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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156017
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065592
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 弘季
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一顕
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333CA09
3F333CA30
3F333DA03
3F333DB05
(57)【要約】
【課題】バッテリ式の作業車両において、充電口及びバッテリの周辺の防水防塵性能を向上すること。
【解決手段】作業車両1は、動力源であるバッテリ100と、車体の後端部に配置されたカウンタウエイト20と、カウンタウエイト20の上部に設けられた差込口54を有する充電口50と、を備え、差込口54の底部は、後方から前方へ向かうにつれて下がっており、バッテリ100は、カウンタウエイト20より前方に配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源であるバッテリと、
車体の後端部に配置されたカウンタウエイトと、
前記カウンタウエイトの上部に設けられた差込口を有する充電口と、
を備え、
前記差込口の底部は、後方から前方へ向かうにつれて下がっており、
前記バッテリは、前記カウンタウエイトより前方に配置されている、
作業車両。
【請求項2】
前記差込口の前方の端部は、前記作業車両の前後方向において、前記バッテリの後方の端部より後方に位置する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記充電口と、前記バッテリの充電回路を含む回路を収納する収納ケースとを接続する充電ケーブル、
を備え、
前記差込口の下方の端部及び前記充電ケーブルの下方の端部のうち下方に位置するものは、前記バッテリの後方の端部より後方に位置する、
請求項1または2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ式の作業車両において、カウンタウエイト設置部を含む位置に他のバッテリ収容部を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-98728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車両は屋外又は工場などのような水又は埃が付着しやすい環境で使用されることが多い。このため、バッテリ式の作業車両は、充電口及びバッテリの周辺において防水防塵性能を向上することが望まれる。
【0005】
本発明の態様は、バッテリ式の作業車両において、充電口及びバッテリの周辺の防水防塵性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、動力源であるバッテリと、車体の後端部に配置されたカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトの上部に設けられた差込口を有する充電口と、を備え、前記差込口の底部は、後方から前方へ向かうにつれて下がっており、前記バッテリは、前記カウンタウエイトより前方に配置されている、作業車両が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バッテリ式の作業車両において、充電口及びバッテリの周辺の防水防塵性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るフォークリフトを左後方から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
図3図3は、実施形態に係るフォークリフトの平面図である。
図4図4は、図3のA-A線断面図である。
図5図5は、図4の部分拡大図である。
図6図6は、フォークリフトの後部の他の例の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[フォークリフト]
図1は、実施形態に係るフォークリフトを左後方から見た斜視図である。図2は、実施形態に係るフォークリフトの側面図である。図3は、実施形態に係るフォークリフトの平面図である。実施形態においては、作業車両1がフォークリフト1であることとする。実施形態において、フォークリフト1は、バッテリ100からの電力で駆動されるバッテリフォークリフトである。フォークリフト1は、運転室40に配置された運転席41に着座したオペレータにより操作される。
【0011】
以下において、フォークリフト1は、フォーク31が配置された側が前方であり、カウンタウエイト20が配置された側が後方である。実施形態においては、左右とは前方に対する左右をいうものとする。左右方向は、フォークリフト1の本体としての車体10の幅方向である。上方は、前輪21及び後輪22のうち少なくとも3個と接触する平面(接地平面)に直交し、かつ接地平面から前輪21又は後輪22の回転中心軸に向かう側である。下方は、前輪21又は後輪22の回転中心軸から接地平面に向かう側である。車体10の前後方向に向かい、かつ車体10の幅方向中心を通る軸を前後軸といい、前後軸に直交し、接地平面と平行かつ車体10の車幅方向に向かう軸を左右軸という。車体10の上下方向に向かう軸を上下軸という。上下軸は、前後軸と左右軸との両方に直交する。前後軸はX軸であり、上下軸はY軸であり、左右軸はZ軸である。
【0012】
車体10は、フレーム11と、フレーム11に支持される運転室40を有する。
【0013】
車体10の前方の左右の端部にそれぞれ前輪21が配置され、車体10の後方の左右の端部にそれぞれ後輪22が配置される。
【0014】
車体10の後端部には、カウンタウエイト20が配置される。フォークリフト1は、カウンタバランス型のフォークリフトとして説明するが、これに限定されない。カウンタウエイト20は、フォーク31が荷物を支持した場合に釣り合いをとるためのウエイトである。
【0015】
車体10の前方には、荷物の積み降ろし又は移動を行うためのフォーク31が配置される。フォーク31は、上下方向に沿って配置されたマスト32に支持される。フォーク31は、マスト32との間に配置されたリフトシリンダ33が駆動することによって、マスト32に沿って昇降する。マスト32は、下端部が、左右軸回りに回転可能に車体10に取り付けられる。マスト32は、車体10との間に配置された、ティルトシリンダ34が駆動することによって、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。
【0016】
車体10の後方における下方には、バッテリ100が配置される。バッテリ100は、フォークリフト1の動力源である。バッテリ100は、充電式バッテリである。バッテリ100は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などである。バッテリ100は、後述する充電口50に接続された充電器によって充電可能である。
【0017】
バッテリ100は、防水防塵性能を有するバッテリケースの内部に、複数のバッテリセルが収納されている。各図に示すバッテリ100は、バッテリケースの外形の概略図を示している。
【0018】
バッテリ100は、運転席41の下方より車体10の後方に配置されている。バッテリ100は、カウンタウエイト20より前方に配置されている。バッテリ100の後方の端部100aは、カウンタウエイト20の前方の端部20aより前方に配置されている。バッテリ100とカウンタウエイト20とは、前後方向において離間している。バッテリ100とカウンタウエイト20との間には、上下方向に隙間Sが延在する。隙間Sの前後方向の距離dは、水又は埃が下方に落下可能な距離である。隙間Sの前後方向の距離dは、例えば、20mm程度である。
【0019】
バッテリ100の上方には、収納ボックス110が配置されている。収納ボックス110には、バッテリ100の充電回路を含む回路が収納されている。収納ボックス110は、防水防塵性能を有する。
【0020】
[充電口]
図4は、図3のA-A線断面図である。図5は、図4の部分拡大図である。充電口50は、車体10の後方上部に配置されている。充電口50は、車体10の左右方向の中間部に配置されている。充電口50は、カウンタウエイト20に配置されている。充電口50は、カウンタウエイト20の幅方向である左右方向の中央部に配置されている。充電口50は、カウンタウエイト20の上部に配置されている。充電口50は、カウンタウエイト20の表面が前方から後方に向かうにつれて上方から下方に傾いた部分に設けられる。充電口50は、カバー52及びキャップが閉じられた状態での防水防塵性能を有する。
【0021】
充電口50は、凹部51と、カバー52と、差込口53と、差込口54とを備える。実施形態では、実施形態では、充電口50は、差込口53及び差込口54を有する。充電口50は、差込口53及び差込口54の2口を有するものとしたが、数は限定されず、1口でも3口以上でもよい。
【0022】
凹部51は、カウンタウエイト20の表面より内側に凹んで形成される。凹部51には、差込口53及び差込口54が配置されている。
【0023】
カバー52は、凹部51に対して開閉可能に配置されている。実施形態では、カバー52は、凹部51の上部に設けられた、左右方向に延びる図示しない回転軸を中心にして回動する。カバー52は、例えば、走行時または作業時などのバッテリ100の充電時以外には、凹部51を覆うように閉じられる。カバー52が閉じられた状態では、凹部51が露出しない。カバー52が閉じられた状態では、カバー52は、カウンタウエイト20の表面から突出しない。カバー52は、バッテリ100の充電時、凹部51に対して開かれる。カバー52が凹部51に対して開いた状態では、差込口53及び差込口54が露出する。
【0024】
差込口53及び差込口54は、カウンタウエイト20の上部に設けられている。差込口53及び差込口54は、凹部51に配置されている。差込口53及び差込口54は、バッテリ100を充電可能に配置されている。差込口53及び差込口54は、図示しない充電器のケーブルの先端部に配置されたプラグが接続可能である。差込口53及び差込口54は、開閉可能なキャップを備える。差込口53及び差込口54は、充電時にキャップが開かれ、非充電時はキャップで閉じられる。差込口53及び差込口54は、キャップが閉じられた状態での防水防塵性能を有する。
【0025】
実施形態では、差込口53及び差込口54の中心軸線Cは、斜め上後方を向くように配置されている。差込口53及び差込口54の中心軸線Cは、例えば、10°から20°程度斜め上後方を向いている。差込口53及び差込口54には、充電器のケーブルが、車体の斜め上後方から差し込まれる。
【0026】
実施形態では、差込口53及び差込口54は同様に構成されている。図4図5を参照して、差込口54について説明し、差込口53の説明は省略する。差込口54の底部54Aは、後方から前方へ向かうにつれて下がっている。差込口54の前方の端部54Bは、フォークリフト1の前後方向において、バッテリ100の後方の端部100aより後方に位置する。図4に示す例では、差込口54の前方の端部54Bは、隙間Sの鉛直方向の上方に位置している。端部54Bは、差込口54の前端部かつ最下端部である。
【0027】
このように構成された充電口50の前方の壁部、言い換えると、充電口50に対する充電器のケーブルの先端部に配置されたプラグの差込方向の奥側の壁部からは、充電用の充電ケーブル120が引き出されている。充電ケーブル120は、充電口50と、収納ボックス110に収納されたバッテリ100の充電回路とを接続する。
【0028】
充電ケーブル120は、防水防塵性能を有する。充電ケーブル120と収納ボックス110との接続部、充電ケーブル120と充電口50との接続部は、防水防塵性能を有する構造となっている。充電ケーブル120のケーブル本体には、防水防塵性能を有する被覆材で覆われている。
【0029】
充電ケーブル120は、充電口50と収納ボックス110との中間部をホルダ120Hによって支持されている。ホルダ120Hは、差込口54の上部から前方に延びている。ホルダ120Hは、緩やかに弛んだ状態の充電ケーブル120を保持する。
【0030】
差込口54の下方の端部54B及び充電ケーブル120の下方の端部120Bのうち下方に位置するものは、バッテリ100の後方の端部100aより後方に位置する。実施形態では、差込口54の下方の端部54Bが、充電ケーブル120の下方の端部120Bより下方に位置する。
【0031】
[作用]
フォークリフト1は、屋外又は工場などのように水又は埃が付着しやすい環境で使用されることが多い。フォークリフト1の車体10全体に防水防塵性能を持たせることは困難である。フォークリフト1の車体10の内部には、外部から水又は埃が侵入することがある。フォークリフト1の車体10の内部に侵入した水又は埃は、そのまま車体10の下方から地面に排出されずに、図4図5に示す範囲に位置するバッテリ100の外周面、収納ボックス110の外周面、充電ケーブル120に付着することがある。バッテリ100の外周面又は収納ボックス110の外周面に付着した水又は埃は、バッテリ100の外周面又は収納ボックス110の外周面を伝って下方に移動して車体10の外へ排出される。充電ケーブル120に付着した水又は埃は、充電ケーブル120の下方の端部120Bより下方へ落下して、隙間Sを通って車体10の外へ排出される。このように、フォークリフト1の車体10のいずれかの隙間から車体10の内部に侵入した水又は埃は、隙間Sから車体10の外へ排出される。
【0032】
図6は、フォークリフトの後部の他の例の側面断面図である。図6に示す例では、充電口50とバッテリ100との距離が、図4に示す充電口50とバッテリ100との距離より長い。図6に示す例では、差込口54の前方の端部54Bは、隙間Sより後方に位置している。図6に示す例では、充電ケーブル120に付着した水又は埃は、充電ケーブル120の下方の端部120Bより下方へ落下して、カウンタウエイト20の上面20bに付着する。カウンタウエイト20の上面20bは、後方から前方に向かうにつれて下方に下がっている。これにより、カウンタウエイト20の上面20bに付着した水又は埃は、隙間Sから車体10の外へ排出される。このように、図6に示す例においても、フォークリフト1の車体10の内部に侵入した水又は埃は、隙間Sから車体10の外へ排出される。
【0033】
[効果]
以上説明したように、実施形態では、差込口54の底部は、後方から前方へ向かうにつれて下がっており、バッテリ100は、カウンタウエイト20より前方に配置されている。実施形態では、バッテリ100の外周面、又は、収納ボックス110の外周面に付着した水又は埃を、バッテリ100の外周面、又は、収納ボックス110の外周面を伝わせて下方に移動させて、隙間Sから車体10の外へ排出することができる。実施形態では、充電ケーブル120に付着した水又は埃を、差込口54の下方の端部54Bから落下させて、隙間Sから車体10の外へ排出することができる。このように、実施形態によれば、バッテリ式のフォークリフト1において、充電口50及びバッテリ100の周辺の防水防塵性能を向上することができる。
【0034】
実施形態では、差込口54の前方の端部54Bは、フォークリフト1の前後方向において、バッテリ100の後方の端部100aより後方に位置する。実施形態によれば、差込口54の前方の端部54Bから落下した水又は埃が、バッテリ100にかかることを抑制できる。
【0035】
実施形態では、差込口54の下方の端部54B及び充電ケーブル120の下方の端部120Bのうち下方に位置するものは、バッテリ100の後方の端部100aより後方に位置する。実施形態によれば、差込口54の下方の端部54B又は充電ケーブル120の下方の端部120Bから落下した水又は埃が、バッテリ100にかかることを抑制できる。
【0036】
上述の実施形態においては、作業車両1がフォークリフト1であることとした。上述の実施形態で説明した構成要素は、バッテリを駆動源とし、カウンタウエイトを備える作業車両に適用可能である。例えば、作業車両1がバッテリを駆動源とする油圧ショベルでもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…フォークリフト(作業車両)、10…車体、11…フレーム、20…カウンタウエイト、20a…端部、21…前輪、22…後輪、31…フォーク、32…マスト、33…リフトシリンダ、34…ティルトシリンダ、40…運転室、41…運転席、50…充電口、51…凹部、52…カバー、53…差込口、54…差込口、54A…底部、54B…端部、100…バッテリ、100a…端部、110…収納ボックス、120…充電ケーブル、120B…端部、120H…ホルダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6