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特開2023-1559ドア用配線モジュール及びドア用面状部材
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  • 特開-ドア用配線モジュール及びドア用面状部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001559
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】ドア用配線モジュール及びドア用面状部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20221226BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221226BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20221226BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60R16/02 620C
H02G3/30
H02G3/04 037
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102364
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】當銘 祐太
(72)【発明者】
【氏名】水野 芳正
【テーマコード(参考)】
3D023
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3D023AC02
3D023BA08
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE03
3D023BE28
5G357DA02
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD06
5G357DD14
5G357DE03
5G363BA02
5G363DA11
5G363DC03
(57)【要約】
【課題】ドア用配線モジュール及びドア用面状部材の小型化を図ることを目的とする。
【解決手段】ドア用配線モジュール20は、車両の内側と外側とを仕切るようにドア10に組込まれるドア用面状部材22と、前記ドア用面状部材22に保持される配線部材40と、を備え、ドア用面状部材22が、車両の内側を向く内側面24と、車両の外側を向く外側面26とを有し、内側面24に配線溝25が形成され、配線部材40の少なくとも一部が配線溝25に収容されており、外側面26に水を誘導する誘導突部27が形成され、誘導突部27の少なくとも一部が、配線溝25の少なくとも一部に沿って形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内側と外側とを仕切るようにドアに組込まれるドア用面状部材と、
前記ドア用面状部材に保持される配線部材と、
を備え、
前記ドア用面状部材が、前記車両の内側を向く内側面と、前記車両の外側を向く外側面とを有し、
前記内側面に配線溝が形成され、
前記配線部材の少なくとも一部が前記配線溝に収容されており、
前記外側面に水を誘導する誘導突部が形成され、
前記誘導突部の少なくとも一部が、前記配線溝の少なくとも一部に沿って形成されている、ドア用配線モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のドア用配線モジュールであって、
前記配線溝は、底部と、前記底部の両側部から立上がる一対の側部とで囲まれる溝であり、
前記一対の側部と前記底部との少なくとも一部が前記外側面から突出して、前記誘導突部の少なくとも一部を形成している、ドア用配線モジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のドア用配線モジュールであって、
前記誘導突部は、前記車両の前後方向に対して傾斜する傾斜部を含む、ドア用配線モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のドア用配線モジュールであって、
前記傾斜部は、水を前記車両の前後方向において1つの箇所に誘導させるように傾斜している、ドア用配線モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドア用配線モジュールであって、
前記誘導突部は、車幅方向において水平方向に沿う水平誘導面を含む、ドア用配線モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のドア用配線モジュールであって、
前記誘導突部は、前記外側面から前記車両の外側に向うのにつれて上方に向う上傾斜誘導面を含む、ドア用配線モジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のドア用配線モジュールであって、
前記誘導突部は、前記外側面から前記車両の外側に向うのにつれて下方に向う下傾斜誘導面を含む、ドア用配線モジュール。
【請求項8】
車両の内側と外側とを仕切るようにドアに組込まれるドア用面状部材であって、
前記車両の内側を向く内側面と、前記車両の外側を向く外側面とを有し、
前記内側面に、配線部材の少なくとも一部を収容する配線溝が形成され、
前記外側面に水を誘導する誘導突部が形成され、
前記誘導突部の少なくとも一部が、前記配線溝の少なくとも一部に沿って形成されている、ドア用面状部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドア用配線モジュール及びドア用面状部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドアの金属製インナーパネルの開口を塞ぐように組込まれるドア用部品の一方主面に配線部材収容溝を形成し、配線部材の少なくとも一部を配線部材収容溝内に収容した配線部材一体型組込部品を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/187334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ドア用部品のうち車両の外側を向く面には、雨水等が浸入する可能性がある。そこで、ドア用部品のうち車両の外側を向く面に、水を誘導する凸部が形成されることが考えられる。
【0005】
しかしながら、ドア用部品に配線部材収容溝を形成すると共に、水を誘導するための凸部を形成した場合において、ドア用部品の小型化を図ることが要請される。
【0006】
そこで、本開示は、ドア用配線モジュール及びドア用面状部材の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のドア用配線モジュールは、車両の内側と外側とを仕切るようにドアに組込まれるドア用面状部材と、前記ドア用面状部材に保持される配線部材と、を備え、前記ドア用面状部材が、前記車両の内側を向く内側面と、前記車両の外側を向く外側面とを有し、前記内側面に配線溝が形成され、前記配線部材の少なくとも一部が前記配線溝に収容されており、前記外側面に水を誘導する誘導突部が形成され、前記誘導突部の少なくとも一部が、前記配線溝の少なくとも一部に沿って形成されている、ドア用配線モジュールである。
【0008】
また、本開示のドア用面状部材は、車両の内側と外側とを仕切るようにドアに組込まれるドア用面状部材であって、前記車両の内側を向く内側面と、前記車両の外側を向く外側面とを有し、前記内側面に、配線部材の少なくとも一部を収容する配線溝が形成され、前記外側面に水を誘導する誘導突部が形成され、前記誘導突部の少なくとも一部が、前記配線溝の少なくとも一部に沿って形成されている、ドア用面状部材である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ドア用配線モジュール及びドア用面状部材の小型化を図ることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は実施形態に係るドア用配線モジュールが組込まれたドアを示す概略側面図である。
図2図2図1のII-II線概略断面図である。
図3図3は実施形態に係るドア用配線モジュールが組込まれたドアを示す概略側面図である。
図4図4は第1変形例に係る誘導突部を示す側面図である。
図5図5は第2変形例に係る誘導突部を示す断面図である。
図6図6は第3変形例に係る誘導突部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0012】
本開示のドア用配線モジュールは、次の通りである。
【0013】
(1)車両の内側と外側とを仕切るようにドアに組込まれるドア用面状部材と、前記ドア用面状部材に保持される配線部材と、を備え、前記ドア用面状部材が、前記車両の内側を向く内側面と、前記車両の外側を向く外側面とを有し、前記内側面に配線溝が形成され、前記配線部材の少なくとも一部が前記配線溝に収容されており、前記外側面に水を誘導する誘導突部が形成され、前記誘導突部の少なくとも一部が、前記配線溝の少なくとも一部に沿って形成されている、ドア用配線モジュールである。
【0014】
このドア用配線モジュールによると、配線溝を形成することによってドア用面状部材が車両の外側に突出する形状部分が、車両の外側に突出する誘導突部として利用され得る。これにより、ドア用配線モジュールの小型化が図られる。
【0015】
(2)(1)のドア用配線モジュールであって、前記配線溝は、底部と、前記底部の両側部から立上がる一対の側部とで囲まれる溝であり、前記一対の側部と前記底部との少なくとも一部が前記外側面から突出して、前記誘導突部の少なくとも一部を形成していてもよい。この場合、配線溝を形成するための底部と一対の側部とが外側面から突出して誘導突部の少なくとも一部を形成するため、ドア用配線モジュールの小型化が図られる。
【0016】
(3)(1)又は(2)のドア用配線モジュールであって、前記誘導突部は、前記車両の前後方向に対して傾斜する傾斜部を含んでもよい。この場合、誘導突部によって、水を車両の前後方向に誘導することができる。
【0017】
(4)(3)のドア用配線モジュールであって、前記傾斜部は、水を前記車両の前後方向において1つの箇所に誘導させるように傾斜していてもよい。このように、水を1つの箇所に誘導させることによって、当該水を排出し易くなる。
【0018】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのドア用配線モジュールであって、前記誘導突部は、車幅方向において水平方向に沿う水平誘導面を含んでもよい。この場合、水平誘導面を容易に形成することができる。
【0019】
(6)(1)から(5)のいずれか1つのドア用配線モジュールであって、前記誘導突部は、前記外側面から前記車両の外側に向うのにつれて上方に向う上傾斜誘導面を含んでもよい。これにより、水が、車両の外側に向うよりも、車両の前又は後に誘導され易い。これにより、車両前後方向において所定位置に設けられた排出口に向けて、水を誘導し易い。
【0020】
(7)(1)から(6)のいずれか1つのドア用配線モジュールであって、前記誘導突部は、前記外側面から前記車両の外側に向うのにつれて下方に向う下傾斜誘導面を含んでもよい。これにより、水が、車両の外側に向うように誘導され易い。
【0021】
また、本開示のドア用面状部材は、次の通りである。
【0022】
(8)車両の内側と外側とを仕切るようにドアに組込まれるドア用面状部材であって、前記車両の内側を向く内側面と、前記車両の外側を向く外側面とを有し、前記内側面に、配線部材の少なくとも一部を収容する配線溝が形成され、前記外側面に水を誘導する誘導突部が形成され、前記誘導突部の少なくとも一部が、前記配線溝の少なくとも一部に沿って形成されている、ドア用面状部材である。
【0023】
このドア用面状部材によると、配線溝を形成することによってドア用面状部材が車両の外側に突出する形状部分が、車両の外側に突出する誘導突部として利用され得る。これにより、ドア用面状部材の小型化が図られる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のドア用配線モジュール及びドア用面状部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
[実施形態]
以下、実施形態に係るドア用配線モジュール及びドア用面状部材について説明する。図1及び図3はドア用配線モジュール20が組込まれたドア10を示す概略側面図である。図1は車両の内側から視たドア用配線モジュール20を示し、図3は車両の外側からいたドア用配線モジュール20を示している。図2図1のII-II線概略断面図である。
【0026】
ドア10は、全体として偏平な形状に形成されており、車両において車室内と車室外とを仕切るように開閉可能に設けられる部分である。ドア10は、運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席用ドアである場合等が想定される。ドア10は、ヒンジを中心に開くドアであってもよいし、スライド式ドアであってもよい。ドア10は、ドアパネル12と、ドア用配線モジュール20とを備える。
【0027】
ドアパネル12は、アウターパネル13と、インナーパネル14とを備える。アウターパネル13は、ドア10のうち車両外側に面する部分に設けられ、ボディと共に車両の外観を構成する部分である。インナーパネル14は、アウターパネル13の車室側に設けられている。アウターパネル13とインナーパネル14との間には、通常、ウインドウ18などを収納するための空間18Sが形成されている。当該空間18Sには、雨水環境に曝されるウインドウ18が収容され、また、当該空間18Sの上方には、ウインドウ18が出入りするスリット状の開口18aが形成されている。このため、当該空間18Sは、水が浸入する可能性がある空間である。インナーパネル14には、ドア10の製造時、メンテナンス時等に上記空間18Sにアクセスするための開口15が設けられている。この開口15は車両の通常使用時等には塞がれることが好ましい。そこで、当該開口15を閉じるようにドア用配線モジュール20が取付けられる。
【0028】
ドア用配線モジュール20は、ドア用面状部材22と、配線部材40とを備える。ドア用面状部材22は、上記開口15を閉じるように、ドア10に組込まれる。ドア用面状部材22がドア10に組込まれた状態で、ドア用面状部材22は、車両の内側と外側とを仕切ることができる。配線部材40はドア用面状部材22に保持されている。このため、ドア用面状部材22がドア10に組込まれることによって、配線部材40も併せてドア10に組み込まれる。
【0029】
本例では、ドア用面状部材22は、車両のドア10においてドアパネル12と意匠トリム11との間に組込まれる部材である。ドア用面状部材22は、車両のドア10においてドアパネル12と意匠トリム11との間に組込まれる部材であれば特に限定されるものではなく、種々の面状部材を用いることができる。以下では、ドア用面状部材22がインナートリムであるものとして説明する。
【0030】
なお、本例におけるドア10は、意匠トリム11をさらに備える。意匠トリム11は、ドア10のうち車室内側に面する部分に設けられ、車両の内観を構成する部分である。意匠トリムには例えば、ドアハンドル、車載機器のためのスイッチが取付けられてもよい。
【0031】
ドア用面状部材22は、上記開口15を閉じることができる程度の大きさの面状の部材に形成されている。例えば、ドア用面状部材22は、例えば樹脂又は金属を材料として金型成型された部材である。ドア用面状部材22は、金型内に溶融材料が流し込まれて成型されたものでもよいし、板材が金型を用いたプレス成型されたものであってもよい。なお、ここでいう面状の部材とは、厚み寸法が、面方向(厚み方向に直交する2方向)の寸法よりも小さい2次元的に広がる部材を言い、必ずしも両面が平坦である必要はなく、両面に凹凸が存在していてもよい。ドア用面状部材22は、開口15よりも大きな板状に形成される。ドア用面状部材22の外周縁部がインナーパネル14における開口15の周縁部に車室側から重なった状態で、インナーパネル14に取付けられる。インナーパネル14に対するドア用面状部材22の固定は、クリップ止、ねじ止、接着剤固定等により行われ得る。ドア用面状部材22の外周縁部と開口15との間に止水部材16が設けられてもよい。止水部材16は、例えば、ドア用面状部材22の外周縁部と開口15との間に圧縮状態で介在可能なゴム、独立発泡樹脂である。
【0032】
ドア用面状部材22は、内側面24と、外側面26とを有している。内側面24は、車両の内側を向く内側面である。外側面26は、内側面24とは反対側を向き、車両の外側を向く面である。
【0033】
内側面24に配線溝25が形成されている。配線溝25は、車両の外側に凹む溝である。配線溝25は、ドア用面状部材22に沿って保持される配線部材40の経路の少なくとも一部に沿うように形成されている。配線部材40の少なくとも一部が配線溝25に収容された状態で、配線部材40がドア用面状部材22の内側面24に沿って保持される。本実施形態では、内側面24の前部から後部に向うように、配線溝25が形成されている。
【0034】
外側面26に、水を誘導する誘導突部27が形成されている。誘導突部27は、外側面26において過半を占める部分よりも車両の外向けに突出している。このため、外側面26を伝う水が誘導突部27に達すると、誘導突部27に沿って流れるように案内される。
【0035】
誘導突部27の少なくとも一部は、配線溝25の少なくとも一部に沿って形成されている。ドア用面状部材22に対して直交する方向から見て、配線溝25と誘導突部27とが重複する部分では、配線溝25を形成することによって車両外向き突出する部分を利用して、誘導突部27が形成される。
【0036】
なお、上記したように、誘導突部27の少なくとも一部が、配線溝25の少なくとも一部に沿って形成されていればよい。このため、配線溝25が形成された部分においても、外側面26側において誘導突部が形成されていない場合があり得る。例えば、ドア用面状部材22の厚みの範囲内の深さで配線溝25が形成されていてもよい。また、配線溝25が形成されていない部分において、外側面26に誘導突部が形成されていてもよい。
【0037】
配線部材40は、ドア10に設けられ、当該ドア10に組込まれた電気部品51、52、53に接続される電気的な配線である。例えば、ドア10の配線部材40は、ドア10のヒンジ側で車両側の電気制御ユニット又は電源と接続されており、ドア10の前側から後側に向う際に分岐して各種電気部品51、52、53に接続される。ここでは、配線部材40は、複数の電線41を含む。電線41としては、導体で構成された芯線の周囲に被覆が形成された被覆電線を用いることができる。芯線は、単芯線であってもよいし、撚り合せ線であってもよい。電気部品51、52、53としては、ウインドウを開閉するモータ、ドア10をロック及びアンロックするためのアクチュエーター、各種スイッチであること等が想定される。
【0038】
複数の電線41は、それぞれの一端側では並列状態に集合されている。複数の電線41の一端部は、例えば、束ねられた状態でドア10のヒンジ側から当該ドア10から延出し、車両本体内に導かれることが想定される。複数の電線41は、ドア10の前部から後方に向う途中で、電気部品51、52、53に分岐するように配置される。ここでは、ドアパネル12の上部における前後方向中間部に電気部品51が配置され、ドアパネル12の後部における上下方向中間部に電気部品52が配置され、ドアパネル12の下部における前後方向中間部に電気部品53が配置される。複数の電線41は、ドア10の前部における上下方向中間部から後方に向う主経路P1に沿い、途中で、上方の電気部品51に向う経路P2、後方の電気部品52に向う経路P3、下方の電気部品53に向う経路P4に分岐される。電線41の一部は、主経路P1を通らなくてもよい。各経路P2、P3、P4に沿う電線41の端部には、コネクタ42が取付けられている。電線41は、当該コネクタ42を介して電気部品51、52、53に接続される。
【0039】
配線部材40のうち主経路P1の後部、経路P2、P3、P4に沿う部分が、ドア用面状部材22に保持される。より具体的には、配線部材40のうち主経路P1の後部、経路P3に沿う部分、即ち、前から後に向う部分が配線溝25内に収容されて保持されている。配線溝25内における電線41の配置は任意である。例えば、複数の電線41が並列状態に並べられた状態で、配線溝25内に配置されていてもよい。複数の電線41が円状又は楕円状に束ねられた状態で、配線溝25内に配置されていてもよい。
【0040】
配線溝25内において配線部材40を保持するための構成は任意である。例えば、配線溝25の車内内側開口を塞ぐように、内側面24のうち配線溝25の両外側に押え付け部材48を固定し、当該押え付け部材48によって配線部材40を配線溝25内に押え付けるようにしてもよい。押え付け部材は、柔軟なシート状の部材であってもよいし、曲げ困難な板状の部材であってもよい。押え付け部材は、配線溝25の長手方向の一部を塞いでもよいし、配線溝25の長手方向の全体を塞いでもよい。内側面24に対する押え付け部材48の固定は、例えば、超音波溶着、加熱溶着等の溶着、粘着、接着等によってなされ得る。また、例えば、配線部材40が、配線溝25内の面に対して、超音波溶着、加熱溶着等の溶着、粘着、接着等によって固定されてもよい。配線溝25を利用することによって、ドア用面状部材22にクリップ固定用の孔を設けなくても、配線部材40をドア用面状部材22にしっかりと保持することができる。
【0041】
配線部材40のうち経路P2に沿う部分は、配線溝25から上方に導かれる。配線部材40のうち経路P4に沿う部分は、配線溝25から下方に導かれる。配線部材40のうち経路P2、P4に沿う部分は、外側面26に保持されてもよいし、保持されていなくてもよい。例えば、配線部材40のうち経路P2、P4に沿う部分は、超音波溶着、加熱溶着等の溶着、粘着、接着等によって外側面26に固定されてもよい。また、例えば、ドア用面状部材22のうち経路P2、P4に沿う部分にも配線溝が形成され、当該配線溝に配線部材が保持されてもよい。
【0042】
本ドア用配線モジュール20がインナーパネル14における開口15を塞ぐようにインナーパネル14に取付けられると、配線部材40がドアパネル12に対して保持される。この状態で、コネクタ42が対応する電気部品51、52、53にコネクタ接続される。また、ドア用面状部材22によって開口15が塞がれ、空間18Sから車両の内側への水の浸入が抑制される。
【0043】
配線溝25と誘導突部27とについてより具体的に説明する。
【0044】
配線溝25は、底部25aと、一対の側部25bとで囲まれる溝である。ドア用面状部材22に直交する方向から見て、底部25aは、主経路P1の後部及び経路P3に沿って形成されている細長い部分である。一対の側部25bは、底部25aの両側部からドア用面状部材22に交差する方向に立上がり、ドア用面状部材22のうち過半に広がる部分に繋がっている。底部25aのうち車両の内側を向く面と、一対の側部25bのうち対向する2つの面とによって、車両の内側に開口する配線溝25が形成される。なお、ドア用面状部材22のうち外周縁部では、配線溝25及び誘導突部27は形成されていなくてもよいし、形成されていてもよい。この場合、配線溝25及び誘導突部27は外周縁部に向けて徐々に浅くなる又は低くなってもよい。または、配線溝25及び誘導突部27は外周縁部で段差を介して平坦となってもよい。ドア用面状部材22の外周縁部に配線溝25及び誘導突部27が形成されていない場合、ドア用面状部材22の外周縁部のうちインナーパネル14に対向する部分を平面に形成し易い。これにより、ドア用面状部材22の外周縁部とインナーパネル14に隙間を無くし易い。
【0045】
底部25a及び一対の側部25bの少なくとも一部が、外側面26から突出して誘導突部27の少なくとも一部を形成している。ここでは、一対の側部25b及び当該一対の側部25bを連結する底部25aが外側面26から車両の外側に突出しており、その突出部分が誘導突部27を形成している。よって、本実施形態では、誘導突部27は、配線溝25に沿って形成されている。
【0046】
なお、誘導突部27の経路と配線溝25の経路とが一致していることは必要ではない。例えば、側部の厚みを変化させることによって、配線溝25の経路とは異なるように誘導突部27の経路を設定することは可能である。例えば、水平方向に沿う配線溝25に対して、側部の厚みを前方から後方に向けて徐々に肉厚にすることによって、両者の経路を異なるように設定することができる。
【0047】
上記誘導突部27は、車両の前後方向に対して傾斜する傾斜部28を含む。傾斜部28は、車幅方向に沿って見て傾斜していると観察される部分である。なお、傾斜部28は、直線的な傾斜であってもよいし、曲線的な傾斜であってもよいし、それらの複合であってもよい。曲線的な傾斜については、接線によって傾いているか否かが評価され得る。なお、誘導突部27は水を誘導するための突部であることから、誘導突部27の延在方向は、重力方向において上向きの部分を基準として把握され得る。なお、誘導突部27の上向き面は、車幅水平方向と一致していてもよいし、傾斜していてもよい。本実施形態では、誘導突部27の上向き面の全体が、車幅方向において水平に延在する水平誘導面27fである例が説明される。
【0048】
本実施形態では、誘導突部27の全体が傾斜部28である。誘導突部の全体が傾斜部28であることは必須ではなく、例えば、誘導突部の一部が車両の前後水平方向に沿っていてもよい。また、誘導突部が傾斜部を含むことは必須ではなく、誘導突部の全体が車両の前後水平方向に沿っていてもよい。
【0049】
傾斜部28は、水を車両の前後方向において1つの箇所に誘導させるように傾斜している。本実施形態では、傾斜部28は、第1傾斜部28aと、第2傾斜部28bとを含む。第1傾斜部28aは車両の前部寄りに位置しており、第2傾斜部28bは第1傾斜部28aに対して車両の後方に位置している。第1傾斜部28aは、後方に向うに連れて下方に向う形状に形成されている。第2傾斜部28bは、後方に向うに連れて上方に向う形状に形成されている。
【0050】
このため、ドア用面状部材22の外側面26において第1傾斜部28aに流れ込んだ水Lは、第1傾斜部28aの傾きに従って後方に向う。ドア用面状部材22の外側面26において第2傾斜部28bに流れ込んだ水Lは、第2傾斜部28bの傾きに従って前方に向う。よって、傾斜部28に流れ込んだ水は、第1傾斜部28aと第2傾斜部28bとの合流箇所28cである1つの箇所に誘導される。水Lは、合流箇所28cにおいて側部25bの上向き面から底部25aの外面に沿って流れ、底部25aの外面の下縁で落下する。落下した水は、インナーパネル14とアウターパネル13との下部空間を通り、外部に排出される。例えば、ドアパネル12の下部に、排出孔12Aが形成されている。車両前後方向において、上記排出孔12Aの上方に合流箇所28cが位置する。これにより、合流箇所28cで落下した水は、排出孔12A近くに達し、当該排出孔12Aから円滑にドア10外に排出され得る。
【0051】
このように構成されたドア用面状部材22又はドア用配線モジュール20によると、誘導突部27の少なくとも一部が、配線溝25の少なくとも一部に沿って形成されている。このため、配線溝25を形成することによってドア用面状部材22が車両の外側に突出する形状部分が、誘導突部27として利用される。誘導突部27は、ドア用面状部材22の外側面に沿って流れる水を、別方向、例えば、車幅方向外側又は車両前後方向に沿って誘導したり、排出に適した位置に誘導したりする役割を果すことができる。車幅方向外側又は車両前後方向に沿って誘導された水は、例えば、インナーパネル14における開口15の周縁部とドア用面状部材22との合せ目に達し難くなるので、インナーパネル14の内側に侵入し難くなる。これにより、配線部材40を収容する配線溝25及び水を誘導するための誘導突部をドア用面状部材22に形成しつつ、ドア用面状部材22の小型化が図られる。
【0052】
仮に、ドア用面状部材に、配線溝と誘導突部とを別々に形成すると、ドア用面状部材の外側面に誘導突部を形成し、かつ、配線溝の深さを確保するために、ドア用面状部材の全体又は一部を厚く形成することになる。そうすると、ドア用面状部材が大型化してしまう。上記のように、配線溝25を形成することに起因してドア用面状部材22の外側面に突出させることとなる部分を利用して誘導突部を形成することによって、ドア用面状部材22及びドア用配線モジュール20の小型化が図られる。
【0053】
具体的には、配線溝25を形成するための底部25aと一対の側部25bとの少なくとも一部を利用して、誘導突部27を形成するため、ドア用配線モジュール20の小型化が図られる。また、樹脂量の節約、形状の簡易化、コスト低減等が図られる。
【0054】
また、誘導突部27は、車両の前後方向に対して傾斜する第1傾斜部28a、第2傾斜部28bを含む。このため、水が車両の前後方向に誘導される。これにより、例えば、被水が好ましくない位置と、排水に適した位置とが車両の前後方向において異なる位置に存在する場合において、水を排水に適した位置に誘導することができる。
【0055】
上記第1傾斜部28a及び第2傾斜部28bは、水を車両の前後方向において1つの箇所に誘導させるように傾斜している。これにより、水を1つの箇所で排出し易くなる。ここでは、第1傾斜部28a及び第2傾斜部28bは、水を排出孔12Aの上方に誘導させるように傾斜している。これにより、水が第1傾斜部28a及び第2傾斜部28bにおいて滞留せずに、例えば、排出に適した位置に円滑に誘導される。
【0056】
また、誘導突部27は、車幅方向において水平方向に沿う水平誘導面27fを含む。これにより、ドア用面状部材22を型によって加工することが容易となる。また、例えば、配線溝25を形成するための側部の厚みを均一とし易いため、この点からも、誘導突部27を容易に形成し得る。このため、誘導突部27を容易に形成することができる。
【0057】
[実施形態]
図4は第1変形例に係る誘導突部127を示す側面図である。第1変形例では、誘導突部27に対応する誘導突部127は、傾斜部128を含む。本変形例では、誘導突部127の全体が傾斜部128である。傾斜部128は、車両前後方向において後方に向けて下側に向うように傾斜している。このため、傾斜部128は、水を、誘導突部127の後端の一箇所に向けて誘導することができる。この場合、排出孔12Aは、ドアパネル12の下部であって誘導突部127の後端部下方に形成されていてもよい。これにより、水を傾斜部128に沿って後方に誘導し、排出孔12Aを介して排出することができる。傾斜部は、車両前後方向において、前方に向けて下側に向うように傾斜していてもよい。
【0058】
図5は第2変形例に係る誘導突部227を示す断面図である。第2変形例では、誘導突部27に対応する誘導突部227は、外側面26から車両の外側に向うのにつれて下方に向う下傾斜誘導面227fを含む。下傾斜誘導面227fは、誘導突部227の長手方向において全体に亘って形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。なお、下傾斜誘導面227fは、平面であってもよいし、曲面であってもよいし、それらの複合であってもよい。下傾斜誘導面227fが曲面を含む場合には、その接平面によって上記傾きの有無が判別され得る。
【0059】
本第2変形例によると、下傾斜誘導面227fに達した水は、下傾斜誘導面227fの傾斜に従って、車幅方向外側に誘導される。このため、ドア用面状部材22から離れて落下し易くなる。これにより、例えば、誘導突部227の下方で、インナーパネル14における開口15の周縁部とドア用面状部材22との合せ目に、水が達し難くなる。
【0060】
図6は第3変形例に係る誘導突部327を示す断面図である。第3変形例では、誘導突部27に対応する誘導突部327は、外側面26から車両の外側に向うのにつれて上方に向う上傾斜誘導面327fを含む。上傾斜誘導面327fは、誘導突部327の長手方向において全体に亘って形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。なお、上記下傾斜誘導面227fと同様に、上傾斜誘導面327fは、平面であってもよいし、曲面であってもよいし、それらの複合であってもよい。
【0061】
本第3変形例によると、上傾斜誘導面327fに達した水は、上傾斜誘導面327fの基端側に案内され、誘導突部327に沿って当該上傾斜誘導面327f上を流れ易い。これにより、水は、車両の外側で落下せずに、車両の前又は後に誘導され易くなる。これにより、車両前後方向において所定位置に設けられた排出孔12Aに向けて、水を誘導し易い。
【0062】
なお、上記水平誘導面27f、下傾斜誘導面227f、上傾斜誘導面327fのうちの複数が、組合わされてもよい。例えば、誘導突部は、排出孔12Aの上方位置では、下傾斜誘導面227fを有し、他の位置では、水平誘導面27f又は上傾斜誘導面327fを有していてもよい。
【0063】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 ドア
11 意匠トリム
12 ドアパネル
12A 排出孔
13 アウターパネル
14 インナーパネル
15 開口
16 止水部材
18 ウインドウ
18S 空間
18a 開口
20 ドア用配線モジュール
22 ドア用面状部材
24 内側面
25 配線溝
25a 底部
25b 側部
26 外側面
27、127、227、327 誘導突部
27f 水平誘導面
28、128 傾斜部
28a 第1傾斜部
28b 第2傾斜部
28c 合流箇所
40 配線部材
41 電線
42 コネクタ
48 押え付け部材
51、52、53 電気部品
227f 下傾斜誘導面
327f 上傾斜誘導面
L 水
P1 主経路
P2、P3、P4 経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6