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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155963
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】音出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20231017BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H04R29/00 310
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065494
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】松山 実
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA50
5D220DD05
(57)【要約】
【課題】 スピーカの接続の有無を常時正確に判定する機能を備えた音出力装置を提供する。
【解決手段】 本発明の音出力装置100は、コントローラ110と、パワーアンプ60とローパスフィルタ70と、スピーカ80とを含む。コントローラ110はさらに、音声入力信号S2および音声出力信号S3の高周波成分を除去する第1および第2のローパスフィルタ120、122と、高周波成分が除去された音声入力信号SigInLのピーク電流SigInPを検出する第1のピーク検出部130と、高周波成分が除去された音声出力信号のピーク電流SigOutPを検出する第2のピーク検出部132と、ピーク電流SigInPが一定以上の大きさであるとき、ピーク電流SigInPとピーク電流SigOutPとを比較し、スピーカ80の接続または非接続を判定する比較部140とを含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカの接続または非接続を検出する機能を備えた音出力装置であって、
音声入力信号を受け取り、当該音声入力信号を増幅した音声出力信号を生成するD級のアンプと、
前記音声出力信号に応答して音を出力するスピーカと、
前記スピーカの接続または非接続を検出する検出手段とを有し、
前記検出手段は、前記音声入力信号の高周波成分を除去する第1のフィルタと、
前記音声出力信号の高周波成分を除去する第2のフィルタと、
前記第1のフィルタで高周波成分が除去された音声入力信号と前記第2のフィルタで高周波成分が除去された音声出力信号とを比較し、当該比較結果に基づきスピーカの接続または非接続を判定する比較部と、
を有する音出力装置。
【請求項2】
音出力装置はさらに、前記第1のフィルタで高周波成分が除去された音声入力信号の一定期間における第1のピーク電流を検出する第1の検出部と、
前記第2のフィルタで高周波成分が除去された音声出力信号の一定期間における第2のピーク電流を検出する第2の検出部とを含み、
前記比較部は、前記第1のピーク電流と前記第2のピーク電流とを比較し、当該比較結果に基づきスピーカの接続または非接続を判定する、請求項1に記載の音出力装置。
【請求項3】
前記検出手段はさらに、前記第1のピーク電流のレベルをチェックするレベルチェック部を含み、
前記比較部は、前記レベルチェック部でチェックされたレベルに基づきスピーカの接続または非接続の判定を行う、請求項2に記載の音出力装置。
【請求項4】
前記比較部は、前記第1のピーク電流のレベルが一定未満である場合には、スピーカの接続または非接続を判定せず、第1のピーク電流のレベルが一定以上である場合には、スピーカの接続または非接続を判定する、請求項3に記載の音出力装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記第1のピーク電流と前記第2のピーク電流との比または差が第1の閾値よりも大きいとき、スピーカが接続されていると判定する、請求項2に記載の音出力装置。
【請求項6】
前記比較部は、前記第1のピーク電流と前記第2のピーク電流との比または差が第2の閾値よりも小さいとき、スピーカが接続されていないと判定する、請求項2に記載の音出力装置。
【請求項7】
音出力装置はさらに、前記アンプと前記スピーカとの間にローパスフィルタを含み、前記ローパスフィルタは、前記アンプから出力されるPWM信号を可聴帯域のアナログ音声信号に変換する、請求項1に記載の音出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカから音を出力させる音出力装置に関し、特にスピーカの接続/非接続の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
音出力装置のスピーカ接続の有無を検出する技術として、例えば、特許文献1では、出力変圧器の二次巻線にスピーカラインを接続し、二次巻線に誘起されている電圧に対応する電圧を負帰還させる電圧増幅器で増幅された第1電圧信号と、出力変圧器の二次巻線側に誘起された電圧に対応する第2電圧信号とを比較することで、スピーカラインの接続/非接続を検出している。また、特許文献2の音出力装置は、入力信号に処理を施す処理部と、処理部からの出力信号に基づき音を出力するスピーカと、入力信号のレベルと出力信号のレベルとの差から処理部の故障を判定する判定部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3355065号公報
【特許文献2】特開2019-48528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のオーディオアンプでは、起動時にのみスピーカの接続確認を行っていたが、電気自動車などに搭載される近接警告音装置等の安全にかかわる製品には、常時のスピーカの接続確認が要求される。その要求に応えるため、出力電流測定機能付きのアンプを使用し、アンプの入力電流レベルと出力電流レベルとを比較し、出力電流レベルが十分大きい場合、スピーカが接続されていると判定し、出力電流レベルが十分小さい場合、スピーカが接続されていないと判定している。
【0005】
図1は、従来の音出力装置(オーディオアンプ)の構成を示すブロック図である。音出力装置10は、コントローラ20と、パワーアンプ60と、ローパスフィルタ70と、スピーカ80とを含み、コントローラ20は、スピーカ80の接続または非接続を検出する機能を備えている。コントローラ20は、信号処理部30および比較部40を含み、信号処理部30は、原音を示すアナログ音声入力信号S1を受け取り、音声入力信号S1のノイズ除去や増幅等の処理を行い、処理した音声入力信号S2を比較部40およびパワーアンプ60に提供する。
【0006】
パワーアンプ60は、D級アンプであり、入力したアナログ音声入力信号S2の入力信号レベルに応じてパルスのデューティ比を変化させるPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM生成器と、PWM信号を+V/-Vの電圧レベルに増幅したPWM出力信号S3に変換するスイッチング回路とを含む。
【0007】
ローパスフィルタ70は、パワーアンプ60から出力されるPWM出力信号S3から高周波成分を除去して可聴帯域のアナログ音声信号S4を生成し、スピーカ80は、アナログ音声信号S4に応答して音を出力する。
【0008】
パラーアンプ60はさらに、PWM出力信号S3の出力電流値を測定する機能を含み、コントローラ20の比較部40に出力電流値(出力電流レベル)Ioutを提供する。比較部40は、パワーアンプ60に入力される音声入力信号S2の入力電流レベルIinとパワーアンプ60の出力電流レベルIoutとを比較し、出力電流レベルIoutが入力電流レベルIinに比べて十分に大きければスピーカ80が接続されていると判定し、出力電流レベルIoutが入力電流レベルIinに比べて十分に小さければスピーカ80が未接続と判定する。コントローラ20はさらに、スピーカ80が未接続であると判定された場合に、警報などをディスプレイに出力する。
【0009】
しかしながら、このような従来のスピーカ接続の有無の判定方法には、次のような課題がある。図1に示すようなD級パワーアンプ60では、その出力にローパスフィルタ70が接続されるため、パワーアンプ60で扱うPWM信号の周波数が高くなった場合、出力電流値Ioutが大きくなり、スピーカ80が接続されているから出力電流値Ioutが大きくのか否かの区別が難しくなり、すなわち、スピーカ80が接続されていない場合でも、出力電流レベルIoutが接続判定の閾値を超えてしまい、スピーカ80が接続されていると誤判定をしてしまう。
【0010】
また、パワーアンプ60に入力される音声入力信号S2の入力電流レベルIinとパワーアンプ60から出力される出力電流レベルIoutとの間には、パワーアンプ60におけるデジタル/アナログ変換に伴う遅延が存在するため、両者を単純に比較することはできない。もし、そのまま比較すると、スピーカ接続の誤判定を生じさせるおそれがある。
【0011】
さらにD級パワーアンプ60では、音声入力信号S2の入力レベルが極めて小さい場合でもスイッチング回路に電流が流れ(仮に入力レベルがゼロでもPWM信号のデューティ比は50%であるため電流が流れ)、スピーカ80が接続されていないにもかかわらずスピーカ80が接続されていると誤判定するおそれがある。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、動作中にスピーカ接続の有無をより正確に判定する機能を備えた音出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る音出力装置は、ピーカの接続または非接続を検出する機能を備えたものであって、音声入力信号を受け取り、当該音声入力信号を増幅した音声出力信号を生成するD級のアンプと、前記音声出力信号に応答して音を出力するスピーカと、前記スピーカの接続または非接続を検出する検出手段とを有し、前記検出手段は、前記音声入力信号の高周波成分を除去する第1のフィルタと、前記音声出力信号の高周波成分を除去する第2のフィルタと、前記第1のフィルタで高周波成分が除去された音声入力信号と前記第2のフィルタで高周波成分が除去された音声出力信号とを比較し、当該比較結果に基づきスピーカの接続または非接続を判定する比較部とを有する。
【0014】
ある態様では、音出力装置はさらに、前記第1のフィルタで高周波成分が除去された音声入力信号の一定期間における第1のピーク電流を検出する第1の検出部と、前記第2のフィルタで高周波成分が除去された音声出力信号の一定期間における第2のピーク電流を検出する第2の検出部とを含み、前記比較部は、前記第1のピーク電流と前記第2のピーク電流とを比較し、当該比較結果に基づきスピーカの接続または非接続を判定する。ある態様では、前記検出手段はさらに、前記第1のピーク電流のレベルをチェックするレベルチェック部を含み、前記比較部は、前記レベルチェック部でチェックされたレベルに基づきスピーカの接続または非接続の判定を行う。ある態様では、前記比較部は、前記第1のピーク電流のレベルが一定未満である場合には、スピーカの接続または非接続を判定せず、第1のピーク電流のレベルが一定以上である場合には、スピーカの接続または非接続を判定する。ある態様では、前記比較部は、前記第1のピーク電流と前記第2のピーク電流との比または差が第1の閾値よりも大きいとき、スピーカが接続されていると判定する。ある態様では、前記比較部は、前記第1のピーク電流と前記第2のピーク電流との比または差が第2の閾値よりも小さいとき、スピーカが接続されていないと判定する。ある態様では、音出力装置はさらに、前記アンプと前記スピーカとの間にローパスフィルタを含み、前記ローパスフィルタは、前記アンプから出力されるPWM信号を可聴帯域のアナログ音声信号に変換する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、音声入力信号および音声出力信号の高周波成分を除去し、高周波成分を除去した音声入力信号および音声出力信号を比較するようにしたので、アンプの音声出力信号の周波数が高くなることによるスピーカ接続の誤判定を防止することができる。また、音声入力信号のピーク電流と音声出力信号のピーク電流とを比較することで、音声入力信号と音声出力信号との間の遅延による不整合をキャンセルしてスピーカ接続の誤判定を防止することができる。さらに、音声入力信号の入力レベルが極めて小さい場合には、音声入力信号と音声出力信号との比較を停止することでスピーカ接続の誤判定を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の音出力装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例に係る音出力装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施例によるスピーカ接続/非接続の判定例を示すテーブルである。
図4】本発明の他の実施例に係る音出力装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る音出力装置は、起動時のみならず、常時(音を出力している期間中)、スピーカの接続の有無を検出する機能を備える。本発明に係る音出力装置は、特に限定されないが、例えば、電気自動車等において近接する歩行者等に対して警告音をスピーカから発生させる近接警告音装置あるいはオーディオ装置等に利用される。
【実施例0018】
図2は、本発明の実施例に係る音出力装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成については同一参照番号を付す。本実施例の音出力装置100は、コントローラ110、パワーアンプ60、ローパスフィルタ70およびスピーカ80を含んで構成される。
【0019】
コントローラ110は、音出力装置100におけるスピーカの接続または非接続を検出する機能を備える。コントローラ110は、図1に示す信号処理部30に加えて、信号処理部30から出力されるアナログ音声入力信号S2の高周波成分を除去する第1のローパスフィルタ120と、第1のローパスフィルタ120からの音声入力信号SigInLを受け取り、音声入力信号SigInLの一定期間における入力電流レベルのピーク値(最大値)を検出する第1のピーク検出部130と、パワーアンプ60から出力される出力電流レベルIoutの高周波成分を除去する第2のローパスフィルタ130と、第2のロースフィルタ122からの音声出力信号SigOutLを受け取り、音声出力信号SigOutLの一定期間における出力電流のピーク値(最大値)を検出する第2のピーク検出部132と、第1のピーク検出部130で検出された検出信号SigInPと第2のピーク検出部132で検出された検出信号SigOutPとを受け取り、両者の比または差からスピーカ80の接続または未接続を判定する比較部140と、第1のピーク検出部130の検出信号SigInPに基づき制御信号CNTを比較部150に提供するレベルチェック部150とを含んで構成される。
【0020】
信号処理部30は、原音を表すアナログ音声入力信号S1を受け取り、フィルタリング処理や増幅処理等を行い、処理したアナログ音声入力信号S2を第1のローパスフィルタ120およびパワーアンプ60に提供する。
【0021】
パワーアンプ60は、D級アンプから構成され、アナログ音声入力信号S2の入力信号レベルに応じてパルスのデューティ比を変化させるPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM生成器と、PWM出力信号を+V/-Vの電圧レベルに増幅したPWM出力信号S3に変換するスイッチング回路とを含む。スイッチング回路は、例えば、+Vの電圧源と-Vの電圧源との間に直列に接続されたプッシュプル動作を行うトランジスタを含み、PWM信号に応答して一方のトランジスタをオンさせ、他方のトランジスタをオフさせることで+VのレベルのPWM出力信号S3を生じさせ、一方のトランジスタをオフさせ、他方のトランジスタをオンさせることで-VのレベルのPWM出力信号S3を生じさせる。
【0022】
ローパスフィルタ70は、スピーカ80のインピーダンスやパワーアンプ60の特性に応じたカットオフ周波数で設計され、パワーアンプ60からのPWM出力信号S3から高周波成分を除去して可聴帯域のアナログ音声信号S4を生成し、スピーカ80は、アナログ音声信号S4に応答して音を出力する。
【0023】
パワーアンプ60はさらに、PWM出力信号S3に基づき出力電流値を測定し、測定した出力電流値Ioutを表すアナログ信号を第2のローパスフィルタ122に提供する。
【0024】
第1のローパスフィルタ120は、アナログ音声入力信号S2を受け取り、アナログ音声入力信号S2から予め決められたカットオフ周波数f1以上の高周波成分を除去し、除去した信号SigInLを第1のピーク検出部130へ提供する。
【0025】
第2のローパスフィルタ122は、第1のローパスフィルタ120と同一構成であり、出力電流値Ioutを表すアナログ信号から予め決められたカットオフ周波数f2(f1=f2)以上の高周波信号を除去し、除去した信号SigOutLを第2のピーク検出部132へ提供する。
【0026】
第1および第2のローパスフィルタ120、122によって音声入力信号S2の入力電流レベルおよびPWM出力信号S3の出力電流レベルS3から高周波成分を事前に除去することで、比較部140が音声入力信号S2および音声出力信号S5の高周波成分の入力電流レベルおよび出力電流レベルを比較しないようにする。パワーアンプ60が扱うPWM信号の周波数が高くなると、ローパスフィルタ70によって消費される電流が大きくなり、スピーカが未接続であっても出力電流レベルが大きくなり、スピーカ接続または未接続に誤判定を生じさせるおそれがあるので、このような事態を回避する。
【0027】
第1のピーク検出部130は、第1のローパスフィルタ120からの信号SinInLを受け取り、予め決められた期間T1(例えば、5msの期間)において信号SinInLの最も高いピーク値(最大値)を検出し、そのピーク値を示す検出信号SinInPを比較部140およびレベルチェック部150に提供する。第2のピーク検出部132は、第1のピーク検出部130と同一に構成され、第2のローパスフィルタ122からの信号SigOutLを受け取り、予め決められた期間T2(T1=T2)において信号SigOutLの最も高いピーク(最大値)を検出し、そのピーク値を示す検出信号SigOutPを比較部140に提供する。第1および第2のピーク検出部130、132によって一定期間におけるピーク値を検出することで、比較部140による入力電流レベルと出力電流レベルとの比較において、パワーアンプ60における出力電流値Ioutの測定に伴う遅延を補償する。つまり、音声入力信号S2とPWM出力信号S3との間の遅延による影響を無視できるようにする。
【0028】
レベルチェック部150は、第1のピーク検出部130からの検出信号SinInPに基づき比較部140をイネーブル/ディスエーブルするための制御信号CNTを比較部140に提供する。例えば、レベルチェック部150は、音声入力信号の入力電流レベルのピーク値が極端に小さい場合(すなわち閾値よりも小さい場合)、比較部140による比較が行われないようにするための制御信号CNT(例えば、Lレベルの信号)を出力し、入力電流レベルのピーク値が閾値以上の場合、比較部140による比較を可能にするための制御信号CNT(例えば、Hレベルの信号)を出力する。これにより、音声入力信号S2の入力信号レベルが小さい場合には、比較部140による比較を行わないようにすることで、スピーカ接続/非接続の誤判定を防止する。
【0029】
比較部140は、レベルチェック部150からの制御信号CNTに応じて、音声入力信号S2の入力レベルが一定以上であれば、検出信号SinInPで示されるピーク値と検出信号SigOutPで示されるピーク値とを比較し、両者の比または差が閾値以上であれば、スピーカ80が接続されていると判定し、両者の比または差が閾値未満であれば、スピーカ80が未接続(オープン)と判定する。例えば、比較部140は、(SigOutP/SigInP)>1.0のときスピーカ80が接続されていると判定し、(SigOutP/SigInP)<0.5のときスピーカ80が接続されていないと判定する。
【0030】
図3は、スピーカ接続または非接続の判定例を示すテーブルである。従来技術では、スピーカ接続/オープンの入出力電流のピーク値の比が2.93であるのに対し、本実施例では、その比が4.23となり、スピーカ接続または非接続を行うための閾値との差(マージン)を大きくすることが可能になり、その結果、安定してスピーカの接続または非接続を確認することができるようになった(本実施例では、従来と比較して閾値との差が3dB改善された)。
【0031】
このように本実施例によれば、音声入力信号および音声出力信号の高周波成分を除去し、除去した音声入力信号および音声出力信号の一定期間におけるピーク電流を比較することで、パワーアンプが扱うPWM信号の周波数が高くなることによるスピーカ接続の誤判定を防止し、かつ音声入力信号と音声出力信号との間の遅延による不整合をキャンセルしてスピーカ接続の誤判定を防止することができる。さらに、音声入力信号の入力レベルが極めて小さい場合には、音声入力信号と音声出力信号との比較を停止することでスピーカ接続の誤判定を防止することができる。
【0032】
次に、本発明の他の実施例について説明する。上記した図2に示す音出力装置100では、コントローラ110がアナログ回路を用いてスピーカ接続/未接続を検出する例を示したが、アナログ回路と等価な処理をデジタル回路により実施するようにしてもよい。
【0033】
図4は、本発明の他の実施例に係る音出力装置の構成を示すブロック図である。音出力装置100Aにおいて、コントローラ110は、音声入力信号S2をデジタル変換するADコンバータ160と、出力電流値Ioutを示すアナログ信号をデジタル変換するADコンバータ170を含み、第1および第2のローパスフィルタ120、122、第1および第2のピーク検出部130、132、レベルチェック部150および比較部140は、デジタル回路によって構成される。さらに別の態様として、コントローラ110は、デジタル回路およびアナログ回路を混在させる回路であってもよい。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
60:パワーアンプ
70:ローパスフィルタ
80:スピーカ
100、100A:音出力装置
110:コントローラ
120、122:ローパスフィルタ
130、132:ピーク検出回路
140:比較部
150:レベルチェック部
160、170:ADコンバータ
図1
図2
図3
図4