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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156030
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】筒状体連結方法及び筒状体かしめ器
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/04 20060101AFI20231017BHJP
   F16B 4/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B21D39/04 A
F16B4/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065626
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】522147366
【氏名又は名称】井田 透
(71)【出願人】
【識別番号】522147377
【氏名又は名称】尾前工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514132268
【氏名又は名称】日本管機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井田 透
(72)【発明者】
【氏名】濱畑 剛
(72)【発明者】
【氏名】水本 裕之
(57)【要約】
【課題】径の大きい又は強度の高い筒状部材をかしめる際の作業負担を軽減することが可能な筒状体連結方法及び筒状体かしめ器を提供する。
【解決手段】第1筒状部材と第2筒状部材とに亘って、該第1筒状部材及び該第2筒状部材内にジョイント部材を挿入させるか、又は該ジョイント部材内に該第1筒状部材及び該第2筒状部材を挿通させる挿入工程と、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に筒状体かしめ器を装着させる第1装着工程と、前記第1装着工程の後、又はこれと並行して、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる第1かしめ工程と、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に筒状体かしめ器を装着させる第2装着工程と、前記第2装着工程の後、又はこれと並行して、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる第2かしめ工程とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筒状部材と第2筒状部材とに亘って、該第1筒状部材及び該第2筒状部材内にジョイント部材を挿入させるか、又は該ジョイント部材内に該第1筒状部材及び該第2筒状部材を挿通させる挿入工程と、
前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に筒状体かしめ器を装着させる第1装着工程と、
前記第1装着工程の後、又はこれと並行して、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる第1かしめ工程と、
前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に筒状体かしめ器を装着させる第2装着工程と、
前記第2装着工程の後、又はこれと並行して、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる第2かしめ工程と
を備えることを特徴とする筒状体連結方法。
【請求項2】
前記第1かしめ工程は、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させ、
前記第2かしめ工程は、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる
ことを特徴とする請求項1に記載の筒状体連結方法。
【請求項3】
前記第1かしめ工程は、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の他の部位を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる工程を更に備え、
前記第2かしめ工程は、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の他の部位を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる工程を更に備える
ことを特徴とする請求項2に記載の筒状体連結方法。
【請求項4】
前記第1かしめ工程は、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部と、これとは異なる円周方向の他の部位を同時に押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させ、
前記第2かしめ工程は、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部と、これとは異なる円周方向の他の部位を同時に押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる
ことを特徴とする請求項1に記載の筒状体連結方法。
【請求項5】
筒状部材と、該筒状部材内に挿通された、又は該筒状部材を挿通させたジョイント部材とをかしめて連結させる筒状体かしめ器であって、
前記筒状部材又は前記ジョイント部材の外周を包囲可能な本体部と、
前記筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧可能な押圧部と
を備え、
前記本体部は、
前記筒状部材又は前記ジョイント部材の一部を包囲する第1本体部と、
前記筒状部材又は前記ジョイント部材の他の部位を包囲する第2本体部と、
前記第1本体部及び前記第2本体部を接近又は離間させる締結部と
を備え、
前記締結部により、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に装着可能に構成されている
ことを特徴とする筒状体かしめ器。
【請求項6】
前記締結部は、
前記第1本体部及び前記第2本体部の一方の先端側に設けられた締結ボルトと、
前記第1本体部及び前記第2本体部の他方の先端側に設けられ、前記締結ボルトを挿通させる挿通部と、
前記締結ボルトに螺合するナットと
を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の筒状体かしめ器。
【請求項7】
前記押圧部は、前記第1本体部及び前記第2本体部の少なくとも一方に設けられており、
前記締結ボルトが前記挿通部を挿通した状態において、前記締結ボルトに対して前記ナットを締めることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が互いに接近する方向に締め付けられると共に、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を前記押圧部が押圧して、該筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させることが可能に構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の筒状体かしめ器。
【請求項8】
前記押圧部は、前記第1本体部及び前記第2本体部の少なくとも一方に設けられており、
前記締結ボルトが前記挿通部を挿通した状態において、前記締結ボルトに対して前記ナットを締めることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が互いに接近する方向に締め付けられると共に、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を前記押圧部が押圧して、該筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させることが可能に構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の筒状体かしめ器。
【請求項9】
前記押圧部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を押圧する突起部を有し、
前記突起部は、先端が曲面状に形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の筒状体かしめ器。
【請求項10】
前記押圧部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を押圧する突起部を有し、
前記突起部は、先端が曲面状に形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の筒状体かしめ器。
【請求項11】
前記押圧部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を押圧する突起部を有し、
前記突起部は、先端が曲面状に形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の筒状体かしめ器。
【請求項12】
前記押圧部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を押圧する突起部を有し、
前記突起部は、先端が曲面状に形成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の筒状体かしめ器。
【請求項13】
前記筒状部材又は前記ジョイント部材における前記押圧部と対向する部位を面接触により支持可能な受け部を更に備えており、
前記筒状部材又は前記ジョイント部材を前記受け部により支持した状態で該筒状部材又は前記ジョイント部材を前記押圧部により押圧することで、該筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させることが可能に構成されている
ことを特徴とする請求項5~12のいずれか1項に記載の筒状体かしめ器。
【請求項14】
前記受け部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を支持する支持面から該支持面の対向面に亘って貫通する位置決め孔部を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の筒状体かしめ器。
【請求項15】
前記受け部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の90°以上180°未満の領域を面接触により支持可能に構成されている
ことを特徴とする請求項13に記載の筒状体かしめ器。
【請求項16】
前記受け部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の90°以上180°未満の領域を面接触により支持可能に構成されている
ことを特徴とする請求項14に記載の筒状体かしめ器。
【請求項17】
前記押圧部は、前記第1本体部及び前記第2本体部にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項5~12のいずれか1項に記載の筒状体かしめ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体連結方法及び筒状体かしめ器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の筒状部材を連結する方法として、かしめ器を用いた連結方法が知られている。例えば、特許文献1には、2本のパイプ内部に、該2本のパイプに亘ってジョイントパイプを挿入した状態において、左右のハンドルを開いた状態で相対する突子の隙間にパイプを挟み、左右のハンドルを内側に閉じることで、相対する突子によりパイプをかしめるパイプかしめ器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-127717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のパイプかしめ器では、左右のハンドルを内側に閉じる動作を人力で行うため、径が小さく、強度の低いパイプはかしめることができても、径の大きい若しくは強度の高いパイプはかしめることができないか、又はかしめることができたとしてもかしめ作業が苦難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、径の大きい又は強度の高い筒状部材をかしめる際の作業負担を軽減することが可能な筒状体連結方法及び筒状体かしめ器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る筒状体連結方法は、第1筒状部材と第2筒状部材とに亘って、該第1筒状部材及び該第2筒状部材内にジョイント部材を挿入させるか、又は該ジョイント部材内に該第1筒状部材及び該第2筒状部材を挿通させる挿入工程と、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に筒状体かしめ器を装着させる第1装着工程と、前記第1装着工程の後、又はこれと並行して、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる第1かしめ工程と、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に筒状体かしめ器を装着させる第2装着工程と、前記第2装着工程の後、又はこれと並行して、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる第2かしめ工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る筒状体連結方法において、前記第1かしめ工程は、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させ、前記第2かしめ工程は、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させることが好ましい。
【0008】
本発明に係る筒状体連結方法において、前記第1かしめ工程は、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の他の部位を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる工程を更に備え、前記第2かしめ工程は、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の他の部位を面接触により支持した状態において、該支持部位と対向する部位を押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させる工程を更に備えていても良い。
【0009】
本発明に係る筒状体連結方法において、前記第1かしめ工程は、前記第1筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部と、これとは異なる円周方向の他の部位を同時に押圧し、該第1筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させ、前記第2かしめ工程は、前記第2筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部と、これとは異なる円周方向の他の部位を同時に押圧し、該第2筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る筒状体かしめ器は、筒状部材と、該筒状部材内に挿通された、又は該筒状部材を挿通させたジョイント部材とをかしめて連結させる筒状体かしめ器であって、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の外周を包囲可能な本体部と、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の一部を押圧可能な押圧部とを備え、前記本体部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の一部を包囲する第1本体部と、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の他の部位を包囲する第2本体部と、前記第1本体部及び前記第2本体部を接近又は離間させる締結部とを備え、前記締結部により、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の外周に装着可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る筒状体かしめ器において、前記締結部は、前記第1本体部及び前記第2本体部の一方の先端側に設けられた締結ボルトと、前記第1本体部及び前記第2本体部の他方の先端側に設けられ、前記締結ボルトを挿通させる挿通部と、前記締結ボルトに螺合するナットとを備えることが好ましい。
【0012】
本発明に係る筒状体かしめ器において、前記押圧部は、前記第1本体部及び前記第2本体部の少なくとも一方に設けられており、前記締結ボルトが前記挿通部を挿通した状態において、前記締結ボルトに対して前記ナットを締めることで、前記第1本体部及び前記第2本体部が互いに接近する方向に締め付けられると共に、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を前記押圧部が押圧して、該筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させることが可能に構成されていても良い。
【0013】
本発明に係る筒状体かしめ器において、前記押圧部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を押圧する突起部を有し、前記突起部は、先端が曲面状に形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る筒状体かしめ器において、前記筒状部材又は前記ジョイント部材における前記押圧部と対向する部位を面接触により支持可能な受け部を更に備えており、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を前記受け部により支持した状態で該筒状部材又は前記ジョイント部材を前記押圧部により押圧することで、該筒状部材と前記ジョイント部材とをかしめて連結させることが可能に構成されていても良い。
【0015】
本発明に係る筒状体かしめ器において、前記受け部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材を支持する支持面から該支持面の対向面に亘って貫通する位置決め孔部を有していることが好ましい。
【0016】
本発明に係る筒状体かしめ器において、前記受け部は、前記筒状部材又は前記ジョイント部材の円周方向の90°以上180°未満の領域を面接触により支持可能に構成されていても良い。
【0017】
本発明に係る筒状体かしめ器において、前記押圧部は、前記第1本体部及び前記第2本体部にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の筒状体連結方法及び筒状体かしめ器によれば、径の大きい又は強度の高い筒状部材をかしめる際の作業負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る筒状体かしめ器を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る筒状体かしめ器を示す側面図である。
図3】本実施形態に係る筒状部材にジョイント部材を挿入した状態を示す図である。
図4】本実施形態に係る受け部が筒状部材の円周方向の一部を面接触により支持した状態を示す図である。
図5】本実施形態に係る筒状部材及びジョイント部材を1点かしめた状態を示す図である。
図6】本実施形態に係る受け部が筒状部材の円周方向の他の部位を面接触により支持した状態を示す図である。
図7】本実施形態に係る筒状部材及びジョイント部材を2点かしめた状態を示す図である。
図8】本発明に係る第1筒状部材と第2筒状部材とを連結させた状態を示す図である。
図9】筒状体かしめ器の変形例を示す側面図である。
図10】変形例に係る筒状体かしめ器を筒状部材に装着した状態を示す図である。
図11】変形例に係る筒状体かしめ器が筒状部材及びジョイント部材を2点かしめた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0021】
[筒状体かしめ器の全体構成]
本実施形態に係る筒状体かしめ器1は、筒状部材2と、該筒状部材2内に挿通された、又は該筒状部材2を挿通させたジョイント部材3とをかしめて連結させる筒状体かしめ器である。具体的には、図1及び図2に示すように、筒状体かしめ器1は、筒状部材2又はジョイント部材3の外周を包囲可能な本体部10と、筒状部材2又はジョイント部材3の円周方向の一部を押圧可能な押圧部20と、筒状部材2又はジョイント部材3における押圧部20と対向する部位を面接触により支持可能な受け部30とを備えている。
【0022】
以下、本実施形態において、筒状部材2内にジョイント部材3が挿通された状態を前提として、筒状体かしめ器1の構成及び筒状体連結方法について説明するが、上記のとおり、本実施形態に係る筒状体かしめ器1は、ジョイント部材3内に筒状部材2を挿通させた状態においても適用することができ、筒状部材2内にジョイント部材3が挿通された状態と、ジョイント部材3内に筒状部材2を挿通させた状態とで、筒状体かしめ器1の構成及び筒状体連結方法に相違はない。
【0023】
また、本実施形態において、本体部10、押圧部20及び受け部30は、別部材により構成されているものとして説明するが、これに限定されず、本体部10、押圧部20及び受け部30が一体成形により形成される態様であっても良い。
【0024】
本実施形態において、筒状部材2は、例えば、SGP(配管用炭素鋼鋼管)やSTK(一般構造用炭素鋼鋼管)であるがこれに限定されるものではない。また、本実施形態において、ジョイント部材3は、公知の種々の金属材料により作製することができる。
【0025】
[本体部の構成]
図1及び図2に示すように、本体部10は、筒状部材2の円周方向の一部を包囲する第1本体部11と、筒状部材2の円周方向の他の部位を包囲する第2本体部12とを備えており、全体として筒状部材2の外周を包囲可能な環状に形成されている。第1本体部11は、環状を有する本体部10の半円を形成する略半円状に形成されており、第2本体部12は、環状を有する本体部10の残りの半円を形成する略半円状に形成されている。これら第1本体部11及び第2本体部12は、本体部10の基端部(円周方向の一端部)において、軸部13aにより互いに回動可能に連結されている。第1本体部11及び第2本体部12は、それぞれ、内周面に円弧状の凹部11a,12aを有している。
【0026】
また、本体部10は、第1本体部11及び第2本体部12を接近又は離間させる締結部14を備えており、該締結部14により、筒状部材2の外周に装着可能に構成されている。締結部14は、第2本体部12の先端側(円周方向の他端部)に設けられた締結ボルト14aと、第1本体部11の先端側に設けられ、締結ボルト14aを挿通させる挿通部14bと、締結ボルト14aに螺合するナット14cとを備えている。なお、第1本体部11に締結ボルト14aが設けられており、第2本体部12に挿通部14bが設けられる構成であっても良い。
【0027】
締結ボルト14aは、第2本体部12から第1本体部11側に向けて突出して設けられており、軸部13bにより第2本体部12に対して回動可能に取り付けられている。挿通部14bは、第1本体部11の先端部の中心が円周方向に切り欠かれて形成された切り欠きであり、該挿通部14bにより、第1本体部11の先端部が略U字状に形成されている。本実施形態に係る締結部14は、締結ボルト14aが挿通部14bを挿通した状態において、ナット14cを締めることにより、第1本体部11及び第2本体部12が互いに接近し、第1本体部11及び第2本体部12を緩めることにより、第1本体部11及び第2本体部12が互いに離間する。なお、軸部13a及び軸部13bとしては、種々の公知の連結部材を採用することができる。
【0028】
また、図2に示すように、第1本体部11には、後述する押圧部20を取り付けた状態において、押圧部20の後述する基部21に設けられたねじ受け部21aと対応する位置に、貫通孔11bが形成されている。また、第2本体部12には、後述する受け部30を取り付けた状態において、受け部30の後述する位置決め孔部31と対応する位置に貫通孔12bが形成されている。
【0029】
なお、本体部10を構成する材料としては、後述する押圧部20が筒状部材2を押圧する際に生じる応力に耐えられる程度の強度を有する材料であれば良い。
【0030】
[押圧部の構成]
押圧部20は、第1本体部11及び第2本体部12の少なくとも一方に設けられており、本実施形態においては、第1本体部11に設けられている。具体的には、押圧部20は、第1本体部11の凹部11aに嵌まるように取り付けられる円弧状の基部21と、該基部21から第2本体部12側に向けて突出し、筒状部材2を押圧する突起部22とを備えている。
【0031】
基部21は、円周方向及び軸方向において第1本体部11の凹部11aに嵌まることが可能な大きさを有しており、径方向において凹部11aよりも長い長さを有している。また、基部21には、その外周面の中心部近傍から基部21の中心部近傍に亘って凹状のねじ受け部21aが設けられている。突起部22は、基部21の内周面かつ中心部近傍から第2本体部12側に向けて突出する断面略三角状に形成されており、その先端22aが曲面状に形成されている。なお、突起部22は、突出方向において、筒状部材2を押圧する際に、筒状部材2とジョイント部材3とをかしめることが可能な長さを少なくとも有していれば良い。
【0032】
また、押圧部20は、本体部10に対して着脱可能に構成されている。具体的には、押圧部20は、基部21を第1本体部11の凹部11aに取り付けた状態において、基部21のねじ受け部21aと、第1本体部11の貫通孔11bを貫通したビスやボルト等のねじ部材4とが螺合することにより本体部10に対して固定され、ねじ部材4がねじ受け部21aから取り外されることにより本体部10から取り外されるように構成されている。なお、図2に示すように、ねじ部材4は、軸方向の長さが基部21に設けられたねじ受け部21aの軸方向の長さよりも長い長さで形成されている。
【0033】
さらに、押圧部20は、突起部22の突出方向に沿って、第1本体部11に対して進退移動可能に構成されている。具体的には、押圧部20は、ねじ部材4を第2本体部12側に螺進させることにより、第1本体部11側から第2本体部12側に前進して筒状部材2を押圧するよう構成されている。一方、押圧部20は、ねじ部材4を第1本体部11側に後退させることにより、第1本体部11側に後退して筒状部材2から離間するようように構成されている。
【0034】
なお、押圧部20は、筒状部材2及びジョイント部材3よりも大きい硬度を有する材料で構成されていることが好ましく、本実施形態においては、S45C相当材により構成されている。
【0035】
[受け部の構成]
受け部30は、本体部10の第2本体部12に設けられており、径方向において凹部12aよりも長い長さを有する円弧状に形成されている。また、受け部30は、筒状部材2の円周方向の一部を面接触により支持可能に構成されている。具体的には、受け部30は、好ましくは、筒状部材2の円周方向の90°以上180°未満の領域を面接触により支持可能に構成されている。
【0036】
すなわち、図2に示すように、受け部30は、円周方向一端面に沿って延びる仮想線VL1と、円周方向他端面に沿って延びる仮想線VL2とのなす角θが、好ましくは90°以上180°未満となるように構成されている。受け部30がこのような構成を備えることにより、筒状部材2の押圧時に第2本体部12から加わる外力により筒状部材2が変形するのを防止することが可能となる。
【0037】
また、受け部30は、本体部10に対して着脱可能に構成されている。具体的には、受け部30は、軸方向において第2本体部12の凹部12aと嵌合可能な大きさで形成されており、第2本体部12の凹部12aに嵌まることにより、本体部10に対して取り付けられ、第2本体部12の凹部12aに嵌まった状態の受け部30を取り出すことにより、本体部10から取り外されるように構成されている。
【0038】
また、図1及び図2に示すように、受け部30は、その中心部近傍において、筒状部材2を支持する支持面から該支持面の対向面に亘って貫通する位置決め孔部31を有している。具体的には、位置決め孔部31は、受け部30が筒状部材2の円周方向の一部を面接触により支持した状態において、押圧部20の突起部22が筒状部材2を押圧する位置と180°対向する位置に形成されている。なお、位置決め孔部31を形成する位置は、これに限定されず、例えば、押圧部20の突起部22が筒状部材2を押圧する位置と120°ずれた位置に形成されていても良い。このように、受け部30が位置決め孔部31を有していることにより、第2本体部12の貫通孔12b及び位置決め孔部31を通して、筒状部材2を突起部22で押圧した位置(既にかしめされたかしめ跡)を視認できるため、上記押圧した位置とは異なる位置を押圧する際に、その押圧位置の位置決めが容易になるという利点がある。
【0039】
なお、受け部30を構成する材料としては、押圧部20程の強度を有している必要はなく、例えば、SS400相当材等の材料を採用することができる。
【0040】
[筒状体かしめ器を用いた筒状体連結方法]
本実施形態に係る筒状体かしめ器1は、締結ボルト14aが挿通部14bを挿通した状態において、締結ボルト14aに対してナット14cを締めることで、第1本体部11及び第2本体部12が互いに接近する方向に締め付けられると共に、筒状部材2を押圧部20が押圧して、該筒状部材2とジョイント部材3とをかしめて連結させることが可能に構成されている。また、本実施形態に係る筒状体かしめ器1は、筒状部材2を受け部30により支持した状態で該筒状部材2を押圧部20により押圧することで、該筒状部材2とジョイント部材3とをかしめて連結させる。
【0041】
以下、図3図8を用いて、上記のような筒状体かしめ器1を用いた第1筒状部材2Aと第2筒状部材2Bとの連結方法について詳細に説明する。
【0042】
[挿入工程]
まず、図3に示すように、第1筒状部材2Aと第2筒状部材2Bとに亘って、該第1筒状部材2A及び該第2筒状部材2B内にジョイント部材3を挿入させる。
【0043】
[第1装着工程及び第1かしめ工程]
次に、図3に示すように、第1筒状部材2Aとジョイント部材3とが重なる位置において、該第1筒状部材2Aの外周に筒状体かしめ器1を装着させる。具体的には、受け部30を第1筒状部材2Aの円周方向の一部に面接触させた後、図4に示すように、第1本体部11の先端部に設けられた挿通部14bに第2本体部12の締結ボルト14aを挿通させることにより、筒状体かしめ器1が第1筒状部材2Aの外周に装着される。この状態において、受け部30は、第1筒状部材2Aの円周方向の一部を支持している。
【0044】
第1装着工程の後、又はこれと並行して、第1筒状部材2Aの円周方向の一部を押圧し、該第1筒状部材2Aとジョイント部材3とをかしめて連結させる。具体的には、図5に示すように、受け部30が第1筒状部材2Aの円周方向の一部を面接触により支持した状態において、締結ボルト14aに対してナット14cを締めることにより、押圧部20の突起部22が該支持部位と対向する部位を押圧し、該第1筒状部材2Aとジョイント部材3とをかしめて連結させることができる。なお、ナット14cによる締めのみではかしめが不十分な場合には、ねじ部材4を第2本体部12側に螺進させることにより、押圧部20が第2本体部12側にさらに前進して、筒状部材2をさらに押圧することができる。
【0045】
次に、図6に示すように、受け部30が第1筒状部材2Aの円周方向の他の部位を面接触により支持するように、上記の装着手順と同様の手順により、筒状体かしめ器1を第1筒状部材2Aの外周に装着させる。なお、図6に示すように、受け部30により第1筒状部材2Aの円周方向の他の部位を支持させた状態において、受け部30の位置決め孔部31及び第2本体部12の貫通孔12bを上記押圧した位置(既にかしめされたかしめ跡)に合わせることにより、押圧する位置を決めやすくなる。例えば、一箇所目のかしめ位置と二箇所目のかしめ位置との周方向の位置を、精度よく180度ずらすことが可能となる。
【0046】
そして、図7に示すように、受け部30が第1筒状部材2Aの円周方向の他の部位を面接触により支持した状態において、ナット14cを締めることにより、押圧部20の突起部22が該支持部位と対向する部位を押圧し、該第1筒状部材2Aとジョイント部材3とをかしめて連結させることができる。なお、ナット14cの締めのみではかしめが不十分な場合には、一箇所目の押圧と同様に、ねじ部材4を第2本体部12側に螺進させることにより、押圧部20をさらに前進させて筒状部材2をさらに押圧しても良い。
【0047】
[第2装着工程及び第2かしめ工程]
次に、第1かしめ工程と同様の手順を行い、第2筒状部材2Bとジョイント部材3とをかしめて連結させる。すなわち、第1装着工程と同様の手順により、筒状体かしめ器1を第2筒状部材2Bの外周に装着させ、受け部30が第2筒状部材2Bの円周方向の一部を面接触により支持した状態において、ナット14c及び/またはねじ部材4を第2本体部12側に螺進させることにより、押圧部20の突起部22が該支持部位と対向する部位を押圧し、該第2筒状部材2Bとジョイント部材3とをかしめて連結させることができる。
【0048】
また、第1装着工程と同様の手順により受け部30が第2筒状部材2Bの円周方向の他の部位を面接触により支持した状態において、ナット14c及び/またはねじ部材4を第2本体部12側に螺進させることにより、押圧部20の突起部22が該支持部位と対向する部位を押圧し、該第2筒状部材2Bとジョイント部材3とをかしめて連結させることができる。
【0049】
このように、挿入工程、第1装着工程、第1かしめ工程、第2装着工程及び第2かしめ工程を行うことにより、第1筒状部材2Aとジョイント部材3とが連結されると共に、第2筒状部材2Bとジョイント部材3とが連結され、その結果、図8に示すように、ジョイント部材3を介して第1筒状部材2Aと第2筒状部材2Bとを連結させることができる。また、本実施形態に係る筒状体かしめ器1は、筒状部材2の径に応じて筒状体かしめ器1の大きさを変更することにより、又は、筒状部材2の径に応じて押圧部20及び/または受け部30の大きさを変更することにより、複数種類の筒状部材2に対応することができる。
【0050】
なお、本実施形態において、第1筒状部材2Aとジョイント部材3とを2点かしめることによって連結させると共に、第2筒状部材2Bとジョイント部材3とを2点かしめることによって連結させるものとして説明したが、これに限定されず、ジョイント部材3に対する第1筒状部材2A及び及び第2筒状部材2Bのかしめ数は、1点であっても良いし、3点以上であっても良い。3点以上をかしめる場合には、各かしめ位置は、周方向に均等な間隔(位相差)で配置されることが好ましい。例えば、かしめ位置が3点の場合には、各かしめ位置は、120度の間隔をおいて配置されることが好ましく、かしめ位置が4点の場合には、各かしめ位置は、90度の間隔をおいて配置されることが好ましい。
【0051】
[本実施形態に係る筒状体かしめ器の利点]
このように、本実施形態に係る筒状体かしめ器1は、筒状部材2と該筒状部材2内に挿通された、又は該筒状部材を挿通させたジョイント部材3とをかしめて連結させる筒状体かしめ器1であって、筒状部材2又はジョイント部材3の外周を包囲可能な本体部10と、筒状部材2又はジョイント部材3の円周方向の一部を押圧可能な押圧部20とを備え、本体部10は、筒状部材2又はジョイント部材3の一部を包囲する第1本体部11と、筒状部材2又はジョイント部材3の他の部位を包囲する第2本体部12と、第1本体部11及び第2本体部12を接近又は離間させる締結部14とを備え、締結部14により、筒状部材2又はジョイント部材3の外周に装着可能に構成されている。
【0052】
このような構成を備える筒状体かしめ器1によれば、締結部14が第1本体部11及び第2本体部12を接近させることで、押圧部20が筒状部材2又はジョイント部材3の円周方向の一部を押圧し、筒状部材2及びジョイント部材3をかしめることができるので、筒状部材をかしめる際に人力を必要とせず、径の大きい又は強度の高い筒状部材をかしめる際の作業負担を軽減することができるという顕著な利点を有する。
【0053】
また、上記構成を備える筒状体かしめ器1は、例えば、建設現場等での手摺の組み立て時等において、効果を発揮する。すなわち、一般に、手摺は、複数の筒状部材の端部を相互に全周溶接することによって接続することで、組み立てられているところ、上記構成を備える筒状体かしめ器1によれば、溶接作業が不要であり、筒状部材2を押圧するだけで該筒状部材2及びジョイント部材3をかしめることができるため、接続作業が容易であるとともに、作業効率を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る筒状体かしめ器1において、締結部14は、第1本体部11及び第2本体部12の一方の先端側に設けられた締結ボルト14aと、第1本体部11及び第2本体部12の他方の先端側に設けられ、締結ボルト14aを挿通させる挿通部14bと、締結ボルト14aに螺合するナット14cとを備えている。このような構成を備える筒状体かしめ器1によれば、締結ボルト14aに対して電動ドライバ等でナット14cを締め付けるだけで、筒状部材2及びジョイント部材3をかしめることができるので、径の大きい又は強度の高い筒状部材をかしめる際の作業負担を大幅に軽減することができるという利点を有する。
【0055】
さらに、本実施形態に係る筒状体かしめ器1において、押圧部20は、筒状部材2を押圧する突起部22を有し、該突起部22は、先端22aが曲面状に形成されている。このような構成を備える筒状体かしめ器1によれば、筒状部材2の押圧時において、先端22aにかかる応力を分散させることができ、突起部22の耐久性を向上させることができるため、筒状体かしめ器1を長期間使用することができるという利点を有する。
【0056】
また、本実施形態に係る筒状体かしめ器1は、筒状部材2又はジョイント部材3における押圧部20と対向する部位を面接触により支持可能な受け部30を更に備えており、筒状部材2又はジョイント部材3を受け部30により支持した状態で該筒状部材2又はジョイント部材3を押圧部20により押圧することで、該筒状部材2とジョイント部材3とをかしめて連結させることが可能に構成されている。このような構成を備える筒状体かしめ器1によれば、受け部30が筒状部材2又はジョイント部材3の円周方向の一部を面接触により支持するため、押圧部20が筒状部材2又はジョイント部材3を押圧する際に、第2本体部12から筒状部材2に加わる外力を分散させることができ、筒状部材2の形状を大きく変形させることなく、筒状部材2及びジョイント部材3をかしめることができるという利点も有する
【0057】
さらに、本実施形態に係る筒状体かしめ器1において、受け部30は、筒状部材2又はジョイント部材3を支持する支持面から該支持面の対向面に亘って貫通する位置決め孔部31を有する。このような構成を備える筒状体かしめ器1によれば、筒状部材2又はジョイント部材3を突起部22で押圧した位置(既にかしめされたかしめ跡)を視認できるため、該押圧した位置と異なる位置を押圧する場合の位置決めが容易になるという利点を有する。
【0058】
また、本実施形態に係る筒状体かしめ器1において、受け部30は、筒状部材2又はジョイント部材3の円周方向の90°以上180°未満の領域を面接触により支持可能に構成されている。このような構成を備える筒状体かしめ器1によれば、受け部30が筒状部材2又はジョイント部材3の広い範囲に亘って面接触されるため、押圧部20が筒状部材2又はジョイント部材3を押圧する際に、第2本体部12から筒状部材2に加わる外力を十分に分散でき、筒状部材2の変形を防止することができるという利点を有する。
【0059】
[変形例]
本発明に係る筒状体かしめ器は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、第1本体部11に押圧部20が設けられており、第2本体部12に受け部30が設けられているものとして説明したが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、押圧部20´が第1本体部11´及び第2本体部12´にそれぞれ設けられていても良い。以下、図9図11を用いて、このような筒状体かしめ器1´の構成及び筒状体連結方法について説明する。なお、上述した実施形態と同様の構成については、同様の符号で示すか、又は説明を省略する。
【0061】
図9に示すように、筒状体かしめ器1´は、第1本体部11´が半円状の第1保持部15と、該第1保持部15の先端から延びる板状の第1延出部16とを備えており、第2本体部12´が半円状の第2保持部17と、該第2保持部17の先端から延びる板状の第2延出部18とを備えている点で上述した実施形態と構成が異なる。また、筒状体かしめ器1´は、押圧部20´がねじ部材で構成されている点で上述した実施形態と構成が異なる。
【0062】
第1保持部15及び第2保持部17は、同形同大に形成されており、円周方向中心部に押圧部20´を貫通可能な貫通孔11b´及び貫通孔12b´をそれぞれ有している。第1保持部15及び第2保持部17は、貫通孔11b´及び貫通孔12b´に押圧部20´を貫通させた状態で該押圧部20´を保持するように構成されている。
【0063】
第1延出部16及び第2延出部18は、同形同大に形成されている。第2延出部18には、締結ボルト14を取り付けるための取付孔18aが形成されており、締結ボルト14は、該取付孔18aを貫通することで、第2本体部12´に取り付けられる。第1延出部16には、締結ボルト14を挿通させるための挿通孔(挿通部14b´)が形成されている。挿通部14b´と取付孔18aは同形同大に形成されており、第1延出部16及び第2延出部18の延びる方向に沿って延びる長孔に形成されている。
【0064】
押圧部20´は、略T字状に形成された基部21´と、該基部21´から軸方向に突出する突起部22´とを備えており、該突起部22´の先端22a´が曲面状に形成されている。また、押圧部20´は、第1保持部15の貫通孔11b´を螺進して貫通することで、基部21´が第1保持部15の内面と螺合して第1本体部11´に取り付けられるように構成されている。同様に、押圧部20´は、第2保持部17の貫通孔12b´を螺進して貫通することで、基部21´が第2保持部17の内面と螺合して第2本体部12´に取り付けられるように構成されている。
【0065】
図10に示すように、筒状体かしめ器1´は、筒状部材2内にジョイント部材3を挿入した後(挿入工程)、筒状部材2とジョイント部材3とが重なる位置を第1保持部15及び第2保持部17で包囲した状態において、挿通部14b´に締結ボルト14を挿通させてナット14cで締めることで、筒状部材2の外周に装着される(第1装着工程又は第2装着工程)。そして、図11に示すように、装着工程の後、又はこれと並行して、ナット14cを第1延出部16及び第2延出部18が接触するまで締めることにより、第1保持部15及び第2保持部17にそれぞれ設けられた押圧部20´が筒状部材2の円周方向の一部と、これとは異なる円周方向の他の部位を同時に押圧し、筒状部材2とジョイント部材3とをかしめて連結させる(第1かしめ工程又は第2かしめ工程)。また、ナット14cの締めのみではかしめが不十分な場合には、第1保持部15及び第2保持部17にそれぞれ螺合された押圧部20´を径方向内側に螺進させることにより、筒状部材2を更に押圧しても良い。
【0066】
なお、上述した実施形態と同様、ジョイント部材3内に筒状部材2が挿通された状態で、かしめても良い。
【0067】
このような構成を備える筒状体かしめ器1´によれば、押圧部20´が第1本体部11´及び第2本体部12´にそれぞれ設けられており、筒状部材2及びジョイント部材3を同時に2点かしめることができるため、かしめる際の作業負担を軽減するだけではなく、作業効率を向上させることができるという利点を有する。また、かしめ時において、ナット14cを第1延出部16及び第2延出部18が接触するまで締めることが、かしめ具合の目安となるため、作業者の熟練度を問わず、適切にかしめを行うことができるという利点も有する。
【0068】
また、本発明に係る筒状体かしめ器は、上述した変形例以外にも、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。例えば、上述した実施形態では、突起部22は、先端22aが曲面状に形成されているものとして説明したが、これに限定されず、突起部22の先端22aが曲面状以外の形状、例えば、平面形状や先鋭形状であっても良い。
【0069】
また、上述した実施形態では、受け部30は、筒状部材2を支持する支持面から該支持面の対向面に亘って貫通する位置決め孔部31を有するものとして説明したが、これに限定されず、受け部30が位置決め孔部31を有さない態様であっても良い。
【0070】
さらに、上述した実施形態では、受け部30は、筒状部材2の円周方向の90°以上180°未満の領域を面接触により支持可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、受け部30が筒状部材2の円周方向の任意の領域を面接触により支持する態様であっても良い。
【0071】
また、上述した実施形態では、押圧部20は、本体部10に対して着脱可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、押圧部20が本体部10に対して着脱不能に構成されていても良い。
【0072】
さらに、上述した実施形態では、押圧部20は、筒状部材2及びジョイント部材3よりも大きい硬度を有するものとして説明したが、これに限定されず、筒状部材2及びジョイント部材3をかしめるという機能を阻害しない範囲において、押圧部20が筒状部材2及びジョイント部材3と同じ硬度、又は押圧部20が筒状部材2及びジョイント部材3よりも小さい硬度を有していても良い。
【0073】
また、上述した実施形態では、受け部30は、本体部10に対して着脱可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、受け部30が本体部10に対して着脱不能に構成されていても良い。
【0074】
さらに、上述した実施形態では、押圧部20は、突起部22が突出する方向に沿う方向において、第1本体部11に対して進退移動可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、押圧部20が移動しない態様であっても良い。
【0075】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0076】
1 :筒状体かしめ器
2 :筒状部材
2A :第1筒状部材
2B :第2筒状部材
3 :ジョイント部材
4 :ねじ部材
10 :本体部
11 :第1本体部
11a :凹部
11b :貫通孔
12 :第2本体部
12a :凹部
12b :貫通孔
13a :軸部
13b :軸部
14 :締結部
14a :締結ボルト
14b :挿通部
14c :ナット
15 :第1保持部
16 :第1延出部
17 :第2保持部
18 :第2延出部
18a :取付孔
20 :押圧部
21 :基部
21a :ねじ受け部
22 :突起部
22a :先端
30 :受け部
31 :位置決め孔部
VL1 :仮想線
VL2 :仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11