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特開2023-155772装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法
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  • 特開-装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法 図1
  • 特開-装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法 図2
  • 特開-装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法 図3
  • 特開-装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155772
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20231016BHJP
   G07C 9/38 20200101ALI20231016BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231016BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20231016BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20231016BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G07C9/38
G08B25/04 K
G08B21/02
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065305
(22)【出願日】2022-04-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年4月13日に大成建設株式会社のウェブサイト(https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210413_8120.html)において公開 (2)令和3年4月13日付けの建設通信新聞に掲載 (3)令和3年4月13日付けの日刊建設工業新聞に掲載 (4)令和3年4月13日に株式会社日刊建設工業新聞社のウェブサイト(https://www.decn.co.jp/?p=119605)において公開 (5)令和3年4月15日に株式会社日本経済新聞社のウェブサイト(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC155170V10C21A4000000/)において公開 (6)令和3年5月17日に株式会社IIUのウェブサイト(https://aimos-promotion.com/)において公開 (7)令和3年6月3日にアイティメディア株式会社のウェブサイト(https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2106/03/news067.html)において公開 (8)令和3年7月13日付けの日刊工業新聞に掲載 (9)令和3年7月13日に株式会社日刊工業新聞社のウェブサイト(https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00604956)において公開
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 恭平
(72)【発明者】
【氏名】長峰 春夫
【テーマコード(参考)】
3E138
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JA03
3E138JB05
3E138JC01
3E138JC21
5C086AA18
5C086AA22
5C086BA19
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA15
5C086DA33
5C086EA40
5C086EA41
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA11
5C087AA23
5C087AA42
5C087DD03
5C087DD41
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG10
5C087GG22
5C087GG52
5C087GG65
5C087GG66
5C087GG84
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】建設現場の作業員が装備を適切に着用しているかの確認を自動で行うことができる、装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法を提供する。
【解決手段】作業員に必要な安全装備8の状況を確認する装備確認システム1であって、前記作業員を撮影する撮影部12と、撮影部12によって撮影された画像データに基づいて安全装備8の状況を判定する判定部と、安全装備8の状況が適切でないと判定された場合に警報を発する警報部13と、を備え、前記判定部は、安全装備8の不備または着用の違反があった場合に安全装備8の状況が適切でないと判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員に必要な装備の状況を確認する装備確認システムであって、
前記作業員を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像データに基づいて前記装備の状況を判定する判定部と、
前記装備の状況が適切でないと判定された場合に警報を発する警報部と、を備え、
前記判定部は、前記装備の不備または着用の違反があった場合に前記装備の状況が適切でないと判定する、
ことを特徴とする装備確認システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記画像データに写る前記作業員の骨格の位置を示す骨格座標と、前記画像データに写る前記装備の位置を示す装備座標とを取得し、前記骨格座標および前記装備座標に基づいて前記着用の違反を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装備確認システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記作業員の特定の部位を検知することで前記着用の違反を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装備確認システム。
【請求項4】
前記装備の状況が適切でないと判定された場合の画像データを蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部から前記作業員の情報を取得して画面に表示する確認用の端末と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の装備確認システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の装備確認システムと、
作業現場の入場口および退場口の少なくとも何れか一方に設置されたゲート部と、を備え、
前記撮影部は、前記作業現場に入場する作業員または前記作業現場から退場する作業員を撮影し、
ゲート部は、前記装備の状況が適切でないと判定された場合に前記入場口または前記退場口を閉鎖する、
ことを特徴とする入退場管理システム。
【請求項6】
作業員に必要な装備の状況を確認する装備確認方法であって、
前記作業員を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程で撮影された画像データに基づいて前記装備の状況を判定する判定工程と、
前記装備の状況が適切でないと判定された場合に警報を発する警報発生工程と、を有し、
前記判定工程では、前記装備の不備または着用の違反があった場合に前記装備の状況が適切でないと判定する、
ことを特徴とする装備確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、目的に応じた様々な入退場管理システムが提案されている。例えば、不正や犯罪の発生の抑止・防止を目的とするもの(特許文献1参照)、建物内への感染症の広がりの阻止を目的とするもの(特許文献2,3参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-098814号公報
【特許文献2】特開2010-128976号公報
【特許文献3】実用新案登録第3231594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建設現場の作業員に必要な装備の状況を確認するシステムは開発されていない。従来、人間が目視により装備の有無を確認しており、利便性や確実性などの点で確認の自動化が望まれている。
このような観点から、本発明は、建設現場の作業員が装備を適切に着用しているかの確認を自動で行うことができる、装備確認システム、入退場管理システムおよび装備確認方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る装備確認システムは、作業員に必要な装備の状況を確認する装備確認システムである。この装備確認システムは、前記作業員を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された画像データに基づいて前記装備の状況を判定する判定部と、前記装備の状況が適切でないと判定された場合に警報を発する警報部と、を備える。前記判定部は、前記装備の不備または着用の違反があった場合に前記装備の状況が適切でないと判定する。
本発明に係る装備確認システムにおいては、作業員を撮影した画像データから装備の状況を判定できるので、人間が目視によって装備の有無を確認する必要がない。また、着用の違反(例えば、ヘルメットを手に持った状態や防塵マスクを顎にずらして着用している状態など)を判定できるので、実効性の高い確認が可能である。
例えば、前記判定部は、前記画像データに写る前記作業員の骨格の位置を示す骨格座標と、前記画像データに写る前記装備の位置を示す装備座標とを取得し、前記骨格座標および前記装備座標に基づいて前記着用の違反を判定するのがよい。
また、前記判定部は、前記作業員の特定の部位を検知することで前記着用の違反を判定してもよい。
【0006】
前記装備確認システムは、前記装備の状況が適切でないと判定された場合の画像データを蓄積するデータ蓄積部と、前記データ蓄積部から前記作業員の情報を取得して画面に表示する確認用の端末とを備えてもよい。このようにすると、装備の状況が適切でない作業員を確認できるので、現場管理者が作業員の指導を容易に行える。
また、前記装備確認システムと、作業現場の入場口および退場口の少なくとも何れか一方に設置されたゲート部と、を備える入退場管理システムとしてもよい。その場合、前記撮影部は、前記作業現場に入場する作業員または前記作業現場から退場する作業員を撮影する。ゲート部は、前記装備の状況が適切でないと判定された場合に前記入場口または前記退場口を閉鎖させてもよい。このようにすると、装備の状況が適切でない作業員が作業現場に入るのを防止することが可能である。また、作業現場から退場する際にも装備の確認を行うので、作業員に装備の適切な着用をより強く意識づけることができる。
【0007】
また、本発明に係る装備確認方法は、作業員に必要な装備の状況を確認する装備確認方法である。この装備確認方法は、前記作業員を撮影する撮影工程と、前記撮影工程で撮影された画像データに基づいて前記装備の状況を判定する判定工程と、前記装備の状況が適切でないと判定された場合に警報を発する警報発生工程と、を有する。前記判定工程では、前記装備の不備または着用の違反があった場合に前記装備の状況が適切でないと判定する。
本発明に係る装備確認方法においては、作業員を撮影した画像データから装備の状況を判定できるので、人間が目視によって装備の有無を確認する必要がない。また、着用の違反(例えば、ヘルメットを手に持った状態や防塵マスクを顎にずらして着用している状態など)を判定できるので、実効性の高い確認が可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、建設現場の作業員が装備を適切に着用しているかの確認を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る装備確認システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る装備確認システムのイメージ図である。
図3】装備の状況を判定した結果のイメージ図であり、(a)は全ての安全装備を適切に着用していると判定された状態を示し、(b)は反射ベストおよび手袋を着用していないと判定された状態を示し、(c)はヘルメットを適切に着用していないと判定された状態を示し、(d)は、防塵マスクを適切に着用していないと判定された状態を示す。
図4】本発明の実施形態に係る装備確認システムの動作を示すフローチャートの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
≪実施形態に係る装備確認システムの構成≫
図1および図2を参照して、実施形態に係る装備確認システム1について説明する。図1は、実施形態に係る装備確認システム1の構成図である。図2は、実施形態に係る装備確認システムのイメージ図である。
図1に示す装備確認システム1は、建設現場の作業員の装備の状況を確認するシステムである。装備は、建設現場で使用する様々な用具を含み、身体の一部に着用される物である。装備の状況の確認とは、目的や用途に応じて決められた場所に装備を正しく着用しているかの確認を意味し、装備の状況が適切でない場合には、装備の不備および着用の違反が含まれる。装備の不備は、装備自体を着用していないことであり、着用の違反は、装備を身に着けているものの着用方法が正しくなかったり装備を手に持っていたりすることである。例えば、頭部に着用するべきヘルメットを手で持っている場合には、着用方法が正しくない(つまり、装備の状況が適切でない)と判断される。
【0011】
装備確認システム1は、作業員の装備の確認を必要とする様々な場面で使用することができ、確認対象となる装備は、種類、数など限定されるものではない。本実施形態では、作業現場への入場時に装備確認システム1を用いることを想定し、安全性に関する装備(「安全装備」と称する)の状況を確認する場合を例示する。
本実施形態における装備確認システム1は、主に、建設現場システム10と、クラウドシステム20と、管理システム30とを備える。建設現場システム10は、建設現場内に構築されるシステムであり、クラウドシステム20および管理システム30は、建設現場外に構築されるシステムである。建設現場システム10とそれ以外のシステムとは、例えばインターネット2を介して通信可能に接続されている。
【0012】
建設現場システム10は、ゲート部11と、撮影部12と、警報部13と、制御部14と、確認用の端末15とを主に備える。
図2に示すように、ゲート部11は、作業現場の入場口に設けられており、作業現場に入場する作業員がゲート部11を通過する。作業現場は、安全装備8を着用した作業員のみが入場を許可されており、それ以外の者の入場は許可されていない。本実施形態での安全装備8は、ヘルメット8A、防塵マスク8B、反射ベスト8Cおよび手袋8Dである。ゲート部11の構成や形状は特に限定されない。本実施形態のゲート部11は、左右方向にスライドする開閉ドアである。ゲート部11は、入場を許可された者が通過する場合に自動で開放し、入場を許可されない者が通過しようとした場合に閉鎖したままの状態となる。つまり、ゲート部11は、入場する作業員の安全装備8の状況が適切でない場合に、入場口を閉鎖する。
【0013】
撮影部12は、デジタル画像を取得可能なビデオカメラである。撮影部12は、入場口付近に設置され、作業現場に入場する作業員(「入場者」と呼ぶ場合がある)を撮影する。本実施形態での撮影部12は、ネットワークカメラであり、PoE(Power over Ethernet)ハブ16を介して制御部14やルータ17に接続されている。撮影部12で撮影した撮影データは、安全装備8の状況の判定に用いられる。撮影部12は、撮影した映像データを制御部14に送信する。
警報部13は、安全装備8の状況が適切でない作業員が入場しようとしていることを、ゲート部11の周囲にいる者(入場者を含む)に報知するものである。警報部13は、ゲート部11の近くに設置されるのがよい。警報部13は、安全装備8の状況が適切でないことを、視角や聴覚を介してゲート部11の周囲にいる者に報知するのがよい。警報部13は、例えば、回転灯やブザーである。
【0014】
制御部14は、装備確認システム1(主に、建設現場システム10)の全体動作を制御する。制御部14は、例えば建設現場内に設けられたIoT(Internet of Things)センシング用のコンピュータ(「エッジコンピュータ」などとも呼ばれる)であり、PoEハブ16を介してゲート部11、撮影部12、警報部13、ルータ17などに接続されている。制御部14は、撮影部12によって撮影された撮影データに基づいて安全装備8の状況を判定する判定部14aを備える。判定部14aは、例えばAI(Artificial Intelligence)処理用のハードウェアエンジンによって実現される。判定部14aは、例えば、姿勢検知AIと、物体検知AIとを有する。姿勢検知AIは、画像(映像のフレームを含む)に写る作業員の骨格の位置を示す座標(骨格座標)を取得することが可能である。一方、物体検知AIは、画像(映像のフレームを含む)に特定の物体(ここでは、主に安全装備8)が写っているか否かを判定することが可能であり、特定した物体の位置を示す座標(装備座標)を取得することもできる。判定部14aは、姿勢検知AIおよび物体検知AIの二つの検知結果に基づいて、安全装備8の不備および着用の違反を判定する。
【0015】
例えば、判定部14aは、物体検知AIによってヘルメット8Aの有無を判定し、作業員と共にヘルメット8Aが映っていない場合に、ヘルメット8Aを着用していないと判定する。また、判定部14aは、姿勢検知AIによって作業員の頭部の位置(座標)を特定し、また、物体検知AIによってヘルメット8Aの位置(座標)を特定し、頭部の位置とヘルメット8Aの位置とが一致しない場合に、ヘルメット8Aを適切に着用していないと判定する。頭部の位置とヘルメット8Aの位置とが一致しない場合とは、例えば、作業員がヘルメット8Aを手で持っている場合などである。
また、判定部14aは、物体検知AIによって防塵マスク8Bの有無を判定し、作業員と共に防塵マスク8Bが映っていない場合に、防塵マスク8Bを着用していないと判定する。また、判定部14aは、物体検知AIによって作業員の鼻を判定することで鼻が露出しているか否かを判定し、防塵マスク8Bが映っている場合でも鼻が露出しているときには防塵マスク8Bを適切に着用していないと判定する。防塵マスク8Bを適切に着用していない場合とは、例えば、防塵マスク8Bを顎などにずらした状態で着用している場合などである。なお、姿勢検知AIによって鼻や口元の位置(座標)を特定し、また、物体検知AIによって防塵マスク8Bの位置(座標)を特定し、鼻や口元の位置と防塵マスク8Bの位置とが一致しない場合に、防塵マスク8Bを適切に着用していないと判定してもよい。
【0016】
また、判定部14aは、物体検知AIによって反射ベスト8Cの有無を判定し、作業員と共に反射ベスト8Cが映っていない場合に、反射ベスト8Cを着用していないと判定する。また、判定部14aは、姿勢検知AIによって作業員の胴体部(例えば胸部や腹部)の位置(座標)を特定し、また、物体検知AIによって反射ベスト8Cの位置(座標)を特定し、胴体部の位置と反射ベスト8Cの位置とが一致しない場合に、反射ベスト8Cを適切に着用していないと判定する。
また、判定部14aは、物体検知AIによって手袋8Dの有無を判定し、作業員と共に手袋8Dが映っていない場合に、手袋8Dを着用していないと判定する。なお、手袋8Dの検知に関して、例えば物体検知AIに人間の肌の色を学習させ、姿勢検知AIによって作業員の手の位置(座標)を特定し、物体検知AIによって手の位置の色を判定することで手袋8Dの着用の有無を判定してもよい。この方法によれば、様々な手袋に対応することが可能である。また、判定部14aは、姿勢検知AIによって作業員の手の位置(座標)を特定し、また、物体検知AIによって手袋8Dの位置(座標)を特定し、手の位置と手袋8Dの位置とが一致しない場合に、手袋8Dを適切に着用していないと判定する。
【0017】
判定部14aは、図3(a)に示すように、全ての安全装備8を適切に着用していると判定された場合にゲート部11を開放する。図3(a)は、全ての安全装備8を適切に着用していると判定された状態を示している。図3(a)では、ヘルメット8Aを検知した領域9Aの位置が頭部に対応し、防塵マスク8Bを検知した領域9Bの位置が鼻および口元に対応し、反射ベスト8Cを検知した領域9Cの位置が胴体部に対応し、手袋8Dを検知した領域9Dの位置が手に対応している。
また、判定部14aは、図3(b)~(d)に示すように、少なくとも何れか一つの安全装備8を適切に着用していないと判定された場合にゲート部11を閉鎖すると共に、警報部13を稼働させて安全装備8を適切に着用していないことを報知する。図3(b)~(d)は、少なくとも何れか一つの安全装備8を適切に着用していないと判定された状態を示している。図3(b)では、反射ベスト8Cおよび手袋8Dを検知できないために安全装備8の不備と判定されている。図3(c)では、ヘルメット8Aを検知した領域9Aの位置が頭部に対応していないために着用の違反と判定されている。図3(d)では、防塵マスク8Bを検知した領域9Bの位置が鼻に対応していない(口元のみを隠し鼻を隠していない)ために着用の違反と判定されている。
【0018】
図1に示す確認用の端末15は、安全装備8の判定結果を様々な形式で確認することができるWebアプリケーションを有する。端末15は、認証されたユーザのみがアクセス可能であり、例えば現場管理者が操作する。Webアプリケーションは、例えば、違反時の画像を表示する機能、違反時の画像をダウンロードする機能、指定期間の監視結果をダウンロードする機能、期限や違反項目を指定してグラフを描画する機能(複数地点ある場合は、地点間の比較グラフを描画可能)などを有する。
図1に示すクラウドシステム20には、安全装備8の状況が適切でないと判定された場合の画像データが蓄積される。クラウドシステム20は、「データ蓄積部」の一例である。管理システム30は、装備確認システム1の管理を行う場所であり、例えばシステム管理者が管理システム30を用いてシステムメンテナンスを行う。システム管理者は、例えば、姿勢検知AIや物体検知AIの再学習を行ったり、検知精度を高めるための設定変更などを行う。また、管理システム30は、端末15のWebアプリケーションで使用する情報をクラウドシステム20から収集し、端末15に提供する。
【0019】
≪実施形態に係る装備確認システムの動作≫
図4を参照して(適宜、図1ないし図3を参照)、装備確認システム1の動作の一例を説明する。図4は、装備確認システム1の動作を示すフローチャートの例示である。図4に示す処理は、装備確認システム1が起動されることで開始される。システム起動後、撮影部12で撮影した映像の制御部14への入力が開始される(ステップS1)。図4に示すステップS2~ステップS7の処理は、各フレーム(画像データ)に対して行われ、順次繰り返し実行される。
制御部14の判定部14aは、入力されたフレーム(画像データ)に対して姿勢検知AIを用いた処理を行い(ステップS2)、例えば作業員の骨格の座標(骨格座標)を取得する。また、判定部14aは、物体検知AIを用いた処理を行い(ステップS3)、例えば安全装備8の座標(装備座標)を取得する。そして、判定部14aは、姿勢検知AIおよび物体検知AIの二つの検知結果から、作業員が安全装備8を適切に着用しているか否かを判定する。
【0020】
次に、判定部14aは、最新のフレーム(画像データ)を含めた所定枚数のフレームの検知結果に対して統計処理を行い、検知結果の有効性を示した値を求める(ステップS4)。例えば、所定枚数のフレームに対してどのくらいの割合で安全装備8の不備や着用の違反が検知されたかや、安全装備8の不備や着用の違反を検知したフレームがどのくらい連続したかを求める。続いて、判定部14aは、ステップS4で求めた値が閾値を超えたか否かを判定し(ステップS5)、閾値を超えていない場合(ステップS5で「No」)に次のフレーム(画像データ)の処理に移行する。一方、判定部14aは、閾値を超えている場合(ステップS5で「Yes」)に安全装備8の不備や着用の違反がある可能性が高いとして警報部13を稼働してアラートを発生させ(ステップS6)、また、クラウドシステム20に画像データをアップロードする(ステップS7)。このように、ステップS4,S5の処理を行うことによって、一つのフレーム(画像データ)のみで安全装備8の不備や着用の違反を判定する場合に比べて、誤検知を抑制することができる。
【0021】
以上のように、実施形態に係る装備確認システム1においては、作業員を撮影した画像データから安全装備8の状況を判定できるので、人間が目視によって安全装備8の有無を確認する必要がない。また、着用の違反(例えば、ヘルメット8Aを手に持った状態や防塵マスク8Bを顎にずらして着用している状態など)を判定できるので、実効性の高い確認が可能である。
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
実施形態では、作業現場への入場時に装備確認システム1を用いることを想定して説明した。しかしながら、作業現場からの退場時に装備確認システム1を用いることも可能である。その場合、装備確認システム1は、「入退場管理システム」として機能する。
【符号の説明】
【0022】
1 装備確認システム(入退場管理システム)
8 安全装備(装備)
8A ヘルメット(装備)
8B 防塵マスク(装備)
8C 反射ベスト(装備)
8D 手袋
10 建設現場システム
11 ゲート部
12 撮影部
13 警報部
14 制御部
14a 判定部
15 端末
16 PoEハブ
17 ルータ
20 クラウドシステム(データ蓄積部)
30 管理システム
図1
図2
図3
図4