IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フクダ電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-心電計 図1
  • 特開-心電計 図2
  • 特開-心電計 図3
  • 特開-心電計 図4
  • 特開-心電計 図5
  • 特開-心電計 図6
  • 特開-心電計 図7
  • 特開-心電計 図8
  • 特開-心電計 図9
  • 特開-心電計 図10
  • 特開-心電計 図11
  • 特開-心電計 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015588
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】心電計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/332 20210101AFI20230125BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20230125BHJP
【FI】
A61B5/332
A61B5/256 210
A61B5/256 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119461
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 将人
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127HH06
4C127LL13
(57)【要約】
【課題】電極の装着部位の誤りを防止すること。
【解決手段】心電計は、心電図電極部と心電計本体とが設けられ、被検者の心電図を計測する際に装着される着衣を有し、心電計本体は、心電図電極部が被検者に正しく装着されたか否かを判定する判定部を有する。心電図電極部は、それぞれ対応する装着部位に装着される複数の電極を含み、心電計本体は、被検者の特定の部位を動作させることを被検者に指示する指示部を有し、判定部は、複数の電極のうち、指示に基づいて特定の部位を動作させることにより生じた電気信号を検出し、当該電気信号が生じた電極を特定して、心電図電極部が被検者に正しく装着されたか否かを判定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図電極部と心電計本体とが設けられ、被検者の心電図を計測する際に装着される着衣を有し、
前記心電計本体は、前記心電図電極部が前記被検者に正しく装着されたか否かを判定する判定部を有する、
心電計。
【請求項2】
前記心電図電極部は、それぞれ対応する装着部位に装着される複数の電極を含み、
前記心電計本体は、前記被検者の特定の部位を動作させることを前記被検者に指示する指示部を有し、
前記判定部は、前記複数の電極のうち、前記指示に基づいて前記特定の部位を動作させることにより生じた電気信号を検出し、当該電気信号が生じた電極を特定して、前記心電図電極部が前記被検者に正しく装着されたか否かを判定する、
請求項1に記載の心電計。
【請求項3】
前記指示部は、前記判定部で前記心電図電極部が正しく装着されていないと判定された場合、前記心電図電極部の正しい装着部位を前記被検者に指示する、
請求項2に記載の心電計。
【請求項4】
前記複数の電極と前記装着部位との対応関係を変更する変更部を有し、
前記変更部は、前記判定部で前記心電図電極部が正しく装着されていないと判定された場合、複数の判定の結果に基づいて、前記複数の電極が装着されている前記装着部位を特定し、当該特定の結果に基づいて、前記複数の電極と前記装着部位との対応関係を変更する、
請求項2に記載の心電計。
【請求項5】
前記心電図電極部は、
前記着衣を着用した前記被検者の第1の所定部位と接触するように前記着衣の所定箇所に配置される第1の電極部と、
前記着衣を着用した前記被検者の第2の所定部位に手作業により装着される第2の電極部と、を有し、
前記判定部は、前記第2の電極部が前記第2の所定部位に正しく装着されたか否かを判定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の心電計。
【請求項6】
前記心電図電極部で取得された電気信号に基づいて、前記電気信号の波形の画像を生成する画像生成部と、
前記画像を外部へ送信する送信部と、
を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の心電計。
【請求項7】
前記画像生成部は、前記画像が複数の頁に渡る場合、前記波形が平坦な位置で改頁する、
請求項6に記載の心電計。
【請求項8】
前記着衣は、前記被検者の左側の部位と右側の部位とにそれぞれ装着される少なくとも一対の電極を含む前記第2の電極部を不使用時に収容する収容部を有し、
前記収容部は、左側収容部と右側収容部とから構成され、前記左側の部位に装着される電極のケーブルが前記左側収容部に収容され、前記右側の部位に装着される電極のケーブルが前記右側収容部に収容される、
請求項5に記載の心電計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図の計測を行う心電計に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の活動によって生じる電気信号の時間変化である心電波形(心電図)の計測を行う心電計が知られている。心電計の中には、心疾患等を患っている患者自身が心電図の計測を行うことができる心電計もある(例えば、特許文献1を参照)。このような心電計は、体表面に貼り付ける電極を有するケーブル(誘導コード)を複数備えており、これらのケーブルの電極を患者自身が正しく装着する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-82366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心電計の中には、例えば、標準12誘導心電図(3種類の双極肢誘導波形、3種類の単極肢誘導波形及び6種類の胸部誘導波形)を計測可能なものがある。標準12誘導心電図を計測可能な心電計は、装着する電極数も多く、患者自身が装着する場合、誤った部位に装着する可能性がある。例えば、四肢に装着する電極の左右を間違う可能性がある。また、胸部に装着する電極は数が多く、また、隣接する電極が接近しているため、装着部位を間違う可能性がある。そして、装着部位を誤った電極で取得された心電図は誤った所見につながる可能性がある。従って、患者自身が心電計の電極を装着する場合でも、電極の装着部位の誤りを防止可能な心電計が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、電極の装着部位の誤りを防止可能な心電計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る心電計は、
心電図電極部と心電計本体とが設けられ、被検者の心電図を計測する際に装着される着衣を有し、
前記心電計本体は、前記心電図電極部が前記被検者に正しく装着されたか否かを判定する判定部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電極の装着部位の誤りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る心電計の一例として、標準12誘導心電図を取得可能な袖なしのシャツ型の心電計を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る心電計の他の一例として、15誘導心電図を取得可能な袖なしのシャツ型の心電計を示す概略構成図である。
図3】本発明の実施の形態に係る心電計の他の一例として、標準12誘導心電図を取得可能な長袖のシャツ型の心電計を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施の形態に係る心電計の他の一例として、標準12誘導心電図を取得可能なボディスーツ型の心電計を示す概略構成図である。
図5】本発明の実施の形態に係る心電計本体を説明するブロック図である。
図6図1に示す心電計の装着方法及び計測方法の一例を説明するフローチャートである。
図7図6に示すフローチャートにおける電極の装着指示及び判定サブルーチンを説明するフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態に係る心電計が生成する標準12誘導心電図の画像の一例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態に係る心電計が生成する標準12誘導心電図の画像の他の一例を示す図であって、複数頁に渡る場合を示す図である。
図10図9に示す標準12誘導心電図の画像の改頁位置を変更した場合を説明する図である。
図11】本発明の実施の形態に係る心電計が生成する標準12誘導心電図の計測値レポートの一例を示す図である。
図12】本発明の実施の形態に係る心電計が生成する標準12誘導心電図の解析レポートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
[心電計]
図1図4は、本実施の形態の心電計1A~1Dを示す概略構成図である。具体的には、図1は、標準12誘導心電図を取得可能な袖なしのシャツ型の心電計1Aを示す概略構成図である。また、図2は、15誘導心電図を取得可能な袖なしのシャツ型の心電計1Bを示す概略構成図である。また、図3は、標準12誘導心電図を取得可能な長袖のシャツ型の心電計1Cを示す概略構成図である。また、図4は、標準12誘導心電図を取得可能なボディスーツ型の心電計1Dを示す概略構成図である。
【0011】
図1図4に示す本実施の形態の心電計1A~1Dは、着衣型の心電計である。心電計1A~1Dは、図1図4に示すように、着衣であるシャツ30、40やボディスーツ50を有し、シャツ30、40やボディスーツ50には、後述する心電図電極部と心電計本体10とが設けられている。被検者は、自身の心電図を計測する際に、シャツ30、40やボディスーツ50を着用する。
【0012】
[心電計の形態例1]
図1に示す心電計1Aは、心電計本体10と、胸部電極群21と、四肢電極群22と、シャツ30(着衣)とを有する。
【0013】
心電計本体10については、後述する図5を参照して説明するが、胸部電極群21及び四肢電極群22が接続され、胸部電極群21及び四肢電極群22で取得した電気信号を受信して、後述する指示処理、判定処理、画像生成処理、送信処理等を行う。
【0014】
心電計本体10は、シャツ30に取り付けられている。心電計本体10は、シャツ30に対して、着脱可能な構成としてもよい。
【0015】
胸部電極群21は、シャツ30の胸部の所定箇所に配置された複数の胸部電極C1~C6からなる。胸部電極C1は、人体(図示省略)の第4肋間の胸骨右縁の胸部に接触するよう、シャツ30の胸部に配置される。また、胸部電極C2は、人体の第4肋間の胸骨左縁の胸部に接触するよう、シャツ30の胸部に配置される。また、胸部電極C3は、胸部電極C2と後述する胸部電極C4を結ぶ線上の中点で胸部に接触するよう、シャツ30の胸部に配置される。また、胸部電極C4は、人体の左鎖骨中線上であって第5肋間との交点で胸部に接触するよう、シャツ30の胸部に配置される。また、胸部電極C5は、人体の左前腋窩線上で胸部電極C4と同じ高さ位置で胸部に接触するよう、シャツ30の胸部に配置される。また、胸部電極C6は、人体の左中腋窩線上で胸部電極C4と同じ高さ位置で胸部に接触するよう、シャツ30の胸部に配置される。
【0016】
このように配置された胸部電極C1~C6は、シャツ30に形成された回路パターン(図示省略)により、心電計本体10と電気的に接続されている。
【0017】
ここで、胸部電極群21(胸部電極C1~C6)及び回路パターンは、本発明における心電図電極部に該当し、第1の電極部に該当する。また、胸部電極群21(胸部電極C1~C6)は、本発明において、心電図電極部に含まれる複数の電極であって、対応する装着部位に装着される複数の電極に該当する。
【0018】
このように配置された胸部電極C1~C6を有するシャツ30を被検者が着用すると、胸部電極C1~C6は、所定部位(第1の所定部位)において、被検者の胸部と接触することになる。これにより、胸部電極C1~C6は、所定部位において、被検者の胸部の電気信号を取得することが可能となる。
【0019】
このように、シャツ30の胸部の所定箇所に胸部電極C1~C6を配置しているので、被検者はシャツ30を着用すれば、胸部電極C1~C6は被検者の胸部の正しい位置に接触することになる。この結果、胸部電極C1~C6の装着部位を間違うことがなくなる。
【0020】
四肢電極群22は、図示省略した複数のケーブル(誘導コード)の先端に各々配置されている。複数のケーブルの基端側は、心電計本体10に接続されている。
【0021】
ここで、四肢電極群22及びケーブルは、本発明における心電図電極部に該当し、第2の電極部に該当する。また、四肢電極群22は、本発明において、心電図電極部に含まれる複数の電極であって、対応する装着部位に装着される複数の電極に該当する。ここでは、四肢電極群22は、左側の左手、左足、右側の右手、右足にそれぞれ装着される二対の電極である。
【0022】
複数のケーブルは、例えば、巻き取り式であり、シャツ30に設けられた左側収容部31L、右側収容部31R内に収容可能であり、不使用時には、左側収容部31L、右側収容部31R内に収容されている。使用時には、左側収容部31L、右側収容部31Rから複数のケーブルが取り出され、それらの四肢電極群22が被検者の四肢(第2の所定部位)に手作業で装着され、被検者の四肢の電気信号を取得することが可能となる。
【0023】
本実施の形態では、複数のケーブルを収容する収容部が左側収容部31Lと右側収容部31Rとから構成されている。そして、左側の四肢(左手及び左足)に対応する四肢電極のケーブルが左側収容部31Lに収容され、右側の四肢(右手及び右足)に対応する四肢電極のケーブルが右側収容部31Rに収容される。
【0024】
このように、四肢電極群22を有する複数のケーブルを左右で分けて、左側収容部31Lと右側収容部31Rとに分けて収納することにより、被検者が四肢に装着する際の装着間違いを防止することができる。また、もし、装着間違いが起こったとしても、本実施の形態では、後述する判定処理等により、装着間違いに対処することができる。なお、左側収容部31Lと右側収容部31Rとに分けて収納する電極及びケーブルは、被検者の左側の部位と右側の部位とにそれぞれ装着される一対以上のものであれば、四肢に限らず、被検者の他の部位に装着されるものであってもよい。
【0025】
シャツ30の胸部に配置された胸部電極群21(胸部電極C1~C6)と四肢電極群22とを用いて、心電計本体10は、標準12誘導心電図を取得することができる。
【0026】
なお、ここでは、収容部を左右の左側収容部31L及び右側収容部31Rに分けた構成としているが、四肢電極群22を有する複数のケーブル全てを1つの収容部内に収納するようにしてもよい。この場合も、もし、装着間違いが起こったとしても、本実施の形態では、後述する判定処理等により、装着間違いに対処することができる。
【0027】
また、ここでは、シャツ30に収容部を設けているが、心電計本体10に1つの収容部や左右の収容部を設けるようにしてもよい。
【0028】
シャツ30は、心電計本体10を取り付けたり、胸部電極群21(胸部電極C1~C6)を配置したり、また、四肢電極群22を有する複数のケーブルを収容可能なものである。シャツ30としては、半袖や長袖のシャツでもよいが、本実施の形態では、被検者が着用し易いように、袖なしのシャツ30を用いている。
【0029】
また、シャツ30としては、胸部電極C1~C6を被検者の胸部に押し付けるよう、被検者の胸部に着圧を付加可能な伸縮性のある素材から構成することが望ましい。このような構成とすることにより、胸部電極C1~C6を被検者の胸部に確実に接触させることができる。
【0030】
[心電計の形態例2]
本発明に係る心電計は、図1に示す心電計1Aに代えて、図2に示す心電計1Bでもよい。
【0031】
図2に示す心電計1Bは、15誘導心電図を取得可能なものであり、図1に示した心電計1Aと同様の構成を有するが、更に、背部電極群23を有する。
【0032】
心電計1Bにおいて、心電計本体10、胸部電極群21、四肢電極群22及びシャツ30は、図1に示した心電計1Aと同様の構成であるので、ここでは、重複する説明は省略する。
【0033】
背部電極群23は、シャツ30の背部(背中部分)の所定箇所に配置された複数の背部電極C7~C9からなる。背部電極C7は、人体(図示省略)の左後腋窩線上で胸部電極C4と同じ高さ位置で背部(背中)に接触するよう、シャツ30の背部に配置される。背部電極C8は、人体の左肩甲骨中線上で胸部電極C4と同じ高さ位置で背部に接触するよう、シャツ30の背部に配置される。背部電極C9は、人体の脊椎左縁で胸部電極C4と同じ高さ位置で背部に接触するよう、シャツ30の背部に配置される。
【0034】
このように配置された背部電極C7~C9も、シャツ30に形成された回路パターン(図示省略)により、心電計本体10と電気的に接続されている。
【0035】
ここで、背部電極群23及びケーブルは、本発明における心電図電極部に該当する。また、背部電極群23は、本発明において、心電図電極部に含まれる複数の電極であって、対応する装着部位に装着される複数の電極に該当する。
【0036】
このように配置された胸部電極C1~C6及び背部電極C7~C9を有するシャツ30を被検者が着用すると、胸部電極C1~C6及び背部電極C7~C9は、所定部位において、被検者の胸部及び背部と接触することになる。これにより、胸部電極C1~C6及び背部電極C7~C9は、所定部位において、被検者の胸部及び背部の電気信号を取得することが可能となる。
【0037】
このように、シャツ30の胸部及び背部の所定箇所に胸部電極C1~C6及び背部電極C7~C9を配置しているので、被検者はシャツ30を着用すれば、胸部電極C1~C6及び背部電極C7~C9は被検者の胸部及び背部の正しい位置に接触することになる。この結果、胸部電極C1~C6及び背部電極C7~C9の装着部位を間違うことがなくなる。特に、背部電極C7~C9は、ケーブルの先端に配置したタイプでは、被検者が単独で装着することは難しいが、図2に示すように、シャツ30の背部の所定箇所に背部電極C7~C9を配置することにより、被検者が単独で装着することが容易となる。
【0038】
[心電計の形態例3]
本発明に係る心電計は、図1に示す心電計1Aに代えて、図3に示す心電計1Cでもよい。
【0039】
図3に示す心電計1Cは、標準12誘導心電図を取得可能なものであり、心電計本体10と、胸部電極群21と、四肢電極群22と、シャツ40(着衣)とを有する。心電計1Cは、図1に示した心電計1Aと同様に、胸部電極群21及び四肢電極群22を有するが、四肢電極群22のうちの四肢電極LA、RAがシャツ40に配置されている点が異なり、また、着衣が長袖のシャツ40である点が異なる。
【0040】
心電計1Cにおいて、心電計本体10、胸部電極群21は、図1に示した心電計1Aと同様の構成であるので、ここでは、重複する説明は省略する。
【0041】
四肢電極群22は、四肢電極LA、RAと、四肢電極LF、RFとからなる。四肢電極LAは、人体(図示省略)の左手に接触するよう、シャツ40の左手(例えば、左手首部分)に配置される。また、四肢電極RAは、人体の右手に接触するよう、シャツ40の右手(例えば、右手首部分)に配置される。
【0042】
このように配置された四肢電極LA、RAは、シャツ40に形成された回路パターン(図示省略)により、心電計本体10と電気的に接続されている。
【0043】
このように配置された胸部電極C1~C6及び四肢電極LA、RAを有するシャツ40を被検者が着用すると、胸部電極C1~C6は、所定部位(第1の所定部位)において、被検者の胸部と接触することになる。また、四肢電極LA、RAは、被検者の四肢の所定部位(第2の所定部位)である左手首、右手首と接触することになる。これにより、胸部電極C1~C6は、所定部位において、被検者の胸部の電気信号を取得することが可能となる。また、四肢電極LA、RAは、被検者の左手首、右手首の電気信号を取得することが可能となる。
【0044】
このように、シャツ40の胸部の所定箇所に胸部電極C1~C6を配置し、シャツ40の左手、右手の所定箇所に四肢電極LA、RAを配置している。そのため、被検者はシャツ40を着用すれば、胸部電極C1~C6は被検者の胸部の正しい位置に接触することになり、四肢電極LA、RAは被検者の左手、右手の正しい位置に接触することになる。この結果、胸部電極C1~C6や四肢電極LA、RAの装着部位を間違うことがなくなる。
【0045】
一方、四肢電極LFは、図1に示した心電計1Aの四肢電極群22と同様に、巻き取り式のケーブルの先端に配置され、シャツ40に設けられた左側収容部31L内に収容可能である。また、四肢電極RFも、図1に示した心電計1Aの四肢電極群22と同様に、巻き取り式のケーブルの先端に配置され、シャツ40に設けられた右側収容部31R内に収容可能である。
【0046】
使用時には、左側収容部31L、右側収容部31Rから四肢電極LF、RFのケーブルが取り出される。そして、四肢電極LF、RFが被検者の四肢の所定部位(第2の所定部位)である左足首、右足首に手作業で装着されて、被検者の左足首、右足首の電気信号を取得することが可能となる。
【0047】
このように、四肢電極LF、RFを有するケーブルを左右で分けて、左側収容部31Lと右側収容部31Rとに分けて収納することにより、被検者が左足首、右足首に装着する際の装着間違いを防止することができる。また、もし、装着間違いが起こったとしても、本実施の形態では、後述する判定処理等により、装着間違いに対処することができる。
【0048】
シャツ40の胸部及び両手に配置された胸部電極群21(胸部電極C1~C6)及び四肢電極LA、RAと四肢電極LF、RFとを用いて、心電計本体10は、標準12誘導心電図を取得することができる。
【0049】
なお、ここでも、収容部を左右の左側収容部31L及び右側収容部31Rに分けた構成としているが、四肢電極LF、RFを有する複数のケーブル全てを1つの収容部内に収納するようにしてもよい。この場合も、もし、装着間違いが起こったとしても、本実施の形態では、後述する判定処理等により、装着間違いに対処することができる。
【0050】
シャツ40は、心電計本体10を取り付けたり、胸部電極群21(胸部電極C1~C6)や四肢電極LA、RAを配置したり、また、四肢電極LF、RFを有する複数のケーブルを収容可能なものである。ここでも、シャツ40に収容部を設けているが、心電計本体10に1つの収容部や左右の収容部を設けるようにしてもよい。
【0051】
また、シャツ40としては、胸部電極C1~C6を被検者の胸部に押し付けるよう、また、四肢電極LA、RAを左手首、右手首に押しつけるよう、被検者の胸部や左手首、右手首に着圧を付加可能な伸縮性のある素材から構成することが望ましい。このような構成とすることにより、胸部電極C1~C6を被検者の胸部に確実に接触させ、四肢電極LA、RAを被検者の左手首、右手首に確実に接触させることができる。
【0052】
[心電計の形態例4]
本発明に係る心電計は、図1に示す心電計1Aに代えて、図4に示す心電計1Dでもよい。
【0053】
図4に示す心電計1Dは、標準12誘導心電図を取得可能なものであり、心電計本体10と、胸部電極群21と、四肢電極群22と、ボディスーツ50(着衣)とを有する。心電計1Dは、図1に示した心電計1Aと同様に、胸部電極群21及び四肢電極群22を有するが、四肢電極群22がボディスーツ50に配置されている点が異なり、また、着衣がボディスーツ50である点が異なる。
【0054】
心電計1Dにおいて、心電計本体10、胸部電極群21は、図1に示した心電計1Aと同様の構成であるので、ここでは、重複する説明は省略する。
【0055】
四肢電極群22は、ボディスーツ50の四肢に配置された複数の四肢電極LA、RA、LF、RFからなる。四肢電極LAは、人体(図示省略)の左手に接触するよう、ボディスーツ50の左手(例えば、左手首部分)に配置される。また、四肢電極RAは、人体の右手に接触するよう、ボディスーツ50の右手(例えば、右手首部分)に配置される。また、四肢電極LFは、人体の左足に接触するよう、ボディスーツ50の左足(例えば、左足首部分)に配置される。また、四肢電極RFは、人体の右足に接触するよう、ボディスーツ50の右足(例えば、右足首部分)に配置される。
【0056】
このように配置された四肢電極LA、RA、LF、RF(四肢電極群22)は、ボディスーツ50に形成された回路パターン(図示省略)により、心電計本体10と電気的に接続されている。
【0057】
このように配置された胸部電極C1~C6及び四肢電極LA、RA、LF、RFを有するボディスーツ50を被検者が着用すると、胸部電極C1~C6及び四肢電極LA、RA、LF、RFは、所定部位において、被検者の胸部及び四肢と接触することになる。これにより、胸部電極C1~C6及び四肢電極LA、RA、LF、RFは、所定部位において、被検者の胸部及び四肢の電気信号を取得することが可能となる。
【0058】
このように、ボディスーツ50の胸部及び四肢の所定箇所に胸部電極C1~C6及び四肢電極LA、RA、LF、RFを配置している。そのため、被検者はボディスーツ50を着用すれば、胸部電極C1~C6及び四肢電極LA、RA、LF、RFは被検者の胸部及び四肢の正しい位置に接触することになる。この結果、胸部電極C1~C6及び四肢電極LA、RA、LF、RFの装着部位を間違うことがなくなる。もし、装着状態に問題があって、接触不良が起こったとしても、本実施の形態では、後述する判定処理等により、装着状態の問題に対処することができる。
【0059】
ボディスーツ50は、心電計本体10を取り付けたり、胸部電極群21(胸部電極C1~C6)や四肢電極群22(四肢電極LA、RA、LF、RF)を配置したりするものである。ボディスーツ50としては、図4に示すように、長袖、長ズボンタイプのものが好ましい。
【0060】
また、ボディスーツ50としては、胸部電極C1~C6や四肢電極LA、RA、LF、RFを被検者の胸部や四肢に押し付けるよう、被検者の胸部や四肢に着圧を付加可能な伸縮性のある素材から構成することが望ましい。このような構成とすることにより、胸部電極C1~C6や四肢電極LA、RA、LF、RFを被検者の胸部や四肢に確実に接触させることができる。
【0061】
ケーブル(誘導コード)があると、ケーブルが断線したり、ケーブル同士が絡まったり、また、ケーブルがあることで、被検者がストレスを感じる場合もあるが、本形態例3では、ケーブルがないので、このような問題は発生しない。
【0062】
[心電計本体]
心電計本体10について、図5を参照して説明を行う。図5は、心電計本体10を説明するブロック図である。なお、図示省略しているが、心電計本体10はバッテリー電源により駆動されている。
【0063】
心電計本体10は、例えば、図5に示すように、A/D変換部11、操作部12、記憶部13、出力部14、通信部15、制御部16を有する。
【0064】
A/D変換部11には、胸部電極群21や四肢電極群22が接続され、胸部電極群21や四肢電極群22で取得された電気信号が入力される。A/D変換部11は、胸部電極群21や四肢電極群22から入力された電気信号(アナログ信号)をデジタルデータに変換して、制御部16に出力する。制御部16は、入力されたデジタルデータを記憶部13に記憶する。
【0065】
なお、図2に示す心電計1Bの場合、A/D変換部11には背部電極群23も接続され、背部電極群23で取得された電気信号も入力され、A/D変換部11は、背部電極群23から入力された電気信号もデジタル信号に変換して、制御部16に出力する。
【0066】
操作部12は、操作に最低限必要な操作ボタン、例えば、電源オンボタンとスタートボタンとを有する。被検者が電源オンボタンを押下すると、心電計本体10が起動する。そして、被検者がスタートボタンを押下すると、この操作信号を制御部16に出力して、後述する一連の処理を実施し、その終了後、自動的にオフになる。このように、操作部12は、操作に最低限必要な操作ボタンを有しているので、被検者は操作に迷うことなく、標準12誘導心電図等の計測を行うことができる。
【0067】
なお、ここでは、操作部12として、電源オンボタンとスタートボタンとを有しているが、電源オンボタンとスタートボタンとを兼用するボタン1つでもよく、ボタン1つでも、上記の操作は可能である。
【0068】
記憶部13は、制御部16から入力されたデジタルデータを時系列で保存するための記憶装置である。記憶部13としては、例えば、不揮発性メモリ等の記憶媒体を用いる。
【0069】
出力部14は、例えば、スピーカーであり、後述する指示(音声ガイド)を被検者に行う。
【0070】
通信部15(送信部)は、例えば、携帯電話回線や無線LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、他の端末、例えば、携帯電話、コンピュータ、サーバー等との間で、後述する心電図等の画像を送信する通信処理を行う。通信部15としては、携帯電話回線やWi-Fi(登録商標)等の無線LANに限らず、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信も使用可能である。
【0071】
制御部16は、上述した操作部12、記憶部13、出力部14、通信部15等を制御して、心電計本体10全体の動作を制御する。制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより構成される。制御部16のCPUは、ROMに記憶されている処理プログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0072】
なお、心電計本体10は、その動作状態を示す簡単な表示部を備えていてもよい。また、表示部はメッセージを表示可能なものでもよく、その場合、表示部は上記の出力部14として機能して、被検者に指示するメッセージを表示するようにしてもよい。
【0073】
[心電計の装着方法及び計測方法]
図6は、心電計1Aの装着方法及び計測方法を説明するフローチャートである。また、図7は、図6に示すフローチャートにおける電極の装着指示及び判定サブルーチンを説明するフローチャートである。ここでは、心電計の装着方法及び計測方法の一例として、図1及び図5も参照して、図1に示す心電計1Aの装着方法及び計測方法を説明する。なお、ここでは、左足首の四肢電極LFは緑色、右足首の四肢電極RFは黒色、左手首の四肢電極LAは黄色、右手首の四肢電極RAは赤色に色分けされているものとする。
【0074】
まず、被検者がシャツ30を着用する。被検者がシャツ30を着用することにより、胸部電極群21の装着は終了する。
【0075】
(ステップS11)
心電計本体10の電源オンボタンが被検者に押下されると、制御部16は、スタートボタンが押下されたか否かを確認する。スタートボタンが押下された場合(YES)、ステップS12へ進み、押下されない場合(NO)、ステップS11での確認を繰り返す。
【0076】
なお、このとき、制御部16は、胸部電極群21で電気信号を取得し、それらの検出結果に基づいて、シャツ30を正しく着用できているか否かを判定するようにしてもよい。シャツ30を正しく着用できていないと判定した場合には、制御部16(指示部)は、出力部14を介して、シャツ30を着用し直すよう音声ガイドで被検者に指示する。
【0077】
また、シャツ30の着用前に、被検者が心電計本体10の電源オンボタンやスタートボタンを押下した場合には、制御部16は、胸部電極群21で電気信号を取得し、それらの検出結果に基づいて、シャツ30を着用しているか否かを判定するようにしてもよい。シャツ30を着用していないと判定した場合には、制御部16(指示部)は、出力部14を介して、シャツ30を着用するよう音声ガイドで被検者に指示する。
【0078】
スタートボタンが押下されると、制御部16(指示部)は、出力部14を介して、安静状態にするよう音声ガイドで被検者に指示する。このとき、制御部16は、被検者の姿勢(例えば、座位等)を指示するようにしてもよい。
【0079】
(ステップS12)
ステップS12においては、図7に示す電極の装着指示及び判定のサブルーチンが実行される。即ち、制御部16(指示部)は、出力部14を介して、心電図電極部の指定の電極を対応する部位に装着し、装着後、対応する部位を動かすよう音声ガイドで被検者に指示する。そして、制御部16(判定部)は、心電図電極部の指定の電極が対応する部位に正しく装着されたか否かを判定する。
【0080】
具体的には、以下に例示する指示及び判定により、心電図電極部の指定の電極が対応する部位に正しく装着されたか否かを判定する。ここでは、一例として、四肢電極群22を被検者の四肢に装着する場合について説明する。
【0081】
(ステップS12-1)
制御部16は、出力部14を介して、指定の電極を対応する部位に装着し、装着後、対応する部位を動かすよう指示する。例えば、左足首用の緑色の四肢電極LFを左足首に装着するよう指示する場合には、「緑色の電極を左足首に装着し、装着後、左足を動かしてください。」との音声ガイドによる指示を被検者に行う。
【0082】
(ステップS12-2)
制御部16は、指示に基づいて左足を動作させることにより生じた電気信号(筋電信号)を検出し、当該電気信号が生じた電極を四肢電極LA、RA、LF、RFの中から特定する。
【0083】
(ステップS12-3)
制御部16は、電気信号が生じた電極が四肢電極LFか否かを判定して、四肢電極LFが左足首に正しく装着されたか否かを判定する。電気信号が生じた電極が四肢電極LFであれば、四肢電極LFが左足首に正しく装着されたと判定し、四肢電極LF以外の電極であれば、四肢電極LFが左足首に正しく装着されていないと判定する。正しく装着されている場合(YES)、ステップS12-5へ進み、正しく装着されていない場合(NO)、ステップS12-4へ進む。
【0084】
(ステップS12-4)
四肢電極LFが左足首に正しく装着されていない場合、制御部16は、出力部14を介して、指定の電極を対応する部位に正しく装着するよう指示し、装着後、対応する部位を再度動かすよう指示する。例えば、緑色の四肢電極LFを正しい装着部位である左足首に装着するよう指示する場合には、「装着した電極が誤っています。緑色の電極を左足首に装着して下さい。装着後、再度左足を動かしてください。」との音声ガイドによる指示を被検者に行う。その後、ステップS12-3へ戻る。
【0085】
(ステップS12-5)
装着後又は再装着後において、四肢電極LFが左足首に正しく装着された場合、制御部16は、対象全ての部位への装着が終了したかどうかを確認する。対象全ての部位への装着が終了している場合(YES)、ステップS13へ進み、終了していない場合(NO)、ステップS12-1へ戻る。
【0086】
対象全ての部位への装着が終了していない場合、残りの部位に対して、ステップS12-1~S12-5に示す電極の装着指示及び判定の手順を繰り返す。ここでは、一例として、四肢に装着するので、左足首に対する電極(緑色の四肢電極LF)の装着指示及び判定が終了すると、次に、右足首に対する電極(黒色の四肢電極RF)の装着指示及び判定が行われる。次に、左手首に対する電極(黄色の四肢電極LA)の装着指示及び判定が行われ、最後に、右手首に対する電極(赤色の四肢電極RF)の装着指示及び判定が行われる。
【0087】
右足首、左手首及び右手首に対する電極の装着指示及び判定を行う場合、装着するよう指示される電極や動かすよう指示される部位は、上述した左足首に対する場合とは異なるが、基本的な手順は上述した通りであるので、ここでは、重複する説明は省略する。
【0088】
また、ここでは、足の四肢電極LF、RF側の電位を基準の電位とするため、足の四肢電極LF、RFの後に、手の四肢電極LA、RAを装着するようにしているが、この順番に限ることはない。また、左右の順番についても、ここでは、左足側の四肢電極LFの後に、右足側の四肢電極RFを装着し、左手側の四肢電極LAの後に、右手側の四肢電極RAを装着するようにしているが、この順番に限ることはない。
【0089】
また、ここでは、四肢電極群22の装着部位が間違っている場合、装着し直すよう音声ガイドで指示しているが、これ以外の方法で対処してもよい。例えば、制御部16(変更部)が、四肢電極群22の装着部位の判定の結果に基づいて、四肢電極群22と装着部位との対応関係を変更するようにしてもよい。
【0090】
具体的には、制御部16(変更部)は、四肢電極群22が正しく装着されていないと判定された場合、四肢電極群22に対する少なくとも2つの判定の結果に基づいて、四肢電極群22が装着されている装着部位を特定する。そして、特定された結果に基づいて、四肢電極群22と装着部位との対応関係を変更する。
【0091】
例えば、左手首及び右手首に装着する四肢電極LA及びRAは正しい部位に装着されたが、誤って、左足首に装着する四肢電極LFを右足首に装着し、右足首に装着する四肢電極RFを左足首に装着したとする。この場合、四肢電極群22に対する全ての判定の結果の中から、四肢電極LFと四肢電極RFとに対する判定の結果に基づいて、四肢電極LFが右足首に装着され、四肢電極RFが左足首に装着されていると特定する。そして、特定された結果に基づいて、四肢電極LF及び四肢電極RFと装着部位との対応関係を、四肢電極LFの装着部位が右足首であり、四肢電極RFの装着部位が左足首であると変更する。
【0092】
また、図4に示す心電計1Dの場合、四肢電極群22の装着部位を間違う可能性がないため、この場合には、四肢電極群22の接触状態を確認するために、上述した手順を行うようにしてもよい。
【0093】
(ステップS13)
制御部16は、胸部電極群21及び四肢電極群22の装着が終了すると、心電波形の計測を開始し、A/D変換部11を介して入力された心電波形のデジタルデータを時系列で記憶部13に記憶する。なお、四肢電極群22と装着部位との対応関係が変更されている場合には、変更された対応関係に基づいて、心電波形のデジタルデータを記憶部13に記憶する。
【0094】
心電波形の計測は、予め、計測時間が設定されており、例えば、10秒に設定されている時は、10秒間心電波形の計測を行う。例えば、標準12誘導心電図の場合、図8に示すような時系列の心電図として計測される。
【0095】
(ステップS14)
制御部16(画像生成部)は、記憶部13に記憶された心電波形のデジタルデータに基づいて、図8に示すような心電図を画像データG1として生成する。例えば、JPEG等の比較的データ容量を圧縮可能な画像フォーマットで画像を生成する。
【0096】
(ステップS15)
制御部16(画像生成部)は、生成された画像データG1が1頁に収まるかどうかを確認する。例えば、画像データG1を印刷することを考慮する場合には、A4サイズ用紙の1頁に画像データG1が収まるかどうかを確認する。なお、ここでのA4サイズ用紙は一例であり、他の任意のサイズ、例えば、A3サイズ用紙でもよい。また、印刷は行わずに、例えば、コンピュータのディスプレイで画像データG1を確認する場合には、当該ディスプレイの1画面を1頁としてもよい。画像データG1が1頁に収まる場合(YES)、ステップS17へ進み、収まらない場合(NO)、ステップS16へ進む。
【0097】
(ステップS16)
画像データG1は、画面表示や印刷する場合、1頁に収まることが望ましい。しかしながら、計測時間が長くなる場合、図9に示すように、画像データG11が長くなって、複数頁に渡る場合があり、その場合、波形の途中、特に、波形が変動している途中で改頁する場合がある。
【0098】
このような場合、制御部16(画像生成部)は、図10に示すように、波形の平坦な箇所(変化がない箇所)で改頁するように、画像データG111及び画像データG112を生成する。このように、波形の平坦な箇所で改頁する画像データG111及び画像データG112を生成することにより、波形の異常の見落としを防止するようにしている。なお、画像データG111及び画像データG112も、画像データG1と同様の画像フォーマットで生成される。
【0099】
(ステップS17、S18)
制御部16は、通信部15を介して、生成された画像データG1、G111、G112等を外部の装置、例えば、担当医の携帯端末や病院のコンピュータやサーバー等に送信する。そして、制御部16は、画像データG1、G111、G112等の送信後、心電計1A(心電計本体10)を自動的に電源オフにする。
【0100】
このように、画像データG1、G111、G112等のデータ容量を小さくすると共に、画像データG1、G111、G112等の送信後、自動的に電源オフにするので、バッテリー電源で駆動する心電計1A(心電計本体10)の省電力を図ることができる。
【0101】
なお、制御部16は、心電図の解析機能を備えていてもよい。その場合、制御部16は、記憶部13に記憶した心電波形のデジタルデータを解析して、図11に示す心電図の計測値レポートや図12に示す心電図の解析レポートを作成する。計測値レポートは、心電図の計測値のサマリー(要点)を示すレポートであり、解析レポートは、心電図の計測値の正常、異常を解析した結果を示すレポートである。
【0102】
この場合においても、制御部16(画像生成部)は、計測値レポートや解析レポートをJPEG等の画像フォーマットで生成して、図11に示す画像データG2や図12に示す画像データG3とし、外部の装置に送信する。
【0103】
また、心電計本体10は、カメラ機能を備えていてもよい。例えば、被検者自身の写真を撮影するよう音声ガイドで指示を行って、特に、四肢電極群22と四肢の接続関係を確認できる写真を取得するようにする。取得した写真を画像データG1等と一緒に送信すれば、四肢電極群22と四肢の接続関係を確実に確認することができる。
【0104】
以上のような構成を有する心電計1A~1Dにより、担当医の往診前に患者自身が計測したり、また、オンライン診療において、患者自身が計測したりすることができる。担当医の往診前に患者自身が計測を行う場合には、往診前に計測結果の心電図等が担当医に送信されるので、往診診療や治療の簡略化、効率化を図ることができる。また、感染症等の患者は非接触で診療することが望ましいことから、以上のような構成を有する心電計1A~1Dを患者が装着して、オンライン診療を行うことで、感染リスクを低減した状態で、患者に対する診察を正確に行うことができる。
【0105】
また、以上のような構成を有する心電計1A~1Dは、運動負荷がある検査、例えば、運動負荷心電図等の検査にも好適である。心電計1A~1Dは、ケーブルが少ない、又は、ケーブルがないので、ケーブルの煩わしさによるストレスを軽減することができ、運動負荷心電図検査をより正確に行うことができる。
【0106】
また、以上のような構成を有する心電計1A~1Dは、ホルター心電図検査等の計測が長時間に渡る検査にも好適である。上述したように、胸部電極群21及び四肢電極群22を正しい部位に装着でき、また、長時間に渡って、ケーブルの煩わしさによるストレス等を軽減することができるので、ホルター心電図検査をより正確に行うことができる。
【0107】
なお、上記実施の形態や変形例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0108】
例えば、ここでは、標準12誘導心電図や15誘導心電図を取得可能な心電計1A~1Dを例示したが、誘導の数はこれらに限らず、他の誘導の数の心電図、例えば、18誘導心電図等を取得可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1A、1B、1C、1D 心電計
10 心電計本体
11 A/D変換部
12 操作部
13 記憶部
14 出力部
15 通信部
16 制御部
21 胸部電極群
22 四肢電極群
23 背部電極群
30、40 シャツ
31L 左側収容部
31R 右側収容部
50 ボディスーツ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12