(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155767
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231016BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231016BHJP
G03G 15/36 20060101ALI20231016BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G15/00 303
G03G15/36
G03G21/00 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065294
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 雅樹
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA02
2H033AA06
2H033AA15
2H033AA23
2H033AA25
2H033AA33
2H033BA26
2H033BA27
2H033BB01
2H033BB12
2H033BB18
2H033BB21
2H033BB28
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA01
2H033CA27
2H033CA34
2H270KA35
2H270LA25
2H270LA44
2H270RC09
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】ベルトの蛇行量の検出にコストをかけることなくベルトの蛇行制御が可能な、定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は定着ベルトを用いた定着装置10を有する。画像形成装置は、定着ベルト13を加熱するヒータとなるランプ15を含み、ランプ15は、定着ベルト13の回転軸方向に移動可能である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置であって、
前記定着ベルトを加熱するヒータを含み、
前記ヒータは、前記定着ベルトの回転軸方向に移動可能である、画像形成装置。
【請求項2】
前記定着ベルトの回転軸方向の位置に応じて前記ヒータの位置を変位する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着ベルトの移動方向と逆側に前記ヒータを移動する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着ベルトの回転軸方向の端部はカラーで保持され、
前記カラーの押される向きをリンク機構で逆向きの移動方向に変えて前記ヒータの位置を変位する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着ベルトの回転軸方向の端部はカラーで保持され、
前記カラーの押される向きを検出するセンサを含み、
前記センサの検出した前記カラーの押される向きとは逆方向に前記ヒータを前記定着ベルトの回転軸方向に移動するラックピニオンを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着ベルトの回転軸方向の端部はカラーで保持され、
前記カラーは前記定着ベルトの回転軸方向に延長部を有し、
前記カラーの押される向きを逆向きの移動方向に変えて前記ヒータの位置を変位するラックピニオンを含み、
前記カラーの延長部は前記ラックピニオンに係合する、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置において、定着ベルトの蛇行による破損問題は従来から大きな課題である。そのような従来の定着ベルトの蛇行抑制機構が、例えば、特開平06-019346号公報(特許文献1)や、特開2010-06689号公報(特許文献2)や、特開2019-023681号公報(特許文献3)に記載されている。
【0003】
特許文献1には、定着ベルト方式の定着装置を有する画像形成装置において、回転軸方向に温度差がある場合に、高温側のローラ径が膨張して高温側に寄ることを利用して、ベルトの寄り方向を検出し、ベルトが寄った方向のベルトをファンで冷却することを記載している。
【0004】
特許文献2には、定着ベルト方式の定着装置を有する画像形成装置において、回転軸方向に温度差がある場合に、高温側のローラ径が膨張して高温側に寄ることを利用して、回転軸方向の両側に独立したヒータを設け、ベルトの寄り方向を検出し、ベルトが寄った方向と逆側のベルトを加熱することが記載されている。
【0005】
特許文献3には、小サイズの紙が定着装置の片側に連続して通過した際に、軸方向の左右に温度差が生じて高温側にベルトが寄るのを防止するために、温度センサで検出して、左右のファンを制御することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06-019346号公報
【特許文献2】特開2010-06689号公報
【特許文献3】特開2019-023681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置は上記のように構成されていた。従来の定着装置の定着ベルトの蛇行抑制機構における、ベルトの蛇行量を測定して、モータで加圧ローラを制御して自動的に蛇行制御を行なう機構では、高コストになってしまう。また、生産調整で蛇行を調整する場合もあるが、通紙やライフ等でベルトの蛇行力が変わり破損してしまうという問題があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、ベルトの蛇行量の検出にコストをかけることなくベルトの蛇行制御が可能な、定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る画像形成装置は定着ベルトを用いた定着装置を有する。画像形成装置は、定着ベルトを加熱するヒータを含み、ヒータは、定着ベルトの回転軸方向に移動可能である。
【0010】
好ましくは、定着ベルトの回転軸方向の位置に応じてヒータの位置を変位する。
【0011】
さらに好ましくは、定着ベルトの移動方向と逆側にヒータを移動する。
【0012】
定着ベルトの回転軸方向の端部はカラーで保持され、カラーの押される向きをリンク機構で逆向きの移動方向に変えてヒータの位置を変位するようにしてもよい。
【0013】
この発明の一つの実施の形態によれば、定着ベルトの回転軸方向の端部はカラーで保持され、カラーの押される向きを検出するセンサを含み、センサの検出したカラーの押される向きとは逆方向にヒータを定着ベルトの回転軸方向に移動するラックピニオンを含む。
【0014】
この発明の他の実施の形態によれば、定着ベルトの回転軸方向の端部はカラーで保持され、カラーは定着ベルトの回転軸方向に延長部を有し、カラーの押される向きを逆向きの移動方向に変えてヒータの位置を変位するラックピニオンを含み、カラーの延長部はラックピニオンに係合する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、定着ベルトを加熱するヒータが、定着ベルトの回転軸方向に移動可能であるため、定着ベルトの蛇行に応じてヒータが定着ベルトの軸方向に移動し、センサを用いることなく、定着ベルトが蛇行する方向を変えることができる。
【0016】
その結果、ベルトの蛇行量の検出にコストをかけることなくベルトの蛇行制御が可能な、定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置を提供できる。
【0017】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行なう後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】本発明の一実施の形態に係る定着ベルトを用いた定着装置の蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルトが通紙領域の中央にある場合を示す正面図である。
【
図1B】
図1Aにおいて、矢印1B-1Bで示す部分の矢視図である。
【
図2A】本発明の一実施の形態に係る定着ベルトを用いた定着装置の蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルトが後側(R側)に寄った場合を示す正面図である。
【
図2B】
図2Aにおいて、矢印2B-2Bで示す部分の矢視図である。
【
図3A】本発明の一実施の形態に係る定着ベルトを用いた定着装置の蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルトが前側(F側)に寄った場合を示す正面図である。
【
図3B】
図3Aにおいて、矢印3B-3Bで示す部分の矢視図である。
【
図4A】本発明の一実施の形態に係る定着ベルトを用いた定着装置に実際に装着された状態を示す平面図であり、定着ベルトが前側(F側)に寄った場合を示す図である。
【
図4B】本発明の一実施の形態に係る定着ベルトが定着装置に実際に装着された状態を示す平面図であり、定着ベルトが中央にある場合を示す図である。
【
図4C】本発明の一実施の形態に係る定着ベルトが定着装置に実際に装着された状態を示す平面図であり、定着ベルトが後側(R側)に寄った場合を示す図である。
【
図6A】本発明の第2実施の形態に係る定着装置の定着ベルトの蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルトが中央にある場合を示す図である。
【
図6B】
図6Aにおいて、矢印6B-6Bで示す部分の矢視図である。
【
図7A】本発明の第2実施の形態に係る定着装置の定着ベルトの蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルトがR側(後側)に寄った場合を示す図である。
【
図7B】
図7Aにおいて、矢印7B-7Bで示す部分の矢視図である。
【
図8A】本発明の第2実施の形態に係る定着装置の定着ベルトの蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルトが前側(F側)に寄った場合を示す図である。
【
図8B】
図8Aにおいて、矢印8B-8Bで示す部分の矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、本発明に係る定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置の蛇行制御の基本原理について模式的図面を用いて説明する。
【0020】
[第1実施の形態]
図1Aは、本発明の第1実施の形態に係る定着ベルトを用いた定着装置の蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルトが通紙領域の中央にある場合を示す正面図であり、
図1Bは、
図1Aにおいて、矢印1B-1Bで示す部分の矢視図である。
【0021】
図1A及び
図1Bを参照して、定着装置10は、加熱ローラ11と定着ローラ12とに巻き付けられた無端の定着ベルト13と、定着ローラ12に対向して間に定着ベルト13を挟むように設けられた加圧ローラ14とを含み、加熱ローラ11の中にはヒータとなる加熱用のランプ15が設けられている。また、
図1Aでは、後に説明するリンク機構を構成する加熱ローラ11の軸11aを表示している。また、加熱用のランプ15は加熱ローラの軸11aに沿って軸方向に設けられている。
【0022】
図1A及び
図1Bに示すように、加熱ローラ11の軸方向の中央部に定着される用紙の通紙領域が設けられ、定着ベルト13は、定着ローラ12上で、その両端部をカラーで保持されている。また、加熱用のランプ15は少なくとも通紙領域をカバーしている。ここで、図中左側が前側(F側)であり、右側が後側(R側)である。したがって、ここでは、定着ベルト13の左側に当接するカラーをF側カラー17aといい、定着ベルト13の右側に当接するカラーをR側カラー17bという。以下、F側には参照番号にaを付し、R側にはbを付す。
【0023】
また、
図1A及び
図1Bに示すように、F側カラー17aとR側カラー17bとは、その上に接続部19a,19bが接続され、接続部19a,19bの上に、加熱ローラ11の両端部が接続され、加熱ローラ11の両端部を接続部19a,19bの上端部が支持している。
【0024】
また、接続部19a,19bは、それぞれが、支点20a,20bで支持されており、F側カラー17a、接続部19a、加熱ローラ11、接続部19b、R側カラー17bとは、平行四辺形状のリンク機構23を構成している。なお、支点20a、20bは加圧ローラ14に対してその軸方向に移動しないように固定されている。
【0025】
次に、定着ベルト13が蛇行により後側(R側)に移動した状態について説明する。
図2Aは、定着ベルト13が後側(R側)に寄った場合を示す正面図であり、
図2Bは
図2Aにおいて、矢印2B-2Bで示す部分の矢視図である。
図2A及び
図2Bを参照して、定着ベルト13がR側に移動すると、それによってF側カラー17aとR側カラー17bとは、R側に押されて移動する。支点20a,20bは固定されているため、支点20a,20bを中心として接続部19a,19bの上側がF側に移動し、ランプ15を有する加熱ローラ11の軸11aがF側に移動する。定着ベルト13は、その軸方向の一方側が加熱され、他方側がランプ15から遠くなることで冷やされて軸方向のベルトの両端で温度差が生じると、加熱された温度の高い側へ定着ベルト13が寄る。
【0026】
このように加熱ローラ11がF側に寄ることによって、定着ベルト13の温度はF側が高くなり、定着ベルト13はF側に寄ろうとする。
【0027】
次に、定着ベルト13が蛇行によりF側に移動した状態について説明する。
図3Aは、定着ベルト13が前側(F側)に寄った場合を示す正面図であり、
図3Bは
図3Aにおいて、矢印3B-3Bで示す部分の矢視図である。
図3A及び
図3Bを参照して、定着ベルト13がF側に移動すると、それによってF側カラー17aとR側カラー17bとは、F側に移動する。支点20a,20bは固定されているため、支点20a,20bを中心として接続部19a,19bがR側に移動し、ランプ15を有する加熱ローラ11がR側に移動する。定着ベルト13は、その軸方向の一方側が加熱されると、加熱された温度の高い側へ定着ベルト13が寄る。
【0028】
すなわち、この実施の形態によれば、定着ベルト13の移動方向とヒータとなるランプ15を有する加熱ローラ11とは相互に逆側に移動する。
【0029】
このように、定着ベルト13を加熱するヒータとなるランプ15を有する加熱ローラ11が、定着ベルト13の回転軸方向に移動可能であるため、加熱ローラ11の位置が変位することによって、定着ベルト13の温度が変化し、それによって、定着ベルト13の蛇行が制御される。
【0030】
また、この実施の形態によれば、回転軸方向の定着ベルト13の位置に応じてヒータとなるランプ15を有する加熱ローラ11の位置が変位する。
【0031】
すなわち、この実施の形態においては、定着ベルト13の移動を検出するセンサや、ベルトを移動させるモータ等の機構を設けることなく、定着ベルト13自身の移動による蛇行力に基づいてランプ15を有する加熱ローラ11が支点20a,20bを中心として移動し、定着ベルト13の蛇行が制御される。
【0032】
なお、ヒータとなるランプ15を有する加熱ローラ11は、通紙領域外の定着ベルト13の温度を可変させるため、実印字には影響しない。
【0033】
次に、上記した原理が実際の定着装置に適用された具体的な構成について説明する。
図4A~
図4Cは
図1A~
図3Bにおいて説明した定着ベルトの蛇行制御の原理が定着装置に実際に装着された状態を示す平面図であり、
図4Aは定着ベルトが前側(F側)に寄った場合を示し、
図4Bは定着ベルトが中央にある場合を示し、
図4Cは定着ベルトが後側(R側)に寄った場合を示す。すなわち、
図4Aが
図3Aに対応し、
図4Bが
図1Aに対応し4Cが
図2Aに対応する。
【0034】
【0035】
図4A及び
図5Aを参照して、定着装置10は、加熱ローラ11と定着ローラ12とに巻き付けられた無端の定着ベルト13と、定着ローラ12に対向して間に定着ベルト13を挟むように設けられた加圧ローラ14とを含み、加熱ローラ11の中には図示のない加熱用のランプが設けられている。なお、
図4Aにおいては、理解の容易のために、加熱ローラ11を実線で示している。
【0036】
図4A及び
図5Aにおいても左側がF側であり、右側がR側である。この実施の形態における定着装置10は、加熱ローラ11及び定着ローラ12をそれらの軸の両側の端部で軸方向に移動可能に保持するローラ保持フレーム25a,25bを有し、リンク機構23の支点20a,20bは、ローラ保持フレーム25a,25bの中央部で保持されている。
【0037】
ローラ保持フレーム25a,25bは、定着装置10の軸(長手)方向の中央部に対して対称的な形状をしており、定着装置10の図示のない裏面で相互に接続されている。
【0038】
具体的には、ローラ保持フレーム25a,25bは、紙面方向に所定の厚さを有する、それぞれが逆J字状のフレームであり、逆J字の対向する短く下に延びる部分で加熱ローラ11の両端部を保持し、逆J字の対向する長く下に延びる部分の端部で定着ローラ12の両端部を保持している。また、ローラ保持フレーム25a,25bは、逆J字状のフレームの中央部に定着装置10の軸方向の中央部に向かって延びる矩形状の突出部26a,26bを有し、この突出部26a,26bの中央部に支点20a,20bが設けられている。
【0039】
また、
図4A及び
図5Aに示すように、加熱ローラ11の軸の両端部と接続部19a,19bとは、加熱ローラ軸接続ピン21a,21bで接続され、定着ベルト13の両端部を保持するF側カラー17a及びR側カラー17bは、定着装置10の軸方向の外側に向かって延びる矩形状の延長部27a,27bを有し、これらの延長部27a,27bと接続部19a,19bとは、カラー接続ピン18a,18bで接続されている。
【0040】
このような構成を有することで、リンク機構23は、定着ベルト13の両端部を保持するF側カラー17a及びR側カラー17bが一方向に寄ると、支点20a,20bを中心として逆方向にヒータとなるランプを有する加熱ローラ11を寄せ、それによって、逆方向の部分の温度を上げて、定着ベルト13の蛇行方向を調整する。
【0041】
すなわち、
図4A及び
図5Aの状態では、定着ベルト13の両端部を保持するF側カラー17a及びR側カラー17bが前側(F側)に寄ると、支点20a,20bを中心として後側(R側)に加熱ローラ11を寄せ、それによって、加熱ローラ11が定着ベルト13の後側(R側)の部分の温度を上げて、図に示す方向に蛇行力を生じさせて定着ベルト13の蛇行方向を調整する。
【0042】
なお、
図4Aにおいては、定着ベルト13への蛇行力の向きと加熱ローラ11両端部における温度を示している。
【0043】
図4B及び
図5Bは、
図4A及び
図5Aのように定着ベルト13が前側(F側)に移動する前の定着ベルト13が中央にある場合を示す
図4A及び
図5Aに対応する図である。
図4B及び
図5Bを参照して、定着ベルト13のこの位置が正常な位置であり、この位置においては、接続部19a,19bは、加熱ローラ11等の軸方向に垂直方向に延びている。
【0044】
図4Aから
図4Bにかけて、F側カラー17aが前側(F側)に移動した位置を示す線28aが表示されている。この線28aによって、定着ベルト13の移動量がわかる。
【0045】
なお、
図4Bにおいても、
図4Aに対応する部分には
図4Aと同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0046】
図4C及び
図5Cは、
図4B及び
図5Bのように定着ベルト13が正常な位置から後側(R側)に移動した場合を示す図である。
図4C及び
図5Cを参照して、F側カラー17a、及びR側カラー17bが、正常な位置から後側(R側)に移動している。このため、この位置においては、接続部19a,19bは、図中右下方向に延びている。なお、
図4Cにおいても、理解の容易のために、加熱ローラ11を実線で示している。
【0047】
図4Bから
図4Cにかけて、F側カラー17aが後側(R側)に移動した位置を示す線28bが表示されている。この線28bによって、定着ベルト13の移動量がわかる。
【0048】
【0049】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について説明する。上記実施の形態においては、センサやモータ等を使用することなく、定着ベルト13の一方側への蛇行による移動の力を用いてランプを有する加熱ローラ11の位置を自動で反対側に移動したが、この発明の第2の実施の形態においては、定着ベルトの蛇行による移動をセンサで検出し、モータに接続されたラックピニオンを用いて加熱用のランプを有する加熱ローラを逆方向に移動する。
【0050】
図6Aは、第2実施の形態に係る定着装置30の定着ベルト33の蛇行制御の基本原理を示す図であり、定着ベルト33が中央にある場合を示す図であり、先の実施の形態における
図1Aに対応する。また、
図6Bは、
図6Aにおいて、矢印6B-6Bで示す部分の矢視図である。
【0051】
図6A及び
図6Bを参照して、この実施の形態においても、定着装置30は、加熱ローラ31と定着ローラ32とに巻き付けられた無端の定着ベルト33と、定着ローラ32に対向して間に定着ベルト33を挟むように設けられた加圧ローラ34とを含み、加熱ローラ31の中には加熱用のランプ35が設けられている。
【0052】
図6A及び
図6Bに示すように、加熱ローラ31の軸方向の中央部に定着される用紙の通紙領域が設けられ、定着ベルト33は、その両端部をカラー39で保持されている。ここでも、図中左側が前側(F側)であり、右側が後側(R側)である。
【0053】
この実施の形態においては、定着ベルト33が中央部にある時はランプ35も中央に位置する。
【0054】
この実施の形態においてもカラー39の移動方向の逆方向に、加熱ローラ31を移動する。この実施の形態においては、カラー39a,39bに保持された定着ベルト33の左右方向の移動限界位置の端部を図示のないセンサで検出する。図示のないセンサの検出位置に応じて、加熱ローラ31を逆方向に移動させるのを、図示のないモータによりランプ35を有する加熱ローラ31をスライドさせ蛇行制御を行なう点が先の実施の形態と異なる。
【0055】
そのために、この実施の形態においては、加熱ローラ31の軸31aはその軸方向のラック用延長部31bにラック37を有し、ラック37は図示のないモータによって駆動されるピニオン38によって駆動される。
【0056】
次に、定着ベルト33が後側(R側)に寄った場合について説明する。
図7Aは、この場合の状態を示す図であり、
図7Bは、
図7Aにおいて、矢印7B-7Bで示す部分の矢視図である。
図7A及び
図7Bを参照して、定着ベルト33が後側(R側)の移動可能な端部に寄ったときは、定着ベルト33を保持するカラー39bの位置が図示のないセンサで検出され、それによって図示のないモータがピニオン38を回転し、ラック37を移動させて、加熱ローラ31の軸31aをF側に寄せる。それによって、定着ベルト33の温度はF側が高くなり、定着ベルト33はF側に寄ろうとする。
【0057】
次に、定着ベルト33が前側(F側)に寄った場合について説明する。
図8Aは、この場合の状態を示す図であり、
図8Bは、
図8Aにおいて、矢印8B-8Bで示す部分の矢視図である。
図8A及び
図8Bを参照して、定着ベルト33が前側(F側)の移動可能な端部に寄ったときは、定着ベルト33を保持するカラー39aの位置が図示のないセンサで検出され、それによって図示のないモータがピニオン38を左方向に回転し、ラック37を右側に移動させて、ランプ35が設けられている加熱ローラ31の軸31aをR側に寄せる。それによって、定着ベルト33の温度はR側が高くなり、定着ベルト33はR側に戻ろうとする。
【0058】
なお、このように図示のないセンサで定着ベルト33の一方側端部が検出されて逆方向へ移動されたときは、定着ベルト13の位置が、加熱ローラ31の中央の位置まで逆方向へ移動するのが好ましい。
【0059】
以上のように、この実施の形態においては、定着ベルトの寄りを図示のないセンサで検出し、それによって、ランプを有する加熱ローラの軸に接続されたラックピニオンをモータで駆動して、定着ベルトを逆方向へ移動させる。なお、この場合においても通紙領域外の定着ベルトの温度を可変させることで実印字には影響しない。
【0060】
[第3実施の形態]
次に、本発明の第3実施の形態について説明する。上記実施の形態においては、センサによって、定着ベルトの移動(寄り)方向を検出してその逆方向に定着ベルトを移動するようにラックピニオンをモータで駆動するようにしたが、この実施の形態では、センサを用いることなく、第1の実施の形態と同様に、定着ベルトを保持するカラーの移動に応じてその逆方向にランプを有する定着ローラを移動させる。
【0061】
具体的には、
図6A及び
図6B等に示したR側カラー39bのR側にR側カラー39bに連続してラック用延長部31bと同様の新たなラックを設け、この新たなラックをピニオン38の下部に係合させる。そのように構成することによって、定着ベルト33が一方向に移動するとラックピニオンを介して加熱ローラ31の軸31aを逆方向に移動することができる。
【0062】
すなわち、定着ベルト33を保持するカラー39a,39bの移動に応じてその逆方向にランプ35を有する加熱ローラ31を自動で移動させることができる。その結果、定着ベルト33の蛇行制御が可能になる。
【0063】
なお、上記実施の形態では、加熱用のランプを有する加熱ローラ自体が移動する場合について説明したが、これに限らず、加熱ローラ自体が移動するのではなく加熱ローラのベルトと当接している管状の外周部は移動せず、管状の外周部の回転中心にある加熱用のランプだけが移動する様にしても良い。
【0064】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他の種々な形で実施することができる。そのため、上述の実施形態は例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、ベルトの蛇行量の検出にコストをかけることなくベルトの蛇行制御が可能な、定着ベルトを用いた定着装置を有する画像形成装置を提供できるため、画像形成装置として有用である。
【符号の説明】
【0066】
10,30 定着装置
11,31 加熱ローラ
12,32 定着ローラ
13,33 定着ベルト
14,34 加圧ローラ
15,35 ランプ
17a,39a F側カラー
17b,39b R側カラー
18 カラー接続ピン
19 接続部
20 支点
21 加熱ローラ軸接続ピン
23 リンク機構
25 ローラ保持フレーム
26 突出部
27 延長部
37 ラック
38 ピニオン