(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155994
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】情報出力システム、情報出力方法、および情報出力プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231017BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20231017BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
H04N1/00 127A
G06Q50/22
B41J29/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065553
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小浦 啓太郎
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
5L099
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AA35
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AF06
5C062AF15
5C062BA00
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報を迅速に確保でき、ケアサービスの継続および迅速な避難を援助できる、情報出力システムを提供する。
【解決手段】施設のケア関連情報を取得する取得部と、ケア関連情報に基づいて、所定の災害時必要情報を算出する算出部と、災害時必要情報を災害発生時に出力する出力部と、を有する情報出力システム。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設のケア関連情報を取得する取得部と、
取得された前記ケア関連情報に基づいて、所定の災害時必要情報を算出する算出部と、
算出された前記災害時必要情報を災害発生時に出力する出力部と、
を有する情報出力システム。
【請求項2】
前記災害時必要情報は、前記施設の入居者の、要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項3】
前記出力部は、災害時に非出勤者が担当する入居者、要介護度、アレルギーの有無、次の服薬までの時間、避難順、ならびに、健康状態および障害の状態の少なくともいずれかから、優先する前記入居者の前記災害時必要情報を、他の前記入居者の前記災害時必要情報に対し優先して出力する、請求項2に記載の情報出力システム。
【請求項4】
前記出力部は、災害の種別に基づいて、優先して出力する前記災害時必要情報を変更する、請求項1または2に記載の情報出力システム。
【請求項5】
前記災害の種別は、避難の要否、および避難場所の少なくともいずれかを含む、請求項4に記載の情報出力システム。
【請求項6】
前記出力部は、前記災害における避難の要否により前記災害時必要情報の出力方法を変更する、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報出力システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記ケア関連情報をオンプレサーバーまたはクラウドサーバーから取得する、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報出力システム。
【請求項8】
前記災害は地震であり、
地震発生の情報を受信する受信部を有し、
前記取得部による前記ケア関連情報の取得は、前記地震発生の通知が受信されたことを契機として実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報出力システム。
【請求項9】
前記災害時必要情報には、前記災害時に前記施設全体として必要な物品ごとの数と、前記施設の入居者ごとの要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報とが含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報出力システム。
【請求項10】
前記情報出力システムは画像形成装置であり、
前記出力部は、前記災害時必要情報を、記録媒体に画像形成して排出することにより出力する、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報出力システム。
【請求項11】
前記ケア関連情報は、入居者の氏名、居住フロア、服薬内容、ケアの担当者、自立度、排泄ケアの要否、および避難順、ならびに、ケアスタッフのシフト情報が含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報出力システム。
【請求項12】
施設のケア関連情報を取得するステップ(a)と、
取得された前記ケア関連情報に基づいて、所定の災害時必要情報を算出するステップ(b)と、
算出された前記災害時必要情報を災害発生時に出力するステップ(c)と、
を有する情報出力方法。
【請求項13】
前記災害時必要情報は、前記施設の入居者の、要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報の少なくともいずれかを含む、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項14】
前記ステップ(c)においては、災害時に非出勤者が担当する入居者、要介護度、アレルギーの有無、次の服薬までの時間、避難順、ならびに、健康状態および障害の状態の少なくともいずれかから、優先する前記入居者の前記災害時必要情報を、他の前記入居者の前記災害時必要情報に対し優先して出力する、請求項13に記載の情報出力方法。
【請求項15】
前記ステップ(c)においては、災害の種別に基づいて、優先して出力する前記災害時必要情報を変更する、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項16】
前記災害の種別は、避難の要否、および避難場所の少なくともいずれかを含む、請求項15に記載の情報出力方法。
【請求項17】
前記ステップ(c)においては、前記災害における避難の要否により前記災害時必要情報の出力方法を変更する、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項18】
前記ステップ(a)においては、前記ケア関連情報をオンプレサーバーまたはクラウドサーバーから取得する、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項19】
前記災害は地震であり、
地震発生の情報を受信するステップ(d)を有し、
前記ステップ(a)における前記ケア関連情報の取得は、前記地震発生の通知が受信されたことを契機として実行される、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項20】
前記災害時必要情報には、前記災害時に前記施設全体として必要な物品ごとの数と、前記施設の入居者ごとの要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報とが含まれる、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項21】
画像形成装置により実行され、
前記ステップ(c)においては、前記災害時必要情報を、記録媒体に画像形成して排出することにより出力する、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項22】
前記ケア関連情報は、入居者の氏名、居住フロア、服薬内容、ケアの担当者、自立度、排泄ケアの要否、および避難順、ならびに、ケアスタッフのシフト情報が含まれる、請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項23】
請求項12~22のいずれか一項に記載の情報出力方法をコンピューターに実行させるための情報出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力システム、情報出力方法、および情報出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護老人福祉施設や病院等の施設においては、自然災害等の災害発生時に、限られた資源を有効に活用するために、優先する業務を選定している。これらの業務の中には、施設入居者等の生命に直結するものもある。
【0003】
一般的に、施設における介護や看護等のケアに関する情報は非常に膨大であり、サーバー上において管理されることが多い。災害発生による避難時には、優先する業務を実施するための必要最低限の情報を迅速に確保したいという要望がある。
【0004】
一方、上記必要最低限の情報を紙媒体として保管している施設もある。このような施設においては、個々の情報の管理者が異なり、全従業員が情報の所在を把握していないことがあり、災害発生時に必要最低限の情報の収集に時間がかかる。
【0005】
下記特許文献には次の先行技術が開示されている。複合機において、緊急地震速報を受信したとき、所定の避難情報を印刷する緊急印刷が、複合機の設置場所に到着する時刻までに可能か否かを判断し、可能な場合に緊急印刷を行う。これにより、地震が実際に到来する前に緊急印刷を完了できるため、地震到来時に印刷動作を行うことによって発生する動作エラーや故障を回避できるとともに、地震到来前に避難情報を印刷物として取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された先行技術は、災害発生時に、業務を実施するための必要最低限の情報を迅速に確保したいという要望に対応できないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報を迅速に確保でき、ケアサービスの継続および迅速な避難を援助できる、情報出力システム、情報出力方法、および情報出力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0010】
(1)施設のケア関連情報を取得する取得部と、取得された前記ケア関連情報に基づいて、所定の災害時必要情報を算出する算出部と、算出された前記災害時必要情報を災害発生時に出力する出力部と、を有する情報出力システム。
【0011】
(2)前記災害時必要情報は、前記施設の入居者の、要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報の少なくともいずれかを含む、上記(1)に記載の情報出力システム。
【0012】
(3)前記出力部は、災害時に非出勤者が担当する入居者、要介護度、アレルギーの有無、次の服薬までの時間、避難順、ならびに、健康状態および障害の状態の少なくともいずれかから、優先する前記入居者の前記災害時必要情報を、他の前記入居者の前記災害時必要情報に対し優先して出力する、上記(2)に記載の情報出力システム。
【0013】
(4)前記出力部は、災害の種別に基づいて、優先して出力する前記災害時必要情報を変更する、上記(1)または(2)に記載の情報出力システム。
【0014】
(5)前記災害の種別は、避難の要否、および避難場所の少なくともいずれかを含む、上記(4)に記載の情報出力システム。
【0015】
(6)前記出力部は、前記災害における避難の要否により前記災害時必要情報の出力方法を変更する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の情報出力システム。
【0016】
(7)前記取得部は、前記ケア関連情報をオンプレサーバーまたはクラウドサーバーから取得する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の情報出力システム。
【0017】
(8)前記災害は地震であり、地震発生の情報を受信する受信部を有し、前記取得部による前記ケア関連情報の取得は、前記地震発生の通知が受信されたことを契機として実行される、上記(1)~(3)のいずれかに記載の情報出力システム。
【0018】
(9)前記災害時必要情報には、前記災害時に前記施設全体として必要な物品ごとの数と、前記施設の入居者ごとの要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報とが含まれる、上記(1)~(3)のいずれかに記載の情報出力システム。
【0019】
(10)前記情報出力システムは画像形成装置であり、前記出力部は、前記災害時必要情報を、記録媒体に画像形成して排出することにより出力する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の情報出力システム。
【0020】
(11)前記ケア関連情報は、入居者の氏名、居住フロア、服薬内容、ケアの担当者、自立度、排泄ケアの要否、および避難順、ならびに、ケアスタッフのシフト情報が含まれる、上記(1)~(3)のいずれかに記載の情報出力システム。
【0021】
(12)施設のケア関連情報を取得するステップ(a)と、取得された前記ケア関連情報に基づいて、所定の災害時必要情報を算出するステップ(b)と、算出された前記災害時必要情報を災害発生時に出力するステップ(c)と、を有する情報出力方法。
【0022】
(13)前記災害時必要情報は、前記施設の入居者の、要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報の少なくともいずれかを含む、上記(12)に記載の情報出力方法。
【0023】
(14)前記ステップ(c)においては、災害時に非出勤者が担当する入居者、要介護度、アレルギーの有無、次の服薬までの時間、避難順、ならびに、健康状態および障害の状態の少なくともいずれかから、優先する前記入居者の前記災害時必要情報を、他の前記入居者の前記災害時必要情報に対し優先して出力する、上記(13)に記載の情報出力方法。
【0024】
(15)前記ステップ(c)においては、災害の種別に基づいて、優先して出力する前記災害時必要情報を変更する、上記(12)または(13)に記載の情報出力方法。
【0025】
(16)前記災害の種別は、避難の要否、および避難場所の少なくともいずれかを含む、上記(15)に記載の情報出力方法。
【0026】
(17)前記ステップ(c)においては、前記災害における避難の要否により前記災害時必要情報の出力方法を変更する、上記(12)~(14)のいずれかに記載の情報出力方法。
【0027】
(18)前記ステップ(a)においては、前記ケア関連情報をオンプレサーバーまたはクラウドサーバーから取得する、上記(12)~(14)のいずれかに記載の情報出力方法。
【0028】
(19)前記災害は地震であり、地震発生の情報を受信するステップ(d)を有し、前記ステップ(a)における前記ケア関連情報の取得は、前記地震発生の通知が受信されたことを契機として実行される、上記(12)~(14)のいずれかに記載の情報出力方法。
【0029】
(20)前記災害時必要情報には、前記災害時に前記施設全体として必要な物品ごとの数と、前記施設の入居者ごとの要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報とが含まれる、上記(12)~(14)のいずれかに記載の情報出力方法。
【0030】
(21)画像形成装置により実行され、前記ステップ(c)においては、前記災害時必要情報を、記録媒体に画像形成して排出することにより出力する、上記(12)~(14)のいずれかに記載の情報出力方法。
【0031】
(22)前記ケア関連情報は、入居者の氏名、居住フロア、服薬内容、ケアの担当者、自立度、排泄ケアの要否、および避難順、ならびに、ケアスタッフのシフト情報が含まれる、上記(12)~(14)のいずれかに記載の情報出力方法。
【0032】
(23)上記(12)~(22)のいずれかに記載の情報出力方法をコンピューターに実行させるための情報出力プログラム。
【発明の効果】
【0033】
施設のケア関連情報を取得し、ケア関連情報から、所定の災害時必要情報を算出して出力する。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報を迅速に確保でき、ケアサービスの継続および迅速な避難を援助できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】情報出力システムの全体構成を示す図である。
【
図2】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】サーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図10】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、情報出力システム、情報出力方法、および情報出力プログラムについて説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0036】
図1は、本実施形態に係る情報出力システム1の全体構成を示す図である。介護または看護等のケアを行う施設(以下、単に「施設」とも称する)において用いられる情報出力システム1は、画像形成装置100およびサーバー200を含む。情報出力システム1は、画像形成装置100のみによって構成されてもよい。画像形成装置100とサーバー200は、LAN(Local Area Network)を介して相互に通信可能に接続され得る。なお、画像形成装置100は端末等のコンピューターに代替され得る。
【0037】
(画像形成装置100)
図2は、画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3は、画像形成装置100の構成を示す概略図である。
【0038】
画像形成装置100は、制御部110、記憶部120、通信部130、操作表示部140、画像読取部150、画像制御部160、および画像形成部170を備える。これらの構成要素は、バスにより互いに通信可能に連結されている。画像形成装置100は、MFP(MultiFunction Peripheral)により構成され得る。
【0039】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)および各種メモリを備えており、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部110の作用の詳細は後述する。
【0040】
記憶部120は、SDD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disc Drive)等により構成され、各種プログラムおよび各種データを記憶する。
【0041】
通信部130は、画像形成装置100と外部機器との間において通信を行うためのインターフェースである。通信部130として、イーサネット(登録商標)、SATA、IEEE1394等の規格によるネットワークインターフェースが用いられる。通信部130として、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の無線通信インターフェース等の各種ローカル接続インターフェース等が用いられてもよい。
【0042】
操作表示部140は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0043】
画像読取部150は、蛍光ランプ等の光源およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を有する。画像読取部150は、所定の読み取り位置にセットされた原稿に光源から光を当て、その反射光を撮像素子によって光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
【0044】
画像制御部160は、通信部130により受信された印刷ジョブ等に含まれる印刷データのレイアウト処理およびラスタライズ処理を行い、ビットマップ形式の画像データを生成する。
【0045】
印刷ジョブとは、画像形成装置100に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDL(Page Description Language)データ、PDF(Portable Document Format)データまたはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙900への画像形成に関する設定であり、例えば、ページ数、印刷部数、紙種、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。
【0046】
画像形成部170は、作像部40、定着部50、給紙部60、および用紙搬送部70を含む。
【0047】
作像部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナーに対応した作像ユニット41Y、41M、41C、41Kを有する。各作像ユニット41Y、41M、41C、41Kにより、画像データに基づいて、帯電、露光、および現像のプロセスを経て感光体ドラム42上にトナー像が形成される。露光は、レーザー光により感光体ドラム42上を走査することによって行われる。感光体ドラム42上に形成されたトナー像は、1次転写ローラー44に印加される、定電圧制御された転写電圧による静電気力により、中間転写ベルト43上に順次重ねられて1次転写される。これにより、中間転写ベルト43上にカラーのトナー像が保持される。中間転写ベルト43上のカラーのトナー像は、2次転写ローラー45により用紙900上に2次転写される。
【0048】
定着部50は、定着ローラー51aおよび加圧ローラー52を含み、定着ローラー51aと加圧ローラー52とが互いに圧接されることによって、定着ローラー51aと加圧ローラー52との間において定着ニップを形成する。定着部50は、定着ニップに搬送された用紙900を、定着ニップにおいて加熱および加圧するとともに定着ローラー51aと加圧ローラー52とを回転させることによって、用紙900上のトナー像を用紙900の表面に溶融定着する。
【0049】
給紙部60は、複数の給紙トレイ61、62を有し、給紙トレイ61、62に収容された用紙900を1枚ずつ下流側の紙搬送経路に送り出す。
【0050】
用紙搬送部70は、用紙900を搬送するための複数の搬送ローラーを有し、作像部40、定着部50、および給紙部60の各部間において用紙900を搬送する。複数の搬送ローラーには、用紙900の傾きを矯正するためのレジストローラー71や、用紙900に所定量のループを形成するためのループローラー72が含まれる。
【0051】
用紙搬送部70は、画像形成された用紙900を排紙トレイ90に排紙する。
【0052】
制御部110の作用について説明する。
【0053】
図4は、制御部110の機能を示すブロック図である。制御部110は、受信部111、取得部112、算出部113、および出力部114として機能する。より具体的には、制御部110は、通信部130とともに、受信部111および取得部112を構成する。制御部110は、画像形成部170、通信部130、または操作表示部140とともに出力部114を構成する。
【0054】
取得部112は、災害発生時に、施設のケア関連情報(以下、単に「ケア関連情報」と称する)を、通信部130により受信すること等により取得する。具体的には、取得部112は、受信部111が災害発生の情報を受信したことを契機に、ケア関連情報をサーバー200から取得する。災害発生の情報は、災害発生時に、行政の担当庁のザーバー等から発信される情報であり得る。災害には、地震、火災、および津波等が含まれる。
【0055】
災害が地震である場合、受信部111は、災害発生の情報として、緊急地震速報等の地震発生の情報を受信する。この場合、取得部112によるケア関連情報の取得は、地震発生の通知が受信部111により受信されたことを契機として実行され得る。
【0056】
ケア関連情報は、ケアを受ける、施設の入居者(以下、単に「入居者」と称する)、および施設のケアスタッフ等に関連する情報であり得る。具体的には、ケア関連情報には、例えば、入居者の氏名、居住フロア(居住階)、服薬内容(服薬名、服薬頻度、前回服薬日時等)、ケアの担当者、自立度、排泄ケアの要否、および避難順、ならびに、ケアスタッフのシフト情報が含まれる。自立度は、J、A、B、Cの4ランクに分類される。自立度は、いわゆる寝たきり度を示す。自立度において、Jは生活自立、Aは準寝たきり、BおよびCは寝たきりの状態であることを示す。ケア関連情報は、サーバー200の記憶部230(
図9参照)のデータベースにおいて登録(更新を含む、以下同様)される。ケアスタッフは、入居者のケア(介護、看護、および訓練等)を行う、常勤または非常勤のスタッフである。ケア関連情報は、例えば、入居者テーブル、服薬テーブル、食事テーブル、およびシフト表において登録される。取得部112は、入居者テーブル、服薬テーブル、食事テーブル、およびシフト表をケア関連情報として取得し得る。
【0057】
図5は、入居者テーブルを示す図である。
図6は、服薬テーブルを示す図である。
図7は、食事テーブルを示す図である。入居者テーブル、服薬テーブル、よび食事テーブルは、各入居者に付与されたユニークな番号により関連付けされている。
図8は、ケアスタッフのシフト表を示す図である。
【0058】
入居者テーブルには、入居者の氏名、居住フロア、ケアの担当者、自立度、排泄ケアの要否、避難順、要介護度、および疾患情報等の情報が記録される。入居者テーブルには、さらに入居日等の情報が登録され得る。入居者テーブルには、例えば、入居者の氏名として「山田太郎」、居住フロアとして「1F」、入居日として「2010年10月23日」、ケアの担当者として「担当者A」、自立度として「B」、排泄ケアの要否として「支援(支援要)」、避難順として「1」が、要介護度として「要介護度3」、そして疾患情報として「腎不全」がそれぞれ登録されている。
【0059】
服薬テーブルには、服薬内容(服薬名、服薬頻度、前回服薬日時)等が登録される。なお、服薬資料として処方箋が服薬テーブルと関連付けられてサーバー200に記憶され得る。服薬テーブルには、例えば、服薬名として「薬A、薬B」、服薬頻度として「2(回/日)」、そして前回服薬日時として「2021年9月27日16:00」がそれぞれ登録されている。また、服薬資料として処方箋のファイルが登録されている。
【0060】
食事テーブルには、アレルギーに関する内容(アレルギーの有無、およびアレルギーを示す食物)等が登録される。なお、食事資料として、ミールラウンド実施記録簿が食事テーブルと関連付けられてサーバー200に記憶され得る。ミールラウンド実施記録簿は食事をとる際の注意事や食事における観察結果が記録される資料である。食事テーブルには、例えば、アレルギーに関する情報として「小麦」が登録されている。また、食事資料として、ミールラウンド実施記録簿のファイルが登録されている。
【0061】
算出部113は、ケア関連情報に基づいて、所定の災害時必要情報を算出する。算出には、ケア情報の一部を抜き出す抽出や、ケア関連情報に基づいて情報を算出することが含まれる。何を災害時必要情報とするかは、災害時に最低限必要な情報として予め記憶部120に記憶されることによって登録される。災害時必要情報には、入居者の、要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報の少なくともいずれかが含まれ得る。健康状態には、疾患情報、食事の際の注意事項等が含まれる。障害の状態には、自立度等が含まれる。
【0062】
災害時必要情報には、施設全体に関する災害時必要情報と、各入居者に関する災害時必要情報が含まれる。施設全体に関する災害時必要情報には、災害時に施設全体として必要な物品ごとの数が含まれる。
【0063】
施設全体に関する災害時必要情報には、例えば、施設全体の必要物品として、施設全体として必要な車椅子の個数、所定期間に施設全体として必要なおむつの個数、および所定期間に施設全体として入居者に必要な薬の種類および個数が含まれる。算出部113は、施設全体として必要な車椅子の個数を、入居者テーブルから、自立度(障害の状態)が「B」および「C」の入居者の数の合計として算出し得る。算出部113は、所定期間に施設全体として必要なおむつの個数を、入居者テーブルから自立度が「A」、「B」および「C」の入居者の数の合計に所定期間(例えば、避難期間として想定される10日)を乗じた数に所定係数(例えば、1日に必要なおむつの個数として想定される2~5のいずれかの数)を乗じた数として抽出(算出)し得る。算出部113は、所定期間に施設全体として入居者に必要な薬の種類および個数を、服薬テーブルに登録された服薬名ごとに、全入居者の服薬頻度の合計に所定期間(例えば、避難期間として想定される10日)を乗じることによって算出し得る。
【0064】
一方、各入居者に関する災害時必要情報には、例えば、入居者ごとの、要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報が含まれる。算出部113は、要介護度、自立度、および疾患情報を入居者テーブルから抽出し得る。算出部113は、服薬情報を服薬テーブルから抽出し得る。算出部113は、食事の際の注意事項として、アレルギーに関する内容を食事テーブルから抽出し得る。さらに、算出部113は、水分にトロミをつける等のその他の食事の際の注意事項を、食事資料から抽出し得る。
【0065】
出力部114は、算出部113により抽出された災害時必要情報を出力する。出力には、災害時必要情報を画像形成部170により用紙900に画像形成して排出すること、他の装置等へ災害時必要情報を送信(図示しないファクシミリによるFAX送信、メール送信、クラウドサーバーへのバックアップのための送信を含む)すること、および操作表示部140のディスプレイ上に表示すること等が含まれる。なお、画像形成部170により画像形成される記録媒体は、用紙900に限らず、樹脂フィルム等でもよい。
【0066】
出力部114は、(1)災害時に非出勤者が担当する入居者、(2)要介護度、(3)アレルギーの有無、(4)次の服薬までの時間、(5)避難順、ならびに、(6)健康状態および障害の状態の少なくともいずれかから、優先する入居者の災害時必要情報を、他の入居者の災害時必要情報に対し優先して災害時必要情報を出力し得る。出力部114は、(1)災害時に非出勤者が担当する入居者、(2)要介護度、(3)アレルギーの有無、(4)次の服薬までの時間、および(5)避難順の順に優先度を高くして、災害時必要情報を出力する入居者の優先順を決定し、決定した優先順に入居者の災害時必要情報を出力してもよい。例えば、災害時に非出勤者が担当する入居者については、担当者が不在のため、当該入居者に関する災害時必要情報を誰も詳細に把握していない可能性があり、かつ当該入居者に関する災害時必要情報が災害により出力できなくなる可能性がある。このため、出力部114は、災害時に非出勤者が担当する入居者の災害時必要情報をより早く出力し得る。
【0067】
出力部114は、災害の種別に基づいて、優先して出力する災害時必要情報を変更し得る。災害の種別には、避難の要否、および避難場所の少なくともいずれかが含まれ得る。例えば、出力部114は、災害の種別が避難要である場合(例えば、災害が施設の火災である場合)、避難が必要な入居フロア(階)の入居者の災害時必要情報を優先して出力してもよい。災害の種別が避難不要(例えば、施設以外の建物の火災)である場合、車椅子を使用する入居者の災害時必要情報であっても、車椅子を使用しない入居者の災害時必要情報に優先して出力する必要はない。出力部114は、災害に応じた避難場所が最上階である場合(例えば、災害が津波である場合)、居住フロアが1F(1階)の入居者の災害時必要情報を優先して出力してもよい。
【0068】
出力部114は、災害における避難の要否により災害時必要情報の出力方法を変更し得る。例えば、出力部114は、避難不要である場合は、災害時必要情報を、画像形成装置100により画像形成して排出する出力方法によって出力し得る。出力部114は、避難要である場合(例えば、災害が施設の比較的大規模な火災である場合)は、災害時必要情報を他の協力施設へ送信し、当該他の協力施設の画像形成装置によって災害時必要情報を画像形成して排出する出力方法で出力し得る。
【0069】
(サーバー20)
図9は、サーバー20のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバー20は、制御部210、通信部220、および記憶部230を備え、これらはバスにより相互に接続される。
【0070】
サーバー20は、例えば、施設内等に設置されるオンプレサーバーまたはクラウドサーバーにより構成される。
【0071】
制御部210は、CPU、RAM、およびROM等を備える。制御部210は、プログラムに従ってサーバー20の各部の制御および演算処理を行う。
【0072】
制御部210は、画像形成装置10の要求に応じて、記憶部230に記憶されている入居者テーブル、服薬テーブル、食事テーブル、ケアスタッフのシフト表を通信部220により画像形成装置10へ送信する。制御部210は、入居者テーブル、服薬テーブル、食事テーブル、ケアスタッフのシフト表の情報を通信部220により受信し、記憶部230に記憶されている入居者テーブル、服薬テーブル、食事テーブル、ケアスタッフのシフト表を更新し得る。
【0073】
通信部220は、LANを介して、画像形成装置10等と通信するためのインターフェース回路により構成される。
【0074】
記憶部230は、HDDまたはSSDにより構成され、各種プログラムおよび各種データを記憶する。記憶部230は、入居者テーブル、服薬テーブル、食事テーブル、ケアスタッフのシフト表を記憶する。
【0075】
画像形成装置10の動作について説明する。
【0076】
図10は、画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムに従い、画像形成装置10の制御部110により実行され得る。なお、本フローチャートの一部は、プログラムに従い、サーバー20の制御部210により実行されてもよい。
【0077】
制御部110は、災害の情報として緊急地震速報を通信部130により受信したかどうか判断する(S101)。制御部110は、緊急地震速報を受信していないと判断したときは(S101:NO)、ステップS101を繰り返し実行する。
【0078】
制御部110は、緊急地震速報を受信したと判断したときは(S101:YES)、ケア関連情報をサーバー20から取得する(S102)。
【0079】
制御部110は、入居者ごとに必要物品等をケア関連情報から算出する(S104)。必要物品は、上述したように、例えば、車椅子、おむつ、および薬であり得る。制御部110は、入居者テーブルや服薬テーブル等に基づいて、入居者ごとに必要物品を抽出(算出)する。また、制御部110は、各入居者に関する災害時必要情報をケア関連情報から抽出(算出)する。各入居者に関する災害時必要情報は、例えば、上述したように、入居者ごとの、要介護度、健康状態、および障害の状態を含む。
【0080】
制御部110は、抽出した必要物品の一覧および集計表として、入居者ごとの必要物品のリストを作成する(S105)。入居者ごとの必要物品のリストは、例えば、施設全体として必要な車椅子の個数、所定期間に施設全体として必要なおむつの個数、および所定期間に施設全体として入居者に必要な薬の種類および個数が含まれており、施設全体に関する災害時必要情報を構成する。
【0081】
制御部110は、算出した災害時必要情報を出力する(S106)。すなわち、制御部110は、施設全体に関する災害時必要情報、および各入居者に関する災害時必要情報を出力する。
【0082】
なお、制御部110は、緊急地震速報の受信の有無にかかわらず、ケア関連情報を定期的にサーバー20から取得して記憶部120に記憶(および更新)してもよい。この場合、緊急地震速報の受信を契機に、ステップS103以降を実行し得る。
【0083】
本実施形態は以下の効果を奏する。
【0084】
施設のケア関連情報を取得し、ケア関連情報から、所定の災害時必要情報を算出して出力する。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報を迅速に確保でき、ケアサービスの継続および迅速な避難を援助できる。
【0085】
さらに、災害時必要情報に、施設の入居者の、要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報の少なくともいずれかを含める。これにより、災害時に必要となる可能性が高い情報を簡単かつ適切に確保できる。
【0086】
さらに、災害時に非出勤者が担当する入居者、要介護度、アレルギーの有無、次の服薬までの時間、避難順、ならびに、健康状態および障害の状態の少なくともいずれかから、優先する入居者の災害時必要情報を、他の入居者の災害時必要情報に対し優先して出力する。これにより、災害時に、より緊急性の高い入居者の情報を先に出力することによって、情報出力が困難になる可能性があっても、より緊急性の高い情報を確保できる可能性を高めることができる。
【0087】
さらに、災害の種別に基づいて、優先して出力する災害時必要情報を変更する。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報をより安全に確保できる。
【0088】
さらに、上記災害の種別に、避難の要否、および避難場所の少なくともいずれかを含める。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報をより安全かつ適切に確保できる。
【0089】
さらに、災害における避難の要否により災害時必要情報の出力方法を変更する。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報をより安全に確保できる。
【0090】
さらに、ケア関連情報をオンプレサーバーまたはクラウドサーバーから取得する。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報をより安全かつ低コストで確保できる。
【0091】
さらに、地震発生の情報を受信し、ケア関連情報の取得を、地震発生の通知が受信されたことを契機として実行する。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報をより簡単に確保できる。
【0092】
さらに、災害時必要情報に、災害時に施設全体として必要な物品ごとの数と、施設の入居者ごとの要介護度、健康状態、障害の状態、および服薬情報を含める。これにより、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報をより適切かつ把握容易に取得できる。
【0093】
さらに、情報出力システムを画像形成装置とし、災害時必要情報を、記録媒体に画像形成して排出することにより出力する。これにより、既存の画像形成装置等を用いて、画像により把握容易な形式によって、災害発生時に、優先する業務を実施するための必要最低限の情報を取得できる。
【0094】
さらに、ケア関連情報に、入居者の氏名、居住フロア、服薬内容、ケアの担当者、自立度、排泄ケアの要否、および避難順、ならびに、ケアスタッフのシフト情報を含める。これにより、災害時必要情報を算出するための情報を適切に削減できる。
【0095】
以上説明した、システムの構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変できる。例えば、上述したフローチャートにおいては、フローチャートに示したステップ以外のステップを含んでもよく、一部のステップを含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0096】
また、上述した実施形態における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能として装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 情報出力システム、
100 画像形成装置、
110 制御部、
111 受信部、
112 取得部、
113 算出部、
114 出力部、
120 記憶部、
130 通信部、
140 操作表示部、
150 画像読取部、
160 画像制御部、
170 画像形成部、
200 サーバー。