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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155804
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】配管交換方法及び接続具
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20231016BHJP
   F16L 15/06 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
F16L1/00 J
F16L15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065359
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 隆允
(72)【発明者】
【氏名】森本 圭
(57)【要約】
【課題】保護管に挿通された既設内管を新設用内管に交換する配管交換作業において、配管の交換に必要な作業の手間を低減することができる配管交換方法の提供を目的とする。
【解決手段】保護管26の一端26L側から他端26R側に挿通された可撓性を有する既設内管22を、可撓性を有する新設用内管24に交換する配管交換方法において、保護管26の他端26R側で、既設内管22の他端22Rと新設用内管24の一端24Lとを接続具30で接続する接続工程と、保護管26の一端26L側から既設内管22を引き出しながら、新設用内管24を保護管26の他端26R側から保護管26内に挿通する挿通工程と、を備える、配管交換方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護管の一端側から他端側に挿通された可撓性を有する既設内管を、可撓性を有する新設用内管に交換する配管交換方法において、
前記保護管の他端側で、前記既設内管の他端と前記新設用内管の一端とを接続具で接続する接続工程と、
前記保護管の一端側から前記既設内管を引き出しながら、前記新設用内管を前記保護管の他端側から前記保護管内に挿通する挿通工程と、
を備える、配管交換方法。
【請求項2】
前記挿通工程は、前記保護管の他端側で前記既設内管又は前記新設用内管の外周面に潤滑剤を付着させながら行われる、
請求項1に記載の、配管交換方法。
【請求項3】
前記挿通工程は、前記保護管の他端側で前記既設内管又は前記新設用内管を前記保護管内へ押込みながら、前記既設内管を前記保護管の一端側から引き出すことで行われる、
請求項1に記載の、配管交換方法。
【請求項4】
前記接続具は、中央部と、前記中央部の軸線に対して一方側の面から雄ねじ部を有しながら延出し、前記新設用内管の一端で前記新設用内管の内周面にねじ込まれる第一ねじ込み部と、前記中央部の軸線に対して前記第一ねじ込み部とは反対側の面から前記雄ねじ部に対して逆向きに形成された逆雄ねじ部を有しながら延出し、前記既設内管の他端で前記既設内管の内周面にねじ込まれる第二ねじ込み部と、を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の、配管交換方法。
【請求項5】
中央部と、
前記中央部の軸線に対して一方側の面から雄ねじ部を有しながら延出し、一の管体の内周面にねじ込まれる第一ねじ込み部と、
前記中央部の軸線に対して前記第一ねじ込み部とは反対側の面から前記雄ねじ部に対して逆向きに形成された逆雄ねじ部を有しながら延出し、他の管体の内周面にねじ込まれる第二ねじ込み部と、
を有する、配管交換用の接続具。
【請求項6】
前記中央部の外周に、工具を掛けるための互いに平行な二面部を有している、請求項5に記載の接続具。
【請求項7】
前記中央部に、工具を掛けるための孔が形成されている、請求項5又は請求項6に記載の接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管交換方法及び接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、管状の保護材により覆われた既設配管を新配管に更新する際の、配管の更新工法であって、前記既設配管を径方向及び管軸方向に切断することにより、複数の切断片に分割する既設配管分割工程と、前記複数の切断片を前記保護材から引き抜く引抜工程と、前記既設配管の設置対象物から前記保護材を取り外さない状態で、前記新配管を、前記保護材の内周面に沿わせつつ前記保護材の内部に通す新配管挿入工程と、を含むことを特徴とする配管更新工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、既設配管を複数に切断する工程の後に新配管を保護管内に挿通するため、配管の更新に手間がかかる。また、既設配管が切断されるため、既設配管を廃棄する際に、切断された既設配管を集める手間がかかる。
【0005】
本発明は、保護管に挿通された既設内管を新設用内管に交換する配管交換作業において、配管の交換に必要な作業の手間を低減することができる配管交換方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の配管交換方法は、保護管の一端側から他端側に挿通された可撓性を有する既設内管を、可撓性を有する新設用内管に交換する配管交換方法において、前記保護管の他端側で、前記既設内管の他端と前記新設用内管の一端とを接続具で接続する接続工程と、前記保護管の一端側から前記既設内管を引き出しながら、前記新設用内管を前記保護管の他端側から前記保護管内に挿通する挿通工程と、を備える。
【0007】
保護管に挿通された既設内管と、新設用内管とを接続具で接続したうえで、保護管の一端側から既設内管を引き出しながら新設用内管が挿通される。これにより、保護管に挿通された既設内管を新設用内管に交換する配管交換作業において、既設配管を複数に切断する工程の後に新設用配管を保護管内に挿通する交換方法と比して、配管の交換に必要な作業の手間を低減することができる。
【0008】
第二態様の配管交換方法は、第一態様に記載の配管交換方法において、前記挿通工程は、前記保護管の他端側で前記既設内管又は前記新設用内管の外周面に潤滑剤を付着させながら行われる。
【0009】
挿通工程では、保護管の他端側で既設内管又は新設用内管の外周面に潤滑剤が付着される。これにより、保護管の内周面と、既設内管の外周面及び新設用内管の外周面との摩擦抵抗を低減することができる。
【0010】
第三態様の配管交換方法は、第一態様に記載の配管交換方法において、前記挿通工程は、前記保護管の他端側で前記既設内管又は前記新設用内管を前記保護管内へ押込みながら、前記既設内管を前記保護管の一端側から引き出すことで行われる。
【0011】
挿通工程では、保護管の他端側で新設用内管を押し込みながら、保護管の一端側で既設内管を引き出すことにより、保護管の内部で既設内管及び新設用内管が過度に引っ張られ、又は過度に弛むことが防がれる。これにより、保護管の内部で既設内管及び新設用内管を適度に弛ませた状態としながら、保護管の一端側から既設内管を引き出すことで、配管を交換する際の、既設内管の外周面及び新設用内管の外周面と保護管との摩擦抵抗を低減することができる。
【0012】
第四態様の配管交換方法は、第一態様から第三態様のいずれか一態様に記載の配管交換方法において、前記接続具は、中央部と、前記中央部の軸線に対して一方側の面から雄ねじ部を有しながら延出し、前記新設用内管の一端で前記新設用内管の内周面にねじ込まれる第一ねじ込み部と、前記中央部の軸線に対して前記第一ねじ込み部とは反対側の面から前記雄ねじ部に対して逆向きに形成された逆雄ねじ部を有しながら延出し、前記既設内管の他端で前記既設内管の内周面にねじ込まれる第二ねじ込み部と、を有する。
【0013】
接続具は、第一ねじ込み部と、第一ねじ込み部の雄ねじ部とは逆ねじとされた逆雄ねじ部を有する第二ねじ込み部と、を有している。これにより、新設用内管への第一ねじ込み部のねじ込みと、既設内管への第二ねじ込み部のねじ込みを同時に行うことができ、既設内管と新設用内管との接続の作業性を向上させることができる。
【0014】
また、保護管の内部で、既設内管又は新設用内管がねじれた場合に、接続具の第一ねじ込み部と第二ねじ込み部のいずれか一方が弛んでも、他方は締まる。このため、逆ねじを用いない場合と比較して、保護管の内部で接続具が既設内管及び新設用内管の両方から脱落することを防ぐことができる。
【0015】
第五態様の配管交換用の接続具は、中央部と、前記中央部の軸線に対して一方側の面から雄ねじ部を有しながら延出し、一の管体の内周面にねじ込まれる第一ねじ込み部と、前記中央部の軸線に対して前記第一ねじ込み部とは反対側の面から前記雄ねじ部に対して逆向きに形成された逆雄ねじ部を有しながら延出し、他の管体の内周面にねじ込まれる第二ねじ込み部と、を有する。
【0016】
配管交換用の接続具は、第一ねじ込み部と、第一ねじ込み部の雄ねじ部とは逆ねじとされた逆雄ねじ部を有する第二ねじ込み部と、を有している。これにより、新設用内管への第一ねじ込み部のねじ込みと、既設内管への第二ねじ込み部のねじ込みを同時に行うことができ、既設内管と新設用内管との接続の作業性を向上させることができる。
【0017】
また、一の管体と他の管体とが接続された状態で、一の管体又は他の管体が捩じれた場合には、接続具の第一ねじ込み部と、第二ねじ込み部とのいずれか一方が弛んでも、他方は締まる。このため、逆ねじを用いない場合と比較して、保護管の内部で接続具が一の管体及び他の管体の両方から脱落することを防ぐことができる。
【0018】
第六態様の配管交換用の接続具は、第五態様に記載の配管交換用の接続具において、前記中央部の外周に、工具を掛けるための互いに平行な二面部を有している。
【0019】
配管交換用の接続具は、中央部の外周に、工具を掛けるための互いに平行な二面部を有している。これにより、第一ねじ込み部及び第二ねじ込み部を、既設内管及び新設用内管にねじ込む場合に工具を中央部に掛けて、中央部に回転トルクを与えやすくなる。このため、中央部の外周に二面部を有していない場合と比較して、第一ねじ込み部及び第二ねじ込み部を、既設内管及び新設用内管にねじ込みやすくすることができる。
【0020】
第七態様の配管交換用の接続具は、第五態様又は第六態様に記載の配管交換用の接続具において、前記中央部に、工具を掛けるための孔が形成されている。
【0021】
配管交換用の接続具は、中央部の外周に、工具を掛けるための孔を有している。これにより、第一ねじ込み部及び第二ねじ込み部を、既設内管及び新設用内管にねじ込む場合に工具を中央部に掛けて、中央部に回転トルクを与えやすくなる。このため、中央部に孔を有していない場合と比較して、第一ねじ込み部及び第二ねじ込み部を、既設内管及び新設用内管にねじ込みやすくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、保護管に挿通された既設内管を新設用内管に交換する配管交換作業において、配管の交換に必要な作業の手間を低減することができる配管交換方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る配管交換方法が用いられる配管構造の一例を示す模式図である。
図2】実施形態に係る配管交換方法に用いられる接続具を示す正面図である。
図3】実施形態に係る配管交換方法に用いられる接続具を示す断面図である。
図4】実施形態に係る配管交換方法における、保護管の他端側で既設内管と新設用内管とを接続する様子を示す図である。
図5】実施形態に係る配管交換方法における、保護管の他端側で既設内管に潤滑剤を付着させる様子を示す図である。
図6】実施形態に係る配管交換方法における、保護管の一端側で既設内管を引張りながら、保護管の他端側で新設用内管を押込む様子を示す図である。
図7】実施形態に係る配管交換方法における、保護管の一端側で既設内管を引張りながら、保護管の他端側で新設用内管を押込み、新設用内管が挿通される途中の様子を示す図である。
図8】実施形態に係る配管交換方法における、保護管の一端側で既設内管を引張りながら、保護管の他端側で新設用内管を押込み、新設用内管が挿通された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
(給湯システム70、二重管20)
図1は、本実施形態に係る配管交換方法が適用される配管構造の一例である、給湯システム70を示す模式図である。この給湯システム70では、図1に示されるように、建物72の一方側(図1における紙面左側)に貯留槽80が、建物72の他方側(図1における紙面右側)に加熱装置78が配置されると共に、二重管20が加熱装置78と貯留槽80とを接続している。
【0026】
また、二重管20は、図1に示されるように、加熱装置78から貯留槽80へ液体(水道水)を搬送する既設内管22と、既設内管22の外周を覆うことで、既設内管22を保護する保護管26とを有している。
【0027】
保護管26は、一例としてポリエチレン、ポリプロピレン又はポリアミド樹脂等の硬質性樹脂製とされ、径方向外側へ凸となる環状の山部と、径方向外側が凹となる環状の谷部とが交互に形成されることで可撓性を有する管体(コルゲート管)である。また保護管26は、外径及び厚さを特に限定されないが、一例として外径を18mm以上130mm以下とされ、厚さを0.5mm以上2.0mm以下とされる。なお、保護管26は、図示しない保持具によって建物72の壁材74に固定されている。
【0028】
また、既設内管22は、一例として複層樹脂製とされた、外径14.6mm、内径10.0mm、曲げ弾性率は50MPa以上150MPa未満の可撓性を有する管体である。この既設内管22は、保護管26に挿通されることによって保持され、両端を加熱装置78と貯留槽80とに接続されている。なお、曲げ弾性率の測定は、一例としてJIS K7171:2022による。
【0029】
また、既設内管22は、本開示に係る一の管体の一例である。
【0030】
図1に示すような給湯システム70では、二重管20は、建物72の内部の居室76を避け、建物72の内部で建物72の壁材74に沿って配管されるため、加熱装置78と貯留槽80とを接続する二重管20の管路には、曲がり部分が発生する。この場合、既設内管22を後述する新設用内管24と交換するために、既設内管22を加熱装置78又は貯留槽80側のいずれの側から引っ張っても、既設内管22の外周面が曲がり部分で保護管26の内周面と擦れるため、既設内管22を引き出しにくい。
【0031】
ここで、本実施形態に係る配管交換方法では、次に示す接続具30を用いて既設内管22を新設用内管24と交換する。
【0032】
(接続具30)
図2は、本開示に係る配管交換用の接続具30の一例を示す図であり、図3は、図2における3-3線から視た断面図である。図2及び図3に示されるように、本実施形態に係る接続具30は、略円柱状の中央部32と、中央部32の軸線Cに対して一方側(図2における紙面左側)の面から延出する第一ねじ込み部34と、中央部32の第一ねじ込み部34とは反対側(図2における紙面右側)の面から延出する第二ねじ込み部36と、を有する。
【0033】
また、中央部32の外周面には、図2及び図3に示されるように、径方向に挟むように一対の平面部32Aを有する二面部32Pが形成されている。この二面部32Pは、後述する接続工程において、レンチなどの工具を掛けることが可能とされている部分である。また言い換えれば、二面部32Pは、レンチなどの工具から回転トルクを受けるトルク受け部でもある。
【0034】
また、中央部32には、図2及び図3に示されるように、一対の平面部32A同士を連通するように孔32Hが形成されている。この孔32Hは、後述する接続工程において、棒状の工具を挿入して掛けることが可能とされている部分である。また言い換えれば、孔32Hは、棒状の工具から回転トルクを受けるトルク受け部でもある。
【0035】
なお、中央部32の軸線C方向の長さ及び直径は、保護管26に合わせて適宜設計されるが、一例として軸線C方向の長さは、10mmであり、直径は、14.5mmである。また、二面部32Pの間隔は、一例として12mmとされている。
【0036】
第一ねじ込み部34は、図2に示されるように、中央部32から延出しながらテーパ状に形成された部分であり、外周面には、雄ねじ部34Mが形成されている。この雄ねじ部34Mは、一例として右ねじであり、後述する接続工程において、既設内管22の内周面にくい込むことが可能とされている。
【0037】
なお、第一ねじ込み部34の軸線C方向の長さ、直径の大きさ、おねじ部のピッチ、及びテーパ角度は、既設内管22に合わせて適宜設計されるが、一例として軸線C方向の長さは、15mmであり、最大の直径は、11.4mmであり、雄ねじ部34Mのピッチは、2mmであり、テーパ角度は、3.24°である。また、雄ねじ部34Mのねじ山の先端の幅は、既設内管22に合わせて適宜設計されるが、一例として0.2mm以下である。また、雄ねじ部34Mのねじ山の高さは、一例として1mmであり、雄ねじ部34Mのねじ山の角度は、30°である。
【0038】
第二ねじ込み部36は、図2に示されるように、中央部32から第一ねじ込み部34とは反対側に延出しながらテーパ状に形成された部分であり、外周面には、第一ねじ込み部34の雄ねじ部34Mとは逆ねじ(左ねじ)とされた、逆雄ねじ部36Mが形成されている。この逆雄ねじ部36Mは、雄ねじ部34Mと同様に、後述する接続工程において、新設用内管24の内周面にくい込むことが可能とされている。
【0039】
なお、第二ねじ込み部36の具体的な形状は、一例として、第一ねじ込み部34と同様とされている。
【0040】
別の見方によれば、第二ねじ込み部36は、中央部32を中心として第一ねじ込み部34の面対称とされた部分であるともいえる。
【0041】
また、接続具30は、どのような材料で製作されていてもよいが、一例として真鍮又は青銅などの金属で製作される。
【0042】
なお、接続具30は、図3に示すように、一例として中実体とされているが、第一ねじ込み部34から第二ねじ込み部36へと連通する中空体(管体)とされていてもよい。
【0043】
(配管交換手順)
続いて、図4から図8を適宜参照しながら、本実施形態に係る配管交換の手順を説明する。なお、図4から図8では、説明のため、保護管26を直線状に延びた形状として図示しているが、これに限らず、曲がり部分を有していてもよい。
【0044】
なお、この配管交換手順で説明する新設用内管24は、上述した既設内管22と交換される管体であり、既設内管22と同等の形状及び物性を有している。換言すれば、既設内管22と同様に可撓性を有し、保護管26に挿通され得る管体である。
【0045】
また、新設用内管24は、本開示に係る他の管体の一例である。
【0046】
(接続工程)
まず、接続工程では、既設内管22の他端22Rと、新設用内管24の一端24Lとを接続具30で接続する。
【0047】
図4は、既設内管22の他端22Rと、新設用内管24の一端24Lとを接続具30で接続する接続工程を示す図であり、保護管26の一端26L側(紙面左方向)から他端26R側(紙面右方向)にかけて既設内管22が挿通されている。なお、図4では、既設内管22は、加熱装置78と貯留槽80から取り外された状態であり、両端を保護管26から露出している。図4に示すように、接続工程では、既設内管22の他端22Rと、新設用内管24の一端24Lとにより、接続具30を挟み込む。
【0048】
より具体的には、図4に示す状態において、接続具30は、第一ねじ込み部34が既設内管22の他端22Rに差し込まれ、第二ねじ込み部36が新設用内管24の一端24Lに差し込まれている。
【0049】
続いて、レンチなどの工具を、接続具30の中央部32の二面部32Pに掛け、接続具30を、軸線Cを中心として回転させる。この状態では、第一ねじ込み部34の雄ねじ部34Mが既設内管22の内周面に、第二ねじ込み部36の逆雄ねじ部36Mが、新設用内管24の内周面にそれぞれくい込む。
【0050】
そして、第一ねじ込み部34及び第二ねじ込み部36が、それぞれ既設内管22と新設用内管24の内周面にくい込むことによって、既設内管22及び新設用内管24が接続される。
【0051】
(挿通工程)
挿通工程では、保護管26の他端26R側で既設内管22及び新設用内管24の外周面に潤滑剤28を付着させながら、保護管26の他端26R側から一端26L側に向けて新設用内管24を挿通する。
【0052】
図5は、既設内管22の他端22Rに潤滑剤28を付着させる様子を示す図である。図5に示すように、保護管26の他端26R側から露出している既設内管22に、潤滑剤28を付着させる。この潤滑剤28はどのような物でもいいが、一例としてシリコーン系潤滑剤である。
【0053】
図6は、保護管26の一端26L側から既設内管22を引っ張りながら、保護管26の他端26R側で既設内管22又は新設用内管24を押し込む様子を示す図である。図6に示すように、本態様に係る配管交換方法では、保護管26の一端26L側において既設内管22を引っ張ることと、保護管26の他端26R側において既設内管22の他端22Rを押し込むことを同時に行う。すなわち、既設内管22は、保護管26の一端26L側で引っ張られながら、保護管26に他端22Rを押し込められる。
【0054】
これにより、既設内管22は、保護管26の一端26L側へと抜けながら、他端22Rが保護管26に押し込まれる。そして、既設内管22の他端22Rに接続された新設用内管24も、続いて保護管26に押し込まれる。
【0055】
なお、この状態において、保護管26の他端26R側では、既設内管22又は新設用内管24は、外周面に潤滑剤28を付着させ続けられている。
【0056】
図7は、保護管26に、既設内管22の他端22R及び新設用内管24の一端24Lが入り込んだ様子を示す図である。図7に示すように、既設内管22の他端22Rと新設用内管24の一端24Lは、接続具30によって接続されているため、互いに保護管26の他端26R側から一端26L側へと向かって移動する。
【0057】
図8は、保護管26の一端26L側まで既設内管22の他端22R及び新設用内管24の一端24Lが移動した様子を示す図である。図8に示すように、保護管26の一端26L側まで既設内管22の他端22Rが移動することにより、新設用内管24の一端24Lが保護管26の一端26L側まで移動する。換言すれば、既設内管22を保護管26から抜き取られると同時に、新設用内管24が保護管26に挿通される。
【0058】
この状態で、保護管26の一端26L側における既設内管22の引張及び、保護管26の他端26R側における新設用内管24の押込みを停止し、また、接続具30を、接続工程とは逆向きに回転させる。これにより第一ねじ込み部34が既設内管22から、第二ねじ込み部36が新設用内管24から取り外される。
【0059】
なお、この状態では、新設用内管24の一端24Lの内周面は、第二ねじ込み部36の逆雄ねじ部36Mがくい込むことで逆雄ねじ部36Mに相当する傷が付く場合がある。この場合、新設用内管24の一端24Lから第二ねじ込み部36に相当する長さの分を切断することで、内周面に傷のついた部分を除去する。
【0060】
その後、新設用内管24の両端を、加熱装置78と貯留槽80に接続することで、図1に示す給湯システム70の二重管20の内管の交換が完了する。
【0061】
なお、上述の説明では、レンチなどの工具を、中央部32の二面部32Pに掛け、接続具30を回転させていたが、これに変えて、棒状の工具を中央部32の孔32Hに挿入し、棒状の工具を用いて接続具30を回転させてもよい。レンチなどの工具又は棒状の工具のいずれを用いて接続具30を回転させるかは、既設内管22及び新設用内管24の材料や形状などに応じて適宜決定される。
【0062】
(作用及び効果)
本実施形態に係る配管交換方法及び接続具30では、次に示す作用及び効果を得られる。
【0063】
本実施形態に係る配管交換方法は、保護管26の一端26L側から他端26R側に挿通された可撓性を有する既設内管22を、可撓性を有する新設用内管24で交換する配管交換方法において、保護管26の他端26R側で、既設内管22の他端22Rと新設用内管24の一端24Lとを接続具30で接続する接続工程と、保護管26の一端26L側から既設内管22を引き出しながら、新設用内管24を保護管26の他端26R側から保護管26内に挿通する挿通工程と、を備える。
【0064】
保護管26に挿通された既設内管22と、新設用内管24とを接続具30で接続したうえで、保護管26の一端26L側から既設内管22を引き出しながら新設用内管24が挿通される。これにより、保護管26に挿通された既設内管22を新設用内管24に交換する配管交換作業において、保護管26の一端26L側から既設内管22を引き出しながら新設用内管24を挿通する挿通工程を有していない交換方法と比して、配管の交換に必要な作業の手間を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る配管交換方法において、挿通工程は、保護管26の他端26R側で既設内管22又は新設用内管24の外周面に潤滑剤28を付着させながら行われる。
【0066】
挿通工程では、保護管26の他端26R側で既設内管22又は新設用内管24の外周面に潤滑剤28が付着される。これにより、保護管26の内周面と、既設内管22の外周面及び新設用内管24の外周面との摩擦抵抗を低減することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る配管交換方法において、挿通工程は、保護管26の他端26R側で既設内管22又は新設用内管24を保護管26内へ押込みながら、既設内管22を保護管26の一端26L側から引き出すことで行われる。
【0068】
挿通工程では、保護管26の一端26L側で既設内管22を引っ張りながら、保護管26の他端26R側で新設用内管24を押し込むことにより、保護管26の内部で既設内管22及び新設用内管24が過度に引っ張られ、又は過度に弛むことが防がれる。これにより、保護管26の内部で既設内管22及び新設用内管24を適度に弛ませた状態としながら、保護管26の一端26L側から既設内管22を引き出すことで、このような挿通工程を有していない配管交換方法と比して、配管を交換する際の、既設内管22の外周面及び新設用内管24の外周面と保護管26との摩擦抵抗を低減することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る配管交換方法において、接続具30は、中央部32と、中央部32の軸線Cに対して一方側の面から雄ねじ部34Mを有しながら延出し、新設用内管24の一端24Lで新設用内管24の内周面にねじ込まれる第一ねじ込み部34と、中央部32の軸線Cに対して第一ねじ込み部34とは反対側の面から雄ねじ部34Mに対して逆向きに形成された逆雄ねじ部36Mを有しながら延出し、既設内管22の他端22Rで既設内管22の内周面にねじ込まれる第二ねじ込み部36と、を有する。
【0070】
接続具30は、第一ねじ込み部34と、第一ねじ込み部34の雄ねじ部34Mとは逆ねじとされた逆雄ねじ部36Mを有する第二ねじ込み部36と、を有している。これにより、新設用内管24への第一ねじ込み部34のねじ込みと、既設内管22への第二ねじ込み部36のねじ込みを同時に行うことができ、既設内管22と新設用内管24との接続の作業性を向上させることができる。
【0071】
また、保護管26の内部で、既設内管22又は新設用内管24がねじれた場合に、接続具30の第一ねじ込み部34と第二ねじ込み部36のいずれか一方が弛んでも、他方は締まる。このため、逆ねじを用いない場合と比較して、保護管26の内部で接続具30が既設内管22及び新設用内管24の両方から脱落することを防ぐことができる。また仮に、既設内管22又は新設用内管24のいずれか一方から接続具30が脱落した場合においても、他方からは脱落しないため、既設内管22又は新設用内管24を引き抜くことにより、保護管26から接続具30を取り出すことができる。
【0072】
また、本実施形態に係る接続具30は、中央部32の外周に、工具を掛けるための互いに平行な二面部32Pを有している。
【0073】
接続具30は、中央部32の外周に、工具を掛けるための互いに平行な二面部32Pを有している。これにより、第一ねじ込み部34及び第二ねじ込み部36を、既設内管22及び新設用内管24にねじ込む場合に工具を中央部32に掛けて、中央部32に回転トルクを与えやすくなる。このため、中央部32の外周に二面部32Pを有していない場合と比較して、第一ねじ込み部34及び第二ねじ込み部36を、既設内管22及び新設用内管24にねじ込みやすくすることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る接続具30は、中央部32に、工具を掛けるための孔32Hが形成されている。
【0075】
接続具30は、中央部32の外周に、工具を掛けるための孔32Hを有している。これにより、第一ねじ込み部34及び第二ねじ込み部36を、既設内管22及び新設用内管24にねじ込む場合に工具を中央部32に掛けて、中央部32に回転トルクを与えやすくなる。このため、中央部32に孔32Hを有していない場合と比較して、第一ねじ込み部34及び第二ねじ込み部36を、既設内管22及び新設用内管24にねじ込みやすくすることができる。
【0076】
(変形例)
なお、上述の説明において、接続具30は、工具を掛けるため、互いに平行な二面部32P及び孔32Hを有していたが、二面部32P又は孔32Hのいずれか一方のみが形成された形状とされていてもよい。この場合においても中央部32に形成された二面部32P又は孔32Hのいずれか一方を用いて、接続具30を既設内管22及び新設用内管24に接続することができる。
【0077】
また、上述の説明において、接続具30は、工具を掛けるための二面部32P及び工具を掛けるための孔32Hを有していたが、本実施形態に係る接続具30は、これに限定されない。例えば、中央部32を手で把持することによって、既設内管22に第一ねじ込み部34を、新設用内管24に第二ねじ込み部36をねじ込み可能とされていれば、二面部32P及び孔32Hのいずれもが形成されていない形状とされていてもよい。
【0078】
また、上述の説明において、図2に示されるように接続具30の第一ねじ込み部34及び第二ねじ込み部36は、それぞれ全体的にテーパ形状とされているが、本実施形態に係る接続具30は、これに限定されない。例えば、テーパ形状は、第一ねじ込み部34又は第二ねじ込み部36の一部分のみに形成されていてもよく、また、第一ねじ込み部34又は第二ねじ込み部36がテーパを有していない形状とされていてもよい。
【0079】
また、上述の説明において、配管交換方法は、中央部32と、第一ねじ込み部34及び第二ねじ込み部36とを有する接続具30を用いていたが、本開示に係る配管交換方法は、これに限定されない。例えば、接続具30を用いずに、既設内管22と新設用内管24とを接着剤等を用いて接続してもよい。
【0080】
また、上述の説明において、配管交換方法は、保護管26の他端26R側で既設内管22及び新設用内管24に潤滑剤28を付着させていたが、本開示に係る配管交換方法は、これに限定されない。例えば、保護管26の内周面と既設内管22及び新設用内管24の外周面との摩擦抵抗が小さく、潤滑剤28を付着させずに既設内管22の引張及び新設用内管24の押込みが可能であれば、潤滑剤28の付着を省略してもよい。
【0081】
また、上述の説明において、配管交換方法は、保護管26の一端26L側で既設内管22を引張りながら、保護管26の他端26R側で既設内管22の他端22R又は新設用内管24の一端24Lを押し込んでいたが、本開示に係る配管交換方法は、これに限定されない。例えば、保護管26の内周面と既設内管22及び新設用内管24の外周面との摩擦抵抗が小さく、既設内管22を保護管26の他端26R側から引っ張ることで、新設用内管24を保護管26に挿通することが可能であれば、保護管26の他端26R側で既設内管22及び新設用内管24の押し込みを省略してもよい。また、保護管26の一端26L側で既設内管22を引っ張り及び、保護管26の他端26R側で既設内管22及び新設用内管24の押し込みを交互に行うことで、既設内管22が他端26R側から一端26L側へと移動可能であれば、引張りと押込みとを行う時期が同時でなくともよい。
【0082】
また、上述の説明において、保護管26は、硬質性樹脂で形成されていたが、本開示に係る配管交換方法は、これに限定されない。例えば、保護管26は、保温材として用いられる発泡ポリエチレン製等の軟質性材料で形成された管体とされていてもよい。
【0083】
また、上述の説明において配管構造は、既設内管22と保護管26とを有する二重管20とされていたが、本開示に係る配管交換方法は、これに限定されない。例えば、保護管26を上述の説明よりもさらに多層重ねられた、構成としてもよい。この場合、最も外側の管体を除く、他の管体を本開示に係る既設内管22とみなして適用されてもよく、また、最も内側の管体のみを本開示に係る既設内管22とみなして適用されてもよい。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0085】
20 二重管、22 既設内管(一の管体の一例)、24 新設用内管(他の管体の一例)、26 保護管、28 潤滑剤、30 接続具、32 中央部、34 第一ねじ込み部、36 第二ねじ込み部、70 給湯システム、72 建物、74 壁材、76 居室、78 加熱装置、80 貯留槽
図1
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図8