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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015607
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】全一次燃焼式バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/14 20060101AFI20230125BHJP
   F23D 14/16 20060101ALI20230125BHJP
   F23D 14/74 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
F23D14/14 D
F23D14/16 A
F23D14/74 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119495
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595175932
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健
(72)【発明者】
【氏名】岡本 寛行
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕輔
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017BA02
3K017BB02
3K017BB07
3K017BC03
3K017BE03
(57)【要約】
【課題】混合気が噴出する燃焼板部12を備える全一次燃焼式バーナであって、燃焼板部12は、金属繊維製の混合気透過体123と、混合気透過体123の裏面に重ねて配置される、多数の分布孔124aが形成された分布板124とを有するものにおいて、極細の金属繊維を用いなくても燃焼性が悪化しないようにし、混合気透過体123のコストダウンを図れるようにする。
【解決手段】比較的太い金属繊維を複数本束ねた金属繊維糸を編成した複数枚の金属繊維編体123,123,123を積層して混合気透過体123を構成する。これら金属繊維編体123,123,123を、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体123,123の編目の一部に積層方向に隣接する他方の金属繊維編体123の編目以外の部分が重なるように積層する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合気が噴出する燃焼板部を備える全一次燃焼式バーナであって、燃焼板部は、金属繊維製の混合気透過体と、混合気透過体の混合気の流れ方向上流側の面である裏面に重ねて配置される、多数の分布孔が形成された分布板とを有し、混合気が分布孔と混合気透過体とを介して噴出するように構成されるものにおいて、
混合気透過体は、金属繊維を複数本束ねた金属繊維糸を編成した金属繊維編体を複数枚積層して構成され、これら複数枚の金属繊維編体は、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体の編目の一部に積層方向に隣接する他方の金属繊維編体の編目以外の部分が重なるように積層されることを特徴とする全一次燃焼式バーナ。
【請求項2】
積層方向に隣接する前記一方の金属繊維編体用の金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数よりも積層方向に隣接する前記他方の金属繊維編体用の金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数が少なく、前記一方の金属繊維編体の編目よりも前記他方の金属繊維編体の網目の大きさが小さいことを特徴とする請求項1記載の全一次燃焼式バーナ。
【請求項3】
前記複数の金属繊維編体は、金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数が同じ同一種類の金属繊維糸を編成した編目の大きさが同じ同一種類の金属繊維編体で構成され、積層方向に隣接する前記一方の金属繊維編体のコース方向に対し積層方向に隣接する前記他方の金属繊維編体のコース方向が交差することを特徴とする請求項1記載の全一次燃焼式バーナ。
【請求項4】
前記複数の金属繊維編体は、金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数が同じ同一種類の金属繊維糸を編成した金属繊維編体で構成され、積層方向に隣接する前記一方の金属繊維編体の網目の形状と積層方向に隣接する前記他方の金属繊維編体の網目の形状とが編み方を変えることで相違していることを特徴とする請求項1記載の全一次燃焼式バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合気が噴出する燃焼板部を備える全一次燃焼式バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の全一次燃焼式バーナにおいて、燃焼板部を、金属繊維製の混合気透過体と、混合気透過体の混合気の流れ方向上流側の面である裏面に重ねて配置される、多数の分布孔が形成された分布板とを有するものとし、混合気が分布孔と混合気透過体とを介して噴出するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、混合気透過体は、金属繊維を複数本束ねた金属繊維糸を編成した一枚の金属繊維編体で構成されている。このもので、燃焼性(特に、耐リフト性)を向上させるには、金属繊維編体で混合気を適度に拡散させることが必要である。具体的には、編目からの混合気の噴出量を少なくすると共に、金属繊維糸を適度な量の混合気が透過し、編目から噴出する混合気の燃焼で形成される火炎が金属繊維糸を透過した混合気の燃焼で形成されるリフトし難い小さな火炎で保炎されるようにすることが必要である。そのためには、編目を小さくすると共に、金属繊維糸1本あたりの金属繊維の本数を多くすることが要求される。そして、金属繊維糸1本あたりの金属繊維の本数を多くして、且つ、編目を小さくするには、金属繊維の柔軟性が必要になる。そこで、従来は、柔軟性に優れた線径が0.04mm以下の極細の金属繊維を数十本束ねた金属繊維糸を用いて金属繊維編体を編成している。然し、このような極細の金属繊維はコストが高くなる。そのため、極細の金属繊維から成る金属繊維糸で編成された金属繊維編体で構成される混合気透過体はかなり高価になってしまう。
【0004】
尚、線径が0.07mm以上の太い金属繊維は安価であり、このような金属繊維を束ねた金属繊維糸で金属繊維編体を編成することも考えられる。然し、このような金属繊維糸で金属繊維編体を編成するには、金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数を少なくしたり、編目を大きくしたりする必要がある。これでは、金属繊維編体での混合気の拡散が不十分になり、燃焼性が悪くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-9838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、極細の金属繊維を用いなくても燃焼性が悪化しないようにし、混合気透過体のコストダウンを図ることができるようにした全一次燃焼式バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、混合気が噴出する燃焼板部を備える全一次燃焼式バーナであって、燃焼板部は、金属繊維製の混合気透過体と、混合気透過体の混合気の流れ方向上流側の面である裏面に重ねて配置される、多数の分布孔が形成された分布板とを有し、混合気が分布孔と混合気透過体とを介して噴出するように構成されるものにおいて、混合気透過体は、金属繊維を複数本束ねた金属繊維糸を編成した金属繊維編体を複数枚積層して構成され、これら複数枚の金属繊維編体は、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体の編目の一部に積層方向に隣接する他方の金属繊維編体の編目以外の部分が重なるように積層されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、太い金属繊維を用いることにより、金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数が少なくなったり、編目が大きくなったりしても、複数枚の金属繊維編体を積層方向に隣接する一方の金属繊維編体の編目に他方の金属繊維編体の編目以外の部分が重なるように積層して混合気透過体を構成するため、混合気透過体での混合気の拡散が促進されて、燃焼性が悪化することはない。そして、太い金属繊維はかなり安いため、金属繊維編体を複数枚積層したとしても、従来例の如き極細の金属繊維を束ねた金属繊維糸で編成した一枚の金属繊維編体よりも安価であり、混合気透過体のコストダウンを図ることができる。
【0009】
また、本発明においては、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体用の金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数よりも積層方向に隣接する他方の金属繊維編体用の金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数を少なくし、当該一方の金属繊維編体の編目よりも当該他方の金属繊維編体の網目の大きさを小さくすることが望ましい。これによれば、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体に対し積層方向に隣接する他方の金属繊維編体をどのような位置関係で積層しても、当該一方の金属繊維編体の網目の一部に当該他方の金属繊維編体の網目以外の部分が重なることになる。従って、複数の金属繊維編体を積層する際に、各金属繊維編体の位置を管理する必要がなく、組立性が向上する。尚、編目を大きくする上記一方の金属繊維編体用の金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数は比較的多いため、この金属繊維糸を適量の混合気が透過して、リフトしにくい火炎が安定して形成され、耐リフト性が確保される。
【0010】
また、複数の金属繊維編体を、金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数が同じ同一種類の金属繊維糸を編成した編目の大きさが同じ同一種類の金属繊維編体で構成する場合、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体のコース方向に対し積層方向に隣接する他方の金属繊維編体のコース方向が交差するようにしても、当該一方の金属繊維編体の網目の一部に当該他方の金属繊維編体の網目以外の部分が重なる。これによれば、複数の金属繊維編体を積層する際に、各金属繊維編体のコース方向の管理が必要になるが、この管理は、各金属繊維編体の位置の管理に比し容易であり、組立性は左程悪化しない。
【0011】
更に、複数の金属繊維編体を、金属繊維糸1本当りの金属繊維の本数が同じ同一種類の金属繊維糸を編成した金属繊維編体で構成し、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体の網目の形状と積層方向に隣接する他方の金属繊維編体の網目の形状とを編み方を変えることで相違させ、当該一方の金属繊維編体の網目の一部に当該他方の金属繊維編体の網目以外の部分が重なるようにしてもよい。このものでも、組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の全一次燃焼式バーナを具備する燃焼装置の斜視図。
図2図1とは反対側から見た燃焼装置の斜視図。
図3図1のIII-III線で切断した断面図。
図4図3のIV-IV線で切断した断面図。
図5】実施形態の全一次燃焼式バーナの燃焼板部の分解状態の斜視図。
図6図5の燃焼板部の組立状態の要部の拡大断面図。
図7】(a)実施形態の全一次燃焼式バーナの燃焼板部で用いられる混合気透過体の構成要素である積層方向に隣接する一方の金属繊維編体と他方の金属繊維編体との積層状態での一部分の拡大平面図、(b)積層方向に隣接する一方の金属繊維編体の一部分の拡大平面図、(c)積層方向に隣接する他方の金属繊維編体の一部分の拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図4に示す燃焼装置は、内部に混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)が供給されるバーナボディ11と、バーナボディ11の下向きの開放面111を覆う燃焼板部12とを備える本発明の実施形態の全一次燃焼式バーナ1と、バーナボディ11の開放面111を囲うボディフランジ部112にビス21で締結される上端の筐フランジ部22を有する燃焼筐2とを備えている。燃焼筐2の内部には、給湯用の熱交換器3が収納されている。
【0014】
熱交換器3は、多数のフィン31とこれらフィン31を貫通する複数の吸熱管32とを備えるフィンチューブ型熱交換器で構成されている。燃焼筐2の横方向一側と他側の側板23,24の外面には、隣り合う2本の吸熱管32,32の接続路を各側板23,24との間に画成する接続蓋33が複数取付けられており、全ての吸熱管32が直列に接続される。また、上流端の吸熱管32に接続される接続路を横方向他側の側板24との間に画成する接続蓋33には入水口34が設けられている。
【0015】
また、燃焼筐2の後側の側板25の熱交換器3より上方の部分の内側には、管から成る上下3本の第1水路5が側板25に接するように配置され、燃焼筐2の前側の側板26の熱交換器3より上方の部分の内側にも、管から成る上下3本の第3水路5が側板26に接するように配置されている。また、燃焼筐2の横方向一側の側板23の外面には、上下3本の第1水路5と熱交換器3の下流端の吸熱管32との接続路を側板23との間に画成する流入側ヘッダ蓋51と、上下3本の第3水路5の接続路を側板23との間に画成する流出側ヘッダ蓋52とを取付け、流出側ヘッダ蓋52に出湯口53を設けている。更に、燃焼筐2の横方向他側の側板24には、図2図3に示す如く、後側の第1水路5と前側の第3水路5とを接続する第2水路5が設けられている。第2水路5は、側板24に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆うように側板24の外面に取付けた蓋54とで構成されている。そして、入水口34から供給される水が熱交換器3で加熱され、加熱された水が流入側ヘッダ蓋51内の接続路と第1水路5と第2水路5と第3水路5と流出側ヘッダ蓋52内の接続路とを介して出湯口53から出湯されるようにしている。また、燃焼筐2の横方向一側の側板23には、流出側ヘッダ蓋52内の接続路の上部から後方にのびる、側板23に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆う流出側ヘッダ蓋52に一体の蓋52aとで構成される第4水路5が設けられている。そして、これら第1乃至第4水路5~5に流れる水により燃焼筐2の各側板23~26が冷却されるようにしている。
【0016】
また、燃焼筐2の前側の側板26には、上方から1番目と2番目の2本の第3水路5,5の間の側板部分を貫通して燃焼筐2内に突出する点火電極61と接地電極62とフレームロッド63とを有する電極部品6が装着されている。尚、電極部品6には、燃焼筐2内を視認できる覗き窓64が付設されている。
【0017】
次に、全一次燃焼式バーナ1について詳述する。バーナボディ11には、混合気を供給するファン4を接続する流入口113が開設されている。流入口113には、ファン4停止時にバーナボディ11内に残留する混合気がファン4側に逆流することを阻止する逆止弁13が装着されている。逆止弁13は、流入口113に嵌め込まれる樹脂製の弁筐131と、バーナボディ11内を向く弁筐131の開口部に開閉自在に軸着された樹脂製の弁板132とで構成されている。
【0018】
図5図6も参照して、燃焼板部12は、額縁状のバーナ枠121と、バーナ枠121で囲われる開口部122をバーナボディ11側(上方)から覆うように設けられる金属繊維製の混合気透過体123と、混合気透過体123の混合気の流れ方向上流側の面である裏面(上面)に重ねて配置される、多数の分布孔124aが形成された分布板124とを有している。そして、バーナボディ11内に供給された混合気が分布孔124aと混合気透過体123とを介して開口部122から噴出し、全一次燃焼(二次空気が不要な燃焼)する。尚、開口部122は、前後方向に沿う断面形状が円弧状に湾曲しており、同様に混合気透過体123及び分布板124も前後方向に沿う断面形状が円弧状に湾曲している。
【0019】
バーナ枠121は、開口部122と同一面上に位置する開口周縁部121aと、開口周縁部121aからバーナボディ11側(上方)に屈曲した側板部121bと、側板部121bの上端から外方に張出す枠フランジ部121cとを有している。燃焼板部12は、混合気透過体123の裏面に分布板124を重ねた状態でこれらの周縁部をバーナ枠121の開口周縁部121aに一定間隔でスポット溶接することにより組み立てられる。枠フランジ部121cは、ボディフランジ部112と筐フランジ部22との間に挟み込まれる。また、枠フランジ部121cとボディフランジ部112との間にパッキン7を介設して、シール性を確保する。更に、枠フランジ部121cの下面に断熱材8を装着している。
【0020】
混合気透過体123は、複数枚、例えば、3枚の金属繊維編体123,123,123を積層して構成されている。これら3枚の金属繊維編体123,123,123は、複数箇所で、互いに剥離しないようにスポット溶接される。図7も参照して、各金属繊維編体123,123,123は、耐熱金属(例えば、FCHW2)で形成される線径が0.07mm~0.2mmの比較的太い金属繊維123aを複数本束ねた金属繊維糸123bを編成して成るものである。本実施形態において、各金属繊維編体123,123,123の編み方は、メリヤス編みであるが、ゴム編みやパール編等の他の編み方であってもよい。尚、線径が0.07mmを下回る金属繊維はコストが高くなり、また、線径が0.2mmを上回る金属繊維は剛性が高くなり過ぎるため、金属繊維123aの線径は上記の如く0.07mm~0.2mmとすることが望ましい。
【0021】
図7(a)に示す如く、上記3枚の金属繊維編体123,123,123は、積層方向に隣接する一方の金属繊維編体、具体的には、混合気の流れ方向上流側(図6で上側)の第1金属繊維編体123や混合気の流れ方向下流側(図6で下側)の第3金属繊維編体123の網目123cの一部に、積層方向に隣接する他方の金属繊維編体、具体的には、中間の第2金属繊維編体123の網目123c以外の部分が重なるように積層されている。
【0022】
これによれば、太い金属繊維123aを用いることにより、金属繊維糸123bの1本当りの金属繊維123aの本数が少なくなったり、編目123cが大きくなったりしても、第1と第3の各金属繊維編体123,123の編目123cに第2金属繊維編体123の編目123c以外の部分が重なるため、混合気透過体123での混合気の拡散が促進されて、燃焼性が悪化することはない。そして、太い金属繊維123aはかなり安いため、第1乃至第3の3枚の金属繊維編体123,123,123を積層したとしても、従来例の如き極細の金属繊維を束ねた金属繊維糸で編成した一枚の金属繊維編体よりも安価であり、混合気透過体123のコストダウンを図ることができる。
【0023】
ところで、第1乃至第3の金属繊維編体123,123,123を、金属繊維糸123bの1本当りの金属繊維123aの本数が同じ同一種類の金属繊維糸123bを編成した編目123cの大きさが同じ同一種類の金属繊維編体で構成する場合、第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cに第2金属繊維編体123の網目123cが重ならないように、第1乃至第3の金属繊維編体123,123,123を積層することで、第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cの一部に第2金属繊維編体123の網目123c以外の部分が重なることになる。然し、これでは、第1乃至第3の金属繊維編体123,123,123を積層する際に、各金属繊維編体123,123,123の位置を管理することが必要になり、組立性が悪くなる。
【0024】
そこで、本実施形態では、図7(b)に示す第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cよりも図7(c)に示す第2金属繊維編体123の網目123cの大きさを小さくしている。例えば、第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cは、コース方向(矢印Cで示す方向)のピッチの平均が4.0mm、ウェール方向(矢印Wで示す方向)のピッチの平均が4.0mmであり、第2金属繊維編体123の網目123cは、コース方向のピッチの平均が2.5mm、ウェール方向のピッチの平均が1.5mmである。これによれば、第1と第3の各金属繊維編体123,123に対し第2金属繊維編体123をどのような位置関係で積層しても、第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cの一部に第2金属繊維編体123の網目123c以外の部分が重なることになる。従って、第1乃至第3の金属繊維編体123,123,123を積層する際に、各金属繊維編体123,123,123の位置を管理する必要がなく、組立性が向上する。
【0025】
但し、編目123cを小さくするには、金属繊維糸123bの剛性を低くすることが必要である。従って、編目123cを大きくする第1と第3の各金属繊維編体123,123用の金属繊維糸123bの1本当りの金属繊維123aの本数(例えば、8本)よりも編目123cを小さくする第2金属繊維編体123用の金属繊維糸123bの1本当りの金属繊維123aの本数を少なくしている(例えば、4本)。尚、編目123cを大きくする第1と第3の各金属繊維編体123,123用の金属繊維糸123bの1本当りの金属繊維123aの本数は比較的多いため、この金属繊維糸123bを適量の混合気が透過して、リフトしにくい火炎が安定して形成され、耐リフト性が確保される。
【0026】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1乃至第3の金属繊維編体123,123,123を、金属繊維糸123bの1本当りの金属繊維123aの本数が同じ同一種類の金属繊維糸123bを編成した編目123cの大きさが同じ同一種類の金属繊維編体で構成し、第1と第3の各金属繊維編体123,123のコース方向(或いはウェール方向)に対し第2金属繊維編体123のコース方向(或いはウェール方向)が交差(例えば、直交)するようにしてもよい。このものでも、第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cの一部に第2金属繊維編体123の網目123c以外の部分が重なる。この場合、第1乃至第3の金属繊維編体123,123,123を積層する際に、各金属繊維編体123,123,123のコース方向の管理が必要になるが、この管理は、各金属繊維編体123,123,123の位置の管理に比し容易であり、組立性は左程悪化しない。
【0027】
また、第1乃至第3の金属繊維編体123,123,123を、金属繊維糸123bの1本当りの金属繊維123aの本数が同じ同一種類の金属繊維糸123bを編成したものとするが、第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cの形状と第2金属繊維編体123の網目123cの形状とを編み方を変えることで相違させて、第1と第3の各金属繊維編体123,123の網目123cの一部に第2金属繊維編体123の網目123c以外の部分が重なるようにしてもよい。更に、上記実施形態では、混合気透過体123を構成する金属繊維編体の枚数を3枚としているが、この枚数は2枚或いは4枚以上であってもよい。
【0028】
また、上記実施形態の全一次燃焼式バーナ1は、バーナボディ11の開放面111が下を向くように配置されているが、この開放面111が上を向くように配置する全一次燃焼式バーナにも同様に本発明を適用できる。更に、上記実施形態では、バーナ枠121の開口部122を覆うように混合気透過体123を設けているが、混合気透過体及び分布板を円筒状とし、この円筒状の内部空間に供給された混合気が分布板の分布孔と混合気透過体とを介して外方に噴出するようにした全一次燃焼式バーナにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1…全一次燃焼式バーナ、12…燃焼板部、123…混合気透過体、123,123,123…金属繊維編体、123a…金属繊維、123b…金属繊維糸、123c…編目、124…分布板、124a…分布孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7