94、95、96、97が必要となり、接続が複雑であり、しかも手間がかかっていた。
【0009】
ここで接続の簡略化、手間の軽減等を考えると、例えば、4つのDUTの並列測定を行うには、4つの無線送受信部に対し、トリガ信号を供給する部分(トリガ信号送受信部)が1対1で対応している(4つ別々に存在する)ことがより好ましい(
図13参照)。一方で、上述したMIMO方式の基地局装置等、複数のアンテナ端子を有するDUT(単体)の各アンテナ端子の同時同時測定を行う場合には、トリガ信号を1本のケーブルで供給できる方が都合がよい。
【0010】
近年、MIMO方式の基地局装置の供給も増大しており、測定装置においても、アンテナが一つのDUTの並列測定の他、複数のアンテナ端子を有するDUT(単体)の各アンテナ端子の同時同時測定にも転用できることが望まれている。
【0011】
上述した従来の測定装置では、複数のDUTの並列測定と複数のアンテナ端子を有するDUTの各アンテナ端子の同時同時測定とでの転用を考えた場合に、並列測定と同時測定とでトリガ信号の信号経路を変更するには物理的にケーブルの接続をし直さなければならず、転用への対応は困難であった。
【0012】
ここで例えば、並列測定にあたっては、例えば、4つのDUTをそれぞれ1本ずつのBNCケーブルで測定装置の入力ポートに接続する(
図13参照)ことも考えられるが、測定装置内部では、トリガ信号の入力端子と出力端子が1対1で対応していることから、並列測定は行えるものの、トリガ信号の入力端子と出力端子が1対1対応でしかも固定であるため、測定装置内部にてトリガ信号を一本のケーブルから4つに分配して供給する等の変更が行えず、同時測定への対応も困難であった。そこで、この種の従来装置においては、並列測定と同時測定のいずれにも容易に対応できるトリガ信号の供給制御が望まれていた。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、トリガ信号経路を装置内部で変更でき、複数の被測定対象物の並列測定と複数のアンテナ端子に対する同時測定との転用が容易で、並列測定中の被測定対象物の交換にも簡単に対応可能な測定装置、及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る測定装置は、複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定装置(1)であって、前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子に接続可能な無線送信部(15、25、35、45)及び無線受信部(14、24、34、44)を各々有する複数の無線送受信部(16、26、36、46)と、前記受信特性の測定に際し、前記複数の無線送受信部から前記第1の測定対象物、または前記第2の測定対象物に受信試験用信号を送信するタイミングを制御するためのトリガ信号を送受信する複数のトリガ信号送受信部(61、62、63、64)と、前記複数のトリガ信号送受信部から前記トリガ信号をそれぞれ入力するn個の入力端子(51a、52a、53a、54a)と、入力した前記トリガ信号を前記複数の無線送受信部へそれぞれ出力するn個の出力端子(51b、52b、53b、54b)を有する信号経路手段(5)と、前記信号経路手段内部のトリガ信号経路を、前記入力端子と前記出力端子の間のn×nの信号経路の組合せの中から予め設定された任意の組み合わせに変更制御するトリガ信号経路変更制御手段(105)と、を有することを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明の請求項1に係る測定装置は、信号経路手段におけるトリガ信号の入力端子と出力端子の組み合わせを内部処理によって変更し、入力側対出力側を1対1から1対複数までの間の任意の組み合わせでトリガ信号経路を変更することができ、複数の被測定対象物の並列測定にも、被測定対象物の各アンテナ端子の同時測定にも容易に転用可能となる。特に、並列測定時には、各々の第2の被測定対象物に1対1で対応して個々の信号経路を形成しておくことで、測定完了した第2の被測定対象物を他の第2の被測定対象物の測定を邪魔することなく次に測定する第2の被測定対象物へ簡単に交換することができ、効率の良い測定作業を実現することができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る測定装置において、前記トリガ信号経路変更手段は、前記信号経路手段内部の前記トリガ信号経路を、前記送信端子側対前記受信端子側の比で、1対1をn経路から、1対nを1経路までの間のいずれか1つの組み合わせに変更可能な構成としてもよい。
【0017】
この構成により、本発明の請求項2に係る測定装置は、信号経路手段内部のトリガ信号経路を、送信端子側対受信端子側の比で1対1から1対nまでの間で変更することができ、アンテナ端子がn個までの第1の被測定対象物の各アンテナ端子に対する同時測定から、n個の第2の被測定対象物の並列測定まで広く兼用することができる。
【0018】
また、本発明の請求項3に係る測定装置は、前記信号経路手段の前記出力端子は、装置筐体(2)の前面に設けられる前記無線送受信部の送受信端子(16a、16b、16c、16d)に接続されるとともに、前記入力端子は、前記装置筐体の裏面に設けられる前記トリガ信号の入力ポート(61a、61b、61c、61d)に接続され、前記トリガ信号経路変更制御手段は、前記入力ポートから入力する前記トリガ信号を前記送受信端子へと送出する構成であってもよい。
【0019】
この構成により、本発明の請求項3に係る測定装置は、第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または各々の第2の被測定物の送受信特性の並列測定のいずれに際しても、装置筐体の裏面側でのトリガ信号の入力ポートに対するBNCケーブルの配線作業を簡略化することが可能となる。
【0020】
また、本発明の請求項4に係る測定装置は、前記信号経路手段の入力側の1つの経路から出力側のn個の経路にトリガ信号を分配して供給する分配経路モードを指定する分配経路モード指定ツール(128b)と、入力側と出力側のn個の経路を個別に使ってトリガ信号を供給する個別経路モードを指定する個別経路モード指定ツール(128c)と、有するGUI画面(128)を表示し、前記分配経路モード指定ツール、または前記個別経路モード指定ツールの操作に応じて前記任意の組み合わせを設定する組合せ設定手段(103)を、さらに有する構成であってもよい。
【0021】
この構成により、本発明の請求項4に係る測定装置は、GUI画面上で分配経路モード指定ツール、または個別経路モード指定ツールを用いて簡単に分配経路モード、または個別経路モードを設定することができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に係る測定装置は、前記第1の被測定対象物として、前記複数のアンテナ端子にそれぞれ接続されたアンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置の測定を行い、前記第2の被測定対象物として、前記送受信端子に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局、または携帯端末の測定を行う構成であってもよい。
【0023】
この構成により、本発明の請求項5に係る測定装置は、MIMO通信方式の基地局装置の複数のアンテナに対する同時測定、またはSISO通信方式の基地局、若しくは携帯端末の並列測定に容易に対応可能であり、同時測定か並列測定に応じて信号経路手段内部のトリガ信号経路を変更制御することにより従来装置に比べて簡単な接続作業で済む。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の請求項6に係る測定方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の測定装置を用い、複数のアンテナ端子(7a、7b、7c、7d)を有する第1の被測定対象物(6)、または送受信端子(9)を備えた複数の第2の被測定対象物(8a、8b、8c、8d)との間でそれぞれ無線信号を送受信して前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子の送受信特性の同時測定、または各々の前記第2の被測定物の送受信特性の並列測定を行なう測定方法であって、前記複数の無線送受信部(16、26、36、46)に対し、前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物の前記送受信端子をそれぞれ接続する接続ステップ(S10)と、前記第1の被測定対象物の受信特性の同時測定、または各々の前記第2の被測定物の受信特性の並列測定に際し、前記信号経路手段内部のトリガ信号経路を、前記入力端子と前記出力端子の間のn×nの信号経路の組合せの中から予め設定された任意の組み合わせに変更制御するトリガ信号経路変更制御ステップ(S23、S26)と、前記信号経路手段内部の変更された前記トリガ信号経路により供給される前記トリガ信号の入力を契機に前記複数の無線送受信部が前記第1の被測定対象物の各アンテナ端子、または各々の前記第2の被測定対象物に対して受信試験用信号を送信開始する送信開始ステップ(S24、S27)と、を含むことを特徴とする。
【0025】
この構成により、本発明の請求項6に係る測定方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載された測定装置を用いることで、信号経路手段におけるトリガ信号の入力端子と出力端子の組み合わせを内部処理によって変更し、入力側対出力側を1対1から1対複数までの間の任意の組み合わせでトリガ信号経路を変更することができ、複数の被測定対象物の並列測定にも、被測定対象物の各アンテナ端子の同時測定にも容易に転用可能となる。特に、並列測定時には、各々の第2の被測定対象物に1対1で対応して個々の信号経路を形成しておくことで、測定完了した第2の被測定対象物を他の第2の被測定対象物の測定を邪魔することなく次に測定する第2の被測定対象物へ簡単に交換することができ、効率の良い測定作業を実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、トリガ信号経路を装置内部で変更でき、複数の被測定対象物の並列測定と複数のアンテナ端子に対する同時測定との転用が容易で、並列測定中の被測定対象物の交換にも簡単に対応可能な測定装置、及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る測定装置での複数のアンテナ端子を有するDUTの同時測定時の接続態様を示す概念図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る測定装置での複数のDUTを対象とする並列測定時の接続態様を示す概念図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る測定装置のDUTの測定に用いる画面の構成例を示す図であり、(a)は測定用画面の要部構成を示し、(b)は測定用画面から遷移可能な無線送受信部選択画面の要部構成を示している。
【
図5】本発明の一実施形態に係る測定装置のトリガ信号経路の経路設定に用いる経路モード設定画面の要部構成を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る測定装置におけるトリガ信号経路の経路設定パターンを示す概念図であり、(a)は入力側対出力側が1対1のトリガ信号経路、(b)は同1対4のトリガ信号経路、(c)は同1対2が二組のトリガ信号経路、(d)は同1対3が一組と1対1が一組のトリガ信号経路の設定例をそれぞれ示している。
【
図7】本発明の一実施形態に係る測定装置における複数のアンテナ端子を有するDUTまたは単一のアンテナ端子を有する複数台のDUTの送信特性の測定処理動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る測定装置における複数のアンテナ端子を有するDUTまたは単一のアンテナ端子を有する複数台のDUTの受信特性の測定処理動作を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る測定装置における測定対象の無線送受信部の選択動作を示すフローチャートであり、(a)は各無線送受信部に対応する無線送受信部選択ボタンによる選択動作例を示し、(b)はALLボタンによる選択動作例を示している。
【
図10】本発明の一実施形態に係る測定装置におけるトリガ信号経路の設定処理動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る測定装置でのDUTの送信特性測定時におけるトリガ信号の送受信イメージを示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る測定装置でのDUTの受信特性測定時におけるトリガ信号の送受信イメージを示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る測定装置での4つのDUT測定時における装置筐体裏面の入力ポートに対するBNCケーブルの接続態様を示す図である。
【
図14】従来の測定装置での装置筐体裏面の入力ポートに対するBNCケーブルの接続態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る測定装置、及び測定方法の実施形態について説明する。
【0029】
まず、本発明に係る測定装置1の一実施形態における構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態における測定装置1は、分配器4、トリガ経路部5、測定部10、20、30及び40(以下、総称して「測定部10等」という)、制御装置101、操作部110、表示部120を備えている。
【0030】
測定装置1は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェースが接続される入出力回路等を備えたマイクロコンピュータを含む。測定装置1は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行させることにより、マイクロコンピュータを測定装置1の各機能部として機能させるようになっている。測定装置1において、制御装置101と測定部10等は、例えば、分配器4、トリガ経路部5を介して、イーサネット(登録商標)等の通信ネットワーク3で接続されている。
【0031】
分配器4は、制御装置101から通信ネットワーク3を介して送られてくる制御情報等を測定部10等に分配するものである。
【0032】
トリガ経路部5は、分配器4と測定部10等の間に介在し、測定部10等を構成している無線送受信機能部、すなわち、後述の測定部10、20、30、40にそれぞれ備わる無線送受信部16、26、36、46に供給するトリガ信号の信号供給(トリガ信号経路)として機能するものである。トリガ経路部5は、本発明の信号経路手段を構成する。
【0033】
より詳しくは、トリガ経路部5は、例えば、
図2、及び
図3に示すように、測定部10等の無線送受信部16、26、36、46と複数のトリガ信号送受信部61、62、63、64との間に設けられている。
【0034】
無線送受信部16、26、36、46は、例えば、
図1、及び
図2に示すように、第1の被測定対象物であるDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに適宜接続したうえで、あるいは
図3に示すように、第2の被測定対象物であるDUT8a、8b、8c、8dの各送受信端子9に適宜接続したうえで、これらDUT6、またはDUT8a、8b、8c、8d(以下総称して「DUT8等」という)との間で送信特性、または受信特性の測定に係る無線信号の送受信を行うための無線機能部である。
【0035】
トリガ信号送受信部61、62、63、64は、DUT6、またはDUT8a等の受信特性の測定に際し、トリガ経路部5内に形成されたトリガ信号経路を経由して、上述した無線送受信部16、26、36、46との間でトリガ信号の送受信を行う機能部である。トリガ信号は、DUT6、またはDUT8a等の受信特性の測定に際し、無線送受信部16、26、36、46からDUT6、またはDUT8a等に対して受信試験用信号の送信を開始させるタイミングを制御するための制御信号である。
【0036】
トリガ信号送受信部61、62、63、64は、例えば、測定装置1の装置筐体2(
図2、
図3参照)の裏面側に設けられている4つの入力ポート61a、61b、61c、61dにそれぞれ接続されている。4つの入力ポート61a、61b、61c、61dには、例えば、外部装置より、それぞれ、トリガ信号が入力されるようになっている。トリガ信号送受信部61、62、63、64は、入力されるトリガ信号を、トリガ経路部5を介して無線送受信部16、26、36、46へと送出するようになっている。
【0037】
トリガ経路部5は、
図2、及び
図3に示すように、複数のトリガ信号送受信部61、62、63、64に接続されるトリガ信号の入力端子51a、52a、53a、54aと、測定部10等の無線送受信部16、26、36、46の送受信端子16a、26a、36a、46aに接続されるトリガ信号の出力端子51b、52b、53b、54bを有している。トリガ経路部5は、制御装置101が有するトリガ経路変更制御機能(後述するトリガ経路変更制御部105)によって、トリガ経路部5の内部(トリガ経路部5内)でのトリガ信号を供給するためのトリガ信号経路、すなわち、入力端子51a、52a、53a、54aと、出力端子51b、52b、53b、54bとの間の信号経路を任意の組み合わせで変更設定することが可能な構成を有している。
【0038】
トリガ経路変更制御機能によるトリガ経路部5内でのトリガ信号経路の設定パターンについて
図6を参照して説明する。トリガ信号経路の設定パターンの一例として、トリガ経路変更制御機能は、例えば、
図6(a)に示すように、入力側対出力側が1対1のトリガ信号経路へと変更設定可能である。また、トリガ経路変更制御機能は、例えば、
図6(b)に示すように、入力側対出力側が1対4のトリガ信号経路への変更設定を行うこともできる。また、トリガ経路変更制御機能によれば、例えば、
図6(c)に示すように、入力側対出力側が1対2のものが二組のトリガ信号経路、あるいは、
図6(d)に示すように、入力側対出力側が1対3のものが一組と1対1のものが一組のトリガ信号経路へと変更設定することも可能となっている。
【0039】
図6においては、トリガ経路変更制御機能によるトリガ経路部5内でのトリガ信号経路の設定パターンについて、トリガ経路部5が4つの入力端子51a、52a、53a、54aと、4つの出力端子51b、52b、53b、54bを有するときの4つの代表的な設定パターン例を示しているが、これに限らず、4×4(=16)の組み合わせの中から任意の組み合わせを変更設定できるようになっている。より言及すれば、本発明では、トリガ経路部5の構成として、n個のトリガ信号送受信部61、62、・・からトリガ信号をそれぞれ入力するn個の入力端子51a、52a、・・と、入力したトリガ信号を複数の無線送受信部13、23、・・へそれぞれ出力するn個の出力端子51b、52b、・・を有する構成を許容し、それぞれn個の入力端子51a、52a、・・と出力端子51b、52b、・・の間のn×nのトリガ信号経路の組合せの中の任意の組み合わせでトリガ経路部5のトリガ信号経路を変更するトリガ経路変更制御機能を備えた構成であればよい。
【0040】
測定部10等は、例えば、
図1、
図2に示すように、複数の周波数帯域を使用可能な複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有するDUT6の上記各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに例えばケーブルを介してそれぞれ接続され、制御装置101から設定される周波数帯域の信号を使用して各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの送信特性及び受信特性の少なくとも一方の特性を同時測定するものである。また、測定部10等は、例えば、
図3に示すように、複数の周波数帯域を使用可能な複数のDUT8a、8b、8c、8d(以下、総称して「DUT8a等」という)の送受信端子9に、例えばケーブルを介してそれぞれ接続され、制御装置101から設定される周波数帯域の信号を使用してDUT8a等の送信特性及び受信特性の少なくとも一方の特性を測定することも可能である。この場合において、例えば、DUT8aとDUT8bについては同じ周波数帯域を対象に測定し、DUT8aと、DUT8c、DUT8dについてはそれぞれ異なる周波数帯を対象に測定するという運用も可能である。DUT6、及びDUT8a等は、それぞれ、本発明の第1の被測定対象物、及び第2の被測定対象物を構成している。
【0041】
測定部10等は、例えば、無線LANで使用される2GHz帯域及び5GHz帯域の信号を用いてDUT6及びDUT8a等の送信特性及び受信特性を測定できるものである。DUT6(
図1、
図2参照)は、例えば、複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有する基地局装置であり、DUT8a等(
図3参照)は、例えば、送受信端子9として一つのアンテナ端子を有する基地局装置である。なお、DUT8a等は、例えば、一つの送受信端子9を有するスマートフォン等の携帯端末装置であってもよい。
【0042】
測定部10は、DUT6及びDUT8a等の測定に関する制御を行う制御部11と、DUT6及びDUT8a等の送信特性及び受信特性を測定する測定ユニット13と、を備えている。
【0043】
制御部11は、測定ユニット13に対してDUT8a等、及びDUT6の測定に関する制御を行うものである。また、制御部11は、測定ユニット13を介し、DUT8a等、及びDUT6と通信できるようになっている。例えば、制御部11は、DUT8a等(DUT6についても同様)の送信特性を測定する場合には、DUT8a等(同、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7d(以下、アンテナ端子7a等))からの信号で用いる帯域周波数をDUT8a等(同、DUT6)に通知するようになっている。また、例えば、制御部11は、DUT8a等(同、DUT6のアンテナ端子7a等)の受信特性を測定する場合には、DUT8a(同、DUT6のアンテナ端子7a等)の受信特性を示すデータをDUT8a(同、DUT6)から取得するようになっている。なお、制御部11は、測定装置1の外部の装置、例えばパーソナルコンピュータ等に設けられた構成であってもよい。
【0044】
測定ユニット13は、信号解析装置(以下「SA」という)14、信号発生装置(以下「SG」という)15を備えている。
【0045】
SA14は、DUT8a(または、DUT6のアンテナ端子7a)の送信特性を測定するために所定の周波数帯域の周波数を有する信号をDUT8aから入力するようになっている。このSA14は、本発明の無線受信部の一例であり、例えばスペクトラムアナライザのような信号解析装置である。
【0046】
SG15は、受信特性を測定するために所定の周波数帯域の周波数を有する信号をDUT8a(または、DUT6のアンテナ端子7a)に出力するようになっている。このSG15は、本発明の無線送信部の一例であり、例えば、所定周波数の信号や試験用のパターン信号を発生する信号発生装置である。
【0047】
測定部20、30及び40の構成は測定部10と同じである。すなわち、測定部20は、制御部11、測定ユニット13、SA14、SG15とそれぞれ同等の制御部21、測定ユニット23、SA24、SG25、を備えている。測定部30、及び測定部40も、測定部10の制御部11、測定ユニット13、SA14、SG15とそれぞれ同等の制御部31、測定ユニット33、SA34、SG35、及び制御部41、測定ユニット43、SA44、SG45を備えている。これにより、測定部20、30及び40は、それぞれの制御部21、31、41の制御下で、それぞれ、測定ユニット23、33、43に対してDUT8b、8c、8d、またはDUT6のアンテナ端子7b、7c、7dを対象とする送受信特性(送信特性、及び受信特性)の測定制御を行うようになっている。
【0048】
上記構成において、測定ユニット13、23、33、43のSA14とSG15、SA24とSG25、SA34とSG35、SA44とSG45は、それぞれ、無線送受信部16、26、36、46を構成している。SA14、24、34、44は、本発明の無線受信部の一例であり、SG15、25、35、45は、本発明の無線送信部の一例である。上記構成において、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定を行うには、例えば、
図2に示すように、無線送受信部16、26、36、46の送受信端子16a、26a、36a、46aと、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dと、を例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。また、DUT8a等の並列測定を行うためには、例えば、
図3に示すように、無線送受信部16、26、36、46の送受信端子16a、26a、36a、46aと、DUT8a、8b、8c、8dの各送受信端子9と、を例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。
【0049】
制御装置101は、測定部10等の各制御部11、21、31及び41の動作を制御するものである。制御装置101は、設定部103、試験実行制御部104、トリガ経路変更制御部105、送受信開始制御部106を備えている。
【0050】
設定部103は、DUT8a等、またはDUT6のアンテナ端子7a等の測定に際し、試験種別、測定周波数帯、測定対象の無線送受信部16、26、36、46の選択、トリガ経路モード等の各項目の測定条件を設定する機能部である。本実施形態において、設定部103は、測定対象の無線送受信部16、26、36、46(後述するSlot/TRxに相当する。以下、無線送受信部16、26、36、46をSlot/TRxと称することもある)の選択については、DUT8a等を対象とする並列測定、またはDUT6のアンテナ端子7a等を対象とする同時測定に際し、事前に、後述する無線送受信部選択画面122(
図4(b)参照)を用いたユーザによる選択操作を受け付けて測定対象の各無線送受信部(Slot/TRx)を選択(設定)することができるようになっている。
【0051】
無線送受信部選択画面122を用いた無線送受信部(Slot/TRx)の選択機能について
図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る測定装置1のDUTの測定に用いる画面の構成例を示す図であり、(a)は測定用画面121の要部構成を示し、(b)は測定用画面121から遷移可能な無線送受信部選択画面122の要部構成を示している。
【0052】
測定用画面121は、例えば、DUT8a等、DUT6の測定に先立ち、例えば、操作部110での所定の操作に応じて表示部120に表示可能な画面である。
図4(a)に示すように、測定用画面121は、操作ツールとして、DUT8a等を個々に測定することを指示するSingleボタン121a、及び次の画面に遷移することを指示する遷移ボタン121cを有している。Singleボタン121aには、例えば、点消灯可能な例えば4つのランプ121bが備わっている。4つのランプ121bは、例えば、無線送受信部16、26、36、46における各Slot/TRxの作動状態(例えば、作動時点灯、非作動時消灯)を示すものである。なお、各Slot/TRxの作動状態を示す機能については、上述したランプ121bに限らず、ソフトウェア上のインジケータにより実現する構成としてもよい。
【0053】
測定用画面121において、遷移ボタン121cを押下すると(図中、○印で囲んでいる領域参照)、表示部120には、例えば
図4(b)に示すような無線送受信部選択画面122が表示される。
【0054】
図4(b)に示すように、無線送受信部選択画面122は、操作ツールとして、上述したSingleボタン121a、遷移ボタン121cに加えて、ALLボタン122a、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを有している。ALLボタン122aと、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aには、それぞれ、ランプ122bと、ランプ123b、124b、125b、126bが設けられている。
【0055】
ALLボタン122aは、DUT6を対象に全てのアンテナ端子7a等に対して測定を行う際に全ての無線送受信部16、26、36、46を選択することを指示するためのツールである。ALLボタン122aは、1回押下するごとに上記指示が有効、無効とされるものであり、設定が有効なときにはランプ122bが点灯し、設定が無効である場合にはランプ122bが消灯するように制御される。ALLボタン122aは、本発明の全選択ツールを構成している。
【0056】
Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aは、測定部10等の測定対象となる無線送受信部16、26、36、46(Slot/TRx)を選択するためのツールである。Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aには、それぞれ、1回押下するごとに上記選択が有効、無効とされるものであり、選択が有効なときには対応するランプ123b、124b、125b、126bがそれぞれ点灯し、選択が無効である場合にはランプ123b、124b、125b、126bがそれぞれ消灯するように制御される。
【0057】
図4(b)に示す構成を有する無線送受信部選択画面122を用いることで、ユーザは、例えば、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する同時測定を行う際に、ALLボタン122aを1回押下し、ランプ122bを点灯させることで、全てのSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aが押下された状態(すなわち、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応する各Slot/TRxが選択された状態)とすることができる。また、ALLボタン122aをもう1回押下し、ランプ122bを消灯させることで、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを押下して所望のSlot/TRxを1つ1つ選択できる状態へと復帰させることが可能となる。この状態でSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aのうちの2つ以上を押下することで、該押下したSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応するSlot/TRx(2つ以上)を選択した状態とすることができる。
【0058】
図4(b)に示す無線送受信部選択画面122は、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aが4つの場合の構成例を示しているが、この種の選択ボタンは、測定装置1に備わるSlot/TRxの数に合わせて設ければよく、2つ以上の任意の数だけ設ける構成とすることができる。このように、本実施形態に係る測定装置1は、無線送受信部16、26、36、46の数は4つに限定されるものではなく、2つ以上の無線送受信部を有すものであれば本発明を適用可能である。
【0059】
Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを2つ以上押下した状態、またはALLボタン122aを押下した状態でDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する同時測定を行うためには、例えば、
図2に示すように、測定ユニット13、23、33、43のそれぞれの無線送受信部16(SA14、SG15を含む)、無線送受信部26(SA24、SG25を含む)、無線送受信部36(SA34、SG35を含む)、無線送受信部46(SA44、SG45を含む)と、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dとを例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。また、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを個々に押下ししつつDUT8a等に対する並列測定を行うためには、例えば、
図3に示すように、測定部10、20、30、及び40のそれぞれの無線送受信部16、26、36、46と、DUT8a、8b、8c、8dの各送受信端子9とを例えばケーブルにより事前に接続しておく必要がある。
【0060】
次に、設定部103におけるトリガ経路モードの設定機能について
図5を参照して説明する。トリガ経路部5内のトリガ信号経路の経路設定に際しては、例えば、
図5に示すような経路モード設定画面128を用いる。経路モード設定画面128は、例えば、操作部110での所定の操作により表示部120に表示させることができる。また、経路モード設定画面128は、表示部120のタッチパネル機能によって実現することも可能である。
【0061】
経路モード設定画面128は、現在設定されている経路モードを明示する経路モード表示ツール128aと、入力側の1つの経路から出力側の4つの経路にトリガ信号を分配して供給する分配経路モード、または4つの経路をそれぞれ使ってトリガ信号を供給する個別経路モードのうちの分配経路モードを指定する分配経路モードボタン128bと、上記個別経路モードを指定する個別経路モードボタン128cと、を有している。ユーザは、経路モード設定画面128上で、分配経路モードボタン128、または個別経路モードボタン128cを操作(押下)することで、上述した分配経路モード、または個別経路モードを選択的に指定(設定)することができる。
図5においては、特に、経路モード表示ツール128aに現在設定中の個別経路モードが明示されているとき(このときには「Eah 4 Ports」が表示される。分配経路モードのときには「Split 1port」が表示される。)の表示例を示している。経路モード設定画面128、分配経路モードボタン128b、個別経路モードボタン128cは、それぞれ、本発明のGUI画面、分配経路モード指定ツール、個別経路モード指定ツールを構成する。
【0062】
なお、
図5には、個別経路モード、または分配経路モードのみ設定可能な経路モード設定画面128の構成例を挙げているが、経路モード設定画面128は、これに限らず、トリガ経路部5で実現し得る全てのトリガ信号経路の設定が行える画面構成としてもよい。上述した無線送受信部(Slot/TRx)の選択、及びトリガ経路モードの設定機能を有する設定部103は、本発明の設定手段、及び組合せ設定手段を構成している。
【0063】
試験実行制御部104は、以下の(DUTの送信試験)、(DUTの受信試験)に示すように、DUT8a等、またはDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7d(ここではまとめてDUTと称する)の送信特性を測定するための送信試験、及び受信特性を測定するための受信試験を実行させるものである。
(DUTの送信試験)
制御装置101からDUTに対して送信試験用の試験信号(送信試験用信号)の送信を指令し、この指令を受信したDUTが送信する上記送信試験用信号を無線送受信部16、26、36、46のSA14、24、34、44で受信し、その解析結果に基づきDUTの送信特性を測定する試験(
図7のステップS17参照)。送信試験の一例として、DUTが応答送信する送信信号の出力レベルを測定する試験が挙げられる。
(DUTの受信試験)
制御装置101からDUTに対して受信試験用の試験信号(受信試験用信号)とその受信指令を送信し、この受信指令に基づきDUTが上記受信試験用信号を受信したことにより送ってくる上記受信試験用信号の状況を示す通知内容に基づきDUTの受信特性を測定する試験(
図8のステップS28参照)。上記受信試験用信号は、制御装置101からの制御により無線送受信部16、26、36、46のSG15、25、35、45から出力されるようになっている。受信試験の一例として、DUTの受信感度を測定する試験が挙げられる。
【0064】
トリガ経路変更制御部105は、トリガ経路部5の入力端子51a、52a、53a、54aと、出力端子51b、52b、53b、54bとの間の4×4のトリガ信号経路の組合せの中からユーザが予め設定する任意の組み合わせのトリガ信号経路をトリガ経路部5内に形成するトリガ信号経路変更設定制御を行う部分である。トリガ経路変更制御部105は、本発明のトリガ信号経路変更制御手段を構成する。
【0065】
特に、本実施形態において、トリガ経路変更制御部105は、上述した経路モード設定画面128(
図5参照)でのユーザによる経路設定操作に基づき設定された分配経路モード、または個別経路モードに対応してトリガ信号経路を変更設定するようになっている。これにより、例えば、経路モード設定画面128上で個別経路モードボタン128cが押下された場合、トリガ経路変更制御部105は、
図6(a)に示すように、トリガ経路部5の入力端子51a、52a、53a、54aと、出力端子51b、52b、53b、54bと、がそれぞれ1対1で接続されるようなトリガ信号経路が形成される。この場合、トリガ経路部5では、入力端子51a、52a、53a、54aから入力される各トリガ信号を、それぞれ、出力端子51b、52b、53b、54bから各無線送受信部16、26、36、46へと供給する経路機能を果たすこととなる。
【0066】
また、経路モード設定画面128上で分配経路モードボタン128bが押下された場合、トリガ経路変更制御部105は、
図6(b)に示すように、トリガ経路部5の入力端子51aと、出力端子51b、52b、53b、54bと、が1対4で接続されるようなトリガ信号経路が形成される。この場合、トリガ経路部5では、入力端子51aから入力される1つのトリガ信号を、出力端子51b、52b、53b、54bへと分配し、各無線送受信部16、26、36、46へと供給する経路機能を果たすこととなる。
【0067】
なお、本実施形態によれば、経路モード設定画面128の構成次第で、例えば、
図6(c)に示すように、トリガ経路部5の入力端子51aと出力端子51b及び52bが1対2で接続されるようなトリガ信号経路と、トリガ経路部5の入力端子52aと出力端子53b及び54bが1対2で接続されるようなトリガ信号経路の双方を有するトリガ信号経路を設定することも可能である。また、例えば、
図6(d)に示すように、トリガ経路部5の入力端子51aと出力端子51b、52b及び53bが1対3で接続され、かつ、トリガ経路部5の入力端子52aと出力端子54bが1対1で接続されるようなトリガ信号経路の設定も可能である。
図6(c)に示すトリガ信号経路によれば、トリガ経路部5は、入力端子51aから入力される1つのトリガ信号を出力端子51b及び52bへ分配し、かつ入力端子52aからそれぞれ入力される1つのトリガ信号を出力端子53b及び54bへ分配し、各無線送受信部16、26、36、46へと供給する経路機能を実現できる。また、
図6(d)に示すトリガ信号経路によれば、トリガ経路部5では、入力端子51aから入力される1つのトリガ信号を出力端子51b、52b及び53bへ分配し、かつ入力端子52aからそれぞれ入力される1つのトリガ信号を出力端子54bへ分配し、各無線送受信部16、26、36、46へと供給する経路機能を実現できる。
【0068】
この他、本実施形態においては、経路モード設定画面128の構成を適宜変更することで、入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54b間での4×4(=16)パターンのトリガ信号経路を選択的に設定することができるようになる。
【0069】
送受信開始制御部106は、無線送受信部選択画面122(
図4(b)参照)による送受信開始を実施させる無線送受信部(Slot/TRx)の選択(つまり、Slot/TRx選択ボタン123a、123b、123c、123d、またはALLボタン122aの押下)状況に応じて、DUT8a等、またはDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dでの測定開始のタイミングを制御する送受信開始制御機能を有している。送受信開始制御部106は、例えば、DUT8a等の測定に際し、無線送受信部選択画面122によりSlot/TRx選択ボタン123a、123b、123c、123dを用いてそれぞれ対応する無線送受信部が個別に選択されている場合には、これら各無線送受信部に対する送受信開始を並列に制御する。
【0070】
これに対して、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定に際し、無線送受信部選択画面122により、Slot/TRx選択ボタン123a、123b、123c、123dの押下により所望の2つ以上の無線送受信部(例えば、無線送受信部16、26)が選択されている場合、送受信開始制御部106は、該選択されているそれぞれの無線送受信部に対する送受信開始を同じタイミングで一括制御する。また、送受信開始制御部106は、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする同時測定に際し、無線送受信部選択画面122により、ALLボタン122aが押下されている場合には、全ての無線送受信部16、26、36、46に対する送受信開始を同じタイミングで一括制御するようになっている。このように、本実施形態に係る測定装置1は、ALLボタン122aの押下時に限らず、2つ以上の無線送受信部16、26、36、46が選択されている場合においても同時測定が可能な構成となっている。
【0071】
送受信開始制御部106の上述した送受信開始制御機能による、例えば、DUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する受信特性の同時測定、及びDUT8a等の受信特性の並列測定での受信試験用の試験信号の送信開始制御については、いずれも、試験信号の送信開始制御のトリガとなるトリガ信号がトリガ経路部5を経由して対応する無線送受信部16、26、36、46に供給される。このとき、制御装置101では、トリガ経路変更制御部105が、トリガ経路部5の内部でトリガ信号経路をユーザの設定に応じて変更させる制御を実施するようになっている。
【0072】
上記の点を踏まえ、以下に本実施形態に係る測定装置1での測定処理動作について
図7~
図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0073】
DUT6、DUT8a等の測定を行うには、測定装置1の無線送受信部16、26、36、46に対して測定対象となるDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7d、またはDUT8a等を接続(RF部の接続)するとともに、トリガ信号の供給のための配線を行う(ステップS10)。ここでRF部の接続は、例えば、装置筐体2の正面側に設けられた送受信端子16a、26a、36a、46aを用いて行い、トリガ信号の供給のための配線は、例えば、装置筐体2の裏面側に設けられるトリガ信号の入力ポートにBNCケーブルによりDUT6、またはDUT8a等を接続する方法で実施する。
【0074】
ここでRF部の接続については、例えば、DUT6を測定対象とする場合には、
図2に示すように、測定装置1の無線送受信部16、26、36、46の送受信端子16a、26a、36a、46aに対してDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dをそれぞれ接続する。また、DUT8a、8b、8c、8dを測定対象とする場合には、
図3に示すように、測定装置1の無線送受信部16、26、36、46の送受信端子16a、26a、36a、46aに対してそれぞれDUT8a、8b、8c、8dの送受信端子9を接続する。
【0075】
また、トリガ信号の供給のための配線については、DUT6を測定対象とする場合には例えば、
図2に示す態様で行い、DUT8a、8b、8c、8dを測定対象とする場合には
図3に示す態様で行う。
【0076】
図2において、DUT6はアンテナ端子7a、7b、7c、7dとそれぞれ接続される無線送受信部71、72、73、74を有し、かつ、測定装置1のトリガ信号送受信部61、62、63、64と接続可能なトリガ信号送受信部75を有しているものとする。ここで、トリガ信号送受信部61、62、63、64をそれぞれTrig1、Trig2、Trig3、Trig4と表すものとし、トリガ信号送受信部75をDUT-Trigと表すものとする。また、無線送受信部16、26、36、46をそれぞれRF1、RF2、RF3、RF4と表すものとする。このときのトリガ信号の供給のための配線については、例えば、DUT-RF1とRF1、RF1とTrig1、DUT-TrigとTrig1、DUT-RF2とRF2、RF2とTrig1、DUT-RF3とRF3、RF3とTrig1、DUT-RF4とRF4、RF4とTrig1がそれぞれ接続されることが望ましい。
【0077】
このうち、RF1、RF2、RF3及びRF4とTrig1の接続についてはトリガ経路部5のトリガ信号経路の変更制御(自動制御)により対応できるが、それ以外の接続はユーザが手動で接続する必要がある。
【0078】
図3において、DUT8a、8b、8c、8dは、それぞれ、無線送受信部81a、82a、83a、84aを有し、かつ、測定装置1のトリガ信号送受信部61、62、63、64と接続可能なトリガ信号送受信部81b、82b、83b、84bを有しているものとする。ここで、無線送受信部81a、82a、83a、84aをそれぞれDUT1-RF、DUT2-RF、DUT3-RF、DUT4-RF、またトリガ信号送受信部61、62、63、64をそれぞれTrig1、Trig2、Trig3、Trig4と表すものとし、トリガ信号送受信部81b、82b、83b、84bをそれぞれDUT1-Trig、DUT2-Trig、DUT3-Trig、DUT4-Trigと表すものとする。また、無線送受信部16、26、36、46をそれぞれRF1、RF2、RF3、RF4と表すものとする。このときのトリガ信号の供給のための配線については、例えば、DUT1-RFとRF1、RF1とTrig1、DUT1-TrigとTrig1、DUT2-RFとRF2、RF2とTrig2、DUT2-TrigとTrig2、DUT3-RFとRF3、RF3とTrig3、DUT3-TrigとTrig3、DUT4-RFとRF4、RF4とTrig4、DUT4-TrigとTrig4がそれぞれ接続されることが望ましい。
【0079】
このうち、RF1とTrig1、RF2とTrig2、RF3とTrig3、RF4とTrig4の接続についてはトリガ経路部5のトリガ信号経路の変更性制御により対応可能であるが、それ以外の接続はユーザが手動で接続する必要がある。
【0080】
DUT6、DUT8a等のRF部の接続、及びトリガ信号の供給のための配線が完了した後、例えば、操作部110、あるいは表示部120のタッチパネル機能等を用いて測定条件を設定する(ステップS11)。設定する測定条件としては、試験種別(送信試験、または受信試験)、測定対象周波数帯(通信規格)、無線送受信部(Slot/TRx)の選択、トリガ経路モード(分配経路モード、または個別経路モード)等の各種の項目を設定するようになっている。
【0081】
無線送受信部(Slot/TRx)の選択については、例えば、GUI画面を用いて実施することができる。具体的には、例えば、ステップS11で無線送受信部(Slot/TRx)の選択以外の各項目についての測定条件の設定を終えた後に所定の測定開始操作によって表示部120に表示される測定用画面121(
図4(a)参照)を用いて無線送受信部(Slot/TRx)の選択を行うことができる。
【0082】
測定用画面121を用いた無線送受信部(Slot/TRx)の選択処理動作について
図9を参照して説明する。まず、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを用いて無線送受信部(Slot/TRx)を選択する処理動作について、
図9(a)を参照して説明する。無線送受信部(Slot/TRx)を選択するに際し、設定部103は、測定用画面121上でのユーザによる遷移ボタン121cの押下を受け付けて測定用画面121から無線送受信部選択画面122(
図4(b)参照)の表示に切り替える(ステップS30)。引き続き設定部103は、無線送受信部選択画面122上でのユーザによる所望のSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126a(1つ、または2つ以上)の押下を受け付ける(ステップS31)。その後、設定部103は、ステップS31で押下されたSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応する無線送受信部(Slot/TRx)が選択されている状態を保持する(ステップS32)。具体的に、無線送受信部(Slot/TRx)の選択状態は、他の項目の設定内容とともに、測定条件として、例えば、RAM等の設定項目格納領域に格納される。
【0083】
次に、ALLボタン122aを用いて無線送受信部(Slot/TRx)を選択する動作について、
図9(b)を参照して説明する。この場合、設定部103は、上述した無線送受信部選択画面122を表示した状態で(ステップS30a)、ユーザによるALLボタン122aの押下を受け付ける(ステップS32a)。その後、設定部103は、ステップS31でALLボタン122aが押下されたことに応じて、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aに対応する無線送受信部(Slot/TRx)、すなわち、当該測定装置1に備わる全ての無線送受信部(Slot/TRx)が選択されている状態を保持する(ステップS33a)。ここでの無線送受信部(Slot/TRx)の選択状態は、他の項目の設定内容とともに、測定条件として、例えば、RAM等の設定項目格納領域に格納される。
【0084】
このように、同時測定を行うSlot/TRxは、無線送受信部選択画面122上で、測定を希望するSlot/TRxに対応するSlot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aを2つ以上押下することにより行うことができる(
図9(a)参照)。
【0085】
また、同時測定を行う当該測定装置1に備わる全てのSlot/TRxは、無線送受信部選択画面122上で、ALLボタン122aを押下することにより選択することができる(
図9(b)参照)。
【0086】
また、上記ステップS11でのトリガ経路モードの設定は、経路モード設定画面128(
図5参照)を用いて行うことができる。経路モード設定画面128を用いたトリガ経路モードの設定処理動作について
図10を参照して説明する。トリガ経路モードの設定を行うためには、例えば、操作部110での所定の経路モード設定開始操作を受け付けて設定部103が表示部120に経路モード設定画面128を表示させる(ステップS41)。
【0087】
引き続き、設定部103は、経路モード設定画面128を表示した状態で待機させ、この状態で分配経路モードボタン128b、または個別経路モードボタン128cの操作(押下)を受け付ける(ステップS42)。
【0088】
さらに設定部103は、上記ステップS42で分配経路モードボタン128bの押下を受け付けたか、個別経路モードボタン128cの押下を受け付けたかによって、その押下されたボタンに対応する分配経路モード、または個別経路モードを設定する(ステップS43)。ここで設定された経路モードは、無線送受信部選択画面122による無線送受信部(Slot/TRx)の選択状況(例えば、「2以上のSlot/TRxが選択されているか、選択されていないか」)に関連付けて、
図7のステップS11での他の項目の設定内容とともに、測定条件として、例えば、RAM等の設定項目格納領域に格納される。
【0089】
再び
図7に戻って説明を続ける。上記ステップS11での測定条件の設定が完了すると、引き続き試験実行制御部104は、Singleボタン121aが押下されたか否かをチェックする(ステップS12)。ここでSingleボタン121aが押下されなかった場合(ステップS12でNO)、上記チェックを続行する。これに対し、Singleボタン121aが押下された場合(ステップS12でYES)、試験実行制御部104は、上記設定項目格納領域をサーチし、ステップS11で設定された試験種別がDUTの送信試験または受信試験のいずれであるかを判定する(ステップS13)。ここで、設定された試験種別が送信試験である場合(ステップS13で「送信試験」)、試験実行制御部104はステップS14に進んでDUT6、DUT8a等の送信試験を実施し、設定された試験種別が受信試験である場合(ステップS13で「受信試験」)には、ステップS21に進んでDUT6、DUT8a等の受信試験を実施する。
【0090】
送信試験に移行すると、送受信開始制御部106は、上記設定項目格納領域をサーチし、ステップS11での無線送受信部の選択受け付けに際して、2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されているかどうかをチェックする(ステップS14)。
【0091】
ここで2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていると判定された場合(ステップS14で「選択されている」)、送受信開始制御部106は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機に、測定対象として選択された例えばSlot/TRx(無線送受信部16、26、36、46)に対して、Singleでの受信開始を当該選択されたそれぞれのSlot/TRx相互に同タイミングで実施させるように制御する(ステップS15)。
【0092】
また、上記ステップS14で2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていない(すなわち、1つしか選択されていない)と判定された場合(ステップS14で「選択されていない」)、送受信開始制御部106は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機に、測定対象として選択されているSlot/TRx(例えば、無線送受信部16、26、36、46))に対して、順次、受信開始させるように制御する(ステップS16)。
【0093】
ここで、上記ステップS14と上記ステップS15の間、及び上記ステップS14と上記ステップS16の間のトリガ信号の入力待ち状態について、
図11を参照して説明する。
図11は本実施形態に係る測定装置1における
図7のステップS15、またはステップS16でのトリガ信号の送受信イメージを示している。
図11に示すように、
図7のステップS15、またはステップS16においては、測定装置1のSA14(SA24、SA34、SA44においても同様)が、DUT6(または、DUT8等)から送信されるトリガ信号Stの受信を契機に、DUT6(またはDUT8等)から送信される送信試験用信号(図中の「試験信号」)を受信し、そのとき選択されている無線送受信部(Slot/TRx)の受信開始タイミングを制御する。特に、
図7のステップS15では、そのときに選択されている2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)の受信開始を同タイミングで実施させる。
【0094】
図11に示す例においては、DUT6(またはDUT8等)は、例えば、ステップS12でSingleボタン121aが押下された後、タイミングを見計らってトリガ信号St及び送信試験用信号を送信し(トリガ信号Stなしで送信試験用試験信号を送信する場合もある)、測定装置1側では当該トリガ信号Stの受信を契機に送信試験用信号を受信して
図7のステップS14またはステップS15の受信開始制御を実施する。その変形例としては、例えば、SA14からDUT6(またはDUT8等)に対してトリガ信号Stの送信を促す適宜な信号S0を送信し、DUT6(またはDUT8等)が上記信号S0を受信したことによりトリガ信号StをSA14に送信するようにしてもよい。また、トリガ信号Stは、測定装置1の外部に設けたトリガ信号源(Trigger Source)50からSA14に供給するようにしてもよい。さらには、トリガ信号源50から、送受信開始制御部106とDUT6(またはDUT8等)の両方へ、分配、送出する構成とすることも可能である。トリガ信号Stは、例えば、DUT6(またはDUT8等)の送信試験において当該DUT6(またはDUT8等)が送信する送信試験用信号を受信する契機となる信号ではあるが、該トリガ信号StのSA14に対する供給パターンは上述したように種々のパターンが存在する。
【0095】
上記ステップS15での測定対象として選択されたSlot/TRxへの同タイミングでの受信開始制御により、当該送信試験で測定対象とされるDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dから送出される送信試験用信号を上記全てのSlot/TRxにて同タイミングで受信させながらDUT6の送信特性を測定させる制御が実施される(ステップS17)。
図2においては、全てのSlot/TRxへの同タイミングでの受信開始制御により、これら全てのSlot/TRxにて上記受信試験用信号が同タイミングで受信されるイメージを実線の矢印で示している。
【0096】
同じく、ステップ17においては、上記ステップS16での並列測定の対象として設定された各Slot/TRxに対するSingleボタン121aの押下ごとに実施される個別の受信開始制御により、当該送信試験で測定対象とされるDUT8a、8b、8c、8dから送出される試験信号を対応するSlot/TRxをそれぞれの受信開始制御に対応するタイミングで並列に受信させながらDUT8a、8b、8c、8dの送信特性を測定させる制御が実施される。
【0097】
ステップS17でのDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする送信特性の同時測定、及びDUT8a、8b、8c、8dの送信特性の並列測定が完了すると、その測定結果を取得することが可能となる(ステップS18)。
【0098】
一方で、
図7のステップS13にて試験種別が受信試験であると判定された場合(ステップS13で「受信試験」)、試験実行制御部104は、
図8のステップS21へ進んでDUT6、DUT8a等の受信試験を実施する。
【0099】
受信試験に移行すると、送受信開始制御部106は、上記設定項目格納領域をサーチし、ステップS11での無線送受信部の選択受け付けに際して、2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されているかどうかをチェックする(ステップS21)。
【0100】
ここで2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていると判定された場合(ステップS21で「選択されている」)、トリガ経路変更制御部105は、上記ステップS11で選択した2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)に関連付けて設定されたトリガ経路モード(この例では「分配経路モード」)を取得する(ステップS22)
【0101】
次いで、トリガ経路変更制御部105は、取得したトリガ経路モードが「分配経路モード」であることにより、トリガ経路部5の入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54bとの間のトリガ信号経路の組み合わせが当該「分配経路モード」に対応する、例えば、1対4(
図6(b)参照)となるようにトリガ信号経路を変更する制御を実施する(ステップS23)。
【0102】
ステップS23でトリガ経路部5が1対4の関係となるトリガ信号経路に変更制御された後、さらに送受信開始制御部106は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機に、測定対象として選択された例えばSlot/TRx(無線送信部16、26、36、46)に対して、送信開始をこれら全てのSlot/TRx相互に同タイミングで実施させるように制御する(ステップS24)。
【0103】
また、上記ステップS21にて、2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)が選択されていないと判定された場合(ステップS21で「選択されていない」)、トリガ経路変更制御部105は、上記ステップS11で選択した1つの無線送受信部(Slot/TRx)に関連付けて設定されたトリガ経路モード(この例では「個別経路モード」)を取得する(ステップS25)。
【0104】
次いで、トリガ経路変更制御部105は、取得したトリガ経路モードが「個別経路モード」であることにより、トリガ経路部5の入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54bとの間のトリガ信号経路の組み合わせが当該「個別経路モード」に対応する1対1(
図6(a)参照)となるようにトリガ信号経路を変更する制御を実施する(ステップS26)。
【0105】
ステップS26でトリガ経路部5が1対1の関係となるトリガ信号経路に変更制御された後、さらに送受信開始制御部106は、トリガ信号の入力を待ち、該トリガ信号の受信を契機に、測定対象として設定されたSlot/TRx(例えば、無線送信部16、26、36、46))に対して、順次、送信開始させるように制御する(ステップS27)。
【0106】
ここで、上記ステップS23と上記ステップS24の間、及び上記ステップS26と上記ステップS27の間のトリガ待ち状態について、
図12を参照して説明する。
図12は本実施形態に係る測定装置1における
図8のステップS24、またはステップS27でのトリガ信号の送受信イメージを示している。
図12に示すように、
図8のステップS24、またはステップS27においては、測定装置1のSG15(SG25、35、45においても同様)が、DUT6(または、DUT8等)から送信されるトリガ信号Stの受信を契機に、そのとき選択されている無線送受信部(Slot/TRx)からDUT6(またはDUT8等)に対する受信試験用信号(図中の「試験信号」)の送信開始タイミングを制御する。特に、
図5のステップS24では、そのときに選択されている2つ以上の無線送受信部(Slot/TRx)の送信開始を同タイミングで実施させる。
【0107】
図12に示す例においては、DUT6(またはDUT8等)は、例えば、ステップS12でSingleボタン121aが押下された後、タイミングを見計らってトリガ信号Stを送信し、測定装置1側では当該トリガ信号Stの受信を契機に受信試験用信号を送信させるように
図8のステップS24またはステップS27の送信開始制御を実施する。その変形例としては、例えば、SG15からDUT6(またはDUT8等)に対してトリガ信号Stの送信を促す適宜な信号S0を送信し、DUT6(またはDUT8等)が上記信号S0を受信したことによりトリガ信号StをSG15に送信するようにしてもよい。トリガ信号Stは、測定装置1の外部に設けたトリガ信号源(Trigger Source)50からSG15に供給するようにしてもよい。トリガ信号Stは、例えば、DUT6(またはDUT8等)の受信試験において当該DUT6(またはDUT8等)に対して受信試験用信号を送信する契機となる信号ではあるが、該トリガ信号StのSG15に対する供給パターンは上述したように種々のパターンが存在する。
【0108】
上記ステップS24での測定対象として選択された、例えば、当該測定装置1が備える全てのSlot/TRxへの同タイミングでの送信開始制御により、当該受信試験のための試験信号を上記全てのSlot/TRxから同タイミングで送信させながら、当該受信試験で測定対象とされるDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dでの上記試験信号の受信状況を収集するDUT6の受信特性の同時測定制御が実施される(ステップS28)。
図2においては、全てのSlot/TRxから同タイミングで試験信号が送信され、送信された全ての試験信号が同タイミングでDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dでそれぞれ受信されるイメージを点線の矢印で示している。
【0109】
同じく、ステップS28では、上記ステップS27での並列測定の対象として設定された各Slot/TRxに対するSingleボタン121aの押下ごとに個別に実施される送信開始制御により、送受信開始制御部106では、当該受信試験での測定対象とされるDUT8a、8b、8c、8dに対して受信試験用信号を対応するSlot/TRxからそれぞれの送信開始制御に対応するタイミングで並列に送信させながらDUT8a、8b、8c、8dの受信特性を測定させる制御が実施される。
【0110】
ステップS28でのDUT6のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを対象とする受信特性の同時測定、及びDUT8a、8b、8c、8dの受信特性の並列測定が完了すると、その測定結果を取得することが可能となる(ステップS29)。
【0111】
なお、
図7、及び
図8に示す送信特性、及び受信特性の同時測定については、DUT6の全てのアンテナ端子7a、7b、7c、7dを測定対象とする例を挙げているが、そのうちの少なくとも2つ以上の組を測定対象として設定することが可能である。
図7、及び
図8に示す送信特性、受信特性の並列測定についても、DUT8a、8b、8c、8dを測定対象とすることに限らず、そのうちの2つ以上を対象とすることが可能である。
【0112】
次に、本実施形態に係る測定装置1と従来装置の構成及び制御機能について比較、検討する。
【0113】
本実施形態に係る測定装置1の運用においては、DUT6として、例えば、複数のアンテナ端子を備えたMIMO方式の基地局装置を対象に、その送信特性、及び受信特性の同時測定を行う基地局測定装置としての運用が想定される。ここで基地局装置が、例えば、時分割複信(TDD:Time Domain Duplex)の通信方式を採用しているものとすると、基地局測定装置による測定実行中、一定時間に限って無線信号を送信するタイミングにおいて、各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに接続されたそれぞれのアンテナからは同じ時刻に無線信号が送信されている状況が考えられる。
【0114】
上述したMIMO方式の基地局装置では、通常、基地局装置送信試験を行う際には、各アンテナ端子から、それぞれに対応した試験信号を送信する。このとき、基地局測定装置は、基地局装置の各アンテナ端子が試験信号を送信した時刻及びその差分を解析する必要がある。同様に、基地局受信試験を行う際には、基地局測定装置は、各送受信部から、同時刻に試験信号を送信する必要がある。
【0115】
この種の従来の基地局測定装置では、ユーザが、当該装置に複数設けられる送受信部のそれぞれについて、対応する試験信号の設定、測定開始の制御、などを行っていた。具体的には、例えば、
図4(a)に示す測定用画面121に相当する画面上で、基地局測定装置の測定対象のSlot/TRxにその都度基地局測定のアンテナ端子を繋ぎ替え、その都度、Singleボタン121aを押下する測定作業を複数回繰り返すようになっていた。この従来の基地局測定装置の構成によれば、送受信部ごとの測定開始時刻を揃えることが難しく、基地局試験の結果において時間方向の測定誤差の要因となっていた。また、制御対象の送受信部を切り替えるための作業時間を必要とした。
【0116】
これに対して、本実施形態に係る測定装置1では、上述の基地局装置を測定対象とする場合、測定用画面121から遷移可能な無線送受信部選択画面122(
図4(b)参照)上で、例えば、ALLボタン122aを押下する操作、または、Slot/TRx選択ボタン123a、124a、125a、126aのうち2つ以上を押下する操作を行うことで、全てのSlot/TRx、または押下した2つ以上のSlot/TRx選択ボタンにそれぞれ対応するSlot/TRxを測定対象として選択することができ、その測定対象とするSlot/TRxに対して同タイミングで送信開始させる制御、または受信開始させる制御を実施することができる。このように、測定対象の基地局装置を対象に一括して複数のSlot/TRx(無線送受信部16、26、36、46)に測定を開始させるようにしたことで、無線送受信部16、26、36、46ごとの測定開始時刻を揃えることができ、時間方向の測定誤差の低減することが可能となる。さらには、制御対象の無線送受信部16、26、36、46を切り替えるために使っていた作業時間を短縮することができるという利点も生まれる。
【0117】
また、本実施形態に係る測定装置1では、経路モード設定画面128(
図5参照)用い、無線送受信部選択画面122でのSlot/TRxの選択(例えば、同時測定を行うための2以上のSlot/TRxが選択されている、選択されていない)に関連付けて、トリガ経路部5の入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54bの間の4×4のトリガ信号経路の組合せの中から任意の組み合わせのトリガ信号経路を設定し、その設定したトリガ信号経路へと変更するトリガ経路変更制御機能(トリガ経路変更制御部105)を有している。
【0118】
このトリガ経路変更制御機能によれば、例えば、
図8のステップS23においては、トリガ経路部5内部に、例えば、
図6(b)に示すような入力側対出力側で1対4の対応関係となるトリガ信号経路を形成し、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dに対する受信特性の同時測定を行うことができる。このときのトリガ信号を供給するための配線(装置筐体2の外回りでの配線)は、例えば、
図2に示すように、一本のBNCケーブル80で済むことになる。この構成によれば、1つのトリガ信号を4つに分配して供給する従来の測定装置200(
図14参照)に比べると、接続が容易で手間も大幅に削減できるようになる。
【0119】
また、上記トリガ経路変更制御機能によれば、例えば、
図8のステップS26においては、トリガ経路部5内部に、例えば、
図6(a)に示すような入力側対出力側で1対1の4つのトリガ信号経路を形成し、DUT8a、8b、8c、8dの各受信特性の並列測定を行うことができる。このときのトリガ信号を供給するための配線(装置筐体2の外回りでの配線)は、例えば、
図3に示すように、4本のBNCケーブル80a、80b、80c、80dが必要となる。この構成によれば、1つのトリガ信号を4つに分配して供給する従来の測定装置200に比べて(
図14とは逆にトリガアウトプットから4分配する形態となる)、接続が容易であることはもちろんであるが、従来の測定装置200で不可能であった運用、すなわち、並列測定中、既に測定完了したDUTを次に測定するDUTに取り換えるような運用が容易に実現できるようになる。
【0120】
このように、本実施形態に係る測定装置1のトリガ経路変更制御機能を有する構成によれば、構造及び接続を煩雑化させることなく、アンテナが一つのDUTの並列測定と、複数のアンテナ端子を有するDUT(単体)の各アンテナ端子の同時同時測定との間の転用に容易に対応できるようになる。
【0121】
なお、上記実施形態では、時分割複信通信方式を採用した基地局測定装置を対象とする同時測定を主体に説明したが、本発明は、時分割複信通信方式を採用したものに限らず、周波数分割方式等、他の通信方式の基地局測定装置を対象とする同時測定に対応可能である。
【0122】
また、上記実施形態では、第1の被測定対象物として、例えば、4つのアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有し、それぞれに接続された各アンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置を対象(DUT6)に同時測定を行う例について述べているが、2以上のアンテナ端子を備えた基地局装置の測定にも適用可能である。
【0123】
また、上記実施形態では、第1の被測定対象物として、単一の送受信端子9に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局装置(DUT8a等)を対象に並列測定を行う例について述べているが、これに限らず、単一の送受信端子に接続されたアンテナにより無線送受信を行う携帯端末を第1の被測定対象物として並列接続を行うことも可能である。
【0124】
また、上記実施形態では、測定装置1の測定部10、20、30、40が、それぞれ、独立した4筐体で構成されている例を挙げているが、これら測定部10、20、30、40が1筐体で構成されていてもよい。
【0125】
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置1は、複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有するDUT6、または送受信端子9を備えた複数のDUT8a、8b、8c、8dとの間でそれぞれ無線信号を送受信してDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの送受信特性の同時測定、または各々のDUT8a、8b、8c、8dの送受信特性の並列測定を行なう測定装置1であってDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7d、または各々のDUT8a、8b、8c、8dの送受信端子9に接続可能なSG15、25、35、45及びSA14、24、34、44を各々有する複数の無線送受信部16、26、36、46と、上記受信特性の測定に際し、複数の無線送受信部16、26、36、46からDUT6、またはDUT8a、8b、8c、8dに受信試験用信号を送信するタイミングを制御するためのトリガ信号を送受信する複数のトリガ信号送受信部61、62、63、64と、複数のトリガ信号送受信部61、62、63、64からトリガ信号をそれぞれ入力するn個の入力端子51a、52a、53a、54aと、入力したトリガ信号を複数の無線送受信部16、26、36、46へそれぞれ出力するn個の出力端子51b、52b、53b、54bを有するトリガ経路部5と、トリガ経路部5内部のトリガ信号経路を、入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54bの間のn×nの信号経路の組合せの中から予め設定された任意の組み合わせに変更制御するトリガ経路変更制御部105と、を有する構成である。
【0126】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、トリガ経路部5におけるトリガ信号の入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54b間の組み合わせを内部処理によって変更し、入力側対出力側を1対1から1対複数までの間の任意の組み合わせでトリガ信号経路を変更することができ、DUT8a、8b、8c、8dの並列測定にも、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの同時測定にも容易に転用可能となる。特に、並列測定時には、各DUT8a、8b、8c、8dに1対1で対応して個々のトリガ信号経路を形成しておくことで、測定完了した例えばDUT8aを例えばDUT8b、8c、8dの測定を邪魔することなく次に測定する同種のDUTへと簡単に交換することができ、効率の良い測定作業を実現することができる。
【0127】
また、本実施形態に係る測定装置1において、トリガ経路変更制御部105は、トリガ経路部5内部のトリガ信号経路を、送信端子側対受信端子側の比で、1対1をn経路から、1対nを1経路までの間のいずれか1つの組み合わせに変更可能な構成である。
【0128】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、トリガ経路部5内部のトリガ信号経路を、送信端子側対受信端子側の比で1対1から1対nまでの間で変更することができ、アンテナ端子がn個までのDUT6の各アンテナ端子に対する同時測定から、n個のDUT8a等の並列測定まで広く兼用することができる。
【0129】
また、本実施形態に係る測定装置1において、トリガ経路部5の出力端子51b、52b、53b、54bは、装置筐体2の前面に設けられる無線送受信部16、26、36、46の送受信端子16a、26a、36a、46aに接続されるとともに、入力端子51a、52a、53a、54aは、装置筐体2の裏面に設けられるトリガ信号の入力ポート61a、61b、61c、61dに接続され、トリガ経路変更制御部105は、入力ポート61a、61b、61c、61dから入力するトリガ信号を送受信端子16a、26a、36a、46aへと送出する構成を有する。
【0130】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの送受信特性の同時測定、または各々のDUT8a、8b、8c、8dの送受信特性の並列測定のいずれに際しても、装置筐体2の裏面側でのトリガ信号の入力ポート61a、61b、61c、61dに対するBNCケーブルの配線作業を簡略化することが可能となる。
【0131】
また、本実施形態に係る測定装置1は、トリガ経路部5の入力側の1つの経路から出力側のn個の経路にトリガ信号を分配して供給する分配経路モードを指定する分配経路モードボタン128bと、入力側と出力側のn個の経路を個別に使ってトリガ信号を供給する個別経路モードを指定する個別経路モードボタン128cと、有するGUI画面である経路モード設定画面128を表示し、分配経路モードボタン128b、または個別経路モードボタン128cの操作に応じて任意の組み合わせを設定する設定部103を、さらに有する構成である。
【0132】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、GUI画面(経路モード設定画面128)上で分配経路モードボタン128b、または個別経路モードボタン128cを用いて簡単に分配経路モード、または個別経路モードを設定することができる。
【0133】
また、本実施形態に係る測定装置1は、DUT6として、複数のアンテナ端子にそれぞれ接続されたアンテナにより無線送受信を行うMIMO方式の基地局装置の測定を行い、DUT8a、8b、8c、8dとして、各送受信端子9に接続されたアンテナにより無線送受信を行うSISO方式の基地局、または携帯端末の測定を行う構成である。
【0134】
この構成により、本実施形態に係る測定装置1は、MIMO通信方式の基地局装置の複数のアンテナに対する同時測定、またはSISO通信方式の基地局、若しくは携帯端末の並列測定に容易に対応可能であり、同時測定か並列測定に応じてトリガ経路部5内部のトリガ信号経路を変更制御することにより従来装置に比べて接続作業が簡単に行える。
【0135】
また、本実施形態に係る測定方法は、上述した各構成を有する測定装置1を用い、複数のアンテナ端子7a、7b、7c、7dを有するDUT6、または送受信端子9を備えた複数のDUT8a、8b、8c、8dとの間でそれぞれ無線信号を送受信してDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの送受信特性の同時測定、または各々のDUT8a、8b、8c、8dの送受信特性の並列測定を行なう測定方法であって、複数の無線送受信部16、26、36、46に対し、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7d、または各々のDUT8a、8b、8c、8dの送受信端子9をそれぞれ接続する接続ステップ(S10)と、DUT6の受信特性の同時測定、または各々のDUT8a、8b、8c、8dの受信特性の並列測定に際し、トリガ経路部5内部のトリガ信号経路を、入力端子51a、52a、53a、54a、・・・と出力端子51b、52b、53b、54b・・・の間のn×nの信号経路の組合せの中から予め設定された任意の組み合わせに変更制御するトリガ信号経路変更制御ステップ(S23、S26)と、トリガ経路部5内部の変更されたトリガ信号経路により供給されるトリガ信号の入力を契機に複数の無線送受信部16、26、36、46がDUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7d、または各々の8a、8b、8c、8dに対して受信試験用信号を送信開始する送信開始ステップ(S24、S27)と、を含む構成を有する。
【0136】
この構成により、本実施形態に係る測定方法は、上述した各構成を有する測定装置1を用いることで、トリガ経路部5におけるトリガ信号の入力端子51a、52a、53a、54aと出力端子51b、52b、53b、54b間の組み合わせを内部処理によって変更し、入力側対出力側を1対1から1対複数までの間の任意の組み合わせでトリガ信号経路を変更することができ、DUT8a、8b、8c、8dの並列測定にも、DUT6の各アンテナ端子7a、7b、7c、7dの同時測定にも容易に転用可能となる。特に、並列測定時には、各DUT8a、8b、8c、8dに1対1で対応して個々のトリガ信号経路を形成しておくことで、測定完了した例えばDUT8aを例えばDUT8b、8c、8dの測定を邪魔することなく次に測定する同種のDUTへと簡単に交換することができ、効率の良い測定作業を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
以上のように、本発明に係る測定装置、及び測定方法は、トリガ信号経路を装置内部で変更でき、複数の被測定対象物の並列測定と複数のアンテナ端子に対する同時測定との転用が容易で、しかも並列測定中の被測定対象物の交換にも簡単に対応可能であるという効果を奏し、並列測定と同時測定の転用が見込まれる基地局装置等の送受信特性を測定する測定装置、及び測定方法全般に有用である。
【符号の説明】
【0138】
1 測定装置
5 トリガ経路部(信号経路手段)
6 DUT(第1の被測定対象物)
7a、7b、7c、7d アンテナ端子
8a、8b、8c、8d DUT(第2の被測定対象物)
9 送受信端子
14、24、34、44 無線受信部
15、25、35、45 無線送信部
16、26、36、46 無線送受信部
16a、16b、16c、16d 送受信端子
51a、52a、53a、54a 入力端子
51b、52b、53b、54b 出力端子
61、62、63、64 トリガ信号送受信部
61a、61b、61c、61d 入力ポート
103 設定部(設定手段、組合せ設定手段)
105 トリガ経路変更制御部(トリガ信号経路変更制御手段)
128 経路モード設定画面(GUI画面)
128b 分配経路モードボタン(分配経路モード指定ツール)
128c 個別経路モードボタン(個別経路モード指定ツール)