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特開2023-155894コンピュータ断層撮影のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155894
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】コンピュータ断層撮影のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A61B6/03 320D
A61B6/03 330C
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023050745
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】17/658,715
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ティボルト・ジャン-バプティスト
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・ウッチヒ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ジェイ・レミンジャー
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・ルメートル
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ポアンクルー
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ウィードマン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA01
4C093EA03
4C093EA04
4C093FA19
4C093FA52
(57)【要約】
【課題】コンピュータ断層撮影(CT)システムのX線エミッタの焦点スポットの形状を変更することによって、CTシステムによって生成されるCT画像の品質を高める。
【解決手段】CTシステムのカソードによって生成された電子ビームをCTシステムのターゲットの表面上の複数の焦点スポットに集束させるようにCTシステムを制御し(904、914)、複数の焦点スポットから複合焦点スポットを生成し、複合焦点スポットを用いてCTシステムの投影データを取得する(920)。例えば、2つの焦点を組み合わせて、複合焦点を生成することができる。焦点スポットを組み合わせ、複合焦点スポットを生成することによって、ビューの品質を高める。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法であって、
CTシステムのカソードによって生成された電子ビームをCTシステムのターゲットの表面上の複数の焦点スポットに集束させるようにCTシステムを制御するステップ(904、914)と、
複数の焦点スポットから複合焦点スポットを生成するステップと、
複合焦点スポットでCTシステムの投影データを取得するステップ(920)と、
を含む方法。
【請求項2】
複数の焦点スポットから複合焦点スポットを生成するステップは、
複数の焦点スポットの各焦点スポットのサイズ、
複数の焦点スポットの各焦点スポットの形状、
複数の焦点スポットの各焦点スポットの位置、
複数の焦点スポットの各焦点スポットの滞留時間、
複数の焦点スポットの各焦点スポット間の遷移時間、
のうちの少なくとも1つに基づいて複合焦点スポットを生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の焦点スポットは、X次元における第1の幅を有する第1の焦点スポットと、X次元における第2の幅を有する第2の焦点スポットとを含み、X次元における複合焦点スポットの幅は第1の幅及び第2の幅の合計よりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
X次元における第1の焦点スポットの位置は、X次元における第2の焦点スポットの位置とは異なる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の焦点スポットに集束させるようにCTシステムを制御するステップは、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御のうちの少なくとも1つを調整するステップをさらに備え、静電制御を調整することは、CTシステムの1つ又は複数の電極において送達される1つ又は複数の電圧を調整するステップを含み、電磁制御を調整することは、CTシステムの1つ又は複数の磁石に送達される1つ又は複数の電流を調整することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御のうちの少なくとも1つを調整するステップは、
第1の滞留時間の間、電子ビームを第1の焦点スポットに集束させるようにCTシステムの制御を調整するステップと、
第1の滞留時間の終了後に開始する第2の滞留時間の間、電子ビームを第2の焦点スポットに集束させるようにCTシステムの制御を調整するステップと、
第1の焦点スポットに電子ビームを集束させることと、第2の焦点スポットに電子ビームを集束させることとの間の遷移時間が閾値遷移時間を超えたことに応答して、第1の滞留時間と第2の滞留時間の間に電子ビームをオフに切り替えるステップと、
により、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御のうちの少なくとも1つを調整するステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複合焦点スポットは、CTシステムの投影データのビュー内で生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複合焦点スポットは、投影データの複数のビュー間に生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
カソードが複数のエミッタを含み、複数の焦点スポットが、それぞれの数のエミッタを活性化することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数のエミッタは、さらに、第1の放出領域の第1フィラメントを有する第1のエミッタと、第2の放出領域の第2フィラメントを有する第2のエミッタとを含み、第1のエミッタによって第1の焦点スポットが生成され、第2のエミッタによって第2の焦点スポットが生成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複合焦点スポットは、複合焦点スポットの第1のエッジにある第1の焦点スポットと、複合焦点スポットの第2のエッジにある第2の焦点スポットとを含み、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットは、電子ビームの電子の分布を大凡のガウス電子分布からサイドローブを有する電子分布に調整するために電子ビームを集束させることによって生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ断層撮影(CT)システムであって、
カソード及びターゲットを含むX線管と、CTシステムの非一時的メモリに記憶された実行可能命令を有する1つ又は複数のプロセッサを含むX線コントローラとを備え、
実行可能命令は、実行されたときに、
X線コントローラの静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に基づいて、カソードによって生成される第1の電子ビームをターゲット(904)上の第1の焦点スポットに集束させるステップと、
X線コントローラの静電制御及び/又は電磁制御の第2の構成に基づいて、カソードによって生成される第2の電子ビームをターゲット(914)上の第2の焦点に集束させるステップと、
第1の焦点及び第2の焦点を含む複合焦点に基づいて取得された投影データから物体の画像を取得するステップ(920)と、
1つ又は複数のプロセッサに行わせる、システム。
【請求項13】
静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に基づいて、第1の電子ビームを集束させるステップは、X線管の1つ以上のそれぞれの電極、及び/又はX線管の1つ以上のそれぞれの双極子磁石、及び/又はX線管の1つ以上のそれぞれの四重極磁石に電圧の第1のセットを供給するステップを更に含み、
静電制御及び/又は電磁制御の第2の構成に基づいて、第2の電子ビームを集束させるステップは、X線管の1つ以上のそれぞれの電極、及び/又はX線管の1つ以上のそれぞれの双極子磁石、及び/又はX線管の1つ以上のそれぞれの四重極磁石に電圧の第2のセットを供給するステップを更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
第1の電子ビームは、カソードの1つ以上のエミッタの第1のセットによって生成され、1つ以上のエミッタの第1のセットは、第1の焦点スポットの第1のサイズ及び形状を生成し、
第2の電子ビームは、カソードの1つ以上のエミッタの第2の異なるセットによって生成され、1つ以上のエミッタの第2の異なるセットは、第2の焦点スポットの第2のサイズ及び形状を生成し、
第1のサイズ及び形状は、第2のサイズ及び形状とは異なる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
第1の電子ビームは、ターゲット上の第1の所望位置に偏向され、かつ第1の持続時間にわたって集束され、第2の電子ビームは記ターゲット上の第2の所望位置に偏向され、かつ第2の持続時間にわたって集束され、第2の持続時間は、第1の持続時間の終了後に開始する、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、医用イメージングに関し、より詳細には、コンピュータ断層撮影撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムでは、カソード(陰極)によって生成された電子ビームは、X線管内のターゲットに向けられる。いくつかの実施形態では、ターゲットはアノード(陽極)であってもよく、他の実施形態では、X線管はターゲットとは別個のアノードを含んでもよい。ターゲットと衝突する電子によって生成される扇形又は円錐形のX線ビームは、患者などの物体に向けられる。物体によって減衰されたあと、X線は放射線検出器のアレイに衝突し、画像を生成する。画像内の焦点領域は、ターゲット上の電子ビームの焦点に依存してもよく、焦点は、集束電極及び/又は磁石を使用して電子ビームを集束させることによって作成される。より大きい焦点スポットを使用して生成された画像は、より低い空間解像度を有し得、より小さい焦点スポットを使用して生成された画像は、より高い空間解像度を有し得る。したがって、所望の焦点領域及び所望の空間分解能を有する画像を生成するために、CTシステムは、所望のサイズ及び/又は形状の焦点スポットを生成するように構成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、CTシステムは、CTシステムによって取得されたビュー間で交互に、焦点スポットの位置を第1の位置から第2の位置に動的に調整するように構成され得る。連続するビュー間で焦点スポットの位置を交互にすることによって、画像の焦点領域を増加させ、画像の品質を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、本明細書の発明者は、CTシステムにおける焦点スポットのサイズ決定及び成形に関する潜在的な問題を認識している。特に、CTシステムは、異なるサイズ及び/又は形状の2つ以上の焦点を交互にすることをサポートしない場合があり、これは、より小さい焦点を有する利点と、より大きい焦点を有する利点とを組み合わせ得る。換言すれば、画像の一部における大きな焦点領域と高い空間分解能の両方が望まれる場合があり、これは現在のCTシステムによってサポートされない場合がある。さらに、連続するビュー間ではなくビュー内に異なる焦点を生成することによって、交互ビューにおいて異なる焦点を使用することから生じるノイズ分布を低減することができ、画像の品質を高めることができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、CTシステムのターゲットの表面上の複数の焦点スポットにCTシステムのカソードによって生成された電子ビームを集束させるようにCTシステムを制御することと、複数の焦点スポットから複合焦点スポットを生成することと、複合焦点スポットを用いてCTシステムの投影データを取得することとを含む、コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法によって、上記で特定された問題のうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に対処する。例えば、2つの焦点を組み合わせて、複合焦点を生成することができる。2つの焦点を組み合わせることは、2つの焦点の位置、形状、滞留時間、及び/又は遷移を含む、2つの焦点の焦点プロファイルの様々な特性を組み合わせることを含み得る。複合焦点スポットを生成するために焦点スポットを組み合わせることによって、CTシステムによって生成される結果として生じるビューの品質を高めることができる。
【0005】
本明細書の上記の利点及び他の利点、ならびに特徴は、単独で、又は添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。上記の概要は、詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を簡略化した形態で紹介するために提供されることを理解されたい。特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、その範囲は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。さらに、特許請求される主題は、上記又は本開示の任意の部分で述べられた任意の欠点を解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の様々な態様は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照すると、よりよく理解され得る。
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、撮像システムの絵図を示す。
図2】本開示の1つ又は複数の実施形態による、例示的な撮像システムのブロック概略図である。
図3図3Aは本開示の1つ又は複数の実施形態による、例示的なX線管の概略図である。図3Bは本開示の1つ又は複数の実施形態による、ターゲット上の複合焦点スポットの概略図である。
図4】本開示の1つ又は複数の実施形態による、単一焦点スポット及び複合焦点スポットへの電子ビームの電子の分布を示す電子分布図である。
図5図5Aは本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第1の滞留時間、位置、及び遷移に基づいて第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第1の複合焦点スポットを示す図である。図5Bは本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第2の滞留時間、位置、及び遷移に基づいて第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第2の複合焦点スポットを示す図である。図5Cは本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第3の滞留時間、位置、及び遷移に基づいて、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第3の複合焦点スポットを示す図である。図5Dは本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第4の滞留時間、位置、及び遷移に基づいて、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第4の複合焦点スポットを示す図である。
図6図6Aは本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の滞留時間の滞留時間、形状/サイズ、及び第1焦の点スポット及び第2の焦点スポットの遷移に基づいて、同じ位置にある第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第1の複合焦点スポットを示す図である。図6Bは本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第2の滞留時間、形状/サイズ、及び遷移に基づいて、同じ位置で第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第2の複合焦点スポットを示す図である。図6Cは本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第3の滞留時間、形状/サイズ、及び遷移に基づいて、同じ位置で第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第3の複合焦点スポットを示す図である。
図7A】本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の滞留時間及び第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの遷移に基づいて、第1の位置における第1のサイズ及び第1の形状の第1の焦点スポット及び第2の位置における第2のサイズ及び第2の形状の第2の焦点スポットから生成される第1の複合焦点スポットを示す図である。
図7B】本開示の1つ又は複数の実施形態による、第2の滞留時間ならびに第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの遷移に基づいて図7Aの第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第2の複合焦点スポットを示す図である。
図7C】本開示の1つ又は複数の実施形態による、第3の滞留時間ならびに第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの遷移に基づいて図7Aの第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第3の複合焦点スポットを示す図である。
図7D】本開示の1つ又は複数の実施形態による、第4の滞留時間ならびに第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの遷移に基づいて図7Aの第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成される第4の複合焦点スポットを示す図である。
図7E】本開示の1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの滞留時間及び遷移に基づいて、第1の位置における第1のサイズ及び第1の形状の第1の焦点スポット及び第2の位置における第2のサイズ及び第2の形状の第2の焦点スポットから生成される第5の複合焦点スポットを示す図である。
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、サイドローブを含む焦点のガウス電子分布のプロットを示す。
図9】1つ又は複数の実施形態による、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットを含む複合焦点スポットを生成するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0007】
図面は、説明されるシステム及び方法の特定の態様を示す。以下の説明とともに、図面は、本明細書で説明される構造、方法、及び原理を実証及び説明する。図面において、構成要素のサイズは、明確にするために誇張されるか、又は別様に修正され得る。説明される構成要素、システム、及び方法の態様を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造、材料、又は動作は、詳細には示されず、又は説明されない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示される主題のこの説明及び実施形態は、コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法及びシステムに関する。通常、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムにおいて、X線源は、患者などの物体に向かって扇形ビーム又は円錐形ビームを放出する。一般に、CTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、撮像面内及び患者の周りでガントリを中心に回転され、画像は、異なる視野角で複数のビューにおける投影データから生成される。例えば、X線源の一回転に対して、984のビューがCTシステムによって生成され得る。ビームは、患者によって減衰されたのち、放射線検出器のアレイに衝突する。X線検出器又は検出器アレイは、通常、検出器で受け取られたX線ビームをコリメートするためのコリメータと、X線を光エネルギーに変換するためにコリメータに隣接して配置されたシンチレータと、隣接するシンチレータから光エネルギーを受け取り、そこから電気信号を生成するためのフォトダイオードとを含む。検出器アレイで受け取られる減衰ビーム放射の強度は、通常、患者によるX線ビームの減衰に依存する。検出器アレイの各検出器素子は、各検出器素子によって受信された減衰ビームを示す別個の電気信号を生成する。電気信号は、分析のためにデータ処理システムに送信される。データ処理システムは、画像の生成を容易にするために電気信号を処理する。
【0009】
X線源はX線管を含み、カソードはX線源のアノードに向けられた電子ビームを放出し、X線源のターゲットに衝突する。焦点スポットのサイズ及び形状は、アノードに向けられた電子ビームに対するターゲットの表面の角度に部分的に依存し得る。ターゲット上の焦点スポットのサイズ及び形状は、静電制御、電磁制御、又は静電制御と電磁制御との組み合わせ(electrostatic controls, electromagnetic controls, or a combination of electrostatic and electromagnetic controls)を介して電子ビームを集束させることによって調整され得る。電子がターゲットに衝突する結果として放出されるX線は、焦点スポットに基づく有効焦点スポットで患者に焦点を合わせられる。
【0010】
ターゲット上で、焦点スポットは、患者のZ次元に対応する高さ及び患者のX次元に対応する幅を有し得る。例えば、Z次元は、患者の身体の長さ(例えば、患者の頭部から患者のつま先まで)と位置合わせすることができ、X次元は、患者の身体の幅(例えば、患者の左側から患者の右側へ)と位置合わせすることができる。焦点の高さ及び幅は、電子ビームを集束させるために使用される静電及び電磁制御(electrostatic and electromagnetic controls)によって制御され得る。加えて、ターゲットに衝突する電子ビームの電子の分布は、静電制御及び電磁制御によって制御することができる。例えば、第1の高さ及び第1の幅を有する電子の第1の分布を有する第1の焦点スポットを生成するように静電制御部及び電磁制御部を調整することができ、又は第2の高さ及び第2の幅を有する電子の第2の分布を有する第2の焦点スポットを生成するように静電制御部及び電磁制御部を調整することができ、第2の分布、第2の高さ及び第2の幅のうちの1つ又は複数は、それぞれ第1の分布、第1の高さ及び第1の幅とは異なる。
【0011】
X線検出器アレイによって生成される画像の品質は、焦点のサイズに依存し得る。焦点スポットがより大きい場合、より多くのX線フラックス(X-ray flux)を患者に送達することができ、これにより、より厚い又はより吸収性の高い解剖学的構造をより短い時間で撮像することが可能になる。ターゲットの熱特性が管電流を制限し得るX線管を使用するとき、焦点がより小さいとき、より少ないX線束が患者に送達される。しかし、焦点が小さいほど画像の空間分解能が高くなり、焦点の大きさが大きくなるほど画像の空間分解能が低くなる。したがって、電力(例えば、ターゲットに衝突する電子の数)と空間分解能の間にトレードオフが存在し得る。いくつかの臨床タスクでは、より高い電力(例えば、より低い空間分解能を有するより大きな信号)が望ましい場合があり、一方、他の臨床タスクでは、高い空間分解能が望ましい場合がある。
【0012】
ターゲット上の焦点スポットの位置は、静電制御及び電磁制御を介して調整することもできる。換言すれば、焦点は、静電制御及び電磁制御のいずれか又は両方によって、ターゲット上の第1の位置からターゲット上の第2の位置に偏向され得る。例えば、第1の位置が第1のX位置にあり、第2の位置が第2のX位置にあるX次元で焦点を偏向してもよく、又は第1の位置が第1のZ位置にあり、第2の位置が第2のZ位置にあるZ次元で焦点を偏向してもよく、又はX次元とZ次元の両方で焦点を偏向してもよい。さらに、CTシステムは、「2ポイント」、「ウォブル」、又は「フライングフォーカルスポット」モード(“2-point”, “wobble” or “flying focal spot” mode)を提供することができ、焦点スポットは、CTシステムによって取得された連続するビューにおいて第1の位置と第2の位置の間で交互になり得る。例えば、画像シーケンスの第1の画像は、焦点が第1の位置にある第1のビューから生成され得る。シーケンスの第2の画像は、焦点が第2の位置にある第2のビューから生成され得る。焦点が第1の位置にある第3のビューからシーケンスの第3の画像を生成することができ、焦点が第2の位置にある第4のビューからシーケンスの第4の画像を生成することができ、以下同様である。第1の位置と第2の位置の間で交互になるように焦点スポットを偏向させることによって、生成される画像の品質は、画像の全体的な焦点領域を増加させることによって増加され得る。2つを超える位置、例えばXにおける2つの位置とZにおける2つの位置との組み合わせを使用することができ、合計4つの異なる位置が得られる。
【0013】
しかしながら、CTシステムによってサポートされるモードは、異なるサイズ及び/又は形状の2つ以上の焦点を交互にすることをサポートしない場合があり、これにより、本明細書でより詳細に説明するように、より大きい焦点(例えば、より大きな電力)を有するという利点と、より小さい焦点(例えば、より高い空間分解能)を有するという利点とが可能になり得る。加えて、CTシステムは、ビュー間の異なる位置で焦点スポット間を交互にすることをサポートすることができるが、CTシステムは、ビュー内に2つ以上の焦点スポットを生成することをサポートしないことがある。信号がサンプリングされるたびにノイズが生成されるので、ビュー内に2つ以上の焦点を生成することによって、生成される画像内のノイズの量及び/又は分布が低減され、それによって、患者が曝される放射線の線量を増加させることなく、画像の品質を向上させることができる。
【0014】
したがって、本明細書では、第1の位置にある第1のサイズ及び形状の第1の焦点スポットと、第2の位置にある第2のサイズ及び形状の第2の焦点スポットとを含む複合焦点スポットを生成するための方法及びシステムが提案され、第2のサイズ及び形状は、第1のサイズ及び形状とは異なり得る。複合焦点スポットを使用して生成された画像は、広い焦点領域と、高い空間解像度の画像の一部との両方を含むことができ、それによって、より小さい焦点スポットを使用する利点と、より大きい焦点スポットを使用する利点とを組み合わせる。第1の焦点スポットのサイズ及び形状ならびに第2の焦点スポットのサイズ及び形状は、複合焦点スポットの所望のプロファイルに基づいて個別に構成され得る。さらに、複合焦点スポットは、CTシステムによって取得されたビュー内で電子ビームを第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットに集束させること、又はCTシステムによって取得されたビュー間で電子ビームを交互に集束させることによって生成され得る。本明細書に記載のシステム及び方法のさらなる利点は、複合焦点が、CTシステムのX線管の既存のハードウェア構成に依存しながら、ソフトウェアを使用して構成され得ることである。
【0015】
本技術に従ってコントラストスキャンを実行(perform contrast scans)するために使用され得るCTシステムの例が図1及び2に提供される。図3Aは、例示的なX線管を示し、電子ビームは、図3Bに示される複合焦点スポットのような複合焦点スポットでターゲットに集束される。図4は、2つの離散的な焦点スポットからなる複合焦点スポットがどのように生成され得るかを示し、複合焦点スポットの全体のサイズは、電子ビームのパワーを増加させることなく増加され得る。つの離散的な焦点スポットは、図5A~8に示すように、X線管のターゲットに衝突する電子の分布として描かれ得る。図5A~7Eは、様々な複合焦点スポットに対応する、異なるサイズ、形状、及び位置の様々な電子分布を示す。図5Aは、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第1の滞留時間、位置、及び遷移に基づいて、同じサイズの第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成された第1の複合焦点スポットを示している。図5Bは、図5Aの第1の焦点スポットと第2の焦点スポットとから生成された第2の複合焦点スポットを示し、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットの第2の滞留時間、位置、及び遷移に基づくものである。図5Cは、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットの第3の滞留時間、位置、および遷移に基づいて、図5Aの第1の焦点スポットと第2の焦点スポットから生成された第3の複合焦点スポットを示す。図5Dは、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットの第4の滞留時間、位置、および遷移に基づいて、図5Aの第1の焦点スポットと第2の焦点スポットから生成される第4の複合焦点スポットを示す。図6Aは、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットの第1の滞留時間、形状/サイズ、および遷移に基づいて、同じ位置の第1の焦点スポットと第2の焦点スポットから生成された第1の複合焦点スポットを示す。図6Bは、図6Aの第1の焦点スポットと第2の焦点スポットから生成された第2の複合焦点スポットを示し、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットの第2の滞留時間、形状/サイズ、および遷移に基づいている。図6Cは、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットの第3の滞留時間、形状/サイズ、および遷移に基づいて、図6Aの第1の焦点スポットと第2の焦点スポットから生成される第3の複合焦点スポットを示す。図7Aは、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第1の滞留時間及び遷移に基づいて、第1の位置における第1のサイズ及び形状の第1の焦点スポット及び第2の位置における第2のサイズ及び形状の第2の焦点スポットから生成される第1の複合焦点スポットを示す。図7Bは、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第2の滞留時間及び遷移に基づいて、図7Aの第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成された第2の複合焦点スポットを示している。図7Cは、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第3の滞留時間及び遷移に基づいて、図7Aの第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成された第3の複合焦点スポットを示す図である。図7Dは、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの第4の滞留時間及び遷移に基づいて、図7Aの第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットから生成された第4の複合焦点スポットを示す図である。図7Eは、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットの滞留時間及び遷移に基づいて、第1の位置における第1のサイズ及び形状の第1の焦点スポットと第2の位置における第2のサイズ及び形状の第2の焦点スポットとから生成された第5の複合焦点スポットを示す図である。図7Eの第5の複合焦点スポットは、図8に描かれたサイドローブなどのサイドローブを含んでもよい。複合焦点スポットは、図9を参照して説明した方法の1つまたは複数のステップに従うことによって生成されてもよい。
【0016】
図1は、CT撮像用に構成された例示的なCTシステム100を示す。特に、CTシステム100は、患者、無生物、1つ以上の製造部品、及び/又は体内に存在する歯科インプラント、ステント、及び/又は造影剤などの異物などの対象(subject:被検体)112を撮像するように構成される。一実施形態では、CTシステム100はガントリ102を含み、ガントリは、テーブル114上に横たわっている対象112を撮像する際に使用するためのX線放射ビーム106(図2参照)を投影するように構成された少なくとも1つのX線源104をさらに含み得る。特に、X線源104は、ガントリ102の反対側に配置された検出器アレイ108に向かってX線放射ビーム106を投影するように構成される。図1は単一のX線源104を示すが、特定の実施形態では、複数のX線源及び検出器を用いて、患者に対応する異なるエネルギーレベルで投影データを取得するために複数のX線放射ビームを投影することができる。いくつかの実施形態では、X線源104は、高速ピークキロ電圧(kVp)スイッチングによる二重エネルギージェムストーンスペクトル撮像(GSI:dual-energy gemstone spectral imaging)を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、使用されるX線検出器は、異なるエネルギーのX線光子を区別することができる光子計数検出器である。他の実施形態では、一方が低kVpに設定され、他方が高kVpに設定される2つのセットのX線源及び検出器が、デュアルエネルギー投影を生成するために使用される。したがって、本明細書で説明する方法は、単一エネルギー取得技法ならびに二重エネルギー取得技法を用いて実装され得ることを諒解されたい。
【0017】
特定の実施形態では、CTシステム100は、反復的又は解析的画像再構成方法を使用して、対象112のターゲットボリュームの画像を再構成するように構成された画像プロセッサユニット110を更に含む。例えば、画像プロセッサユニット110は、患者のターゲットボリュームの画像を再構成するために、フィルタ補正逆投影(FBP:filtered back projection)などの解析的画像再構成手法を使用することができる。別の例を挙げると、画像プロセッサユニット110は、高度統計的反復再構成(ASIR:advanced statistical iterative reconstruction)、共役勾配(CG:conjugate gradient)、最尤期待値最大化(MLEM:maximum likelihood expectation maximization)、モデルベース反復再構成(MBIR:model-based iterative reconstruction)などの反復画像再構成手法を使用して、対象112のターゲットボリュームの画像を再構成することができる。本明細書でさらに説明するように、いくつかの実施例において、画像プロセッサユニット110は、反復画像再構成手法(iterative image reconstruction approach)に加えて、FBPなどの解析画像再構成手法(analytic image reconstruction approach)の両方を使用することができる。
【0018】
いくつかのCTイメージングシステム構成では、X線源は、一般に「イメージング平面:imaging plane」と呼ばれるデカルト座標系のXYZ平面内に位置するようにコリメートされる、円錐形X線放射ビーム(cone-shaped X-ray radiation beam)を投影する。X線放射ビームは、患者又は被検体などの撮像されている物体を通過する。X線放射ビームは、物体によって減衰されたのち、検出器素子のアレイに衝突する。検出器アレイで受け取られる減衰X線放射ビームの強度は、物体によるX線放射ビームの減衰に依存する。アレイの各検出器素子は、検出器位置におけるX線ビーム減衰の測定値である別個の電気信号を生成する。全ての検出器素子からの減衰測定値は、透過プロファイルを生成するために別々に取得される。
【0019】
いくつかのCTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、X線ビームが物体と交差する角度が絶えず変化するように、撮像面内で撮像される物体の周りでガントリと共に回転される。1つのガントリ角度における検出器アレイからのX線放射減衰測定値、例えば投影データのグループは、「ビュー:view」と呼ばれる。物体の「スキャン(走査):scan」は、X線源及び検出器の1回転中に異なるガントリ角度又は視野角で作成されたビューのセットを含む。
【0020】
X線源104は、アノード及びカソードを含む。カソードによって放出された電子(例えば、カソードの通電から生じる)は、アノード又はその近くに配置されたターゲットによって遮断され得る。ターゲットによってインターセプトされた電子は、X線の形態でエネルギーを放出することができ、X線は検出器アレイ108に向けられる。カソードから電子を受け取り、放出されたX線を形成するターゲット表面の領域は、本明細書では「焦点スポット:focal spot(焦点)」と呼ばれることがある。放出されたX線は、「有効焦点スポット:effective focal spot(有効焦点)」において、スキャンされた対象204の一部に集束され得る。有効焦点スポットのサイズは、実際の焦点スポットの角度(例えば、ターゲット表面上での角度)に依存し得る。例えば、小さな有効焦点は、小さな領域を走査するときに望ましいことがあり、一方、大きな有効焦点は、より大きな領域を走査するときに望ましいことがある。
【0021】
いくつかの実施形態では、X線源104を含むX線発生システムは、焦点を移動及び/又は成形することができる。例えば、X線発生システムは、焦点スポットのサイズを増加又は減少させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、X線発生システムは、複合焦点スポットを生成することができ、複合焦点スポットは2つ以上の別個の焦点スポットの組み合わせである。例えば、互いに離れて位置する2つの別個の焦点を組み合わせて、単一の複合焦点を生成することができる。図3図9を参照して、複合焦点スポットを以下により詳細に説明する。
【0022】
図1のCTシステム100と同様の例示的な撮像システム(イメージングシステム)200を示す。本開示の態様によれば、撮像システム200は、対象204(例えば図1の被験者112)を撮像するように構成される。一実施形態では、撮像システム200は、検出器アレイ108(図1参照)を含む。検出器アレイ108は、対応する投影データを取得するために対象204(例えば患者)を通過するX線放射ビーム106(図2参照)を一緒に感知する複数の検出器素子202を更に含む。いくつかの実施形態では、検出器アレイ108は、セル又は検出器素子202の複数の行を含むマルチスライス構成で製造することができ、検出器素子202の1つ又は複数の追加の行が投影データを取得するために並列構成で配置される。
【0023】
特定の実施形態では、撮像システム200は、所望の投影データを取得するために、対象204の周りの異なる角度位置を横断するように構成される。したがって、ガントリ102及びその上に取り付けられた構成要素は、例えば、異なるエネルギーレベルで投影データを取得するために、回転中心206を中心に回転するように構成され得る。あるいは、被検体204に対する投影角度が時間の関数として変化する実施形態では、取り付けられた構成要素は、円のセグメントに沿ってではなく、一般的な曲線に沿って移動するように構成され得る。
【0024】
X線源104及び検出器アレイ108が回転すると、検出器アレイ108は、減衰したX線ビームのデータを収集する。検出器アレイ108によって収集されたデータは、スキャンされた対象204の減衰係数の線積分を表すようにデータを調整するために、前処理及び較正を受ける。処理されたデータは、一般に投影と呼ばれる。いくつかの実施例において、検出器アレイ108の個々の検出器又は検出器素子202は、個々の光子の相互作用を1つ以上のエネルギービンに登録する光子計数検出器(photon-counting detectors)を含み得る。本明細書に記載の方法は、エネルギー積分検出器(energy-integrating detectors)を用いて実施することもできることを理解されたい。
【0025】
取得された投影データセットは、基底物質分解(BMD:basis material decomposition)に使用され得る。BMD中、測定された投影は、材料密度投影のセットに変換される。材料密度投影は、骨、軟組織、及び/又は造影剤マップなどの各それぞれの基礎材料の材料密度マップ又は画像の対又はセットを形成するように再構成され得る。密度マップ又は画像は、撮像されたボリューム内の基礎材料、例えば、骨、軟組織、及び/又は造影剤の3Dボリュメトリック画像を形成するために関連付けられ得る。
【0026】
再構成されると、撮像システム200によって生成された基底物質画像は、基底物質の密度で表される、対象204の内部特徴を明らかにする。濃度画像は、これらの特徴を示すように表示され得る。病状(disease states)などの医学的状態(medical conditions)、より一般的には医学的事象の診断に対する従来のアプローチでは、放射線科医又は医師は、関心のある特徴を識別するために密度画像のハードコピー又は表示を考慮する。そのような特徴は、特定の解剖学的構造又は器官の病変、サイズ及び形状、ならびに個々の開業医の技能及び知識に基づいて画像内で識別可能な他の特徴を含み得る。
【0027】
一実施形態では、撮像システム200は、ガントリ102の回転及びX線源104の動作などの構成要素の移動を制御するための制御機構(control mechanism)208を含む。 特定の実施形態では、制御機構208は、電力及びタイミング信号をX線源104に提供するように構成されたX線コントローラ210を更に含む。さらに、制御機構208は、撮像要件に基づいてガントリ102の回転速度及び/又は位置を制御するように構成されたガントリモータコントローラ212を含む。
【0028】
特定の実施形態では、制御機構208は、検出器素子202から受信されたアナログデータをサンプリングし、後続の処理のためにアナログデータをデジタル信号に変換するように構成されたデータ取得システム(DAS)214をさらに含む。DAS214は、本明細書でさらに説明されるように、検出器素子202のサブセットからのアナログデータをいわゆるマクロ検出器に選択的に集約するようにさらに構成され得る。DAS214によってサンプリング及びデジタル化されるデータは、コンピュータ又はコンピューティングデバイス216に送信される。一例において、コンピューティングデバイス216は、ストレージデバイス又は大容量ストレージ218にデータを記憶する。記憶装置218は、例えば、任意のタイプの非一時的メモリ(non-transitory memory)であってもよく、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読み取り/書き込み(CD-R/W)ドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、及び/又はソリッドステートストレージドライブを含んでもよい。
【0029】
加えて、コンピューティングデバイス216は、データ取得及び/又は処理などのシステム動作を制御するために、DAS214、X線コントローラ210、及びガントリモータコントローラ212のうちの1つ又は複数にコマンド及びパラメータを提供する。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス216は、オペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。コンピューティングデバイス216は、コンピューティングデバイス216に動作可能に結合されたオペレータコンソール220を介して、例えば、コマンド及び/又は走査パラメータを含むオペレータ入力を受信する。オペレータコンソール220は、オペレータがコマンド及び/又は走査パラメータを指定することを可能にするキーボード(図示せず)又はタッチスクリーンを含み得る。
【0030】
図2は、オペレータコンソール220を示しているが、例えば、システムパラメータの入力又は出力、検査の要求、データのプロット、及び/又は画像の閲覧のために、複数のオペレータコンソールを撮像システム200に結合することができる。さらに、特定の実施形態では、撮像システム200は、インターネット及び/又は仮想プライベートネットワーク、無線電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、有線ローカルエリアネットワーク、無線ワイドエリアネットワーク、有線ワイドエリアネットワークなどの1つ又は複数の構成可能な有線及び/又は無線ネットワークを介して、ローカルに又は遠隔に、例えば、施設又は病院内に、又は全く異なる場所に位置する、複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、及び/又は類似のデバイスに結合され得る。
【0031】
一実施形態では、例えば、撮像システム200は、画像保管通信システム(PACS:picture archiving and communications system)224を含むか、又はそれに結合される。例示的な実装形態では、PACS224は、放射線科情報システム、病院情報システムなどの遠隔システム、及び/又は内部もしくは外部ネットワーク(図示せず)にさらに結合され、異なる場所にいるオペレータがコマンド及びパラメータを供給すること、及び/又は画像データへのアクセスを得ることを可能にする。
【0032】
コンピューティングデバイス216は、オペレータ供給及び/又はシステム定義のコマンド及びパラメータを使用してテーブルモータコントローラ(テーブルモータ制御装置)226を動作させ、テーブルモータコントローラは、電動テーブルであり得るテーブル114を制御し得る。具体的に、テーブルモータコントローラ226は、被検体204のターゲットボリューム(目標体積)に対応する投影データを取得するために、ガントリ102内で被検体204を適切に位置決めするためにテーブル114を移動させることができる。
【0033】
前述のように、DAS214は、検出器素子202によって取得された投影データをサンプリングし、デジタル化する。その後、画像再構成器230は、サンプリングされデジタル化されるX線データを使用して高速再構成を実行する。図2は、別個のエンティティとして画像再構成器230を示すが、特定の実施形態では、画像再構成器230は、コンピューティングデバイス216の一部を形成し得る。代替的に、画像再構成器230は、撮像システム200に存在しなくてもよく、代わりに、コンピューティングデバイス216は、画像再構成器230の1つ以上の機能を実行してもよい。更に、画像再構成器230は、ローカル又はリモートに配置することができ、有線又は無線ネットワークを使用して撮像システム200に動作可能に接続することができる。特に、例示的な一実施形態は、画像再構成器230のために「クラウド」ネットワーククラスタ内のコンピューティングリソースを使用することができる。
【0034】
一実施形態では、画像再構成器230は、再構成された画像を記憶装置218に記憶する。あるいは、画像再構成器230は、診断及び評価のために有用な患者情報を生成するために、再構成された画像をコンピューティングデバイス216に送信することができる。特定の実施形態では、コンピューティングデバイス216は、再構成された画像及び/又は患者情報を、コンピューティングデバイス216及び/又は画像再構成器230に通信可能に結合されたディスプレイ又は表示装置232に送信することができる。いくつかの実施形態では、再構成された画像は、短期又は長期記憶のために、コンピューティングデバイス216又は画像再構成器230から記憶装置218に送信され得る。
【0035】
図3Aを参照すると、例示的なX線管300が示されている。一実施形態において、X線管300はX線源104であってもよい(図1参照)。図示の実施形態では、X線管300は、管ケーシング306内に配置された例示的なカソード302及びアノード303を含む。カソードは1つ以上のエミッタ308を含むことができる。1つ以上のエミッタ308は、平坦なエミッタ、又は曲率が凹状であり、電子ビームの事前集束を提供する湾曲したエミッタであってもよい。他の実施形態では、正方形、長方形、楕円形、又は円形などの形状のエミッタを使用することができる。適用要件に基づいて、異なる形状又はサイズのエミッタを使用することができることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明するように、第1のエミッタ308がターゲット304上に第1の焦点を生成し、第2のエミッタ308がターゲット304上に第2の焦点を生成する2つのエミッタ308を使用することができる。
【0036】
本例では、カソード302、特に1つ以上のエミッタ308は、電圧源310によって供給され得る1つ以上のエミッタ308に電流を流すことによって直接加熱され得る。一実施形態では、約10アンペア(A)の電流を1つ以上のエミッタ308に流すことができる。1つ以上のエミッタ308は、電圧源310によって供給される電流によって加熱された結果として電子ビーム312を放出することができる。本明細書で使用される場合、「電子ビーム」という用語は、実質的に同様の速度を有する電子の流れを指すために使用され得る。
【0037】
電子ビーム312は、X線314を生成するためにターゲット304に向けられ得る。より詳細には、電子ビーム312は、1つ以上のエミッタ308とアノード303の間に電位差を印加することによって、エミッタ308からターゲット304に向かって加速され得る。一実施形態では、約40kV~約450kVの範囲の高電圧を印加して1つ以上のエミッタ308とアノード303の間の電位差を設定し、それによりX線管300内に1つ以上の電場320を生成することができる。一実施形態では、電子ビーム312内の電子をターゲット304に向かって加速するために、1つ以上のエミッタ308とアノード303の間に約140kVの高電圧差を印加することができる。例えば、1つ以上のエミッタ308は、約-140kVの電位であってもよく、アノード303及びターゲット304は、接地電位又は約0ボルトであってもよい。
【0038】
電子ビーム312がターゲット304に衝突すると、ターゲット304内で熱が発生する可能性があり、これはターゲット304を溶融させるのに十分に大きい可能性がある。様々な実施形態では、ターゲット304における発熱の問題を回避するために、回転ターゲットを使用することができる。例えば、ターゲット304は、ターゲット304に衝突する電子ビーム312が同じ位置でターゲット304に衝突しないように回転するように構成することができ、それによって、ターゲット304は溶融しないことができる。様々な実施形態では、ターゲット304は、限定はしないが、タングステン又はモリブデンなどの材料を含むことができる。ターゲット304上の焦点スポットのサイズも、ターゲット304内で発生する熱量を低減するように調整することができ、焦点スポットが小さいほど、特定の位置でより多くの熱量を発生させることができる。ターゲット304と同じ電位に保持された電子コレクタ329は、最初の衝突の間にターゲット304の表面から跳ね返る電子のシンクとして機能し、これは、それらの同じ電子がターゲットに再衝突する可能性を低減する。このように後方散乱電子を収集することにより、ターゲット加熱がさらに低減される。
【0039】
X線管300は、1つ以上の集束電極(focusing electrodes)316が電子ビーム312をターゲット304に向かって集束させるように、エミッタ308に隣接して配置され得る1つ以上の集束電極316を含み得る。本明細書で使用される場合、「隣接する」という用語は、空間又は位置が近いことを意味する。電子ビーム312を集束させるために、電圧を1つ以上の集束電極316に印加して1つ以上の電場321を生成することができる。電圧は、1つ以上の集束電極316の各々について異なってもよい。例えば、第1の集束電極316に第1の電圧を印加してもよく、第2の集束電極316に第2の電圧を印加してもよく、第3の集束電極316に第3の電圧を印加してもよく、以下同様である。いくつかの集束電極316については、電圧はゼロであってもよく、集束電極316には電圧が印加されない。いくつかの実施形態では、集束電極316の第1の部分は、電子ビーム312を偏向させるために使用することができ、集束電極316の第2の部分は、電子ビーム312を集束させるために使用することができる。このように、電圧は、電子ビーム312を所望の形状に集束させ、電子ビーム312を所望の位置に偏向させる1つ以上の特定の電場を生成するために、制御電子モジュール322のコントローラによって選択的に印加され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ以上の集束電極316はそれぞれ、1つ以上のエミッタ308の電位よりも低い電位に維持され得る。1つ以上のエミッタ308と1つ以上の集束電極316の間の電位差は、1つ以上のエミッタ308から生成された電子が1つ以上の集束電極316に向かって移動することを防止することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の集束電極316は1つ以上のエミッタ308の電位に対して負電位に維持され得る。1つ以上のエミッタ308に対する1つ以上の集束電極316の負電位は、電子ビーム312を1つ以上の集束電極316から離れて集束させることができ、それによって、電子ビーム312のターゲット304への集束を容易にする。
【0041】
他の実施形態では、1つ以上の集束電極316は、1つ以上のエミッタ308の電位に等しいか又は実質的に同様の電位に維持され得る。1つ以上のエミッタ308の電圧電位に対する1つ以上の集束電極316の同様の電圧電位は、1つ以上の集束電極316の形状に起因する静電場を成形することによって平行電子ビームを生成し得る。1つ以上の集束電極316は、エミッタ308及び1つ以上の集束電極316を結合するリードの使用を介して1つ以上のエミッタ308の電位に等しいか又は実質的に同様の電位に維持され得る。
【0042】
さらに、X線管300は、アノード303に向けて電子ビーム312を追加的に制御及び集束するために使用され得る1つ以上の引出電極(extraction electrodes:抽出電極)318を含み得る。1つ以上の引出電極318は、アノード303と1つ以上のエミッタ308の間に位置してもよい。いくつかの実施形態では、所望の電圧を1つ以上の引出電極318に供給することによって、1つ以上の引出電極318を正にバイアスすることができる。
【0043】
電子ビーム312のエネルギーは、様々な方法で制御することができる。例えば、電子ビーム312のエネルギーは、カソード302とアノード303の間の電位差(例えば、加速電圧)を変えることによって制御することができる。本明細書で使用される場合、「電子ビーム電流」という用語は、カソード302とアノード303の間の毎秒の電子の流れを指す。電子ビーム312の電流は、エミッタ電圧310を調整してエミッタ308の温度を変化させることによって制御することができる。電子ビーム電流は、引き出し電極318に印加される電圧を変更することによって制御することができる。1つ以上のエミッタ308は、無限の電子源(infinite source of electrons)として扱われてもよいことに留意されたい。
【0044】
1つ以上の電場321は、1つ以上の集束電極316と1つ以上の引出電極318の間の電位差によって1つ以上の引出電極318と1つ以上の集束電極316の間に生成される。1つ以上の電界320の強度を用いて、1つ以上のエミッタ308によってアノード303に向かって生成される電子ビーム312の強度を制御することができる。より詳細には、電界320は、エミッタ308によって放出された電子をアノード303に向かって加速させることができる。1つ以上の電界320が強いほど、1つ以上のエミッタ308からアノード303に向かう電子の加速が強くなる。あるいは、1つ以上の電場320が弱いほど、1つ以上のエミッタ308からアノード303に向かう電子の加速は弱くなる。したがって、ターゲット304に衝突する電子ビーム312の強度は、1つ以上の電場320及び321によって制御され得る。
【0045】
さらに、8kV以下の電圧シフトが、電子ビーム312の強度を制御するために1つ以上の引出電極318に印加され得る。特定の実施形態では、これらの電圧シフトは、制御電子モジュール322の使用を介して1つ以上の引出電極318に印加され得る。制御電子モジュール322は、非限定的な実施形態であってもよく、又は図2のX線コントローラ210の一部であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、集束電極316に電圧を選択的に印加することによって、静電集束の結果として複合焦点を生成することができる。電子ビーム312がターゲット304上に集束されると、電子はガウス分布を形成することができる。本開示の目的のために、ガウス分布は、大凡のガウス分布(approximately Gaussian distribution)であってもよい。
【0047】
電子ビーム312の電子のガウス分布は、狭められ又は平行化されることができ、ガウス分布の両側でターゲット304と衝突する電子は、ガウス分布の中心に向かって方向付けられることができる。別の言い方をすれば、ガウス分布の両側の電子の分布を反転させることができる。ガウス分布の狭小化又は平行化の結果、電子ビーム312の強度は、ガウス分布の中心における電子ビーム312の強度よりも、ガウス分布の側部(例えば、外側エッジ)において大きくなり得る。電子ビーム312の強度が中心よりもガウス分布の両側で大きいとき、これは、ガウス分布のプロットのエッジに形成される「サイドローブ」として視覚的に描写され得る。集束電極316に電圧を印加してガウス分布の両側にサイドローブを(例えば、座標軸349及び352によって示されるようなX次元又はY次元などの次元において)生成してもよく、集束電極316に電圧を印加してガウス分布の片側にサイドローブを生成してもよい。
【0048】
サイドローブを有するガウス分布の電子がターゲット304と衝突して焦点スポットを生成するとき、サイドローブに対応する焦点スポットの部分は、焦点スポットの中心部分よりも多くの数の電子衝突を受け、複合焦点スポットを生成し得る。その結果、静電集束によって生成された複合焦点スポットを使用して生成された画像は、大きい焦点領域(例えば、複合焦点スポットの全体的なサイズに対応する)と、大きい焦点領域内の高い空間分解能を有するより小さい領域(例えば、サイドローブに対応する)とを含み得る。したがって、集束電極316に印加される電圧を制御することによって、複合焦点の形状及びサイズは、最初の成分焦点(例えば、電子の全体的な分布に対応する)及び追加の成分焦点(例えば、サイドローブの電子分布に対応する)の形状及びサイズを含む。図7Eを参照して、サイドローブを有する成分焦点スポットを含む複合焦点スポットの生成を以下により詳細に説明する。
【0049】
さらに、X線管300はまた、電子ビーム312をターゲット304上に集束及び/又は位置決め及び偏向するための1つ以上の磁石324を含むことができる。様々な実施形態では、カソード302とターゲット304の間に磁石324を配置することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の磁石324は、ターゲット304上で電子ビーム312を成形する1つ以上の磁場323を生成することによって電子ビーム312の集束に影響を与える1つ以上の多極磁石を含んでもよい。1つ又は複数の多極磁石は、1つ又は複数の四極磁石(quadrupole magnets)、1つ又は複数の双極磁石(dipole magnets)、又はそれらの組合せを含み得る。例えば、双極子磁石を使用して電子ビーム312を偏向させ、電子ビーム312を一次元に位置決めすることができ、一方、四重極磁石を使用して電子ビーム312を二次元に集束させることができる(例えば、電子ビーム312の長さ及び幅である)。例えば、第1のステップにおいて、1つ以上のエミッタ308によって生成された電子ビームは、静電集束によって偏向及び集束され得る。第2のステップにおいて、電子ビームは、ターゲット304上の電子ビームの焦点の位置を調整するために、1つ以上の双極子磁石によってさらに偏向され得る。第2のステップの前又は後に行われ得る第3のステップにおいて、電子ビームは、ターゲット上に所望の電子分布(例えば、焦点スポットの所望の形状)を生成するように集束され得る。
【0050】
電子ビーム電流及び電圧の特性が変化すると、それに応じて電子ビーム312の静電集束が変化する。焦点スポットの安定したサイズ、形状、及び他の特性を維持するために、又はシステム要件に従って焦点スポットのサイズ及び/又は形状を迅速に修正するために、1つ又は複数の磁石324は、広範囲の焦点スポットのサイズ及び形状に対して定常状態から30マイクロ秒未満の時間スケール(sub-30 microsecond time scale)まで制御可能な性能を有する磁場を提供し得る。電子ビーム312が集束され位置決めされると、電子ビーム312はターゲット304に衝突してX線314を生成する。電子ビーム312とターゲット304との衝突によって生成されるX線314は、X線管300から管ケーシング306内の開口部を通ってX線窓337において物体328に向かって方向付けられ得る。
【0051】
図8でより詳細に説明されるように、様々な実施形態では、電子ビーム312は、静電的及び/又は磁気的に制御され、集束され、異なる2つの焦点スポットを含む複合焦点スポットを生成することができる。より詳細には、電子ビーム312は、ターゲット304上にそれぞれ第1の焦点スポット332及び第2の焦点スポット334を含む複合焦点スポット331を生成する第1の電子ビーム325及び第2の電子ビーム326の間で交互になるように、静電的及び/又は磁気的に制御及び集束され得る。すなわち、第1の電子ビーム325は第1の焦点332を生成し、第2の電子ビーム326は第2の焦点334を生成する。第1の焦点332及び第2の焦点334は、ターゲット304と衝突する第1の電子ビーム325及び第2の電子ビーム326の電子の数が最小化されるターゲット304の一部を表す空間335によって分離され得る。換言すれば、第1の電子ビーム325の電子は、第1の焦点332の位置でターゲットに第1の分布で衝突し、第2の電子ビーム326の電子は、第2の焦点334の位置でターゲットに第2分布で衝突し、空間335の位置で第1の分布と第2分布との交点では、より少ない数の電子がターゲット304に衝突する。
【0052】
さらに、いくつかの実施形態では、第1の電子ビーム325は第1の持続時間にわたってターゲット304に集束され、第2の電子ビーム326は第2の持続時間にわたってターゲット304に集束され、第1の持続時間と第2の持続時間の間の第3の持続時間にわたってターゲット304に集束されない。すなわち、第1の電子ビーム325から第2の電子ビーム326への遷移中、1つ以上のエミッタ308からの電子ビームは、電極318によって抑制(inhibited)又は「グリッド化:gridded」されることができ、それによって電子ビームは生成されない。いくつかの実施形態では、遷移の持続時間が閾値遷移時間を超えることに応答して、1つ以上のエミッタ308を格子状にすることができる。言い換えれば、遷移時間が速い(例えば、閾値遷移時間未満である)場合、1つ以上のエミッタ308はグリッド化されなくてもよく、遷移時間が遅い(例えば、閾値遷移時間よりも大きい)場合、1つ以上のエミッタ308はグリッド化され得る。
【0053】
遷移中に電子ビームが生成されない結果、空間335でターゲット304に衝突する電子の数を最小化することができる。第1の持続時間と第2の持続時間の間でエミッタ308をオフに切り替えることは、ビームブランキング又はブランキング(beam blanking or blanking)と呼ばれ得る。ブランキングの結果、(例えば、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットの間のターゲット304上の電子衝突を最小化する(minimizing electron collisions)ことによって)第1の電子ビーム325及び第2の電子ビーム326のパワーを最大化することができる。
【0054】
第1の電子ビーム部分325が第1の焦点332でターゲット304と衝突する結果、第1のセットのX線336が生成され、物体328に向かってX線窓337から外に向けられる。第1のセットのX線336は第1の有効焦点340で物体328と交差することができる。第2の電子ビーム部分326が第2の焦点334でターゲット304と衝突する結果、第2のセットのX線338が生成され、物体328に向かってX線窓337から外に向けられる。第2のセットのX線338は第1の有効焦点340と重なり合う第2有効焦点342で物体328と交差する。したがって、複合焦点スポット331から生成される第1のセットのX線336及び第2のセットのX線338は、物体328上の複合有効焦点スポット344に合焦することができる。複合有効焦点スポットは、(座標軸348によって示されるように、X次元における)幅及び(座標軸348によって示されるように、Z次元における)長さを有することができる。
【0055】
第1の焦点332のサイズは第2の焦点334のサイズと異なってもよい。例えば、第1の焦点332は第2の焦点334より大きくてもよく、第1の焦点332は第2の焦点334より小さくてもよい。さらに、第1の焦点332の形状は第2の焦点334の形状と異なってもよい。例えば、第1の焦点332は(座標軸349によって示されるように、X次元における)第1の幅及び(座標軸349によって示されるように、Y次元における)第1の高さを有する第1の形状を有することができ、第2の焦点334は第2の幅及び第2の高さを有する第2の形状を有することができ、第1の高さ及び第1の幅はそれぞれ第2の高さ及び第2の幅と異なることができる。空間335のサイズ及び形状も変化し得る。例えば、第1の焦点332と第2の焦点334との距離(例えば、間隔335)が大きくてもよいし、第1の焦点332と第2の焦点334との距離が小さくてもよい。
【0056】
例えば、第1の焦点332及び第2の焦点334を含むターゲット304の正面図を示す。第1の焦点スポット332は第2の焦点スポット334(座標軸352によって示されるように、X次元において)と同様の幅を有するが、第2の焦点スポット334(座標軸352によって示されるように、Y次元において)より高い高さを有するものとして示されている。第1の焦点332も正方形の形状を有するものとして示されており、第2の焦点334も長方形の形状を有するものとして示されている。第1の焦点332と第2の焦点334の間の空間335は第1の焦点332と第2の焦点334に等しい幅を有し、第1の焦点332と第2の焦点334の高さより低い高さを有する。上述したように、ターゲット304は、ターゲット304が回転するにつれて第1の焦点332及び第2の焦点334がターゲット304の表面上の異なる位置に生成されるように回転する円形ターゲットであってもよい。ターゲット304の表面上の異なる位置に第1の焦点332及び第2の焦点334を生成することによって、ターゲット304の位置で吸収される熱量を最小化することができる。
【0057】
図4を参照すると、電子分布図400は、静電及び/又は磁気集束の結果、第1の焦点スポット404への電子の第1の分布及び第2の焦点スポット406への電子の第2の分布を含む複合焦点416に分割され得る、単一焦点スポット402へのCTシステムの電子ビームの電子の初期分布を示す。複合焦点スポット416は、複合焦点スポット331と同一又は類似であってもよい。すなわち、単一焦点スポット402は、電子ビーム312によって生成され、第1の焦点スポット404は、第1の電子ビーム325をターゲット304に集束させることによって生成される第1の焦点スポット332と同一又は類似であり、第2の焦点スポット406は、第2の電子ビーム326をターゲット304に集束させることによって生成される第2の焦点スポット334と同一又は類似である。
【0058】
単一焦点スポット402のサイズ及び形状は、1つ以上の集束電極(例えば、1つ以上の集束電極316)によって生成される1つ以上の電場(例えば、1つ以上の電場321は)及び1つ以上の磁石(例えば、1つ以上の磁石324は)によって生成される1つ以上の磁場(例えば、磁場323)に依存し得る。例えば、1つ以上の電場は、電子ビーム(例えば、電子ビーム312、325又は326)の第1の集束を実行して第1のサイズ及び形状の初期焦点スポットを生成し、電子ビームをCTシステムのターゲット上の所望の位置に偏向することができ、初期焦点スポットの第1のサイズ及び形状は、1つ以上の磁石の四重極磁石の磁場によって第2のサイズ及び形状に更に微細化することができ、結果として生じる焦点スポットは、焦点スポットの位置を所望の位置に調整するために1つ以上の磁石の双極磁石によって更に偏向することができる。
【0059】
図4の焦点を生成する電子の分布(例えば、単一焦点スポット402、第1の焦点スポット404、及び第2の焦点スポット406)は、矩形の形状を有するものとして示されている。矩形形状は、CTシステムの1つ又は複数の電場、1つ又は複数の磁場、及び様々なシールド又はバリアの構成の結果としてターゲット上で近似され得るが、焦点全体にわたる電子の分布は、均一ではなく、むしろ、1つ又は複数の電場及び/又は1つ又は複数の磁場の構成によって生成されるガウス分布の組合せに基づき得ることを諒解されたい。図5Aから図8を参照して、ガウス分布の異なる可能な形状を以下でさらに説明する。
【0060】
単一焦点スポット402は、第1の焦点スポット402のX軸に沿って測定されるように、長さ407及び幅408を有することができる。したがって、単一焦点スポット402は、高さ407及び幅408に基づく第1のサイズを有することができる。第1の焦点404及び第2の焦点406は、一緒に又は組み合わされると、単一焦点スポット402の第1のサイズと同等のサイズを有し得る。言い換えれば、第1の焦点スポット404及び第2の焦点406は、単一焦点スポット402と同じ長さ407を有することができる。第1の焦点スポット404は幅410を有してもよく、第2の焦点スポット406は幅412を有してもよく、幅410と幅412の合計は幅408に等しくてもよい。したがって、第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406によって占有される総面積は、単一焦点スポット402によって占有される総面積と同等であり得る。
【0061】
複合焦点スポット416の第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406は、空間415(例えば図3Aの空間335は)によって分離され得る。空間415は、複合焦点スポット416の所望のサイズに応じて変化し得る幅414を有し得る。複合焦点スポット416のサイズをより大きくしたい場合、空間415の幅414を大きくしてもよい。複合焦点スポット416のサイズをより小さくすることが望ましい場合、空間415の幅414を小さくすることができる。したがって、空間415によって第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406を分離することによって、複合焦点スポット416のサイズは、複合焦点スポット416内で破線の長方形(dashed rectangle:点線の矩形)418によって示される単一焦点スポット402のサイズよりも大きいサイズに増加され得る。換言すれば、破線矩形418の幅420は、単一焦点スポット402の幅408と同等であってもよく、これは、複合焦点スポット416の合計422未満であってもよい。
【0062】
例えば、CTシステムは、2.5mmの最大幅を有する単一焦点スポットを生成する能力を有することができ、第1の焦点スポット402の幅408は2.5mmとすることができる。患者の特定の解剖学的構造を撮像するために、4.5mmのより大きい幅を有する焦点が所望され得る。4.5mmのより大きな幅を有する焦点スポットを生成するために、複合焦点スポット416を生成することができ、単一焦点スポット402を2つの焦点スポット、すなわち第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406に分割することができる。一実施形態では、第1の焦点スポット404の幅410は、単一焦点スポット402の幅408の80%に対応する2.0mmであり、第3の焦点スポット404の幅412は、単一焦点スポット402の幅408の20%に対応する0.5mmである。単一焦点スポット402の幅408(2.5mm)は第1の焦点スポット404の幅410(2.0mm)と第2の焦点スポット406の幅412(0.5mm)の合計であってもよい。第1の焦点404は、次いで、複合焦点スポット416の幅422が幅420(2.5mm)よりも大きい4.5mmの所望の幅であるように、2.25mm(例えば、幅414)だけ第2の焦点406から分離され得る。
【0063】
複合焦点スポット416は、様々な方法で生成され得る。いくつかの実施形態では、複合焦点スポット416は、1つ以上のエミッタ(例えば、1つ以上のエミッタ308は)の活性化並びに静電場及び/又は磁場の生成を制御することによって生成され得る。例えば、1つ以上のエミッタのうちの単一のエミッタは第1の焦点スポット404を生成するために第1のより低い電力で起動されてよく、単一のエミッタは第2の焦点スポット406を生成するために第2より高い電力で起動されてよい。単一のエミッタがより低い第1の電力で起動されると、1つ以上の集束電極に送達されるエネルギー量及び1つ以上の磁石に送達されるエネルギー量(例えば、電流)は、電子ビームを第1の焦点404でターゲット上に集束させるように制御され得る。第2のより高い電力で単一のエミッタが作動されると、1つ以上の集束電極に送達されるエネルギー量及び1つ以上の磁石に送達されるエネルギー量は、電子ビームを第2の焦点スポット406でターゲット上に集束させるように制御され得る。2つ以上の焦点を生成するためにカソードのエミッタを活性化する方法が図9に記載される。
【0064】
あるいは、様々な実施形態では、複数の異なるエミッタを用いて第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406を生成してもよい。例えば、第1の電子ビーム(例えば、電子ビーム325)が第1のエミッタ(例えば図3Aのエミッタ308のうちの1つ又は複数のエミッタ)によって生成されてよく、第2の電子ビーム(例えば、電子ビーム326)が第2のエミッタによって生成されてよい。第1のエミッタは第1の焦点スポット404を生成することができ、第2の電子ビームは第2の焦点スポット406を生成することができる。いくつかの実施形態では、第1のエミッタ及び第2のエミッタは、第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406がターゲット(例えば、ターゲット304)上に同時に生成されるように、同時に作動するように構成され得る。例えば、第1のエミッタ及び第2のエミッタは第1の距離だけ離れてもよく、1つ以上の電場及び1つ以上の磁場は第2の距離だけ離れた第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406を生成してもよく、第2の距離は第1の距離に基づく。
【0065】
エミッタ(例えば、第1のエミッタ及び/又は第2のエミッタ)は、コイル直径を有するフィラメントを含むことができる。エミッタによって生成される電力量は、コイル直径に依存し得る。例えば、コイル直径がより大きい場合、より大量の電力(例えば、より多数の電子)がエミッタによって生成され得る。コイル直径がより小さい場合、より少ない電力がエミッタによって生成され得る。加えて、焦点(例えば、第1の焦点スポット404及び/又は第2の焦点スポット406)の形状は、エミッタの形状に基づき得る。例えば、エミッタは平坦であってもよく、第1の電子分布を生成してもよく、又はエミッタは湾曲してもよく、第2の異なる電子分布を生成してもよい。異なるエミッタ形状の結果、焦点スポットの形状は異なり得る。
【0066】
コイル直径に関して上述したように、平坦なエミッタ(flat emitter)は、より大量の電力(例えば、より多数の電子)を生成し、より大きな(例えば、より広い)焦点を生成する大きな放射領域、又はより少量の電力(例えば、より少ない数の電子)を生成し、より小さな(例えば、より狭い)焦点スポットを形成し得る。
【0067】
第1のエミッタ及び第2のエミッタは、交互に作動して第1の焦点404及び第2の焦点406を生成することができる。言い換えれば、第1の電子ビームは第1の持続時間の間ターゲットに集束され、第2の電子ビームは第2の持続時間の間ターゲットに集束される。1つ以上の電場及び1つ以上の磁場は第1の焦点スポット404を生成するために第1の持続時間の間第1の構成で構成され、そして1つ以上の電場及び1つ以上の磁場は第2の焦点スポット406を生成するために第2の持続時間の間、第2の構成で構成される。第1の構成から第2の構成に切り替わるのにかかる時間量に起因して、複合焦点スポット416が第1の持続時間中の第1の焦点スポット404と第2の持続時間中の第2の焦点スポット406との交替によって生成されるとき、複合焦点スポット416は、CTシステムによって生成される2つの異なるビューの間に生成され得る。例えば、第1の焦点スポット404はCTシステムの第1のビュー中に生成され、そして第2の焦点スポット406はCTシステムの第2ビュー中に生成される。第1のエミッタ及び第2のエミッタを同時に作動させる利点は、焦点スポットパワーが目標制限(target-limited:ターゲット制限)される場合に、複合焦点スポット416がより高い平均パワーを有することができることである。
【0068】
いくつかのタイプの解剖学的特徴及び/又は臨床タスクでは、ビュー内の複合焦点が好ましい場合がある。他のタイプの解剖学的特徴及び/又は臨床タスクの場合、2つ以上のビューにわたる複合焦点が好ましい場合がある。例えば、第1の複合焦点スポットは第1のビュー内にあってもよく、第1のビューは第1のノイズ分布を有する。第2のビューと第3のビューの間に生成される第2の複合焦点は、第2のビューが第2のノイズ分布を有し、第3のビューが第3のノイズ分布を有する。第1のノイズ分布が臨床医によって好まれる場合、CTシステムは、投影データを取得するように構成することができ、投影データの各ビューは、ビュー内に複合焦点を含む。あるいは、第2及び/又は第3のノイズ分布が臨床医によって好まれる場合、CTシステムは、複合焦点が投影データの交互ビューにわたって生成される投影データを取得するように構成され得る。
【0069】
さらに、追加のエミッタを使用して、追加の焦点スポット成分を含む複合焦点スポットを生成することができる。図1において、以下のことが理解されるべきである。図4の複合焦点スポット416は、(例えば、第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406)2つの焦点スポット構成要素を含み、他の実施形態では、追加の焦点スポット構成要素が含まれてもよい。例えば、複合焦点スポット416は第1の焦点スポット404、第2の焦点スポット406及び第3の焦点スポットを含むことができ、第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406は空間415によって分離され、そして第2の焦点4スポット06及び第3の焦点スポットは第2の空間によって分離される。第3の焦点スポットは、316上の集束電圧及び324上の集束電流の第3のセットによって生成され得る。さらに他の実施形態では、10個のエミッタ、又は20個のエミッタなど、より多数のエミッタを使用することができ、又は熱電子エミッタアレイを使用することができ、第1のエミッタセットを起動して第1の焦点スポットを生成することができ、第2のエミッタセットを起動して第2の焦点を生成することができ、第3のエミッタセットを起動して第3の焦点スポットを生成することなどができる。
【0070】
これにより、第1の焦点スポット404の大きさ及び形状を所望の大きさ及び形状に調整することができ、第2の焦点スポット406の大きさ及び形状を所望の大きさ及び形状に調整することができる。加えて、複合焦点スポット416の形状は、複合焦点スポット416の分布とは無関係に構成され得る。換言すれば、第1の焦点スポット404の幅410は、CTシステムの静電及び/又は磁気制御の第1の構成に基づいて調整することができ、第2の焦点スポット406の幅412は、CTシステムの静電及び/又は磁気制御の第2の構成に基づいて調整することができ、空間415の幅414は、CTシステムの静電及び/又は磁気制御の第3の構成に基づいて調整することができる。
【0071】
単一焦点スポット402に関して、電子ビームをターゲットに集束させることによって生成されるX線のパワーの量及びX線の空間分解能は、単一焦点スポット402のサイズに依存し得る。例えば、単一焦点スポット402のサイズが減少するにつれて、X線のパワーは減少し、X線の空間分解能は増加する。単一焦点スポット402のサイズが増加するにつれて、X線のパワーは増加し、X線の空間分解能は減少し得る。したがって、単一焦点スポット402のサイズは、空間分解能に対する要求及び/又は電力に対する要求に応じて調整され得る。
【0072】
例えば、第1のタイプの解剖学的特徴及び/又は臨床タスクは、より高い空間分解能を必要とする場合があり、それにより、単一焦点スポット402のサイズは、より小さいサイズに調整され得る。第2のタイプの解剖学的特徴及び/又は臨床タスクは、より低い空間分解能を必要とし、それにより、単一焦点スポット402のサイズは、より大きなサイズに調整され得る。単一焦点スポット402のサイズをより大きいサイズに調整することによって、スキャンされた対象物のより大きい領域(例えば、解剖学的構造などの物体328)が、CTシステムによって生成されたスキャンされた対象物のビューにおいて、より低い空間分解能で、焦点が合って見えることがある。単一焦点スポット402のサイズをより小さいサイズに調整することによって、スキャンされた物体のより小さい領域が、より高い空間分解能で焦点が合って見えることがある。
【0073】
したがって、複合焦点スポット416を参照すると、(例えば、第2の焦点スポット406に関して)第1の焦点スポット404のより大きい幅410は、スキャンされた物体のより大きい焦点領域に対応することができ、一方、第2の焦点スポット406のより小さい幅412は、スキャンされた物体のより小さい高空間分解能領域に対応することができる。単一焦点スポット402ではなく複合焦点スポット416を生成することによって、単一焦点スポット402と比較して複合焦点スポット416の幅422の全体的なサイズがより大きいことに起因して、焦点が合っているように見えるスキャンされた物体の面積が増加し得る。焦点が合っているように見えるスキャンされた物体の領域の第1の部分は、より大きな第1の焦点スポット404に対応する高いX線束(例えば、大きな物体間の小さなコントラスト差をより容易に区別することを可能にする)で示されてもよい。スキャンされた物体の領域の第2部分は、より小さい第2の焦点スポット406に対応する高い空間分解能(例えば、大きなコントラスト差を有する特徴は、容易に区別され、分解され得る)で示されてもよい。したがって、単一焦点スポット402とは対照的に、複合焦点スポット416を生成する利点は、スキャンされる物体のより大きい領域が焦点を合わせられ得る一方で、より大きい領域の一部分内で高い空間分解能を依然としてサポートすることである。換言すれば、画像は、画像の取得の異なる部分を通して低コントラスト及び高解像度の両方のバランスをとる及び/又は最適化するために、大きい焦点スポットで生成された投影データと小さい焦点スポットで生成された投影データとの組み合わせから生成され得る。いくつかの実施形態では、複合焦点スポットの構成は、患者の解剖学的構造の事前測定値に基づいてもよい。
【0074】
図5A~5D、図6A~6C、及び図7A~7Eは、CTシステムのターゲットと衝突する電子の様々な例示的な分布を示し、電子は、電子ビーム内のCTシステムのカソードの1つ又は複数のエミッタによって生成される。電子ビームは、CTシステムの電場及び/又は磁場を使用して集束させることができ、その結果、電子は、分布を有する複合焦点スポットでターゲットに衝突する。複合焦点スポットは、2以上の成分焦点スポットを含むことができ、2以上の成分焦点スポットの各成分焦点スポットでターゲットに衝突する電子は、電子分布を有し、複合焦点スポットの電子分布は、成分焦点スポットの電子分布の組み合わせである。図5A~5D、図6A~6C、及び図7A~7Eは、図1のCTシステム100及び/又は図2の撮像システム200を参照して説明することができる。したがって、電子ビームは、図3AのX線管300内で生成された電子ビーム325及び326と同一又は類似であってもよく、複合焦点は、複合焦点416の非限定的な実施形態であってもよい。同じX軸501を共有するX次元の二次元プロットとして示されている。図5A~5Dの電子分布はX次元の2次元プロットとして示されているが、電子分布はターゲットのY次元にプロットすることもでき、電子分布の幅はY軸に沿った距離に対応することを理解されたい。
【0075】
第1の例示的な電子分布グラフ500は、ターゲットに衝突する2つの電子ビームの電子の第1の複合分布を示し、第1の複合分布は複合焦点(例えば、複合焦点スポット416)に対応する。図4を参照して上述したように、複合焦点スポットは2成分焦点スポットを含むことができる。第1の線504は第1の電子分布を示し、二成分焦点(two component focal spots、例えば図4の第1の焦点スポット404は)のうち第1の焦点に対応し、ここで第1の焦点は第1の電子ビーム(例えば、第2の電子ビーム325)により生成される。第2の線506は第2の電子分布を示し、二成分焦点の第2の焦点(例えば、第2の焦点スポット406は)に対応し、第2の焦点は第2の電子ビーム(例えば、第2の電子ビーム326)によって生成される。線502、504及び506は、ミリメートル(mm)でマークされたX軸501を共有し、X軸501上のゼロは、X次元におけるターゲット上の中心基準点を示す。
【0076】
線504によって示される第1の電子分布の中心は、点線508によって示される第1の焦点の中心に対応し得る。線506によって示される第2の電子分布の中心は、点線510によって示される第2の焦点の中心に対応し得る。第1の電子分布の中心は第2の電子分布の中心から距離512だけ離れてもよい。図5Aでは、第1の電子分布の中心はX軸501上で0mmに位置し、第2の電子分布の中心はX軸501上で1mmに位置し、距離512は1mmに等しい。
【0077】
図5Aでは、第1の電子分布は、距離512だけオフセットされていることを除けば、実質的に第2の電子分布と同様である。その結果、第1の焦点の大きさ及び形状は、第2の焦点の大きさ及び形状と同一であってもよい(例えば図4の第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406とは異なる)。第1の電子分布は、第1の電子ビームを第1の距離だけ偏向した結果であり、第2の電子分布は、第2の電子ビームを第2の距離だけ偏向した結果であり、距離512は、第1の距離と第2の距離との差分であってもよい。例えば、第1距離は0であり、第2の距離は1であってもよい。
【0078】
第1の例示的な電子分布グラフ500は、第1の複合有効焦点を示す破線502を含み、第1の複合有効焦点は、患者などの被検体上の(ターゲットに衝突する第1の電子ビーム及び第2の電子ビームによって生成される)X線の電子の分布に対応する。第1の複合有効焦点は、第1の焦点及び第2の焦点を含むターゲット上の第1の複合焦点によって生成され得る。第1の複合焦点は、複合分布502と交差する線514上の線516によって示されてもよい。線516は、図4に図示される「半値全幅:full width half max」強度を表し得る。
【0079】
線502によって示される第1の複合有効焦点の形状は、第1の電子ビームが第1の位置においてターゲット上に集束される(それにより、線504によって示される第1の電子分布を生成する)第1の位置及び滞留時間、第2の電子ビームが第2位置においてターゲット上に集束される(それにより、線506によって示される第2の電子分布を生成する)第2の位置及び滞留時間、ならびに第1の電子ビーム及び第2の電子ビームを生成する間の遷移時間に基づいて調整され得る。例えば、図5Aにおいて、線502によって示される第1の複合有効焦点は、位置間の有限遷移時間(finite transition time)を有する第2の滞留時間に等しい第1の滞留時間の結果であってもよい。
【0080】
図5Bにおいて、第2の例示的な電子分布グラフ530は、図5Aの2つの電子ビームの電子の第2の合成分布を示し、第2の複合分布は、図5Aの第1の電子分布及び位置(線504によって示される)並びに第2の電子分布及び位置(線506によって示される)にも基づいている。図5Bは、図5Aと同じX軸501を共有している。図5Bにおいて、線532によって示される第2の複合有効焦点スポットは、遷移時間が図5Aの遷移時間と同様であるが、第1の滞留時間が第2の滞留時間より大きくてもよい第1の滞留時間が第2の滞留時間より大きい結果、線532によって示される第2の複合有効焦点スポットは第2の電子分布より第1の電子分布に密着して配置される。したがって、第2の電子分布の滞留時間に対して第1の電子分布の滞留時間を増加させることによって、第2の複合有効焦点スポットは、X軸501上で負の方向(例えば、左方向)にシフトされ得る。
【0081】
図5Cにおいて、第3の例示的な電子分布グラフ550は、図5Aおよび5Bの2つの電子ビームの電子の第3の合成分布を示し、第3の合成分布は、図5Aおよび5Bの第1の電子分布および位置(線504で示す)ならびに第2の電子分布および位置(線506で示す)にも基づいている。図5Cは、図5Aおよび図5Bと同じX軸501を共有している。図5Cにおいて、線552によって示される第3の複合有効焦点は、遷移中に電子が放出されないように遷移がブランキングされること以外は図5Aと同じ等しい滞留時間の結果であり得る。2つの位置の間でターゲットに衝突する電子が少なくなり、したがって、ビームを効果的に広げる複合ビームの中心におけるピーク強度が減少するので、線552によって示される第3の複合有効焦点のサイズは図5Aの第1の複合有効焦点よりも大きくてもよい。
【0082】
図5Dにおいて、第4の例示的な電子分布グラフ580は、図5A、5B、および5Cの2つの電子ビームの電子の第4の複合分布を示し、第4の複合分布は、図5A、5B、および5Cの第1の電子分布(線504で示される)および第2の電子分布(線506で示される)にも基づいている。図5Dは、図5A図5B、および図5Cと同じX軸501を共有する。図5Dにおいて、線582によって示される第4の複合有効焦点スポットは、図5Bのように第1の電子分布の第1の滞留時間が第2の電子分布の第2の滞留時間よりも大きく、図5Cのように第1の電子分布と第2の電子分布との間で遷移が空白となる場合の結果であってもよい。第4の複合有効焦点スポットは、線504で示される第1の電子分布に偏りながらも、X軸501に沿った線506で示される第2の電子分布の全範囲をカバーする電子分布を有することができる。
【0083】
図5A~5Cは、同じ形状の第1の電子分布及び第2の電子分布からなる複合有効焦点スポットの電子の様々な例示的な分布を示し、第1の電子分布及び第2の電子分布は、X軸501上の異なる位置に中心が置かれているのに対し、図6A~6Cは、第1の電子分布と第2の電子分布とが、X軸501上の同じ位置0に中心が置かれているものの、異なる形状及び/又は大きさを持つ複合有効焦点スポットの電子の様々な例示的な分布を示す。
【0084】
ここで図6Aを参照すると、第1の例示的な電子分布グラフ600は、ターゲットに衝突する2つの電子ビームの電子の第1の複合分布を示し、第1の複合分布は、複合焦点スポットに対応する。複合焦点スポットは、図4を参照して上述したように、2つのコンポーネント焦点スポットから構成され得る。第1の線604は、2つのコンポーネント焦点スポットの第1の焦点スポット(例えば、図4の第1の焦点スポット404)に対応する第1の電子分布を示し、第1の焦点スポットは、第1の電子ビーム(例えば、第2の電子ビーム325)により生成される。第2の線606は、二成分焦点スポットの第2の焦点スポット(例えば、図4の第2の焦点スポット406)に対応する第2の電子分布を示し、第2の焦点スポットは、第2の電子ビーム(例えば、第2の電子ビーム326)により生成される。
【0085】
図6Aにおいて、第1の電子分布604は、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に従って第1の電子ビームを集束させた結果であり、第2の電子分布606は、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御の第2の構成に従って第2の電子ビームを集束させた結果である。例えば、静電及び/又は電磁制御装置の第1の構成は、広い電子分布を生成することができ、静電及び/又は電磁制御装置の第2の構成は、狭い電子分布を生成することができる。
【0086】
第1の例示的な電子分布グラフ600は、第1の複合有効焦点を示す破線602を含み、第1の複合有効焦点は、患者などの被検体上の(ターゲットに衝突する第1の電子ビーム及び第2の電子ビームによって生成される)X線の電子の分布に対応する。第1の複合有効焦点は、第1の焦点及び第2の焦点を含むターゲット上の第1の複合焦点によって生成され得る。図6Aにおいて、第1の複合焦点は、複合分布602と交差する線614によって示されてもよい(線616によって示される)。第1の焦点及び第2の焦点は両方とも、X軸501の同じ点0を中心としてよい。線616によって示される第1の焦点は大きい(例えば、X次元で広い)焦点であってもよく、線618によって示される第2の焦点は小さい(例えば、X次元が狭い)焦点であってもよい。したがって、第1の焦点スポットは、X線によって生成された画像のより大きな焦点領域に対応してもよく、第2の焦点スポットは、より大きな領域内の(例えば、の中心にある)より小さな領域に対応してもよく、より小さな領域は、より大きな領域よりも高い空間分解能を有してもよい。
【0087】
線602によって示される第1の複合有効焦点の形状は、第1の電子ビームがターゲット上に集束される(それにより、線604によって示される第1の電子分布を生成する)第1の滞留時間、第2の電子ビームがターゲット上に集束される(それにより、線606によって示される第2の電子分布を生成する)第2の滞留時間、及び第1の電子ビームと第2の電子ビームを生成する間の遷移時間に基づいて調整され得る。例えば、図6Aにおいて線602によって示される第1の複合有効焦点は第1の滞留時間が第2の滞留時間に等しい結果であってもよく、第1の複合有効焦点の電子分布は第1の電子分布と第2の電子分布の間に中心がある。
【0088】
図6Bにおいて第2の例示的な電子分布グラフ630は、図6Aの2つの電子ビームの電子の第2の複合分布を示し、第2の複合分布は、図6Aの第1の電子分布(線604で示す)及び第2の電子分布(線606で示す)にも基づいている。図6Bは、図6Aと同じX軸501を共有している。図6Bにおいて、線632によって示される第2の複合有効焦点スポットは、第2の滞留時間が第1の滞留時間よりも大差で大きいことの結果であると考えられる。第2の滞留時間が第1の滞留時間よりも大きい結果、線632で示される第2の複合有効焦点位置は、第1の電子分布よりも第2の電子分布に近接する。
【0089】
図6Cにおいて、第3の例示的な電子分布グラフ650は、図6A及び6Bの2つの電子ビームの電子の第3の複合分布を示し、第3の複合分布は、図6Aの第1の電子分布(線604で示す)及び第2の電子分布(線606で示す)にも基づいている。図6Cは、図6Aおよび図6Bと同じX軸501を共有している。図6Cにおいて、線652によって示される第3の複合有効焦点スポットは、遷移時間中にビームをブランキングし、図6Bのように第2の滞留時間が第1の滞留時間より大きいことの結果であると考えられる。このように、より広い焦点スポットからより小さい焦点スポットへの移行中に電子を減らすことと、第1の電子分布の滞留時間に対して第2の電子分布の滞留時間を増やすことの両方によって、第2の複合有効焦点スポットの形状は、第2の電子分布の形状により密接に一致するように調整され得る。
【0090】
図7A~7Dは、第1の電子分布704及び第2の電子分布706からなる複合有効焦点スポットの電子の種々の例示的な分布を示す。第1の電子分布704は、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に従って第1の電子ビームを集束させた結果であってもよく、第2の電子分布706は、上述したように、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御の第2の構成に従って第2の電子ビームを集束させた結果であってもよい。図7A~7Dにおいて、第1の電子分布及び第2の電子分布は、X軸501上の異なる位置に集束し(図5A~5Dのように)、さらに異なる形状及び/又はサイズを有する(図6A~6Cのように)。第1の電子分布及び第2の電子分布がX軸501上の異なる位置に集束し、異なる形状及び/又はサイズを有する結果として、図7A~7Dに描かれる複合有効焦点スポットは、第1の電子分布によって生成されるより大きい(例えば、より広い)第1の焦点スポット、及び第2の電子分布によって生成されるより小さい(例えば、より狭い)第2の焦点スポットに基づいており、第2の焦点スポットはX次元(X dimension)において第1の焦点スポットからオフセットされている。したがって、第1の焦点スポットおよび第2の焦点スポットは、図4の第1の焦点スポット404および第2の焦点スポット406と同様であってよい。さらに、第1の焦点スポットは、間隔(例えば、図4の空間415)により第2の焦点スポットから分離されてもよい。
【0091】
ここで図7Aを参照すると、第1の線704は、第1の電子分布を示し、第1の焦点スポットに対応する。第2の線706は、第2の焦点スポットに対応する、第2の電子分布を示す。線704及び706はX軸501を共有しており、X軸501上の0(ゼロ)はX次元におけるターゲット上の中心基準点を示している。
【0092】
第1の例示的な電子分布グラフ700は、第1の複合有効焦点スポットを示す破線702を含み、第1の複合有効焦点スポットは、患者などの対象上の(第1の電子ビーム及び第2の電子ビームがターゲットに衝突することによって生成される)X線の電子の分布に対応する。第1の複合有効焦点スポットは、第1の焦点スポットと第2の焦点スポットとからなるターゲット上の第1の複合焦点スポットによって生成されてもよい。第1の複合焦点スポットは、複合分布と交差する線714上に示されてもよく、第1の焦点スポットは線716によって示され、第2の焦点スポットは線718によって示される。線716及び718によって示される複合焦点スポットは、図4の複合焦点スポット416の間隔415と同様に、間隔720によって分離されてもよい。図7Aにおいて、線716によって示される第1の焦点スポットは、大きな(例えば、X次元において広い)焦点スポットであってもよく、線718によって示される第2の焦点スポットは、小さな(例えば、X次元において狭い)焦点スポットであってもよい。したがって、第1の焦点スポットは、X線によって生成された画像の焦点の大きな領域に対応し、第2の焦点スポットは、(大きな領域からX次元でオフセットされた)小さな領域に対応し、小さな領域は、大きな領域よりも高い空間分解能を有することができる。
【0093】
線702によって示される第1の複合有効焦点の形状は、第1の電子ビームがターゲット上に集束される(それにより、線704によって示される第1の電子分布を生成する)第1の滞留時間、第2の電子ビームがターゲット上に集束される(それにより、線706によって示される第2の電子分布を生成する)第2の滞留時間、及び第1の電子ビームと第2の電子ビームを生成する間の遷移時間に基づいて調整され得る。例えば、線702によって示される第1の複合有効焦点は、電子が第1の及び第2のスポットの間でターゲットに衝突する、等しい滞留時間及び有限の遷移期間の結果であり得る。
【0094】
図7Bにおいて、第2の例示的な電子分布グラフ730は、図7Aの2つの電子ビームの電子の第2の複合分布を示し、第2の複合分布は、図7Aの第1の電子分布(線704で示す)および第2の電子分布(線706で示す)にも基づいている。図7Bは、図7Aと同じX軸501を共有している。図7Bにおいて、線732によって示される第2の複合有効焦点スポットは、第2のスポットが第1のスポットよりも大きな滞留時間を有することの結果であると考えられる。これにより、より顕著でない第1のローブを有する複合焦点スポットが形成される。
【0095】
図7Cにおいて、第3の例示的な電子分布グラフ750は、図7Aおよび7Bの2つの電子ビームの電子の第3の複合分布を示し、第3の複合分布は、図7Aおよび7Bの第1の電子分布(線704で示す)および第2の電子分布(線706で示す)にも基づいている。図7Cは、図7Aおよび図7Bと同じX軸501を共有している。図7Cにおいて、線752で示される第3の複合有効焦点スポットは、図7Aのように均一な滞留時間が、移行中のビームのブランキングの結果である可能性がある。これにより、遷移中にX線が発生しない、第1及び第2に類似する複合焦点スポットが形成される。
【0096】
図7Dにおいて、第4の例示的な電子分布グラフ760は、図7A、7B、および7Cの2つの電子ビームの電子の第4の複合分布を示し、第4の複合分布は、図7A、7B、および7Cの第1の電子分布(線704で示す)および第2の電子分布(線706で示す)にも基づいている。図7Dは、図7A図7B、および図7Cと同じX軸501を共有する。図7Dにおいて、線762によって示される第4の複合有効焦点スポットは、図7Bのように第2の焦点スポットの滞留時間がその後第1よりも大きく、図7Cのように遷移が空白化した結果であると考えられる。これは、狭い部分に対してより広い部分を過小重み付けする複合焦点スポット(composite focal spot that underweights the wider portion relative to the narrow portion)をもたらす。
【0097】
ここで図7Eを参照すると、第5の例示的な電子分布グラフ770は、図7A、7B、7C、および7Dの2つの電子ビームの電子の第5の複合分布を示し、第5の複合分布は、線774によって示される第1の電子分布および線776によって示される第2の電子分布に基づく。図7Eにおいて、第1の電子分布は、第1の電子分布の第1の(例えば、左)エッジ786にある第1のサイドローブ778と、第1の電子分布の第2の(例えば、右)エッジ788にある第2のサイドローブ780とを含む。同様に、第2の電子分布は、第2の電子分布の第1の(例えば、左)エッジ790における、第1のサイドローブ782と、第2の電子分布の第2の(例えば、右)エッジ792における、第2のサイドローブ784と、を含む。第1の電子分布のサイドローブ778、780は、第1の電子ビームの電子のガウス分布を狭めて平行化する(narrow and parallelize a Gaussian distribution of electrons of the first electron beam)ために、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御を介して第1の電子ビームを集束した結果であってよい。第2の電子分布のサイドローブ782、784は、第2の電子ビームの電子のガウス分布を狭くし平行化する(narrow and parallelize a Gaussian distribution of electrons of the second electron beam)ために、静電制御及び/又は電磁制御を介して第2の電子ビームを集束させた結果である可能性がある。サイドローブの生成は、図8を参照してより詳細に説明される。
【0098】
図8を簡単に参照すると、サイドローブ図(side lobe diagram)800は、焦点のガウス電子分布802のプロットを示し、プロットのX軸は、X次元に沿ってターゲットに衝突する電子の分布(例えば、焦点スポットの幅に沿って)を示し、プロットのY軸は、X軸上の対応する点においてターゲットに衝突する電子の数(例えば、焦点スポットの強度)を示す。ガウス電子分布802は、静電制御及び/又は電磁制御を適用して電子ビームをターゲット(例えば、電子ビーム312及びターゲット304は)上に集束させた結果であり得る。静電制御及び/又は電磁制御は、1又は複数の電場及び/又は1又は複数の磁場を生成してもよい。1つ以上の電場及び/又は1つ以上の磁場は、矢印820によって示される第1の方向にガウス電子分布802の中心に向かって電子ビームの電子に第1の力を加え、矢印822によって示される第2の方向にガウス電子分布802の中心に向かって電子ビームの電子に第2力を加えてもよい。第1の力及び第2の力の結果、ガウス分布の第1のエッジ806及び第2のエッジ808上の電子は、ガウス分布の中心に向かって内側に向け直され得る(may be redirected inwards towards a center of the Gaussian distribution)。第1のエッジ806及び第2のエッジ808上の電子を中心に向かって内向きに方向転換することによって、ガウス分布の形状を変えることができ、それによってガウス分布802の側面を反転させることができ、平行線に近似する側面をもたらすことができる。
【0099】
電子が内側に向けられる結果、ガウス分布802の左側にある第1のサイドローブ810及びガウス分布802の右側にある第2のサイドローブ812によって示されるように、ガウス分布802の中心よりもガウス分布802の第1のエッジ832及び第2のエッジ834において、より多くの電子がターゲットと衝突し得る。第1のエッジ832及び第2のエッジ834でターゲットと衝突するより多数の電子によって複合焦点スポット836が生じ得る。
【0100】
ここで図7Eに戻ると、線772によって示される第5の複合有効焦点スポットは、線774によって示される第1の電子分布に基づく第1の焦点スポットと、線776によって示される第2の電子分布に基づく第2の焦点スポットとを含む複合焦点スポットから生成されてもよい。線772によって示される第5の複合有効焦点スポットは、図5A~5D、6A~6C、および7A~7Dで説明したように、滞留時間、遷移時間、および遷移ブランキングのいずれかを調整する結果であってよい。図5A~5D、6A~6C、および7A~7Dと同様に、線772によって示される第5の複合有効焦点スポットは、合成分布と交差する線794上の、線796によって示される第5の複合焦点スポットによって生成されてもよい。
【0101】
図9を参照すると、CTシステムのカソードのエミッタを交互に作動させることによって第1の焦点及び第2の焦点を含む複合焦点を用いて取得された投影データから画像を生成するための例示的な方法900が示されている。方法900は、カソードがX線管300のカソード302の非限定的な実施形態であり得る図1のCTシステム100及び/又は図2の撮像システム200を参照して説明される。カソードは、図3AのX線管300のカソード302の非限定的な実施形態であってもよい。方法900は、CTシステムのオペレータによって提供された命令及び/又はCTシステムのメモリに記憶された命令に応答して、CTシステムのコントローラのプロセッサ、例えば図3Aの制御電子モジュール322のプロセッサによって実行することができる。
【0102】
方法900は902で開始し、方法900は、図3Aの電子ビーム312を生成するためにCTシステムのカソードを作動させることを含む。電子ビームは、CTシステムのターゲット(例えば、ターゲット304)に向けられ、電子ビームの電子は、ターゲットと衝突して、物体(例えば、オブジェクト328)に向けられ得るX線を生成することができる。
【0103】
904において、方法900は、静電及び/又は電磁制御を使用して、ターゲット上の第1の焦点スポットに電子ビームを集束させることを含む。第1の焦点スポットは、例えば図4の第1の焦点スポット404と同一又は類似である。
【0104】
906において、電子ビームを第1の焦点に集束させることは、X線管の1つ以上の対応する引出電極及び集束電極(例えば、図3Aの1つ以上の集束電極316)に1つ以上の電圧を加えることを含む。様々な実施形態において、1つまたは複数の対応する集束電極の第1のセットは、電子ビームの第1の偏向を実行してもよく、1つまたは複数の対応する集束電極の第2のセットは、電子ビームの第1の集束を実行してもよい。
【0105】
電子ビームの第1偏向を実行することは、ある次元において電子ビームの位置をシフトすることを含み得る。たとえば、1つ又は複数の対応する集束電極の第1のセットに印加される電圧の第1の構成は、電子ビームをX次元(例えば、患者の左側又は右側に)にシフトさせる電場を生成することができ、1つ又は複数の対応する集束電極の第1のセットに印加される電圧の第2の構成は、電子ビームをZ次元に(例えば、患者の頭部方向又は足下方向に)シフトさせる電場(例えば、図3Aの1つ以上の電場320)を生成することができる。生成される電界の数は電圧を受ける集束電極の数に対応し得る。例えば、第1の構成は、第1の集束電極に電圧を印加し、第2の集束電極に電圧を印加しない構成であってもよい。第2の構成は、第2の集束電極に電圧を印加し、第1集束電極に電圧を印加しないことを含んでもよい。1つ以上の集束電極の集束電極を選択するために電圧を印加することによって、所望の数の電界を生成することができる。また、各電圧を調整することにより、所望の電界数の各電界の大きさを制御することができる。各電場は、電子ビームの電子に力を加え、電気ビームを形成する電子の位置を所望の方向にシフトさせることができる。したがって、電子ビームを偏向させることにより、電子ビームによって生成される焦点の位置を所望の位置に調整することができる。
【0106】
電子ビームの第1集束を実行することは、電子ビームによって生成される焦点スポットの形状を変更することを含み得る。例えば、1つ以上の対応する集束電極の第2のセットに印加される電圧の第1の構成は、電子ビームを集束して第1の形状の焦点スポットを生成する電界を生成することができ、1つ以上の対応する集束電極の第2のセットに印加される電圧の第2の構成は、電子ビームを集束して第2の形状の焦点スポットを生成する電界を生成することができる。例えば、第1の形状及び第2の形状は矩形形状であってもよく、第1の形状は第1より大きい幅を有し、第2の形状は第2より狭い幅を有する(例えば図4の第1の焦点スポット404及び第2の焦点スポット406を参照して上述したように)。1つ又は複数の対応する集束電極の第2のセットの集束電極を選択するために異なる電圧を印加することによって、電子ビームを所望の形状及び/又はサイズに集束させる所望の数の電界を生成することができる。
【0107】
908において、静電制御及び/又は電磁制御を使用して電子ビームを第1の焦点に集束させることは、電子ビームの第2の偏向を実行するためにX線管の1つ以上のそれぞれの双極子磁石(例えば、図3Aの1つ以上の磁石324は)に1つ以上の電流を印加することをさらに含む。様々な実施形態では、1つ以上の双極子磁石は、第1の偏向と同じ次元(same dimension)の力を生成するようにX線管内に配置され得る。より詳細には、1つ以上の電流が1つ以上のそれぞれの双極子磁石に印加されると、それぞれの数の磁場(例えば、図3Aの1つ以上の磁場323)がそれぞれ、電子ビームに力を発生させることができ、第1の偏向と同じ次元で電子ビームの偏向をさらに調整することができる。第2の偏向は、電場に対する磁場の強度がより大きいため、第1の偏向よりも大きく、かつ/又はより正確であり得る。換言すれば、集束電極によって実行される電子ビームの第1偏向は、所望の位置に第1の焦点スポットを偏向させるのに十分でない場合(例えば、X線管の長さに起因する)があり、それによって、双極子磁石によって実行される第2の追加の偏向は、所望の位置に第1の焦点スポットを偏向させるのに十分である場合がある。
【0108】
910において、静電制御及び/又は電磁制御を使用して電子ビームを第1の焦点スポットに集束させることは、電子ビームの第2集束を実行するために、X線管の1つ以上のそれぞれの四重極磁石(quadrupole magnets:例えば、図3Aの1つ以上の磁石324)に1つ以上の電流を印加することをさらに含む。1つ又は複数の電流が1つ又は複数のそれぞれの四重極磁石に印加されると、それぞれの数の磁場(例えば、図3Aの1つ以上の磁場323)がそれぞれ、2次元で電子ビームに力を発生させることができ、電子ビームを集束させることができる。第2の集束は、電場に対して四重極磁石によって生成される磁場の強度がより大きいため、第1の集束よりも大きく、かつ/又はより正確であり得る。換言すれば、集束電極によって実行される電子ビームの第1集束は、所望の形状及び/又はサイズに第1の焦点を集束させるのに十分でない場合があり(例えば、X線管の長さに起因する)、それによって、四重極磁石によって実行される第2の追加の集束は、所望の形状及び/又はサイズに第1の焦点を集束させるのに十分である場合がある。
【0109】
方法900のステップ906、908及び910は、同時に、又は上記で提示されたものとは異なる順序で適用され得ることを諒解されたい。
【0110】
912において、方法900は、第1の滞留時間を待つことを含む。第1の滞留時間は、集束電極によって生成される1つ又は複数の電場と、双極子磁石及び四重極磁石によって生成される1つ又は複数の磁場との組み合わせによって、所望の位置、形状、及びサイズで第1の焦点スポットを生成するために電子ビームが偏向され、集束される第1の期間である。
【0111】
914において、方法900は、静電及び/又は電磁制御を介して第2の焦点スポットに電子ビームを集束させることを含む。第2の焦点スポットは、例えば図4の第2の焦点スポット406と同一又は類似であってもよい。第2の焦点に電子ビームを再集束させることは、静電制御及び/又は電磁制御の構成を調整することを含み得る。例えば、第1の焦点スポットに電子ビームを集束させることは、静電及び/又は電磁制御を第1の構成に調整することを含み得る。第1の構成に静電制御及び/又は電磁制御を調整することは、集束電極に送達される第1の電力を調整すること、及び/又はX線管の1つ又は複数の双極子磁石及び1つ又は複数の四重極磁石に送達される第2の電力を調整することを含み得る。第1の電力は、第2の電力よりも大きくてもよく、第2の電力では、双極子磁石及び四重極磁石よりも大量のエネルギーが集束電極に送達され、又は第2の電力は、第1の電力よりも大きくてもよく、第2の電力では、双極子磁石及び四重極磁石に集束電極よりも大量のエネルギーが送達される。さらに、第2の電力は、いくつかの磁石又は1つ以上の磁石の極間で分割及び/又は平衡(バランス)され得る。例えば、第2の電力は、所望の強度及び/又は所望の方向を有する1つ又は複数の磁場を生成するために、四重極磁石の4極間に分配され得る。4極間の第2パワーの分布を調整することによって、電子は第1の焦点を生成するために偏向及び/又は集束され得る。
【0112】
第1の持続時間の終了後、静電制御及び/又は電磁制御は第1の構成から第2の構成に調整することができ、第2の構成は電子ビームを第2の焦点スポットに集束させる。第1の構成から第2の構成へ静電及び/又は電磁制御を調整することは、第2の電力と第1の電力のいずれか又は両方を調整すること、及び/又は1つ又は複数の双極子磁石及び/又は1つ又は複数の四重極磁石の磁石又は極間の第2の電力の分布(distribution:分配)を調整することを含み得る。
【0113】
916において、静電制御及び/又は電磁制御を介して第2の焦点スポットに電子ビームを再集束させることは、任意選択的に、電子ビームを第1の焦点スポットに集束させることと電子ビームを第2の焦点スポットに再集束させることの間の遷移中に電子ビームをブランキングすることを含み得る。様々な実施形態では、電子ビームをブランキングすることは、遷移中にカソードのエミッタをオフに切り替えることによって達成され得る。例えば、エミッタは第1の持続時間の間スイッチオンされてよく、第1の持続時間は第1の滞留時間である。第1の持続時間の終わりに、エミッタは、電子がターゲットに向けられない第2の持続時間の間オフに切り替えられ得る。第2の持続時間の終わりに、エミッタは第3の持続時間の間スイッチオンされてよく、第3の持続時間は第2の滞留時間である。
【0114】
918において、方法900は、電子ビームが第2の焦点スポットに集束される第2の滞留時間を待つことを含む。第2の滞留時間は第1の滞留時間と同じであってもよく、又は第2の滞留時間は第1の滞留時間と異なってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の滞留時間はより短い持続時間であってもよく、第2の滞留時間はより長い持続時間であってもよく、他の実施形態では、第1の滞留時間はより長い持続時間であってもよく、第2の滞留時間はより短い持続時間であってもよい。図5A図7Eを参照して上述したように、所望の形状、サイズ、及び位置の複合焦点を生成するように第1の滞留時間及び第2の滞留時間を制御することができる。
【0115】
920において、方法900は、複合焦点を使用して取得された投影データから画像を生成することを含み、方法900は終了する。
【0116】
したがって、第1の位置にある第1のサイズ及び形状の第1の焦点スポットと、第2の位置にある第2のサイズ及び形状の第2の焦点スポットとを含む複合焦点スポットを生成するための方法及びシステムが本明細書で提案され、ここで第2のサイズ、形状及び位置は第1のサイズ、形状及び位置とは異なり得る。複合焦点スポットを使用して生成された画像は、画像の一部が高い空間解像度である大きな焦点領域を含むことができ、それによって、より小さい焦点スポットを使用する利点と、より大きい焦点スポットを使用する利点とを組み合わせる。第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットのサイズ及び形状は、複合焦点スポットの所望のプロファイルに基づいて個別に構成され得る。複合焦点は、電子ビームを第1の焦点と第2の焦点とに交互に集束させることによって、又はCTシステムのカソードの複数のエミッタを同時に作動させることによって生成され得る。複合焦点スポットは、CTシステムによって取得されたビュー内に、又はCTシステムによって取得されたビュー間に生成され得る。複合焦点スポットを使用することによって、CTシステムによって生成された画像内の焦点領域の全体的なサイズを増大させることができ、より小さいコントラスト差を区別することができる焦点領域の第1部分と、より大きいコントラスト差を区別することができる焦点領域の第2部分とを用いて、より高品質の画像をもたらすことができる。本明細書に記載のシステム及び方法のさらなる利点は、複合焦点が、CTシステムのX線管の既存のハードウェア構成に依存しながら、ソフトウェアを使用して構成され得ることである。
【0117】
2つの成分焦点スポットから複合焦点スポットを作成する技術的効果は、複合焦点スポットを使用して生成される画像の品質が、単一焦点スポットを使用することに対して向上され得ることである。
【0118】
本開示はまた、コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法のためのサポートを提供し、この方法は、CTシステムのカソードによって生成された電子ビームをCTシステムのターゲットの表面上の複数の焦点スポットに集束させるようにCTシステムを制御するステップと、複数の焦点スポットから複合焦点スポットを生成するステップと、複合焦点スポットを用いてCTシステムの投影データを取得するステップとを含む。方法の第1実施例において、複数の焦点から複合焦点を生成することは、複数の焦点の各焦点の形状、複数の焦点の各焦点の位置、複数の焦点の各焦点の滞留時間、及び複数の焦点の各焦点間の遷移時間のうちの少なくとも1つに基づいて、複合焦点を生成することを更に含む。任意選択で第1実施例を含む方法の第2実施例において、複数の焦点のうちの焦点の数は2である。任意選択で第1及び第2の実施例の一方又は両方を含む、方法の第3実施例において、X次元における複合焦点スポットの幅はX次元に沿った複数の焦点スポットの第1の焦点スポットの幅及びX次元に沿った複数の焦点スポットの第2の焦点スポットの幅の合計よりも大きく、第1の焦点スポットの幅は第2の焦点スポットの幅よりも大きい。任意選択で第1から第3の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む第4の実施例において、2つの焦点に電子ビームを集束させるようにCTシステムを制御することは、第1の焦点に電子ビームを第1の滞留時間だけ集束させるようにCTシステムの制御を調整することと、第1の滞留時間の終了後に開始する第2の滞留時間だけ第2の焦点に電子ビームを集束させるようにCTシステムの制御を調整することと、第1の焦点に電子ビームを集束させることと第2の焦点に電子ビームを集束させることの間の遷移時間が閾値遷移時間を超えたことに応答して、第1の滞留時間と第2の滞留時間の間で電子ビームをオフに切り替えることと、をさらに含む。任意選択で第1から第4の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む、方法の第5実施例において、CTシステムの制御を調整することは、CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御のうちの少なくとも1つを調整することをさらに含み、静電制御を調整することは、CTシステムの1つ又は複数の電極において送達される1つ又は複数の電圧を調整することを含み、電磁制御を調整することは、CTシステムの1つ又は複数の磁石に送達される1つ又は複数の電流を調整することを含む。任意選択で第1から第5の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む方法の第6実施例において、複合焦点は、CTシステムの投影データのビュー内で生成される。任意選択で第1から第6の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む方法の第7実施例において、複合焦点スポットは、投影データのビュー間に生成される。任意選択で第1から第7の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む方法の第8実施例において、カソードは複数のエミッタを含み、それぞれの数のエミッタを作動させることによって複数の焦点が生成される。任意選択で第1から第8の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む、方法の第9実施例において、複数のエミッタは、第1のサイズの第1のフィラメントを有する第1のエミッタと、第2のサイズの第2のフィラメントを有する第2のエミッタとをさらに含み、第1の焦点スポットは第1のエミッタによって生成され、第2の焦点スポットは第2のエミッタによって生成される。任意選択で第1から第9の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む、方法の第10の実施例において、複合焦点スポットは、複合焦点スポットの第1のエッジにある第1の焦点スポットと、複合焦点スポットの第2のエッジにある第2の焦点スポットとを含み、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットは、電子ビームの電子の分布をほぼガウス電子分布からサイドローブを有する電子分布に調整するために電子ビームを集束させることによって生成される。
【0119】
本開示はまた、カソード及びターゲットを含むX線管と、実行されると、X線コントローラの静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に基づいて、カソードによって生成される第1の電子ビームをターゲット上の第1の焦点スポットに集束させ、X線コントローラの静電制御及び/又は電磁制御の第2の構成に基づいて、カソードによって生成される第2の電子ビームをターゲット上の第2の焦点スポットに集束させ、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットを含む複合焦点スポットに基づいて取得された投影データから物体の画像を取得させる、CTシステムの非一時的メモリに記憶された実行可能命令を有する1つ又は複数のプロセッサを含むX線コントローラとを備えるコンピュータ断層撮影(CT)システムのためのサポートを提供する。システムの第1実施例において、静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に基づいて第1の電子ビームを集束させることは、電圧の第1のセットをX線管の1以上のそれぞれの電極及び/又はX線管の1以上のそれぞれの双極子磁石及び/又はX線管の1以上のそれぞれの四重極磁石に送達することを更に含み、静電制御及び電磁制御の第2の構成に基づいて第2の電子ビームを集束させることは、電圧の第2のセットをX線管の1以上のそれぞれの電極及び/又はX線管の1以上のそれぞれの双極子磁石及び/又はX線管の1以上のそれぞれの四重極磁石に送達することを更に含む。任意選択で第1実施例を含むシステムの第2実施例において、第1の電子ビームは、カソードの1つ以上のエミッタの第1のセットによって生成され、1つ以上のエミッタの第1のセットは、第1の焦点スポットの第1のサイズ及び形状を生成し、第2の電子ビームは、カソードの1つ以上のエミッタの第2の異なるセットによって生成され、1つ以上のエミッタの第2の異なるセットは、第2の焦点スポットの第2のサイズ及び形状を生成し、第1のサイズ及び形状は、第2のサイズ及び形状とは異なる。第1及び第2の実施例の一方又は両方を任意選択的に含むシステムの第3実施例において、第1の電子ビームは、ターゲット上の第1所望位置に偏向され、かつ第1の持続時間にわたって集束され、第2の電子ビームは、ターゲット上の第2の所望位置に偏向され、かつ第2の持続時間にわたって集束され、第2の持続時間は、第1の持続時間の終了後に開始する。任意選択で第1から第3の実施例のうちの1つ又は複数又はそれぞれを含む、システムの第4実施例において、第1の電子ビーム及び第2の電子ビームは、単一電子ビームであり、第1の焦点スポットは、静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に基づいて、単一電子ビームの電子のガウス分布の第1のエッジにおける電子をガウス分布の中心に向けることによって生成され、第2の焦点スポットは、静電制御及び電磁制御の第2の構成に基づいて、単一電子ビームの電子のガウス分布の第2のエッジにおける電子をガウス分布の中心に向けることによって生成される。
【0120】
本開示はまた、コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法のためのサポートを提供し、この方法は、CTシステムのカソードによって生成される第1の電子ビームをCTシステムのターゲットの表面上の第1の焦点スポットに集束させることと、カソードによって生成される第2の電子ビームをターゲットの表面上の第2の焦点スポットに集束させることと、第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットを含むターゲット上の複合焦点スポットを生成することと、複合焦点スポットを使用して取得されたCTシステムの投影データから画像を生成することとを含み、画像は、複合焦点スポットに対応する焦点領域を含み、焦点領域は、大きい物体間の小さいコントラスト差がより良好に区別される、第1の焦点スポットに対応する大きいX線束領域と、小さい物体間の大きいコントラスト差がより良好に区別される、第2の焦点スポットに対応する小さい空間分解能領域とを含む。本方法の第1実施例において、複合焦点スポットを生成することは、第1の電子ビームの第1偏向及び第2の電子ビームの第2の偏向、第1の焦点スポットにおける第1の電子ビームの第1の滞留時間及び第2の焦点スポットにおける第2の電子ビームの第2の滞留時間、サイズ(寸法)における第1の焦点スポットの第1の幅及び第2の焦点スポットの第2の幅、第1の焦点スポットにおける第1の電子分布の第1の形状及び第2の焦点スポットにおける第2の電子分布の第2の形状、並びに第1の焦点スポットにおける第1の電子ビームの集束と第2の焦点スポットにおける第2の電子ビームの集束の間の遷移時間のうちの少なくとも1つに基づいて、複合焦点スポットを生成することを更に含む。任意選択で第1実施例を含む方法の第2実施例において、第1の電子ビームは、カソードの1つ以上のエミッタの第1のセットによって生成され、第2の電子ビームは、カソードの1つ以上のエミッタの第2のセットによって生成され、第1の電子ビームは、第2の電子ビームと同時に生成される。任意選択で第1及び第2の実施例の一方又は両方を含む、方法の第3実施例において、電子の第2ビームと同時に電子の第1ビームを生成することは、電子の第2ビームを開始する前に電子の第1ビームを開始すること、電子の第1ビームを開始する前に電子の第2ビームを開始すること、電子の第2ビームを終了する前に電子の第1ビームを終了すること、及び電子の第1ビームを終了する前に電子の第2ビームを終了することのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0121】
本開示の様々な実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」「an」及び「the」は、要素のうちの1つ又は複数が存在することを意味するものとする。「第1」、「第2」などの用語は、いかなる順序、量、又は重要性も示さず、ある要素を別の要素と区別するために使用される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものとする。本明細書で使用されるように、(例えば、材料、要素、構造、部材などである)という用語は、一方のオブジェクトが他方のオブジェクトに直接接続又は結合されるかどうか、又は一方のオブジェクトと他方のオブジェクトの間に介在する1つ又は複数のオブジェクトがあるかどうかにかかわらず、一方のオブジェクトが他方のオブジェクトに接続又は結合され得る。加えて、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではないことを理解されたい。
【0122】
任意の以前に示された修正に加えて、多数の他の変形及び代替の構成が、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者によって考案されてよく、添付の特許請求の範囲は、そのような修正及び構成を包含することが意図される。したがって、情報は、現在最も実用的で好ましい態様であると考えられるものに関連して具体性及び詳細を伴って上記で説明されているが、本明細書に記載される原理及び概念から逸脱することなく、形態、機能、動作の様式及び使用を含むがこれらに限定されない多数の修正が行われ得ることが当業者には明らかであろう。また、本明細書で使用される場合、実施例及び実施形態は、あらゆる点で、例示的なものにすぎず、いかなる方法でも限定するものと解釈されるべきではない。
[実施形態1]
コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法であって、
CTシステムのカソードによって生成された複数の電子のビームを前記CTシステムのターゲットの表面上の複数の焦点スポットに集束させるように前記CTシステムを制御するステップと、
前記複数の焦点スポットから複合焦点スポットを生成するステップと、
前記複合焦点で前記CTシステムの投影データを取得するステップと、
を含む方法。
[実施形態2]
前記複数の焦点スポットから前記複合焦点スポットを生成するステップは、
前記複数の焦点スポットの各焦点スポットのサイズ、
前記複数の焦点スポットの各焦点スポットの形状、
前記複数の焦点スポットの各焦点スポットの位置、
前記複数の焦点スポットの各焦点スポットの滞留時間、
前記複数の焦点スポットの各焦点スポット間の遷移時間、
のうちの少なくとも1つに基づいて前記複合焦点スポットを生成するステップを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
前記複数の焦点スポットは、X次元における第1の幅を有する第1の焦点スポットと、前記X次元における第2の幅を有する第2の焦点スポットとを含み、前記X次元における前記複合焦点スポットの幅は前記第1の幅及び前記第2の幅の合計よりも大きい、実施形態2に記載の方法。
[実施形態4]
前記X次元における前記第1の焦点スポットの位置は、前記X次元における前記第2の焦点スポットの位置とは異なる、実施形態3に記載の方法。
[実施形態5]
前記複数の焦点スポットに複数の電子のビームを集束させるように前記CTシステムを制御するステップは、前記CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御のうちの少なくとも1つを調整するステップをさらに備え、前記静電制御を調整することは、前記CTシステムの1つ又は複数の電極において送達される1つ又は複数の電圧を調整することを含み、前記電磁制御を調整することは、前記CTシステムの1つ又は複数の磁石に送達される1つ又は複数の電流を調整することを含む、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]
前記CTシステムの静電制御及び/又は電磁制御のうちの少なくとも1つを調整することはさらに、
第1の滞留時間の間、前記電子ビームを前記第1の焦点スポットに集束させるように前記CTシステムの制御を調整するステップと、
前記第1の滞留時間の終了後に開始する第2の滞留時間の間、電子ビームを第2の焦点スポットに集束させるように前記CTシステムの制御を調整するステップと、
前記第1の焦点スポットに前記電子ビームを集束させることと、前記第2の焦点スポットに前記電子ビームを集束させることとの遷移時間が閾値遷移時間を超えたことに応答して、前記第1の滞留時間と前記第2の滞留時間の間に前記電子ビームをオフに切り替えるステップをさらに含む、実施形態5に記載の方法。
[実施形態7]
前記複合焦点スポットは、前記CTシステムの前記投影データのビュー内で生成される、実施形態1乃至6のいずれかに記載の方法。
[実施形態8]
前記複合焦点スポットは、前記投影データの複数のビュー間に生成される、実施形態1乃至7のいずれかに記載の方法。
[実施形態9]
前記カソードが複数のエミッタを含み、複数の焦点スポットが、それぞれの数のエミッタを活性化することによって生成される、実施形態1乃至8のいずれかに記載の方法。
[実施形態10]
前記複数のエミッタは、さらに、第1の放出領域の第1フィラメントを有する第1のエミッタと、第2の放出領域の第2フィラメントを有する第2のエミッタとを含み、前記第1のエミッタによって第1の焦点スポットが生成され、前記第2のエミッタによって第2の焦点スポットが生成される、実施形態9に記載の方法。
[実施形態11]
前記複合焦点スポットは、前記複合焦点スポットの第1のエッジにある第1の焦点スポットと、前記複合焦点スポットの第2のエッジにある第2の焦点スポットとを含み、前記第1の焦点スポット及び前記第2の焦点スポットは、前記電子ビームの電子の分布を大凡のガウス電子分布からサイドローブを有する電子分布へ調整して前記電子ビームを集束させることによって生成される、実施形態2に記載の方法。
[実施形態12]
コンピュータ断層撮影(CT)システムであって、
カソード及びターゲットを含むX線管と、前記CTシステムの非一時的メモリに記憶された実行可能命令を有する1つ又は複数のプロセッサを含むX線コントローラとを備え、前記実行可能命令が実行されたとき、
前記X線コントローラの静電制御及び/又は電磁制御の第1の構成に基づいて、前記カソードによって生成される第1の電子ビームを前記ターゲット上の第1の焦点スポットに集束させるステップと、
前記X線コントローラの静電制御及び/又は電磁制御の第2の構成に基づいて、前記カソードによって生成される第2の電子ビームを前記ターゲット上の第2の焦点スポットに集束させるステップと、
前記第1の焦点スポット及び第2の焦点スポットを含む複合焦点スポットに基づいて取得された投影データから物体の画像を取得するステップと、
を前記1つ又は複数のプロセッサに行わせる、システム。
[実施形態13]
前記第1の構成の静電制御及び/又は電磁制御に基づいて前記第1の電子ビームを集束させることは、前記X線管の1つ以上のそれぞれの電極、及び/又は前記X線管の1つ以上のそれぞれの双極子磁石、及び/又は前記X線管の1つ以上のそれぞれの四重極磁石に電圧の第1のセットを供給するステップと、前記第2の構成の静電制御及び電磁制御に基づいて前記第2の電子ビームを集束させることは、前記X線管の1つ以上のそれぞれの電極、及び/又は前記X線管の1つ以上のそれぞれの双極子磁石、及び/又は前記X線管の1つ以上のそれぞれの四重極磁石に電圧の第2のセットを供給するステップと、を更に含む、実施形態12に記載のシステム。
[実施形態14]
前記第1の電子ビームは、前記カソードの1つ以上のエミッタの第1のセットによって生成され、前記1つ以上のエミッタの前記第1のセットは、前記第1の焦点スポットの第1のサイズ及び形状を生成し、前記第2の電子ビームは、前記カソードの1つ以上のエミッタの第2の異なるセットによって生成され、前記1つ以上のエミッタの前記第2の異なるセットは、前記第2の焦点スポットの第2のサイズ及び形状を生成し、前記第1のサイズ及び形状は、前記第2のサイズ及び形状とは異なる、実施形態12または13に記載のシステム。
[実施形態15]
前記第1の電子ビームは、前記ターゲット上の第1の所望位置に偏向され、かつ第1の持続時間にわたって集束され、前記第2の電子ビームは、前記ターゲット上の第2の所望位置に偏向され、かつ第2の持続時間にわたって集束され、前記第2の持続時間は、前記第1の持続時間の終了後に開始する、実施形態12乃至14のいずれかに記載のシステム。
[実施形態16]
前記第1の電子ビーム及び前記第2の電子ビームは単一の電子ビームであり、前記第1の焦点スポットは、前記静電制御及び/又は電磁制御の前記第1の構成に基づいて、前記単一の電子ビームの電子のガウス分布の第1のエッジにおける電子を前記ガウス分布の中心に向けることによって生成され、前記第2の焦点スポットは、前記静電制御及び電磁制御の前記第2の構成に基づいて、前記単一の電子ビームの電子のガウス分布の第2のエッジにおける電子を前記ガウス分布の中心に向けることによって生成される、実施形態12乃至15のいずれかに記載のシステム。
[実施形態17]
コンピュータ断層撮影(CT)システムのための方法であって、
前記CTシステムのカソードによって生成された電子の第1ビームを、前記CTシステムのターゲットの表面上の第1の焦点スポットに集束させるステップと、
前記カソードによって生成された電子の第2ビームを前記ターゲットの前記表面上の第2の焦点スポットに集束させるステップと、
前記第1の焦点スポット及び前記第2の焦点スポットを含む前記ターゲット上の複合焦点スポットを生成するステップと、
前記複合焦点スポットを用いて取得された前記CTシステムの投影データから画像を生成するステップと、
を含み、
前記画像は、前記複合焦点スポットに対応する焦点領域を含み、前記焦点領域は、前記第1の焦点スポットに対応する、大きな物体間の小さなコントラスト差がより良く区別される高いX線束のより大きな領域と、前記第2の焦点スポットに対応する、小さな物体間の大きなコントラスト差がより良く区別される高い空間分解能のより小さな領域とを含む、方法。
[実施形態18]
前記複合焦点スポットを生成することは、
前記第1の電子ビームの第1偏向及び前記第2の電子ビームの第2の偏向、
前記第1の焦点スポットにおける前記第1の電子ビームの第1の滞留時間及び前記第2の焦点スポットにおける前記第2の電子ビームの第2の滞留時間、
一次元における前記第1の焦点スポットの第1の幅及び前記第2の焦点スポットの第2の幅、
前記第1の焦点スポットにおける電子の第1分布の第1の形状及び前記第2の焦点スポットにおける電子の第2分布の第2の形状、
前記第1の電子ビームを前記第1の焦点スポットに集束させることと、前記第2の電子ビームを前記第2の焦点スポットに集束させることとの間の遷移時間、
のいずれか1つ以上により前記複合焦点スポットを生成することを更に含む、実施形態17に記載の方法。
[実施形態19]
前記第1の電子ビームは、前記カソードの1つ以上のエミッタの第1のセットによって生成され、前記第2の電子ビームは、前記カソードの1つ以上のエミッタの第2のセットによって生成され、前記第1の電子ビームは、前記第2の電子ビームと同時に生成される、実施形態17に記載の方法。
[実施形態20]
前記第2の電子ビームと同時に前記第1の電子ビームを生成するステップは、
前記第2の電子ビームを開始する前に、前記第1の電子ビームを開始するステップ、
前記第1の電子ビームを開始する前に、前記第2の電子ビームを開始するステップ、
前記第2の電子ビームを終了させる前に、前記第1の電子ビームを終了させるステップ、
前記第1の電子ビームを終了させる前に、前記第2の電子ビームを終了させるステップ、
以下の少なくとも1つを含む、実施形態19に記載の方法。
【符号の説明】
【0123】
100:CTシステム 102:ガントリ 104:X線源 106:X線放射ビーム 108:検出器アレイ 110:画像プロセッサユニット 112:対象 114:テーブル 200:撮像システム 202:検出器素子 204:対象 206:回転中心 208:制御機構 210:X線コントローラ 212:ガントリモータコントローラ 214:DAS 216:コンピューティングデバイス 218:大容量記憶装置 220:オペレータコンソール 224:PACS 226:テーブルモータコントローラ 230:画像再構成器 232:表示装置 300:X線管 302:カソード 303:アノード 304:ターゲット 306:管ケーシング 308:エミッタ 310:電圧源 312:電子ビーム 314:X線 316:集束電極 318:引出電極 320:電界 321:電場 322:制御電子モジュール 323:磁場 324:磁石 325:第1の電子ビーム 326:第2の電子ビーム 328:対象物 329:電子コレクタ 332:第1の焦点スポット 334:第2の焦点スポット 335:空間 336:第1の組のX線 337:X線窓 338:第2の組のX線 340:第1の有効焦点スポット 342:第2の有効焦点スポット 344:複合有効焦点スポット 348、349、352:座標軸 350:複合焦点スポット 400:電子分布図 402:単一焦点スポット 404:第1の焦点スポット 406:第2の焦点スポット 407:長さ/高さ 408、410、412、414:幅 415:空間 416:複合焦点スポット 418:長方形 420:幅 422:合計 500、530、550、580:電子分布グラフ 501:X軸 502、532、552、582:破線 504:第1の線 506:第2の線 508、510:点線 512:距離 514、516:線 600、630、650:電子分布グラフ 602、632、652:複合分布 604:第1の電子分布 606:第2の電子分布 614、616、618:線 700、730、750、760、770:電子分布グラフ 702、732、752、762、772:破線 704:第1の電子分布 706:第2の電子分布 714、716、718:線 720:間隔 776、794、796:線 782:第1のサイドローブ 784:第2のサイドローブ 786、788:エッジ 800:サイドローブ図 802:ガウス電子分布 806:第1のエッジ 808:第2のエッジ 810:第1のサイドローブ 812:第2のサイドローブ 820、822:矢印 832:第1のエッジ 834:第2のエッジ 836:複合焦点スポット 900:方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
【外国語明細書】