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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155813
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20231016BHJP
   B25B 21/02 20060101ALI20231016BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25B21/02 G
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065394
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀規
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 真司
(72)【発明者】
【氏名】草川 隆司
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA03
3C064BA11
3C064BB33
3C064BB79
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA53
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB13
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB73
3C064CB74
3C064CB77
3C064CB82
(57)【要約】
【課題】シール部材の耐久性が高い電動工具を提供すること。
【解決手段】電動工具1は、出力軸2と、駆動軸3と、伝達機構4と、複数の軸受け5と、シール部材6と、を備える。出力軸2は、先端工具B1を保持する保持部21を有する。駆動軸3は、駆動部により回転する。伝達機構4は、駆動軸3と出力軸2との間に設けられ、駆動軸3の回転を出力軸2に伝達する。複数の軸受け5は、出力軸2の軸方向D1に並んで配置され、出力軸2を回転可能に支持する。シール部材6は、出力軸2が挿通する貫通孔61を有する。シール部材6は、複数の軸受け5のうち隣接する2つの軸受け5に挟まれた空間の少なくとも1つにおいて、貫通孔61の内周面610が出力軸2の外周面20と接するように設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端工具を保持する保持部を有する出力軸と、
駆動部により回転する駆動軸と、
前記駆動軸と前記出力軸との間に設けられ、前記駆動軸の回転を前記出力軸に伝達する伝達機構と、
前記出力軸の軸方向に並んで配置され、前記出力軸を回転可能に支持する複数の軸受けと、
前記出力軸が挿通する貫通孔を有し、前記複数の軸受けのうち隣接する2つの軸受けに挟まれた空間の少なくとも1つにおいて、前記貫通孔の内周面が前記出力軸の外周面と接するように設けられるシール部材と、を備える、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記出力軸の少なくとも一部を収容するハウジングを更に備え
前記ハウジングは、前記複数の軸受けを支持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記シール部材は、前記ハウジングの外部に存在する異物が前記ハウジングの内部へ侵入することを抑制する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記シール部材は、前記ハウジングの内部に存在する潤滑剤が前記ハウジングの外部へ漏れ出すことを抑制する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項5】
前記伝達機構は、
前記駆動軸の外周面に回転及び前後進可能に嵌め合わされ、複数のハンマ爪が設けられるハンマと、
前記複数のハンマ爪と係合可能である複数のアンビル爪を具備し、前記出力軸と機械的に接続されているアンビルと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
前記シール部材は、吸油性を有する吸油性材料によって形成される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項7】
前記吸油性材料は、フェルトである、
ことを特徴とする請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記出力軸の少なくとも一部を収容するハウジングを更に備え、
前記ハウジングは、前記シール部材が設けられる前記少なくとも1つの空間に位置する凸部を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記軸方向における前記シール部材の寸法は、前記軸方向における前記凸部の寸法よりも小さい、
ことを特徴とする請求項8に記載の電動工具。
【請求項10】
前記シール部材は、ゴム材料によって形成される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項11】
前記出力軸の少なくとも一部を収容するハウジングを更に備え、
前記ハウジングは、前記シール部材が設けられる前記少なくとも1つの空間に位置する凸部を有する、
ことを特徴とする請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
前記軸方向における前記シール部材の寸法は、前記軸方向における前記凸部の寸法以上である、
ことを特徴とする請求項11に記載の電動工具。
【請求項13】
前記シール部材は、前記隣接する2つの軸受けのそれぞれに接触している、
ことを特徴とする請求項12に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電動工具に関する。より詳細には、本開示は、出力軸を備える電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータを有した駆動部と、駆動部の回転駆動を出力する出力部と、駆動部の回転駆動を打撃動作を伴って出力部に伝達する打撃部と、を有するインパクト回転工具が開示されている。打撃部が、駆動部により回転するハンマと、ハンマに打撃される被打撃面を有すると共に出力部に回転駆動を伝達するアンビルと、アンビルに取り付けられると共にアンビルより剛性の低い緩衝部材と、からなる。緩衝部材が被打撃面よりアンビルの回転方向に突出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5525386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のインパクト回転工具のような電動工具では、シール部材が電動工具の内部に設けられることがあり、シール部材の耐久性が高いことが求められる。
【0005】
本開示の目的とするところは、シール部材の耐久性が高い電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具は、出力軸と、駆動軸と、伝達機構と、複数の軸受けと、シール部材と、を備える。前記出力軸は、先端工具を保持する保持部を有する。前記駆動軸は、駆動部により回転する。前記伝達機構は、前記駆動軸と前記出力軸との間に設けられ、前記駆動軸の回転を前記出力軸に伝達する。前記複数の軸受けは、前記出力軸の軸方向に並んで配置され、前記出力軸を回転可能に支持する。前記シール部材は、前記出力軸が挿通する貫通孔を有する。前記シール部材は、前記複数の軸受けのうち隣接する2つの軸受けに挟まれた空間の少なくとも1つにおいて、前記貫通孔の内周面が前記出力軸の外周面と接するように設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シール部材の耐久性が高いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る電動工具の要部断面図である。
図2図2は、同上の電動工具の外観斜視図である。
図3図3は、同上の電動工具の要部の分解斜視図である。
図4図4は、同上の電動工具の要部の分解斜視図である。
図5図5は、同上の電動工具の要部の拡大断面図である。
図6図6は、同上の電動工具の要部の斜視図である。
図7図7は、同上の変形例に係る電動工具の要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電動工具について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(1)実施形態1
(1-1)概要
以下、実施形態1に係る電動工具1の概要について、図1を参照して説明する。
【0011】
実施形態1に係る電動工具1は、図1に示すように、出力軸2と、駆動軸3と、伝達機構4と、複数の軸受け5と、シール部材6と、を備える。作業者が締付対象(電化製品、家具等)に締付部品(ネジ、ボルト、ナット等)を締め付ける締付作業に電動工具1を用いる場合を想定する。また、電動工具1は、作業者が締付対象から締付部品を緩める取り外し作業に用いられてもよい。
【0012】
出力軸2は、先端工具B1を保持する保持部21を有する。駆動軸3は、駆動部8により回転する。伝達機構4は、駆動軸3と出力軸2との間に設けられ、駆動軸3の回転を出力軸2に伝達する。複数の軸受け5は、出力軸2の軸方向D1に並んで配置され、出力軸2を回転可能に支持する。シール部材6は、出力軸2が挿通する貫通孔61を有する。シール部材6は、複数の軸受け5のうち隣接する軸受け5に挟まれた空間の少なくとも1つにおいて、貫通孔61の内周面610が出力軸2の外周面20と接するように設けられる。
【0013】
実施形態1の電動工具1では、出力軸2は、複数の軸受け5によって支持されているため、出力軸2が駆動軸3の回転を伝達機構4から伝達され、軸方向D1に沿って回転する際に、軸方向D1に交差する方向に移動することを軽減することができる。すなわち、実施形態1の電動工具1は、出力軸2が軸方向D1に沿って回転した際の回転ブレを軽減することができる。
【0014】
そのため、実施形態1では、出力軸2が、回転ブレによって、隣接する軸受け5に挟まれた空間に設けられるシール部材6に押し付けられることを抑制することができる。その結果、実施形態1の電動工具1は、出力軸2によるシール部材6の摩耗を抑制できるという効果を奏する。すなわち、実施形態1の電動工具1は、シール部材6の耐久性が高いという利点がある。ここでいう「耐久性」とは、電動工具1が用いられる時間の経過による摩耗等の劣化をどれだけ抑制することができるかを示す性能である。
【0015】
(1-2)詳細な構成
(1-2-1)全体
以下に、実施形態1の電動工具1の詳細な構成について、図1図6を参照して説明する。
【0016】
電動工具1は、図1に示すように、出力軸2と、駆動軸3と、伝達機構4と、複数の軸受け5と、シール部材6と、ハウジング7と、駆動部8と、制御部91と、遊星歯車機構92と、操作部93と、を備える。
【0017】
以下の説明では、出力軸2の軸方向D1を前後方向と規定し、ハンマ41から見てアンビル42側を前と規定し、アンビル42から見てハンマ41側を後と規定する。また、以下の説明では、後述する第2部位72と後述するグリップ部74とが並んでいる方向を上下方向(図2のY方向)と規定し、グリップ部74から見て第2部位72側を上と規定し、第2部位72から見てグリップ部74側を下と規定する。また、前後方向及び上下方向と直交する方向を、左右方向と規定する。ただし、これらの規定は、電動工具1の使用方向を規定する趣旨ではない。
【0018】
(1-2-2)ハウジング
ハウジング7は、図1に示すように、出力軸2の少なくとも一部と、駆動軸3と、伝達機構4と、複数の軸受け5と、シール部材6と、駆動部8と、制御部91と、遊星歯車機構92と、を収容する。ハウジング7は、図1及び図2に示すように、第1部位71と、第2部位72と、第3部位73と、グリップ部74と、電池装着部75と、を有する。
【0019】
(第1部位)
第1部位71は、図3及び図4に示すように、第1底部711と、第1側部712と、を有する。第1底部711は、円板状である。第1底部711の厚さ方向は、前後方向に沿っている。第1底部711は、前後方向に形成された貫通孔713を有する。貫通孔713は、第1底部711の中心に設けられている。貫通孔713には、出力軸2が挿通される。第1側部712は、第1底部711の周縁から後方に突出している。
【0020】
(第2部位)
第2部位72は、図3及び図4に示すように、第2底部721と、第2側部722と、を有する。第2底部721は、楕円形の板状である。第2底部721の厚さ方向は、前後方向に沿っている。
【0021】
第2側部722の形状は、円筒状である。第2側部722は、第2底部721の周縁から前方に突出している。
【0022】
第2側部722の前側の開口は、図1に示すように、第1部位71で覆われている。より詳細には、第2側部722の内面の前部が第1側部712の外面に密着し、第2側部722の前端部が第1底部711の周縁部に接触するように、第2側部722の前側の開口は、第1部位71で覆われている。
【0023】
第2部位72は、図3及び図4に示すように、第2側部722に複数の通気孔723が設けられている。より詳細には、第2部位72は、第2側部722の後方に複数の通気孔723が設けられている。
【0024】
(第3部位)
第3部位73は、図3及び図4に示すように、主部731と、筒部732と、第3側部733と、を有する。主部731は、円環状の板部材である。主部731の厚さ方向は、前後方向に沿っている。
【0025】
筒部732の形状は、図3及び図4に示すように、両端部が開口している円筒状である。筒部732は、主部731の内縁から前方に突出している。実施形態1の筒部732は、図1に示すように、複数の軸受け5と、シール部材6と、を収容する。筒部732の内側は、出力軸2が挿通される。
【0026】
筒部732は、図1及び図5に示すように、複数の軸受け5を支持する。言い換えれば、ハウジング7は、複数の軸受け5を支持する。筒部732の内径は、複数の軸受け5のそれぞれの外形と略同じ、又は複数の軸受け5のそれぞれの外形よりも僅かに大きい。その結果、複数の軸受け5のそれぞれが筒部732の内側に嵌められることで、筒部732は、複数の軸受け5を支持する。
【0027】
筒部732は、図5に示すように、凸部76を有する。言い換えれば、筒部732において、ハウジング7は、凸部76を有する。凸部76は、筒部732の内周面から出力軸2に向かって突出している。凸部76は、筒部732の内周面において、筒部732の周方向に沿って、一周延在する。すなわち、凸部76は、筒部732の内周面において、円環状に設けられている。凸部76は、複数の軸受け5のうち隣接する2つの軸受け5に挟まれた空間のうち、シール部材6が設けられる空間に位置する。この構成によると、隣接する2つの軸受け5の隙間を容易に保つことができ、シール部材6を設けやすくなる、という利点がある。
【0028】
第3側部733の形状は、図3及び図4に示すように、円筒状である。第3側部733は、主部731の外縁から後方に突出している。実施形態1の第3側部733は、図1に示すように、駆動軸3の少なくとも一部と、伝達機構4と、を収容する。第3側部733の外面は、図1に示すように、第2部位72の第2側部722の内面に密着している。
【0029】
第3部位73には、第1部位71が取り付けられている。より詳細には、筒部732の前端部が第1部位71の第1底部711の貫通孔713に接するように、第3部位73には、第1部位71が取り付けられている。
【0030】
(グリップ部)
グリップ部74は、第2部位72から突出している。より詳細には、グリップ部74は、図2に示すように、第2部位72から下方に突出している。作業者は、グリップ部74を掴んでねじ締め等の作業を行うことができる。
【0031】
(電池装着部)
電池装着部75の形状は、略直方体状である。電池装着部75は、図2に示すように、グリップ部74の下端につながっている。電池装着部75には、充電式の電池パックが着脱可能に取り付けられる。電動工具1は、電池パックを電源として動作する。すなわち、電池パックは、駆動部8を駆動する電流を供給する電源である。電池パックは、電動工具1の構成要素ではない。ただし、電動工具1は、電池パックを備えていてもよい。電池パックは、複数の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を直列接続して構成された組電池と、組電池を収容したケースと、を備えている。
【0032】
(1-2-3)駆動部
駆動部8は、図1に示すように、第2部位72の後部に収容されている。駆動部8は、回転軸811及び永久磁石を有する回転子81と、コイルを有する固定子82と、を含んでいる。永久磁石とコイルとの電磁的相互作用により、回転子81は、固定子82に対して回転する。
【0033】
また、駆動部8は、サーボモータである。駆動部8のトルク及び回転速度は、制御部91(サーボドライバ)による制御に応じて変化する。より詳細には、制御部91は、駆動部8のトルク及び回転速度を目標値に近づけるように制御するフィードバック制御により駆動部8の動作を制御している。
【0034】
(1-2-4)駆動軸
駆動軸3は、遊星歯車機構92を介して、回転軸811と接続されている。その結果、駆動軸3は、駆動部8の回転軸811に連動して、回転する。すなわち、駆動軸3は、駆動部8により回転する。
【0035】
遊星歯車機構92は、駆動部8の回転軸811の回転速度とトルクとを、ねじ回し動作に必要な回転速度とトルクとに変換する。遊星歯車機構92は、減速装置である。駆動部8の回転軸811のトルクは、遊星歯車機構92を介して、駆動軸3に伝達される。
【0036】
(1-2-5)伝達機構
伝達機構4は、図1に示すように、ハウジング7の第3部位73に収容されている。実施形態1の伝達機構4は、インパクト機構を有している。すなわち、実施形態1の電動工具1は、インパクト機構によるインパクト動作を行いながら締付作業を行う、電動式のインパクト電動工具である。インパクト機構は、インパクト動作において、駆動部8の動力に基づいて打撃力を発生させ、その打撃力は先端工具B1に作用する。
【0037】
実施形態1の伝達機構4は、図1に示すように、ハンマ41と、アンビル42と、弾性部材43と、2つの球体(第1球体)47と、を更に有する。駆動軸3に伝達されたトルクは、ハンマ41に伝達される。これにより、ハンマ41が回転する。ハンマ41のトルクは、アンビル42に伝達される。これにより、アンビル42が回転する。
【0038】
ハンマ41は、アンビル42に対して移動し、駆動部8から動力を得てアンビル42に打撃力を加える。ハンマ41は、図6に示すように、ハンマ本体410と、複数(ここでは2つ)ハンマ爪411と、を有する。ハンマ本体410の形状は、円柱状である。ハンマ41は、ハンマ本体410において、複数のハンマ爪411が設けられる。複数のハンマ爪411は、ハンマ本体410のうちアンビル42側の面から突出している。複数のハンマ爪411は、ハンマ本体410の周方向において略等間隔で配置されている。ハンマ41の前側から見て、複数のハンマ爪411の各々の形状は、扇状である。
【0039】
ハンマ本体410は、図1に示すように、駆動軸3が挿通する貫通孔412を有している。より詳細には、貫通孔412は、駆動軸3の軸方向に移動可能、かつ、回転方向に回転可能に駆動軸3の外周面に嵌め合わされる。すなわち、ハンマ41は、駆動軸3の外周面に回転及び前後進可能に嵌め合わされる。
【0040】
ハンマ本体410は、貫通孔412の内周面に、2つの溝部413を有している。駆動軸3は、その外周面に、2つの溝部31を有している。2つの溝部31は、つながっていてもよい。2つの溝部413と2つの溝部31との間には、2つの第1球体47が挟まれている。2つの溝部413、2つの溝部31、及び2つの第1球体47は、カム機構を構成している。ハンマ41は、溝部413及び溝部31において2つの第1球体47が移動しながら、駆動軸3に対して駆動軸3の軸方向(前後方向)に移動可能であり、かつ、駆動軸3に対して回転可能である。ハンマ41が駆動軸3の軸方向に沿ってアンビル42に近づく向き又はアンビル42から遠ざかる向きに移動するのに伴って、ハンマ41は駆動軸3に対して回転する。
【0041】
アンビル42は、出力軸2と機械的に接続されている。実施形態1では、アンビル42は、図1及び図6に示すように、出力軸2と一体に形成されている。アンビル42は、出力軸2と共に回転する。アンビル42は、図6に示すように、アンビル本体420と、複数(2つ)のアンビル爪421と、を有する。アンビル本体420の形状は、円環状である。アンビル本体420は、前後方向においてハンマ本体410と対向している。複数のアンビル爪421は、アンビル本体420からアンビル本体420の径方向に突出している。複数のアンビル爪421の個数は、複数のハンマ爪411の個数と一致する。複数のアンビル爪421は、複数のハンマ爪411と係合可能である。
【0042】
インパクト機構がインパクト動作を行っていない場合には、駆動軸3の回転方向において複数のハンマ爪411と複数のアンビル爪421とが接しながら、ハンマ41とアンビル42とが一体に回転する。そのため、このとき、駆動軸3と、ハンマ41と、アンビル42と、出力軸2とが一体に回転する。
【0043】
弾性部材43は、図1に示すように、ハンマ41と遊星歯車機構92との間に挟まれている。本実施形態の弾性部材43は、円錐コイルばねである。伝達機構4は、ハンマ41と弾性部材43との間に挟まれた複数(図1では2つ)の球体(第2球体)48と、リング49と、を更に有する。これにより、ハンマ41は、弾性部材43に対して回転可能となっている。ハンマ41は、出力軸2の軸方向D1に沿った方向において、出力軸2に向かう向き(前向き)の力を弾性部材43から受けている。
【0044】
以下では、出力軸2の軸方向D1においてハンマ41が出力軸2に向かう向きに移動することを、「ハンマ41が前進する」と称する。また、以下では、出力軸2の軸方向D1においてハンマ41が出力軸2から遠ざかる向きに移動することを、「ハンマ41が後退する」と称す。
【0045】
インパクト機構は、出力軸2に加えられるトルク(以下、負荷トルクと称す)の大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。インパクト動作は、ハンマ41からアンビル42に打撃力を加える動作である。本実施形態では、トルク条件は、負荷トルクが所定値以上となることである。すなわち、負荷トルクが大きくなってくると、ハンマ41とアンビル42との間で発生する力のうち、ハンマ41を後退させる向きの分力も大きくなってくる。負荷トルクが所定値以上となると、ハンマ41は、弾性部材43を圧縮させながら後退する。そして、ハンマ41が後退することにより、複数のハンマ爪411が複数のアンビル爪421を乗り越えつつ、ハンマ41が回転する。その後、ハンマ41が弾性部材43からの復帰力を受けて前進する。そして、駆動軸3が略半回転すると、複数のハンマ爪411が複数のアンビル爪421の側面に衝突する。インパクト機構では、駆動軸3が略半回転するごとに複数のハンマ爪411が複数のアンビル爪421に衝突する。つまり、駆動軸3が略半回転するごとにハンマ41がアンビル42に打撃力(回転打撃力)を加える。
【0046】
このように、インパクト機構では、ハンマ41とアンビル42との衝突が繰り返し発生する。この衝突によるトルクにより、衝突が無い場合と比較して、締付部品を強力に締め付けることができる。
【0047】
(1-2-6)出力軸
出力軸2の形状は、図6に示すように、円柱状である。出力軸2の軸方向D1は、前後方向である。出力軸2は、アンビル本体420から前方に突出している。
【0048】
出力軸2は、第1部位の貫通孔713と、第3部位73の筒部732と、を挿通する。出力軸2の前側の部分は、第1部位の貫通孔713から突出している。すなわち、出力軸2の前側の部分は、ハウジング7の外部に露出している。
【0049】
出力軸2は、図1に示すように、先端工具B1を保持する保持部21を有する。保持部21は、第1部位の貫通孔713から突出している出力軸2の端部に設けられる。すなわち、保持部21は、出力軸2の前側の端部に設けられる。出力軸2は、駆動部8によって先端工具B1と共に回転する。
【0050】
本実施形態では、保持部21は、チャックを介して先端工具B1(図1及び図2参照)が着脱可能に設けられている。なお、保持部21は、先端工具B1が着脱可能に直接設けられていてもよい。また、保持部21に先端工具B1が一体に形成されていてもよい。先端工具B1は、例えば、ドライバビットである。先端工具B1が締付部品と嵌合した状態で回転することにより、締付部品を締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。
【0051】
(1-2-7)軸受
複数の軸受け5は、出力軸2を回転可能に支持する。言い換えれば、複数の軸受け5は、出力軸2を軸支する。より詳細には、複数の軸受け5は、図5に示すように、ハウジング7の筒部732と出力軸2との間に嵌ることによって、出力軸2を回転可能に支持する。
【0052】
実施形態1の軸受け5は、2個である。2個の軸受け5は、ハウジング7の筒部732の内側において、出力軸の軸方向D1(前後方向)に並んで配置される。実施形態1において、前側の軸受け5は玉軸受け51であり、後ろ側の軸受け5は滑り軸受け52である。玉軸受け51は、凸部76よりも前側の筒部732の内面と出力軸2との間に配置される。一方、滑り軸受け52は、凸部76よりも後ろ側の筒部732の内面と出力軸2との間に配置される。
【0053】
玉軸受け51は、図5に示すように、内輪511と、外輪512と、複数の球体513と、を有する。内輪511及び外輪512は、円環状の部材である。内輪511は、外輪512の内側に設けられる。すなわち、内輪511の外径は、外輪512の内径よりも小さく形成されている。
【0054】
また、内輪511の内径は、出力軸2の外径と略同じ、又は、出力軸2の外径よりも僅かに大きく形成されている。一方、外輪512の外径は、凸部76よりも前側の筒部732の内径と略同じ、又は、凸部76よりも前側の筒部732の内径よりも僅かに小さく形成されている。
【0055】
内輪511の外側には、溝部5111が周方向に沿って形成される。同様に、外輪512の内側には、溝部5121が周方向に沿って形成される。複数の球体513は、内輪511の溝部5111と外輪512の溝部5121とによって、等間隔で挟み込まれている。
【0056】
以上より、出力軸2が回転すると、内輪511は、出力軸2と一体になって回転し、複数の球体513は、内輪511の溝部5111と外輪512の溝部5121との間を転動する。一方、出力軸2が回転しても、外輪512は、回転せず、ハウジング7の筒部732に対して固定されている。すなわち、出力軸2が回転すると、内輪511は、外輪512に対して相対的に回転する。
【0057】
滑り軸受け52は、1つの円環状の部材で形成される。滑り軸受け52の内径は、出力軸2の外径と略同じ、又は、出力軸2の外径よりも僅かに大きく形成されている。一方、滑り軸受け52の外径は、凸部76よりも後ろ側の筒部732の内径と略同じ、又は、凸部76よりも後ろ側の筒部732の内径よりも僅かに小さく形成されている。滑り軸受け52と出力軸2との間には、グリス又は潤滑油等の潤滑剤が塗布されている。出力軸2が回転しても、滑り軸受け52は回転せず、ハウジング7の筒部732に対して固定されている。
【0058】
(1-2-8)シール部材
シール部材6は、円板状の板部材である。シール部材6は、図1に示すように、出力軸2が挿通する貫通孔61を有する。すなわち、シール部材6の形状は、図3及び図4に示すように、円環状である。シール部材6の内径は、出力軸2の外径と略同じに形成されている。そのため、シール部材6の貫通孔61の内周面610は、出力軸2の外周面20に接する。一方、シール部材6の外径は、凸部76の内径よりも僅かに小さく形成されている。そのため、シール部材6とハウジング7の凸部76との間には隙間が設けられる。
【0059】
実施形態1のシール部材6は、吸油性を有する吸油性材料によって形成される。ここでいう「吸油性」とは、グリス又は潤滑油等の油を吸い取る性質である。吸油性材料は、一例として、フェルトである。フェルトで形成されているシール部材6は、シール部材6を通過しようとする異物を絡め取る機能を有する。なお、シール部材6の吸油性材料は、フェルトに限定されず、不織布、紙、織物、編物であってもよい。
【0060】
シール部材6は、複数の軸受け5のうち隣接する2つの軸受け5に挟まれた空間のうち、少なくとも1つの空間において設けられる。実施形態1では、シール部材6は、図1に示すように、玉軸受け51と滑り軸受け52とに挟まれた空間において、設けられる。より詳細には、シール部材6は、図1に示すように、玉軸受け51と滑り軸受け52とに挟まれた空間において、貫通孔61の内周面610が出力軸2の外周面20と接するように設けられる。そのため、実施形態1のシール部材6は、出力軸2と一体となって回転する。なお、シール部材6は、出力軸2と一体となって回転せず、ハウジング7に対して固定されていてもよい。
【0061】
実施形態1では、図5に示すように、軸方向D1におけるシール部材6の寸法は、軸方向D1におけるハウジング7の凸部76の寸法よりも小さい。そのため、実施形態1のシール部材6は、玉軸受け51及び滑り軸受け52のそれぞれとの間に隙間を有して設けられる。すなわち、実施形態1では、シール部材6は、玉軸受け51及び滑り軸受け52によって軸方向D1に沿って圧縮されない。そのため、フェルト部材によって形成されたシール部材6は、シール部材6を通過しようとする潤滑剤を効率よく吸い取り、又は、シール部材6を通過しようとする異物を効率よく絡め取ることができるという利点がある。
【0062】
シール部材6は、ハウジング7の外部に存在する異物がハウジング7の内部へ侵入することを抑制する。ここでいう「異物」とは、例えば、鉄粉等の粉塵、又は雨水等の液体である。この構成によると、異物によって電動工具1の故障及び不調が生じる可能性を軽減できるという利点がある。
【0063】
シール部材6は、ハウジング7の内部に存在する潤滑剤がハウジング7の外部へ漏れ出すことを抑制する。ここでいう「潤滑剤」は、グリス又は潤滑油等であり、滑り軸受け52と出力軸2との間に塗布される。また、「潤滑剤」は、滑り軸受け52と出力軸2との間に塗布されるものに限定されず、伝達機構4又は駆動部8に塗布されるものであってもよい。すなわち、「潤滑剤」は、ハウジング7の内部において塗布される箇所は限定されない。この構成によると、締付対象又は締付部品が潤滑剤によって汚れる可能性を軽減できるという利点がある。
【0064】
(1-2-9)操作部
図1及び図2に示すように、操作部93は、グリップ部74から突出している。操作部93は、駆動部8の回転軸811の回転を制御するための操作を受け付ける。操作部93を引く操作により、駆動部8のオンオフを切替可能である。また、操作部93を引く操作の引込み量で、回転軸の回転速度を調整可能である。上記引込み量が大きいほど、回転軸の回転速度が速くなる。
【0065】
(1-2-10)制御部
制御部91は、操作部93を引く操作の引込み量に応じて、駆動部8の回転軸811を回転又は停止させ、また、回転軸の回転速度を制御する。
【0066】
制御部91は、例えば、マイクロコントローラを含む。制御部91は、回転軸811の回転速度を変化させることにより、出力軸2及び先端工具B1の回転速度を変化させることができる。制御部91は、例えば、駆動部8に供給する電力を変化させることで、回転軸811の回転速度を変化させる。
【0067】
(1-3)変形例
以下、上述の実施形態1の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0068】
上述の実施形態1では、前側の軸受け5は玉軸受け51であり、後ろ側の軸受け5は滑り軸受け52である。しかし、2つの軸受け5の両方が、玉軸受け51であってもよいし、滑り軸受け52であってもよい。
【0069】
上述の実施形態1では、シール部材6は、フェルトで形成されているため、吸油性と、シール部材6を通過しようとする異物を絡め取る機能と、の両方を有する。しかし、シール部材6は、吸油性のみを有していてもよく、異物を絡め取る機能のみを有していてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態1では、シール部材6は、玉軸受け51及び滑り軸受け52のそれぞれとの間に隙間を有して設けられる。しかし、シール部材6は、玉軸受け51及び滑り軸受け52の一方との間に隙間を有し、玉軸受け51及び滑り軸受け52のもう一方と接触して設けられていてもよい。すなわち、シール部材6は、玉軸受け51及び滑り軸受け52の少なくとも一方との間に隙間を有して設けられていてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態1では、シール部材6は、玉軸受け51及び滑り軸受け52によって軸方向D1に沿って圧縮されないが、玉軸受け51及び滑り軸受け52によって軸方向D1に沿って圧縮されていてもよい。すなわち、シール部材6は、玉軸受け51及び滑り軸受け52の両方に接触していてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態1では、シール部材6の外径は、凸部76の内径よりも僅かに小さく形成されている。しかし、シール部材6の外径は、凸部76の内径と略同じに形成されていてもよい。すなわち、シール部材6は、ハウジング7の凸部76と接していてもよい。
【0073】
上述の実施形態1では、ハウジング7の第1部位71と第3部位73とが別個の部材であるが、別個の部材であることは、必須ではない。第1部位71と第3部位73とが単一の部材から形成されていてもよい。
【0074】
(2)実施形態2
(2-1)概要
以下、実施形態2に係る電動工具1aについて、図7を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
実施形態2の電動工具1aでは、シール部材6aがゴム材料によって形成されるという点で実施形態1の電動工具1と異なる。
【0076】
(2-2)詳細
実施形態2のシール部材6aは、ゴム材料によって形成される。この構成によると、シール部材6aは、ハウジング7の筒部732と出力軸2との間を封止することができるという効果を奏する。そのため、シール部材6aは、ハウジング7の内部に存在する潤滑剤がハウジング7の外部へ漏れ出すこと、及び、ハウジング7の外部に存在する異物がハウジング7の内部へ侵入することを抑制することができるという利点がある。本開示でいう「ゴム材料」とは、力を加えると力を加えた方向に沿って変形し、力を取り去ると力を加える前の形状に戻る性質(弾性)を有する材料である。言い換えれば、「ゴム材料」は弾性材料である。
【0077】
実施形態2のシール部材6aは、実施形態1のシール部材6と同様に、出力軸2が挿通する貫通孔61を有する円板状の板部材である。すなわち、シール部材6aの形状は、円環状である。また、シール部材6aの内径は、出力軸2の外径と略同じに形成されている。そのため、シール部材6aの貫通孔61の内周面610は、出力軸2の外周面20に接する。一方、シール部材6aの外径は、凸部76の内径よりも僅かに小さく形成されている。そのため、シール部材6aとハウジング7の凸部76との間には隙間が設けられる。
【0078】
実施形態2では、軸方向D1におけるシール部材6aの寸法は、軸方向D1における凸部76の寸法以上である。そのため、シール部材6aは、隣接する2つの軸受け5のそれぞれに接触している。具体的には、実施形態2のシール部材6aは、図7に示すように、玉軸受け51及び滑り軸受け52のそれぞれに接触する。すなわち、シール部材6aは、軸方向D1に沿って、玉軸受け51及び滑り軸受け52に挟持されている。玉軸受け51及び滑り軸受け52に挟持されている状態において、シール部材6aは、軸方向D1に沿って圧縮される。より詳細には、玉軸受け51及び滑り軸受け52に挟持されている状態において、軸方向D1におけるシール部材6aの寸法が軸方向D1における凸部76の寸法と略同じになるように、シール部材6aは、軸方向D1に沿って圧縮される。この構成によると、シール部材6aは、ハウジング7の筒部732と出力軸2との間をより封止することができるという効果を奏する。そのため、シール部材6aは、ハウジング7の内部に存在する潤滑剤がハウジング7の外部へ漏れ出すこと、及び、ハウジング7の外部に存在する異物がハウジング7の内部へ侵入することをより抑制することができるという利点がある。
【0079】
(2-3)変形例
以下、上述の実施形態2の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0080】
シール部材6aは、出力軸2と一体となって回転してもよいし、出力軸2と一体となって回転せずハウジング7に対して固定されていてもよい。
【0081】
上述の実施形態2では、実施形態1と同様に、図6に示すように、前側の軸受け5は玉軸受け51であり、後ろ側の軸受け5は滑り軸受け52である。しかし、2つの軸受け5の両方が、玉軸受け51であってもよいし、滑り軸受け52であってもよい。2つの軸受け5の両方が玉軸受け51である場合、シール部材6aは、出力軸2と一体となって回転することが望ましい。一方、2つの軸受け5の両方が滑り軸受け52である場合、シール部材6aは、出力軸2と一体となって回転せずハウジング7に対して固定されていることが望ましい。
【0082】
(まとめ)
実施形態に係る第1の態様の電動工具(1、1a)は、出力軸(2)と、駆動軸(3)と、伝達機構(4)と、複数の軸受け(5)と、シール部材(6、6a)と、を備える。出力軸(2)は、先端工具(B1)を保持する保持部(21)を有する。駆動軸(3)は、駆動部により回転する。伝達機構(4)は、駆動軸(3)と出力軸(2)との間に設けられ、駆動軸(3)の回転を出力軸(2)に伝達する。複数の軸受け(5)は、出力軸(2)の軸方向(D1)に並んで配置され、出力軸(2)を回転可能に支持する。シール部材(6、6a)は、出力軸(2)が挿通する貫通孔(61)を有する。シール部材(6、6a)は、複数の軸受け(5)のうち隣接する2つの軸受け(5)に挟まれた空間の少なくとも1つにおいて、貫通孔(61)の内周面(610)が出力軸(2)の外周面(20)と接するように設けられる。
【0083】
この態様によれば、シール部材(6、6a)の耐久性が高い、という利点がある。
【0084】
実施形態に係る第2の態様の電動工具(1、1a)は、第1の態様において、出力軸(2)の少なくとも一部を収容するハウジング(7)を更に備える。ハウジング(7)は、複数の軸受け(5)を支持する。
【0085】
この態様によれば、出力軸(2)によるシール部材(6、6a)の摩耗をより抑制できる、という利点がある。
【0086】
実施形態に係る第3の態様の電動工具(1、1a)では、第2の態様において、シール部材(6、6a)は、ハウジング(7)の外部に存在する異物がハウジング(7)の内部へ侵入することを抑制する。
【0087】
この態様によれば、異物によって電動工具(1、1a)の故障及び不調が生じる可能性を軽減できる、という利点がある。
【0088】
実施形態に係る第4の態様の電動工具(1、1a)では、第2の態様において、シール部材(6、6a)は、ハウジング(7)の内部に存在する潤滑剤がハウジング(7)の外部へ漏れ出すことを抑制する。
【0089】
この態様によれば、締付対象又は締付部品が潤滑剤によって汚れる可能性を軽減できる、という利点がある。
【0090】
実施形態に係る第5の態様の電動工具(1、1a)では、第1~第4のいずれかの態様において、伝達機構(4)は、ハンマ(41)と、アンビル(42)と、を有する。ハンマ(41)は、駆動軸(3)の外周面(20)に回転及び前後進可能に嵌め合わされ、複数のハンマ爪(411)が設けられる。アンビル(42)は、複数のハンマ爪(411)と係合可能である複数のアンビル爪(421)を具備し、出力軸(2)と機械的に接続されている。
【0091】
この態様によれば、インパクト電動工具のシール部材(6、6a)の摩耗を抑制できる、という利点がある。
【0092】
実施形態に係る第6の態様の電動工具(1)では、第1~第5のいずれかの態様において、シール部材(6)は、吸油性を有する吸油性材料によって形成される。
【0093】
この態様によれば、ハウジング(7)の内部に存在するグリス又は潤滑油等の油を吸い取ることができる、という利点がある。
【0094】
実施形態に係る第7の態様の電動工具(1)では、第6の態様において、吸油性材料は、フェルトである。
【0095】
この態様によれば、シール部材(6)を通過しようとする異物を絡め取ることができる、という利点がある。
【0096】
実施形態に係る第8の態様の電動工具(1)は、第7の態様において、出力軸(2)の少なくとも一部を収容するハウジング(7)を更に備える。ハウジング(7)は、シール部材(6)が設けられる少なくとも1つの空間に位置する凸部(76)を有する。
【0097】
この態様によれば、シール部材(6)を設けやすくなる、という利点がある。
【0098】
実施形態に係る第9の態様の電動工具(1)では、第8の態様において、軸方向(D1)におけるシール部材(6)の寸法は、軸方向(D1)における凸部(76)の寸法よりも小さい。
【0099】
この態様によれば、シール部材(6)は、油を効率よく吸い取り、又は、異物を効率よく絡め取ることができる、という利点がある。
【0100】
実施形態に係る第10の態様の電動工具(1a)では、第1~第5のいずれかの態様において、シール部材(6a)は、ゴム材料によって形成される。
【0101】
この態様によれば、シール部材(6a)がハウジング(7)と出力軸(2)との間を封止することができる、という利点がある。
【0102】
実施形態に係る第11の態様の電動工具(1a)は、第10の態様において、出力軸(2)の少なくとも一部を収容するハウジング(7)を更に備える。ハウジング(7)は、シール部材(6a)が設けられる少なくとも1つの空間に位置する凸部(76)を有する。
【0103】
この態様によれば、シール部材(6a)を設けやすくなる、という利点がある。
【0104】
実施形態に係る第12の態様の電動工具(1a)は、第11の態様において、軸方向(D1)におけるシール部材(6a)の寸法は、軸方向(D1)における凸部(76)の寸法以上である。
【0105】
この態様によれば、シール部材(6a)が、ハウジング(7)と出力軸(2)との間をより封止することができる、という利点がある。
【0106】
実施形態に係る第13の態様の電動工具(1a)は、第12の態様において、シール部材(6a)は、隣接する2つの軸受け(5)のそれぞれに接触している。
【0107】
この態様によれば、シール部材(6a)が、ハウジング(7)と出力軸(2)との間をより封止することができる、という利点がある。
【0108】
なお、上述の実施形態1及び実施形態2は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態1及び実施形態2に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0109】
1、1a 電動工具
2 出力軸
20 外周面
21 保持部
3 駆動軸
31 溝部
4 伝達機構
41 ハンマ
411 ハンマ爪
42 アンビル
421 アンビル爪
5 軸受け
51 玉軸受け
52 滑り軸受け
6、6a シール部材
61 貫通孔
610 内周面
7 ハウジング
76 凸部
B1 先端工具
D1 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7