(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155815
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
H01R 25/14 20060101AFI20231016BHJP
H01R 41/00 20060101ALI20231016BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20231016BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231016BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231016BHJP
H02G 3/02 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H01R25/14 Z
H01R41/00 G
H01R13/46 304F
H01R13/46 303E
F21V23/00 160
H02G3/04 050
H02G3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065396
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 紳一郎
【テーマコード(参考)】
3K014
5E087
5G357
【Fターム(参考)】
3K014BA00
5E087EE10
5E087MM09
5E087MM17
5E087PP02
5E087QQ03
5E087QQ05
5E087RR25
5G357CB01
5G357CC01
5G357CC02
5G357DA06
5G357DB01
5G357DC02
5G357DC04
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE05
5G357DE08
5G357DF02
5G357DF03
(57)【要約】
【課題】鉛直方向における複数の位置で複数の給電対象に対して給電可能な給電システムを提供する。
【解決手段】給電システム1は、給電部材2と、配線ダクト5と、支持部材7と、を備える。給電部材2は、床面100の上方に配置される。配線ダクト5は、長手方向に沿って開口部52が設けられた中空の柱状部材50、及び、柱状部材50の内側に柱状部材50の長手方向に沿って配置された導電部材を有する。配線ダクト5では、給電部材2から導電部材に給電されている。柱状部材50の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能である。支持部材7は、配線ダクト5の長手方向が鉛直方向に沿うように配線ダクトを支持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面の上方に配置される給電部材と、
長手方向に沿って開口部が設けられた中空の柱状部材、及び、前記柱状部材の内側に前記柱状部材の長手方向に沿って配置された導電部材を有し、前記給電部材から前記導電部材に給電され、前記柱状部材の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能な配線ダクトと、
前記配線ダクトの長手方向が鉛直方向に沿うように前記配線ダクトを支持する支持部材と、を備える、
給電システム。
【請求項2】
前記配線ダクトは第1配線ダクト、前記柱状部材は第1柱状部材、前記導電部材は第1導電部材であり、
前記給電部材は、長手方向に沿って開口部が設けられた中空の第2柱状部材、及び、前記第2柱状部材の内側に前記第2柱状部材の長手方向に沿って配置された第2導電部材を有し、前記第2柱状部材の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能な第2配線ダクトを含む、
請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記第2配線ダクトは交流電源の給電用であり、
前記第1配線ダクトは直流電源の給電用であり、
前記給電部材は、前記第2配線ダクトと、前記第2配線ダクトに取り付けられる電源ボックスと、を含み、
前記電源ボックスは、前記第2配線ダクトから供給される交流電圧を直流電圧に変換して前記導電部材に出力するAC/DCコンバータを内部に収容する、
請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記配線ダクトを収容する凹部が長手方向に沿って設けられた長尺のホルダ部材を更に備え、
前記支持部材は、前記配線ダクトを前記凹部に収容した前記ホルダ部材を支持する、
請求項1に記載の給電システム。
【請求項5】
前記ホルダ部材には、前記凹部から下向きに延び、前記配線ダクトの下方に位置する溝部が設けられている、
請求項4に記載の給電システム。
【請求項6】
前記配線ダクトに着脱自在に接続される配線器具を更に備える、
請求項1に記載の給電システム。
【請求項7】
前記配線ダクトに着脱自在に接続される電気機器を更に備える、
請求項1に記載の給電システム。
【請求項8】
前記支持部材が、前記配線ダクトが前記床面に対して起立した状態で前記配線ダクトの下部を支持するスタンド部材を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項9】
前記配線ダクトの上部を前記給電部材に連結する連結部材を更に備える、
請求項8に記載の給電システム。
【請求項10】
前記連結部材は、前記配線ダクトの上部と前記給電部材との間をつなぐワイヤを含む、
請求項9に記載の給電システム。
【請求項11】
前記ワイヤの長さを調整するための調整機構を更に備える、
請求項10に記載の給電システム。
【請求項12】
前記ワイヤの端部が前記配線ダクトの上部に磁力で接続され、
前記給電部材に設けられた第1コネクタと、前記配線ダクトの前記導電部材に電源ケーブルを介して電気的に接続される第2コネクタとが磁力で接続される、
請求項10に記載の給電システム。
【請求項13】
前記支持部材は、前記配線ダクトの上部を前記給電部材から吊り下げる吊り下げ部材を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項14】
前記配線ダクトの下部からワイヤを介して吊り下げられる重りを更に備える、
請求項13に記載の給電システム。
【請求項15】
前記重りは前記床面に接している、
請求項14に記載の給電システム。
【請求項16】
前記ワイヤの長さを調整するための調整機構を更に備える、
請求項14に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電システムに関する。より詳細には、本開示は、給電対象に給電するための給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、天井吊り下げ型情報コンセントを開示する。この天井吊り下げ型情報コンセントは、天井に配設される天井接続部と、接続対象機器(給電対象)に電力及び通信用信号を供給する混合コンセント部と、天井接続部と混合コンセント部とを接続するコード部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の天井吊り下げ型情報コンセントでは、天井接続部からコード部を介して吊り下げられた混合コンセント部の下面に電源コンセントが設けられているため、鉛直方向における複数の位置で給電対象に給電することができなかった。
【0005】
本開示の目的は、鉛直方向における複数の位置で複数の給電対象に対して給電可能な給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の給電システムは、給電部材と、配線ダクトと、支持部材と、を備える。前記給電部材は床面の上方に配置される。前記配線ダクトは、長手方向に沿って開口部が設けられた中空の柱状部材、及び、前記柱状部材の内側に前記柱状部材の長手方向に沿って配置された導電部材を有する。前記給電部材から前記導電部材に給電される。前記柱状部材の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能である。前記支持部材は、前記配線ダクトの長手方向が鉛直方向と沿うように前記配線ダクトを支持する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、鉛直方向における複数の位置で複数の給電対象に対して給電可能な給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る給電システムの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトと電源ボックスとの接続部分を示す正面図である。
【
図3】
図3は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトと電源ボックスとの接続部分を下側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトと電源ボックスとの接続部分を上側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトに配線器具が取り付けられた状態の斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例1に係る給電システムが有する第1配線ダクトと重りとの接続部分を示す正面図である。
【
図10】
図10は、変形例1に係る給電システムが有する第1配線ダクトと重りとが分離した状態を示す正面図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態2に係る給電システムの外観斜視図である。
【
図12】
図12は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトと電源ボックスとの接続部分を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトと重りとの接続部分を上側から見た斜視図である。
【
図14】
図14は、同上の給電システムが有する第1配線ダクトと重りとの接続部分を下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(1)概要
本実施形態の給電システム1は、
図1に示すように、給電部材2と、配線ダクト5と、支持部材7と、を備える。
【0011】
給電部材2は、床面100の上方に配置される。
【0012】
配線ダクト5は、
図1~
図4に示すように、長手方向に沿って開口部52が設けられた中空の柱状部材50、及び、柱状部材50の内側に柱状部材50の長手方向に沿って配置された導電部材54A,54B(
図7及び
図8参照)を有する。給電部材2から導電部材54A,54Bに給電される。柱状部材50の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能である。
【0013】
支持部材7は、配線ダクト5の長手方向が鉛直方向に沿うように配線ダクト5を支持する。
【0014】
ここにおいて、給電部材2は、床面100の上方に配置されており、例えば
図2に示すように天井200の下面に配置されているが、横壁から水平方向に突出するように設けられた棚板等の下面に設けられていてもよい。また、配線ダクト5の長手方向が鉛直方向に沿うように配線ダクト5を支持するとは、配線ダクト5の長手方向が鉛直方向と平行な状態で配線ダクト5が支持されることを言う。なお、鉛直方向と平行であるとは、配線ダクト5の長手方向が鉛直方向と完全に平行であることに限定されず、配線ダクト5の長手方向が鉛直方向に対して数度~十数度傾いている状態も含み得る。また、配線ダクト5に接続される給電対象は、例えば、電源コンセント等の配線器具A1、又は、センサを内蔵するセンサ機器或いは照明器具などの電気機器A2の少なくとも一方を含む。
【0015】
本実施形態の給電システム1では、配線ダクト5は支持部材7によって長手方向が鉛直方向に沿うように支持されている。この配線ダクト5は、柱状部材50の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能であるので、鉛直方向における複数の位置で複数の給電対象に対して給電可能な給電システム1を提供することができる。
【0016】
(2)詳細
以下、実施形態1に係る給電システム1について
図1~
図8を参照して詳しく説明する。なお、以下の説明では、
図1におけるX軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向(奥行き方向)、Z軸方向を上下方向(鉛直方向)と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Y軸方向の正の向きを前側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、給電システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印等は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0017】
(2.1)構成
本実施形態の給電システム1では、上記の配線ダクト5が第1配線ダクトであり、柱状部材50が第1柱状部材であり、導電部材54A,54Bが第1導電部材である。なお、以下の説明では配線ダクト5を第1配線ダクト5、柱状部材50を第1柱状部材50、導電部材54A,54Bを第1導電部材54A,54Bとそれぞれ表記する場合もある。
【0018】
また、給電部材2は、第2配線ダクト3を含んでいる。第2配線ダクト3は、
図3及び
図4に示すように、長手方向に沿って開口部32が設けられた中空の第2柱状部材30、及び、第2柱状部材30の内側に第2柱状部材30の長手方向に沿って配置された第2導電部材33,33を有している。第2配線ダクト3では、第2柱状部材30の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能である。本実施形態では、第2配線ダクト3に対して、給電対象である第1配線ダクト5が接続される。
図1には、第2配線ダクト3に1つの第1配線ダクト5が接続されているが、第2配線ダクト3に対して複数の第1配線ダクト5が接続されていてもよい。
【0019】
また、本実施形態の給電システム1では、第2配線ダクト3が交流電源の給電用であり、第1配線ダクト5が直流電源の給電用である。給電部材2は、上記の第2配線ダクト3と、第2配線ダクト3に取り付けられる電源ボックス4と、を含んでいる。電源ボックス4は、第2配線ダクト3から供給される交流電圧を直流電圧に変換して導電部材(第1導電部材54A,54B)に出力するAC/DCコンバータ41(
図2参照)を内部に収容している。
【0020】
また、本実施形態の給電システム1では、支持部材7がスタンド部材8を含んでいる。スタンド部材8は、配線ダクト(第1配線ダクト)5が床面100に対して起立した状態で、配線ダクト(第1配線ダクト)5の下部を支持する。つまり、本実施形態では、支持部材7によって配線ダクト(第1配線ダクト)5が床面100に対して起立した状態で支持されており、部屋の壁等から離れた状態で床面100に対して起立した状態で支持されている。
【0021】
また、本実施形態の給電システム1は、配線ダクト(第1配線ダクト)5を収容する凹部61が長手方向に沿って設けられた長尺のホルダ部材6を更に備えている。そのため、支持部材7は、配線ダクト(第1配線ダクト)5を凹部61(
図5参照)に収容したホルダ部材6を支持している。つまり、支持部材7は、ホルダ部材6を支持することによって、配線ダクト5を間接的に支持している。
【0022】
以上のように、本実施形態の給電システム1は、第2配線ダクト3及び電源ボックス4を含む給電部材2と、第1配線ダクト5と、ホルダ部材6と、支持部材7と、を備えている。なお、給電システム1は、第1配線ダクト5に着脱自在に接続される配線器具A1を更に備えてもよい。また、給電システム1は、第1配線ダクト5に着脱自在に接続される電気機器A2を更に備えてもよい。以下、給電システム1が備える各部の構成について図面を参照して説明を行う。
【0023】
(2.1.1)第2配線ダクト
第2配線ダクト3は、例えば、床面100の上方にある天井200の下面に取り付けられる。なお、第2配線ダクト3の取付位置は天井200の下面に限定されず、横壁から水平方向に突出するように設けられた棚板等でもよく、キャビネット等の什器の上部に設けられた庇状の部材等でもよい。
【0024】
第2配線ダクト3は、例えば金属材料により四角筒状に形成された第2柱状部材30を有している。
図1及び
図2に示す施工例では、第2配線ダクト3は、長手方向がX軸方向と平行になるように、天井200の下面に配置されている。
【0025】
第2柱状部材30の下面には長手方向(X軸方向)の全体に渡って開口部32が設けられている。
【0026】
第2柱状部材30のY軸方向において対向する2つの側壁31の内側面には、それぞれ、第2導電部材33が取り付けられている。第2導電部材33は絶縁部材を介して第2柱状部材30に取り付けられている。第2導電部材33は、第2柱状部材30の長手方向において、第2柱状部材30のほぼ全体に渡って設けられている。第2配線ダクト3が備える2つの第2導電部材33は、例えば、電源ケーブル等を介して商用交流電源(例えばAC100V/200V、50Hz/60Hz)に接続されており、2つの第2導電部材33には交流電圧が印加されている。
【0027】
また、第2柱状部材30の2つの側壁31の内側面には、第2導電部材33の取付位置と下壁との間に係止溝34がそれぞれ設けられている。係止溝34は、第2柱状部材30の長手方向の全体に渡って設けられている。
【0028】
(2.1.2)電源ボックス
電源ボックス4は、
図2~
図4に示すように、第2配線ダクト3に取り付けられる直方体状のケース40を有している。
【0029】
ケース40の上部には、第2配線ダクト3に対してケース40を着脱可能に接続するためのプラグが設けられている。ユーザは、このプラグを第2配線ダクト3の所望の位置に接続することによって、ケース40を第2配線ダクト3に取り付けることができる。
【0030】
ケース40の内部には、AC/DCコンバータ41が収容されている。ケース40のプラグが第2配線ダクト3に接続されると、AC/DCコンバータ41が、第2配線ダクト3の2つの第2導電部材33に電気的に接続される。AC/DCコンバータ41は、2つの第2導電部材33を介して入力される交流電圧を、例えばDC24Vの直流電圧に変換して、電源ボックス4に接続された第1配線ダクト5に出力する。なお、AC/DCコンバータ41の出力電圧の電圧値はDC24Vに限定されず、DC48Vでもよいし、DC12Vでもよく、適宜変更が可能である。
【0031】
また、ケース40の下面には、給電用の第1コネクタCN1と、ホルダ部材6の上部をケース40に連結する連結部材6AであるワイヤW1を保持する保持金具42とが設けられている。つまり、給電システム1は、ホルダ部材6の上部をケース40に連結する連結部材6Aを更に備えている。言い換えると、給電システム1は、配線ダクト(第1配線ダクト)5の上部をケース40に連結する連結部材6Aを更に備えている。また、本実施形態では、連結部材6Aが、配線ダクト5の上部(本実施形態では、ホルダ部材6の上部)と、給電部材2との間をつなぐワイヤW1を含んでいる。なお、本実施形態では、連結部材6Aが金属のワイヤW1で構成されているが、連結部材6Aは鎖、或いは、FRP(繊維強化プラスチック)等の合成繊維で形成されたロープ等でもよい。
【0032】
第1コネクタCN1には、ホルダ部材6の上部から引き出された電源ケーブルCB1の先端に設けられた第2コネクタCN2が着脱可能に接続される。第1配線ダクト5の上端部分には、第1配線ダクト5が備える2つの第1導電部材54A,54Bにそれぞれ電気的に接続される2つの接触端子を有するフィードインボックス56が取り付けられる。電源ケーブルCB1は、フィードインボックス56が有する2つの接触端子にそれぞれ電気的に接続される2本の電線を有しており、電源ケーブルCB1の先端に第2コネクタCN2が接続されている。第2コネクタCN2を第1コネクタCN1に接続すると、AC/DCコンバータ41から電源ケーブルCB1及びフィードインボックス56を介して2つの第1導電部材54A,54Bに直流電圧が供給される。
【0033】
保持金具42の下部には、上下方向に移動可能な状態でブッシュ43が取り付けられている。ワイヤW1の一端は、円柱状の固定金具67を介してホルダ部材6の上部に固定されている。ユーザがワイヤW1の他端側をブッシュ43の中央の孔に差し込むと、ワイヤW1は保持金具42を通してケース40の内部に挿入される。ケース40の内部には、ワイヤW1の余長を収容する収容空間44が設けられている。ユーザがワイヤW1の挿入を止めると、保持金具42はワイヤW1をラッチした状態となり、ワイヤW1を引き抜きできない状態となる。なお、ユーザが保持金具42のブッシュ43を上向きに押すと、保持金具42によるワイヤW1のラッチが解除された状態となり、ワイヤW1をケース40の内部から引き出すことができる。このように、保持金具42は、ワイヤW1の長さを調整するための調整機構を更に備えており、ワイヤW1にある程度のテンションがかかるようにワイヤW1の長さを調整することができる。したがって、天井200の高さに応じて、ホルダ部材6の上部から第2配線ダクト3までの距離が異なる場合でも、調整機構でワイヤW1の長さを調整することで、様々な高さの天井200に対応できる。
【0034】
本実施形態では第1配線ダクト5を収容したホルダ部材6はスタンド部材8によって自立した状態で床面100に置かれるのであるが、ホルダ部材6の上部がワイヤW1を介して電源ボックス4に連結されているので、ホルダ部材6が倒れにくくなる。このように、ホルダ部材6の上部をワイヤW1で電源ボックス4に連結することによって、ホルダ部材6を倒れにくくしているので、スタンド部材8が床面100と接する面積を小さくでき、台座80の小型化を図ることができる。
【0035】
(2.1.3)第1配線ダクト
第1配線ダクト5は、上述したように、第1柱状部材50と、第1導電部材54A,54Bとを有している。
【0036】
第1柱状部材50は、
図1~
図8に示すように、例えば金属材料により四角筒状に形成されている。第1柱状部材50は、第1柱状部材50の長手方向が鉛直方向に沿うように支持部材7によって支持されている。第1柱状部材50の前壁には、長手方向の全体に渡って開口部52が設けられている。
【0037】
第1柱状部材50の左右方向において対向する2つの側壁51の内側面には、それぞれ、第1導電部材54A,54Bが1つずつ取り付けられている。第1導電部材54A,54Bは、それぞれ、絶縁部材53A,53Bを介して第1柱状部材50に取り付けられている。第1導電部材54A,54Bは、第1柱状部材50の長手方向において、第1柱状部材50のほぼ全体に渡って設けられている。絶縁部材53A,53Bは、例えば、合成樹脂等の絶縁材料で形成されており、第1導電部材54A,54Bと第1柱状部材50との間に配置されている。
【0038】
第1導電部材54A,54Bは、フィードインボックス56及び電源ケーブルCB1を介してAC/DCコンバータ41に接続される。なお、第1導電部材54Aが、AC/DCコンバータ41の正極側の出力端に電気的に接続され、第1導電部材54Bが、AC/DCコンバータ41の負極側の出力端に電気的に接続されており、第1導電部材54A,54Bには直流電圧が印加されている。
【0039】
また、第1柱状部材50の2つの側壁51の内側面には、第1導電部材54A,54Bの取付位置と前壁との間に係止溝55,55がそれぞれ設けられている。係止溝55は、第1柱状部材50の長手方向の全体に渡って設けられている。
【0040】
(2.1.4)ホルダ部材
ホルダ部材6は、例えば、木材により長尺の角柱状に形成されている。ホルダ部材6は、第1配線ダクト5よりも長手方向の寸法が若干大きめに形成されている。
【0041】
ホルダ部材6の一面(例えば前面)には、
図5、
図7及び
図8に示すように、長手方向の全体に渡って、第1配線ダクト5を収容するための凹部61が設けられている。
【0042】
ホルダ部材6には、凹部61から下向きに延びる溝部611(
図1及び
図13参照)が設けられている。溝部611は、配線ダクトの下方に位置している。溝部611の幅は、凹部61の幅よりも若干狭く形成されている。また、ホルダ部材6の前面から溝部611の底面までの寸法は、凹部61とつながる上側部分では凹部61と略同じ寸法であり、下側に行くにつれて深さが浅くなっており、溝部611の底面はホルダ部材6の前面に対して斜めに傾斜している。
【0043】
このように、ホルダ部材6には、凹部61に収容された第1柱状部材50の下端部と対向する部分に溝部611が設けられているので、溝部611が設けられていない場合に比べて、凹部61の下部に塵埃などが堆積しにくくなる。したがって、第1柱状部材50に配置された一対の導電部材54A,54Bの間で短絡などが発生する可能性を低減できるという利点がある。
【0044】
また、ホルダ部材6の上端部分には、ホルダ部材6の下部に比べて厚みが薄い段部62が設けられている。段部62には、第1配線ダクト5に取り付けられるフィードインボックス56から引き出される電源ケーブルCB1が挿入される溝63が設けられている。
【0045】
第1配線ダクト5は、開口部52を前側に向けた状態でホルダ部材6の凹部61内に挿入され、固定ネジ66を用いてホルダ部材6にねじ止めされる。このとき、フィードインボックス56から引き出された電源ケーブルCB1は段部62の溝63に挿入される。そして、段部62の前側に重ねた押え板64を固定ネジ65で段部62に固定することによって、電源ケーブルCB1が押え板64とホルダ部材6との間に保持される。第1配線ダクト5には、フィードインボックス56の前面を覆う直方体状のカバー57が取り付けられており、外観の向上を図っている。
【0046】
なお、本実施形態ではホルダ部材6が木製であるが、ホルダ部材6は木製に限定されず、合成樹脂製でもよいし、金属製でもよい。
【0047】
(2.1.5)スタンド部材
スタンド部材8は、例えば金属材料等により平面視の形状が正方形に形成された台座80を含む。
【0048】
台座80は、例えばネジ止め等の適宜の固定方法を用いて、ホルダ部材6の下部に固定されている。つまり、支持部材7であるスタンド部材8は、第1配線ダクト5を収容したホルダ部材6を支持することによって、第1配線ダクト5の長手方向が鉛直方向に沿うように第1配線ダクト5を支持している。
【0049】
なお、台座80の下面には柔軟性を有するクッション部材が取り付けられていてもよく、床面100に傷がつく可能性を低減できる。
【0050】
本実施形態では、スタンド部材8が、第1配線ダクト5を収容するホルダ部材6を支持しているので、第1配線ダクト5にはスタンド部材8を取り付けるための構成を設ける必要がない。また、ワイヤW1は、第1配線ダクト5を収容するホルダ部材6に接続されているので、第1配線ダクト5にワイヤW1を接続するための構成を設ける必要がない。したがって、給電システム1は、既存の第1配線ダクト5をホルダ部材6に収容して使用することができる。
【0051】
(2.1.6)配線器具
第1配線ダクト5に接続される給電対象は、第1配線ダクト5に着脱自在に接続される配線器具A1を含み得る。
【0052】
図1及び
図6に示す配線器具A1は、例えば、給電用のUSBポートを有するUSBコンセントであり、USB Type-Aプラグの差込口301と、USB Type-Cプラグの差込口302とを1口ずつ有している。
【0053】
配線器具A1は直方体状のケース300を有しており、ケース300の前面に2つの差込口301,302が配置されている。また、ケース300の後面には、開口部52を通して第1柱状部材50の内部に挿入される円筒状の差込プラグ310(
図8参照)が設けられている。差込プラグ310の周面には、第1導電部材54Aに電気的に接続される接続端子311Aと、第1導電部材54Bに電気的に接続される接続端子311Bとが、差込プラグ310の中心軸に対して対角の位置に配置されている。また差込プラグ310の周面には、第1柱状部材50の2つの係止溝55,55にそれぞれ挿入される2つのリブ312,313が、差込プラグ310の中心軸に対して対角の位置に配置されている。
【0054】
この配線器具A1を第1配線ダクト5に取り付ける場合、ユーザは、2つの接続端子311A、311Bと、2つのリブ312,313とがそれぞれ第1配線ダクト5の長手方向に沿って並ぶようにケース300を持ち、差込プラグ310を開口部52から第1柱状部材50の内部に挿入する。そして、ユーザがケース300を例えば時計回りに90度回転させると、2つの接続端子311A、311Bが、それぞれ、第1導電部材54A、54Bに電気的に接続され、2つのリブ312,313が2つの係止溝55,55にそれぞれ挿入される。これにより、配線器具A1が第1配線ダクト5に機械的に接続されるとともに、第1配線ダクト5から配線器具A1に電力が供給されるので、配線器具A1は差込口301又は302から負荷機器に給電することが可能になる。
【0055】
なお、本実施形態の配線器具A1は、給電用のUSBポートを有するUSBコンセントであるが、配線器具A1はUSBポートを有するUSBコンセントに限定されず、他の規格の給電用ポートを有する電源コンセントでもよい。
【0056】
(2.1.7)電気機器
第1配線ダクト5に接続される給電対象は、第1配線ダクト5に着脱自在に接続される電気機器A2を含み得る。
【0057】
図1に示す電気機器A2は、例えば、ケースの内部に温度センサ等のセンサと、センサの検出結果を外部に無線送信する通信モジュールとを内蔵したセンサ機器である。なお、センサは温度を検出するものに限定されず、明るさ又は空気質などの環境情報を検出してもよい。
【0058】
電気機器A2は、配線器具A1の差込プラグ310と同様の構造を有する差込プラグをケースの後面に有しており、配線器具A1と同様の方法で第1配線ダクト5に接続される。電気機器A2が第1配線ダクト5に接続された状態では、第1配線ダクト5から電気機器A2に電力が供給されて電気機器A2が動作する。
【0059】
なお、電気機器A2は、センサを内蔵したセンサ機器に限定されず、照明用の光源を有する照明機器でもよい。
【0060】
(2.2)使用状態の説明
本実施形態の給電システム1は、例えば、床面100の上方(例えば天井200等)に第2配線ダクト3が設置されている場所で使用される。
【0061】
第2配線ダクト3の所望の位置には電源ボックス4が取り付けられている。
【0062】
また、ホルダ部材6の凹部61には第1配線ダクト5が収容されており、ホルダ部材6の下部にはスタンド部材8の台座80が固定されている。
【0063】
ユーザは、電源ボックス4の下方に位置するように、ホルダ部材6の下部に固定されたスタンド部材8の台座80を床面100の上に置く。そして、ユーザは、ホルダ部材6の上部に一端が固定されたワイヤW1を電源ボックス4の下部に固定された保持金具42のブッシュ43に挿入し、ワイヤW1にある程度のテンションがかかるように、ワイヤW1の余長をケース40の内部に押し込むことでワイヤW1の長さを調整する。そして、ユーザは、ホルダ部材6の上部から引き出された電源ケーブルCB1の第2コネクタCN2を、電源ボックス4の第1コネクタCN1に接続することによって、AC/DCコンバータ41と2つの第1導電部材54A,54Bとを電気的に接続する。これにより、AC/DCコンバータ41から2つの第1導電部材54A,54Bに直流電圧が印加される。
【0064】
このとき、第1配線ダクト5は、長手方向が鉛直方向に沿うように支持部材7によって支持された状態となり、第1配線ダクト5に対して鉛直方向の複数の位置に複数の給電対象を接続することができる。
図1では、第1配線ダクト5に、給電対象として、配線器具A1と電気機器A2とが1つずつ取り付けられているが、鉛直方向の複数の位置に複数の給電対象(配線器具A1又は電気機器A2)を取り付けることができる。
【0065】
また、第1配線ダクト5の2つの第1導電部材54A,54Bには、低圧の直流電圧が印加されているので、開口部52を塞ぐためのカバーを備える必要がなく、第1配線ダクト5に対して鉛直方向の任意の位置に給電対象を接続することができる。
【0066】
また、第1配線ダクト5は、柱形状のホルダ部材6に収容されているので、カールコード等で電源コンセントを吊り下げる場合に比べて、空間における第1配線ダクト5の存在感を低減できるという利点もある。
【0067】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0068】
(3.1)変形例1
上記実施形態の変形例1を
図9及び
図10に基づいて説明する。
【0069】
変形例1の給電システム1では、ワイヤW1の端部が配線ダクト(第1配線ダクト)5の上部に磁力で接続されている。具体的には、ワイヤW1の端部は、配線ダクト(第1配線ダクト)5を収容したホルダ部材6の上部に磁力で接続されている。
【0070】
また、変形例1の給電システム1では、給電部材(具体的には電源ボックス4)に設けられた第1コネクタCN1と、配線ダクト(第1配線ダクト)5の導電部材(第1導電部材)54A,54Bに電気的に接続される第2コネクタCN2とが磁力で接続されている。なお、ワイヤW1の接続部分、及び、第1コネクタCN1、第2コネクタCN2の接続部分以外は上記実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0071】
変形例1では、ワイヤW1をホルダ部材6の上部に接続する固定金具67が、ホルダ部材6の上部に固定された第1部材67Aと、ワイヤW1の端部を保持する第2部材67Bとで構成されている。そして、第1部材67Aと第2部材67Bとは磁力で接続されるように構成されている。
【0072】
また、第1コネクタCN1及び第2コネクタCN2は、それぞれの接触面に一対の電極を有している。第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とが磁力で接続されると、第1コネクタCN1の一対の電極と、第2コネクタCN2の一対の電極とが電気的に接続され、電源ケーブルCB1の2本の電線が、AC/DCコンバータ41の出力端に電気的に接続される。
【0073】
ここで、給電システム1が設置された空間を利用するユーザがよろけてホルダ部材6をつかむと、ワイヤW1及び電源ケーブルCB1に過大な張力が加わる可能性がある。ここで、第1部材67Aと第2部材67Bとを接続する磁力、及び、第1コネクタCN1と第2コネクタCN2とを接続する磁力を超える力がワイヤW1及び電源ケーブルCB1に加わると、第2部材67Bから第1部材67Aが外れ、第1コネクタCN1から第2コネクタCN2が外れる。これにより、電源ボックス4及び第2配線ダクト3に過大な力が加わるのを抑制できる。
【0074】
(3.2)その他の変形例
上記実施形態において、床面100に、台座80の周りを囲む位置に枠体400(
図1参照)が設けられてもよい。なお、
図1では枠体400を想像線で図示している。枠体400の内側に台座80を配置することで、台座80の位置ズレを抑制できる。
【0075】
上記実施形態では、第2配線ダクト3が交流電源の給電用、第1配線ダクト5が直流電源の給電用であったが、第1配線ダクト5は交流電源の給電用でもよい。この場合、電源ボックス4は不要であり、第1配線ダクト5は第2配線ダクト3に直接接続されていればよい。つまり、電源ケーブルCB1は、第2配線ダクト3に電気的に接続されるプラグを介して第2導電部材33に電気的に接続されればよく、ワイヤW1は、第2配線ダクト3に機械的に接続される接続ブロックとホルダ部材6との間を接続していればよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第2配線ダクト3が交流電源の給電用であったが、例えば第2配線ダクト3の端部に取り付けられた電源ボックスを介して第2配線ダクト3の第2導電部材33,33に直流電圧が印加されていてもよい。この場合も、第1配線ダクト5は第2配線ダクト3に直接接続されていればよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ホルダ部材6に第1配線ダクト5が1つだけ収容されているが、ホルダ部材6に複数の第1配線ダクト5が収容されていてもよい。例えば、ホルダ部材6の対向二面に第1配線ダクト5が1つずつ収容されてもよいし、ホルダ部材6の4面に第1配線ダクト5が1つずつ収容されてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ホルダ部材6が角柱形状に形成されているが、ホルダ部材6は円柱形状に形成されてもよく、ホルダ部材6の形状は適宜変更が可能である。
【0079】
また、上記実施形態において、第1配線ダクト5は、長手方向において複数に分割された複数のダクトを連結して構成されてもよい。
【0080】
また、ホルダ部材6は、第1配線ダクト5の前面を露出させた状態で、第1配線ダクト5の全体を凹部61に収容しているが、第1配線ダクト5に部分的に設けられていてもよい。例えば、ホルダ部材6は、第1配線ダクト5において、スタンド部材8が接続される部位、及び、ワイヤW1が接続される部位に部分的に設けられていてもよい。
【0081】
また、上記実施形態において、給電システム1がホルダ部材6を備えることは必須ではなく、ホルダ部材6は適宜省略可能である。ホルダ部材6を省略する場合、スタンド部材8が第1配線ダクト5を直接支持すればよく、またワイヤW1を第1配線ダクト5に直接接続すればよい。
【0082】
また、上記井実施形態では、給電部材2が第2配線ダクト3と電源ボックス4とで構成されているが、給電部材2が第2配線ダクト3を含むことは必須ではなく、給電部材2は、天井200の所望の位置に固定的に設けられていてもよい。
【0083】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る給電システム1Aについて
図11~
図14を参照して詳しく説明する。
【0084】
実施形態2の給電システム1Aは、支持部材7が、配線ダクト(第1配線ダクト)5の上部を給電部材2から吊り下げる吊り下げ部材9を含む点で上記実施形態1と相違する。また、実施形態2の給電システム1Aは、配線ダクト(第1配線ダクト)5の下部からワイヤW2を介して吊り下げられる重り95を更に含む点でも上記実施形態1と相違する。なお、支持部材7及び重り95以外の構成は実施形態1と共通であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。なお、実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用である。
【0085】
実施形態2では、吊り下げ部材9は、配線ダクト(第1配線ダクト)5を収容したホルダ部材6の上部を給電部材2から吊り下げている。また、配線ダクト(第1配線ダクト)5を収容したホルダ部材6の下部からワイヤW2を介して重り95が吊り下げられている。
【0086】
電源ボックス4のケース40の下面にはU字フック91が固定され、ホルダ部材6の上部にもU字フック92が固定されている。
【0087】
吊り下げ部材9は、例えば、U字フック91,92に通されるカラビナ90を有し、電源ボックス4のケース40からカラビナ90を介してホルダ部材6が吊り下げられている。つまり、給電部材2の一部である電源ボックス4のケース40から、カラビナ90を介して、第1配線ダクト5を収容したホルダ部材6が吊り下げられている。これにより、第1配線ダクト5は、吊り下げ部材9によって長手方向が鉛直方向に沿うように給電部材2から吊り下げられており、部屋の壁等から離れた状態で給電部材2から吊り下げられている。したがって、実施形態2の給電システム1Aにおいても、第1配線ダクト5に対して鉛直方向の複数の位置に複数の給電対象を接続することができる。なお、第1配線ダクト5は電源ボックス4から吊り下げられているので、第1配線ダクト5を床面100から浮いた状態で配置でき、床面100に凹凸等がある場合でも床面100の性状によらず、第1配線ダクト5を配置できる。
【0088】
また、実施形態2の給電システム1Aでは、配線ダクト(第1配線ダクト)5を収容するホルダ部材6の下部からワイヤW2を介して重り95が吊り下げられている。重り95は円柱状に形成されている。ここで、第1配線ダクト5(具体的には第1配線ダクト5を収容するホルダ部材6)の下部から重り95が吊り下げられているので、ホルダ部材6のみが吊り下げられる場合に比べて、ホルダ部材6のふらつきが低減され、姿勢が安定するという利点がある。ここで、重り95は床面100に接するように、ワイヤW2の長さが調整されている。重り95が床面100に置かれることによって、ホルダ部材6のふらつきが更に低減され、姿勢が安定するという利点がある。
【0089】
ここで、重り95の上面には、重り95の上部と、ホルダ部材6の下部を連結するワイヤW2を保持する円筒状の保持金具96が設けられている。保持金具96の上部には、上下方向に移動可能な状態でブッシュ97が取り付けられている。
【0090】
ワイヤW2の一端は、円柱状の固定金具68を介してホルダ部材6の下部に固定されている。ユーザがワイヤW2の他端側をブッシュ97の中央の孔に差し込むと、ワイヤW2は保持金具96を通して保持金具96の内部に挿入される。保持金具96の内部には、ワイヤW2の余長を収容する収容空間が設けられている。ユーザがワイヤW2の挿入を止めると、保持金具96はワイヤW2をラッチした状態となり、ワイヤW2を引き抜きできない状態となる。また、ユーザが保持金具96のブッシュ97を下向きに押すと、保持金具96によるワイヤW2のラッチが解除された状態となり、ワイヤW2を保持金具96の内部から引き出すことができる。
【0091】
このように、保持金具96は、ワイヤW2の長さを調整するための調整機構を更に備えており、ワイヤW2にある程度のテンションがかかった状態で、重り95が床面100に接するようにワイヤW2の長さを調整することができる。したがって、天井200の高さ等に応じて、ホルダ部材6の下部から重り95までの距離が異なる場合でも、調整機構でワイヤW2の長さを調整することで、様々な高さの天井200に対応できる。
【0092】
なお、変形例2の給電システム1Aにおいて重り95が床面100に接していることは必須ではなく、重り95は床面100から浮いた状態でホルダ部材6から吊り下げられていてもよい。
【0093】
本実施形態では、吊り下げ部材9が、第1配線ダクト5を収容するホルダ部材6を吊り下げているので、第1配線ダクト5には吊り下げのためのフックなどを設ける必要がない。また、重り95は、第1配線ダクト5を収容するホルダ部材6から吊り下げられているので、第1配線ダクト5に重り95を吊り下げるためのフックなどを設ける必要がない。したがって、給電システム1Aは、既存の第1配線ダクト5をホルダ部材6に収容して使用することができる。
【0094】
なお、ホルダ部材6は、第1配線ダクト5の前面を露出させた状態で、第1配線ダクト5の全体を凹部61に収容しているが、第1配線ダクト5に部分的に設けられていてもよい。例えば、ホルダ部材6は、第1配線ダクト5において、吊り下げ部材9で吊り下げられる部位、及び、ワイヤW2が接続される部位に部分的に設けられていてもよい。
【0095】
また、実施形態2の給電システム1Aがホルダ部材6を備えることは必須ではなく、ホルダ部材6は適宜省略可能である。ホルダ部材6を省略する場合、吊り下げ部材9は、給電部材2から第1配線ダクト5を直接吊り下げればよい。また、重り95は第1配線ダクト5から直接吊り下げられていればよい。
【0096】
また、実施形態2の給電システム1Aにおいて、床面100に、重り95の周りを囲む位置に枠体410(
図13参照)が設けられてもよい。なお、
図13では枠体410を想像線で図示している。枠体410の内側に重り95を配置することで、重り95の位置ズレを抑制できる。
【0097】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の給電システム(1,1A)は、給電部材(2)と、配線ダクト(5)と、支持部材(7)と、を備える。給電部材(2)は、床面(100)の上方に配置される。配線ダクト(5)は、長手方向に沿って開口部(52)が設けられた中空の柱状部材(50)、及び、柱状部材(50)の内側に柱状部材(50)の長手方向に沿って配置された導電部材(54A,54B)を有する。給電部材(2)から導電部材(54A,54B)に給電される。柱状部材(50)の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能である。支持部材(7)は、配線ダクト(5)の長手方向が鉛直方向に沿うように配線ダクト(5)を支持する。
【0098】
この態様によれば、配線ダクト(5)の長手方向が鉛直方向に沿うように支持部材(7)によって支持されているので、鉛直方向における複数の位置で複数の給電対象に対して給電可能な給電システム(1)を提供することができる。
【0099】
第2の態様の給電システム(1,1A)では、第1の態様において、配線ダクト(5)は第1配線ダクト(5)、柱状部材(50)は第1柱状部材(50)、導電部材(54A,54B)は第1導電部材(54A,54B)である。給電部材(2)は、第2配線ダクト(3)を含む。第2配線ダクト(3)は、長手方向に沿って開口部(32)が設けられた中空の第2柱状部材(30)、及び、第2柱状部材(30)の内側に第2柱状部材(30)の長手方向に沿って配置された第2導電部材(33)を有する。第2柱状部材(30)の長手方向における任意の位置に給電対象が接続可能である。
【0100】
この態様によれば、第2配線ダクト(3)の長手方向における任意の位置に、給電対象である第1配線ダクト(5)を接続することができる。
【0101】
第3の態様の給電システム(1,1A)では、第2の態様において、第2配線ダクト(3)は交流電源の給電用であり、第1配線ダクト(5)は直流電源の給電用である。給電部材(2)は、第2配線ダクト(3)と、第2配線ダクト(3)に取り付けられる電源ボックス(4)と、を含む。電源ボックス(4)は、第2配線ダクト(3)から供給される交流電圧を直流電圧に変換して導電部材(54A,54B)に出力するAC/DCコンバータ(41)を内部に収容する。
【0102】
この態様によれば、第2配線ダクト(3)の長手方向における任意の位置に、給電対象である第1配線ダクト(5)を接続することができる。
【0103】
第4の態様の給電システム(1,1A)は、第1~第3のいずれかの態様において、長尺のホルダ部材(6)を更に備える。ホルダ部材(6)には、配線ダクト(5)を収容する凹部(61)が長手方向に沿って設けられている。支持部材(7)は、配線ダクト(5)を凹部(61)に収容したホルダ部材(6)を支持する。
【0104】
この態様によれば、配線ダクト(5)には、支持部材(7)が支持するために必要な構成を設ける必要がないという利点がある。
【0105】
第5の態様の給電システム(1,1A)は、第4の態様において、ホルダ部材(6)には、凹部(61)から下向きに延び、配線ダクト(5)の下方に位置する溝部(611)が設けられている。
【0106】
この態様によれば、凹部(61)の下側に溝部(611)が設けられていない場合に比べて、凹部(61)の下部に塵埃等が堆積しにくくなり、配線ダクト(5)に設けられた導電部材(54A,54B)の短絡等が発生しにくくなるという利点がある。
【0107】
第6の態様の給電システム(1,1A)は、第1~第5のいずれかの態様において、配線ダクト(5)に着脱自在に接続される配線器具(A1)を更に備える。
【0108】
この態様によれば、配線ダクト(5)に対して鉛直方向における任意の位置に配線器具(A1)を取り付けることができる。
【0109】
第7の態様の給電システム(1,1A)は、第1~第6のいずれかの態様において、配線ダクト(5)に着脱自在に接続される電気機器(A2)を更に備える。
【0110】
この態様によれば、配線ダクト(5)に対して鉛直方向における任意の位置に電気機器(A2)を取り付けることができる。
【0111】
第8の態様の給電システム(1)では、第1~7のいずれかの態様において、支持部材(7)が、配線ダクト(5)が床面(100)に対して起立した状態で配線ダクト(5)の下部を支持するスタンド部材(8)を含む。
【0112】
この態様によれば、スタンド部材(8)によって配線ダクト(5)を床面(100)に対して起立した状態で支持することができる。
【0113】
第9の態様の給電システム(1)は、第8の態様において、配線ダクト(5)の上部を給電部材(2)に連結する連結部材(6A)を更に備える。
【0114】
この態様によれば、連結部材(6A)が配線ダクト(5)の上部を給電部材(2)に連結することによって、配線ダクト(5)が倒れにくくなる。また、配線ダクト(5)が倒れにくくなるので、スタンド部材(8)が床面(100)と接する面積を小さくでき、スタンド部材(8)の小型化を図ることができる。
【0115】
第10の態様の給電システム(1,1A)では、第9の態様において、連結部材(6A)は、配線ダクト(5)の上部と給電部材(2)との間をつなぐワイヤ(W1)を含む。
【0116】
この態様によれば、ワイヤ(W1)で配線ダクト(5)の上部を給電部材(2)に連結することによって、配線ダクト(5)が倒れにくくなる。また、配線ダクト(5)が倒れにくくなるので、スタンド部材(8)が床面(100)と接する面積を小さくでき、スタンド部材(8)の小型化を図ることができる。
【0117】
第11の態様の給電システム(1,1A)は、第10の態様において、ワイヤ(W1)の長さを調整するための調整機構を更に備える。
【0118】
この態様によれば、給電部材(2)の高さ位置に応じてワイヤ(W1)の長さを調整することができる。
【0119】
第12の態様の給電システム(1,1A)では、第10又は第11の態様において、ワイヤ(W1)の端部が配線ダクト(5)の上部に磁力で接続される。給電部材(2)に設けられた第1コネクタ(CN1)と、配線ダクト(5)の導電部材(54A,54B)に電源ケーブル(CB1)を介して電気的に接続される第2コネクタ(CN2)とが磁力で接続される。
【0120】
この態様によれば、配線ダクト(5)に過大な力が加わった場合に、ワイヤ(W1)の端部が配線ダクト(5)の上部から外れ、第1コネクタ(CN1)が第2コネクタ(CN2)から外れることによって、給電部材(2)に過大な力が加わるのを抑制できる。
【0121】
第13の態様の給電システム(1A)では、第1~第7のいずれかの態様において、支持部材(7)は、配線ダクト(5)の上部を給電部材(2)から吊り下げる吊り下げ部材(9)を含む。
【0122】
この態様によれば、吊り下げ部材(9)によって配線ダクト(5)が給電部材(2)から吊り下げられるので、床面(100)の凹凸等がある場合でも配線ダクト(5)を配置することができる。
【0123】
第14の態様の給電システム(1A)は、第13の態様において、配線ダクト(5)の下部からワイヤ(W2)を介して吊り下げられる重り(95)を更に備える。
【0124】
この態様によれば、配線ダクト(5)の下部から重り(95)を吊り下げることによって、配線ダクト(5)のふらつきを抑制して、配線ダクト(5)の姿勢を安定化することができる。
【0125】
第15の態様の給電システム(1,1A)では、第14の態様において、重り(95)は床面(100)に接している。
【0126】
この態様によれば、重り(95)が床面(100)に接しているので、配線ダクト(5)のふらつきを更に抑制して、配線ダクト(5)の姿勢を安定化することができる。
【0127】
第16の態様の給電システム(1,1A)は、第14又は第15の態様において、ワイヤ(W2)の長さを調整するための調整機構を更に備える。
【0128】
この態様によれば、配線ダクト(5)の下部から重り(95)までの距離が異なる場合でも、調整機構でワイヤ(W2)の長さを調整することで、ワイヤ(W2)の長さを最適な長さに調整することができる。
【0129】
第2~第16の態様に係る構成については、給電システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0130】
1,1A 給電システム
2 給電部材
3 第2配線ダクト
4 電源ボックス
5 配線ダクト(第1配線ダクト)
6 ホルダ部材
6A 連結部材
7 支持部材
8 スタンド部材
9 吊り下げ部材
30 第2柱状部材
32,52 開口部
33 第2導電部材
41 AC/DCコンバータ
50 柱状部材(第1柱状部材)
54A,54B 導電部材(第1導電部材)
61 凹部
95 重り
100 床面
A1 配線器具
A2 電気機器
CB1 電源ケーブル
CN1 第1コネクタ
CN2 第2コネクタ
W1,W2 ワイヤ