(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156002
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】トランス
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20231017BHJP
H01F 27/22 20060101ALI20231017BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20231017BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01F30/10 S
H01F30/10 A
H01F30/10 F
H01F27/22
H01F27/28 176
H01F27/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065563
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池辺 隆史
【テーマコード(参考)】
5E043
5E050
【Fターム(参考)】
5E043DA02
5E050BA03
(57)【要約】
【課題】放熱板とコアとの隙間の発生が抑えられた、トランスの提供の提供。
【解決手段】本トランス2は、コイル4と、前記コイル4を内部に格納し、第一面、前記第一面に隣接する第二面及び前記第一面の反対側で前記第二面と隣接する第三面を備えるコア8と、それぞれが前記コア8の一部を覆う複数の放熱板10と、を備える。前記第一面を覆う放熱板10と、前記第三面を覆う放熱板10とが異なっている。好ましくは前記コア8が、前記第二面の反対側で前記第三面と隣接する第四面をさらに備え、前記第二面を覆う放熱板10と前記第四面を覆う放熱板10とが異なっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
前記コイルを内部に格納し、第一面、前記第一面に隣接する第二面及び前記第一面の反対側で前記第二面と隣接する第三面を備えるコアと、
それぞれが前記コアの一部を覆う複数の放熱板と、
を備え、
前記第一面を覆う放熱板と、前記第三面を覆う放熱板とが異なっている、トランス。
【請求項2】
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第二面及び前記第三面を覆う第二屈曲放熱板と、を含み、
前記第一屈曲放熱板と前記第二屈曲放熱板とが、前記第二面を重なりなく覆っている、請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
前記第二面の前方側から見たとき、前記第一屈曲放熱板の前記第二屈曲放熱板に対向する辺、及び前記第二屈曲放熱板の前記第一屈曲放熱板に対向する辺が、前記第二面の前記第一面側の辺に対して傾斜した傾斜部を有する、請求項2に記載のトランス。
【請求項4】
前記第一屈曲放熱板が、前記第一面の全面を覆っており、
前記第二屈曲放熱板が、前記第三面の全面を覆っている、請求項2又は3に記載のトランス。
【請求項5】
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第三面を覆う平板放熱板とを含む、請求項1に記載のトランス。
【請求項6】
前記複数の放熱板が、前記第一面を覆う第一平板放熱板、前記第二面を覆う第二平板放熱板及び前記第三面を覆う第三平板放熱板を含む、請求項1に記載のトランス。
【請求項7】
前記コアが、前記第二面の反対側で前記第三面と隣接する第四面をさらに備え、
前記第二面を覆う放熱板と前記第四面を覆う放熱板とが異なっている、請求項1から3のいずれかに記載のトランス。
【請求項8】
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板、前記第二面及び前記第三面を覆う第二屈曲放熱板、前記第三面及び前記第四面を覆う第三屈曲放熱板、及び前記第四面及び前記第一面を覆う第四屈曲放熱板を含み、
前記第一屈曲放熱板、前記第二屈曲放熱板、前記第三屈曲放熱板及び前記第四屈曲放熱板が、互いに重なりを有していない、請求項7に記載のトランス。
【請求項9】
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第三面及び前記第四面を覆う第二屈曲放熱板とを含む、請求項7に記載のトランス。
【請求項10】
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第二面及び前記第三面を覆う第二屈曲放熱板と、前記第四面を覆う平板放熱板を含む、請求項7に記載のトランス。
【請求項11】
前記コイルと電気的に接続する信号線をさらに備え、
前記コアが、第一ハーフと前記第一ハーフに被せられた第二ハーフとを備え、
前記第一ハーフが、上面とこの上面から延びる側面を備え、
前記第二ハーフが、底面とこの底面から延びる側面を備え、
前記第一ハーフの側面と、前記第二ハーフの側面とが、前記コアの1つの面を構成しており、
前記第一ハーフが、前記第一ハーフの側面において、前記第二ハーフ側の端から前記上面側の端に到る切れ目を備えており、
前記複数の放熱板のうちの1つが、前記切れ目の前記上面側の端に対応する位置に、引き出し口を備えており、
前記信号線が、前記切れ目及び前記引き出し口を介して外部に露出している、請求項1から3のいずれかに記載のトランス。
【請求項12】
前記第二ハーフが、前記第二ハーフの側面において、前記第一ハーフの切れ目に連続し、前記底面側の端まで延びる切れ目を備える、請求項11に記載のトランス。
【請求項13】
前記放熱板と前記コアとの間に、熱伝導性接着剤、熱伝導性グリス及び熱伝導性シートのいずれかが設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のトランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トランスに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスは、交流電圧の変換、電力の転送等に、広く利用されている。トランスは、導線が巻かれたコイルを、フェライト等の磁性体からなるコアが囲う構造を呈している。大電力用のトランスは発熱が大きいため、コアの周囲に放熱板が設けられることがある。放熱板を利用したトランスの冷却構造についての検討が、特開2015-103537公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放熱板で冷却効果を上げるためには、コアの表面の多くの部分を放熱板で覆いつつ、コアと放熱板とを接触させることが有効である。しかし、コア及び放熱板の製造公差、コアと放熱板との熱膨張率の差等により、コアと放熱板との間に隙間が生じることがある。コアと放熱板との間の隙間は、放熱性の低下の要因となる。
【0005】
本発明者の意図するところは、放熱板とコアとの隙間の発生が抑えられた、トランスの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本トランスは、コイルと、前記コイルを内部に格納し、第一面、前記第一面に隣接する第二面及び前記第一面の反対側で前記第二面と隣接する第三面を備えるコアと、それぞれが前記コアの一部を覆う複数の放熱板と、を備える。前記第一面を覆う放熱板と、前記第三面を覆う放熱板とが異なっている。
【発明の効果】
【0007】
発明者らは、 一つの放熱板が、コアの連続して隣接する三つの面(第一面、第一面に隣接する第二面及び第一面の反対側で第二面と隣接する第三面)を覆うことにより、コアと放熱板との間の隙間が発生し易くなることを見いだした。すなわち、このようなトランスでは、コア及び放熱板の製造公差、コアと放熱板との熱膨張率の差等により、「第一面と第三面との距離」と、「放熱板の第一面を覆う部分と第三面を覆う部分との距離」との差が大きくなることが起こり、第一面又は第三面と放熱板との間に、隙間が生じていた。
【0008】
本トランスでは、コアの第一面を覆う放熱板と第三面を覆う放熱板とが異なっている。このため、製造公差又は熱膨張により、「第一面と第三面との距離」が所定の値からずれても、第一面とこれに対応する放熱板及び第三面とこれに対応する放熱板とを密着させることができる。このトランスでは、放熱板とコアとの隙間の発生が抑えられている。このトランスでは、優れた放熱効果が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るトランスが示された、斜視図である。
【
図3】
図3(A)は
図2のコイル及びコアが示された斜視図であり、
図3(B)はこのコイル及びコアが示された平面図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係るトランスのコイル及びコアが示された斜視図である。
【
図6】
図6(A)、(B)、(C)及び(D)は、それぞれさらに他の実施形態に係るトランスの側面が示された模式図である。
【
図7】
図7(A)及び(B)は、それぞれさらに他の実施形態に係るトランスの側面が示された模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1は、一実施形態に係るトランス2が示された斜視図である。
図2は、
図1のトランス2の分解斜視図である。
図1において、矢印Xはこのトランス2の前方を表す。この逆方向が後方である。矢印Yはこのトランス2の右方向を表す。この逆方向が左方向である。矢印Zはこのトランス2の上方を表す。この逆方向が下方である。
図1及び2に示されるように、このトランス2は、コイル4、一対の信号線6、コア8、複数の放熱板10及びテープ12を備えている。なお、
図2では、テープ12は省略されている。このトランス2は、コア8とコイル4との隙間に、図示されない充填体をさらに備えている。
【0012】
コイル4は、ボビン14とワイヤ16とを備える。ボビン14は環状を呈する。図示されないが、ワイヤ16には、第一ワイヤ及び第二ワイヤが存在する。第一ワイヤがボビン14の外周に巻かれ、1次コイルが形成されている。第二ワイヤがボビン14の外周に巻かれ、2次コイルが形成されている。
【0013】
一対の信号線6は、それぞれコイル4のワイヤ16と電気的に接続している。それぞれの信号線6には、第一ワイヤに繋がる第一信号線と、第二ワイヤと繋がる第二信号線とが存在する。第一信号線により一次コイルに電流が供給され、第二信号線により二次コイルで発生した電流が出力される。
【0014】
コア8は、内部にコイル4を格納している。
図3(A)は、コイル4、コア8及び信号線が示された斜視図であり、
図3(B)は、コイル4及びコア8の平面図である。この実施形態では、コア8は箱状を呈している。このコア8は、前面36及び背面38に開口18を備える。それぞれの開口18から、コイル4が露出している。コア8は、磁性体よりなる。この実施形態では、コア8はフェライトよりなる。コア8の材質が、珪素鋼であってもよい。
【0015】
図2に示されるとおり、コア8は第一ハーフ8aと第二ハーフ8bとを備える。第一ハーフ8aは、上面20と、上面20に連続する4つの側面22(第一側面22a、第二側面22b、第三側面及び第四側面)と、芯部26とを備える。このうち第一側面22a及び第三側面には、上面20側の端からその反対側の端まで貫通する、切れ目24が設けられている。芯部26は、上面20の中央から下側に延びている。
【0016】
第二ハーフ8bは、底面28と、底面28に連続する4つの側面30(第一側面30a、第二側面30b、第三側面及び第四側面)と、芯部34とを備えている。このうち第一側面22a及び第三側面には、底面28側の端からその反対側の端まで貫通する、切れ目32が設けられている。芯部34は、底面28の中央から上側に延びている。この実施形態では、第二ハーフ8bは、第一ハーフ8aと同じ形状を呈している。
【0017】
コイル4は、第二ハーフ8bの芯部34の周りに嵌め込まれている。第一ハーフ8aは、第二ハーフ8bに被せられている。これにより、コイル4がコア8に格納される。第一ハーフ8aの芯部26と第二ハーフ8bの芯部34とが、コア8の芯部を構成する。第一ハーフ8aの第一側面22aと、第二ハーフ8bの第一側面30aとが、コア8の前面36を構成する。このとき、第一ハーフ8aの第一側面22aに設けられた切れ目24と、第二ハーフ8bの第一側面30aに設けられた切れ目32とが、前述したコア8の前面36の開口18を形成する。同様に、第一ハーフ8aの第三側面と、第二ハーフ8bの第三側面とが、コア8の背面38を構成する。このとき、第一ハーフ8aの第三側面に設けられた切れ目と、第二ハーフ8bの第三側面に設けられた切れ目とが、コア8の背面38の開口18を形成する。一対の信号線6の一方は前面36の開口18を通して外部に引き出され、他方は背面38の開口18を通して外部に引き出されている。
【0018】
図3(B)に示されるように、コイル4は、コア8の前面36の開口18及び背面38の開口18から露出している。コイル4は、コア8の前面36より前方に突出していない。コイル4は、コア8の背面38より後方に突出していない。
【0019】
図4(A)はトランス2の正面図であり、
図4(B)はトランス2の右側面図である。
図4(A)及び(B)では、コア8及び放熱板10のみが示されている。複数の放熱板10のそれぞれは、コア8の一部を覆っている。
図2及び
図4(B)に示されるように、この実施形態では、第一屈曲放熱板10a、第二屈曲放熱板10b、第三屈曲放熱板10c及び第四屈曲放熱板10dが存在する。第一屈曲放熱板10aは、コア8の上面40と前面36とを覆っている。第二屈曲放熱板10bは、前面36と底面42とを覆っている。第三屈曲放熱板10cは、底面42と背面38とを覆っている。第四屈曲放熱板10dは、背面38と上面40とを覆っている。第一屈曲放熱板10a、第二屈曲放熱板10b、第三屈曲放熱板10c及び第四屈曲放熱板10dは、重なり無くコア8を覆っている。第一屈曲放熱板10aと第四屈曲放熱板10dとは、同じ形状を呈する。第二屈曲放熱板10bと第三屈曲放熱板10cとは、同じ形状を呈する。第一屈曲放熱板10a、第二屈曲放熱板10b、第三屈曲放熱板10c及び第四屈曲放熱板10dは、側面視において、L字状を呈する。
【0020】
図1に示されるように、第一屈曲放熱板10aは、コア8の前面36の開口18の、上面40側の端に対応する位置に、引き出し口44を備える。一方の信号線6は、前面36の開口18及びこの引き出し口44を介して、外部に引き出されている。第四屈曲放熱板10dは、コア8の背面38の開口18の、上面40側の端に対応する位置に、引き出し口44を備える。他方の信号線6は、背面38の開口18及びこの引き出し口44を介して、外部に引き出されている。
【0021】
図4(A)で示されるように、正面視において、第一屈曲放熱板10aの第二屈曲放熱板10bと対向する辺(第一屈曲放熱板10aの下辺)は、左右方向に対して(すなわち、前面36の上面40側の辺に対して)傾斜した傾斜部46を有する。この実施形態では、第一屈曲放熱板10aの下辺は、二つの傾斜部46を有する。正面視において、第二屈曲放熱板10bの第一屈曲放熱板10aと対向する辺(第二屈曲放熱板10bの上辺)は、左右方向に対して傾斜した傾斜部48を有する。この実施形態では、第二屈曲放熱板10bの上辺は、二つの傾斜部48を有する。第一屈曲放熱板10aの傾斜部46と、対応する第二屈曲放熱板10bの傾斜部48とは、平行に延びている。この実施形態では、第一屈曲放熱板10aの傾斜部46と、対応する第二屈曲放熱板10bの傾斜部48との間には、隙間50が設けられている。
【0022】
図示されないが、背面視において、第三屈曲放熱板10cの第四屈曲放熱板10dと対向する辺(第三屈曲放熱板10cの上辺)は、左右方向に対して傾斜した傾斜部を有する。背面視において、第四屈曲放熱板10dの第三屈曲放熱板10cと対向する辺(第四屈曲放熱板10dの下辺)は、左右方向に対して傾斜した傾斜部を有する。第三屈曲放熱板10cの傾斜部と、対応する第四屈曲放熱板10dの傾斜部とは、平行に延びている。この実施形態では、第三屈曲放熱板10cの傾斜部と、対応する第四屈曲放熱板10dの傾斜部との間には、隙間が設けられている。
【0023】
この実施形態では、平面視において、第一屈曲放熱板10aの第四屈曲放熱板10dと対向する辺(第一屈曲放熱板10aの後辺)は、左右方向に対して平行である。平面視において、第四屈曲放熱板10dの第一屈曲放熱板10aと対向する辺(第四屈曲放熱板10dの前辺)は、左右方向に対して平行である。第一屈曲放熱板10aの後辺と、第四屈曲放熱板10dの前辺との間には、隙間50が設けられている。第一屈曲放熱板10aの後辺が、左右方向に対して傾斜する傾斜部を有していてもよい。第四屈曲放熱板10dの前辺が、左右方向に対して傾斜する傾斜部を有していてもよい。
【0024】
図示されないが、この実施形態では、底面視において、第二屈曲放熱板10bの第三屈曲放熱板10cと対向する辺(第二屈曲放熱板10bの後辺)は、左右方向に対して平行である。第三屈曲放熱板10cの第二屈曲放熱板10bと対向する辺(第三屈曲放熱板10cの前辺)は、左右方向に対して平行である。第二屈曲放熱板10bの後辺と、第三屈曲放熱板10cの前辺との間には、隙間50が設けられている。第二屈曲放熱板10bの後辺が、左右方向に対して傾斜する傾斜部を有していてもよい。第三屈曲放熱板10cの前辺が、左右方向に対して傾斜する傾斜部を有していてもよい。
【0025】
それぞれの放熱板10は、熱伝導性の金属よりなる。典型的な放熱板10の材質として、SUS301、SUS304、C5191及びC521が挙げられる。なお、本明細書では、物質が「熱伝導性」であるとは、当該物質の熱伝導率が、10W/(m・K)以上であることを指す。ここで「W」は電力(ワット)を表し、mは距離(メートル)を表し、Kは温度(ケルビン)を表す。
【0026】
この実施形態では、それぞれの放熱板10は、テープ12でコア8に接着されている。放熱板10が、収縮チューブを放熱板10の周囲に巻くことで、コア8に接着されてもよい。
【0027】
図示されないが、コア8の内側とコイル4との間には、樹脂よりなる充填体が存在する。コア8の内側とコイル4との隙間は、充填体により埋められている。充填体は、前面36の引き出し口44又は背面38の引き出し口44から樹脂をコア8の内部に流し込み、固化させることで、形成される。好ましい樹脂として、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂が挙げられる。
【0028】
以下では、本実施形態の作用効果が説明される。
【0029】
一つの放熱板が、コアの連続して隣接する三つの面(例えば、上面、前面及び底面)を覆うトランスでは、コア及び放熱板の製造公差、又はコアと放熱板との熱膨張率の差等により、「コアの上面と底面との距離」と、「放熱板の上面を覆う部分と底面を覆う部分との距離」との差が大きくなることが起こりうる。この差は、上面又は底面と放熱板との間の隙間の要因となる。この隙間は、トランスの放熱性の低下の要因となりうる。
【0030】
この実施形態のトランス2では、上面40を第一屈曲放熱板10a及び第四屈曲放熱板10dが覆い、底面42を第二屈曲放熱板10b及び第三屈曲放熱板10cが覆っている。上面40を覆う放熱板10と、底面42を覆う放熱板10とは、異なっている。このため、製造公差や熱膨張等により、「コア8の上面40と底面42との距離」が所定の値からずれても、上面40と第一屈曲放熱板10a、上面40と第四屈曲放熱板10d、底面42と第二屈曲放熱板10b、及び底面42と第三屈曲放熱板10cとを密着させることができる。このトランス2では、上面40と第一屈曲放熱板10aとの間の隙間、上面40と第四屈曲放熱板10dとの間の隙間、底面42と第二屈曲放熱板10bとの間の隙間、及び底面42と第三屈曲放熱板10cとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス2では、高い放熱性が実現されている。
【0031】
この実施形態のトランス2では、前面36を第一屈曲放熱板10a及び第二屈曲放熱板10bが覆い、背面38を第三屈曲放熱板10c及び第四屈曲放熱板10dが覆っている。前面36を覆う放熱板10と、背面38を覆う放熱板10とは、異なっている。このため、製造公差や熱膨張等により、「コア8の前面36と背面38との距離」が所定の値からずれても、前面36と第一屈曲放熱板10a、前面36と第二屈曲放熱板10b、背面38と第三屈曲放熱板10c、及び背面38と第四屈曲放熱板10dとを密着させることができる。このトランス2では、前面36と第一屈曲放熱板10aとの間の隙間、前面36と第二屈曲放熱板10bとの間の隙間、背面38と第三屈曲放熱板10cとの間の隙間、及び背面38と第四屈曲放熱板10dとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス2では、高い放熱性が実現されている。
【0032】
この実施形態のトランス2では、第一屈曲放熱板10aは、コア8の上面40と前面36とを覆っている。換言すれば、第一屈曲放熱板10aは、上面40を覆う第一部と前面36を覆う第二部とを備える。第一屈曲放熱板10aの第一部と第二部との角を、上面40と前面36との角に合わせることで、第一屈曲放熱板10aと上面40及び前面36とを、容易に密着させることができる。
【0033】
同様に、この実施形態では、第二屈曲放熱板10bの第一部と第二部との角を、前面36と底面42との角に合わせることで、第二屈曲放熱板10bと前面36及び底面42とを、容易に密着させることができる。第三屈曲放熱板10cの第一部と第二部との角を、背面38と底面42との角に合わせることで、第三屈曲放熱板10cと背面38及び底面42とを、容易に密着させることができる。第四屈曲放熱板10dの第一部と第二部との角を、上面40と背面38との角に合わせることで、第四屈曲放熱板10dと上面40及び背面38とを、容易に密着させることができる。
【0034】
従来、コアと放熱板との間の隙間による放熱性の低下を抑えるために、コアと放熱板との間に、熱伝導性グリス、熱伝導性シート、熱伝導性樹脂等の熱伝導材が設けられることがあった。本トランス2では、コア8と放熱板10との間の隙間の発生が抑えられているため、コア8と放熱板10との間の熱伝導材が不要であるか、又は熱伝導材の使用量が抑えられている。このトランス2では、コストが抑えられている。
【0035】
正面視において、第一屈曲放熱板10aの下辺と第二屈曲放熱板10bの上辺とは、互いに対向する傾斜部46、48を備えているのが好ましい。第一屈曲放熱板10aの下辺及び第二屈曲放熱板10bの上辺は、熱膨張や製造時の公差により、上下方向にずれやすい。第一屈曲放熱板10aの下辺と第二屈曲放熱板10bの上辺とが互いに対向する傾斜部46、48を備えることで、これらが上下方向に離れるようにずれた場合においても、これらの辺の間の最短距離(
図4(A)の符号D)は、上下方向に離れた長さに比べて小さくなる。さらに、傾斜部46、48を設けることで、第一屈曲放熱板10aの下辺と第二屈曲放熱板10bの上辺が左右方向に延びる場合と比べて、第一屈曲放熱板10aの下辺と第二屈曲放熱板10bの上辺との、対向する部分の長さを長くできる。これは、良好な放熱性の実現に寄与する。
【0036】
それぞれの放熱板10の厚さTは、0.1mm以上が好ましい。厚さTを0.1mm以上とすることで、優れた放熱性が実現できる。この観点から、厚さTは0.2mm以上がより好ましい。厚さTは2.0mm以下が好ましい。厚さTが2.0mm以下の放熱板10は、変形し易い。この放熱板10は、容易にコア8に密着させることができる。この観点から、厚さTは0.4mm以下がより好ましい。
【0037】
図3(B)に示されるように、コイル4は、コア8の前面36から前方に突出していないのが好ましい。このようにすることで、放熱板10をコア8の前面36に密着させることが、容易となる。コイル4は、コア8の背面38から後方に突出していないのが好ましい。このようにすることで、放熱板10をコア8の背面38に密着させることが、容易となる。これは、良好な放熱性の実現に寄与する。またこれは、引き出し口44から流し込まれた充填体が、漏れるのを防止する。
【0038】
コア8の第一ハーフ8aと第二ハーフ8bとは、同じ形状を呈しているのが好ましい。このようにすることで、1種類の部品で第一ハーフ8aと第二ハーフ8bとが実現できる。これは、コア8の製造を容易にする。
【0039】
第一屈曲放熱板10aは、コア8の前面36の開口18の、上面40側の端に対応する位置に、引き出し口44を備えるのが好ましい。第四屈曲放熱板10dは、コア8の背面38の開口18の、上面40側の端に対応する位置に、引き出し口44を備えるのが好ましい。このようにすることで、信号線6の引き出しを容易にするとともに、コア8とコイル4との隙間への充填体の流し込みを容易にしている。さらに、引き出し口44から充填体として熱伝導性樹脂を流し込むことで、ワイヤ及び信号線を介した放熱を可能としている。
【0040】
図5は、他の実施形態に係るトランス60のコイル62、コア64及び信号線66が示された斜視図である。このコア64では、第二ハーフ64bの第一側面67及び第三側面に、切れ目が設けられていない。第二ハーフ64bに切れ目が設けられていないことの他は、このトランス60の構造は、
図1のトランス2の構造と同じである。
【0041】
このトランス60では、第二ハーフ64bに切れ目が設けられていないため、放熱板の引き出し口より、第一ハーフ64aの切れ目68を通して流し込まれた充填体は、外部に漏れにくい。充填体は、効率良くコア64とコイル62との隙間に充填される。このトランス60は、製造コストが抑えられている。
【0042】
図6(A)から(D)、
図7(A)及び(B)は、さらに他の実施形態に係るトランスが示された、模式図である。これらは、トランスの側面図である。これらの図には、コアと放熱板のみが示されている。これらのトランスでは、コアは
図4のコア8と同じであるため、
図4と同じ番号が付されている。
【0043】
図6(A)の実施形態のトランス70は、第一屈曲放熱板72a、第二屈曲放熱板72b、第三屈曲放熱板72c及び第四屈曲放熱板72dを備える。
図6(A)のトランス70の放熱板72の形状は、それぞれ
図4のトランス2の対応する放熱板10の形状と同じである。
図6(A)のトランス70は、熱伝導性シート74が、コア8と放熱板72との間に設けられている点で、
図4のトランス2と異なる。コア8と放熱板72とは、熱伝導性シート74を介して接触している。
【0044】
この実施形態では、コア8と放熱板72との間に、熱伝導性シート74が設けられている。これにより、コア8と放熱板72との間の隙間の発生が、効果的に抑えられている。さらに熱伝導性シート74は、前面36の開口18及び背面38の開口18を覆うため、引き出し口から流し込まれた充填体は、外部に漏れにくい。このトランス60は、製造コストが抑えられている。
【0045】
図6(B)の実施形態のトランス80は、第一屈曲放熱板82a、第二屈曲放熱板82b及び平板放熱板82cを備える。第一屈曲放熱板82aは、前面36と底面42とを覆っている。第一屈曲放熱板82aは、前面36の全体を覆っている。第二屈曲放熱板82bは、底面42と背面38とを覆っている。第二屈曲放熱板82bは、背面38の全体を覆っている。平板放熱板82cは、上面40を覆っている。第一屈曲放熱板82a、第二屈曲放熱板82b及び平板放熱板82cは、重なり無くコア8を覆っている。それぞれの放熱板82とコア8との間には、熱伝導性グリス84が設けられている。
【0046】
この実施形態のトランス80では、上面40を平板放熱板82cが覆い、底面42を第一屈曲放熱板82a及び第二屈曲放熱板82bが覆っている。上面40を覆う放熱板82と、底面42を覆う放熱板82とは、異なっている。このため、上面40と平板放熱板82c、底面42と第一屈曲放熱板82a、及び底面42と第二屈曲放熱板82bとを密着させることができる。このトランス80では、上面40と平板放熱板82cとの間の隙間、底面42と第一屈曲放熱板82aとの間の隙間、及び底面42と第二屈曲放熱板82bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス80では、高い放熱性が実現されている。
【0047】
この実施形態のトランス80では、前面36を第一屈曲放熱板82aが覆い、背面38を第二屈曲放熱板82bが覆っている。前面36を覆う放熱板82と、背面38を覆う放熱板82とは、異なっている。このため、前面36と第一屈曲放熱板82a、及び背面38と第二屈曲放熱板82bとを密着させることができる。このトランス80では、前面36と第一屈曲放熱板82aとの間の隙間、及び背面38と第二屈曲放熱板82bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス80では、高い放熱性が実現されている。
【0048】
この実施形態では、コア8と放熱板82との間に、熱伝導性グリス84が設けられている。これにより、コア8と放熱板82との間の隙間の発生が、効果的に抑えられている。
【0049】
図6(C)の実施形態のトランス86は、第一屈曲放熱板88a及び第二屈曲放熱板88bを備える。第一屈曲放熱板88aは、上面40と前面36とを覆っている。第一屈曲放熱板88aは、前面36の全体を覆っている。第二屈曲放熱板88bは、上面40と背面38とを覆っている。第二屈曲放熱板88bは、背面38の全体を覆っている。第一屈曲放熱板88a及び第二屈曲放熱板88bは、重なり無くコア8を覆っている。底面42を覆う放熱板は、存在しない。それぞれの放熱板88とコア8の間には、熱伝導性接着剤89が設けられている。
【0050】
この実施形態のトランス86では、前面36を第一屈曲放熱板88aが覆い、背面38を第二屈曲放熱板88bが覆っている。前面36を覆う放熱板88と、背面38を覆う放熱板88とは、異なっている。このため、前面36と第一屈曲放熱板88a、及び背面38と第二屈曲放熱板88bとを密着させることができる。このトランス86では、前面36と第一屈曲放熱板88aとの間の隙間、及び背面38と第二屈曲放熱板88bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス86では、高い放熱性が実現されている。
【0051】
この実施形態のトランス86では、上面40を第一屈曲放熱板88a及び第二屈曲放熱板88bが覆い、底面42を覆う放熱板は存在しない。第一屈曲放熱板88a及び第二屈曲放熱板88bは、いずれも底面42を覆っていない。製造公差や熱膨張等により、「コア8の上面40と底面42との距離」が所定の値からずれても、上面40と第一屈曲放熱板88a及び上面40と第二屈曲放熱板88bとを密着させることができる。このトランス86では、上面40と第一屈曲放熱板88aとの間の隙間及び上面40と第二屈曲放熱板88bとの間の隙間の発生が、抑えられている。
【0052】
この実施形態のトランス86では、底面42を覆う放熱板は存在しない。トランス86は、放熱性に優れた基板の上に配置されることがある。この場合、底面42からこの基板を通して放熱がされる。このトランス86では、優れた放熱性を実現しつつ、必要な放熱板88の数が抑えられている。
【0053】
この実施形態では、コア8と放熱板88との間に、熱伝導性接着剤89が設けられている。これにより、コア8と放熱板82との間の隙間の発生が、効果的に抑えられている。またこの熱伝導性接着剤89により、放熱板82の位置ずれ及びコア8からの脱離が、効果的に防止されている。
【0054】
図6(D)の実施形態のトランス90は、第一屈曲放熱板92a及び第二屈曲放熱板92bを備える。第一屈曲放熱板92aは、前面36と底面42を覆っている。第一屈曲放熱板92aは、前面36及び底面42の全体を覆っている。第二屈曲放熱板92bは、背面38と上面40を覆っている。第二屈曲放熱板92bは、背面38及び上面40の全体を覆っている。それぞれの放熱板92とコア8の間には、熱伝導性接着剤93が設けられている。
【0055】
この実施形態のトランス90では、前面36を第一屈曲放熱板92aが覆い、背面38を第二屈曲放熱板92bが覆っている。前面36を覆う放熱板92と、背面38を覆う放熱板92とは、異なっている。このため、前面36と第一屈曲放熱板92a及び背面38と第二屈曲放熱板92bとを密着させることができる。このトランス90では、前面36と第一屈曲放熱板92aとの間の隙間及び背面38と第二屈曲放熱板92bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス90では、高い放熱性が実現されている。
【0056】
この実施形態のトランス90では、底面42を第一屈曲放熱板92aが覆い、上面40を第二屈曲放熱板92bが覆っている。底面42を覆う放熱板92と、上面40を覆う放熱板92とは、異なっている。このため、底面42と第一屈曲放熱板92a及び上面40と第二屈曲放熱板92bとを密着させることができる。このトランス90では、底面42と第一屈曲放熱板92aとの間の隙間及び上面40と第二屈曲放熱板92bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス90では、高い放熱性が実現されている。
【0057】
図7(A)の実施形態のトランス94は、平板放熱板96a及び屈曲放熱板96bを備える。平板放熱板96aは、前面36を覆っている。平板放熱板96aは、前面36の全体を覆っている。屈曲放熱板96bは、上面40及び背面38を覆っている。屈曲放熱板96bは、上面40及び背面38の全体を覆っている。それぞれの放熱板96とコア8との間には、熱伝導性接着剤97が設けられている。
【0058】
この実施形態のトランス94では、前面36を平板放熱板96aが覆い、背面38を屈曲放熱板96bが覆っている。前面36を覆う放熱板96と、背面38を覆う放熱板96とは、異なっている。このため、前面36と平板放熱板96a及び背面38と屈曲放熱板96bとを密着させることができる。このトランス94では、前面36と平板放熱板96aとの間の隙間及び背面38と屈曲放熱板96bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス94では、高い放熱性が実現されている。
【0059】
この実施形態のトランス94では、上面40を屈曲放熱板96bが覆い、底面42を覆う放熱板は存在しない。屈曲放熱板96bは、底面42を覆っていない。製造公差や熱膨張等により、「コア8の上面40と底面42との距離」が所定の値からずれても、上面40と屈曲放熱板96bとを密着させることができる。このトランス94では、上面40と屈曲放熱板96bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス94では、高い放熱性が実現されている。
【0060】
図7(B)の実施形態のトランス98は、第一平板放熱板100a、第二平板放熱板100b及び第三平板放熱板100cを備える。第一平板放熱板100aは、前面36を覆っている。第一平板放熱板100aは、前面36の全体を覆っている。第二平板放熱板100bは、上面40を覆っている。第二平板放熱板100bは、上面40の全体を覆っている。第三平板放熱板100cは、背面38を覆っている。第三平板放熱板100cは、背面38の全体を覆っている。底面42を覆う放熱板は、存在しない。それぞれの放熱板100とコア8との間には、熱伝導接着剤102が設けられている。
【0061】
この実施形態のトランス98では、前面36を第一平板放熱板100aが覆い、背面38を第三平板放熱が覆っている。前面36を覆う放熱板100と、背面38を覆う放熱板100とは、異なっている。このため、前面36と第一平板放熱板100a及び背面38と第三平板放熱板100cとを密着させることができる。このトランス98では、前面36と第一平板放熱板100aとの間の隙間及び背面38と第三平板放熱板100cとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス98では、高い放熱性が実現されている。
【0062】
この実施形態のトランス98では、上面40を第二平板放熱板100bが覆い、底面42を覆う放熱板は存在しない。このため、上面40と第二平板放熱板100bとを密着させることができる。このトランス98では、上面40と第二平板放熱板100bとの間の隙間の発生が、抑えられている。このトランス98では、高い放熱性が実現されている。
【0063】
以上説明された実施形態のトランスでは、コイルは、コアの前面から前方に突出しておらず、かつコアの背面から後方に突出していない。図示されないが、コイルは、コアの前面から前方に突出していてもよく、コアの背面から後方に突出していてもよい。この場合、コアと放熱板との間に、熱伝導性シートを設けるのが好ましい。熱伝導性シートは、コイルがコアの前面又は背面から突出している場合でも、コアの前面又は背面を覆うことができる。これにより、コイルとコアとの間に流し込まれた充填体が、外部に漏れることが防止される。
【0064】
以上説明された実施形態では、トランスの右側面及び左側面は、放熱板に覆われていない。トランスの右側面及び左側面が、放熱板に覆われていてもよい。例えば、トランスの右側面、上面及び左側面が、放熱板に覆われていてもよい。この場合、右側面を覆う放熱板と、左側面を覆う放熱板は異なるのが好ましい。
【0065】
以上説明されたとおり、このトランスでは、放熱板とコアとの間の隙間の発生が抑えられている。このことから、本発明の優位性は明らかである。
【0066】
[開示項目]
以下の項目は、好ましい実施形態の開示である。
【0067】
[項目1]
コイルと、
前記コイルを内部に格納し、第一面、前記第一面に隣接する第二面及び前記第一面の反対側で前記第二面と隣接する第三面を備えるコアと、
それぞれが前記コアの一部を覆う複数の放熱板と、
を備え、
前記第一面を覆う放熱板と、前記第三面を覆う放熱板とが異なっている、トランス。
【0068】
[項目2]
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第二面及び前記第三面を覆う第二屈曲放熱板と、を含み、
前記第一屈曲放熱板と前記第二屈曲放熱板とが、前記第二面を重なりなく覆っている、項目1に記載のトランス。
【0069】
[項目3]
前記第二面の前方側から見たとき、前記第一屈曲放熱板の前記第二屈曲放熱板に対向する辺、及び前記第二屈曲放熱板の前記第一屈曲放熱板に対向する辺が、前記第二面の前記第一面側の辺に対して傾斜した傾斜部を有する、項目2に記載のトランス。
【0070】
[項目4]
前記第一屈曲放熱板が、前記第一面の全面を覆っており、
前記第二屈曲放熱板が、前記第三面の全面を覆っている、項目2又は3に記載のトランス。
【0071】
[項目5]
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第三面を覆う平板放熱板とを含む、項目1に記載のトランス。
【0072】
[項目6]
前記複数の放熱板が、前記第一面を覆う第一平板放熱板、前記第二面を覆う第二平板放熱板及び前記第三面を覆う第三平板放熱板を含む、項目1に記載のトランス。
【0073】
[項目7]
前記コアが、前記第二面の反対側で前記第三面と隣接する第四面をさらに備え、
前記第二面を覆う放熱板と前記第四面を覆う放熱板とが異なっている、項目1から6のいずれかに記載のトランス。
【0074】
[項目8]
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板、前記第二面及び前記第三面を覆う第二屈曲放熱板、前記第三面及び前記第四面を覆う第三屈曲放熱板、及び前記第四面及び前記第一面を覆う第四屈曲放熱板を含み、
前記第一屈曲放熱板、前記第二屈曲放熱板、前記第三屈曲放熱板及び前記第四屈曲放熱板が、互いに重なりを有していない、項目7に記載のトランス。
【0075】
[項目9]
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第三面及び前記第四面を覆う第二屈曲放熱板とを含む、項目7に記載のトランス。
【0076】
[項目10]
前記複数の放熱板が、前記第一面及び前記第二面を覆う第一屈曲放熱板と、前記第二面及び前記第三面を覆う第二屈曲放熱板と、前記第四面を覆う平板放熱板を含む、項目7に記載のトランス。
【0077】
[項目11]
前記コイルと電気的に接続する信号線をさらに備え、
前記コアが、第一ハーフと前記第一ハーフに被せられた第二ハーフとを備え、
前記第一ハーフが、上面とこの上面から延びる側面を備え、
前記第二ハーフが、底面とこの底面から延びる側面を備え、
前記第一ハーフの側面と、前記第二ハーフの側面とが、前記コアの1つの面を構成しており、
前記第一ハーフが、前記第一ハーフの側面において、前記第二ハーフ側の端から前記上面側の端に到る切れ目を備えており、
前記複数の放熱板のうちの1つが、前記切れ目の前記上面側の端に対応する位置に、引き出し口を備えており、
前記信号線が、前記切れ目及び前記引き出し口を介して外部に露出している、項目1から10のいずれかに記載のトランス。
【0078】
[項目12]
前記第二ハーフが、前記第二ハーフの側面において、前記第一ハーフの切れ目に連続し、前記底面側の端まで延びる切れ目を備える、項目11に記載のトランス。
【0079】
[項目13]
前記放熱板と前記コアとの間に、熱伝導性接着剤、熱伝導性グリス及び熱伝導性シートのいずれかが設けられている、項目1から12のいずれかに記載のトランス。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明されたトランスは、種々の電子機器に適用されうる。
【符号の説明】
【0081】
2、60、70、80、86、90、94、98・・・トランス
4・・・コイル
6・・・信号線
8、64・・・コア
8a、64a・・・第一ハーフ
8b、64b・・・第二ハーフ
10、72、82、88、92、96、100・・・放熱板
12・・・テープ
14・・・ボビン
16・・・ワイヤ
18・・・開口
20・・・第一ハーフの上面
22・・・第一ハーフの側面
24・・・第一ハーフの切れ目
26・・・第一ハーフの芯部
28・・・第二ハーフの底面
30・・・第二ハーフの側面
32・・・第二ハーフの切れ目
34・・・第二ハーフの芯部
36・・・コアの前面
38・・・コアの背面
40・・・コアの上面
42・・・コアの底面
44・・・引き出し口
46、48・・・傾斜部
50・・・隙間