(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155906
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】リモートインフィードおよび故障抵抗によるリアクタンス効果に対して距離保護を適応させるための方法、装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/40 20060101AFI20231016BHJP
H02H 3/38 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H02H3/40 B
H02H3/40 E
H02H3/38 B
H02H3/38 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023063512
(22)【出願日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】202241021576
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】22175910
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベーダーンタ・プラダーン
(72)【発明者】
【氏名】オー・ディ・ナイドゥ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リモートインフィードおよび故障抵抗によるリアクタンス効果に対して距離保護を適応させるための方法、装置およびシステムを提供する。
【解決手段】距離保護システムを制御するための方法であって、電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置における電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信することと、受信された測定値から第1のインピーダンスを計算することと、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することと、決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算することと、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することと、決定された故障位置または再決定された故障位置から距離保護システムを制御することと、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離保護システムを制御するための方法であって、
電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置における電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信することと、
前記受信された測定値から第1のインピーダンスを計算することと、
前記計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することと、
前記決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算することと、
前記計算された第2のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定することと、
前記決定された故障位置または前記再決定された故障位置から前記距離保護システムを制御することと
を含む方法。
【請求項2】
前記計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定すること
をさらに含み、
前記第2のインピーダンス境界は、前記故障位置における故障の発生の前に取得された前記測定値、前記伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または前記伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のインピーダンスを計算することは、
前記伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび前記伝送線路の線路インピーダンスから前記電力システムの均質性を決定することと、
前記電力システムが均質であると決定された場合に、前記伝送線路の前記2ポート等価物の前記等価モデルの前記少なくとも1つのインピーダンスおよび前記伝送線路の前記線路インピーダンスから前記第2のインピーダンスを近似し、前記電力システムが不均質であると決定された場合に、前記第1の位置において受信された前記測定値、前記伝送線路の前記2ポート等価物の前記等価モデルの前記少なくとも1つのインピーダンス、および前記伝送線路の前記線路インピーダンスから前記故障位置を推定し、前記推定された故障位置から前記第2のインピーダンスを計算することと
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記伝送線路の前記2ポート等価物の前記等価モデルは、前記故障位置における故障の発生の前に取得された前記測定値から推定および/または更新される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のインピーダンス境界は、前記伝送線路に沿った前記第1の位置と第2の位置との間の距離である第1の物理的距離を示す、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記計算された第1のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、前記故障位置が前記第1の物理的距離の内側にあると決定すること
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算された第1のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を決定することは、前記計算された第1のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記計算された第1のインピーダンスおよび前記第2のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定することは、前記計算された第1のインピーダンスが前記第2のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記計算された第1のインピーダンスが前記第2のインピーダンス境界の外側にあるとき、前記故障位置が前記第1の物理的距離の外側にあると決定すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記計算された第2のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定することは、前記計算された第2のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記計算された第2のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、前記故障位置が前記第1の物理的距離の内側にあると決定すること
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置に配置された距離保護装置を備える距離保護システムを制御するための装置であって、
電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置における電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信し、
前記受信された測定値から第1のインピーダンスを計算し、
前記計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定し、
前記決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算し、
前記計算された第2のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定し、
前記決定された故障位置または前記再決定された故障位置から前記距離保護システムを制御する
ように構成されたプロセッサを備える、装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、請求項2~11のいずれか1項に記載の方法を実行するようにさらに構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
伝送線路と、請求項13に記載の装置とを備える電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置に配置された距離保護装置を備える距離保護システムを制御するための方法、装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
電力システムにおいて、故障を検出し、故障が伝送線路を通って伝搬することを防止するために、距離保護が広く用いられている。距離保護は、3相のローカルバス/ノード電圧および/または線路電流を測定する端子に配置されたリレーを備える。端子から伝送線路の保護対象の部分まで見た見かけのインピーダンスまたはリレーインピーダンスが、測定された端子電圧および端子電流に基づいて計算される。故障が完全短絡(bolted short circuit)である場合、すなわち故障抵抗が0である場合、前記見かけのインピーダンスは、端子と地絡故障位置との間の距離に比例する。したがって、距離保護は、故障位置を計算し、適切なリレーを、故障位置がこのリレーの動作ゾーン内にある場合に制御する。典型的には、距離保護は、上流/下流線路上のリレーに関して、主たる保護および協調のバックアップ保護を提供するために、ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、などの複数のゾーンを備える。
【0003】
図1a)が、距離保護および保護対象の伝送線路の概要を示している。伝送線路「L」100が、変流器CTを使用して電流を測定し、変圧器PTを使用して電圧を測定するリレー111を備えるバス/端子「M」110を終端とする。伝送線路「L」100は、バス/端子「N」120をさらに終端とし、ゾーン1 131、ゾーン2 132、およびゾーン3 133などの複数のゾーンを含むように分割される。信頼できる動作は、リレー111が、そのゾーン131、132、および132のうちの1つにおいて故障が発生したか否かを確実に検出することを必要とする。安全な動作は、リレー111が、その対応するゾーン131、132、または132における故障の検出において選択的であることを必要とする。例えば、故障F1が、バス「M」110のリレー111によってゾーン1 131の故障として検出されなければならず、故障F2が、ゾーン2 132の故障として検出されなければならない。
【0004】
図1a)、すなわち保護対象の伝送線路「L」上の位置「F1」における故障を参照すると、バス「M」における距離リレーは、以下のように見かけのインピーダンスZ
Rを測定し、
【0005】
【0006】
ここで、VRおよびIRは、それぞれリレー111において測定される電圧および電流から導出される所定のリレー電圧およびリレー電流である。故障が完全短絡である場合、すなわち故障抵抗が0であり、伝送線路上の故障地点/位置が接地電位にある場合、測定された見かけのインピーダンスZRは、故障を介して端子「M」110と接地との間を流れるリレー電流に抵抗する唯一のインピーダンスである故障した線路部分のインピーダンスdZ1Lに一致する。ここで、「d」は、リレー端子「M」110からの故障の単位距離であり、Z1Lは、線路「L」110の正相インピーダンスである。
【0007】
しかしながら、これは、抵抗性故障(resistive fault)の場合には、線路上の故障地点がもはや接地電位ではないため、当てはまらない。したがって、リレー電圧およびリレー電流は、dZ1L、故障抵抗RF、故障電流IF、または故障に対するリモート側「N」120からの電流寄与Iremの点で、より複雑な関係を介して関連付けられる。測定されたリレーインピーダンスZRを、以下のように、故障した線路部分のインピーダンスdZ1Lと、追加の偏差項ΔZRとからなる形式で説明することができる。
【0008】
【0009】
測定されたリレーインピーダンスZ
Rが、本明細書において動作特性または距離リレー特性と呼ばれるゾーン131、132、および133の各々に対応する境界を含む複素R-X(実-仮想)平面と比較されて、故障位置が決定され、偏差インピーダンス項に対する特定のレベルの信頼性が確認される。
図1b)が、インピーダンスの第1のベース境界151、第2のベース境界152、および第3のベース境界153を含む距離リレー特性を示している。
【0010】
式(2)から明らかなように、測定されたリレーインピーダンスZ
Rにおける偏差の大きさおよび位相角は、故障抵抗および端子から故障への電流寄与に依存する。これらのパラメータはどちらも、故障の性質および原因、ならびに故障前の線路の負荷条件に応じて、大きく変化し得る。したがって、オフラインで設計されたリレー特性は、実際のシステムの動作において、有効でない可能性がある。例えば、二次リレー特性が、典型的には、
図1b)に示されるように、偏差インピーダンスが圧倒的に抵抗性であると仮定して、R-X平面において追加の抵抗カバレッジを有するように設計される。しかしながら、実際の故障の状況に応じて、偏差インピーダンスは、リレーのリアクティブ(reactive)到達境界も回避するように、著しくリアクティブであり得る。したがって、このような状況下での信頼性を向上させるために、距離リレーの動作を適応させる必要がある。
【0011】
この目的のために、リレーのゾーン1のトリップ特性を、
図2に示されるとおりの保護対象の伝送線路の2ポート等価モデルを使用して、リレーが故障を確実に検出するように、その基本設計から修正することができる。保護対象の伝送線路の2ポート等価モデルは、それぞれのソースインピーダンスZ
sM212及びZ
sN222ならびに電圧パラメータ(E
M、E
N、およびδ)を有する第1のソース211および第2のソース221を備える。バス「M」110とバス「N」120との間の線路部分が、dZ
1L、1-d)Z
1L、およびR
Fに関してモデル化される。上述の修正を、故障位置「d」および故障抵抗「R
F」などの変化する故障パラメータの下で見かけのインピーダンスの可能なロウカスを分析することによって実行することができ、
図3に示されるとおりの修正されたゾーン1のトリップ特性301(あるいは、適応させた第1のベース境界301ともいう)がもたらされる。しかしながら、そのような修正は、故障前の動作状態を正確に記述するソースインピーダンス(Z
sM212及びZ
sN222)およびソース電圧パラメータ(E
M、E
N、およびδ)などのモデルパラメータを必要とする。さらに、適応させた第1のベース境界301が、
図3に示されるように、オーバーリーチゾーン2の特性(あるいは、第2のベース境界152ともいう)と重複する可能性があり、結果として、不安全なリレー動作につながる可能性がある。
【0012】
あるいは、二次リレー特性におけるリアクティブ到達境界の傾斜角のみを調整してもよい。修正のための角度を、測定されたリレー電流および故障電流の代替物に基づいて取得することができる。例えば、A-G故障の場合、リレーにおける負相電流を、故障電流の代用物として使用することができ、角度を、リレー電流の位相角および負相リレー電流の位相角を減算することによって取得することができる。このような方法は、ゾーン1のトリップ特性の最小限の調整につながるが、適切な代用物の選択において近似である。さらに、この単純な修正は、リモートインフィードを適切に考慮していない可能性がある。
【0013】
あるいは、リレーのトリップ特性をそのまま変更せず、見かけのインピーダンスの計算を、偏差インピーダンスを補償するように修正してもよい。
図4が、距離保護の適応させた見かけのインピーダンスの計算を示している。とくに、
図4a)および
図4b)は、それぞれ偏差インピーダンスが誘導性および容量性である場合の複素平面上の見かけのインピーダンスZ
Rの計算を示している。偏差インピーダンスΔZ
Rは、以下のように見かけのインピーダンスZ
Rに関連する。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
しかしながら、故障位置「d」は、式(6)において依然として未知であり、したがってarg(IF)を求めることは簡単ではない。
【0019】
システムが均質であり、すなわち、ソースインピーダンスZsM212及びZsN222の位相角が線路インピーダンスの位相角にほぼ等しいと仮定すると、式(6)のD1を、計算からソースインピーダンスを排除するという犠牲において、実数であると近似することができる。これにより、以下の表現がもたらされる。
【0020】
【0021】
あるいは、故障位置「d」を、故障位置「d」を推定し、次いで偏差インピーダンス位相角および偏差インピーダンスΔZRを計算して、見かけのインピーダンスZRを訂正することを、収束に達し、見かけのインピーダンスのさらなる訂正が不要になるまで繰り返すことにより、シングルエンドの測定に基づいて推定することができる。そのような推定は、システムの性質についていかなる仮定も行わないが、偏差インピーダンスが大きい場合、収束が問題となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
概要
したがって、リモートインフィードおよび故障抵抗によるリアクタンス効果に対して距離保護を適応させるための方法、装置、およびシステムを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本開示は、距離保護システムを制御するための方法、装置、およびシステムに関する。とくには、本開示の方法は、コンピュータで実施されてもよい。
【0024】
本開示は、距離保護システムを制御するための方法であって、電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置における電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信することと、受信された測定値から第1のインピーダンスを計算することと、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することと、決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算することと、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することと、決定された故障位置または再決定された故障位置から距離保護システムを制御することと、を含む方法に関する。
【0025】
一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される第1の物理的距離を示す。一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である第1の物理的距離を示す。
【0026】
一実施形態によれば、本方法は、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することをさらに含み、第2のインピーダンス境界は、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから計算される。
【0027】
一実施形態によれば、本方法は、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することをさらに含み、第2のインピーダンス境界は、故障位置における故障の発生前に取得された測定値および/または少なくとも1つのインピーダンスから計算される。
【0028】
一実施形態によれば、第2のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される見かけの距離を示す。一実施形態によれば、見かけの距離は、伝送線路上に抵抗性故障が存在する場合における伝送線路に沿った第1の位置と見かけの位置との間の距離である。一実施形態によれば、見かけの位置は、とくには伝送線路上の抵抗性故障について、計算された第1のインピーダンスまたは式(1)の計算に基づいて距離保護によって知覚される最も遠いあり得る位置である。
【0029】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、少なくとも1つのインピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、少なくとも1つのインピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、受信された測定値および少なくとも1つのインピーダンスから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0030】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、および伝送線路の線路インピーダンスから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0031】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0032】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを近似することは、第3のインピーダンスの位相角の均質性に基づく近似に基づく。一実施形態によれば、第3のインピーダンスは、故障抵抗に起因する線路の故障セグメントのインピーダンスからの第1のインピーダンスの偏差である。一実施形態によれば、線路の故障セグメントのインピーダンスは、伝送線路上の第1の位置と故障の位置との間に含まれる線路インピーダンスの割合である。
【0033】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスであり、あるいは伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスを含む。
【0034】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から更新される。
【0035】
一実施形態によれば、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルは、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から推定および/または更新される。
【0036】
一実施形態によれば、故障位置における故障は、抵抗性故障である。
一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である第1の物理的距離を示す。
【0037】
一実施形態によれば、本方法は、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定することをさらに含む。
【0038】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することは、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0039】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0040】
一実施形態によれば、本方法は、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の外側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の外側にあると決定することをさらに含む。
【0041】
一実施形態によれば、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0042】
一実施形態によれば、本方法は、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定することをさらに含む。
【0043】
さらに、本開示は、電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置に配置された距離保護装置を備える距離保護システムを制御するための方法であって、距離保護装置によって、電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信することと、距離保護装置または電力システムによって、受信された測定値から第1のインピーダンスを計算することと、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することと、距離保護装置または電力システムによって、決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算することと、距離保護装置または電力システムによって、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することと、決定された故障位置または再決定された故障位置から距離保護システムを制御することと、を含む方法に関する。
【0044】
一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される第1の物理的距離を示す。一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である第1の物理的距離を示す。
【0045】
一実施形態によれば、本方法は、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することをさらに含み、第2のインピーダンス境界は、距離保護装置または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値および/または少なくとも1つのインピーダンスから計算される。
【0046】
一実施形態によれば、本方法は、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することをさらに含み、第2のインピーダンス境界は、距離保護装置または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから計算される。
【0047】
一実施形態によれば、第2のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される見かけの距離を示す。一実施形態によれば、見かけの距離は、伝送線路上に抵抗性故障が存在する場合における伝送線路に沿った第1の位置と見かけの位置との間の距離である。一実施形態によれば、見かけの位置は、とくには伝送線路上の抵抗性故障について、計算された第1のインピーダンスまたは式(1)の計算に基づいて距離保護によって知覚される最も遠いあり得る位置である。
【0048】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、距離保護装置または電力システムによって、少なくとも1つのインピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、距離保護装置または電力システムによって、少なくとも1つのインピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合には、距離保護装置または電力システムによって、受信された測定値および少なくとも1つのインピーダンスから故障位置を推定し、距離保護装置または電力システムによって、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0049】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合には、距離保護装置または電力システムによって、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、および伝送線路の線路インピーダンスから故障位置を推定し、距離保護装置または電力システムによって、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0050】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合には、距離保護装置または電力システムによって、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、あるいは伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから故障位置を推定し、距離保護装置または電力システムによって、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0051】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを近似することは、第3のインピーダンスの位相角の均質性に基づく近似に基づく。一実施形態によれば、第3のインピーダンスは、故障抵抗に起因する線路の故障セグメントのインピーダンスからの第1のインピーダンスの偏差である。一実施形態によれば、線路の故障セグメントのインピーダンスは、伝送線路上の第1の位置と故障の位置との間に含まれる線路インピーダンスの割合である。
【0052】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスであり、あるいは伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスを含む。
【0053】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から更新される。
【0054】
一実施形態によれば、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルは、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から推定および/または更新される。
【0055】
一実施形態によれば、故障位置における故障は、抵抗性故障である。
一実施形態によれば、第1の物理的距離は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である。
【0056】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することは、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0057】
一実施形態によれば、本方法は、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定することをさらに含む。
【0058】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0059】
一実施形態によれば、本方法は、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の外側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の外側にあると決定することをさらに含む。
【0060】
一実施形態によれば、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、距離保護装置または電力システムによって、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0061】
一実施形態によれば、本方法は、距離保護装置または電力システムによって、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定することをさらに含む。
【0062】
さらに、本開示は、電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置に配置された距離保護装置を備える距離保護システムを制御するための装置であって、例えば距離保護装置を介して、電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信し、受信された測定値から第1のインピーダンスを計算し、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定し、決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算し、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定し、決定された故障位置または再決定された故障位置から距離保護システムを制御するように構成されたプロセッサを備える装置に関する。
【0063】
一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される第1の物理的距離を示す。一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である第1の物理的距離を示す。
【0064】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定するようにさらに構成され、第2のインピーダンス境界は、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから計算される。
【0065】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定するようにさらに構成され、第2のインピーダンス境界は、故障位置における故障の発生前に取得された測定値および/または少なくとも1つのインピーダンスから計算される。
【0066】
一実施形態によれば、第2のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される見かけの距離を示す。一実施形態によれば、見かけの距離は、伝送線路上に抵抗性故障が存在する場合における伝送線路に沿った第1の位置と見かけの位置との間の距離である。一実施形態によれば、見かけの位置は、とくには伝送線路上の抵抗性故障について、計算された第1のインピーダンスまたは式(1)の計算に基づいて距離保護によって知覚される最も遠いあり得る位置である。
【0067】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスの計算は、少なくとも1つのインピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、少なくとも1つのインピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、受信された測定値および少なくとも1つのインピーダンスから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0068】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスの計算は、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、および伝送線路の線路インピーダンスから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0069】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスの計算は、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0070】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを近似することは、第3のインピーダンスの位相角の均質性に基づく近似に基づく。一実施形態によれば、第3のインピーダンスは、故障抵抗に起因する線路の故障セグメントのインピーダンスからの第1のインピーダンスの偏差である。一実施形態によれば、線路の故障セグメントのインピーダンスは、伝送線路上の第1の位置と故障の位置との間に含まれる線路インピーダンスの割合である。
【0071】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスであり、あるいは伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスを含む。
【0072】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から更新される。
【0073】
一実施形態によれば、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルは、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から推定および/または更新される。
【0074】
一実施形態によれば、故障位置における故障は、抵抗性故障である。
一実施形態によれば、第1の物理的距離は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である。
【0075】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することは、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0076】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定するようにさらに構成される。
【0077】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0078】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の外側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の外側にあると決定するようにさらに構成される。
【0079】
一実施形態によれば、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0080】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定するようにさらに構成される。
【0081】
さらに、本開示は、前述の装置のうちの少なくとも1つを備える電力システムに関する。
【0082】
とりわけ、提示される方法、装置、およびシステムは、距離リレー性能をその信頼性に関して改善する。さらに、この信頼性の向上は、リレーの安全性を保護しつつ達成される。提示される方法、装置、およびシステムは、リレー特性の修正のみに依存するものではない。本開示により、ベースゾーン特性に関して2レベルのチェックを確立させて、そのゾーン内の故障を確認することが可能である。さらに、本開示において、ネットワークの均質性は必要とされず、仮定もされない。提示される方法、装置、およびシステムは、コンバータによってインターフェースされた再生可能発電プラントに接続された伝送線路を排除するものではない。
【0083】
本明細書に開示される本開示の種々の例示的な実施形態は、以下の説明を参照し、添付の図面と併せて検討することによって容易に明らかになるであろう特徴の提示に関する。種々の実施形態によれば、例示的なシステム、方法、および装置が、本明細書に開示される。しかしながら、これらの実施形態が、限定ではなく、例として提示されていることが理解され、開示された実施形態に対するさまざまな修正が、本開示の技術的範囲から外れることなく可能であることは、本開示を検討した当業者にとって明らかであろう。
【0084】
したがって、本開示は、本明細書に記載および図示された例示的な実施形態および用途に限定されない。さらに、本明細書に開示される方法におけるステップの特定の順序および/または階層は、単なる例示的な手法にすぎない。設計の選好に基づいて、開示された方法またはプロセスのステップの特定の順序または階層を、本開示の技術的範囲から外れることなく再配置することが可能である。したがって、当業者であれば、本明細書に開示される方法および技術が、さまざまなステップまたは動作を見本としての順序にて提示しており、本開示が、とくに明記されない限り、提示される特定の順序または階層に限定されないことを、理解できるであろう。
【0085】
上記の態様および他の態様ならびにそれらの実施態様は、図面、説明、および特許請求の範囲においてさらに詳細に説明される。
【0086】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1a)】距離保護および保護対象の伝送線路の概要を示している。
【
図1b)】距離保護の従来の動作特性を示している。
【
図2】伝送線路の2ポート等価モデルを示している。
【
図3】距離保護の適応させた動作特性を示している。
【
図4】距離保護の適応させた見かけのインピーダンスの計算を示している。
【
図5】本開示の一実施形態による方法のフローチャートを示している。
【
図6a)】本開示の一実施形態による方法の概要を説明するフローチャートを示している。
【
図6b)】本開示の一実施形態による方法の概要を説明するフローチャートを示している。
【
図7】本開示の一実施形態による例示的なバス試験システムを示している。
【
図8】伝送線路の2ポート等価モデルの例示的な2ポート等価パラメータを示している。
【
図9a)】本開示の一実施形態による伝送線路に沿って配置されたリレーにおける電圧および電流の測定値を示している。
【
図9b)】本開示の一実施形態による距離保護の動作特性を示している。
【
図9c)】本開示の一実施形態による距離保護によって保護された伝送線路のゾーンのトリップ出力を示している。
【
図9d)】本開示の一実施形態による距離保護のシングルエンドの故障ロケータの出力を示している。
【
図10a)】本開示の一実施形態による伝送線路に沿って配置されたリレーにおける電圧および電流の測定値を示している。
【
図10b)】本開示の一実施形態による距離保護の動作特性を示している。
【
図10c)】本開示の一実施形態による距離保護によって保護された伝送線路のゾーンのトリップ出力を示している。
【
図10d)】本開示の一実施形態による距離保護のシングルエンドの故障ロケータの出力を示している。
【
図11a)】本開示の一実施形態による装置を示している。
【
図11b)】本開示の一実施形態による電力システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本開示の詳細な説明
図5が、本開示の一実施形態による方法のフローチャートを示している。本方法は、電力システム用の伝送線路の第1の位置に配置された距離保護装置を備える距離保護システムの制御に当てはまる。第1のブロックS501が、例えば距離保護装置によって、電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信することを実行する。「受信する」という表現は、「取得する」、「測定する」、「感知する」、などの表現と同じ意味を含み、あるいは有することができ、したがって、これらの表現と交換可能に使用され得ると、当業者によって理解される。第2のブロックS502が、例えば、距離保護装置または電力システムによって、受信された測定値から第1のインピーダンスを計算することを実行する。「計算する」という表現は、「決定する」などの表現と同じ意味を含み、あるいは有することができ、したがって、これらの表現と交換可能に使用され得ると、当業者によって理解される。第3のブロックS503が、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することを実行する。第4のブロックS504が、例えば距離保護装置または電力システムによって、決定された故障位置に応答して、第2のインピーダンスを計算することを実行する。第5のブロックS505が、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することを実行する。第6のブロックS506が、決定された故障位置または再決定された故障位置から距離保護システムを制御することを実行する。これを、例えば、距離保護装置または電力システムによって行うことができる。「から」という表現は、「に基づいて」、「を使用して」、などの表現と同じ意味を含み、あるいは有することができ、したがって、これらの表現と交換可能に使用され得ると、当業者によって理解される。
【0089】
一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される第1の物理的距離を示す。
【0090】
一実施形態によれば、本方法は、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することをさらに含み、第2のインピーダンス境界は、例えば、距離保護装置または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値および/または伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスから計算される。
【0091】
一実施形態によれば、本方法は、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することをさらに含み、第2のインピーダンス境界は、例えば、距離保護装置または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから計算される。
【0092】
一実施形態によれば、第2のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される見かけの距離を示す。一実施形態によれば、見かけの距離は、伝送線路上に抵抗性故障が存在する場合における伝送線路に沿った第1の位置と見かけの位置との間の距離である。一実施形態によれば、見かけの位置は、とくには伝送線路上の抵抗性故障について、計算された第1のインピーダンスまたは式(1)の計算に基づいて距離保護によって知覚される最も遠いあり得る位置である。
【0093】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、例えば、距離保護装置または電力システムによって、少なくとも1つのインピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、例えば、距離保護装置または電力システムによって、少なくとも1つのインピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合には、例えば、距離保護装置または電力システムによって、受信された測定値および少なくとも1つのインピーダンスから故障位置を推定し、例えば、距離保護装置または電力システムによって、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0094】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、例えば、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、例えば、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合には、例えば、距離保護装置または電力システムによって、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、および伝送線路の線路インピーダンス、および少なくとも1つのインピーダンスから故障位置を推定し、例えば、距離保護装置または電力システムによって、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0095】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを計算することは、例えば、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、例えば、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合には、例えば、距離保護装置または電力システムによって、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、あるいは伝送線路の線路インピーダンスおよび少なくとも1つのインピーダンスのうちの少なくとも1つから故障位置を推定し、例えば、距離保護装置または電力システムによって、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0096】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを近似することは、第3のインピーダンスの位相角の均質性に基づく近似に基づく。一実施形態によれば、第3のインピーダンスは、故障抵抗に起因する線路の故障セグメントのインピーダンスからの第1のインピーダンスの偏差である。一実施形態によれば、線路の故障セグメントのインピーダンスは、伝送線路上の第1の位置と故障の位置との間に含まれる線路インピーダンスの割合である。
【0097】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスであり、あるいは伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスを含む。
【0098】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、例えば、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から更新される。
【0099】
一実施形態によれば、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルは、例えば、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から推定および/または更新される。
【0100】
一実施形態によれば、故障位置における故障は、抵抗性故障である。
一実施形態によれば、第1の物理的距離は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である。
【0101】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することは、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0102】
一実施形態によれば、本方法は、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定することをさらに含む。
【0103】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0104】
一実施形態によれば、本方法は、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の外側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の外側にあると決定することをさらに含む。
【0105】
一実施形態によれば、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0106】
一実施形態によれば、本方法は、例えば、距離保護装置または電力システムによって、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定することをさらに含む。
【0107】
図6a)および
図6b)が、本開示の一実施形態による方法の概要を説明するフローチャートを示している。
図6の方法の実施形態は、とくには第1のブロックS501を実行することによってデータを取得し(610)、取得されたデータに基づいて故障を検出し(620)、検出された故障に基づいて位相を分類し(630)、とくには式(1)に従って見かけのインピーダンスZ
Rを計算する。この見かけのインピーダンスZ
Rが、650に示されるように、第1のベース境界151と比較される。一実施形態によれば、この比較は、前記見かけのインピーダンスZ
Rが第1のベース境界151の内側にあるかどうかをチェックすることを含む。一実施形態によれば、距離保護システムおよび/または距離保護システムに含まれる距離リレー111が、この比較(650)を実行する。加えて、610において取得されたデータは、故障前に取得されたデータの分析を実行する故障前分析ブロック612によって受信される(611)。分析は、2ポート等価物の推定または更新、ならびに第1のベース境界151の修正を含む。修正された第1のベース境界を、以下では、適応させた第1のベース境界301と称する。一実施形態によれば、適応させた第1のベース境界301は、第2のインピーダンス境界である。故障前分析ブロック612の出力は、内部適応計算ブロック660に送られる。
Z
Rが第1のベース境界151の内側に位置することが判明した場合、距離保護システムおよび/または距離保護システムに含まれる少なくとも1つの距離リレーは、ゾーン1 131で故障が検出されたとして、瞬時トリップ信号を生成する。Z
Rが第1のベース境界151の内側にない場合、内部適応計算ブロック660が実行される。内部適応計算ブロック660は、Z
Rが適応させた第1のベース境界301の内側にあるかどうかをチェックするための第1の判定ブロック661と、システムが均質であるかどうかを決定するための第2の判定ブロック662と、シングルエンドの測定値に基づいて故障位置「d」を推定するための第3のブロック663と、修正された見かけのインピーダンスZ
R
cを計算するための第4のブロック664とを含む。
【0108】
第1の判定ブロック661は、ZRが適合させた第1のベース境界301の内側にあるかどうかをチェックする。ZRが適応させた第1のベース境界301の内側にない場合、故障は、第1のゾーン1 131にはないと決定される。したがって、トリップ決定および制御は、オーバーリーチゾーン(2,3,...)によってオーバーテイクされる(ブロック665)。一実施形態によれば、第1の判定ブロック661は、距離保護システムおよび/または距離リレー111によって実行される。一実施形態によれば、故障位置は、オーバーリーチゾーン(ゾーン2、ゾーン3、など)に対応する距離保護システムおよび/または距離リレー111とは異なるさらなる距離リレーによってさらに再決定される。一実施形態によれば、距離保護システムおよび/またはさらなる距離リレーは、さらなる再決定された故障位置に基づいて制御される。
【0109】
ZRが適応させたゾーン1の境界の内側にある場合、距離保護が適用される電力システムの均質性が、とくには伝送線路「L」100の2ポート等価物の等価モデル200の少なくとも1つのインピーダンスに基づいて決定される。システムが均質である場合、すなわちソースインピーダンスZsM212及びZsN222が線路インピーダンスに対して同様の位相角(例えば、10°未満の偏差)を有することが分かった場合、修正された見かけのインピーダンスZR
cが、ブロック666に従って計算される。ZR
cは、第1の位置において取得された測定値、伝送線路の線路インピーダンス、および伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスに基づいて、故障位置(シングルエンドの故障位置)を最初に推定することによって計算される。すなわち、ZR
cは以下のように計算される。
【0110】
【0111】
【0112】
システムが不均質であると決定された場合、ZR
cは、第3のブロック663を実行することによって計算される。一実施形態によれば、前記ZR
cの計算方法は、リレー111において入手可能な電圧測定値および電流測定値と、2ポート等価モデル200の少なくとも1つのパラメータとに基づく。一実施形態によれば、前記ZR
cの計算方法は、相-地絡故障とは異なる任意の故障タイプに使用される。典型的には、前記ZR
cの計算方法は、故障過渡が減衰した後にのみ満足に機能し、それゆえに、例えば故障検出後1.5~2.5サイクルの遅延させたデータウィンドウを使用することができる。一実施形態によれば、前記遅延は、故障位置の合理的に正確な推定値(約5%未満)を得るために必要である。結果として得られる故障位置の推定値’destは、修正された見かけのインピーダンスZR
cに以下のように関係し、
【0113】
【0114】
最終的に、内部適応計算ブロック660は、とくには式(9)または式(10)にしたがってZR
cを計算し、これが、ブロック670において第1のベース境界と比較される。ZR
cが第1のベース境界151の内側に位置することが判明した場合、距離保護システムおよび/または距離保護システムに含まれる少なくとも1つの距離リレーは、ゾーン1 131で故障が検出されたとして、瞬時トリップ信号を生成する。ZRが第1のベース境界151の内側にない場合、故障は第1のゾーン1 131にはないと決定され、データの取得610に戻る。
【0115】
図6の方法は、適応させた第1のベース境界301を内部的に利用(第1の判定ブロック661)して、見かけのインピーダンスZ
Rが第1のベース境界151から本当に外れたかどうかを決定する。これは、適応させた第1のベース境界301が、システムの現時点の動作状態をよりよく表しているため、故障に関するリレーの管轄権を裁定するためのよりよい手段であるからである。Z
Rが適応させた第1のベース境界301の内側に存在しないことが、故障がゾーン1 131を越えていることを良好に保証する一方で、Z
Rが内側に存在することは、故障がゾーン1 131内にあるためであるか、あるいは適応させた第1のベース境界301が故障の第2のベース境界152にオーバーリーチしているためであるか、のいずれかであり得る。したがって、
図6の方法は、補償された見かけのインピーダンスZ
R
cに基づいてチェックを実施するために1ステップ先へと進む。そのようにする際に、利用可能な2ポート等価モデルパラメータを利用してシステムの均質性を評価することが提案され、なぜならば、望ましいことに、これは反復的な’d
estの推定に基づくZ
R
cの時間遅延計算を回避することができ、したがってゾーン1 131が(第1の判定ブロック661を実行するために必要であり得る)最小限の時間遅延で動作することができるからである。上述したように、システムが均質でない場合、ブロック663および664が実行され、数サイクルの時間遅延を伴うが、ゾーン1 131の正確な動作を保証する。一実施形態によれば、故障位置は、反復/収束の問題を有することなく「d」および「R
F」を計算するために二次方程式を解くことによって計算される。
図6の方法は、コンバータによってインターフェースされた再生可能発電プラントに接続された伝送線路への適用を、そのようなシステムを線路故障において
図2に示される2ポート等価モデル200によって表すことができる限りにおいて、排除するものではない。
【0116】
図7が、本開示の一実施形態による例示的なバス試験システムを示している。とくには、適応距離リレーのための
図6の方法が、
図7に示されるとおりのIEEE39バス試験システムに基づいて検討される。システムが、PSCADにおいてシミュレートされる。
【0117】
この例示の目的のために、バス26と27との間の伝送線路は、二重回路線路、すなわち、バス間を平行に走る2つの同一の線路と見なされる。線路間の相互結合もモデル化される。線路26~27の例示的なパラメータが、
図8に示される。
【0118】
ここで問題とする主たる線路は、バス26~27間の二重回路線路の回路Iである。バス26が、この事例研究に関して、リレーステーション「M」110と考えられる。バス27が、リモートエンドバス「N」120である。線路25~26は、ここでの例示に関して考慮される故障前動作状態において停止である(すなわち、動作から外される)と考えられる。本提案のスキームを実証するために、線路26~27(I)上で2つの故障シナリオが考慮される。シナリオ(1)においては、リレーバス26から70%の長さにおける線路上のA-G故障がシミュレートされ、故障抵抗は30Ωである。シナリオ(2)においては、リレーバス26から90%における故障がシミュレートされ、故障抵抗は20Ωである。シナリオ(1)の故障は、リレーのゾーン1の管轄にあり、シナリオ(2)の故障は、ゾーン2にある。したがって、リレーは、ゾーン1においてシナリオ(1)の故障のみを検出すべきである。シナリオ(1)およびシナリオ(2)を、それぞれ
図9および
図10に示す。
【0119】
図9a)は、本開示の一実施形態による伝送線路に沿って配置されたリレーにおける電圧測定値および電流測定値を示しており、
図9b)は、本開示の一実施形態による距離保護の動作特性を示している。とくに、
図9a)は、1.4秒において故障が発生したときにリレー端子「M」110において見られる電圧波形および電流波形を示しており、
図9b)は、ベースゾーン1 151(あるいは、第1のベース境界151ともいう)に対する見かけのインピーダンスZ
Rの位置を示している。リレーのゾーン1 131に位置するこの故障は、ベースゾーン1のトリップ境界151を逃れ、ゾーン2のトリップ境界152内にある。
【0120】
線路コリドール26~27を横切るネットワークの故障前2ポート等価パラメータを
図8に示す。これらのパラメータは、線路インピーダンスパラメータと共に、
図9b)にもプロットされている適応させたゾーン1の特性301(あるいは、適応させた第1のベース境界301ともいう)を構築するために使用される。Z
Rが適応させたゾーン1の内側にあり、したがって、この事例はさらなるチェックの価値があることを、見て取ることができる。
【0121】
線路インピーダンス位相角は、85°にほぼ等しい。バス26およびバス27におけるソースインピーダンスZsM212及びZsN222の位相角は、それぞれ65°および76°にほぼ等しい。線路インピーダンスとソースインピーダンスZsM212及びZsN222との間の位相角の差は、無視できるほどには小さくない。しかしながら、実証の目的のために、両方の手法が論じられ、すなわち、それぞれシステムを均質および不均質であるとみなすことによって論じられる。
【0122】
【0123】
あるいは、不均質なシステムが考慮され、これは、ブロック664に従って補償された見かけのインピーダンスZ
R
cを計算するために、ブロック663のような故障位置の推定を引き起こす。故障位置推定モジュールの結果が
図9d)に示されており、これを使用して、式(10)に基づいてZ
R
cが1.0206+j10.7159Ωになることが分かる。これが、不均質なシステムの補償された見かけのインピーダンスZ
R
CNHとして、
図9b)にプロットされている。Z
R
CNHのこの値は、実際のところ、故障した線路インピーダンスの良好な近似であり、したがって、Z
R
CNHがベースゾーン1トリップ境界151と比較されるときにリレーがより信頼性の高い判定を行う助けとなる。この場合、ゾーン1トリップ判定は、
図9c)に示されるように、故障位置の推定(ブロック663)のために2.5サイクルだけ遅延する。これは、依然として、ゾーン2 132内のさらなる故障位置判定に基づく20サイクルの遅延空白よりも良好である。ここで、均質性を仮定することによって見出されたZ
R
cの値もベースゾーン1境界151の内側にあり、したがって正しいトリップ判定をもたらすと主張することができる。しかしながら、一般に、故障した線路インピーダンスの不充分な近似に基づいてリレーがトリップ判定を行うことを許すと、誤動作を引き起こす可能性がある。この態様は、
図10に示されるように、シナリオ(2)で明らかになるであろう。
【0124】
図10a)は、本開示の一実施形態による伝送線路に沿って配置されたリレーにおける電圧測定値および電流測定値を示しており、
図10b)は、本開示の一実施形態による距離保護の動作特性を示している。とくに、
図10a)は、1.4秒において故障が発生したときにリレー端子「M」110において見られた電圧波形および電流波形を示している。
図10b)は、ベースリレー特性151(あるいは、第1のベース境界151ともいう)に対する見かけのインピーダンスZ
Rの位置を示している。この故障は、リレーのベースゾーン1トリップ境界151の外側にあり、ゾーン2 152内にある。
【0125】
【0126】
【0127】
図11a)が、本開示の一実施形態による装置を示している。装置1110は、電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置に配置された距離保護装置を備える距離保護システムを制御するための装置であり、装置1110は、電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信し、受信された測定値から第1のインピーダンスを計算し、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定し、決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算し、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定し、決定された故障位置または再決定された故障位置から距離保護システムを制御するように構成されたプロセッサ1111を備える。
【0128】
一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される第1の物理的距離を示す。一実施形態によれば、第1のインピーダンス境界は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である第1の物理的距離を示す。
【0129】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定するようにさらに構成され、第2のインピーダンス境界は、故障位置における故障の発生前に取得された測定値および/または少なくとも1つのインピーダンスから計算される。
【0130】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定するようにさらに構成され、第2のインピーダンス境界は、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから計算される。
【0131】
一実施形態によれば、第2のインピーダンス境界は、距離保護システムによって保護される見かけの距離を示す。一実施形態によれば、見かけの距離は、伝送線路上に抵抗性故障が存在する場合における伝送線路に沿った第1の位置と見かけの位置との間の距離である。一実施形態によれば、見かけの位置は、とくには伝送線路上の抵抗性故障について、計算された第1のインピーダンスまたは式(1)の計算に基づいて距離保護によって知覚される最も遠いあり得る位置である。
【0132】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスの計算は、少なくとも1つのインピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、距離保護装置または電力システムによって、少なくとも1つのインピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、受信された測定値および少なくとも1つのインピーダンスから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0133】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスの計算は、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび伝送線路の線路インピーダンスから第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、および伝送線路の線路インピーダンスから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0134】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスの計算は、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から電力システムの均質性を決定することと、電力システムが均質であると決定された場合に、距離保護装置または電力システムによって、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスまたは伝送線路の線路インピーダンスの少なくとも一方から第2のインピーダンスを近似し、電力システムが不均質であると決定された場合に、第1の位置において受信された測定値、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから故障位置を推定し、推定された故障位置から第2のインピーダンスを計算することとを含む。
【0135】
一実施形態によれば、第2のインピーダンスを近似することは、第3のインピーダンスの位相角の均質性に基づく近似に基づく。一実施形態によれば、第3のインピーダンスは、故障抵抗に起因する線路の故障セグメントのインピーダンスからの第1のインピーダンスの偏差である。一実施形態によれば、線路の故障セグメントのインピーダンスは、伝送線路上の第1の位置と故障の位置との間に含まれる線路インピーダンスの割合である。
【0136】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスであり、あるいは伝送線路の線路インピーダンスまたは伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスを含む。
【0137】
一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンスは、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から更新される。
【0138】
一実施形態によれば、伝送線路の2ポート等価物の等価モデルは、距離保護または電力システムによって、故障位置における故障の発生の前に取得された測定値から推定および/または更新される。
【0139】
一実施形態によれば、故障位置における故障は、抵抗性故障である。
一実施形態によれば、第1の物理的距離は、伝送線路に沿った第1の位置と第2の位置との間の距離である。
【0140】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することは、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0141】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定するようにさらに構成される。
【0142】
一実施形態によれば、計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0143】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第1のインピーダンスが第2のインピーダンス境界の外側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の外側にあると決定するようにさらに構成される。
【0144】
一実施形態によれば、計算された第2のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を再決定することは、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む。
【0145】
一実施形態によれば、プロセッサは、計算された第2のインピーダンスが第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、故障位置が第1の物理的距離の内側にあると決定するようにさらに構成される。
【0146】
図11b)が、本開示の一実施形態による電力システムを示している。電力システム1100は、装置1110によって制御される距離保護システムによって保護される伝送線路1120を備え、装置1110は、上述の実施形態のいずれかを実行するように構成されるプロセッサ1111を備える。
【0147】
以下で、本開示の例示的な実施形態が説明される。説明された実施形態のうちのいずれかの実施形態のいくつかの態様が、そのようでないと明記されず、あるいはそのようでないことが明白でない限り、いくつかの他の実施形態においても見られ得ることに留意されたい。しかしながら、了解度を高めるために、各々の態様は、最初に言及されたときにのみ詳細に説明され、同じ態様の繰り返しの説明は省略される。
【0148】
本開示のさまざまな実施形態を上述したが、それらは限定ではなく、あくまでも例として提示されていることを理解されたい。同様に、種々の図は、例示的なアーキテクチャまたは構成を示しているかもしれないが、それらは、本開示の例示的な特徴および機能の理解を当業者にとって可能にするために提示されている。しかしながら、当業者であれば、本開示が図示された例示的なアーキテクチャまたは構成に限定されず、さまざまな代替のアーキテクチャおよび構成を使用して実施可能であることを、理解できるであろう。さらに、当業者であれば理解できるとおり、一実施形態の1つ以上の特徴を、本明細書に記載の別の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。したがって、本開示の幅および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0149】
また、「第1の」、「第2の」、などの指定を用いた本明細書における要素へのいかなる言及も、一般に、それらの要素の量または順序を限定するものではないと理解される。むしろ、これらの指定は、本明細書において、2つ以上の要素または要素の例を区別する便利な手段として使用することができる。したがって、第1および第2の要素への言及は、2つの要素のみを使用できることを意味せず、第1の要素が何らかのやり方で第2の要素に先行しなければならないことも意味しない。
【0150】
さらに、当業者であれば、情報および信号をさまざまな異なる技術および技法のいずれかを使用して表すことができることを、理解できるであろう。例えば、上記の説明で言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、およびシンボルを、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光場または光粒子、あるいはこれらの任意の組み合わせによって表すことができる。
【0151】
さらに、当業者であれば、本明細書に開示された態様に関連して説明されたさまざまな例示的な論理ブロック、ユニット、プロセッサ、手段、回路、方法、および機能のいずれも、電子ハードウェア(例えば、デジタル実装、アナログ実装、または両者の組み合わせ)、ファームウェア、命令を組み込んださまざまな形態のプログラムまたは設計コード(本明細書では、便宜上、「ソフトウェア」または「ソフトウェアユニット」と呼ぶことができる)、あるいはこれらの技術の任意の組み合わせによって実現できることを、理解できるであろう。
【0152】
ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアのこの入れ換えの可能性を明確に示すために、種々の例示的な構成要素、ブロック、ユニット、回路、およびステップが、おおむねそれらの機能に関して上述されている。そのような機能がハードウェアとして実装されるか、ファームウェアとして実装されるか、ソフトウェアとして実装されるか、あるいはこれらの技術の組み合わせとして実装されるかは、システム全体に課される特定の用途および設計の制約に依存する。当業者であれば、記載された機能を、各々の特定の用途に合ったさまざまなやり方で実施することができるが、そのような実施の決定は、本開示の範囲からの逸脱を生じるものではない。種々の実施形態によれば、プロセッサ、デバイス、構成要素、回路、構造、機械、ユニット、などを、本明細書に記載の機能または方法のうちの1つ以上を実行するように構成することができる。指定の動作または機能に関して本明細書で使用される「ように構成され」または「に合わせて構成され」という用語は、指定の動作または機能を実行するように物理的に構築され、プログラムされ、かつ/または配置されたプロセッサ、デバイス、構成要素、回路、構造、機械、ユニット、などを指す。
【0153】
さらに、当業者であれば、本明細書に記載のさまざまな例示的な方法、論理ブロック、ユニット、デバイス、構成要素、および回路を、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、あるいはこれらの任意の組み合わせを含むことができる集積回路(IC)内に実装することができ、あるいはそのような集積回路(IC)によって実行できることを、理解できるであろう。論理ブロック、ユニット、および回路は、ネットワーク内またはデバイス内の種々の構成要素と通信するためのアンテナおよび/またはトランシーバをさらに含むことができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、代案において、プロセッサは、任意の従来からのプロセッサ、コントローラ、または状態機械であってよい。また、プロセッサを、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ以上のマイクロプロセッサ、あるいは本明細書に記載の機能を実行するための任意の他の適切な構成など、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実現することも可能である。ソフトウェアで実現される場合、機能をコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして格納することができる。したがって、本明細書に開示される方法またはアルゴリズムのステップを、コンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアとして実現することができる。
【0154】
コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムまたはコードを或る場所から別の場所へと運ぶことを可能にすることができるあらゆる媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータにとってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってよい。これらに限られるわけではないが、例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを格納するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができる。
【0155】
さらに、本開示の実施形態において、メモリまたは他の記憶装置、ならびに通信構成要素を使用することができる。分かりやすくする目的で、上記の説明が、本開示の実施形態を、異なる機能ユニットおよびプロセッサに関して説明していることを、理解できるであろう。しかしながら、本開示から外れることなく、異なる機能ユニット、処理論理要素、またはドメイン間の機能の任意の適切な分配を使用してよいことは、明らかであろう。例えば、別々の処理論理要素またはコントローラによって実行されるように例示された機能を、同じ処理論理要素またはコントローラによって実行してもよい。したがって、特定の機能ユニットへの言及は、厳密な論理的または物理的構造または組織を示すのではなく、記載された機能を提供するための適切な手段への言及にすぎない。
【0156】
本開示に記載された実施態様に対するさまざまな変更が、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施態様に適用することが可能である。したがって、本開示は、本明細書に示される実施態様に限定されるようには意図されておらず、むしろ以下の特許請求の範囲に記載されるように、本明細書に開示される新規な特徴および原理に矛盾しない最も広い範囲が与えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離保護システムを制御するための方法であって、
電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置における電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信することと、
前記受信された測定値から第1のインピーダンスを計算することと、
前記計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定することと、
前記決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算することと、
前記計算された第2のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定することと、
前記決定された故障位置または前記再決定された故障位置から前記距離保護システムを制御することと
を含む方法。
【請求項2】
前記計算された第1のインピーダンスおよび第2のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定すること
をさらに含み、
前記第2のインピーダンス境界は、前記故障位置における故障の発生の前に取得された前記測定値、前記伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンス、または前記伝送線路の線路インピーダンスのうちの少なくとも1つから計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のインピーダンスを計算することは、
前記伝送線路の2ポート等価物の等価モデルの少なくとも1つのインピーダンスおよび前記伝送線路の線路インピーダンスから前記電力システムの均質性を決定することと、
前記電力システムが均質であると決定された場合に、前記伝送線路の前記2ポート等価物の前記等価モデルの前記少なくとも1つのインピーダンスおよび前記伝送線路の前記線路インピーダンスから前記第2のインピーダンスを近似し、前記電力システムが不均質であると決定された場合に、前記第1の位置において受信された前記測定値、前記伝送線路の前記2ポート等価物の前記等価モデルの前記少なくとも1つのインピーダンス、および前記伝送線路の前記線路インピーダンスから前記故障位置を推定し、前記推定された故障位置から前記第2のインピーダンスを計算することと
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記伝送線路の前記2ポート等価物の前記等価モデルは、前記故障位置における故障の発生の前に取得された前記測定値から推定および/または更新される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のインピーダンス境界は、前記伝送線路に沿った前記第1の位置と第2の位置との間の距離である第1の物理的距離を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記計算された第1のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、前記故障位置が前記第1の物理的距離の内側にあると決定すること
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算された第1のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を決定することは、前記計算された第1のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記計算された第1のインピーダンスおよび前記第2のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定することは、前記計算された第1のインピーダンスが前記第2のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記計算された第1のインピーダンスが前記第2のインピーダンス境界の外側にあるとき、前記故障位置が前記第1の物理的距離の外側にあると決定すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記計算された第2のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定することは、前記計算された第2のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるかどうかを決定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記計算された第2のインピーダンスが前記第1のインピーダンス境界の内側にあるとき、前記故障位置が前記第1の物理的距離の内側にあると決定すること
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置に配置された距離保護装置を備える距離保護システムを制御するための装置であって、
電力システム用の伝送線路に沿った第1の位置における電流測定値および/または電圧測定値を含む測定値を受信し、
前記受信された測定値から第1のインピーダンスを計算し、
前記計算された第1のインピーダンスおよび第1のインピーダンス境界から故障位置を決定し、
前記決定された故障位置に応答して第2のインピーダンスを計算し、
前記計算された第2のインピーダンスおよび前記第1のインピーダンス境界から前記故障位置を再決定し、
前記決定された故障位置または前記再決定された故障位置から前記距離保護システムを制御する
ように構成されたプロセッサを備える、装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、請求項2に記載の方法を実行するようにさらに構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
伝送線路と、請求項13に記載の装置とを備える電力システム。
【外国語明細書】