(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155875
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】抗アレルギー性ペプチド及びその免疫調節と抗アレルギーに用いられる用途
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20231016BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20231016BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A23L33/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173390
(22)【出願日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】111113738
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520274714
【氏名又は名称】緑茵生技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Greenyn Biotechnology Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】5F., No.43, Keya Rd., Daya Dist., Taichung City
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】徐榜奎
(72)【発明者】
【氏名】林育正
(72)【発明者】
【氏名】高智国
(72)【発明者】
【氏名】呉嘉峰
【テーマコード(参考)】
4B018
4H045
【Fターム(参考)】
4B018MD20
4B018ME07
4B018MF13
4H045AA10
4H045BA09
4H045BA15
4H045BA16
4H045CA11
4H045EA01
4H045EA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗アレルギー性ペプチド及びその免疫調節と抗アレルギーに用いられる用途を提供することを課題とする。
【解決手段】抗アレルギー性ペプチドは、アレルギー反応関連のサイトカイン分泌を抑制し、アレルギー反応を調節する能力を有する。該抗アレルギー性ペプチドは特定のアミノ酸配列又は上記配列のいずれかにおいて1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、及び付加された相同アミノ酸配列を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列は、特定の配列又は前記特定の配列において1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、及び付加された相同アミノ酸配列を含み、前記特定の配列がSEQ ID No.:1、SEQ ID No.:2 、SEQ ID No.:3、SEQ ID No.:4及びSEQ ID No.:5から成る群から選択されるペプチド。
【請求項2】
アミノ酸配列が、SEQ ID No.:1に示される請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
アミノ酸配列が、SEQ ID No.:2に示される請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
アミノ酸配列が、SEQ ID No.:3に示される請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
アミノ酸配列が、SEQ ID No.:4に示される請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
アミノ酸配列が、SEQ ID No.:5に示される請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
抗アレルギー組成物の製造のための請求項1に記載のペプチド又はその代謝物の使用。
【請求項8】
前記抗アレルギー組成物中は、アミノ酸配列がSEQ ID No.:1~SEQ ID No.:5に示されるペプチドを含む請求項7に記載の使用。
【請求項9】
免疫調節組成物の製造のための請求項1に記載のペプチド又はその代謝物の使用。
【請求項10】
前記免疫調節組成物中は、アミノ酸配列がSEQ ID No.:1~SEQ ID No.:5に示されるペプチドを含む請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド及びその用途に関し、特に、抗アレルギー性ペプチド及びその免疫調節及び抗アレルギーにおける用途に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫システムは外来病原体に対する人体の防御システムであり、免疫システムが正常な場合、病原体と外来有害物質を区別し、防御機構を発動することができる。免疫系の一部が不活性化した場合、免疫力の低下又は免疫機能障害につながり、全ての病原体をブロックできないことで病気のリスクが高まるだけでなく、がんの罹患リスクも高まる。免疫システムが過剰に活性化した場合、免疫システムが乱れることで様々な疾病は生じ、すなわち、免疫システムは自己抗原と同種異系抗原を区別できなくなり、自己の細胞を攻撃してしまう。換言すれば、免疫反応が低すぎても高すぎてもヒトの健康に悪影響を与えるため、免疫力を如何に調節し、バランスの取れた状態に保つかが、現代人の重要な健康課題である。
【0003】
寝不足、過度のストレス、過度の疲労、運動不足、栄養バランスの不均衡などを含む、免疫不均衡には多くの原因があるため、免疫調節に関する現在の臨床的推奨には、規則正しい生活リズム、適度な運動及びバランスの良い栄養が含まれる。実際、現代人の大多数は生活習慣及び食生活を変えることが難しいため、プロバイオティクス、ビタミンC、ビタミンDなどのサプリメントを補い、体内環境を改善することで、免疫システムを調節するがよくあるが、市場には免疫調節をアピールする商品が多く、選ぶのが難しいだけでなく、使いすぎによる身体への負担も考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、抗アレルギー性ペプチド及びその免疫調節及び抗アレルギーにおける用途を提供することである。具体的には、該抗アレルギー性ペプチドは、細胞が免疫刺激されてサイトカインを分泌するのを抑制し、Th1/Th2比のバランスをとる能力を維持できるため、本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドは、個体の抗アレルギー反応の向上に使用することができ、個体の免疫力を調節して、侵入してきた外来物質又は病原体から個体を守ると共に、個体の免疫反応が強すぎるのを防ぐ効果を奏することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、人工合成法又は生合成法によって得ることができ、抗アレルギー、免疫調節の能力を有する抗アレルギー性ペプチドを提供する。すなわち、有効量の本発明で開示される抗アレルギー性ペプチド又はその代謝物を個体に投与することにより、個体のアレルギー反応及び症状を改善し、呼吸器アレルギー及び免疫の調節効果を奏することができる。
【0006】
本発明の実施形態において、該抗アレルギー性ペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID No.:1、SEQ ID No.:2、SEQ ID No.:3、 SEQ ID No.:4又はSEQ ID No.:5に示される配列、或いは上記配列のいずれかにおいて1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、及び付加された相同アミノ酸配列を含む。
【0007】
本発明の実施形態において、該抗アレルギー性ペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID No.:1、SEQ ID No.:2、SEQ ID No.:3 SEQ ID No.:4又はSEQ ID No.:5に示される。
【0008】
本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドは、乳酸菌の発酵産物、特にラクトバチルスプランタルムの発酵産物から単離することができる。
【0009】
本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドは、人工的に合成されることができる。
【0010】
本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドは、細胞がIL-4、IL13などのサイトカインを分泌するのを抑制することができ、かつIgE、IgGなどの血清中のTh1又はTh2免疫経路に関連する指標を調節できるため、本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドは、アレルギー改善及び/又は免疫調節の組成物を調製するために用いられることができる。
【0011】
本発明の別の実施形態において、抗アレルギー組成物を開示し、該抗アレルギー組成物中は、有効量の本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドを含み、該組成物を個体に投与することにより、個体の抗アレルギー能力或いは個体のアレルギー症状緩和の効果を効果的に奏することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態において、免疫調節組成物を開示し、該免疫調節組成物中は、有効量の本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドを含み、該組成物を個体に投与することにより、個体の免疫能力を維持する効果を効果的に奏することができる。
【0013】
該抗アレルギー組成物又は該免疫調節組成物中は、アミノ酸配列がSEQ ID No.:1~SEQ ID No.:5として示されるペプチドのいずれかを含む。
【0014】
該抗アレルギー組成物又は該免疫調節組成物中は、アミノ酸配列がSEQ ID No.:1~SEQ ID No.:5として示されるペプチドを含む。
【0015】
該抗アレルギー組成物又は該免疫調節組成物は、乳酸菌の発酵産物である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】SEQ ID No.:1として示されるペプチド配列の質量分析スペクトルである。
【
図1B】SEQ ID No.:2として示されるペプチド配列の質量分析スペクトルである。
【
図1C】SEQ ID No.:3として示されるペプチド配列の質量分析スペクトルである。
【
図1D】SEQ ID No.:4として示されるペプチド配列の質量分析スペクトルである。
【
図1E】SEQ ID No.:5として示されるペプチド配列の質量分析スペクトルである。
【
図2A】乳酸菌の細細胞外発酵液中のフラグメント1のC18クロマトグラフィー分離の結果を示す図(矢印1は第1ペプチド群、矢印2は第2ペプチド群である)である。
【
図2B】乳酸菌の細細胞外発酵液中のフラグメント2のC18クロマトグラフィー分離の結果を示す図(矢印3~矢印5は第3ペプチド群~第5ペプチド群を順次表す)である。
【
図2C】乳酸菌の細細胞外発酵液中のフラグメント3のC18クロマトグラフィー分離の結果を示す図(矢印6~矢印11は第6ペプチド群~第11ペプチド群を順次表す)である。
【
図2D】乳酸菌の細細胞外発酵液中のフラグメント4のC18クロマトグラフィー分離の結果を示す図(矢印12~矢印14は第12ペプチド群~第14ペプチド群を順次表す)である。
【
図3】各ペプチド群によるIL-4及びIL-13分泌抑制パーセントを検出・分析した結果を示す図である。
【
図4A】濃度の異なる第3ペプチド群を添加した培地で培養したマウスリンパ腫細胞EL4及びマウスマスト細胞P815の生存率を検出した結果を示す図である。
【
図4B】濃度の異なる第4ペプチド群を添加した培地で培養したマウスリンパ腫細胞EL4及びマウスマスト細胞P815の生存率を検出した結果を示す図である。
【
図4C】濃度の異なる第6ペプチド群を添加した培地で培養したマウスリンパ腫細胞EL4及びマウスマスト細胞P815の生存率を検出した結果を示す図である。
【
図4D】濃度の異なる第9ペプチド群を添加した培地で培養したマウスリンパ腫細胞EL4及びマウスマスト細胞P815の生存率を検出した結果を示す図である。
【
図4E】濃度の異なる第14ペプチド群を添加した培地で培養したマウスリンパ腫細胞EL4及びマウスマスト細胞P815の生存率を検出した結果を示す図である。
【
図5A】OVA誘導群のマウスの脾臓細胞を、濃度の異なる各ペプチド群を添加した培地で培養した後、OVA誘導群のマウスの脾臓細胞が分泌するIFN-γ/IL-4の濃度比を分析した結果を示す図である。
【
図5B】OVA誘導群のマウスの脾臓細胞を、濃度の異なる各ペプチド群を添加した培地で培養した後、OVA誘導群のマウスの脾臓細胞が分泌するIFN-γ/IL-10の濃度比を分析した結果を示す図である。
【
図5C】OVA誘導群のマウスの脾臓細胞を、濃度の異なる各ペプチド群を添加した培地で培養した後、OVA誘導群のマウスの脾臓細胞が分泌するIL-12/IL-4の濃度比を分析した結果を示す図である。
【
図5D】OVA誘導群のマウスの脾臓細胞を、濃度の異なる各ペプチド群を添加した培地で培養した後、OVA誘導群のマウスの脾臓細胞が分泌するIL-12/IL-10の濃度比を分析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、免疫調節及び抗アレルギーの能力を有し、アレルギー症状の改善又は/及び免疫調節の組成物内の主成分として使用できる抗アレルギー性ペプチド又はその代謝物を開示する。具体的に、該抗アレルギー性ペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID No.:1として示される配列、SEQ ID No.:2として示される配列、SEQ ID No.:3として示される配列、SEQ ID No.:4として示される配列、SEQ ID No.:5として示される配列、或いは上記配列のいずれかにおいて1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、及び付加された相同アミノ酸配列を含む。
【0018】
本発明の実施形態において、該ペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID No.:1、SEQ ID No.:2、SEQ ID No.:3、SEQ ID No.:4又はSEQ ID No.:5として示される配列であり、かつ各ペプチドの分子量の大きさは下表1に示され、各ペプチドの質量分析スペクトルは
図1A~
図1Eに示されている。
【0019】
【0020】
本発明のいわゆる「相同アミノ酸配列」とは、発現されるタンパク質が、本発明で開示されるペプチドと構造及び機能の類似性を有することを意味し、すなわち、相同アミノ酸配列は本発明で開示されるペプチドのアミノ酸配列と高い類似性を有し、かつその免疫調節及び抗アレルギー機能に影響を及ぼさない。
【0021】
本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドは、例えば人工合成法、生合成法などの本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に一般的に知られている技術によって調製することができる。具体的には、人工合成法には化学合成、液相ペプチド合成、固相ペプチド合成又はペプチド合成装置などが含まれる。生合成法には、遺伝子組換えにより標的ペプチドの核酸分子を微生物にトランスジェニックし、次いで該組換え微生物の発酵・培養により標的ペプチドの大量発現をさせ、さらに分離・精製などの工程を介して標的ペプチドを大量に得ることが含まれる。ここで、現在、食品安全に関する規制に適合できるため、使用する微生物は主に酵母菌、乳酸菌など人体に無害な菌株或いは菌種である。
【0022】
例えば本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドは、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスブレビス(Lactobacillus brevis)などの乳酸菌、又は上述の乳酸菌いずれかと高い相同性を有する菌種を微生物によるペプチド生産プラットフォーム(微生物をペプチド生産ツールとして用いるプラットフォーム)内の発酵スターターとして発酵生産することによって得られ、すなわち、本発明で開示されるペプチドを発現することができる乳酸菌を液体発酵培養し、培地は改変MRSで、培養温度は30~45℃であり、発酵培養後に上清液が得られ、該上清液中には本発明で開示されるペプチドが含まれ、その後ゲル浸透クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー(Reversed-phase Chromatography)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)などの方法で本発明で開示されるペプチドを分離・精製する。生産効率を高めるため、使用される発酵条件は、例えば水酸化ナトリウムによる培地のpH値の調整など、本発明の属する技術分野における通常の知識に従って調整される。
【0023】
本発明で開示される改変MRS培地は、本発明の属する技術分野において一般的に知られているMRS培地をベースとし、培地中の炭素源、窒素源及びその他の添加物を調整するものを意味する。ここで、炭素源は、スクロース、ラクトース、グルコース、或いは当技術分野において一般的に知られている他の物質であり得、窒素源はペプトン、牛肉抽出物、酵母抽出物、又は上記の少なくとも任意の2つの組み合わせであり得る。
【0024】
本発明の一実施形態において、上記の微生物によるペプチド生産プラットフォームを用いて本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドを得るため、微生物発酵が完了した後、発酵液から本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドを分離する。一般的にはまずHPLCで分離を行い、具体的な方法としては発酵培養により得られた発酵液を先に遠心分離し、遠心条件が6,000g、30分、4℃であり、上清液が得られた後、次いで、10kDa及び3kDa分子篩で順次ろ過して、本発明で開示されるペプチド群を含む淡黄色のろ液が得られる。その後、本発明で開示されるペプチド群を含むろ液は、ゲル浸透クロマトグラフィーを介して、Na2HPO4、NaCl、NaH2PO4・2H2Oなどの塩類を含む移動相でろ液中のペプチド群を分離し、先にAprotinin 6,500Da、Vitamin B12 1,350 Da、Cytidine 243 Daなどの標準品の位置を分析でき、それをろ液の分析結果と比較した後、ろ液のゲル浸透クロマトグラフィーカラム分離スペクトルから区分された4つの主要ペプチド群のピーク時間が得られ、さらにC-18カラムで該4つのペプチド群から本発明で開示されるペプチドを分離する。
【0025】
本発明で使用されるラクトバチルスプランタルムなどの乳酸菌は、本発明の属する技術分野における通常の知識により増幅・培養した後微生物によるペプチド生産プラットフォームの発酵工程に使用されることができる。
【0026】
本発明で開示される「組成物」とは、有効量の本発明で開示されるいずれかの抗アレルギー性ペプチド又はその代謝物を少なくとも含有すること、或いは本発明で開示される抗アレルギー性ペプチドを主な活性成分とするペプチド群を有し、細胞からのIL-13、IL-4、IL-10などのサイトカイン分泌を効果的に抑制でき、Th2比のバランスが崩れがちなアレルギー現象を効果的に低減するものをいう。本発明で開示されるアミノ酸配列番号がSEQ ID No.:1~SEQ ID No.:5のいずれかのペプチドは、いずれも免疫調節の効果を有するため、該組成物中には本発明で開示されるペプチドのいずれか2つ以上を含有する場合、これらのペプチドの比率は本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者の一般的知識に従って設定でき、例えば全てのペプチドは、同じ比率又はほぼ同じ比率で配合しても本出願の奏することができる効果に影響を及ぼさない。
【0027】
本発明で開示される「有効量」とは、本発明で開示されるペプチドが抗アレルギー組成物全部の0.01%~100%を占めること、又は摂取量が25μg以上であることを意味し、本発明で開示される抗アレルギー性ペプチド又はその代謝物が該組成物の全部を構成しない場合、該組成物中は食品上又は医薬上許容される担体を含んでもよい。さらに、該組成物は、医薬品、栄養補助食品、機能性食品、健康食品或いは人間の健康に寄与する他の食品であり得る。
【0028】
以下、本発明の技術的特徴及び効果を説明及び検証するため、いくつかの実施例を挙げて図表を参照しつつ、さらに説明する。
【0029】
以下の実施例で使用されるペプチドは、Fmoc法で合成されて得られ、本発明の属する技術分野において一般的に知られている方法で各ペプチドの正確性及び純度を検証しており、各ペプチドの純度は90%を上回る。
【0030】
以下の実施例内で使用される細胞は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に入手できるものであるため、別途特許の寄託は必要とされない。例えばマウスマスト細胞P815は、台湾新竹食品工業発展研究所(BCRCと略称する)から購入した。
【0031】
以下の実施例で使用されるLactobacillus plantarumは、標的遺伝子であるpgm、ddl、gyrB、purK1、gdh、mutS、tktをプライマーとしてPCRを行い、アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)の生物DNAデータベースの配列と比較し、類似性が99%~100%であることを確認したものである。この菌種は、発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に入手できる微生物であるため、別途特許の寄託は必要とされない。上記プライマーの配列は、本発明の属する技術分野において一般的に知られているものであるため、ここでは説明を省略する。
【0032】
以下の実施例に開示される化合物48/80(Compound 48/80)は、N-メチル-p-メトキシフェネチルアミンとホルムアルデヒドとの縮合により生成されるポリマーであり、ヒスタミンの放出を促進する効果を有し、マスト細胞の脱顆粒を促進することができるため、以下の実施例ではマスト細胞を刺激してアレルギー反応を引き起こすアレルゲンとして使用された。
【0033】
以下の実施例で使用されるマウスは、5週齢の雌BALB/c系統マウスであり、独立した換気環境で飼育され、試験期間に一般的な標準飼料及び滅菌蒸留水が与えられ、温度を 23±3℃に制御し、相対湿度は60±10%で、照明時間は12時間の明暗交換であった。下記の実施例は、6週齢のマウスの馴化から始めて実行されました。
【実施例0034】
(ペプチド組成物の調製)
改変MRS培地でLactobacillus plantarumを液体発酵槽で拡大培養し、培養温度を35~40℃に制御し、発酵後遠心分離及びろ過により上清液を得て、乳酸菌の細胞外発酵液を得、遠心条件は6,000g、30分、4℃で、10kDa及び3kDa分子篩でろ過した。
【0035】
改変MRS培地は、MRSをベースとし、窒素源として酵母抽出物、酵母ペプトン及び大豆ペプトンを添加し、0.1%のセリンを加えた。