(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155969
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】包茎矯正具、及び、包茎矯正具の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 5/37 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
A61F5/37 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065505
(22)【出願日】2022-04-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】506405655
【氏名又は名称】阿部 春一
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】阿部 春一
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB20
4C098BC08
4C098BC15
4C098BD14
4C098EE02
(57)【要約】
【課題】手を離しても負荷をかけることができ、かつ、使用中に包皮輪が広がっても、負荷をかけ続けることができる、包茎矯正具を提供する。
【解決手段】包茎矯正具1は、支点20を介して互いに回転可能に連結される第1アーム21及び第2アーム22と、第1アーム21及び第2アーム22のそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部31、32であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部31、32と、第1アーム21及び第2アーム22において、支点20について一対の立ち上げ部31、32と反対側に取り付けられる弾性体40であって、一対の立ち上げ部31、32を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体40と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支点を介して互いに回転可能に連結される第1アーム及び第2アームと、
前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部と、
前記第1アーム及び前記第2アームにおいて、前記支点について一対の前記立ち上げ部と反対側に取り付けられる弾性体であって、一対の前記立ち上げ部を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体と、
を備える、包茎矯正具。
【請求項2】
支点を介して互いに回転可能に連結される第1アーム及び第2アームと、
前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部と、
前記第1アーム及び前記第2アームにおいて、前記支点について一対の前記立ち上げ部と同じ側に取り付けられる弾性体であって、一対の前記立ち上げ部を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体と、
を備える、包茎矯正具。
【請求項3】
前記第1アームと前記第2アームの最大開口幅を調整するための安全ストッパをさらに備える、請求項1又は請求項2に記載された包茎矯正具。
【請求項4】
前記弾性体によって生じる張力を調整するための張力調整機構をさらに備える、請求項3に記載された包茎矯正具。
【請求項5】
前記張力調整機構は、前記弾性体の前記第1アーム又は前記第2アームへの取付位置を調整して、前記支点に対しての距離を変えるように構成されている、請求項4に記載された包茎矯正具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された包茎矯正具の使用方法であって、
手で前記第1アーム及び前記第2アームを把握して前記立ち上げ部の間隔を縮める工程と、
間隔が縮められた前記立ち上げ部を包皮輪に挿入する工程と、
前記第1アーム及び前記第2アームを把握している手を離して包皮輪に外向きの張力を作用させる工程と、
を備える、包茎矯正具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包茎、特に、真性包茎を矯正するために使用する包茎矯正具に関する。
【背景技術】
【0002】
亀頭全体が包皮で覆われて、勃起時にも亀頭が全く露出しない真性包茎は、余分な包皮を切除して包皮輪(包皮開口部)を広げる整形外科手術によって矯正することができる。しかし、その手術費が著しく高額な上、術後の通院費や薬代も嵩み、金銭面での負担が大きいという問題があった。
【0003】
また、包茎の手術に際しては、包皮を切りすぎたために、勃起時にその包皮が突っ張ったり、包皮の縫合箇所がケロイド状になるなど醜くなったり、あるいは包皮と共に性感帯の一部が切除されたり、性感伝達神経が傷つけられることにより射精不能になるなどのリスクを伴うことが知られている。そして、術後は2週間ほど痛みが続き、その間、包帯が取れないために入浴や放尿も困難になるという不自由な生活を包茎患者に強いることになる。さらに、包茎患者の中には、恥ずかしさのために手術を受けることができず、人知れず悩んでいる人も多い。
【0004】
「こどもの包茎相談室」(非特許文献1)によれば、真性包茎は亀頭を包む包皮先端の包皮輪(包皮開口部)が小さいことが原因であり、「鉗子を用いて包皮輪を広げればその開口部から亀頭を露出させることができる」とされ、さらに、「専門医でなくても容易に取り扱うことのできる包茎矯正具が市販されることが望まれている」趣旨の記載がある。
【0005】
また、「切ってはいけません!日本人が知らない包茎の真実」(非特許文献2)では、包皮の有用性を指摘した上で、包茎手術を否定する立場で、包皮輪を広げることによる真性包茎矯正を奨励している。非特許文献2の著者である泌尿器科医師は、実際に、鉗子で包皮輪を広げ真性包茎を矯正した実績が豊富であり、「真性包茎は手術の必要が無く、包皮輪を広げることで矯正できる」としている。
【0006】
包茎の包皮開口部を押し広げるために考案された包茎矯正具としては、例えば、特許文献1に記載の包茎矯正具がある。特許文献1の包茎矯正具は、2本の柄でなるグリップをスプリングの弾撥力に抗して握り込むと、2つの顎が開いて両顎の先端に直角に設けた一対のブレードが互いに離反する方向に動くように構成されたペンチ状の器具である。この包茎矯正具では、その一対のブレードを真性包茎の包皮開口部に挿入してグリップを握り込むことにより、ラチェット機構によりブレードの距離が維持されるので、長時間にわたって連続使用しても手がだるくなったり疲れたりすることなく、多少痛さを感じる程度に効果的に張力を作用させて包皮開口部を押し広げることができる。
【0007】
しかしながら、ペンチ状の器具は、どうしても大型で重くなるだけでなく、自ら使用する場合に、ブレードを手前に向けて、グリップをブレードの向こう側に位置させなければならないので、手首を折返してペンチを逆手で持つような使い勝手となり、極めて使い難い。また、手首が返っているのでラチェット操作が容易でないだけなく、ブレードの間隔を段階的にしか調整することができないので、包皮開口部を思い通りの力加減で押し広げることができない。さらに、グリップの開閉によりブレードが簡単に開閉するため、包皮開口部を伸ばしている最中にラチェットが外れるなど何かの拍子にグリップを開く方向の力が作用すると、ブレードが閉じてしまい、矯正作業が中断する結果になる。さらにまた、ペンチ状の器具は、個々の部品の形状が複雑で、製造コスト面で課題を有する。
【0008】
さらに、その他の形態の包茎矯正具としては、例えば、特許文献2に記載された包茎矯正具が知られている。特許文献2に記載された包茎矯正具は、一対のブレードを包茎の包皮開口部に挿入して、グリップとなる二本のレッグを握り込むと、一対のブレードが互いに離反する方向に動いて、包皮開口部が内側から押し広げられるように構成されている。そして、グリップの握力を解除すると、一対のブレードが、バネの復元力で互いに接近する方向に自動的に戻って、包皮開口部から簡単に抜き出せる状態となる。したがって、この包茎矯正具は、高価な成形金型を用いることなく、バネ材を曲げる簡易な加工によって量産することができるので、その製造コストが非常に安いと同時に、軽量で嵩張らないので、カバンやバッグ、あるいは洋服のポケットなどに入れて携帯するのに便利である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】高橋剛著、「こどもの包茎相談室」、近代文芸社、2000年12月
【非特許文献2】石川英二著、「切ってはいけません!日本人が知らない包茎の真実」新潮社、2005年9月21日
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004-141188号公報
【特許文献2】特開2003-220084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した特許文献1の包茎矯正具では、使用者、具体的には包茎患者が、ブレードを包茎の包皮開口部に差し込んでグリップを握ることで、そこにある程度の力がかかった状態にブレードの間隔を維持することができ、よって、包茎の矯正が可能になる。同様に、上述した特許文献2の包茎矯正具では、一対のブレードを包茎の包皮開口部に挿入して、グリップとなる二本のレッグを握り込むと、一対のブレードが互いに離反する方向に動いて、包皮開口部が内側から押し広げられるようになっている。他方、ストッパーがあるタイプでは、包皮輪を広げている時、時間の経過とともに包皮輪が広がるため、包皮輪を広げる負荷(張力)が低下する。
【0012】
そこで本発明は、手を離しても負荷をかけることができ、かつ、使用中に包皮輪が広がっても、負荷をかけ続けることができる、包茎矯正具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の包茎矯正具は、支点を介して互いに回転可能に連結される第1アーム及び第2アームと、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部と、前記第1アーム及び前記第2アームにおいて、前記支点について一対の前記立ち上げ部と反対側に取り付けられる弾性体であって、一対の前記立ち上げ部を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体と、を備えている。
【0014】
あるいは、本発明の包茎矯正具は、支点を介して互いに回転可能に連結される第1アーム及び第2アームと、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部と、前記第1アーム及び前記第2アームにおいて、前記支点について一対の前記立ち上げ部と同じ側に取り付けられる弾性体であって、一対の前記立ち上げ部を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包茎矯正具は、支点を介して互いに回転可能に連結される第1アーム及び第2アームと、第1アーム及び第2アームのそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部と、第1アーム及び第2アームにおいて、支点について一対の立ち上げ部と反対側に取り付けられる弾性体であって、一対の立ち上げ部を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体と、を備えている。
【0016】
あるいは、本発明の包茎矯正具は、支点を介して互いに回転可能に連結される第1アーム及び第2アームと、第1アーム及び第2アームのそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部と、第1アーム及び第2アームにおいて、支点について一対の立ち上げ部と同じ側に取り付けられる弾性体あって、一対の立ち上げ部を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体と、を備えている。
【0017】
これらの構成であれば、弾性体によって、一端部の立ち上げ部を常に広げる方向に付勢することができるため、手を離しても負荷をかけることができ、かつ、使用中に包皮輪が広がっても、負荷をかけ続けることができる、包茎矯正具となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】包茎矯正具の最大開口度を調整手法の説明図である。(a)は最大開口度を狭くする場合であり、(b)は最大開口度を広くする場合である。
【
図4】実施例1の包茎矯正具の張力調整機構の調整手法の説明図である。(a)は張力を強くする場合であり、(b)は張力を弱くする場合である。
【
図8】実施例2の包茎矯正具の張力調整機構の調整手法の説明図である。(a)は張力を強くする場合であり、(b)は張力を弱くする場合である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下では、実施例1で支点について立ち上げ部と反対側に弾性体を配置した例について説明し、実施例1で支点について立ち上げ部と同じ側に弾性体を配置した例について説明する。
【実施例0020】
(構成)
まず、
図1、
図2を参照しながら、実施例1の包茎矯正具1の構成について説明する。実施例1の包茎矯正具1は、支点20を介して互いに回転可能に連結される第1アーム21及び第2アーム22と、第1アーム21及び第2アーム22のそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部31、32であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部31、32と、第1アーム21及び第2アーム22において、支点20について一対の立ち上げ部31、32と反対側に取り付けられる弾性体40であって、一対の立ち上げ部31、32を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体40と、を備えている。
【0021】
第1アーム21は、合成樹脂などによって形成されるものであり、回転軸である支点20から一方向へ直線的に延びて先端に立ち上げ部31を有する部分21Aと、支点20から折れ曲がりつつ延びて弾性体40が取り付けられる部分21Bと、から構成されている。これを、支点20について見ると、立ち上げ部31と弾性体40の取付位置41は反対側に位置している。
【0022】
加えて、第1アーム21は、第1アーム21と第2アーム22の最大開口幅を調整するための安全ストッパ50をさらに有している。安全ストッパ50は、支点20の近傍ではあるが、支点20について立ち上げ部31の反対側に配置されている。安全ストッパ50は、第1アーム21に対して進退移動するネジ軸51と、ネジ軸51を手動で回転させるためのハンドル52と、から構成されている。そして、ハンドル52を正方向/逆方向に回転させることで突出量を調整し、突出したネジ軸51の先端が第2アーム22の突当壁221に当接するようになっている。この安全ストッパ50の作用については、
図3を参照しながら後述する。
【0023】
第1アーム21の一端部には、第1アーム21に対して直角方向に立ち上げた立ち上げ部31が設けられている。立ち上げ部31は、第1アーム21の先端から略垂直に立ち上げた円柱状の直線部311と、この直線部311の先端に形成された半球体部312と、から構成されている。
【0024】
同様に、第2アーム22は、合成樹脂などによって形成されるものであり、回転軸である支点20から一方向へ直線的に延びて先端に立ち上げ部32を有する部分22Aと、支点20から略直角に折れ曲がりつつ延びて弾性体40が取り付けられる部分22Bと、から構成されている。これを、支点20について見ると、立ち上げ部31と弾性体40の取付位置42は反対側に位置している。
【0025】
第2アーム22の一端部には、第2アーム22に対して直角方向に立ち上げた立ち上げ部32が設けられている。立ち上げ部32は、第2アーム22の先端から略垂直に立ち上げた円柱状の直線部321と、この直線部321の先端に形成された半球体部322と、から構成されている。
【0026】
そして、本実施例の弾性体40は、使用時に引張力を作用させるスプリング(弦巻バネ;引張バネ)であり、支点20について一対の立ち上げ部31、32と反対側に取り付けられている。
【0027】
すなわち、弾性体40は、自然長よりも伸ばされた状態(引っ張られた状態)で取り付けられているため、取付位置41、42を互いに引き寄せ合うように作用する。したがって、支点20について取付位置41、42と反対側に位置する一対の立ち上げ部31、32は、互いに離れる方向に付勢される。
【0028】
そして、本実施例の弾性体40には、弾性体40によって生じる張力(立ち上げ部31、32どうしを離間させる力;包皮を引っ張る力)を調整するための張力調整機構(43-45)がさらに設けられている。具体的に言うと、張力調整機構は、取付位置42と一体になって連動するギヤピン43と、ギヤピン43をスライド駆動させるためのギヤ軸44と、ギヤ軸44を手動で回転させるハンドル45と、から構成されている。そして、ハンドル45を正方向/逆方向に回転させることでギヤ軸44を回転させて、ギヤピン43をギヤ軸44に沿って移動させる。そうすると、第2アーム22側の取付位置42が移動することになり、第1アーム21側の取付位置41との距離が変化するとともに、支点20に対する距離が変化する。この張力調整機構(43-45)の作用については、
図4を参照しながら後述する。
【0029】
(作用)
次に、
図3~
図5を用いて、包茎矯正具1の作用について説明する。
【0030】
最大開口幅を調整する際には、
図3(a)、(b)に示すように、安全ストッパ50のハンドル52を正方向に回して狭くしたり、逆方向に回して広くしたりすることで、調整することができる。
【0031】
すなわち、最大開口幅を狭くする場合には、
図3(a)に示すように、ハンドル52を正方向に回してネジ軸51の突出量を増やし、第1アーム21の開き角度が小さい状態でも、ネジ軸51の先端が突当壁221に当接する状態にする。
【0032】
反対に、最大開口幅を広くする場合には、
図3(b)に示すように、ハンドル52を逆方向に回してネジ軸51の突出量を減らし、第1アーム21の開き角度が大きい状態になって、ネジ軸51の先端が突当壁221に当接する状態にする。
【0033】
張力調整機構によって弾性力を調整する際には、
図4(a)、(b)に示すように、張力調整機構(43-45)のハンドル45を正方向に回して張力を強くしたり、逆方向に回して張力を弱くしたりすることで、調整することができる。
【0034】
すなわち、張力を強くする場合には、
図4(a)に示すように、ハンドル45を逆方向に回してギヤピン43を図中左に移動させて、弾性体40の取付位置42を支点20から離す。そうすると、モーメントの腕の長さが長くなるため、反対側の立ち上げ部31、32どうしを引き離す力が大きくなる。
【0035】
反対に、張力を弱くする場合には、
図4(b)に示すように、ハンドル45を正方向に回してギヤピン43を図中右に移動させて、弾性体40の取付位置42を支点20に近づける。そうすると、モーメントの腕の長さが短くなるため、反対側の立ち上げ部31、32どうしを引き離す力が小さくなる。
【0036】
次に、
図5(a)、(b)を用いて、本実施例の包茎矯正具1の使用方法について説明する。包茎矯正具1の使用方法は、少なくとも以下の1)~3)の3工程を備えている。
1)手でアーム21、22を把握して立ち上げ部31、32の間隔を縮める工程
すなわち、アーム21、22の力点部を握り込む。そうすると、立ち上げ部31、32の半球体部312、322が近づく。
2)間隔が縮められた立ち上げ部31、32を包皮輪に前方から挿入する工程(
図5(a))
すなわち、器具の先端の半球体部312、322を、ゆっくりと包皮輪に挿入する。
3)アーム21、22を把握している手を離し、包皮輪に外向きの張力を作用させる工程(
図5(b))
すなわち、握る力を緩めて、弾性体40の反発力で包皮輪を広げる。そして、このような使用方法を所定の期間にわたって繰り返すことで、包皮輪が徐々に広がって、真性包茎が治癒するようになる。
【0037】
(効果)
次に、実施例1の包茎矯正具1の奏する効果を列挙して説明する。
(1)上述してきたように、本実施例の包茎矯正具1は、支点20を介して互いに回転可能に連結される第1アーム21及び第2アーム22と、第1アーム21及び第2アーム22のそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部31、32であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部31、32と、第1アーム21及び第2アーム22において、支点20について一対の立ち上げ部31、32と反対側に取り付けられる弾性体40であって、一対の立ち上げ部31、32を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体40と、を備えている。これらの構成であれば、弾性体40によって、一端部の立ち上げ部31、32を常に広げる方向に付勢することができるため、手を離しても負荷をかけることができ、かつ、使用中に包皮輪が広がっても、負荷をかけ続けることができる、包茎矯正具1となる。
【0038】
(2)また、第1アーム21と第2アーム22の最大開口幅を調整するための安全ストッパ50をさらに備えるため、アーム21、22が開きすぎることで、包皮を痛めることを防止できる。つまり、手が滑って先端が不意に広がり、包皮輪に急に負荷がかかるのを防止できる。さらに、使用期間中に少しずつ最大開口幅を開いていくことで、包皮輪を少しずつ伸ばして包茎を治癒させることができる。
【0039】
(3)加えて、弾性体40によって生じる張力(立ち上げ部31、32どうしを離間する力;包皮を引っ張る力)を調整するための張力調整機構(43-45)をさらに備えていれば、張力が強すぎることで、包皮を痛めることを防止できる。特に、安全ストッパ50を備える包茎矯正具1であれば、最大開口幅を調整する際に張力が変化してしまうため、張力調整機構(43-45)を備える必要性はいっそう大きくなる。
【0040】
(4)また、張力調整機構(43-45)は、弾性体40の第1アーム21又は第2アーム22への取付位置41、42を調整して、支点20に対しての距離を変えるように構成されているため、弾性体40と取り替えることなく、簡単な動作によって作用する張力を無段階に増減できる。そして、このように張力調整機構を備えることで、包皮輪の硬さや広がり具合によって異なる張力に、柔軟に対応することができる。
【0041】
(5)さらに、本実施例の包茎矯正具の使用方法は、上述したいずれかの包茎矯正具1を使用する使用方法であって、
1)手で第1アーム21及び第2アーム22を把握して立ち上げ部31、32の間隔を縮める工程と、
2)間隔が縮められた立ち上げ部31、32を包皮輪に挿入する工程と、
3)第1アーム21及び第2アーム22を把握している手を離して包皮輪に外向きの張力を作用させる工程と、を備えている。このように包茎矯正具1を使用すれば、手を離しても負荷をかけることができ、かつ、使用中に包皮輪が広がっても、負荷をかけ続けることができる、包茎矯正具の使用方法となる。
第1アーム21は、合成樹脂などによって形成されるものであり、回転軸である支点20から一方向へ直線的に延びて先端部に立ち上げ部31を有するとともに基端部に弾性体40が取り付けられる部分21Aと、支点20から略直角に折れ曲がる部分21Bと、から構成されている。加えて、第1アーム21は、第1アーム21と第2アーム22の最大開口幅を調整するための安全ストッパ50をさらに有している。安全ストッパ50の構成は、実施例1と略同様であるため説明を省略する。
第1アーム21の一端部には、第1アーム21に対して直角方向に立ち上げた立ち上げ部31が設けられている。立ち上げ部31は、第1アーム21の先端から略垂直に立ち上げた円柱状の直線部311と、この直線部311の先端に形成された半球体部312と、から構成されている。
同様に、第2アーム22は、合成樹脂などによって形成されるものであり、回転軸である支点20から一方向へ直線的に延びて先端部に立ち上げ部32を有するとともに基端部に弾性体40が取り付けられる部分22Aと、支点20から略直角に折れ曲がる部分22Bと、から構成されている。
第2アーム22の一端部には、第2アーム22に対して直角方向に立ち上げた立ち上げ部32が設けられている。立ち上げ部32は、第2アーム22の先端から略垂直に立ち上げた円柱状の直線部321と、この直線部321の先端に形成された半球体部322と、から構成されている。
そして、本実施例の弾性体40は、使用時に引張力を作用させるスプリング(弦巻バネ;引張バネ)であり、支点20について一対の立ち上げ部31、32と同じ側に取り付けられている。すなわち、弾性体40は、自然長よりも縮められた状態(圧縮された状態)で取り付けられているため、取付位置41、42を互いに離す方向に作用する。したがって、支点20について取付位置41、42と同じ側に位置する一対の立ち上げ部31、32は、互いに離れる方向に付勢される。
上述してきたように、本実施例の包茎矯正具1Aは、支点20を介して互いに回転可能に連結される第1アーム21及び第2アーム22と、第1アーム21及び第2アーム22のそれぞれの一端部を立ち上げた一対の立ち上げ部31、32であって、包皮輪へ挿入される一対の立ち上げ部31、32と、第1アーム21及び第2アーム22において、支点20について一対の立ち上げ部31、32と同じ側に取り付けられる弾性体40であって、一対の立ち上げ部31、32を互いに引き離す方向に付勢する、弾性体40と、を備えている。これらの構成であれば、弾性体40によって、一端部の立ち上げ部31、32を常に広げる方向に付勢することができるため、手を離しても負荷をかけることができ、かつ、使用中に包皮輪が広がっても、負荷をかけ続けることができる、包茎矯正具1となる。
さらに、実施例1の包茎矯正具1と比べると、全体の大きさをコンパクトにまとめることができる。つまり、支点と力点の位置を逆にして力点(取付位置41、42)をアーム21、22の先端側に配置することで、全体の大きさを小さくできるのである。