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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155699
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】多目的車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20231016BHJP
   B60K 5/04 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B62D21/00 B
B60K5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065181
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮太
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA21
3D203BA02
3D203BA13
3D203BC36
3D203CB33
3D203DA73
3D203DA83
3D235AA11
3D235BB27
3D235BB32
3D235CC07
3D235DD04
3D235DD08
3D235EE04
3D235EE18
3D235FF02
3D235FF32
3D235FF34
(57)【要約】
【課題】車両重量の増加や乗員空間の圧迫を伴わずに、凹凸路面の走行時における操縦安定性や乗り心地の悪化が抑制される多目的車両を提供する
【解決手段】多目的車両は、エンジンと変速装置とを含むパワーユニットと、左右一対の後車輪と、左右一対の主サイドメンバ1とクロスメンバとを含むフレームユニットと、後車輪を支持するリアサスペンションと、後車輪の車軸より車体前後方向前方でフレームユニットに固定された前ポストユニットと、後車輪に車軸より車体前後方向後方でフレームユニットに固定された後ポストユニットと、パワーユニットをフレームユニットの上方に位置する後車輪車軸より高い位置でマウントするように、前ポストユニットと後ポストユニットとに装着されるマウントユニットを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと変速装置とを含むパワーユニットと、
左右一対の後車輪と、
左右一対の主サイドメンバと前記主サイドメンバに連結しているクロスメンバとを含むフレームユニットと、
前記後車輪を支持するリアサスペンションと、
後車輪車軸より車体前後方向前方で前記フレームユニットに固定された前ポストユニットと、
前記後車輪車軸より車体前後方向後方で前記フレームユニットに固定された後ポストユニットと、
前記パワーユニットを前記フレームユニットの上方に位置する前記後車輪車軸より高い位置でマウントするように、前記前ポストユニットと前記後ポストユニットとに装着されるマウントユニットと、
を備えた多目的車両。
【請求項2】
前記パワーユニットは前記リアサスペンションより高い位置で前記マウントユニットによってマウントされている請求項1に記載の多目的車両。
【請求項3】
前記前ポストユニットは、車体横断方向で互いに間隔をあけて配置された左前支持部と右前支持部とからなり、前記後ポストユニットは、車体横断方向の中央領域に配置された中央後支持部からなり、前記マウントユニットは、前記左前支持部に支持された左前マウントと、前記右前支持部に支持された右前マウントと、前記中央後支持部に支持された中央後マウントとからなる請求項1または2に記載の多目的車両。
【請求項4】
前記左前マウントと前記右前マウントとは、前記中央後マウントより高い位置に配置されている請求項3に記載の多目的車両。
【請求項5】
前記前ポストユニットは、車体横断方向の中央領域に配置された中央前ポストからなり、前記後ポストユニットは、車体横断方向で互いに間隔をあけて配置された左後ポストと右後ポストとからなり、前記マウントユニットは、前記中央前ポストに支持された中央前マウントと、前記左後ポストに支持された左後マウントと、前記右後ポストに支持された右後マウントとからなる請求項1または2に記載の多目的車両。
【請求項6】
前記中央前マウントは、前記左後マウントと前記右後マウントとより高い位置に配置されている請求項5に記載の多目的車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと変速装置とを含むパワーユニットがフレームユニットに支持されている多目的車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1による多目的車両では、エンジンと、変速装置と、エンジン及び変速装置の左右一側方に位置してエンジン動力を変速装置に伝動するベルト式無段変速装置とからなる原動部が、メインフレームの後部を構成する後部フレームに支持されている。後部フレームは、左右のサイドメンバ、左右のサイドメンバを連結する複数のクロスメンバを有している。後部フレームの後部には、左右の後車輪を支持する左右のリアサスペンションが設けられている。
【0003】
特許文献2には、モノコックタイプのフロア構造が開示されている。そのフロア構造は、フロアパネルと、フロアパネルの両側部に接合されたサイドメンバとしての左右のサイドシルと、左右のサイドシルの間に配置されたクロスメンバとを有している。さらに、サイドシルとクロスメンバとにより形成される角部には、サイドシルおよびクロスメンバに対し斜めに接合された補強部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-013691号公報
【特許文献2】特開2006-297966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1による多目的車両のサイドメンバには、リアサスペンションを介して凹凸路面からの衝撃力(荷重や振動)が伝達され、この衝撃力がクロスメンバやピラーに伝達されると、車体全体が変形し、操縦安定性や乗り心地が悪化する。この問題を解決するためには、特許文献2に開示されているように、補強部材を追加することが考えられる。また、サイドメンバやクロスメンバの材料断面を大きくすること、補強部材を追加すること、パネルの板厚を大きくすることなども考えられる。しかしながら、このような解決策は、車両重量の増加、コストの増大、乗員空間の圧迫、などの問題を招く。
【0006】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、車両重量の増加や乗員空間の圧迫を伴わずに、凹凸路面の走行時における操縦安定性や乗り心地の悪化が抑制される多目的車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による多目的車両は、エンジンと変速装置とを含むパワーユニットと、左右一対の後車輪と、左右一対の主サイドメンバと前記主サイドメンバに連結しているクロスメンバとを含むフレームユニットと、前記後車輪を支持するリアサスペンションと、後車輪車軸より車体前後方向前方で前記フレームユニットに固定された前ポストユニットと、前記後車輪車軸より車体前後方向後方で前記フレームユニットに固定された後ポストユニットと、前記パワーユニットを前記フレームユニットの上方に位置する前記後車輪車軸より高い位置でマウントするように、前記前ポストユニットと前記後ポストユニットとに装着されるマウントユニットとを備える。
【0008】
この構成では、パワーユニットが、サイドメンバとクロスメンバとからなるフレームユニットより高い位置となる後車輪車軸より高い位置で、マウントユニットを介して前ポストユニットと後ポストユニットとに支持される。つまり、前ポストユニットと後ポストユニットとに装着されるマウントユニット(マウント点)によって規定されるパワーユニット載置面がフレームユニットによって規定されるフレーム面の上方に位置する。これにより拡大された、パワーユニット載置面とフレーム面との間の空間が、パワーユニットの中核部の配置空間として利用される。さらには、パワーユニットが高い剛性を有することから、フレーム面に配置されたフレームユニットと、パワーユニット載置面に配置されたパワーユニットと、フレームユニットとパワーユニットとを連結する前ポストユニット及び後ポストユニットとの三者が作り出す三次元構造が、後車輪を支持する車両構造を強化する。その結果、車両重量の増加や乗員空間の圧迫をほとんど伴わずに、凹凸路面の走行時における操縦安定性や乗り心地の悪化が抑制される。
【0009】
パワーユニットは、リアサスペンションの近くに配置されるので、パワーユニットとリアサスペンションとの干渉を避けるためには、構造上の種々の制約が生じる。この問題は、パワーユニットがリアサスペンションの上方に位置することで、少なくとも部分的には、解決可能である。このことから、本発明の実施形態の1つでは、前記パワーユニットは前記リアサスペンションより高い位置で前記マウントユニットによってマウントされている。
【0010】
前ポストユニットと後ポストユニットとに装着されるマウントユニット(マウント点)によって規定されるパワーユニット載置面が大きくなると、パワーユニット以外の他の構成部材の配置空間が圧迫される。このため、パワーユニット載置面の抑制とマウントユニットの安定的な支持とを両立させるための、好適な解法は、パワーユニット載置面を実質的に三角形状とすること、つまり実質的に3つのマウント点でパワーユニットを支持することである。このことから、本発明の実施形態の1つでは、前記前ポストユニットは、車体横断方向で互いに間隔をあけて配置された左前支持部ユニットと右前支持部ユニットとからなり、前記後ポストユニットは、車体横断方向の中央領域に配置された中央後支持部ユニットからなり、前記マウントユニットは、前記左前支持部ユニットに支持された左前マウント(左マウント点)と、前記右前支持部ユニットに支持された右前マウント(右マウント点)と、前記中央後支持部ユニットに支持された中央後マウント(中央マウント点)とからなる。
【0011】
パワーユニットにおいて、エンジンは、変速装置に比べて、高さ方向で大きな空間を必要とする。エンジンが車体の中央寄りに配置される場合での、本発明の実施形態の1つでは、前記左前マウントと前記右前マウントとは、前記中央後マウントより高い位置に配置されている。この構成では、パワーユニット載置面とフレーム面との間の空間における前側の空間が、パワーユニット載置面とフレーム面との間の空間における後側の空間より大きくなり、エンジン主要部の配置に適した空間となる。
【0012】
3つのマウント点でパワーユニットを支持するための、本発明の実施形態の他の1つでは、前記前ポストユニットは、車体横断方向の中央領域に配置された中央前ポストユニットからなり、前記後ポストユニットは、車体横断方向で互いに間隔をあけて配置された左後ポストユニットと右後ポストユニットとからなり、前記マウントユニットは、前記中央前ポストユニットに支持された中央前マウントと、前記左後ポストユニットに支持された左後マウントと、前記右後ポストユニットに支持された右後マウントとからなる。この構成は、エンジンが車体の後部に配置される場合に好適である。その際、前記中央前マウントが、前記左後マウントと前記右後マウントとより高い位置に配置されると、パワーユニット載置面とフレーム面との間の空間における後側の空間が、パワーユニット載置面とフレーム面との間の空間における前側の空間より大きくなり、エンジン主要部の配置に好適な空間となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】エンジンが車体の中央寄りに配置される多目的車両における本発明の第1の基本概念を説明する側面図である。
図2】エンジンが車体の中央寄りに配置される多目的車両における本発明の第1の基本概念を説明する底面図である。
図3】エンジンが車体の後部に配置される多目的車両における本発明の第2の基本概念を説明する側面図である。
図4】エンジンが車体の後部に配置される多目的車両における本発明の第2の基本概念を説明する底面図である。
図5】多目的車両の実施形態の1つを示す側面図である。
図6図5で示した多目的車両の平面図である。
図7】多目的車両のパワートレインを示す模式図である。
図8】エンジンと変速装置とフレームユニットとの位置関係を示す側面図である。
図9】前ポストユニットを示す正面図である。
図10】後ポストユニットを示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
なお、本明細書では、特に断りがない限り、「前」は機体前後方向(走行方向)に関して前方を意味し、「後」は機体前後方向(走行方向)に関して後方を意味する。また、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)を意味する。「上」または「下」は、機体の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示す。
【0015】
本発明による多目的車両の具体的な実施形態を説明する前に、図1図4を用いて、多目的車両のパワーユニットを支持するフレーム構造FSに関する本発明の基本概念を説明する。なお、パワーユニットは、車両のパワートレインの主構成要素であり、図5図6図7を用いて、詳しく説明される。図1(側面図)と図2(底面図)は、エンジンが車体の中央寄りに配置されるパワーユニットが搭載される多目的車両のフレーム構造FSを示し、図3(側面図)と図4(底面図)は、エンジンが車体の後部に配置されるパワーユニットを備えた多目的車両のフレーム構造FSを示す。なお、図1図4において、パワーユニットをマウントする位置であるマウント点が黒丸で示されている。
【0016】
フレーム構造FSは、左右一対の主サイドメンバ1と、左右の主サイドメンバ1を連結している複数のクロスメンバ2と、主サイドメンバ1の後部上方を機体長手方向に延びている上サイドメンバ3とを備えている。主サイドメンバ1は、前サイドメンバ1fと後サイドメンバ1rとからなる。
【0017】
図1図2とに示された第1の基本概念では、パワーユニットをマウントする位置であるマウント点が3つ示されている。これらの3つのマウント点は、図2に示されているように、左側の後サイドメンバ1rの前端周辺領域の上方に位置する左前マウント点LFMPと、右側の後サイドメンバ1rの前端周辺領域の上方に位置する右後マウント点RRMPと、左右の後サイドメンバ1rの後端周辺領域の間の中央の上方に位置する中央後マウント点CRMPとである。左前マウント点LFMPと右前マウント点RFMPの地上高さは実質的に同じであり、左前マウント点LFMP及び右前マウント点RFMPの地上高さは、中央後マウント点CRMPの地上高さより高くなっている。図2に示されている、右前マウント点RFMPと左前マウント点LFMPと中央後マウント点CRMPとを頂点とする三角形(パワーユニット載置面と称する)と、左右の後サイドメンバ1rによって規定されるエリア(フレーム面と称する)との間の空間に、パワーユニットの主要部が配置される。
【0018】
図3図4とに示された第2の基本概念では、パワーユニットをマウントする位置であるマウント点が3つ示されている。これらの3つのマウント点は、図4に示されているように、左側の後サイドメンバ1rの後端周辺領域の上方に位置する左後マウント点LRMPと、右側の後サイドメンバ1rの後端周辺領域の上方に位置する右後マウント点RRMPと、左右の後サイドメンバ1rの前端周辺領域の間の中央の上方に位置する中央前マウント点CFMPとである。左後マウント点LRMPと右後マウント点RRMPの地上高さは実質的に同じであり、中央前マウント点CFMPの地上高さは、左後マウント点LRMP及び右後マウント点RRMPの地上高さより高くなっている。図4に示されている、中央前マウント点CFMPと左後マウント点LRMPと右後マウント点RRMPとを頂点とする三角形(パワーユニット載置面)と、左右の後サイドメンバ1rによって規定されるエリア(フレーム面と称する)との間の空間に、パワーユニットの主要部が配置される。
【0019】
第1の基本概念と第2基本概念とのどちらであっても、高い剛性を有するパワーユニットが後サイドメンバ1rより上方の3つのマウント点でマウントされることで、パワーユニット自体が、車体後部のフレーム構造FSにおける剛性強化部材として機能する。
【0020】
次に、本発明による多目的車両の具体的な実施形態の1つを説明する。図5は、多目的車両の側面図であり、図6は平面図である。この実施形態の多目的車両は、上述した本発明の第1の基本概念を採用している。
【0021】
この多目的車両には、駆動可能且つ操向操作可能な走行装置としての左右一対の前車輪11と、駆動可能な走行装置としての左右一対の後車輪12とが備えられている。多目的車両の走行機体は、左右一対の前車輪11及び左右一対の後車輪12により走行可能に構成されている。前車輪11と後車輪12とは、クロスメンバ2によって補強された主サイドメンバ1によって支持されている。走行機体の中央部には、操縦者が搭乗して運転操作を行う運転部13が備えられている。走行機体の後部には、荷を積載可能な荷台14が備えられている。走行機体における荷台14よりも下方には、パワーユニット15が備えられている。
【0022】
左右一対の主サイドメンバ1と、左右一対の主サイドメンバ1を連結するクロスメンバ2とによって、フレームユニットが構成されている。左右一対の主サイドメンバ1は、前サイドメンバ1fと、後サイドメンバ1rと有する。後サイドメンバ1rの上方には、上サイドメンバ3が、後サイドメンバ1rが配置されている。左右一対の後サイドメンバ1rと上サイドメンバ3と後サイドメンバ1rとは、上サイドメンバ3もクロスメンバ2によって補強されている。
【0023】
運転部13は、枠状のロプスフレーム16で囲まれて保護されている。運転部13には、操縦者が着座する運転座席17が備えられている。また、運転部13には、運転者によって操作される操作具として、ステアリングハンドル18、変速操作具、走アクセルペダル、ブレーキペダル、パーキングレバー等が備えられている。
【0024】
図7には、この多目的車両のパワートレインを構成するパワーユニット15が示されている。パワーユニット15には、水冷式のガソリンエンジン(「エンジン」の一例;以下、エンジン23と略称する)、ベルト式無段変速機構29、ギヤ変速装置であるトランスミッション24が含まれている。エンジン23からの動力は、ベルト式無段変速機構29とトランスミッション24とによって変速され、走行装置に伝達される。
【0025】
エンジン23は、クランク軸が機体横向きになる姿勢で配置されている。エンジン23には、クランク軸と一体の主出力軸25及びクランク軸と一体の副出力軸26が備えられている。主出力軸25の出力は、ベルト式無段変速機構29に入力される。副出力軸26の出力は、オルタネータ等で構成される発電機28を駆動する。
【0026】
ベルト式無段変速機構29の出力を入力するトランスミッション24には、ギヤ式変速装置30、左右の後車輪12の間に速度差を作り出すことが可能な後車輪差動機構31、左右の前車輪11の間に速度差を作り出すことが可能な前輪差動機構32等が備えられている。後車輪差動機構31は、ファイナルギヤ41から入力した動力を、夫々、機体左右方向に沿って延びる後車輪駆動軸43を介して、左右の後車輪12の後車輪車軸に出力する。ギヤ式変速装置30は、ベルト式無段変速機構29から入力した動力を変速して、後車輪12側に連動連結されるファイナルギヤ41、及び、前車輪11側に連動連結可能な動力取出軸42に出力可能となっている。トランスミッション24は、ミッションケース33で覆われており、ミッションケース33は、エンジン23及びベルト式無段変速機構29と連結されている。特に、エンジン23とトランスミッション24とは、1つの剛性の高い構造体を構成している。
【0027】
図8に示されているように、後サイドメンバ1rとクロスメンバ2とによって構成される下側のフレームユニットと、上サイドメンバ3とクロスメンバ2とによって構成される上側のフレームユニットとを連結する左右一対の前ポストユニット5と後ポストユニット6とが備えられている。
【0028】
図9から明らかなように、前ポストユニット5は、フレームユニットの車体前後方向前方領域に配置され、左前サイドポスト51と、右前サイドポスト52と、左前支持部53と、右前支持部54とからなる。左前サイドポスト51は左側の後サイドメンバ1rと上サイドメンバ3とに連結固定され、右前サイドポスト52は右側の後サイドメンバ1rと上サイドメンバ3とに連結固定されている。左前支持部53と右前支持部54とは、左前サイドポスト51と右前サイドポスト52との間で、左右の後サイドメンバ1rの前領域を連結しているクロスメンバ2に固定されている。左前支持部53と右前支持部54とは、車体横断方向で互いに間隔をあけて配置されている。
【0029】
図10から明らかなように、後ポストユニット6は、フレームユニットの車体前後方向後方領域に配置され、左後サイドポスト61と右後サイドポスト62とからなる。左後サイドポスト61は左側の後サイドメンバ1rと上サイドメンバ3とに連結固定され、右後サイドポスト62は右側の後サイドメンバ1rと上サイドメンバ3とに連結固定されている。左後サイドポスト61と右後サイドポスト62とは、それぞれ、リアサスペンション70の一部を支持している(図8参照)。リアサスペンション70は、ダブルウィッシュボーン式であり、左右の後車輪12を支持している。
【0030】
後ポストユニット6は、さらに、中央後支持部63を備えている。中央後支持部63は、左脚部63aと右脚部63bとを有する支持基台として構成され、左脚部63aは左後サイドポスト61に連結固定され、右脚部63bは右後サイドポスト62とに連結固定されている。これにより、中央後支持部63は、左右の後サイドメンバ1rの後領域を連結しているクロスメンバ2と、左右の上サイドメンバ3の後領域を連結しているクロスメンバ2との間のほぼ中間に位置する。
【0031】
図8図9図10から明らかなように、パワーユニット15をマウントするマウントユニット8は、左前支持部53の先端領域に支持される左前マウント81と、右前支持部54の先端領域に支持される右前マウント82と、中央後支持部63の先端領域に支持される中央後マウント83とからなる。左前マウント81、右前マウント82、中央後マウント83は、それぞれ、図2で示された左前マウント点LFMP、右前マウント点RFMP、中央後マウント点CRMPを形成している。したがって、このマウントユニット8によってマウントされるパワーユニット15は、後車輪12の車軸より高い空間に配置される。図8から明らかなように、この実施形態では、パワーユニット15は、リアサスペンション70より高い位置に配置されている。また、左前マウント81と右前マウント82とは、中央後マウント83より高い位置に配置されている。パワーユニット15の前半分が高さ方向に大きな占有スペースを必要とするエンジン23であるので、このようなパワーユニット15の配置空間は、エンジン23の配置を容易にする。
【0032】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0033】
〔別実施の形態〕
(1)上述の、図5図10を用いた実施形態では、図1図2とを用いて説明した本発明の第1の基本概念が採用されている。これに代えて、図3図4とを用いて説明した本発明の第2の基本概念を採用した、別な形態も実施可能である。そのような実施形態では、パワーユニット15の前半分がトランスミッション24として構成され、パワーユニット15の後半分がエンジン23として構成される。図4で示された、中央前マウント点CFMP、左後マウント点LRMP、右後マウント点RRMPは、それぞれ、中央前マウント、左後マウント、右後マウントによって形成される。中央前マウントは車体横断方向の中央領域に配置された中央前ポストに支持され、左後ポストと右後ポストとは、それぞれ、車体横断方向で互いに間隔をあけて配置された左後ポストと右後ポストとに支持される。この別実施例では、中央前マウントは、左後マウントと右後マウントとより高い位置に配置される。
【0034】
(2)上述した実施形態では、パワーユニット15は、実質的に、エンジン23とベルト式無段変速機構29とトランスミッション24とから構成されていたが、ベルト式無段変速機構29に代えて、油圧式無段変速機構を採用してもよいし、無段変速機構に代えて、ギヤ式有段変速機構を採用してもよい。
【0035】
(3)エンジン23の仕様としてディーゼルエンジンを備えるディーゼル仕様でもよい。さらには、エンジン23と走行用の電動モータとを備えるハイブリッド仕様、エンジン23自体を電動モータとする電動仕様でもよい。
【0036】
(4)上述した実施形態では、走行装置は、四輪タイプであったが、三輪タイプでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、エンジンと変速装置とを含むパワーユニットがフレームユニットに支持されている多目的車両に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 :主サイドメンバ
1f :前サイドメンバ
1r :後サイドメンバ
2 :クロスメンバ
3 :上サイドメンバ
5 :前ポストユニット
6 :後ポストユニット
8 :マウントユニット
12 :後車輪
23 :エンジン
24 :トランスミッション
27 :エンジン
51 :左前サイドポスト
52 :右前サイドポスト
53 :左前支持部
54 :右前支持部
61 :左後サイドポスト
62 :右後サイドポスト
63 :中央後支持部
70 :リアサスペンション
81 :左前マウント
82 :右前マウント
83 :中央後マウント
CFMP :中央前マウント点
CRMP :中央後マウント点
FS :フレーム構造
LFMP :左前マウント点
LRMP :左後マウント点
RFMP :右前マウント点
RRMP :右後マウント点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10