(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155960
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】感電防止装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/703 20060101AFI20231017BHJP
H01R 13/44 20060101ALI20231017BHJP
H01R 13/707 20060101ALI20231017BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20231017BHJP
B60L 53/80 20190101ALN20231017BHJP
【FI】
H01R13/703
H01R13/44 A
H01R13/707
B60L50/60
B60L53/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065491
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000132909
【氏名又は名称】株式会社タカキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】福田 博
(72)【発明者】
【氏名】及川 岳
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
5H125
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FB13
5E021FB20
5E021FC27
5E021FC31
5E021FC40
5E021MA02
5E021MB01
5E087EE07
5E087FF02
5E087LL22
5E087LL25
5E087LL33
5E087MM05
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087QQ05
5E087RR17
5E087RR49
5H125AA01
5H125AC13
5H125BC26
5H125EE41
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】バッテリーを取り外す際に、本体装置に設けられたコンデンサの放電処理も同時に行えるようにした感電防止装置を提供する。
【解決手段】バッテリー2の電極21に接続される一対の接続端子41と、当該一対の接続端子41を一定の距離を隔てて保持するコネクタ4と、当該コネクタ4に弾性部材52を介して取り付けられ、前記一対の接続端子41に跨るように接触する導電体42を備えたカバー体5と、を備え、当該コネクタ4の接続端子41をバッテリー2の電極21に取り付ける際に、前記カバー体5を回動させて、導電体42を前記バッテリー2の電極21から退避させ、一方、前記コネクタ4をバッテリー2から取り外した際には、前記カバー体5のヒンジ51に設けられた弾性部材52の力によって、前記導電体42を接続端子41に接触させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの電極に接続される一対の接続端子と、
当該一対の接続端子を一定の距離を隔てて保持するコネクタと、
当該コネクタに弾性部材を介して取り付けられ、前記一対の接続端子に跨るように接触する導電体と、を備え、
当該コネクタの接続端子をバッテリーの電極に取り付ける際に、前記導電体を前記バッテリーの電極から退避させ、前記コネクタをバッテリーから取り外した際に、前記弾性部材の力によって、前記導電体を接続端子に接触させるようにしたことを特徴とする感電防止装置。
【請求項2】
前記接続端子が、コネクタの下方に突出して設けられるものであり、
当該接続端子を前記コネクタとの間に挟み込んで覆うカバー体を設け、
当該カバー体に前記導電体を設けるようにした請求項1に記載の感電防止装置。
【請求項3】
前記導電体が、カバー体に対して傾動可能に取り付けられるものである請求項2に記載の感電防止装置。
【請求項4】
前記カバー体が、前記弾性部材の力に抗して、手で前記導電体を電極から退避させる方向に操作させる操作片を設け、
前記操作片を、前記コネクタに取り付けられた弾性部材に対して前記導電体の反対側に設けた請求項2に記載の感電防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーを本体装置から取り外した際に、本体装置のコネクタに接触して感電しないようにした感電防止装置に関するものであって、より詳しくは、本体装置に内蔵されたコンデンサからの放電を瞬時に行えるようにした感電防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリーによって駆動する装置には、電圧を安定させるためのコンデンサなどが設けられている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、モーターなどを駆動させるためのバッテリーに対して、本体装置にコンデンサを設け、バッテリーからの電圧を安定させるようにした技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようにバッテリーで駆動する装置にコンデンサを設けている場合、バッテリーを交換する際に、コネクタに接触してしまうと、その本体装置に設けられたコンデンサに蓄積された電荷によって感電してしまう可能性がある。
【0006】
これに対して、上記特許文献1では、コンデンサの電荷を放電させる必要があるイベントが発生した場合に、これを検知して放電スイッチをオンにし、コンデンサに蓄積された電荷を放電させるようにしているが、このような放電させるイベント以外のイベントが発生した場合(例えば、バッテリーを交換作業するような場合)、放電スイッチを自動でオンにすることができず、コネクタに接触すると感電してしまう。
【0007】
これに対して、手動で放電スイッチをオンにして、コンデンサ内の電荷を放電させるようにしてもよいが、このようにした場合、放電スイッチを切り忘れた場合に、感電してしまう危険性がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたもので、バッテリーを取り外す際に、本体装置に設けられたコンデンサの放電処理も同時に行えるようにした感電防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、バッテリーの電極に接続される一対の接続端子と、当該一対の接続端子を一定の距離を隔てて保持するコネクタと、当該コネクタに弾性部材を介して取り付けられ、前記一対の接続端子に跨るように接触する導電体と、を備え、当該コネクタの接続端子をバッテリーの電極に取り付ける際に、前記導電体を前記バッテリーの電極から退避させ、前記コネクタをバッテリーから取り外す際に、前記弾性部材の力によって、前記導電体を接続端子に接触させるようにしたものである。
【0010】
このように構成すれば、バッテリーからコネクタを取り外す際に、弾性部材の力によって導電体を接続端子に接触させることができるため、コンデンサに蓄積された電荷を瞬時に放電させることができるようになる。これにより、放電のためのスイッチを切り忘れた場合であっても、確実に感電を防止することができるようになる。
【0011】
また、このような発明において、前記接続端子を、コネクタの下方に当該コネクタの長手方向に沿って平行に突出して設けるとともに、当該接続端子を前記コネクタとの間に挟み込んで覆うカバー体を設け、当該カバー体に前記導電体を設けるようにする。
【0012】
このように構成すれば、コネクタを取り外して接続端子を露出させた場合であっても、接続端子を覆うことができ、接続端子に異物が接触して折れてしまうことなどを防止することができる。
【0013】
さらに、前記導電体を、カバー体に対して傾動可能に取り付けるようにする。
【0014】
このように構成すれば、カバー体が傾斜している場合や、接続端子が折れて高さ位置が変わっている状況であっても、これに追随して、導電体を傾斜させ、左右の接続端子に接触させることができるようになる。
【0015】
また、前記カバー体に、前記弾性部材の力に抗して、手で前記導電体を電極から退避させる方向に操作させる操作片を設けるとともに、前記操作片を、前記コネクタに取り付けられた弾性部材に対して前記導電体の反対側に設けるようにする。
【0016】
このように構成すれば、カバー体を退避させる際に、接続端子から離れた場所で操作することができるため、手が接続端子に触れることがなくなり、接続端子の折れなどを防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリーからコネクタを取り外す際に、弾性部材の力によって導電体を接続端子に接触させることができるため、コンデンサに蓄積された電荷を瞬時に放電させることができるようになる。これにより、放電のためのスイッチを切り忘れた場合であっても、確実に感電を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態における感電防止装置のブロック図
【
図2】同形態におけるコネクタをバッテリーから取り外した状態図
【
図3】同形態におけるコネクタをバッテリーに装着した状態図
【
図4】同形態におけるコネクタのカバー体に設けられた導電体の取付状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
この実施の形態におけるバッテリー2の感電防止装置1は、
図1に示すように、バッテリー2によって本体装置3のモーターや制御器などを駆動させるものであって、そのバッテリー2から本体装置3のコネクタ4を取り外す際に、メインスイッチ6を切り忘れた場合であっても、本体装置3に内蔵されたコンデンサ31の電荷を放電させるようにしたものである。そして、特徴的に、バッテリー2の左右の電極21に接続される一対の接続端子41を保持するコネクタ4に対して、カバー体5を取り付け、そのカバー体5に設けられた導電体42を、コネクタ4を取り外す際に、弾性部材52の力によって接続端子41に接触させて、コンデンサ31の電荷を放電させるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
まず、本体装置3は、バッテリー2によって駆動する装置であって、例えば、模型、乗物、電化製品などの装置が挙げられる。この本体装置3には、
図1に示すように、駆動装置として、モーターや制御器などが設けられており、バッテリー2との間に、コンデンサ31を並設させるようにしている。そして、このコンデンサ31によって、電圧を安定化させるとともに、バッテリー2からの電力供給が停止した場合であっても、数秒間電力を供給できるようにしている。
【0022】
このバッテリー2は、
図2に示すように、本体のコーナー近傍から凹んだ部分にメス型のプラス電極とマイナス電極を左右に備えており、ここにコネクタ4を差し込んで接続できるようになっている。
【0023】
このコネクタ4は、本体装置3からケーブルを介して設けられるものであって、
図4に示すように、コネクタ4の下方側であって、コネクタ4の長手方向に沿って、プラス側の接続端子41とマイナス側の接続端子41を左右に設けて構成されている。このプラス側の接続端子41とマイナス側の接続端子41は、バッテリー2のメス型の左右の電極21に挿入できるように、扁平状の金属プレートで構成されており、コネクタ4をバッテリー2の上面に沿ってスライドさせることによって、接続端子41をメス型の電極21に挿し込めるようになっている。
【0024】
このような構成において、本実施の形態では、コネクタ4に、オス型の接続端子41を覆うカバー体5を設けるようにしている。
【0025】
このカバー体5は、コネクタ4の前方に設けられたヒンジ51を介して、コネクタ4の下方に設けられた接続端子41を覆う側と開放させる側に回動させるようにしたものであって、ヒンジ51に設けられたコイルスプリングなどの弾性部材52によって、常に、接続端子41を覆う側に力を付勢させるようにしている。そして、手を離した状態において、接続端子41を全体的にカバーできるようにしている。
【0026】
このカバー体5の内側には、
図4に示すように、抵抗素子などの導電体42が左右方向に設けられており、カバー体5を閉じる方向に回動させた場合に、抵抗端子42Aを接続端子41に弾性部材52の力で押圧させながら接触させるようにしている。
【0027】
なお、このように導電体42の抵抗端子42Aを接続端子41に接触させるようにした場合、カバー体5が傾いているような状況や、接続端子41の左右の高さ位置が変わっているような場合において、導電体42を固定して設けていると、その導電体42の抵抗端子42Aが接続端子41に接触しなくなる。そこで、ここでは導電体42を取り付ける場合、導電体42の左右の抵抗端子42Aを傾動可能に設けるようにしている。具体的には、
図4に示すように、カバー体5の内側に、導電体42の抵抗端子42Aを左右に延出させて保持する導電保持体43を設けるとともに、その導電保持体43を、カバー体5に対して、緩みをもってボルト44やナット45で固定させるようにしている。このようにすることにより、カバー体5が傾いて閉じた場合や、接続端子41が折れて左右の高さが異なっているような場合であっても、導電体42を傾動させて抵抗端子42Aを左右の接続端子41に接触させることができるようになる。
【0028】
一方、このようなカバー体5を開放させる場合、ヒンジ51に対して導電体42が設けられている側と反対側に設けられた操作片53を用いて開放させるようにする。なお、この操作片53については、カバー体5の前方側(導電体42側)に設けるようにした場合、カバー体5を開ける際に、接続端子41に手が接触してしまう場合があり、接続端子41を屈曲させてしまう可能性がある。このため、ここではヒンジ51に対して導電体42とは反対側に操作片53を延出させて設けるようにしている。このような位置に操作片53を設けると、特に、コネクタ4を把持している手の人差指でカバー体5を開放させることができ、片手で操作することができるというメリットもある。なお、この実施の形態では、軽い力でカバー体5を開放できるように、
図4に示すように、カバー体5の側方にも操作片54を設けるようにしている。
【0029】
次に、このように構成された感電防止装置1の使用方法および作用について説明する。
【0030】
まず、本体装置3にコネクタ4を介して電源を供給している状態において、コネクタ4を取り外す場合、本体装置3のメインスイッチ6をオフにした後、コネクタ4をバッテリー2の上面に沿ってスライドさせて、オス型の接続端子41をバッテリー2の電極21から引き抜くようにする。このとき、一定期間、本体装置3の内部に設けられたコンデンサ31に電荷が蓄積された状態となっている。
【0031】
コネクタ4をバッテリー2から引き抜くと、ヒンジ51に設けられたコイルスプリングなどの弾性部材52の力によって、カバー体5が閉じるように回動し、そのカバー体5に設けられた導電体42の抵抗端子42Aが、コネクタ4の接続端子41に接触するようになる。このとき、カバー体5が傾いている場合や、コネクタ4の接続端子41のそれぞれの高さ位置が変わっているような場合であっても、傾動可能に取り付けられた導電保持体43を傾斜させて、抵抗端子42Aを導電体42の左右の接続端子41に接触させ、弾性部材52の力によって押圧させるようにすることができる。
【0032】
これにより、本体装置3に設けられていたコンデンサ31との間で閉回路が形成され、コンデンサ31に蓄積されていた電荷が瞬時に放電される。また、このとき、カバー体5によって、接続端子41が全体的に覆われるようになるため、手が当たって接続端子41を屈曲させてしまうようなことがなくなる。
【0033】
次に、逆に、充電されたバッテリー2を取り付ける場合は、コネクタ4のヒンジ51に対して導電体42の反対側に設けられた操作片53を指で引っ張り上げ、カバー体5を開放させる。そして、その状態で、コネクタ4をバッテリー2のメス型の電極21に差し込む。
【0034】
このとき、コネクタ4のカバー体5は、バッテリー2の側面に接触し、また、バッテリー2を収容する本体装置3の収容部の内壁との間に挟まれて、閉じる方向に回動するようなことがない。これにより、本体装置3を駆動させている際に、カバー体5がガタ付くようなことがなくなり、また、コネクタ4の抜けも防止することができるようになる。
【0035】
このように上記実施の形態によれば、バッテリー2の電極21に接続される一対の接続端子41と、当該一対の接続端子41を一定の距離を隔てて保持するコネクタ4と、当該コネクタ4に弾性部材52を介して取り付けられ、前記一対の接続端子41に跨るように接触する導電体42と、を備え、当該コネクタ4の接続端子41をバッテリー2の電極21に取り付ける際に、前記導電体42を前記バッテリー2の電極21から退避させ、前記コネクタ4をバッテリー2から取り外す際に、前記弾性部材52の力によって、前記導電体42を接続端子41に接触させるようにしたので、コネクタ4を取り外すことに伴って、弾性部材52の力によって導電体42を接続端子41に接触させることができ、コンデンサ31に蓄積された電荷を瞬時に放電させることができるようになる。これにより、スイッチの切り忘れなどによる感電を防止することができるようになる。
【0036】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0037】
例えば、上記実施の形態では、カバー体5をヒンジ51に設けられた弾性部材52の力に抗して回動させるようにしたが、板バネでカバー体5を回動させるようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施の形態では、カバー体5で接続端子41を全体的に覆うようにしたが、全体を覆うことなく、接続端子41を導電体42で短絡させるだけにしてもよい。
【0039】
さらに、上記実施の形態では、接続端子41の下方側にカバー体5を設け、そのカバー体5に設けられた導電体42を接触させるようにしたが、
図5や
図6に示すような構造を採用することもできる。この
図5は、上下に設けられたコネクタ4と接続端子41との隙間に、弾性によって接続端子41と接触しうる傾動可能な金属部材42Bを設け、この金属部材42Bによって接続端子41を接触させるようにしている。なお、このように金属部材42Bによって接続端子41を接触させる場合、左右の接続端子41に跨る一枚の金属プレートを傾動させて接続端子41に接触させるようにしてもよいが、このようにすると、接続端子41が屈曲して左右の高さ位置が変わっている場合、金属部材42Bがそれぞれの接続端子41に接触しなくなる可能性がある。このため、好ましくは、左右の接続端子41に対して、それぞれ弾性によって接触しうる傾動可能な金属部材42Bを設け、それぞれの金属部材42Bを抵抗素子などの導電体42で接続するようにしている。そして、このような金属部材42Bを設けたコネクタ4をバッテリー2に取り付ける場合、バッテリー2の上面とバッテリー2の電極21との隙間に金属部材42Bを挟み込ませ、金属部材42Bを弾性によって接続端子41から退避させる(
図6の状態)。このとき、金属部材42Bは、バッテリー2の上面とコネクタ4との間に挟まれた状態となる。一方、今度は逆に、コネクタ4を取り外す場合は、コネクタ4を電極21から引き抜くことによって、弾性の復元力によって金属部材42Bを接続端子41に接触させ(
図5の状態)、コンデンサ31との間で閉回路を形成して、放電を行わせるようにする。
【符号の説明】
【0040】
1・・・感電防止装置
2・・・バッテリー
21・・・電極
3・・・本体装置
31・・・コンデンサ
4・・・コネクタ
41・・・接続端子
42、42B・・・導電体
42A・・・抵抗端子
43・・・導電保持体
44・・・ボルト
45・・・ナット
5・・・カバー体
51・・・ヒンジ
52・・・弾性部材
53・・・操作片
54・・・操作片
6・・・メインスイッチ