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特開2023-155893混合V族前駆物質プロセスのための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155893
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】混合V族前駆物質プロセスのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20231016BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023049497
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】2205301.1
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】502209109
【氏名又は名称】アイキューイー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】IQE plc
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジーン,マシュー デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ペルゼル,ロドニー
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA08
4K030AA11
4K030AA13
4K030BA02
4K030BA08
4K030BA11
4K030BA35
4K030BA51
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4K030KA39
4K030LA14
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5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
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5F045AE25
5F045AF02
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5F045AF13
5F045BB02
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5F045EF05
5F045EK03
5F045EM09
5F045GB05
5F045GB09
(57)【要約】
【課題】混合V族前駆物質を利用し、均一性を向上させ、最終材料の熱的感度を低減させ、前駆物質の濃度プロファイルを正規化し、歩留まりを向上させ、製造効率を上昇させ、III-V比の制御を向上させ(例えば圧力、成長率、流束)、製造コストを削減する、層及び層を形成する方法を提供する。
【解決手段】層210を形成する方法1300は、反応器100、100’内にIII族前駆物質112、212、512を投入することと、反応器内に水素化物V族前駆物質114、214、514を投入することと、反応器内に有機金属V族前駆物質116、216、516を投入して層210を形成することと、を含む。方法は更に、水素化物V族前駆物質と有機金属V族前駆物質を混合すること(522)を含み得る。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層(210)を形成する方法(1300)であって、
反応器(100、100’)内にIII族前駆物質(112、212、512)を投入することと、
前記反応器内に水素化物V族前駆物質(114、214、514)を投入することと、
前記反応器内に有機金属V族前駆物質(116、216、516)を投入して前記層(210)を形成することと、
を含み、前記水素化物V族前駆物質と前記有機金属V族前駆物質は同じV族元素を含む、方法。
【請求項2】
前記水素化物V族前駆物質と前記有機金属V族前駆物質を混合することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合は前記反応器の前駆物質マニホルド(110a、110b)において行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記混合は前記反応器のノズル(217)又はシャワーヘッド(290)において行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記混合は前記反応器の反応チャンバ(200、200’)において行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記混合は、前記水素化物V族前駆物質と前記有機金属V族前駆物質の濃度プロファイル(910)を正規化することを含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記混合は、前記水素化物V族前駆物質と前記有機金属V族前駆物質との質量濃度比を制御することを含む、又は、前記混合は、前記水素化物V族前駆物質と前記有機金属V族前駆物質の反応速度を制御して前記層の均一性(1210)を制御することを含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化物V族前駆物質を投入することは、ホスフィン(PH)、アルシン(AsH)、アンモニア(NH)、スチビン(SbH)、又はビスムチン(BiH)を流すことを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機金属V族前駆物質を投入することは、ターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)、ビスホスフィノエタン(BPE)(C、)トリメチルアルシン(TMA)(CAs)、ターシャリーブチルアルシン(TBA)(C11As)、モノエチルアルシン(MEA)(CAs)、ターシャリーブチルアミン(TBAm)(C11N)、ジメチルヒドラジン(DMHy)(C)、フェニルヒドラジン(C)、トリメチルアンチモン(TMSb)(CSb)、トリエチルアンチモン(TESb)(C15Sb)、トリイソプロピルアンチモン(TIPSb)(C21Sb)、又はビスマス有機金属フレームワーク(Bi-MOF)を流すことを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水素化物V族前駆物質はホスフィン(PH)を含み、
前記有機金属V族前駆物質はターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記水素化物V族前駆物質はアルシン(AsH)を含み、前記有機金属V族前駆物質はトリメチルアルシン(TMA)(CAs)を含む、又は、
前記水素化物V族前駆物質はアンモニア(NH)を含み、前記有機金属V族前駆物質はジメチルヒドラジン(DMHy)(C)を含む、又は、
前記水素化物V族前駆物質はスチビン(SbH)を含み、前記有機金属V族前駆物質はトリメチルアンチモン(TMSb)(CSb)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記V族元素は、リン(P)、ヒ素(As)、窒素(N)、アンチモン(Sb)、又はビスマス(Bi)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記III族前駆物質と前記水素化物及び有機金属V族前駆物質を有機金属化学気相成長法(MOCVD)反応チャンバ内で反応させることによって、前記III族前駆物質と前記水素化物及び有機金属V族前駆物質を組み合わせることを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記III族前駆物質と前記水素化物及び有機金属V族前駆物質を反応チャンバ内で組み合わせる前に、前駆物質マニホルド(110a、110b)、ノズル(217)、又はシャワーヘッド(290)において前記水素化物及び有機金属V族前駆物質を組み合わせることを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水素化物及び有機金属V族前駆物質を組み合わせることは、前記水素化物及び有機金属V族前駆物質を別々に前記反応チャンバ内へ投入することを含む、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組み合わせることは、前記水素化物V族前駆物質、前記有機金属V族前駆物質、及び前記III族前駆物質を前記反応チャンバ内へ連続的に投入することを含み、前記連続的に投入することは、前記V族前駆物質のうち一方を他方のV族前駆物質とは別々にして前記III族前駆物質と共に投入することを含む、又は、前記連続的に投入することは、前記III族前駆物質とは別々に前記水素化物及び有機金属V族前駆物質を投入することを含む、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項17】
水素化物V族前駆物質(114、214、514)及び有機金属V族前駆物質(116、216、516)を用いて成長させたIII-V材料を含む層(210)を含む層状構造(600)であって、前記水素化物V族前駆物質と前記有機金属V族前駆物質は同じV族元素を含む、層状構造。
【請求項18】
前記層は、前記水素化物V族前駆物質のみを用いて又は前記有機金属V族前駆物質のみを用いて成長させたIII-V材料を含む層の均一性(1010、1110)よりも高い均一性(1210)を有する、請求項17に記載の層状構造。
【請求項19】
前記層は、0.1%以下のウェーハ全体波長標準偏差(1220)を有する均一性(1210)を含む、請求項17から18のいずれか一項に記載の層状構造。
【請求項20】
前記層は、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)、インジウムガリウムリン(InGaP)、ガリウムインジウムヒ素リン(GaInAsP)、インジウムヒ素リン(InAsP)、アルミニウムインジウムガリウムヒ素リン(AlInGaAsP)、又はガリウムヒ素リン(GaAsP)を含む、請求項17から18のいずれか一項に記載の層状構造。
【請求項21】
請求項17から18のいずれか一項に記載の層状構造を含むヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、請求項17から18のいずれか一項に記載の層状構造を含むヘテロ構造電界効果トランジスタ(HFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、又は疑似格子整合型HEMT(PHEMT)等の電界効果トランジスタ(FET)、又は、請求項17から18のいずれか一項に記載の層状構造を含む光を放出又は検出するフォトニックデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示はエピタキシ装置、システム、及び方法に関し、例えば、混合V族前駆物質からIII-V半導体層を形成して均一性の向上とコストの削減を達成するための、エピタキシ装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] エピタキシは、新しい結晶層が1つ以上の明確な方位で形成される結晶成長又は材料堆積を表す。エピタキシを用いて、高品質の単結晶III-V半導体を成長させることができる。III-V半導体は、オプトエレクトロニクスデバイス並びに高周波数及び高出力のデバイスのために使用できる。III-V半導体は、周期表のIII族からの1つ以上の材料(例えば、第13族元素であるホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl))と、周期表のV族からの1つ以上の材料(例えば、第15族元素である窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi))を含む。実際には、III族とV族の元素との任意の組み合わせを使用できるが、最終化合物における全III族元素と全V族元素との比は1:1の関係を維持する。
【0003】
[0003] エピタキシは、分子線エピタキシ(MBE:molecular beam epitaxy)、又は有機金属化学気相成長法(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)としても知られる有機金属気相エピタキシ(MOVPE:metal-organic vapor phase epitaxy)を含み得る。MBEでは、超高真空(例えば約10-9トル)内で、原材料を加熱して反応物(reagent)の蒸発ビームを生成し、これが加熱基板に衝突する。専用の炉内で元素原料を加熱することができ、これに関連する蒸発ビームを、キャリアガス(例えばH)なしで基板の方へ誘導されるようにシャッタを用いて制御し、元素成分は基板表面で反応してエピタキシャル層を形成することができる。MOCVDでは、反応チャンバ内でキャリアガス(例えばH)を用いて加熱基板上に水素化物及び/又は有機金属原料(例えば前駆物質)を流し、化合物前駆物質を分解することができる。化合物前駆物質は、気相内で構成元素に分解され(例えばクラッキング、熱分解)、次いで基板表面で反応してエピタキシャル層を形成する。
【0004】
[0004] MOCVDでは、V族前駆物質の選択及び管理は複雑である。V族前駆物には2つの種類がある。すなわち、有機金属V族前駆物質と水素化物V族前駆物質である。異なるV族前駆物質ではクラッキング温度及び取り込み効率が大きく変動するので、成長プロセスの一部として管理しなければならない複雑さが生じる。この状況は、V族副格子(sublattice)が少なくとも2つのV族元素を含む混合V族材料では特に困難である。いくつかの例では、有機金属V族前駆物質の熱特性によって均一性の利点が得られる。しかしながら、この利点は、有機金属V族材料がV族水素化物原料に比べてコストが高いこと、また、不純物(例えば、半導体の光学特性の低下を引き起こす可能性のある酸素)の含有量が多いことによって相殺される。最適プロセスを規定するため、これを考慮しなければならない。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 従って、熱感度を低減させるプロセスの最適化、III-V比の制御の改善、(例えばウェーハ上の均一性の向上による)ウェーハ上(on-wafer)歩留まりの向上、実行中(in-run)歩留まりの向上(例えばウェーハ間平均波長整合の向上)、製造効率の増大、及び製造コストの低減(例えば必要な有機金属前駆物質量の低減)を同時に達成する混合前駆物質(例えば混合V族前駆物質)を利用する必要がある。更に、表面における境界層及び/又は反応ゾーンでV族プロファイル/濃度の制御を可能とするため、異なるV族前駆物質を異なるゾーンへ柔軟に投入することができるマルチゾーンのノズルを有するMOCVD反応器を利用する必要がある。これにより、層の組成及び均一性を制御するため、表面における反応速度を微調整することが可能となる。
【0006】
[0006] 層の形成は、制御された量のIII族及びV族前駆物質を反応チャンバ内に投入することによって行われる。有利には、方法は混合V族前駆物質を使用し、その結果、コスト効率良く製造され得る高度に均一なウェーハが同時に達成される。いくつかの態様において、層を形成する方法は、反応器内にIII族前駆物質を投入することを含み得る。いくつかの態様において、方法は、反応器内に水素化物V族前駆物質を投入することを更に含み得る。いくつかの態様において、方法は、反応器内に有機金属V族前駆物質を投入して層を形成することを更に含み得る。
【0007】
[0007] いくつかの態様において、方法は、水素化物V族前駆物質と有機金属V族前駆物質を混合することを更に含み得る。いくつかの態様において、混合は、反応器の前駆物質マニホルドにおいて行うことができる。いくつかの態様において、混合は、反応器のノズルにおいて行うことができる。いくつかの態様において、混合は、反応器のシャワーヘッドにおいて行うことができる。いくつかの態様において、混合は、反応器の反応チャンバにおいて行うことができる。
【0008】
[0008] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質(例えばホスフィン(PH))と有機金属前駆物質(例えばターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P))の混合は、V族濃度プロファイルを正規化し(例えば層及びウェーハ全体にわたって一定にする)、これによって均一性と歩留まりを改善する。
【0009】
[0009] いくつかの態様において、混合は、水素化物V族前駆物質と有機金属V族前駆物質との質量濃度比を制御することを含み得る。有利には、製造コストを最適化(最小化)すると共に、(水素化物V族前駆物質の低減によって)安全性を向上させるため、質量濃度比(例えば有機金属V族前駆物質:水素化物V族前駆物質)を制御することができる(例えば、50:50、40:60、30:70、20:80等)。
【0010】
[0010] いくつかの態様において、混合は、反応チャンバ内の水素化物V族前駆物質と有機金属V族前駆物質の反応速度を制御して層の均一性を制御することを含み得る。有利には、(例えばマルチゾーンノズル又はシャワーヘッドを用いて)混合V族前駆物質の反応速度を制御し、層の均一性と歩留まりの向上を達成することができる。
【0011】
[0011] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質を投入することは、ホスフィン(PH)、アルシン(AsH)、アンモニア(NH)、スチビン(SbH)、又はビスムチン(BiH)を反応チャンバ内に流すことを含み得る。有利には、混合V族前駆物質は、ある濃度(例えば有機金属V族前駆物質:水素化物V族前駆物質)の水素化物V族前駆物質を含み(例えば、50:50、40:60、30:70、20:80等)、製造コストの低減と安全性の向上を達成することができる。
【0012】
[0012] いくつかの態様において、有機金属V族前駆物質を投入することは、ターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)、ビスホスフィノエタン(BPE)(C、)トリメチルアルシン(TMA)(CAs)、ターシャリーブチルアルシン(TBA)(C11As)、モノエチルアルシン(MEA)(CAs)、ターシャリーブチルアミン(TBAm)(C11N)、ジメチルヒドラジン(DMHy)(C)、フェニルヒドラジン(C)、トリメチルアンチモン(TMSb)(CSb)、トリエチルアンチモン(TESb)(C15Sb)、トリイソプロピルアンチモン(TIPSb)(C21Sb)、又はビスマス有機金属フレームワーク(Bi-MOF)を反応チャンバ内に流すことを含み得る。有利には、混合V族前駆物質は、ある濃度(例えば有機金属V族前駆物質:水素化物V族前駆物質)の有機金属V族前駆物質を含み(例えば、50:50、40:60、30:70、20:80等)、均一性の向上、前駆物質の濃度プロファイルの正規化、歩留まりの向上、及び安全性の向上を達成することができる。
【0013】
[0013] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質はホスフィン(PH)を含み、有機金属V族前駆物質はターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)を含み得る。有利には、混合PH及びTBPプロセスを用いて、できる限り低いコストでウェーハ全体組成均一性(cross-wafer compositional uniformity)を改善することができる。
【0014】
[0014] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質はアルシン(AsH)を含み、有機金属V族前駆物質はトリメチルアルシン(TMA)(CAs)を含み得る。有利には、混合AsH及びTMAプロセスを用いて、できる限り低いコストでウェーハ全体組成均一性を改善することができる。
【0015】
[0015] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質はアンモニア(NH)を含み、有機金属V族前駆物質はジメチルヒドラジン(DMHy)(C)を含み得る。有利には、混合NH及びDMHyプロセスを用いて、できる限り低いコストでウェーハ全体組成均一性を改善することができる。
【0016】
[0016] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質はスチビン(SbH)を含み、有機金属V族前駆物質はトリメチルアンチモン(TMSb)(CSb)を含み得る。有利には、混合SbH及びTMSbプロセスを用いて、できる限り低いコストでウェーハ全体組成均一性を改善することができる。
【0017】
[0017] いくつかの態様において、方法は更に、層上に第2の層を形成することを含み得る。いくつかの態様において、第2の層はIII-V半導体とすることができる。有利には、第2の層及び前述の層は、高品質及び高い歩留まりのデバイス(例えば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:heterojunction bipolar transistor)、電界効果トランジスタ(FET:field effect transistor)、ヘテロ構造FET(HFET:heterostructure FET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT:high-electron-mobility transistor)、疑似格子整合型HEMT(PHEMT:pseudomorphic HEMT)、PINダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)、端面発光レーザ(EEL:edge emitting laser)、分布帰還型レーザ(DFB:distributed feedback laser)、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、及びその他の電子又はフォトニック/オプトエレクトロニクスデバイス)のためのIII-V半導体層状構造を形成することができる。
【0018】
[0018] いくつかの態様において、層状構造を形成する方法は、反応チャンバ内で水素化物V族前駆物質と有機金属V族前駆物質をIII族前駆物質と組み合わせて基板上にIII-V半導体層を形成することを含み得る。いくつかの態様において、方法は、水素化物V族前駆物質と有機金属V族前駆物質を組み合わせることを含み得る。いくつかの態様において、方法は更に、反応チャンバ内でIII族前駆物質と水素化物及び有機金属V族前駆物質を組み合わせて基板上にIII-V半導体層を形成することを含み得る。有利には、方法は、III-V半導体層の均一性を向上させると共に製造コストを削減する混合V族前駆物質を利用する。
【0019】
[0019] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質と有機金属V族前駆物質は同じV族元素を含み得る。有利には、混合水素化物及び有機金属V族前駆物質は、層の均一性を向上させ、製造コストを削減し、安全性を向上させることができる。
【0020】
[0020] いくつかの態様において、V族元素は、リン(P)、ヒ素(As)、窒素(N)、アンチモン(Sb)、又はビスマス(Bi)を含み得る。有利には、P、As、N、Sb、又はBi元素は、III族前駆物質と反応して、高品質かつ高歩留まりのデバイスを生成することができる(例えば、HBT、FET、HFET、HEMT、PHEMT、PINダイオード、APD、EEL、DFB、VCSEL、LED、又は他の電子もしくはフォトニック/オプトエレクトロニクスデバイス)。
【0021】
[0021] いくつかの態様において、組み合わせることは、III族前駆物質と水素化物及び有機金属V族前駆物質を有機金属化学気相成長法(MOCVD)反応チャンバ内で反応させることを含み得る。有利には、MOCVD反応チャンバは、様々なデバイス(例えば、HBT、FET、HFET、HEMT、PHEMT、PINダイオード、APD、EEL、DFB、VCSEL、LED、又は他の電子もしくはフォトニック/オプトエレクトロニクスデバイス)のための高品質で厚い(例えば3μm超)III-V半導体層を成長させることができる。更に有利には、MOCVD反応チャンバはマルチゾーンノズルを含むことができ、これは、異なるV族前駆物質のためマルチゾーンを提供し、特定のV族前駆物質(例えばホスフィン)がIII-V半導体層の境界層及び/又は反応ゾーンにいつ入るか制御することができ、III-V半導体層表面における反応速度を微調整する。
【0022】
[0022] いくつかの態様において、組み合わせることは、III族前駆物質と水素化物及び有機金属V族前駆物質を分子線エピタキシ(MBE)反応チャンバ内で反応させることを含み得る。有利には、MBE反応チャンバは、様々なデバイス(例えば、HBT、FET、HFET、HEMT、PHEMT、PINダイオード、APD、EEL、DFB、VCSEL、LED、又は他の電子もしくはフォトニック/オプトエレクトロニクスデバイス)のための高品質の薄膜単結晶III-V半導体層を成長させることができる。有利には、III族前駆物質と組み合わせる前に水素化物及び有機金属V族前駆物質を組み合わせることで、水酸化物及び有機金属V族前駆物質の濃度比(例えば有機金属V族前駆物質:水素化物V族前駆物質)の入口制御を改善して、個々の前駆物質の濃度プロファイルを正規化し、層の均一性を向上させ、製造コストを削減し、安全性を向上させることができる。
【0023】
[0023] いくつかの態様において、水素化物及び有機金属V族前駆物質を組み合わせることは、水素化物及び有機金属V族前駆物質を別々に反応チャンバ内へ投入することを含み得る。有利には、水素化物及び有機金属V族前駆物質を別々に投入することで、水素化物及び有機金属V族前駆物質の入口制御、濃度比(例えば有機金属V族前駆物質:水素化物V族前駆物質)を改善して、個々の前駆物質の濃度プロファイルを正規化し、層の均一性を向上させ、製造コストを削減し、安全性を向上させることができる。
【0024】
[0024] いくつかの態様において、組み合わせることは、水素化物V族前駆物質、有機金属V族前駆物質、及びIII族前駆物質を反応チャンバ内へ連続的に投入することを含み得る。いくつかの態様において、連続的に投入することは、V族前駆物質のうち一方(例えば水素化物V族前駆物質)を他方のV族前駆物質(例えば有機金属V族前駆物質は)とは別々にしてIII族前駆物質と共に投入することを含み得る。いくつかの態様において、連続的に投入することは、III族前駆物質とは別々に水素化物及び有機金属V族前駆物質を投入することを含み得る。有利には、水素化物V族前駆物質、有機金属V族前駆物質、及びIII族前駆物質を連続的に投入することは、異なる反応レシピ(例えば前駆物質の組み合わせ)を提供し、入口制御を向上させ、濃度比制御(例えば有機金属V族前駆物質:水素化物V族前駆物質)を向上させて個々の前駆物質の濃度プロファイルを正規化し、層の均一性を向上させ、製造コストを削減し、安全性を向上させることができる。
【0025】
[0025] いくつかの態様において、層状構造は、水素化物V族前駆物質及び有機金属V族前駆物質を用いて成長させたIII-V材料を有する層を含み得る。有利には、この層が混合V族前駆物質から成長させたIII-V材料を有することで、水素化物V族前駆物質のみを用いて成長させた層に比べて、層の均一性の向上、製造コストの削減、安全性の上が達成される。
【0026】
[0026] いくつかの態様において、混合V族前駆物質を用いて成長させた層は、水素化物V族前駆物質のみを用いて成長させた層に比べ、均一性が向上する。有利には、層の均一性(例えばウェーハ全体組成均一性であり、これは結果としてレーザ発振波長(lasing wavelength)の均一性である)は、約250%向上し得る。例えば、水素化物V族前駆物質のみを用いて成長させた層では、名目上同じ波長(例えば約1350nm)でのウェーハ全体波長標準偏差は約3nmすなわち0.23%であるが、混合V族前駆物質を用いて成長させた層では、名目上同じ波長(例えば約1350nm)でのウェーハ全体波長標準偏差は約1nm未満すなわち<0.1%に低減し得る。
【0027】
[0027] いくつかの態様において、層の均一性(例えばウェーハ全体組成均一性であり、これは結果としてレーザ発振波長の均一性である)は、名目上同じ波長(例えば約1350nm)で約1nm未満すなわち<0.1%のウェーハ全体波長標準偏差を有する。
【0028】
[0028] いくつかの態様において、層は、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)、インジウムガリウムリン(InGaP)、ガリウムインジウムヒ素リン(GaInAsP)、インジウムヒ素リン(InAsP)、アルミニウムインジウムガリウムヒ素リン(AlInGaAsP)、又はガリウムヒ素リン(GaAsP)を含み得る。有利には、層は、高品質かつ高歩留まりのIII-V半導体デバイス(例えば、HBT、FET、HFET、HEMT、PHEMT、PINダイオード、APD、EEL、DFB、VCSEL、LED、又は他の電子もしくはフォトニック/オプトエレクトロニクスデバイス)のためのIII-V半導体層状構造の一部を形成することができる。
【0029】
[0029] いくつかの態様において、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)は層状構造を含み得る。有利には、層状構造は高品質かつ高歩留まりのHBTデバイスを形成することができる。
【0030】
[0030] いくつかの態様において、ヘテロ構造電界効果トランジスタ(HFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、又は疑似格子整合型HEMT(PHEMT)等の電界効果トランジスタ(FET)は、層状構造を含み得る。有利には、層状構造は、高品質かつ高歩留まりのFETデバイス(例えばHFET、HEMT、PHEMT等)を形成することができる。
【0031】
[0031] いくつかの態様において、光を放出又は検出するフォトニックデバイス(photonic device)は、層状構造を含み得る。有利には、層状構造は、高品質かつ高歩留まりのフォトニックデバイス(例えばPIN、APD、DFB、EEL、VCSEL、LED、又は他のオプトエレクトロニクスデバイス)を形成することができる。
【0032】
[0032] 上述した技法のうち任意のものの実施形態は、システム、方法、プロセス、デバイス、及び/又は装置を含み得る。1つ以上の実施形態の詳細は、添付図面及び以下の記載に示されている。記載及び図面から、また特許請求の範囲から、他の特徴も明らかとなろう。
【0033】
[0033] 上記の態様の別の特徴及び例示的な態様、並びに様々な態様の構造及び動作は、添付図面を参照して以下で詳述される。態様は、本明細書に記載される特定の態様に限定されないことに留意するべきである。本明細書において、このような態様は例示のみを目的として提示される。本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者には追加の態様が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
[0034] 本明細書に組み込まれてその一部を形成する添付図面は、態様を例示しており、記載と共に、態様の原理を説明すること、また、当業者による態様の実施と使用を可能とすることに役立つ。
【0035】
図1】[0035] 例示的な態様に従った、プラネタリ(planetary)反応チャンバを備える反応器の概略図である。
図2A】[0036] 例示的な態様に従った、図1に示した反応器に前駆物質の組み合わせを送出するために必要な機器構成の様々な可能性のうち1つを示す概略図である。
図2B】[0036] 例示的な態様に従った、図1に示した反応器に前駆物質の組み合わせを送出するために必要な機器構成の様々な可能性のうち1つを示す概略図である。
図2C】[0036] 例示的な態様に従った、図1に示した反応器に前駆物質の組み合わせを送出するために必要な機器構成の様々な可能性のうち1つを示す概略図である。
図3A】[0037] 例示的な態様に従った、図1に示した反応器に前駆物質の組み合わせを送出するために必要な機器構成の様々な可能性のうち1つを示す概略図である。
図3B】[0037] 例示的な態様に従った、図1に示した反応器に前駆物質の組み合わせを送出するために必要な機器構成の様々な可能性のうち1つを示す概略図である。
図3C】[0037] 例示的な態様に従った、図1に示した反応器に前駆物質の組み合わせを送出するために必要な機器構成の様々な可能性のうち1つを示す概略図である。
図4】[0038] 例示的な態様に従った、クロース-カップルド(close-coupled)シャワーヘッド反応チャンバを備える反応器の概略図である。
図5】[0039] 例示的な態様に従った、図1及び図4に示した反応器内でエピタキシャル層を形成するエピタキシプロセスの概略図である。
図6】[0040] 例示的な態様に従った、図5に示したエピタキシプロセスから形成された層状構造の概略断面図である。
図7】[0041] 例示的な態様に従った、水素化物V族前駆物質のウェーハ全体V族濃度プロファイルの概略プロットである。
図8】[0042] 例示的な態様に従った、有機金属V族前駆物質のウェーハ全体V族濃度プロファイルの概略プロットである。
図9】[0043] 例示的な態様に従った、混合V族前駆物質のウェーハ全体V族濃度プロファイルの概略プロットである。
図10】[0044] 例示的な態様に従った、水素化物V族前駆物質を用いて成長させたウェーハのフォトルミネッセンス波長のマップである。
図11】[0045] 例示的な態様に従った、有機金属V族前駆物質を用いて成長させたウェーハのフォトルミネッセンス波長のマップである。
図12】[0046] 例示的な態様に従った、混合V族前駆物質を用いて成長させたウェーハのフォトルミネッセンス波長のマップである。
図13】[0047] 例示的な態様に従った、図5に示したエピタキシャル層を形成するためのフロー図である。
図14】[0048] 例示的な態様に従った、図6に示した層状構造を形成するためのフロー図である。
【0036】
[0049] 態様の特徴及び例示的な態様は、以下に述べる詳細な説明を図面と関連付けて読むことから、より明らかとなろう。図面全体を通して、同様の参照符号は対応する要素を識別する。図面において、同様の番号は概して、同一の要素、機能的に同様の要素、及び/又は構造的に同様の要素を示す。また、一般に、参照番号の最も左の1又は複数の数は、その参照番号が最初に出現する図を示す。別段の指示がない限り、本開示全体を通して提供される図面は、一定の縮尺に従った図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[0050] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の態様を開示する。1又は複数の開示される態様は、単に本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は1又は複数の態様に限定されない。本発明は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0038】
[0051] 記載される1又は複数の態様、及び、本明細書における「一態様」、「ある態様」、「一例の態様」、「例示的な態様」等の言及は、記載される1又は複数の態様が、特定の特徴(feature)、構造、又は特性(characteristic)を含み得るが、全ての態様が必ずしもそのような特定の特徴、構造、又は特性を含むわけではないことを示す。また、そのような言葉は必ずしも同一の態様を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が、ある態様と関連付けて記載される場合、明確に記載されるか否かに関わりなく、そのような特徴、構造、又は特性を他の態様と関連付けることは、当業者の知識内であることは理解されよう。
【0039】
[0052] 「下に」、「下方に」、「より低い」、「上方に」、「上に」、「より高い」等の空間的に相対的な用語は、本明細書において説明を容易にするため用いられて、図面に示すような1つの要素又は特徴と他の1又は複数の要素又は特徴との関係を説明することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示された向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの様々な向きを包含することが意図される。装置は、他の向きにする(90度又は他の向きに回転させる)ことも可能であり、それに応じて、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述子も同様に解釈され得る。
【0040】
[0053] 本明細書で用いられる「約」又は「実質的に」又は「ほぼ」という用語は、特定の技術に基づいて変動し得る所与の量の値を意味する。特定の技術に基づいて、「約」又は「実質的に」又は「ほぼ」という用語は、例えば、所与の量の値の0.1~10%内で変動する値(例えば、この値の±0.1%、±1%、±2%、±5%、又は±10%)を示し得る。
【0041】
[0054] 本明細書で用いられる「エピタキシ」又は「エピタキシャル」という用語は、例えば、高温堆積による材料の結晶成長を意味する。エピタキシは、超高真空環境において加熱基板上に複数の層を成長させるMBEツール内で実行され得る。炉内で元素原料を加熱し、キャリアガスなしで基板の方へ誘導する。元素成分は基板表面で反応して堆積層を生成する。
【0042】
[0055] また、エピタキシは、MOCVDツールとしても知られる有機金属気相エピタキシ(MOVPE)ツール内でも実行され得る。化合物有機金属及び水素化物の原料は、例えば水素のようなキャリアガスを用いて加熱表面上に流れる。MOCVDツール内でのエピタキシャル堆積は、MBEツールよりも高い圧力で発生する。化合物成分は気相内でクラッキングし、次いで表面で反応して所望の組成の相を成長させる。
【0043】
[0056] 本明細書で用いられる「基板」という用語は、後続の層の堆積、形成、又は成長をその上で行うことができる平面ウェーハを意味する。基板は、単一元素(例えばSi)又は複合材料(例えばGaAs)で形成することができ、ドープ又は非ドープであり得る。いくつかの態様において、基板は例えば、Si、Ge、GaAs、GaN、GaP、GaSb、InP、InSb、IV族半導体、III-V族半導体、II-VI族半導体、グラフェン、炭化ケイ素(SiC)、又はサファイアを含み得る。
【0044】
[0057] 基板は、軸上(on-axis)であってもよく、すなわち成長表面が結晶面と一致するところであってもよい。例えば、基板は<100>結晶方位を有し得る。また、本明細書における所与の結晶方位の基板を参照することには、別の結晶方向の方へ最大で約20°ミスカットされた(miscut)基板を包含する。例えば、(100)基板は(111)面の方へミスカットされる。
【0045】
[0058] 本明細書で用いられる「モノリシック」という用語は、全体を通してバルク(例えば単一)材料から成る層又は基板を意味する。あるいは、層又は基板は、その厚さの一部又は全部が多孔質であり得る。
【0046】
[0059] 本明細書で用いられる「化合物半導体材料」又は「III-V族半導体」又は「III-V半導体」又は「III-V材料」という用語は、周期表のIII族からの1つ以上の材料(例えば、第13族元素であるホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl))と、周期表のV族からの1つ以上の材料(例えば、第15族元素である窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi))を含むことを意味する。化合物は、各族からの元素の数とは無関係に、III族とV族の1:1の組み合わせを有する。化合物の化学記号における下付文字は、その族内のその元素の割合を示す。例えばAl0.25GaAsは、III族の部分が25%のAlと、従って75%のGaとを含み、V族の部分が100%のAsを含むことを意味する。
【0047】
[0060] 本明細書で用いられる「IV族半導体」という用語は、周期表のIV族からの1つ以上の材料(例えば、第14族の元素である炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb))を含むことを示す。
【0048】
[0061] 本明細書で用いられる「II-VI族半導体」という用語は、周期表のII族からの1つ以上の材料(例えば、第12族元素である亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg))と、周期表のVI族からの1つ以上の材料(例えば、第16族元素である酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te))を含むことを示す。
【0049】
[0062] 本明細書で用いられる「ドーピング」又は「ドープ」という用語は、層又は材料が、低い不純物濃度の別の元素(ドーパント)を含むことを意味する。別の元素(ドーパント)は、母材から電荷キャリアを提供する(ドナー)か又は抽出し(アクセプタ)、これによって伝導率を変化させる。電荷キャリアは電子又は正孔とすることができる。余分な電子がドープされた材料はn型と呼ばれ、余分な正孔がドープされた材料(電子が減少する)はp型と呼ばれる。
【0050】
[0063] 本明細書で用いられる「結晶(crystalline)」という用語は、単結晶方位を有する材料又は層を意味する。エピタキシャル成長又は堆積では、同一又は同様の格子定数を有する後続の層が、前の結晶層のレジストリ(registry)に従うことにより、同一の結晶方位又は結晶度で成長する。当業者に理解されるように、例えば<100>のような結晶方位は、立方晶結晶構造の面を意味し、ミラー指数を用いる[100]、[010]、及び[001]方位を包含する。同様に、<0001>は、材料極性が極めて重要である場合を除いて、[0001]及び[000-1]を包含する。また、指数のうち任意の1つ以上の整数倍は、指数のユニタリバージョン(unitary version)と同等である。例えば、(222)は(111)と同等である。
【0051】
[0064] 本明細書で用いられる「格子整合」という用語は、2つの結晶層が同一又は同様の格子間隔を有し、第2の層が第1の層上で同形に(例えば同一の結晶形態で)成長する傾向があることを意味する。
【0052】
[0065] 本明細書で用いられる「格子定数」という用語は、結晶単位セルの歪みのない格子間隔を意味する。
【0053】
[0066] 本明細書で用いられる「格子一致(lattice coincident)」という用語は、結晶層が、前の層の整数倍であるか又はそれに近い格子定数を有することを意味し、そのため、原子は前の層と揃えることができる。
【0054】
[0067] 本明細書で用いられる「堆積」という用語は、ある層を別の層又は基板上に堆積することを意味する。堆積は、エピタキシ、PVD、CVD、紛体層堆積、及び/又は層に材料を堆積する他の既知の技法を包含する。
【0055】
[0068] 本明細書で用いられる「横方向」又は「面内」という用語は、基板の表面に対して平行であり、かつ成長方向に対して垂直な方向を意味する。
【0056】
[0069] 本明細書で用いられる「縦方向」又は「面外」という用語は、基板の表面に対して垂直であり、かつ成長方向である方向を意味する。
【0057】
[0070] 本明細書で用いられる「III-V比」又は「複数のIII-V比」という用語は、III族とV族の種の圧力比、III族とV族の種の成長率比、及び/又はIII族とV族の種の流束比(flux ratio)を意味する。
【0058】
[0071] 本明細書で用いられる「ウェーハ全体波長標準偏差」又は「ウェーハ全体組成均一性」という用語は、以下のように定義される標準偏差(σ)を意味する。
【0059】
[0072]
【数1】
【0060】
[0073] ここで、σ=母標準偏差であり、
[0074] N=母集団の大きさであり、
[0075] x=母集団からの各値であり、
[0076] u=母平均である。
【0061】
[0077] 標準偏差は波長の変動を表す。波長は材料組成の関数であるので、標準偏差はウェーハ全体にわたる組成変動を特徴付ける。
【0062】
[0078] 範囲の終点を含む数値は、本明細書において、「約」、「実質的に」、「ほぼ」等の用語が前に置かれる近似値として表すことができる。このような場合、他の態様は特定の数値を含む。数値が近似値として表されるか否かには関係なく、本開示には2つの態様が含まれる。すなわち、1つは近似値として表され、もう1つは近似値として表されない。更に、各範囲の終点は、別の終点に関連して重要である(significant)と共に、別の終点とは無関係に重要であることは理解されよう。
【0063】
[0079] 例示的な反応器
[0080] 上述のように、エピタキシを用いて、電子デバイス及びオプトエレクトロニクスデバイスに使用され得る高品質の単結晶III-V半導体を成長させることができる。このようなデバイスは、RF/無線通信、電気通信及びデータ通信、3D検知及びパワーエレクトロニクスに応用される。エピタキシは、分子線エピタキシ(MBE)、又は有機金属化学気相成長法(MOCVD)としても知られる有機金属気相エピタキシ(MOVPE)を含み得る。MBEでは、超高真空(例えば約10-9トル)内で、原材料を加熱して原子/分子の蒸発ビームを生成し、これは加熱基板上で凝結することができる。元素原料を(例えば炉内で)加熱し、キャリアガス(例えばH)なしで基板の方へ誘導することができ、元素成分は基板表面で反応してエピタキシャル層を形成できる。元素ビームは、シャッタを用いることでオン及びオフされる。
【0064】
[0081] MOCVDでは、反応チャンバ内でキャリアガス(例えばH)を用いて加熱基板上に水素化物及び/又は有機金属原料(例えば前駆物質)を流し、化合物前駆物質を分解することができる。化合物前駆物質は、気相内で構成元素に分解し(例えばクラッキング、熱分解)、次いで基板表面で反応してエピタキシャル層を形成する。前駆物質のクラッキング及びその後の反応は、前駆物質の濃度、基板の温度、流れるガスの温度、前駆物質の圧力、及び/又は反応チャンバの圧力に依存し得る。
【0065】
[0082] 形成されたエピタキシャル層の全体を通して均一性を維持するため、基板表面の各ポイントで反応環境を最適化し、高度に制御する必要がある。異なる前駆物質は異なる温度で分解(例えばクラッキング)及び反応し、基板表面において異なる濃度プロファイルを有し得る。一般に、III族前駆物質は、ほとんど全てが臨界温度を超える温度で分解し(例えばクラッキング効率は約100%である)、対応する濃度プロファイルが比較的均一であるので、適度に扱いやすい。
【0066】
[0083] しかしながら、V族前駆物質はより複雑であり、各V族前駆物質でクラッキング温度及び効率が大きく変動し得る。また、概してIII-V半導体は過剰なV族の環境で形成され、これが反応チャンバ内のV族条件を更に複雑化させる可能性がある。更に、V族副格子が少なくとも2つのV族元素を含む混合V族材料(例えばGaAs1-x、InGa1-yAs1-z)では、状況が更に複雑になる。
【0067】
[0084] エピタキシプロセス(例えばMOCVD)で用いられるV族材料の2つのクラスには、水素化物前駆物質と有機金属前駆物質が含まれる。水素化物前駆物質は、水素に結合したV族元素を含む(例えば、ホスフィン(PH)、アルシン(AsH))。有機金属前駆物質は、炭化水素配位子に結合したV族元素を含む(例えば、ターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)、トリメチルアルシン(TMA)(CAs))。V族前駆物質の選択は、入手可能性、純度、コスト、及び/又は安全性を含む多くのファクタに依存する。
【0068】
[0085] 安全性の理由から、水素化物V族前駆物質よりも有機金属V族前駆物質の方が好ましい。有機金属V族前駆物質は、良好な均一性を提供するが、コスト上昇、不純物の増大、及び固有の炭素(C)ドーピングという代償がある。例えば、有機金属V族前駆物質中の望ましくない汚染物質(例えば酸素及び/又は硫黄)の濃度は、水素化物V族前駆物質よりも著しく高く、形成されたエピタキシャル層の品質及び純度を低下させ得る。更に、有機金属V族前駆物質に含まれる固有の炭素(C)亜種は、形成された層をドープする可能性があり、特定のデバイスでは許容できないことがある。
【0069】
[0086] 以下で検討される混合V族前駆物質の装置、システム、及び方法の態様は、エピタキシャル層の均一性を向上させ、前駆物質の濃度/取り込みプロファイルを正規化し、(例えばウェーハ全体均一性の向上によって)ウェーハ上歩留まりを向上させ、(例えばウェーハ間平均波長変動の低減によって)ウェーハ間歩留まりを向上させ、製造効率を増大し、III-V比(例えば圧力、成長率、流束)の制御を向上させ、製造コストを削減する(例えば、必要な有機金属前駆物質の量を最小限に抑える)ことができる。更に、プラネタリ反応チャンバ(例えばMOCVD)内の混合V族前駆物質の態様は、異なるゾーンで異なるV族前駆物質に対応するためのマルチゾーンノズルを提供し、特定のV族前駆物質が表面における境界層及び/又は反応ゾーンにいつ入るか制御することができ、表面における反応速度を微調整することによって層の組成及び均一性を制御することができる。
【0070】
[0087] 図1は、例示的な態様に従った、プラネタリ反応チャンバ200を備える反応器100を示す。反応器100は、1つ以上の原材料に基づいて、プラネタリ反応チャンバ200内で1つ以上のエピタキシャル層(例えばエピタキシャル層210、層状構造600)を成長又は堆積するように構成できる。いくつかの態様において、反応器100は有機金属化学気相成長法(MOCVD)用とすることができる。図1では、反応器100は独立型の装置及び/又はシステムとして示されているが、本開示の態様は、他の装置、システム、及び/又は方法と共に使用され得る。
【0071】
[0088] 図1で示されているように、反応器100は、前駆物質原料110(例えば前駆物質マニホルド)、前駆物質ライン110a(例えば、III族前駆物質入口212、水素化物V族前駆物質入口214、有機金属V族前駆物質入口216)、質量流量コントローラ120a、120b、120c、圧力コントローラ130、圧力センサ140、真空ポンプ150、絞り弁160、及びプラネタリ反応チャンバ200を含み得る。前駆物質原料110は、エピタキシャル層210を形成するため基板202で反応する(例えば分解する)ように、1つ以上の前駆物質をプラネタリ反応チャンバ200内へ(質量流量コントローラ120a、120b、120cを介して)提供するように構成できる。前駆物質原料110は、III族前駆物質112、水素化物V族前駆物質114、及び有機金属V族前駆物質116を含み得る。
【0072】
[0089] いくつかの態様において、III族前駆物質112は、有機金属III族前駆物質(例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(TEA)(Al(C)、トリメチルガリウム(TMG)(Ga(CH)、トリエチルガリウム(TEG)(Ga(C)、トリメチルインジウム(TMI)(In(CH)、トリエチルインジウム(TEI)(InC15)等)を含み得る。いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質114は、ホスフィン(PH)、アルシン(AsH)、アンモニア(NH)、スチビン(SbH)、又はビスムチン(BiH)を含み得る。
【0073】
[0090] いくつかの態様において、有機金属V族前駆物質116は、ターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)、ビスホスフィノエタン(BPE)(C、)トリメチルアルシン(TMA)(CAs)、ターシャリーブチルアルシン(TBA)(C11As)、モノエチルアルシン(MEA)(CAs)、ターシャリーブチルアミン(TBAm)(C11N)、ジメチルヒドラジン(DMHy)(C)、フェニルヒドラジン(C)、トリメチルアンチモン(TMSb)(CSb)、トリエチルアンチモン(TESb)(C15Sb)、トリイソプロピルアンチモン(TIPSb)(C21Sb)、又はビスマス有機金属フレームワーク(Bi-MOF)を含み得る。
【0074】
[0091] あらゆる場合において、前駆物質112、114、及び116は、キャリアガス111(例えばH)を用いて成長環境へ輸送することができる。有機金属原料では、これは、原料反応物によって水素をバブリングして「ピックアップ」を実行することにより達成される。水素化物前駆物質では、水素化物ガスが高圧シリンダから出た後、前駆物質及びキャリアガスを組み合わせる。
【0075】
[0092] 質量流量コントローラ120a、120b、120cは、プラネタリ反応チャンバ200への前駆物質原料110(III族前駆物質112、水素化物V族前駆物質114、及び有機金属V族前駆物質116)の流れを測定及び制御するように構成できる。図1で示されているように、質量流量コントローラ120a、120b、120cは、プラネタリ反応チャンバ200内への各前駆物質原料110の流量(例えば容積/時間)を調整できる。いくつかの態様では、例えば、質量流量コントローラ120aは水素化物V族前駆物質入口214の流量を調整し、質量流量コントローラ120bは有機金属V族前駆物質入口216の流量を調整し、質量流量コントローラ120cはIII族前駆物質入口212の流量を調整することができる。いくつかの態様において、前駆物質原料110の流量は約50cc/分から約1500cc/分とすることができる。例えば、有機金属V族前駆物質116は約350cc/分から約750cc/分の流量を有し得る。
【0076】
[0093] いくつかの態様において、例えば図2B及び図3Cで示されているように、質量流量コントローラ120a、120bは、水素化物V族前駆物質114及び有機金属V族前駆物質116を混合して、混合V族前駆物質(例えば図5に示されている混合V族前駆物質522)を形成した後、プラネタリ反応チャンバ200内へ流すことができる。いくつかの態様において、質量流量コントローラ120a、120bは、水素化物V族前駆物質114と有機金属V族前駆物質116との質量濃度比を制御することができる。例えば、質量流量コントローラ120a、120bは、質量濃度比(すなわち有機金属:水素化物)を50:50、40:60、30:70、又は20:80に調整できる。
【0077】
[0094] 圧力コントローラ130は、プラネタリ反応チャンバ200内の前駆物質原料110の圧力を制御するように構成できる。図1で示されているように、圧力コントローラ130は、圧力センサ140(例えばBaratron(登録商標)圧力計)及び絞り弁160に結合することができる。圧力センサ140は、プラネタリ反応チャンバ200内の圧力を測定するように構成できる。絞り弁160は、圧力センサ140の測定値に従って調節されることで、真空ポンプ150により加えられる真空(例えば負圧)を調整し、これによってプラネタリ反応チャンバ200内の圧力を制御するように構成できる。真空ポンプ150は、プラネタリ反応チャンバ200に真空(~50mbar-500mbar)をかけるように構成できる。いくつかの態様において、プラネタリ反応チャンバ200は約50mbar~約150mbarの圧力を有し得る。例えば低圧MOCVDの間、プラネタリ反応チャンバ200は約100mbarの圧力を有し得る。いくつかの態様において、プラネタリ反応チャンバ200は約1atm~約35atmの圧力を有し得る。例えば高圧MOCVDの間、プラネタリ反応チャンバ200は約1atm~約5atmの圧力を有し得る。
【0078】
[0095] プラネタリ反応チャンバ200は、高温で前駆物質原料110を反応させて(例えば分解させて)エピタキシャル層210を形成するように構成できる。図1で示されているように、プラネタリ反応チャンバ200は、基板202、サセプタ205、エピタキシャル層210、III族前駆物質入口212、水素化物V族前駆物質入口214、有機金属V族前駆物質入口216、ノズル217、光源220、光検出器230、無線周波数(RF)コイル240、及びプラネット(planet)260を含み得る。いくつかの態様において、基板202は、例えばIII-V基板のようなウェーハを含み得る。いくつかの態様では、基板202を高温(例えば約450℃~約750℃)に加熱して前駆物質原料110の分解(例えばクラッキング)を促進することができ、次いでこれを反応させて、構成元素を用いたエピタキシャル成長を達成する。例えば、基板202は約600℃~約650℃に加熱することができる。いくつかの態様では、基板202をサセプタ205(例えばグラファイト台)上に配置するか又はサセプタ205から分離させることができる。
【0079】
[0096] いくつかの態様において、反応器100はシャワーヘッド反応チャンバを含み得る。例えば図4で示されているように、反応器100’は、3つの原材料入口(例えば、III族前駆物質入口212、水素化物V族前駆物質入口214、有機金属V族前駆物質入口216)のためのシャワーヘッド290(例えばマルチゾーンシャワーヘッド)を備えるクロース-カップルドシャワーヘッド反応チャンバ200’を含み得る。例えば図1図2Aから図2C、及び図3Aから図3Cに示されている反応器100の態様と図4に示されている反応器100’の態様は、同様であり得る。図1図2Aから図2C、及び図3Aから図3Cに示されている反応器100の態様の特徴、並びに図4に示されている反応器100’の態様の同様の特徴を示すため、同様の参照番号が用いられる。
【0080】
[0097] 例示的な反応チャンバ
[0098] 図1及び図4は、種々の例示的な態様に従った反応チャンバ200、200’を示す。図1はプラネタリ反応チャンバ200を示す。図4はクロース-カップルドシャワーヘッド反応チャンバ200’を示す。反応チャンバ200、200’は、独立型の装置及び/又はシステムとして図1及び図4にそれぞれ示されているが、本開示の態様は、他の装置、システム、及び/又は方法と共に使用することができる。反応チャンバ200、200’は、エピタキシャル層210を形成するため、反応器100、100’内に前駆物質原料110を受容して高温で反応させる(例えば分解する)ように構成できる。
【0081】
[0099] 図1で示されているように、プラネタリ反応チャンバ200は、基板202、サセプタ205、エピタキシャル層210、III族前駆物質入口212、水素化物V族前駆物質入口214、有機金属V族前駆物質入口216、ノズル217、第1の出口218、第2の出口219、光源220、光検出器230、RFコイル240、及びプラネット260を含み得る。III族前駆物質入口212、水素化物V族前駆物質入口214、有機金属V族前駆物質入口216は、エピタキシャル層210を形成するため、前駆物質原料110をプラネタリ反応チャンバ200内へ、ノズル217を介して基板202上に流すことができる。いくつかの態様において、III族前駆物質入口212は、III族前駆物質112をプラネタリ反応チャンバ200内へ(例えばノズル217を介して)流すことができる。いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質入口214は、水素化物V族前駆物質114をプラネタリ反応チャンバ200内へ(例えばノズル217を介して)流すことができる。いくつかの態様において、有機金属V族前駆物質入口216は、有機金属V族前駆物質116をプラネタリ反応チャンバ200内へ(例えばノズル217を介して)流すことができる。
【0082】
[0100] いくつかの態様において、水素化物V族前駆物質入口214(例えば水素化物V族前駆物質114)及び有機金属V族前駆物質入口216(例えば有機金属V族前駆物質116)の流れは、ノズル217よりも前に、ノズル217において、及び/又はプラネタリ反応チャンバ200内で、混合することができる。例えば図1で示されているように、ノズル217で形成された混合物は、水素化物V族前駆物質入口214及び有機金属V族前駆物質入口216から形成され得る。いくつかの態様では、第1及び第2の出口218、219は組み合わされて、(例えば絞り弁160を介して)真空ポンプ150へ流れることができる。絞り弁160は、圧力センサ140が読み取った圧力を示す圧力コントローラ130によって(例えば制御信号を介して)調節され得る。このため、真空ポンプ150が加える真空のレベルを絞り弁160によって調節することで、圧力センサ140により読み取られるプラネタリ反応チャンバ200内の所望の圧力を達成することができる。
【0083】
[0101] いくつかの態様において、プラネタリ反応チャンバ200は、エピタキシャル層210の1つ以上の特性(例えば均一性、厚さ、温度等)を測定するように構成された光源220及び光検出器230を含み得る。例えば図1で示されているように、光源220はエピタキシャル層210を照明するように配置され、検出器230はそれによって得られる信号を測定するように配置され得る。いくつかの態様において、光源220は、照明器(例えばコヒーレントレーザビーム)、レンズ、及び/又は偏光子を含み得る。いくつかの態様において、光検出器230は、電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)、フォトディテクタ、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)、及び/又は、エピタキシャル層210からの散乱光を検出できる他の任意の光検出器を含み得る。いくつかの態様において、プラネタリ反応チャンバ200は、RF加熱のためのRFコイル240を含み得る。例えば図1で示されているように、RFコイル240は、サセプタ205、基板202、及びエピタキシャル層210の加熱を行うため、プラネット260の下方に存在し得る。
【0084】
[0102] 図2Aから図2Cは、例示的な態様に従った、エピタキシャル層210を形成するための図1に示した反応器100内の様々な前駆物質の組み合わせを示す。いくつかの態様において、前駆物質ライン110a内の水素化物V族前駆物質入口214(例えば水素化物V族前駆物質114)及び有機金属V族前駆物質入口216(例えば有機金属V族前駆物質116)の流れは、ノズル217において、III族前駆物質入口212(例えばIII族前駆物質112)と混合することができる。例えば図2Aで示されているように、ノズル217で形成された前駆物質混合物は、混合された水素化物及び有機金属V族前駆物質114、116、並びにIII族前駆物質112から形成され得る。いくつかの態様において、前駆物質ライン110a内の水素化物V族前駆物質入口214(例えば水素化物V族前駆物質114)及び有機金属V族前駆物質入口216(例えば有機金属V族前駆物質116)の流れは、ノズル217の前に(例えば前駆物質混合ライン110bで)、III族前駆物質入口212(例えばIII族前駆物質112)とは別個に混合することができる。例えば図2Bで示されているように、水素化物V族前駆物質入口214及び有機金属V族前駆物質入口216は、質量流量コントローラ120a、120bの後、かつノズル217の前に、前駆物質混合ライン110bにおいて混合され得る。いくつかの態様において、前駆物質ライン110a内の水素化物V族前駆物質入口214(例えば水素化物V族前駆物質114)、有機金属V族前駆物質入口216(例えば有機金属V族前駆物質116)、及びIII族前駆物質入口212(例えばIII族前駆物質112)の流れは、ノズル217によって別々にプラネタリ反応チャンバ200内へ投入することができる。例えば図2Cで示されているように、水素化物V族前駆物質114、有機金属V族前駆物質116、及びIII族前駆物質112は、ノズル217によって別々に(例えば個別に)投入され得る。
【0085】
[0103] 図3Aから図3Cは、例示的な態様に従った、エピタキシャル層210を形成するための図1に示した反応器100内の様々な前駆物質の組み合わせを示す。いくつかの態様において、前駆物質ライン110a内の水素化物V族前駆物質入口214(例えば水素化物V族前駆物質114)、有機金属V族前駆物質入口216(例えば有機金属V族前駆物質116)、及びIII族前駆物質入口212(例えばIII族前駆物質112)の流れは、ノズル217によって別々にプラネタリ反応チャンバ200内へ投入され、水素化物及び有機金属V族前駆物質114、116をIII族前駆物質112の2倍とすることができる。例えば図3Aで示されているように、III族前駆物質112の2倍(例えば質量濃度比2:1)の水素化物及び有機金属V族前駆物質114、116が、ノズル217によって別々に(例えば個別に)投入され得る。いくつかの態様において、前駆物質ライン110a内の水素化物V族前駆物質入口214(例えば水素化物V族前駆物質114)及び有機金属V族前駆物質入口216(例えば有機金属V族前駆物質116)の流れは、ノズル217において、III族前駆物質入口212(例えばIII族前駆物質112)と混合され、混合した水素化物及び有機金属V族前駆物質114、116をIII族前駆物質112の2倍とすることができる。例えば図3Bで示されているように、III族前駆物質112の2倍(例えば質量濃度比2:1)の混合水素化物及び有機金属V族前駆物質114、116が、ノズル217において形成され得る。いくつかの態様において、前駆物質ライン110a内の水素化物V族前駆物質入口214(例えば水素化物V族前駆物質114)及び有機金属V族前駆物質入口216(例えば有機金属V族前駆物質116)の流れは、ノズル217の前に(例えば前駆物質混合ライン110bで)、III族前駆物質入口212(例えばIII族前駆物質112)とは別個に混合され、混合した水素化物及び有機金属V族前駆物質114、116をIII族前駆物質112の2倍とすることができる。例えば図3Cで示されているように、水素化物V族前駆物質入口214及び有機金属V族前駆物質入口216は、前駆物質ライン110aにおいて、質量流量コントローラ120a、120bの後、かつノズル217の前に(例えば前駆物質混合ライン110bで)混合され、III族前駆物質112の2倍(例えば質量濃度比2:1)の混合水素化物及び有機金属V族前駆物質114、116がノズル217によって投入され得る。
【0086】
[0104] 図4で示されているように、反応器100’は、例示的な態様に従った、シャワーヘッド290を備えるクロース-カップルドシャワーヘッド反応チャンバ200’を含み得る。例えば図1に示されているプラネタリ反応チャンバ200の態様と図4に示されているクロース-カップルドシャワーヘッド反応チャンバ200’の態様は、同様であり得る。図1に示されているプラネタリ反応チャンバ200の態様の特徴、及び図4に示されているクロース-カップルドシャワーヘッド反応チャンバ200’の態様の同様の特徴を示すため、同様の参照番号が用いられる。前駆物質112、114、116は、シャワーヘッド290を介してクロース-カップルドシャワーヘッド反応チャンバ200’内へ投入される。このように、シャワーヘッド290は、図1に示されているプラネタリ反応チャンバ200のノズル217に置き換わる。図1に示されている反応器100について検討した他の態様は、概念的に同じままである。図4は、III族前駆物質入口212、水素化物V族前駆物質入口214、及び有機金属V族前駆物質入口216を介したクロース-カップルドシャワーヘッド反応チャンバ200’への単一の反応物供給を示すように簡略化されていることに留意するべきである。いくつかの態様では、ウェーハ全体組成均一性を改善するため、シャワーヘッド290における複数の入口を使用できる。
【0087】
[0105] 混合V族前駆物質を用いる例示的なエピタキシプロセス
[0106] 図5から図12は、種々の例示的な態様に従ったエピタキシプロセス500を示す。図5は、図1及び図4に示されている反応器100又は100’内でエピタキシャル層210を形成するためのエピタキシプロセス500を示す。図5において、エピタキシプロセス500は、独立型の装置、システム、及び/又は方法として示されているが、本開示の態様は他の装置、システム、及び/又は方法と共に使用され得る。エピタキシプロセス500は、混合V族前駆物質522とIII族前駆物質512を反応させてエピタキシャル層210を形成し、均一性の改善、製造コストの削減、及び安全性の向上を達成することができる。エピタキシプロセス500は、反応チャンバ200、200’内でウェーハ全体の熱的変動に対する感度を低減するよう調節することで、均一な濃度プロファイルを達成できる(例えば、図7に示されている濃度プロファイルプロット710及び図8に示されている濃度プロファイルプロット810と比較した、図9に示されている濃度プロファイルプロット910)。
【0088】
[0107] 図5で示されているように、エピタキシプロセス500は、III族前駆物質反応510、混合V族前駆物質反応520、及び反応副産物530を含み得る。III族前駆物質反応510は、エピタキシャル層210の新しいエピタキシャル副層(sublayer)内にIII族元素(例えばAl、Ga、In)を提供することができる。III族前駆物質反応510は、III族前駆物質512、III族前駆物質亜種512a、及びIII族格子ステップエッジ取り込み(step edge incorporation)512bを含み得る。
【0089】
[0108] III族前駆物質反応510の間に、III族前駆物質512はエピタキシャル層210に近付いて分解する(例えばクラッキング、熱分解)。III族前駆物質512は分解してIII族前駆物質亜種512aになり、これはIII族格子ステップエッジでエピタキシャル層210の表面に吸収される(例えば512b)。III族格子ステップエッジ取り込み512bによって、III族元素(例えばAl、Ga、In)がV族元素(例えばAs、P、N、Sb、Bi)と反応して、エピタキシャル層210の新しいエピタキシャル層を形成することができる。III族前駆物質512の分解から残った反応副産物530は、反応チャンバ200、200’から除去される。
【0090】
[0109] 混合V族前駆物質反応520は、エピタキシャル層210の新しいエピタキシャル副層内にV族元素(例えばP、As、N、Sb、Bi)を提供するように構成できる。混合V族前駆物質反応520は更に、図9に示されているプロファイル910を達成するため、ウェーハ202全体にわたる濃度変動を低減させてV族の濃度プロファイルを正規化するように構成できる。混合V族前駆物質反応520は、水素化物V族前駆物質514、有機金属V族前駆物質516、混合V族前駆物質522、混合V族前駆物質亜種522a、及び混合V族格子ステップエッジ取り込み522bを含み得る。
【0091】
[0110] 混合V族前駆物質反応520の間に、水素化物V族前駆物質514及び有機金属V族前駆物質516が混合され、混合V族前駆物質522を形成する。混合V族前駆物質522はエピタキシャル層210に近付いて分解する(例えばクラッキング、熱分解)。混合V族前駆物質522は分解して混合V族前駆物質522亜種522aになり、これは混合V族格子ステップエッジでエピタキシャル層210の表面に吸収される(例えば522b)。混合V族格子ステップエッジ取り込み522bによって、V族元素(例えばP、As、N、Sb、Bi)がIII族元素(例えばAl、Ga、In)と反応して、エピタキシャル層210の新しいエピタキシャル層を形成することができる。V族前駆物質520の分解から残った反応副産物530は、反応チャンバ200、200’から除去される。
【0092】
[0111] いくつかの態様において、混合V族前駆物質522は、ホスフィン(PH)及びターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)を含み得る。いくつかの態様において、混合V族前駆物質522は、アルシン(AsH)及びトリメチルアルシン(TMA)(CAs)を含み得る。いくつかの態様において、混合V族前駆物質522は、アンモニア(NH)及びジメチルヒドラジン(DMHy)(C)を含み得る。いくつかの態様において、混合V族前駆物質522は、スチビン(SbH)及びトリメチルアンチモン(TMSb)(CSb)を含み得る。いくつかの態様において、混合V族前駆物質522は、ビスムチン(BiH)及びビスマス有機金属フレームワーク(Bi-MOF)を含み得る。
【0093】
[0112] III族前駆物質反応510と混合V族前駆物質反応520の組み合わせによって、エピタキシャル層210を形成する。いくつかの態様において、エピタキシプロセス500は、エピタキシャル層210を形成するため基板上で実行され得る。例えば図6で示されているように、エピタキシャル層210を基板202上に形成することができる。いくつかの態様では、エピタキシプロセス500を用いて1つ以上のエピタキシャル層210を形成できる。例えば図6で示されているように、エピタキシプロセス500を用いて基板202上にエピタキシャル層210を形成することができる。
【0094】
[0113] いくつかの態様において、エピタキシャル層210は、混合V族前駆物質522でなく水素化物V族前駆物質514のみを用いて成長させたIII-V材料を有する層の均一性よりも高い均一性を有し得る。例えば、エピタキシャル層210の均一性(例えばウェーハ全体組成均一性であり、これは結果としてレーザ発振波長の均一性である)は、約250%向上し得る。例えば、水素化物V族前駆物質514のみを用いて成長させたエピタキシャル層では、名目上同じ波長(例えば約1350nm)でのウェーハ全体標準偏差は約3nmすなわち0.23%であるが、混合V族前駆物質522を用いて成長させたエピタキシャル層210では、名目上同じ波長(例えば約1350nm)でのウェーハ全体標準偏差は約1nm未満すなわち<0.1%に低減し得る。いくつかの態様において、エピタキシャル層210は任意のIII-V半導体を含み得る。例えばエピタキシャル層210は、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)、インジウムガリウムリン(InGaP)、ガリウムインジウムヒ素リン(GaInAsP)、インジウムヒ素リン(InAsP)、アルミニウムインジウムガリウムヒ素リン(AlInGaAsP)、又はガリウムヒ素リン(GaAsP)を含み得る。
【0095】
[0114] 図6は、図5に示されているエピタキシプロセス500によって形成された層状構造600を示す。図6において、層状構造600は独立型の装置及び/又はシステムとして示されているが、本開示の態様は他の装置、システム、及び/又は方法と共に使用され得る。層状構造600は、高品質及び高歩留まりのデバイス(例えば、HBT、FET、HFET、HEMT、PHEMT、PINダイオード、APD、EEL、DFB、VCSEL、LED、又は他の電子もしくはフォトニック/オプトエレクトロニクスデバイス)のためのIII-V半導体層状構造を形成するように構成できる。
【0096】
[0115] いくつかの態様では、エピタキシプロセス500によって形成された層状構造600は、デバイス(例えば、HBT、FET、HFET、HEMT、PHEMT、PINダイオード、APD、EEL、DFB、VCSEL、LED、又は他の電子もしくはフォトニック/オプトエレクトロニクスデバイス)の一部とすることができる。例えば、HBTは層状構造600を含み得る。例えば、HFET、HEMT、又はPHEMTのようなFETは、層状構造600を含み得る。例えば、光を放出又は検出するフォトニックデバイスは層状構造600を含み得る。
【0097】
[0116] 図7から図9は、異なるV族前駆物質/混合物について、エピタキシプロセス500のウェーハ全体V族元素濃度分布700、800、900のプロットを示す。図7から図9において、V族元素のウェーハ全体濃度分布700、800、900は独立型のプロットとして示されているが、本開示の態様は他の装置、システム、及び/又は方法と共に使用され得る。1つだけのタイプのV族前駆物質(水素化物のみ又は有機金属のみ)を用いると、ウェーハ全体の熱的変動に起因して、ウェーハ全体の濃度変動が生じる(例えば、図7に示されているウェーハ全体V族元素濃度分布700及び図8に示されているウェーハ全体V族元素濃度分布800)。その理由は、クラッキング効率(クラッキングしたV族元素の%)が温度の関数であるためである。混合V族前駆物質を用いると、図7及び図8のプロファイルが合計され、結果として、実質的に均一なウェーハ全体V族濃度変動が生じ得る(例えば、図9に示されているウェーハ全体V族元素濃度分布900)。
【0098】
[0117] いくつかの態様において、混合V族前駆物質522は、水素化物及び有機金属V族濃度分布700、800を正規化(例えば平坦化)して、ウェーハ全体濃度プロファイルプロット910をウェーハ直径にわたって実質的に一定にする及び/又は線形にすることができる。例えば図9で示されているように、混合ホスフィン(PH)及びターシャリーブチルホスフィン(TBP)(C1227P)では、ウェーハ全体V族濃度プロファイル910は一定であり(図7に示されているウェーハ全体V族濃度プロファイル710及び図8に示されているウェーハ全体V族濃度プロファイル810と比較して)、エピタキシプロセス500におけるエピタキシャル層210の均一性と歩留まりが向上する。
【0099】
[0118] 図10から図12は、As及びPの双方を含有する合金のために異なるV族前駆物質/混合物を用いるエピタキシプロセス500によって得られるフォトルミネセンス(PL)波長のウェーハマップを示す。PL波長はV族濃度に依存するので、PL波長マップ1000、1100、1200は、組成均一性の代替的指標である。図10から図12において、PLマップ1000、1100、1200は独立型のプロットとして示されているが、本開示の態様は他の装置、システム、及び/又は方法と共に使用され得る。いくつかの態様において、エピタキシプロセス500によって成長させた材料は混合V族合金とすることができ、例えば、混合V族合金はAs及びPの双方を含有し得る。いくつかの態様において、エピタキシプロセス500は、エピタキシャル層210(例えばAs及びP合金)の均一性の向上を達成するため、構成V族元素のうち1つ(例えばP)に混合V族前駆物質を使用する。例えば、混合PH及びTBP前駆物質を用いるAsH前駆物質(図12に示されている1200)は、PH前駆物質を用いるAsH(例えば図10に示されている1000)よりも良好な均一性を達成し、また、TBP前駆物質を用いるAsH前駆物質(例えば図11に示されている1100)と同等な又はそれよりも良好な均一性を達成する。構成V族元素のうち1つ(例えば1200に示されているようにP)に混合V族前駆物質を用いるエピタキシプロセス500のPLマップは、特定のV族元素(例えば1000に示されているようにP)に水素化物V族前駆物質のみを用いるエピタキシプロセス500のPLマップ(例えば1000)よりも、実質的に均一性が高い。これは、特定のV族元素に混合V族前駆物質を用いるエピタキシプロセス500によってウェーハ全体組成均一性が向上し、その結果としてデバイス歩留まりが向上したことを実証している。
【0100】
[0119] 図10から図12はAs及びPを含有する合金の例であるが、この概念は、2つ以上のV族元素を含有する任意の合金に応用される(例えば、GaAsSb及びInGaAsNSb)。いくつかの態様において、これは、任意の組み合わせのV族前駆物質を用いて作製された材料のPLマップに当てはまる(例えば、AsH、PH、NH、SbH、TBP、BPE、TMA、TBA、MEA、TBAm、DMHy、フェニルヒドラジン、TMSb、TESb、TIPSb、及び/又はBI-MOF)。
【0101】
[0120] 例示的なフロー図
[0121] 図13及び図14は、種々の例示的な態様に従った、エピタキシャル層210(例えば層状構造600)を形成するプロセスを記載するフロー図1300、1400を示す。本明細書で提供される開示を実行するために図13及び図14における全ての動作を必要とするわけではないことは認められよう。更に、動作の一部は、同時に実行すること、連続的に実行すること、及び/又は図13及び図14に示されたものとは異なる順序で実行することも可能である。フロー図1300、1400は、図1図4図5図6図9、及び図12を参照して記載されるものとする。しかしながら、フロー図1300、1400はこれらの例示的な態様に限定されない。
【0102】
[0122] 図13で示されているように、フロー図1300は、図1図4図5、及び図6に示されているエピタキシャル層210を形成するためのプロセスを記載する。動作1302では、図1図4図5、及び図6の例で示されているように、反応器100、100’内にIII族前駆物質112、512を投入する(例えば流す)。動作1304では、図1図4図5、及び図6の例で示されているように、反応器100、100’内に水素化物V族前駆物質114、514を投入する(例えば流す)。動作1306では、図1図4図5、及び図6の例で示されているように、反応器100、100’内に有機金属V族前駆物質116、516を投入して(例えば流して)、エピタキシプロセス500でエピタキシャル層210を形成する。いくつかの態様では、図1図4図5、及び図6の例で示されているように、反応器100、100’内で水素化物V族前駆物質114、514及び有機金属V族前駆物質116、516を混合することができる(例えば混合V族前駆物質522)。
【0103】
[0123] いくつかの態様において、エピタキシャル層210は基板202上に形成され、層状構造600(図6に示されている)を形成することができる。
【0104】
[0124] 図14で示されているように、フロー図1400は、図1図4図5、及び図6に示されているエピタキシャル層210を形成するためのプロセスを記載する。動作1402では、図1図4図5、及び図6の例で示されているように、水素化物V族前駆物質114、514及び有機金属V族前駆物質116、516を組み合わせて、混合V族前駆物質522を形成する。動作1404では、図1図4図5、及び図6の例で示されているように、反応チャンバ200、200’内でIII族前駆物質112、512及び混合V族前駆物質522を組み合わせて、エピタキシプロセス500でエピタキシャル層210を形成する。
【0105】
[0125] いくつかの態様において、エピタキシャル層210はIII-V半導体層を形成することができる。いくつかの態様において、エピタキシャル層210は基板202上に形成され、層状構造600(図6に示されている)を形成することができる。
【0106】
[0126] 本明細書における表現又は用語は限定でなく記載を目的としているので、本明細書の用語又は表現は本明細書の教示に照らして当業者によって解釈されることは理解されよう。
【0107】
[0127] 以下の例は、本開示の態様の例示であるが限定ではない。当分野に通常収まり、当業者に明らかである種々の条件及びパラメータの他の適切な変更及び適合は、本開示の精神及び範囲内にある。
【0108】
[0128] 特定の態様について上述したが、これらの態様は記載されたものとは別の手法で実施できることは認められよう。本記載は特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0109】
[0129] 指定された機能及びそれらの関係の実施例を示す機能的構成要素を用いて態様を記載した。これらの機能的構成要素の境界は、記載の便宜上、本明細書では任意に規定した。指定された機能及びそれらの関係が適切に実行されるならば、代替的な境界を規定することができる。
【0110】
[0130] 特定の態様についての前述の記載は、それらの態様の一般的性質を充分に明らかにするので、他の者は、当技術分野のスキル内の知識を応用することによって、過度な実験を行うことなく、それらの態様の一般概念から逸脱することなく、そのような特定の態様を様々な用途向けに容易に変更及び/又は適合することができる。従って、本明細書に提示される教示及び指導に基づき、そのような適合及び変更は、開示される態様の均等物の意味及び範囲内にあることが意図される。
【0111】
[0131] 態様の広さ及び範囲は、上述した例示的な態様のいずれによっても限定されず、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ規定されなければならない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】