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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155927
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20231017BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20231017BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/19
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065447
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 明弘
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB362
4C083AB372
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC912
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD221
4C083AD222
4C083BB23
4C083CC12
4C083DD23
4C083DD32
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】本発明は、薄膜で自然な仕上がりでありながら、隠蔽力が高く、凹凸の無い、高いツヤをもつ化粧膜を形成する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、(A)ショ糖脂肪酸エステル、および(B)ポリエーテル変性シリコーンの組み合わせを含む界面活性剤、および(C)板状体質顔料粉体、を含み、成分(B)に対する成分(A)の質量割合:(A)/(B)が、0.07~1.2である、を含む乳化化粧料、並びに前記化粧料が含浸された担体、を含む、化粧品を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ショ糖脂肪酸エステル、および(B)ポリエーテル変性シリコーンの組み合わせを含む界面活性剤、および
(C)板状体質顔料粉体、を含み、
成分(B)に対する成分(A)の質量割合:(A)/(B)が、0.07~1.2である、
を含む乳化化粧料、並びに
前記化粧料が含浸された担体、
を含む、化粧品。
【請求項2】
成分(A)のショ糖脂肪酸エステルが、ステアリン酸スクロース、およびパルミチン酸スクロースからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
成分(B)のポリエーテル変性シリコーンが、PEG10-ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、および(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の化粧品。
【請求項4】
化粧料全体に対する成分(A)の含有量が、0.1~5.0質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧品。
【請求項5】
化粧料全体に対する成分(B)の含有量が、0.1~10.0質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧品。
【請求項6】
化粧料全体に対する成分(C)の含有量が、0.1~15.0質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧品。
【請求項7】
化粧料が、さらに、体質顔料を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の化粧品。
【請求項8】
化粧料が、さらに、着色顔料、白色顔料、およびパール顔料からなる群から選択される少なくとも1種の無機顔料を含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧品。
【請求項9】
化粧料全体に対する全粉体の含有量が、0.1~30.0質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化粧品。
【請求項10】
化粧料が、油中水型乳化組成物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
厚塗りの印象を与えず、薄膜で自然な化粧仕上がりを得ることは、化粧料、特にメークアップ化粧料に与えられた重要な役割である。しかしながら、薄膜では、しわ、しみ、くすみ等の肌トラブルを効果的に隠蔽することが難しい。
【0003】
隠蔽力を高めるためには、隠蔽力の高い板状粉体を化粧料に配合することができるが、板状粉体を配合すると、化粧料を塗布した際に肌上に凹凸ができやすく、感触の悪さやツヤのなさにつながる。さらに、化粧料の伸びを向上するためにバインダーを配合すると、膜の厚さにつながる。
したがって、薄膜で自然な仕上がりでありながら、隠蔽力が高く、凹凸の無い、高いツヤをもつ化粧膜を形成する技術が要望されていた。
【0004】
また、近年、スポンジ等の含浸体に化粧料を含浸させ、コンパクトケース内に収納したファンデーション等の化粧料が提案されている(例えば、特許文献1)。これは、クッションファンデーションと呼ばれ、携帯に便利である。また、液状化粧料の仕上がりの良さと、パフを用いることによって片手で化粧料を取り、塗布することができ、手を汚すことなく化粧できる使用性を兼ねたものとして、広く使用されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6716680号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の様な、薄膜で自然な仕上がりでありながら、隠蔽力が高く、凹凸の無い、高いツヤをもつ化粧膜を形成する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の質量比の界面活性剤(A)ショ糖脂肪酸エステルおよび(B)ポリエーテル変性シリコーンの組み合わせ、および(C)板状体質顔料粉体を含む乳化化粧料を、クッションファンデーションの形態とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下に関する。
【0008】
[1](A)ショ糖脂肪酸エステル、および(B)ポリエーテル変性シリコーンの組み合わせを含む界面活性剤、および
(C)板状体質顔料粉体、を含み、
成分(B)に対する成分(A)の質量割合:(A)/(B)が、0.07~1.2である、
を含む乳化化粧料、並びに
前記化粧料が含浸された担体、
を含む、化粧品。
[2] 成分(A)のショ糖脂肪酸エステルが、ステアリン酸スクロース、およびパルミチン酸スクロースからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載の化粧
品。
[3] 成分(B)のポリエーテル変性シリコーンが、PEG10-ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、および(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の化粧品。
[4] 化粧料全体に対する成分(A)の含有量が、0.1~5.0質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の化粧品。
[5] 化粧料全体に対する成分(B)の含有量が、0.1~10.0質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧品。
[6] 化粧料全体に対する成分(C)の含有量が、0.1~15.0質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の化粧品。
[7] 化粧料が、さらに、体質顔料を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の化粧品。
[8] 化粧料が、さらに、着色顔料、白色顔料、およびパール顔料からなる群から選択される少なくとも1種の無機顔料を含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の化粧品。
[9] 化粧料全体に対する全粉体の含有量が、0.1~30.0質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の化粧品。
[10] 化粧料が、油中水型乳化組成物である、[1]~[9]のいずれかに記載の化粧品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薄膜で自然な仕上がりでありながら、隠蔽力が高く、凹凸の無い、高いツヤをもつ化粧膜を形成する技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化粧品の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0011】
<化粧品>
本発明の一態様は、(A)ショ糖脂肪酸エステル、および(B)ポリエーテル変性シリコーンの組み合わせを含む界面活性剤、および(C)板状体質顔料粉体、を含み、成分(B)に対する成分(A)の質量割合:(A)/(B)が、0.07~1.2である、を含む乳化化粧料(以下、「本発明における化粧料」ということがある)、並びに前記化粧料が含浸された担体、を含む、化粧品(以下、「本発明の化粧品」ということがある)に関する。
【0012】
本発明者らは、薄膜で自然な仕上がりでありながら、隠蔽力が高く、凹凸の無い、高いツヤをもつ化粧膜を形成する技術を求めて鋭意検討を重ねた。そして、本発明者らは、板状体質顔料粉体、および界面活性剤として、適切な配合比のショ糖脂肪酸エステルおよびポリエーテル変性シリコーンの組み合わせを用いることで、隠蔽力を高めつつ、薄膜で自然な仕上がりを達成できることを知見した。さらに、板状体質顔料粉体を含む化粧料を含浸体に含浸させ、容器に設置した形態とすることで、化粧料を容器から含浸体を経て吐出させる工程で板状の粒子の並びが平行になり、肌上に塗布した際にも凹凸の無い、高いツヤをもつ化粧膜を形成することを知見した。本発明は、このような知見に基づき、達成されたものである。
【0013】
≪(A)ショ糖脂肪酸エステルおよび(B)ポリエーテル変性シリコーンの組み合わせを含む界面活性剤≫
本発明における化粧料は、界面活性剤として、(A)ショ糖脂肪酸エステルおよび(B)ポリエーテル変性シリコーンの組み合わせを含む。
【0014】
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖(スクロース)と脂肪酸によって得られるエステル化合物を意味し、脂肪酸の構造、エステル化度等は特に限定されない。
ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸(炭化水素鎖)の炭素数は、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上であり、通常20以下、好ましくは18以下である。
【0015】
ショ糖脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステル、ヘキサエステル、ヘプタエステル、オクタエステル、およびこれらの混合物の何れであってもよいが、市販されているショ糖脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル等を含んだ混合物であり、いずれも用いることができるが、モノエステルの含有量が20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
【0016】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、限定されないが、例えば、ラウリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース等が挙げられ、好ましくはパルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロースである。なお、ショ糖脂肪酸エステルは、市販されているものがあり、市販されているものを用いることができる。ショ糖脂肪酸エステルは、1種または2種以上用いることができる。
【0017】
ポリエーテル変性シリコーンは、シリコーン鎖にポリエーテル鎖を導入した構造を有する化合物を意味し、例えばシリコーン鎖が直鎖状である直鎖型ポリエーテル変性シリコーンのほか、シリコーン鎖が分岐した分岐型ポリエーテル変性シリコーンであってもよく、またポリエーテル鎖のほかにアルキル鎖を導入したアルキル共変性型ポリエーテル変性シリコーンであってもよい。シリコーン鎖が架橋された架橋型ポリエーテル変性シリコーンであってもよい。架橋型ポリエーテル変性シリコーンを、シリコーン油に膨潤させて用いてもよい。ポリエーテル鎖としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等を挙げることができる。
【0018】
ポリエーテル鎖の重合数は、通常9以上、好ましくは10以上であり、通常20以下、好ましくは15以下である。
【0019】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、PEG変性シリコーン、PPG変性シリコーン、PEG・PPG変性シリコーン等が挙げられ、PEG変性シリコーンが好ましい。
【0020】
具体的なポリエーテル変性シリコーンとしては、限定されないが、例えば、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-10ジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー等が挙げられる。なお、ポリエーテル変性シリコーンは、市販されているものがあり、市販されているものを用いることができる。ポリエーテル変性シリコーンは、1種または2種以上用いることができる。
【0021】
成分(A)のショ糖脂肪酸エステルの含有量は、化粧料全体に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.75質量%以上、または1質量%以上であってよく、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、または1.5質量%以下であってよく、これらの矛盾しない組み合わせであってよい。また、成分(A)のショ糖脂肪酸エステルの含有量は、0.1~5質量%、0.5~3質量%、0.75~2質量%、または1~1.5質量
%であってよい。
【0022】
成分(B)のポリエーテル変性シリコーンの含有量は、化粧料全体に対して、0.1質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、または3質量%以上であってよく、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、または7質量%以下であってよく、これらの矛盾しない組み合わせであってよい。また、成分(B)のポリエーテル変性シリコーンの含有量は、0.1~10質量%、1~9質量%、2~8質量%、または3~7質量%であってよい。
【0023】
なお、本発明における化粧料において、成分(A)ショ糖脂肪酸エステルおよび成分(B)ポリエーテル変性シリコーンの界面活性剤以外の界面活性剤を含んでもよい。成分(A)および成分(B)以外の界面活性剤としては、化粧料に界面活性剤として通常使用し得るものであればよい。このような界面活性剤としては、例えば、任意成分として後述する界面活性剤を用いることができる。
【0024】
本発明における化粧料における、全界面活性剤の含有量は、化粧料全体に対し、例えば、0.2~30質量%、1質量%~20質量%、または5質量%~15質量%であってよい。
【0025】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合:(A)/(B)は、製剤安定性、薄膜の形成、凹凸の抑制等の観点から、0.07以上、0.1以上、0.125以上、または0.15以上であってよく、1.2以下、1以下、0.5以下、または0.35以下であってよく、これらの矛盾しない組み合わせであってよい。また、(A)/(B)は、0.07~1.2、0.1~1、0.125~0.5、または0.15~0.35であってよい。
【0026】
≪(C)板状体質顔料粉体≫
本発明における化粧料に含まれる成分(C)の板状体質顔料粉体は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されず、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、窒化ホウ素、合成雲母等を用いることができる。
【0027】
この様な板状体質顔料粉体は、化粧料用の粉体として市販しているものを購入して使用することができる。
【0028】
成分(C)の板状体質顔料粉体の平均粒子径は、限定されないが、例えば、1~5,000μm、1~500μm、または1~20μmであってよい。なお、粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察や、乾式粒度分布測定装置(例えば、ベックマンコルター社製、LS
13 320)を用いて、レーザー回折散乱法により測定できる。
【0029】
板状体質顔料粉体としては、アスペクト比(粒子径/厚み)が2以上のものを好ましく挙げられる。ここでいうアスペクト比とは、板状粉体の平均長径を平均厚みで除した数値であり、一般的に用いられる方法で求めることができる。具体的には、例えば、走査型電子顕微鏡写真から、長さ方向の長軸と短軸を相加平均することで平均長径を計算し、最大厚みと最小厚みを相加平均することで平均厚みを計算することにより求めることができる。
【0030】
また、本発明における化粧料に含まれる成分(C)の板状体質顔料粉体として、隠蔽力と肌に塗布した際の凹凸の抑制等の観点から、好ましいものは、板状粉体の表面に顔料粉体が被覆された複合粉体(以下、単に「複合粉体」ということがある)であり、これは板状粉体(以下、「基材」ということがある)の表面が顔料粉体によって被覆されたもので
ある。母粉体となる板状粉体は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されず、例えば、タルク、マイカ、セリサイト、窒化ホウ素等を用いることができ、好ましくはタルクである。
【0031】
板状粉体を被覆する顔料粉体は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されず、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化タリウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム等を用いることができ、好ましくは酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、酸化鉄である。板状粉体を被覆する顔料粉体として、1種または2種以上を用いてもよい。
【0032】
複合粉体は、限定されないが、例えば、以下のような物性を有するものであってよい。複合粉体は、基材上に屈折率が互いに異なる2種以上の無機酸化物が屈折率の高いものから順に積層しているものであってよい。すなわち、基材に近い層の顔料粉体の屈折率の方が高く、最外層にいくにつれて屈折率が低いものが積層しているものであってよい。
【0033】
複合粉体における基材は、鱗片状であって、平均粒子径(長径)が0.5~20μmで、厚みが0.05~1μmであることが好ましい。
【0034】
複合粉体を被覆する顔料粉体としては、以下のものを好ましく挙げられる(カッコ内の数値は屈折率)。
酸化チタン(2.50)
酸化亜鉛(2.0)
酸化ジルコニウム(2.2)
酸化セリウム(2.2)
酸化スズ(2.0)
酸化タリウム(2.1)
酸化アルミニウム(1.73)
酸化マグネシウム(1.77)
酸化イットリウム(1.92)
シリカ(1.45)
さらに、これら顔料粉体の混合物、あるいは複合体または固溶体である顔料粉体等であってもよい。
【0035】
複合粉体を被覆する顔料粉体は、複合粉体を被覆する顔料粉体を含有する化粧料に要求されるカバー力によって選択され得る。カバー力をより高めるためには、第1層に屈折率の高い顔料粉体、例えば、酸化チタン等を被覆することが好ましい。一方、第1層に中程度の屈折率の顔料粉体、例えば、酸化アルミニウム等を被覆すると、カバー力はより抑えられる。
【0036】
第2層以降の層については、最外層に形成した顔料粉体とその内側層の顔料粉体との屈折率の差を好ましくは、0.6以下、より好ましくは0.5~0.05とすると、光の反射
を抑制し透明感を出すことができる。
より光の反射を抑制し透明感を出すためには、全ての隣り合う層の屈折率の差を0.6
以下、より好ましくは0.5~0.05とする。
各顔料粉体層の間の屈折率の差が小さいほど、より理想的な積層被膜が得られ、無反射で、高い透明感を有する複合粉体となる。
【0037】
複合粉体における顔料粉体の層数は、特に限定されないが3~9が好ましく、3~6がより好ましい。かかる範囲において、光の反射を抑制し透明感に優れる粉体となる。
【0038】
複合粉体における顔料粉体層は、最外層に好ましくは1.73以下の、より好ましくは1.5以下の、さらに好ましくは、1.35~1.5の屈折率の顔料粉体の層とする。これ
により、化粧料に配合する他の成分の屈折率を考慮し、光の反射をより抑制し透明感を出すことができる。
【0039】
複合粉体は、隣り合う全ての顔料粉体層の屈折率の差が0.6以下でない場合であって
も、顔料粉体層のうち第2層以下の層の少なくとも1つの層の厚さが、下記式(1)により規定される値dの±20%以内であることが好ましい。
d=(λ×X/4)/n・・・(1)
(λ:可視光の波長、X:奇数である整数、n:顔料粉体の屈折率を表す)
これは、前記1つの層の下層に位置する層の反射光と前記1つの層の反射光の位相が逆転して、光の干渉作用により光の反射が抑制されるため、透明感を有するようになるからである。
【0040】
上記可視光の波長λとしては、通常380~780nmの範囲内の値を採用する。例えば、可視光全体の反射光を効果的に弱めるためには、上記範囲の可視光波長の平均値に近い550nmを用いるのが好ましい。また、好みの色調、色彩等の化粧料の使用目的や、昼間、夜間、照明、衣装の色等の使用環境に応じて、反射すべき波長、反射を弱めるべき波長を考慮して上記式に用いる波長を選択することができ、且つ、層の厚さを調整することができる。
奇数Xの値としては、層の厚さを薄くできる等の理由から、通常は1を用いる。例えば、酸化チタンの層の上に酸化アルミニウムを被覆する場合、λ=550nm、n=1.73であるから、酸化アルミニウムの層の厚さは約80nmとなる。
【0041】
複合粉体の全顔料粉体の被覆量は特に限定されないが、基材100質量部に対し1~70質量部の範囲にあることが好ましく、5~50質量部の範囲にあることがより好ましい。被覆量が1質量部未満では充分なカバー力が得られにくく、70質量部を超えて多い場合はカバー力が強すぎて不自然な仕上がりとなったり、被膜が厚過ぎて感触が悪くなったりする場合がある。
【0042】
複合粉体の平均粒子径(長径P)は、特に限定されないが1~5,000μmが好まし
く、2~500μmがより好ましい。かかる範囲において、化粧料に含有したときに使用感が損なわれにくい。
平均粒子径(P)は電子顕微鏡による観察画像に基づいて画像解析ソフト等を用いて常法により測定し、単位観察視野(例えば10mm)当たりの平均を算出した値である。
【0043】
複合粉体は、化粧料用の粉体として市販しているものを購入して使用することもできるし、板状粉体に常法に従って顔料粉体を被覆したものを作製して使用することもできる。この様な製造方法としては、例えば、板状粉体を塩化チタン等のような水溶性チタン塩の水溶液中に浸漬し、これをアルカリで中和し、水酸化チタンを板状粉体上に析出させ、これを500~1000℃で焼成することにより製造することが例示できる。
【0044】
板状体質顔料粉体は、上記のものをそのまま使用することもできるし、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに表面を常法によって処理した後使用することもできる。この様な処理としては、限定されないが、例えば、アクリル酸樹脂被覆、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付け処理、メチルポリシロキサン焼き付け処理、パーフルオロアルキルシリル化物を含むシリル化剤によるシリル化処理、アシル化アミノ酸金属塩被覆処理、金属石鹸被覆処理、リン脂質被覆処理、パーフルオロアルキルリン酸塩被覆処理等が好適に例示できる。これらの処理粉体も成分(C)の板状体質顔料粉体として使用し得
る。
【0045】
成分(C)の板状体質顔料粉体は、1種または2種以上用いることができ、隠蔽力と肌に塗布した際の凹凸の抑制等の観点から、含有量は、化粧料全体に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.75質量%以上、または1質量%以上であってよく、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、または3質量%以下であってよく、これらの矛盾しない組み合わせであってよい。
【0046】
なお、本発明における化粧料において、成分(C)の板状体質顔料粉体以外の粉体を含んでもよい。成分(C)の板状体質顔料粉体以外の粉体としては、化粧料に粉体成分として通常使用し得るものであればよい。このような粉体としては、例えば、任意成分として後述する体質顔料(本発明における化粧料に含まれる成分(C)の板状体質顔料粉体以外の体質顔料)、着色顔料、白色顔料、パール顔料等を用いることができる。
なお、本発明における化粧料における、全粉体の含有量は、化粧料全体に対し、例えば、0.1~30質量%、1質量%~25質量%、または5質量%~20質量%であってよい。
【0047】
≪化粧料が含浸された担体≫
本発明の化粧品は、化粧料が担体に含浸されているものである。化粧料が含浸された担体(以下、単に「含浸体」ということがある)を、容器に設置し、化粧料を容器から含浸体を経て吐出させて用いられる。化粧料が含浸される担体としては、限定されず、このような形態の公知の化粧品に用いられるものを適用できる。例えば、樹脂、パルプ、綿等の単一または混合素材からなる不織布、樹脂加工した繊維体、スポンジ等の発泡体、連続機構を備えた多孔質体等が挙げられる。また素材としては、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、NR(天然ゴム)、ウレタン、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエステル、EVA(エチレン酢酸ビニル)、PVA(ポリビニルアルコール)、シリコーンエラストマー等の例が挙げられるが、内容物を含むことのできる含浸体であればこれらの素材に限られるものではない。化粧料を含浸した担体を、例えば、チューブ型容器、ディスペンサー容器、ジャー容器等に収容したクッションファンデーション等の形態で提供することが可能である。
【0048】
本発明の化粧品は、このような形態の公知の化粧品の製造方法に準じて製造することができる。具体的には、例えば、以下のように製造し得る。化粧料を容器に充填する。含浸体を化粧料の上部に設置する。含浸体をゆっくりと押圧する。含浸体が容器に差し込まれて、容器の中に含浸体を維持する。
含浸体に含有される化粧料の量は、限定されず、このような形態の公知の化粧品に準ずる。例えば、0.05~0.99mL/cm程度であってよい。
【0049】
本発明の化粧品は、このような形態の公知の化粧品の使用方法に準じて使用することができる。具体的には、例えば、化粧品の使用者は、パフ等の道具を用いて含浸体から化粧料を取ることができる。例えば、道具を含浸体に押し付けながら、または押し付けることなく、道具を含浸体上に当てることによって、含浸体の中の化粧料を担体から道具に移すことができる。使用者は、自分の指を用いて化粧料を含浸体から取ってもよい。
【0050】
≪油系≫
本発明における化粧料は、組成物の外相として油系を含有する。油系を構成する成分としては、化粧料に油剤として通常使用し得るものであればよい。油剤としては、例えば、任意成分として後述する油剤を用いることができる。油剤としては、使用性(優れた伸び広がり等)の観点から、シリコーン油を含有することが好ましい。
シリコーン油としては、例えば、ハイドロゲンジメチコン、カプリリルメチコン、ジメ
チコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、シクロペンタシロキサン等が挙げられる。
シリコーン油の25℃における粘度は、使用性(優れた伸び広がり等)の観点から、例えば、1,000 mPa・s以下である。
なお、かかる粘度は、B型粘度計で25℃で測定される値を意味する。
本発明における化粧料において油系の含有量は特に限定されないが、化粧料全体に対し、例えば、20~90質量%、25~70質量%、または30~60質量%であってよい。
【0051】
≪水系≫
本発明における化粧料は、組成物の内相として水系を含む。水系成分は、通常は水の他に水溶性成分であり、25~65℃の水に懸濁して1時間静置した後に水に溶解する成分(ただし界面活性剤を除く)を指す。水系成分としては、1種または2種以上を組み合わせて、本発明に使用し得る。水系成分としては、例えば、任意成分として後述する成分を用いることができる。
本発明における化粧料において水系の含有量は特に限定されないが、化粧料全体に対し、例えば、10~60質量%、20~50質量%、または30~40質量%であってよい。
【0052】
≪任意成分≫
本発明における化粧料は、必須成分以外の化粧料等に通常使用される任意成分を含有してもよい。
任意成分として、例えばマカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ-ル、ステアリルアルコ-ル、イソステアリルアルコ-ル、ベヘニルアルコ-ル、オクチルドデカノ-ル、ミリスチルアルコ-ル、セトステアリルアルコ-ル等の高級アルコール;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコ-ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロ-ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ-ルプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサン)、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエ-テル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ-ルアミンエ-テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、
アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ-ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコ-ル脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ-ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ-テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ-ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレ-ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレ-ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ-ルモノオレ-ト、POEジステアレ-ト等)、POEアルキルエ-テル類(POE2-オクチルドデシルエ-テル等)、POEアルキルフェニルエ-テル類(POEノニルフェニルエ-テル等)、プルロニック(登録商標)型類、POE・POPアルキルエ-テル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエ-テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリグリセリン変性シリコーン(ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキエチルジメチコン等)、長鎖炭化水素基含有ポリグリセリン変性シリコーン(ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキエチルジメチコン等)、アクリルシリコーン樹脂((アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー等)等のシリコーン系界面活性剤;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、イソノナン酸イソノニル等の保湿成分類;トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン系被膜形成剤;表面を処理されていてもよい、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、窒化ホウ素、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、有機ビーズ(ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機球状粉体)等の体質顔料粉体類;表面を処理されていてもよい、無機白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、無機着色顔料(無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等)、無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等)、無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等)、無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)等)、パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン、シリカ、ホウケイ酸、魚鱗箔等))等の無機顔料粉体類;レ-キ化されていてもよい、赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機顔料粉体類;クオタニウム-90ベントナイト(ベントナイトとクオタニウム-90との反応生成物)等の有機変性粘土鉱物;水;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンAまたはその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンBジオクタノエート、ビタミンBまたはその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15またはその誘導体等のビタミンB類;α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;メチルパラベン、フェノキシエタノール等の抗菌剤等;美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収れん剤等の生理活性成分;パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシハイドロケイ皮酸ジエタノ-ルアミン塩、ジパラメトキシケイ皮酸-モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ
ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸ブチル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸アミル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等の安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノ-ルアミン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸カリウム等のサリチル酸系紫外線吸収剤、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-メトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-ヒドロキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、メンチル-O-アミノベンゾエ-ト、2-フェニル-ベンズイミダゾ-ル-5-硫酸、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾ-ル、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレ-ト、2-エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレ-ト、2-(2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、アントラニル酸メンチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤;ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン等のトリアジン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウムの微粒子金属酸化物等の紫外線散乱剤;pH調整剤;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール(BG)、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の多価アルコール類;カルボキシビニルポリマー等の増粘剤等;硫酸マグネシウム等の増量剤等;ペンタステアリン酸ポリグリセリル、ステアロイルラクチレートNa等の乳化安定化剤;ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン等の溶剤等;が挙げられる。
【0053】
本発明における化粧料の剤形は、化粧料や皮膚外用医薬として使用される公知のものであれば特に限定されないが、例えば、水中油乳化剤形、油中水乳化剤形等が挙げられる。
【0054】
本発明における化粧料の製造方法は、必須成分を特定範囲で含む限り、特に限定されない。製造方法については、通常の化粧料等の分野で使用される公知の方法を適宜採用することができ、例えば、粉体成分を、油系および界面活性剤に添加し、混合分散する。加熱した水系を前記油系に添加し、乳化、冷却させることにより得ることができる。
【0055】
本発明における化粧料の具体的用途は特に限定されないが、ファンデーション等のメーキャップ化粧料に特に適したものである。従って、本発明における化粧料は、ファンデーション、化粧下地、BBクリーム、CCクリーム等の形態で提供することが可能である。特に、クッションファンデーションの形態が好ましい。
【実施例0056】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の例示であり、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0057】
<実施例1>
下記表に示す処方にしたがって、実施例および比較例の油中水型乳化組成物(リキッドファンデーション)を作製した。
すなわち、80℃に温調した油相(油系)および界面活性剤に、粉体を添加しディスパー
で攪拌した。80℃に温調した水相(水系)およびその他の成分を、前記油相に添加した後、30℃まで冷却し、油中水型乳化組成物を得た。この油中水型乳化組成物を、容器に充填し、上から担体をのせ、油中水型乳化組成物を含浸させ、実施例および比較例2、3のクッションファンデーションを得た。また、油中水型乳化組成物をチューブに充填し、比較例1のリキッドファンデーションを得た。
【0058】
なお、板状体質顔料粉体としては、顔料被覆板状粉体1:二酸化チタン、アルミナおよびシリカ被覆板状タルク(二酸化チタン、アルミナおよびシリカの順で被覆;平均粒子径:5~10μm)を用いた。
【0059】
<乳化状態>
上記で得られた乳化組成物の性状を、光学顕微鏡観察により観察し、評価した。評価結果を下記表に示す。
【0060】
また、上記で得られた化粧品(クッションファンデーション、リキッドファンデーション)を以下のように評価した。
クッションファンデーションは、含浸体からパフに取り、肌に塗布して用いた。リキッドファンデーションは、チューブからパフに取り、肌に塗布して用いた。
パネルによる評価基準、性能の判定基準は、以下とした。
【0061】
(評価基準)
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
平均点が3.5以上 : ◎
平均点が1.5以上3.5未満 : 〇
平均点が1.5未満 : ×
【0062】
<膜厚(自然な仕上がり)>
各化粧品を、化粧品評価専門パネル(10名)による実使用試験に付した。「膜厚(自然
な仕上がり)」について、パネル各自が上記の評価基準にしたがって5段階評価した。全
パネルの評点の平均点を算出し、上記の判定基準に従って判定した。各判定基準の具体的な性状を、表中に記載する。
【0063】
<隠蔽力>
各化粧品を、化粧品評価専門パネル(10名)による実使用試験に付した。「隠蔽力」について、パネル各自が上記の評価基準にしたがって5段階評価した。全パネルの評点の平
均点を算出し、上記の判定基準に従って判定した。各判定基準の具体的な性状を、表中に記載する。
【0064】
<膜の凹凸(感触の滑らかさ、ツヤ)>
各化粧品を、化粧品評価専門パネル(10名)による実使用試験に付した。塗布時の「膜の凹凸(感触の滑らかさ、ツヤ)」について、パネル各自が上記の評価基準にしたがって5段階評価した。全パネルの評点の平均点を算出し、上記の判定基準に従って判定した。
各判定基準の具体的な性状を、表中に記載する。
【0065】
評価結果を下記表に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
本発明の化粧品は、均一な液滴の乳化状態を示し、自然な仕上がりの膜厚を形成し、隠蔽力に優れ、かつ、膜の凹凸が抑えられ、感触の滑らかさ、ツヤに優れていた(実施例1~5)。
また、成分(A)と成分(B)との質量比を特定の範囲で用いると、膜厚、隠蔽力、膜の凹凸の抑制のいずれにおいても特に優れていた(実施例1)。
【0068】
一方、実施例1の油中水型乳化組成物をクッションファンデーションとせず、リキッドファンデーションとし、組成物をパフに取り、肌に塗布した場合(比較例1)、は、膜の凹凸の抑制が不十分で、本発明の効果を得ることができなかった。
成分(A)と成分(B)との質量比が特定の範囲を満たさない場合(比較例2)は、乳化されず、膜厚、隠蔽力、膜の凹凸の抑制のいずれにおいても本発明の効果を得ることができなかった。成分(A)と成分(B)との質量比が特定の範囲を満たさない場合(比較例3)は、隠蔽力はあるものの、膜厚、膜の凹凸の抑制においても本発明の効果を得ることができなかった。
【0069】
したがって、本発明の化粧品により、優れた効果が発揮されることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、化粧品等に利用できる。