(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155995
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065555
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三門 幸信
(72)【発明者】
【氏名】戸川 良樹
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC32
5E316EE31
5E316FF01
5E316GG15
5E316GG28
5E316HH33
5E316JJ11
(57)【要約】
【課題】電子部品を開口内に収容する際、使用する樹脂の量を少量にすることができ、樹脂内のボイドをなくし、電子部品の動きもない、プリント配線板およびその製造方法を提案する。
【解決手段】プリント配線板を、開口2が形成されたコア基板1と、コア基板の開口に収容される電子部品3と、を有し、コア基板の厚さをT1とし、電子部品の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係がT2/T1=0.75~0.95を満たすよう構成した。また、プリント配線板の製造方法を、コア基板に開口を形成することと、開口に樹脂を用いて電子部品を収容することと、を含み、コア基板の厚さをT1とし、電子部品の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係がT2/T1=0.75~0.95を満たすよう構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されたコア基板と、
前記コア基板の開口に収容される電子部品と、
を有し、
前記コア基板の厚さをT1とし、前記電子部品の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係がT2/T1=0.75~0.95を満たすよう構成した、プリント配線板。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記T1とT2との関係を、T2/T1=0.80~0.95とした、プリント配線板。
【請求項3】
コア基板に開口を形成することと、
前記開口に樹脂を用いて電子部品を収容することと、
を含み、
前記コア基板の厚さをT1とし、前記電子部品の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係がT2/T1=0.75~0.95を満たすよう構成した、プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板の製造方法であって、前記T1とT2との関係を、T2/T1=0.80~0.95とした、プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板中に電子部品を搭載するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コア基板中に電子部品を搭載するプリント配線板において、プリント配線板の強度を改良するために、コア基板の厚さに対する電子部品の厚さの比を、0.3以上で0.7以下とする技術が、特許文献1で知られている。
【0003】
図3は、特許文献1で開示された従来のプリント配線板を説明するための図である。
図3において、51はコア基板、52はコア基板51に形成された開口、53は開口52内に搭載された電子部品、54-1~54-3は、それぞれ、コア基板51の上面および下面ならびに開口52内の電子部品53以外の部分に形成された樹脂からなる絶縁層、である。特許文献1では、コア基板51の厚さをT1、電子部品53の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係を、T2/T1(R)=0.3~0.7としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載のプリント配線板においては、上記コア基板51の厚さT1と電子部品53の厚さT2との関係を示すRが0.3~0.7と小さいため、電子部品53を収容するための開口52に多くの樹脂を押し込んで絶縁層54-3を形成する必要がある。そのため、開口52に充填する樹脂内にボイドが入る問題があった。また、開口52内に樹脂を押し込む時、電子部品53が動いてしまう問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、開口が形成されたコア基板と、前記コア基板の開口に収容される電子部品と、を有し、前記コア基板の厚さをT1とし、前記電子部品の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係がT2/T1=0.75~0.95を満たすよう構成する。
【0007】
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、コア基板に開口を形成することと、前記開口に樹脂を用いて電子部品を収容することと、を含み、前記コア基板の厚さをT1とし、前記電子部品の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係がT2/T1=0.75~0.95を満たすよう構成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
【
図2】(a)~(d)は、それぞれ、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
【
図3】従来のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
図1において、1はコア基板、2はコア基板1に形成された開口、3は開口2内に搭載された電子部品、4-1~4-3は、それぞれ、コア基板1の上面および下面ならびに開口2内の電子部品3以外の部分に形成された絶縁層、である。なお、
図1に示す実施形態では、本発明の特徴を理解しやすくするように、コア基板1、開口2、電子部品3、絶縁層4-1~4-3のみを示しているが、実際には、従来と同様に、コア基板1の上面および下面に、複数層の導体パターンと絶縁層とからなるビルトアップ層や、コア基板1の上面および下面を電気的に連結するためのスルーホールなどが設けられている。
【0010】
本発明のプリント配線板の特徴は、コア基板1の厚さをT1、電子部品3の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係を、T2/T1(R)=0.75~0.95、好ましくは、T2/T1(R)=0.80~0.95となるよう構成した点である。ここで、T2/T1(R)=0.75~0.95とする理由は、Rが0.75未満であると、開口2内に充填する樹脂を押し込む際、ボイドが入る可能性があるためである。また、開口2内に樹脂が充填される時、樹脂を介して電子部品3が力を受ける。その際、Rが0.95を超えると、電子部品3の上の樹脂量が少ないので、電子部品3に伝わる力が大きくなり、電子部品3が割れやすくなるためである。
【0011】
本発明のプリント配線板によれば、従来のプリント配線板よりも、Rを大きくすることにより、電子部品3を開口2内に収容する際、使用する樹脂の量を少量にすることができる。その結果、開口2を充填する樹脂内にボイドが入らない。また、開口2内に樹脂を押し込む時、電子部品3が動くことはない。
【0012】
図2(a)~(d)は、それぞれ、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。以下、
図2(a)~(d)に従って、本発明のプリント配線板の製造方法を説明する。
【0013】
まず、
図2(a)に示すように、例えば銅張積層板などのコア基板1を準備する。次に、
図2(b)に示すように、コア基板1に、例えばルータ等を用いて、開口2を形成する。次に、
図2(c)に示すように、コア基板1の一面に絶縁層4-2を設けるとともに、開口2内の絶縁層4-2上に電子部品3を搭載する。次に、
図2(d)に示すように、コア基板1の他面および開口2内の電子部品3以外の部分に樹脂を充填し、絶縁層4-1および4-3を形成して、電子部品3を開口2内に収容する。
【0014】
以上の工程に従う本発明のプリント配線板の製造方法の特徴は、本発明のプリント配線板と同様に、開口2内に収容する電子部品3の厚さを規定した点である。具体的には、コア基板1の厚さをT1、電子部品3の厚さをT2としたとき、T1とT2との関係を、T2/T1(R)=0.75~0.95、好ましくは、T2/T1(R)=0.80~0.95となるよう構成した。
【0015】
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、従来のプリント配線板よりも、Rを大きくすることにより、樹脂を押し込んで電子部品3を開口2内に充填する際、使用する樹脂の量を少なくすることができる。その結果、開口2を充填する樹脂内にボイドが入らない。また、開口2内に樹脂を押し込む時、電子部品3が動くことはない。
【符号の説明】
【0016】
1 コア基板
2 開口
3 電子部品
4-1~4-3 絶縁層