(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155929
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 24/00 20060101AFI20231017BHJP
A45D 24/22 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A45D24/00 W
A45D24/00 C
A45D24/00 D
A45D24/00 E
A45D24/22 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065449
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】501449702
【氏名又は名称】戎屋化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓育
(72)【発明者】
【氏名】永留 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】橋立 真歩
(72)【発明者】
【氏名】辻井 宣博
(57)【要約】
【課題】毛髪用化粧料が塗布されない部分が生じにくく、毛髪用化粧料を満遍なく塗布するために、毛髪の梳き操作を何度も繰り返す必要性がなく、毛髪用化粧料の塗布を短時間で行うことができる塗布具を提供すること。
【解決手段】毛髪を梳かす方向に対して直交方向に4列の櫛歯41、42、43、44を備えるようにした塗布具であって、櫛歯のうち、2列の櫛歯43、44を、櫛歯43、44の軸方向と、櫛歯43、44の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯で構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を梳かす方向に対して直交方向に2列以上の櫛歯を備えるようにした塗布具であって、前記櫛歯のうち、少なくとも1列の櫛歯が、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯であることを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記櫛歯のうち、少なくとも2列の櫛歯が、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯であることを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記櫛歯のうち、少なくとも1列の櫛歯が、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が一致する櫛歯であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具。
【請求項4】
一の列の櫛歯の軸方向と、他の列の櫛歯の軸方向とが、間隔を開けて交差することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項5】
前記変形櫛歯が、屈曲した櫛歯であること特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項6】
前記変形櫛歯が、櫛歯の軸部に大径部及び/又は小径部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項7】
塗布具の台座部に凹部を形成し、該凹部に含浸体を備えてなることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項8】
一の列の櫛歯を形成した台座部分と、他の列の櫛歯を形成した台座部分とを嵌着部を介して一体化することにより塗布具の台座部を構成するようにしたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアマニキュア、白髪染め等の毛髪用化粧料を塗布するために用いられる、毛髪を梳かす方向に対して直交方向に2列以上の櫛歯を備えるようにした塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアマニキュア、白髪染め等の毛髪用化粧料を塗布するために、櫛やブラシ等の塗布具が用いられており、例えば、毛髪を梳かす方向に対して直交方向に2列の櫛歯を備えるようにした塗布具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、特許文献1に開示された塗布具は、毛髪用化粧料を含浸可能な塗布部材を備えるようにしたことと相俟って、毛髪用化粧料を塗布しながら櫛歯で毛髪を梳くようにすることで、毛髪に毛髪用化粧料を塗布するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された塗布具を含め、従来の白髪染め等の毛髪用化粧料を塗布するために用いられる塗布具は、塗布具を製造する際の成形上の理由から、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が一致する直線形状の櫛歯を備えたものが一般的であり、このため、櫛歯と接しない毛髪に毛髪用化粧料が塗布されない部分が生じやすく、毛髪用化粧料を満遍なく塗布するために、毛髪の梳き操作を繰り返す必要があるため、毛髪用化粧料の塗布に時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の塗布具の有する問題点に鑑み、毛髪用化粧料が塗布されない部分が生じにくく、毛髪用化粧料を満遍なく塗布するために、毛髪の梳き操作を何度も繰り返す必要性がなく、毛髪用化粧料の塗布を短時間で行うことができる塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の塗布具は、毛髪を梳かす方向に対して直交方向に2列以上の櫛歯を備えるようにした塗布具であって、前記櫛歯のうち、少なくとも1列の櫛歯が、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯であることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記櫛歯のうち、少なくとも2列の櫛歯を、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯で構成することができる。
【0009】
また、前記櫛歯のうち、少なくとも1列の櫛歯を、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が一致する櫛歯(通常の直線形状の櫛歯)で構成することができる。
【0010】
また、一の列の櫛歯の軸方向と、他の列の櫛歯の軸方向とが、間隔を開けて交差する(ねじれの位置にある)ように構成することができる。
【0011】
また、前記変形櫛歯を、屈曲した櫛歯で構成することができる。
【0012】
また、前記変形櫛歯が、櫛歯の軸部に大径部及び/又は小径部を有するようにすることができる。
【0013】
また、前記塗布具の台座部に凹部を形成し、該凹部に含浸体を備えてなるようにすることができる。
【0014】
また、一の列の櫛歯を形成した台座部分と、他の列の櫛歯を形成した台座部分とを嵌着部を介して一体化することにより塗布具の台座部を構成するようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塗布具によれば、毛髪を梳かす方向に対して直交方向に2列以上の櫛歯を備えるようにし、櫛歯のうち、少なくとも1列の櫛歯を、櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯で構成することにより、櫛歯で毛髪を梳く際に、毛髪にねじれや抵抗を生じさせることで、櫛歯、すなわち、櫛歯に付着した毛髪用化粧料と毛髪との接触を促進することができる。
これにより、毛髪用化粧料が塗布されない部分が生じにくくなり、毛髪用化粧料を満遍なく塗布するために、毛髪の梳き操作を何度も繰り返す必要性がなく、毛髪用化粧料の塗布を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の塗布具の第1実施例を示し、(a)は側方側から見た外観図、(b)は先端側から見た外観図である。
【
図2】同塗布具の成形時の状態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X断面図である。
【
図3】本発明の塗布具の第2実施例を示し、(a)は塗布具の成形時の状態を示す平面図、(b)は側方側から見た外観図である。
【
図4】本発明の塗布具の第3実施例を示し、(a)は塗布具の成形時の状態を示す平面図、(b)は側方側から見た外観図である。
【
図5】本発明の塗布具の第4実施例を示し、(a)は塗布具の成形時の状態を示す平面図、(b)は側方側から見た外観図である。
【
図6】本発明の塗布具の第5実施例を示し、(a)は塗布具の成形時の状態を示す平面図、(b)は側方側から見た外観図である。
【
図7】本発明の塗布具の第6実施例を示し、(a)は塗布具の成形時の状態を示す平面図、(b)は側方側から見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の塗布具の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例0018】
図1~
図2に、本発明の塗布具の第1実施例を示す。
この塗布具1Aは、毛髪を梳かす方向に対して直交方向に4列の櫛歯(櫛歯列)41、42、43、44を備えるようにした塗布具であって、櫛歯(櫛歯列)のうち、2列の櫛歯(櫛歯列)43、44を、櫛歯43、44の軸方向と、櫛歯43、44の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯で構成するようにしている。
【0019】
ここで、「櫛歯の軸」とは、櫛歯の根元の立ち上がり部と、櫛歯の先端とを結ぶ仮想線を意味する。
また、「櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯」とは、当該変
形櫛歯の軸方向が、通常の直線形状の櫛歯(櫛歯の軸方向と、櫛歯の成形型の型抜き方向が一致する櫛歯)の軸方向と、間隔を開けて交差する(ねじれの位置にある)ように構成されるもの、屈曲した櫛歯で構成されるもの、櫛歯の軸部に大径部及び/又は小径部を有するものを意味する。
【0020】
ところで、本実施例において、櫛歯(櫛歯列)のうち、2列の櫛歯(櫛歯列)41、42は、櫛歯41、42の軸方向と、櫛歯41、42の成形型の型抜き方向(
図2(b)において上下方向。パーティングラインPLで、成形型の固定側と可動側とが分割される。)が一致する通常の直線形状の櫛歯で構成するようにし、残りの2列の櫛歯(櫛歯列)43、44は、櫛歯43、44の軸方向と、櫛歯43、44の成形型の型抜き方向(
図2(b)において上下方向。パーティングラインPLで、成形型の固定側と可動側とが分割される。)が異なる変形櫛歯(櫛歯43、44とは、櫛歯43、44の軸方向が相互に異なる斜め櫛歯)で構成するようにしている。
これにより、櫛歯(櫛歯列)41、42(櫛歯(櫛歯列)41、42同士は平行。)と、櫛歯(櫛歯列)43と、櫛歯(櫛歯列)44とが、間隔を開けて交差する(ねじれの位置にある)ように構成するようにしている。
【0021】
そして、2列の櫛歯(櫛歯列)41、42は、特許文献1に開示された塗布具と同様、容器のキャップを兼ねた把持部(図示省略)から延びる本体軸部2の先端に形成した第1の台座部分31に一体に成形するようにし、櫛歯(櫛歯列)43は、第1の台座部分31にヒンジ部51を介して一体に成形した第2の台座部分32に一体に成形するようにし、櫛歯(櫛歯列)44は、第1の台座部分31にヒンジ部52を介して一体に成形した第3の台座部分33に一体に成形するようにしている。
【0022】
第1の台座部分31と第2の台座部分32及び第1の台座部分31と第3の台座部分33は、成形後、嵌着部61a、61b及び嵌着部62a、62bを介して一体化することにより塗布具1Aの台座部3を構成するようにする。
【0023】
台座部3、本実施例においては、第1の台座部分31に凹部31aを形成し、この凹部31aに毛髪用化粧料の含浸体(図示省略)を配設するようにする。
ここで、凹部31aは、有底に構成することも、少なくとも一部を貫通して構成することもできる。
【0024】
塗布具1Aは、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂により、射出成形を用いて一体成形するようにする。
【0025】
塗布具1Aは、例えば、毛髪用化粧料としてヘアマニキュアを塗布するために用いられる場合は、櫛歯41、42、43、44の高さ寸法を、1~10mm、好ましくは、2~5mm(本実施例においては、3mm。)程度に設定するようにするが、これに限定されず、用途に応じて、10mm以上に設定するようにすることもできる。
【0026】
本実施例の塗布具1Aの基本的な構成は、上記のとおりであるが、その構成を、以下のように変更することもできる。
・本体軸部2の先端に容器のキャップを兼ねない把持部を設け、独立した塗布具として使用するようにする。
・本体軸部2に毛髪用化粧料の含浸体を配設する凹部31aと連通する毛髪用化粧料の流路を形成し、本体軸部2を取り付けた容器から毛髪用化粧料を直接供給できるようにする。
・毛髪用化粧料の含浸体を配設する第1の台座部分31の凹部31aを省略する。
・4列の櫛歯(櫛歯列)41、42、43、44のいずれか1列又は2列を省略する。こ
の場合、櫛歯(櫛歯列)43、44のいずれかは残存させる。櫛歯(櫛歯列)41、42を省略する場合、第1の台座部分31も省略し、第2の台座部分32と第3の台座部分33を、ヒンジ部を介して一体に成形し、直接、嵌着部を介して一体化することもできる。・塗布具1Aの先端部に毛髪を梳かす方向に対して平行方向に櫛歯(櫛歯列)(図示省略)を備えるようにする。この櫛歯(櫛歯列)は、第1の台座部分31(並びに第2の台座部分32及び第3の台座部分33)に形成するほか、第1の台座部分31にヒンジ部を介して一体に成形した第4の台座部分(図示省略)に一体に成形するようにすることができる。
・第1の台座部分31(櫛歯(櫛歯列)41、42)、第2の台座部分32(櫛歯(櫛歯列)43)及び第3の台座部分33(櫛歯(櫛歯列)44)を個別に成形し、成形後、嵌着部を介して一体化することにより塗布具の台座部を構成するようにする。
【0027】
この塗布具1Aによれば、毛髪を梳かす方向に対して直交方向に4列の櫛歯(櫛歯列)41、42、43、44を備えるようにし、櫛歯(櫛歯列)41、42、43、44のうち、2列の櫛歯を、櫛歯(櫛歯列)43、44の軸方向と、櫛歯43、44の成形型の型抜き方向が異なる変形櫛歯で構成することにより、櫛歯41、42、43、44で毛髪を梳く際に、毛髪にねじれを生じさせることで、櫛歯41、42、43、44、すなわち、櫛歯41、42、43、44に付着した毛髪用化粧料と毛髪との接触を促進することができる。
これにより、毛髪用化粧料が塗布されない部分が生じにくくなり、毛髪用化粧料を満遍なく塗布するために、毛髪の梳き操作を何度も繰り返す必要性がなく、毛髪用化粧料の塗布を短時間で行うことができる。