(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155814
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】点灯装置及び非常用照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/25 20200101AFI20231016BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20231016BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20231016BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20231016BHJP
【FI】
H05B47/25
H05B47/175
H05B47/17
H05B47/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065395
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】石塚 哲也
(72)【発明者】
【氏名】劉 宗威
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA04
3K273PA05
3K273PA08
3K273QA35
3K273RA12
3K273SA08
3K273SA09
3K273SA32
3K273SA35
3K273SA48
3K273TA08
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA37
3K273TA40
3K273TA52
3K273TA62
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA29
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】本開示は、光源に流れる突入電流の抑制を図ることを課題とする。
【解決手段】点灯装置1は、常用点灯回路部10と、非常用点灯回路部11と、充電回路部12と、切替回路部13と、制御回路部14と、を備える。切替回路部13は、常用点灯回路部10からLED2への給電路W1を導通状態と遮断状態に切り替える。制御回路部14は、給電路W1を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えるように切替回路部13を制御する。切替回路部13は、給電路W1に挿入されるスイッチ素子131と、スイッチ素子131を駆動する駆動回路130と、を有する。駆動回路130は、スイッチ素子131をオフからオンに切り替える第1切替時間を、スイッチ素子131をオンからオフに切り替える第2切替時間よりも長くするようにスイッチ素子131を駆動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常用電源から供給される常用電力で光源を点灯させる常用点灯回路部と、
非常用電源から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる非常用点灯回路部と、
前記常用電力で前記非常用電源を充電する充電回路部と、
前記常用点灯回路部から前記光源への給電路を導通状態と遮断状態に切り替える切替回路部と、
前記給電路を前記導通状態と前記遮断状態に択一的に切り替えるように前記切替回路部を制御する制御回路部と、
を備え、
前記切替回路部は、
前記給電路に挿入されるスイッチ素子と、
前記スイッチ素子を駆動する駆動回路と、
を有し、
前記駆動回路は、前記スイッチ素子をオフからオンに切り替える第1切替時間を、前記スイッチ素子をオンからオフに切り替える第2切替時間よりも長くするように前記スイッチ素子を駆動する、
点灯装置。
【請求項2】
前記スイッチ素子は、インピーダンス可変素子であり、
前記駆動回路は、前記スイッチ素子のインピーダンスを増減させる、
請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記切替回路部は、前記スイッチ素子の制御端子に制御電圧を印加するためのキャパシタを更に有し、
前記駆動回路は、前記キャパシタに流れる電流を定電流化するように動作する、
請求項2記載の点灯装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記スイッチ素子が前記導通状態であるときに前記スイッチ素子を通して前記光源に流れる電流の大きさを、前記光源の定格電流の大きさを超えないように前記スイッチ素子を駆動する、
請求項3記載の点灯装置。
【請求項5】
前記制御回路部は、外部から消灯信号を受信した場合、前記充電回路部を動作させつつ前記切替回路部を制御して前記給電路を前記導通状態から前記遮断状態に切り替えさせ、外部から点灯信号を受信した場合、前記切替回路部を制御して前記給電路を前記遮断状態から前記導通状態に切り替えさせる、
請求項1-4のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記スイッチ素子は、電界効果トランジスタ又はバイポーラトランジスタである、
請求項1-4のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
請求項1-4のいずれか1項に記載の点灯装置と、
前記点灯装置によって点灯させられる前記光源と、
前記非常用電源と、
前記点灯装置、前記光源、及び前記非常用電源を収容する器体と、
を備える、
非常用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置及び非常用照明器具に関し、より詳細には、常用電源と非常用電源の2種類の電源から給電されて光源を点灯させる点灯装置、及び当該点灯装置を備える非常用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の電源装置(点灯装置)を例示する。特許文献1記載の電源装置(以下、従来例という。)は、誘導灯に用いられる。従来例は、絶縁型の第一電力変換回路と、充電回路と、第二電力変換回路と、を具備する。第一電力変換回路は、商用交流電源(常用電源)を入力とする。充電回路は、第一電力変換回路からの出力を変換し二次電池(非常用電源)を充電する。第二電力変換回路は、第一電力変換回路の出力側に接続され、商用交流電源の入力時及び非入力時のそれぞれにおいて光源に給電する。なお、第二電力変換回路は、少なくとも一つのスイッチング素子と、このスイッチング素子のスイッチングを制御する制御部である第二制御部と、を備えた電力変換回路(昇圧チョッパ回路)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、誘導灯に用いられる電源装置(点灯回路)は、原則として常時(商用交流電源が停電していないとき)及び非常時(商用交流電源が停電しているとき)のいずれの場合も光源を点灯させる必要があるが、例外的に光源を消灯させる場合がある。例えば、映画館の出入口に設置される誘導灯に用いられる電源装置は、映画の上映中に、充電回路に二次電池の充電を継続させつつ誘導灯の光源を消灯させる場合がある。
【0005】
上記従来例は、スイッチング電源回路(昇圧チョッパ回路)からなる第二電力変換回路を停止させても第一電力変換回路から光源への給電路が遮断されない。そのため、上記従来例では、充電回路に充電を継続させつつ光源を消灯させるために、第一電力変換回路から第二電力変換回路を介して光源に至る給電路を遮断するスイッチ素子が必要となる。
【0006】
しかしながら、光源を点灯させる際に第一電力変換回路が動作している状態でスイッチ素子がオフからオンに切り替えられると、第二電力変換回路が動作を開始する前に光源に過大な電流(突入電流)が流れてしまうという問題が生じる。
【0007】
本開示の目的は、光源に流れる突入電流の抑制を図ることができる点灯装置及び非常用照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る点灯装置は、常用点灯回路部と、非常用点灯回路部と、充電回路部と、切替回路部と、制御回路部と、を備える。前記常用点灯回路部は、常用電源から供給される常用電力で光源を点灯させる。前記非常用点灯回路部は、非常用電源から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる。前記充電回路部は、前記常用電力で前記非常用電源を充電する。前記切替回路部は、前記常用点灯回路部から前記光源への給電路を導通状態と遮断状態に切り替える。前記制御回路部は、前記給電路を前記導通状態と前記遮断状態に択一的に切り替えるように前記切替回路部を制御する。前記切替回路部は、前記給電路に挿入されるスイッチ素子と、前記スイッチ素子を駆動する駆動回路と、を有する。前記駆動回路は、前記スイッチ素子をオフからオンに切り替える第1切替時間を、前記スイッチ素子をオンからオフに切り替える第2切替時間よりも長くするように前記スイッチ素子を駆動する。
【0009】
本開示の一態様に係る非常用照明器具は、前記点灯装置と、前記点灯装置によって点灯させられる前記光源と、前記非常用電源と、前記点灯装置、前記光源、及び前記非常用電源を収容する器体と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の点灯装置及び非常用照明器具は、光源に流れる突入電流の抑制を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る非常用照明器具の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の非常用照明器具の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る点灯装置の回路図である。
【
図4】
図4は、同上の点灯装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態に係る点灯装置1及び非常用照明器具A1について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)概要
実施形態に係る点灯装置1は、常用点灯回路部10と、非常用点灯回路部11と、充電回路部12と、切替回路部13と、制御回路部14と、を備える(
図3参照)。常用点灯回路部10は、常用電源(商用交流電源P1)から供給される常用電力で光源(LED2)を点灯させる。非常用点灯回路部11は、非常用電源(電池ユニットB1)から供給される非常用電力でLED2を点灯させる。充電回路部12は、常用電力で電池ユニットB1を充電する。切替回路部13は、常用点灯回路部10からLED2への給電路W1を導通状態と遮断状態に切り替える。制御回路部14は、給電路W1を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えるように切替回路部13を制御する。切替回路部13は、給電路W1に挿入されるスイッチ素子131と、スイッチ素子131を駆動する駆動回路130と、を有する。
【0014】
駆動回路130は、スイッチ素子131をオフからオンに切り替える第1切替時間Tx1を、スイッチ素子131をオンからオフに切り替える第2切替時間Tx2よりも長くするようにスイッチ素子131を駆動する(
図4参照)。
【0015】
商用交流電源P1が停電していないとき、点灯装置1は、制御回路部14に切替回路部13を制御させて給電路W1を導通状態に切り替えて常用点灯回路部10にLED2を点灯(常用点灯)させつつ、充電回路部12に電池ユニットB1を充電させる。商用交流電源P1が停電しているとき、点灯装置1は、常用点灯回路部10と充電回路部12を停止させ、かつ、電池ユニットB1から供給される非常用電力で非常用点灯回路部11にLED2を点灯(非常用点灯)させる。その結果、点灯装置1は、商用交流電源P1が停電していないときと停電しているときの双方において、LED2を点灯させ続けることができる。
【0016】
ここで、実施形態に係る点灯装置1が非常用照明器具A1に用いられる場合、商用交流電源P1が停電していないときに充電回路部12を動作させつつLED2を消灯させたいという要望がある。なお、非常用照明器具の1種である誘導灯を消灯できる場合として、消防法施行規則第28条の3第4項第2号及びガイドラインに、「利用形態により特に暗さが必要である場所に設置する場合」として、映画館における上演時間中に誘導灯を消灯することが認められている。
【0017】
実施形態に係る点灯装置1は、給電路W1に挿入されたスイッチ素子131をオフさせるように制御回路部14に切替回路部13を制御させることにより、商用交流電源P1が停電していないときにLED2を消灯させることができる。また、切替回路部13の駆動回路130は、スイッチ素子131をオフからオンに切り替える第1切替時間Tx1を、スイッチ素子131をオンからオフに切り替える第2切替時間Tx2よりも長くするようにスイッチ素子131を駆動する(
図4参照)。
【0018】
しかして、実施形態に係る点灯装置1は、スイッチ素子131を瞬時にオフからオンに切り替える場合に比べて、給電路W1を通して常用点灯回路部10からLED2に流れる突入電流の抑制を図ることができる。
【0019】
実施形態に係る非常用照明器具A1は、実施形態に係る点灯装置1と、実施形態に係る点灯装置1によって点灯させられるLED2と、電池ユニットB1と、実施形態に係る点灯装置1、LED2、及び電池ユニットB1を収容する器体A10と、を備える。
【0020】
実施形態に係る非常用照明器具A1は、実施形態に係る点灯装置1を備えるので、給電路W1を通して常用点灯回路部10からLED2に流れる突入電流の抑制を図ることができる。
【0021】
(2)実施形態に係る非常用照明器具の詳細
実施形態に係る非常用照明器具A1(以下、非常用照明器具A1と略す。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する非常用照明器具A1は、事務所及び店舗などの建物の避難口又は避難口への通路に設置される避難口誘導灯である。ただし、実施形態に係る非常用照明器具は、避難口誘導灯に限定されず、例えば、建物内の階段室に設置される階段通路誘導灯、あるいは、室内の天井などに設置される非常灯などであっても構わない。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、
図1に矢印で示す上下、前後及び左右の各方向を、非常用照明器具A1の上下、前後及び左右の各方向と定義する。
【0022】
非常用照明器具A1は、実施形態に係る点灯装置1(以下、点灯装置1と略す。)、器体A10、光源ユニットA11、表示ブロックA12、電池ユニットB1などを備えている(
図1及び
図2参照)。
【0023】
器体A10は、合成樹脂材料により、前面に開口部を有する四角形の箱状に形成されている(
図2参照)。器体A10は、点灯装置1、電池ユニットB1、端子台90、取付板91などを収容している。
【0024】
取付板91は、金属材料によって板状に形成されている(
図2参照)。取付板91は、器体A10の内底面にねじ止めされる。点灯装置1と端子台90は、取付板91にねじ止めされて器体A10内に収容される。また、点灯装置1と端子台90は電気的に接続されている。端子台90は、器体A10の底面に設けられている電源穴96(
図2参照)から引き込まれる電源線と電気的に接続される。つまり、点灯装置1は、端子台90と電源線を通じて商用交流電源P1と電気的に接続される。
【0025】
電池ユニットB1は、取付板91に対して着脱可能に取り付けられる。なお、電池ユニットB1は、取付板91に取り付けられた状態で点灯装置1と電気的に接続される。
【0026】
表示ブロックA12は、表示パネル92と、導光板93と、保持体94と、を有する(
図2参照)。
【0027】
表示パネル92は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の平板状に形成されている。ただし、表示パネル92は、石英ガラスなどの合成樹脂以外の透光性を有する材料で形成されても構わない。表示パネル92の前面(表示面920)には、避難誘導のためのピクトグラム921が表示されている(
図1参照)。
【0028】
導光板93は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の平板状に形成されている。導光板93は、その前面を表示パネル92の後面と対向させるように表示パネル92の後方に配置される(
図2参照)。導光板93の上面(入射面930)に、光源ユニットA11から放射される光が入射される。入射面930から入射する光は、導光板93内を導光されて導光板93の前面から出射される。そして、導光板93の出射面から出射する光によって表示パネル92が照らされる。
【0029】
保持体94は、透光性を有しない合成樹脂材料により、前面と上面が開放された四角形の箱状(枠状)に形成されている。保持体94は、導光板93の前方に表示パネル92を配置するようにして表示パネル92と導光板93を保持している(
図2参照)。
【0030】
表示ブロックA12は、器体A10の開口部のうち、光源ユニットA11が取り付けられる上部を除いた残りの部分を覆うように器体A10に取り付けられる(
図1参照)。
【0031】
光源ユニットA11は、光源となるLED2(
図3参照)と、LED2から放射される光を導光する導光体と、LED2及び導光体を収容する筐体95と、を有している(
図2参照)。
【0032】
筐体95は、下面と後面が開放された長尺の箱状に形成されている。LED2は、基板に実装されて筐体95の長手方向の一端部(右端部)に収容される。導光体は、長尺の角柱状に形成され、長手方向の一端面(右端面)をLED2に対向させ、かつ、長手方向に沿った側面(下面)を筐体95の下面の開口部分に向けた状態で筐体95に収容される。なお、LED2が実装された基板の一部(以下、突片97と呼ぶ。)が筐体95の後面から突出している(
図2参照)。
【0033】
光源ユニットA11は、器体A10の前面上部に嵌め込むようにして器体A10に取り付けられる。このとき、器体A10の右上隅に設置されているコネクタ98に突片97が差込接続されることにより、光源ユニットA11(LED2)と点灯装置1がコネクタ98及び電線(不図示)を介して電気的に接続される。
【0034】
しかして、光源ユニットA11が器体A10に取り付けられた状態において、導光板93の入射面930と光源ユニットA11の出射口が上下方向に対向する。したがって、光源ユニットA11の出射口から出射する光のほぼ全部が、導光板93の入射面930から導光板93に入射する。導光板93に入射した光は、導光板93内を進行しながら保持体94の後面で全反射されて導光板93の出射面から前方へ出射して表示パネル92を照らすことができる。
【0035】
(3)実施形態に係る点灯装置の詳細
次に、
図3の回路図を参照して点灯装置1を詳細に説明する。
【0036】
点灯装置1は、常用点灯回路部10、非常用点灯回路部11、充電回路部12、切替回路部13、制御回路部14、などを備える。また、点灯装置1は、整流回路40、入力コンデンサ41、制御電源部42、停電検出部43、電流検出部44、電圧検出部45、などを更に備える。
【0037】
整流回路40は、ダイオードブリッジである。整流回路40は、商用交流電源P1から入力される交流電圧(例えば、周波数50Hz又は60Hz、実効値100Vの正弦波電圧)を全波整流する。整流回路40から出力される脈流電圧は、電解コンデンサからなる入力コンデンサ41によって平滑される。そして、入力コンデンサ41で平滑された直流電圧が常用点灯回路部10に入力される。
【0038】
(3-1)常用点灯回路部
常用点灯回路部10は、トランスT1、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、平滑コンデンサC1を含む、いわゆる絶縁型のフライバックコンバータを有する。
【0039】
トランスT1の1次巻線N11の第1端が入力コンデンサ41の高電位側の端子と電気的に接続され、1次巻線N11の第2端がスイッチング素子Q1のドレイン端子と電気的に接続される。スイッチング素子Q1は、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。スイッチング素子Q1のソース端子は入力コンデンサ41の低電位側の端子と電気的に接続される。また、スイッチング素子Q1のゲート端子は、コンバータ制御部30と電気的に接続される。
【0040】
トランスT1は、2つの2次巻線N21、N22を有している。一方の2次巻線N21の一端がダイオードD1のアノードと電気的に接続され、一方の2次巻線N21の他端が平滑コンデンサC1の低電位側の端子と電気的に接続される。また、平滑コンデンサC1の高電位側の端子とダイオードD1のカソードが電気的に接続される。さらに、平滑コンデンサC1の高電位側の端子は、給電路W1を介してLED2のアノードと電気的に接続される。また、平滑コンデンサC1の低電位側の端子は、電気的に直列接続された2つの検出抵抗R21、R22を介してLED2のカソードと電気的に接続される。
【0041】
コンバータ制御部30は、集積回路で構成される。コンバータ制御部30は、LED2に流れる電流を第1目標値に一致させるようにスイッチング素子Q1をPWM(パルス幅変調)制御する。ただし、コンバータ制御部30とスイッチング素子Q1が1つの集積回路で構成されても構わない。
【0042】
LED2に流れる電流は、電流検出部44で検出される。電流検出部44は、高電位側の検出抵抗R21の両端電圧を差動増幅することにより、LED2に流れる電流に比例した電圧(第1検出電圧Vx1)を出力する。
【0043】
第1検出電圧Vx1は、常用点灯回路部10に含まれるシャントレギュレータU1のリファレンス端子に入力される。シャントレギュレータU1のアノード端子は、平滑コンデンサC1の低電位側の端子と電気的に接続される。シャントレギュレータU1のカソード端子は、フォトカプラ31の低電位側の入力端子及び抵抗R2の一端と電気的に接続される。フォトカプラ31の高電位側の入力端子は、抵抗R2の他端及び抵抗R1の一端と電気的に接続される。抵抗R1の他端は、定電圧回路32に電気的に接続される。なお、フォトカプラ31の2つの入力端子間に接続されている抵抗R2は、シャントレギュレータU1に最小カソード電流を流す役割を担っている。
【0044】
しかして、カソード端子に流れ込むカソード電流が最小カソード電流以上のときにシャントレギュレータU1が導通してフォトカプラ31の発光ダイオードに順方向電流が流れる。発光ダイオードに流れる順方向電流は、第1検出電圧Vx1の電圧値(LED2に流れる電流の大きさ)に比例する。また、フォトカプラ31の出力電流(フォトトランジスタのコレクタ電流)は、発光ダイオードの順方向電流に比例する。
【0045】
ここで、フォトカプラ31の出力端子がコンバータ制御部30に電気的に接続されている。つまり、コンバータ制御部30は、LED2に流れる電流に比例した第1検出電圧Vx1をフォトカプラ31を介して取り込み、第1検出電圧Vx1を目標電圧に一致させるようにスイッチング素子Q1をフィードバック制御する。その結果、常用点灯回路部10は、LED2に流す電流を第1目標値に一致させることができる。
【0046】
(3-2)充電回路部
充電回路部12は、トランスT1、スイッチング素子Q1、ダイオードD2、平滑コンデンサC2を含む、いわゆる絶縁型のフライバックコンバータを有する。ただし、充電回路部12は、トランスT1の一部とスイッチング素子Q1を常用点灯回路部10と共用している。
【0047】
トランスT1の他方の2次巻線N22の一端がダイオードD2のアノードと電気的に接続され、2次巻線N22の他端が平滑コンデンサC2の低電位側の端子と電気的に接続される。また、平滑コンデンサC2の高電位側の端子とダイオードD2のカソードが電気的に接続される。さらに、平滑コンデンサC2の高電位側の端子は、定電圧回路32、定電流回路33、及び停電検出部43に電気的に接続される。また、平滑コンデンサC2の低電位側の端子は、2つの検出抵抗R21、R22を介してLED2のカソードと電気的に接続される。
【0048】
定電流回路33は、平滑コンデンサC2の両端電圧を電源として電池ユニットB1に一定の充電電流を流す。電池ユニットB1は、定電流回路33から供給される充電電流によって充電される。
【0049】
電圧検出部45は、常用点灯回路部10の出力電圧(平滑コンデンサC1の両端電圧)に比例した第2検出電圧Vx2を出力する。第2検出電圧Vx2は、シャントレギュレータU1のリファレンス端子に入力される。ただし、電圧検出部45は、常用点灯回路部10がLED2を点灯させている場合、第2検出電圧Vx2を第1検出電圧Vx1よりも低くするように構成されている。つまり、常用点灯回路部10がLED2を点灯させている場合、コンバータ制御部30は、第2検出電圧Vx2ではなく、第1検出電圧Vx1に応じてスイッチング素子Q1をPWM制御する。一方、LED2を消灯させつつ充電回路部12による電池ユニットB1の充電を継続する場合、第1検出電圧Vx1がゼロとなるので、コンバータ制御部30は、第2検出電圧Vx2に応じてスイッチング素子Q1をPWM制御する。
【0050】
(3-3)非常用点灯回路部
非常用点灯回路部11は、トランスとスイッチング素子を備えたフライバックコンバータと、スイッチング素子をスイッチング制御するコンバータ制御回路と、を有し、電池ユニットB1から供給される直流電圧を昇圧又は降圧して出力する。ただし、非常用点灯回路部11は、フライバックコンバータの代わりにフォワードコンバータを備えてもよい。
【0051】
非常用点灯回路部11の高電位側の出力端子がLED2のアノードと電気的に接続され、非常用点灯回路部11の低電位側の出力端子が検出抵抗R22の低電位側の端子と電気的に接続される。
【0052】
コンバータ制御回路は、LED2に流れる電流に比例した検出抵抗R22の両端電圧(第3検出電圧Vx3)を取り込み、LED2に流れる電流の大きさを第2目標値に一致させるようにスイッチング素子をフィードバック制御(PWM制御)する。ただし、非常用点灯回路部11の第2目標値は、常用点灯回路部10の第1目標値よりも小さい値である。
【0053】
(3-4)切替回路部
切替回路部13は、駆動回路130、スイッチ素子131、コンデンサ132、抵抗133、スイッチング素子134、ダイオードD3などを有する。
【0054】
スイッチ素子131は、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。スイッチ素子131のドレイン端子が常用点灯回路部10の高電位側の出力端(平滑コンデンサC1の高電位側の端子)と電気的に接続される。スイッチ素子131のソース端子がダイオードD3を介してLED2のアノードと電気的に接続される。つまり、スイッチ素子131は、給電路W1に挿入されており、給電路W1を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えることができる。
【0055】
コンデンサ132と抵抗133は、スイッチ素子131のドレイン端子とゲート端子の間に電気的に並列接続される。つまり、コンデンサ132の両端電圧がスイッチ素子131のドレイン端子とゲート端子の間に印加されるので、コンデンサ132の両端電圧が高くなるにつれてスイッチ素子131のドレイン-ソース間のインピーダンスが減少する。
【0056】
駆動回路130は、2つのトランジスタTR1、TR2と、2つの抵抗R11、R12と、を有する。2つのトランジスタTR1、TR2は、いずれもpnp型のバイポーラトランジスタである。一方のトランジスタTR1のエミッタは、スイッチ素子131のゲート端子と電気的に接続される。トランジスタTR1のコレクタは、他方のトランジスタTR2のベースと電気的に接続される。トランジスタTR1のベースは、トランジスタTR2のエミッタ及び抵抗R11の一端と電気的に接続される。抵抗R11の他端はスイッチ素子131のゲート端子と電気的に接続される。他方のトランジスタTR2のコレクタは、検出抵抗R22の低電位側の端子と電気的に接続される。
【0057】
上述のように構成される駆動回路130は、コンデンサ132又は抵抗133を通して一定の電流を流す定電流回路として機能する。
【0058】
スイッチング素子134は、npn型のバイポーラトランジスタである。スイッチング素子134のコレクタは抵抗R12を介してトランジスタTR1のコレクタ及びトランジスタTR2のベースと電気的に接続される。スイッチング素子134のエミッタは、トランジスタTR2のコレクタ及び検出抵抗R22の低電位の端子に電気的に接続される。スイッチング素子134のベースは、制御回路部14と電気的に接続される。つまり、スイッチング素子134は、後述するように制御回路部14によってオン・オフされる。スイッチング素子134がオンしている間は駆動回路130が動作してスイッチ素子131がオン状態(導通状態)に維持される。一方、スイッチング素子134がオフしている間は駆動回路130が停止してスイッチ素子131がオフ状態(遮断状態)に維持される。
【0059】
(3-5)制御回路部
制御回路部14は、マイクロコントローラを有している。制御回路部14は、制御電源部42から制御電圧Vccが供給されて動作する。制御電源部42は、3端子レギュレータ420を有している。制御電源部42は、商用交流電源P1が停電しておらず、充電回路部12が動作しているときは充電回路部12から給電されて制御電圧Vccを出力する。また、制御電源部42は、商用交流電源P1が停電しており、非常用点灯回路部11が動作しているときは非常用点灯回路部11から給電されて制御電圧Vccを出力する。
【0060】
制御回路部14は、停電検出部43から停電検出信号を受け取る。停電検出部43は、ツェナーダイオードZD1と抵抗R31を有する。ツェナーダイオードZD1のカソード端子が充電回路部12の高電位側の出力端(平滑コンデンサC2の高電位側の端子)と電気的に接続される。ツェナーダイオードZD1のアノードが抵抗R31を介して電池ユニットB1の負極と電気的に接続される。つまり、商用交流電源P1が停電しておらず、充電回路部12が動作している場合、ツェナーダイオードZD1が導通して抵抗R31の両端電圧がしきい値を超えるので、停電検出部43の出力電圧がハイレベルとなる。一方、商用交流電源P1が停電して充電回路部12が動作していない場合、ツェナーダイオードZD1が導通しないために抵抗R31の両端電圧がゼロとなるので、停電検出部43の出力電圧がローレベルとなる。
【0061】
制御回路部14は、停電検出部43の出力信号がハイレベルのときは商用交流電源P1が停電していないと判断して常用時の動作モードで動作する。一方、停電検出部43の出力信号がローレベルのとき、制御回路部14は商用交流電源P1が停電していると判断して非常時の動作モードで動作する。
【0062】
常用時の動作モードにおいて、制御回路部14は、コンバータ制御部30に指示して常用点灯回路部10と充電回路部12を動作させるとともに、スイッチング素子134をオンして切替回路部13を導通状態(スイッチ素子131をオン状態)に切り替える。なお、制御回路部14は、常用時の動作モードにおいて、非常用点灯回路部11を停止状態に維持する。しかして、常用点灯回路部10によってLED2が点灯(常用点灯)し、かつ、充電回路部12によって電池ユニットB1が充電される。
【0063】
非常時の動作モードにおいて、制御回路部14は、非常用点灯回路部11を動作させるとともに、スイッチング素子134をオフして切替回路部13を遮断状態(スイッチ素子131をオフ状態)に切り替える。なお、常用点灯回路部10と充電回路部12は、商用交流電源P1から給電が停止することで停止状態となる。しかして、非常用点灯回路部11によってLED2が点灯(非常点灯)する。
【0064】
ところで、制御回路部14は、常用時及び非常時の動作モードの他に、常時消灯の動作モードで動作する場合がある。制御回路部14は、常用時の動作モードにおいて、信号装置から消灯信号を受信した場合に常用時の動作モードから常時消灯の動作モードに移行する。なお、制御回路部14は、常時消灯の動作モードにおいて、信号装置から点灯信号を受信した場合に常時消灯の動作モードから常用時の動作モードに復帰する。
【0065】
常時消灯の動作モードにおいて、制御回路部14は、コンバータ制御部30に指示して常用点灯回路部10と充電回路部12を動作させるとともに、スイッチング素子134をオフして切替回路部13を遮断状態(スイッチ素子131をオフ状態)に切り替える。つまり、常用点灯回路部10と充電回路部12が1つのスイッチング素子Q1を共用しているため、充電回路部12を動作させると常用点灯回路部10も動作するが、切替回路部13が給電路W1を遮断状態に切り替えるため、常用点灯回路部10によってLED2が点灯させられることはない。また、制御回路部14は、非常用点灯回路部11を停止状態に維持するので、非常用点灯回路部11によってLED2が点灯させられることもない。しかして、制御回路部14が常時消灯の動作モードで動作する場合、電池ユニットB1の充電を継続しつつ、LED2を消灯させることができる。
【0066】
制御回路部14は、信号装置から点灯信号を受信することにより、常時消灯の動作モードから常用時の動作モードに復帰し、スイッチング素子134をオンする(
図4参照)。スイッチング素子134がオンすると駆動回路130が動作を開始してコンデンサ132を定電流で充電する。そのため、コンデンサ132の両端電圧、すなわち、スイッチ素子131のドレイン・ゲート電圧Vdeがほぼ一定の傾きで上昇する(
図4参照)。スイッチ素子131は、ドレイン・ゲート電圧Vdeの上昇に伴ってドレイン・ソース間の抵抗値(インピーダンス)を徐々に減少させながら、所定時間(第1切替時間Tx1)の経過時点でオン状態に移行する(
図4参照)。
【0067】
一方、制御回路部14が常用時の動作モードから常時消灯の動作モードに移行してスイッチング素子134をオフした場合、駆動回路130が停止することでコンデンサ132に電流が流れなくなる。その結果、コンデンサ132の充電電荷から抵抗133を通して放電されるため、スイッチ素子131のドレイン・ゲート電圧Vdeが短時間(第2切替時間Tx2)でゼロまで低下し、スイッチ素子131がオフ状態となる(
図4参照)。なお、第2切替時間Tx2の長さは、コンデンサ132の静電容量と抵抗133の抵抗値の積(時定数)によって決まる。
【0068】
しかして、切替回路部13の駆動回路130は、スイッチ素子131をオフからオンに切り替える第1切替時間Tx1を、スイッチ素子131をオンからオフに切り替える第2切替時間Tx2よりも長くするようにスイッチ素子131を駆動する(
図4参照)。そのため、切替回路部13がスイッチ素子131を瞬時にオフからオンに切り替える場合に比べて、LED2に流れる突入電流の抑制を図ることができる。
【0069】
(4)実施形態に係る点灯装置のその他の利点
点灯装置1において、スイッチ素子131は、インピーダンス可変素子(電界効果トランジスタ)であり、駆動回路130は、スイッチ素子131のインピーダンスを増減させている。つまり、切替回路部13が給電路W1を遮断状態から導通状態に切り替える際、スイッチ素子131のインピーダンスを徐々に減少させることによって、LED2に流れる電流がスイッチ素子131のインピーダンスの減少に応じて徐々に増加する。その結果、点灯装置1は、LED2に流す電流を確実かつ容易に調整することができる。
【0070】
また、切替回路部13は、スイッチ素子131の制御端子(ゲート端子)に制御電圧(ドレイン・ゲート電圧Vde)を印加するためのコンデンサ132を更に有している。そして、駆動回路130は、コンデンサ132に流れる電流を定電流化するように動作する。つまり、点灯装置1は、コンデンサ132に流れる電流を定電流化することでコンデンサ132の両端電圧、すなわち、ドレイン・ゲート電圧Vdeが上昇する時間を調節することができる。その結果、点灯装置1は、簡単な構成でLED2に流す電流を確実かつ容易に調整することができる。
【0071】
ところで、常用点灯時にLED2に流れる電流は、スイッチ素子131に流れる電流にほぼ等しい。そして、スイッチ素子131に流れる電流の大きさは、スイッチ素子131のドレイン・ゲート電圧Vde(コンデンサ132の両端電圧)によって決まる。したがって、駆動回路130は、スイッチ素子131が導通状態であるときにスイッチ素子131を通してLED2に流れる電流の大きさを、LED2の定格電流の大きさを超えないようにスイッチ素子131を駆動することが好ましい。これにより、点灯装置1は、LED2に定格を超える過大な電流が流れることを防ぐことができる。なお、スイッチ素子131に流れる電流の大きさは、コンデンサ132の容量、駆動回路130を構成する抵抗R11、R12の抵抗値などによって決まる。
【0072】
なお、点灯装置1は、電界効果トランジスタの代わりに、バイポーラトランジスタをスイッチ素子131に用いても構わない。スイッチ素子131に電界効果トランジスタ又はバイポーラトランジスタのいずれが用いられても製造コストの削減と信頼性の向上を図ることができる。
【0073】
(5)まとめ
本開示の第1の態様に係る点灯装置(1)は、常用点灯回路部(10)と、非常用点灯回路部(11)と、充電回路部(12)と、切替回路部(13)と、制御回路部(14)と、を備える。常用点灯回路部(10)は、常用電源(商用交流電源P1)から供給される常用電力で光源(LED2)を点灯させる。非常用点灯回路部(11)は、非常用電源(電池ユニットB1)から供給される非常用電力で光源を点灯させる。充電回路部(12)は、常用電力で非常用電源を充電する。切替回路部(13)は、常用点灯回路部(10)から光源への給電路(W1)を導通状態と遮断状態に切り替える。制御回路部(14)は、給電路(W1)を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えるように切替回路部(13)を制御する。切替回路部(13)は、給電路(W1)に挿入されるスイッチ素子(131)と、スイッチ素子(131)を駆動する駆動回路(130)と、を有する。駆動回路(130)は、スイッチ素子(131)をオフからオンに切り替える第1切替時間(Tx1)を、スイッチ素子(131)をオンからオフに切り替える第2切替時間(Tx2)よりも長くするようにスイッチ素子(131)を駆動する。
【0074】
第1の態様に係る点灯装置(1)は、切替回路部(13)がスイッチ素子(131)を瞬時にオフからオンに切り替える場合に比べて、光源に流れる突入電流の抑制を図ることができる。
【0075】
本開示の第2の態様に係る点灯装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る点灯装置(1)において、スイッチ素子(131)は、インピーダンス可変素子であることが好ましい。駆動回路(130)は、スイッチ素子(131)のインピーダンスを増減させることが好ましい。
【0076】
第2の態様に係る点灯装置(1)は、光源に流す電流を確実かつ容易に調整することができる。
【0077】
本開示の第3の態様に係る点灯装置(1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る点灯装置(1)において、切替回路部(13)は、スイッチ素子(131)の制御端子(ゲート端子)に制御電圧を印加するためのキャパシタ(コンデンサ132)を更に有することが好ましい。駆動回路(130)は、キャパシタに流れる電流を定電流化するように動作することが好ましい。
【0078】
第3の態様に係る点灯装置(1)は、簡単な構成で光源に流す電流を確実かつ容易に調整することができる。
【0079】
本開示の第4の態様に係る点灯装置(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る点灯装置(1)において、駆動回路(130)は、スイッチ素子(131)が導通状態であるときにスイッチ素子(131)を通して光源に流れる電流の大きさを、光源の定格電流の大きさを超えないようにスイッチ素子(131)を駆動することが好ましい。
【0080】
第4の態様に係る点灯装置(1)は、光源に定格を超える過大な電流が流れることを防ぐことができる。
【0081】
本開示の第5の態様に係る点灯装置(1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る点灯装置(1)において、制御回路部(14)は、外部から消灯信号を受信した場合、充電回路部(12)を動作させつつ切替回路部(13)を制御して給電路(W1)を導通状態から遮断状態に切り替えさせることが好ましい。制御回路部(14)は、外部から点灯信号を受信した場合、切替回路部(13)を制御して給電路(W1)を遮断状態から導通状態に切り替えさせることが好ましい。
【0082】
第5の態様に係る点灯装置(1)は、光源の点灯・消灯を遠隔制御することができる。
【0083】
本開示の第6の態様に係る点灯装置(1)は、第1-5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る点灯装置(1)において、スイッチ素子(131)は、電界効果トランジスタ又はバイポーラトランジスタであることが好ましい。
【0084】
第6の態様に係る点灯装置(1)は、スイッチ素子(131)として電界効果トランジスタ又はバイポーラトランジスタを用いることにより、製造コストの削減と信頼性の向上を図ることができる。
【0085】
本開示の第7の態様に係る非常用照明器具(A1)は、第1-第6のいずれかの態様に係る点灯装置(1)と、点灯装置(1)によって点灯させられる光源と、非常用電源と、点灯装置(1)、光源、及び非常用電源を収容する器体(A10)と、を備える。
【0086】
第7の態様に係る非常用照明器具(A1)は、光源に流れる突入電流の抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0087】
A1 非常用照明器具
A10 器体
B1 電池ユニット(非常用電源)
W1 給電路
P1 商用交流電源(常用電源)
1 点灯装置
2 LED(光源)
10 常用点灯回路部
11 非常用点灯回路部
12 充電回路部
13 切替回路部
14 制御回路部
130 駆動回路
131 スイッチ素子
132 コンデンサ(キャパシタ)
Tx1 第1切替時間
Tx2 第2切替時間
【手続補正書】
【提出日】2022-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
スイッチ素子131は、Pチャネル型の電界効果トランジスタである。スイッチ素子131のソース端子が常用点灯回路部10の高電位側の出力端(平滑コンデンサC1の高電位側の端子)と電気的に接続される。スイッチ素子131のドレイン端子がダイオードD3を介してLED2のアノードと電気的に接続される。つまり、スイッチ素子131は、給電路W1に挿入されており、給電路W1を導通状態と遮断状態に択一的に切り替えることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
コンデンサ132と抵抗133は、スイッチ素子131のソース端子とゲート端子の間に電気的に並列接続される。つまり、コンデンサ132の両端電圧がスイッチ素子131のソース端子とゲート端子の間に印加されるので、コンデンサ132の両端電圧が高くなるにつれてスイッチ素子131のドレイン-ソース間のインピーダンスが減少する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
制御回路部14は、信号装置から点灯信号を受信することにより、常時消灯の動作モードから常用時の動作モードに復帰し、スイッチング素子134をオンする(
図4参照)。スイッチング素子134がオンすると駆動回路130が動作を開始してコンデンサ132を定電流で充電する。そのため、コンデンサ132の両端電圧、すなわち、スイッチ素子131の
ソース・ゲート電圧Vdeがほぼ一定の傾きで上昇する(
図4参照)。スイッチ素子131は、
ソース・ゲート電圧Vdeの上昇に伴ってドレイン・ソース間の抵抗値(インピーダンス)を徐々に減少させながら、所定時間(第1切替時間Tx1)の経過時点でオン状態に移行する(
図4参照)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
一方、制御回路部14が常用時の動作モードから常時消灯の動作モードに移行してスイッチング素子134をオフした場合、駆動回路130が停止することでコンデンサ132に電流が流れなくなる。その結果、コンデンサ132の充電電荷から抵抗133を通して放電されるため、スイッチ素子131の
ソース・ゲート電圧Vdeが短時間(第2切替時間Tx2)でゼロまで低下し、スイッチ素子131がオフ状態となる(
図4参照)。なお、第2切替時間Tx2の長さは、コンデンサ132の静電容量と抵抗133の抵抗値の積(時定数)によって決まる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
また、切替回路部13は、スイッチ素子131の制御端子(ゲート端子)に制御電圧(ソース・ゲート電圧Vde)を印加するためのコンデンサ132を更に有している。そして、駆動回路130は、コンデンサ132に流れる電流を定電流化するように動作する。つまり、点灯装置1は、コンデンサ132に流れる電流を定電流化することでコンデンサ132の両端電圧、すなわち、ソース・ゲート電圧Vdeが上昇する時間を調節することができる。その結果、点灯装置1は、簡単な構成でLED2に流す電流を確実かつ容易に調整することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
ところで、常用点灯時にLED2に流れる電流は、スイッチ素子131に流れる電流にほぼ等しい。そして、スイッチ素子131に流れる電流の大きさは、スイッチ素子131のソース・ゲート電圧Vde(コンデンサ132の両端電圧)によって決まる。したがって、駆動回路130は、スイッチ素子131が導通状態であるときにスイッチ素子131を通してLED2に流れる電流の大きさを、LED2の定格電流の大きさを超えないようにスイッチ素子131を駆動することが好ましい。これにより、点灯装置1は、LED2に定格を超える過大な電流が流れることを防ぐことができる。なお、スイッチ素子131に流れる電流の大きさは、コンデンサ132の容量、駆動回路130を構成する抵抗R11、R12の抵抗値などによって決まる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】