(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155951
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】荷受け又は荷渡し装置、及び荷受け又は荷渡し方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/12 20060101AFI20231017BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231017BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20231017BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20231017BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B64F1/12
B64C39/02
B64D27/24
B64D9/00
B64C27/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065478
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】岩原 利夫
(57)【要約】
【課題】荷受け又は荷渡し後の無人飛行体の飛行を安定させることができる装置又は方法を提供する。
【解決手段】無人飛行体1は、荷物100を載せるための荷室トレー2と、荷室トレー2の上から装着されて荷室トレー2に載せられた荷物100を覆う荷室カバー3と、荷室カバー3の上面に設けられるバッテリ4と、荷室トレー2及び荷室カバー3で構成される荷室10に着脱可能である、揚力発生部としての回転翼53が接続された本体5とを備える。荷受け又は荷渡し装置としてのポートは、飛行体1が着陸する着陸部と、着陸した飛行体1を屋内に水平移動させるスライダと、屋内にて飛行体1から下ろされた荷室トレー2を載せる昇降部と、昇降部を昇降移動させる移動制御部と、昇降部に載った荷室トレーと、荷物保管部との間で荷物を移動させる荷物移動部と、荷受け又は荷渡し後の飛行体1の重心位置を調整する重心調整部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体が着陸する着陸部と、
荷物保管部と、
前記着陸部に着陸した前記無人飛行体から前記荷物保管部へと、又は前記荷物保管部から前記無人飛行体へと荷物を搬送する搬送部と、
前記荷物の受け渡し後の前記無人飛行体の重心位置を調整する重心調整部と、
前記重心位置が調整された前記無人飛行体が離陸する離陸部と、
を備える荷受け又は荷渡し装置。
【請求項2】
前記重心調整部は、前記無人飛行体に搭載されるバッテリの搭載位置を調整するバッテリ位置調整部を有する請求項1に記載の荷受け又は荷渡し装置。
【請求項3】
前記重心調整部は、前記無人飛行体に残っている荷物、又は前記無人飛行体に新たに搭載された荷物の、前記無人飛行体における搭載位置を調整する荷物位置調整部を有する請求項1に記載の荷受け又は荷渡し装置。
【請求項4】
前記無人飛行体は、荷物を収容する荷室と、前記荷室が装着される飛行可能な本体とを備え、
前記重心調整部は、前記本体における前記荷室の搭載位置を調整する荷室位置調整部を有する請求項1に記載の荷受け又は荷渡し装置。
【請求項5】
前記搬送部は、
前記無人飛行体から下ろされた荷物を載せ、又は前記荷物保管部に保管された荷物を載せる荷物載せ部と、
前記荷物載せ部を、前記無人飛行体の位置と、前記荷物保管部に対峙した位置との間で移動させる移動制御部と、
前記対峙した位置において、前記荷物載せ部に載っている荷物を前記荷物保管部に移動させ、又は前記荷物保管部に保管された荷物を前記荷物載せ部に移動させる荷物移動部であり、前記荷物載せ部に複数の荷物が載っている場合又は前記荷物保管部に複数の荷物が保管されている場合に各荷物を個別に移動可能とする荷物移動部と、
を備える請求項1に記載の荷受け又は荷渡し装置。
【請求項6】
前記荷物移動部は、前記荷物載せ部又は前記荷物保管部での荷物の配列方向に沿って前記荷物載せ部に複数備えられる請求項5に記載の荷受け又は荷渡し装置。
【請求項7】
前記無人飛行体は、荷物を載せるための載置部を備え、
前記荷物載せ部は前記無人飛行体から下ろされた前記載置部を載せ、
前記移動制御部は、
前記載置部を載せた前記荷物載せ部を前記荷物保管部に対峙した位置まで移動させる第1移動制御部と、
前記載置部から前記荷物保管部に、又は前記荷物保管部から前記載置部に荷物の受け渡しがされた後に、前記載置部を載せた前記荷物載せ部を、前記無人飛行体の位置まで移動させる第2移動制御部とを備え、
前記第2移動制御部により戻ってきた前記載置部を再び搭載した前記無人飛行体が前記離陸部から離陸する、
請求項5又は6に記載の荷受け又は荷渡し装置。
【請求項8】
前記着陸部は屋外に設けられ、
前記着陸部に着陸した前記無人飛行体を前記着陸部に隣接した屋内まで水平移動させる水平移動部を備え、
前記搬送部は、前記屋内に移動した前記無人飛行体と、前記荷物保管部との間で荷物を搬送する請求項1に記載の荷受け又は荷渡し装置。
【請求項9】
着陸した無人飛行体に搭載された荷物を受け取り、又は前記無人飛行体に荷物を渡す荷受け又は荷渡し工程と、
前記荷受け又は荷渡し工程後の前記無人飛行体の重心位置を離陸前に調整する重心調整工程と、
前記重心位置が調整された前記無人飛行体を離陸させる離陸工程と、
を備える荷受け又は荷渡し方法。
【請求項10】
前記無人飛行体は荷物を載置するための載置部を搭載しており、
前記荷受け又は荷渡し工程は、
前記無人飛行体から下ろされた前記載置部を荷物保管部に対峙した位置まで搬送するよう制御する第1の搬送工程と、
前記対峙した位置において、前記載置部に載った荷物を個別に前記荷物保管部に移動させ、又は前記荷物保管部に保管された荷物を個別に前記載置部に移動させる荷物移動工程と、
前記荷物移動工程後に前記載置部を前記無人飛行体まで搬送するよう制御する第2の搬送工程とを備え、
前記離陸工程では、前記第2の搬送工程により戻ってきた前記載置部を再び搭載した前記無人飛行体を離陸させる請求項9に記載の荷受け又は荷渡し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行体で輸送された荷物を受け取り、又は無人飛行体に荷物を渡す装置又は方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無人飛行体(ドローンともいう)を利用して荷物を輸送する提案がある(例えば特許文献1~3参照)。例えば特許文献1では、荷物を搭載した飛行体の飛行効率を向上させるために、飛行中にバッテリを所定角度の方向に移動させる技術を提案している。また、特許文献2では、無人飛行体で運ばれた荷物を受け入れて保管する荷受け保管装置及び方法を提案している。また、特許文献3では、荷物の配送先に関する場所情報、荷物の重量情報、無人飛行体が荷物を載せた場合の重心情報などに基づいて、搭載するバッテリを選択する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-8270号公報
【特許文献2】国際公開第2020/136742号
【特許文献3】特許第6357602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人飛行体に搭載された荷物を受け取り、又は無人飛行体に荷物を渡す場合、荷受け又は荷渡し前後で無人飛行体の重量バランスが変わることで、荷受け又は荷渡し後の無人飛行体の飛行が不安定となるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、荷受け又は荷渡し後の無人飛行体の飛行を安定させることができる装置又は方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の荷受け又は荷渡し装置は、
無人飛行体が着陸する着陸部と、
荷物保管部と、
前記着陸部に着陸した前記無人飛行体から前記荷物保管部へと、又は前記荷物保管部から前記無人飛行体へと荷物を搬送する搬送部と、
前記荷物の受け渡し後の前記無人飛行体の重心位置を調整する重心調整部と、
前記重心位置が調整された前記無人飛行体が離陸する離陸部と、
を備える。
【0007】
また、本開示の荷受け又は荷渡し方法は、
着陸した無人飛行体に搭載された荷物を受け取り、又は前記無人飛行体に荷物を渡す荷受け又は荷渡し工程と、
前記荷受け又は荷渡し工程後の前記無人飛行体の重心位置を離陸前に調整する重心調整工程と、
前記重心位置が調整された前記無人飛行体を離陸させる離陸工程と、
を備える。
【0008】
本開示の荷受け又は荷渡し装置、又は方法によれば、無人飛行体からの荷物の荷受け又は無人飛行体への荷物の荷渡し後の無人飛行体の重心位置を調整するので、荷受け又は荷渡し後の無人飛行体の飛行を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1~第3実施形態における無人飛行体を上から見た上面図である。
【
図2】
図1のII-II線での無人飛行体の断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線での無人飛行体の断面図である。
【
図4】第1~第3実施形態における無人飛行体の分解斜視図である。
【
図5】
図1のV-V線での無人飛行体の断面図である。
【
図7】無人飛行体の本体を下から見た下面図である。
【
図8】無人飛行体に荷物及びバッテリを搭載する手順を示すフローチャートである。
【
図9】第1~第3実施形態における飛行体ポートの斜視図である。
【
図10】第1~第3実施形態における飛行体ポートを上から見た上面図である。
【
図11】
図10のXI-XI線での飛行体ポートの断面図である。
【
図12】
図10のXII-XII線での飛行体ポートの断面図である。
【
図13】
図10のXIII-XIII線での飛行体ポートの断面図である。
【
図14】飛行体ポートのロッカー室において荷受人が荷物を受け取っている様子を示した図である。
【
図15】飛行体ポートの電気的構成を示すブロック図である。
【
図16】飛行体ポートにおいて荷物を無人飛行体から受け取り、又は無人飛行体に渡す手順を示すフローチャートである。
【
図17】
図10のXII-XII線と同じ位置での飛行体ポートの断面図であり、飛行体が着陸した状態を示す図である。
【
図18】
図10のXII-XII線と同じ位置での飛行体ポートの断面図であり、着陸した飛行体を屋内に移動させた状態を示す図である。
【
図19】
図10のXII-XII線と同じ位置での飛行体ポートの断面図であり、飛行体から下ろされた荷物が載った昇降部を下降させた状態を示す図である。
【
図20】
図10のXIII-XIII線と同じ位置での飛行体ポートの断面図であり、飛行体から下ろされた荷物が載った昇降部を下降させた状態を示す図である。
【
図21】第1実施形態における
図16のステップ17の詳細を示すフローチャートである。
【
図22】荷室におけるバッテリ搭載位置の調整例を示す図である。
【
図23】第2実施形態における
図16のステップ17の詳細を示すフローチャートである。
【
図24】第3実施形態における無人飛行体の断面図である。
【
図25】第3実施形態における荷室カバー、バッテリトレー、バッテリ及び本体カバーの一部(本体側コネクタ、取付部)の斜視図である。
【
図26】第3実施形態における
図16のステップ17の詳細を示すフローチャートである。
【
図27】荷室カバーの第1の変形例を示す図であり、側面部に、下端が切り欠いた開口を有した荷室カバーの斜視図である。
【
図28】荷室カバーの第2の変形例を示す図であり、側面部に、下端が閉じた開口を有した荷室カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1~
図4に第1実施形態における荷物輸送用の無人飛行体1(ドローン)を示す。
図1~
図4に示す無人飛行体1(以下、単に飛行体という場合がある)は、荷室トレー2と荷室カバー3とバッテリ4と本体5とを備えている。
【0011】
荷室トレー2は、荷物100(
図2~
図4参照)を載置するための載置部である。荷室トレー2は、荷物100の載置面21a(
図2、
図3参照)を形成するトレー本体21と、トレー本体21の外周に位置する外周部22とを備えている。トレー本体21は例えば平板状に形成される。トレー本体21の上面21aが荷物100の載置面に設定されている。載置面21aは水平面に形成されている。また、本実施形態では、載置面21aの平面視の形状は、飛行体1の左右方向(
図3の紙面の左右方向)よりも前後方向(進行方向)(
図3の紙面に直交する方向)に長い直角四角形に形成される。なお、載置面21aは、直角四角形以外の形状に形成されてもよい。載置面21aは複数(例えば3個)の荷物100を載置可能な大きさに設定されている。
【0012】
外周部22は、トレー本体21の外周全周に亘って、トレー本体21から下方に突き出るように設けられる。トレー本体21の平面視形状が直角四角形の場合には、外周部22は、直角四角形を構成する4辺それぞれに設けられる。外周部22は、トレー本体21から下方に向かうにしたがって徐々に外側(
図2、
図3に示す荷室中心線Lから遠ざかる方向)に変位するよう若干傾斜状に形成されている。なお、荷室中心線Lは、載置面21aの中心を通る、載置面21aに直角な直線である。外周部22が若干傾斜状に形成されることで、荷室カバー3内の空間35への荷室トレー2の挿入(装着)をしやすくできる。トレー本体21と外周部22とで、下方が開き、下方以外の方向(上方、側方)が閉じた空間24(
図2、
図3参照)がトレー本体21の下に形成される。
【0013】
荷室トレー2は、荷室カバー3に着脱可能に設けられる。具体的には、荷室トレー2は、荷室カバー3の下方から荷室カバー3に装着され、荷室カバー3から下方へと取り外されることが可能に設けられる。より具体的には、
図4、
図5に示すように、荷室トレー2は、荷室カバー3に取り付けられる取付部23を備える。取付部23は例えば外周部22の外面に設けられる。また、取付部23は、荷室トレー2の周方向に沿った複数の位置に設けられる。本実施形態では、取付部23は、直角四角形の4辺を構成する外周部22のうち、飛行体1の前後方向(進行方向)に延びた2辺のそれぞれに2つずつ設けられる(
図4参照)。ただし、取付部23は、直角四角形の4辺を構成する外周部22のうち、左右方向に延びた辺に設けられてもよい。また、取付部23の個数は何個でもよい。
【0014】
取付部23は、荷室カバー3側の取付部36(
図5参照)と係合(換言すれば嵌合)する形状に形成されている。具体的には、取付部23は例えば突起状(凸状)に形成されており、荷室カバー3側の取付部36が溝状(凹状)に形成されている。そして、荷室トレー2が荷室カバー3に装着された状態では、突起状の取付部23が溝状の取付部36に嵌っている。取付部23、36は、所定の解除操作が加えられない限りは、取付部23、36の係合状態を保持するように構成される。また、取付部23、36は、所定の解除操作が加えられた場合には、取付部23、36の係合状態が解除されるよう構成される。例えば、荷室トレー2を上方に移動しないよう保持した状態で荷室カバー3を上方に引き上げる操作が加えられた場合、又は荷室カバー3を下方に移動しないよう保持した状態で荷室トレー2を下方に引き下ろす操作が加えられた場合に、取付部23、36の係合が解除されるように、取付部23、36の係合力(突起と溝との係合量)が定められている。または、取付部23の突起が、機械的に又は電動で引っ込むように可動に構成されてもよい。この場合、取付部23の突起が引っ込むことで、取付部23、36の係合が解除される。
【0015】
なお、荷室トレー2側の取付部23が溝状に形成され、荷室カバー3側の取付部36が突起状に形成されてもよい。また、取付部23、36による係合形態は、凸部と凹部との嵌合以外の形態であってもよく、例えばかんぬき状の形態でもよい。取付部23、36がかんぬき状の形態で構成される場合には、取付部23、36は、荷室トレー2側に形成される貫通孔と、荷室カバー3側に形成される貫通孔と、これら2つの貫通孔が合わさった状態で2つの貫通孔に挿通される棒状部とを含んで構成される。2つの貫通孔に棒状部が挿通されると、荷室トレー2と荷室カバー3とが装着状態となる一方で、棒状部による2つの貫通孔への挿通が解除されると、荷室トレー2と荷室カバー3とが分離される。
【0016】
図2、
図3に示すように、荷室トレー2は、荷室カバー3内の荷室空間35の下方開口34を閉塞するように、荷室カバー3に装着される。荷室トレー2が荷室カバー3に装着された状態では、トレー本体21が、荷室カバー3の下方開口34よりも荷室空間35の内側に位置する。また、外周部22の外面の全周が荷室カバー3の側面部32の内面32aに接触して(位置決めされて)、荷室カバー3に対する荷室トレー2の水平方向への相対移動が規制されている。また、トレー本体21の上面の外周部の一部が、荷室カバー3に設けられた内側突出部33の下端33aに接触して(位置決めされて)、荷室カバー3に対する荷室トレー2の上方への相対移動が規制されている。なお、荷室カバー3に対する荷室トレー2の下方への相対移動は上記取付部23、36により規制される。また、荷室トレー2が荷室カバー3に装着された状態では、外周部22の下端22aは、荷室カバー3の下端34(下方開口)と略同じ上下方向位置に設けられる。
【0017】
荷室カバー3は、荷室トレー2に着脱可能である。具体的には、荷室カバー3は、荷室トレー2の上方から荷室トレー2に装着されて、荷室トレー2に載せられた荷物100を覆う。また、荷室カバー3は、荷室トレー2の上方へと取り外しが可能(分離可能)に設けられる。
【0018】
詳しくは、荷室カバー3は例えば略直方体状に形成されるが、略直方体状以外の形状に形成されてもよい。荷室カバー3は、上面部31と側面部32とを備える。上面部31と側面部32とで、下方に開口34を有し、下方を除く全方向(側方及び上方)を閉塞した荷室空間35を形成している。このように、荷室カバー3は、荷室トレー2が分離された状態では、下方が開いた箱状に形成される。荷室カバー3に荷室トレー2が装着されることで、荷室空間35の開口34が荷室トレー2で閉塞されて、荷室空間35の全方向(下方も含む)が閉塞される。この閉塞した荷室空間35に、荷室トレー2に載せられた荷物100が収容される。荷室空間35は、複数の荷物100を収容可能な大きさに設定される。
図2では、荷室空間35に3個の荷物100が荷室空間35の前後方向に並ぶように収容される例が示される。ただし、荷物100の個数は何個でもよいし、荷物100の配列方向は水平方向のどの方向(例えば左右方向)でもよい。
【0019】
上面部31は、例えば平面視で、飛行体1の左右方向よりも前後方向(進行方向)に長い直角四角形の平板状に形成される。ただし、これに限定されず、上面部31は、正方形(左右方向と前後方向とが同じ長さの直角四角形)、前後方向よりも左右方向の方が長い直角四角形、楕円形など、どのような形状に形成されてもよい。上面部31の外面31a(上面)は水平面に形成される。外面31aは、バッテリ4が載せられるバッテリ載置面(換言すればバッテリ搭載部)として構成される。外面31aは、バッテリ4を外面31aに載せる際にその搭載位置が調整可能なバッテリ搭載部として構成されている。
【0020】
外面31aには、バッテリ4のコネクタ43を動かないよう保持するコネクタホルダ38が外面31aに一体に設けられている。(
図2、
図4参照)。コネクタホルダ38は、外面31aから上方に突出して、コネクタ43の周囲を囲む形状に形成されている。コネクタホルダ38には、コネクタホルダ38の内側(コネクタ43の収容空間)と外側とを導通させる導通部38aが形成されている(
図4参照)。この導通部38aに、バッテリ4の電線42が通されている。また、コネクタホルダ38は、荷室カバー3が本体5に装着された状態で、本体5に設けられたコネクタ59に対峙する位置に設けられる(
図2参照)。言い換えれば、コネクタホルダ38は、バッテリ4を搭載した荷室10(荷室トレー2及び荷室カバー3)が本体5に装着されたときに、バッテリ4のコネクタ43と、本体5のコネクタ59とが接続される位置に設けられている。
【0021】
荷室カバー3の側面部32は、上面部31の外周全周から下方に向かって延設された板状に形成されている。側面部32は、飛行体1の進行方向に面した前面部と、進行方向の反対の後ろ方向に面した後面部と、進行方向に向かって左方向に面した左面部と、進行方向に向かって右方向に面した右面部とを有する。側面部32は、上面部31から下方に向かうにしたがって徐々に外側(
図2、
図3に示す荷室中心線Lから遠ざかる方向)に変位するよう若干傾斜状に形成されている。このように、側面部32が若干傾斜状に形成されることで、後述の本体カバー51内の空間55への荷室カバー3の挿入(装着)をしやすくできる。側面部32の、荷室中心線Lに対する傾斜角は、荷室トレー2の外周部22の、荷室中心線Lに対する傾斜角と同じである。これにより、荷室トレー2が荷室カバー3に装着されたときに、外周部22の外面と側面部32の内面とを密着させることができる。ただし、側面部32の上記傾斜角と、外周部22の上記傾斜角とは異なっていてもよい。
【0022】
側面部32の下端34は、平面視で見て荷室トレー2の平面視形状と同様の形状の開口を形成している。下端34の内縁側は、上方に向かうにしたがって徐々に開口34の径を小さくするテーパ形状34aに形成されている(
図3参照)。テーパ形状34aは、開口34の全周に亘って形成されている。このテーパ形状34aにより、荷室カバー3に荷室トレー2を装着する際に、荷室トレー2を開口34の内側に入れやすくできる。
【0023】
また、側面部32の内面32aには、内側(荷室中心線L側)に突出する内側突出部33が形成されている(
図2、
図3、
図6参照)。
図6に示すように、内側突出部33は、側面部32の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。具体的には、前後左右の側面部32のうちの前面部及び後面部にそれぞれ1つの内側突出部33が設けられ、左面部及び右面部にそれぞれ2つの内側突出部33が設けられる。前面部及び後面部に設けられる内側突出部33は、前面部及び後面部の左右方向における幅の中心に設けられる。
【0024】
各内側突出部33は、
図2、
図3に示すように、側面部32の下端34(開口)から上方に距離をあけた位置に下端33aを有し、その下端33aから上面部31の位置まで延びるように形成されている。すなわち、内側突出部33の上端は、上面部31に接続されている。内側突出部33の下端33aは
図2、
図3の方向から見て水平線を描くように形成されている。上述したように、下端33aと荷室トレー2の上面21aとが接触している。
図2、
図3では、荷室カバー3の側面部32の内面から突出するリブ(内側突出部33)により、荷室トレー2が上下方向に位置決めされる例を示しているが、リブ以外の方法で位置決めされてもよい。例えば、荷室カバー3の側面部32は、
図1の前後方向中心線(II-II線)に平行ないずれの前後方向線で切った断面で見ても、又は
図1の左右方向中心線(III-III線)に平行ないずれの左右方向線で切った断面で見ても、
図2と同様に、荷室トレー2が位置する側面部32の下部に対して残余部が内側に突出した凸断面となるように形成されてもよい。
【0025】
上述のように、荷室カバー3は、荷室トレー2に着脱可能である。具体的には、荷室カバー3は、側面部32の内面32aに、荷室トレー2側の取付部23に係合可能な形状の取付部36を有する(
図5参照)。取付部36は上述のように、例えば突起状の取付部23に嵌合する溝状(凹状)に形成される。取付部36は、内面32aのうち、内側突出部33の下端33aよりも下側の位置に設けられる。また、取付部36は、荷室トレー2側の取付部23の位置に合わせて、荷室カバー3の周方向に沿った複数の位置に設けられる。
【0026】
さらに、荷室カバー3は、本体5に着脱可能である。具体的には、
図4、
図5に示すように、荷室カバー3は、本体5に取り付けられる取付部37を備える。取付部37は例えば側面部32の外面に設けられる。また、取付部37は、荷室カバー3の周方向に沿った複数の位置に設けられる。本実施形態では、前後左右の側面部32のうちの左面部及び右面部のそれぞれに2つずつ設けられる(
図4参照)。なお、取付部37は、前後左右の側面部32のうちの前面部及び後面部に設けられてもよい。また、取付部37の個数は何個でもよい。
【0027】
取付部37は、本体5側の取付部57(
図5参照)と係合(換言すれば嵌合)する形状に形成されている。具体的には、取付部37は例えば突起状(凸状)に形成されており、本体5側の取付部57が溝状(凹状)に形成されている。そして、荷室カバー3が本体5に装着された状態では、突起状の取付部37が溝状の取付部57に嵌っている。取付部37、57は、所定の解除操作が加えられない限りは、取付部37、57の係合状態を保持するように構成される。また、取付部37、57は、所定の解除操作が加えられた場合には、取付部37、57の係合状態が解除されるよう構成される。例えば、荷室カバー3を上方に移動しないよう保持した状態で本体5を上方に引き上げる操作が加えられた場合、又は本体5を下方に移動しないよう保持した状態で荷室カバー3を下方に引き下ろす操作が加えられた場合に、取付部37、57の係合が解除されるように、取付部37、57の係合力(突起と溝との係合量)が定められている。または、取付部37の突起が、機械的に又は電動で引っ込むように可動に構成されてもよい。この場合、取付部37の突起が引っ込むことで、取付部37、57の係合が解除される。
【0028】
なお、荷室カバー3側の取付部37が溝状に形成され、本体5側の取付部57が突起状に形成されてもよい。また、取付部37、57による係合形態は、凸部と凹部との嵌合以外の形態であってもよく、例えばかんぬき状の形態でもよい。取付部37、57がかんぬき状の形態で構成される場合には、取付部37、57は、荷室カバー3側に形成される貫通孔と、本体5側に形成される貫通孔と、これら2つの貫通孔が合わさった状態で2つの貫通孔に挿通される棒状部とを含んで構成される。2つの貫通孔に棒状部が挿通されると、荷室カバー3と本体5とが装着状態となる一方で、棒状部による2つの貫通孔への挿通が解除されると、荷室カバー3と本体5とが分離される。
【0029】
荷室トレー2と荷室カバー3とが合体することで荷室10が形成される。荷室10は、本体5(具体的には後述する本体カバー51)に着脱可能である。具体的には、荷室10は、本体5の下方から本体5に装着され、本体5から下方へと取り外されることが可能に設けられる。また、荷室10は、
図2、
図3に示すように、本体5に形成される本体空間55に収容されるように、本体5に装着される。本実施形態では、荷室10が本体5に装着された状態では、荷室10の全体が本体空間55に収容される。ただし、荷室10の下端からの一部が本体空間55の外側に露出してもよい。また、荷室10が本体5に装着された状態では、荷室10の下端(荷室カバー3の下端34又は荷室トレー2の下端22a)は、本体空間55の下方開口54と同一の上下方向位置に設けられてもよいし、下方開口54よりも本体空間55の内側に設けられてもよいし、下方開口54から外側に露出した位置に設けられてもよい。
【0030】
また、荷室10が本体5に装着された状態では、本体空間55の下方開口54が荷室10で閉塞される。さらに、荷室10が本体5に装着された状態では、荷室カバー3の左右の側面部32の外面の全体が本体空間55の壁面に接触することで(位置決めされることで)、本体5に対する荷室10の左右方向への相対移動が規制されている(
図3参照)。また、荷室10が本体5に装着された状態では、荷室カバー3の前後の側面部32の外面の一部が、本体空間55に設けられた内側突出部56に接触することで(位置決めされることで)、本体5に対する荷室10の前後方向への相対移動が規制されている(
図2参照)。また、荷室10が本体5に装着された状態では、荷室カバー3の上面部31の外面31aの一部が上記内側突出部56に接触することで(位置決めされることで)、本体5に対する荷室10の上方への相対移動が規制されている(
図2参照)。なお、本体5に対する荷室10の下方への相対移動は上記取付部37、57により規制される。このように、本実施形態では、本体空間55内において荷室10の位置を調整するスペースを有しない。
【0031】
バッテリ4は、上述のように、荷室カバー3の上面部31の上に搭載されている。また、バッテリ4は、荷室10(荷室カバー3)の上面31aと本体空間55の壁面とで形成されるバッテリ収容空間58に収容される(
図2、
図3参照)。バッテリ4は、飛行体1を駆動するためのバッテリであり、より具体的には、本体5に設けられる揚力発生部としての回転翼53の駆動部に電力を供給するためのバッテリである。また、バッテリ4は充電可能な二次電池である。バッテリ4としては、各種の二次電池を適用可能であり、例えば、ニッケル水素バッテリ、リチウムポリマーバッテリ、リチウムイオンバッテリ、又はリチウムフェライトバッテリであってよい。
【0032】
バッテリ4は、
図2に示すように、バッテリ本体41と電線42とコネクタ43とを備える。バッテリ本体41は、電線42及びコネクタ43を介して電力を外部に供給する。バッテリ本体41は、バッテリ収容空間58において水平方向(前後方向及び左右方向)にスペース(位置調整可能スペース)を有した状態で設けられる。また、バッテリ本体41は、荷室カバー3の上面部31と本体空間55の上面とで上下方向の移動が規制された状態で設けられる。
【0033】
電線42は、バッテリ本体41とコネクタ43とを接続する。電線42の長さは、バッテリ本体41がバッテリ収容空間58の水平方向における任意の位置で搭載可能となるよう、余裕を持たせている。コネクタ43は、上述のコネクタホルダ38に動かないよう保持されている。また、コネクタ43は、本体5側のコネクタ59に接続されている。コネクタ43とコネクタ59とは着脱可能である。なお、コネクタ43が本開示の第1コネクタに相当し、コネクタ59が第2コネクタに相当する。また、コネクタホルダ38が保持部に相当する。
【0034】
バッテリ本体41は、バッテリ4を荷室カバー3の上に組み付ける場面(飛行体1にバッテリ4を搭載する場面)においてはバッテリ収容空間58の水平方向に位置調整が可能である。一方、飛行体1の飛行中に、バッテリ本体41の搭載位置が意図せずに変わってしまうのは望ましくない。そこで、飛行中に、バッテリ本体41が荷室カバー3の上面31a内で移動してしまうのを抑制するために、バッテリ本体41は、面ファスナー等で簡易的に上面31aに固定されてもよい。
【0035】
本体5は、揚力発生部及び推力発生部としての回転翼53が接続されている。すなわち、本体5は飛行可能に構成されている。
図4に示すように、本体5は、本体カバー51と、本体カバー51に接続されたアーム52と、アーム52の先端に接続された回転翼53(プロペラ)とを備えている。アーム52は例えば本体カバー51から側方に突出するように設けられる。アーム52及び回転翼53は複数(
図4の例では4つ)設けられてよい。
【0036】
さらに、本体5は、回転翼53を駆動する駆動部(モータ)、通信部、センサ部、記憶部、及び制御部を備えている(図示外)。通信部は、飛行中に外部の管理装置(図示外)との間で通信を行う部分であり、例えば、センサ部の検出値(例えば現在値情報など)を管理装置に送信したり、管理装置からの飛行制御信号を受信したりする。センサ部は、種々のセンサを含んでよく、例えば、カメラ、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、赤外線センサ、音声センサ、輝度センサ、風向風速センサ、地磁気センサ、高度センサ、変位センサ、温度センサ、熱検知センサ、又は感圧センサなどを含んでよい。記憶部は、荷物100の輸送に必要な各種データを記憶する。記憶部には、外部の管理装置との通信が不能時に、自立飛行を可能とするよう、荷物100の輸送先情報が記憶されてもよい。制御部は、センサ部の検出値、通信部で受信した飛行制御信号などに基づいて回転翼53の駆動を制御する。
【0037】
本体カバー51は、下方に開口54を有した箱状(換言すれば略直方体)に形成される。具体的には、本体カバー5は、
図2、
図3に示すように、上面部51aと、左右の側面部51b、51cと、前面部51dと、後面部51eとを有した形状に形成される。これら面部51a~51eの内側に、下方に開口54を有し、下方以外の方向(左右方向、前後方向、上方向)が閉塞した本体空間55が形成されている。開口54は、平面視で見て荷室10の平面視形状と同様の形状に形成される。本体空間55は、荷室10及びこれに搭載されたバッテリ4を収容するための空間である。本体空間55のうち、荷室10の上面31aと本体カバー51の上面部51aとで囲まれる空間58は上述のバッテリ収容空間に設定されている。
【0038】
また、本体カバー51の開口54を形成する部分の内縁側は、上方に向かうにしたがって徐々に開口54の径を小さくするテーパ形状54aに形成されている(
図3参照)。テーパ形状54aは、開口54の全周に亘って形成されている。このテーパ形状54aにより、本体カバー51に荷室10を装着する際に、荷室10を本体空間55に入れやすくできる。
【0039】
本体空間55の壁面には、本体空間55の内側に突出した内側突出部56が形成されている(
図2、
図7参照)。内側突出部56は、前後方向における前側に2箇所、及び後ろ側に2箇所の合計4箇所に形成されている(
図7参照)。具体的には、荷室カバー3より前側に設けられる内側突出部56は、
図2に示すように、前面部51dの内面(本体空間55を臨む面)から後方に突出する第1突出部56aと、上面部51aの内面(本体空間55を臨む面)から下方に突出する第2突出部56bとを有する。これら第1突出部56a、第2突出部56bは連続している。第1突出部56aは、本体空間55の開口54から上面部51a(第2突出部56b)の位置に亘って連続して形成されている。第1突出部56aは、上方に向かうにしたがって徐々に後方への突出量が大きくなる形状に形成される。すなわち、第1突出部56aの、後方への突出端部56a1は、上方に向かうにしたがって徐々に後方へ変位する傾斜状に形成される。荷室中心線L(鉛直方向)に対する突出端部56a1の傾斜角は、荷室カバー3の前面部の、荷室中心線Lに対する傾斜角と同じである。すなわち、荷室カバー3が本体カバー51に装着された状態では、突出端部56a1の全体が荷室カバー3の前面部に接触している。
【0040】
また、第2突出部56bは、上面部51aのうちの前側の部分から下方に突出するように形成される。第2突出部56bの、下方への突出端部56b1は水平面に平行に形成され、換言すれば、
図2の方向から見て水平線を描くように形成される。すなわち、荷室カバー3が本体カバー51に装着された状態では、突出端部56b1の全体が荷室カバー3の上面31aに接触している。
【0041】
荷室カバー3より後ろ側に設けられる内側突出部56は、
図2に示すように、後面部51eの内面(本体空間55を臨む面)から前方に突出する第3突出部56cと、上面部51aの内面(本体空間55を臨む面)から下方に突出する第4突出部56dとを有する。これら第3突出部56c、第4突出部56dは連続している。第3突出部56cは、上方に向かうにしたがって徐々に前方への突出量が大きくなる形状に形成される。すなわち、第3突出部56cの、前方への突出端部56c1は、上方に向かうにしたがって徐々に前方へ変位する傾斜状に形成される。荷室中心線Lに対する突出端部56c1の傾斜角は、荷室カバー3の後面部の、荷室中心線Lに対する傾斜角と同じである。すなわち、荷室カバー3が本体カバー51に装着された状態では、突出端部56c1の全体が荷室カバー3の後面部に接触している。
【0042】
また、第4突出部56dは、上面部51aのうちの後側の部分から下方に突出するように形成される。第4突出部56dの、下方への突出端部56d1は水平面に平行に形成され、換言すれば、
図2の方向から見て水平線を描くように形成される。すなわち、荷室カバー3が本体カバー51に装着された状態では、突出端部56d1の全体が荷室カバー3の上面31aに接触している。
【0043】
このように、4箇所の内側突出部56により、荷室10の、本体カバー51に対する前後方向及び上方への相対移動が規制されている。内側突出部56は、本体空間55における荷室10の位置を決める位置決め部として機能し、言い換えれば、本体カバー51に対する荷室10の相対移動を規制する移動規制部として機能する。なお、荷室10の左右方向の移動は、本体カバー51の左右の側面部51b、51cにより規制されている(
図3参照)。また、上述のように、荷室10の下方への移動は、上記取付部37、57により規制されている。
【0044】
さらに、本体カバー51の下面60(
図2参照)は、開口54の前後に位置するとともに、開口54に対して下方に段差を形成するよう設けられる。下面60は水平面に形成されている。下面60は、飛行体1が着地している状態で地面に接触する接触面として機能する。荷室10の下端(荷室カバー2の下端22a及び荷室カバー3の下端34)は、下面60よりも上方に位置する。すなわち、荷室10が本体カバー51に装着された状態では、荷室10の下端22a、34は地面から若干浮いた状態となる。
【0045】
本体カバー51は、荷室10(荷室カバー3)に着脱可能である。具体的には、本体カバー51は、荷室10の上方から荷室10に装着され、荷室10の上方へと取り外されることが可能に設けられる。より具体的には、本体カバー51は、左右の側面部51b、51cの内面に、荷室カバー3側の取付部37に係合可能な形状の取付部57を有する(
図5参照)。取付部57は上述のように、例えば突起状の取付部37に嵌合する溝状(凹状)に形成される。また、取付部57は、荷室カバー3側の取付部37の位置に合わせて、本体カバー51の周方向に沿った複数の位置に設けられる。
【0046】
次に、飛行体1(本体5)に荷物100及びバッテリ4を搭載する手順を説明する。
図8はその手順のフローチャートを示している。
【0047】
先ず、空の荷室トレー2を準備する(S1)。次に、準備した荷室トレー2の上に1つ又は複数の荷物100を載せる(S2)。複数の荷物100を載せる場合には、例えば、輸送先が同一の複数の荷物100を載せてもよいし、輸送先が異なる複数の荷物100を載せてもよい。また、複数の荷物100を載せる場合には、複数の荷物100を荷室トレー2の面内方向(水平方向)(例えば荷室トレー2の前後方向)に配列させてよい。また、複数の荷物100を載せる場合には、各荷物100の重量に応じて、荷室トレー2における各荷物100の搭載位置を調整してよい。
【0048】
次に、ステップS2で荷物100を載せた荷室トレー2に荷室カバー3を上から装着させて、荷室トレー2と荷室カバー3とを合体させる(S3)。このとき、荷室トレー2の取付部23と、荷室カバー3の取付部36とを係合させることで(
図5参照)、荷室カバー3が荷室トレー2から外れないようにする。
【0049】
次に、ステップS3により得られた荷室10の上面にバッテリ4を搭載する(S4)。このとき、各荷物100の重量及び飛行体1の飛行予定距離に応じた容量のバッテリ4を選択してよい。例えば、荷物100の重量が大きいほど高容量のバッテリ4を選択してよい。また、例えば、飛行予定距離が長いほど高容量のバッテリ4を選択してよい。なお、飛行予定距離として、例えば、飛行体1が基地(
図8の処理を行う場所)を出発してから、各荷物100を輸送先まで輸送し、その後、また基地(飛行体1を回収する場所)に戻ってくるまでの総輸送距離を取得してよい。また、飛行体1が基地を出発してから帰還するまでに、バッテリ4を充電することなく、又は別のバッテリ4に交換することなく飛行が可能な容量のバッテリ4を選択してよい。また十分に充電されたバッテリ4(例えば満充電(100%充電)されたバッテリ4)を選択してよい。
【0050】
また、荷室トレー2に載った荷物100の重心位置(重量分布)を取得して、その重心位置に応じて、荷室10の上面におけるバッテリ本体41の搭載位置を調整してよい。これによれば、本体5と荷室10とを合体する前の前段取りでバッテリ4の搭載位置が調整されることで、荷物100及びバッテリ4を搭載した荷室10が本体5に合体したときの飛行体1全体の重心位置を前段取りで決めることができる。これにより、飛行体1の重心調整を効率的に行うことができる。なお、コネクタ43はコネクタホルダ38に保持させる。
【0051】
次に、荷物100及びバッテリ4を載せた荷室10に本体5を装着させて、荷室10と本体5とを合体させる(S5)。このとき、荷室カバー3の取付部37と本体カバー51の取付部57とを係合させることで(
図5参照)、荷室カバー3(荷室10)が本体5から外れないようにする。なお、荷室10と本体5とが装着されることで、バッテリ4のコネクタ43と、本体5側のコネクタ59とが自動的に接続される。これにより、本体5への電力供給が可能な状態となる。
【0052】
上述のステップS1~S5を経て、荷室10、荷物100及びバッテリ4を搭載した飛行体1が完成する。その後、飛行体1は基地を出発して、各荷物100を所定の場所まで輸送する。なお、ステップS1~S5の一部又は全部はロボットが行ってもよいし、人間が行ってもよい。
【0053】
その後、全ての荷物100の輸送を終えた飛行体1が基地に帰還すると、例えば、飛行体1を各部2、3、4、5に分離して、各部2、3、4、5を回収する。飛行体1の各部2、3、4、5の分離は例えば以下の手順で行えばよい。先ず、飛行体1から荷室10を分離させる。具体的には、飛行体1の荷室カバー3の取付部37と本体カバー51の取付部57の係合を解除しつつ、本体5を荷室10の上方に引き上げ、又は荷室10を本体5の下方に引き下ろすことで、バッテリ4を搭載した荷室10と本体5とを分離させる。次に、荷室10の上に載っているバッテリ4を回収する。
【0054】
次に、荷室10の荷室カバー3と荷室トレー2とを分離させる。具体的には、荷室カバー3の取付部36と荷室トレー2の取付部23の係合を解除しつつ、荷室カバー3を荷室トレー2の上方に引き上げ、又は荷室トレー2を荷室カバー3の下方に引き下ろすことで、荷室カバー3と荷室トレー2とを分離させる。そして、分離した荷室カバー3及び荷室トレー2を回収する。なお、飛行体1の分解の一部又は全部はロボットが行ってもよいし、人間が行ってもよい。
【0055】
荷物100を搭載した飛行体1は、例えば
図9~
図13に示す荷受け又は荷渡し装置としての飛行体ポート500(ドローンポート)まで飛行する。そして、そのポート500において荷物100の荷受けが行われる。なお、ポート500は、飛行体1の荷物100を荷受けする機能に加えて又は代えて、ポート500から飛行体1に荷物110(
図17~
図19参照)を渡す荷渡し機能を有してもよい。すなわち、ポート500は、荷受け機能と荷渡し機能の少なくとも一つを有した荷受け又は荷渡し装置として構成されている。ポート500は、荷受け機能と荷渡し機能の両方を有した装置として構成されてもよいし、荷受け機能のみを有した荷受け装置として構成されてもよいし、荷渡し機能のみを有した荷渡し装置として構成されてもよい。ポート500が荷渡し機能を有する場合には、ポート500に到着する飛行体1は、荷物100を搭載していなくてもよい。以下では、ポート500は荷受け機能と荷渡し機能の両方を有しているものとして説明する。また、以下では、ポート500が飛行体1から受ける荷物を符号「100」で示し、ポート500が飛行体1に渡す荷物を符号「110」で示す。
【0056】
以下、ポート500の構成を説明する。なお、飛行体1とポート500とで、飛行体1に搭載された荷物100の荷受けを行い、又はポート500に保管された荷物110(
図17~
図19参照)を飛行体1に荷渡しする荷受け又は荷渡しシステムを構成する。また、ポート500は、荷物100を受け取ることが可能又は荷物110を預けることが可能な場所であればどの場所に設けられもよく、例えば郵便局に設けられてもよいし、コンビニエンスストア等の店舗に設けられてもよいし、マンション等の集合住宅に設けられてもよいし、地域の公共施設(公民館など)に設けられてもよい。また、ポート500は各戸建て毎に設けられてもよい。
【0057】
ポート500は、離着陸部501と、スライダ502と、スライダ支持部503と、搬入出室504と、昇降部506と、荷物移動部507と、荷物ロッカー510と、ロッカー室515とを備える。
【0058】
離着陸部501は、飛行体1の着陸及び離陸を行う場所である。離着陸部501には屋根が設けられておらず、すなわち屋外に設けられる。離着陸部501は、スライダ502とスライダ支持部503とを含んで構成される。なお、離着陸部501が本開示の着陸部及び離陸部に相当する。
【0059】
スライダ502は、離着陸部501が位置する屋外と、離着陸部501に隣接した搬入出室504との間で水平移動が可能に設けられる。スライダ502は、飛行体1が着地した状態で、飛行体1の本体カバー51の下面60(
図2参照)が接触する支持面を形成する一対の支持部502a、502bを有する。一方の支持部502aは、飛行体1が着地状態で、飛行体1の幅方向(本実施形態では前後方向)における一端側(例えば前側)の下面60と接触する。他方の支持部502bは、飛行体1が着地状態で、上記幅方向における他端側(例えば後側)の下面60と接触する。一対の支持部502a、502bは、
図10に示すように、離着陸部501から搬入出室504に向かう方向及びその反対方向であるスライド方向Xに延びるように設けられるととともに、スライド方向Xに直角な水平方向Yに間隔dをあけて設けられる。その間隔dは、荷室10の前後方向における幅よりも大きく、本体カバー51の前後方向における幅よりも小さい。
【0060】
図11に示すように、各支持部502a、502bの裏面には、スライダ支持部503側の嵌合部503aに嵌合する嵌合部502dを有する。嵌合部502はスライド方向Xに延びた凹状に形成される。
【0061】
また、スライダ502は、一対の502a、502bの、スライド方向Xにおける一端側(搬入出室504に遠い側)を連結する連結部502cを有する(
図9、
図10参照)。
【0062】
一対の支持部502a、502bと連結部502cとの間に、上記間隔dを形成する空間部502eを有する。言い換えれば、スライダ502(支持部502a、502b及び連結部502c)は、空間部502eの周りを囲むように設けられる。空間部502eは、スライダ502の表面と裏面との間を貫通するように形成される。空間部502eの水平方向における大きさ(幅)は、荷室10の水平方向における大きさ(幅)よりも大きく、本体カバー51の水平方向における大きさ(幅)よりも小さい。飛行体1が着地した状態で、荷室10の底部を構成する荷室トレー2と空間部502eが対峙する。
【0063】
スライダ支持部503は、離着陸部501が位置する屋外と搬入出室504(屋内)との間に亘って設けられる。スライダ支持部503の上面は、スライダ502を支持する支持面を構成する。その上面には、スライダ502の、スライド方向Xへの移動をガイド(案内)する一対のガイド部503a(嵌合部)が形成されている(
図11参照)。一方のガイド部503aは、スライダ502の裏面に形成された一方の嵌合部502dに嵌合している。他方のガイド部503aは、スライダ502の裏面に形成された他方の嵌合部502dに嵌合している。すなわち、ガイド部503aは、凹状の嵌合部502dに嵌合する凸状に形成される。また、ガイド部503aは、離着陸部501が位置する屋外から搬入出室504(屋内)に亘ってスライド方向Xに延びるように形成されている。
【0064】
また、スライダ支持部503は、スライダ502が屋外に位置した状態で、スライダ502の空間部502eから露出する露出面503bを有する(
図9~
図11参照)。露出面503bは、例えば、スライダ502の上面と同一高さとなるよう、空間部502eに嵌るように設けられる。すなわち、露出面503bは、スライダ支持部503の、ガイド部503aが形成される面に対して凸状に設けられる。露出面503bには、例えば、離着陸部501であることを示すマーク等の表示がされてよい。
【0065】
スライダ支持部503のうち屋外に位置する部分が、離着陸部501の一部を構成する。また、スライダ502は、屋外に位置する場合に離着陸部501の一部を構成する。
【0066】
搬入出室504は、離着陸部501に対して上記スライド方向Xに隣接した位置に設けられる。搬入出室504は、離着陸部501に到着した飛行体1を受け入れ(搬入し)、荷受け又は荷渡し後の飛行体1を離着陸部501へと送り出す(搬出する)ための空間を形成する。また、搬入出室504は、飛行体1から荷物100(荷室トレー2)を下ろしたり、荷受け又は荷渡し後に荷室トレー2を飛行体1に再搭載するための室である。
【0067】
搬入出室504は、飛行体1を受け入れる空間を覆う外壁505を有する。外壁505は、搬入出室504の上方を覆う屋根と、搬入出室504の側方を覆う側壁とを含む。搬入出室504は、離着陸部501の側に開口504aを有している(
図9参照)。この開口504aを介して、飛行体1を搬入出室504に入れたり、搬入出室504から出したりする。
【0068】
昇降部506は、飛行体1から下ろされた荷室トレー2を載せるための台(ステージ)である。昇降部506の上面は、荷室トレー2を載せるためのトレー載せ面506a(
図12参照)を有する。昇降部506は、搬入出室504と、荷物ロッカー510が位置する下層空間513(
図12参照)との間で上下方向(鉛直方向)に移動可能に設けられる。昇降部506は、搬入出室504に位置する状態で、搬入出室504の床の一部を構成する。また、昇降部506は、搬入出室504に位置する状態で、スライダ支持部503の一対のガイド部503aの間に設けられる(
図13参照)。また、スライダ502が搬入出室504に位置している状態では、昇降部506はスライダ502の空間部502eに位置する。さらに、昇降部506は、飛行体1が搬入出室504に搬入された状態で、飛行体1の荷室10の下方にて荷室10(言い換えれば飛行体1の本体空間55)に対峙するように設けられる(
図18参照)。なお、ポート500は、搬入出室504の下層空間513に、昇降部506の昇降移動をガイドするガイド部509を備える(
図13参照)。
【0069】
荷物移動部507は、昇降部506に載せられた荷室トレー2と荷物ロッカー510との間で荷物100、110を移動させるための部材である。すなわち、荷物移動部507は、昇降部506上の荷室トレー2に載せられた荷物100を荷物ロッカー510に向けて押し出す、又は荷物ロッカー510に保管された荷物110を昇降部506上の荷室トレー2に引き込むための部材である。荷物移動部507は、荷物100を昇降部506から荷物ロッカー510に押し出す押出部と、荷物110を荷物ロッカー510から昇降部506に引き込む引込部とを含んで構成される。この場合、荷物移動部507は、押出部と引込部とが一体化された共通部材として構成されてもよいし、押出部と引込部とを別々に有した形態に構成されてもよい。
【0070】
荷物移動部507は、昇降部506に載せられており、昇降部506の昇降移動に伴い昇降移動する。荷物移動部507は、昇降部506の上面のうち上記トレー載せ面506a(
図12参照)の隣りの位置に設けられる。荷物移動部507は、飛行体1に搭載される荷物100の配列方向又は荷物ロッカー510に保管される荷物110の水平方向における配列方向(言い換えれば複数に区画された荷物ロッカー510の水平方向における配列方向)に対応した方向に沿って複数設けられる。荷物移動部507の数は、例えば飛行体1に搭載可能な荷物の数と同じとしてよい。
図9では、3つの荷物移動部507が設けられる例を示しているが、飛行体1に搭載する荷物の個数に応じた数であれば、荷物移動部507の個数は何個でもよい。このように、各荷物移動部507は、昇降部506に複数の荷物100が載っている場合に各荷物100を個別に押し出し可能に構成され、すなわち、複数の荷物100のうちの1つを複数に区画された荷物ロッカー510のうちの1つに向けて押し出すよう構成される。また、各荷物移動部507は、荷物ロッカー510に複数の荷物110が保管されている場合に各荷物110を個別に引き込み可能に構成され、換言すれば、複数に区画された荷物ロッカー510のうちの1つから荷物110を昇降部506に引き込むように構成される。
【0071】
荷物移動部507は、例えば空圧シリンダ、油圧シリンダ、ロボットハンド、真空パッド等を含んで構成される。荷物移動部507は、退避位置から水平方向に突出可能な可動部508を有する(
図12参照)。
図19に示すように、昇降部506が荷物ロッカー510に対峙した位置にあるときに、可動部508は、昇降部506のトレー載せ面506aを間に挟んで、荷物ロッカー510に対峙する。可動部508の突出方向は、水平方向に定められ、具体的には、昇降部506に載せられた荷物100を荷物ロッカー510に向けて押す方向又は荷物ロッカー510に保管されている荷物110に接近する方向に定められている。
【0072】
可動部508の先端は、昇降部506に載せられた荷物100を押す際に該荷物100に接触する接触部として機能する。また、可動部508の先端は、荷物ロッカー510に保管された荷物110を引き込む際に該荷物110を離れないよう保持する保持部として構成される。保持部による荷物110の保持はどのような方法でもよく、例えば真空パッド等で荷物110を吸着してもよいし、ロボットハンド等で荷物110を把持してもよいし、荷物110に引っ掛かるようにしてもよい。また、荷物移動部507は、例えば、荷物100、110を持ち上げずに、荷物100、110の下面を接地させた状態で、荷物100、110を荷物ロッカー510と昇降部506(荷室トレー2)の間で移動させるよう構成されてよい。ただし、これに限定せずに、荷物移動部507は、荷物100、110を持ち上げて移動させるよう構成されてもよい。なお、昇降部506及び荷物移動部507が本開示の搬送部に相当する。昇降部506が本開示の荷物載せ部に相当する。
【0073】
荷物ロッカー510は、飛行体1から輸送された荷物100を受け取って保管し、又は、荷物発送人から預けられた荷物110を保管するための荷物保管部である。荷物ロッカー510は、昇降部506の移動空間513(下層空間)に側方に隣接した位置に設けられる。荷物ロッカー510は上下方向及び水平方向に複数に区画されている。荷物ロッカー510は、互いに同じ大きさに区画されてもよいし、種々の大きさの荷物100、110に対応できるように互いに異なる大きさに区画されてもよい。荷物ロッカー510の水平方向における配列方向は、昇降部506における複数の荷物移動部507の配列方向に対応している。
【0074】
各荷物ロッカー510は、昇降部移動空間513に向けて開口511を形成する(
図12参照)。この開口511により、昇降部移動空間513と荷物ロッカー510の内部とが導通している。
【0075】
さらに、各荷物ロッカー510は、開口511とは別の側方位置(例えば、開口511と反対側の側方位置)に開閉可能な開閉部512を有する(
図12、
図14参照)。開閉部512は、ロッカー室515側に位置する。開閉部512が閉じている状態では、ロッカー室515から見て、荷物ロッカー510の内部が遮断された状態となる。開閉部512が開いた状態では、ロッカー室515から見て、荷物ロッカー510の内部が導通(露出)した状態となる。
【0076】
また、各荷物ロッカー510は、開閉部512が開くのを禁止するロック機構(図示外)を有する。ロック機構はどのような形態の機構でもよく、ID認証(例えば暗証番号の入力)によりロックが電子的に解除する機構でもよいし、キーシリンダにキーを挿入して回すことによりロックが解除する機構でもよい。
図14の例では、ロッカー室515に番号の入力を行う入力部514が備えられる。入力部514に入力された番号が予め定められた暗証番号に一致したことに基づいて、該当する荷物ロッカー510のロックが解除される。
【0077】
なお、各荷物ロッカー510には、各荷物ロッカー510を識別する情報(例えば番号)が割り当てられている。その識別情報は、ロッカー室515から視認できるように、各荷物ロッカー510(例えば開閉部512)に表示されている。
【0078】
なお、荷物ロッカー510は、飛行体1からの荷物100を受けて保管する第1荷物保管部と、飛行体1に渡す荷物110を保管する第2荷物保管部の両方の機能を有する。この場合、第1荷物保管部と第2荷物保管部とは共通の荷物保管部としてもよいし、別々に設けられてもよい。第1荷物保管部と第2荷物保管部とが別々に設けられる場合、例えば第1荷物保管部と第2荷物保管部とは、昇降部移動空間513において上下に区分けしてよい。
【0079】
ロッカー室515は、飛行体1から荷物ロッカー510に入れられた荷物100を、荷受人が受け取るための室又は荷物発送人若しくはポート500の係員が持ち込んだ荷物110を荷物ロッカー510に預けるための室である。ロッカー室515は、荷物ロッカー510の開閉部512が対面する空間に設定される。ロッカー室515は、例えば離着陸部510及び搬入出室504よりも下層に設けられる。
【0080】
また、ポート500は、
図15に示す電気的構成を備えている。具体的には、ポート500は、水平駆動部210と、上下駆動部211と、荷物移動部507と、荷室トレー着脱装置212と、荷室着脱装置213と、重心位置取得部214と、バッテリ位置調整装置215と、荷物位置調整装置216と、荷室位置調整装置217と、通信装置218と、記憶装置219と、制御装置220とを備えている。
【0081】
水平駆動部210は、スライダ502をスライド方向Xに水平移動させる装置である。水平駆動部210はモータ、シリンダ等から構成される。なお、スライダ502及び水平駆動部210が本開示の水平移動部に相当する。
【0082】
上下駆動部211は、昇降部506を上下方向に移動させる装置である。上下駆動部211はモータ、シリンダ等から構成される。
【0083】
荷物移動部507は、上述したように、昇降部506に設けられて、荷物100を、昇降部506と荷物ロッカー510との間で移動させる装置である。
【0084】
荷室トレー着脱装置212は、搬入出室504に設けられて、搬入出室504に搬入された飛行体1の荷室トレー2を飛行体1から取り外したり、取り外した荷室トレー2を飛行体1に装着させたりする装置(ロボット)である。
【0085】
荷室着脱装置213は、搬入出室504に設けられて、搬入出室504に搬入された飛行体1の荷室10を本体5から取り外したり、取り外した荷室10を本体5に装着させたりする装置(ロボット)である。
【0086】
重心位置取得部214は、飛行体1の水平方向における重心位置を取得する装置である。重心位置取得部214は、荷室カバー3から分離された状態の荷室トレー2(荷室トレー2に荷物100、110が載っている場合は荷物100、110も含む)の全体の重心位置を取得してもよいし、本体5から分離された状態の荷室10(荷室トレー2と荷室カバー3とが合体した状態)(荷室10に荷物100、110が収容されている場合は荷物100、110も含む)の全体の重心位置を取得してもよいし、荷室10と本体5とが合体した飛行体1(荷物100、110が搭載されている場合は荷物100、110も含む)の全体の重心位置を取得してもよい。重心位置取得部214は、例えば、昇降部506に載せられた重量物の水平方向における重量分布を計測する重量分布計測部として構成される。この場合、重心位置取得部214は、昇降部506に設けられた圧力センサ等から構成される。
【0087】
また、重心位置取得部214は、荷室トレー2に載っている各荷物100、110の重量と、荷室トレー2における各荷物100、110の搭載位置とを取得し、取得した荷物100、110ごとの重量及び搭載位置に基づいて、荷室トレー2に載った荷物100、110の重心位置(複数の荷物100、110が載っている場合には、複数の荷物100、110全体の重心位置)を演算してもよい。この場合、荷物100、110ごとの重量は、重心位置の演算時に計測により取得してもよいし、予め記憶装置219に記憶されていてもよい。また、各荷物100、110の搭載位置は、カメラ等のセンサを用いて取得してもよいし、予め記憶装置219に記憶されていてもよい。
【0088】
バッテリ位置調整装置215は、荷室10の上に載っているバッテリ4の搭載位置を調整する装置である。具体的には、バッテリ位置調整装置215は、搬入出室504に設けられて、荷室10(荷室カバー3)の上に載っているバッテリ4を把持して、把持したバッテリ4の本体41を荷室10の上面における任意の位置に搭載しなおす装置(ロボット)である。
【0089】
荷物位置調整装置216は、荷室トレー2における荷物100、110の搭載位置を調整する装置である。具体的には、荷物位置調整装置216は、搬入出室504に設けられて、荷室トレー2に載っている荷物100、110を把持して、把持した荷物100、110を荷室トレー2における任意の位置に搭載しなおす装置(ロボット)である。なお、第1実施形態では、荷物100、110の搭載位置の調整は行わない例を説明する。したがって、第1実施形態においては、荷物位置調整装置216は備えられなくてもよい。
【0090】
荷室位置調整装置217は、本体における荷室の搭載位置を調整する装置である。なお、第1実施形態の飛行体1では、本体5における荷室10の搭載位置は調整不可能となっている。つまり、第1実施形態では、荷室の搭載位置の調整は行わない例を説明する。したがって、第1実施形態においては、荷室位置調整装置217は備えられなくてもよい。
【0091】
通信装置218は、外部の管理装置(図示外)との間で通信を行う装置である。通信装置218は、例えば、管理装置から、ポート500に到着予定の飛行体1に関する情報を受信する。その情報は、例えば、飛行体1の到着予定時間、飛行体1に搭載又は荷物ロッカー510に保管された荷物100、110に関する荷物情報、飛行体1に搭載されたバッテリ4に関するバッテリ情報などを含む。通信装置218が受信した情報(荷物情報、バッテリ情報など)は例えば記憶装置219に記憶されてよい。通信装置218が受信した上記荷物情報及びバッテリ情報は、後述の記憶装置219に記憶される荷物情報及びバッテリ情報と同様の情報としてよい。
【0092】
記憶装置219は各種情報を記憶する不揮発性記憶装置である。具体的には、記憶装置219には、例えば、飛行体1に搭載され又は荷物ロッカー510に保管された各荷物100、110に関する荷物情報が記憶される。なお、荷物情報は、ポート500において荷受け又は荷渡し対象となる荷物100、110だけでなく、荷受け又は荷渡し対象とならない荷物100、110に関する情報も含んでいてもよい。
【0093】
荷物情報は、例えば、各荷物100、110を識別する荷物識別情報(ID番号など)、荷物100、110ごとの重量を示す情報、各荷物100、110の輸送先を示す情報(例えば住所やポート500の所在地)、荷室トレー2に複数の荷物100が搭載される場合の各荷物100の荷室トレー2における搭載位置を示す情報、及び、荷物100を荷物ロッカー510に保管(荷受け)させる場合にどの荷物ロッカー510に保管させるかの保管位置を示す情報、荷物110を飛行体1に渡す場合に荷物110がどの荷物ロッカー510に保管されているかの保管位置を示す情報などを含む。上記搭載位置を示す情報は、例えば、3つの荷物100が荷室トレー2の前後方向に配列される場合に、各荷物100が荷室トレー2の前側、中央、後側のどの位置に搭載されるのを示す情報としてよい。また、上記保管位置を示す情報は、例えば各荷物ロッカー510に割り当てられた識別情報としてよい。上記荷物識別情報と、他の情報(重量、輸送先、搭載位置、保管位置など)とが対応付けられて記憶装置219に記憶される。
【0094】
また、記憶装置219には、飛行体1に搭載されたバッテリ4に関するバッテリ情報が記憶される。バッテリ情報は、例えば、各バッテリ4を識別するバッテリ識別情報(ID番号など)、バッテリ4の重量を示す情報、及び、荷室10の上面におけるバッテリ4の本体41の搭載位置を示す情報などを含む。上記バッテリ識別情報と、他の情報(重量、搭載位置など)とが対応付けられて記憶装置219に記憶される。
【0095】
制御装置220は、
図15に示す各装置210~219、507を制御する装置である。
【0096】
次に、ポート500における荷物100の荷受け又は荷渡し方法を説明する。
図16はその方法のフローチャートを示している。
図16の処理は、例えば
図15の制御装置220が実行する。
【0097】
先ず、飛行体1を離着陸部501に着陸させる(S11)。このとき、制御装置220は、水平駆動部210を制御して、スライダ502を予め離着陸部501の位置で移動させておく。
図17は飛行体1が離着陸部501に着陸した状態を示している。
【0098】
次に、制御装置220は、水平駆動部210を制御して、飛行体1が載ったスライダ502を、搬入出室504(屋内)に移動させる(S12)。
図18は、飛行体1を搬入出室504に移動させた状態を示している。この状態では、飛行体1に搭載された荷室トレー2の下方に、昇降部506が位置する。
【0099】
次に、制御装置220は、荷室トレー着脱装置212を制御して、搬入出室504に移動させた飛行体1から荷室トレー2を下方に分離させ、分離させた荷室トレー2及びそれに載っている荷物100を、昇降部506の上に載せる(S13)。昇降部506の上に荷室トレー2が載った状態では、各荷物移動部507の可動部508の手前に各荷物100が位置する。なお、ポート500から飛行体1に荷物110を渡す場合には、ステップS13の時点では荷室トレー2に荷物100が載っていなくてもよい。
【0100】
次に、制御装置220は、上下駆動部211を制御して、荷室トレー2及び荷物100が載った昇降部506を、今回の荷受けに使用する、又は荷渡しの対象となる荷物110が保管された荷物ロッカー510に対峙する位置まで下降させる(S14)。なお、複数に区画された荷物ロッカー510のうちどれを荷受けに使用するかはどのように決定されてもよい。
図19、
図20は、昇降部506が荷受けに使用する荷物ロッカー510に対峙した位置まで下降した状態を示している。この状態では、荷室トレー2が下ろされた飛行体1(本体5、バッテリ4及び荷室カバー3)は搬入出室504に残っており、具体的には例えば飛行体1はスライダ502に載ったままとなる。なお、
図19では、荷受けに使用する荷物ロッカー510とは別の荷物ロッカー510に、荷渡し対象の荷物110が保管されている例を示している。
【0101】
次に、制御装置220は、荷物移動部507を制御して、荷室トレー2に載っている荷物100を荷物ロッカー510に入れるよう荷物ロッカー510の方に押し出し、又は荷物ロッカー510に保管されている荷物110を荷室トレー2に引き込む(S15)。このとき、制御装置220は、荷室トレー2に複数の荷物100が載っている場合には、複数の荷物100のうち、荷受け対象となる1又は複数の荷物100を特定する。具体的には、制御装置220は、例えば、記憶装置219に記憶された荷物情報に含まれる輸送先の情報がポート500を示す情報であるか、別の場所を示す情報であるかを判断する。そして、制御装置220は、輸送先がポート500を示している荷物100を荷受け対象の荷物であると判断する。また、制御装置220は、例えば、記憶装置219に記憶された荷物情報に含まれる搭載位置の情報に基づいて、荷受け対象の荷物100が荷室トレー2のどの位置に載っているのかを判断する。また、制御装置220は、例えば記憶装置219に記憶された荷物情報に基づいて、荷渡し対象の荷物110が保管された荷物ロッカー510を特定する。
【0102】
そして、制御装置220は、昇降部506に設けられた複数の荷物移動部507のうち、特定した荷受け対象の荷物100に対峙した荷物移動部507を駆動する。これにより、荷受け対象の荷物100が荷室トレー2(昇降部506)から荷物ロッカー510に入れられる一方で、荷受け対象ではない荷物100は荷室トレー2(昇降部506)に残る。また、
図19のように、荷渡し対象の荷物110がある場合には、制御装置220は、昇降部506をその荷物110に対峙した位置まで移動させた後、その荷物110に対峙した荷物移動部507を駆動することで、荷物110を荷物ロッカー510から荷室トレー2まで引き込む。
【0103】
なお、荷受け対象の荷物100が複数ある場合には、それらを、高さ方向及び水平方向に区画された複数の荷物ロッカー510のうちの同一の高さに位置する荷物ロッカー510に荷受けさせてもよいし、異なる高さに位置する荷物ロッカー510に荷受けさせてもよい。また、荷渡し対象の荷物110が保管されている荷物ロッカー510と同一の高さ位置にある荷物ロッカー510の荷物100を荷受けさせてもよいし、異なる高さ位置にある荷物ロッカー510の荷物100を荷受けさせてもよい。また、荷受け対象の荷物100が複数ある場合には、複数の荷物移動部507を同時に駆動することで、複数の荷物100を同時に別々の荷物ロッカー510に入れるようにしてもよいし、複数の荷物移動部507を時間をずらして駆動することで、複数の荷物100を時間をずらして別々の荷物ロッカー510に入れるようにしてもよい。また、荷渡し対象の荷物110が複数ある場合には、複数の荷物移動部507を同時に駆動することで、複数の荷物110を同時に荷室トレー2に引き込んでもよいし、複数の荷物移動部507を時間をずらして駆動することで、複数の荷物110を時間をずらして荷室トレー2に引き込むようにしてもよい。
【0104】
荷物100が荷物ロッカー510に入れられた場合には、その荷物100の受取人に、荷物100がポート500に届いたことが通知されるとともに、どの荷物ロッカー510に荷物100が入っているのかが通知されてよい。受取人への上記通知の手段は電子メール等どのような手段でもよい。上記通知を受けた受取人は、ポート500のロッカー室515にて該当する荷物ロッカー510を開けることで、荷物100を受け取ることができる。
【0105】
図16の説明に戻り、次に、制御装置220は、上下駆動部211を制御して、昇降部506を、搬入出室504の位置まで上昇させる(S16)。
【0106】
次に、荷物100、110の受け渡し後の飛行体1の重心位置を最適な重心位置となるよう調整する(S17)。具体的には、ステップS17として例えば
図21の処理を実行する。
図21では、先ず、制御装置220は、
図15の重心位置取得部214に、荷物100、110の受け渡し後の飛行体1の重心位置を計測又は演算させて、その重心位置を重心位置取得部214から取得する(S21)。このとき、重心位置取得部214は、上述のように、重心位置として、荷室カバー3から分離された状態の荷室トレー2(荷物100が残っている場合又は新たに荷物110が搭載された場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよいし、荷室トレー2と荷室カバー3とが合体した状態(荷物100が残っている場合又は新たに荷物110が搭載された場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよいし、荷室10と本体5とが合体した状態(荷物100が残っている場合又は新たに荷物110が搭載された場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよい。また、重心位置取得部214は、重心位置として、バッテリ4を載せた状態の荷室10(荷物100が残っている場合又は新たに荷物110が搭載された場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよいし、バッテリ4を載せた荷室10と本体5とが合体した状態(荷物100が残っている場合又は新たに荷物110が搭載された場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよい。
【0107】
なお、ステップS21では、荷室トレー2に荷物100、110が載っている場合は、荷室トレー2における荷物100、110の搭載位置を当初の位置(ステップS11における着陸時の搭載位置又はステップS15で荷物ロッカー510から荷室トレー2に荷物110を移動させたときのその荷物110の荷室トレー2上の位置)に保持した状態での飛行体1の重心位置を取得してもよいし、荷物100、110の搭載位置を当初の位置から変更する場合には、変更後の状態での飛行体1の重心位置を取得してもよい。また、ステップS21では、荷室トレー2に荷物100が残っておらず、かつ、新たに搭載される荷物110が無い場合には、荷物100、110が無い状態での飛行体1の重心位置(重量分布)を取得する。
【0108】
次に、制御装置220は、飛行体1に搭載されたバッテリ4の重量を取得する(S22)。バッテリ4の重量として、例えば記憶装置219に記憶された重量を読み出せばよい。
【0109】
次に、制御装置220は、ステップS21で取得した荷物受け渡し後の重心位置と、ステップS22で取得したバッテリ4の重量とに基づいて、荷室10の上面におけるバッテリ4の最適な搭載位置を演算する(S23)。このとき、制御装置220は、例えば、バッテリ4を荷室10の上面に搭載した状態での荷室10又は飛行体1(荷室10と本体5とが合体した状態)の水平方向における重心位置が予め定められた目標重心位置となる、バッテリ4の搭載位置を演算する。また、バッテリ4の搭載位置として、例えば荷室10の上面における、バッテリ本体41の中心位置又は重心位置を演算する。なお、目標重心位置は、例えば、荷室10の中心に設定される。
【0110】
例えば、
図22において、荷室トレー2(荷室10)に、2つの荷物100A、100Bが残っており、各荷物100A、100Bの重量が、荷物100A、荷物100Bの順に重くなり、荷物100A、荷物100Bの順に前後方向に配列されているとする。そして、符号「301」で示される重心位置がステップS21で取得した重心位置であり、符号「300」で示される位置が前後方向における目標重心位置であるとする。また、符号「302」で示される位置が、ステップS23で演算されるバッテリ4の最適搭載位置(言い換えれば、バッテリ4の中心位置又は重心位置)であるとする。また、荷物100Aよりも荷物100Bのほうが重いことで、重心位置301は、目標重心位置300から、荷物100Bのほうにずれた位置にあるとする。この場合、バッテリ4の最適搭載位置302は、目標重心位置300から荷物100Aのほうにずれた位置に演算される。このとき、目標重心位置300に対する重心位置301のずれ量が大きいほど、バッテリ4の最適搭載位置302の、目標重心位置300に対するずれ量も大きくなる。また、バッテリ4の最適搭載位置302は、バッテリ4の重量が大きいほど目標重心位置300に近い位置に設定されてよい。
【0111】
なお、
図22では、バッテリ4の最適搭載位置302が、バッテリ4の重量及び、飛行体1(荷物100)の重心位置301に応じて水平方向のうちの前後方向に変化する例を示した。重心位置301が、目標重心位置300に対して、左右方向にずれている場合には、バッテリ4の最適搭載位置302も目標重心位置300に対して左右方向にずれた位置となる。
【0112】
ここで、ステップS21で取得する重心位置(重量分布)は、荷室トレー2に残っている、又は新たに搭載された各荷物100、110の重量と、荷室トレー2における各荷物100、110の搭載位置とに応じて変化する。したがって、ステップS23で得られる最適搭載位置は、荷室トレー2に残っている又は新たに搭載された荷物100、110の重量と、荷室トレー2における各荷物100、110の搭載位置と、バッテリ4の重量とに応じて変化する。すなわち、ステップS23では、荷室トレー2に載っている荷物100、110の重量と、荷室トレー2における各荷物100、110の搭載位置と、バッテリ4の重量とに基づいて、バッテリ4の最適搭載位置を演算することと同義である。
【0113】
図21の説明に戻って、次に、制御装置220は、荷室10の上面におけるバッテリ4の搭載位置を、ステップS23で演算した最適搭載位置となるよう補正する(S24)。具体的には、制御装置220は、荷室着脱装置213(
図15参照)を制御して、荷室10(荷室カバー3)を本体5から取り外す。そして、制御装置220は、バッテリ位置調整装置215を制御して、取り外した荷室カバー3の上に載っているバッテリ4の本体41を把持させて、把持させたバッテリ本体41の位置を、ステップS23で演算した最適搭載位置にする。なお、
図22において、符号「303」は、当初のバッテリ4の搭載位置を示している。ステップS24では、バッテリ本体41の搭載位置を、符号「303」で示される位置から、符号「302」で示される位置に補正する。
【0114】
次に、制御装置220は、バッテリ4を載せた荷室10を本体5に装着させる(S25)。具体的には、制御装置220は、荷室トレー着脱装置212及び荷室着脱装置213(
図15参照)を制御して、荷室トレー2と荷室カバー3とを合体させ、かつ、荷室カバー3と本体5とを合体させる(S25)。以上により、荷物受け渡し後の飛行体1の重心位置を最適な重心位置(目標重心位置)にすることができる。
【0115】
図16に戻って、次に、制御装置220は、水平駆動部210を制御して、重心位置が調整された飛行体1を載せたスライダ502を離着陸部501が位置する屋外に移動させる(S18)。その後、飛行体1を次の目的地に向けて離陸させる(S19)。このとき、飛行体1に荷物100、110が搭載されている場合には、飛行体1はその荷物100、110の輸送先に向けて飛行する。飛行体1に荷物100、110が搭載されていない場合には、飛行体1は基地に帰還する。
【0116】
なお、
図16のステップS17(具体的には
図21のステップS21~S25)を実行する制御装置220、及びバッテリ位置調整装置215が本開示の重心調整部及びバッテリ位置調整部に相当する。また、
図16のステップS17が本開示の重心調整工程に相当する。
図16のステップS14及びステップS16を実行する制御装置220及び上下駆動部211が移動制御部に相当する。また、ステップS14を実行する制御装置220及び上下駆動部211が第1移動制御部に相当する。ステップS16を実行する制御装置220及び上下駆動部211が第2移動制御部に相当する。また、ステップS12~S16が荷受け又は荷渡し工程に相当する。ステップS18、S19が離陸工程に相当する。また、ステップS14が第1の搬送工程に相当する。ステップS15が荷物移動工程に相当する。ステップS16が第2の搬送工程に相当する。
【0117】
以下、第1実施形態の効果を説明する。荷室10は飛行体1の本体5に着脱可能であるので、本体5を準備する前に予め荷物100及びバッテリ4を搭載した荷室10を準備できる(前段取りできる)。これにより、本体5が準備できたときに迅速に荷物100及びバッテリ4を本体5に搭載でき、搭載作業時間の効率化を図ることができる。また、荷物100及びバッテリ4の本体5への搭載を同時に行うことができる。また、バッテリ4及び荷物100を搭載した荷室10を前段取りできることで、基地での飛行体1の運行管理が容易になり、例えば基地に帰ってきた本体5をすぐに次の荷室10に合体させて飛行させることが可能となる。これにより、飛行体1(本体5)を待ち時間なく次々離陸させることができ、本体5の回転率(運行率)を大きくできる。
【0118】
また、荷室10の荷室トレー2(荷物100の載置部)は荷室カバー3から分離可能なので、荷室カバー3から分離させた状態で荷室トレー2に荷物100を載せることができるし、荷室トレー2に載った荷物100を下ろすことができる。これにより、荷物100の積み下ろしを効率的に行うことができる。また、荷物100の積み下ろしをロボットで自動的に行いやすい荷室構造を提供できる。さらに、荷室トレー2を荷室カバー3から分離させることで、荷室トレー2に複数の荷物100を載せやすいし、荷室トレー2における荷物100の搭載位置も調整しやすい。
【0119】
荷室カバー3は上から荷室トレー2に装着され、荷室トレー2の上方へと分離されることで、荷室トレー2に対する荷室カバー3の着脱をロボットで自動的に行いやすい。
【0120】
荷室10の荷室空間35は全方向が閉塞した空間なので、荷物100を雨(水)などから保護できる。また、荷室10は、下方以外に開閉部を有しないので、雨の水が荷室10の開閉部の隙間から荷室空間35に浸入するのを抑制できる。
【0121】
荷室トレー2のトレー本体21は、荷室カバー3に装着された状態で、荷室カバー3の下方開口34よりも荷室空間35の内側に位置するので(
図2、
図3参照)、トレー本体21に載置された荷物100を雨などからより一層保護できる。さらに、荷室トレー2が荷室カバー3に装着された状態では、荷室トレー2の外周部22の全周が、荷室カバー3の側面部32の内面32aに接触するので、言い換えれば、外周部22の外側が側面部32で覆われるので、トレー本体21に載置された荷物100を雨などからより一層保護できる。
【0122】
また、荷室10は、本体5に装着された状態では、本体カバー51の空間55に収容されるので、荷室10に収容された荷物100をより一層雨などから保護できる。この本体空間55は、下方以外の方向が閉塞しているので、上から降ってくる雨が本体空間55に浸入するのを抑制できる。
【0123】
本体5は上から荷室10に装着され、荷室10の上方へと分離されることで、荷室10に対する本体5の着脱をロボットで自動的に行いやすい。
【0124】
飛行体1を構成する各部2、3、4、5は、上から次々に装着されて一体化する入れ子構造なので、その一体化作業が容易であるし、降雨時の防水性を付与できる。
【0125】
バッテリ4は、荷室10の上面に搭載されるので、荷室10を本体5から分離させた状態で、その搭載を行うことができるし、荷室10からバッテリ4の回収を行うことができる。これにより、バッテリ4の搭載及び回収をしやすくできる。また、バッテリ4の搭載位置の調整もしやすくできる。
【0126】
バッテリ4は、荷室10に収容された荷物100の重量及び飛行予定距離を考慮して選択されるので、輸送の途中で、バッテリ4を充電したり交換したりするのを抑制できる。これにより、飛行体1の本体5を効率的に使用できる。また、必要以上に重い(高容量の)バッテリ4が搭載されるのを抑制できる。これにより、バッテリ4の重量で飛行が不安定になるのを抑制できるし、軽量化により飛行時の燃費(バッテリ4の電力消費)を抑えることでき、ひいては飛行距離を延ばすことができる。
【0127】
また、バッテリ4の搭載位置が調整可能なので、飛行体1の重心位置を最適な位置にすることができ、飛行を安定させることができる。また、飛行が安定することで、飛行体1の姿勢制御のために回転翼53が無駄に回転するのを抑制でき、飛行時の燃費を抑制でき、ひいては、飛行距離を延ばすことができる。飛行体1自体には、バッテリ4の搭載位置を調整する機構(サーボモータ等の電動部)が備えられないので、飛行体1の構造を簡素化できるし、飛行体1の軽量化を図ることができる。さらに、本体5と荷室10とを合体する前の前段取りでバッテリ4の搭載位置が調整されることで、荷物100及びバッテリ4を搭載した荷室10が本体5に合体したときの飛行体1全体の重心位置を前段取りで決めることができる。これにより、飛行体1の重心調整を効率的に行うことができる。
【0128】
バッテリ4は、本体5に搭載された状態では、荷室10の上面と本体空間55の壁面との間の空間58に収容されるので、雨などからバッテリ4を保護できる。
【0129】
また、荷室カバー3に設けられるコネクタホルダ38は、本体5に設けられたコネクタ59に対峙する位置に設けられるので、荷室10と本体5との合体に伴い自動的にバッテリ4のコネクタ43と本体5のコネクタ59とを接続できる。
【0130】
また、飛行体1に搭載された荷物100は飛行体ポート500において自動的に荷受けさせることができ、又は飛行体ポート500に保管された荷物110(
図17~
図19参照)を飛行体1に自動的に荷渡しできる。ポート500では、飛行体1から荷室トレー2を分離させた状態で、荷物100、110の受け渡しを行うので、その受け渡しがしやすい。また、荷受け対象の荷物100は荷物ロッカー510に入れられるまで、荷室トレー2に載ったままであり、荷受け対象ではない荷物100も荷室トレー2に載ったままであるので、飛行体1からの荷物100の荷下ろし、及び、飛行体1への荷物100の再搭載が容易である。
【0131】
また、荷物100、110は荷物移動部部507による押出又は引込操作により荷物ロッカー510に入れられ又は荷室トレー2に載せられ、荷物100、110をロボットハンドで把持して持ち上げなくてもよいので、荷室トレー2と荷物ロッカー510との間で荷物100、110を移動させる機構を簡素化できるし、荷物100、110を移動させる作業を自動的に行いやすい。
【0132】
荷物移動部507は、荷室トレー2での荷物100の配列方向に対応した方向に沿って複数備えられるので、荷室トレー2に複数の荷物100が載っている場合に、複数の荷物100の一部のみを荷物ロッカー510に入れることもできるし、全部の荷物100を互いに異なる荷物ロッカー510に入れることもできる。また、荷物移動部507は、荷物ロッカー510での荷物110の水平方向における配列方向に沿って複数備えられるので、荷物ロッカー510に保管された1又は複数の荷物110を個別に荷渡しするか否かを選択できる。
【0133】
また、ポート500では、荷物受け渡し後の飛行体1の重心位置が調整されるので、荷物の受け渡しにより飛行体1の重量バランスが変わったとしても、荷物受け渡し後の飛行体1の飛行を安定させることができる。
【0134】
また、離着陸部501には屋根が設けられないので、着陸及び離陸が容易である。また、離着陸部501に着陸した飛行体1は、スライダ502により、屋根がある搬入出室504に入れられるので、飛行体1に搭載された荷物及びバッテリ4を、雨、風などから保護できる。
【0135】
また、昇降部506は、飛行体1が搬入出室504に入れられた場合に、飛行体1に搭載される荷室トレー2に下方にて対峙する位置に設けられるので、飛行体1から下方に分離させた荷室トレー2を昇降部506に容易に載せることができるし、荷受け又は荷渡し後の荷室トレー2を飛行体1に容易に装着できる。
【0136】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態を第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。第1実施形態では、
図16のステップS17においてバッテリ4の搭載位置を調整する例を示した。本実施形態では、
図16のステップS17において荷物の搭載位置を調整する例を説明する。本実施形態では、
図16のステップS17として、
図21の処理に代えて又は加えて、
図23の処理を実行する。また、本実施形態のポート500は、第1実施形態と同様に、
図15の電気的構成を備えている。ただし、本実施形態では、ポート500は、荷物位置調整装置216を備えているが、バッテリ位置調整装置215及び荷室位置調整装置217を備えなくてもよい。
図23の処理及び荷物位置調整装置216以外は第1実施形態と同じである。
【0137】
以下、
図23の処理を説明する。
図23の処理は、例えば
図15の制御装置220が実行する。なお、本実施形態の前提として、飛行体1がポート500に到着した時点で飛行体1(荷室トレー2)に複数の荷物100が搭載されており、
図16のステップS15では、複数の荷物100のうち一部のみが荷物ロッカー510に入れられ、ステップS17の重心調整の際には荷室トレー2に1つ又は複数の荷物100が残っている。又は、
図16のステップS15では、荷物ロッカー510から昇降部506上の荷室トレー2に新たに荷物110が搭載される。
【0138】
図23の処理では、荷室トレー2に残っている荷物100又は新たに搭載された荷物110毎に重量を取得する(S31)。荷物100、110の重量として、例えば予め記憶装置219(
図15参照)に記憶された値を取得してもよいし、
図23の処理の実行時に重量計測機で計測した値を取得してもよい。
【0139】
また、荷室10の上に載っているバッテリ4の重量を取得する(S32)。バッテリ4の重量として、例えば予め記憶装置219(
図15参照)に記憶された値を取得してもよいし、
図23の処理の実行時に重量計測機で計測した値を取得してもよい。
【0140】
さらに、荷室10の上面におけるバッテリ4の搭載位置を取得する(S33)。バッテリ4の搭載位置として、例えば予め記憶装置219(
図15参照)に記憶された値を取得してもよいし、
図23の処理の実行時にカメラ等で計測した値を取得してもよい。バッテリ4の搭載位置を当初の位置(ステップS11における着陸時の搭載位置)から変更する場合には、ステップS33では、変更後の搭載位置を取得する。なお、ステップS31~S33はどの順番で実行されてもよい。
【0141】
次に、ステップS31~S33で取得した荷物100、110毎の重量、バッテリ4の重量、及びバッテリ4の搭載位置に基づいて、荷室トレー2における各荷物100、110の最適搭載位置を演算する(S34)。具体的には、荷物100、110を再搭載した後の飛行体1(荷物100、110、荷室トレー2、荷室カバー3、バッテリ4及び本体5)全体の又は荷室10(荷物100、110、荷室トレー2、荷室カバー3及びバッテリ4)全体の水平方向における重心位置が予め定められた目標重心位置となる、荷室トレー2における各荷物100、110の搭載位置を最適搭載位置として演算する。
【0142】
次に、制御装置220は、荷物位置調整装置216(
図15参照)を制御して、荷室トレー2に残っている又は新たに搭載された各荷物100、110の搭載位置を、ステップS34で演算した最適搭載位置となるよう補正する(S35)。
【0143】
その後、制御装置220は、
図15の荷室トレー着脱装置212を制御して、荷物100、110が載った荷室トレー2を、本体5に装着されたままの荷室カバー3に装着させることで、荷物100、110を収容した荷室10を本体5に装着させる(S36)。なお、荷室カバー3が本体5から取り外されている場合には、制御装置220は、
図15の荷室トレー着脱装置212及び荷室着脱装置213を制御して、荷室トレー2と荷室カバー3とを合体させ、かつ、荷室カバー3と本体5とを合体させる。
【0144】
以上により、荷物受け渡し後の飛行体1の重心位置を最適な重心位置(目標重心位置)にすることができる。このように、本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本体5と荷室10とを合体する前の前段取りで荷物100、110の搭載位置が調整されることで、荷物100、110及びバッテリ4を搭載した荷室10が本体5に合体したときの飛行体1全体の重心位置を前段取りで決めることができる。これにより、飛行体1の重心調整を効率的に行うことができる。
【0145】
なお、
図23のステップS31~S36を実行する制御装置220及び荷物位置調整装置216が本開示の重心調整部及び荷物位置調整部に相当する。また、ステップS31~S36が本開示の重心調整工程に相当する。
【0146】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態を上記第1、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。第1、第2実施形態では、
図16のステップS17においてバッテリ4の搭載位置又は荷物100、110の搭載位置を調整する例を示した。本実施形態では、
図16のステップS17において本体における荷室の搭載位置を調整する例を説明する。
【0147】
図24は、本実施形態に係る無人飛行体の断面図を示している。なお、
図24において、上記第1、第2実施形態と同じ構成には同一の符号を付している。
図24の飛行体6は、上記第1、第2実施形態と同様に、荷室トレー2と、荷室カバー7と、バッテリ4と、本体8とを備えている。さらに、飛行体6は、バッテリトレー9を備えている。
【0148】
荷室トレー2及びバッテリ4は第1、第2実施形態の荷室トレー2及びバッテリ4と同じである。
【0149】
荷室カバー7は、本体8の本体カバー81に着脱可能に設けられる。荷室カバー7は、本体カバー81への装着時に、本体カバー81に設けられる取付部83(
図25参照)に取り付けられる取付部71(
図25参照)を備えている。この取付部71は、本体カバー81の取付部83との間で、本体カバー81の空間82(本体空間)における荷室カバー7の搭載位置を調整する機能を有している点で、第1、第2実施形態における取付部37(
図4、
図5参照)と異なっている。荷室カバー7の取付部71以外の構造は、第1、第2実施形態の荷室カバー3と同じである。なお、荷室トレー2と荷室カバー7とで荷室15が構成される。
【0150】
本体空間82は、荷室カバー7の水平方向における搭載位置を調整可能に構成されている。具体的には、
図24、
図25に示すように、本体空間82の前後方向(飛行体6の進行方向)における幅は、荷室カバー7の前後方向における幅よりも大きい。すなわち、荷室カバー7の、本体空間82における前後方向の搭載位置が調整可能に構成されている。なお、本実施形態では、本体空間82の左右方向における幅は、荷室カバー7の左右方向における幅と同じ幅に設定されている。ただし、本体空間82の左右方向における幅は、荷室カバー7の左右方向における幅より大きい幅に設定されて、荷室カバー7の左右方向における搭載位置も調整可能に構成されてよい。また、本体空間82における荷室カバー7の前後方向の搭載位置は調整不可とし、荷室カバー7の左右方向の搭載位置が調整可能に構成されてもよい。
【0151】
本体空間82の壁面には、荷室カバー7の取付部71に取り付けられる取付部83が設けられている(
図25参照)。この取付部83は、荷室カバー7の取付部71との間で、本体空間82における荷室カバー7の搭載位置を調整する機能を有している点で、第1、第2実施形態の取付部57(
図5参照)と異なっている。本体空間82の大きさ及び取付部83以外の本体8の構造は、第1、第2実施形態の本体5と同じである。
【0152】
取付部71、83は、上述のように本体空間82における荷室カバー7の搭載位置を調整する搭載位置調整部として機能する。取付部71、83は、例えば、本体空間82における荷室カバー7の前後方向の搭載位置を調整する機能を有する。この場合、取付部71、83は、荷室カバー7と本体カバー81との装着状態で、左右方向に対峙する位置に設けられる。そして、取付部71、83の一方が凸状(突起状)に形成され、他方が凹状に形成されて、それら凸状、凹状が係合することで、荷室カバー7が本体カバー81から下方に外れないよう保持される。さらに、上記凹状は前後方向(搭載位置調整方向)に延びており、上記凸状が上記凹状に係合した状態で前後方向に移動することで、荷室カバー7は本体カバー81に保持されつつ、荷室カバー7の前後方向の搭載位置が変化する。
【0153】
図25の例では、荷室カバー7の取付部71が凸状に形成され、本体カバー81の取付部83が凹状に形成される。ただし。取付部71が凹状に形成され、取付部83が凸状に形成されてもよい。また、本実施形態では、取付部71、83は、左面側の前後2箇所と、右面側の前後2箇所の合計4箇所に設けられているが、何箇所に設けられてもよい。
【0154】
また、上記第1、第2実施形態と同様に、所定の解除操作が加えられた場合には、取付部71、83の係合状態が解除されるよう構成されている。
【0155】
バッテリトレー9は、荷室カバー7の上面に着脱可能に設けられる。バッテリトレー9は、バッテリ4のバッテリ本体41が載置される載置部91と、バッテリ4のコネクタ43(第1コネクタ)を保持するコネクタホルダ92(保持部)とを備えている。載置部91は例えば平板状に形成される。載置部91の上面は、水平面に形成され、バッテリ本体41の載置面を構成する。コネクタホルダ92は、載置部91の上面に、載置部91と一体に設けられる。
【0156】
コネクタホルダ92の形状は、第1、第2実施形態のコネクタホルダ38(
図2、
図4参照)と同様である。
【0157】
バッテリトレー9は、荷室カバー7の上面における搭載位置が調整可能に設けられる。具体的には、荷室カバー7が本体カバー81に装着された状態で、コネクタホルダ92が、本体カバー81に設けられたコネクタ84(第2コネクタ)に対峙する位置に設けられるよう、荷室カバー7の上面におけるバッテリトレー9の搭載位置が調整されている。荷室カバー7が本体カバー81に装着された状態では、コネクタホルダ92に保持されたバッテリ4のコネクタ43は、本体8側のコネクタ84に接続されている。なお、バッテリトレー9は、本体8における荷室15の搭載位置にかかわらず、本体8側のコネクタ84に対峙した位置となるよう、荷室15の上面におけるコネクタホルダ92(換言すれば、バッテリ4のコネクタ43)の位置を調整するコネクタ位置調整部として機能する。また、コネクタホルダ92は、荷室15の上面における搭載位置が調整可能なコネクタホルダとして構成されている。
【0158】
また、本実施形態では、
図16のステップS17として、
図21の処理に代えて又は加えて、又は
図23の処理に代えて又は加えて、
図26の処理を実行する。また、本実施形態のポート500は、第1、第2実施形態と同様に、
図15の電気的構成を備えている。ただし、本実施形態では、ポート500は、荷室位置調整装置217を備えているが、バッテリ位置調整装置215及び荷物位置調整装置216を備えなくてもよい。飛行体6の構成、
図26の処理、及び荷室位置調整装置217以外は、第1、第2実施形態と同じである。
【0159】
荷室位置調整装置217は、荷室15を本体カバー81に装着させつつ、上記取付部71、83による取付位置を調整することで、本体空間82における荷室15の搭載位置を調整する装置(ロボット)である。また、荷室位置調整装置217はバッテリトレー位置調整装置217aを含む。バッテリトレー位置調整装置217aは、バッテリ本体41と荷室15との相対的な位置関係を保持させつつ、荷室15の上面におけるバッテリトレー9の搭載位置(換言すれば、バッテリトレー9におけるバッテリ本体41の搭載位置)を調整する装置(ロボット)である。
【0160】
以下、
図26の処理を説明する。
図26の処理は、例えば
図15の制御装置220が実行する。なお、本実施形態では、
図26の処理の際に、荷室トレー2に荷物100が残っていてもよいし、残っていなくてもよい。また、
図26の処理の際に、荷室トレー2に新たに荷物110(
図17~
図19参照)が搭載されていてもよいし、搭載されなくてもよい。
【0161】
図26の処理では、先ず、荷物受け渡し後の飛行体6、換言すればステップS15で荷室トレー2と荷物ロッカー510との間で荷物100、110を受け渡した後の飛行体6の重心位置を取得する(S41)。具体的には、制御装置220は、
図15の重心位置取得部214に、荷物受け渡し後の飛行体6の水平方向における重心位置を計測又は演算させて、その重心位置を重心位置取得部214から取得する。このとき、重心位置取得部214は、重心位置として、荷室カバー7から分離された状態の荷室トレー2(荷物100、110が載っている場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよいし、荷室トレー2と荷室カバー7とが合体した状態(荷物100、110が載っている場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよいし、荷室15と本体8とが合体した状態(荷物100、110が載っている場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよい。また、重心位置取得部214は、重心位置として、バッテリ4を載せた状態の荷室15(荷物100、110が載っている場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよいし、バッテリ4を載せた荷室15と本体8とが合体した状態(荷物100、110が載っている場合は荷物100、110も含む)の水平方向における重量分布を取得してもよい。
【0162】
なお、ステップS41では、荷室トレー2に荷物100、110が載っている場合は、荷室トレー2における荷物100、110の搭載位置を当初の位置(ステップS11における着陸時の搭載位置又はステップS15で荷物ロッカー510から荷室トレー2に荷物110を移動させたときのその荷物110の荷室トレー2上の位置)に保持した状態での飛行体6の重心位置を取得してもよいし、荷物100、110の搭載位置を当初の位置から変更する場合には、変更後の状態での飛行体6の重心位置を取得してもよい。また、ステップS41では、荷室トレー2に荷物100、110が載っていない場合には、荷物100、110が無い状態での飛行体6の重心位置(重量分布)を取得する。また、ステップS41では、荷室15におけるバッテリ4の搭載位置を当初の位置(ステップS11における着陸時の搭載位置)に保持した状態での飛行体6の重心位置を取得してもよいし、バッテリ4の搭載位置を当初の位置から変更する場合には、変更後の状態での飛行体6の重心位置を取得してもよい。
【0163】
次に、制御装置220は、ステップS41で取得した重心位置に基づいて、本体空間82における荷室15の最適搭載位置を演算する(S42)。具体的には、例えば、ステップS41で取得した重心位置が本体空間82において予め定められた目標重心位置に一致する、本体空間82における荷室15の搭載位置を最適搭載位置として演算する。
【0164】
例えば、
図24において、ステップS41で取得した重心位置が符号「401」で示される位置であるとする。また、目標重心位置が符号「400」で示される位置であるとする。この場合、重心位置401が目標重心位置400に一致する荷室搭載位置410を最適搭載位置として演算する。
【0165】
ここで、ステップS41で取得する重心位置(重量分布)は、荷室トレー2に残っている各荷物100又は新たに搭載された各荷物110の重量と、荷室トレー2における各荷物100、110の搭載位置と、荷室15に搭載されるバッテリ4の重量と、荷室15の上面でのバッテリ4の搭載位置とに応じて変化する。したがって、ステップS42で得られる最適搭載位置は、荷室トレー2に載っている荷物100、110の重量と、荷室トレー2における各荷物100、110の搭載位置と、バッテリ4の重量と、バッテリ4の搭載位置とに応じて変化する。すなわち、ステップS42では、各荷物100、110の重量と、各荷物100、110の搭載位置と、バッテリ4の重量と、バッテリ4の搭載位置とに基づいて、荷室15の最適搭載位置を演算することと同義である。
【0166】
次に、制御装置220は、
図15の荷室位置調整装置217に、荷室15を本体8に搭載させつつ、本体空間82における荷室15の搭載位置をステップS42で演算した最適搭載位置に調整させる(S43)。この際、バッテリトレー位置調整装置217aは、バッテリ本体41と荷室15との相対的な位置関係を、ステップS42で最適搭載位置を演算したときの状態(例えば、飛行体6がポート500に到着したときの当初の状態)に保持させつつ、コネクタホルダ92(バッテリ4のコネクタ43)が本体8側のコネクタ84に対峙した位置にくるように、荷室15の上面におけるバッテリトレー9の搭載位置(換言すれば、バッテリトレー9におけるバッテリ本体41の搭載位置)を調整する。これによって、本体空間82における荷室15の搭載位置にかかわらず、バッテリ4のコネクタ43と、本体8側のコネクタ84とを接続させることができる。なお、ステップS43の前提として、制御装置220は、
図15の荷室トレー着脱装置212に、
図16のステップS16で下層空間513から戻ってきた荷室トレー2を荷室カバー7に装着させる。
【0167】
このように、本実施形態では、荷物受け渡し後に、本体8における荷室15の搭載位置を調整するので、荷物受け渡し後の飛行体6の重心位置を最適な位置にすることができる。これによって、上記第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0168】
なお、
図26のステップS41~S43を実行する制御装置220及び荷室位置調整装置217が本開示の重心調整部及び荷室位置調整部に相当する。また、ステップS41~S43が重心調整工程に相当する。
【0169】
なお、本開示は上記実施形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、
図16の各工程を自動的に行う例を示したが、少なくとも一部の工程を人間が行ってもよい。例えば、飛行体に対する荷室トレーの着脱は人間が行ってもよい。また、
図21のステップS24におけるバッテリ搭載位置の補正は人間が行ってもよい。この場合、例えば
図21のステップS21~S23で得られる最適搭載位置を表示装置への表示などにより出力させ、その出力された最適搭載位置に基づいて人間がバッテリ搭載位置の補正を行ってよい。また、
図21のステップS25(バッテリ搭載位置の補正後の荷室と本体カバーとの装着)も人間が行ってよい。
【0170】
また、
図23のステップS35における荷物搭載位置の補正は人間が行ってもよい。この場合、
図23のステップS31~S34で得られる最適搭載位置を表示装置への表示などにより出力させ、その出力された最適搭載位置に基づいて人間が荷室トレーでの荷物搭載位置の補正を行ってよい。また、
図23のステップS36も人間が行ってよい。
【0171】
また、
図26のステップS43における荷室搭載位置の補正は人間が行ってもよい。この場合、
図26のステップS41、S42で得られる最適搭載位置を表示装置への表示などにより出力させ、その出力された最適搭載位置に基づいて人間が本体への荷室の搭載を行ってよい。
【0172】
また、第1~第3実施形態では、荷物を昇降部と荷物ロッカーとの間で移動させる荷物移動部が荷物の配列方向に沿って複数備えられる例を示した。しかし、これに限定されず、1つの荷物移動部を荷受け又は荷渡し対象の荷物の位置に合わせて昇降部の面内で移動させることで、1つの荷物移動部で1又は複数の荷物の移動(押し出し又は引き込み)を個別に行ってもよい。また、荷物移動部がベルトコンベア、ローラコンベア等で構成されてもよい。
【0173】
また、上記実施形態では、無人飛行体の本体カバーは、下方に開口を有した箱型形状に形成される例を示したが、無人飛行体の本体は、荷室に着脱可能であり、かつ、荷室に載ったバッテリの防水を確保できる形状であれば、どのような形状でもよい。
【0174】
また、荷受け後又は荷渡し後にバッテリの搭載位置を補正する場合、バッテリの搭載位置を調整できる構造であれば、バッテリは飛行体にどのように搭載されてもよい。また、荷受け後又は荷渡し後に荷室の搭載位置を補正する場合、荷室の搭載位置を調整できる構造であれば、荷室は飛行体にどのように搭載されてもよい。
【0175】
上記実施形態では、昇降部に荷室トレーを載せた例を示したが、昇降部に荷室トレーを載せずに、昇降部に直接に荷受け又は荷渡しする荷物を載せてもよい。
【0176】
また、上記実施形態では、荷物ロッカー(荷物保管部)が搬入出室(言い換えれば離着陸部)より下層に位置する例を示したが、搬入出室(言い換えれば離着陸部)より上層に位置してもよい。この場合、
図16のステップS14では昇降部を上昇させ、ステップS16では昇降部を下降させればよい。また、荷物ロッカー(荷物保管部)は、搬入出室(言い換えれば離着陸部)と同じ階(同じ高さ位置)に位置してもよい。この場合、昇降部に代えて水平移動部を設け、
図16のステップS14ではその水平移動部に荷室トレーを載せた状態で水平移動部を荷物ロッカーに対峙した位置まで水平方向に移動させればよい。また、
図16のステップS16では、水平移動部を無人飛行体の位置まで水平方向に移動させればよい。
【0177】
また、上記実施形態では、荷室トレーが下方から荷室カバーに装着され、下方へと荷室カバーから取り外される例を示した。しかし、これに限定されず、例えば
図27、
図28に示すように、荷室カバー3A、3Bの側面部32に、荷室カバー3A、3Bの内側空間(荷室空間)に導通した側面開口391、392を設ける。そして、その側面開口391、392を介して、荷室トレーが側方(横)からスライドするように荷室カバー3A、3Bに装着され、側方(横)にスライドするように荷室カバー3A、3Bから取り外されてもよい。
図27に示す側面開口391は、荷室カバー3Aの下端が切り欠いた切り欠き部として構成されている。すなわち、側面開口391は下方が開いた形状に形成されている。
図28に示す側面開口392は、荷室カバー3Bの下端から距離をあけて形成される穴として構成されている。すなわち、側面開口392は下方が閉じた形状に形成されている。荷室カバー3A、3Bは、側面部32に側面開口391、392が形成されること以外は第1実施形態の荷室カバー3又は第3実施形態の荷室カバー7と同様に形成される。なお、
図27、
図28では、側面開口391、392が、荷室カバー3A、3Bの前側の側面部32に形成された例を示しているが、左側、右側、又は後側の側面部32に形成されてもよい。なお、荷室カバー3A、3Bは、側面開口391、392を閉塞する蓋部を有してもよい。これによれば、蓋部を開けた状態(側面開口391、392を露出させた状態)で、荷室トレーを側面開口391、392を介して荷室カバー3A、3Bに着脱するとともに、荷室トレーが荷室カバー3A、3Bに装着された状態で蓋部を閉じることで、側方から荷室内に水等の異物が入ってしまうのを抑制できる。また、荷室カバー3A、3Bは、内側の空間を閉塞する底面部を有してもよい。これによれば、下方から荷室カバー3A、3B内に水等の異物が入ってしまうのをより一層抑制できる。
【0178】
また、第3実施形態では、バッテリ本体がバッテリトレーを間に介在させて荷室上面に載った例を示したが、バッテリのコネクタを保持するコネクタホルダの位置が調整可能であれば、バッテリ本体は荷室上面に直接に搭載されてもよい。すなわち、
図25において、バッテリトレー9のうちバッテリ本体41が載る部分91は無くてもよい。
【0179】
また、上記実施形態では、荷物受け渡し後に無人飛行体の重心位置を調整する例を示したが、重心位置の調整を行わない構成でもよい。
すなわち、本開示の荷受け又は荷渡し装置は、
複数の荷物を搭載可能な無人飛行体が着陸する着陸部と、
荷物保管部と、
前記無人飛行体から下ろされた荷物を載せ、又は前記荷物保管部に保管された荷物を載せる荷物載せ部であって、複数の荷物を載せることが可能な荷物載せ部と、
前記荷物載せ部を、前記無人飛行体の位置と、前記荷物保管部に対峙した位置との間で移動させる移動制御部と、
前記対峙した位置において、前記荷物載せ部に載っている荷物を前記荷物保管部に移動させ、又は前記荷物保管部に保管された荷物を前記荷物載せ部に移動させる荷物移動部であり、前記荷物載せ部に複数の荷物が載っている場合又は前記荷物保管部に複数の荷物が保管されている場合に各荷物を個別に移動可能とする荷物移動部と、
を備える荷受け又は荷渡し装置として構成されてよい。
この場合、前記荷物移動部は、前記荷物載せ部又は前記荷物保管部での荷物の配列方向に沿って前記荷物載せ部に複数備えられるとしてよい。
これによれば、無人飛行体とポートとの間で複数の荷物の受け渡し、又は複数の荷物のうちの一部の受け渡しを効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0180】
1、6 無人飛行体
2 荷室トレー
3、3A、3B、7 荷室カバー
4 バッテリ
5、8 無人飛行体の本体
10、15 荷室
100、110 荷物
500 飛行体ポート
501 離着陸部
510 荷物ロッカー(荷物保管部)
506 昇降部
507 荷物移動部
220 制御装置
215 バッテリ位置調整装置
216 荷物位置調整装置
217 荷室位置調整装置