(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156008
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/645 20210101AFI20231017BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20231017BHJP
【FI】
H01M50/645
H01M50/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065573
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 達也
【テーマコード(参考)】
5H011
5H023
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011DD12
5H011KK01
5H023AS01
5H023CC11
(57)【要約】
【課題】電池ケースに貫通孔が形成されるとともにその貫通孔がキャップで閉鎖されている構造であって、キャップの接合が確実である電池を、その製造方法とともに提供すること。
【解決手段】本開示技術に係る電池では、電池ケース5に、貫通孔10の周囲の環状の第1接合面12と、その外側かつ外面側の環状の第1被加工面15とを有し、キャップ8は、第1被加工面15の内周より小径であり、第1接合面12に対向する第2接合面22と、外面側の環状の第2被加工面17とを有するものであり、第1接合面12と第2接合面との22少なくとも一方に環状の接合凸部18が設けられており、第1接合面12と第2接合面22とが、接合凸部18の箇所にて環状に接合されており、第1被加工面15と第2被加工面17とのいずれにも被加工痕が環状に形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケースと、前記電池ケースに内蔵された発電要素とを有し、前記電池ケースに貫通孔が形成されるとともに前記貫通孔がキャップで閉鎖されている電池であって、
前記電池ケースは、
前記貫通孔の周囲の外面側の環状の第1接合面と、
前記第1接合面より前記貫通孔から見て外側かつ外面側の環状の第1被加工面とを有するものであり、
前記キャップは、
前記第1被加工面の内周より小径であるとともに、
前記第1接合面に対向する内面側の第2接合面と、
外面側の環状の第2被加工面とを有するものであり、
前記第1接合面と前記第2接合面との少なくとも一方に環状の接合凸部が設けられており、
前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記接合凸部の箇所にて環状に接合されており、
前記第1被加工面と前記第2被加工面とのいずれにも被加工痕が環状に形成されている電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記第1被加工面と前記第2被加工面とがいずれも、前記貫通孔の中心寄りほど高い凸状傾斜面である電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池であって、
前記第1被加工面と前記第2被加工面とが、互いに段差をなさずに平坦面をなしている電池。
【請求項4】
電池ケースと、前記電池ケースに内蔵された発電要素とを有し、前記電池ケースに貫通孔が形成されるとともに前記貫通孔がキャップで閉鎖されている電池を製造する電池の製造方法であって、
前記電池ケースは、
前記貫通孔の周囲の外面側の環状の第1接合面と、
前記第1接合面より前記貫通孔から見て外側かつ外面側の環状の第1被加工面とを有するものであり、
前記キャップは、
前記第1被加工面の内周より小径であるとともに、
前記第1接合面に対向する内面側の第2接合面と、
外面側の環状の第2被加工面とを有するものであり、
前記第1接合面と前記第2接合面との少なくとも一方に環状の接合凸部が設けられており、
前記第1接合面と前記第2接合面とが前記接合凸部の箇所にて接触するように前記キャップを配置して前記貫通孔を前記キャップで覆い、
加振面を有する加振ツールを、前記加振面が前記第2被加工面に接触するとともに前記第1被加工面には接触しないように前記キャップに当て、
前記加振ツールで前記第2被加工面を通して前記キャップに加振して前記第1接合面と前記第2接合面とを前記接合凸部の箇所にて環状にて接合させつつ、
前記加振面が前記第1被加工面に接触するまで前記加振ツールを前記電池ケースへ向けて進行させ、
前記加振ツールによる加振を、前記第1被加工面と前記第2被加工面とのいずれにも被加工痕が環状に形成されるまで継続してそこで終了する電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電池の製造方法であって、
前記第1被加工面と前記第2被加工面とがいずれも、前記貫通孔の中心寄りほど高い凸状傾斜面であり、
前記加振面が、前記第1被加工面および前記第2被加工面の傾斜に合わせた凹状傾斜面である電池の製造方法。
【請求項6】
請求項4および請求項5に記載の電池の製造方法であって、
前記加振面が段差のない平坦面であり、
接合終了時に前記第1被加工面と前記第2被加工面とを、互いに段差をなさない平坦面とさせる電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池における内容物を収納する電池ケースには、注液等の目的のために貫通孔が形成されているものがある。電池ケースの貫通孔は、注液等、その目的とする工程の終了後にはキャップで閉鎖される。電池の製造過程では、その閉鎖のためにキャップを電池ケースに接合する技術として、超音波接合が用いられる場合がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の技術では、接合不良の発生率を低く抑えることが困難であった。超音波接合では、接合が完了した時点で超音波の加振を停止する必要がある。接合の完了後も加振を続けていると、せっかくできた接合部が破壊されてしまうからである。しかし加振開始から接合完了までの時間の長さには個体差がある。このため、加振不足による接合未完、あるいは過剰加振による接合破壊となる個体がどうしても発生した。このように、過不足のない適切な超音波接合を行うことは容易でなかった。
【0005】
本開示技術は、前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、電池ケースに貫通孔が形成されるとともにその貫通孔がキャップで閉鎖されている構造であって、キャップの接合が確実である電池を、その製造方法とともに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様における電池は、電池ケースと、電池ケースに内蔵された発電要素とを有し、電池ケースに貫通孔が形成されるとともに貫通孔がキャップで閉鎖されているものであって、電池ケースは、貫通孔の周囲の外面側の環状の第1接合面と、第1接合面より貫通孔から見て外側かつ外面側の環状の第1被加工面とを有するものであり、キャップは、第1被加工面の内周より小径であるとともに、第1接合面に対向する内面側の第2接合面と、外面側の環状の第2被加工面とを有するものであり、第1接合面と第2接合面との少なくとも一方に環状の接合凸部が設けられており、第1接合面と第2接合面とが、接合凸部の箇所にて環状に接合されており、第1被加工面と第2被加工面とのいずれにも被加工痕が環状に形成されているものである。
【0007】
本開示技術の別の一態様における電池の製造方法は、上記電池を製造するための方法であって、第1接合面と第2接合面とが接合凸部の箇所にて接触するようにキャップを配置して貫通孔をキャップで覆い、加振面を有する加振ツールを、加振面が第2被加工面に接触するとともに第1被加工面には接触しないようにキャップに当て、加振ツールで第2被加工面を通してキャップに加振して第1接合面と第2接合面とを接合凸部の箇所にて環状にて接合させつつ、加振面が第1被加工面に接触するまで加振ツールを電池ケースへ向けて進行させ、加振ツールによる加振を、第1被加工面と第2被加工面とのいずれにも被加工痕が環状に形成されるまで継続してそこで終了する方法である。
【0008】
上記態様における電池およびその製造方法では、第1接合面と第2接合面との接合のための加振の終了が、接合の前後でのキャップの進行量によって管理されている。このため、時間による管理の場合とは異なり、良好な接合品質が歩留まりよく得られる。
【0009】
上記の電池およびその製造方法では、第1被加工面と第2被加工面とがいずれも、前記貫通孔の中心寄りほど高い凸状傾斜面であることが望ましい。その場合、加振面は、第1被加工面および第2被加工面の傾斜に合わせた凹状傾斜面であることが望ましい。こうすることで、完成後の電池に余計な凹凸があまり残らず、また、異物が溜まりうるような凹状の箇所もあまり残らない。
【0010】
上記のいずれかの電池およびその製造方法では、第1被加工面と前記第2被加工面とが、互いに段差をなさずに平坦面をなしていることが望ましい。こうすることで、完成後の電池に余計な段差部があまり残ら残らない。また、加振ツールの加振面は、段差のない単純な平坦面でよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示技術によれば、電池ケースに貫通孔が形成されるとともにその貫通孔がキャップで閉鎖されている構造であって、キャップの接合が確実である電池が、その製造方法とともに提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る電池の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1の電池の封口キャップの取り付け前の状態を示す部分斜視図である。
【
図5】封口キャップの蓋体への接合を開始する時点での断面図である。
【
図6】封口キャップの蓋体への接合が完了する時点での断面図である。
【
図7】接合が完了後の封口キャップおよびその周辺を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、
図1に示す電池1に本開示技術を適用したものである。
図1の電池1は、電池ケース2に発電要素3を内蔵してなるものである。発電要素3は、正負の電極シートを積層したものである。電池ケース2には電解液も封入されている。
【0014】
電池ケース2は、箱体4と蓋体5とにより構成されている。発電要素3は箱体4に収納されている。蓋体5には、正負の対外端子6、7と、封口キャップ8と、安全弁9とが設けられている。対外端子6、7はそれぞれ、発電要素3の正負の電極シートの一方と電池ケース2内で接続されているものである。封口キャップ8は、蓋体5に設けられている貫通孔である注液口を塞いでいるキャップである。安全弁9は、電池1の内圧がある程度上昇したときに自ら開裂して内圧の過上昇を防ぐために意図的に設けた脆弱箇所である。
【0015】
封口キャップ8について説明する。封口キャップ8は、電池1の製造過程中の注液工程の後で電池1に取り付けられたものである。電池1の蓋体5における封口キャップ8が取り付けられる前の時点での該当箇所には、
図2に示すように注液口10が形成されている。注液口10は、電池ケース2の内部に電解液を注入するための貫通孔である。電解液の注入(注液工程)を行うのはむろん、箱体4への蓋体5の取り付けが済んだ後である。蓋体5への対外端子6、7の取り付けおよび対外端子6、7の発電要素3の接続はさらにその前になされている。箱体4への蓋体5の取り付け時に箱体4への発電要素3の収納もなされる。注液工程後における注液口10の閉鎖は、蓋体5における注液口10の部位に対して封口キャップ8を接合することにより行われる。接合は、超音波振動数での加振により行われる。
【0016】
閉鎖前における注液口10の構造を
図3の断面図により説明する。
図3に示すように、蓋体5における注液口10の周囲には、鍔状部11が形成されている。鍔状部11の外面側の面を接合面12という。本形態では鍔状部11の肉厚は、蓋体5における注液口10の周囲以外の場所における肉厚より薄い。鍔状部11の周囲には、外面向きに盛り上がった凸部13が形成されている。凸部13の内面は、垂直な壁面14とされている。凸部13の外面は、傾斜面15とされている。傾斜面15は、注液口10の中心寄りほど高い向きに傾斜した面である。傾斜面15は、注液口10から見て接合面12より外側に位置しており、蓋体5における外面側の面である。鍔状部11、接合面12、凸部13、壁面14、傾斜面15はいずれも、実際には環状である。傾斜面15は円錐の側面状の凸状傾斜面である。傾斜面15は第1被加工面である。
【0017】
封口キャップ8の形状を説明する。封口キャップ8を上方から見た全体形状は円形である。
図4の断面図に示されるように、封口キャップ8の外面側には、平坦部16とその周囲の傾斜面17とが設けられている。傾斜面17は、中心寄りほど高い向きに傾斜した面である。封口キャップ8の内面側の裏面22には、先端が細い接合凸部18が形成されている。傾斜面17、接合凸部18はいずれも、実際には環状である。傾斜面17は円錐の側面状の凸状傾斜面である。傾斜面17は第2被加工面である。封口キャップ8の全径は、傾斜面15の内周の径、つまり壁面14の径より小さい。接合凸部18の先端の径は、壁面14の径より小さく、注液口10の径より大きい。傾斜面15と傾斜面17との傾斜の程度は同じである。
【0018】
封口キャップ8で注液口10を閉鎖するときには、
図5の断面図に示すように、蓋体5における注液口10の箇所に封口キャップ8を置く。このように封口キャップ8を配置した状態で、接合面12と裏面22とが対面している。接合面12と裏面22とは、接合凸部18の先端の箇所にて接触している。接合面12が第1接合面であり裏面22が第2接合面である。これにより、注液口10が封口キャップ8で覆われた状態となっている。このとき、傾斜面15と傾斜面17との間には段差があり、傾斜面17の下端(外周)の方が傾斜面15の上端(内周)より高い位置にある。接合凸部18の突出高さは、このような段差ができるように設定されている。
【0019】
図5には、蓋体5および封口キャップ8に加えて、加振ツール19が描かれている。加振ツール19は、加工対象物に超音波周波数の振動を加えるツールである。加振ツール19は、加振面20を有している。加振面20は、円錐状の凹状傾斜面である。その傾斜の程度は、傾斜面15および傾斜面17の傾斜に合わせられている。加振面20は、段差のない平坦面である。
図5の状態は、加振ツール19を封口キャップ8に対して上方から押し当てた状態である。この状態で加振面20は、傾斜面17には接触しているが傾斜面15には接触していない。この状態が、封口キャップ8の蓋体5への接合を開始する時点での状態である。
【0020】
蓋体5に封口キャップ8を接合する処理は、
図5の状態から、加振ツール19で加振しつつ、加振ツール19を蓋体5へ向けて進行させていくことにより行われる。電池1そのものはこのとき固定されており、封口キャップ8が加振ツール19により押し下げられても移動しない。加振ツール19の振動は、
図5の状態では、傾斜面17を介して封口キャップ8にのみ伝達され、蓋体5には伝達されない。このため、接合凸部18の先端と接合面12との接触箇所が摩擦により局所的に昇温して、溶融、接合に至る。接合凸部18と接合面12とは、
図5の状態では接合凸部18の先端のごく狭い範囲で接触しているに過ぎない。しかし、封口キャップ8を加振しつつ押し下げていくことで、接触幅、つまり接合幅が広がっていく。
【0021】
加振しつつ封口キャップ8を押し下げていくとやがて、
図6に示す状態となる。
図6の状態では、
図5の状態と比較して、加振ツール19および封口キャップ8が少し下がっている。これにより
図6の状態では、接合凸部18の箇所での接合箇所がある程度広い幅を持っている。接合面12と裏面22とは接合凸部18の箇所で環状に接合されている。その接合箇所は注液口10を囲んでいる。また、傾斜面15と傾斜面17との段差が消失している。これにより、加振面20が傾斜面17と傾斜面15との両方に接触する状態となっている。
【0022】
この状態になると加振ツール19の振動は、傾斜面17および傾斜面15を介して封口キャップ8と蓋体5との両方に伝達される。したがって封口キャップ8と蓋体5とは同じ振動をする。このため、すでに形成されている接合凸部18と接合面12との接合箇所が振動により破壊されてしまうことがない。また、これ以降、加振ツール19および封口キャップ8をさらに下降させることはできない。この状態は、蓋体5への封口キャップ8の接合が完了した状態である。したがってこの状態になれば、加振ツール19による加振を終了することができる。その後に加振ツール19を電池1から退避させれば、接合処理は終了する。
【0023】
接合が終了した状態での電池1では、封口キャップ8(傾斜面17)と蓋体5(傾斜面15)とが、互いに段差をなさずに平坦面をなしている。また、
図7に示すように、傾斜面17と傾斜面15とに跨がって、被加工痕21が形成されている。被加工痕21は、振動する加振面20と接触したことにより形成された、ある程度の凹凸を有する荒れ面である。被加工痕21は、封口キャップ8および蓋体5における加振面20と接触しなかった範囲に対して、肉眼で容易に識別できる。被加工痕21のうち傾斜面17の部分および傾斜面15の部分はいずれも、環状をなしている。加振面20が傾斜面15に接触して以後の加振ツール19の加振は、傾斜面17に被加工痕21が形成される程度に継続すれば十分である。
【0024】
上記本形態においては、加振ツール19による加振の終了時期を、時間ではなく、封口キャップ8の沈み込み量で管理しているといえる。沈み込み量とは、
図5中における傾斜面15と傾斜面17との間の段差のことである。このため、蓋体5および封口キャップ8との接合品質について、不良品が発生しにくく歩留まりが高い。接合凸部18の突出高さの精度を適切に管理しておけばよく、個体差の影響をあまり受けないからである。
【0025】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば、電池1の注液口10の注液後における封口キャップ8による閉鎖を、超音波接合により行うこととしている。そして、接合工程の前期には封口キャップ8のみが加振ツール19に接触し、接合工程の終期に至ると蓋体5も加振ツール19に接触するようにしている。これにより、封口キャップ8と蓋体5とが環状に接合されて注液口10を確実に閉鎖した電池1が、歩留まりよく得られるようにしている。このようにして、電池ケース2に貫通孔10が形成されるとともにその貫通孔10がキャップ8で閉鎖されている構造であって、キャップ8の接合が確実である電池1が、その製造方法とともに実現されている。
【0026】
本実施の形態および実施例は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。したがって本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、電池1の電池種は問わない。安全弁9は必須のものではない。超音波接合時に、電池1を固定して加振ツール19を押し下げる代わりに、加振ツール19を固定して電池1を押し上げてもよい。
【0027】
封口キャップ8およびその周辺については、種々の変形が可能である。鍔状部11が蓋体5における他の箇所より薄肉であることは必須ではない。蓋体5における壁面14は、厳密な垂直面でなくてもよい。封口キャップ8の平坦部16はドーム状であってもよいし、逆に凹状であってもよい。接合凸部18が封口キャップ8の裏面22に設けられる代わりに蓋体5の接合面12に設けられていてもよい。接合凸部18は二重環状、あるいはそれ以上の多重環状になっていてもよい。その場合、一部の接合凸部18が接合面12に、残りの接合凸部18が裏面22に設けられていてもよい。
【0028】
傾斜面15、傾斜面17、加振面20の関係は、前述のものには限られない。傾斜面15と傾斜面17との傾斜の程度が違っていてもよい。ただしその場合、加振面20もそれに合わせて、傾斜の程度が途中で変わっている形状である必要がある。傾斜面15、傾斜面17、加振面20のいずれもが平面である構成も可能である。傾斜面15および傾斜面17が凹状で加振面20が凸状である構成も可能である。ただし、完成品の電池1の状態で封口キャップ8の周辺に余計な凹凸がなるべく残らないこと、また、異物が溜まりうるような凹状の箇所を残さないこと、という観点から、傾斜面15および傾斜面17が凸状である本形態の構成の方が有利である。
【0029】
図5の加工開始時において傾斜面15と傾斜面17との間に段差があり、
図6の加工終了時において傾斜面15と傾斜面17との間に段差がないということも必須ではない。加工開始時に段差がなく加工終了時に段差があるという構成も可能であるし、加工開始時と加工終了時とのいずれにも段差があるという構成も可能である。ただしこれらの場合、加振面20が段差のある形状であることを要する。また、完成品の電池1の状態で封口キャップ8の周辺に異物が溜まりうるような段差状の箇所を残さないこと、という観点から、加工終了時に段差がなくなる本形態の構成の方が有利である。
【符号の説明】
【0030】
1 電池 15 傾斜面
2 電池ケース 17 傾斜面
3 発電要素 18 接合凸部
4 箱体 19 加振ツール
5 蓋体 20 加振面
8 封口キャップ 21 被加工痕
10 注液口 22 裏面
12 接合面