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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156043
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電動モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H02K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065651
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604DB01
5H604PB03
(57)【要約】
【課題】モータ性能の低下を抑えつつ、さらにできる限り小型化可能な電動モータを提供する。
【解決手段】ステータ8は、ステータコア20と、ステータコア20の回転軸線C方向の一端側に装着された第1インシュレータ61と、ステータコア20の回転軸線C方向の他端側に装着された第2インシュレータ62と、を備える。ロータ9は、シャフト31と、シャフト31に固定されたロータ本体30と、を備える。第1インシュレータ61の第1内壁部74の内周面74aは、ステータコア20の内周面20cよりも径方向内側に位置している。ロータ本体30の軸方向一端面30bの位置は、ステータコア20の軸方向一端面20aの位置よりも回転軸線C方向の他端側に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎖交磁束を発生させる環状のステータと、
前記ステータの径方向内側に設けられ、前記ステータに対して回転軸線回りに回転自在に設けられるロータと、
を備え、
前記ステータは、
ステータコアと、
前記ステータコアの前記回転軸線方向の一端側に装着され、径方向内側に設けられた第1内壁部を有する絶縁性の第1インシュレータと、
前記ステータコアの前記回転軸線方向の他端側に装着され、径方向内側に設けられた第2内壁部を有する絶縁性の第2インシュレータと、
前記ステータコアに前記第1インシュレータ及び前記第2インシュレータの上から巻回されるコイルと、
を備え、
前記ロータは、
シャフトと、
前記シャフトに固定され、前記鎖交磁束との間で磁気的な吸引力や反発力を生じるマグネットを有するロータ本体と、
を備え、
前記第1内壁部の内周面は、前記ステータコアの内周面よりも径方向内側に位置しており、
前記ロータ本体における前記回転軸線方向の一端側の端面の位置は、前記ステータコアにおける前記回転軸線方向の一端側の端面の位置よりも前記回転軸線方向の他端側に位置している
ことを特徴とする電動モータ。
【請求項2】
前記第1内壁部の内周面は、前記ロータ本体の外周面よりも径方向内側に位置しており、
前記第2内壁部の内周面は、前記ロータ本体の外周面よりも径方向外側に位置している
ことを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。
【請求項3】
前記ロータ本体における前記回転軸線方向の他端側の端面の位置は、前記ステータコアにおける前記回転軸線方向の他端側の端面の位置よりも前記回転軸線方向の他端側に位置している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動モータ。
【請求項4】
前記第2内壁部の肉厚は、前記第1内壁部の肉厚よりも厚い
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動モータ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の電動モータにおいて、
前記第2インシュレータにおける前記回転軸線方向の他端側に設けられ、前記コイルと外部電源とを電気的に接続するための端子を支持する樹脂製の端子ホルダを備え、
前記端子ホルダは、前記第2インシュレータ及び前記第2インシュレータに巻回された前記コイルを前記回転軸線方向の他端側から覆う環状部を備える
ことを特徴とする電動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータは、例えばコイルが巻回されたステータと、ステータに対して回転自在に設けられたロータと、を備える。ステータは磁性体により形成されており、環状のコア本体と、コア本体から径方向に沿って突出するティースと、を有する。ティースに、インシュレータの上からコイルが巻回されている。インシュレータは、絶縁性を有する樹脂により形成されている。インシュレータによって、ティースとコイルとの絶縁が図られる。
【0003】
ロータは、回転自在に設けられたシャフトと、シャフトに固定されたロータ本体と、を備える。ロータ本体は、磁性体により形成されたロータコアと、ロータコアに設けられたマグネットと、を備える。
このような構成のもと、コイルに通電を行うとティースに磁界が形成される。この磁界とマグネットとの間で磁気的な吸引力や反発力が生じ、ロータが継続的に回転される。
【0004】
ここで、インシュレータは、コイルが巻き崩れないようにインシュレータの径方向内側に設けられた内壁部と、インシュレータの径方向外側に設けられた外壁部と、を有する。これら内壁部と外壁部とによりコイル収納凹部が形成される。このコイル収納凹部に収納するように、コイルが巻回される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-1947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モータ性能の低下を抑えつつ電動モータを小型化しようとすると、インシュレータの配置スペースに制約ができる。一方、単純にインシュレータを小型化するとコイルの積み高さが高くなってしまう。とりわけ、コイルのうち、インシュレータの軸方向両端に収納されるコイルエンドの積み高さが高くなると、電動モータの軸長が長くなってしまい、電動モータを小型化しにくい。このため、モータ性能の低下を抑えつつ、電動モータをできる限り小型化するのが困難という課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、モータ性能の低下を抑えつつ、さらにできる限り小型化可能な電動モータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電動モータは、鎖交磁束を発生させる環状のステータと、前記ステータの径方向内側に設けられ、前記ステータに対して回転軸線回りに回転自在に設けられるロータと、を備え、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアの前記回転軸線方向の一端側に装着され、径方向内側に設けられた第1内壁部を有する絶縁性の第1インシュレータと、前記ステータコアの前記回転軸線方向の他端側に装着され、径方向内側に設けられた第2内壁部を有する絶縁性の第2インシュレータと、前記ステータコアに前記第1インシュレータ及び前記第2インシュレータの上から巻回されるコイルと、を備え、前記ロータは、シャフトと、前記シャフトに固定され、前記鎖交磁束との間で磁気的な吸引力や反発力を生じるマグネットを有するロータ本体と、を備え、前記第1内壁部の内周面は、前記ステータコアの内周面よりも径方向内側に位置しており、前記ロータ本体における前記回転軸線方向の一端側の端面の位置は、前記ステータコアにおける前記回転軸線方向の一端側の端面の位置よりも前記回転軸線方向の他端側に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電動モータのモータ性能の低下を抑えつつ、電動モータをできる限り小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態における減速機付きモータの斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】本発明の実施形態におけるステータを他端側からみた斜視図である。
図4】本発明の実施形態におけるステータを軸方向からみた平面図であり、後述する端子ホルダを取り外した状態を示している。
図5】本発明の実施形態における第1インシュレータを一端側からみた斜視図である。
図6】本発明の実施形態における第2インシュレータを他端側からみた斜視図である。
図7図2のVII部拡大図である。
図8図2のVIII部拡大図である。
図9】本発明の実施形態における電動モータの組み立て方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
<減速機付きモータ>
図1は、減速機付きモータ1の斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
減速機付きモータ1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。
図1図2に示すように、減速機付きモータ1は、電動モータ2と、電動モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、電動モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備える。
【0013】
なお、以下の説明において、単に「軸方向」という場合は、電動モータ2のシャフト31における中心軸(電動モータ2の回転軸線C)と平行な方向を意味するものとする。単に「周方向」という場合は、シャフト31の周方向(回転方向)を意味するものとする。単に「径方向」という場合は、軸方向及び周方向に直交するシャフト31の径方向を意味するものとする。
【0014】
<電動モータ>
電動モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置されたロータ9と、を備えている。電動モータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
【0015】
<モータケース>
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7とは、それぞれ有底円筒状に形成されている。
【0016】
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギアケース40と一体成形されている。底部10の径方向中央には、電動モータ2のシャフト31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。第1モータケース6及び第2モータケース7の各開口部6a,7aには、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16,17がそれぞれ形成されている。これら外フランジ部16,17同士を突き合わせ、ボルト25によって第1モータケース6と第2モータケース7とが一体化されている。モータケース5は、第1モータケース6と第2モータケース7とによって閉塞された内部空間を有し、この内部空間にステータ8及びロータ9が収納されている。
【0017】
<ロータ>
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に設けられている。ロータ9は、シャフト31と、シャフト31に嵌合固定されるロータ本体30と、を備える。ロータ本体30は、シャフト31に嵌合固定される円筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周面に設けられたマグネット33と、を備える。
【0018】
ロータコア32は、複数の電磁鋼板32pを積層することにより形成される。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば軟磁性粉を加圧成形してロータコア32を形成してもよい。ロータコア32の径方向中央に形成された軸方向に貫通する孔32bに、シャフト31が圧入、又は挿入して接着される。これにより、シャフト31にロータコア32が固定される。
【0019】
マグネット33は、円筒状に形成されている。マグネット33は、例えば接着によりロータコア32の外周面に固定される。マグネット33には、周方向に複数の磁極が形成されている。マグネット33の軸方向の長さLmは、ロータコア32の軸方向の長さLrと同一である。ロータコア32の軸方向両端面とマグネット33の軸方向両端面とは、同一平面上に位置している。
【0020】
マグネットとしては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながらこれに限るものではなく、マグネットは、ネオジムボンド磁石やネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
また、本実施形態では、ロータ本体30の外周面30aとは、マグネット33の外周面をいう。ロータ本体30の軸方向両端面30b,30c(軸方向一端面30b、軸方向他端面30c)とは、ロータコア32及びマグネット33の軸方向両端面をいう。
【0021】
シャフト31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体に形成されている。しかしながらこれに限るものではなく、ウォーム軸44は、シャフト31と別体に形成され、シャフト31の端部に連結されるものでもよい。シャフト31とウォーム軸44は、ギアケース40に軸受46,47を介して回転自在に支持されている。シャフト31とウォーム軸44は、回転軸線C回りに回転する。
【0022】
<減速部>
減速部3は、モータケース5と一体化されたギアケース40と、ギアケース40内に収納されたウォーム減速機構41と、を備えている。ギアケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギアケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギアケース40は、ウォーム減速機構41を内部に収容するギア収容部42を有する。また、ギアケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体形成されている箇所に、第1モータケース6の貫通孔10aとギア収容部42を連通する開口部43が形成されている。
【0023】
ギアケース40の底壁40cには、円筒状の軸受ボス49が突出形成されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものである。軸受ボス49の内周側に、図示しない滑り軸受が配置されている。軸受ボス49の先端部には、内周面に、図示しないOリングが装着されている。また、軸受ボス49の外周面には、剛性確保のための複数のリブ52が突設されている。
【0024】
ギア収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ロータ9のシャフト31と一体に形成されたウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、軸方向の両端部が軸受46,47を介してギアケース40に回転軸線C回りに回転可能に支持されている。ウォームホイール45には、電動モータ2の出力軸48が同軸に、かつ一体に設けられている。
【0025】
ウォームホイール45と出力軸48とは、これらの回転軸線が、ウォーム軸44(電動モータ2のシャフト31)の回転軸線Cと直交するように配置されている。出力軸48は、ギアケース40の軸受ボス49を介して外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、モータ駆動する対象物品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
【0026】
また、ウォームホイール45には、図示しないセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、コントローラ4に設けられた後述の磁気検出素子50によって位置を検出される。つまり、ウォームホイール45の回転位置は、コントローラ4の磁気検出素子50によって検出される。
【0027】
<コントローラ>
コントローラ4は、磁気検出素子50が実装されたコントローラ基板51を有している。コントローラ基板51は、磁気検出素子50がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギアケース40の開口部40a内に配置されている。ギアケース40の開口部40aは、カバー53によって閉塞されている。
【0028】
コントローラ基板51には、ステータ8の後述するコイル24と電気的に接続される。また、コントローラ基板51には、カバー53に設けられたコネクタ11(図1参照)の図示しない端子が電気的に接続されている。コントローラ基板51には、磁気検出素子50の他に、コイル24に供給する駆動電圧を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(図示しない)や、電圧の平滑化を行うコンデンサ(図示しない)等が実装されている。
【0029】
<ステータ>
図3は、ステータ8を他端側からみた斜視図である。図4は、ステータ8を軸方向からみた平面図であり、後述する端子ホルダ85を取り外した状態を示している。
図2から図4に示すように、ステータ8は、中心軸が回転軸線Cと一致する円筒状のステータコア20と、ステータコア20に装着されるインシュレータ26と、ステータコア20にインシュレータ26の上から巻回される3相(U相、V相、W相)構造の複数のコイル24と、を備える。
【0030】
ステータコア20は、複数の電磁鋼板20pを積層することにより形成される。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば軟磁性粉を加圧成形してステータコア20を形成してもよい。
ステータコア20は、円筒状のコア本体21と、コア本体21の内周面から径方向内側に向かって突出する複数(本第1実施形態では6個)のティース22と、コア本体21の外周面に一体成形された2つの固定部23と、を有する。
【0031】
ティース22は、コア本体21の内周面から径方向内側に向かって突出するティース本体28と、ティース本体28の径方向内側端(先端)に一体成形された鍔部29と、を有する。
鍔部29は、周方向に沿って延びている。鍔部29の内周面29aは、回転軸線Cを中心とする円上に沿うように形成されている。鍔部29の内周面29aは、ステータコア20の内周面20cを構成している。
【0032】
周方向で隣接するティース22の間には、コア本体21の内周面、ティース本体28の周方向側面、及び鍔部29の外周面によって軸方向からみて蟻溝状のスロット27が形成される。これらスロット27に、コイル24が挿通される。スロット27に挿通されたコイル24は、ティース本体28にインシュレータ26の上から巻回される。以下の説明では、巻回されたコイル24のうち、軸方向両端に位置する箇所をコイルエンドという場合がある。
【0033】
ステータコア20の軸方向の長さLsは、マグネット33の軸方向の長さLm及びロータコア32の軸方向の長さLrと同一である。
固定部23は、コア本体21の外周面から径方向外側に向かって突出されており、周方向に180°間隔をあけて配置されている。固定部23には、軸方向に貫通するボルト挿通孔23aが形成されている。
【0034】
このような構成のもと、コア本体21の外周面が第1モータケース6の内周面に嵌合されて収納される。そして、固定部23のボルト挿通孔23aに図示しないタッピングねじを挿入し、このタッピングねじを第1モータケース6の底部10にねじ込むことにより、第1モータケース6にステータコア20が締結固定される。このように固定されたステータコア20の上から第2モータケース7を被せる。そして、第1モータケース6に第2モータケース7を固定する。
【0035】
ここで、第1モータケース6にステータコア20を締結固定した状態では、ステータコア20に対してロータ本体30の位置が減速部3側にずれている。すなわち、ロータ本体30における減速部3とは反対側の軸方向一端面30bの位置は、ステータコア20における減速部3とは反対側の軸方向一端面20aの位置よりも減速部3側に位置している。また、ロータ本体30における減速部3側の軸方向他端面30cの位置は、ステータコア20における減速部3側の軸方向他端面20bの位置よりも減速部3側に位置している。
以下の説明では、説明を分かりやすくするために、電動モータ2を中心に減速部3とは反対側を一端側と称し、減速部3側を他端側と称して説明する。
【0036】
<インシュレータ>
インシュレータ26は、ステータコア20とコイル24との絶縁を図るためのものであり、絶縁性を有する樹脂により形成されている。
図2図3に示すように、インシュレータ26は、ステータコア20の軸方向両側から装着されるように軸方向で2分割構成されている。すなわち、インシュレータ26は、ステータコア20の一端側から装着される第1インシュレータ61と、ステータコア20の他端側から装着される第2インシュレータ62と、を備える。
【0037】
図5は、第1インシュレータ61を一端側からみた斜視図である。
図2図3図5に示すように、第1インシュレータ61は、コア本体21の軸方向一端面21a上に配置される円筒状の第1外壁部83と、ティース22の軸方向一端側を覆う第1ティース被覆部64と、が一体成形されたものである。第1外壁部83の中心軸は、回転軸線Cと一致している。第1外壁部83の軸方向他端83aが、コア本体21の軸方向一端面21a上に配置され、この軸方向一端面21aを覆っている。第1外壁部83の軸方向他端83aには、この軸方向他端83aの内周縁から他端に向かって突出された第1コア側面被覆部66が一体成形されている。
【0038】
第1コア側面被覆部66は、第1外壁部83の軸方向他端83aからコア本体21の軸方向中央よりもやや手前に至る間に延びている。また、第1コア側面被覆部66は、コア本体21の内周面に沿うように延びている。第1コア側面被覆部66は、コア本体21の内周面のうち、軸方向中央から一端側を覆う。
【0039】
第1ティース被覆部64は、第1外壁部83の軸方向他端83aから径方向内側に向かって延びる第1ティース端面被覆部71と、第1ティース端面被覆部71の周方向両側(短手方向両端)から他端側に向かって突出された第1ティース側面被覆部72と、第1ティース側面被覆部72の径方向内側端から周方向外側に向かって突出された第1鍔側面被覆部73と、第1ティース端面被覆部71の径方向内側端及び第1鍔側面被覆部73の一端に接合され第1鍔側面被覆部73の一端から軸方向に延出された第1内壁部74と、を有する。
【0040】
第1ティース端面被覆部71は、ティース本体28の一端を覆う。第1ティース側面被覆部72は、第1ティース端面被覆部71からティース本体28の軸方向中央よりもやや手前に至る間に延びている。第1ティース側面被覆部72は、ティース本体28の周方向側面のうち軸方向中央から一端側を覆う。これら第1ティース側面被覆部72の径方向外側端に、第1コア側面被覆部66が接続される。
第1鍔側面被覆部73の軸方向の長さは、第1ティース側面被覆部72の軸方向の長さと同一である。第1鍔側面被覆部73は、ティース22における鍔部29の外周面のうち軸方向中央から一端側を覆う。
【0041】
このような構成のもと、第1インシュレータ61の一端側には、第1外壁部83、第1ティース端面被覆部71、及び第1内壁部74により、第1端部コイル収納凹部79aが形成される。第1端部コイル収納凹部79aの周方向両側には、第1コア側面被覆部66、第1ティース側面被覆部72、及び第1鍔側面被覆部73により、第1側部コイル収納凹部79bが形成される。これら第1端部コイル収納凹部79aと第1側部コイル収納凹部79bとは連通しており、ティース本体28に巻回されるコイル24が収納される。第1端部コイル収納凹部79aに収納されるコイル24の一部が、コイルエンドである。
【0042】
図6は、第2インシュレータ62を他端側からみた斜視図である。
図2から図4図6に示すように、第2インシュレータ62は、コア本体21の軸方向他端面21b上に配置されるコア本体被覆部63と、ティース22の軸方向他端側を覆う第2ティース被覆部264と、が一体成形されたものである。コア本体被覆部63は、コア本体21の軸方向他端面21b上に配置されることによって、この軸方向他端面21bを覆う円環状のコア端面被覆部65と、コア端面被覆部65の軸方向一端面65aから一端側に向かって突出された第2コア側面被覆部266と、コア端面被覆部65の軸方向他端面65bから他端側に向かって突出された円筒状の第2外壁部283と、を有する。
【0043】
第2コア側面被覆部266は、コア端面被覆部65の内周縁に配置されている。第2コア側面被覆部266は、コア端面被覆部65からコア本体21の軸方向中央よりもやや手前に至る間に延びている。また、第2コア側面被覆部266は、コア本体21の内周面に沿うように延びている。第2コア側面被覆部266は、コア本体21の内周面のうち軸方向中央から他端側を覆う。
【0044】
第2外壁部283は、コア端面被覆部65の外周縁寄りに配置されている。第2外壁部283には、各第2ティース被覆部264に対応する位置に、それぞれスリット68が形成されている。各スリット68を介し、第2外壁部283の径方向外側から径方向内側に向かってコイル24を引き込んだり、第2外壁部283の径方向内側から径方向外側に向かってコイル24を引き出したりする。
【0045】
コア端面被覆部65及び第2外壁部283には、複数の第2ティース被覆部264のうちの1つに対応する位置に、コイル引出部77が一体成形されている。コイル引出部77は、ティース本体28に巻回されるコイル24の端末部24aを他端側へと引き出す部位である。
【0046】
コイル引出部77には、各相のコイル24の端末部24aの引き出し箇所を別々に規制する複数(例えば、本実施形態のコイル24は3相構造なので3個)のコイル案内凹部78が形成されている。各コイル案内凹部78を介して各相のコイル24の端末部24aが別々に他端側へと引き出される。引き出された各相のコイル24の端末部24aは、後述する端子ホルダ85の端子86へと導かれ、この端子86に接続される。
【0047】
第2ティース被覆部264は、コア端面被覆部65からこのコア端面被覆部65の面方向に沿って径方向内側に向かって延出された第2ティース端面被覆部271と、第2ティース端面被覆部271の周方向両側(短手方向両端)から一端側に向かって突出された第2ティース側面被覆部272と、第2ティース側面被覆部272の径方向内側端から周方向外側に向かって突出された第2鍔側面被覆部273と、第2ティース端面被覆部271の径方向内側端及び第2鍔側面被覆部273の他端に接合され第2鍔側面被覆部273の他端から他端側に向かって延出された第2内壁部274と、を有する。
【0048】
第2ティース端面被覆部271は、ティース本体28の他端を覆う。第2ティース側面被覆部272は、第2ティース端面被覆部271からティース本体28の軸方向中央よりもやや手前に至る間に延びている。第2ティース側面被覆部272は、ティース本体28の周方向側面のうち軸方向中央から他端側を覆う。これら第2ティース側面被覆部272の径方向外側端に、第2コア側面被覆部266が接続される。
第2鍔側面被覆部273の軸方向の長さは、第2ティース側面被覆部272の軸方向の長さと同一である。第2鍔側面被覆部273は、ティース22における鍔部29の外周面のうち軸方向中央から他端側を覆う。
【0049】
このような構成のもと、第2インシュレータ62の他端側には、第2外壁部283、第2ティース端面被覆部271、及び第2内壁部274により、第2端部コイル収納凹部279aが形成される。第2端部コイル収納凹部279aの周方向両側には、第2コア側面被覆部266、第2ティース側面被覆部272、及び第2鍔側面被覆部273により、第2側部コイル収納凹部279bが形成される。これら第2端部コイル収納凹部279aと第2側部コイル収納凹部279bとは連通している。さらに、第2側部コイル収納凹部279bと第1インシュレータ61の第1側部コイル収納凹部79bとが軸方向で並んでいる。各収納凹部79a~279bに、ティース本体28に巻回されるコイル24が収納される。
【0050】
図7は、図2のVII部拡大図である。図8は、図2のVIII部拡大図である。
ここで、図7図8に示すように、第1インシュレータ61の第1内壁部74の位置と、第2インシュレータ62の第2内壁部274の位置とは、互いに径方向の位置、及び形状が若干異なっている。
すなわち、第1内壁部74の内周面74aは、ステータコア20の内周面20c(鍔部29の内周面29a)よりも径方向内側に位置し、かつロータ本体30の外周面30aよりも径方向外側に位置している。一方、第2内壁部274の内周面274aは、ロータ本体30の外周面30aよりも径方向外側に位置している。
【0051】
また、第1内壁部74の形状と第2内壁部274の形状とが若干異なっている。すなわち、第2内壁部274の径方向の肉厚T2は、第1内壁部74の径方向の肉厚T1よりも厚い。
【0052】
さらに、第1内壁部74の第1ティース端面被覆部71からの軸方向の突出長さL1は、第2内壁部274の第2ティース端面被覆部271からの軸方向の突出長さL2よりも長い。換言すれば、第1内壁部74と比較して、第2内壁部274の軸方向の突出長さL2が低く設定されている。このため、コイル24に巻回時にかかる張力が第2インシュレータ62に加わり、仮に第2内壁部274が径方向内側に倒れた場合、軸方向の突出長さL2が低い分、径方向内側への第2内壁部274の倒れ量を小さくできる。よって、ロータ本体30に第2内壁部274が接触してしまう可能性を低減できる。
【0053】
<端子ホルダ>
図2図3に戻り、ステータ8の他端側には、端子ホルダ85が設けられている。端子ホルダ85は、絶縁性を有する樹脂により形成されている。端子ホルダ85は、端子86と、端子86を保持するホルダ本体87と、第2インシュレータ62及びコイル24を他端側から覆うカバー部(請求項における環状部の一例)88と、が一体成形されたものである。
【0054】
端子86は、コイル24の端末部24aとカバー53に設けられたコネクタ11(図1参照)の図示しない端子とを電気的に接続する。端子86は、各相のコイル24の端末部24aが接続されるとともに、コントローラ基板51から延びる図示しないコネクタが接続される。
【0055】
カバー部88は、第2インシュレータ62及び第2インシュレータ62の第2端部コイル収納凹部279aに収納されたコイル24の一部(コイルエンド)に対して軸方向で対向配置された円環状の端面カバー部(請求項における環状部の一例)88aと、端面カバー部88aの外周縁からステータコア20側に向かって延出され第2外壁部283を径方向外側から覆う円筒状の外周カバー部88bと、が一体成形されたものである。
【0056】
ホルダ本体87は、端面カバー部88aの一部からステータコア20とは他端側に向かって立ち上がり形成されている。ホルダ本体87は、軸方向かつ周方向に長い直方体状に形成されている。ホルダ本体87に、コントローラ基板51から延びる図示しないコネクタが装着される。ホルダ本体87には、軸方向からみて長手方向に並ぶ3個の端子収納凹部87aが形成されている。これら端子収納凹部87aに、端子86が収納されて保持されている。そして、端子86とコントローラ基板51から延びる図示しないコネクタとが接続される。
【0057】
<電動モータの組み立て方法>
次に、図9に基づいて、減速機付きモータ1のうちの電動モータ2の組み立て方法について説明する。
図9は、電動モータ2の組み立て方法を示す説明図である。
図9に示すように、電動モータ2を組み立てる前に、予め減速部3を組み立てるとともに、ギアケース40内にコントローラ4を組み付けておく。また、シャフト31にロータ本体30を嵌合固定しておく。さらに、予めステータ8を組み立てておく。このステータ8には、端子ホルダ85を組み付けておく。
【0058】
このような状態で、第1モータケース6の開口部6a側に、端子ホルダ85が向くように、ステータ8とロータ9とを軸方向で対向させる。そして、ステータ8の径方向中央にロータ9を差し込むようにステータ8を他端側に向かって移動させ、第1モータケース6内にステータ8を配置する。すると、第1モータケース6の内周面にステータ8におけるコア本体21の外周面が嵌合されて収納される。
【0059】
次に、コア本体21の固定部23に、図示しないタッピングねじを一端側から挿入し、第1モータケース6にステータコア20を締結固定する。続いて、ステータコア20の上から第2モータケース7を被せる。そして、第1モータケース6に第2モータケース7を固定する。
【0060】
ここで、第1モータケース6にステータコア20を締結固定した状態では、ロータ本体30の軸方向一端面30bの位置は、ステータコア20の軸方向一端面20aの位置よりも他端側に位置している。また、ロータ本体30の軸方向他端面30cの位置は、ステータコア20の軸方向他端面20bの位置よりも他端側に位置している。すなわち、ステータ8の第2インシュレータ62に対しては、ロータ本体30が通過される。これに対し、軸方向で第1インシュレータ61に到達する箇所まで、ステータコア20にロータ本体30が差し込まれることがない。
【0061】
したがって、ロータ本体30が通過されるものの、第2インシュレータ62の第2内壁部274の内周面274aは、ロータ本体30の外周面30aよりも径方向外側に位置しているので、第2インシュレータ62にロータ本体30が接触して損傷してしまうことがない。また、第1インシュレータ61は、第1内壁部74の内周面74aがロータ本体30の外周面30aよりも径方向内側に位置しているものの、第1インシュレータ61にロータ本体30が接触して損傷してしまうこともない。
【0062】
<減速機付きモータの動作>
次に、減速機付きモータ1の動作について説明する。
各コイル24に、コントローラ4を介して給電が行われるとステータコア20に鎖交磁束が形成される。この鎖交磁束と、ロータ9のロータ本体30に設けられたマグネット33と、の間で磁気的な吸引力や反発力が生じ、ロータ9が継続的に回転される。
ロータ9が回転されると、シャフト31と一体化されているウォーム軸44が回転される。さらに、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45が回転される。ウォームホイール45の回転は、ウォームホイール45に連結されている出力軸48に伝達される。これにより、出力軸48に連結される所望の電装品が駆動される。
【0063】
上述の電動モータ2において、ロータ本体30の軸方向一端面30bの位置は、ステータコア20の軸方向一端面20aの位置よりも他端側に位置している。第1内壁部74の内周面74aは、ステータコア20の内周面20c(鍔部29の内周面29a)よりも径方向内側に位置し、かつロータ本体30の外周面30aよりも径方向外側に位置している。
【0064】
このため、電動モータ2の一端側において、ロータ本体30に干渉することなく、第1インシュレータ61の第1内壁部74を、できる限り径方向内側に配置することができる。この結果、第1インシュレータ61において、第1端部コイル収納凹部79aを径方向に大きくすることができる。よって、第1端部コイル収納凹部79aでのコイル24の巻き太りを抑制でき、コイルエンドの積み高さをできる限り低くすることができる。
【0065】
第1端部コイル収納凹部79aを径方向に大きくするにあたって、第1外壁部83を径方向外側に張り出すことがない。第2インシュレータ62の第2外壁部283も径方向外側に張り出すことがない。このため、電動モータ2の径方向の寸法が大きくなることもない。また、第1内壁部74とロータ本体30とが干渉することもない。第1端部コイル収納凹部79aを径方向に大きくするにあたって、ロータ本体30とステータコア20との径方向の間のギャップも大きくする必要がない。
【0066】
仮に、コイル24に巻回時にかかる張力によって第1内壁部74が径方向内側に倒れるように変形してしまう場合であっても、第1内壁部74とロータ本体30とが接触してしまうことを防止できる。第1内壁部74が径方向内側に倒れるように変形してしまうことを抑制するために、第1内壁部74を肉厚化する必要もない。このため、電動モータ2のモータ性能の低下を抑えつつ、電動モータ2をできる限り小型化できる。
【0067】
しかも、第2内壁部274の内周面274aは、ロータ本体30の外周面30aよりも径方向外側に位置している。このため、第2インシュレータ62側では、ロータ本体30の軸長を十分に確保できる。より具体的には、ロータ本体30の軸方向他端面30cの位置は、ステータコア20の軸方向他端面20bの位置よりも他端側(減速部3側)に位置している。この分、ロータ本体30の表面磁束密度を大きくできる。よって、電動モータ2のモータ性能の低下を確実に抑えることができる。
【0068】
第2内壁部274の径方向の肉厚T2は、第1内壁部74の径方向の肉厚T1よりも厚い。このため、第2内壁部274の剛性を高めることができる。
ここで、ロータ本体30の軸方向他端面30cの位置は、ステータコア20の軸方向他端面20bの位置よりも他端側に位置している。すなわち、第2内壁部274は、径方向からみてロータ本体30と重なる位置にある。このような場合でも第2内壁部274の剛性を高めることができるので、コイル24にかかる張力によって第2内壁部274が径方向内側に倒れてロータ本体30に接触してしまうことを防止できる。
【0069】
端子ホルダ85は、樹脂により形成されている。端子ホルダ85は、第2インシュレータ62及び第2インシュレータ62の第2端部コイル収納凹部279aに収納されたコイル24の一部(コイルエンド)を他端側から覆う端面カバー部88aを備える。
ここで、第2インシュレータ62における第2内壁部274の内周面274aは、ロータ本体30の外周面30aよりも径方向外側に位置している。この分、第2端部コイル収納凹部279aの径方向の大きさは、第1端部コイル収納凹部79aの径方向の大きさと比較して小さくなってしまう。このため、第2端部コイル収納凹部279aでは、コイルエンドの積み高さが高くなってしまう。
【0070】
しかしながら、他端側のコイルエンドは、樹脂製の端面カバー部88aによって覆われている。このため、第2端部コイル収納凹部279aにおいて、コイル24と他の金属部品とが接触して短絡してしまうことを防止できる。つまり、他端側ではコイルエンドと第1モータケース6の底部10との間のスペースを確保する必要がなくなる。よって、第1端部コイル収納凹部79aの径方向の大きさと比較して第2端部コイル収納凹部279aの径方向の大きさが小さくても、電動モータ2の軸長が長くなってしまうことを防止できる。
【0071】
電動モータ2のモータ性能の低下を抑えつつ、電動モータ2をできる限り小型化できるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、及び目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0072】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、減速機付きモータ1は、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな駆動装置として減速機付きモータ1を適用できる。また、減速機付きモータ1のうち、上述の構成を備えた電動モータ2のみを、さまざまな電気機器に採用してもよい。
【0073】
上述の実施形態では、ステータ8のコイル24は、3相(U相、V相、W相)構造である場合について説明した。しかしながら、コイル24の相数は3相に限られるものではない。
【0074】
上述の実施形態では、ロータ本体30は、ロータコア32と、マグネット33と、を備える場合について説明した。そして、ロータ本体30の外周面30aとは、マグネット33の外周面をいい、ロータ本体30の軸方向両端面30b,30cとは、ロータコア32及びマグネット33の軸方向両端面をいう場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ロータ本体30は、シャフト31に固定され、ステータ8に生じる鎖交磁束との間で磁気的な吸引力や反発力を生じるマグネット33を有する構成のもの全体をいう。
【0075】
換言すれば、ロータ本体30は、ステータ8の鎖交磁束の影響を受けて回転力が付与される構成のもの全体をいう。すなわち、ロータ本体30がロータコア32及びマグネット33の他に、マグネットホルダやマグネットカバーを備える場合、ロータ本体30の外周面30aや軸方向両端面30b,30cとは、マグネットホルダやマグネットカバーを含むロータ本体30全体に対していうものとする。
【0076】
上述の実施形態では、ロータコア32の軸方向両端面とマグネット33の軸方向両端面とは、同一平面上に位置している場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ロータコア32の軸方向両端面とマグネット33の軸方向両端面とは、同一平面上に位置していなくてもよい。また、ロータコア32の軸方向の長さLrとマグネット33の軸方向の長さLmとが異なっていてもよい。これらの場合、ロータ本体30の軸方向両端面30b,30cとは、マグネット33の軸方向両端面をいうものとする。
【0077】
上述の実施形態では、第1インシュレータ61における第1内壁部74の内周面74aは、ステータコア20の内周面20c(鍔部29の内周面29a)よりも径方向内側に位置し、かつロータ本体30の外周面30aよりも径方向外側に位置している場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第1内壁部74の内周面74aは、ロータ本体30の外周面30aよりも径方向内側に位置していてもよい。このように構成することで、第1インシュレータ61における第1端部コイル収納凹部79aの径方向のスペースをさらに大きく確保できる。このため、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
上述の実施形態では、ロータ本体30の軸方向他端面30cの位置は、ステータコア20の軸方向他端面20bの位置よりも他端側(減速部3側)に位置している場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ロータ本体30の軸方向他端面30cの位置は、ステータコア20の軸方向他端面20bの位置よりも他端側に位置していなくてもよい。ロータ本体30の軸方向一端面30bの位置を、ステータコア20の軸方向一端面20aの位置よりも他端側に位置させればよい。このように構成することで、第1端部コイル収納凹部79aでのコイル24の巻き太りを抑制でき、コイルエンドの積み高さをできる限り低くすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1…減速機付きモータ、2…電動モータ、3…減速部、4…コントローラ、5…モータケース、6…第1モータケース、6a…開口部、7…第2モータケース、7a…開口部、8…ステータ、9…ロータ、10…底部、10a…貫通孔、11…コネクタ、16…外フランジ部、17…外フランジ部、20…ステータコア、20a…軸方向一端面、20b…軸方向他端面、20c…内周面、20p…電磁鋼板、21…コア本体、21a…軸方向一端面、21b…軸方向他端面、22…ティース、23…固定部、23a…ボルト挿通孔、24…コイル、24a…端末部、25…ボルト、26…インシュレータ、27…スロット、28…ティース本体、29…鍔部、29a…内周面、30…ロータ本体、30a…外周面、30b…軸方向一端面、30c…軸方向他端面、31…シャフト、32…ロータコア、32b…孔、32p…電磁鋼板、33…マグネット、40…ギアケース、40a…開口部、40b…側壁、40c…底壁、41…ウォーム減速機構、42…ギア収容部、43…開口部、44…ウォーム軸、45…ウォームホイール、46…軸受、47…軸受、48…出力軸、48a…スプライン、49…軸受ボス、50…磁気検出素子、51…コントローラ基板、52…リブ、53…カバー、61…第1インシュレータ、62…第2インシュレータ、63…コア本体被覆部、64…第1ティース被覆部、65…コア端面被覆部、65a…軸方向一端面、65b…軸方向他端面、66…第1コア側面被覆部、68…スリット、71…第1ティース端面被覆部、72…第1ティース側面被覆部、73…第1鍔側面被覆部、74…第1内壁部、74a…内周面、77…コイル引出部、78…コイル案内凹部、79a…第1端部コイル収納凹部、79b…第1側部コイル収納凹部、83…第1外壁部、83a…軸方向他端、85…端子ホルダ、86…端子、87…ホルダ本体、87a…端子収納凹部、88…カバー部(環状部)、88a…端面カバー部(環状部)、88b…外周カバー部、264…第2ティース被覆部、266…第2コア側面被覆部、271…第2ティース端面被覆部、272…第2ティース側面被覆部、273…第2鍔側面被覆部、274…第2内壁部、274a…内周面、279a…第2端部コイル収納凹部、279b…第2側部コイル収納凹部、283…第2外壁部、C…回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9