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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155984
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】食材用切断機
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/26 20060101AFI20231017BHJP
   B26D 11/00 20060101ALI20231017BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20231017BHJP
   A23N 15/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B26D3/26 605F
B26D3/26 605H
B26D11/00
B26D7/02 Z
A23N15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065534
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】510081562
【氏名又は名称】株式会社徳尾商事
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】徳尾 健太
【テーマコード(参考)】
3C021
4B061
【Fターム(参考)】
3C021CC05
4B061AA01
4B061AA02
4B061BA02
4B061BB13
4B061BB16
4B061CB05
4B061CB13
4B061CB16
(57)【要約】
【課題】食材が斜めに切断されることを防ぐ。
【解決手段】食材2を載置可能に構成されて搬送方向に延びる搬送路3と、左右方向に延びる搬送部材51を有し、搬送部材51によって搬送路3の上の食材2を押して搬送する搬送装置4とを備える。搬送装置4によって送られる食材2を搬送部材51に沿わせる整列部材62を備える。食材2を上方から押して搬送路3との間に挟む押さえレバー63と、押さえレバー63によって押されている食材2を切断する回転刃61を備える。整列部材62は、搬送路3に対して固定されて搬送路3より高い位置に配置された支軸70に水平方向を軸線方向として揺動自在に支持されている。整列部材62の揺動端部62cは、搬送方向の下流側から搬送部材51と対向し、搬送方向に移動する搬送部材51と協働して食材2を挟むように構成されている。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物としての食材を載置可能に構成されて搬送方向に延びる搬送路と、
前記搬送方向とは直交する水平方向に延びる搬送部材を有し、前記搬送部材によって前記搬送路の上の食材を押して搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって送られる食材を前記搬送部材に沿わせる整列部材と、
前記整列部材によって前記搬送部材に沿わせられた食材を上方から押して前記搬送路との間に挟む押さえレバーと、
前記搬送方向とは直交する水平方向を軸線方向として回転し、前記押さえレバーによって押されている食材を切断する回転刃とを備え、
前記整列部材は、前記搬送路に対して固定されて前記搬送路より高い位置に配置された支持部材に前記水平方向を軸線方向として揺動自在に支持され、
前記整列部材の揺動端部は、前記搬送方向の下流側から前記搬送部材と対向し、前記搬送方向に移動する前記搬送部材と協働して食材を挟むように構成されていることを特徴とする食材用切断機。
【請求項2】
請求項1記載の食材用切断機において、
前記押さえレバーは、
前記支持部材に前記水平方向を軸線方向として回動自在に支持された基部と、
前記基部から前記搬送方向の下流側であって下方に延びる押圧部とを有し、自重で食材を前記搬送路に押し付けるように構成され、
前記整列部材と前記押さえレバーは、前記軸線方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられているとともに、前記軸線方向に互いに隣り合うように並んでいることを特徴とする食材用切断機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の食材用切断機において、
前記搬送路における前記整列部材より前記搬送方向の上流側は、食材に前記搬送方向とは直交する水平方向である左右方向の一方に推力を付与する左右方向送り装置によって構成され、
前記搬送路における、前記左右方向送り装置の送り方向下流側の端部には、前記左右方向送り装置より高く形成されて前記搬送方向に延びる側壁が位置付けられ、
前記整列部材と、前記押さえレバーと、前記回転刃は、前記搬送路における、前記左右方向送り装置の送り方向下流側の端部に位置付けられ、
前記側壁は、複数の板片を前記搬送方向に並べて構成され、
前記複数の板片は、前記搬送方向に延びるとともに前記左右方向を軸線方向として回転するコンベアチェーンに取付けられ、
前記コンベアチェーンは、上部が前記搬送方向に移動するように前記搬送装置と同期して回転するものであることを特徴とする食材用切断機。
【請求項4】
請求項3記載の食材用切断機において、
前記左右方向送り装置と、前記整列部材と、前記押さえレバーと、前記回転刃とからなる切断部は、前記搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、
前記搬送方向の上流側に位置する切断部と、前記搬送方向の下流側に位置する切断部は、前記左右方向に対称になるように構成され、
前記側壁は、前記左右方向において前記搬送路の両側に設けられていることを特徴とする食材用切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材の長手方向の端部を切断する食材用切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大根や人参などの根菜から葉を切り離すために用いる切断機としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された切断機は、人参が載置される載置トレーを水平方向に送る搬送装置と、載置トレー上の人参を葉がある長手方向の一端側に移動させる移動装置と、載置トレーから突出した葉を切断する切断刃と、切断刃に送られる人参を上方から押圧する押えローラとを有している。
押えローラは、スポンジ状の材料によって形成され、回転自在かつ上下方向に移動自在に構成されて自重またはばねのばね力によって人参に押し付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-94083
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す食材用切断機では、押さえローラで人参を載置トレーに押し付けたとしても、人参の端部が斜めに切断されるおそれがあった。この理由は、人参が切断刃に対して大きく傾斜した状態で載置トレー内に保持されることがあるからである。
【0005】
本発明の目的は、食材が斜めに切断されることを防ぐことが可能な食材用切断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明に係る食材用切断機は、被切断物としての食材を載置可能に構成されて搬送方向に延びる搬送路と、前記搬送方向とは直交する水平方向に延びる搬送部材を有し、前記搬送部材によって前記搬送路の上の食材を押して搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって送られる食材を前記搬送部材に沿わせる整列部材と、
前記整列部材によって前記搬送部材に沿わせられた食材を上方から押して前記搬送路との間に挟む押さえレバーと、前記搬送方向とは直交する水平方向を軸線方向として回転し、前記押さえレバーによって押されている食材を切断する回転刃とを備え、前記整列部材は、前記搬送路に対して固定されて前記搬送路より高い位置に配置された支持部材に前記水平方向を軸線方向として揺動自在に支持され、前記整列部材の揺動端部は、前記搬送方向の下流側から前記搬送部材と対向し、前記搬送方向に移動する前記搬送部材と協働して食材を挟むように構成されているものである。
【0007】
本発明は、前記食材用切断機において、前記押さえレバーは、前記支持部材に前記水平方向を軸線方向として回動自在に支持された基部と、前記基部から前記搬送方向の下流側であって下方に延びる押圧部とを有し、自重で食材を前記搬送路に押し付けるように構成され、前記整列部材と前記押さえレバーは、前記軸線方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられているとともに、前記軸線方向に互いに隣り合うように並んでいてもよい。
【0008】
本発明は、前記食材用切断機において、前記搬送路における前記整列部材より前記搬送方向の上流側は、食材に前記搬送方向とは直交する水平方向である左右方向の一方に推力を付与する左右方向送り装置によって構成され、前記搬送路における、前記左右方向送り装置の送り方向下流側の端部には、前記左右方向送り装置より高く形成されて前記搬送方向に延びる側壁が位置付けられ、前記整列部材と、前記押さえレバーと、前記回転刃は、前記搬送路における、前記左右方向送り装置の送り方向下流側の端部に位置付けられ、
前記側壁は、複数の板片を前記搬送方向に並べて構成され、前記複数の板片は、前記搬送方向に延びるとともに前記左右方向を軸線方向として回転するコンベヤチェーンに取付けられ、前記コンベアチェーンは、上部が前記搬送方向に移動するように前記搬送装置と同期して回転するものであってもよい。
【0009】
本発明は、前記食材用切断機において、前記左右方向送り装置と、前記整列部材と、前記押さえレバーと、前記回転刃とからなる切断部は、前記搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、前記搬送方向の上流側に位置する切断部と、前記搬送方向の下流側に位置する切断部は、前記左右方向に対称になるように構成され、前記側壁は、前記左右方向において前記搬送路の両側に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、食材が整列部材によって搬送部材に押し付けられることによって、食材が搬送部材に沿って延びるような姿勢となる。食材は、この姿勢で押さえレバーによって押さえられた状態で回転刃によって切断される。この食材は、その長手方向とは直交す方向に切断される。したがって、本発明によれば、食材が斜めに切断されることを防ぐことが可能な食材用切断機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る食材用切断機の構成を示す斜視図である。
図2図2は、搬送路の構成を示す斜視図である。
図3図3は、左右方向送り装置の構成を示す斜視図である。
図4図4は、側壁の一部を拡大して示す側面図である。
図5図5は、搬送部材と側壁の一部を示す断面図である。
図6図6は、搬送装置の構成を示す斜視図である。
図7図7は、切断装置の構成を示す斜視図である。
図8図8は、切断装置の正面図である。
図9図9は、切断装置の要部の側面図である。
図10図10は、整列部材の側面図である。
図11図11は、押さえレバーの側面図である。
図12図12は、整列部材と押さえレバーの動作を説明するための側面図である。
図13図13は、整列部材と押さえレバーの動作を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る食材用切断機の一実施の形態を図1図13を参照して詳細に説明する。
図1に示す食材用切断機1は、被切断物としての食材2を載置可能に構成された搬送路3と、搬送路3上の食材2を押して搬送する搬送装置4と、搬送装置4によって送られた食材2を切断する切断装置5などを備えている。切断装置5は、食材2が搬送される方向の上流側と下流側との2箇所に設けられている。この食材用切断機1で切断可能な食材2は、大根、人参、牛蒡、薩摩芋などの根菜類、長葱や胡瓜などの細長い形状の野菜、その他の果物などの植物類の食材あるいは魚類や肉類の食材などである。
【0013】
搬送路3は、図1において左下側に位置する上流端から右上側の下流側に向かう方向を搬送方向として構成されている。この実施の形態においては、この搬送方向とは直交する水平方向を「左右方向」という。以下において、この食材用切断機1の各部品を説明するうえで方向を示すにあたっては、搬送方向の上流側の端部(図1においては左側の端部)に向き合うように食材用切断機1を見たときの方向で示す。すなわち、搬送方向の上流側が食材用切断機1の「前側」になり、搬送方向の下流側が食材用切断機1の「後側」になる。また、図1において右下側が食材用切断機1の「右側」になり、図1において左上側が食材用切断機1の「左側」になる。
【0014】
(搬送路の説明)
搬送路3は、左側フレーム部材6と右側フレーム部材7との間に設けられており、図2に示すように、搬送方向の上流側から第1の滑りステージ11と、第1の左右方向送り装置12と、第2の滑りステージ13と、第2の左右方向送り装置14と、第3の滑りステージ15とを並べて構成されている。また、搬送路3の左右方向の両側には、詳細は後述するが可動式の側壁16,17が設けられている。
第1~第3の滑りステージ11,13,15は、詳細は後述するが、ステンレス鋼製の板によって構成されており、搬送方向と左右方向とに延びる状態で、第1、第2の左右方向送り装置12,14の後述するローラ21,22とともにローラ用支持ブラケット23を介して左側フレーム部材6と右側フレーム部材7とに支持されている。
【0015】
(左右方向送り装置の説明)
第1の左右方向送り装置12と第2の左右方向送り装置14は、左右方向に対称となるように形成されており、送り方向が反対方向であることを除けば互いに同一の構成が採られている。
第1の左右方向送り装置12と第2の左右方向送り装置14は、図3に示すように、それぞれ複数のローラ21,22を備えている。これらのローラ21,22は、同じ高さに位置付けられており、軸線が搬送方向に延びる状態で両端部においてローラ用支持ブラケット23に回転自在に支持されている。この実施の形態による第1の左右方向送り装置12と第2の左右方向送り装置14は、それぞれ5本のローラ21,22を備えている。
【0016】
ローラ用支持ブラケット23は、左右方向に延びて左側フレーム部材6と右側フレーム部材7との間に架け渡されている。
また、第1の左右方向送り装置12のローラ21は、搬送方向において上流側に位置する一端部に第1のローラ用スプロケット24が一体に回転するように設けられている。これらの第1のローラ用スプロケット24は、左右方向に延びる第1の駆動用チェーン25に噛み合っている。
第2の左右方向送り装置14のローラ22は、搬送方向において下流側に位置する一端部に第2のローラ用スプロケット26が一体に回転するように設けられている。これらの第2のローラ用スプロケット26は、左右方向に延びる第2の駆動用チェーン27に噛み合っている。
【0017】
第1および第2の駆動用チェーン25,27は、搬送方向に延びる軸線を中心にして回転する無端チェーンによって構成されている。第1の駆動用チェーン25は、第1の左側スプロケット31と第1の右側スプロケット32とに巻き掛けられている。第2の駆動用チェーン27は、第2の左側スプロケット33と第2の右側スプロケット34とに巻き掛けられている。上述した第1のローラ用スプロケット24は、第1の駆動用チェーン25の上部に上方から噛み合っている。また、第2のローラ用スプロケット26は、第2の駆動用チェーン27の上部に上方から噛み合っている。
【0018】
第1の駆動用チェーン25が巻き掛けられた第1の左側スプロケット31は、左側フレーム部材6に軸線が搬送方向を指向する状態で回転自在に支持されている。第1の駆動用チェーン25が巻き掛けられた第1の右側スプロケット32は、軸線が搬送方向を指向する状態で第1の駆動用モータ35に取付けられている。第1の駆動用モータ35は、右側フレーム部材7に支持され、第1の右側スプロケット32を食材用切断機1の前方から見て時計方向に回転させる。このため、第1の駆動用チェーン25は、上部が左側から右側に移動するように回転する。この第1の駆動用チェーン25に噛み合う第1のローラ用スプロケット24は、食材用切断機1の前方から見て反時計方向に回転する。このため、第1の駆動用モータ35が第1の右側スプロケット32を回転させることにより、第1の左右方向送り装置12の5本のローラ21がそれぞれ食材用切断機1の前方から見て反時計方向に回転する。この第1の左右方向送り装置12のローラ21の上に載せられた食材2は、ローラ21によって左方に推力が付与され、食材用切断機1の左側に送られる。
【0019】
第2の駆動用チェーン27が巻き掛けられた第2の右側スプロケット34は、右側フレーム部材7に軸線が搬送方向を指向する状態で回転自在に支持されている。第2の駆動用チェーン27が巻き掛けられた第2の左側スプロケット33は、軸線が搬送方向を指向する状態で第2の駆動用モータ36に取付けられている。第2の駆動用モータ36は、左側フレーム部材6に支持され、第2の左側スプロケット33を食材用切断機1の前方から見て反時計方向に回転させる。
【0020】
このため、第2の駆動用チェーン27は、上部が右側から左側に移動するように回転する。この第2の駆動用チェーン27に噛み合う第2のローラ用スプロケット26は、食材用切断機1の前方から見て時計方向に回転する。このため、第2の駆動用モータ36が第2の左側スプロケット33を回転させることにより、第2の左右方向送り装置14の5本のローラ22がそれぞれ食材用切断機1の前方から見て時計方向に回転する。この第2の左右方向送り装置14のローラ22の上に載せられた食材2は、ローラ22によって右方に推力が付与され、食材用切断機1の右側に送られる。
【0021】
(滑りステージの説明)
第1~第3の滑りステージ11,13,15は、上面が平坦なステンレス鋼からなる板によって形成されており、第1および第2の左右方向送り装置12,14のローラ21,22の上端と略同じ高さとなる位置に配置されている。第1の滑りステージ11は、ローラ22のから前方に所定の隙間だけ離れる状態でローラ用支持ブラケット23に支持されている。
【0022】
第2の滑りステージ13は、第1の左右方向送り装置12のローラ21と第2の左右方向送り装置14のローラ22とに所定の隙間だけ離れて隣り合うように形成され、ローラ用支持ブラケット23に支持されている。
第3の滑りステージ15は、第2の左右方向送り装置14のローラ22の後端の近傍から搬送路3の後端まで延びている。第3の滑りステージ15の前端部はローラ用支持ブラケット23に支持され、後端部は専用の支持ブラケット37(図2参照)に支持されている。この支持ブラケット37は、左側フレーム部材6と右側フレーム部材7との間に架け渡されている。
第3の滑りステージ15より後方には、搬送路3から後方に排出された食材2を受けるシュート38が設けられている。
【0023】
(側壁の説明)
搬送路3の左右両側に設けられた側壁16,17は、第1、第2の左右方向送り装置12,14によって送られた食材2を受け、食材2がそれ以上側方へ移動することを規制するものである。この側壁16,17は、図2に示すように、搬送路3における、第1および第2の左右方向送り装置12,14の送り方向下流側の端部に位置付けられており、複数の板片41を搬送方向に並べて構成されている。互いに隣り合う板片41どうしは、最小の隙間をおいて互いに離間している。最小の隙間とは、食材2が通過することができない幅の隙間である。この実施の形態による板片41は、図4に示すように、食材用切断機1の左右方向から見て四角形に形成され、側壁駆動用コンベアチェーン42に取り付けられている。
【0024】
側壁駆動用コンベアチェーン42は、無端チェーンからなり、搬送路3の左右両側方にそれぞれ設けられている。これらの側壁駆動用コンベアチェーン42は、左側フレーム部材6と右側フレーム部材7とに沿って搬送方向に延び、搬送方向の両端部に設けられた側壁駆動用スプロケット43にそれぞれ巻き掛けられて左右方向を軸線方向として回転する。この側壁駆動用コンベアチェーン42は、その上部が搬送路3と略同じ高さとなるように位置付けられている。
【0025】
複数の板片41は、側壁駆動用コンベアチェーン42の上部から上方に突出するように側壁駆動用コンベアチェーン42に取り付けられている。このため、板片41は、第1および第2の左右方向送り装置12,14より高く位置するように配置されている。
複数の板片41が側壁駆動用コンベアチェーン42に取り付けられることにより、側壁16,17が搬送方向に延びることになる。側壁駆動用コンベアチェーン42が回転する方向は、上部が搬送方向の前側から後側に移動する方向である。
【0026】
側壁駆動用スプロケット43は、左側フレーム部材6と右側フレーム部材7との間に架け渡された前部回転軸44と後部回転軸45を介して左側フレーム部材6と右側フレーム部材7とに回転自在に支持されている。これらの前部回転軸44と後部回転軸45は、後述する搬送装置4と共有されており、搬送装置4が動作することにより回転する。これらの前部回転軸44と後部回転軸45の回転を側壁駆動用スプロケット43に伝達するためには、図5に示すように前部回転軸44および後部回転軸45に形成されたキー溝46と、キー溝46に嵌合する側壁駆動用スプロケット43側のキー(図示せず)とを用いて行うことができる。
【0027】
前部回転軸44と後部回転軸45は、後述する搬送装置4が動作することにより、食材用切断機1の右側から見て時計方向に回転する。このため、側壁駆動用コンベアチェーン42は、上部が搬送方向に移動するように搬送装置4と同期して回転する。
側壁16,17を構成する複数の板片41は、前部回転軸44と後部回転軸45とがこのように回転することによって、側壁駆動用コンベアチェーン42とともに移動し、搬送路3の側方を通るときに搬送方向の上流側から下流側に移動する。この実施の形態においては、側壁駆動用コンベアチェーン42が本発明でいう「コンベアチェーン」に相当する。
【0028】
(搬送装置の説明)
搬送装置4は、搬送路3の上方近傍を左右方向に横切る複数の棒状の搬送部材51を備え、これらの搬送部材51を無端チェーンからなる左右一対の搬送用コンベアチェーン52(図6参照)によって搬送方向に移動させる構成が採られている。搬送部材51は、搬送路3の右側の端部から左側の端部まで延びている。この搬送部材51の左側端部は左側の搬送用コンベアチェーン52に支持され、右側端部は、右側の搬送用コンベアチェーン52に支持されている。また、搬送部材51は、搬送方向において所定の間隔をおいて離れた複数の位置にそれぞれ設けられている。互いに隣り合う一対の搬送部材51どうしの間隔は、搬送部材51どうしの間に例えば大根等の太い食材2であっても挿入できるような間隔である。
【0029】
左側の搬送用コンベアチェーン52と右側の搬送用コンベアチェーン52は、食材用切断機1の左右方向において上述した側壁駆動用コンベアチェーン42より食材用切断機1の内側で左側フレーム部材6と右側フレーム部材7とに沿って搬送方向に延びている。これらの搬送用コンベアチェーン52は、搬送方向の両端部においてそれぞれ搬送用スプロケット53に巻き掛けられており、食材用切断機1の左右方向を軸線方向として回転する。図5に示すように、搬送用スプロケット53は、側壁駆動用スプロケット43と径が等しくなるように形成されている。このため、搬送部材51と板片41は同じ速度で移動する。
【0030】
また、搬送用コンベアチェーン52は、その上部が搬送路3と略同じ高さに位置付けられるように配置されている。搬送部材51は、これらの搬送用コンベアチェーン52の上端から所定の高さだけ突出するように形成されている。搬送部材51の高さは、食材2の大きさに応じて適宜変更することが望ましい。搬送部材51の高さは、例えば、一般的な人参の最大径の1/2程度とすることができる。なお、大根のような太い食材2を使用する場合には、搬送部材51に搬送部材51より上方に突出する板を取付けて高さを補うことも可能である。この実施の形態による搬送部材51は、ステンレス鋼からなる板を例えばプレス成形によって溝状に形成したものが用いられており、溝の開口部分が搬送用コンベアチェーン52の中心側を指向する状態として搬送用コンベアチェーン52に取付けられている。
【0031】
搬送用スプロケット53は、上述した前部回転軸44と後部回転軸45とに固定され、前部回転軸44と後部回転軸45とを介して左側フレーム部材6と右側フレーム部材7とに回転自在に支持されている。複数の搬送用スプロケット53のうち、搬送方向の下流側で右側に位置する搬送用スプロケット53には、搬送装置4の動力源になる駆動用モータ54から回転力が伝達される。このため、搬送装置4は、駆動用モータ54の動力で左側の搬送用コンベアチェーン52と右側の搬送用コンベアチェーン52とが回転し、これらの搬送用コンベアチェーン52と一体に搬送部材51が移動する。搬送用コンベアチェーン52が回転する方向は、食材用切断機1の右側から見て時計方向である。
【0032】
このように搬送用コンベアチェーン52が回転することにより、搬送部材51が搬送路3の上方近傍で搬送方向に移動する。なお、4つの搬送用スプロケット53のうち、前部回転軸44に設けられている2つの搬送用スプロケット53は、前部回転軸44に対して回転する構成を取ることもできる。これと同様に、上述した4つの側壁駆動用スプロケット43のうち、前部回転軸44に設けられている2つの側壁駆動用スプロケット43は、前部回転軸44に対して回転する構成を取ることもできる。
【0033】
互いに隣り合う一対の搬送部材51どうしの間に食材2が配置された状態で搬送用コンベアチェーン52が回転することにより、食材2が搬送部材51によって押されて搬送される。搬送路3の上流端(第1の滑りステージ11上)に投入された食材2は、搬送部材51によって押されて第1の左右方向送り装置12のローラ21の上から第2の滑りステージ13の上、第2の左右方向送り装置14のローラ22の上および第3の滑りステージ15の上をこの順序で搬送方向に滑りながら移動して搬送路3の下流端から食材用切断機1の後方に排出される。
【0034】
食材2は、このように搬送装置4によって搬送される途中で第1の左右方向送り装置12によって左側に送られ、左側に位置する側壁16に当接して側方への移動が規制された状態でローラ21上を滑って側壁16とともに移動する。そして、食材2は、第1の左右方向送り装置12から第2の滑りステージ13に移るときに後述する上流側の切断装置5で左側の端部が切断される。この食材2は、さらに第2の左右方向送り装置14によって右側に送られ、右側に位置する側壁17に当接して右側への移動が規制された状態でローラ22上を滑って側壁17とともに移動する。そして、食材2は、第2の左右方向送り装置14から第3の滑りステージ15に移るときに後述する下流側の切断装置5によって右側の端部が切断される。
【0035】
(切断装置の説明)
切断装置5は、図7に示すように、図7において最も上に描いてある円板状の回転刃61と、回転刃61の近傍に設けられた整列部材62および押さえレバー63などを用いて構成されており、搬送路3の上流部と下流部とにそれぞれ設けられている。以下においては、搬送路3の上流部に設けられている切断装置5を「第1の切断装置5A」といい、搬送路3の下流側に設けられている切断装置5を「第2の切断装置5B」という。第1の切断装置5Aと第2の切断装置5Bは、食材用切断機1の左右方向に対称になるように構成されている。第1の切断装置5Aは食材用切断機1の左側に設けられ、第2の切断装置5Bは食材用切断機1の右側に設けられている。この実施の形態においては、第1の切断装置5Aと第1の左右方向送り装置12とによって本発明でいう「上流側に位置する切断部」が構成されている。また、この実施の形態においては、第2の切断装置5Bと第2の左右方向送り装置14とによって本発明でいう「下流側に位置する切断部」が構成されている。
【0036】
(回転刃の説明)
回転刃61は、円板状に形成された刃で、切断用モータ64によって駆動されて回転する。切断用モータ64は、左側フレーム部材6や右側フレーム部材7に左右方向へ移動可能に取付けられている。回転刃61の軸線は、食材用切断機1の左右方向と平行な方向に延びている。この実施の形態による回転刃61は、食材用切断機1の左右方向においては、図5に示すように、搬送部材51より搬送路3の外側(図5においては右側)であって、側壁16,17より搬送路3の内側に位置付けられている。回転刃61の左右方向の位置、すなわち食材2の切断される部分の長さは、切断用モータ64を左側フレーム部材6や右側フレーム部材7に対して移動させることによって調整することができる。なお、食材2の切断される部分の長さは、側壁駆動用スプロケット43を前部回転軸44と後部回転軸45とに対して左右方向に移動させ、側壁16,17の左右方向の位置を変えることによっても調整することができる。
【0037】
回転刃61は、搬送方向においては、図8に示すように食材用切断機1の右側から見て搬送方向の上流側端部(図8おいては左側の端部)が後述する押さえレバー63と重なるような位置に位置付けられている。
回転刃61の回転方向は、図8中に矢印で示すように、食材用切断機1の右側から見て反時計方向である。すなわち、回転刃61は、上端が搬送方向の上流側に向けて移動するように回転し、搬送部材51によって押されて接近する食材2を上から下に向けて切る。
【0038】
(整列部材の説明)
整列部材62は、搬送装置4によって送られる食材2を回転刃61より搬送方向の上流側で搬送部材51に沿わせ、食材2の整列を行うものである。この実施の形態による整列部材62は、金属材料からなる略長方形の板によって形成されており、厚み方向が食材用切断機1の左右方向を指向する状態で後述する支持体65(図7参照)に左右方向を軸線方向として揺動自在に支持されている。この実施の形態による整列部材62は、ステンレス鋼によって形成されている。また、整列部材62の厚みは、食材2を押して食材2の傾斜を修正することが可能な重量となるような厚みである。
【0039】
整列部材62が設けられる位置は、搬送方向において回転刃61より所定の距離だけ上流側で、搬送路3より高い位置である。整列部材62を支持する支持体65は、図1に示すように、複数の角パイプ66を組み合わせて形成された枠体67と、枠体67の上端部であって左右方向の中央部に設けられて枠体67の前端と後端とを接続する梁部材68と、梁部材68から下方に延びる支持ステー69(図7参照)と、支持ステー69の下端部に左右方向の一方に延びるように片持ち式に取付けられた支軸70およびロッド71などを備えている。枠体67は、左側フレーム部材6と右側フレーム部材7とに支持されている。
【0040】
この実施の形態による支軸70とロッド71は、支持ステー69に上下方向に延びるように形成された長穴72,73(図8参照)に通されて支持ステー69に取付けられており、上下方向の位置を変更することができるように構成されている。この実施の形態においては、支軸70が本発明でいう「支持部材」に相当する。
支持体65と、支軸70およびロッド71は、第1の切断装置5Aの回転刃61より搬送方向の上流側に所定の長さだけ離れた上流側の位置と、第2の切断装置5Bの回転刃61より搬送方向の上流側に所定の長さだけ離れた下流側の位置とに設けられている。この実施の形態による上流側の位置は、搬送方向において、第1の左右方向送り装置12の後端部と略同じ位置である。また、この実施の形態による下流側の位置は、搬送方向において、第2の左右方向送り装置14の後端部と略同じ位置である。
【0041】
上流側の位置に設けられた支軸70およびロッド71は、支持ステー69から食材用切断機1の左側に延びている。下流側の位置に設けられた支軸70およびロッド71は、支持ステー69から食材用切断機1の右側に延びている。また、これらの支軸70およびロッド71は、回転刃61の回転軸61aより高い位置に配置されている。
支軸70は、整列部材62と後述する押さえレバー63とを貫通し、これらの部材を回動自在に支持している。このため、整列部材62は、搬送路3に対して固定されて搬送路3より高い位置に配置された支軸70(支持部材)に左右方向(水平方向)を軸線方向として揺動自在に支持されることになる。押さえレバー63は、詳細は後述するが、板状に形成されており、厚み方向が左右方向を指向する状態で支軸70に揺動自在に支持されている。
【0042】
整列部材62は、その長手方向の一端部に支軸70が貫通する状態で、第1、第2の左右方向送り装置12,14の上方に位置付けられている。図9に示すように、この実施の形態による整列部材62と後述する押さえレバー63は、左右方向(支軸70の軸線方向)に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられているとともに、左右方向に互いに隣り合うように並んでいる。この実施の形態においては、第1の切断装置5Aと第2の切断装置5Bの両方に、2枚の整列部材62と、3枚の押さえレバー63とが設けられている。3枚の押さえレバー63は、2枚の整列部材62と隣接する2カ所と、2枚の整列部材62の間の中間位置とにそれぞれ配置されている。これらの整列部材62と押さえレバー63の左右方向の位置は、支軸70に固定された複数のスペーサ74(図9参照)によって規定されている。なお、図7は、整列部材62と押さえレバー63の形状を理解し易くするために、スペーサ74を省略して描いてある。
【0043】
支軸70は、整列部材62の長手方向の一端部に形成された貫通孔62aに通されて整列部材62を貫通している。整列部材62の長手方向の一端部には、図10に示すように、前方(搬送方向の上流側であって図10においては左側)に向けて突出する突片62bが設けられている。この突片62bは、ロッド71に当たることにより整列部材62の前方への揺動を規制する。
整列部材62の長手方向の他端部、すなわち揺動端部62cは、図12(A)に示すように、整列部材62が支軸70から真下に延びる状態で搬送路3の上方近傍に位置するように形成されている。この揺動端部62cは、搬送装置4の搬送部材51と搬送方向の下流側から対向し、搬送方向に移動する搬送部材51と協働して食材2を挟む。食材2が搬送されていない状態で搬送装置4が動作すると、搬送部材51が整列部材62の揺動端部62cに当たり、整列部材62を揺動させて押し退けながら進むようになる。この結果、整列部材62は、搬送部材51によって押されて後方に揺動した後、搬送部材51を乗り越えてから前方に揺動して初期の位置に戻る。
【0044】
(押さえレバーの説明)
押さえレバー63は、搬送路3上で搬送される食材2を上方から押して搬送路3との間に挟み、回転刃61による切断が行われるときに食材2が不必要に傾いたり跳ね上がったりすることを防ぐものである。この押さえレバー63は、金属材料からなる板によって所定の形状に形成され、上述した支軸70に揺動自在に支持されている。支軸70は、押さえレバー63の貫通孔63a(図11参照)に通されて押さえレバー63を貫通している。この実施の形態による押さえレバー63は、ステンレス鋼によって形成されている。押さえレバー63の厚みは、整列部材62の厚みより薄い。
【0045】
押さえレバー63の形状は、図8に示すように、食材用切断機1の右側から見て搬送方向の上流側となる斜め前下方に向けて凸になるような円弧状である。詳述すると、この押さえレバー63は、支軸70に搬送路3より高い位置で左右方向(搬送方向とは直交する水平方向)を軸線方向として回動自在に支持された基部63b(図11参照)と、基部63bから搬送方向の下流側であって下方に湾曲するように延びる押圧部63cとを有している。基部63bは、支軸70に回動自在に支持されている。基部63bが支軸70に回動自在に支持されることにより、押圧部63cが重力で下がるようになる。すなわち、この押さえレバー63は、自重で食材2を押すように構成されている。
【0046】
押圧部63cにおける搬送方向の上流側に位置する端面75は、基部63bから下方に向かうにしたがって次第に搬送方向の下流側に位置するように傾斜している。このため、食材2が搬送されながら押圧部63cに接触すると、端面75に対して食材2が滑り、押圧部63cが食材2によって押し上げられる。この結果、食材2は押さえレバー63の重量で搬送路3に押し付けられるようになる。なお、搬送方向における回転刃61の位置は、食材2が押さえレバー63によって押されている状態で食材2が回転刃61に到達するような位置である。
【0047】
押さえレバー63の基部63bには、突片63dが前方に向けて突設されている。突片63dは、ロッド71に当たることにより押さえレバー63の下方への揺動を規制する。この実施の形態による押さえレバー63は、食材2を押していない自然状態において、下端(揺動端)が整列部材62より搬送方向の下流側で第2、第3の滑りステージ13,15に接触するように位置付けられている。押さえレバー63および上述した整列部材62の上下方向の位置は、支軸70およびロッド71を支持ステー69に対して上下方向に移動させることによって調整することができる。
【0048】
このように構成された食材用切断機1で食材2の端部を切断するためには、先ず、食材2を第1の滑りステージ11上に載せる。この食材2は、搬送装置4の搬送部材51によって押されて第1の左右方向送り装置12のローラ21に移動するとともに、第1の左右方向送り装置12によって左側に送られる。左側に送られた食材2が側壁16の板片41に当接することにより、食材2の左方への更なる移動が規制され、板片41と食材2とが一体的に搬送方向の下流側に移動する。食材2は、搬送路3に傾いた姿勢で投入されたり、第1の左右方向送り装置12によって送られるときに回転が加えられたりして、図12(A)に示すように食材用切断機1の左右方向に対して傾斜した姿勢で搬送方向の下流側に搬送されることがある。
【0049】
このような傾いた姿勢の食材2が回転刃61に近付くと、図12(B)~(C)に示すように、食材2が整列部材62に当たるようになる。この実施の形態による整列部材62は、食材2より搬送方向の下流側に位置する搬送部材51を乗り越えた後に食材2に当たるようになる。すなわち、整列部材62が搬送方向の下流側から上流側に向けて揺動しながら食材2に当たる。このように食材2が整列部材62に当たることにより、傾斜していた食材2が搬送部材51に押し付けられ、図13(A)に示すように、食材2が搬送部材51に沿って延びるような姿勢となる。図13(A)においては、食材2の傾斜が解消されたことを、食材2の断面形状を示す円が楕円から真円となったことで表現している。
【0050】
その後、食材2は、図13(B)に示すように押さえレバー63に接触し、押さえレバー63を押し退けることにより押さえレバー63の重量を受け、この重量によって搬送路3(この実施の形態ではローラ21,22)に押し付けられながら搬送されるようになる。このように押さえレバー63の重量が食材2に作用することにより、食材2の載置状態が安定する。なお、この実施の形態においては整列部材62の重量も食材2に加えられているから、食材2をより一層大きな荷重で押さえることができる。そして、食材2は、図13(C)に示すように、搬送部材51に沿って延びる姿勢で押さえレバー63によって押さえられた状態で、回転刃61によって切断される。この食材2は、その長手方向とは直交す方向あるいは略直交する方向に切断される。切断された食材2の左側の端部は、下方に落下して装置外に排出される。
【0051】
このように上流側の切断装置5で左側の端部が切断された食材2は、搬送部材51によって押されて第2の滑りステージ13の上を通って第2の左右方向送り装置14に搬送される。そして、この食材2は、第2の左右方向送り装置14で食材用切断機1の右側に送られ、右側の側壁17と一体的に移動して第2の切断装置5Bに送られる。第2の切断装置5Bに送られた食材2は、第1の切断装置5Aで切断されたときと同様に、先ず、整列部材62によって整列され、その後に押さえレバー63で押さえられて載置の安定が図られた状態で回転刃61によって右側の端部が切断される。このように長手方向の両端部が切断された食材2は、第3の滑りステージ15の上を送られて搬送路3の後端から装置外に排出される。
したがって、この実施の形態によれば、食材2が斜めに切断されることを防ぐことが可能な食材用切断機を提供することができる。
【0052】
この実施の形態による押さえレバー63は、支軸70に水平方向を軸線方向として回動自在に支持された基部63bと、基部63bから搬送方向の下流側であって下方に延びる押圧部63cとを有し、自重で食材2を搬送路3に押し付けるように構成されている。整列部材62と押さえレバー63は、軸線方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられているとともに、軸線方向に互いに隣り合うように並んでいる。
このため、細長い食材2の長手方向の複数の位置を整列部材62と押さえレバー63の両方で押すことができるから、切断前の食材2の整列と、切断時の食材2の保持とを確実に行うことができる。
【0053】
この実施の形態において、搬送路3における整列部材62より搬送方向の上流側は、食材2に搬送方向とは直交する水平方向である左右方向の一方に推力を付与する第1、第2の左右方向送り装置12,14によって構成されている。搬送路3における、第1、第2の左右方向送り装置12,14の送り方向下流側の端部には、第1、第2の左右方向送り装置12,14より高く形成されて搬送方向に延びる側壁16,17が位置付けられている。回転刃61と、整列部材62と、押さえレバー63は、搬送路3における、第1、第2の左右方向送り装置12,14の送り方向下流側の端部に位置付けられている。側壁16,17は、複数の板片41を搬送方向に並べて構成されている。複数の板片41は、搬送方向に延びるとともに左右方向を軸線方向として回転する側壁駆動用コンベアチェーン42に取付けられている。側壁駆動用コンベアチェーン42は、上部が搬送方向に移動するように搬送装置4と同期して回転する。
このため、第1、第2の左右方向送り装置12,14によって左右方向に送られた食材2が側壁16,17とともに搬送方向に移動するから、側壁16,17が固定されている場合と較べると食材2が不必要に搬送路3に擦られることがなくなり、食材2の品質を維持しながら切断することができる。
【0054】
この実施の形態による食材用切断機1の第1、第2の左右方向送り装置12,14と、回転刃61と、整列部材62と、押さえレバー63とからなる切断部は、搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられている。搬送方向の上流側に位置する切断部と、搬送方向の下流側に位置する切断部は、左右方向に対称になるように構成されている。側壁16,17は、左右方向において搬送路3の両側に設けられている。
このため、この食材用切断機1によれば、食材2の長手方向の両端部を、それぞれ長手方向とは直交する方向あるいは略直交する方向に切断することができる。
なお、上述した実施の形態においては食材2の両端部を切断する食材用切断機1を示したが、本発明の食材用切断機はこのような限定にとらわれることはなく、食材2の長手方向の一端部のみを切断するように構成することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…食材用切断機、2…食材、3…搬送路、4…搬送装置、12…第1の左右方向送り装置、14…第2の左右方向送り装置、16,17…側壁、41…板片、42…側壁駆動用コンベアチェーン、51…搬送部材、61…回転刃、62…整列部材、63…押さえレバー、63b…基部、63c…押圧部、70…支軸(支持部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13