(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155721
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】通行制御装置
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20231016BHJP
【FI】
G07B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065218
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 英
(72)【発明者】
【氏名】助川 寛
(72)【発明者】
【氏名】田代 真啓
(72)【発明者】
【氏名】河原 智一
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA25
3E127BA32
3E127BA45
3E127CA02
3E127DA02
3E127EA02
3E127FA10
3E127FA12
3E127FA44
3E127FA50
(57)【要約】
【課題】 人物の通行状態を検出できる通行制御装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、通行制御装置は、インターフェースとプロセッサとを有する。インターフェースは、通路を含む撮影領域の画像を撮影するカメラから撮影画像を取得する。プロセッサは、カメラが撮影した撮影画像から抽出する通行者の画像に基づいて通行者が前記通路を通行する姿勢を判定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の通行を制御する通行制御装置において、
前記通路を含む撮影領域の画像を撮影するカメラから撮影画像を取得するインターフェースと、
前記カメラが撮影した撮影画像から抽出する通行者の画像に基づいて前記通行者が前記通路を通行する姿勢を判定するプロセッサと、
を有する通行制御装置。
【請求項2】
通路の通行を制御する通行制御装置において、
前記通路を通行する通行者の身長を検知する身長計測センサと、
前記通路を含む撮影領域の画像を撮影するカメラから撮影画像を取得するインターフェースと、
前記インターフェースにより取得した撮像画像から抽出する通行者の画像に基づいて前記通路を通行する前記通行者の姿勢を判定し、前記身長計測センサによる身長の検知結果と前記通行者の姿勢の判定結果とに基づいて前記通行者の通行を制御するプロセッサと、
を有する通行制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記通行者が前記通路における所定位置を通過した場合に前記カメラが撮影した撮影画像から前記通行者の姿勢を示す姿勢特徴量を算出し、
前記姿勢特徴量が姿勢基準値に対して許容範囲内である場合、前記通行者が前記身長計測センサによる身長の計測が可能な姿勢で前記通路を通行したとし、
前記姿勢特徴量が姿勢基準値に対して許容範囲を越える場合、前記通行者が前記身長計測センサによる身長の計測が不可となる姿勢で前記通路を通行したとする、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記カメラが撮影した撮影画像から抽出する前記通路の手前のエリアにいる前記通行者の画像に基づいて前記通行者用の姿勢基準値を作成する、
請求項3に記載の通行制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
所定の複数の検知位置を前記通行者が通過するごとにカメラが撮影した撮影画像から前記通行者の姿勢特徴量を算出し、
各検知位置を通過する場合の前記通行者の姿勢特徴量に対する変化量が許容範囲内である場合、前記通行者が一定の姿勢で前記通路を通行したとし、
前記姿勢特徴量が姿勢基準値に対して許容範囲を越える場合、前記通行者が姿勢を変化させながら前記通路を通行したとする、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記撮影画像から前記通行者の骨格点を推定し、前記通行者の骨格点から得られる特徴情報を姿勢特徴量として算出する、
請求項2乃至5の何れか1項に記載の通行制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記通行者の骨格点として前記通行者の関節を推定し、前記通行者の関節間の距離から算出した比率を姿勢特徴量として算出する、
請求項6に記載の通行制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記通行者の骨格点の座標値から算出する特徴空間分布を姿勢特徴量として算出する、
請求項6に記載の通行制御装置。
【請求項9】
さらに、乗車券媒体に記録されている情報を読み取る券処理部を有し、
前記プロセッサは、前記券処理部により読み取った前記通行者が提示した乗車券媒体が子供用の券である場合、前記通行者の姿勢が前記身長計測センサによる身長の計測が不可となる姿勢である場合に前記通行者の前記通路の通過を不可とする、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項10】
前記身長計測センサは、通路内において前記通行者の身長が所定の高さ以上であるか否かを検知するセンサである、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項11】
さらに、前記通路の出口側に設けたドアと、
前記ドアの開閉を制御するドア制御部と、を有し、
前記プロセッサは、前記通行者の姿勢が前記身長計測センサで正しく身長を計測できない姿勢である場合に前記ドア制御部により前記ドアを閉鎖する、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項12】
さらに、画像を保存するメモリを有し、
前記プロセッサは、前記通行者の姿勢が前記身長計測センサで正しく身長を計測できない姿勢である場合に前記通行者の姿勢を撮影した画像を前記メモリに記憶する、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項13】
さらに、案内を表示する表示器を有し、
前記プロセッサは、前記通行者の姿勢が前記身長計測センサで正しく身長を計測できない姿勢である場合に別の通路を通行することを案内する案内画面を前記表示器に表示する、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項14】
さらに、案内を表示する表示器を有し、
前記プロセッサは、前記通行者の姿勢が前記身長計測センサで正しく身長を計測できない姿勢である場合に前記通路の通行時の姿勢を正すガイドを前記表示器に表示する、
請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項15】
さらに、音声を出力するスピーカを有し、
前記プロセッサは、前記通行者の姿勢が前記身長計測センサで正しく身長を計測できない姿勢である場合に前記スピーカにより警報を出力する、
請求項2に記載の通行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道などの交通機関の各駅に設置される通行制御装置としての自動改札装置は、改札用の通路を通行する利用者の身長が大人であるか否かを判定するための身長計測用のセンサを備える。自動改札装置は、身長計測センサによって利用者の高さを検出する場合、通路に複数の身長計測センサを設置することで大人であるか否かを判定する精度を高めることが考えられている。
【0003】
しかしながら、従来の自動改札装置は、利用者が自然な姿勢で通路を通行することを前提として、身長計測センサを用いた身長判定を行う。このため、従来の自動改札装置は、利用者が意図的に身長を低くした姿勢で通路を通行すると、当該利用者を大人として検出できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、人物の通行状態を検出できる通行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、通行制御装置は、インターフェースとプロセッサとを有する。インターフェースは、通路を含む撮影領域の画像を撮影するカメラから撮影画像を取得する。プロセッサは、カメラが撮影した撮影画像から抽出する通行者の画像に基づいて通行者が前記通路を通行する姿勢を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機を含む改札システムの構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機の通路側の側面における外観を示す例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機に設置する身長計測センサとしての高さセンサによる検知位置の設定例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機による改札処理(通行制御処理)の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機の通路を利用者が通行する時の姿勢の例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機の通路を利用者が通行する時の姿勢の例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機における姿勢判定処理の第1の動作例としての処理例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機における姿勢判定処理の第2動作例を概略的に説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機における姿勢判定処理の第2動作例としての処理例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機における第2の動作例による姿勢判定処理の具体例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機における第2の動作例による姿勢判定処理の具体例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機における姿勢判定処理の第3の動作例としての処理例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機による第3の動作例の姿勢判定処理を説明するための図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機による第3の動作例の姿勢判定処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態に係る通行制御装置としての改札機13を含む改札システム1の全体構成を概略的に示す図である。
改札システム1は、各駅の改札口に設置される改札機13を接続するシステムである。
図1に示す構成例において、改札システム1は、サーバ11、監視盤12、および、改札機13などを有する。例えば、サーバ11は、改札口又は駅などの監視対象ごとに設置される監視盤12に接続される。各駅の監視盤12には、各駅の改札口に設置される複数の改札機13が接続される。
【0009】
サーバ11は、ネットワークを介して監視盤12に接続される。サーバ11は、監視盤12に対して各改札機13へ提供すべき情報を供給する。また、サーバ11は、監視盤12を介して各改札機13の動作状態を示す情報や各改札機13における改札処理の結果を示す情報などを取得するようにしても良い。
【0010】
監視盤12は、サーバ11に接続されると共に複数の改札機13に接続される。監視盤12は、例えば、監視対象とする改札口に設置された改札機13に接続される。監視盤12は、表示部および操作部を備える操作盤を備える。監視盤12は、接続される各改札機13の動作状態を監視し、各改札機13の状態を示す情報を表示部に表示する。また、監視盤12は、係員が操作部を操作することにより各改札機13に対して遠隔で動作指示を供給する。例えば、監視盤12は、係員の操作指示によって各改札機13の動作モードを設定する。また、監視盤12は、サーバ11から供給される情報を各改札機13へ配信する機能を有する。
【0011】
各改札機13は、通行制御装置の例である。各改札機13は、各駅の改札口に設置され、改札口における改札処理(入場処理および出場処理)を実行する。サーバ11、監視盤12および改札機13は、駅などの改札口における改札処理を実現する改札システムを構成する。改札機13は、監視盤12からの指示に応じて動作モードを切り替えたり、監視盤12からの情報を用いて改札処理を実行したりする。
【0012】
以下の説明において、本実施形態に係る通行制御装置としての改札機13は、利用者(通行者)が所持する乗車券媒体として非接触式のICカードに基づいて改札処理を実行するものする。ただし、改札機13が乗車券として処理する乗車券媒体(以下、単に券とも称する)は、改札機13が読み取り可能な情報が記録されるものであれば良い。
【0013】
例えば、乗車券媒体は、磁気記録部に情報が記録される磁気式の記録媒体(磁気券)、2次元コードなどのコード化した情報を記録(印刷又は表示)する記録媒体(コード券)、非接触通信により情報の送受信を行う非接触式ICカード、非接触ICカードと同様な機能を有する携帯電話機などのモバイル端末、或は、2次元コードなどのコード化した情報を表示するモバイル端末などであっても良い。
【0014】
次に、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13の構成例を概略的に示す側面図である。
改札機13は、例えば、2台1組で1つの改札(入場又は出場)用の通路を形成する。改札機13は、改札用の通路を1方向にのみ通過可能な入場専用あるいは出場専用の専用機として用いられる場合と改札用の通路を両方向に通過可能な両用機として用いられる場合とがある。例えば、改札機13は、予め入場用の専用機、出場用の専用機あるいは両用機の何れかに設定される。
【0015】
図2に示す構成例において、改札機13は、入場用あるいは出場用の通路を形成する筐体30を有する。改札機13を形成する筐体には、利用者が所持する乗車券から情報を読み取る処理などの券処理を行う券処理部(乗車券処理部)32が設けられる。利用者が乗車券を提示するための券処理部32の読取部(通信部)は、改札機13を形成する筐体30上面の一端部(入口側の端部)に設けられる。券処理部32は、利用者が読取部に提示する乗車券としてのICカードに記録されている情報を読み取る。
【0016】
例えば、券処理部32は、所定の読取部に利用者が提示する乗車券としてのICカードから情報を読み取るカードリーダライタを含む。また、券処理部32は、乗車券として使用されるICカード以外の媒体を処理するデバイスを備えるものであっても良い。例えば、券処理部32は、磁気記録部に券情報を記録した磁気券を処理する磁気券処理部を含む構成であっても良い。また、券処理部32は、乗車券情報としてのコード情報が印刷された媒体からコード情報を読み取るコードリーダを含む構成であっても良い。
【0017】
改札機13を形成する筐体上面には、利用者あるいは係員などに対して案内を行うための表示部33が設けられている。表示部33は、例えば、液晶表示装置などにより構成される。表示部33は、通路を通行する利用者に対する改札処理の結果などを案内する案内画面を表示する。表示部33には、利用者が表示内容を確認できる位置に設ければ良い。表示部33は、筐体上面の退出口側の端部に設定するものに限定されず、例えば、筐体上面の中央部や筐体上面において券処理部32の読取部に隣接して設けても良い。
【0018】
改札機13を形成する筐体30の通路側の側面における両端部には、それぞれ通行者の通行の許可不許可を行う開閉動作可能なドア34、35が設けられている。
図2に示す構成例では、矢印aの方向が退出口への進行方向とすると、ドア34は、通路の退出口(出場口)側の端部に設けられ、利用者が通路を通過することを阻止する。また、ドア35は、通路の進入口(入口)側の端部に設けられ、利用者が通路内へ進入してくることを阻止する。
【0019】
改札機13を形成する筐体30の側面には、複数の通過検知センサ(人間検知センサ)36が設けられている。通過検知センサ36は、反射型の検知センサ、あるいは透過型の検知センサにより構成される。通過検知センサ36からの出力信号は、「明」あるいは「暗」の何れかとなる。通過検知センサ36は、所定の検知位置に人物が存在するか否かを検知するものである。改札機13は、複数の通過検知センサ36により通路内の各検知位置における人物の有無を検知する。これにより、改札機13は、複数の通過検知センサ36の検知結果に基づいて通路を通過中の利用者の位置を判定するようになっている。
【0020】
さらに、改札機13は、券処理部32の読取部が設けられている側(通路の入口側)の通路進入方向に面する側面に接近センサ37が設けられる。接近センサ37は、改札機13に接近してくる人物を検知する。改札機13は、接近センサ37により通路に接近している人物を検知し、当該人物が改札処理をスムーズに受けられるようにする。例えば、接近センサ37は、券処理部32の読取部に乗車券としてのICカードを提示できる位置にいる人物を検知するようにしても良い。この場合、改札機13は、接近センサ37の検知結果に応じて券処理部32を動作可能になるように制御しても良い。
【0021】
また、通路を両方向に通行する運用形態である場合、改札機13は、接近センサ37の検知結果に応じてドア35の開閉を制御することにより利用者の通行方向(改札方向)を制御する。また、改札機13は、接近センサ37の検知結果に応じて、表示部33の消灯などによって消費電力を低減させる省電力モードと通常動作モード(改札処理を実行する動作モード)との切り替え制御を行うようにしても良い。
【0022】
また、改札機13は、券処理部32の読取部が設けられている側(通路の進入口側)の通路進入方向に面する側面に、通行案内表示部を設けても良い。例えば、改札機13は、通行案内表示部に当該改札機への通路への進入可否などを表示するようにしても良い。
【0023】
改札機13を形成する筐体30には、複数の高さセンサ(身長計測センサ)38が設置されている。高さセンサ38は、人物の高さを検知する。高さセンサ38は、通路内における複数個所で人物の高さを検知するために、筐体30の複数個所に設置される。
図2に示す例において、高さセンサ38は、筐体の上面に設けたセンサカバー内に設置される。高さセンサ38は、例えば、反射型の検知センサにより構成される。高さセンサ38は、人物が大人と判定される所定の高さ以上であるか否かを検知するものであれば良い。
【0024】
図3は、改札機13に設置する高さセンサ38による検知位置の設定例を示す図である。
図3に示す例では、高さセンサ38は、
図3中に示す矢印bで示す検知位置に人物が存在するか否かを検知する。すなわち、高さセンサ38は、通路を通過する人物が矢印aよりも身長が高い人物であれば人物を検知したことを示す信号を出力する。また、高さセンサ38は、通路を通過する人物が矢印bよりも身長が低い人物であれば人物を検知しない。
【0025】
図3中の矢印bは、改札機13が形成する通路を通過する人物が大人であるか否かを判定する高さとなるように設定される。従って、改札機13は、高さセンサ38が人物を検知すると、通路を通過する人物が大人であると判定する。改札機13は、高さセンサ38が通路に存在する人物を検知しなければ当該人物が大人でないと判定する。
【0026】
図2に示す構成例において、改札機13は、カメラ39が設置される。カメラ39は、改札機13の通路を通過する人物の画像を撮影する。カメラ39は、改札機13を利用する1人の利用者に対して複数の地点で全身を撮影できるように設置される。カメラ39は、筐体30に設置しても良いし、筐体30とは離れた位置に設置しても良い。また、カメラ39は、改札機13が備える構成でなくても良い。例えば、カメラ39は、改札口あるいは改札機13の利用者を監視するために駅に設置されている監視用のカメラであっても良い。
【0027】
次に、本実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における制御系の構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における制御系の構成例を示すブロック図である。
図4に示す構成例において、改札機13は、プロセッサ41、ROM42、RAM43、記憶部44、通信部45、クロック46、ドア制御部47、スピーカ48、券処理部32、表示部33、通過検知センサ36、および、接近センサ37、高さセンサ38、カメラ39、カメラインターフェース49などを有する。
【0028】
プロセッサ41、ROM42およびRAM43は、改札機13全体を制御する制御部として機能する。プロセッサ41は、例えば、CPUなどの演算部である。プロセッサ41は、ROM42又は記憶部44が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現する。例えば、プロセッサ41は、ROM42又は記憶部44に記憶した後述する改札処理を実行するための改札処理プログラムを実行する。
【0029】
ROM42は、不揮発性のメモリである。ROM42は、プロセッサ41が実行するプログラムなどを記憶するプログラムメモリとして機能する。ROM42は、プロセッサ41が実行するプログラムや制御データなどを記憶する。
【0030】
RAM43は、一時的にデータを保持するメモリである。RAM43は、ワーキングメモリとして機能する。RAM43は、プログラムをロードしたり、プロセッサ41が処理中のデータを保持したりする。RAM43は、通信データなどを一時的に保持するバッファメモリとしても機能する。
【0031】
記憶部44は、データを記憶するメモリである。記憶部44は、HDD或はSSDなどの書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶部44は、改札処理に用いる運賃情報などの情報を記憶する。また、記憶部44は、プロセッサ41が実行するプログラムや制御情報などを記憶しても良い。
【0032】
通信部45は、監視盤12と通信するための通信インターフェースである。通信部45は、監視盤12と有線で通信するインターフェースであっても良いし、無線で通信するインターフェースであっても良い。通信部45は、監視盤12へ動作状態を示す情報を送信したり、監視盤12からの動作モードなどの制御指示を受信したりする。
【0033】
クロック46は、時間を計時する。プロセッサ41は、クロック46が計時する時間によって経過時間を取得する。クロック46は、プロセッサ41から指示された時からの経過時間を計測するタイマであっても良い。
スピーカ48は、音を出力する。例えば、スピーカ48は、利用者の通行を不可する場合に警報などの音を出力する。
【0034】
券処理部32は、利用者が提示する乗車券媒体を処理するものである。本実施形態において、券処理部32は、乗車券媒体としての非接触式ICカード(又は非接触式ICカードと同等の機能を備える携帯端末装置)と非接触通信を行うカードリーダライタにより構成されるものとする。なお、券処理部32は、乗車券媒体としての磁気券を処理する機構を含むものであっても良い。
【0035】
券処理部32は、読取部(所定の読取範囲)に翳された乗車券媒体としての非接触式ICカードと通信し、当該ICカードに記録されている情報を取得する。また、券処理部32は、読取部にICカードを翳した利用者を通行可とする場合、翳されたICカードに対して改札処理の結果などを示す情報を書き込む。
【0036】
表示部33は、改札口を通過する利用者に対する案内を表示する表示器である。表示部33は、例えば、改札口を通過する利用者が視認しやすいように、改札機13本体の退出口側付近又は中央付近に設置される。表示部33に表示される案内などの表示内容は、プロセッサ41により制御される。
【0037】
ドア制御部47は、ドア34およびドア35を開閉させるドア開閉機構を含む。ドア制御部47は、ドア34およびドア35を開閉させることにより利用者の通行を制御するものである。例えば、ドア制御部47は、ドア34を閉鎖することにより当該改札機13が改札口に形成する通路の通過を阻止する。
【0038】
通過検知センサ(人間検知センサ)36は、人物(又は物体)の有無を検知するセンサである。通過検知センサ36は、
図2に示すように、改札機13の側面において通路内における所定の複数位置が検知位置となるように設置され、各位置おける人物の有無を示す検知信号をプロセッサ41へ出力する。プロセッサ41は、通過検知センサ36の検出結果に基づいて通路内における人物の位置および人物による通路の通過の有無などを検出することができる。
【0039】
接近センサ37は、改札機13に接近する人物を検知する。接近センサ37は、改札機13の筐体における進入口側に設けられ、改札機13の進入口付近にいる人物の有無を示す検知信号をプロセッサ41へ出力する。
【0040】
通過検知センサ36および接近センサ37は、当該改札機13を利用する人物(利用者)の位置を検知するセンサである。
図2に示す例において、プロセッサ41は、利用者が、Aエリア、Bエリア、Cエリア、通行制御エリアのどの位置にいるかを監視する。
【0041】
Aエリアは、改札機13が形成する通路の手前の領域である。プロセッサ41は、接近センサ37がオンになる(接近センサ37が人物を検知する)と、利用者がAエリアに存在すると判断する。
Bエリアは、通路内における入口側のエリアである。プロセッサ41は、通過検知センサ36aがオンになると、利用者が通路(Bエリア)に進入したものと判断する。
【0042】
Cエリアは、Bエリアに続くエリアであり、矢印a方向に移動する利用者がBエリアの次に通行するエリアである。プロセッサ41は、通過検知センサ36bがオンになると、利用者がBエリアからCエリアに移動したものと判断する。通行制御エリアは、Cエリアに続くエリアであり、矢印a方向に移動する利用者がCエリアの次に通行するエリアである。プロセッサ41は、通過検知センサ36cがオンになると、Cエリアから通行制御エリアへ移動したものと判断する。
【0043】
高さセンサ38は、人物を身長を計測するセンサの一例である。高さセンサ38は、人物の高さが所定の高さ(大人とする高さ)以上であるか否かを検知する。例えば、高さセンサ38は、
図3に示すような検知位置を設定した反射型のセンサであり、所定の高さにおいて人物の有無を検知する。高さセンサ38は、大人と判定する所定の高さに設定された検知位置で人物を検知した場合にオン信号を出力する。プロセッサ41は、高さセンサ38からオン信号を受信した場合に所定の高さ以上の大人と判定される人物が存在すると判定する。
【0044】
なお、身長計測センサは、
図2および
図3に示すように構成される高さセンサ38に限定されない。身長計測センサとしての高さセンサ38は、通路内の所定位置において利用者の高さ(身長)が所定の高さ以上であるか否かを判定できる信号を取得するものであれば良い。例えば、高さセンサ38は、一方から利用者の高さを検知する身長計測センサであっても良いし、反射型のセンサ以外の計測装置を用いて利用者の高さを検知するものであっても良い。また、高さセンサ38は、3次元センサなどを用いた身長計測センサに置き換えても良いし、カメラが撮影する画像から身長を計測するもの(身長計測センサ)に置き換えても良い。
【0045】
カメラ39は、所定の周期(フレームレート)で画像を撮影する。例えば、カメラ39は、
図2に示すAエリア、Bエリア、Cエリアを含む領域を撮影するように設定される。また、カメラ39は、利用者の移動に応じてAエリア、BエリアおよびCエリアをそれぞれ撮影領域として撮影する駆動させても良い。例えば、プロセッサ41は、待機中および接近センサ37が利用者を検知している間はAエリアを撮影し、通過検知センサ36aおよび36bにより利用者がBエリアに存在することを検知している間はBエリアを撮影し、通過検知センサ36bおよび36cにより利用者がCエリアに存在することを検出している間はCエリアを撮影するように設定しても良い。
【0046】
また、カメラ39は、改札機13を利用する利用者の全身又は利用者の一部を撮影するように設置される。カメラ39は、後述する姿勢判定処理において姿勢判定の対象となる利用者の部位を撮影するものとする。例えば、利用者の全身の動きで姿勢を判定する姿勢判定処理を実施する場合、カメラ39は、改札機13の通路手前および通路内にいる利用者の全身を含む範囲の画像を撮影するように設定される。また、利用者の上半身の動きで姿勢を判定する姿勢判定処理を実施する場合、カメラ39は、改札機13の通路手前および通路内にいる利用者の上半身を含む範囲の画像を撮影するように設定される。また、利用者の膝から上の部位の動きで姿勢を判定する姿勢判定処理を実施する場合、カメラ39は、改札機13の通路手前および通路内にいる利用者の膝よりも上側の範囲の画像を撮影する。
【0047】
カメラ39は、カメラインターフェース49に接続される。カメラ39は、改札機13とは別に設置されるものであっても良い。カメラ39が改札機13とは別に設置される場合、プロセッサ41は、カメラインターフェース49を介してカメラ39が撮影する画像を取得するように構成する。また、カメラ39は、1台の改札機13に対して1台でなくても良く、複数台の改札機13に対して1台のカメラ39を設けた構成であっても良い。この場合、カメラインターフェース49は、ネットワークを介してカメラ39が当該改札機13の通路を含む領域を撮影した画像を取得するようにすれば良い。
【0048】
次に、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13による改札処理(通行制御処理)について説明する。
図5は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13による改札処理を説明するためのフローチャートである。
改札機13のプロセッサ41は、待機中において接近センサ37の検知結果により利用者の通路への接近を検出する。また、プロセッサ41は、通過検知センサ36の検知結果によって利用者の通路内への進入を検出する。
【0049】
プロセッサ41は、利用者の通路への接近(又は通路内への進入)を検出すると(ST1、YES)、姿勢判定処理、高さ判定処理、および、券読取処理を実行する(ST2、3、4)。なお、姿勢判定処理、高さ判定処理および券読取処理は、
図5に示す順序に限定されず、どの順序で実行しても良い。また、姿勢判定処理、高さ判定処理および券読取処理の一部又は全部は、並行して実行するようにして良い。
【0050】
姿勢判定処理は、利用者が通路を通過する際の姿勢を判定する処理である。プロセッサ41は、カメラ39が撮影する画像に基づいて利用者の姿勢を判定する姿勢判定処理を実行する(ST2)。通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理は、高さセンサ38で高さを検知する時に利用者が意図的な姿勢変化をしていないか(正しい姿勢で通路を通過しているか)を判定する処理である。姿勢判定処理については、後で詳細に説明するものとする。
【0051】
高さ判定処理は、通路を通行する利用者の高さを判定する処理である。プロセッサ41は、高さセンサ38の検知結果に基づいて通路内の所定位置に存在する利用者の高さを判定する高さ判定処理を実行する(ST3)。通行制御装置としての改札機13における高さ判定処理は、検知位置を大人と判定する高さに設定した高さセンサ38で利用者を検知したか否かにより当該利用者の身長が大人の高さ以上であるか否かを判定する処理である。
【0052】
券読取処理は、利用者が提示(所持)する乗車券媒体から券情報を読み取る処理である。プロセッサ41は、券処理部32により利用者が提示する乗車券媒体から券情報を読み取る券読取処理を実行する(ST4)。例えば、券処理部32は、利用者が読取部に翳す乗車券媒体としてのICカードに記録されている券情報を読み取る。また、券処理部32は、利用者が提示する乗車券媒体としての磁気券に記録されている券情報を読み取るようにしても良い。また、券処理部32は、利用者が提示する乗車券媒体に表示される券情報がエンコードされたコード情報を読み取るようにしても良い。
【0053】
プロセッサ41は、利用者が提示する乗車券媒体(券)から券情報を読み取ると、読み取った券情報に基づいて利用者が提示した券が子供(小児)用の乗車券であるか否かを判定する(ST5)。
【0054】
利用者が提示した券が子供用の乗車券でない場合(ST5、NO)、プロセッサ41は、利用者が大人であるものとし、当該券の券情報に基づいて大人に対しての通行の可否を判定する(ST13)。プロセッサ41は、利用者が提示した券の券情報が大人の通行を許可する内容である場合(ST14、YES)、通行可の案内を表示部33に表示することにより通行可を報知し(ST15)、ドア34を開放する(ST16)。これにより、プロセッサ41は、当該利用者を通過させる。
【0055】
利用者が提示した券が子供用の乗車券である場合(ST5、YES)、プロセッサ41は、当該利用者が高さ判定によって高さ(身長)が大人でない(小児である)と判定されたか否かを判断する(ST6)。例えば、プロセッサ41は、利用者が高さセンサ38によって検知されたか否かによって当該利用者の高さ(身長)が所定の高さ以上であるか否かを判断する。
【0056】
高さが大人である場合、つまり、高さセンサ38が利用者を検知した場合(ST6、NO)、プロセッサ41は、ST13へ進み、当該利用者が提示した乗車券媒体から読み取った券情報に基づいて大人としての通行判定を実行する。
【0057】
また、高さが大人でない場合、つまり、高さセンサ38により利用者が検知されなかった場合(ST6、YES)、プロセッサ41は、当該利用者が通路の所定位置を通行する時(高さセンサの検知位置を通過する時)に当該利用者が正しく高さを測定できない姿勢(姿勢不良)であったか否かを判断する(ST7)。ここで、姿勢不良としては、身長計測センサとしての高さセンサ38による身長の計測が不可となる姿勢(高さが正しく測定できなくなるような姿勢)である。つまり、プロセッサ41は、高さセンサ38で正しく高さ(身長)が検知できないような姿勢で利用者が通路を通行していることを姿勢不良として検出する。
【0058】
図6および
図7は、利用者が改札機13の通路を通行する時の姿勢を説明するための図である。
高さセンサ38は、
図4に示すように、大人と判定する所定の高さ以上の身長がある人物を検知するように設置される。従って、所定の高さ以上の大人である利用者が正面向きで直立した状態で通路を通行すると、高さセンサ38は、
図6に示すように、当該利用者を検知する。しかし、所定の高さ以上の大人である利用者であっても姿勢を低くした状態(高さを低くした状態)で通路を通行すると、高さセンサ38は、
図7に示すように、当該利用者を検知できない。このため、プロセッサ41は、子供用の券を提示した利用者が高さセンサ38で検知されない場合、姿勢不良があるか否かを判断することにより、大人と検知されないような姿勢で通行しようとする利用者を検出する。
【0059】
利用者が正しく高さを測定できる姿勢(正常な姿勢)で通路を通行したと判定した場合(ST7、NO)、プロセッサ41は、ST13へ進み、当該利用者が提示した乗車券媒体から読み取った券情報(子供用の券の券情報)に基づいて子供に対する通行判定を実行する。
【0060】
例えば、プロセッサ41は、正常な姿勢と判定した利用者が通行可であれば、ドア34を開放して通行可の案内を表示部33に表示することにより利用者の通過を促す。ただし、プロセッサ41は、正常な姿勢と判定した利用者が小児である場合、通行不可であっても当該利用者を保護するためにドア34を開放したままとするようにしても良い。これにより、正常な姿勢である(意図的な姿勢変化がない)ことが確認された利用者(小児と判定された利用者)は、券情報に基づく通行判定による通行が可能となる。
【0061】
利用者が正しく高さを測定できない姿勢であると判定した場合(ST7、YES)、プロセッサ41は、カメラ39が撮影した当該利用者の画像を含む画像を保存する(ST8)。例えば、プロセッサ41は、当該利用者が通路を通行する時にカメラ39が撮影した画像をRAM43又は記憶部44などのメモリに保持しておく。プロセッサ41は、当該利用者の画像を保存する場合、メモリに保持している画像を当該利用者が高さを測定できない姿勢であったことを示す情報と共に監視盤12を介してサーバ11へ送信する。これにより、プロセッサ41は、高さを正しく計測できる姿勢でないと判定された利用者の画像を上位装置であるサーバ11に保存する。
【0062】
また、プロセッサ41は、高さを正しく計測できる姿勢でないと判定された利用者の画像を記憶部44に保存するようにしても良い。サーバ11又は記憶部44に保存した画像は、姿勢が不可であると判定したことを示すエビデンスとして利用可能である。例えば、サーバ11又は記憶部44に保存した画像は、当該利用者に対して開示するようにしても良い。
【0063】
なお、サーバ11又は監視盤12は、改札機13から姿勢不可と判定した旨の情報を受けた場合に監視盤12の表示部に利用者が姿勢不可と判定した改札機13を示す情報を表示しても良い。これにより、監視盤12で改札機13の動作を監視している係員に、姿勢によって通行を不可した利用者が存在すること報知できる。
【0064】
また、利用者が正しく高さを測定できない姿勢であった場合(ST7、YES)、プロセッサ41は、スピーカ48により警報音を出力し(ST9)、正しい姿勢で再度通行することを案内する(ST10)。例えば、プロセッサ41は、案内として、正しい姿勢で再度通行する旨の案内画面を表示部33に表示する。また、プロセッサ41は、案内として、係員窓口へ行くことを案内する案内画面を表示部33に表示するようにしても良い。さらに、プロセッサ41は、特定の改札機13を通行すること案内するようにしても良い。
【0065】
また、利用者が正しく高さを測定できない姿勢であった場合(ST7、YES)、プロセッサ41は、ドア34を閉鎖して利用者の通行を阻止する(ST11)。ただし、プロセッサ41は、子供用の券と判定した場合、利用者が実際に子供であったことも想定して当該利用者(子供)の安全を確保するために、ドア34を開放したままとするようにしても良い。姿勢が不良であった場合にドアを閉じるか否かは、各改札機13に設定されるものとする。例えば、監視盤12などから各改札機13に姿勢が不良であった場合のドアの開閉制御を設定できるようにしても良い。
【0066】
以上のように、実施形態に係る通行制御装置としての改札機は、姿勢判定処理、高さ判定処理、および、券読取処理の結果に基づいて利用者の通行を制御する。改札機は、利用者が提示した乗車券媒体が子供用の券であれば、利用者が姿勢判定処理によって高さセンサによる高さの計測が不可となる姿勢であると判定された場合には当該利用者の通路の通過を不可とする。
これにより、実施形態に係る通行制御装置は、利用者が大人の高さ(身長)であるかを計測できる姿勢で通路を通行しているかを判定でき、意図的に身長が低くなるような姿勢などで通路を通過することによる子供用の券を用いた不正利用などを防止できる。
【0067】
次に、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理について説明する。
姿勢判定処理は、通路内の所定位置において利用者が意図的に不自然な姿勢をしているか否かを判定する処理である。姿勢判定処理は、利用者の姿勢を推定し、推定した姿勢の変化によって姿勢が正常であるか否かを判定する。
【0068】
改札機13は、姿勢推定として、深層学習を用いて画像中から人物の骨格点を推定する既知の処理を適用することが可能である。例えば、改札機13のプロセッサ41は、OpenPose(https://arxiv.org/abs/1812.08008参照)などの手法によってカメラ39が撮影する利用者の画像から当該利用者の姿勢を推定する。また、改札機13は、他の骨格を求める手法などを用いて姿勢を推定するようにしても良い。
【0069】
実施形態に係る通行制御装置としての改札機13のプロセッサ41は、通行制御装置としての改札機13を利用する各利用者に対して姿勢推定を用いた姿勢判定処理を実行する。これにより、プロセッサ41は、上述したような姿勢判定処理の結果を用いた改札処理(通行制御処理)を実行できる。また、プロセッサ41は、姿勢判定処理として幾つかの動作例を実行できる。本実施形態においては、姿勢判定処理の動作例として3つの動作例について説明する。
【0070】
まず、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理の第1の動作例について説明する。
第1の動作例では、改札機13は、利用者が通路内における入口側の領域(例えば、
図2に示すBエリア)を通行するときの姿勢が正しく高さを判定できる姿勢であるか否かを判定する。
【0071】
例えば、改札機13は、通過検知センサ36aにより利用者が通路内に進入したことを検知し、当該利用者に対する姿勢判定処理を開始する。改札機13は、姿勢判定処理を開始すると、カメラ39が撮影する画像から利用者の画像を抽出し、利用者の姿勢を示す特徴量を算出する。また、改札機13は、記憶部44に姿勢判定の基準となる基準値を記憶する。改札機13は、カメラ39が撮影する画像から算出する利用者の姿勢を示す特徴量と基準値とを比較することにより当該利用者の姿勢が正しく高さを判定できる姿勢であるか否かを判定する。
【0072】
図8は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理の第1の動作例としての処理例を説明するためのフローチャートである。
改札機13のプロセッサ41は、接近センサ37により利用者の接近を検出する。プロセッサ41は、接近センサ37により検知した利用者を通過検知センサ36aで検出する。プロセッサ41は、通過検知センサ36aで検知した場合に、利用者が所定位置を通過したものと判断する(ST21)。
図2に示す例によれば、プロセッサ41は、利用者がBエリアに進入した場合に利用者が所定位置を通過したものとする。
【0073】
なお、プロセッサ41は、券処理部32に乗車券媒体が提示されたタイミングを所定位置を通過したタイミングとして検出するようにしても良い。例えば、プロセッサ41は、利用者が提示したICカードを券処理部32が検出した場合、あるいは、利用者が磁気券などの券を券処理部に投入した場合、利用者が所定位置を通過したものとして検出しても良い。さらに、プロセッサ41は、カメラ39が撮影する画像から利用者が所定位置を通過したことを検出するようにしても良い。
【0074】
プロセッサ41は、利用者が所定位置を通過したことを検出すると、カメラ39が撮影する当該利用者を含む画像(通過画像)をカメラインターフェース49により取得する。プロセッサ41は、カメラ39が撮影した画像から当該利用者の画像を抽出し、当該利用者の画像から当該利用者の姿勢を判定するための特徴量(姿勢特徴量)を算出する(ST22)。例えば、プロセッサ41は、利用者の画像に対して人物の骨格の特徴点(骨格点)を推定する姿勢推定を行う。
【0075】
プロセッサ41は、骨格点を推定する場合、利用者の姿勢特徴量に含まれる特徴量として、両肩の幅、肩と腰の相対角度、肩と腰の比率、移動時の腰関節、肩関節や腰の揺れ幅、肘関節、膝関節の角度などを算出する。また、プロセッサ41は、骨格特徴点の特徴空間分布を特徴量として算出しても良い。また、姿勢を判定するための特徴量は、姿勢不良が検出できるものであれば良く、複数の指標値を組み合わせても良い。
【0076】
また、プロセッサ41は、姿勢推定によって得られた骨格点から当該利用者の姿勢を示す特徴量を算出する。例えば、プロセッサ41は、骨格点から1つ又は1つ以上の関節のなす角度を特徴量と算出する。具体的に例示すると、プロセッサ41は、撮影画像から上半身の両肩を特定し、上半身の両肩における骨格点から肩関節を抽出し、肩関節の角度を特徴量として算出しても良い。また、プロセッサ41は、撮影画像から腰を特定し、腰における骨格点から腰関節を抽出し、腰関節の角度を特徴量として算出しても良い。
【0077】
また、プロセッサ41は、撮影画像から肩と腰とを特定し、肩における骨格点から肩関節を抽出し、腰における骨格点から腰関節を抽出し、肩の関節と腰の関節とのなす角度を特徴量として算出しても良い。また、プロセッサ41は、撮影画像から利用者の膝と腰とを特定し、膝における骨格点から両膝の膝関節を抽出し、腰における骨格点から腰の腰関節を抽出し、膝の関節と腰の関節とのなす角度を特徴量として算出しても良い。
また、プロセッサ41は、骨格の関節間の距離から算出した比率を姿勢特徴量として算出しても良い。また、プロセッサ41は、骨格点の座標値から算出する特徴空間分布を特徴量としても良い。
【0078】
プロセッサ41が姿勢特徴量として算出する特徴量は、上述したような特徴量から予め設定しておくものとする。姿勢特徴量として算出する特徴量は、1つであっても良いし、複数であっても良い。また、姿勢特徴量として算出する特徴量は、カメラ39の設置環境あるいはカメラ39が撮影可能な撮影範囲に応じて設定しても良い。例えば、カメラ39が通路を通行する利用者の下半身が撮影し難い環境であれば、利用者の上半身の画像から取得可能な特徴量を姿勢特徴量として設定すれば良い。
【0079】
プロセッサ41は、通過画像から利用者の姿勢を示す姿勢特徴量を算出すると、高さセンサ38が正しく高さを測定できる姿勢(正常な姿勢)を想定した姿勢判定のための姿勢基準値(判定基準)と算出した利用者の姿勢特徴量との比較を行う(ST23)。第1の動作例において、改札機13は、正常な姿勢を想定した正常な姿勢であると判定するための姿勢基準値を記憶部44に記憶しておく。姿勢基準値は、姿勢特徴量として利用する特徴量に応じて設定される。また、姿勢特徴量として複数の特徴量を用いる場合、姿勢基準値は、各特徴量に対応して複数の基準値を設定するようにしても良い。
【0080】
また、姿勢基準値は、公開データベース等から集めた正常な姿勢である人物の画像データから姿勢特徴量を算出し、それらの姿勢特徴量の分布から正常な姿勢とする姿勢基準値および姿勢基準値に対する許容範囲を作成しても良い。また、姿勢基準値は、改札機13において複数の被験者が正常な姿勢で通路を通行する場合にカメラ39が撮影した画像から算出する複数の姿勢特徴量から姿勢基準値を算出するようにしても良い。
【0081】
プロセッサ41は、カメラ39が撮影する通過画像から算出した利用者の姿勢特徴量が姿勢基準値を基準して許容範囲(基準範囲)内であれば(ST24、YES)、当該利用者が正常な姿勢である(「問題なし」)と判定する(ST25)。また、プロセッサ41は、当該利用者の姿勢特徴量が姿勢基準値に対して基準範囲を越えた場合(ST24、NO)、当該利用者が正常な姿勢でない(「大人か否かを判定できない」)と判定する(ST26)。プロセッサ41は、当該利用者に対する姿勢判定の結果をRAM43などに保持し、姿勢判定処理を終了する。
【0082】
以上のように、第1の動作例によれば、通行制御装置としての改札機は、予め設定した姿勢を判定するための姿勢基準値とカメラが撮影する通路を通行する利用者の画像から算出した姿勢特徴量とを比較する。改札機は、算出した姿勢特徴量が姿勢基準値に対して所定の許容範囲内であれば当該利用者が正常な姿勢であると判定し、算出した姿勢特徴量が姿勢基準値に対して所定の基準範囲内でなければ当該利用者が姿勢不良である(身長の計測が不可となる姿勢である)と判定する。
【0083】
これにより、第1の動作例の姿勢判定処理を適用した通行制御装置としての改札機は、利用者が正常な姿勢で通路を通行したか否かを判定できる。改札機は、通路を通行する利用者が高さセンサで正常に身長を計測できる状態であるか否かを判定でき、子供用の券などを提示した利用者が不自然な姿勢で通路を通過しようとしたことが検出できる。
【0084】
次に、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理の第2の動作例について説明する。
第2の動作例に係る改札機13は、
図9に示すように、利用者が通路に進入する手前のエリアにおいて利用者を追跡し、通路手前のエリア(例えばAエリア)にいる利用者を撮影した画像から算出する姿勢特徴量に基づいて当該利用者用の姿勢基準値を作成する。第2の動作例に係る改札機13は、利用者が通路内に進入すると、当該利用者用の姿勢基準値を用いて第1の動作例で説明したような姿勢判定処理で利用者の姿勢を判定する。
【0085】
図10は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理の第2動作例としての処理例を説明するためのフローチャートである。
改札機13において、接近センサ37は、通路の手前に設定した
図2に示すAエリアに進入した利用者を検知する。プロセッサ41は、接近センサ37が利用者を検知すると、当該利用者を新規の通行者(利用者)として検出する(ST31)。プロセッサ41は、新規の通行者を検出すると、当該利用者の追跡を開始する(ST32)。
【0086】
例えば、プロセッサ41は、接近センサ37と通過検知センサ36aとの検知信号によって利用者がAエリアからBエリアへ移動したことを検出する。つまり、プロセッサ41は、接近センサ37がオンとなっている場合に利用者が通路手前のエリア(Aエリア)に存在すると判定し、接近センサ37がオフになると共に通過検知センサ36aがオンとなった場合に通路手前のエリア(Aエリア)から通路(Bエリア)に進入したことを検出する。なお、プロセッサ41は、カメラ39が撮影する画像から抽出する利用者の画像に基づいて利用者がAエリアからBエリアに移動したことを検出するようにしても良い。
【0087】
プロセッサ41は、利用者が通路手前のエリアに存在する間、当該利用者用の姿勢変化を判定するための姿勢基準値を生成する。プロセッサ41は、利用者の追跡を開始した後、当該利用者が通路手前のエリアから通路内へ移動したことを検出するために、当該利用者の通路内へ進入を監視する(ST33)。
【0088】
プロセッサ41は、利用者が通路内で進入していなければ(ST33、NO)、カメラ39が撮影した画像から抽出する利用者の画像から当該利用者の姿勢を示す姿勢特徴量を算出する(ST34)。例えば、プロセッサ41は、上述したような姿勢推定によって、カメラ39が撮影した画像から抽出する利用者の画像により当該利用者の姿勢を示す姿勢特徴量を算出する。
【0089】
プロセッサ41は、通路手前に存在する利用者の姿勢特徴量を算出すると、算出した姿勢特徴量に基づいて当該利用者用の姿勢基準値を更新する(ST35)。例えば、プロセッサ41は、通路手前に存在する利用者用の姿勢基準値を記憶する記憶エリアを記憶部44に確保し、所定のフレームレートでカメラ39が撮影する画像から算出する利用者の姿勢特徴量によって記憶部44に保存している利用者用の姿勢基準値を更新する。
【0090】
すなわち、プロセッサ41は、利用者が通路手前のエリアに存在する間、カメラ39の撮影画像による当該利用者の姿勢特徴量の算出と、算出した姿勢特徴量による当該利用者用の姿勢基準値の更新とを繰り返し実行する。
【0091】
利用者が通路内へ進入した場合(ST33、YES)、プロセッサ41は、当該利用者の追跡を終了し(ST36)、通路に進入した利用者用の姿勢基準値の作成を終了する。なお、プロセッサ41は、利用者が通路内へ移動することなく通路手前のエリアから退出した場合(例えば、追跡の対象者が接近センサ37および通過検知センサ36aで検知されなくなった場合)、当該利用者の追跡を終了し、当該利用者用の姿勢基準値を破棄するようにしても良い。
【0092】
プロセッサ41は、通路内への進入に伴って利用者の追跡を終了した場合、記憶部44に記憶した当該利用者用の姿勢基準値を用いて当該利用者に対する姿勢判定処理を実行する(ST37)。例えば、プロセッサ41は、第1の動作例で説明したような姿勢判定処理を実行する。これにより、第2の動作例では、利用者自身の画像から算出した姿勢特徴量を基に作成した姿勢基準値を用いて通路に進入した利用者の姿勢が正常な姿勢であるか姿勢不良であるかを判定する姿勢判定処理を実行できる。
【0093】
図11および
図12は、第2の動作例による姿勢判定処理の例を説明するための図である。
図11は、利用者P1が通路手前のエリアから姿勢を変えることなく通路に進入する様子を示す。
図12は、利用者P2が通路手前のエリアから姿勢を変化させて通路に進入する様子を示す。
【0094】
図11に示す例において、利用者P1は、通路手前のエリアと同様な姿勢で通路に進入する。このため、通路手前のエリアにおける利用者P1の画像から算出した姿勢特徴量に基づく利用者P1用の姿勢基準値と通路に進入したときの利用者P1の画像から算出した姿勢特徴量とは変化が少ない。
【0095】
これに対して、
図12に示す例において、利用者P2は、通路内では通路手前のエリアと異なる姿勢である。このため、改札機13は、通路手前のエリアにおける利用者P2の画像から算出した姿勢特徴量に基づく利用者P2用の姿勢基準値と通路に進入した利用者P2の画像から算出した姿勢特徴量とは変化量が大きい。
【0096】
すなわち、第2の動作例では、改札機13は、利用者が通路に接近するごとに利用者自身の姿勢基準値を都度作成する。このため、第2の動作例の姿勢判定処理を適用した改札機は、通路への進入の前後において、
図11に示すような姿勢の変化がなければ当該利用者の姿勢が正常な姿勢と判定し、
図12に示すような姿勢の変化があれば当該利用者の姿勢が姿勢不良と判定する。
【0097】
以上のように、第2の動作例の姿勢判定処理を適用した通行制御装置としての改札機は、利用者が所定位置(例えば、通路の入口)を通過する前までの画像から算出する姿勢特徴量によって利用者ごとの姿勢基準値を作成でき、個々の利用者の体型および歩く姿勢など個人的な特徴を反映した姿勢基準値を作成でき、各利用者の姿勢変化を精度良く検出することができる。
【0098】
次に、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理の第3の動作例について説明する。
第3の動作例に係る改札機13は、利用者が通路を通行する場合に通過する複数の通過位置を設定し、各通過位置における当該利用者の姿勢特徴量の変化量によって利用者の姿勢を判定する。すなわち、第3の動作例では、予め設定した姿勢基準値を用いることなく、所定の通過位置における利用者の姿勢変化に基づいて利用者が正常な姿勢(許容範囲内の姿勢変化)で通路を通過したか姿勢を大きく変化させて(許容範囲を超える姿勢変化で)通路を通過したかを判定する。
【0099】
図13は、実施形態に係る通行制御装置としての改札機13における姿勢判定処理の第3の動作例としての処理例を説明するためのフローチャートである。
第3の動作例の姿勢判定処理を実施する改札機13は、複数の通過位置(所定位置)が設定されているものとする。例えば、改札機13は、1人の利用者に対して、
図2に示すAエリア、Bエリア、Cエリアの各エリアで姿勢を示す姿勢特徴量を算出する。この場合、プロセッサ41は、接近センサ37、通過検知センサ36aおよび通過検知センサ36bが利用者を検知するごとに各エリアにおける当該利用者の姿勢特徴量を算出する。
【0100】
すなわち、改札機13のプロセッサ41は、利用者を所定の通過位置(検知位置)で検知すると(ST51)、カメラ39から当該検知位置を含むエリアに存在する利用者の画像を含む撮影画像を取得する。プロセッサ41は、カメラ39から取得した撮影画像から抽出する利用者の画像から当該利用者の姿勢を示す姿勢特徴量を算出する(ST52)。ここで、プロセッサ41は、各検知位置でカメラ39が撮影した画像から算出した姿勢特徴量をRAM52又は記憶部44などのメモリに記憶する。
【0101】
さらに、プロセッサ41は、全ての通過位置を利用者が通過したことを検出するまで、ST51~52の処理を繰り返し実行する。当該利用者が全ての通過位置を通過していない場合(ST53、NO)、プロセッサ41は、次の通過位置を通過したことを検知するごとに、カメラ39が撮影する画像から当該利用者の姿勢を示す姿勢特徴量を算出し、算出した姿勢特徴量を検知位置に対応づけてRAM42などのメモリに蓄積する。例えば、プロセッサ41は、各検知位置における姿勢特徴量として、利用者の特定部位の上下関係、左右関係、前後の揺れ幅(例えば、頭部、肩、手など)、特定の関節の角度(例えば肩腰、両肩、肘など)などを検出する。これらの各検知位置における姿勢特徴量は、通路を通行している利用者が意図的に姿勢を変化させたことを判定できるような特徴量であれば良い。
【0102】
当該利用者が全ての通過位置を通過した場合(ST53、YES)、プロセッサ41は、メモリに蓄積した各検知位置での姿勢特徴量から各検知位置での姿勢特徴量間の変化量を算出する(ST54)。例えば、プロセッサ41は、隣接する検知位置での姿勢特徴量間の変化量を算出することにより、姿勢特徴量の変化量として、利用者の特定部位の上下関係、左右関係、前後の揺れ幅(例えば、頭部、肩、手など)、特定関節の角度(例えば肩腰、両肩、肘など)などの変化量を検出する。このような変化量であれば、通路を通行中に利用者が意図的に姿勢を変化させたことが検出できる。
【0103】
各検知位置における姿勢特徴量の変化量を算出すると、プロセッサ41は、算出した各検知位置における姿勢特徴量の変化量が正常な姿勢であるか否かを判定するための基準とする許容範囲(判定基準範囲)内であるか否かを判断する(ST55)。例えば、判定基準範囲は、予め記憶部44に記憶しておく。判定基準範囲は、姿勢変化を検出するための指標と示す一般の公開データなどから作成しても良い。例えば、プロセッサ41は、所定の全ての検知位置(例えば、改札機の中央)通過した場合、各検知位置を通行中の利用者を撮影した画像から抽出した姿勢特徴量の変化量と判定基準範囲と比較することにより、各検知位置を通過した利用者の姿勢が許容範囲を越えて大きく変化したか否かを判定する。
【0104】
プロセッサ41は、算出した姿勢特徴量の変化量が判定基準範囲内である場合(ST55、YES)、当該利用者が正常な姿勢で通路を通行した(「問題なし」)と判定する(ST56)。また、プロセッサ41は、算出した姿勢特徴量の変化量が判定基準範囲を越えた場合(ST55、NO)、当該利用者が正常な高さ判定ができない姿勢で通路を通過した(「大人か否かを判定できない」)と判定する(ST57)。プロセッサ41は、当該利用者に対する姿勢判定の結果をRAM43などのメモリに保持し、姿勢判定処理を終了する。
【0105】
図14および
図15は、改札機13による第3の動作例の姿勢判定処理を説明するための図である。
図14は、利用者P3が通路手前のエリアから姿勢を変えることなく通路を通過する様子を示す。
図15は、通路手前のエリアから通路に進入した利用者P4が姿勢を変化させながら通路を通過する様子を示す。
【0106】
図14に示す例において、利用者P3は、通路手前のエリアと同様な姿勢で通路を通過する。このため、通路手前のエリア、通路に入口付近のエリア(Bエリア)、通路の中央付近のエリア(Cエリア)における利用者P3の画像から算出する姿勢特徴量は変化が少ない。
【0107】
これに対して、
図15に示す例において、利用者P4は、通路手前のエリアとは異なる姿勢で通路に進入し、さらに、通路を進入した後に通路手前のエリアと同様な姿勢で通路の中央付近を通過する。このため、通路手前のエリア、通路に入口付近のエリア(Bエリア)、通路の中央付近のエリア(Cエリア)における利用者P4の画像から算出する姿勢特徴量は変化量が大きい。
図15に示す例では、利用者P4は、通路への進入前と比較して、膝関節角度が大きく変化している。これらの姿勢変化は、姿勢特徴量の変化量として算出される。
【0108】
図14に示すように、通路前から通過中および通過後においても一定の姿勢で通行する利用者P3は、姿勢特徴量の変化量が判定基準範囲内となるため、正常な姿勢で通路を通行したものと判定できる。また、
図15に示すように、通路を通行中に姿勢を大きく変化させた利用者P4は、姿勢特徴量の変化量が判定基準範囲を越えるため、正常な姿勢で通路を通行していない(高さを正しく計測できない姿勢で通路を通行した)ものと判定できる。
【0109】
以上のように、第3の動作例の姿勢判定処理を適用した通行制御装置としての改札機は、利用者が所定の複数の検知位置を通過する場合の画像から各検知位置での姿勢特徴量を算出し、各検知位置での姿勢特徴量の変化量に基づいて通路を通行中における利用者の姿勢変化を検出できる。これにより、意図的に姿勢を変化させて通路を通過しようとする利用者を精度良く検出でき、高さ(身長)が正しく計測できないような姿勢の利用者を検出できる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1…改札システム、11…サーバ、12…監視盤、13…改札機(通行制御装置)、32…券処理部、33…表示部、34、35…ドア、36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)…通過検知センサ、37…接近センサ、38(38a、38b、38c、38d)…高さセンサ(身長計測センサ)、39…カメラ、41…プロセッサ、42…ROM、43…RAM(メモリ)、44…記憶部(メモリ)、45…通信部、46…クロック、47…ドア制御部、48…スピーカ、49…カメラインターフェース(インターフェース)。