(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015586
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】導入管理システム、情報処理装置、導入管理方法及び導入管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20230125BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119458
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】521321000
【氏名又は名称】株式会社digsas
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】石井 友規
(72)【発明者】
【氏名】森勝 遼太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ソフトウェアベンダが提供するITツールを、自社のビジネスプロセスと対応付けて管理する導入管理システム、方法、プログラム及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】導入管理システムは、ツール管理部及びプロセス管理部を備える。ツール管理部は、組織内で導入済のITツールである導入済ツール又は導入予定のITツールである導入予定ツールについて、ツール情報の登録を受け付ける。プロセス管理部は、組織内で運用中のビジネスプロセスである運用中プロセス又は、運用予定のビジネスプロセスである運用予定プロセスについて、複数の要素で構成するビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録を受け付け、プロセス情報に基づいて、ビジネスプロセスのチャートを表示処理し、要素に対して、ツール管理部が登録したITツールを対応付け可能に構成する。対応付けられたITツールは、チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ITツールの導入を支援する為の導入管理システムであって、
前記導入管理システムは、ツール管理部及び、プロセス管理部を備え、
前記ツール管理部は、組織内で導入済のITツールである導入済ツール又は、導入予定のITツールである導入予定ツールについて、ツール情報の登録を受け付け、
前記プロセス管理部は、組織内で運用中のビジネスプロセスである運用中プロセス又は、運用予定のビジネスプロセスである運用予定プロセスについて、複数の要素によって構成されるビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録を受け付け、
前記プロセス情報に基づいて、ビジネスプロセスのチャートを表示処理し、
前記要素に対して、前記ツール管理部が登録したITツールを対応付け可能に構成され、
対応付けられた前記ITツールが、前記チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される、
導入管理システム。
【請求項2】
ITツールの導入管理を生成する為の計画管理部を備え、
前記計画管理部は、ITツールの導入を計画する運用中プロセスに係るプロセス情報の指定を受け付けると共に、前記ツール管理部が登録した導入予定ツールに係るツール情報を1又は複数含んだ単位を、1又は複数登録することで、導入計画を生成し、
前記ツール管理部は、指定された単位の導入が可決された場合、若しくは、生成された導入計画の導入タスクが完了した場合、単位に含まれた導入予定ツールに係るツール情報を、導入済ツールに係るツール情報として登録する、
請求項1に記載の導入管理システム。
【請求項3】
前記計画管理部は、前記単位毎に、前記プロセス管理部が登録した運用予定プロセスに係るプロセス情報の指定を受け付け、
前記運用予定プロセスに含まれる前記要素には、導入予定ツールが設定されており、
前記プロセス管理部は、前記指定された単位の導入が可決された場合、若しくは、生成された導入計画の導入タスクが完了した場合、運用予定プロセスに係るプロセス情報を、運用中プロセスに係るプロセス情報として登録する、
請求項2に記載の導入管理システム。
【請求項4】
導入計画のタイムラインを生成するタイムライン管理部を備え、
前記ツール管理部は、ツール情報として、契約開始日及び、契約終了日を含む契約情報の登録を受け付け、
前記タイムライン管理部は、前記導入予定ツールの前記契約情報に基づいて、単位を導入する作業のタイムラインである単位導入タイムラインを生成する、
請求項2又は請求項3に記載の導入管理システム。
【請求項5】
組織内に存在する課題に係る課題情報の登録を受け付ける課題管理部を備え、
前記課題管理部は、前記運用中プロセスのプロセス情報に対して、前記課題情報を対応付け可能に構成され、
前記課題情報が対応付けされた前記プロセス情報が指定され、導入計画が生成されると、前記導入計画に対して、前記課題情報が対応付けられる、
請求項2~4の何れかに記載の導入管理システム。
【請求項6】
前記ツール情報は、ITツールの契約数及び単価若しくは契約金額を備え、
前記ツール管理部は、導入済ツールに係る前記ツール情報に基づいて、導入済ツールの期間別費用を算出する、
請求項1~5の何れかに記載の導入管理システム。
【請求項7】
前記ツール管理部は、導入済ツールに係る前記ツール情報及び、運用中プロセスに係る前記プロセス情報に基づいて、同じ運用中プロセスに含まれた導入済ツールを示す要素を連結した相関図を表示処理する、
請求項1~6の何れかに記載の導入管理システム。
【請求項8】
メンバー管理部を更に備え、
組織外のメンバーである組織外メンバーについて、情報の共有先となるメンバー情報の登録を受け付け、
メンバー情報が登録された組織外メンバーは、共有された情報を参照可能に構成される、
請求項1~7の何れかに記載の導入管理システム。
【請求項9】
ITツールの導入を支援する為の導入管理システムによる導入管理方法であって、
前記導入管理システムは、ツール管理部及び、プロセス管理部を備え、
前記ツール管理部が、組織内で導入済のITツールである導入済ツール又は、導入予定のITツールである導入予定ツールについて、ツール情報の登録を受け付けるステップと、
前記プロセス管理部が、組織内で運用中のビジネスプロセスである運用中プロセス又は、運用予定のビジネスプロセスである運用予定プロセスについて、複数の要素によって構成されるビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録を受け付けるステップと、
前記プロセス情報に基づいて、ビジネスプロセスのチャートを表示処理するステップと、を有し、
前記要素に対して、前記ツール管理部が登録したITツールを対応付け可能に構成され、
対応付けられた前記ITツールが、前記チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される、
導入管理方法。
【請求項10】
ITツールの導入を支援する為の導入管理プログラムであって、
コンピュータを、ツール管理部及び、プロセス管理部として機能させ、
前記ツール管理部は、組織内で導入済のITツールである導入済ツール又は、導入予定のITツールである導入予定ツールについて、ツール情報の登録を受け付け、
前記プロセス管理部は、組織内で運用中のビジネスプロセスである運用中プロセス又は、運用予定のビジネスプロセスである運用予定プロセスについて、複数の要素によって構成されるビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録を受け付け、
前記プロセス情報に基づいて、ビジネスプロセスのチャートを表示処理し、
前記要素に対して、前記ツール管理部が登録したITツールを対応付け可能に構成され、
対応付けられた前記ITツールが、前記チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される、
導入管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導入管理システム、情報処理装置、導入管理方法及び導入管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ソフトウェアベンダーから種々の製品・サービスが提供されており、企業は、提供される製品・サービスを自社のビジネスプロセスに導入し、企業活動を行っている。ソフトウェアベンダから提供されるサービスを評価する技術の一例が、例えば、特許文献1、2、3において提案されている。また、ソフトウェア上での操作履歴からビジネスプロセスを生成する技術の一例が、例えば、特許文献4において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/024251号
【特許文献2】特開2013-50747号公報
【特許文献3】特開2011-150563号公報
【特許文献4】特開2008-134906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2、3、4においては、ソフトウェアベンダから提供される種々のITツールを、自社のビジネスプロセスと対応付けて管理する技術は開示されていない。
【0005】
上記事情を鑑みて、本発明は、ソフトウェアベンダから提供されるITツールを、自社のビジネスプロセスと対応付けて管理する新規な技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記発明を解決するために、本発明は、ITツールの導入を支援する為の導入管理システムであって、
前記導入管理システムは、ツール管理部及び、プロセス管理部を備え、
前記ツール管理部は、組織内で導入済のITツールである導入済ツール又は、導入予定のITツールである導入予定ツールについて、ツール情報の登録を受け付け、
前記プロセス管理部は、組織内で運用中のビジネスプロセスである運用中プロセス又は、運用予定のビジネスプロセスである運用予定プロセスについて、複数の要素によって構成されるビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録を受け付け、
前記プロセス情報に基づいて、ビジネスプロセスのチャートを表示処理し、
前記要素に対して、前記ツール管理部が登録したITツールを対応付け可能に構成され、
対応付けられた前記ITツールが、前記チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される。
【0007】
また、本発明は、ITツールの導入を支援する為の導入管理システムによる導入管理方法であって、
前記導入管理システムは、ツール管理部及び、プロセス管理部を備え、
前記ツール管理部が、組織内で導入済のITツールである導入済ツール又は、導入予定のITツールである導入予定ツールについて、ツール情報の登録を受け付けるステップと、
前記プロセス管理部が、組織内で運用中のビジネスプロセスである運用中プロセス又は、運用予定のビジネスプロセスである運用予定プロセスについて、複数の要素によって構成されるビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録を受け付けるステップと、
前記プロセス情報に基づいて、ビジネスプロセスのチャートを表示処理するステップと、を有し、
前記要素に対して、前記ツール管理部が登録したITツールを対応付け可能に構成され、
対応付けられた前記ITツールが、前記チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される。
【0008】
また、本発明は、ITツールの導入を支援する為の導入管理プログラムであって、
コンピュータを、ツール管理部及び、プロセス管理部として機能させ、
前記ツール管理部は、組織内で導入済のITツールである導入済ツール又は、導入予定のITツールである導入予定ツールについて、ツール情報の登録を受け付け、
前記プロセス管理部は、組織内で運用中のビジネスプロセスである運用中プロセス又は、運用予定のビジネスプロセスである運用予定プロセスについて、複数の要素によって構成されるビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録を受け付け、
前記プロセス情報に基づいて、ビジネスプロセスのチャートを表示処理し、
前記要素に対して、前記ツール管理部が登録したITツールを対応付け可能に構成され、
対応付けられた前記ITツールが、前記チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される。
【0009】
このような構成とすることで、ビジネスプロセスを示すチャート及び、ITツールを対応付けて管理することが可能となる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、ITツールの導入計画を生成する為の計画管理部を備え、
前記計画管理部は、ITツールの導入を計画する運用中プロセスに係るプロセス情報の指定を受け付けると共に、前記ツール管理部が登録した導入予定ツールに係るツール情報を1又は複数含んだ単位を、1又は複数登録することで、導入計画を生成し、
前記ツール管理部は、指定された単位の導入が可決された場合、若しくは、生成された導入計画の導入タスクが完了した場合、単位に含まれた導入予定ツールに係るツール情報を、導入済ツールに係るツール情報として登録する。
【0011】
このような構成とすることで、導入計画が可決されると、導入計画に対応付けされた導入予定ツールを、導入済ツールとして登録することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記計画管理部は、前記単位毎に、前記プロセス管理部が登録した運用予定プロセスに係るプロセス情報の指定を受け付け、
前記運用予定プロセスに含まれる前記要素には、導入予定ツールが設定されており、
前記プロセス管理部は、前記指定された単位の導入が可決された場合、若しくは、生成された導入計画の導入タスクが完了した場合、運用予定プロセスに係るプロセス情報を、運用中プロセスに係るプロセス情報として登録する。
【0013】
このような構成とすることで、導入計画が可決された場合、若しくは、生成された導入計画の導入タスクが完了した場合、導入計画に対応付けされた運用予定プロセスを、運用中プロセスとして登録することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、導入計画のタイムラインを生成するタイムライン管理部を備え、
前記ツール管理部は、ツール情報として、契約開始日及び、契約終了日を含む契約情報の登録を受け付け、
前記タイムライン管理部は、前記導入予定ツールの前記契約情報に基づいて、単位を導入する作業のタイムラインである単位導入タイムラインを生成する。
【0015】
このような構成とすることで、導入計画に係るタイムラインを効率的に生成することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、組織内に存在する課題に係る課題情報の登録を受け付ける課題管理部を備え、
前記課題管理部は、前記運用中プロセスのプロセス情報に対して、前記課題情報を対応付け可能に構成され、
前記課題情報が対応付けされた前記プロセス情報が指定され、導入計画が生成されると、前記導入計画に対して、前記課題情報が対応付けられる。
【0017】
このような構成とすることで、課題の管理を効率的に行うことができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記ツール情報は、ITツールの契約数及び単価若しくは契約金額を備え、
前記ツール管理部は、導入済ツールに係る前記ツール情報に基づいて、導入済ツールの期間別費用を算出する。
【0019】
このような構成とすることで、導入済ツールの管理を効率的に行うことができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記ツール管理部は、導入済ツールに係る前記ツール情報及び、運用中プロセスに係る前記プロセス情報に基づいて、同じ運用中プロセスに含まれた導入済ツールを示す要素を連結した相関図を表示処理する。
【0021】
このような構成とすることで、導入済ツールの管理を効率的に行うことができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、メンバー管理部を更に備え、
組織外のメンバーである組織外メンバーについて、情報の共有先となるメンバー情報の登録を受け付け、
メンバー情報が登録された組織外メンバーは、共有された情報を参照可能に構成される。
【0023】
このような構成とすることで、社外のメンバーに対して情報を共有することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、ソフトウェアベンダから提供されるITツールを、自社のビジネスプロセスと対応付けて管理する新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】一実施の形態の情報処理装置及び端末装置のハードウェア構成図。
【
図3】一実施の形態の情報処理装置の機能ブロック図。
【
図4】一実施の形態のITツールの導入状況を示す画面の画面表示例。
【
図5】一実施の形態のビジネスプロセスを登録・編集する画面の画面表示例。
【
図6】一実施の形態のダッシュボードの画面表示例。
【
図7】一実施の形態の導入計画の生成から更新までの流れを示すフローチャート。
【
図8】一実施の形態の導入計画タイムラインを登録する際の画面表示例。
【
図9】一実施の形態の単位、評価項目を登録する際の画面表示例。
【
図10】一実施の形態の評価結果の登録する際の画面表示例。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0027】
例えば、本実施形態では導入管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、クライアント端末でその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させてもよい(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0028】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0029】
図1は、一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、導入管理システム0は、情報処理装置1及び複数の利用者端末装置2を備える。情報処理装置1及び利用者端末装置2は、通信ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。情報処理装置1は、サーバとして動作し、利用者端末装置2(クライアント端末)でその機能を実現する為に、導入管理プログラムを起動させる。組織3は、例えば会社組織であり、組織3に属する1又は複数の利用者が、利用者端末装置2を介して情報処理装置1を利用する。
【0030】
利用者は、導入管理システム0を介して、利用者が所属する組織3におけるビジネスプロセスを管理すると共に、組織3において導入されたITツールを管理する。導入管理システム0は、ソフトウェアベンダから提供されるITツールを、組織3のビジネスプロセスと対応付けて管理可能とする。
【0031】
ここで、「ITツール」は、ソフトウェアベンダ(サプライヤ)から提供されるアプリケーションを指し、利用契約により所望の機能について機能提供を受けるSaaS(Software as a Service)の場合がある。ITツールは、通信ネットワークNWを経由して利用者端末装置2において利用可能に提供されるマルチテナントのサービスを含む場合がある。
【0032】
呼称について区別する必要がある場合、組織3内で既に導入済のITツールを導入済ツール、導入予定のITツールを導入予定ツールと呼称する。区別する必要がない場合は、単にITツールと呼称する。なお、契約ライセンス数を増やす場合や契約プランを変更する場合も、導入済ツールのライセンスと区別する意味で、導入予定ツールと呼称してよい。
【0033】
「ビジネスプロセス」は、組織3において特定の目標を達成する為に、反復的に実行される手順の集合を指す。特定の目的は、典型的には製品やサービスの提供、組織3内部での申請等が挙げられる。なお、本実施形態では、利用者が定義した任意数の手順によって、1単位のビジネスプロセスが登録される。この時、1のビジネスプロセスは、目的を達成する手順の一部であってもよく、特定の目的が達成される工程を必ずしも含む必要はない。
【0034】
呼称について区別する必要がある場合、組織内で既に運用中のビジネスプロセスを運用中プロセス、運用予定のビジネスプロセスを運用予定プロセスと呼称する。区別する必要がない場合は、単にビジネスプロセスと呼称する。
【0035】
通信ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0036】
利用者端末装置2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。利用者端末装置2は、情報処理装置1に対してリクエストを行い、レスポンスを受け取る為のアプリケーション(典型的には、ウェブブラウザ)を有する。
【0037】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、ハードウェア構成として、制御部101と、記憶部102と、通信部103と、を備える。
【0038】
制御部101は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る導入管理プログラム、OSや、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置1の動作処理全体を制御する。
【0039】
記憶部102は、HDD、ROM、RAM等であって、本発明に係る導入管理プログラム及び、制御部101がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部101が、記憶部102に記憶されている導入管理プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0040】
通信部103は、通信ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置1を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0041】
図2(b)は端末装置90(利用者端末装置2)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末装置90も同様に、ハードウェア構成として、制御部901と、記憶部902と、通信部903と、入力部904と、出力部905と、を備える。
【0042】
端末装置90の制御部901は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末装置90の動作処理全体を制御する。端末装置90の記憶部902は、HDD、ROM、RAM等であって、上述の利用者用アプリプログラム又は提供者用アプリプログラム並びに、制御部901がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。端末装置90の通信部903は、ネットワークとの通信を制御する。端末装置90の入力部904は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、利用者/提供者による操作要求を制御部901に入力する。端末装置90の出力部905は、ディスプレイ等であって、制御部901の処理の結果等を表示する。
【0043】
<情報処理装置1の機能>
図3に示すように、情報処理装置1は、機能構成として、メンバー管理部11、ツール管理部12、プロセス管理部13、課題管理部14、タイムライン管理部15、計画管理部16及び、データベースDBを備える。これは、ソフトウェア(記憶部102に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(制御部101等)によって具体的に実現されたものである。情報処理装置1として、複数のコンピュータを用いて情報処理装置1を構成することが可能であり、その場合、これら複数のコンピュータの一部又は全体で、これらの機能構成が実行されればよい。
【0044】
次いで、
図4~6を参照して、導入管理システム0による処理内容について具体的に説明する。なお、以降で登録される種々の情報は、データベースDBに格納されるものとして説明する。
【0045】
<組織、メンバー(利用者)の登録>
メンバー管理部11は、組織3を示す組織情報をデータベースDBに登録する。組織情報は、組織識別情報及び、組織名を有する。組織情報には更に、組織内のグループが対応付けされる。本実施形態では、グループは、組織内における事業部単位を示す「部」及び、特定の目的で組成されるグループを示す「チーム」を含む。
【0046】
また、メンバー管理部11は、メンバー情報をデータベースDBに登録・編集する。メンバーは、システムの利用権限を付与される場合があり、利用権限を付与された(つまり情報の共有先となる)メンバーを利用者と呼称する。一方、システムの利用権限が付与されていないメンバーは、例えば、導入済ツールの契約管理者であったり、導入済ツールの実施権者(ライセンシー)であったり、運用中プロセスの運用管理者であったり、導入済ツールのソフトウェアベンダ側の担当者である。利用権限が付与されていないメンバーは、ビジネスプロセスやITツールについての問い合わせ先を示すメンバー情報として登録される。
【0047】
メンバー情報は、メンバー識別情報、メンバーが所属する組織3の組織識別情報、メンバーの氏名、メールアドレス、グループを有する。メンバーが利用者の場合、メンバー情報は、システムにログインする為のログインID及びパスワード並びに、付与された権限を示す情報を有していてよい。
【0048】
メンバー管理部11は、利用者として追加したい相手のメールアドレス等の入力を受け付けて、招待を送信することができる。招待を受けた相手は、招待から利用者登録が可能となる。利用者には異なる利用権限が付与されてよく、利用権限は、例えば、導入計画や導入済ツール、運用中プロセスの編集権限であったり、登録された情報の閲覧権限であったり、導入計画の承認権限である。また、ある組織3に属する利用者が、組織外のメンバーを利用者として招待する場合がある。例えば、利用者がベンダ側の営業担当であるときは、クライアントが組織外の利用者となり、ITツールの導入計画を提案されたりする。
【0049】
<ツール情報の登録>
データベースDBは、ITツールマスタを有する。ITツールマスタは、事前に集約したSaaSであるITツールに係るマスタであって、例えば、ツール識別情報に対応付けられたITツール名、アイコン画像、ITツールの種別、ベンダ名及び、ベンダのメールドメインをリストしている。ITツールマスタには、ITツール毎に、契約プランやパッケージ等の契約単位、プランやパッケージ等の契約単位毎の契約単価、ITツールのカテゴリ(ITツールの種類、分野等)が対応付けられてもよい。
【0050】
ここで、ITツールの種別とは、例えば、パッケージ(オンラインアプリケーションセット)及びサービス(オンラインアプリケーション)若しくは、パッケージ兼サービスを含む。契約単位となるITツールが、複数のサービスを包含するパッケージである場合、パッケージに含まれた個々のサービスのツール情報が、ツール識別情報等によってパッケージのツール情報に対応付けられている。パッケージタイプのITツールの具体例としては、Google Workspace等が挙げられ、パッケージにネストされるサービスは、例えば、Gmailやカレンダー、GOOGLE CHAT、GOOGLE MEET等である。一方で、サービス毎に契約を行う場合は、パッケージ兼サービスの種別が設定される。これにより、パッケージでの契約を管理する時、パッケージに含まれたサービスについても、ビジネスプロセスに対して対応付け可能となる。
【0051】
ツール管理部12は、ITツールに係るツール情報の登録・編集を受け付ける。ツール管理部12は、導入済ツール及び、導入予定ツールについて、ツール情報を登録する。ツール情報の登録に際して、利用者が利用者端末装置2を介してツール名を入力すると、ツール管理部12は、ITツールマスタからITツールを検索し、利用者に選択可能に提示する。本実施形態では、導入予定ツールは、後述する導入計画の生成に際して利用者が登録する。導入済ツールは、利用者が随時入力して登録する場合と、導入予定ツールを含んだ導入計画が可決されることで、導入済ツールとして登録される場合と、を含む。
【0052】
導入済ツールのツール情報は、組織情報に対応付けて格納され、選択されたツール識別情報、運用管理者のメンバー識別情報、契約情報、ライセンシー情報(メンバー情報)を有する。導入予定ツールのツール情報は、後述する導入計画情報に対応付けて格納され、選択されたツール識別情報及び、契約情報を少なくとも有する。契約情報は、契約名称、利用者によって指定される契約数及び契約単価(あるいは契約金額)、契約開始日及び、契約終了日を含む。契約情報は、解約申し出日を更に含んでいて良い。契約名称は、例えば、スタンダードやプロフェッショナル等、ITツールの契約プランを示す。ここで、契約名称や契約単価等の契約情報の一部は、ITツールマスタに持たせて参照可能に構成されてもよいし、利用者が入力してもよい。
【0053】
<導入済ツールの利用状況>
また、情報処理装置1は、ツール管理部12によって登録された導入済ツールのツール情報に基づいて、ITツールの導入状況を表示処理し、表示処理結果を利用者端末装置2に送信する。情報処理装置1は、利用者からの表示処理要求を受け付けると、必要に応じてデータベースDBに格納された情報を参照し、また集計等を行って種々の画面を表示処理して、表示処理結果を利用者端末装置2に返送する。以降、表示処理に関しては、不明にならない範囲で、情報処理装置1の介在を省略する。
【0054】
図4は、ITツールの導入状況を示す画面の画面表示例である。利用者端末装置2の出力部905には、利用者が所属する組織3が導入している導入済ツールが一覧表示される。画面W4Aは、導入済ツールのリストである。導入済ツールのリストは、ツール情報及び、後述のプロセス情報に基づいて、導入済ツールの名称(図示例ではアプリ名)、ビジネスプロセスへの対応付け数(図示例ではビジネスプロセスでの活用)、費用(図示例では今月の費用)、これまでの契約回数(更新含む)を示す契約更新数、ユーザ数、運用管理者名(図示例では運用管理者)が表示されている。入力部904を操作して、この中から所望の導入済ツールを選択操作すると、導入済ツールの詳細内容が表示される。
【0055】
画面W4Bは、導入済ツールの詳細内容を示す。画面W4Bには、選択操作された導入済ツールのITツール名(W41)、運用管理者(W42)、当該導入済ツールが連携された他のITツール(W43)、当該導入済ツールが対応付けされたビジネスプロセス、当該導入済ツールの期間別費用(W45)、契約情報(W46)及び、ライセンシー(W47)が表示される。連携された他のITツールとは、同じ運用中プロセスに含まれた導入済ツールを指す。
【0056】
プロセス管理部13は、ビジネスプロセスを示すプロセス情報の登録・編集を受け付ける。プロセス管理部13は、運用中プロセス、過去運用プロセス及び、運用予定プロセスについて、プロセス情報を登録する。プロセス情報は、プロセス識別情報を有し、ビジネスプロセスに含まれた手順を示すチャートが対応付けされる。また、プロセス情報には、1又は複数のITツール(本実施形態では、ツール識別情報)が対応付け可能に構成される。更に、ビジネスプロセスの運用管理者であるメンバー(利用者であってもよい(本実施形態では、メンバー識別情報))に、1又は複数の課題(本実施形態では、課題識別情報)が対応付け可能に構成される。また、プロセス情報に対して、ビジネスプロセスのバージョンや、運用開始日、運用終了日、内容説明のためのテキスト等が適宜対応付けされてよい。過去運用プロセスは、過去に運用していたビジネスプロセスを意味する。
【0057】
本実施形態では、ビジネスプロセスは、複数の要素によって構成されたチャートの態様をとり、要素はブロック及びパスを含む。ブロックの要素には、要素で特定される作業等を説明する為のテキストが記述され、必要に応じてITツールを対応付けできる。対応付けられたITツールは、チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される。
【0058】
また、パス要素に対しても、必要に応じてITツールを対応付けできる。対応付けられたITツールは、チャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される。パス要素に対してITツールが対応付けられる場合、典型的には、次のブロック要素に対して、情報を出力するITツールが表現される。また、パス要素には、例えば、ITツールに加え、連携タイプ及び管理責任者が対応付け可能であるのが好ましい。連携タイプは、ブロックへの情報の入力又は、ブロックからの情報の出力が、人手(手入力や、ファイルのインポート、エクスポート等)によるものなのか、ソフトウェアベンダからデータ連携ツール(API等)が提供されているのか、あるいは、自社でデータ連携ツールを開発中(あるいは、開発済み)なのか、を示す。例えば、データ連携の場合には、パス要素にITツールが対応付けられる。管理責任者は、ツール情報やプロセス情報に含まれたツールやプロセスの管理責任者であってもよいし、パス要素に相当するフローの主管理者であるメンバーを、パス要素に対する情報の対応付けのタイミングで指定して、パス要素の管理責任者としてもよい。
【0059】
図5は、ビジネスプロセスを登録・編集する際の画面表示例である。
図5(a)は、運用中プロセスの一例を示す画面表示例である。
図5(b)は、運用予定プロセスの一例を示す画面表示例である。ビジネスプロセスは、複数の要素を備え、プロセス管理部13は、入力部904を介して、パレットW57から選択操作された要素の選択・配置を受け付けて、ビジネスプロセスを示すチャートを生成する。チャートは、スタート要素(W51)、パス要素(W52)、ブロック要素(W53)、エンド要素(W54)を含む。ビジネスプロセス中の要素(
図5(b)ではブロック要素(W53))には、ITツールを対応付けることができ、対応付けられたITツールのアイコン(W58)がチャート中の対応する要素上又は要素近傍に表示処理される。
【0060】
なお、その他、条件分岐要素やAND要素、OR要素によってチャートを生成可能であってよい。ITツールは、ブロック要素(W53)以外の他の要素(AND要素、OR要素、例えば条件分岐の要素等)に対して対応付けされてよく、また、
図5(b)のエンド要素の一つ前のブロック要素(W53)の如く、プロセス管理部13は、複数のITツールを1つの要素に対して対応付けてよい。また、プロセス管理部13は、複数のITツールを1つのプロセスに対して対応付けてよい。
【0061】
また、プロセス管理部13は、グループ領域(W55)の設定を受け付けて、要素を、指定したグループ領域に配置可能に構成されている。追加ボタン(W56)が選択操作されると、組織情報に対応付けられたグループ(本実施形態では、部及びチーム)が参照され、配置可能なグループが選択可能に提示される。そして、指定されたグループを示すグループ領域(W55)が、画面上に追加される。更に、ビジネスプロセスに対して、課題情報が対応付け可能であってもよく、好ましくは、チャート中の対応する要素上又は要素近傍に課題を示す要素が表示処理される。
【0062】
また、プロセス管理部13は、登録された運用中プロセスのプロセス情報に基づいて、組織3におけるビジネスプロセスをリスト表示したり、リストから選択されたビジネスプロセスを、
図5の如く表示処理してよい。
【0063】
<ダッシュボード>
図6は、当該組織3に係る情報を一覧表示するダッシュボードの画面表示例である。画面W6は、ダッシュボードを示す。ダッシュボードは、導入計画の一覧(W61)、ITツールの相関図(W62)、すべての導入済ツールの期間別費用(W63)、新規ITツールの契約情報(W64)を表示する。相関図(W62)について、情報処理装置1は、導入済ツールに係るツール情報及び、運用中プロセスに係るプロセス情報に基づいて、同じ運用中プロセスに含まれた導入済ツール(即ち、連携しているITツール(W43))を示す要素を連結した相関図を表示処理する。図示例では、AアプリにB、Cが連携され、DアプリにB、Fが連携され、FアプリにE、Gが連携されている。期間別費用(W63)について、情報処理装置1は、導入済ツールの契約情報(金額と契約開始・終了日)に基づいて、導入済ツールの月額料金を積算した積み上げグラフの態様で、その金額を表示処理する。
【0064】
<課題情報の登録>
課題管理部14は、組織3に存在する課題に係る課題情報の登録・編集を受け付ける。本実施形態では、課題情報は、課題識別情報に対して、理想の状態を示すテキスト、発生している課題を示すテキスト、取り組むべき課題を示すテキスト、重視するポイントを示すテキスト、備考を示すテキスト、未解決/解決済のフラグ、課題の登録日時、フラグ変更日時が対応付けられる。課題情報は、後述の導入計画の動機付けとして参照され、また、導入予定ツールの評価項目として参照される。
【0065】
また、課題管理部14は、登録された課題情報に基づいて、組織3における課題をリスト表示したり、リストから選択された課題の詳細を表示したり、フラグ等に基づいて課題をフィルタ表示してよい。また、課題管理部14は、未解決の課題等をダッシュボードに表示処理しても構わない。
【0066】
<タスク情報の登録>
タイムライン管理部15は、実行すべき行動を示すタスクに係るタスク情報の登録・編集を受け付ける。本実施形態では、タスク情報は、タスク識別情報に対して、タスク内容を示すテキスト、未完了/完了のフラグ、タスクの登録日時、タスクの完了予定日時、フラグ変更日時が対応付けられる。ここで、特定のタスク情報には、ITツール又はビジネスプロセスが対応付けされてよく、このタスクが完了した時(本実施形態では、完了フラグが設定された時)、ツール管理部12又はプロセス管理部13は、ツール情報又はプロセス情報を更新する。
【0067】
また、タイムライン管理部15は、登録されたタスク情報に基づいて、組織3におけるタスクをリスト表示したり、リストから選択されたタスクの詳細を表示したり、フラグ等に基づいてタスクをフィルタ表示してよい。また、タイムライン管理部15は、未完了のタスク等をダッシュボードに表示処理しても構わない。
【0068】
<導入計画の生成>
計画管理部16は、導入計画情報を登録・編集して、ITツールの導入計画を生成する。導入計画情報は、導入計画識別情報、導入計画のプロジェクト名及び、ステータスを有する。導入計画識別情報には、これから導入を予定している1又は複数の導入予定ツール、導入予定ツールを適用予定の運用中プロセスが対応付けされる。ここで、導入計画に対応付けられる導入予定ツールは、単独のITツールであってもよいし、複数のITツール群であってもよい。更に、このITツール又はITツール群を、1又は複数単位、導入計画に対応付けしてよい。複数対応付けされる単位は、選択して採用されるパラレルな単位であり、単語に含まれたITツールの数は等しくなくてもよい。これにより、運用中プロセスに対して、導入を検討する単位同士を比較可能に構成される。ステータスは、例えば、ドラフト、提出済、棄却、差戻、承認等が設定される。
【0069】
更に、導入計画には、運用中プロセスに対して導入済ツール、課題、が対応付けされる場合がある。計画管理部16は、既存の状態を示す単位と、導入を検討する単位が比較可能に構成されてもよい。ここで、運用中プロセスに導入済ツールを含む単位が対応付けられる場合、この単位と、導入予定ツールを含む単位が比較可能に構成されるのが好ましい。また、導入計画に対しては、導入予定ツールを採用した場合の運用予定プロセスが対応付けされる場合がある。更に、導入計画に対しては、導入計画のタイムラインが設定される場合があり、また、導入計画のタイムラインの一部として、あるいは区別して、導入予定ツールを含む単位の導入に係るタイムラインが設定される場合がある。
【0070】
<タイムラインの生成>
タイムライン管理部15は、タイムラインを生成する。本実施形態では、導入計画のタイムラインは、導入が計画されている単位毎に設定される。この単位を導入する作業のタイムラインを、単位導入タイムラインと呼称する。ここで、タイムラインは、課題及び、タスクを含む場合がある。課題及び/又はタスクは、ITツールの契約情報に基づいて生成されてよく、特にタスクには、例えば契約情報が示すITツールのツール情報や、更にこのITツールが対応付けられたビジネスプロセスのプロセス情報が対応付けられてよい。例えば、タイムライン管理部15は、導入予定ツールの契約情報に含まれた契約開始日に基づいて、単位導入タイムラインの契約作業を示すタスク情報を登録し、タスクをタイムラインに追加したりしてよい。例えば、タイムライン管理部15は、導入済ツールの契約情報に含まれた契約終了日に基づいて、導入計画タイムラインの契約解除の申込作業を示すタスク情報を登録し、タスクをタイムラインに追加したりしてよい。なお、タイムライン管理部15は、1つのツール又はプロセス毎に、1又は複数のタスクを示すタスク情報を登録し、タスクをタイムラインに追加してよい。また、運用予定プロセスに対応付けされた課題情報に基づいて、タイムラインに作業を示すタスクを追加してよい。
【0071】
<導入計画の生成から更新までの手順>
図7は、導入計画の生成から更新までの流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS71において、運用予定プロセスのプロセス情報が登録される。利用者は、プロセス管理部13を介して、運用中プロセス(
図5(a)に例示されるようなチャート)を登録する。
【0072】
なお、ステップS71時点で、メンバー管理部11を介して、必要なメンバーの情報を既に登録しているものとする。また、既に組織3において利用中のITツールが存在する場合は、ツール管理部12を介して導入済ツールのツール情報を登録しておく。更に、その導入済ツールが、ビジネスプロセス中で使用されている場合には、ステップS71において、プロセス管理部13を介して、チャートに含まれたブロック要素に対してツール情報を対応付けしておく。
【0073】
ステップS72において、未解決フラグの課題を登録する。例えば、「紙ドキュメントのコスト削減」等の課題が課題情報として登録される。この時、課題は、ビジネスプロセスに対して対応付けされてよい。ステップS73では、特定の運用中プロセスを改善する為に、ITツールの導入を計画する目的で、導入計画情報が登録される。
【0074】
<導入計画の生成手順>
導入計画情報を登録するにあたり、まず、計画管理部16は、プロジェクト名の入力を受け付ける。そして、ステップS76において、計画管理部16は、タイムライン管理部15を介して導入計画タイムラインの入力を受け付け、導入計画情報に対応付ける。
図8は、導入計画タイムラインを登録する際の画面表示例である。
【0075】
<タイムラインの登録>
タイムライン管理部15は、当該導入計画に対応付ける導入計画タイムラインを生成する。タイムラインには、導入計画を実現する為に、月次で解決すべき課題や作業が追加される。タイムライン管理部15は、データベースDBに格納された未解決の課題情報を利用者に選択可能に提示し、選択された課題をタイムラインの任意の領域に追加可能に構成される。課題は、図示例のように、指定された単位期間に対して割り付け可能であり、課題を対応付けたタイムラインを生成することで、課題の解決がスケジュールされる。また、導入計画に対して、導入計画の責任者や、承認や差戻、棄却を行うメンバーが対応付けされてよい。
【0076】
ステップS77では、計画管理部16は、導入計画が関連する(導入計画によって改善を行う)運用中プロセスの指定を受け付け、導入計画情報に対応付ける。本実施形態では、例えば、
図5(a)のような運用中プロセスが導入計画情報に対応付けされたとする。なお、プロセス管理部13は、プロセス情報が導入計画に対応付けされると、未完の導入計画(例えば、ステータスがドラフト又は、提出済の導入計画)に対応付けされた運用中プロセスをロックして、編集等できないようにしてもよい。
【0077】
<導入予定ツール(単位)の登録>
次に、ステップS78では、計画管理部16は、今回導入を検討している導入予定ツールを登録することで、1以上の単位を登録する。
図9(a)は、単位を登録する際の画面表示である。情報処理装置1は、表示処理要求を受け付けて画面を表示処理し、表示処理結果を返送する。
【0078】
画面W9Aは、単位表示領域(W91)を有している。単位表示領域(W91)は、追加ボタン(W96)を選択操作すると、更に単位表示領域(W91)を1行追加することができる。単位表示領域(W91)は、単位名の入力領域(W92)、導入予定ツールの入力領域(W93)、単位中での導入予定ツール数の追加ボタン(W94)、導入予定ツール毎の契約情報の追加ボタン(W95)を有する。情報処理装置1は、追加ボタン(W96)の選択操作を受け付けると、単位表示領域(W91)内に、導入予定ツールの入力領域(W93)及び追加ボタン(W95)を1行追加する。ここで、1の導入予定ツールに対しては、複数の契約情報が対応付けされてよい。
【0079】
入力部904を介して入力領域W93にITツールの名称の一部又は全部が入力されると、情報処理装置1は、ITツールマスタからITツールを検索し、利用者に選択可能に提示する。また、追加ボタン(W95)を選択操作すると、契約情報の追加の入力領域が表示処理される。ツール管理部12は、入力された情報に基づいて、導入予定ツールのツール情報及び契約情報をデータベースDBに格納する。計画管理部16は、導入予定ツールのツール情報を単位に対応付けると共に、導入計画情報に対応付けてデータベースDBに登録する。
【0080】
<評価項目の登録>
更に、計画管理部16は、それぞれの単位を評価する為の評価項目を登録して、導入計画情報に対応付けてデータベースDBに格納する。
図9(b)は、評価項目を登録する際の画面表示例である。画面W9Bは、評価項目毎に項目表示領域(W97)を有している。項目表示領域(W97)は、追加ボタン(W98)を選択操作すると、更に1行追加することができる。項目表示領域(W97)は、評価項目名の入力領域、評価項目の優先度及び、結果入力形式の指定欄を有する。
【0081】
ここで、計画管理部16は、ステップS76において導入計画情報に対応付けられた導入計画タイムライン中の課題及び/又はステップS77において導入計画情報に対応付けられた運用中プロセス中の課題を、評価項目に追加可能に構成されている。本実施形態では、計画管理部16は、導入計画等に対応付けらえれた課題情報の数に応じて項目表示領域(W97)を追加し、課題情報に含まれた解決すべき課題のテキストに基づいて、評価項目名を設定する。評価項目の優先度は、この評価項目を評価した際の得点の重みを示し、優先度が高いほど、評価した際の得点が高くなる。
【0082】
<評価結果の登録>
そして、この評価項目毎に、単位別の評価結果を入力して、導入計画を単位毎に評価したレポートを生成する。
図10は、評価結果を登録する際の画面表示例である。画面W10は、単位列(W101)と、評価項目行(W102)をマトリックス表示しており、単位別の評価項目別の評価結果を、入力領域W103に入力することができる。なお、情報処理装置1は、単位列(W101)に、単位を構成する1又は複数の導入予定ツールを把握可能に表示処理している(図示例では、アイコンを表示している)。また、入力領域W103を介して、評価項目別にみた各単位についてのポイント及び、コメントを入力可能に構成されている。
【0083】
情報処理装置1は、結果表示欄W104に、それぞれの単位毎に算出した契約総費用及び、適合度を表示処理する。計画管理部16は、導入予定ツールの契約情報に基づいて、導入予定ツールを契約した場合に契約期間中に発生する金額(例えば、契約数量×単価×契約期間)を、単位に含まれたすべての導入予定ツールについて算出し、その合計を契約総費用として算出する。図示例では、単位1についてはX,Y,Zの3つのITツールを、単位2についてはW,Yの2つのITツールを、契約開始日から契約終了日まで契約した場合に発生する金額の総費用を、それぞれ表示処理している。
【0084】
また、情報処理装置1は、適合度について、評価項目毎に入力された優先度及び、入力領域W103に入力されたポイントに基づいて算出し、処理結果を表示する。優先度は、ポイントあたりの適合度の上昇率を意味し、優先度が高い評価項目程、1ポイント当たりの適合度の上昇が大きい。情報処理装置1は、この契約総費用及び適合度を、単位毎に算出する。更に、総評の入力領域W105には、契約総費用及び適合度を踏まえての単位毎の総評を入力でき、計画管理部16は、画面W10を介して入力されたポイントやテキスト等の情報を、導入計画情報に対応付けてデータベースDBに格納する。なお、評価項目を設定する際に、結果入力形式の指定欄にて指定された入力形式に応じて入力領域W103が表示処理される。
【0085】
また、プロセス管理部13を介して、単位毎に、運用予定プロセスを登録する。例えば、
図5(b)のような運用予定プロセスを、導入計画情報に対応付けする。ここで、プロセス管理部13は、単位に含まれたITツールを運用予定プロセスに対応付ける。
【0086】
また、タイムライン管理部15を介して、単位毎に、単位導入タイムラインを登録する。ここで、タイムライン管理部15は、単位に含まれたITツールの契約情報における契約期間(契約開始日)に基づいて、タイムライン中の要素(例えば、契約申込や契約解除(解約)申込)を単位導入タイムライン中に追加してもよい。
【0087】
そして、ステップS79において、当該導入計画についての意思決定を行う利用者(決裁者)を導入計画情報に対応付ける。計画管理部16は、導入計画の計画者である利用者からの導入計画の提出を受け付けると、決済者に対して導入計画を閲覧可能とする。導入計画が提出されると、計画管理部16は、導入計画情報のステータスを「提出済」に変更してもよい。また、計画管理部16は、導入計画が提出されたことを利用者(決裁者)に対して通知してもよい。
【0088】
計画管理部16は、決済者から、提出された導入計画の承認を受け付けることができる。ステップS74において、導入計画が承認された場合(ステップS74でYES)、ステップS75に進む。なお、導入計画に2以上の単位が含まれた場合は、計画管理部16は、承認手続に加えて、承認の対象となる単位の指定を、決済者より受け付けてよい。また、決済者は、複数名であってもよく、その場合、全員の承認によって導入計画が可決されたり、多数決によって導入計画が可決されたりしてよい。導入計画が承認された場合、計画管理部16は、導入計画情報のステータスを「承認」に変更する。なお、導入計画が承認されなかった場合(ステップS74でNO)、計画管理部16は、導入計画情報のステータスを「差戻」や「棄却」に変更する。
【0089】
指定された単位の導入が可決された場合、若しくは、可決により生成された導入計画の導入タスクが完了した場合、ツール管理部12は、単位に含まれた導入予定ツールに係るツール情報を、導入済ツールに係るツール情報として登録する。更に、プロセス管理部13は、運用予定プロセスに係るプロセス情報を、運用中プロセスに係るプロセス情報として登録する。なお、導入計画の導入タスクとは、例えば、タイムライン管理部15が生成した、指定された単位に含まれた導入予定ツール及び/又は運用予定プロセスの契約(追加)であったり、ITツールの解約や、ビジネスプロセスの廃止等を示すタスクである。
【0090】
より詳細には、可決された導入計画において運用中プロセス(第1の運用中プロセス)が指定されていた場合、プロセス管理部13は、この第1の運用中プロセスを示すプロセス情報に、運用終了日を追加し、過去運用プロセスとしてデータベースDBに登録する。そして、可決された単位(導入予定ツール)に対応付けされていた運用予定プロセスを示すプロセス情報に運用開始日を追加し、運用中プロセス(第2の運用中プロセス)として、データベースDBに登録する。
【0091】
この際、第1の運用中プロセス(過去運用プロセス)にのみ対応付けされた第1の導入済ツールが存在した場合、タイムライン管理部15は、導入タスク(導入済ツールを解約する為のタスク)を生成し、ツール管理部12はこの第1の導入済ツールを解除してもよい。導入済ツールを解除する場合、ツール管理部12による解除は、導入計画の可決によって実行されてもよいし、導入計画の可決によって生成された導入タスクの完了によって実行されてもよい(前者の場合は、タイムライン管理部15は、導入タスクを生成しなくてもよい。)。導入済ツールを解除しない場合、情報処理装置1(例えば、ツール管理部12、プロセス管理部13又は、計画管理部16)は、過去運用プロセスにのみ対応付けされた第1の導入済ツールが存在することを、メンバーに対して通知してよい。通知先のメンバーは、例えば、ツール情報に含まれた運用管理者のメンバー識別情報を含んでよく、それに加えて又は、代えて、プロセス情報に含まれたビジネスプロセスの運用管理者のメンバーを含んでよい。一方で、第1の運用中プロセスに加え、他の運用中プロセスにも対応付けされた第1の導入済ツールについては、タイムライン管理部15は、導入タスク(導入済ツールを解約する為のタスク)を生成しなくてもよく、ツール管理部12は第1の導入済ツールを解除しなくてもよい。
【0092】
また、可決された単位に含まれる導入予定ツール(後の第2の導入済ツール)が運用予定プロセス(後の第2の運用中プロセス)にのみ対応付けされた場合、タイムライン管理部15は、導入タスク(導入予定ツールを契約する為のタスク)を生成し、ツール管理部12は導入予定ツールを導入済ツール(第2の導入済ツール)として登録する。ツール管理部12による登録は、導入計画の可決によって実行されてもよいし、導入計画の可決によって生成された導入タスクの完了によって実行されてもよい(前者の場合は、タイムライン管理部15は、導入タスクを生成しなくてもよい。)。一方で、導入予定ツールであるITツールが、運用予定プロセス(後の第2の運用中プロセス)に加え、他の運用中プロセスにも対応付けされる場合、タイムライン管理部15は、導入タスク(導入予定ツールを契約する為のタスク)を生成しなくてもよく、ツール管理部12は導入予定ツールを導入済ツール(第2の導入済ツール)として登録しなくてもよい。
【0093】
更に、1つのツール又はプロセスに対して複数の導入タスク(ツールの契約、追加、解約、プロセスの導入、変更、廃止)が登録される場合、ツール管理部12又はプロセス管理部13は、例えば、登録された複数の導入タスクすべての完了が登録されることで、組織3に対応付けされる導入済ツールや運用中プロセスを編集(導入済ツールや運用中プロセスの追加/解除)してよいし、登録された複数のタスクのうちの1のタスク(例えば最後のタスク)や、複数のキーとなるタスクの完了が登録されることで、導入済ツールや運用中プロセスの追加/解除を行ってもよい。
【0094】
ステップS75においては、プロセス管理部13は、運用中プロセスを、承認された単位に対応する運用予定プロセスに更新する。また、ツール管理部12は、承認された単位に含まれた導入予定ツールを、導入済ツールとしてデータベースDBに登録する。また、単位に導入済ツールが含まれている場合、導入予定ツールとして登録された契約情報に基づいて導入済ツールに対応付けられた契約情報(契約期間(契約終了日等)、契約人数)を更新する。
【符号の説明】
【0095】
0 :導入管理システム
1 :情報処理装置
11 :メンバー管理部
12 :ツール管理部
13 :プロセス管理部
14 :課題管理部
15 :タイムライン管理部
16 :計画管理部
101 :制御部
102 :記憶部
103 :通信部
2 :利用者端末装置
3 :組織
90 :端末装置
901 :制御部
902 :記憶部
903 :通信部
904 :入力部
905 :出力部
NW :通信ネットワーク