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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155880
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23B 90/04 20110101AFI20231016BHJP
   F23G 5/16 20060101ALI20231016BHJP
   F24B 1/02 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
F23B90/04
F23G5/16 E
F24B1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199908
(22)【出願日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2022064890
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月9日、株式会社日本経済新聞社のウェブサイト https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC095EV0Z00C22A3000000/ 令和4年3月23日、信濃毎日新聞の朝刊第9面
(71)【出願人】
【識別番号】593190928
【氏名又は名称】株式会社モキ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】野上 尋
(72)【発明者】
【氏名】杉村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】西沢 広明
【テーマコード(参考)】
3K046
3K078
【Fターム(参考)】
3K046AA06
3K046AB06
3K046AC06
3K046AD01
3K046BA02
3K046CA10
3K078BA13
3K078CA02
3K078CA15
(57)【要約】
【課題】燃焼効率が高く燃焼できると共に、奥行きをより小さくできるようにコンパクトに構成できる燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼室20を形成する天板11及び側壁部12を備え、後面側壁部12gの側で開口する煙突口13と、煙突口13の下方の空間を後面側壁部12gの内面と囲って区画して過熱されることで燃焼を促進させる燃焼促進部材30を備え、燃焼促進部材30が、煙突口13の前側の下方部位に傾斜して設けられた傾斜板部32と、傾斜板部32の後端部から屈曲して垂下・延長された形態の前部有孔板部33と、前部有孔板部33及び傾斜板部32の左右の両脇から各々屈曲して後面側壁部12gの内面まで延長された形態の左右の側部有孔板部34a、34bと、前部有孔板部33及び左右の側部有孔板部34a、34bによって形成される空間の底面を形成する底部有孔板部35とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薪を燃焼できる燃焼室を形成するように、本体の上面部分である天板及び該本体の前後左右の周囲面部分として起立した壁部である側壁部を備え、前記天板における平面視で前記側壁部の後面を構成する部位である後面側壁部の側に近接する位置で上下方向に開口する煙突口を備える燃焼装置であって、
該煙突口の下方の前記燃焼室の一部である空間を前記後面側壁部の内面と囲って区画するように設けられると共に、燃焼空気が流通できる多数の通気孔が設けられ、過熱されることで燃焼を促進させる燃焼促進部材を備え、
前記燃焼促進部材が、
前記煙突口の前側の下方部位に平面視で重なると共に後方へ向かって下がるように傾斜して設けられた傾斜板部と、
該傾斜板部の後端部から屈曲して下方へ向かうと共に前記後面側壁部の内面から前方に間隔を空けた状態で前記燃焼室の高さ方向の中途部まで垂下・延設された形態の部分であって複数の前記通気孔を備える前部有孔板部と、
該前部有孔板部及び前記傾斜板部の左右の両脇から各々屈曲して前記後面側壁部の内面まで延長された形態の部分であって複数の前記通気孔を備える左右の側部有孔板部と、
該左右の側部有孔板部及び前記前部有孔板部によって形成される空間の底面を形成する部分であって複数の前記通気孔を備える底部有孔板部とを備えることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記本体が、平面視で六角形であって、前後の辺が他の辺よりも長いことで、前後の巾が左右の巾に比べて短い扁平な六角形であり、前記後面側壁部が六角形の後部の一辺を構成する形態になっており、該後部の一辺の中央に近接して前記煙突口が設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記燃焼促進部材が着脱可能に前記後面側壁部に装着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薪を燃焼できる燃焼室を形成するように、本体の上面部分である天板及び該本体の前後左右の周囲面部分として起立した壁部である側壁部を備え、前記天板における平面視で前記側壁部の後面の部位である後面側壁部の側に近接する位置で上下方向に開口する煙突口を備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼装置としては、燃焼室の天井面の一半を開閉自在な蓋体で構成することにより、燃焼物の投入口を兼ねた空気供給口を設け、該空気供給口と反対側の天井面若しくは側面には、煙突が接続する排気口有しており、該排気口と、前記空気供給口との間の天井面からの燃焼促進板を垂設すると共に、該燃焼促進板の下端縁と前記燃焼室の床面との間に燃焼室の高さの1/3~1/4の範囲の空隙を設けることにより、前記空気供給口が開口する一次燃焼室と前記排気口が開口する二次燃焼室とに燃焼室内を分画し、前記燃焼促進板には、一次燃焼室と二次燃焼室とを連通する多数の通孔が該促進板の全体に分散配設されている(特許文献1参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0003】
また、従来の燃焼装置としては、燃焼物の投入口や空気供給口を備える一次燃焼室と排気口を備える二次燃焼室とに、天板部の内面から垂下された状態に固定されて下端縁が底板部の内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されると共に多数の貫通孔を備える燃焼促進板によって、区切られた燃焼空間を有する燃焼装置であって、前記排気口が前記二次燃焼室の天板部に設けられ、該二次燃焼室内で該排気口の開口を横切って分割するように、前記燃焼促進板と同等の多数の貫通孔を備える少なくとももう一枚の燃焼促進板が天板部の内面から垂下された状態に固定されて下端縁が底板部の内面から所要の間隔を開ける高さとなるように形成されて設けられている(特許文献2参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0004】
さらに、従来の燃焼装置としては、薪を燃焼できる燃焼室を形成する本体の上面部分である天板を備え、該天板における平面視した場合の位置として前記本体の側壁部の一部に近接する位置で上下方向に開口するように、該天板の上面から上方へ向かって延設された円筒状の煙突口を備える燃焼装置であって、該煙突口の下方の前記燃焼室の一部である空間を、該燃焼室を形成する前記本体の側壁部の一部における内壁面と共に区画するように、有孔板によって形成されて前記天板の下面から下方に向かって前記燃焼室の高さ方向の中途部まで延設された有孔側板部、及び該有孔側板部によって形成される空間の底部を形成するように有孔板によって形成された有孔底板部を備え、過熱されることで燃焼を促進させる燃焼室区画燃焼促進部材と、前記有孔底板部の上面から上方へ向かって筒状に延設されて前記煙突口の内側に該煙突口の内周面から隙間を空けて同心円状に配置されるように、有孔であって円筒状に形成されて過熱されることで燃焼を促進させる筒状燃焼促進部材とを具備する(特許文献3参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3066066号公報(請求項1)
【特許文献2】特許第4785980号公報(請求項1)
【特許文献2】特許第6892717号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃焼装置に関して解決しようとする課題は、燃焼室の容積が従来のものと同等である場合の比較として、燃焼効率が高く燃焼できて大きな熱量の発生ができると共に、設置のための床面積を小さくできることに加えて、奥行きをより小さくできるようにコンパクトに構成できる合理的な形態のものが提案されていない点にある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、燃焼効率が高く大きな熱量の発生ができると共に、奥行きをより小さくできるようにコンパクトに構成できる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る燃焼装置の他の一形態によれば、薪を燃焼できる燃焼室を形成するように、本体の上面部分である天板及び該本体の前後左右の周囲面部分として起立した壁部である側壁部を備え、前記天板における平面視で前記側壁部の後面を構成する部位である後面側壁部の側に近接する位置で上下方向に開口する煙突口を備える燃焼装置であって、該煙突口の下方の前記燃焼室の一部である空間を前記後面側壁部の内面と囲って区画するように設けられると共に、燃焼空気が流通できる多数の通気孔が設けられ、過熱されることで燃焼を促進させる燃焼促進部材を備え、前記燃焼促進部材が、前記煙突口の前側の下方部位に平面視で重なると共に後方へ向かって下がるように傾斜して設けられた傾斜板部と、該傾斜板部の後端部から屈曲して下方へ向かうと共に前記後面側壁部の内面から前方に間隔を空けた状態で前記燃焼室の高さ方向の中途部まで垂下・延設された形態の部分であって複数の前記通気孔を備える前部有孔板部と、該前部有孔板部及び前記傾斜板部の左右の両脇から各々屈曲して前記後面側壁部の内面まで延長された形態の部分であって複数の前記通気孔を備える左右の側部有孔板部と、該左右の側部有孔板部及び前記前部有孔板部によって形成される空間の底面を形成する部分であって複数の前記通気孔を備える底部有孔板部とを備える。
【0009】
本発明に係る燃焼装置の他の一形態によれば、前記本体が、平面視で六角形であって、前後の辺が他の辺よりも長いことで、前後の巾が左右の巾に比べて短い扁平な六角形であり、前記後面側壁部が六角形の後部の一辺を構成する形態になっており、該後部の一辺の中央に近接して前記煙突口が設けられていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る燃焼装置の一形態によれば、前記燃焼促進部材が着脱可能に前記後面側壁部に装着されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の燃焼装置によれば、燃焼効率が高く大きな熱量の発生ができると共に、奥行きをより小さくできるようにコンパクトに構成できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る燃焼装置の形態例を示す中央縦断面図である。
図2図1の形態例の正面図である。
図3図1の形態例の平面図である。
図4図1の形態例のA-A断面図である。
図5図1の形態例の右側面図である。
図6図1の形態例の背面図である。
図7】本発明に係る燃焼装置の構成部材である燃焼促進部材の形態例を示す(a)正面図及び(b)側面図である。
図8図7の形態例の正面図中央縦断面図である。
図9図7の形態例の平面図である。
図10】本発明に係る燃焼装置の他の形態例を示す平面図である。
図11】本発明に係る燃焼装置の他の形態例を示す中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る燃焼装置の形態例を、添付図面(図1~9)に基づいて詳細に説明する。この燃焼装置は、基本形態として、薪を燃焼できる燃焼室20を形成するように、本体10の上面部分である天板11及びその本体10の前後左右の周囲面部分として起立した壁部である側壁部12を備え、天板11における平面視で側壁部12の後面を構成する部位である後面側壁部12gの側に近接する位置で上下方向に開口する煙突口13を備えるものである。
【0014】
本形態例の煙突口13は、図1などに示すように、天板11における後面側壁部12gの近傍に上下方向に開口するようにその天板11の上面から上方へ向かって延設された円筒状に形成され、煙突用の筒体に接続できるように形成されている煙突口筒部14に連続する形態に設けられている。
【0015】
そして、本発明に係る燃焼装置よれば、燃焼促進部材30が、煙突口13の下方の燃焼室20の一部である空間を後面側壁部12gの内面と囲って区画するように設けられると共に、燃焼空気が流通できる多数の通気孔31が設けられ、過熱されることで燃焼を促進させるように設けられている。
【0016】
また、この燃焼促進部材30は、図1、7~9などに示すように、煙突口13の前側の下方部位に平面視で重なると共に後方へ向かって下がるように傾斜して設けられた傾斜板部32と、その傾斜板部32の後端部から屈曲して下方へ向かうと共に後面側壁部12gの内面から前方に間隔を空けた状態で燃焼室20の高さ方向の中途部まで垂下・延設された形態の部分であって複数の通気孔31を備える前部有孔板部33と、その前部有孔板部33及び傾斜板部32の左右の両脇から各々屈曲して後面側壁部12gの内面まで延長された形態の部分であって複数の通気孔31を備える左右の側部有孔板部34a、34bと、その左右の側部有孔板部及び前部有孔板部33によって形成される空間の底面を形成する部分であって複数の通気孔31を備える底部有孔板部35とを備えている。
【0017】
この本発明に係る燃焼装置によれば、適切な形態の燃焼促進部材30を備えることで、燃焼効率が高く大きな熱量の発生ができると共に、奥行きをより小さくできるようにコンパクトに構成できるという特別有利な効果を奏する。なお、本形態例では、前部有孔板部33から後面側壁部12gの内面までの間隔が、傾斜板部32の前端部から後面側壁部12gの内面までの間隔の半分程度となるように、前部有孔板部33が、平面視で煙突口13の実質的に中央部から下方へ向かって垂下された状態に延長されている。
【0018】
すなわち、この燃焼装置によれば、前部有孔板部33の上方の前方側へ傾斜して延びるように傾斜板部32が設けられていることで、燃焼空気が上昇して多数の通気孔31を通過する際に、その傾斜板部32が効率よく加熱されてさらに過熱されることになり、焼玉の原理で、燃焼促進部材30内から煙突口13や煙突内を含む二次燃焼の燃焼空間(二次燃焼室22)での二次燃焼が促進されて、燃焼効率を高めることができる。そして、前部有孔板部33がより奥側へ配置されており、その分だけ一次燃焼の燃焼空間(一次燃焼室21)をより広く確保することができ、燃焼装置全体としての奥行きの巾をより短くすることができるため、燃焼効率が高く大きな熱量の発生ができると共に、設置のための床面積を小さくできることに加えて、奥行きをより小さくできるようにコンパクトに構成することができる。
【0019】
さらに、本発明の燃焼装置によれば、底部有孔板部35を備えることで、二次燃焼室22が適切に囲まれ、その二次燃焼室22へ通気する燃焼空気の実質的に全部が複数の通気孔31のどれかを通過することで排気されることになるため、火の粉が煙突から排出されることを可及的に防止できる効果がある。これによれば、例えばテントの中でサウナを楽しむ場合などを含めて、引火防止になり、安全性を向上できる。
【0020】
また、本形態例では、前部有孔板部33、左右の側部有孔板部34a、34b、底部有孔板部35及び後面側壁部12gの内面によって囲まれた空間は、箱形の二次燃焼室22になっており、前部有孔板部33と後面側壁部12gの内面とは、所要の間隔をおいて優れた通気性を生じるように相互に平行に面した形態になっている。これによれば、その上下方向に抵抗が少なく通気できる箱形の空間になっており、加熱された燃焼空気による上昇気流が流れ易く、さらに、傾斜板部32が設けられた燃焼促進部材30の上部に当たる二次燃焼室22の部分では通気空間が拡大することで、その加熱されて膨張する燃焼空気の上昇気流が流れ易くなる。このため、この燃焼促進部材30の形態によれば、ドラフト効果がよりスムースに生じ、燃焼効率をより向上することができる。
【0021】
そして、このように構成された燃焼装置によれば、燃焼室の容積が従来のものと同等である場合の比較として、燃焼効率が高くより大きな熱量の発生ができると共に、上述したような有利な効果を奏する。すなわち、二次燃焼が、燃焼促進部材30と後面側壁部12gの内面とによって構成される二次燃焼促進部の燃焼空間(二次燃焼室22の部位)で合理的になされ、高温燃焼が維持されることで燃焼効率を高め、完全燃焼に可及的に近づけることができる。
【0022】
従って、本発明に係る燃焼装置によれば、効率よく熱量を得ることができ、クリーンな排気を実現でき、環境を保全し、持続可能なエネルギー資源の活用として優れた効果を奏する。なお、このように二次燃焼が促進されて、燃焼効率が高くなる原理については、本出願人の先の発明(先行技術文献の欄で挙げた特許文献1~3を参照)によるものと同等のもので、本発明では、その原理を応用し、二次燃焼促進空間を、燃焼室20の奥部で上側の燃焼空気の通り道であって排気がなされる煙突口13の近傍により合理的且つよりコンパクトに構成したことに特長がある。
【0023】
さらに説明すれば、本形態例の燃焼促進部材30では、通気孔31が多数のあることで空気の流通が整流される状態で適正になされると共に、特に加熱され易い傾斜板部32が高温に過熱されることで発火源として二次燃焼が促進されことになる。すなわち、傾斜板部32が、一次燃焼室21との位置関係で一次燃焼室21の上部奥側にあることと、燃焼空気がその傾斜板部32の下側の前部有孔板部33などの多数の通気孔31を通過する位置関係にあることで、より素早く適切に加熱されて高温に過熱される部分に位置し、この傾斜板部32が発火源として二次燃焼がより効率的に促進される。これに加えて、複数の通気孔31によって燃焼空気の整流化がなされることや前述した箱形の燃焼促進部材30の形状的に効果によって、ドラフト効果(煙突効果)で排気の排出流速を高めることができ、吸入・供給される燃焼用の新鮮な空気の流れを適切に促進し、燃焼効率を高める効果がある。
【0024】
また、本形態例では、図1及び7などに示すように、傾斜板部32の前端部から屈曲して上方へ向かって天板11の下面まで実質的に鉛直に延長された形態に形成された前上部起立板部36が設けられている。これによれば、燃焼促進部材30と後面側壁部12gの内面とによって区画された空間を、煙突口13にスムースに連続させることができ、燃焼空気を淀みなく流れ易くガイドすることができる。すなわち、これによれば、燃焼空気の排出に係る通気抵抗を低減することができ、ドラフト効果を高めることができるため、燃焼効率を向上させるように作用する。
【0025】
また、本形態例では図3などに示すように、本体10が、平面視で六角形であって、前後の辺が他の辺よりも長いことで、前後の巾が左右の巾に比べて短い扁平な六角形であり、後面側壁部12gが六角形の後部の一辺を構成する形態になっており、その後部の一辺の中央に近接して煙突口13が設けられている。
【0026】
これによれば、平面視で燃焼装置の本体10を、奥行きの巾をより短くして前後方向に扁平に形成することができるため、燃焼装置全体としてコンパクトな形態になり、限られた狭い室内のスペースに適切に配置することができる。例えば、本発明に係る燃焼装置を、サウナストーブとして使用すると、比較的狭く設けられるサウナの室内空間のより壁際に設置することができ、利用者が滞在するスペースをより広く設定できるため、より居心地のよいスペースとすることができる。
【0027】
また、本形態例では、燃焼促進部材30が着脱可能に後面側壁部12gに装着されている。なお、本形態例では、図4(A-A断面図)に示すように、本形態例では、燃焼促進部材30が、左右の側部有孔板部34a、34bの後面側壁部12gに接する部位で左右方向へ屈曲してそれぞれが左右に開いた形態に設けられた固定代部37a、37bの取付孔39(図7参照)において、後面側壁部12gに対してボルト・ナットによる締結手段38によって着脱可能に固定されている。
【0028】
これによれば、最も消耗し易い燃焼促進部材30を容易に交換でき、適切に保守管理することができる。また、燃焼促進部材30の部位が燃焼装置の本体10と溶接によって一体化して設けられている場合と比較し、本形態例では燃焼促進部材30が燃焼装置の本体10と別体の部品として設けられていることで、天板11や後面側壁部12gへ熱が逃げにくく、燃焼促進部材30の特に傾斜板部32の部分を加熱し易くなり、その傾斜板部32が過熱することで、二次燃焼をより合理的に促進できる効果がある。
【0029】
なお、本形態例の多数の通気孔31は、円形に貫通する孔が燃焼促進部材30の実質的に下半分の部位で等間隔にマトリックス状に配列された形態になっているが、本発明はこれに限定されず、使用される条件などによって、孔の大きさ、形状や開口率、孔が設けられる部材の板厚、孔の配列などについて、適宜選択的に調整・設定できるのは勿論である。
【0030】
また、本形態例では、前述したように、燃焼室20の平面形態が実質的に六角形であって、天板11の平面形態が実質的に六角形であることで、六角形の筒体(多角筒)が立てられた形態になっている。そして、本形態例の薪投入口40は、六角筒体の平面視で長辺となっている正面(前面12a)となる側壁部12に、十分に大きな開口として設けられている。また、この薪投入口40は、開閉扉41によって、レバー43(図2、5など参照)を操作することで、その開口が開閉されるにように構成されている。つまり、開閉扉41で薪投入口40を閉じ、レバー43を起立させるように回動させることで、回動軸43aの近傍に設けられた爪部43bを被係合軸43cに係合でき、その開閉扉41による薪投入口40の閉じた状態がロックされる。そして、レバー43を前方へ倒すことでロックを解除でき、蝶番43dを介して開閉扉41を回動させて薪投入口40を開くことができる。なお、44は気密部材であり、開閉扉41を閉じた際に煙が洩れないようにシールのため、薪投入口40の口縁を形成するリング状の溝に充填されている。また、42は耐熱ガラス窓部であり、燃焼室20内部が見えるように、開閉扉41に設けられている。
【0031】
また、図1及び2に示すように、50はアッシュトレーであり、六角形の本体10の燃焼室20の内底面上で、前後方向にスライド可能(引き出して取り出し可能)に配されており、灰を受けて取り出して回収することができる。なお、本形態例の燃焼室20内であって1次燃焼室の一部を構成する六角の左右の隅部には、灰を回収し易く中心側へ寄せることができ、薪を内側へ寄せてなるべく立たせた状態に保持できるために、その左右の隅部の両側で中心側へ向かって下がるように斜面に設けられた斜面部位51aと、それに連続して垂下して灰をアッシュトレー50へ落下するように案内すると共に、そのアッシュトレー50を前後方向にスライド及び出し入れできるように案内する起立部位51bとを備える薪案内部51が設けられている。
【0032】
また、本形態例の燃焼装置は、その基本形態として、薪を燃焼できる燃焼室20を形成する本体10が平面視で六角形に形成されるように、起立した壁部である側壁部12が、前面12a、左脇前面12b、右脇前面12c、左脇後面12d、右脇後面12e及び後面12fの各面を形成するように設けられているものである。
【0033】
そして、本発明に係る燃焼装置よれば、図3などに示すように、設置位置として裏面側となる本体10の左脇後面12d、右脇後面12e、及び後面12fの3面から同等巾の間隔を置いて、対流用上下空間61が形成されるように、左脇後面板62、右脇後面板63及び後面板64の3面を備える裏面側遮蔽板60が配されている。
【0034】
この本発明の燃焼装置によれば、奥行きをより小さくできるようにコンパクトに構成でき、燃焼装置の裏面側に輻射する熱を遮蔽して室内の壁際により近くコンパクトに設置できると共に、燃焼装置の裏面側に輻射する熱で対流する空気を適切に加熱できるという特別有利な効果を奏する。
【0035】
すなわち、平面視で燃焼装置の本体10が六角形であって3面を備える裏面側遮蔽板60が配されることで、奥行きの巾をより短くして前後方向に扁平に形成することができるため、燃焼装置全体としてコンパクトな形態になり、限られた狭い室内スペースに適切に配置することができる。例えば、本発明に係る燃焼装置を、サウナストーブとして使用すると、比較的狭く設けられるサウナの空間のより壁際に設置することができ、利用者が滞在する室内スペースをより広く設定できるため、より居心地のよいスペースとすることができる。なお、室内スペースとは、簡易的なサウナを構築するテント型の帆布などで壁部が構成された内部スペースを含むものである。
【0036】
そして、燃焼装置の本体10が六角であることで連続する各面の相互間が鈍角となるため、これに伴って形成される裏面側遮蔽板60の形態も、その連続する各面の相互間が鈍角となるため、例えば真四角の場合に比べて空気の流れが分断しにくく、よりスムースな気流(加熱空気による上昇気流)を得ることができる。これによれば、対流する室内の循環空気を適切に加熱できるため、加温室内をより均一に暖めることができ、その暖房及び加熱効果を高めることができる。
【0037】
これに対して、平面視で楕円形に設け、長円を形成する側を壁際に添わせるように配置できる燃焼装置の本体によっても壁際にコンパクトに設置することが可能であるが、その場合、裏面側遮蔽板60の水平断面形状が曲線になり、本形態例のように折り曲げた形態によって形成されるように左脇後面板62、右脇後面板63及び後面板64の3面を有する裏面側遮蔽板60に比べて、その形状的剛性がなく、本形態例のように裏面側遮蔽板60を所望の配置関係に容易に設置することが難しい。
【0038】
また、本形態例では、平面視で左脇前面板65、右脇前面板66、左脇後面板62、右脇後面板63、後面板64の5面板によって形成された形態の裏面側遮蔽板60の左脇前面板65及び右脇前面板66が、対応する燃焼装置の本体10の左脇前面12b及び右脇前面12cに重ねられた状態で固定されることで本体10に装着されている。なお、本形態例では、左脇前面板65が左脇前面12bの巾の半分程度に重なって固定され、右脇前面板66が右脇前面12cの巾の半分程度に重なって固定されていることで、裏面側遮蔽板60が本体10に装着されているが、その重ね合わせの程度は、安定的に装着できる状態にあれば特に限定されるものではない。
【0039】
そして、この本形態例の裏面側遮蔽板60では、ボルト・ナットによる締結手段67(図2、3、5参照)によって本体10に着脱可能に配されている。左脇前面板65及び右脇前面板66を左脇前面12b及び右脇前面12cに添わせて重ねる状態で固定できるため、安定的且つ容易に装着できる。また、図10の形態例では、この裏面側遮蔽板60が、平面視で左右方向の中央部で2分割に分解できる形態になっている。この形態例では、裏面側遮蔽板60が、その左右方向の中央部において、左右の遮蔽板片60a、60bが、その両者の折り曲げ代部60c、60d同士を、ボルト・ナットによる締結手段68によって分解可能に一体的に固定されることで形成されている。これによれば、燃焼装置をより適切に分解することができ、輸送や保管の便に供することができる。
【0040】
また、本形態例によれば、平面視で六角形の本体10が、前後の辺が他の辺よりも長いことで、前後の巾が左右の巾に比べて短い扁平な六角形であり、後面12fを形成する後面側壁部12gが六角形の後部の一辺を構成する形態になっている。
【0041】
これによれば、奥行きの巾をより短くして前後方向により扁平に形成することができるため、燃焼装置全体としてよりコンパクトな形態になり、限られた狭い室内スペースにより適切に配置することができる。
【0042】
そして、本形態例によれば、図1、2及び4に示すように、燃焼装置の本体10における燃焼室20の底板15と対流用水平空間71が形成される間隔を置いてその底板15の下側に設けられると共に、燃焼装置が設置される設置面から間隔を置いた高さ位置に設けられる底面遮熱板70を備え、対流用水平空間71と対流用上下空間61が連通されている。
【0043】
これによれば、対流用水平空間71から対流用上下空間61へ連続して空気が流れ、より好適に室温を暖めるように室内空気を加温できる。また、その室内を循環する空気の流れをスムースにできるため対流効果が高まると共に、低い床面を通過する空気量を低減できるため、浮遊粒子の巻上げを防止できて、浮遊粒子による室内空気の汚染をより防止できる。
【0044】
また、本形態例では、底面遮熱板70の下側に起立した壁部である側壁部12の左右の部位及び裏面側遮蔽板60の部位が延長された状態に設けられており、その延設された部分によって燃焼装置の脚部80が構成されている。この本形態例の脚部80は、前後に開口するスペース(下部通気スペース81)が設けられるように、側壁部12及び裏面側遮蔽板60の一部が下方へ延長した形態に形成されており、本形態例では後面板64の下部が切り欠かれて切欠き部82が設けられることで裏面側遮蔽板60の下端部に通気部(下部通気スペース81)が形成され、その下部通気スペース81も対流用上下空間61へ連続して空気が流れる形態になっており、室内を循環する空気の流れをスムースにして、室内空気を効率よく加温することができる。
【0045】
本形態例の燃焼装置は、サウナの熱源として利用できるもので、火傷防止用の柵又は網を、本体10の周囲に設置できるのは勿論であり、天板11の上面は、サウナ用の石を載せることができると共に、煮炊き用の鍋釜を載せることができるなど、調理用の熱源として用いることもできる。
【0046】
なお、本発明に係る燃焼装置に係る燃焼促進部材30と後面側壁部12gの内面とによって区画された空間によって構成される二次燃焼促進部は、以上に説明した多角形(本形態例では六角形)の薪ストーブに限定されるものではなく、他の形態の燃焼装置にも応用することができるものである。
【0047】
また、図11に示すように、アッシュトレー50の内底面上には、そのアッシュトレー50の特に底板部が燃焼熱によって変形・損傷しないように、消耗品としてのロストル部材55を載置させることができ、そのロストル部材55に薪などの固形燃焼を載置させた状態で燃焼させることができる。これによれば、ロストル部材55が遮熱部材となって、アッシュトレー50が損傷することを防止できる。このロストル部材55としては、図11の形態例のように、板材を単に断面コの字状に曲げたものであって、その断面コの字状の内側スペース56がアッシュトレー50の内底面との間で空隙スペースとなるように伏せた状態に配置できるものを利用できる。また、このロストル部材55としては、アッシュトレー50内に出し入れし易いように、アッシュトレー50の内底面に2個(又は複数)に分割した状態に載置できる形状(図11参照)とすることができる。
【0048】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0049】
10 本体
11 天板
12 側壁部
12a 前面
12b 左脇前面
12c 右脇前面
12d 左脇後面
12e 右脇後面
12f 後面
12g 後面側壁部
13 煙突口
14 煙突口筒部
15 底板
20 燃焼室
21 一次燃焼室
22 二次燃焼室
30 燃焼促進部材
31 通気孔
32 傾斜板部
33 前部有孔板部
34a、34b (左右の)側部有孔板部
35 底部有孔板部
36 前上部起立板部
37a、37b (左右の)固定代部
38 締結手段
39 取付孔
40 薪投入口
41 開閉扉
42 耐熱ガラス窓部
43 レバー
43a 回動軸
43b 爪部
43c 被係合軸
43d 蝶番
44 気密部材
50 アッシュトレー
51 薪案内部
51a 斜面部位
51b 起立部位
55 ロストル部材55
56 内側スペース
60 裏面側遮蔽板
61 対流用上下空間
62 左脇後面板
63 右脇後面板
64 後面板
65 左脇前面板
66 右脇前面板
60a、60b (左右の)遮蔽板片
60c、60d (左右の)折り曲げ代部
67 締結手段
68 締結手段
70 底面遮熱板
71 対流用水平空間
80 脚部
81 下部通気スペース
82 切欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11