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▶ 株式会社アキタの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155825
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】誘導換羽用飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/75 20160101AFI20231016BHJP
【FI】
A23K50/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065407
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】399081176
【氏名又は名称】株式会社アキタフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋田 正吾
(72)【発明者】
【氏名】本薗 幸広
(72)【発明者】
【氏名】吉田 初音
(72)【発明者】
【氏名】新美 日凜
【テーマコード(参考)】
2B005
【Fターム(参考)】
2B005DA02
2B005JA04
2B005MA04
2B005MA06
(57)【要約】
【課題】誘導換羽期間中、飼料を給餌しながら、卵殻質を維持し、製品として出荷できるものとし、且つ斃死を抑えて換羽を誘発することのできる誘導換羽用飼料及び産卵鶏の飼育方法の提供。
【解決手段】そうこう類を含有し、粗たんぱく質含量が12.0~14.0%であり、代謝エネルギーが1500~1750kcal/kgであることを特徴とする誘導換羽用飼料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そうこう類を含有し、粗たんぱく質含量が12.0~14.0%であり、代謝エネルギーが1500~1750kcal/kgであることを特徴とする誘導換羽用飼料。
【請求項2】
そうこう類の含有量が70質量%以上である請求項1記載の誘導換羽用飼料。
【請求項3】
カルシウム含量が5.0質量%以上である請求項1記載の誘導換羽用飼料。
【請求項4】
ビタミンA含量が2,000 IU/kg以下、ビタミンD3含量が500IU/kg以下、マンガン含量が20mg/kg以下、かつ亜鉛含量が15mg/kg以下である請求項1記載の誘導換羽用飼料。
【請求項5】
クランブル又はマッシュの形態である請求項1記載の誘導換羽用飼料。
【請求項6】
産卵鶏に、請求項1~5のいずれか1項記載の誘導換羽用飼料を給餌して誘導換羽を行うことを特徴とする産卵鶏の飼育方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産卵鶏の誘導換羽に用いられる飼料及び産卵鶏の飼育方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産卵鶏は、一般的に350日令を過ぎると老齢により産卵率が低下し、また同時に鶏卵の卵殻質が低下し、商品化率が低下する。そこで、450日令頃に約12日間かけて人為的に誘導換羽開始時体重の23~30%を減少させて、生殖器(卵巣と子宮)を萎縮させ、産卵を停止させる誘導換羽を行う。この後、飼料の再給餌を行い、体重の回復と同時に生殖器も回復させ、誘導換羽実施前よりも産卵率が高く、卵殻質の良い鶏卵が生産できるようにする。
【0003】
従来、誘導換羽は、絶食(断食)と鶏舎内の点灯時間を短縮して行っている。点灯管理は、通常、産卵している時期は15時間の点灯であるが、誘導換羽実施の7日間前から9時間に低下させ、体重減少が約25%になった日から10時間に伸ばし、以降7日間から10日間の間隔で1時間ずつ伸ばし、72日令で元の15時間点灯とする。
しかし、このような従来の誘導換羽法では、早期に体重は減少するものの、飼料を絶食させるために、産卵が停止するまでの約7日間の期間に生まれる鶏卵の卵質の低下(卵殻質の低下、卵黄色の低下、バラツキ)が著しく、また、破卵により鶏舎が汚れ、清掃をする手間がかかっていた。また、絶食により、鶏の斃死羽数が多く、経済的にも損失の大きいものであった。
【0004】
そこでこれまでに、誘導換羽期間であっても絶食(断食)させずに産卵鶏に飼料の給餌を続ける誘導換羽法が提案されている。例えば、斃死鶏の発生を抑制すると共に、産卵再開後の卵殻質の劣化を防止し、かつ鶏卵汚染を防止する配合飼料として、特定の嵩比重及び特定の粒度分布を有する糟糠類を主原料とし、代謝エネルギーを1900~2400kcal/kgに調製した換羽誘導に用いるための成鶏飼育用配合飼料(特許文献1)、斃死鶏の発生を抑制すると共に、産卵再開後の卵殻質の劣化を防止し、しかも養鶏の現場で使用しやすい配合飼料として、特定の嵩比重及び特定の粒度分布を有する糟糠類を主原料とし、カルシウム含量は3.5%以上、代謝エネルギーは1900kcal/kg以上で2100kcal/kg未満である産卵鶏の換羽誘導用配合飼料(特許文献2)等が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-245205号公報
【特許文献2】特開2006-304699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2のような配合飼料では誘導換羽後の産卵停止が起こり難く、また、誘導換羽期間中の鶏卵の卵質は依然として満足のいくものではないのが実状であった。
本発明は、上記の如き従来の実状に鑑みてなされたものであり、誘導換羽期間中、飼料を給餌しながら、卵殻質を維持し、製品として出荷できるものとし、且つ斃死を抑えて換羽を誘発することのできる誘導換羽用飼料及び産卵鶏の飼育方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、当該課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、そうこう類を含有する飼料であって、所定の粗たんぱく質含量及び代謝エネルギーである飼料を給餌して誘導換羽を実施すれば、誘導換羽期間中に産卵される鶏卵の質を維持しながらも、体重を減少させる(生殖器をリフレッシュ)ことができること、また、斃死率を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、そうこう類を含有し、粗たんぱく質含量が12.0~14.0%であり、代謝エネルギーが1500~1750kcal/kgであることを特徴とする誘導換羽用飼料を提供するものである。
また、本発明は、産卵鶏に、上記記載の誘導換羽用飼料を給餌して誘導換羽を行うことを特徴とする産卵鶏の飼育方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の誘導換羽用飼料によれば、誘導換羽期間中に産卵される鶏卵の卵質及び卵殻質の低下を抑えて、出荷可能な品質に維持しながら、また、斃死率を抑えて、体重減少と同時に産卵を中止させることができる。従ってまた、本発明の飼育方法によれば、効率の良い産卵鶏の飼育が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の誘導換羽用飼料は、そうこう類を含有する。そうこう類としては、例えば、ふすま、米ぬか、脱脂米ぬか、大麦ぬか、コーングルテンフィード、ビールかす、しょう油かす、大豆皮、焼酎かす、DDGS等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、鶏が消化できないNDF(中性デタージェント繊維)含量の多い原料である観点より、ふすま、脱脂米ぬか、大豆皮、コーングルテンフィードが好ましい。
【0011】
誘導換羽用飼料中のそうこう類の含有量は、産卵鶏が少量の飼料を摂取しても胃を充満させ、満足できるようにする観点より、70質量%以上とするのが好ましく、75~85質量%とするのがより好ましい。
そうこう類としてふすまを含有する際、誘導換羽用飼料中のふすまの含有量は、産卵鶏が少量の飼料を摂取しても胃を充満させ、満足できるようにする観点より、35質量%以上とするのが好ましく、40~60質量%とするのがより好ましい。
【0012】
本発明の誘導換羽用飼料は、粗たんぱく質含量が12.0~14.0%である。誘導換羽用飼料の粗たんぱく質含量は、産卵を早期に停止させる観点より、12.5~13.5%とするのがより好ましい。
誘導換羽用飼料の粗たんぱく質含量は、飼料分析基準収載分析法に従って、「ケルダール法」により測定することができる。
【0013】
本発明の誘導換羽用飼料は、代謝エネルギーが1500~1750kcal/kgである。誘導換羽用飼料の代謝エネルギーを1500kcal/kg以上とすることにより、飼料を給餌しながら、斃死を抑えて換羽を誘発することができる。また、代謝エネルギーを1750kcal/kg以下とすることにより、誘導換羽開始後20日令ほどで目標体重減少率まで体重を減少させることができる。
誘導換羽用飼料の代謝エネルギーは、斃死を抑制する観点、体重減少速度の観点より、1550~1700kcal/kgとするのがより好ましい。
【0014】
本発明の誘導換羽用飼料は、誘導換羽期間中に産卵される鶏卵の卵殻質を維持する観点より、カルシウム含量が5.0質量%以上であることが好ましい。誘導換羽用飼料のカルシウム含量は、好ましくは6.0~8.0質量%である。
カルシウム源としては、例えば、炭酸、硫酸、リン酸、リン酸水素、クエン酸、グルコン酸との塩、カキ殻、貝殻、貝化石等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、原料価格と鶏の消化吸収の観点より、炭酸カルシウムが好ましい。
炭酸カルシウムの形態は、特に限定されず、室温(15~25℃)で粉末、粒等のいずれでもよく、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
カルシウム源として炭酸カルシウムを含有する際、誘導換羽用飼料中の炭酸カルシウムの含有量は、誘導換羽期間中に産卵される鶏卵の卵質を維持する観点より、15質量%以上とするのが好ましく、17.0~20.0質量%とするのがより好ましい。
【0015】
本発明の誘導換羽用飼料は、体重減少と生殖器の萎縮を早める観点より、食塩を含有しないことが好ましく、含有する場合は、0.13質量%以下が好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。
また、誘導換羽用飼料は、ナトリウムとして0.05質量%以下、塩素として0.08質量%以下とすることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の誘導換羽用飼料は、体重減少と生殖器の萎縮を早める観点より、各種ビタミン類や、ナトリウム以外のミネラル類を含有することが好ましい。ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等が挙げられる。ミネラル類としては、例えば、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、コバルト、マグネシウム、硫黄等が挙げられる。
誘導換羽用飼料中のビタミン類及びミネラル類の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができるが、ビタミンA 2,000IU/kg以下、好ましくは1,000~2,000IU/kg、ビタミンD3 500IU/kg以下、好ましくは200~500IU/kg、マンガン 20mg/kg以下、好ましくは5~20mg/kg、亜鉛 15mg/kg以下、好ましくは3~15mg/kgとすることが好ましい。
【0017】
誘導換羽用飼料には、上記成分の他、飼料原料として、例えば、とうもろこし、マイロ、小麦、大麦、えん麦、ライ麦、玄米、そば、あわ、きび、ひえ等の殻類;大豆油粕、あまに油粕、綿実油粕、落花生油粕、サフラワー油粕、やし油粕、パーム核油粕、ごま油粕、ひまわり油粕、ナタネ油粕、からし油粕、ひまし油粕等の植物性油粕類;魚粉、フィッシュソリュブル、肉粉、肉骨粉、血粉、骨粉、フェザーミール、脱脂粉乳、カゼイン、乾燥ホエー等の動物性飼料;アルファルファミール、にせあかしや粉末、ぎんねむ葉ミール等の植物茎葉類;コーングルテンミール、コーンスティープリカー等のとうもろこし加工工業副産物;とうもろこし胚乳油、エステル油、大豆油、パーム核油等の植物油脂、豚脂、牛脂等の動物油脂等の油脂類;澱粉、澱粉加工品;メチオニン、リジン、グリシン、グルタミン酸、トリプトファン、アルギニン等のアミノ酸類;パプリカ抽出物等の色素原料等を配合することができる。これら飼料原料の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。例えば、誘導換羽用飼料中の油脂類の含有量は、好ましくは3質量%以下である。
【0018】
本発明の誘導換羽用飼料は、マッシュ、ペレット、クランブル、フレーク等の形態に調製することができるが、マッシュ、クランブルが好ましく、クランブルがより好ましい。クランブルとすることにより、飼料原料をバラツキなく産卵鶏が摂取出来て、また、飼料運搬車や飼料タンクから容易に排出することができる。
クランブルの形態に調製する場合は、ペレットの直径を2.0~6.0mm、好ましくは3.0~5.0mmの範囲に加圧成型した後、粒径を4.5mm以下、好ましくは1.0~3.5mmの範囲に荒砕きして調製することが、飼料原料をバラツキなく産卵鶏が摂取でき、また、飼料運搬車や飼料タンクから容易に排出する上で好ましい。
【0019】
本発明の誘導換羽用飼料を産卵鶏に与える際は、例えば30~70g/日の範囲で給餌することが好ましい。
【0020】
本発明の誘導換羽用飼料を給餌する方法は、特に限定されないが、不断給餌又は制限給餌が挙げられ、好ましくは不断給餌である。制限給餌の場合は、定量給餌法、隔日給餌法(スキップフィード)、暫減・暫増法(ステップダウン・ステップアップ)等の方法がある。
【0021】
本発明の誘導換羽用飼料は、450日令を過ぎてから、470日令頃にわたって継続して産卵鶏に給餌するのが、目的とする鶏卵を生産する上で望ましい。本発明の誘導換羽用飼料を給餌すると、一般的に飼料給餌開始から約20日目迄に目標体重減少率に達する。誘導換羽終了時の体重減少率は、誘導換羽開始体重より好ましくは23~30%、より好ましくは23~25%である。
【実施例0022】
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
【0023】
実施例1 誘導換羽用飼料の給与試験例
1)供試鶏:ジュリアライト 対照1区:41,767羽、対照2区:42,480羽、試験区:42,580羽 計 126,827羽
【0024】
2)供試区:i)対照1区:絶食による誘導換羽
ii)対照2区:大雛用飼料給与による誘導換羽
iii)試験区:誘導換羽用飼料給与による誘導換羽
大雛用飼料、誘導換羽用飼料及び採卵鶏用飼料の配合割合は表1に示した。
大雛用飼料と採卵鶏用飼料はマッシュ飼料、誘導換羽用飼料はクランブル飼料である。
【0025】
【表1】
【0026】
3)試験期間:451日令(誘導換羽開始日齢)~522日令(産卵率約90%到達)
平均産卵率90%で鶏群として生産が復活できたと判断した。
【0027】
4)試験結果
「450日令から462日令までの結果」
誘導換羽を開始し、誘導換羽処理の目標である体重減少率25%(誘導換羽開示体重より25%低下を目標とする)を達成する470日齢(誘導換羽後20日令)までを表2に纏めた。
絶食処理による対照1区は、誘導換羽後8日令で産卵が停止し、体重減少率25%には誘導換羽後9日令で到達した。大雛用飼料を給与した対照2区は、470日令で体重は14.6%まで低下し、産卵率も60%まで低下したものの完全に停止出来なかった。
一方、誘導換羽用飼料を給与した試験区は、誘導換羽後20日令で産卵が停止し、体重減少率25%に到達した。
対照2区の大雛用飼料給与の平均摂取量は86.5g/羽/日、誘導換羽用飼料の試験区の平均摂取量は53.4g/羽/日であった。
誘導換羽期間中(産卵停止するまで期間)の鶏卵の質は、絶食処理の対照1区は、誘導換羽前の卵黄色は12.1であったが、誘導換羽後日齢が進むにつれて、低下し平均で10.1となった。また、卵殻強度も誘導換羽前は3.6kg/cm2であったが著しく低下し平均で2.25kg/cm2となった。
大雛用飼料給与の対照2区は、卵黄色の低下がなかったが、卵殻強度は平均で2.51kg/cm2と低下した。
一方、誘導換羽用飼料を給与した試験区の卵黄色は誘導換羽前と殆ど差がなく平均で11.8となり、卵殻強度も誘導換羽前と殆ど差がなく平均で3.55kg/cm2であった。誘導換羽用飼料を給与した試験区は、卵質は対照区を上回り製品として出荷可能な品質を維持できた。
斃死羽数及び斃死率は、対照1区(絶食処理)で1,001羽2.4%に対して、対照2区(大雛用飼料)は461羽1.09%と少ない結果であった。
一方、試験区は577羽、1.36%と対照1区比で約40%少ない結果であった。
【0028】
【表2-1】
【0029】
【表2-2】
【0030】
【表2-3】
【0031】
「463日令から552日令までの結果」
対照区は461日令から、試験区は471日令から通常の採卵鶏用飼料(粗たんぱく質含量:15.3%、代謝エネルギー値ME:2846kcal/kg)を給与開始し、誘導換羽用飼料の給与区が産卵率が約90%となる522日令(誘導換羽後72日令)までを表3に纏めた。
卵重、卵黄色、卵殻強度は、対照1区と試験区は日齢が進むにつれて回復し、大きな差はなかった。産卵率も誘導換羽後70日令で両区とも目標の約90%に到達し同等であった。しかし、対照2区は、卵重と卵黄色は他の区と大差がないものの卵殻強度が劣る結果であった。また、産卵率は回復するものの他の区に劣る結果であった。
斃死羽数及び斃死率は、対照1区の2,071羽4.96%に比べて、対照2区は1,140羽2.68%、試験区は1,190羽2.79%と約40%低い結果であった。
【0032】
【表3】
【0033】
以上の試験結果より、誘導換羽用飼料(本特許技術)を給与することで、従来の絶食や大雛用飼料給与による誘導換羽やよりも斃死率が少なく、誘導換羽期間中に生産された鶏卵の質の低下も少なく、鶏舎内を汚す事もなく、製品として出荷可能な品質を保持できることを確認した。
【0034】
実施例2 誘導換羽用飼料の給与試験例
1)供試鶏:ジュリアライト 対照1区 誘導換羽用飼料(CP含量11%、ME1481kcal/kg):41,500羽、対照2区 誘導換羽用飼料(CP含量14.5%、ME1851kcal/kg):42,130羽、試験区 誘導換羽用飼料(CP含量:12.9%、ME1690kcal/kg):42,240羽 計 125,870羽
【0035】
2)供試区:i)対照1区:誘導換羽用飼料(CP11.11%、ME1481kcal/kg)給与による誘導換羽
ii)対照2区:誘導換羽用飼料(CP14.5%、ME1851kcal/kg)給与による誘導換羽
iii)試験区:誘導換羽用飼料(CP12.9%、ME1690kcal/kg)給与による誘導換羽
飼料飼料の配合割合は表4に示した。
採卵鶏用飼料はマッシュ飼料、誘導換羽用飼料はクランブル飼料である。
【0036】
【表4】
【0037】
3)試験期間:451日令(誘導換羽開始日齢)~470日令(体重減少25%、産卵率停止)
【0038】
4)試験結果
「450日令から462日令までの結果」
誘導換羽を開始し、誘導換羽処理の目標である体重減少率25%(誘導換羽開示体重より25%低下を目標とする)を達成する470日齢(誘導換羽後20日令)までを表5に纏めた。
対照1区(CP11%、ME1480kcal/kg)は、誘導換羽後20日令で産卵が停止し、体重減少率24.7%には誘導換羽後20日令で到達した。
対照2区(CP14.5%、ME1850kcal/kg)は、誘導換羽後20日令でも産卵率は8%で停止せず、体重減少率は20.0%までしか低下しなかった。
一方、試験区は、対照1区と同様に誘導換羽後20日令で産卵が停止し、体重減少率25%に到達した。
平均摂取量は対照1区が52.4g/羽/日、対照2区が48.7g/羽/日、試験区は51.8g/羽/日で各区による大差はなかった。
誘導換羽期間中の鶏卵の質は、対照1区は、誘導換羽前の卵黄色は12.0であったが、誘導換羽後日齢が進むにつれて、若干低下し平均で11.0となった。また、卵殻強度は誘導換羽前 3.56kg/cm2であったが低下する傾向で平均2.99kg/cm2となった。
対照2区においては、卵黄色は1区同様に若干低下した。卵殻強度も1区同様に若干低下し、平均で3.01kg/cm2と低下した。
一方、試験区の卵黄色は誘導換羽前と差がなく平均で11.9となり、卵殻強度も誘導換羽前と殆ど差がなく平均で3.58kg/cm2であった。試験区の卵質は対照区を上回り製品として出荷可能な品質を維持できた。
斃死羽数と斃死率は、対照1区で802羽1.93%、対照2区で654羽1.55%に対して試験区は567羽、1.38%と少ない結果であった。
【0039】
【表5-1】
【0040】
【表5-2】
【0041】
【表5-3】
【0042】
以上の試験結果より、本発明の誘導換羽用飼料を給与することで、より斃死率が少なく、体重減少率25%に達すること、同時に産卵率も停止可能となった。また、誘導換羽期間中に生産された鶏卵の質の低下も少なく、鶏舎内を汚す事もなく、製品として出荷可能な品質を保持できることを確認できた。