(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155914
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/068 20120101AFI20231016BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20231016BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L31/04 260
H01L31/04 440
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083541
(22)【出願日】2023-05-20
(62)【分割の表示】P 2022097820の分割
【原出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】202210377280.2
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519095533
【氏名又は名称】ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】楊楠楠
(72)【発明者】
【氏名】張臨安
(72)【発明者】
【氏名】廖光明
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA16
5F251CB20
5F251CB27
5F251DA03
5F251DA20
5F251FA17
5F251FA25
5F251GA14
5F251HA03
(57)【要約】
【課題】本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【解決手段】太陽電池は、ベースと、ベースの第1面に位置しかつベースから離れる方向に順次設置された、窒素およびリンを含有するトンネル酸化層、ドープ導電層と、ベース内に位置し、トンネル酸化層におけるベースに向かう側の面と接触し、ベースと同じ導電型のドーピング元素を有し、かつ、トンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度がトンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度よりも大きいドーピング表面フィールドと、ドープ導電層と電気的に接続された金属電極と、を備える。本願実施例は、太陽電池の信頼性を向上させるのに有利である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの第1面に位置しかつ前記ベースから離れる方向に順次設置された、窒素およびリンを含有するトンネル酸化層、ドープ導電層と、
前記ベース内に位置し、前記トンネル酸化層における前記ベースに向かう側の面と接触し、前記ベースと同じ導電型のドーピング元素を有し、かつ、前記トンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度が、前記トンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度よりも大きいドーピング表面フィールドと、
前記ドープ導電層と電気的に接続された金属電極と、を備え、
前記トンネル酸化層では、y/(x+y)<15%の関係式を満足し、ここで、xは、酸素の含有量を表し、yは窒素の含有量を表す、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記ベースは、第1エリアを含み、
前記第1エリアは、前記ベースにおける前記ドーピング表面フィールド以外の領域であり、
前記ドーピング表面フィールドのドーピング濃度は前記第1エリアのドーピング濃度よりも大きく、かつ、前記ドーピング表面フィールドのドーピング濃度は前記ドープ導電層のドーピング濃度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1エリアのドーピング濃度と前記ドーピング表面フィールドのドーピング濃度との比は、1:10000~1:1000である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記ドーピング表面フィールドのドーピング濃度と前記ドープ導電層のドーピング濃度との比は、1:100~1:10である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記ドーピング表面フィールドの前記トンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度と、前記ドーピング表面フィールドの前記トンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度との比は、1:1000~1:10である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記トンネル酸化層に沿って前記ベースに向かう方向において、前記ドーピング表面フィールドのドーピング濃度は、徐々に減少している、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記トンネル酸化層に沿って前記ベースに向かう方向において、前記ドーピング表面フィールドの厚さは、20nm~60nmである、
ことを特徴とする請求項1または5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記金属電極の少なくとも一部は、前記トンネル酸化層を貫通して、前記ドーピング表面フィールドで被覆されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記金属電極に対応する前記ベースの少なくとも一部が、前記トンネル酸化層を貫通し、前記トンネル酸化層を貫通した前記ベースに位置する前記ドーピング表面フィールドが、前記金属電極と接触している、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記金属電極と接触している前記ドーピング表面フィールドの表面は、凹凸表面である、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記凹凸表面の幅は、前記金属電極の幅よりも小さい、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆う封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れた面を覆うカバープレートと、を備える、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項13】
ベースを提供することと、
前記ベースの第1面に、前記ベースから離れる方向に、窒素およびリンを含有するトンネル酸化層と、ドープ導電層とが順次に形成されることと、
前記ベース内に位置し、前記トンネル酸化層における前記ベースに向かう側の面と接触し、前記ベースと同じ導電型のドーピング元素を有し、かつ、前記トンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度が前記トンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度よりも大きい、ドーピング表面フィールドが形成されることと、
前記ドープ導電層と電気的に接続された金属電極が形成されることと、を含み、
前記トンネル酸化層では、y/(x+y)<15%の関係式を満足し、ここで、xは、酸素の含有量を表し、yは窒素の含有量を表す、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記トンネル酸化層、前記ドープ導電層が形成されるステップの前に、前記ドーピング表面フィールドを形成し、前記ドーピング表面フィールドを形成する方法は、
第1ドーピングイオンを有する前記ベースに対してドーピングを行うことと、
前記ベースの第1面に対して拡散処理を行い、第2ドーピングイオンを有する前記ドーピング表面フィールドを形成することと、を含み、
そのうち、前記第1ドーピングイオンと前記第2ドーピングイオンとは同じ導電型であり、前記第1ドーピングイオンの濃度は前記第2ドーピングイオンの濃度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記第1ドーピングイオンのドーピング濃度は、1×1016atoms/cm3~1×1017atoms/cm3であり、
前記第2ドーピングイオンのドーピング濃度は、1×1019atoms/cm3~9×1020atoms/cm3である、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記の前記ドーピングイオン表面フィールドを形成した後、前記トンネル酸化層及び前記ドープ導電層を形成し、前記トンネル酸化層及び前記ドープ導電層を形成する方法は、
前記ドーピング表面フィールドの表面に、酸化プロセスによってトンネル酸化層を形成することと、
前記トンネル酸化層の表面に、初期導電層を堆積させることと、
前記初期導電層に対して拡散処理を行い、第3ドーピングイオンを有する前記ドープ導電層を形成することと、を含み、
そのうち、前記第3ドーピングイオンと前記第2ドーピングイオンとは同じ導電型であり、前記第3ドーピングイオンのドーピング濃度は前記第2ドーピングイオンのドーピング濃度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記第3ドーピングイオンのドーピング濃度は、1atoms/cm3~1×1020atoms/cm3である、
ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記トンネル酸化層が窒素及びリンを含有するように形成する方法は、
前記ベースの第1面を熱酸化して、初期酸化層を形成することと、
前記初期酸化層に対してリン拡散を行い、リンを含有する第1酸化層を形成することと、
前記第1酸化層に対して窒素ドーピングを行い、前記トンネル酸化層を形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の分野に関し、特に太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、優れた光電変換能力を有し、一般的に、ベースの表面にトンネル酸化層およびドープ導電層を作製し、太陽電池におけるベースの表面のキャリア再結合を抑制し、ベースに対するパッシベーション効果を高める。そのうち、トンネル酸化層は優れた化学的なパッシベーシヨン効果を有し、ド一プ導電層は優れたフィールドパッシベーシヨン効果を有している。また、太陽電池で生成した光生成キャリアを輸送し、収集するために、一部のベースの表面に電極を用意することもある。
【0003】
しかしながら、現在製造されている太陽電池は、信頼性が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、少なくとも太陽電池の直列抵抗の低減に有利である太陽電池およびその製造方法、光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願実施例は、太陽電池を提供し、ベースと、ベースの第1面に位置しかつベースから離れる方向に順次設置された、窒素およびリンを含有するトンネル酸化層、ドープ導電層と、ベース内に位置し、トンネル酸化層におけるベースに向かう側の面と接触し、ベースと同じ導電型のドーピング元素を有し、かつ、トンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度がトンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度よりも大きいドーピング表面フィールドと、ドープ導電層と電気的に接続された金属電極と、を備える。
【0006】
また、ベースは、第1エリアを含み、第1エリアは、ベースにおけるドーピング表面フィールド以外の領域であり、ドーピング表面フィールドのドーピング濃度は第1エリアのドーピング濃度よりも大きく、かつ、ドーピング表面フィールドのドーピング濃度はドープ導電層のドーピング濃度よりも小さい。
【0007】
また、第1エリアのドーピング濃度と前記ドーピング表面フィールドのドーピング濃度との比は、1:10000~1:1000である。
【0008】
また、ドーピング表面フィールドのドーピング濃度とドープ導電層のドーピング濃度との比は、1:100~1:10である。
【0009】
また、ドーピング表面フィールドのトンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度と、ドーピング表面フィールドのトンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度との比は、1:1000~1:10である。
【0010】
また、トンネル酸化層に沿ってベースに向かう方向において、ドーピング表面フィールドのドーピング濃度は、徐々に減少している。
【0011】
また、トンネル酸化層に沿ってベースに向かう方向において、ドーピング表面フィールドの厚さは、20nm~60nmである。
【0012】
また、金属電極の少なくとも一部は、前記トンネル酸化層を貫通して、ドーピング表面フィールドで被覆されている。
【0013】
また、金属電極に対応するベースの少なくとも一部が、前記トンネル酸化層を貫通し、トンネル酸化層を貫通したベースに位置するドーピング表面フィールドが、金属電極と接触している。
【0014】
また、金属電極と接触しているドーピング表面フィールドの表面は、凹凸表面である。
【0015】
また、凹凸表面の幅は、金属電極の幅よりも小さい。
【0016】
これに応じて、本願実施例は光起電力モジュールをさらに提供し、上記のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆う封止層と、封止層のセルストリングから離れた面を覆うカバープレートと、を備える。
【0017】
これに応じて、本願実施例は太陽電池の製造方法をさらに提供し、ベースを提供することと、ベースの第1面に、ベースから離れる方向に、窒素およびリンを含有するトンネル酸化層と、ドープ導電層とが順次に形成されることと、ベース内に位置し、トンネル酸化層におけるベースに向かう側の面と接触し、ベースと同じ導電型のドーピング元素を有し、かつ、トンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度がトンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度よりも大きい、ドーピング表面フィールドが形成されることと、ドープ導電層と電気的に接続された金属電極が形成されることと、を含む。
【0018】
また、トンネル酸化層、ドープ導電層が形成されるステップの前に、ドーピング表面フィールドを形成し、ドーピング表面フィールドを形成する方法は、第1ドーピングイオンを有するベースに対してドーピングを行うことと、ベースの第1面に対して拡散処理を行い、第2ドーピングイオンを有するドーピング表面フィールドを形成することと、を含み、そのうち、第1ドーピングイオンと第2ドーピングイオンとは同じ導電型であり、第1ドーピングイオンの濃度は第2ドーピングイオンの濃度よりも小さい。
【0019】
また、第1ドーピングイオンのドーピング濃度は、1×1016atoms/cm3~1×1017atoms/cm3であり、第2ドーピングイオンのドーピング濃度は、1×1019atoms/cm3~9×1020atoms/cm3である。
【0020】
ドーピングイオン表面フィールドを形成した後、トンネル酸化層及びドープ導電層を形成し、トンネル酸化層及びドープ導電層を形成する方法は、ドーピング表面フィールドの表面に、酸化プロセスによってトンネル酸化層を形成することと、トンネル酸化層の表面に、初期導電層を堆積させることと、初期導電層に対して拡散処理を行い、第3ドーピングイオンを有するドープ導電層を形成することと、を含み、そのうち、第3ドーピングイオンと第2ドーピングイオンとは同じ導電型であり、第3ドーピングイオンのドーピング濃度は第2ドーピングイオンのドーピング濃度よりも大きい。
【0021】
また、第3ドーピングイオンのドーピング濃度は、1atoms/cm3~1×1020atoms/cm3である。
【0022】
また、トンネル酸化層が窒素及びリンを含有するように形成する方法は、ベースの第1面を熱酸化して、初期酸化層を形成することと、初期酸化層に対してリン拡散を行い、リンを含有する第1酸化層を形成することと、第1酸化層に対して窒素ドーピングを行い、トンネル酸化層を形成することと、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本願の実施例によって提供される技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0024】
本願実施例によって提供される太陽電池の技術案では、トンネル酸化層が窒素およびリンを含有し、窒素のドーピングは、トンネル酸化層の界面の誘電率を増加させ、パッシベーション効果を高め、開放電圧を向上させることができ、リンのドーピングは、電子のトンネル電流を高め、電池の内部抵抗を低減させることができるので、トンネル酸化層全体のパッシベーション効果を向上させ、ベースに金属電極が突き抜けても、トンネル酸化層の良好なパッシベーション性能を保つことができる。トンネル酸化層におけるベースに向かう側の表面と接触し、ベースと同一の導電型のドーピング元素を有するドーピング表面フィールドを、ベース内に設けることにより、多数キャリアの横方向輸送を増強し、電池の直列抵抗を低減する。また、形成されたドーピング表面フィールドが金属電極に対応するため、金属電極を作製する過程に、金属電極がトンネル酸化層を貫通してベースと直接接触しても、ベース内に位置するドーピング表面フィールドが金属電極を被覆することができ、ベースに位置する金属電極に対して良好な界面パッシベーシヨン効果が奏され、金属電極とベースとの界面再結合が低減される。そして、ドーピング表面フィールドのトンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度がドーピング表面フィールドのトンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度よりも大きくなるように設ける、すなわちドーピング表面フィールドにドーピング濃度差を設置することにより、金属電極がトンネル酸化層を貫通してドーピング表面フィールドで覆われた際に、濃度差の存在により、金属電極を介して輸送されたキャリアを円滑にベースに輸送させることができ、キャリアの輸送効率を高めることができる。よって、本願が提供する技術案では、ドーピング表面フィールドの設置と、トンネル酸化層に窒素およびリンを添加することとにより、金属電極がベースまでトンネル酸化層を貫通しても、太陽電池は良好な性能を維持することができ、太陽電池の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。
【
図1】
図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施例に係る太陽電池の他の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の別の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本願の一実施例に係る太陽電池のさらに別の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるベースの提供に対応する構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるエミッタの形成ステップに対応する構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるドーピング表面フィールドの形成ステップに対応する構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法におけるトンネル酸化層およびドープ導電層の形成ステップに対応する構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法における反射防止層の形成ステップに対応する構成を示す図である。
【
図11】
図11は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法における第1パッシベーション層の形成ステップに対応する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
背景技術から分かるように、現在、太陽電池の信頼性が低いという問題がある。
【0027】
分析したところ、太陽電池の信頼性が低い原因の一つとして、現在では太陽電池の製造プロセスにおいて、ベースの裏面にトンネル酸化層およびドープ導電層を作製し、トンネル酸化層が良いフィールドパッシベーション効果を有していることを見出した。同時に、ベースの裏面に金属電極を作製する必要があり、通常、金属電極はトンネル酸化層を貫通せず、ドープ導電層のみと接触して、トンネル酸化層の良好なパッシベーシヨン効果を保っている。しかしながら、製造プロセスによっては、金属電極が部分的にトンネル酸化層を貫通してベースと直接接触し、その結果、金属電極とベースとの界面での再結合が激しくなり、電池の開放電圧が低下し、セル効率が低下し、太陽電池の信頼性が低下してしまう。
【0028】
本願実施例によって提供される太陽電池は、トンネル酸化層全体のパッシベーション効果を向上させるように、トンネル酸化層が窒素及びリンを含有しており、金属電極がトンネル酸化層を貫通しても、貫通されたトンネル酸化層はベースのパッシベーション要求を満たすことができる。トンネル酸化層におけるベースに向かう側の表面と接触し、ベースと同一の導電型のドーピング元素を有するドーピング表面フィールドを、ベース内に設けることにより、多数キャリアの横方向輸送を増強し、電池の直列抵抗を低減する。このように、金属電極がトンネル酸化層を貫通してベースと直接接触しても、ベース内に位置するドーピング表面フィールドが金属電極を被覆でき、ベースに位置する金属電極に対して良好な界面パッシベーション効果が奏され、金属電極とベースとの界面再結合が低減される。また、ドーピング表面フィールドのトンネル酸化層に向かう側のドーピング濃度がドーピング表面フィールドのトンネル酸化層から離れる側のドーピング濃度よりも大きくなるように設ける、すなわちドーピング表面フィールドにドーピング濃度差を設置することにより、金属電極を介して輸送されたキャリアを円滑にベースに輸送させることができ、キャリアの輸送効率を高めることができる。よって、金属電極がベースまで貫通しても、太陽電池の性能が良く保たれ、太陽電池の信頼性が向上する。
【0029】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、以下の各実施例に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0030】
図1は本願の一実施例に係る太陽電池の構成を示す図である。
【0031】
図1を参照して、太陽電池は、ベース100と、ベース100の第1面に位置しかつベース100から離れる方向に順次設置された、窒素およびリンを含有するトンネル酸化層110、ドープ導電層120と、ベース100内に位置し、トンネル酸化層110におけるベース100に向かう側の面と接触し、ベース100と同じ導電型のドーピング元素を有し、かつ、トンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度がトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度よりも大きいドーピング表面フィールド2と、ドープ導電層120と電気的に接続された金属電極150と、を備える。
【0032】
ベース100は、入射光を吸収して光生成キャリアを生成するためのものである。いくつかの実施例において、ベース100は、シリコンベース100であってもよく、シリコンベース100の材料は、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンの少なくとも一種を含み得る。他のいくつかの実施例において、ベース100の材料は、炭化ケイ素、有機材料、または多価化合物の少なくとも一種であってもよく、多価化合物は、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、またはセレン化銅インジウム等を含む。
【0033】
いくつかの実施例において、太陽電池は、TOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化層110パッシベーシヨンコンタクト)セルであり、ベース100は、第1面に対向する第2面をさらに有し、ベース100の第1面および第2面は、いずれも入射光または反射光を受光することに使用できる。いくつかの実施例において、ベース100の第2面は、入射光線に対する反射率が小さく、光の吸収利用率が大きくなるように、ピラミッドテクスチャ面としてもよい。ベース100の第1面は、例えばほぼ積層された段差形態ようなの非ピラミッドテクスチャ面とすることができ、これにより、ベース100の第1面に位置するトンネル酸化層110が高い緻密さ及び均一性を有し、トンネル酸化層110がベース100の第1面に対して良好なパッシベーション効果を有する。いくつかの実施例において、第1面は、ベース100の裏面であり、第2面は、ベース100の表面であってもよい。他の幾つかの実施例において、第1面はベース100の表面であってもよく、これで、第2面はベース100の裏面である。
【0034】
いくつかの実施例において、ベース100は、N型の半導体ベース100であり、すなわち、ベース100内にN型のドーピングイオンがドーピングされており、N型のドーピングイオンは、リンイオン、ヒ素イオン、またはアンチモンイオンのいずれかであってもよい。ベース100の第2面にエミッタを有し、エミッタは、P型イオンがドーピングされたP型のドーピング層であってもよく、エミッタは、ベース100とPN接合を形成する。いくつかの実施例において、エミッタは、ベース100の表層にP型イオンの拡散ドーピングを行うことによって得られ、ドーピングされた一部のベース100がエミッタに変換される。具体的には、いくつかの実施例において、P型イオンは、ホウ素イオンであり得る。
【0035】
トンネル酸化層110およびドープ導電層120をパッシベーシヨンコンタクト層とすることができ、ベース100の界面再結合および金属接触再結合を効果的に低減することができる。同時に、ドープ導電層120は、金属電極150とオーミックコンタクトを形成し、金属電極150がベース100にキャリアを収集して転送するとともに、ベース100に対するトンネル酸化層110の良好な界面パッシベーシヨン効果を維持し、具体的には、ベース100表面のダングリングボンドを飽和させることで、ベース100表面の界面欠陥状態密度を低下させ、ベース100表面の再結合中心を減少させてキャリア再結合レートを低下させる。
【0036】
しかしながら、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通すると、トンネル酸化層110の構成が破壊され、トンネル酸化層110とベース100の第1面との接触面積が小さくなり、トンネル酸化層110の界面パッシベーション効果は大幅に弱められる。以上のことから、本願実施例は、トンネル酸化層110に窒素およびリンを添加し、トンネル酸化層110のパッシベーション効果を高めることで、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通した後も、トンネル酸化層110は依然として、ベース100の界面パッシベーション要求を満たすことができる。具体的には、窒素のドーピングにより、トンネル酸化層110の界面の誘電率を向上させ、パッシベーション効果を向上させることができる。窒素のドーピング後、太陽電池の内部抵抗の増大を招く恐れがあることを考慮すると、同時にトンネル酸化層110にリンをドーピングして、トンネル酸化層110のバンドギヤップにおける伝導帯寄りの位置にドナー不純物エネルギー準位を発生させ、キャリアのトンネル電流を高くし、直列抵抗を低減する。すなわち、窒素とリンの同時ドーピングにより、トンネル酸化層110のパッシベーション効果を向上させるとともに、太陽電池の直列抵抗を上昇させることがない。
【0037】
いくつかの実施例において、トンネル酸化層110の材料は、酸化シリコンであってもよく、窒素をドーピングした後、酸化シリコンがSiOxNyに転化するが、トンネル酸化層110の良好なパッシベーション性能を維持するためには、窒素の含有量を合理的に設定する必要がある。これは、窒素の含有量が増加していくにつれて、窒素ドープ酸化シリコン層の界面がSi‐SiOx結合からSi‐SiNyへ変化し、SiNxが有する格子定数及び熱膨張係数とシリコンとの適合率が大きく、窒素ドープ酸化シリコン層における欠陥の形成が多いためである。これに基づいて、y/(x+y)<15%とし、この範囲において、窒素の金含有量は、トンネル酸化層110に多くの欠陥が形成されることを防ぎ、キャリアの移動度を向上させることができる。なお、xは、酸素元素の含有量を表し、yはN元素の含有量を表す。
【0038】
いくつかの実施例において、トンネル酸化層110におけるリンドーピングの濃度は、好ましくは1×1010/cm3~1×1018/cm3であり、たとえば1×1010/cm3、1×1011/cm3、1×1012/cm3、1×1013/cm3、1×1014/cm3、1×1015/cm3、1×1016/cm3、1×1017/cm3、1×1018/cm3であってもよい。このドーピング濃度範囲において、トンネル酸化層110中のリンは、トンネル酸化層110における不純物欠陥の発生を回避または低減させることができるので、トンネル酸化層110内で輸送されるキャリアがより高いトンネル電流を有することを確保できる。
【0039】
ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度がドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度よりも大きくなるように設ける、すなわちドーピング表面フィールド2にドーピング濃度差を設置することにより、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通してドーピング表面フィールド2で覆われた際に、濃度差の存在により、金属電極150を介して輸送されたキャリアを円滑にベース100に輸送させることができ、ドーピング表面フィールド2による金属電極150へのパッシベーション効果がさらに向上する。具体的には、幾つかの実施例において、ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度と、ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度との比は、1:1000~1:10であってもよく、例えば、1:1000~1:800、1:800~1:500、1:600~1:300、1:1000~1:100、1:1000~1:50、1:1000~1:10であってもよい。この範囲内であることにより、ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度が高くなり、ドーピング表面フィールド2の全体の濃度を、ベース100におけるドーピング表面フィールド2以外の領域よりも十分に高いことを確保することで、ベース100の他の領域に対してドーピング表面フィールド2が高濃度ドーピングエリアとなり、ベース100の第1エリアと高低接合を形成し、キャリアの横方向輸送レートを向上させ、電池の直列抵抗を低減させることができる。一方、金属電極150がベース100までトンネル酸化層110を貫通するとき、ドーピング表面フィールド2は、金属電極150に対して良好なパッシベーション効果を奏し、ベース100と金属電極150との界面におけるキャリアの再結合が低減され、太陽電池の開放電圧が向上する。
【0040】
いくつかの実施例において、トンネル酸化層110に沿ってベース100に向かう方向において、ドーピング表面フィールド2のドーピング濃度を徐々に減少させることができ、このように、トンネル酸化層110に沿ってベース100に向かう方向において、ドーピング表面フィールド2の各箇所は、隣接する領域と濃度差を形成できるため、ドーピング表面フィールド2の各箇所は、いずれもキャリアに対して良好な輸送効果を有し、キャリアの輸送レートをさらに向上する。
【0041】
いくつかの実施例において、ベース100は、第1エリア1を含み、第1エリア1は、ベース100におけるドーピング表面フィールド2以外の領域であり、ドーピング表面フィールド2のドーピング濃度は、第1エリア1のドーピング濃度よりも大きく、かつ、ドーピング表面フィールド2のドーピング濃度は、ドープ導電層120のドーピング濃度よりも小さい。
【0042】
ドーピング表面フィールド2の濃度が第1エリア1のベース100の濃度よりも大きくなるように設定することにより、ベース100中のドーピング表面フィールド2は、ベース100の第1エリア1と高低接合を形成する高濃度ドーピング領域を形成する。金属電極150がトンネル酸化層110を貫通すると、ドーピング表面フィールド2は金属電極150を被覆し、金属電極150とベース100との界面に対してパッシベーション効果を奏し、界面でのキャリア再結合を低減し、キャリア濃度を増加させることができる。また、ドーピング表面フィールド2は、金属電極150とオーミックコンタクトを形成し、太陽電池の直列抵抗をさらに低減することもできる。具体的には、いくつかの実施例において、ベース100がN型の半導体ベース100である場合、ドーピング表面フィールド2のドーピングイオンは、リンイオン、ヒ素イオン、またはアンチモンイオンのいずれかであってもよい。具体的には、幾つかの実施例において、第1エリア1のドーピング濃度と前記ドーピング表面フィールド2のドーピング濃度との比は、1:10000~1:1000であってもよく、例えば、1:10000~1:8000、1:8000~1:5000、1:5000~1:3000、1:3000~1:1000であってもよい。この範囲では、ドーピング表面フィールド2とベース100とのドーピング濃度差が大きいため、高低接合を形成することができ、金属電極150とベース100との界面におけるキャリア再結合を低減し、キャリアの輸送能力を強化するのに有利である。
【0043】
幾つかの実施例において、ドーピング表面フィールド2は、ドープ導電層120と同じ導電型のドーピングイオンを有するが、幾つかの実施例において、ドーピング表面フィールド2のドーピングイオンがN型イオンである場合、ドープ導電層120におけるドーピングイオンは、リンイオン、ヒ素イオン、又はアンチモンイオンのいずれかであってもよい。ドーピング表面フィールド2のドーピング濃度がドープ導電層120のドーピング濃度よりも低くなるように設定することで、ドーピング導電フィールドがベース100に向かう方向において高濃度から低濃度への濃度差が形成され、ドープ導電層120はキャリア輸送の役割も同様に担うため、ドープ導電層120のキャリア濃度が高く設定されるのは、ドープ導電層120内のキャリアが高濃度のドープ導電層120から濃度の相対的に低いドーピング表面フィールド2に輸送されるには有利であり、キャリア輸送レートを速め、太陽電池の開放電圧を高める。
【0044】
ドープ導電層120のドーピング濃度を高く保ち、ドープ導電層120によるキャリアの輸送能力を高く保つ必要があることを考慮し、また、ドーピング表面フィールド2の濃度を高く保つ必要があり、ドーピング表面フィールド2とベース100の第1エリア1との間に大きな濃度差を形成して、高濃度ドーピングエリアを形成することを考慮する。これに基づき、幾つかの実施例において、ドーピング表面フィールド2のドーピング濃度とドープ導電層120のドーピング濃度との比が、1:100~1:10となるように設定され、例えば、1:100~1:80、1:80~1:60、1:60~1:40、1:40~1:20、1:20~1:10とすることができる。この範囲であれば、ドープ導電層120によるキヤリァ輸送レートを高くすることができると共に、ドーピング表面フィールド2による金属電極150とベース100との界面におけるパッシベーシヨン効果を良好に保つことができる。
【0045】
幾つかの実施例において、トンネル酸化層110に沿ってベース100に向かう方向(図中のX方向を参照)において、ドーピング表面フィールド2の厚さは、20nm~60nmである。この範囲では、一方で、ドーピング表面フィールド2の厚さがより厚くなり、これにより、大きな長さの金属電極150がトンネル酸化層110を貫通しても、ドーピング表面フィールド2は金属電極150を覆うことができ、ベース100中に位置する金属電極150に対して良好な界面パッシベーション効果が奏され、太陽電池の信頼性がさらに向上し、金属電極150を作製するプロセスウィンドウを大きくすることができる。他方では、ドーピング表面フィールド2はベース100内に形成されているため、この範囲でもドーピング表面フィールド2の厚さが大きくなり過ぎず、ベース100のサイズが大きくなり過ぎず、太陽電池の小型化を実現するのに有利である。
【0046】
図2は、本願の一実施例に係る太陽電池の他の構成を示す図である。
図2を参照して、幾つかの実施例において、金属電極150の少なくとも一部が前記トンネル酸化層110を貫通して、ドーピング表面フィールド2により被覆されている。製造プロセス等の理由により、金属電極150は、トンネル酸化層110を貫通してベース100に接触する可能性がある。本願実施例では、ベース100にドーピング表面フィールド2を設け、ドーピング表面フィールド2がベース100に位置する金属電極150を被覆することにより、ベース100中の金属電極150に対して界面パッシベーションの効果を奏し、金属電極150とベース100との界面再結合を低減する。金属電極150はベース100まで貫通するため、金属電極150で輸送されたキャリアは、トンネル酸化層110を通過せずにベース100に直接輸送されることができ、キャリアの輸送効率が向上する。キャリア輸送効率の向上とともに、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通することは、トンネル酸化層110のパッシベーション性能に悪影響を及ぼすと考えられるため、トンネル酸化層110に窒素およびリンをドーピングして、トンネル酸化層110の界面の誘電率を増加させ、トンネル酸化層110のパッシベーション効果を高めることで、太陽電池の信頼性を全体的に向上させることができる。
【0047】
図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の別の構成を示す図である。
図3を参照して、幾つかの実施例において、金属電極150に対応するベース100の少なくとも一部は、前記トンネル酸化層110を貫通し、トンネル酸化層110を貫通したベース100に位置するドーピング表面フィールド2は、金属電極150にと接触している。すなわち、金属電極150の少なくとも一部がベース100と直接接触しているので、金属電極150によるキャリアの輸送は、トンネル酸化層110によって制限されず、高い輸送効率を有する。同時に、ベース100中のドーピング表面フィールド2は金属電極150と接触し、このように、金属電極150とベース100との界面におけるパッシベーシヨン効果が良好に生じ、金属界面でのキャリア再結合を低減し太陽電池の開放電圧を高めるのに有利である。具体的には、幾つかの実施例において、金属電極150に対応する一部のベース100は、トンネル酸化層110を貫通して金属電極150に接触するように設置されてもよい。他の幾つかの実施例において、金属電極150に対応する全てのベース100は、トンネル酸化層110を貫通して金属電極150に接触するように設置されてもよい。
【0048】
図4は、本願の一実施例に係る太陽電池のさらに別の構成を示す図である。
図4を参照して、幾つかの実施例において、金属電極150と接触しているドーピング表面フィールド2の表面は、凹凸表面である。凹凸表面は、金属電極150とドーピング表面フィールド2との間の接触面積が大きくなるように大きな比表面積を有しており、これにより、ドーピング表面フィールド2による金属電極150へのパッシベーション効果が高まる。
【0049】
具体的には、いくつかの実施例において、凹凸表面の幅は、金属電極150の幅よりも小さくてもよい。ドーピング表面フィールド2の表面が平面であるよりも、ドーピング表面フィールド2と金属電極150とが接触する面を凹凸表面とすることで、ドーピング表面フィールド2と金属電極150との接触面積が増大する。すなわち、ドーピング表面フィールド2と金属電極150とが接触する表面を凹凸表面として、ドーピング表面フィールド2の凹凸表面が小さい幅を有するようにすると、良いパッシベーション効果を達成することができる。このことから、凹凸表面の幅を金属電極150の幅よりも小さく設定することで、トンネル酸化層110の中に貫通する金属電極150の体積が小さく、トンネル酸化層110のパッシベーション効果への悪影響を低減することができる。
【0050】
いくつかの実施例において、太陽電池は、第1パッシベーション層をさらに備え、第1パッシベーション層は、ドープ導電層120のベース100から離れる側に位置し、ベース100への入射光の入射効果を高めるためのものであり、また、ドープ導電層120およびトンネル酸化層110のパッシベーション効果を高めるためのものである。第1パッシベーション層の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコン、または酸窒化炭化シリコンのうちの一種または複数種であってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、第1パッシベーション層は単層構造であってもよい。他のいくつかの実施例において、第1パッシベーション層は多層構造であってもよい。
【0051】
いくつかの実施例において、第2面に設けられた反射防止層160をさらに備えることができる。反射防止層160は、入射光に対する反射防止の役割を果たし、すなわちベース100の入射光に対する反射率を低減する。これにより、入射光をベース100に多く吸収させることができ、太陽光に対する利用率が高くなり、太陽電池の光電変換性能がさらに向上する。
【0052】
いくつかの実施例において、反射防止層160は、窒化シリコン層であってもよく、窒化シリコン層は、窒化シリコン材料を含んでもよく、窒化シリコン材料は、より高い屈折率を有するので、より多くの入射光がベース100に入射し、入射光の利用率が向上する。また、窒化シリコン材料は、良好な水素パッシベーシヨン効果も有しているため、ベース100の裏面のキャリア濃度を増加させ、キャリア再結合を抑制し、太陽電池の開放電圧、短絡電流および曲線因子を向上させることができる。また、他のいくつかの実施例において、反射防止層160は、多層構造として設けられてもよく、例えば、窒化シリコン、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのうちの一種または複数種からなる積層構造であってもよい。
【0053】
いくつかの実施例において、太陽電池は、ベース100の第2面に位置し、反射防止層160を貫通してエミッタに電気的に接続された第2金属電極170をさらに備える。
【0054】
上記実施例によって提供される太陽電池では、トンネル酸化層110全体のパッシベーション効果を向上させるように、トンネル酸化層110が窒素及びリンを含有しており、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通しても、貫通されたトンネル酸化層110の界面パッシベーション性能をベース100のニーズに応えることができる。ベース100内にドーピング表面フィールド2を設け、多数キャリアの横方向輸送を増強し、電池の直列抵抗を低減する。一方、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通してベース100と直接接触しても、ベース100内に位置するドーピング表面フィールド2は金属電極150を被覆することができ、ベース100に位置する金属電極150に対して良好な界面パッシベーション効果を奏し、金属電極150とベース100との界面再結合が低減される。また、ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度がドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度よりも大きくなるように設ける、すなわちドーピング表面フィールド2にドーピング濃度差を設置することにより、金属電極150を介して輸送されたキャリアを円滑にベース100に輸送させることができ、キャリアの輸送効率を高めることができる。よって、金属電極150がベース100まで貫通しても、太陽電池の性能が良く保たれ、太陽電池の信頼性が向上する。
【0055】
これに応じて、本願実施例は、光起電力モジュールをさらに提供する。
図5を参照して、光起電力モジュールは、上記実施例によって提供される太陽電池101を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆う封止層102と、封止層102のセルストリングから離れた面を覆うカバープレート103と、を備える。太陽電池101は、フルシートまたは複数枚の形で電気的に接続されてセルストリングを複数形成し、複数のセルストリングは、直列および/または並列に接続されて電気的に接続される。
【0056】
具体的には、いくつかの実施例において、複数のセルストリング間は、伝導バンド104によって電気的に接続されてもよく、封止層102は、太陽電池101の表面および裏面を覆っており、具体的には、封止層102は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレンオクテン-エラストマー(POE)接着フィルム、またはポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルム等の有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例において、カバープレート103は、ガラスプレート、プラスチックカバープレートなど、光透過機能を有するカバープレート103であってもよい。具体的には、カバープレート103の封止層102に向かう面が凹凸表面であることにより、入射光の利用率を高めることができる。
【0057】
これに応じて、本願の他の実施例は、上記実施例によって提供される太陽電池を形成できる太陽電池の製造方法をさらに提供する。以下、本願の他の実施例によって提供される太陽電池の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0058】
図6~
図11は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法における各工程に対応する概略構成図である。
【0059】
図6は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法において提供されるベース100の構成を示す図であり、
図6を参照して、ベース100を提供する。
【0060】
ベース100は、入射光線を受光して光生成キャリアを生成するためのものである。いくつかの実施例において、ベース100は、シリコンベース100であってもよく、シリコンベース100の材料は、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンを含み得る。他のいくつかの実施例において、ベース100の材料は、炭化ケイ素、有機材料、または多価化合物であってもよく、多価化合物は、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウム等を含む。
【0061】
図7~
図9を参照して、ベース100の第1面に、ベース100から離れる方向に、窒素およびリンを含有するトンネル酸化層110と、ドープ導電層120とが、順次に形成される。ベース100内に位置し、トンネル酸化層110におけるベース100に向かう側の面と接触し、ベース100と同じ導電型のドーピング元素を有し、かつ、トンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度がトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度よりも大きい、ドーピング表面フィールド2が形成される。ドーピング表面フィールド2がベース100と同じ導電型のドーピング元素を有するように設置することにより、多数キャリアの横方向輸送を増強し、セルの直列抵抗を低減する。このように、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通してベース100と直接接触しても、ベース100内に位置するドーピング表面フィールド2は金属電極150を被覆することができ、ベース100に位置する金属電極150に対して良好な界面パッシベーション効果を奏し、金属電極150とベース100との界面再結合が低減される。また、ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度がドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度よりも大きくなるように設ける、すなわちドーピング表面フィールド2にドーピング濃度差を設置することにより、金属電極150を介して輸送されたキャリアを円滑にベース100に輸送させることができ、キャリアの輸送効率を高めることができる。
【0062】
具体的には、幾つかの実施例において、トンネル酸化層110、ドープ導電層120を形成するステップの前に、ドーピング表面フィールド2を形成することができ、ドーピング表面フィールド2を形成する方法は、以下のことを含む。
【0063】
第1ドーピングイオンを有するベース100に対してドーピングを行う。幾つかの実施例において、太陽電池は、TOPCON電池であってもよく、ベース100がN型の半導体ベース100であり、すなわち、第1ドーピングイオンがN型のドーピングイオンであり、N型のドーピングイオンがリンイオン、ヒ素イオン、またはアンチモンイオンのいずれかであってもよい。
【0064】
図7を参照して、
図7は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法において、エミッタを形成するステップに対応する概略構成図である。
図7を参照して、エミッタが形成されるが、幾つかの実施例において、ベース100がN型の半導体ベース100であり、エミッタがP型のエミッタであり得る。具体的には、エミッタを形成する具体的なプロセス方法は、ベース100の第1面をボロン拡散処理してエミッタを形成し、エミッタとN型のベース100がPN接合を形成することであり得る。
【0065】
図8は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法において、ドーピング表面フィールド2を形成するステップに対応する概略構成図である。
図8を参照して、ベース100の第1面に対して拡散処理を行い、第2ドーピングイオンを有するドーピング表面フィールド2を形成し、第1ドーピングイオンと第2ドーピングイオンとは同じ導電型であり、第1ドーピングイオンの濃度は第2ドーピングイオンの濃度よりも小さい。いくつかの実施例において、第1ドーピングイオンがN型イオンである場合、第2ドーピングイオンもN型イオンであり、例えば、リンイオン、ヒ素イオン又はアンチモンイオンのいずれかであってもよい。N型のドーピングイオンがリンイオンであることを例として、ベース100の第1面に対してリン拡散処理を行い、ベース100の第1面にN型のドーピング層を形成する。具体的には、いくつかの実施例において、イオン注入、熱拡散、またはレーザドーピング等により、ベース100の第1面にリンイオンを注入してもよい。
【0066】
いくつかの実施例において、リン拡散処理が完了した後に、ベース100の第1面のリンシリカガラスを除去する必要があり、その後にベース100の第1面にトンネル酸化層110を形成するとき、トンネル酸化層110の厚さを均一にし、トンネル酸化層110によるベース100への界面パッシベーション効果を高めるのに有利である。
【0067】
ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度がドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度よりも大きいことを確保するために、幾つかの実施例では、リン拡散処理の初期段階において、ベース100の第1面に注入されるリンイオン濃度が低く、リン拡散処理の後期において、ベース100の第1面に注入されるリンイオン濃度が高くなるように設置することができる。
【0068】
具体的には、いくつかの実施例において、第1ドーピングイオンのドーピング濃度は、1×1016atoms/cm3~1×1017atoms/cm3であり、第2ドーピングイオンのドーピング濃度は、1×1019atoms/cm3~9×1020atoms/cm3であってもよい。第1ドーピングイオンのドーピング濃度は、第2ドーピングイオンのドーピング濃度よりもはるかに小さく、このように、形成されるドーピング表面フィールド2とベース100とのドーピング濃度の差が大きいので、ドーピング表面フィールド2が高濃度ドーピングエリアを形成し、高低接合を形成することができ、後に形成される金属電極150がベース100までトンネル酸化層110を貫通する際に、金属電極150とベース100との界面におけるキャリアの再結合を低減し、キャリアの輸送能力を向上させることができる。また、この範囲であれば、形成されるドーピング表面フィールド2が金属界面に対して良いパッシベーション効果を有するので、金属電極150がベース100内に貫通したときに、太陽電池の電気的特性を良好に保つことができ、太陽電池の信頼性を向上させることができる。
【0069】
図9は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法において、トンネル酸化層110及びドープ導電層120を形成するステップに対応する概略構成図である。
図9を参照して、幾つかの実施例において、ドーピング表面フィールド2を形成した後に、トンネル酸化層110及びドープ導電層120を形成し、トンネル酸化層110及びドープ導電層120を形成する方法は、以下のことを含む。
【0070】
ドーピング表面フィールド2の表面に、酸化プロセスによってトンネル酸化層110を形成する。トンネル酸化層110に窒素およびリンを含有し、窒素のドーピングは、トンネル酸化層110の界面の誘電率を増加させ、パッシベーション効果を高め、開放電圧を上げることができ、リンのドーピングは、電子のトンネル電流を高め、電池の内部抵抗を下げることができ、これにより、トンネル酸化層110全体のパッシベーション効果を高め、金属電極150がベース100まで貫通しても、トンネル酸化層110の良好なパッシベーション性能を保つことができる。
【0071】
幾つかの実施例において、トンネル酸化層110が窒素及びリンを含有するように形成する方法は、以下のことを含む。
【0072】
ベース100の第1面を熱酸化して、初期酸化層を形成する。
【0073】
初期酸化層に対してリン拡散を行い、リンを含有する第1酸化層を形成する。具体的には、リン源をドーピング源として用い、流量が10L/min~12L/minのO2を導入し、通気時間を3min~5minとし、通気停止後に初期酸化層に対して一次リン拡散を行い、一次リン拡散の温度を780℃~820℃とし、一次リン拡散の時間を50s~60sとすることができる。いくつかの実施例において、インサイチュドーピング法により、酸化とリン拡散操作を同時に行うことができ、酸化プロセスは、オゾン酸化法、高温熱酸化法、硝酸酸化法のいずれかを用いることができる。いくつかの実施例において、リン源は、POC13又はPH3であり、O2の導入流量は、10L/min~12L/minであり、通気時間は、3min~5minであり、一次リン拡散の温度は、780℃~820℃であり、一次リン拡散の具体的な時間は、50s~60sであってもよい。
【0074】
第1酸化層に対して窒素ドーピングを行い、トンネル酸化層110を形成する。具体的には、第1酸化層に対して酸化を継続し、酸化の温度は、500℃~530℃である。ドーピング源として、体積比(2~4):1のO2とN2Oの混合ガスを用い、混合ガスの導入流量を8L/min~10L/minとし、通気時間を3min~5minとし、通気停止後に酸化生成物に対して窒素拡散を行い、窒素拡散の温度を500℃~530℃とし、窒素拡散の時間を40s~60sとする。
【0075】
トンネル酸化層110の表面に、初期導電層を堆積させる。堆積プロセスによって、トンネル酸化層110の表面に初期導電層を形成することができる。具体的には、堆積プロセスによって、トンネル酸化層110の表面に真性ポリシリコンを堆積させて初期導電層を形成することができる。
【0076】
初期導電層に対して拡散処理を行い、第3ドーピングイオンを有するドープ導電層120を形成し、第3ドーピングイオンと第2ドーピングイオンとは同じ導電型であり、第3ドーピングイオンのドーピング濃度は第2ドーピングイオンのドーピング濃度よりも大きい。ドーピング表面フィールド2のドーピング濃度がドープ導電層120のドーピング濃度よりも低くなるように設置することにより、ドーピング導電フィールドがベース100に向かう方向において高濃度から低濃度への濃度差が形成され、ドープ導電層120はキャリア輸送の役割も同様に担うため、ドープ導電層120のキャリア濃度が高く設定されるのは、ドープ導電層120内のキャリアが高濃度のドープ導電層120から濃度の相対的に低いドーピング表面フィールド2に輸送されるには有利であり、キャリア輸送レートを速め、太陽電池の開放電圧を高める。いくつかの実施例において、第2ドーピングイオンがリンイオンである場合、第3ドーピングイオンはリンイオンであってもよく、イオン注入、熱拡散、又はレーザードーピング等により、ベース100の第1面にリンイオンを注入してN型のドープポリシリコン層を形成することができ、N型のドープポリシリコン層をドープ導電層120とする。
【0077】
具体的には、いくつかの実施例において、第3ドーピングイオンのドーピング濃度は、1atoms/cm3~1×1020atoms/cm3であってもよい。この範囲であれば、形成されたドープ導電層120のドーピング濃度がドーピング表面フィールド2のドーピング濃度よりも高いので、ドーピング表面フィールド2とベース100の第1エリア1との間に大きな濃度差を形成し、高濃度ドーピングエリアが形成される。また、この範囲内で、形成されたドープ導電層120のドーピング濃度は、ドープ導電層120がキャリアに対して高い輸送レートを有することを確保できる。
【0078】
図10は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法において、反射防止層160を形成するステップに対応する概略構成図である。
図10を参照して、ベース100の第2面に反射防止層160を形成し、幾つかの実施例において、反射防止層160は窒化シリコン層であってもよく、窒化シリコン層は窒化シリコン材料を含む。具体的には、幾つかの実施例において、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ化学気相成長)法を用いて反射防止層160を形成することができ、具体的には、反射防止層160を形成するプロセス方法は、PECVD反応チャンバー内にシランおよびアンモニアガスを導入してイオン化し、ベース100の第2面に反射防止層160を形成することを含む。
【0079】
図11は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法において、第1パッシベーション層を形成するステップに対応する概略構成図である。
図11を参照して、ドープ導電層120のベース100から離れた面に第1パッシベーション層を形成し、いくつかの実施例において、第1パッシベーション層の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコン、または酸窒化炭化シリコンの一種または複数種であってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、第1パッシベーション層は、単層構造であってもよい。他のいくつかの実施例において、第1パッシベーション層は、多層構造であってもよい。具体的には、いくつかの実施例において、第1パッシベーション層をPECVD法を用いて形成してもよい。
【0080】
図1を参照して、金属電極150が形成され、金属電極150はドープ導電層120に電気的に接続されている。金属電極150の領域に導電ペーストを印刷し、導電ペーストを焼結処理して金属電極150を形成する。幾つかの実施例において、第1面の金属電極150領域に、スクリーン印刷によって導電ペーストを印刷し、導電ペーストを高温で焼結処理することができ、例えば、750℃~850℃ピーク温度で焼結して金属電極150を形成してもよい。いくつかの実施例では、導電ペーストにおいて、導電材料は、銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛またはニッケルの少なくとも1つであってもよい。ベース100にドーピング表面フィールド2が形成されているため、金属電極150を製造するプロセスにおいて金属電極150がベース100まで貫通しても、ドーピング表面フィールド2は金属電極150を被覆することができ、かつ、金属電極150とベース100との接触面において良好な界面パッシベーション効果を生じ、太陽電池の信頼性を確保する。つまり、太陽電池は、ベース100への金属の貫通の有無に関わらず良好な性能を有しているので、金属電極150を製造するプロセスウィンドウが増大し、プロセス効率を高めるのに有利である。
【0081】
いくつかの実施例において、反射防止層160の表面に、反射防止層1601を貫通してエミッタに電気的に接続された第2金属電極170が形成されることをさらに含む。第2金属電極170を形成する方法は、反射防止層160の表面に対して、スクリーン印刷プロセスと高温焼結プロセスを含むメタル化処理を行い、エミッタに電気的に接続された第2金属電極170を形成することを含む。
【0082】
上記実施例によって提供される太陽電池の製造方法では、トンネル酸化層110全体のパッシベーション効果を向上させるように、トンネル酸化層110が窒素及びリンを含有しており、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通しても、トンネル酸化層110はベース100のパッシベーションニーズを満たすことができる。ベース100内にドーピング表面フィールド2が形成され、ドーピング表面フィールド2がベース100と同じ導電型のドーピング元素を有することで、多数キャリアの横方向輸送を増強し、電池の直列抵抗を低減する。このように、金属電極150がトンネル酸化層110を貫通してベース100と直接接触しても、ベース100内に位置するドーピング表面フィールド2は金属電極150を被覆することができ、ベース100に位置する金属電極150に対して良好な界面パッシベーション効果を奏し、金属電極150とベース100との界面再結合が低減される。また、ドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110に向かう側のドーピング濃度がドーピング表面フィールド2のトンネル酸化層110から離れる側のドーピング濃度よりも大きくなるように設ける、すなわちドーピング表面フィールド2にドーピング濃度差を設置することにより、金属電極150を介して輸送されたキャリアを円滑にベース100に輸送させることができ、キャリアの輸送効率を高めることができる。よって、金属電極150がベース100まで貫通しても、太陽電池の性能が良く保たれ、太陽電池の信頼性が向上する。
【0083】
本願は、好ましい実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本願の着想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって規定される範囲に従うべきである。
【0084】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。