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特開2023-155803光電気混載基板、光電気混載システムおよび光電気混載基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155803
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】光電気混載基板、光電気混載システムおよび光電気混載基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20231016BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20231016BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20231016BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
G02B6/12 361
G02B6/122
G02B6/12 301
G02B6/42
G02B26/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065356
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 真弥
【テーマコード(参考)】
2H137
2H141
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB12
2H137BA55
2H137BB12
2H137BB25
2H137BC51
2H137CC05
2H137DA39
2H141MA12
2H141MB23
2H141MC04
2H141MC05
2H141MD12
2H141MD15
2H141MD20
2H141MD40
2H141ME06
2H141ME24
2H141ME25
2H141MF30
2H141MG10
2H147AB05
2H147AC07
2H147AC15
2H147AC17
2H147CA13
2H147CC14
2H147DA08
2H147DA10
2H147EA10C
2H147EA10D
2H147EA17C
2H147EA17D
2H147EA20A
2H147EA20B
2H147FA20
2H147GA19
(57)【要約】
【課題】 光導波路と光学素子と間で光を高い効率で伝達することが可能な光電気混載基板、光電気混載システムおよび光電気混載基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 光学素子200を搭載可能な光電気混載基板100は、光学素子200を支持可能に構成された電気配線基板70と、光導波路50とを備え、電気配線基板70は、光を反射するとともに光導波路50の光軸に対して傾斜可能な反射面62を有する反射層60を含み、光導波路50と光学素子200との間で反射面62を経由して光が伝達されるように反射面62の角度を変化させることが可能な駆動部70をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を搭載可能な光電気混載基板であって、
前記光学素子を支持可能に構成された電気配線基板と、
光導波路とを備え、
前記電気配線基板は、光を反射するとともに前記光導波路の光軸に対して傾斜可能な反射面を有する反射層を含み、
前記光導波路と前記光学素子との間で前記反射面を経由して光が伝達されるように前記反射面の角度を変化させることが可能な駆動部をさらに備えた、光電気混載基板。
【請求項2】
前記電気配線基板は、
前記光学素子を支持する配線回路構成層と、
前記配線回路構成層を支持する支持層とを含み、
前記反射層は、前記支持層に対して傾斜可能かつ前記支持層に対して一体的に設けられた、請求項1記載の光電気混載基板。
【請求項3】
配線回路構成層は、前記光学素子が配置される開口部を有し、
前記反射層は、前記開口部内で前記支持層に対して傾斜可能に設けられ、
前記駆動部は、前記光導波路と前記光学素子との間で前記反射面を経由して光が伝達されるように前記反射面の角度を変化させることが可能に構成される、請求項2記載の光電気混載基板。
【請求項4】
前記支持層は、金属支持層により形成され、
前記反射層は、前記金属支持層の一部により構成される、請求項2または3記載の光電気混載基板。
【請求項5】
前記駆動部は、前記反射層の角度を電磁力により変化させるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の光電気混載基板。
【請求項6】
前記駆動部は、コイルを含み、
前記コイルに流れる電流と前記コイルに与えられる磁界とにより前記電磁力を発生するように構成される、請求項5記載の光電気混載基板。
【請求項7】
前記駆動部は、前記磁界を発生する磁石をさらに含み、
前記磁石は、固定位置または前記反射層のうち一方に設けられ、
前記コイルは、前記固定位置または前記反射層のうち他方に設けられる、請求項6記載の光電気混載基板。
【請求項8】
前記コイルは、前記反射面を取り囲むように前記反射層に形成される、請求項6記載の光電気混載基板。
【請求項9】
前記反射面は、金属めっき層の鏡面を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光電気混載基板。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光電気混載基板と、
前記光電気混載基板に搭載された光学素子と、
前記光学素子と前記光導波路との間で伝達された光の量に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備える、光電気混載システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記光導波路との間で伝達された光の量が増加するように前記駆動部により前記反射層の角度を変化させる、請求項10記載の光電気混載システム。
【請求項12】
光学素子を搭載可能な光電気混載基板の製造方法であって、
前記光学素子を支持可能に構成された電気配線基板と光導波路とを形成するステップと、
光を反射するとともに前記光導波路の光軸に対して傾斜可能な反射面を有する反射層を前記電気配線基板に形成するステップと、
前記光導波路と前記光学素子との間で前記反射面を経由して光が伝達されるように前記反射面の角度を変化させることが可能な駆動部を作製するステップとを含む、光電気混載基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気混載基板、光電気混載システムおよび光電気混載基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器等においては、伝送される情報量の増加に伴い、電気配線および光配線を備える光電気混載基板が用いられている。特許文献1には、光を光学素子に導くための光導波路が形成された光電気混載基板が記載される。光導波路は、アンダークラッド層と、コア層と、オーバークラッド層とを備える。コア層には、光を反射するためのミラーが形成される。特許文献1によれば、光導波路内に導かれた光は、ミラーにより光路変換された後に光電気混載基板に実装された光学素子に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-107919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、光導波路から導出された光の進行方向を変換するためのミラーは、レーザ加工または回転刃等を用いた切削加工により形成される。ミラーが粗く形成された場合、ミラーにより光路変換された光が散乱することがある。また、光電気混載基板に実装された光学素子とミラーとの相対位置が、光電気混載基板ごとにずれる場合がある。この場合、所望の量の光を光電気混載基板に実装された光学素子に対して伝達することが困難になることがある。これらの結果、光の伝達効率が低下する。
【0005】
本発明の目的は、光導波路と光学素子との間で光を高い効率で伝達することが可能な光電気混載基板、光電気混載システムおよび光電気混載基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一局面に従う光電気混載基板は、光学素子を搭載可能な光電気混載基板であって、前記光学素子を支持可能に構成された電気配線基板と、光導波路とを備え、前記電気配線基板は、光を反射するとともに前記光導波路の光軸に対して傾斜可能な反射面を有する反射層を含み、前記光導波路と前記光学素子との間で前記反射面を経由して光が伝達されるように前記反射面の角度を変化させることが可能な駆動部をさらに備える。
【0007】
この光電気混載基板によれば、光導波路から出射された光が反射層の反射面で反射されて光学素子に入射する。あるいは、光学素子から出射された光が反射層の反射面で反射されて光導波路に入射する。上記の構成によれば、反射層の反射面の角度を駆動部により変化させることが可能である。それにより、光導波路と光学素子との間で高い効率で光を伝達することが可能になる。
【0008】
(2)前記電気配線基板は、前記光学素子を支持する配線回路構成層と、前記配線回路構成層を支持する支持層とを含み、前記反射層は、前記支持層に対して傾斜可能かつ前記支持層に対して一体的に設けられてもよい。
【0009】
この場合、反射層を支持層の一部として形成することができる。それにより、反射層を容易に形成することができる。
【0010】
(3)光電気混載基板において、配線回路構成層は、前記光学素子が配置される開口部を有し、前記反射層は、前記開口部内で前記支持層に対して傾斜可能に設けられ、前記駆動部は、前記光導波路と前記光学素子との間で前記反射面を経由して光が伝達されるように前記反射面の角度を変化させることが可能に構成されてもよい。
【0011】
この場合、光学素子と光導波路とが互いに反対側に存在する場合でも、光導波路と光学素子との間で正確に高い効率で光を伝達することが可能になる。
【0012】
(4)光電気混載基板において、前記支持層は、金属支持層により形成され、前記反射層は、前記金属支持層の一部により構成されてもよい。
【0013】
この場合、反射層を容易に形成することが可能になる。
【0014】
(5)光電気混載基板において、前記駆動部は、前記反射層の角度を電磁力により変化させるように構成されてもよい。
【0015】
この場合、反射層の反射面の角度を変化させるために電磁力が用いられるので、駆動部の構成を単純化することが可能になる。
【0016】
(6)光電気混載基板において、前記駆動部は、コイルを含み、前記コイルに流れる電流と前記コイルに与えられる磁界とにより前記電磁力を発生するように構成されてもよい。
【0017】
この場合、コイルに流れる電流の大きさまたはコイルに与えられる磁界の大きさのいずれか一方を調整することにより、反射層に作用する力を変化させることができるので、反射層の反射面の角度を容易に調整することが可能になる。
【0018】
(7)光電気混載基板において、前記駆動部は、前記磁界を発生する磁石をさらに含み、前記磁石は、固定位置または前記反射層のうち一方に設けられ、前記コイルは、前記固定位置または前記反射層のうち他方に設けられてもよい。
【0019】
この場合、コイルに流れる電流の大きさを調整することにより、反射層の反射面の角度を変化させることができるので、反射層の反射面の角度をより容易に調整することが可能になる。
【0020】
(8)光電気混載基板において、前記コイルは、前記反射面を取り囲むように前記反射層に形成されてもよい。
【0021】
この場合、反射層の中央部を反射面の形成領域として使用し、反射層の外周部をコイルの形成領域として用いることができる。それにより、反射層の大型化を抑制することができる。
【0022】
(9)光電気混載基板において、前記反射面は、金属めっき層の鏡面を含んでもよい。
【0023】
この場合、反射面において反射する光の散乱を抑制することが可能になる。
【0024】
(10)本発明の他の局面に従う光電気混載システムは、上記の光電気混載基板と、前記光電気混載基板に搭載された光学素子と、前記光学素子と前記光導波路との間で伝達された光の量に基づいて前記駆動部を制御する制御部とを備えてもよい。
【0025】
この光電気混載システムにおいては、光学素子と光導波路との間で伝達された光の量に基づいて、反射層の角度を自動的に変化させることが可能になる。それにより、光導波路と光学素子との間で高い効率で光を伝達することが可能になる。
【0026】
(11)光電気混載システムにおいて、前記制御部は、前記光導波路との間で伝達された光の量が増加するように前記駆動部により前記反射層の角度を変化させてもよい。
【0027】
この場合、光学素子の受光部に対してより高い精度で光を導くことが可能になる。
【0028】
(12)本発明のさらに他の局面に従う光学素子を搭載可能な光電気混載基板の製造方法であって、光電気混載基板の製造方法は、前記光学素子を支持可能に構成された電気配線基板と光導波路とを形成するステップと、光を反射するとともに前記光導波路の光軸に対して傾斜可能な反射面を有する反射層を前記電気配線基板に形成するステップと、
前記光導波路と前記光学素子との間で前記反射面を経由して光が伝達されるように前記反射面の角度を変化させることが可能な駆動部を作製するステップとを含む。
【0029】
この製造方法により製造される光電気混載基板によれば、反射層の反射面の角度を駆動部により変化させることが可能である。それにより、光導波路と光学素子との間で高い効率で光を伝達することが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、光導波路と光学素子と間で光を高い効率で伝達することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施の形態に係る光電気混載基板の構成を示す模式的断面図である。
図2図1の光電気混載基板の模式的平面図である。
図3図1および図2の光電気混載基板を用いた光電気混載システムの構成を示す図である。
図4】制御部の角度調整動作を示すフローチャートである。
図5】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図6】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図7】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図8】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図9】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図10】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図11】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図12】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図13】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図14】光電気混載基板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図15】他の実施の形態に係る光電気混載基板の構成を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(1)光電気混載基板の構成
図1は、一実施の形態に係る光電気混載基板の構成を示す模式的断面図である。図2は、図1の光電気混載基板の模式的平面図である。なお、図1には、図2の光電気混載基板のA-A線断面図が示される。
【0033】
図1および図2に示すように、光電気混載基板100は、光導波路50および電気配線基板90を備える。電気配線基板90は、支持層10、ベース絶縁層20a,20b、導体層30、カバー絶縁層40a,40bおよび反射層60を含む。主としてベース絶縁層20a,20b、導体層30およびカバー絶縁層40a,40bが配線回路構成層を構成する。
【0034】
支持層10は、例えば非磁性の金属材料により形成される。本実施の形態において支持層10は、ステンレスにより形成される。支持層10は、配線回路構成層(20a,20b,30,40a,40b等)を支持している。
【0035】
図2に示すように、電気配線基板90には、開口部OPが形成される。本実施の形態において、開口部OPは、平面視において矩形状を有する。
【0036】
支持層10の上面(以下、第1の支持面10aと呼ぶ。)には、ベース絶縁層20a、導体層30およびカバー絶縁層40aがこの順に積層される。本実施の形態では、ベース絶縁層20aは、感光性のポリイミド樹脂により形成される。なお、ベース絶縁層20aは、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、またはポリ塩化ビニル樹脂等の他の合成樹脂により形成されてもよい。
【0037】
本実施の形態では、導体層30は、銅めっき層により形成される。なお、導体層30は、銅、金、銀、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステンおよびルテニウム等のうち1種または複数種を含む金属または合金により形成されてもよい。支持層10の第1の支持面10aには、導体層30により、配線層73aが形成される。
【0038】
本実施の形態では、カバー絶縁層40aは、感光性のポリイミド樹脂により形成される。なお、カバー絶縁層40aは、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、またはポリ塩化ビニル樹脂等の他の合成樹脂により形成されてもよい。カバー絶縁層40aの上面には、導体層30の一部が端子部31,32(図2参照)として露出する。端子部31,32の表面には、ニッケル膜および金めっき膜の積層体が形成されてもよい。
【0039】
光電気混載基板100の上部には、光学素子200が取り付けられる。本実施の形態では、光学素子200は、フォトダイオード等の受光素子である。光学素子200は、端子部211,212および受光部220を有する。端子部211は、例えば半田等の接着層S1を介して光電気混載基板100の端子部31に接続される。また、端子部212は、例えば半田等の接着層S2を介して光電気混載基板100の端子部32に接続される。
【0040】
支持層10の下面(以下、第2の支持面10bと呼ぶ。)の一部領域上には、ベース絶縁層20b、配線層73bおよびカバー絶縁層40bがこの順に積層される。ベース絶縁層20bは、ベース絶縁層20aと同じ絶縁材料により形成されてもよく、異なる絶縁材料により形成されてもよい。配線層73bは、配線層73aと同じ導電材料により形成されてもよく、異なる導電材料により形成されてもよい。カバー絶縁層40bは、カバー絶縁層40aと同じ絶縁材料により形成されてもよく、異なる絶縁材料により形成されてもよい。
【0041】
第2の支持面10bの他の領域には、光導波路50が形成される。光導波路50は、アンダクラッド層51、コア層52およびオーバクラッド層53を含む。アンダクラッド層51、コア層52およびオーバクラッド層53の材料としては、例えば感光性のエポキシ樹脂等の透明材料が用いられる。光導波路50は、太線矢印a1で示すように光を伝播する。本実施の形態では、光導波路50は、支持層10の第1および第2の支持面10a,10bと平行な光軸を有する。
【0042】
反射層60は、開口部OP内に支持層10と一体的に設けられる。図2に示すように、反射層60は、連結部11により支持層10と同じ金属材料により一体的に形成される。本実施の形態では、支持層10、連結部11および反射層60は同じ厚みを有する。図1に示すように、反射層60は、比較的薄い厚みを有するので、連結部11を支点にして撓むことが可能になる。支持層10、連結部11および反射層60の厚みは、例えば、10μm以上50μm以下である。
【0043】
駆動部70は、磁石71およびコイル72a,72bを含む。本実施の形態において、支持層10の第2の支持面10b側でカバー絶縁層40bの一部領域に磁石71が設けられる。磁石71は、磁界を発生することが可能な例えば永久磁石である。コイル72については、後述する。
【0044】
反射層60には、上面および下面を連通する貫通孔AP(図2参照)が設けられる。コイル72a,72bは、反射層60の上面および下面にそれぞれ形成される。反射層60の上面に形成されるコイル72aと反射層60の下面に形成されるコイル72bとは、貫通孔APを通して連続するように形成される。コイル72aは、配線層73aと同じ導体層30により形成される。コイル72bは、配線層73bと同じ導体層により形成される。本実施の形態において、コイル72a,72bは、反射層60の上面の周縁部および下面の周縁部において渦巻状を有する。
【0045】
なお、コイル72a,72bは、反射層60の上面および下面において、任意の巻数を有してもよい。反射層60の上面のうちコイル72a,72bにより取り囲まれる領域に反射面62が形成される。本実施の形態において、反射面62には、ニッケルめっき層の形成による鏡面仕上げが施される。
【0046】
図2に示すように、コイル72aの一端は、配線層73aを通して光電気混載基板100の外部端子OTに接続される。コイル72bの一端は、配線層73bを通して光電気混載基板100の外部端子ITに接続される。ここで、電源から外部端子IT,OTを通してコイル72a,72bに電流が供給されると、磁石71により発生する磁界およびコイル72a,72bに流れる電流により電磁力(ローレンツ力)が生じる。それにより、図1に矢印AC1で示すように、支持層10の第1の支持面10aに対する反射層60の反射面62の角度をコイル72に流れる電流の大きさに応じて変化させることが可能になる。
【0047】
反射層60の反射面62に入射した光は、太線矢印a2に示すように、光学素子200の受光部220に導かれる。以下、コイル72に流れる電流の大きさを調整することにより、第1の支持面10aに対する反射層60の支持層10の角度を調整する動作を角度調整動作と呼ぶ。
【0048】
(2)光電気混載システムの構成および動作
図3は、図1および図2の光電気混載基板100を用いた光電気混載システムの構成を示す図である。図4は、制御部の角度調整動作を示すフローチャートである。図3の光電気混載システム1は、光電気混載基板100、光学素子200および制御部300を含む。光電気混載基板100および光学素子200は、上述した構成を有する。
【0049】
制御部300は、CPU、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。CPUが記憶装置に記憶された角度調整プログラムをRAM上で実行することにより光電気混載基板100の駆動部70が制御される。なお、制御部300は、制御回路として、光電気混載基板100内に形成されてもよい。あるいは、制御部300は、光電気混載基板100とは別個に設けられてもよい。
【0050】
制御部300は、光学素子200の受光部220の受光量に基づいて、光電気混載基板100の駆動部70を制御する。具体的には、角度調整動作を行うために光電気混載基板100のコイル72a,72bに流れる電流の大きさを調整する。
【0051】
図4に示すように、まず、制御部300は、コイル72a,72bに対して電流の供給を開始する(ステップS1)。次に、制御部300は、光学素子200の出力信号に基づいて、光学素子200の受光部220の受光量の値が予め定められたしきい値より大きいか否かを判定する(ステップS2)。受光量の値が予め定められたしきい値以下である場合、制御部300は、コイル72a,72bに供給される電流の大きさを調整する(ステップS3)。それにより、反射層60の角度が変化し、光学素子200の受光部220の受光量が変化する。その後、制御部300は、ステップS2に戻る。ステップS2において、受光量の値が予め定められたしきい値以下である場合においては、ステップS2,S3の動作が繰り返し行われる。ステップS2において、受光量の値が予め定められたしきい値より大きい場合、制御部300の角度調整動作が終了する。このようにして、受光部220の受光量がしきい値よりも大きくなるように、反射層60の角度が調整される。
【0052】
(3)光電気混載基板100の製造方法
図5図14は、図1および図2の光電気混載基板100の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。本実施の形態において、光電気混載基板100は、例えば、ロール・ツー・ロール方式により製造される。
【0053】
図5に示すように、支持層10に第1の支持面10aおよび第2の支持面10bを貫通するように貫通孔APを形成する。支持層10は、例えばステンレスにより形成される。次に、図6に示すように、支持層10の第1および第2の支持面10a,10bおよび貫通孔APの内面にベース絶縁層20a,20bを塗布する。ベース絶縁層20a,20bは、例えば感光性ポリイミドにより形成される。
【0054】
続いて、図7に示すように、ベース絶縁層20a,20bを露光、現像および硬化することによりベース絶縁層20a,20bのパターンを形成する。本例では、支持層10のうち後の工程で反射層60が形成される領域上のベース絶縁層20a,20bの部分が除去される。また、図1の支持層10と反射層60とを分離するためのベース絶縁層20a,20bの部分が除去される。
【0055】
次に、図8に示すように、例えば、セミアディティブ法により、ベース絶縁層20aに導体層30、コイル72aおよび配線層73aを形成し、ベース絶縁層20b上にコイル72bおよび配線層73bを形成する。具体的には、第1および第2の支持面10a,10b上のベース絶縁層20a,20b上および貫通孔APの内周面にスパッタ法により例えばクロムおよび銅の積層膜をシード層として形成する。この状態で、フォトリソグラフィにより、ベース絶縁層20a上のシード層上に導体層30、コイル72aおよび配線層73aを形成し、ベース絶縁層20b上のシード層上にコイル72bおよび配線層73bを形成する。その後、ベース絶縁層20a,20b上で露出するシード層の領域を除去する。
【0056】
その後、図9に示すように、導体層30、コイル72aおよび配線層73aを覆うように、ベース絶縁層20a上にカバー絶縁層40aを塗布し、コイル72bおよび配線層73bを覆うようにベース絶縁層20b上にカバー絶縁層40bを塗布する。カバー絶縁層40a,40bは、例えば感光性ポリイミドにより形成される。
【0057】
次に、図10に示すように、カバー絶縁層40a,40bを露光、現像および硬化することにより、カバー絶縁層40a,40bのパターンを形成する。本例では、支持層10のうち後の工程で反射層60が形成される領域上のカバー絶縁層40a,40bの部分が除去される。これにより、反射面62が形成される。また、図1の支持層10と反射層60とを分離するためのカバー絶縁層40a,40bの領域が除去される。それにより、領域OA1内で支持層10が露出する。さらに、導体層30の一部が端子部31,32として露出するように、カバー絶縁層40aの所定の領域が除去される。
【0058】
次いで、図11に示すように、領域OA1内で露出する支持層10の部分をエッチングにより除去する。それにより、支持層10の一部として反射層60が形成される。この状態においては、反射層60は、ベース絶縁層20aおよびカバー絶縁層40aにより支持される。このとき、反射面62には、ニッケルめっき層の形成による鏡面仕上げが施されてもよい。
【0059】
次に、図12に示すように、ベース絶縁層20b上の一部の領域にアンダクラッド層51、コア層52およびオーバクラッド層53を光導波路50として形成する。具体的には、ベース絶縁層20b上へのアンダクラッド層51の塗布および硬化、アンダクラッド層51上へのコア層52の塗布、現像および硬化、およびコア層52上への塗布および硬化を行う。
【0060】
その後、図12に太い矢印a3で示すように、領域OA1内の反射層60を支持するベース絶縁層20aおよびカバー絶縁層40aの部分をカッター等を用いて機械的に除去する。それにより、図13に示すように、連結部11を支点にして反射層60が傾斜する。最後に、図14に示すように、磁石71をベース絶縁層20b上に取り付ける。
【0061】
(4)実施の形態の効果
本実施の形態の光電気混載基板100によれば、光導波路50から出射された光が反射層60の反射面62で反射されて光学素子200に入射する。上記の構成によれば、光導波路50の光軸に対する反射層60の反射面62の角度を駆動部70により変化させることが可能である。それにより、光導波路50と光学素子200との間で高い効率で光を伝達することが可能になる。
【0062】
また、支持層10の一部が反射層60として形成されるので、反射層60を容易に形成することができる。さらに、反射層60の反射面62の角度を変化させるために電磁力が用いられるので、駆動部70の構成を単純化することが可能になる。
【0063】
また、コイル72a,72bは、反射層60の反射面62を取り囲むように形成されるので、反射層60の中央部を反射面62の形成領域として使用し、反射層60の外周部をコイル72a,72bの形成領域として使用することができる。それにより、反射層60の大型化を抑制することができる。さらに、コイル72a,72bが反射層60に形成され、磁石71が支持層10上に固定されているので、反射層60の重量の増加を抑制することができる。それにより、反射層60の傾斜角度を精密に調整することができる。
【0064】
また、反射面62には、ニッケルめっき層による鏡面仕上げが施されるので、反射面62において反射する光の散乱を抑制することが可能になる。それにより、光学素子200の受光部220への光の入射効率が向上する。
【0065】
上記実施の形態の光電気混載システム1によれば、光学素子200の受光量に基づいて、反射面62の角度を変化させることが可能になる。また、光学素子200の受光量が増加するように駆動部70により反射面62の角度が変化されるので、光学素子200の受光部220に対してより高い精度で光を導くことが可能になる。
【0066】
(5)他の実施の形態
(5-1)上記実施の形態において、光電気混載基板100に搭載される光学素子200は、受光部220を有する受光素子であるが、本発明はこれに限定されない。光学素子200は、光を出射する出射部を有する発光ダイオードまたはレーザダイオード等の発光素子であってもよい。この場合、反射層60の傾斜角度を調整することにより光学素子200の出射部から出射された光を反射層60の反射面62を経由して光導波路50に正確に導くことが可能になる。
【0067】
(5-2)上記実施の形態において、コイル72a,72bが反射層60に形成され、磁石71が支持層10の第2の支持面10b上に固定されているが、本発明はこれに限定されない。図15は、他の実施の形態に係る光電気混載基板の模式的平面図である。他の実施の形態に係る光電気混載基板100aにおいては、コイル72a,72bが開口部OPを取り囲むように支持層10上に形成され、磁石71が反射層60の下面に設けられる。この場合、上記実施の形態における駆動部70と同様に、電磁力が生じる。それにより、光導波路50の光軸に対する反射層60の角度をコイルに流れる電流の大きさに応じて変化させることが可能になる。
【0068】
(5-3)上記実施の形態では、電気配線基板90の上面に光学素子200が配置され、電気配線基板90の下面に光導波路50が配置されているが、光学素子200および光導波路50の配置はこれに限定されない。例えば、光導波路50が電気配線基板90内に形成されてもよい。また、受光部220または出射部が光学素子200の側面に存在する場合には、光学素子200と光導波路50とが電気配線基板90の同じ面上に設けられてもよい。この場合、反射層60は、起立した状態で傾斜可能に形成される。
【0069】
(5-4)上記実施の形態では、駆動部70が磁石71およびコイル72a,72bにより構成されるが、駆動部70は他の構成を有してもよい。例えば、コイル72a,72bのうちいずれか一方のみが形成されてもよい。また、磁界を形成するために磁石71の代わりに他のコイルが用いられてもよい。
【0070】
(5-5)上記実施の形態では、駆動部70が電磁力により反射層60の角度を変化させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動部が静電アクチュエータ等による静電気力により反射層60の角度を変化させてもよい。
【0071】
(5-6)上記実施の形態では、反射層60が金属材料により形成されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、反射層60がポリイミド等の絶縁材料により形成され、反射層60の一面上に金属めっき層等により反射面62が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…光電気混載システム,10…支持層,10a…第1の支持面,10b…第2の支持面,11…連結部,20a,20b…ベース絶縁層,30…導体層,31,32…端子部,40a,40b…カバー絶縁層,50…光導波路,51…アンダクラッド層,52…コア層,53…オーバクラッド層,60…反射層,62…反射面,70…駆動部,71…磁石,72,72a,72b…コイル,73a,73b…配線層,90…電気配線基板,100,100a…光電気混載基板,200…光学素子,211,212…端子部,220…受光部,300…制御部,AP…貫通孔,IT…外部端子,OA1…領域,OP…開口部,OT…外部端子,S1,S2…接着層
図1
図2
図3
図4
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図10
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