(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156023
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】車載用引出構造
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065604
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】大武 孝徳
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088LA01
3B088LB05
(57)【要約】
【課題】十分な引出量を確保しつつ、高い剛性を実現することができる車載用引出構造を提供する。
【解決手段】カップホルダー1は、本体後部27の外形寸法が、本体前部19の外形寸法よりも小さく形成された本体部材13と、本体後部27と連結された中間部材34とを有している。本体前部19の外形寸法は、ケース開口部3の内寸よりも小さく、かつ、中間部材34の外形寸法と同等であり、本体前部19の前部レール部24は、ケース部材2のケース側レール部9と連結されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の内装に取り付けられるケース部材に形成されたケース開口部を介して、引出部材が前記ケース部材に収容され、又は、前記ケース部材から引き出される車載用引出構造であって、
前記引出部材が、
前記ケース部材から引き出される方向である前方に配置された本体部材と、
前記ケース部材に収容される方向である後方に配置されて前記本体部材に連結された中間部材と、を有し、
前記本体部材が、
前記ケース部材の内面と対面する本体前部と、前記本体前部の後部に連接されて前記中間部材の内面と対面する本体後部と、を有し、
前記中間部材が、
前記本体後部が挿入された挿入口部を有し、前記ケース部材の内面と対面する、
ことを特徴とする車載用引出構造。
【請求項2】
前記本体後部と前記中間部材とが、レール構造で連結された、
ことを特徴とする請求項1に記載された車載用引出構造。
【請求項3】
前記本体前部と前記ケース部材とが、レール構造で連結された、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された車載用引出構造。
【請求項4】
前記本体後部に、補強材が備えられた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された車載用引出構造。
【請求項5】
前記ケース開口部の横幅方向及び縦幅方向において、前記本体前部の外形寸法が、前記中間部材の外形寸法と同じ又は同等である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された車載用引出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物の内装である車載用引出構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の乗り物の内装として、例えば、ペットボトルやアルミ缶等の飲料用の容器を保持させるものとして、下記特許文献1に記載された車両用カップホルダーがある(以下、「文献公知1発明」と記す。)。この文献公知1発明は、自動車のインストルメントパネルやセンターコンソールに取り付けられるものであり、外ケース、内ケース及びホルダーから構成されている。外ケースの内側には、内ケースが収容され、更に内ケースの内側には、ホルダーが挿入されている。すなわち、外ケースよりも内ケースの方が小さく、内ケースよりもホルダーの方が小さいため、ホルダーが不要な場合には、ホルダー及び内ケースは、外ケースの内側に収容されることで、外観上遮蔽される。一方で、ホルダーが必要な場合には、ホルダーが内ケースから引き出され、更に内ケースが外ケースから引き出されることで、内ケースの分だけ、引き出される度合い(以下、「引出量」と記す。)が増す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、文献公知1発明は、上記したとおり、外ケースよりも内ケースの方が小さく、内ケースよりもホルダーの方が小さいことから、ホルダーが外ケースよりも二回り程度小さい。横幅及び縦幅が狭く、厚みが薄いホルダーは、剛性が低いため、飲料用の容器等による限界荷重が制限されるうえ、狭小であるため、レイアウトが制限される。
【0005】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。本発明は、十分な引出量を確保しつつ、高い剛性を実現することができる車載用引出構造の提供を目的とする。また、広義には、本発明は、有害物質の排出を抑制し、普遍的な課題である快適な環境を整備することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車載用引出構造は、乗り物の内装に取り付けられるケース部材に形成されたケース開口部を介して、引出部材が前記ケース部材に収容され、又は、前記ケース部材から引き出される車載用引出構造であって、前記引出部材が、前記ケース部材から引き出される方向である前方に配置された本体部材と、前記ケース部材に収容される方向である後方に配置されて前記本体部材に連結された中間部材と、を有し、前記本体部材が、前記ケース部材の内面と対面する本体前部と、前記本体前部の後部に連接されて前記中間部材の内面と対面する本体後部と、を有し、前記中間部材が、前記本体後部が挿入された挿入口部を有し、前記ケース部材の内面と対面する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る車載用引出構造は、前記本体後部と前記中間部材とが、レール構造で連結された、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る車載用引出構造は、前記本体前部と前記ケース部材とが、レール構造で連結された、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る車載用引出構造は、前記本体後部に、補強材が備えられた、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る車載用引出構造は、前記ケース開口部の横幅方向及び縦幅方向において、前記本体前部の外形寸法が、前記中間部材の外形寸法と同じ又は同等である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車載用引出構造は、乗り物の内装に取り付けられるケース部材に形成されたケース開口部を介して、引出部材がケース部材に収容され、又は、ケース部材から引き出されるものであって、引出部材が、ケース部材から引き出される方向である前方に配置された本体部材と、ケース部材に収容される方向である後方に配置されて本体部材に連結された中間部材とを有し、本体部材が、ケース部材の内面と対面する本体前部と、本体前部の後部に連接されて中間部材の内面と対面する本体後部とを有し、中間部材が、本体後部が挿入された挿入口部を有し、ケース部材の内面と対面する。すなわち、引出部材が、本体部材と中間部材とから構成され、本体部材が中間部材から引き出され、更に中間部材がケース部材から引き出されることから、本体部材は、中間部材の分だけ、引出量が多い。したがって、十分な引出量を確保することができる。また、本体部材がケース部材の内面と対面していることから、本体部材の外形寸法を中間部材に依拠させる必要がなく、本体部材の外形を、ケース開口部の内寸に則った横幅、縦幅及び厚みに設計することが可能となる。したがって、高い剛性を実現することができる。
【0012】
本発明に係る車載用引出構造は、本体後部と中間部材とが、レール構造で連結されている。すなわち、本体後部は、レール構造を介して中間部材と連結された状態で摺動する。また、レール構造によって案内されることで、本体後部が中間部材に対して円滑に摺動する。
【0013】
本発明に係る車載用引出構造は、本体前部とケース部材とが、レール構造で連結されている。すなわち、本体前部は、レール構造を介してケース部材と連結された状態で摺動する。また、レール構造によって案内されることで、本体前部がケース部材に対して円滑に摺動する。
【0014】
本発明に係る車載用引出構造は、本体後部に、補強材が備えられている。したがって、本体後部の剛性が高まる。
【0015】
本発明に係る車載用引出構造は、ケース開口部の横幅方向及び縦幅方向において、本体前部の外形寸法が、中間部材の外形寸法と同じ又は同等である。すなわち、本体部材の外形を、ケース開口部の内寸に則った横幅、縦幅及び厚みに設計することが可能となる。したがって、高い剛性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が収容された状態の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が収容された状態の上面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が収容された状態の側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が引き出された状態の外観斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が引き出された状態の上面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が引き出された状態の側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が引き出された状態の下面斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る車載用引出構造の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、
図3におけるIX-IX断面であって、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が収容された状態の縦断面正面図である。
【
図10】
図10は、
図3におけるX-X断面であって、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が収容された状態の縦断面正面図である。
【
図11】
図11は、
図6におけるXI-XI断面であって、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が引き出された状態の縦断面正面図である。
【
図12】
図12は、
図2におけるXII-XII断面であって、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が収容された状態の縦断面側面図である。
【
図13】
図13は、
図12と同じ位置の断面であって、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が引き出さる途中の状態の縦断面側面図である。
【
図14】
図14は、
図5におけるXIII-XIII断面であって、本発明の実施形態に係る車載用引出構造において引出部材が引き出された状態の縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る車載用引出構造は、自動車等の乗り物の内装に取り付けられるものであって、例えば、自動車のインストルメントパネルに取り付けられるカップホルダー等である。以下に、本実施形態に係る車載用引出構造としてのカップホルダーを図面に基づいて説明する。
図1ないし7は、カップホルダー1の外観が示され、
図8は、分解されたカップホルダー1が示されている。ここで、
図1ないし3は、カップホルダー1における引出部材12がケース部材2に収容された不使用状態が示され、
図4ないし7は、カップホルダー1における引出部材12がケース部材2から引き出された使用状態が示されている。なお、以下では、引出部材12が引き出される方向を前方(Front)とし、引出部材12が押されて収容される方向を後方(Back)とし、厚みである縦幅方向を上方(Up)及び下方(Down)とし、横幅方向を左右側方(Right Side、Left Side)とする(
図1参照)。
【0018】
図1ないし7に示されているとおり、カップホルダー1は、インストルメントパネル(図示省略)に取り付けられるケース部材2と、このケース部材2に収容され、又は、ケース部材2から引き出される引出部材12とを有している。ケース部材2は、箱型であって、ケース開口部3を有し、このケース開口部3を介して、引出部材12が出し入れされる。引出部材12は、本体部材13と中間部材34とを有し、本体部材13が前方に配置され、中間部材34が本体部材13の後方に配置されている。中間部材34は、本体部材13の後部と連結されていることから、本体部材13及び中間部材34がケース部材2から引き出されると、引出部材12は前方に向けて二段階に伸びる。
【0019】
本体部材13には、ホルダー部14が形成されている(
図4ないし7参照)。ホルダー部14は、ペットボトルや紙コップ等の被支持物(図示省略)が通されるホルダー孔15と、被支持物の側面を支持するフラップ部16と、被支持物が乗せられるホルダー下部17とから構成されている。ホルダー部14は、引出部材12に連動して開閉する。すなわち、不使用状態において、ホルダー部14が閉じた状態では、フラップ部16及びホルダー下部17が本体部材13の下面に重なった状態で、本体部材13がケース部材2に収容されているが、引出部材12が引き出されると、ホルダー下部17は、後部を軸として前部が下がることで回転し、引出部材12の下方に突出する。フラップ部16は、コイルバネ18(
図7参照)によって、本体部材13に重なる向きに付勢されている。このようにして、ホルダー部14は、開いた状態となる。すなわち、カップホルダー1は使用状態となる。ホルダー部14が開いた状態で、ホルダー孔15に被支持物が挿入されると、フラップ部16は、被支持物によって、コイルバネ18の弾性力に抗して押され、後部を軸として前部が下がることで回転する。被支持物は、底部がホルダー下部17によって支持され、側面部がフラップ部16によって押されるため、振動による衝撃等によって、被支持物が過度に揺れたり脱落したりすることがない。
【0020】
一方で、被支持物が取り外されると、フラップ部16は、コイルバネ18の復元力によって、後部を軸として前部が上ることで自動的に逆回転し、本体部材13の下面に重なる。この状態で、引出部材12が押されると、ホルダー下部17は、後部を軸として前部が上ることで逆回転し、本体部材13の下面に重なる。このようにして、ホルダー部14は、閉じた状態となる。すなわち、カップホルダー1は不使用状態となる。
【0021】
図8に示されているとおり、箱型であるケース部材2は、ケース上面部4と、このケース上面部4と対面したケース下面部5と、ケース上面部4及びケース下面部5の側部に連接されて互いに対面したケース右側面部6及びケース左側面部7とを有している。ケース開口部3は、ケース部材2の前部に形成され、各面部4,5,6,7によって囲われたことでケース部材2の内側に形成されたケース内部空間8に通じている。ケース上面部4の下面のうち、ケース開口部3の近傍には、一対のケース被係止部50が形成されている。ケース左側面部7及びケース右側面部6の内面には、ケース部材2と引出部材12(中間部材34、本体部材13)とを連結する第一のレール構造であるケース側レール部9が形成されている。ケース側レール部9は、ケース内部空間8に向けて突出すると共に、前方から後方に向けて緩やかな曲線状に伸びている。ケース左側面部7及びケース右側面部6には、板バネ11が取り付けられる被取付窓部10が開口している。
【0022】
扁平に形成された中間部材34は、中間上面部35と、この中間上面部35の側部に連接されて互いに対面した中間右側面部36及び中間左側面部37とを有している。中間部材34の前部には、挿入口部38が形成され、挿入口部38は、各面部35,36,37によって囲われたことで中間部材34の内側に形成された中間内部空間39に通じている。中間上面部35の上面には、上方に向けて突出した一対の中間係止部40が形成されている。また、中間上面部35の下面のうち、中間係止部40の近傍には、一対の中間内側突起部49が形成され、挿入口部38の近傍には、一対の中間内側被係止部48が形成されている。中間右側面部36及び中間左側面部37の外面には、第一のレール構造である中間外側レール部41が形成されている(
図4及び6参照)。中間外側レール部41は、陥没した溝状であると共に、前方から後方に向けて緩やかな曲線状に伸びている。中間右側面部36及び中間左側面部37の外面のうち、中間外側レール部41の下方には、側方に向けて突出した中間外側突起部42が形成されている。一方で、中間右側面部36及び中間左側面部37の内面には、中間部材34と本体部材13とを連結する第二のレール構造である中間内側レール部43が形成されている。中間内側レール部43は、中間内部空間39に向けて突出すると共に、前方から後方に向けて緩やかな曲線状に伸びている。中間部材34の左右方向及び上下方向における外形寸法は、ケース部材2のケース開口部3及びケース内部空間8の内寸よりも小さい。
【0023】
扁平に形成された本体部材13は、前側である本体前部19と、後側であって本体前部19の後部に段部45を介して連接された本体後部27とを有している。すなわち、本体前部19と本体後部27とは、段違いに連接され、本体前部19の左右方向及び上下方向における外形寸法と、本体後部27の左右方向及び上下方向における外形寸法とは、異なっている。
【0024】
本体前部19は、前部上面部20と、この前部上面部20の側部に連接されて互いに対面した前部右側面部21及び前部左側面部22と、各面部20,21,22の前部に連接された前部前面部47とを有している。本体前部19の内側には、各面部20,21,22,47によって囲われたことで前部内部空間23が形成されている。前部右側面部21及び前部左側面部22の外面には、第一のレール構造である前部レール部24が形成されている(
図4及び6参照)。前部レール部24は、陥没した溝状であると共に、前方から後方に向けて緩やかな曲線状に伸びている。前部右側面部21及び前部左側面部22の外面のうち、前部レール部24の下方であって、前方寄りには、側方に向けて突出した前部突起部25が形成され、後方寄りには、側方に向けて隆起した後部隆起部51が形成されている(
図4及び6参照)。本体前部19の左右方向及び上下方向における外形寸法は、中間部材34の左右方向及び上下方向における外形寸法と同じであり、かつ、ケース部材2のケース開口部3及びケース内部空間8の内寸よりも小さい。
【0025】
本体前部19は、ホルダー部14を有している。すなわち、本体前部19の前部上面部20には、複数のホルダー孔15が形成されている。前部上面部20の下面には、ホルダー下部17、及び、コイルバネ18を介したフラップ部16が取り付けられ、ホルダー下部17及びフラップ部16は、前部内部空間23の内側に収容される。本体前部19の前部前面部47には、取手部26が着脱される。
【0026】
本体後部27は、後部上面部28と、この後部上面部28の側部に連接されて互いに対面した後部右側面部29及び後部左側面部30とを有している。後部右側面部29及び後部左側面部30の外面には、第二のレール構造である後部レール部32が形成されている(
図4及び6参照)。後部レール部32は、陥没した溝状であると共に、前方から後方に向けて緩やかな曲線状に伸びている。後部上面部28の上面のうち、後方寄りには、上方に向けて突出した一対の後部係止部33が形成され、また、後部係止部33の近傍には、板バネ11が取り付けられる被取付部46が形成されている。本体後部27の左右方向及び上下方向における外形寸法は、本体前部19の左右方向及び上下方向における外形寸法よりも小さく、かつ、中間部材34の挿入口部38及び中間内部空間39の内寸よりも小さい。
【0027】
本体後部27は、補強材44を有している。具体的には、補強材44は金属製の板材等であり、本体後部27の後部上面部28の下面に取り付けられる(
図7参照)。
【0028】
上記した各部は、次のとおり連結される。
【0029】
図8において、取手部26が、前部前面部47に取り付けられる。板バネ11は、本体部材13の被取付部46及びケース部材2の被取付窓部10にそれぞれ取り付けられる。本体部材13が、ケース部材2のケース開口部3に挿入され、ケース部材2のケース内部空間8に配置される。その際、本体前部19の前部レール部24と、ケース部材2のケース側レール部9とが連結され、第一のレール構造が実現する。この状態で、中間部材34が、ケース部材2の後方からケース内部空間8にある本体後部27に連結される。具体的には、本体後部27が、中間部材34の挿入口部38に挿入され、中間部材34の中間内部空間39に配置される。その際、本体後部27の後部レール部32と、中間部材34の中間内側レール部43とが連結され、第二のレール構造が実現する。このようにして、ケース内部空間8において、中間部材34と本体後部27とが連結されて引出部材12となる。引出部材12において、本体部材13の前部レール部24と、中間部材34の中間外側レール部41とは、同一線上に揃っているため、中間外側レール部41も、ケース側レール部9と連結され、第一のレール構造となる。なお、初めに、中間部材34と本体後部27とが連結されて引出部材12となり、この引出部材12が、ケース部材2のケース開口部3に挿入されてケース部材2と連結される構成であってもよい。
【0030】
次に、各部の連結状態、本実施形態の作用及び効果を、図面に基づいて説明する。
図9ないし11は、カップホルダー1の前面縦断面であって、各部が連結された状態が示されている。
図9及び10は、不使用状態における連結の状態が示され、
図11は、使用状態における連結の状態が示されている。
図12ないし14は、カップホルダー1の側面縦断面であって引出部材12が引き出される様子が示されている。
図12は、不使用状態が示され、
図13は、不使用状態から使用状態への変化の途中である引出状態が示され、
図14は、使用状態が示されている。
【0031】
図12に示されているとおり、不使用状態では、引出部材12がケース部材2に収容されている。本体部材13の本体後部27は、中間部材34の中間内部空間39に配置され、中間部材34と本体部材13の本体前部19とは、ケース部材2のケース内部空間8に配置されている。
図10に示されているとおり、本体前部19の前部レール部24と、ケース部材2のケース側レール部9とが連結され、本体前部19の外面が、ケース部材2の内面と対面している。また、
図9に示されているとおり、本体後部27の後部レール部32と、中間部材34の中間内側レール部43とが連結され、本体後部27の外面が、中間部材34の内面と対面している。中間部材34の中間外側レール部41と、ケース部材2とは連結されておらず、中間部材34の外面は、ケース部材2の内面と対面している。
【0032】
不使用状態において、取手部26が引っ張られると、第一動作を経て、
図13に示された引出状態となる。第一動作は、引出部材12がケース部材2から引き出される動作である。具体的には、引出部材12がケース部材2から引き出されると、引出部材12における本体前部19の前部突起部25が、ケース部材2の板バネ11の弾性力に抗して、この板バネ11を越える(
図8参照)。本体前部19は、第一のレール構造を介してケース部材2と連結された状態で、第一のレール構造によって案内されるため、ケース部材2に対して円滑に摺動する。
【0033】
更に引出部材12が引き出されると、本体部材13の後部隆起部51が、ケース部材2の板バネ11の弾性力に抗して、この板バネ11を越え、次いで、中間部材34の中間外側突起部42が、板バネ11の弾性力に抗して、この板バネ11を越える(
図8参照)。中間外側突起部42が板バネ11を越えた直後、
図13に示されているとおり、中間部材34の中間係止部40が、ケース部材2のケース被係止部50に係止される。引出部材12は停止し、引出状態となる。
【0034】
引出状態において、取手部26が引っ張られると、第二動作を経て使用状態となる。第二動作は、本体部材13が中間部材34から引き出される動作である。具体的には、中間部材34から本体部材13が引き出されると、本体後部27の板バネ11が、中間部材34の中間内側突起部49を越える(
図8参照)。板バネ11が中間内側突起部49を越えた直後、本体後部27の後部係止部33が、中間部材34の中間内側被係止部48に係止される(
図8参照)。
図14に示されているとおり、本体部材13は停止し、使用状態となる。本体後部27は、第二のレール構造を介して中間部材34と連結された状態で、第二のレール構造によって案内されるため、中間部材34に対して円滑に摺動する。
【0035】
図11に示されているとおり、使用状態では、本体後部27の後部レール部32と、中間部材34の中間内側レール部43とが連結され、本体後部27の外面が、中間部材34の内面と対面している。また、中間部材34の中間外側レール部41と、ケース部材2のケース側レール部9とが連結され、中間部材34の外面が、ケース部材2の内面と対面している。
【0036】
使用状態において、取手部26が押されると、上記と逆の動作を経て、引出部材12がケース部材2に収容される。なお、不使用状態から使用状態への変化、又は、使用状態から不使用状態への変化において、第一動作と第二動作とが、同時に起きる場合や、第二動作の後に第一動作が起きる場合や、第一動作の途中で第二動作が起きる場合や、第二動作の途中で第一動作が起きる場合もある。
【0037】
上記のとおり、本実施形態では、本体部材13が中間部材34から引き出され、更に中間部材34がケース部材2から引き出されることから、使用状態では、中間部材34の分だけ、引出状態よりも引出量が多い(
図14参照)。したがって、十分な引出量を確保することができる。
【0038】
本実施形態では、本体前部19の左右方向及び上下方向における外形寸法は、中間部材34の左右方向及び上下方向における外形寸法と同じであり、かつ、ケース部材2のケース開口部3及びケース内部空間8の内寸よりも小さい(
図14参照)。すなわち、本体前部19の外形寸法が、中間部材34に依拠しないため、本体前部19の外形を、ケース開口部3やケース内部空間8の内寸に則った横幅、縦幅及び厚みに設計することが可能となる。したがって、高い剛性を実現することができ、被支持物を支持するうえで、十分に堅牢となる。
【0039】
更に、本体前部19の外形寸法が、ケース開口部3やケース内部空間8の内寸に則っていることから、第二のレール構造を介して、本体前部19がケース部材2に対して摺動するため、不使用状態における本体前部19とインストルメントパネルとの隙間を、容易に調節することができる。
【0040】
本実施形態では、本体後部27の後部上面部28の下面に、金属製の補強材44が取り付けられている(
図7参照)。したがって、本体後部27の剛性が高まる。
【0041】
本実施形態では、不使用状態から使用状態に変化する過程、及び、使用状態から不使用状態に変化する過程において、本体部材13の後部隆起部51及び前部突起部25、中間部材34の中間内側突起部49及び中間外側突起部42が、それぞれ、板バネ11の弾性力に抗して板バネ11を乗り越える必要がある。したがって、各状態に変化する過程において、適度な抵抗が生じ、各状態が不本意に変化することが抑止される。
【0042】
本発明の他の実施形態では、第一のレール構造であるケース側レール部が、陥没した溝状であり、第一のレール構造である中間外側レール部及び前部レール部が、側方に向けて突出している。
他の実施形態では、第二のレール構造である中間内側レール部が、陥没した溝状であり、第二のレール構造である後部レール部が、側方に向けて突出している。
他の実施形態では、ケース側レール部、中間外側レール部、中間内側レール部、前部レール部及び後部レール部は、真っ直ぐな直線状である。
他の実施形態では、本体後部と中間部材、中間部材とケース部材、及び、本体前部とケース部材は、レール構造を介して摺動するものではない。すなわち、本体後部は、例えばローラー等を介して、中間部材に対して移動し、また、中間部材及び本体前部も、例えばローラー等を介して、ケース部材に対して移動する。
他の実施形態では、レール構造を有していない。すなわち、本体後部と中間部材、中間部材とケース部材、及び、本体前部とケース部材は、直接接触して摺動する。
他の実施形態では、ホルダー孔の数は任意である。
他の実施形態は、フラップ部を有していない。
他の実施形態は、ホルダー部を有していない。
本体前部が、中間部材の中間内部空間に収容されない限りにおいて、中間部材の外形寸法に対する本体前部の外形寸法は、任意である。したがって他の実施形態では、本体前部の左右方向及び上下方向における外形寸法は、中間部材の中間内部空間の内寸よりも大きく、かつ、中間部材の左右方向及び上下方向における外形寸法よりも小さく、又は、大きい。
他の実施形態では、本体後部の剛性を高めることができる限りにおいて、補強材の素材に金属以外を含む。また、引出部材の動作を妨げない限りにおいて、補強材の形状は任意である。
他の実施形態は、補強材を有していない。
他の実施形態では、板バネが、ケース部材及び本体後部に替えて、中間部材に取り付けられている。
【0043】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の実施形態が取り付けられる乗り物は、例えば、列車、船舶、航空機等も含まれる。また、本発明は、小物入れ、傘の支持台、テーブル、スマートフォンのスタンド等の実施形態が含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 カップホルダー(車載用引出構造)
2 ケース部材
3 ケース開口部
4 ケース上面部
5 ケース下面部
6 ケース右側面部
7 ケース左側面部
8 ケース内部空間
9 ケース側レール部(第一のレール構造)
10 被取付窓部
11 板バネ
12 引出部材
13 本体部材
14 ホルダー部
15 ホルダー孔
16 フラップ部
17 ホルダー下部
18 コイルバネ
19 本体前部
20 前部上面部
21 前部右側面部
22 前部左側面部
23 前部内部空間
24 前部レール部(第一のレール構造)
25 前部突起部
26 取手部
27 本体後部
28 後部上面部
29 後部右側面部
30 後部左側面部
31 後部内部空間
32 後部レール部(第二のレール構造)
33 後部係止部
34 中間部材
35 中間上面部
36 中間右側面部
37 中間左側面部
38 挿入口部
39 中間内部空間
40 中間係止部
41 中間外側レール部(第一のレール構造)
42 中間外側突起部
43 中間内側レール部(第二のレール構造)
44 補強材
45 段部
46 被取付部
47 前部前面部
48 中間内側被係止部
49 中間内側突起部
50 ケース被係止部
51 後部隆起部