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特開2023-155874変化熱物性地震波伝播模擬方法、システム、及び機器
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  • 特開-変化熱物性地震波伝播模擬方法、システム、及び機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155874
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】変化熱物性地震波伝播模擬方法、システム、及び機器
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/30 20060101AFI20231016BHJP
   G01V 1/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
G01V1/30
G01V1/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159420
(22)【出願日】2022-10-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202210370973.9
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】519008773
【氏名又は名称】中国石油大学(華東)
【氏名又は名称原語表記】China University of Petroleum(East China)
【住所又は居所原語表記】No.66,West Changjiang Road,Huangdao District,Qingdao,Shandong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】王志偉
(72)【発明者】
【氏名】符力耘
(72)【発明者】
【氏名】王恩江
(72)【発明者】
【氏名】薛章納
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼武兵
(72)【発明者】
【氏名】侯婉▲テイ▼
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB01
2G105GG03
2G105GG04
2G105LL07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高温地層の地下構造のイメージング時に、高温媒体内での弾性波の波動場スナップショットを模擬できないことにより、地震イメージングが不正確になる課題を解決することを目的とする。
【解決手段】地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得することと、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により傾斜率値を算出することと、変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬することと、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを取得することと、を含む。本発明は、異なる地層温度媒体内での弾性波の波動場スナップショット模擬を完成させ、さらに地震イメージングの品質を高める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変化熱物性地震波伝播模擬方法であって、該方法は、以下ステップ:
地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得し、前記震源パラメータには、震源種類、震源卓越周波数が含まれ、前記変化熱物性媒体パラメータには、変化熱物性媒体の密度、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、参照温度、ラメ定数が含まれ、前記速度モデルパラメータには、速度モデルの大きさ、格子間隔、格子数量、時間ステップ長及び吸収境界厚さが含まれ、前記変化熱物性媒体が岩石である、S100と、
前記変化熱物性媒体パラメータに基づいて、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値、を算出する、S200と、
Kirchhoff変換を利用して、温度に応じて変化する熱伝導率及び比熱を均一等方性のL-S熱弾性動力学方程に導入し、変化熱物性熱弾性動力学方程を構築する、S300と、
前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬する、S400と、
ステップS400で取得された波動場スナップショットに基づいて、前記傾斜率値と結びつけ、参照温度の温度増量とプリセットの変数θとの換算関係により、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを得る、S500と、を含む、ことを特徴とする変化熱物性地震波伝播模擬方法。
【請求項2】
変化熱物性媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式は、

であり、
そのうち、Tは、参照温度の温度増量であり、γ(T)は、温度に応じて変化する熱伝導率であり、γは、岩石熱伝導率であり、γは、常温下での岩石の熱伝導率であり、γは、係数であり、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度を表し、Cは、比熱であり、C(T)は、温度に応じて変化する比熱であり、Kは、熱拡散率であり、ρは、密度である、ことを特徴とする請求項1に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法。
【請求項3】
前記均一等方性のL-S熱弾性動力学方程は、

であり、
そのうち、Δは、ラプラス演算子であり、τは、緩和時間であり、βは、応力係数であり、β=(3λ+2μ)αであり、αは、熱膨張係数であり、λ及びμは、ラメ定数と総称され、T’、u’は、それぞれ、T、uの時間に関する一階導関数を求めることを表し、T”、u”j,j、u”は、それぞれ、T、u、uの時間に関する二階導関数を求めることを表し、u及びuは、変位を表し、i,j=1,2であり、uは、x方向の変位を代表し、uは、z方向の変位を代表し、右下添字i又はjは、x方向又はz方向に関する一階導関数を求めることを表し、右下添字ji又はjjは、x方向又はz方向に関する二階導関数を求めることを表す、ことを特徴とする請求項2に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法。
【請求項4】
変数θは、
である、ことを特徴とする請求項3に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法。
【請求項5】
前記変化熱物性の熱弾性動力学方程は、

であり、
そのうち、θ’は、θの時間に関する一階導関数を求めることを表し、θiiは、θの変位に関する二階導関数を求めることであり、i=1,2であり、それぞれは、x方向又はz方向に関する二階導関数を求めることを表し、∂/∂tは、時間tに関する導関数を求めることを表し、Tは、参照温度である、ことを特徴とする請求項4に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法。
【請求項6】
前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬し、その方法は、
前記変化熱物性の熱弾性動力学方程を速度-応力速度の形式に従って展開し、空間導関数は、フーリエ変換を採用し、時間導関数は、中心差分を採用し、擬似スペクトル法を利用して各時間点及び各位置における弾性波の振幅値、即ち熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショット、を模擬する、ことである、ことを特徴とする請求項5に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法。
【請求項7】
前記参照温度の温度増量Tとプリセットの変数θとの換算関係は、
である、ことを特徴とする請求項5に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法。
【請求項8】
パラメータ取得モジュール、傾斜率値算出モジュール、方程構築モジュール、擬似スペクトル法模擬モジュール、リアルな波動場スナップショット取得モジュールを含む変化熱物性地震波伝播模擬システムであって、
前記パラメータ取得モジュールは、地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得するように構成され、前記震源パラメータには、震源種類、震源卓越周波数が含まれ、前記変化熱物性媒体パラメータには、変化熱物性媒体の密度、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、参照温度、ラメ定数が含まれ、前記速度モデルパラメータには、速度モデルの大きさ、格子間隔、格子数量、時間ステップ長及び吸収境界厚さが含まれ、前記変化熱物性媒体が岩石であり、
前記傾斜率値算出モジュールは、前記変化熱物性媒体パラメータに基づいて、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値、を算出するように構成され、
前記方程構築モジュールは、Kirchhoff変換を利用して、温度に応じて変化する熱伝導率及び比熱を均一等方性のL-S熱弾性動力学方程に導入し、変化熱物性熱弾性動力学方程を構築するように構成され、
前記擬似スペクトル法模擬モジュールは、前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬するように構成され、
前記リアルな波動場スナップショット取得モジュールは、擬似スペクトル法模擬モジュールにより取得された波動場スナップショットに基づいて、前記傾斜率値と結びつけ、参照温度の温度増量とプリセットの変数θとの換算関係により、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを得るように構成される、ことを特徴とする変化熱物性地震波伝播模擬システム。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリとを含む機器であって、
前記メモリには、前記プロセッサにより実行可能な指令が記憶され、前記指令は、前記プロセッサにより実行されて請求項1~7のいずれか一項に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法を実現するために用いられる、ことを特徴とする機器。
【請求項10】
コンピュータ可読な記憶媒体であって、前記コンピュータ可読な記憶媒体には、コンピュータ指令が記憶され、前記コンピュータ指令は、前記コンピュータにより実行されて請求項1~7のいずれか一項に記載の変化熱物性地震波伝播模擬方法を実現するために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地球物理探査、深水(海洋地質調査)/深層(陸地地質調査)オイル・ガス探査の分野に属し、具体的には、変化熱物性地震波伝播模擬方法、システム、及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、オイル・ガス探査開発は、一般的なオイル・ガス資源から、深層/深水オイル・ガス資源へと徐々に発展し、深層/深水オイル・ガスの探査は、主に地球物理技術に依存しているが、岩石物理研究は、オイル・ガス検層評価及び地震予知の基礎であり、深層/深水オイル・ガス探査は、局所的な突破が取得されたものの、深層/深水の高温高圧条件下での岩石物理法則の認識が不明確であり、高温岩石物理の理論及び実験研究は始まったばかりで、深層/深水環境下での高温による貯留岩の地球物理応答特徴の研究は、ほぼ空白である。地下のリアルな高・急勾配構造について、常温の状況のみを考慮し、数値方法を利用して媒体内での弾性波の波動場スナップショットを模擬することができるし、高精度シフトアルゴリズムを用いてイメージングを行い、その高・急勾配構造形態を復元することもできる。しかし、1つの高・急勾配構造について、異なる地層の温度が異なれば、この仮定のほうはより実際の地層に適合し、該媒体における弾性波の伝播過程はどのようになっているか、その波動場特徴、位相速度、走時はどうようになっているか、採集された信号は減衰したか否か、高精度のシフトアルゴリズムを利用してイメージングしその界面は正確か否か、高温媒体で未だに不明確であるが、以上の疑問に答えたいのであれば、まず高温媒体における弾性波の伝播法則を研究する必要がある。これに基づいて、本発明は、変化熱物性地震波伝播模擬方法、システム、及び機器を提出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第105759310号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術における上記課題を解決するために、即ち、高温地層の地下構造のイメージング時に、従来技術が高温媒体内での弾性波の波動場スナップショットを模擬できないことによる、地震イメージングが不正確になるという課題を解決するために、本発明の第1の態様は、変化熱物性地震波伝播模擬方法を提出し、該方法は、以下のステップ:
【0005】
地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得し、前記震源パラメータには、震源種類、震源卓越周波数が含まれ、前記変化熱物性媒体パラメータには、変化熱物性媒体の密度、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、参照温度、ラメ定数が含まれ、前記速度モデルパラメータには、速度モデルの大きさ、格子間隔、格子数量、時間ステップ長及び吸収境界厚さが含まれ、前記変化熱物性媒体が岩石である、S100と、
【0006】
前記変化熱物性媒体パラメータに基づいて、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値を算出する、S200と、
【0007】
Kirchhoff変換を利用して、温度に応じて変化する熱伝導率及び比熱を均一等方性のL-S熱弾性動力学方程に導入し、変化熱物性熱弾性動力学方程を構築する、S300と、
【0008】
前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬する、S400と、
【0009】
ステップS400で取得された波動場スナップショットに基づいて、前記傾斜率値と結びつけ、参照温度の温度増量とプリセットの変数θとの換算関係により、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを得る、S500と、を含む。
【0010】
いくつかの好ましい実施形態では、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式は、以下の通りである。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】
そのうち、Tは、参照温度がTの温度増量であり、γ(T)は、温度に応じて変化する熱伝導率であり、γは、岩石熱伝導率であり、γは、常温下での岩石の熱伝導率であり、γは、係数であり、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度を表し、Cは、比熱であり、C(T)は、温度に応じて変化する比熱であり、Kは、熱拡散率であり、ρは、密度である。
【0014】
いくつかの好ましい実施形態では、前記均一等方性のL-S熱弾性動力学方程は、以下の通りである。
【0015】
【数3】
【0016】
【数4】
【0017】
上記数式においては、微分をニュートンの記法で示しており、ドット記号(「・」)を1つ付したものが時間に関する一階微分(導関数)、ドット記号を2つ付したものが時間に関する二階微分(導関数)を示している。以下、Tの一階微分は「T’」と表現し、Tの二階微分は「T”」と表現し、T以外の代数も同様とする。そのうち、Δは、ラプラス演算子であり、τは、緩和時間であり、βは、応力係数であり、β=(3λ+2μ)αであり、αは、熱膨張係数であり、λ及びμは、ラメ定数と総称され、T’、u’は、それぞれ、T、uの時間に関する一階導関数を求めることを表し、T”、u”j,j、u”は、それぞれ、T、u、uの時間に関する二階導関数を求めることを表し、u及びuは、変位を表し、i,j=1,2であり、uは、x方向の変位を代表し、uは、z方向の変位を代表し、右下添字i又はjは、x方向又はz方向に関する一階導関数を求めることを表し、右下添字ji又はjjは、x方向又はz方向に関する二階導関数を求めることを表す。
【0018】
いくつかの好ましい実施形態では、変数θは、
【0019】
【数5】
である。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態では、前記変化熱物性の熱弾性動力学方程は、以下の通りである。
【0021】
【数6】
【0022】
【数7】
【0023】
そのうち、θ’は、θの時間に関する一階導関数を求めることを表し、θ,iiは、θの変位に関する二階導関数を求めることであり、i=1,2であり、それぞれは、x方向又はz方向に関する二階導関数を求めることを表し、∂/∂tは、時間tに関する導関数を求めることを表し、Tは、参照温度である。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態では、前記参照温度の温度増量Tと変数θとの換算関係は、
【0025】
【数8】
である。
【0026】
いくつかの好ましい実施形態では、前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬し、その方法は、以下の通りである。
【0027】
前記変化熱物性の熱弾性動力学方程を速度-応力速度の形式に従って展開し、空間導関数は、フーリエ変換を採用し、時間導関数は、中心差分を採用し、擬似スペクトル法を利用して各時間点及び各位置における弾性波の振幅値、即ち熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬する。
【0028】
本発明の第2の態様は、パラメータ取得モジュール、傾斜率値算出モジュール、方程構築モジュール、擬似スペクトル法模擬モジュール、リアルな波動場スナップショット取得モジュールを含む変化熱物性地震波伝播模擬システムを提出している。
【0029】
前記パラメータ取得モジュールは、地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得するように構成され、前記震源パラメータには、震源種類、震源卓越周波数が含まれ、前記変化熱物性媒体パラメータには、変化熱物性媒体の密度、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、参照温度、ラメ定数が含まれ、前記速度モデルパラメータには、速度モデルの大きさ、格子間隔、格子数量、時間ステップ長及び吸収境界厚さが含まれ、前記変化熱物性媒体が岩石であり、
【0030】
前記傾斜率値算出モジュールは、前記変化熱物性媒体パラメータに基づいて、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値を算出するように構成される。
【0031】
前記方程構築モジュールは、Kirchhoff変換を利用して、温度に応じて変化する熱伝導率及び比熱を均一等方性のL-S熱弾性動力学方程に導入し、変化熱物性熱弾性動力学方程を構築するように構成される。
【0032】
前記擬似スペクトル法模擬モジュールは、前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬するように構成される。
【0033】
前記リアル波動場スナップショット取得モジュールは、擬似スペクトル法模擬モジュールにより取得された波動場スナップショットに基づいて、前記傾斜率値と結びつけ、参照温度の温度増量とプリセットの変数θとの換算関係により、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを得るように構成される。
【0034】
本発明の第3の態様は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリとを含む機器を提出し、そのうち、前記メモリには、前記プロセッサにより実行可能な指令が記憶され、前記指令は、前記プロセッサにより実行されて上記の変化熱物性地震波伝播模擬方法を実現するために用いられる。
【0035】
本発明の第4の態様は、コンピュータ可読な記憶媒体を提出し、前記コンピュータ可読な記憶媒体には、コンピュータ指令が記憶され、前記コンピュータ指令は、前記コンピュータにより実行されて上記の変化熱物性地震波伝播模擬方法を実現するために用いられる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の有益な效果は以下の通りである。
【0037】
本発明は、異なる地層温度媒体内での弾性波の波動場スナップショット模擬を完成し、さらに地震イメージングの品質を高める。
【0038】
1)本発明は、温度場と変位場とを結合する熱弾性動力学方程を確立し、高温地層媒体条件下での弾性波の波動場特徴を研究し、異なる地層温度媒体内での波動場スナップショット模擬が実現されている。
【0039】
2)本発明は、精度が高い擬似スペクトル法により、熱物性パラメータが温度に応じて変化する媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬している。これにより、模擬された波動場スナップショットの結果の信頼度が高くなるようになっている。
【0040】
3)本発明は、熱伝導率及び比熱が温度に応じて変化する状況を考慮し、リアルな地層での熱物性パラメータが温度に応じて変化する法則に適合し、地層伝播における地下弾性波の特徴をよりリアルに反映し、地震イメージングの品質を高める。これにより、本発明は、深層/深水環境下での陸地/海洋地質踏査業に関連する地球物理の分野に幅広く応用されることができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下の図面を参照して行われる非制限的な実施例への詳細な説明を閲読することにより、本願の他の特徴、目的及び利点はより明確になっている。
図1】本発明の1つの実施例の変化熱物性地震波伝播模擬方法のフロー模式図である。
図2】本発明の1つの実施例の変化熱物性地震波伝播模擬システムのフレーム模式図である。
図3】本発明の1つの実施例の変化熱物性地震波伝播模擬方法の簡略模式図である。
図4】本発明の1つの実施例の各種岩石の熱伝導率が温度に応じて変化する曲線の模式図である。
図5】本発明の1つの実施例の、熱物性パラメータ変化が考慮されない熱波波動場模擬スナップショットの模式図である。
図6】本発明の1つの実施例の、熱物性パラメータ変化が考慮された熱波波動場スナップショットの模式図である。
図7】本発明の1つの実施例の、変化熱物性が考慮されないギャザー(道集)設定位置で抽出された曲線特徴の模式図である。
図8】本発明の1つの実施例の、変化熱物性が考慮されたギャザー設定位置で抽出された曲線特徴の模式図である。
図9】本発明の1つの実施例の、本願実施例を実現するために適した電子機器のコンピュータシステムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下は、図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明し、無論、説明される実施例は、本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提で取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明によって保護される範囲に属する。
【0043】
以下、図面及び実施例を参照しながら本願をさらに詳しく説明する。ここで説明される具体的な実施例は、関連発明を解釈するためのものに過ぎず、該発明を限定するものではないことを理解すべきである。なお、説明を容易にするために、図面には、関連発明に関する部分のみが示されている。
【0044】
なお、衝突しない限り、本願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0045】
本発明の変化熱物性地震波伝播模擬方法であって、図1に示すように、該方法は、以下のステップ:
【0046】
地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得し、前記震源パラメータには、震源種類、震源卓越周波数が含まれ、前記変化熱物性媒体パラメータには、変化熱物性媒体の密度、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、参照温度、ラメ定数(Lame’ constants)が含まれ、前記速度モデルパラメータには、速度モデルの大きさ、格子間隔、格子数量、時間ステップ長及び吸収境界厚さが含まれ、前記変化熱物性媒体が岩石である、S100と、
【0047】
前記変化熱物性媒体パラメータに基づいて、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値、を算出する、S200と、
【0048】
Kirchhoff変換を利用して、温度に応じて変化する熱伝導率及び比熱を均一等方性のL-S熱弾性動力学方程に導入し、変化熱物性熱弾性動力学方程を構築する、S300と、
【0049】
前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬する、S400と、
【0050】
ステップS400で取得された波動場スナップショットに基づいて、前記傾斜率値と結びつけ、参照温度の温度増量とプリセットの変数θとの換算関係により、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを得る、S500と、を含みている。
【0051】
本発明の変化熱物性地震波伝播模擬方法をより明白に説明するために、以下は、図面3を参照しながら本発明の方法の1つの実施例における各ステップを展開して詳しく説明する。
【0052】
本発明は、新たな変化熱物性地震波伝播模擬技術を提出し、まず熱弾性動力学方程を確立し、これをもとに、リアルな状況下で岩石の比熱及び熱伝導率が温度に応じて変化する状況を考慮し、2つの変数(比熱及び熱伝導率)を導入し、擬似スペクトル法を利用して、変化熱物性媒体における地震波伝播過程を模擬する。熱伝導率及び比熱性質の温度に応じる変化を考慮する及び考慮しない波動場スナップショットを比較することで、実際の模擬過程では、熱伝導率及び比熱性質の温度に応じる変化を考慮することが非常に必要であることは説明された。具体的な過程は、以下の通りである。
【0053】
S100において、地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得し、前記震源パラメータには、震源種類、震源卓越周波数が含まれ、前記変化熱物性媒体パラメータには、変化熱物性媒体の密度、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、参照温度、ラメ定数が含まれ、前記速度モデルパラメータには、速度モデルの大きさ、格子間隔、格子数量、時間ステップ長及び吸収境界厚さが含まれ、前記変化熱物性媒体が岩石である。
【0054】
本実施例では、まず震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得する。よりよく区別するためには、震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータを方程パラメータとし、速度モデルパラメータをモデルパラメータとする。
【0055】
そのうち、本発明では、震源種類、震源卓越周波数は、好ましくはウェーブレットが卓越周波数3.5MHzのリッカーウェーブレット(Ricker wavelet)に設定され、密度は、好ましくは2600kg/mに設定され、熱伝導率は、好ましくは2Wm-1-1に設定され、比熱は、好ましくは104m/(s°K)に設定され、即ち、本発明の好ましい変化熱物性媒体は、ザクロ斜長角閃岩であり、熱膨張係数は、好ましくは4.09×10-6-1に設定され、参照温度は、好ましくは298Kに設定される。ラメ定数は、好ましくはλ=4.0×10Pa及びμ=6.0×10Paに設定され、横方向及び縦方向の格子間隔は、好ましくは100μmに設けられ、格子数量は、好ましくは231個の格子に設定され、時間ステップ長は、好ましくは100μmに設定され、吸収境界厚さは、好ましくは20個の格子に設定される。
【0056】
S200において、前記変化熱物性媒体パラメータに基づいて、熱媒体の熱伝導率及び比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値を算出している。
【0057】
本実施例では、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値γを算出し、具体的には数9、10に示す通りである。
【0058】
【数9】
【0059】
【数10】
【0060】
そのうち、Tは、参照温度の温度増量であり、γ(T)は、温度に応じて変化する熱伝導率であり、γは、岩石の熱伝導率であり、γは、常温下での岩石の熱伝導率であり、γは、係数であり、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度を表し、Cは、比熱であり、C(T)は、温度に応じて変化する比熱であり、Kは、熱拡散率であり、ρは、密度である。
【0061】
そのうち、各種岩石(即ち熱媒体)の熱伝導率が温度に応じて変化する曲線は、図4に示す通りである。
【0062】
S300において、Kirchhoff変換を利用して、温度に応じて変化する熱伝導率及び比熱を均一等方性のL-S熱弾性動力学方程に導入し、変化熱物性熱弾性動力学方程を構築している。
【0063】
本実施例では、均一等方性のL-S熱弾性動力学方程(即ち熱弾性波動方程及び熱伝導方程)は、以下の通りである。
【0064】
【数11】
【0065】
【数12】
【0066】
そのうち、Δは、ラプラス演算子であり、τは、緩和時間であり、βは、応力係数であり、β=(3λ+2μ)αであり、αは、熱膨張係数であり、λ及びμは、ラメ定数と総称され、T’、u’は、それぞれ、T、uの時間に関する一階導関数を求めることを表し、T”、u”j,j、u”は、それぞれ、T、u、uの時間に関する二階導関数を求めることを表し、u及びuは、変位を表し、i,j=1,2であり、uは、x方向の変位を代表し、uは、z方向の変位を代表し、右下添字i又はjは、x方向又はz方向に関する一階導関数を求めることを表し、右下添字ji又はjjは、x方向又はz方向に関する二階導関数を求めることを表す。以上の方程は、アインシュタイン総和数式を満たす。
【0067】
Kirchhoff変換数式を利用して、変数θを導入する。
【0068】
【数13】
【0069】
さらに、変化熱物性の熱弾性動力学方程を導出し、数14,15の通りである。
【0070】
【数14】
【0071】
【数15】
【0072】
そのうち、θは、θの時間に関する一階導関数を求めることを表し、θ,iiは、θの変位に関する二階導関数を求めることを表し、i=1,2であり、それぞれは、x方向又はz方向に関する二階導関数を求めることを表し、∂/∂tは、時間tに関する導関数を求めることを表し、Tは、参照温度である。
【0073】
S400において、前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬している。
【0074】
本実施では、具体的に言えば、上記の変化熱物性熱弾性動力学方程を速度-応力速度の形式に従って展開し、空間導関数は、フーリエ変換を採用し、時間導関数は、中心差分を利用し、擬似スペクトル法を利用して、各時間点及び各位置における弾性波の振幅値、即ち媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬することができる。
【0075】
そのうち、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における波動場スナップショット、即ち変化熱物性パラメータ変化が考慮されない熱波波動場模擬スナップショットは、図5に示す通りである。
【0076】
S500において、ステップS400で取得された波動場スナップショットに基づいて、前記傾斜率値と結びつけ、参照温度の温度増量とプリセットの変数θとの換算関係により、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを得る。
【0077】
本実施例では、参照温度の温度増量と変数θとの換算関係は、以下の通りである。
【0078】
【数16】
【0079】
得られた変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショット、即ち熱物性パラメータの温度に応じる変化が考慮された熱波波動場スナップショットは、図6に示す通りである。
【0080】
得られた変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットに基づいて、更なる地震イメージングを行い、高効率、高品質の地質探査を実現することができる。波動場スナップショットに基づいて地震イメージングを行うことは従来技術に属し、ここでは逐一に説明しない。
【0081】
また、実際の模擬過程では、熱伝導率及び比熱性質の温度に応じる変化を考慮することが非常に必要であることを説明するために、本発明は、熱伝導率及び比熱性質の温度に応じる変化を考慮する及び考慮しない波動場スナップショットを比較し、即ち、変化熱物性及び未変化熱物性の1つのギャザー(即ち設定位置で抽出されたギャザー)をそれぞれ抽出し、熱物性の温度に応じる変化を考慮する前後の曲線特徴を比較し、比較結果は、図7、8に示す通りである。
【0082】
本発明の第2の実施例の変化熱物性地震波伝播模擬システムは、図2に示すように、具体的には以下のモジュール:パラメータ取得モジュール100、傾斜率値算出モジュール200、方程構築モジュール300、擬似スペクトル法模擬モジュール400、リアルな波動場スナップショット取得モジュール500を含みている。
【0083】
前記パラメータ取得モジュール100は、地震探査過程で採集された震源パラメータ、変化熱物性媒体パラメータ及び速度モデルパラメータを取得するように構成され、前記震源パラメータには、震源種類、震源卓越周波数が含まれ、前記変化熱物性媒体パラメータには、変化熱物性媒体の密度、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、参照温度、ラメ定数が含まれ、前記速度モデルパラメータには、速度モデルの大きさ、格子間隔、格子数量、時間ステップ長及び吸収境界厚さが含まれ、前記変化熱物性媒体が岩石である。
【0084】
前記傾斜率値算出モジュール200は、前記変化熱物性媒体パラメータに基づいて、熱媒体の熱伝導率、比熱が温度に応じて変化する線形数式により、熱伝導率パラメータが温度に応じて変化する緩急程度、即ち傾斜率値を算出するように構成されている。
【0085】
前記方程構築モジュール300は、Kirchhoff変換を利用して、温度に応じて変化する熱伝導率及び比熱を均一等方性のL-S熱弾性動力学方程に導入し、変化熱物性熱弾性動力学方程を構築するように構成され、
【0086】
前記擬似スペクトル法模擬モジュール400は、前記変化熱物性熱弾性動力学方程と結びつけ、擬似スペクトル法を利用して、熱物性パラメータが温度に応じて変化しない媒体における弾性波の波動場スナップショットを模擬するように構成されている。
【0087】
前記リアルな波動場スナップショット取得モジュール500は、擬似スペクトル法模擬モジュール400により取得された波動場スナップショットに基づいて、前記傾斜率値と結びつけ、参照温度の温度増量とプリセットの変数θとの換算関係により、変化熱物性媒体における弾性波のリアルな波動場スナップショットを得るように構成される。
【0088】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記説明されたシステムの具体的な作動過程及び関連説明は、前述の方法実施例における対応過程を参照することができることを明確に理解することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0089】
なお、上記実施例に係る変化熱物性地震波伝播模擬システムは、上記各機能モジュールの区画のみを例として説明し、実際の応用では、必要に応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当てて完成させることができ、即ち、本発明の実施例におけるモジュール又はステップを再分解し又は組み合わせ、例えば、上記実施例のモジュールは、1つのモジュールとして合併されてもよいし、さらに複数のサブモジュールに分割されてもよく、これにより以上で説明された全て又は一部の機能を完成させる。本発明の実施例に関わるモジュール、ステップの名称は、各モジュール又はステップを区別するためのものに過ぎず、本発明への不当な限定として見なされるべきではない。
【0090】
本発明の第3の実施例の機器は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリとを含み、そのうち、前記メモリには、前記プロセッサにより実行可能な指令が記憶され、前記指令は、前記プロセッサにより実行されて上記の変化熱物性地震波伝播模擬方法を実現するために用いられる。
【0091】
本発明の第4の実施例のコンピュータ可読な記憶媒体であって、前記コンピュータ可読な記憶媒体には、コンピュータ指令が記憶され、前記コンピュータ指令は、前記コンピュータにより実行されて上記の変化熱物性地震波伝播模擬方法を実現するために用いられる。
【0092】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記説明された機器、コンピュータ可読な記憶媒体の具体的な作動過程及び関連説明は、前述の方法実例における対応過程を参照することができることを明確に理解することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0093】
以下、図9を参照し、そこには、本願の方法、システム、装置の実施例を実現するために適したサーバーのコンピュータシステムの構造模式図が示されている。図9に示すサーバーは、1つの例示に過ぎず、本願実施例の機能及び使用範囲にいかなる制限も与えるべきではない。
【0094】
図9に示すように、コンピュータシステムは、リードオンリーメモリ(ROM、Read Only Memory)902に記憶されたプログラム又は記憶部908からランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)903にロードされるプログラムに応じて、各種適切な動作及び処理を実行可能な中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)901を含む。RAM903には、システムの操作に必要な各種プログラム及びデータがさらに記憶されている。CPU901、ROM902及びRAM903は、バス904を介して互いに繋がっている。入力/出力(I/O、Input/Output)インタフェース905もバス904まで接続される。
【0095】
以下の部材、即ち、キーボード、マウスなどを含む入力部906と、例えば陰極線管(CRT、Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)など、及び拡声器などを含む出力部907と、ハードディスクなどを含む記憶部908と、例えばLAN(ローカルネットワーク、Local Area Network)カード、モデムなどのネットワークインタフェースカードを含む通信部909とは、I/Oインタフェース905まで接続される。通信部909は、例えばインターネットのネットワークを介して通信処理を実行する。ドライバ910も必要に応じてI/Oインタフェース905まで接続される。リムーバブルメディア911、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどは、必要に応じてドライバ910に取り付けられ、これにより、そこから読み取られたコンピュータプログラムが必要に応じて記憶部908にインストールされることは容易になる。
【0096】
特に、本開示の実施例によれば、上記明細書の、フローチャートを参照して説明された過程は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されることができる。例えば、本開示の実施例は、コンピュータ可読媒体に載せられたコンピュータプログラムが備えられるコンピュータプログラム製品を含み、該コンピュータプログラムは、フローチャートに示す方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施例では、該コンピュータプログラムは、通信部909によりネットワークからダウンロード及びインストールされることができる、及び/又はリムーバブルメディア911からインストールされる。該コンピュータプログラムが中央処理ユニット(CPU)901により実行されると、本願の方法で限定される上記機能が実行される。なお、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体または上記両者の任意の組合せであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、たとえば、電気、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置またはデバイス、または任意の以上の組合せを含んでもよいがこれらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体例は、1つまたは複数のワイヤを有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み取り専用メモリー(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリー(EPROMまたはフラッシュメモリー)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリー(CD-ROM)、光ストレージコンポーネント、磁気ストレージデバイス、または上記任意の接的な組合せを含んでもよいがこれらに限定されない。本発明において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、いずれのプログラムを含むまたは記憶する有形媒体であってもよく、該プログラムは、命令実行システム、装置またはデバイスで使用されるか、またはそれと組み合わせて使用させてもよい。本発明において、コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンドに含まれてもよいか、またはキャリアウェーブの一部として伝送する、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードが載せられたデータ信号であってもよい。このような伝送するデータ信号は、複数種の形態を利用することができ、電磁信号、光信号または上記の任意の適当な組合せを含むが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、さらに、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外のいずれのコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該コンピュータ読み取り可能な媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスで使用されるか、またはそれと組み合わせて使用するプログラムを送信、伝送または輸送することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれるプログラムコードは、任意の適当な媒体で輸送されることができ、無線、ワイヤ、光ケーブル、RF(無線周波数)など、または上記の任意の適合な組合せを含むが、これらに限定されない。
【0097】
1種または複数種のプログラムデザイン言語またはその組合せで本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードを書き、上記プログラムデザイン言語は、オブジェクト指向プログラミング言語、たとえば、Java(登録商標)、Smalltalk、C++を含み、従来の手続型プログラムデザイン言語、たとえば「C」言語または類似のプログラムデザイン言語をさらに含む。プログラムコードは、完全にユーザコンピュータで実行され、部分的にユーザコンピュータで実行され、1つの独立なソフトウェアパッケージとして実行され、部分的にユーザコンピュータで部分的にリモートコンピュータで実行され、または完全にリモートコンピュータまたはサーバーで実行されてもよい。リモートコンピュータに関する状況において、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークによってユーザコンピュータに接続されることができ、或いは、外部コンピュータに接続される(たとえば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットによって接続される)ことができる。
【0098】
図面におけるフローチャートとブロック図は、本発明の各種の実施例に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なシステムアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点では、フローチャートまたはブロック図における各ボックスは1つのモジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部を代表することができ、該モジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部が1つまたは複数の所定のロジック機能を実現するための実行可能な命令を含む。注意すべきものとして、幾つかの切り替え可能な実現において、ボックスに表記した機能も図面に表記した順序と異なるもので発生することができる。例えば、2つの連続して示すボックスは実際に基本的に並行して実行でき、それらは関連する機能によれば、逆の順序で実行される場合がある。また、注意する必要があるものとして、ブロック図及び/またはフローチャートにおける各ボックス、及びブロック図及び/またはフローチャートにおけるボックスの組み合わせは、所定の機能または操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現されることができるか、または専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されることができる。
【0099】
「第1」、「第2」などの用語は、類似のオブジェクトを区別するために使用され、特定の順序またはシーケンスを説明または示すために使用されるものではない。
【0100】
用語「含む」または他の類似用語は、非排他的に含むことを意味する。したがって、一連の要素を含む過程、方法、物または装置/デバイスには、それらの要素に加え、その他明示しない要素、または、それらの固有する要素を含むことができる。
【0101】
以上により、図面に示す好ましい実施形態と結びつけ、本発明の技術案を説明したが、当業者として容易に理解するように、本発明の保護範囲がこれらの具体的な実施形態に限られないことは明らかである。本発明の原理から逸脱しない前提で、当業者は関連技術特徴に対して等価の変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換された後の技術案はいずれも本発明の保護範囲内に収まる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9