(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155903
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】膨張式の袋
(51)【国際特許分類】
A47C 7/40 20060101AFI20231016BHJP
A47C 7/14 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A47C7/40
A47C7/14 A
A47C7/14 B
A47C7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062453
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】17/658,736
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514043159
【氏名又は名称】ガルフストリーム エアロスペース コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミア マレット
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084BA01
3B084EB05
3B084EC03
3B084HA05
3B084HA11
3B084HA12
(57)【要約】
【解決手段】膨張式の袋は、非限定的に、壁、縦方向の寸法、及び横方向の寸法を有する袋本体を含む。壁は、流体を封入する内部容積を画定する。壁は、内部容積と流体連通する開口部を更に画定する。袋本体は、開口部が閉じている場合に流体密封である。壁は、内部容積への流体の流入中の縦方向の寸法の拡張と、内部容積からの流体の流出中の縦方向の寸法の短縮とを容易にするように構成される。壁は、内部容積への流体の流入中、一定の横方向の寸法を維持し、内部容積からの流体の流出中、一定の横方向の寸法を維持するように更に構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁、縦方向の寸法、及び横方向の寸法を有する袋本体
を含み、
前記壁は、膨張式の袋が収縮した場合に流体を封入する内部容積を画定し、前記内部容積と流体連通する開口部を更に画定し、
前記袋本体は、前記開口部が閉じている場合に流体密封であり、
前記壁は、前記内部容積への前記流体の流入中の前記縦方向の寸法の拡張、及び前記内部容積からの前記流体の流出中の前記縦方向の寸法の収縮を容易にするように構成され、
前記壁は、前記内部容積への前記流体の前記流入中、一定の横方向の寸法を維持し、前記内部容積からの前記流体の前記流出中、一定の横方向寸法を維持するように更に構成される、
膨張式の袋。
【請求項2】
前記袋本体は、横方向の断面において略長方形の構成を有する、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項3】
前記袋本体は、前記横方向の断面において丸みを帯びた長方形の構成を有する、請求項2に記載の膨張式の袋。
【請求項4】
前記袋本体は、前記横方向の断面において丸みを帯びた正方形の構成を有する、請求項2に記載の膨張式の袋。
【請求項5】
前記内部容積内の前記流体の静圧が前記袋本体の外側の周囲圧力に等しい場合、前記袋本体の上面は平坦であり、前記内部容積の前記静圧が前記袋本体の外側の前記周囲圧力を超える場合、前記上面は凸状である、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項6】
前記袋本体は、前記袋本体の下側に配備された複数の脚部であって、前記膨張式の袋を支持する表面から前記袋本体の一部分を離して立てるように構成された前記複数の脚部を更に含む、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項7】
前記複数の脚部は中空であり、前記複数の脚部の各脚部の中空部分は前記袋本体の前記内部容積と流体連通する、請求項6に記載の膨張式の袋。
【請求項8】
前記壁は、前記袋本体の外縁に配備にされた伸縮継手であって、前記袋本体の前記縦方向の寸法の拡張を可能にするように構成された前記伸縮継手を含む、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項9】
前記伸縮継手は、前記袋本体の外縁全体の周りに配備される、請求項8に記載の膨張式の袋。
【請求項10】
前記伸縮継手は、前記袋本体を通って横方向に延びる架空の水平面と整列される、請求項8に記載の膨張式の袋。
【請求項11】
前記伸縮継手は、前記袋本体の縦方向のアコーディオン状の拡張及び短縮を容易にするように構成された複数の畳み込み部を含む、請求項8に記載の膨張式の袋。
【請求項12】
前記流体の静圧が前記袋本体の外側の周囲圧力に等しい場合、前記縦方向の寸法は0.5インチを超える、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項13】
前記流体の前記静圧が前記袋本体の外側の周囲圧力に等しい場合、前記縦方向の寸法は1.0インチを超える、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項14】
前記袋本体は、前記開口部が閉じている場合に縦方向に加えられる圧縮力の印加に応答して、前記縦方向の寸法の短縮に抵抗する、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項15】
前記袋本体は、前記開口部が閉じている場合、及び前記流体の静圧が前記袋本体の外側の周囲圧力に等しい場合に前記縦方向に加えられる前記圧縮力の印加に応答して、前記縦方向の寸法の短縮に抵抗するように構成される、請求項14に記載の膨張式の袋。
【請求項16】
前記開口部が閉じている場合、及び前記流体の前記静圧が前記袋本体の外側の周囲圧力に等しい場合に、前記壁の全ての内面は、前記壁の対向して配備された全ての内面から間隔があけられる、請求項1に記載の膨張式の袋。
【請求項17】
壁、縦方向の寸法、及び横方向の寸法を有する袋本体
を含み、
前記壁は、膨張式の袋が収縮した場合に流体を封入する内部容積を画定し、前記内部容積と流体連通する開口部を更に画定し、
前記袋本体は、前記開口部が閉じている場合に流体密封であり、
前記壁は、前記内部容積への前記流体の流入中の前記縦方向の寸法の拡張、及び前記内部容積からの前記流体の流出中の前記縦方向の寸法の収縮を容易にするように構成され、
前記壁は、前記横方向の寸法の何れの拡張も前記内部容積への前記流体の前記流入中の前記縦方向の寸法の拡張の5パーセント以下であるように、前記内部容積への前記流体の前記流入中の前記横方向の寸法の拡張を抑制するように更に構成される、
膨張式の袋。
【請求項18】
前記開口部が閉じている場合、及び前記流体の前記静圧が前記袋本体の外側の周囲圧力に等しい場合に、前記壁の全ての内面は、前記壁の対向して配備された全ての内面から間隔があけられる、請求項17に記載の膨張式の袋。
【請求項19】
前記内部容積内の前記流体の静圧が前記袋本体の外側の周囲圧力に等しい場合、前記袋本体の上面は平坦であり、前記内部容積の前記静圧が前記袋本体の外側の前記周囲圧力を超える場合、前記上面は凸状である、請求項17に記載の膨張式の袋。
【請求項20】
前記壁は、前記袋本体の外縁の周りに配備された伸縮継手であって、前記袋本体の前記縦方向の寸法の拡張を可能にするように構成された前記伸縮継手を含む、請求項17に記載の膨張式の袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に膨張式の構造体に関し、より具体的には、座席の乗員に可変の支持を提供するための膨張式の袋に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員が選択可能なレベルの拡張及び短縮クッションの支持を提供する従来の座席は、典型的には、従来の膨張式の袋を使用して、そうした様々なレベルのクッションの支持を実現する。従来の膨張式の袋は、それらの間にポケットを形成するように個別の周囲で互いに結合された上部円形外皮及び下部円形外皮を有する円形の袋を含む。2つの円形外皮は、流体(例えば、空気)の出入りを制御するためにバルブ若しくはチューブ又はその他の機構が連結され得る単一の開口部を除いて、従来の膨張式の袋の流体密封を与える方法で互いに結合される。収縮した場合、従来の膨張式の袋は平らな円形円盤を形成する。従来の膨張式の袋のポケットに流体が導かれた場合、従来の膨張式の袋は拡張して球を形成する。言い換えれば、空気(又は任意のその他の流体)を従来の膨張式の袋に加えることは、互いに結合された周辺部を除いて、2つの円盤の壁が互いに離れるように動かされる。
【0003】
縦方向(例えば、垂直方向)において、従来の膨張式の袋の寸法は膨張中に増加する。横方向(例えば、水平方向)において、従来の膨張式の袋の寸法は膨張中に減少する。従来の膨張式の袋が収縮した場合、従来の膨張式の袋の形状は円盤の形状に戻る。言い換えれば、各膨張及び収縮のサイクル中に、従来の膨張式の袋の縦の寸法及び横の寸法の両方に変化がある。
【0004】
収縮した従来の膨張式の袋の円形構成は、幾つかの望ましくない結果をもたらす。複数の従来の膨張式の袋を配列して(例えば、座席の背もたれに又は座席の底に)用いた場合、各従来の膨張式の袋は、各円盤状の収縮した従来の膨張式の袋の全周を収容するために、隣接するものから十分に離して配置しなければならない。例えば、重なり合うように互いにより近くに配置した場合、それらは、膨張及び収縮のサイクル中に互いに干渉する可能性がある。したがって、従来の膨張式の袋の円形構成は、従来の膨張式の袋を配列して互いに密集して詰め込む能力を阻害する。従来の膨張式の袋を座席の支持又は背もたれの支持に密に詰めることができないことは、座席の乗員が好むよりも快適性及び支持性が低い座席及び/又は背もたれをもたらし得る。
【0005】
また、完全に収縮した場合、2つの円形外皮は、個別の表面積全体に渡って互いに押し付けられる。この状態で、従来の膨張式の袋は、約10分の1インチの厚さを有する。したがって、完全に収縮した場合、従来の膨張式の袋は、座席の乗員にほとんど緩衝又は支持を提供しない。このことは、今度は、この支持の欠如を相殺するために、座席に追加の発泡体を追加することを座席メーカーに要求する。この追加の発泡体は、各座席のコスト及び重量を増加させる。更に、発泡体は天然の断熱材である。したがって、余分な発泡体は、座席の乗員から発せられる体温の放散を妨げる。このことは、今度は、座席の乗員の不快感を高め得るホットスポットを創出する。
【0006】
したがって、上記の問題に対処する膨張式の袋を提供することが望ましい。更に、その他の望ましい機構及び特徴は、添付の図面及び前述の技術分野及び背景技術と併せて解釈される、以下の発明の概要及び詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0007】
膨張式の空気袋が本明細書に開示される。
【0008】
第1の非限定的な実施形態では、膨張式の空気袋は、非限定的に、袋本体を含む。袋本体は壁を有する。袋本体は縦方向の寸法を有する。袋本体は横方向の寸法を有する。壁は、膨張式の袋が収縮した場合に流体を封入する内部容積を画定する。壁は、内部容積と流体連通する開口部を更に画定する。袋本体は、開口部が閉じている場合に流体密封である。壁は、内部容積への流体の流入中の縦方向の寸法の拡張と、内部容積からの流体の流出中の縦方向の寸法の短縮とを容易にするように構成される。壁は、内部容積への流体の流入中、一定の横方向の寸法を維持し、内部容積からの流体の流出中、一定の横方向の寸法を維持するように更に構成される。
【0009】
別の非限定的な実施形態では、膨張式の空気袋は、非限定的に、袋本体を含む。袋本体は壁を有する。袋本体は縦方向の寸法を有する。袋本体は横方向の寸法を有する。壁は、膨張式の袋が収縮した場合に流体を封入する内部容積を画定する。壁は、内部容積と流体連通する開口部を更に画定する。袋本体は、開口部が閉じている場合に流体密封である。壁は、内部容積への流体の流入中の縦方向の寸法の拡張と、内部容積からの流体の流出中の縦方向の寸法の短縮とを容易にするように構成される。壁は、内部容積への流体の流入中に横方向の寸法の膨張が縦方向の寸法の拡張の5パーセント以下になるように、内部容積への流体の流入中の横方向の寸法の拡張を抑制するように更に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下の図面に関連して以下に説明され、図面中、同様の数字は同様の要素を示す。
【0011】
【
図1】本開示の教示に従って製造された膨張式の袋の非限定的な実施形態の配列を備えた車両の座席を説明する斜視図である。
【
図2】
図1の配列の拡大図を説明する斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2の配列で使用される膨張式の袋の非限定的な実施形態の拡大図を説明する斜視図である。
【
図4】
図3の膨張式の袋を説明する破断斜視図である。
【
図5】
図3の膨張式の袋を説明する
図3の5-5線に沿って取った断面図である。
【
図6】膨張した状態にある
図3の膨張式の袋を説明する斜視図である。
【
図7】膨張した状態にある
図3の膨張式の袋を説明する断面図である。
【
図8】膨張式の袋を通って横方向に延びる架空の水平面に沿って取った
図3の膨張式の袋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、発明又は発明の用途及び使用を限定することを意図しない。更に、前述の背景技術又は以下の詳細な説明で提示されたいずれの理論にも拘束されることを意図しない。
【0013】
改良された膨張式の袋が本明細書に開示される。本開示の膨張式の袋は、従来の膨張式の袋が収縮状態にある場合の従来の膨張式の袋の平坦な2次元構成と比較して、膨張式の袋が収縮状態にある場合の非平坦な3次元構成を有する。言い換えれば、従来の膨張式の袋は、従来の袋が収縮した場合に互いに押しつぶされる対向する内面を有する壁を有するのに対し、本開示の膨張式の袋は、本開示の膨張式の袋が収縮した場合に互いに間隔があけられたままである内面を有する壁を有する。本明細書で使用するとき、用語“収縮”は、袋を周囲環境に通気した結果として袋内の流体の静圧が袋の外側の流体の周囲圧力と平衡に達し、その後、内部及び外部の流体圧力が等しくなると、追加の流体が袋に出入りすることがないように袋を閉じることを意味する。本明細書で使用するとき、用語“膨張”は、膨張式の袋が収縮状態にある場合に含むよりも多くの流体を含む状態を意味する。
【0014】
また、幾つかの非限定的な実施形態では、本開示の膨張式の袋は、上から見た場合に略長方形の構成を有する。このことは、本開示の膨張式の袋を、円形構成を有する従来の膨張式の袋で可能であるよりも互いに密に配列して詰め込むことを可能にする。
【0015】
更に、本開示の膨張式の袋は、膨張した場合に膨張式の袋が縦方向に拡張することを可能にする、1つ以上の伸縮継手、畳み込み部、又はその他の構成を有する。また、膨張式の袋は、膨張した場合に膨張式の袋が横方向に拡張することを制限するように構成される。例えば、限定するものではないが、膨張式の袋は、膨張した場合に膨張式の袋が横方向に拡張することを可能にするいずれの伸縮継手、畳み込み部、又はその他の構成を欠いていてもよい。この横方向の拡張の欠如は、個々の膨張式の袋を従来の膨張式の袋よりも密に詰め込む能力に更に寄与する。
【0016】
本開示の膨張式の袋は、本明細書に説明する特性を有する流体密封構造体を創出するのに有効な任意の適切な方法で構築され得る。非限定的な一例では、膨張式の袋は、モールドの対向する半分に設定された複合層から構築され得、次に、該二等分を互いに隣接させて内部ポケットを形成するように配置し、その後、接着剤、熱処理、それらの組み合わせ、及び/又は該二等分を互いに結合するのに効果的なその他の技術の使用を通じてそれらの個別のリップで該二等分を結合して流体密封構造体を生成することによってクラムシェル様式でまとめられ得る。
【0017】
上で論じた膨張式の袋のより深い理解は、以下の詳細な説明の再検討と共に、この出願に付随する図の再検討によって得られ得る。
【0018】
図1を参照すると、航空機(図示せず)の内部10を説明する斜視図が提示されている。内部10は座席アセンブリ12を含む。座席アセンブリ12は簡略化して説明されており、説明を容易にするため、及び本開示によって伝えられる概念を単純化する目的で、多くの座席の構成要素及び機構が省略されている。他の実施形態では、座席アセンブリ12の追加の機構及び構成要素が本開示の教示から逸脱することなく存在し得ることを理解すべきである。更に、この論考の文脈は航空機に配備された座席に関するものであるが、本明細書に開示する発明は、航空機での使用への適用に限定されないことを理解すべきである。むしろ、本明細書に開示する発明は、本開示の教示から逸脱することなく、様々な量の支持を人間の乗員に提供するように構成された座席を有する任意の車両での使用に適している。更に、本明細書に開示する発明は、車両での使用に限定されず、むしろ、本開示の教示から逸脱することなく、様々なレベルの支持を人間の乗員に提供するように構成された、考えられるあらゆるタイプの座席に適用可能である。更に、本明細書に開示する教示は、座席での使用に限定されず、考えられるあらゆる目的のために様々なレベルの支持及び/又は圧縮を提供するように構成された任意の構造体、装置、家具、又はその他の器具で用いられ得る。
【0019】
引き続き
図1を参照すると、座席アセンブリ12は、座席アセンブリ12の人間の乗員の背中を支持するように構成された座席背もたれ14を含む。座席背もたれ14の一部は、座席の外面の下に配備された膨張式の袋20の配列16を露出させるために引き裂かれている。配列16は、座席アセンブリ12の乗員の背中に可変量の支持を提供するように構成される。
図1に説明する実施形態では、座席底部18もまた、座席アセンブリ12の乗員の底部に可変量の支持を提供するために膨張式の袋20の配列16(図示せず)を含む。
図1に説明する座席アセンブリ12は、座席背もたれ14と座席底部18との両方内に配列16を含むが、他の実施形態では、座席アセンブリ12は、本開示の教示から逸脱することなく、座席背もたれ14又は座席底部18の何れかに膨張式の袋20の単一の配列16のみを含み得ることを理解すべきである。更に他の実施形態では、座席アセンブリ12は、本開示の教示から逸脱することなく、3つ以上の配列16を含み得る。
【0020】
引き続き
図1を参照すると、
図2は、膨張式の袋20の配列16の拡大図を提示する斜視図である。
図2に説明するように、配列16は、基部22上に配備された合計18個の個々の膨張式の袋20を含む。他の実施形態では、配列16内に用いられる膨張式の袋20の数は、個々の膨張式の袋20のサイズ、若しくは配列16によってカバーされる領域のサイズに依存して、又はそれらの両方によって変更され得る。更に、配列16は、
図2では長方形の構成を有するものとして説明されているが、他の実施形態では、本開示の教示から逸脱することなく、所望の対象領域をカバーするのに有効な任意の適切な構成が用いられ得ることを理解すべきである。
【0021】
図1及び
図2に最もよく見られるように、複数の膨張式の袋20は互いに近接して配置され、配列16に互いに密に詰め込まれる。こうした密に詰め込まれた構成は、円形の構成及び球状の膨張パターンを有する従来の膨張式の袋を使用しては実現できなかった。膨張式の袋20を、従来の膨張式の袋で許容されるよりも互いに近くに配置する能力は、個々の膨張式の袋20の略長方形の構成によって容易になる。その外縁に略直線状の縁部を有することは、個々の膨張式の袋20を、それらの個別の外縁のほぼ全体に沿って互いに直接隣接して配置することを可能にする。膨張式の袋20の正確な幾何学的構成は、各々の特定の用途に最もよく適応するように設計され得る。例えば、幾つかの用途では、細長い長方形の構成が、所望のレベルの乗員の快適さを提供するのに最適であり得るが、他の実施形態では、正方形の膨張式の袋20が、所望のレベルの乗員の快適さを提供するのに最適であり得る。更に他の実施形態では、膨張式の袋20は、本開示の教示から逸脱することなく、相補的な形状(例えば、凸状の横方向の外縁及び凹状の横方向の外縁)又は連結構成(例えば、ジグソーパズルのピース形状の横方向の外縁)を有し得る。
【0022】
以下により詳細に論じるように、各膨張式の袋20は、流体(例えば、空気)を流体密封の方法で含むように構成される。各膨張式の袋20は、袋からの流体の追加及び除去に関連して拡張及び短縮するように更に構成される。
図2に説明する実施形態では、各膨張式の袋20は、チューブ又はバルブ等の流体源に連結するように構成された(
図5及び
図7に最もよく見られるような)開口部を含む。
図2では、複数のチューブ24は、各膨張式の袋20に流体を送り出し、各膨張式の袋20から流体を運び出すように配置されている。各チューブ24と配列16の各膨張式の袋20との連結を容易にするために、各膨張式の袋20は、複数の脚部26を含むように構成される。脚部26は、膨張式の袋20の主本体を基部22から離して立て、それによって膨張式の袋20の下にチューブ24を通すための実質的に妨げられない経路を主本体の下に提供する。他の実施形態では、膨張式の袋20は、本開示の教示から逸脱することなく、脚部なしに構成され得る。
【0023】
複数のチューブ24は、個別の複数のバルブ28と連結される。したがって、各膨張式の袋20からの流体の追加及び除去は、複数のバルブ28によって制御される。バルブ28は、チューブ24を通じた流体の通路を制御するように構成された任意の適切なバルブを含み得る。バルブ28、チューブ24、及び膨張式の袋20のこの配置は、個々の膨張式の袋20の選択的な膨張及び収縮、並びに/又は膨張式の袋20のグループの選択的な膨張及び収縮を可能にする。
図2に説明する実施形態では、合計10個のバルブ28と、対応する合計10個のチューブ24とが説明されている。上述のように、配列16は、合計18個の膨張式の袋20を含む。したがって、チューブ24の内の幾つかは、複数の膨張式の袋20と流体連結される。他の実施形態では、本開示の教示から逸脱することなく、等しい数のバルブ28、チューブ24、及び膨張式の袋20が用いられ得る。
【0024】
引き続き
図1~
図2を参照すると、
図3は、個々の膨張式の袋20の拡大図を提示する斜視図であり、
図4は、膨張式の袋20の内部の一部分を示す膨張式の袋20の引き裂かれた画像を提示する斜視図である。
図3に最もよく見られるように、膨張式の袋20は、下方に延びる脚部26を有する長方形の箱状構造体である。頭上から、膨張式の袋20は正方形の上面を有し、正方形は丸みを帯びた角を有する。他の実施形態では、本開示の教示から逸脱することなく、この構成からの変形が用いられ得る。
【0025】
図3及び
図4では、袋20は収縮した状態で説明されている。収縮状態にある間、膨張式の袋20の上面21は平坦な湾曲を有する。言い換えれば、収縮した場合、上面21は凹状でも凸状でもない。膨張式の袋20は、膨張式の袋20の周囲に延び、その構造体全体を形成する壁30から構築される流体密封構造体である。壁30は、説明する実施形態では、略長方形の中空の箱を形成する垂直側面、上面21、及び底面を含む。壁30は、内部ポケット34を形成するように構成された内面32を有する。
図4に最もよく見られるように、膨張式の袋20が収縮した場合に、内面32の全ての対向する部分は互いに間隔があけられる。言い換えれば、収縮した場合に対向する壁が互いに押しつぶされて、わずかな高さ又は厚さを有する本質的に2次元の円盤構造体を形成する従来の膨張式の袋とは異なり、膨張式の袋20は、縦方向にかなりの厚さを有する3次元形状を維持する。これは、部分的に、膨張式の袋20の長方形の箱状の構成によって可能になる。これは、部分的に、膨張式の袋20を構築するために使用される材料によっても可能になる。膨張式の袋20の構築に使用するのに適した材料の例は、防火シリコンが注入されたガラス繊維織物を含む。多くのその他の材料も同様に用いられ得ることを理解すべきである。膨張式の袋20が収縮した場合であってもその3次元形状を保持する結果として、特に後述するポケット34への開口部が閉じられ、圧縮の結果としての空気の更なる排出が抑制される場合に、それは、縦方向に緩衝支持を提供できるままである。
【0026】
引き続き
図1~
図4を参照すると、
図4に見られるように、縦方向軸40は、膨張式の袋20の中心を通って縦方向に延び、膨張式の袋20は縦方向の寸法42を有する。架空の平面44は、膨張式の袋20を通って横方向に延び、膨張式の袋20は横方向の寸法46を有する。壁30に組み込まれ、膨張式の袋20の横方向の外縁全体の周りに延びるのは、畳み込み部48である。畳み込み部48は、壁30を含む材料の往復動する折り目を含む。説明する実施形態では、畳み込み部48は、膨張式の袋20が膨張すると、アコーディオンのように広がるであろうし、膨張式の袋20が縦方向に伸びることができる。別の言い方をすれば、畳み込み部48は、流体がポケット34に加えられた場合に、膨張式の袋20の縦方向の拡張を可能にし、容易にする。対照的に、膨張式の袋20には、横方向の平面44に沿った拡張を可能にする畳み込み部、伸縮継手、又はその他の機構を欠く。したって、流体がポケット34に加えられると、畳み込み部48は、膨張式の袋20の縦方向の拡張を容易にするであろうし、横方向に対応する畳み込み部が存在しないことは、膨張式の袋20の横方向の拡張を抑制するであろう。
【0027】
図4に説明する実施形態では、引き裂かれた膨張式の袋20の部分は、膨張式の袋20の内部構造、特に脚部26の内部構造を見ることを可能にする。説明する実施形態では、脚部26は、ポケット34の残部と流体連通する中空構造体である。他の実施形態では、脚部26は、本開示の教示から逸脱することなく、膨張式の袋20の下側に取り付けられた中実構造体を含み得る。更に他の実施形態では、脚部26は、本開示の教示から逸脱することなく、膨張式の本体20に取り付けられ、ポケット34から流体的に切り離される中空構造体を含み得る。脚部26のその他の構成も可能であり、本開示の教示から逸脱することなく用いられ得る。
【0028】
引き続き
図1~
図4を参照すると、
図5は、
図3の線5-5に沿って取った膨張式の袋20の断面を説明する断面図である。
図5では、畳み込み部48がはっきりと見える。説明するように、畳み込み部48は、壁30の外皮に往復動する折り目を含む。
図5には開口部50も見られる。開口部50は、ポケット34に出入りする唯一の通路を含む。説明する実施形態では、開口部50は、チューブ24を受け入れるように構成される。チューブ24が開口部50と連結された場合、流体は、ポケット24に送り込まれ得、又はポケット24から送り出され得る。流体がポケット24に送り込まれた場合、ポケット24内の流体の静圧が増加するであろう。この静圧の増加は、壁30が追加の流体によって引き起こされた静圧の増加を封じ込めようとするため、壁30に張力がかかるであろう。畳み込み部48は、ポケット34内の流体の静圧の増加の下で広がるであろう。この畳み込み部48の広がりは、今度は、膨張式の袋20が縦方向に拡張することを可能にするであろう。
【0029】
引き続き
図1~
図5を参照すると、
図6は、拡張状態にある膨張式の袋20を説明する斜視図である。
図6に説明するように、膨張式の袋20の縦方向の寸法は実質的に増加している。縦方向の寸法42´は、膨張式の袋20が膨張した後の膨張式の袋20の壁30の垂直側の細長い縦方向の寸法を反映している。比較のために、
図6には縦方向の寸法42も提示されている。縦方向の寸法42は、膨張式の袋20が収縮状態にある場合に測定された壁30の同じ垂直側の縦方向の寸法を反映している。
【0030】
上で論じた壁30の垂直側部の縦方向の成長に加えて、上面21も凸状に突出し、膨張式の袋20が膨張した場合にドーム状の構成を取る。このドーム状の構成は、縦方向に突出し、膨張した場合に、膨張式の袋20の縦方向の寸法全体に縦方向の寸法42´´を更に加える。
【0031】
上で論じたように、膨張式の袋20は、横方向への膨張式の袋20の拡張を容易にするための何れの畳み込み部若しくは拡張継手又は何れのその他の機構も含まない。しかしながら、幾つかの実施形態では、膨張式の袋20が構築される材料の性質のために、膨張式の袋の横方向の寸法46の拡張をもたらす壁30の垂直側部の横方向の幾らかの曲がりが存在し得る。これは、膨張式の袋20が膨張した場合の壁30の側部の可能な輪郭を反映する想像線52を用いて
図6に反映されている。この横方向の寸法46の拡張は、膨張式の袋20の膨張からもたらされる縦方向の寸法42の成長と比較して無視できる。
【0032】
引き続き
図1~
図6を参照すると、
図7は、拡張状態にある膨張式の袋20を説明する
図3の線5-5に沿って取った断面図である。説明するように、完全に膨張した場合、畳み込み部48(
図3に最もよく見られる)は、完全に延ばされてぴんと張られるように引き伸ばされ、広げられている。
図7では、開口部50が開いた状態で説明されている。実際に機能する実施形態では、開口部50は、チューブ24及び/又はバルブ28と流体連結されることを理解すべきである。バルブ28は、閉じられた場合に、ポケット34内の流体が流出することを抑制するであろうし、追加の流体がポケット34に流入することも抑制するであろう。幾つかの実施形態では、バルブ28は、ポケット34内の流体の静圧が所定の閾値に達するか、又はそれを超えた場合に流体がポケット34から流出することを可能にするように構成され得る。このようにして、バルブ28は、膨張式の袋20が破裂するのを抑制する逃がしバルブとして機能し得る。
【0033】
上で論じたように、膨張式の袋20の構築に使用される材料に応じて、壁30の垂直側部は、内部静圧の増加の下で拡張し得る。この拡張は、想像線52によって
図7に示されている。
【0034】
引き続き
図1~
図7を参照すると、
図8は、架空の平面44に沿って取った膨張式の袋20の断面図である。
図8に説明する透視図は、ポケット34を上から見下ろした上面透視図である。この説明では、脚部26の中空構成がはっきりと見える。説明する実施形態では、脚部26はポケット34と流体連結され、このようにしてポケット34の一部分を含む。
図1~
図8に描写した実施形態では、畳み込み部48は脚部26を画定する壁30の部分に組み込まれる。したがって、膨張式の袋20が膨張した場合、脚部26は縦方向に拡張するであろう。
【0035】
少なくとも1つの例示的な実施形態が、開示の前述の詳細な説明において提示されたが、膨大な数の変形が存在することを理解すべきである。例示的な1つ以上の実施形態は単なる例であり、発明の範囲、適用性、又は構成を決して限定することを意図していないことも理解すべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、発明の例示的な実施形態を実装するための便利なロードマップを当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に記載されるような開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態で説明した要素の機能及び構成に様々な変更を加え得ることを理解されたい。
【外国語明細書】