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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155807
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】液体供給装置および液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20231016BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20231016BHJP
   F04B 13/00 20060101ALI20231016BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
F04B13/00 A
F04B53/10 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065368
(22)【出願日】2022-04-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】593020913
【氏名又は名称】株式会社ナカリキッドコントロール
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩二
【テーマコード(参考)】
3H071
3H075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB01
3H071DD01
3H071DD06
3H071DD12
3H071DD32
3H075AA09
3H075BB03
3H075CC11
3H075DA03
3H075DA09
3H075DB03
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA35
4F042AB00
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB10
(57)【要約】
【課題】液体を内部に導入するときに、内部に空気が入り込むのを防ぎ、液体の無駄を少なくする液体供給装置を提供する。
【解決手段】液体供給装置10は、内部にポンプ室12が形成されたポンプ本体11と、ポンプ室12に対して進退動作するプランジャ13と、プランジャ駆動手段14と、ポンプ室12の一端側に設けられ、ポンプ室12の液体を導出するための導出路15と、導出路15より他端側にポンプ室12と連通する開口16aを有し、ポンプ室12へ液体を導入するための導入路16と、を備え、導入路16の開口16aからポンプ室12に液体を導入する動作の開始時に、プランジャ13が最も一端側にある第2の位置P2と導入路16の開口16aとの間の距離L2は、第2の位置P2とプランジャ13がポンプ室12の最も他端側にあるときの第1の位置P1との間の距離L1の3分の1以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にポンプ室が形成されたポンプ本体と、
前記ポンプ室に対して進退動作するプランジャと、
前記プランジャを進退動作させる駆動手段と、
前記ポンプ室の一端側に設けられ、前記ポンプ室の液体を導出するための導出路と、
前記導出路より他端側に前記ポンプ室と連通する開口を有し、前記ポンプ室へ液体を導入するための導入路と、を備え、
前記導入路の開口から前記ポンプ室に液体を導入する動作の開始時に、前記プランジャが最も一端側にある第2の位置と前記導入路の開口との間の距離は、前記第2の位置と前記プランジャが前記ポンプ室の最も他端側にあるときの第1の位置との間の距離の3分の1以下である、液体供給装置。
【請求項2】
前記導入路の開口は、前記導入路より他端側であって前記ポンプ室の内面に形成されている、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記導入路を開閉する弁をさらに備え、
前記導出路から液体を導出する動作において、前記弁により前記導入路は閉じられ、前記プランジャは、前記第1の位置と、前記導入路の開口の上に位置する第3の位置との間を移動自由である、請求項1または2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記ポンプ室に液体が収容されていない状態から前記ポンプ室に液体を導入する動作において、前記プランジャは、前記第1の位置と、前記プランジャが前記導入路の開口を塞ぐ第4の位置との間を移動自由である、請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記プランジャの前記ポンプ室内に位置する下端面は、少なくとも前記プランジャが進退動作する方向に直交する面に対して斜めに傾いた面を有し、
前記斜めに傾いた面は、前記導入路の開口を向く、請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記プランジャの内部に前記導入路が形成され、前記プランジャの下端面に前記導入路の開口が形成される、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記ポンプ室と、前記プランジャと、前記導入路と、前記導出路とを含む組を複数備える、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項8】
前記導出路から液体の導出を止めるための封止手段をさらに備える、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項9】
前記導入路に接続され、液体が収容されるシリンジと、
前記シリンジ内の圧力を調整する圧力調整手段と、
前記圧力調整手段と、前記弁の動作と、前記プランジャの動作を制御する制御部とをさらに備える、請求項3に記載の液体供給装置。
【請求項10】
請求項1に記載の液体供給装置の前記導出路にニードルが接続された液体吐出装置。
【請求項11】
前記ニードルから液体の導出を止めるための封止手段をさらに備える、請求項10に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体供給装置および液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、往復移動するプランジャを用いて少量の液体を液体口から吐出する種々の液体供給装置が提案されている。例えば、引用文献1の液体供給装置200は、図8に示すように、液剤圧出部から液体を圧出するシリンジ201と、シリンジ201の液剤圧出部に繋がる液剤流路202を有した接続部材203と、内壁には液剤流路202の開口202aを有し、液剤流路202を通ってシリンジ201から送られてきた液体が流入する上下方向に延びた筒状路204を有したケーシング205と、ケーシング205の筒状路204内に設けられたプランジャ206と、ケーシング205の筒状路204内でプランジャ206を往復させてケーシング205の下端のノズル部207から液体を吐出させるプランジャ駆動手段208とを備えている。
【0003】
液体吐出時には、筒状路204内に液体が流入している状態で、プランジャ駆動手段208によりプランジャ206が下方向に向けて駆動される。これにより、液体はプランジャ206から圧力を受け、筒状路204内の液体がノズル部207を経て下方に送出される。
【0004】
プランジャ206の下端部が筒状路204の下端まで移動し、筒状路204内の液体がほぼ吐出されると、次に、筒状路204内に液体を供給する動作を行う。液体の供給動作の開始時には、プランジャ206の下端部がノズル部207の近傍にあり、液剤流路202の開口202aはプランジャ206の外周面により塞がれている。プランジャ206は筒状路204のノズル部207の近傍から少なくとも開口202aより上位置になるように上方向に移動する。開口202aが筒状路204と連通すると、シリンジ201に正圧が供給されてシリンジ201から液剤流路202を通って筒状路204内に液体が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-107035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1の液体供給装置においては、液体の筒状路204への供給動作時に、液剤流路202の開口202aをプランジャ206の外周面により塞いだ状態でプランジャ206を引き上げるため、ノズル部207から空気を吸い込み、筒状路204やノズル部207に残った液体に混入する。特に開口202aは筒状路204の上下方向の中央部に位置しているため、プランジャ206の移動距離が長く、空気を多く吸い込んでしまう。プランジャ206が液剤流路202の開口202aより上に位置した後、シリンジ201に収容された液体は加圧されて液剤流路202の開口202aから筒状路204内に流入する。このとき、液体は筒状路204内の空気を押し出しながら筒状路204内に流入するが、既に多くの空気が筒状路204にあり、空気の一部は液体中に気泡となって入り込む。このため、吐出対象物(ワーク)に液体を吐出する前に、気泡が混入した液体を予め吐出して捨てる捨て動作を行う必要があり、液体が無駄になる。
【0007】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、液体を内部に導入するときに、内部に空気が入り込むのを防ぎ、捨て動作による液体の無駄を少なくする液体供給装置および液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0009】
項1:本発明の液体供給装置は、内部にポンプ室が形成されたポンプ本体と、前記ポンプ室に対して進退動作するプランジャと、前記プランジャを進退動作させるプランジャ駆動手段と、前記ポンプ室の一端側に設けられ、前記ポンプ室の液体を導出するための導出路と、前記導出路より他端側に前記ポンプ室と連通する開口を有し、前記ポンプ室へ液体を導入するための導入路と、を備え、前記導入路の開口から前記ポンプ室に液体を導入する動作の開始時に、前記プランジャが最も一端側にある第2の位置と前記導入路の開口との間の距離は、前記第2の位置と最も他端側にある第1の位置との間の距離の3分の1以下である。
【0010】
上記の構成によれば、液体供給装置の使用の初期時や洗浄後など、ポンプ室に液体が収容されていない状態においてポンプ室に液体を導入する動作(初期時液体導入動作)においては、プランジャをポンプ室の下方に位置させ、プランジャを上方向に移動させることで、プランジャによる吸引力や導入路で液体に加えられる圧力により液体が導入路からポンプ室に導入される。このとき、ポンプ室内の空気は、ポンプ室内に導入される液体により導出路から押し出される。このように、空気は少なくとも液体の自重により下に押されて導出路から押し出されるため、空気が液体に混入しにくい。本発明においては、プランジャが最も一端側にある第2の位置と液体の導入路の開口との間の距離は、第2の位置とプランジャがポンプ室の最も他端側にあるときの第1の位置との間の距離の3分の1以下に設定されている。すなわち、導入路と第2の位置との間の空間の容積が小さく、空間に含まれる空気の量は少なくなる。このため、液体が空気を押し出す際に、押し出す空気の量が少なくてすみ、確実に空気をポンプ室から押し出すことができ、ポンプ室に導入された液体に気泡が混入しにくい。このため、液体吐出動作の前に気泡が混入した液体を捨てることが減り、液体を無駄にならない。
【0011】
項2:前記導入路の開口は、前記導出路より他端側であって前記ポンプ室の内面に形成されている、項1に記載の液体供給装置。
【0012】
項3:前記導入路を開閉する弁をさらに備え、
前記導出路から液体を導出する動作において、前記弁により前記導入路は閉じられ、前記プランジャは、前記第1の位置と、前記導入路の開口より他端側に位置する第3の位置との間を移動自由である、項1または2に記載の液体供給装置。
【0013】
項4:前記ポンプ室に液体が収容されていない状態から前記ポンプ室に液体を導入する動作において、前記プランジャは、前記第1の位置と、前記プランジャが前記導入路の開口を塞ぐ第4の位置との間を移動自由である、項1から項3のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【0014】
項5:前記プランジャの前記ポンプ室内に位置する下端面は、少なくとも前記プランジャが進退動作する方向に直交する面に対して斜めに傾いた面を有し、
前記斜めに傾いた面は、前記導入路の開口を向く、項2から項4のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【0015】
項6:前記プランジャの内部に前記導入路が形成され、前記プランジャの下端面に前記導入路の開口が形成される、項1に記載の液体供給装置。
【0016】
項7:前記ポンプ室と、前記プランジャと、前記導入路と、前記導出路とを含む組を複数備える、項1から項6のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【0017】
項8:前記導出路から液体の導出を止めるための封止手段をさらに備える、項1から項7のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【0018】
項9:前記導入路に接続され、液体が収容されるシリンジと、
前記シリンジ内の圧力を調整する圧力調整手段と、
前記圧力調整手段と、前記弁の動作と、前記プランジャの動作を制御する制御部とをさらに備える、項3から項8のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【0019】
項10:項1から項9のいずれか一項に記載の液体供給装置の前記導出路にニードルが接続された液体吐出装置。
【0020】
項11:前記ニードルから液体の導出を止めるための封止手段をさらに備える、項10に記載の液体吐出装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、液体を内部に導入するときに、内部に空気が入り込むのを防ぎ、捨て動作による液体の無駄を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る液体供給装置の全体の概略構成を示す説明図である。
図2】プランジャの位置を示す説明図である。
図3】プランジャの位置を示す説明図である。
図4】プランジャの下端面の変形例である。
図5】液体供給装置の他の実施形態である。
図6】液体供給装置の他の実施形態である。
図7】液体供給装置の他の実施形態である。
図8】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(全体構成)
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1~3に本発明の一実施形態の液体供給装置10の全体構成を示す。液体供給装置10は、内部にポンプ室12が形成されたポンプ本体11と、ポンプ室12に対して進退動作するプランジャ13と、プランジャ13を進退動作させるプランジャ駆動手段14と、ポンプ室12の一端側に設けられ、ポンプ室12の液体を導出するための導出路15と、導出路15より他端側にポンプ室12と連通する開口16aを有しポンプ室12へ液体を導入するための導入路16と、導入路16を開閉するための弁17と、弁17を駆動させる弁駆動手段(図示せず)と、導入路16に接続され、液体が収容されるシリンジ18と、シリンジ18内の圧力を調整する圧力調整手段19と、圧力調整手段19、弁駆動手段、プランジャ駆動手段14等の各部の動作を制御する制御部20とを備えている。
【0024】
なお、本明細書においては、ポンプ室12が延在する方向であって、プランジャ13が進退動作する方向を図1に示す上下方向とし、一端側を下端側または前側、他端側を上端側または後側とするが、上下方向はかならずしも鉛直方向に限定されるものではない。なお、以下の説明において、図2図7ではシリンジ18、圧力調整手段19、制御部20の記載を省略している。また、図1図7においては説明のためにポンプ本体11、プランジャ13、導出路15、導入路本体24等の構成の一部を断面で示している。
【0025】
ポンプ本体11は、長方形状の躯体からなり、内部に上下方向に延在する空間であるポンプ室12を有する。ポンプ室12は軸方向(上下方向)に直交する面の断面形状が円形に形成されている。なお、断面形状は円形に限定されず、例えば四角形状でもよい。ポンプ室12の上端の内面にはOリング等のシール部材11aが環状に設けられており、ポンプ室12が気密および液密となるようにプランジャ13を進退自由に保持している。ポンプ室12の上端は閉鎖部材11bで覆われており、閉鎖部材11bの中央に設けられた貫通孔にプランジャ13が貫通している。
【0026】
ポンプ室12の下端には、導出路15が設けられている。導出路15は、ポンプ室12に収容された液体が通過する流路であり、軸方向(上下方向)に直交する断面の形状が円形に形成されている。導出路15の直径は、ポンプ室12の断面形状の直径よりも小さく形成されている。本実施形態では、ポンプ室12とは、上下方向に沿って断面積が一定であって、導出路15を含まない部分をいい、導出路15とは、ポンプ室12の下端に位置し、流路の断面形状の面積がポンプ室12の断面形状の面積よりも小さい部分をいう。しかし、ポンプ室12および導出路15の断面積は本実施形態には限定されず、ポンプ室12および導出路15の断面積は任意に設定され、導出路15の断面積がポンプ室12の断面積と同じ、または導出路15の断面積がポンプ室12の断面積よりも大きくてもよい。
【0027】
ポンプ室12の内周面には導入路16の開口16aが形成されており、導入路16の開口16aは、導出路15より上側に位置している。プランジャ13が最も下端側にあるときの第2の位置P2と導入路16の開口16aとの間の上下方向の距離L2は、プランジャ13が最も下端側にある第2の位置P2とプランジャ13の下端13aがポンプ室12の最も上端側にある第1の位置P1との間の上下方向の距離L1の3分の1以下に設定されている。好ましくは、距離L2は距離L1の4分の1以下に設定され、より好ましくは、6分の1以下に設定される。さらに好ましくは、導入路16の開口16aは、導出路15の近傍に設けられる、すなわち、導入路16の開口16aは導出路15の上端15aにできるだけ近い位置、直上に設けられる。第1の位置P1、第2の位置P2については後述する。
【0028】
一例では、ポンプ室12の上下方向の長さは60mm、断面円形状の直径は2mm、導出路15の直径は1mm、導入路16の断面形状の直径は1mmに設定され、距離L1は50mm、距離L2は7mmに設定されているが、これに限定されるものではない。
【0029】
プランジャ13は断面形状が円形の棒状であって、上端部はポンプ本体11の外側に位置し、プランジャ13をポンプ室12に対して進退動作させるためのプランジャ駆動手段14が設けられている。プランジャ駆動手段14は例えばボールネジとモータとを用いた往復動作機構から構成される。プランジャ13の下端13aはポンプ室12内に位置し、少なくとも下端13aは断面円形の直径がポンプ室12の直径と略同じに設定され、ポンプ室12の内面に気密及び液密に嵌合されてポンプ室12に対して進退自由である。プランジャ13のプランジャ13の下端面13bは、プランジャ13が進退動作する方向に直交する面に平行な平坦面である。なお、プランジャ13の下端13aは、必ずしも断面円形の直径がポンプ室12の直径と略同じに設定されている必要はなく、液体を導出路15から吐出できる圧力を加えることができれば、ポンプ室12の直径よりも小さくてもよい。
【0030】
プランジャ13は、上下方向に沿って第1の位置P1と第2の位置P2との間を物理的に移動自由である。第1の位置P1と第2の位置P2との間に、第3の位置P3、第4の位置P4が設定される。プランジャ13が最も上端側にある第1の位置とは、図1に示すように、液体供給装置10においてプランジャ13を上方向に移動させることの可能な最も上側(他端側)の位置をいい、プランジャ13の下端13aが最も上側となる位置である。第1の位置P1は、ポンプ室12の長さやプランジャ13の長さによって定まる。
【0031】
第2の位置P2とは、液体供給装置10においてプランジャ13を下方向に移動させることの可能な最も下側(一端側)の位置をいい、プランジャ13の下端13aが最も下端側にある位置である。図1図3に示す本実施形態においては、プランジャ13が最も下端側にあるときの第2の位置P2は、導出路15の上端15aと同じ位置となる。なお、導出路15の径がプランジャ13の径と同じか大きい場合には、プランジャ13の下端13aは導出路15内に位置することができ、この場合は第2の位置P2は導出路15内に位置する。
【0032】
第3の位置P3は、図2に示すように、プランジャ13の下端13aが導入路16の開口16aよりも上側に位置し、開口16aを塞がない位置であり、本実施形態では、プランジャ13の下端13aが導入路16の開口16aの上端16bとほぼ同じとなる位置としている。第4の位置P4は、図3に示すように、導出路15の上端15aと導入路16の開口16aの下端16cとの間の位置であって、プランジャ13が導入路16の開口16aを塞ぐ位置である。本実施形態では、第4の位置P4はプランジャ13の下端13aが導入路16の開口16aの下端16cと同じ位置となる位置である。
【0033】
プランジャ13は、物理的には第1の位置P1と第2の位置P2との間を移動することが可能であるが、後述する初期時液体導入動作時においては、プランジャ13は第1の位置P1と第4の位置P4との間を移動し、後述する液体吐出動作時、液体導入動作時においては、プランジャ13は第1の位置P1と第3の位置P3との間を移動する。
【0034】
ポンプ本体11の外面には導入路本体24が取付けられ、導入路本体24内に導入路16が形成されている。導入路16は液体が通過する流路であり開口16aを介してポンプ室12と連通している。導入路16はシリンジ18に接続されており、シリンジ18は電磁弁19aを介して圧力源19bに接続されている。電磁弁19a、圧力源19bは圧力調整手段19を構成している。シリンジ18内には液体が収容されており、電磁弁19aが開かれてシリンジ18内に圧力源19bから正圧が供給されることで、液体が加圧されて導入路16に供給され、導入路16からポンプ室12に導入される。導入路本体24には導入路16を開閉するための弁17が設けられている。本実施形態では、弁17は導入路16の開口16aを開閉しているが、これに限定されず、導入路16の任意の箇所を開閉してもよく、既知の開閉弁17が用いられる。弁17は、図示しない弁駆動手段により駆動される。
【0035】
シリンジ18内を加圧するための電磁弁19aの動作、プランジャ駆動手段14の動作、弁駆動手段の動作等は、制御部20により制御される。制御部20は、例えば汎用のコンピュータが用いられる。汎用コンピュータのハードウェア構成として、CPUやGPUなどのプロセッサ、DRAMやSRAMなどの主記憶装置、および、HDDやSSDなどの記憶部を備えている。記憶部には、圧力調整手段19の電磁弁19a、プランジャ駆動手段14、弁駆動手段等の各部を動作させるための各種プログラム、パラメータ等が格納され、プロセッサによりこれらのプログラムが実行される。
【0036】
(液体供給装置10の動作)
(初期時液体導入動作)
液体供給装置10の動作について説明する。まず、液体供給装置10の使用の初期時や洗浄後など、ポンプ室12に液体が収容されていない状態においてポンプ室12に液体を導入する動作(初期時液体導入動作)について説明する。初期状態では、導入路16の弁17は閉である。制御部20は、プランジャ駆動手段14を動作させてランジャ13を図3に示す第4の位置P4に移動させる。次に、制御部20は電磁弁19aを開としてシリンジ18内を正圧とし、弁駆動手段を動作させて導入路16の弁17を開とする。特に、液体が低粘度(例えば粘度が0.0008~0.2Pa・s程度の液体)の場合には、液体の導入のタイミングに合わせて電磁弁19aを開閉してシリンジ18内の正圧をオンオフすることで、弁17に液体の漏れが生じてもポンプ室12への液体の流入を防ぐことができる。なお、液体の粘度に応じて、電磁弁19aを常に開としてシリンジ18内を常に正圧に保ってもよい。次に、制御部20はプランジャ駆動手段14を動作させてプランジャ13を第4の位置P4から第1の位置P1に向けて移動させる。プランジャ13が第4の位置P4にあるときには導入路16の開口16aはプランジャ13の外周面により塞がれているが、プランジャ13が上方向に移動することで開口16aとポンプ室12が連通し、液体が導入路16からポンプ室12に導入される。液体は、プランジャ13の引き上げによりポンプ室12内が負圧になることにより生じる吸引力と、圧力調整手段19によるシリンジ18内および導入路16内の液体への加圧により生じる力により、ポンプ室12に導入される。なお、液体が低粘度(例えば粘度が0.0008~0.05Pa・s程度の液体)の場合には、圧力調整手段19による加圧は不要であり、吸引力のみでポンプ室12に液体が導入することも可能である。プランジャ13が第1の位置P1に到達すると、液体が、少なくとも第2の位置P2と第1の位置P1との間の空間S1、すなわち本実施形態ではポンプ室12の導出路15の上端15aと第1の位置P1との間の空間S1に充填された状態となる。また、液体は導出路15にも導入され、プランジャ13が上方向の移動している間に導出路15から液体が導出されてもよい。
【0037】
プランジャ13の移動前には第2の位置P2とポンプ室12内の第4の位置P4との間の空間S3、すなわち導出路15の上端15aと第4の位置P4との間の空間S3には空気が存在するが、プランジャ13の引き上げが開始されるとすぐに導入路16の開口16aから液体が導入され、空間S1の空気は液体の重力や圧力調整手段19により液体に加わる圧力により下側に押されて導出路15から出て行く。制御部20が圧力調整手段19の動作を制御することで、シリンジ18内および導入路16内の液体に加わる圧力は、プランジャ13の上方向への移動による吸引力により空間S3にある空気が気泡として液体に混入することが防がれるような圧力に調整される。なお、低粘度の液体がポンプ室12に導入される場合には、圧力調整手段19による加圧は不要であり、液体の自重のみで空気が導出路15から出ていくことも可能である。
【0038】
上記の構成によれば、初期時液体導入動作において、空間S3にある空気を液体により導出路15から押し出しながら、液体をポンプ室12内に導入する。空気は少なくとも液体の自重により下に押されて導出路15から押し出されるため、空気が液体に混入しにくい。また、ポンプ室12内の導入路16の開口16aと導出路15との間の距離L2が短く、導入路16の開口16aと導出路15との間の空間S3の容積も小さいため、空間S3に含まれる空気の量は少ない。初期時液体導入動作においては、この空間S3にある空気は液体により導出路15から押し出されるが、押し出す空気の量が少なくてすむため、確実に空気をポンプ室12から押し出すことができ、ポンプ室12に導入された液体に気泡が混入しにくい。また、液体に気泡が混入しにくいので、液体吐出動作の前に気泡が混入した液体を吐出して廃棄する捨て動作が少ないか、捨て動作を行う必要がなく、液体の無駄を少なくすることができる。
【0039】
また、本実施形態においては、プランジャ13の第4の位置P4をプランジャ13の下端13aが導入路16の開口16aの下端16cとほぼ同じ位置となるように設定しているため、プランジャ13の上方向への移動を開始するとすぐに開口16aがポンプ室12と連通して液体がポンプ室12に導入される。このため、空間S3内の空気を確実に導出路15から押し出すことができる。
【0040】
また、プランジャ13の第1の位置P1への上方向への移動とともに液体のポンプ室12への導入を行っているので、プランジャ13を引き上げた後にポンプ室12へ液体を導入する場合に比べて液体の導入に必要な時間が短くなる。
【0041】
(液体吐出動作)
次に、初期時液体導入動作後であってポンプ室12に液体が十分に充填された状態において、導出路15からワークや吐出対象物に向けて所望量の液体を導出する動作(液体吐出動作)について説明する。プランジャ13は第1の位置P1にある。制御部20は、導入路16の弁17を閉にする。この状態で制御部20はプランジャ13を所定の距離だけ下に向けて移動させる。プランジャ13により液体に加わる圧力により、液体は導出路15を通って吐出される。プランジャ13が下方向に移動する速度および上下方向の移動距離は液体の種類や液体が吐出される対象物に応じて調整される。液体の吐出は、プランジャ13が第3の位置P3に到達するまで行われる。プランジャ13は、一度の吐出で第1の位置P1から第3の位置P3に移動してもよく、吐出を繰り返して第3の位置P3に移動してもよい。
【0042】
導入路16の弁17は閉となっているので、プランジャ13が液体を加圧するときに導入路16に液体が浸入することがなく、液体は確実に導出路15から吐出される。
【0043】
(液体導入動作)
次に、液体吐出動作後にポンプ室12内に充填された液体が少なくなった状態においてポンプ室12に液体を導入する動作(液体導入動作)について説明する。プランジャ13は第3の位置P3にあり、第3の位置P3と第2の位置P2との間の空間S2、すなわち本実施形態では第3の位置P3と導出路15の上端15aとの間の空間S2には液体が充填された状態である。制御部20は導入路16の弁17を開にし、プランジャ13を第3の位置P3から第1の位置P1まで上方向に移動させる。第3の位置P3は導入路16の開口16aより上にあるので開口16aは塞がれておらず、プランジャ13の引き上げにより液体は導入路16の開口16aからポンプ室12に導入される。液体は、プランジャ13が引き上げられることによってポンプ室12内が負圧になることによる吸引力と、圧力調整手段19によるフランジ内および導入路16内の液体への加圧により生じる力により、ポンプ室12に導入される。
【0044】
プランジャ13が第1の位置P1に到達すると、液体がポンプ室12の導出路15の上端15aと第1の位置P1との間の空間S1に充填された状態となる。なお、制御部20が圧力調整手段19の動作を制御し、シリンジ18内および導入路16内の液体に加わる圧力を、プランジャ13の上方向への移動による吸引力により導出路15から空気が液体に混入することが防がれるような圧力に調整してもよい。なお、液体導入動作においても、低粘度の液体がポンプ室12に導入される場合には、圧力調整手段19による加圧は必ずしも必要ではない。
【0045】
液体導入動作においては、第3の位置P3と導出路15の上端15aとの間の空間S2および導出路15には既に液体が充填されているため、液体のポンプ室12への導入とともに、空間S2および導出路15にある液体の少なくとも一部が導出路15から導出される。これにより、導出路15から空気がポンプ室12内に混入することが防がれる。
【0046】
また、従来技術においては液体導入時にプランジャを引き上げるためにノズル部から空気を吸い込んでしまい、空気とともに異物や液体の粘性が高まった増粘物を吸い込むことがある。これらの異物や増粘物は導出路15やポンプ室12の詰まりの原因となる。本実施形態では、初期時液体導入動作および液体導入動作においては、導出路15から空気とともに異物や増粘物を吸い込むことが防がれ、異物や増粘物による詰まりが生じにくい。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0048】
(プランジャ13の下端面13bの他の実施形態)
図4(A)、図4(B)にプランジャ13の下端面13bの他の実施形態を示す。図1図3の実施形態では、プランジャ13の下端面13bは、プランジャ13が進退動作する方向に直交する面に平行な平坦面であったが、プランジャ13の軸方向に直交する面に対して斜めに傾いた面から形成されていてもよい。図4(A)に示すように、導入路16の軸線とプランジャ13の軸線とを含む平面に沿う断面において、斜めに傾いた下端面13bは導入路16の開口16aを向いており、下端面13bとプランジャ13の軸方向と直交する方向(図4(A)における左右方向)との間の角度αは10度以上、70度以下に設定される。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0049】
上記の構成によれば、初期時液体導入動作において、プランジャ13が引き上げられて液体が導入路16の開口16aからポンプ室12内に導入されると、プランジャ13の下端13aにある空気が液体によりプランジャ13の下端面13bに沿って斜め下向きに押され、下方向に向かい導出路15から出て行く。このため、空間S3の特にプランジャ13の下端13a付近にある空気を確実にポンプ室12から押し出すことができる。
【0050】
また、図4(B)に示すように、プランジャ13の下端面13bは、プランジャ13の軸を中心として開口16a側(図4(B)における右側)を平坦面13cとし、開口16a側と反対側をプランジャ13の軸方向に直交する面に対して斜めに傾いた面13dとしてもよい。斜めに傾いた面13dは導入路16の開口16aを向いており、面13dとプランジャ13の軸方向と直交する方向との間の角度αは10度以上、80度以下に設定される。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0051】
上記の構成によっても、空間S3のプランジャ13の下端13a付近にある空気は斜めに傾いた面13dに沿って斜め下向きに押され、導出路15から出て行くため、空気を確実にポンプ室12から押し出すことができる。
【0052】
なお、本実施形態では斜めに傾いた面13は平坦面であるが、面13は曲面でもよく、曲面と平坦面とを含んでいてもよい。
【0053】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態は、図5に示すように、図1図4のいずれかの実施形態の液体供給装置10の導出路15の下端にジョイント部21を介してニードル22(「ノズル」、「ディスペンサ」とも呼ばれ、これらを総称として本明細書では「ニードル」という。)が接続された液体吐出装置40である。この液体吐出装置40において、導出路15からの液体の導出を止めるための封止手段23を備えていてもよい。
【0054】
図5の実施形態においては、液体吐出装置40のニードル22の下端に封止手段23が着脱自由に取付けられている。本実施形態では封止手段23はニードル22の下端を封止するキャップであるが、封止手段23はキャップに限定されず、導出路15からの液体の導出を止めることが可能であればどのような形態でもよく、例えば、導出路15を開閉する弁であってもよい。液体導入動作において、液体がポンプ室12から導出路15を通って流出しないため、液体が無駄になるのを防ぐことができる。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0055】
また、液体吐出装置40のニードル22は内部の液体流路の径が小さい。従来技術のように、液体導入時に空気とともに異物や増粘物を吸い込むと、特にニードル22に詰まりが生じ易くなる。本実施形態では、初期時液体導入動作および液体導入動作においては、空気とともに異物や増粘物を吸い込むことが防がれるため、ニードル22に異物や増粘物による詰まりが生じにくい。
【0056】
なお、導出路15にジョイント部21やニードル22を接続せずに、液体供給装置10の導出路15の下端に封止手段23を直接取付けてもよく、導出路15にジョイント部21が接続された液体供給装置10とし、ジョイント部21の下端に封止手段23を取付けてもよい。
【0057】
(他の実施形態)
図6に示す実施形態の液体吐出装置40は、液体供給装置10に第1ジョイント部21A、21B、混合部25、第2ジョイント部21C、ニードル22が取付けられたものである。液体供給装置10は、ポンプ室12と、プランジャ13と、導出路15と、導入路16と、弁17と、弁駆動手段と、シリンジ18と、圧力調整手段19との各構成を含む組30A、30Bを2組備えている。図6においては各部を示す符号の末尾にA、Bの符号を付して各部が属する組30A、30Bを示している。以下の説明では、特に組30A、30Bの区別が必要でない場合には、符号A、Bを付していない。図6の実施形態では、1つのプランジャ駆動手段14により各組30A、30Bのプランジャ13A、13Bを制御し、1つの制御部20により圧力調整手段19A、19B、弁17A、17B、プランジャ13A、13B等の各部の動作を制御しているが、各組30A、30B毎にプランジャ駆動手段14、制御部20を備えていてもよい。なお、図6においては各組30A、30Bのシリンジ18、圧力調整手段19の図示を省略している。
【0058】
さらに、各組30A、30Bの導出路15A、はそれぞれ第1ジョイント部21A、21Bを介して混合部25に接続されている。混合部25は、各組30A、30Bの導出路15から導出される液体を混合するための部材であり、例えば混合エレメントを内部に備えている。混合部25の下端には第2ジョイント部21Cを介してニードル22が接続されている。
【0059】
図6の実施形態においては、液体吐出装置40は、2種の液体を混合して吐出するものであり、例えば主剤と硬化剤とを混合することで硬化させる2液性接着剤を吐出する。この場合、各組30A、30Bのポンプ室12には性質の異なる液体(例えば主剤および硬化剤)が導入される。初期時液体導入動作では、各組30A、30Bそれぞれにおいて、図1図3の実施形態と同様に、プランジャ13が第4の位置P4から第1の位置P1に向けて移動し、ポンプ室12内の空気を押し出しながら、各液体がそれぞれのポンプ室12に導入される。ポンプ室12内の空気は、各導出路15A、15B、第1ジョイント部21A、21B、第2ジョイント部21C、混合部25、ニードル22を通って液体吐出装置40の外へ出て行く。
【0060】
次に、液体吐出動作では、プランジャ13が第1の位置P1から第3の位置P3に向けて移動し、各液体は所望の量が導出路15から導出される。各液体は混合部25で混合され、所望の混合比で混合された液体としてニードル22から吐出される。
【0061】
液体吐出動作後の液体導入動作では、プランジャ13が第3の位置P3から第1の位置P1に向けて移動しポンプ室12に液体が導入される。このとき、第3の位置P3と導出路15の上端15aとの間の空間S2および導出路15に存在する液体、および導入路16から導入された液体の一部は導出路15から導出されて、混合部25、第2ジョイント部21C、ニードル22に流れる。しかし、このような液体導入動作において導出された液体は、液体吐出動作時とは異なり導出量が調整されていないため、これらを混合しても所望の混合比で混合された液体とはならない。このため、次の液体吐出動作の開始前に、プランジャ13を下方向に移動させ、混合部25および第2ジョイント部21C、ニードル22内にある液体をニードル22から吐出して廃棄する。
【0062】
上記の実施形態によれば、種類の異なる複数の液体を混合して吐出する液体吐出装置40において、液体のポンプ室12への液体の導入時に液体に気泡が混入しにくくなる。
【0063】
(他の実施形態)
図6の実施形態において、初期時液体導入動作および液体吐出動作後の液体導入動作において、ニードル22の下端に封止手段23を取付けてニードル22から液体の導出を止めてもよい。封止手段23の構成は図5に示す実施形態と同様であり、対応する構成に同一の符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0064】
初期時液体導入動作においては、各組30A、30Bの第4の位置P4と導出路15の上端15aとの間の空間S3、導出路15、および第1ジョイント部21A、21B、混合部25、第2ジョイント部21C、ニードル22には空気が含まれているが、液体は存在しない。ニードル22の下端に封止手段23を取付けて、プランジャ13を第4の位置P4から上方向に移動させると、液体が導入路16からポンプ室12に導入される。このとき液体は、ポンプ室12内の空気を押し出し、空気は第1ジョイント部21A、21B、混合部25、第2ジョイント部21C、ニードル22等の内部に圧縮した状態で溜まる。初期時液体導入動作の完了後、液体吐出動作の前に、封止手段23を取り外し、プランジャ13をニードル22から液体が吐出されるまで下方向に移動させる。これにより、第1ジョイント部21A、21B、混合部25、第2ジョイント部21C、ニードル22等の内部の空気を完全に押し出す。その後、液体吐出動作を開始する。
【0065】
プランジャ13が第3の位置P3まで到達すると、液体吐出動作を停止し液体導入動作を行う。ニードル22に封止手段23を取付ける。液体導入動作の開始時には、各組30A、30Bの第3の位置P3と導出路15の上端15aとの間の空間S2、導出路15および第1ジョイント部21A、21Bにはそれぞれ種類の異なる液体が充填され、混合部25および第2ジョイント部21C、ニードル22内には、所望の混合比で混合された液体が充填されている。封止手段23により空間S3より下側にある液体は導出されず、各組30A、30Bのポンプ室12にはそれぞれシリンジ18から導入路16を介して各液体が導入される。
【0066】
この構成によれば、初期時液体導入動作時、液体導入動作時に液体がニードル22から吐出されないため、混合部25および第2ジョイント部21C、ニードル22内の液体は所望の混合比で充填された状態を保っており、液体が無駄になることがない。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0067】
(他の実施形態)
液体供給装置10は図6の実施形態から第1ジョイント部21A、21B、混合部25、第2ジョイント部21C、ニードル22を取り除いた形態であってもよい。すなわち、ポンプ本体11に、複数の組30A、30Bのポンプ室12と、プランジャ13と導出路15と、導入路16と、弁17と、弁駆動手段とが組み込まれたものである。この場合、組30A、30Bの導入路15にシリンジ18と、圧力調整手段19とがそれぞれ接続され、一つのプランジャ駆動手段14で同時に各組30A、30Bのプランジャ13を動作させており、1つの制御部20により圧力調整手段19A、19B、弁17A、17B、プランジャ13A、13B等の各部の動作を制御している。
【0068】
一つのプランジャ駆動手段14で同時に各組30A、30Bのプランジャ13を動作させるため、液体供給装置10は種類の異なる複数の液体を同時に供給することができる。また、各組30A、30Bのポンプ室12の直径およびプランジャ13の直径が異なるように設定した場合には、液体吐出動作において一つのプランジャ駆動手段14でプランジャ13を同じ距離下方向に移動させて、各組30A、30Bの導出路16から吐出する液体の量を異ならせることができる。
【0069】
(他の実施形態)
図7に本発明の他の実施形態を示す。図7に示す実施形態の液体供給装置10では、プランジャ13の内部に導入路16が形成され、プランジャ13の下端面13bに前記導入路16の開口16aが形成される。プランジャ13は円筒形状を有し、プランジャ13の上端は導入路本体24と連結され、導入路本体24内に形成された流路とプランジャ13の内部空間とは連通して導入路16を構成している。導入路本体24内には、導入路16を開閉するための弁17が設けられている。導入路本体24はプランジャ13とともに進退方向に移動自由である。少なくとも初期時液体導入動作の開始時において、プランジャ13は第5の位置P5にある。第5の位置P5とは、プランジャ13の下端面13bに形成された導入路16の開口16aと第2の位置P2との間の距離L2が、第1の位置P1と第2の位置P2との間の距離L1の3分の1以下となる位置である。第1の位置P1とは、図1に示すように、プランジャ13の下端13aが最も上側となる位置である。プランジャ13は第1の位置P1と第2の位置P2との間を移動自由である。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0070】
初期時液体導入動作の開始直前においては、導入路16の弁17は閉であり、プランジャ13は第5の位置P5にある。初期時液体導入動作の開始時に導入路16の弁17は開となり、液体は、圧力調整手段19によるフランジ内および導入路16内の液体への加圧により生じる力により、プランジャ13の下端面13bに形成された導入路16の開口16aからポンプ室12内に導入される。同時に、プランジャ13は第5の位置P5から第1の位置P1に向けて引き上げられる。プランジャ13が第1の位置P1に到達すると、ポンプ室12の導出路15の下端と第1の位置P1との間の空間S1に充填された状態となる。ポンプ室12内の第5の位置P5と導出路15の上端15aとの間の空間S4には空気が存在するが、プランジャ13の引き上げが開始されるとすぐに導入路16の開口16aから液体が導入され、空間S4の空気は液体により下側に押されて導出路15から出て行く。
【0071】
液体吐出動作においては、導入路16の弁17を閉とし、プランジャ13を第1の位置P1から所定の距離だけ下に向けて移動させる。プランジャ13により液体に加わる圧力により、液体は導出路15を通って吐出される。液体吐出動作は、プランジャ13が第5の位置P5に到達するまで行われる。
【0072】
次に、液体導入動作においては、導入路16の弁17を開にし、プランジャ13を第5の位置P5から第1の位置P1まで上方向に移動させる。圧力調整手段19によるフランジ内および導入路16内の液体への加圧により生じる力により、導入路16の開口16aからポンプ室12に導入される。このとき、第5の位置P5と導出路15の上端15aとの間の空間S4および導出路15には既に液体が充填されており、少なくとも液体の自重によりこれらの液体が導出路15から導出される場合がある。また、導入路16から導入された液体の一部が導出路15から導出されることもある。
【0073】
上記の構成によっても、初期時液体導入動作および液体導入動作において、液体に空気による気泡が混入するのを防ぐことができる。なお、液体吐出装置40として、図7の実施形態の導出路15の下端にジョイント部21を介してニードル22を備えたものであってもよく、ニードル22に封止手段23を取付けてもよい。封止手段23については図5の実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0074】
なお、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。「同じ」、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。四角形状、円形の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。「平行」「直交」とは、実質的に「平行」「直交」であることを意味し、厳密に「平行」「直交」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。
【符号の説明】
【0075】
10 液体供給装置
11 ポンプ本体
13 プランジャ
13b 下端面
14 プランジャ駆動手段
15 導出路
16 導入路
16a 開口
17 弁
18 シリンジ
19 圧力調整手段
20 制御部
L1 プランジャの第1の位置と導出路との間の距離
L2 導入路の開口と導出路1との間の距離
P1~P4 第1~第4の位置
30A、30B 組
40 液体吐出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にポンプ室が形成されたポンプ本体と、
前記ポンプ室に対して進退動作するプランジャと、
前記プランジャを進退動作させる駆動手段と、
前記ポンプ室の一端側に設けられ、前記ポンプ室の液体を導出するための導出路と、
前記導出路より他端側に前記ポンプ室と連通する開口を有し、前記ポンプ室へ液体を導入するための導入路と、を備え、
前記導入路の開口から前記ポンプ室に液体を導入する動作の開始時に、前記プランジャが最も一端側にある第2の位置と前記導入路の開口との間の距離は、前記第2の位置と前記プランジャが前記ポンプ室の最も他端側にあるときの第1の位置との間の距離の3分の1以下であり、
前記導入路の開口は、前記導入路より他端側であって前記ポンプ室の内面に形成され、
前記プランジャの前記ポンプ室内に位置する下端面は、少なくとも前記プランジャが進退動作する方向に直交する面に対して斜めに傾いた平坦面を有し、
前記斜めに傾いた平坦面は、前記導入路の開口の側を向く、液体供給装置。
【請求項2】
前記導入路を開閉する弁をさらに備え、
前記導出路から液体を導出する動作において、前記弁により前記導入路は閉じられ、前記プランジャは、前記第1の位置と、前記導入路の開口の上に位置する第3の位置との間を移動自由である、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記ポンプ室に液体が収容されていない状態から前記ポンプ室に液体を導入する動作において、前記プランジャは、前記第1の位置と、前記プランジャが前記導入路の開口を塞ぐ第4の位置との間を移動自由である、請求項に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記ポンプ室と、前記プランジャと、前記導入路と、前記導出路とを含む組を複数備える、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記導出路から液体の導出を止めるための封止手段をさらに備える、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記導入路に接続され、液体が収容されるシリンジと、
前記シリンジ内の圧力を調整する圧力調整手段と、
前記圧力調整手段と、前記弁の動作と、前記プランジャの動作を制御する制御部とをさらに備える、請求項に記載の液体供給装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液体供給装置の前記導出路にニードルが接続された液体吐出装置。
【請求項8】
前記ニードルから液体の導出を止めるための封止手段をさらに備える、請求項7に記載の液体吐出装置。