IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 若▲崎▼ 武司の特許一覧

<>
  • 特開-連動システム及び刈り取り方法 図1
  • 特開-連動システム及び刈り取り方法 図2
  • 特開-連動システム及び刈り取り方法 図3
  • 特開-連動システム及び刈り取り方法 図4
  • 特開-連動システム及び刈り取り方法 図5
  • 特開-連動システム及び刈り取り方法 図6
  • 特開-連動システム及び刈り取り方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155703
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】連動システム及び刈り取り方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20231016BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231016BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
A01B69/00 303A
G05D1/02 N
G05D1/02 P
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065187
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】522096983
【氏名又は名称】若▲崎▼ 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】若▲崎▼ 武司
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB14
2B043DA01
2B043DA17
2B043EA32
2B043EB05
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043EC15
2B043ED12
2B043ED16
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD17
5H301GG08
5H301KK03
5H301KK08
5H301QQ01
(57)【要約】
【課題】農作業の作業効率を向上させることができる連動システム及び刈り取り方法を提供する。
【解決手段】連動システム1は、圃場を走行しつつ農作業を行う親機コンバイン2Aと、圃場を走行しつつ農作業を行い、親機コンバイン2Aから離れた位置で親機コンバイン2Aの走行に連動するように走行する子機コンバイン2Bと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行しつつ農作業を行う第1自走式農業機械と、
圃場を走行しつつ農作業を行い、前記第1自走式農業機械から離れた位置で前記第1自走式農業機械の走行に連動するように走行する第2自走式農業機械と、を備える、
連動システム。
【請求項2】
前記第1自走式農業機械の走行に連動させるように前記第2自走式農業機械を走行させる連動モード、及び前記第1自走式農業機械と前記第2自走式農業機械の何れかを個別に走行させる個別動作モードの間で動作モードを切り替えるモード切替部を備える、
請求項1に記載の連動システム。
【請求項3】
前記第1自走式農業機械は、
前記第1自走式農業機械に乗る運転者により操作される運転操作部と、
前記モード切替部を有する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モード切替部により前記連動モードに切り替えられた状態では、前記運転操作部への操作により前記第1自走式農業機械及び前記第2自走式農業機械を連動するように走行させ、前記モード切替部により前記個別動作モードである第1個別動作モードに切り替えられた状態では、前記第2自走式農業機械の走行を停止させつつ、前記運転操作部への操作により前記第1自走式農業機械を走行させ、前記モード切替部により前記個別動作モードである第2個別動作モードに切り替えられた状態では、前記第1自走式農業機械の走行を停止させつつ、前記運転操作部への操作により前記第2自走式農業機械を走行させる、
請求項2に記載の連動システム。
【請求項4】
前記第2自走式農業機械が指定範囲外であるか否かを判定する位置判定部を備え、
前記第2自走式農業機械は、前記連動モードにおいて、前記位置判定部により前記第2自走式農業機械が前記指定範囲外と判定されたときには、走行を停止する、
請求項2又は3に記載の連動システム。
【請求項5】
第1コンバインの走行に連動するように第2コンバインを走行させる連動モード、及び前記第1コンバインと前記第2コンバインの何れかを選択的に個別に走行させる個別動作モードの間で動作モードを切り替え可能な連動システムを用いた稲の刈り取り方法であって、
前記個別動作モードにおいて、前記第1コンバイン及び前記第2コンバインの何れか一方を用いて稲が育った圃場の外周の稲を刈り取ることにより前記圃場の刈り取り対象範囲の形状を矩形状に整える第1工程と、
前記個別動作モードにおいて、前記第1工程を経て整えられた前記刈り取り対象範囲の面積を二等分した2つの領域それぞれの対応位置に設定される初期位置に前記第1コンバイン及び前記第2コンバインそれぞれを移動させる第2工程と、
前記第2工程の後に、前記連動モードにおいて、前記第1コンバイン及び前記第2コンバインが前記各領域の稲を刈り取るように、前記第1コンバインの走行に連動するように前記第2コンバインを走行させる第3工程と、を含む、
刈り取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連動システム及び刈り取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のコンバインは、運転者が座席部で変速レバ-、操作レバ-等を操作することにより駆動されて、例えば、圃場の稲の刈り取り等の農作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-113043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、農作業の作業効率に改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、農作業の作業効率を向上させることができる連動システム及び刈り取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る連動システムは、圃場を走行しつつ農作業を行う第1自走式農業機械と、圃場を走行しつつ農作業を行い、前記第1自走式農業機械から離れた位置で前記第1自走式農業機械の走行に連動するように走行する第2自走式農業機械と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係る刈り取り方法は、第1コンバインの走行に連動するように第2コンバインを走行させる連動モード、及び前記第1コンバインと前記第2コンバインの何れかを選択的に個別に走行させる個別動作モードの間で動作モードを切り替え可能な連動システムを用いた稲の刈り取り方法であって、前記個別動作モードにおいて、前記第1コンバイン及び前記第2コンバインの何れか一方を用いて稲が育った圃場の外周の稲を刈り取ることにより前記圃場の刈り取り対象範囲の形状を矩形状に整える第1工程と、前記個別動作モードにおいて、前記第1工程を経て整えられた前記刈り取り対象範囲の面積を二等分した2つの領域それぞれの対応位置に設定される初期位置に前記第1コンバイン及び前記第2コンバインそれぞれを移動させる第2工程と、前記第2工程の後に、前記連動モードにおいて、前記第1コンバイン及び前記第2コンバインが前記各領域の稲を刈り取るように、前記第1コンバインの走行に連動するように前記第2コンバインを走行させる第3工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、連動システム及び刈り取り方法において、農作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1の実施形態に係る連動システムのブロック図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る親機コンバイン及び子機コンバインの走行経路を示す概略図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る連動プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
図4】本開示の第1の実施形態に係る親機コンバイン及び子機コンバインの走行経路を示す概略図である。
図5】本開示の第2の実施形態に係る連動システムのブロック図である。
図6】本開示の変形例に係る親機コンバイン及び子機コンバインの走行経路を示す概略図である。
図7】(a)は本開示の第1の実施形態に係る親機コンバインの転回の際の経路を示す概略図であり、(b)は本開示の変形例に係る親機コンバインの転回の際の経路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本開示に係る連動システム及び刈り取り方法の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、連動システム1は、親機コンバイン2Aと、子機コンバイン2Bと、接近波出力部31~34と、を備える。
親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは、それぞれ、自走しつつ、圃場の稲を刈り取って脱穀処理等の農作業を行う。親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは、それぞれ、運転者(ユーザー)が乗車可能であり、運転者により運転操作可能に構成されている。子機コンバイン2Bは、運転者が乗車していない状態でも、親機コンバイン2Aの走行に連動して走行可能に構成されている。
【0011】
詳しくは、親機コンバイン2Aは、制御部10と、通信部11と、運転操作部20と、モード切替操作部15と、を備える。
運転操作部20は、運転者により操作される部位であり、操作内容を示す操作信号を制御部10に出力する。運転操作部20は、前後進切替部21と、速度切替部22と、クラッチ操作部23と、ハンドル24と、を備える。
【0012】
前後進切替部21は、親機コンバイン2Aが走行する方向を前進、後進及びニュートラル(停止)の間で切り替える際に操作される。速度切替部22は、親機コンバイン2Aの走行速度を調整する際に操作される。クラッチ操作部23は、脱穀クラッチ及び刈取クラッチの断接を切り換える際に操作される。ハンドル24は、親機コンバイン2Aの進行方向を変化させる際に操作される。
モード切替操作部15は、運転者の操作により、連動モード、親機個別動作モード及び子機個別動作モードの間で連動システム1の動作モードが切り替えられる。
【0013】
制御部10は、運転操作部20からの操作信号を受けて、アンテナ等からなる通信部11を介して子機コンバイン2Bへ動作指令信号S1を無線送信する。動作指令信号S1は、運転操作部20の操作内容を含み、遠隔で子機コンバイン2Bを走行及び刈り取り等の動作させるための信号である。
【0014】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等の処理部と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリと、を備える。このメモリには、後述する連動プログラムPGが格納されている。
【0015】
制御部10は、モード切替操作部15の操作又は子機コンバイン2Bからの子機走行停止信号S2の受信に応じて、連動モード、親機個別動作モード、子機個別動作モードの間で動作モードを切り替えるモード切替部10aを備える。
連動モードは、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bが互いに同期して動作するモードである。親機個別動作モードは、親機コンバイン2Aが個別で動作するモードである。子機個別動作モードは、子機コンバイン2Bが個別で動作するモードである。モード切替部10aは、連動モードにおいて、通信部11を介して子機走行停止信号S2を受信すると、連動モードから親機個別動作モードへ動作モードを切り替える。
【0016】
制御部10は、連動モード及び子機個別動作モードにおいては、動作指令信号S1を子機コンバイン2Bに送信する。子機コンバイン2Bは、親機コンバイン2Aから動作指令信号S1を受信し、受信した動作指令信号S1に基づき親機コンバイン2Aと並走する。すなわち、子機コンバイン2Bは、親機コンバイン2Aから遠隔操作が可能に構成されている。
【0017】
図1に示すように、子機コンバイン2Bは、親機コンバイン2Aと同様に、制御部10Bと、通信部11Bと、運転操作部20Bと、を備える。以下、親機コンバイン2Aとの相違点を中心に説明する。
運転操作部20Bは、運転操作部20と同様に、前後進切替部21と、速度切替部22と、クラッチ操作部23と、ハンドル24と、を備える。前後進切替部21、速度切替部22、クラッチ操作部23及びハンドル24は、それぞれ、自動操作駆動部21a,22a,23a,24aを備える。自動操作駆動部21a,22a,23a,24aは、運転者の操作によらず、制御部10Bによる制御のもと、前後進切替部21、速度切替部22、クラッチ操作部23及びハンドル24を操作駆動する。自動操作駆動部21a,22a,23a,24aは、モータ又はアクチュエータ等を含む。
【0018】
制御部10Bは、通信部11Bを介して動作指令信号S1を受信し、受信した動作指令信号S1に基づき、自動操作駆動部21a,22a,23a,24aを介して前後進切替部21、速度切替部22、クラッチ操作部23及びハンドル24を操作する。これにより、親機コンバイン2Aの運転操作部20への運転者による操作内容と同じ操作内容が子機コンバイン2Bの運転操作部20Bにて実現される。
【0019】
接近波出力部31~34は、赤外線又は電磁波等の出力波S3を出力する。接近波出力部31~34は、図2に示すように、圃場Tの各角部に配置されている。
子機コンバイン2Bは、接近波出力部31~34からの出力波S3を検出する接近波検出部18を備える。制御部10Bは、位置判定部10Cを備える。位置判定部10Cは、接近波検出部18により出力波S3が検出されたときに子機コンバイン2Bが圃場T外となったと判定し、出力波S3が検出されないときには子機コンバイン2Bが圃場T内であると判定する。制御部10Bは、位置判定部10Cにより子機コンバイン2Bが圃場T外となったと判定されると、自動操作駆動部21a,22a,23a,24aを介して、子機コンバイン2Bの走行を停止する。制御部10Bは、子機コンバイン2Bの走行を停止すると、その旨を示す子機走行停止信号S2を、通信部11Bを介して、親機コンバイン2Aに無線送信する。
【0020】
次に、図3のフローチャートを参照しつつ、連動プログラムPGの処理手順について説明する。連動プログラムPGの開始前に、図2に示すように、稲が育った圃場Tの外周側の稲が刈り取られることにより刈り取り対象範囲Taの形状が整えられる。詳しくは、刈り取り対象範囲Taは、親機コンバイン2Aが刈り取る領域T1と子機コンバイン2Bが刈り取る領域T2が対称的な形状(例えば、矩形状)となるように圃場Tの外周が1台のコンバイン(親機コンバイン2A)で刈り取られる。このように、刈り取り対象範囲Taの形状が整えられた後に、各コンバイン2A,2Bが初期位置P1,Q1に移動させられる。初期位置P1,Q1は、図2に示すように、刈り取り対象範囲Taを同一面積に二等分した領域T1,T2それぞれの同一の角部(本例では、領域T1,T2それぞれの左下角部)に設定される。詳しくは、例えば、運転者は、親機コンバイン2Aに乗り、モード切替操作部15の操作により動作モードを親機個別動作モードに切り替え、運転操作部20の操作により親機コンバイン2Aを初期位置P1まで走行させる。そして、モード切替操作部15の操作により動作モードを子機個別動作モードに切り替え、運転操作部20の操作により子機コンバイン2Bを初期位置Q1まで走行させる。
【0021】
連動プログラムPGにおいては、まず、モード切替部10aは、モード切替操作部15の操作により動作モードを連動モードに切り替える(ステップS101)。
そして、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは、運転操作部20の操作により稲の刈り取りを行いつつ刈り取り対象範囲Taを走行する(ステップS102)。このステップS102においては、まず、図2に示すように、親機コンバイン2Aは、運転操作部20の操作により、初期位置P1から刈り取り対象範囲Taの第1端部(図2の上方端部)に到達するまで前進し、その後に転回し、そして、前回の前進経路の隣の経路にて刈り取り対象範囲Taの第2端部(図2の下方端部)に到達するまで前進する。この際、子機コンバイン2Bは、親機コンバイン2Aと並走するように、初期位置Q1から刈り取り対象範囲Taの第1端部(図2の上方端部)に到達するまで前進し、その後に転回し、そして、前回の前進経路の隣の経路にて刈り取り対象範囲Taの第2端部(図2の下方端部)に到達するまで前進する。親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは、この往復走行を繰り返す。この際、運転者が親機コンバイン2Aを運転するだけで子機コンバイン2Bも親機コンバイン2Aに同期して動作するため、農作業(稲の刈り取り)の作業効率が高まる。
【0022】
このステップS102における親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの走行中に、位置判定部10Cは、子機コンバイン2Bが圃場T内にあるか否かを判別する(ステップS103)。制御部10は、位置判定部10Cにより子機コンバイン2Bが圃場T内であると判別されると(ステップS103;YES)、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bによる刈り取りが完了したか否かを判別する(ステップS104)。例えば、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの刈り取り部(図示略)は、運転操作部20,20Bへの操作により、稲の刈り取り時には下降した状態にあり、稲の刈り取り終了時には上昇した状態にある。例えば、刈り取り部(図示略)が下降した状態にある場合、制御部10により刈り取りが完了していないと判別され(ステップS104;NO)、上述したステップS102の処理に戻る。よって、連動モードでの親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bによる刈り取り及び走行が継続される。
【0023】
例えば、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bが終了位置P2,Q2に到達し、刈り取り部(図示略)が下降した状態から上昇した状態に切り替えられると、制御部10は、刈り取りが完了したと判別し(ステップS104;YES)、当該フローチャートを終了する。
このフローチャートの終了後、次の圃場Tまで、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bを走行させる。
【0024】
一方、上述したステップS103において、位置判定部10Cにより子機コンバイン2Bが圃場T外であると判別されると(ステップS103;NO)、子機コンバイン2Bは走行を停止し、子機走行停止信号S2を親機コンバイン2Aに送信することにより連動モードから親機個別動作モードに移行させる(ステップS105)。これにより、例えば、図4に示すように、連動モードで、子機コンバイン2Bが圃場Tの境界線上に位置する位置Q3に到達すると、子機コンバイン2Bの走行が停止される。よって、連動モードにおいて、遠隔操作される子機コンバイン2Bが圃場T外へ出てしまうこと、又は畦にぶつかることが抑制される。
そして、親機個別動作モードにおいて、親機コンバイン2Aが運転操作部20の操作により稲の刈り取りを行いつつ圃場Tを走行する(ステップS106)。よって、子機コンバイン2Bの走行が停止されても、親機コンバイン2Aの走行は位置P3(図4参照)から終了位置P2に向けて継続される。
【0025】
次に、親機コンバイン2Aによる刈り取りが完了したか否かを判別する(ステップS107)。制御部10により刈り取りが完了していないと判別されると(ステップS107;NO)、上述したステップS106の処理に戻る。よって、親機個別動作モードにおいて、親機コンバイン2Aによる刈り取り及び走行が継続される。例えば、親機コンバイン2Aが終了位置P2に到達し、制御部10により刈り取りが完了したと判別されると(ステップS107;YES)、当該フローチャートを終了する。
以上で、連動プログラムPGの説明を終了する。
【0026】
(効果)
以上、説明した第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)連動システム1は、圃場Tを走行しつつ農作業を行う第1自走式農業機械の一例である親機コンバイン2Aと、圃場Tを走行しつつ農作業を行い、親機コンバイン2Aから離れた位置で親機コンバイン2Aの走行に連動するように走行する第2自走式農業機械の一例である子機コンバイン2Bと、を備える。
この構成によれば、子機コンバイン2Bが親機コンバイン2Aに連動して走行するため、農作業の作業効率を向上させることができる。具体的には、親機コンバイン2Aの一台で作業を行う場合に比べて、作業効率は2倍となる。
例えば、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bとして、それぞれ小型コンバイン(3条刈りのコンバイン)が採用される。この場合、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの両方を同時に使用することで、実質的に6条刈りが可能となる。
一般的に、6条刈りのコンバインは、中型以上と定義されるが、中型以上のコンバインの価格は、小型コンバインの3倍以上の価格になる。つまり、小型コンバインの価格2台のほうが安価になる。この点、本実施形態では、2台の小型コンバインを用意すればよいため、より安価に効率的な作業を実現することができる。特に、今日、農業は、機械の購入費が経営を圧迫しているため、将来の農業経営は、いかに機械の購入費を抑制するかにかかっており、コストの低減という観点は重要である。
【0027】
(2)連動システム1は、親機コンバイン2Aの走行に連動させるように子機コンバイン2Bを走行させる連動モード、及び親機コンバイン2Aと子機コンバイン2Bの何れかを個別に走行させる個別動作モードの間で動作モードを切り替えるモード切替部10aを備える。
この構成によれば、モード切替部10aにて動作モードを切り替えつつ、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bを任意に動作させることができる。
例えば、1台の大型コンバインを用いれば、複数の小型コンバイン(親機コンバイン2A及び子機コンバイン2B)を用いた場合と同等の作業能率を実現することは可能である。しかしながら、1台の大型コンバインを用いた場合では、この大型コンバインが故障等で動作しなくなれば、作業が中断してしまう。この点、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bを用いた場合には、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの何れか一方が故障等で動作しなくなった場合であっても、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの何れか他方を使用して作業を継続することができるというメリットを有する。
【0028】
(3)親機コンバイン2Aは、親機コンバイン2Aに乗る運転者により操作される運転操作部20と、モード切替部10aを有する制御部10と、を備える。制御部10は、モード切替部10aにより連動モードに切り替えられた状態では、運転操作部20への操作により親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bを連動するように走行させる。制御部10は、モード切替部10aにより第1個別動作モードの一例である親機個別動作モードに切り替えられた状態では、子機コンバイン2Bの走行を停止させつつ、運転操作部20への操作により親機コンバイン2Aを走行させる。制御部10は、モード切替部10aにより第2個別動作モードの一例である子機個別動作モードに切り替えられた状態では、親機コンバイン2Aの走行を停止させつつ、運転操作部20への操作により子機コンバイン2Bを走行させる。
この構成によれば、運転者は、親機コンバイン2Aに乗った状態で、運転操作部20を操作することにより、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの両方、又は親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの何れかを選択的に走行させることが可能となる。
【0029】
(4)連動システム1は、子機コンバイン2Bが指定範囲(圃場T)外であるか否かを判定する位置判定部10Cを備える。子機コンバイン2Bは、連動モードにおいて、位置判定部10Cにより子機コンバイン2Bが指定範囲外と判定されたときには、走行を停止する。
この構成によれば、連動モードにおいて、親機コンバイン2Aの走行に応じて子機コンバイン2Bが指定範囲外となることが抑制される。
【0030】
(5)稲の刈り取り方法は、第1コンバインの一例である親機コンバイン2Aの走行に連動するように第2コンバインの一例である子機コンバイン2Bを走行させる連動モード、及び親機コンバイン2Aと子機コンバイン2Bの何れかを選択的に個別に走行させる個別動作モードの間で動作モードを切り替え可能な連動システム1を用いる。この稲の刈り取り方法は、個別動作モードにおいて、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bの何れか一方を用いて稲が育った圃場Tの外周の稲を刈り取ることにより刈り取り対象範囲Taの形状を矩形状に整える第1工程と、個別動作モードにおいて、第1工程を経て整えられた刈り取り対象範囲Taの面積を二等分した2つの領域T1,T2それぞれの対応位置(領域T1,T2を重ね合わせたときに一致する位置)に設定される初期位置P1,Q1に親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bそれぞれを移動させる第2工程と、この第2工程の後に、連動モードにおいて、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bが各領域T1,T2の稲を刈り取るように、親機コンバイン2Aの走行に連動するように子機コンバイン2Bを走行させる第3工程と、を含む。
この構成によれば、上述のように、農作業の作業効率を向上させることができる。
【0031】
(6)連動プログラムPGは、コンピュータの一例である制御部10に、圃場Tを走行しつつ農作業を行う親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bを互いに連動するように走行させる機能を実現させる。
この構成によれば、子機コンバイン2Bが親機コンバイン2Aに連動するため、農作業の作業効率を向上させることができる。
【0032】
(7)連動システム1は、既存の複数のコンバイン(例えば、小型コンバイン)に後付け可能である。この後付けを可能とするためには、既存の複数のコンバインのうち何れか一つに制御部10、通信部11及びモード切替操作部15からなる後付けユニットを搭載することで親機コンバイン2Aを構成し、親機コンバイン2Aとは別の既存のコンバインに接近波検出部18、制御部10B、通信部11B及び自動操作駆動部21a,22a,23a,24aからなる後付けユニットを搭載することで子機コンバイン2Bを構成する。
この構成によれば、コンバインが消耗して更新しなければならなくなったときには新しいコンバインに上記後付けユニットを載せ替えればよい。また、上記後付けユニットはコンバインとは別に開発することが可能となる。
【0033】
(第2の実施形態)
本開示に係る連動システム及び刈り取り方法の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る連動システム1Aは、親機コンバイン2Aと同様の第1コンバイン2Cと、子機コンバイン2Bと同様の第2コンバイン2Dと、第1コンバイン2C及び第2コンバイン2Dを遠隔操作するリモコン(リモートコントローラ)50と、を備える。リモコン50は、専用の通信機であってもよいし、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0034】
第1コンバイン2Cは、子機コンバイン2B(図1参照)と同様に、リモコン50からの動作指令信号S1a,S1bに応じて、運転操作部20を自動で操作可能とする自動操作駆動部(図示略)を備える。
【0035】
リモコン50は、通信部51と、制御部52と、運転操作部53と、モード切替操作部54と、を備える。運転操作部53は、第1コンバイン2Cの運転操作部20と同様に、前後進切替部と、速度切替部と、クラッチ操作部と、ハンドルに対応する操舵角操作部と、を備える。
【0036】
制御部52は、CPU等の処理部と、ROM及びRAM等のメモリと、を備える。このメモリには、連動プログラムPGが格納されている。
制御部52は、ユーザーによるモード切替操作部54の操作に応じて連動モード、第1個別動作モード、第2個別動作モードの間で動作モードを切り替えるモード切替部52aを備える。
【0037】
制御部52は、アンテナ等からなる通信部51を介してモード切替操作部54への操作内容を含む動作指令信号S1a,S1b,S1cを無線送信する。動作指令信号S1aは、連動モードにおいて、遠隔で第1コンバイン2C及び第2コンバイン2Dを走行及び刈り取り等の動作させるための信号である。動作指令信号S1bは、第1個別動作モードにおいて、遠隔で第1コンバイン2Cを走行及び刈り取り等の動作させるための信号である。動作指令信号S1cは、第2個別動作モードにおいて、遠隔で第2コンバイン2Dを走行及び刈り取り等の動作させるための信号である。
【0038】
第1コンバイン2Cは、動作指令信号S1a,S1bを受信すると、この動作指令信号S1a,S1bに応じた走行及び刈り取り等の動作を行う。第2コンバイン2Dは、動作指令信号S1a,S1cを受信すると、この動作指令信号S1a,S1cに応じた走行及び刈り取り等の動作を行う。
【0039】
次に、本実施形態における連動プログラムPGの処理手順について説明する。
まず、ユーザーによるリモコン50のモード切替操作部54及び運転操作部53への操作により、第1個別動作モード及び第2個別動作モードにおいて、各コンバイン2C,2Dを初期位置P1,Q1に移動させる。そして、ユーザーによるモード切替操作部54への操作により連動モードに切り替えた後、運転操作部53への操作により、図2に示すように、稲の刈り取りを行いつつ、各コンバイン2C,2Dを互いに連動するように圃場Tを初期位置P1,Q1から終了位置P2,Q2まで走行させる。連動モードにおいて、第2コンバイン2Dが位置Q3(図4参照)に到達すると、第2コンバイン2Dの走行が停止され、第2コンバイン2Dから子機走行停止信号S2がリモコン50へ送信される。リモコン50は、子機走行停止信号S2を受信すると、モード切替部52aを介して連動モードから第1個別動作モードに移行する。以降、リモコン50は、第1個別動作モードにおいて、ユーザーによる運転操作部53への操作により動作指令信号S1bを送信し、図4に示すように、第1コンバイン2Cを位置P3から終了位置P2まで走行させる。
以上で、連動プログラムPGの説明を終了する。
【0040】
(効果)
以上、説明した第2の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)連動システム1Aは、第1コンバイン2C及び第2コンバイン2Dへ動作指令信号S1a,S1b,S1cを送信するリモコン50を備える。リモコン50は、モード切替部52aを有し、モード切替部52aにより連動モードに切り替えられた状態では、動作指令信号S1aにより第1コンバイン2C及び第2コンバイン2Dを連動するように走行させる。リモコン50は、モード切替部52aにより第1個別動作モードに切り替えられた状態では、第2コンバイン2Dの走行を停止させつつ、動作指令信号S1bにより第1コンバイン2Cを走行させる。リモコン50は、モード切替部52aにより第2個別動作モードに切り替えられた状態では、第1コンバイン2Cの走行を停止させつつ、動作指令信号S1bにより第2コンバイン2Dを走行させる。
この構成によれば、第2コンバイン2Dが第1コンバイン2Cに連動して走行するため、農作業の作業効率を向上させることができる。
【0041】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0042】
(変形例)
上記各実施形態においては、各コンバイン2B,2C,2Dは、運転者が乗車可能に構成されていたが、乗車不能に構成され、運転操作部が省略されてもよい。
また、上記第1の実施形態においては、親機コンバイン2Aは、自ら経路を導出し、導出した経路に沿って走行する自動運転システムを備えていてもよい。
【0043】
上記各実施形態においては、連動システム1,1Aは、2台のコンバインを備えていたが、コンバインの台数は3台以上であってもよい。この場合、3台以上のコンバインのうち何れか一つのコンバインの走行に、残りの複数のコンバインが連動するように走行してもよい。
上記各実施形態においては、第1自走式農業機械及び第2自走式農業機械の一例としてコンバイン2A,2B,2C,2Dが採用されていたが、第1自走式農業機械及び第2自走式農業機械は、コンバインに限らず、トラクタ、田植機又は管理機であってもよい。
【0044】
上記第1の実施形態においては、ユーザーによる運転操作部20への操作により、各コンバイン2A,2Bを初期位置P1,Q1に移動させていたが、自動で各コンバイン2A,2Bを初期位置P1,Q1に移動可能であってもよい。例えば、制御部10は、圃場Tの範囲を認識し、この認識した範囲から領域T1,T2を取得し、領域T1,T2内の初期位置P1,Q1を導出する。各コンバイン2A,2Bには、各コンバイン2A,2Bの位置を示すGPS(Global Positioning System)等の位置情報システムが搭載されている。制御部10は、この位置情報システムに基づき、各コンバイン2A,2Bの位置を初期位置P1,Q1に到達するように、各コンバイン2A,2Bを走行させる。これと同様に、上記第2の実施形態においても、自動で各コンバイン2C,2Dを初期位置P1,Q1に移動可能に構成されてもよい。
【0045】
上記第1の実施形態において、子機コンバイン2Bは、位置情報システムで親機コンバイン2Aの位置情報を取得し、この取得した位置情報に基づき親機コンバイン2Aと連動するように走行してもよい。第2の実施形態もこれと同様である。
【0046】
上記各実施形態における接近波出力部31~34及び接近波検出部18は省略されてもよい。この場合、位置判定部10Cは、その他の手段、例えば、上述した位置情報システムの位置情報に基づき子機コンバイン2Bが圃場T外であるか否かを判定してもよい。
【0047】
上記第1の実施形態において、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは、連動モードにおいては、並走するように連動して走行していたが、連動していれば、これに限らない。例えば、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは、図6に示すように、取り対象範囲Taを上から見て左右対称と上下対称の走行経路にて走行してもよい。上記第2の実施形態もこれと同様である。
また、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは、同一の圃場Tを連動して走行していたが、互いに異なる圃場Tを連動して走行してもよい。上記第2の実施形態もこれと同様である。
上記各実施形態において、各コンバイン2A、2Cも、各コンバイン2B、2Dと同様に、接近波検出部18を有していてもよい。各コンバイン2B、2Dも、各コンバイン2A、2Cと同様に、モード切替操作部15を有していてもよい。
【0048】
上記第1の実施形態において、親機コンバイン2A及び子機コンバイン2Bは互いに無線通信可能に接続されているため、子機コンバイン2Bは、この無線通信を利用して、探知した情報(例えば、稲の生育状態、地面の状態等)を、親機コンバイン2Aに知らせる機能を有していてもよい。この場合、子機コンバイン2Bは、センサ又はカメラ等の探知手段を有していてもよい。これにより、親機コンバイン2Aは、子機コンバイン2Bとコミュニケーションをとりつつ情報を共有して作業を行うことができる。上記第2の実施形態もこれと同様である。
【0049】
一般的に、コンバインを旋回させつつ稲の刈り取りを継続する場合、旋回幅が刈り取りに要する横幅よりも大きくなる。このため、上記第1の実施形態においては、例えば、図7(a)に示すように、コンバイン2A,2Bを約360°にわたって旋回させることにより、コンバイン2A,2Bの向きを転回させていた。この場合には、コンバイン2A,2Bの動きが大きくなる。そこで、例えば、図7(b)に示すように、コンバイン2A,2Bを正規分布のグラフ状又は1周期分の三角波状の経路R1に沿って走行させることにより、コンバイン2A,2Bの向きを転回させてもよい。これにより、コンバイン2A,2Bの動きを小さくすることができ、作業効率が向上する。上記第2の実施形態もこれと同様である。
【0050】
上記各実施形態においては、連動プログラムPGは、制御部10,52のメモリに記憶されていたが、これに限らず、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにダウンロードされてもよい。
【0051】
(付記1)
コンピュータに、
圃場を走行しつつ農作業を行う第1自走式農業機械及び第2自走式農業機械を連動するように走行させる機能を実現させるためのプログラム。
【0052】
(付記2)
圃場を走行しつつ農作業を行う自走式農業機械であって、
前記自走式農業機械に乗る運転者により操作されることにより前記自走式農業機械が走行する運転操作部と、
前記運転操作部への操作内容を含む動作指令信号を前記自走式農業機械とは別の自走式農業機械へ送信する通信部と、を備え、
前記別の自走式農業機械は、前記動作指令信号を受信すると、前記動作指令信号に含まれる前記操作内容に基づき前記自走式農業機械の走行と連動するように走行する、
自走式農業機械。
【符号の説明】
【0053】
1,1A…連動システム、2A…親機コンバイン、2B…子機コンバイン、2C…第1コンバイン、2D…第2コンバイン、10,10B,52…制御部、10C…位置判定部、10a,52a…モード切替部、11,11B,51…通信部、15,54…モード切替操作部、18…接近波検出部、20,20B,53…運転操作部、21…前後進切替部、22…速度切替部、23…クラッチ操作部、24…ハンドル、21a,22a,23a,24a…自動操作駆動部、31~34…接近波出力部、50…リモコン、P1,Q1…初期位置、P2,Q2…終了位置、P3,Q3…位置、S1,S1a,S1b,S1c…動作指令信号、S2…子機走行停止信号、T…圃場、Ta…刈り取り対象範囲、T1,T2…領域、S3…出力波、PG…連動プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7