(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156070
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20231017BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
D06F39/02 B
D06F39/08 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065703
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】坂本 拓海
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洸佑
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AB30
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA32
3B166BA34
3B166BA42
3B166BA72
3B166BA78
3B166BA83
3B166BA84
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166DC14
3B166DC45
3B166DC47
3B166FA05
3B166FA06
3B166FA12
3B166FA13
3B166FA14
3B166FB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】意図せずに水が固形剤ケースへ流入することを抑制できる洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示に係る洗濯機は、水溶性を有する固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、筐体内に回転可能に設けられた洗濯槽と、固形剤を収容する固形剤ケース113と、固形剤ケース113に隣接し、第1洗濯剤が投入される投入空間117と、固形剤ケース113の下方に位置し、投入空間117と連通する流路と、流路の下流に設けられている排出口と、を含む第1洗濯剤ケースと、固形剤ケース113に水を供給する第1給水経路と、投入空間117に水を供給する第2給水経路と、を備え、第1洗濯剤ケースは、固形剤ケース113から下方に間隔をあけて、投入空間117と排出口との間において、投入空間117から離れる方向に下方傾斜する傾斜面を有する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性を有する固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、
筐体内に回転可能に設けられた洗濯槽と、
前記固形剤を収容する固形剤ケースと、
前記固形剤ケースに隣接し、第1洗濯剤が投入される投入空間と、前記固形剤ケースの下方に位置し、前記投入空間と連通する流路と、前記流路の下流に設けられている排出口と、を含む第1洗濯剤ケースと、
前記固形剤ケースに水を供給する第1給水経路と、
前記投入空間に水を供給する第2給水経路と、
を備え、
前記第1洗濯剤ケースは、前記固形剤ケースから下方に間隔をあけて、前記投入空間と前記排出口との間において、前記投入空間から離れる方向に下方傾斜する傾斜面を有する、洗濯機。
【請求項2】
前記間隔は、前記投入空間に隣接した前記固形剤ケースの面において最小である、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記固形剤ケースの底壁部に対して下方に傾斜される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記固形剤ケースの底壁部は水平に沿って延びる、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記固形剤ケースより上流には、水除部が設けられ、
前記水除部と前記傾斜面との間の高さ寸法は、前記固形剤ケースの底壁部と前記傾斜面との間の高さ寸法よりも小さい、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記投入空間に隣接した前記固形剤ケースの面は、前記投入空間と前記流路との接続部分に位置し、
前記水除部の幅は、前記流路の流入口の幅より大きい、請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記固形剤ケースの側壁には排水部が形成される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記固形剤ケースは、前記固形剤を収容する固形剤収容スペースを有する収容空間と、前記固形剤ケースに供給された水を排水する排水空間と、を有し、
前記収容空間は前記排水空間より前記投入空間に近い位置に配置され、
前記排水空間の側壁に排水部が形成される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項9】
第2洗濯剤を収容する第2洗濯剤ケースと、第3洗濯剤を収容する第3洗濯剤ケースと、をさらに有し、
前記固形剤ケースは、前記第2洗濯剤ケースと前記第3洗濯剤ケースとの間に配置され、
前記第1給水経路は、前記固形剤ケース及び前記第2洗濯剤ケースに水を供給し、
前記第2給水経路は、前記第1洗濯剤ケース及び前記第3洗濯剤ケースに水を供給し、
前記第2洗濯剤ケースに隣接した前記収容空間の側壁には排水部が形成される、請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記第2洗濯剤ケースと前記第3洗濯剤ケースとは、上部に洗濯剤が投入される開口を有し、
前記固形剤ケースは、上部から横方向に突出して、前記第2洗濯剤ケースの開口の縁と前記第3洗濯剤ケースの開口の縁とに引っ掛かる引掛け部を有する、請求項9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記第2洗濯剤ケースは、前記第2洗濯剤を収容する洗濯剤収容スペースを形成する壁部を有し、
前記流路から離れた前記壁部の上部に、下方に向かって凹んだ凹部形状を有する切欠き部を有する、請求項9に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、錠剤を用いて水道水中の遊離塩素を中和する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、回転ドラムと、回転ドラムに洗剤を流入させる洗剤ケースと、洗剤ケース内に設けて、水道水中の遊離塩素を中和するための錠剤を収納する錠剤ケースとを備える。錠剤ケースには孔が形成されており、錠剤ケースの水は孔を通じて排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水が固形剤を収容する固形剤ケースへ意図せずに流入することを抑制する観点において、未だ向上の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、意図せずに水が固形剤ケースへ流入することを抑制できる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、水溶性を有する固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、筐体内に回転可能に設けられた洗濯槽と、固形剤を収容する固形剤ケースと、固形剤ケースに隣接し、第1洗濯剤が投入される投入空間と、固形剤ケースの下方に位置し、投入空間と連通する流路と、流路の下流に設けられている排出口と、を含む第1洗濯剤ケースと、固形剤ケースに水を供給する第1給水経路と、投入空間に水を供給する第2給水経路と、を備え、第1洗濯剤ケースは、固形剤ケースから下方に間隔をあけて、投入空間と排出口との間において、投入空間から離れる方向に下方傾斜する傾斜面を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、意図せずに水が固形剤ケースへ流入することを抑制できる洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、風呂清掃用の除菌剤の技術として、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを含む水溶性の固形剤が知られていた。発明者らは、風呂清掃用の除菌剤の技術をヒントにして、一回使い切りの水溶性の固形剤を投入して洗濯物に固形剤の成分を付与する洗濯機という着想を得た。そして発明者らは、固形剤を収容する固形剤ケースが、洗濯剤が収容される洗濯剤ケース内の流路の上方に設けられた場合に、流路から固形剤ケースに水が流入する虞があるという課題を発見した。特に、固形剤と流路から供給される洗濯剤との洗濯槽への供給タイミングが異なる場合には、流路から固形剤ケースへの水の流入を抑制する必要がある。これらの課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0011】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1に係る洗濯機51について説明する。実施の形態1に係る洗濯機51は乾燥機能付きの洗濯機である。
【0012】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施の形態1の洗濯機51を示す斜視図である。
図1に示すように、洗濯機51は、筐体2と、水槽3と、洗濯槽4と、洗濯剤供給ユニット55と、乾燥装置58と、制御部Cとを備える。
【0013】
<筐体>
筐体2は、洗濯機51の外観を形成する部材である。筐体2の上面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0014】
<水槽>
水槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜めるように一端が閉じた大略円筒状の部材である。水槽3を外槽と称してもよい。
【0015】
<洗濯槽>
洗濯槽4は、水槽3の内側において回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物を収容する大略円筒状の部材である。洗濯槽4には水槽3に連通する多数の貫通孔(図示せず)が形成される。貫通孔は、水槽3と洗濯槽4との間で洗濯水及び洗濯剤の移動を可能にする。洗濯槽4をドラムまたは内槽と称してもよい。
【0016】
<洗濯剤供給ユニット>
洗濯剤供給ユニット55は、洗濯槽4に液剤、粉末洗剤、及び固形剤等の洗濯処理剤を供給するユニットである。洗濯処理剤を供給するとは、洗濯槽4に向かって下方に排出することを意味する。液剤とは、衣類等の洗濯物を洗浄するために用いられる液剤である。液剤は、洗剤、柔軟剤、中性洗剤を含んでもよい。
【0017】
洗濯剤供給ユニット55は、手動投入ユニット56と自動投入ユニット7とを備える。
【0018】
<乾燥装置>
乾燥装置58は、洗濯槽4に乾燥用の空気を循環させる機構である。乾燥装置58と洗濯槽4との間で閉じた空気の循環経路を形成するために、洗濯機51は洗濯槽4及び水槽3の開口した上部を覆う蓋52を有する。蓋52は洗濯槽4及び水槽3の開口した上部を封止してもよい。
【0019】
<制御部>
制御部Cは、洗濯機51の運転を制御する部材である。制御部Cは、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0020】
続いて、洗濯剤供給ユニット55の構成について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2及び
図3は、洗濯剤供給ユニット55の斜視図である。
【0021】
図2に示すように、洗濯剤供給ユニット55は、ユニットケース100と、蓋100aと、手動投入ユニット56と、自動投入ユニット7と、給水部材10と、流路部材101(
図3)とを備える。
【0022】
図3に示すように、ユニットケース100は、手動投入ユニット56と、自動投入ユニット7と、流路部材101とを収容する部材である。ユニットケース100の上部は開口しており、蓋100aで覆われる。
【0023】
手動投入ユニット56は、洗濯機51の運転の度に、使用者が1回分の液剤、粉末洗剤や固形剤等の洗濯剤を手動で投入するための機構である。手動投入ユニット56に投入される洗濯剤は、投入された量において洗濯槽4に供給される。
【0024】
手動投入ユニット56に投入される1回分の洗濯剤は、手動投入ユニット56が形成する複数のケース110、111、112、113に収容される。実施の形態1では、ケース110、111、112、113は、それぞれ、1回分の柔軟剤、液体漂白剤、粉末洗剤、水溶性の固形剤(例えば、錠剤)を収容する。
【0025】
自動投入ユニット7は、液剤を貯蔵するタンクから洗濯槽4に、所定量の液剤を自動で投入する機構である。自動投入ユニット7は、例えば洗濯物の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において洗濯槽4に供給される。自動投入ユニット7は、幅方向K(水平方向)に並び液剤を収容する2つのタンク70、71と、液剤の吸引・吐出を行うポンプ(図示せず)とを有する。実施の形態1では、タンク70は洗剤を収容し、タンク71は柔軟剤を収容する。
【0026】
給水部材10は、流路部材101を介して、洗濯剤供給ユニット55に水を供給する機構である。給水部材10は複数の給水弁10a、10b、10c(給水弁10aのみ図示)からなり、給水弁10a、10b、10cの開閉によって、水の供給先を変更することができる。具体的には、給水弁10aが開放されると、水はケース111、112に供給され、給水弁10bが開放されると、水はケース110、113に供給され、給水弁10cが開放されると、水は自動投入ユニット7に供給される。給水弁10a、10b、10cは、例えば、電磁弁である。
【0027】
流路部材101は、給水弁10a、10b、10cから供給される水を供給先に案内する部材である。流路部材101は、給水弁10a、10b、10cに接続され、ケース110、111、112、113の上方に設けられている。より具体的には、流路部材101は、給水弁10a、10b、10cから供給先まで連通する複数の独立した経路を形成する。
【0028】
手動投入ユニット56のケース110、111、112、113に供給された水は、収容されている洗濯剤とともに洗濯槽4に流入する。
【0029】
続いて、手動投入ユニット56の構成について、
図3-
図6を参照しながら、より詳細に説明する。
図4は、手動投入ユニット56の斜視図である。
図5は、手動投入ユニット56からケース113、及び流路部材115、116を外した状態を示す断面図である。
図6は、手動投入ユニット56の斜視図である。
【0030】
図3に示すように、手動投入ユニット56は、本体部114を備える。本体部114は、ユニットケース100において、前後方向Lに引き出し可能に保持される部材である。
【0031】
図4に示すように、本体部114には、流路部材115、116と、ケース113(以降、錠剤ケース113)とが収容される。流路部材115、116と錠剤ケース113とは、本体部114に取り外し可能に収容される。
【0032】
図5に示すように、本体部114は、ケース110、111、112を形成する。上述のように、ケース110(以降、柔軟剤ケース110)は柔軟剤を収容し、ケース111(以降、漂白剤ケース111)は液体漂白剤を収容し、ケース112(以降、粉末洗剤ケース112)は粉末洗剤を収容する。
【0033】
本体部114において、柔軟剤ケース110と漂白剤ケース111とは幅方向Kに並んで設けられている。粉末洗剤ケース112は、ケース110、111の前側L1に形成される投入空間117と、柔軟剤ケース110と漂白剤ケース111との間に延びる流路118とを有する。流路118は、投入空間117と連通している。流路118は、投入空間117との接続位置から後側L2に向かって排出口119(
図11A)まで延びて、下端に洗濯槽4に連通した流出口(図示せず)を有する。流路118は、柔軟剤ケース110の外側壁と漂白剤ケース111の外側壁と本体部114の底面(
図6に示す傾斜面118b)とによって規定される。
【0034】
ケース110、111の上部は投入口110a、111aを形成し、投入空間117の上部は投入口117aを形成する。
【0035】
流路118の上部も開口しており、流路118の上部には錠剤ケース113が配置される。即ち、錠剤ケース113は、ケース110、111との間に配置される。本実施の形態における錠剤ケース113は、投入空間117との間に空間を開けずに隣接して配置されている。なお、錠剤ケース113は、投入空間117に隣接、即ち、近傍に配置されればよいので、投入空間117との間に間隙を設けて隣接配置されてもよい。
【0036】
錠剤ケース113の上部は投入口113aを形成し、投入口113aには錠剤J(
図4)が投入される。錠剤ケース113が本体部114に配置されると、投入口113aは、幅方向Kに並ぶ投入口110aと投入口111aとの間に配置されている。
【0037】
図6に示すように、漂白剤ケース111は、液体漂白剤を収容する収容スペース78と、液剤吐出流路74とを有する。液剤吐出流路74は、吸込み口74aから上方に延びて、漂白剤ケース111の上部で折り返して収容スペース78の底面78aに接続されたU字形状を有する。液剤吐出流路74は、柔軟剤を吸込み口74aから吸い上げ、収容スペース78の底面78aに形成された吐出開口74bから吐出する。
【0038】
図5に戻ると、柔軟剤ケース110は、柔軟剤を収容する収容スペース77と、液剤吐出流路73とを有する。液剤吐出流路73は、液剤吐出流路74と同様にU字形状を有する。
【0039】
流路部材115、116は、それぞれ、ケース110、111の液剤吐出流路73、74を覆うように配置される。流路部材115、116が液剤吐出流路73、74を覆うと、流路部材115、116と液剤吐出流路73、74との間で流路が形成される。このような構造によって、ケース110、111内の液面が所定の高さを超えると、水及び液剤は液剤吐出流路73、74の頂点を超えて、ケース110、111から流出することができる。即ち、給水弁10aまたは給水弁10bを開き、ケース110またはケース111へ給水を行うことにより液面が所定の高さを超えるまでは、洗剤または柔軟剤がケース110、111から流出せず、ケース110、111内に保持することができる。また、給水弁10aを閉じて給水停止した後も、流路部材116と液剤吐出流路74との間の流路においてサイフォン現象により、漂白剤ケース111内の液剤および水は吐出開口74bから吐出される。よって漂白剤ケース111に残水することを防止できる。柔軟剤ケース110内についても同様である。
【0040】
錠剤ケース113は、1回の除菌洗濯コースで使用する水溶性の固形剤を収容する部材である。固形剤は、中実または中空の固体である。例えば、固形剤は、圧縮されてまとまった粉末から形成される固形物である。固形剤を固形処理剤と称してもよい。実施の形態1では、固形剤の一例として錠剤Jについて説明する。
【0041】
ここで、錠剤Jは、除菌性能を発揮する成分を含むものである。錠剤Jは水溶性を有する成分を含み、給水前において一定の形状を有するが、水がかかると小さい破片に分解して水に溶ける。
【0042】
実施の形態1では、錠剤Jは除菌成分としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを含む。錠剤Jの構成材料について、錠剤Jは他の次亜塩素酸を発生させる成分を含んでもよい。錠剤Jは水と反応して発泡する成分をさらに含んでもよい。
【0043】
錠剤Jの形状について、錠剤Jは、錠剤ケース113における所定位置まで移動可能であるような形状を有してもよく、例えば、転がって移動できるような外周形状または輪郭を有する。実施の形態1では、錠剤Jは、直径D0が厚みT0より大きい円盤形状(
図12A、
図12B)を有する。
【0044】
錠剤ケース113に投入される錠剤Jは、洗濯機51の製造者によって使用が想定される特定の錠剤Jであってもよい。例えば、錠剤Jは、指定された1つまたは複数の種類の錠剤Jである。また、例えば、錠剤Jの種類は、制御部Cに記憶されたカタログまたはリストから選択された種類である。
【0045】
図6に示すように、錠剤ケース113は、流路118を画定するケース110、111の側壁に引っ掛かることによって固定される。具体的には、錠剤ケース113は、幅方向Kに突出し、ケース110、111の側壁の上部に引掛ける引掛け部122を有する。
【0046】
続いて、
図7から
図11Bを参照して、錠剤ケース113についてより詳細に説明する。
図7は、錠剤ケース113の斜視図である。
図8は、解放状態における錠剤ケース113の斜視図である。
図9は、幅方向Kに沿った錠剤ケース113の断面図である。
図10Aは、前後方向Lに沿った錠剤ケース113の断面図である。
図10Bは、幅方向Kに沿った排水空間R12における錠剤ケース113の断面図である。
図11Aは、前後方向Lに沿った手動投入ユニット56の断面図である。
図11Bは、幅方向Kに沿った手動投入ユニット56の断面図である。
【0047】
図7及び
図8に示すように、錠剤ケース113は、開閉可能な部材であり、第1側壁140と、第2側壁142とを有する。第1側壁140と、第2側壁142とは回転軸Xによって互いに接続される。錠剤ケース113の姿勢は、第1側壁140と第2側壁142とが対向する姿勢(
図7)と、第1側壁140と第2側壁142とが互いに沿っている姿勢(
図8)との間で変更可能である。具体的には、第2側壁142は、周壁141に沿った回転軸Xの周りで回転可能(矢印G参照)である。第2側壁142を回転させて対向状態を解除することで、錠剤ケース113の内壁にアクセスしやすくなり、錠剤ケース113の内壁の洗浄やお手入れが容易になる。
【0048】
図8に示すように、第1側壁140は厚み方向(幅方向K)に貫通したメッシュ132aを形成し、第2側壁142は厚み方向(幅方向K)に貫通したメッシュ132cを形成する。溶けた錠剤Jは、水とともにメッシュ132a、132cから流出して洗濯槽4に供給される。
【0049】
第1側壁140は、メッシュ132aの前側L1において、メッシュ132bをさらに形成する。
【0050】
第1側壁140には、周壁141と、狭窄部137とが設けられている。第2側壁142には、狭窄部137と、保持部138と、水除部81とが設けられている。
【0051】
周壁141は、第1側壁140の外周部に接続され、錠剤ケース113の前面139と、前後方向L(水平)に延びる底壁部136とを形成する。投入口113aの下方の底壁部136は、投入された錠剤Jを支持する給水位置K2を形成する。
【0052】
ここで、給水位置K2とは、給水時の錠剤Jが配置される底壁部136の位置である。そのため、給水位置K2は、錠剤Jの外形より大きい。具体的には、給水位置K2の前後方向Lの寸法(後述の収容空間R11の寸法D4に対応)は、錠剤Jの直径D0より大きい(
図10A)。給水位置K2は、錠剤Jが投入された後に到達すると想定される位置であってもよい。給水位置K2は、平面視において、前後方向Lに長い縦長形状を有する領域である。給水位置K2の上部には、流路部材101の給水ノズル12、13が形成される。給水位置K2は給水ノズル12、13の真下に設けられてもよい。
【0053】
周壁141において、前面139と底壁部136とはなだらかに接続される。前面139と底壁部136との間の角部は、曲率を有する。そのため、角部に曲率が小さい場合と比較して、角部に錠剤Jの破片が詰まりにくくなり、錠剤Jの溶け残りを抑制できる。
【0054】
狭窄部137は、側壁140、142の内壁から対向する側壁に向かって幅方向Kに突出する壁部である。狭窄部137は、錠剤J及び錠剤Jから発生した大きい破片が給水位置K2から離れて錠剤ケース113の奥に流入することを抑制する。大きい破片とは、メッシュ132a、132cを通過できず、メッシュ132a、132cを塞ぐような大きさを有する破片を意味する。このような構造によって、大きい破片がメッシュ132a、132cに付着することを抑制して、メッシュ132a、132cの排水性を維持できる。
【0055】
図9に示すように、第1側壁140に設けられた狭窄部137と、第2側壁142に設けられた狭窄部137とは、幅方向Kに沿って間隔R4を有する。間隔R4は、底壁部136に近づく方向に向かって小さくなる。そのため、狭窄部137の構造によって、大きく重い錠剤Jの破片の通過をより確実に規制することができる。
【0056】
保持部138は、狭窄部137からさらに幅方向Kに突出する。保持部138は、第1側壁140に設けられた狭窄部137と、第2側壁142に設けられた狭窄部137とを接続させる。そのため、錠剤Jが間隔R4より細くなった場合においても、錠剤Jが給水位置K2から離れることを規制できる。
【0057】
図10Aに示すように、保持部138及び狭窄部137は、あわせて錠剤Jを給水位置K2に収容する機能を有する。保持部138及び狭窄部137は、錠剤Jの移動を規制することで錠剤Jを一定の空間に収容する。保持部138及び狭窄部137は、錠剤Jが収容される収容空間R11と、錠剤Jの進入が規制される排水空間R12とを区切る機能を有する。
【0058】
保持部138は、底壁部136から上方に離れており、底壁部136との間に間隔R3を設ける。そのため、収容空間R11と排水空間R12とは、保持部138の下方の間隔R3を通じても連通する。間隔R3を設けることによって、水位が低い場合において、給水位置K2に供給された水が排水空間R12に流入できる。排水空間R12への錠剤Jの進入を規制しつつ、排水空間R12への水の流入を促進し、水がメッシュ132a、132cを通じて排水される。
【0059】
収容空間R11と排水空間R12とは、保持部138の上方においても、互いに連通している。そのため、水位が高くなった場合において、排水空間R12への錠剤Jの進入を規制しつつ、排水空間R12への水の流入をさらに促進し、より多くの水がメッシュ132a、132cを通じて排水される。
【0060】
排水空間R12に流入する水は、溶けた錠剤Jを含む。そうすると、収容空間R11は、錠剤Jを収容して溶かすための空間であり、排水空間R12は、収容空間R11で溶けた錠剤Jをメッシュ132a、132cから排出するための空間である。
【0061】
ここで、主に排水が行われる空間は排水空間R12であることに着目すると、排水空間R12は、メッシュ132a、132cが形成されている空間である。一方で、収容空間R11は、メッシュ132bが形成されている空間である。
【0062】
メッシュ132a、132cは、排水空間R12における側壁140、142の略全面に形成される。メッシュ132aの面積は、排水空間R12における第1側壁140の面積の60%以上90%以下であってもよく、メッシュ132cの面積は、排水空間R12における第2側壁142の面積の60%以上90%以下であってもよい。側壁140、142は、メッシュ132a、132cとともに、錠剤ケース113の強度を維持する補強部144と有する。
【0063】
メッシュ132bは、収容空間R11における第1側壁140の一部のみに形成される。例えば、メッシュ132bは、第1側壁140の下部のみに形成される。メッシュ132bの面積は、収容空間R11における第1側壁140の面積の10%以上50%以下であってもよい。さらに、メッシュ132bの面積はメッシュ132aまたはメッシュ132cの面積より小さい。例えば、メッシュ132bの面積はメッシュ132aまたはメッシュ132cの面積の25%以下である。メッシュ132bの開口面積はメッシュ132aまたはメッシュ132cの開口面積より小さくてもよい。
【0064】
底壁部136から投入口113aに向かったメッシュ132bの頂点の高さは、メッシュ132aまたはメッシュ132cの頂点より低い高さに形成される。メッシュ132bの頂点の高さは、錠剤Jの直径D0の半分以下の高さに形成されてもよい。
【0065】
収容空間R11において、第1側壁140のみにメッシュ132bが形成されているため、収容空間R11に水が溜まりやすくなる。このような構造によって、錠剤Jが溶かしやすくなる。一方で、排水空間R12において、それぞれの側壁140、142にメッシュ132a、132cが形成されている。このような構造によって、両側の側壁140、142から水を排水でき、錠剤ケース113の投入口113aから水が溢れることを抑制できる。また、排水空間R12を通じた排水経路を確保することで、収容空間R11において残水を抑制できる。
【0066】
図10Bに示すように、両側の側壁140、142のそれぞれのメッシュ132a、132cは、鉛直に対して傾斜して設けられている。側壁140、142のメッシュ132a、132cは、V型の断面を形成し、下方に向かって第1側壁140のメッシュ132aと第2側壁142のメッシュ132cとの間隔が狭くなる。このような構造によって、狭窄部137に加えて、メッシュ132a、132c自体も狭窄部として機能し、排水空間R12への錠剤Jの進入を抑制する。メッシュ132a、132cの傾斜角度は狭窄部137の傾斜角度と等しくてもよい。
【0067】
錠剤ケース113の外側において、メッシュ132aは柔軟剤ケース110の外側壁110cと対向し、メッシュ132cは漂白剤ケース111の外側壁111cと対向する。メッシュ132aと外側壁110cとの間に幅方向Kに間隔R4が形成され、メッシュ132cと外側壁111cとの間に幅方向Kに間隔R6が形成される。水は間隔R4、R6を通じて錠剤ケース113から排水される。メッシュ132a、132cの傾斜によって、間隔R4、R6は、下方に向かって大きくなる。そのため、錠剤Jの破片が多く溜まる錠剤ケース113の下部においても、メッシュ132a、132cの排水性を確保できる。
【0068】
メッシュ132bは、鉛直に沿って設けられており、柔軟剤ケース110の外側壁110cと接する(
図16A)。メッシュ132bは、漂白剤ケース111の外側壁111cから離れている。
【0069】
別の視点から収容空間R11と排水空間R12との違いについて説明する。
図10Aに示すように、錠剤Jが投入される空間は収容空間R11であることに着目すると、投入口113aの真下に形成されている空間が収容空間R11であって、投入口113aに対してずれている空間が排水空間R12である。排水空間R12の一部は投入口113aに面している。
【0070】
投入口113aは、錠剤ケース113の前面139から前後方向Lに延びて形成される。投入口113aは、上から見ると縦長形状を有してもよく、即ち、投入口113aの幅D2(
図9)は投入口113aの前後方向Lの長さD3より小さくてもよい。そのため、収容空間R11も上から見ると縦長形状を有してもよい。
【0071】
収容空間R11の前後方向Lの寸法D4は、投入口113aの前後方向Lの寸法D3より小さく、寸法D3と略等しい。収容空間R11の前後方向Lの寸法D4は、寸法D3の0.7倍以上1.2倍以下であってもよい。
【0072】
排水空間R12の前後方向Lの寸法D6は、収容空間R11の前後方向Lの寸法D4より大きい。例えば、寸法D6は、寸法D4の1倍以上3倍以下である。加えて、排水空間R12の容積は、収容空間R11の容積より大きくてもよい。
【0073】
収容空間R11の前後方向Lの寸法D4は、錠剤ケース113の上下方向の寸法D5と略等しい。寸法D5は、底壁部136から投入口113aまでの上下方向の距離である。このような構造によって、錠剤ケース113の省スペース化を実現できる。
【0074】
図7に戻ると、第1側壁140はケース110の投入口110aの縁に引っ掛かる引掛け部122を有し、第2側壁142はケース111の投入口111aの縁に引っ掛かる引掛け部122を有する。引掛け部122をケース110、111に引っ掛けることで、錠剤ケース113は本体部114に支持される(
図6)。引掛け部122は、引掛け部122に対してさらに幅方向Kに突出する規制部123を有する。規制部123は、ケース110、111の投入口110a、111aに部分的に覆う(
図6)。規制部123は、ケース110に誤って投入された錠剤Jが後側L2に移動することを抑制するように、前後方向Lに対向するエッジ124を形成する。
【0075】
図11Aに示すように、引掛け部122をケース110、111に引っ掛けて、錠剤ケース113を本体部114に配置すると、錠剤ケース113は流路118の底面の上方に配置される。流路118は、粉末洗剤及び錠剤Jを排出口119から吐出して洗濯槽4に供給するための流路であり、即ち、非液剤供給流路である。錠剤ケース113が本体部114に収容された状態において、収容空間R11は、排水空間R12より前側L1に、即ち排水空間R12より投入空間117に近い位置に配置される。
【0076】
流路118の底面は、後側L2に向かって水平に対して下方に傾斜される傾斜面118bによって構成される。実施の形態1においては、傾斜面118bは水平に直線上に延びる底壁部136に対して、後側L2に向かって下方に傾斜される。傾斜面118bの傾斜角度は一定でも傾斜面118bの途中で変化してもよい。
【0077】
錠剤ケース113の底壁部136は、全面にわたって傾斜面118bから上方に間隔D1を有して配置される。間隔D1は、錠剤ケース113の底壁部136と傾斜面118bとの間の上下方向の距離(鉛直距離)である。傾斜面118bが底壁部136に対して傾斜されているため、間隔D1は後側L2に向かって漸増する。言い換えれば、後側L2に進むにつれて、底壁部136と傾斜面118bとは離れる。
【0078】
ここで、底壁部136は、錠剤ケース113の前面139の下端を構成する曲率が付いた角部を含まない。
【0079】
間隔D1は、投入空間117と流路118との接続部分Pの付近に配置される錠剤ケース113の前面139で最小である。水が投入空間117から流路118へ流れることを考慮すると、間隔D1は、接続部分Pに位置する流路118の流入口において最小である。接続部分Pは、投入空間117と流路118とが互いに接続される部分であって、例えば、投入空間117に対して流路断面積が狭小化する部分である。接続部分Pより下流において、排出口119まで流路断面積は概ね一定であってもよい。
【0080】
投入空間117に水が供給されると、水の液面S1は上昇する(矢印V1参照)。給水量が多いと、液面S1は水が錠剤ケース113の前面139より高くなる。
【0081】
錠剤ケース113の前面139の前側L1には、水除部81が設けられている。水除部81は、投入空間117から流路118に向かう流れに対向する板状部材である。そのため、水除部81は、水が錠剤ケース113の前面139に直接当たることを抑制し、錠剤ケース113に流入することを抑制できる。
【0082】
水除部81は鉛直に対して傾斜される。水除部81の下端81aを前面139から前側L1に押し出すように水除部81は傾斜される。水除部81の下端81aを前面139から離すことによって、水を錠剤ケース113の底壁部136から遠ざけることができる。そのため、底壁部136の付近に形成されるメッシュ132bを通じて水が錠剤ケース113の内部に流入しにくくなる。
【0083】
水除部81の下端81aは前面139より低い高さに位置する。実施の形態1においては、水除部81の下端81aは底壁部136より低い高さに位置する。また、水除部81と傾斜面118bとの間の高さ寸法は、底壁部136と傾斜面118bとの間の高さ寸法よりも小さい。そのため、水が水除部81に当たると、水除部81の下流において、水の液面S1の高さは下端81aより低い高さに制限される。このような構造によって、水が錠剤ケース113に当たって流入することをさらに抑制できる。
【0084】
図11Bに示すように、水除部81は、錠剤ケース113の前面139(
図11A)を覆う。水除部81の幅W1は、接続部分Pに位置する流路118の流入口の幅W2より大きい。このような構造によって、投入空間117の水が水除部81の両側から回り込んで錠剤ケース113に流入することを抑制できる。
【0085】
錠剤ケース113は、投入空間117と流路118との接続部分P(
図11A)付近において、下方に突出する規制部121を有する。規制部121は、誤って投入空間117に投入された錠剤Jが流路118に進入することを抑制するように、投入空間117から流路118に向かう方向と交差して延びる。言い換えれば、規制部121は、流路118の入口の開口面積を小さくする機能を有する。実施の形態1では、規制部121の下端から流路118の傾斜面118bまでの距離は錠剤Jの直径D0より小さい。
【0086】
規制部121の幅W3は流路118の幅W2より小さい。このような構成によって、流路118への錠剤Jの進入を制限しつつ、流路118への水の流入を過度に制限することを抑制できる。
【0087】
水除部81に、投入口113aが錠剤Jの投入のための開口であることを示してもよい。例えば、水除部81に「錠剤投入」と印字してもよい。
【0088】
側壁140、142は、それぞれ投入口113aの両側から上方に突出する把持部113bを有する。錠剤ケース113を本体部114から取り外す際、ユーザは把持部113bを掴んで錠剤ケース113を持ち上げることができる。実施の形態1において、ユーザが、把持部113bが掴める部材であることを容易に認識できるように、把持部113bの側面には線状に延びる凸部113cが形成されている。把持部113bは凸部113cと異なる模様を有してもよい。
【0089】
図12A及び
図12Bに示すように、錠剤Jは、円盤形状を有し、直径D0と、厚みT0とを有する。
図12Aは、投入方向A2に対して厚み方向を直交させて、錠剤Jを縦置きした姿勢を示す。
図12Bは、投入方向A2に対して厚み方向を平行にして、錠剤Jを横置きした姿勢を示す。
【0090】
縦置きした姿勢とは、鉛直方向の寸法が、水平断面における錠剤Jの短手方向(例えば、厚み方向)の寸法より大きい姿勢である。縦置きした錠剤Jを収容空間R11に収容するためには、錠剤ケース113の上下方向の寸法D5(
図10A)は、幅方向Kの幅D2(
図9)より大きく、収容空間R11の前後方向Lの寸法D4(
図10A)も、幅方向Kの幅D2より大きい。収容空間R11の前後方向Lの寸法D4が、錠剤ケース113の上下方向の寸法D5と略等しいため、スペースを有効に活用しつつ、縦置きした錠剤Jを収容空間R11に収容できる。さらに、縦置きした姿勢とは、移動可能な輪郭が載置面に接している姿勢である。実施の形態1においては、錠剤Jは外周に沿って移動し、錠剤Jの外周が載置面に接している姿勢が縦置きした姿勢である。
【0091】
実施の形態1では、投入口113aの幅D2は、錠剤Jの直径D0より小さく、かつ錠剤Jの厚みT0より大きい。投入口113aの長さD3は、錠剤Jの直径D0より大きい。そのため、錠剤Jは、縦置きの姿勢で投入口113aを通過する。言い換えれば、錠剤Jは、横置きの姿勢では、錠剤Jが投入口113aを通過しにくくなる。
【0092】
また、
図10Aに戻ると、メッシュ132a、132b、132cは、交差する2方向に延びるリブ82、83によって構成される。実施の形態1では、メッシュ132a、132b、132cは、横方向(前後方向L)に延びる複数のリブ82と、縦方向に延びる複数のリブ83とによって構成される。
【0093】
メッシュ132a、132b、132cにおいて、横方向に延びるリブ82(
図8)が錠剤ケース113の内壁を形成し、縦方向に延びるリブ83(
図7)が錠剤ケース113の外壁を形成する。
【0094】
ここで、錠剤Jへの給水について説明する。
【0095】
縦置きの錠剤Jが投入口113aに投入されると、錠剤Jは下方に落ちて給水位置K2に到達し、保持部138によって給水位置K2に保持される。錠剤Jは、給水ノズル12、13(
図8)から供給される水によって溶解される。
【0096】
図13は、蓋100aを取り外した状態における洗濯剤供給ユニット55の上面図である。
図13に示すように、給水部材10の給水弁10a、10b(
図3)は、それぞれ、流路部材101の経路F1、F2に接続される。経路F1、F2は互いから独立して形成される。給水弁10aに接続される経路F1は、漂白剤ケース111と粉末洗剤ケース112とに水を供給するための流路を形成する。給水弁10bに接続される経路F2は、柔軟剤ケース110と錠剤ケース113とに水を供給するための流路を形成する。1つの経路で複数のケースに給水することで、給水部材10における給水弁の数を減らして、構成を単純化することができる。
【0097】
経路F2は、柔軟剤ケース110と錠剤ケース113とに加えて、粉末洗剤ケース112に水を供給してもよい。
【0098】
経路F2は、錠剤ケース113に面した開口14と、柔軟剤ケース110に面した複数の開口15と、粉末洗剤ケース112に面した開口16を形成する。給水弁10aが開放されて経路F2と連通すると(矢印B参照)、水は開口14を通じて錠剤ケース113に流入し、開口15を通じて柔軟剤ケース110に流入する。一方で、開口14、15を超えた水は、その後開口16を通じて粉末洗剤ケース112に流入する。
【0099】
図14は、洗濯剤供給ユニット55の断面図である。
図14に示すように、給水位置K2及び投入口113aの上部には、それぞれ異なる開口14から下方に延びる給水ノズル12と、給水ノズル13とが設けられている。給水ノズル12、13は内部に流路を形成し、水は、給水ノズル12、13を通じて錠剤ケース113の内部に吐出される。そのため、水は投入口113aを通じて錠剤ケース113に供給される。
【0100】
このような構造において、投入口113aは錠剤Jの投入に加えて、給水のために併用されている。錠剤ケース113の上部の開口面積を小さくすることができる。
【0101】
給水ノズル12、13は、前後方向Lに並んで給水位置K2の上方に設けられている。より具体的には、給水ノズル12、13は給水位置K2と対向する位置に設けられている。
【0102】
図15は給水ノズル12、13の拡大斜視図である。
図15に示すように、給水ノズル12、13は同様な形状を有し、それぞれの下端には、水を吐出するための吐出開口24、25を形成される。吐出開口24、25は真下からずれた方向に傾斜されている。吐出開口24は、吐出開口25に対して逆向きに傾斜されている。そのため、水は給水ノズル12、13のそれぞれから、逆向きに傾斜された方向に吐出される。
【0103】
図16Aは、収容空間R11を通過する幅方向Kに沿った手動投入ユニット56の断面図である。
図16Bは、
図16Aの錠剤ケース113の拡大図である。
図16Cは、排水空間R12を通過する幅方向Kに沿った手動投入ユニット56の断面図である。
【0104】
図16Aに示すように、給水ノズル12、13から吐出された水は、錠剤Jの側面に当たる。
【0105】
図16Bに示すように、給水ノズル12、13から吐出された水は、それぞれ矢印B1、B2に沿って、側壁140、142に衝突してから、壁面に沿って下方に流れる。水が側壁140、142に衝突することで水の流速を落とすことができる。水が一度側壁140、142に衝突してから間接的に錠剤Jの側面に当たるため、水が給水ノズル12、13から直接錠剤Jに当たる場合と比較して、錠剤Jに当たる水の流速及び勢いを小さくできる。このような給水方式によって、給水によって錠剤Jの破片が飛び散ることを抑制できる。給水によって錠剤Jは溶かされて、溶けた錠剤Jを含む水はメッシュ132bから排出され、または排水空間R12に流入する(
図16C)。
【0106】
図14に示すように、メッシュ132bから排出された水は、流路118に流入して傾斜面118bに沿って後側L2に向かって流れる。収容空間R11における底壁部136と、傾斜面118bとの間には間隔D11が形成される。
【0107】
錠剤ケース113に水が供給されると同時に、柔軟剤ケース110に水が供給される。したがって、収容スペース77における液面が上昇する。
【0108】
図16Bに示すように、錠剤ケース113が取り外し可能に設けられているため、柔軟剤ケース110と錠剤ケース113の引掛け部122との間には微小な隙間が形成されている。そのため、液面が上昇すると、毛細管現象によって水が柔軟剤ケース110から引掛け部122の下を通じて流路118及び錠剤ケース113に流入する可能性がある。
【0109】
図16Aに示すように、柔軟剤ケース110の背面110dの上部には、オーバーフロー構造として機能する切欠き部145が設けられている。切欠き部145は、液面が柔軟剤ケース110の上部に到達する前に、水を柔軟剤ケース110の外に排出するための構造である。具体的には、切欠き部145は、背面110dの上縁の一部が下方に凹んでいる凹部である。このような構造によって、収容スペース77における液面が上昇した場合においても、水は、流路118に流入するより先に、切欠き部145から柔軟剤ケース110の外側に排出される。そのため、水が柔軟剤ケース110から錠剤ケース113に流入することを抑制できる。背面110dに代わってまたは加えて、錠剤ケース113から離れた側面に切欠き部145を設けてもよい。
【0110】
錠剤ケース113に水が供給されると同時に、粉末洗剤ケース112にも水が供給される。したがって、流路118における液面が上昇する。
【0111】
図14に戻ると、粉末洗剤ケース112に水が供給されると、水は投入空間117に流入し、投入空間117から流路118に流入する。そこで、投入空間117の液面S1が上昇した場合においても、流路118に流入しようとする水は水除部81に当たり、水除部81の下方から流路118に流入する。水除部81の配置によって、流路118における液面S1の高さは水除部81の下端81aの高さより低く制限される。
【0112】
また、錠剤Jへ給水するタイミングとは異なるタイミングで、漂白剤ケース111にも水が供給される。したがって、収容スペース78における液面が上昇する。
【0113】
図16Aに示すように、漂白剤ケース111の背面111dの上部には、柔軟剤ケース110と同様に切欠き部146が設けられている。水が漂白剤ケース111から錠剤ケース113に流入することを抑制できる。さらに、メッシュ132bは漂白剤ケース111に面する第2側壁142と反対側の第1側壁140のみに形成されている。水が収容空間R11における第2側壁142を通過して、錠剤ケース113に進入しにくくなっている。そのため、水が漂白剤ケース111から収容空間R11に流入して錠剤Jに触れることを抑制でき、錠剤Jへの給水を予定していないタイミングで、錠剤Jが溶け始めることをより一層抑制できる。
【0114】
図16Cに示すように、収容空間R11から排水空間R12に流入した水は、メッシュ132a、132cから排出されて流路118に流入する。排水空間R12における底壁部136と、傾斜面118bとの間には間隔D12が形成され、間隔D12は間隔D11(
図16A)より大きい。言い換えれば、排水空間R12における底壁部136は、収容空間R11における底壁部136よりも、流路118を流れる液面S1(
図14)から離れている。そのため、側壁140、142の広範囲にわたってメッシュ132a、132cを形成した場合においても、流路118から錠剤ケース113への水の逆流を抑制できる。
【0115】
[まとめ]
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0116】
実施の形態1に係る洗濯機51は、除菌用錠剤Jを手動投入するための錠剤ケース113を有する。
【0117】
錠剤Jは固形処理剤であるため、洗濯槽4に供給するためには、錠剤Jを溶かすことが求められている。一方で、希望していないタイミングで水が錠剤ケース113に流入すると、そのタイミングで錠剤Jが溶かされて洗濯槽4に供給される。その結果、錠剤Jが衣類に付着して、衣類にダメージを与える可能性がある。そこで錠剤Jを適切なタイミングで溶かすためには、適切なタイミング以外で水が錠剤ケース113に流入することを抑制することが求められている。
【0118】
本開示においては、錠剤ケース113と流路118との間に間隔D1が設けられている。さらに、メッシュ132a、132cが形成されている排水空間R12と傾斜面118bとの間隔D12が、錠剤Jの収容空間R11と傾斜面118bとの間隔D11より大きい。流路118を流れる水の液面から、水が外側から流入し得るメッシュ132a、132cを離すことで、メッシュ132a、132cを通じた水の流入を抑制できる。
【0119】
傾斜面118bとの距離がもっとも小さく、水の流入の危険性が高い錠剤ケース113の前面139においては、水除部81が設けられている。このような構造において、水が前面139に直接当たることを抑制し、前面139の付近に形成されているメッシュ132bを通じて水が錠剤ケース113の内部に流入することを抑制できる。さらに、水除部81によって、水除部81より下流の液面S1の高さを水除部81の下端81a以下に抑えることができる。下端81aが底壁部136より低い位置にあるため、液面S1は底壁部136から離されて、水が錠剤ケース113に流入しにくくなる。
【0120】
また、錠剤Jを溶かすために錠剤ケース113に給水を行う場合において、給水流量が大きいと、錠剤ケース113内の液面が上昇する。液面が大きく上昇すると、水が投入口113aから流出し、水の流れとともに、錠剤Jの破片が投入口113aから溢れ出すおそれがある。そこで、本開示においては、錠剤ケース113内の液面が投入口113aまで上昇することを抑制するように、メッシュ132a、132cを通じた排水を促進させることが求められている。
【0121】
錠剤ケース113は、狭窄部137によって錠剤Jを収容する収容空間R11と、錠剤Jの進入を規制した排水空間R12に区切られている。排水空間R12への錠剤Jの進入が抑制されているため、錠剤Jまたは錠剤Jの破片がメッシュ132a、132cに付着して開口を塞ぐことを抑制できる。そこで、排水空間R12のメッシュ132a、132cの排水性を維持して、排水経路を確保することができる。加えて、メッシュ132a、132cとケース110、111の外側壁110c、111cとの間に間隔R4、R6を設けることによって、水がメッシュ132a、132cを通過して下方に流路118に落ちることができる。
【0122】
[効果1]
実施の形態1に係る洗濯機51によれば、以下の効果を奏することができる。
【0123】
上述したように、本実施の形態の洗濯機51は、水溶性を有する錠剤J(固形剤)を投入可能に構成された洗濯機である。洗濯機51は、筐体2内に回転可能に設けられた洗濯槽4と、錠剤Jを収容する錠剤ケース113(固形剤ケース)と、錠剤ケース113に水を供給する経路F2(給水経路)と、を備える。錠剤ケース113は、収容空間R11と、排水空間R12と、を有する。収容空間R11は、錠剤Jを収容する。排水空間R12は、収容空間R11に対して区切られて、収容空間R11と連通するスペースを有し、錠剤ケース113に供給された水を排水するメッシュ132a、132c(第1排水部)が形成される。
【0124】
このような構成によって、錠剤Jを収容する収容空間R11と、排水が行われる排水空間R12とを分けることができる。そのため、錠剤Jの破片がメッシュ132a、132cを塞ぐことを抑制できて、錠剤ケース113の排水性を向上させることができる。排水性を向上させることで、錠剤Jを効率よく溶かし、効率よく洗濯槽4に供給することができる。また、メッシュの面積を大きくするように錠剤ケース113の容積を大きくした構成と比較して、コンパクトな構成で排水性の確保を実現できる。
【0125】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113は、収容空間R11と排水空間R12との間に、錠剤Jによる排水空間R12への進入を規制する狭窄部137、保持部138(規制部)を設けている。
【0126】
このような構成によって、錠剤Jを収容空間R11に保持できる。
【0127】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113は、規制部として、収容空間R11より幅が狭い狭窄部137を有する。
【0128】
このような構成によって、狭窄部137で錠剤Jを収容空間R11に保持できる。
【0129】
本実施の形態の洗濯機51において、狭窄部137は、下方に向かって間隔R4(開口の幅)が狭くなる形状を有する。
【0130】
このような構成によって、狭窄部137で錠剤Jを収容空間R11により確実に保持できる。縦長形状を有する錠剤Jを縦置きした状態においても、収容空間R11に保持できる。
【0131】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113は、規制部として、錠剤ケース113の第2側壁142(一方の側面)から第1側壁140(他方の側面)に向かって延びる保持部138(延在部)を有する。
【0132】
このような構成によって、錠剤Jが溶けて細くなって場合においても、錠剤Jをより確実に収容空間R11に保持できる。
【0133】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケースの外側には、メッシュ132a、132cと対向する外側壁110c、111c(第1壁部)を有するケース110、111(第1部材)が配置される。メッシュ132a、132cと外側壁110c、111cとの間隔R4、R6は、下方に向かって大きくなる。
【0134】
このような構成によって、錠剤Jの破片が多く位置し、詰まりやすいメッシュ132a、132cの下部においても排水性を向上させることができる。メッシュ132a、132cの傾斜角度が大きい場合において、下から見たメッシュ132a、132cの開口面積を大きくすることができる。メッシュ132a、132cの傾斜角度が狭窄部137の角度以上である場合において、メッシュ132a、132c自体が狭窄部として機能する。
【0135】
本実施の形態の洗濯機51において、収容空間R11と排水空間R12とは前後方向L(横方向)に接続される。
【0136】
このような構成によって、錠剤ケース113の上下方向の寸法を小さくすることができる。そのため、錠剤ケース113の省スペース化を実現できる。
【0137】
本実施の形態の洗濯機51において、メッシュ132a、132cの面積は、それぞれ、排水空間R12の側壁140、142の合計面積の70%以上である。
【0138】
このような構成によって、錠剤ケース113の排水性がさらに向上する。また、メッシュ132a、132cが排水空間R12の側壁140、142の上部にも形成されていると、液面が上昇した場合においても、メッシュ132a、132cを通じて効率よく排水することができる。
【0139】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113は、上部に投入口113a(錠剤投入口)を設ける。
【0140】
このような構成によって、錠剤ケース113の中部に投入口113aが設けられている構成に比較して、水とともに部分的に溶けた錠剤Jの破片が、メッシュ132a、132cを通過せず投入口113aからあふれ出すことを抑制できる。
【0141】
本実施の形態の洗濯機51において、経路F2は、投入口113aを通じて収容空間R11に水を供給する。
【0142】
このような構成によって、投入口113aを、給水口として共用できる。そのため、錠剤ケース113に設ける開口面積を最小現に抑えて、錠剤ケース113から外部への錠剤Jの破片の流出を抑制できる。
【0143】
本実施の形態の洗濯機51において、投入口113aは収容空間R11の上部に設けられ、縦長形状を有する。収容空間R11の上下方向の寸法D5は、投入口113aの長手方向の寸法D3と略同一である。
【0144】
このような構成によって、円盤形状を有する錠剤Jを収容するための空間を確保しつつ、収容空間R11の上下方向の寸法を小さくすることができる。そのため、錠剤ケース113の省スペース化を実現できる。
【0145】
本実施の形態の洗濯機51において、収容空間R11にはメッシュ132b(第2排水部)が形成される。
【0146】
このような構成によって、収容空間R11からも排水でき、錠剤ケース113の排水性をさらに向上させることができる。
【0147】
本実施の形態の洗濯機51において、メッシュ132bの面積は、メッシュ132a、132cの面積より小さい。
【0148】
このような構成によって、収容空間R11において、適度に排水を行いつつある程度の水を保持することで、錠剤Jを効率よく溶かすことができる。
【0149】
[効果2]
本実施の形態の洗濯機51は、水溶性を有する錠剤J(固形剤)を投入可能に構成された洗濯機である。洗濯機51は、洗濯槽4と、錠剤ケース113(固形剤ケース)と、粉末洗剤ケース112(第1洗濯剤ケース)と、経路F2(第1給水経路)と、経路F1(第2給水経路)と、を備える。洗濯槽4は、筐体2内に回転可能に設けられる。錠剤ケース113は、錠剤Jを収容する。粉末洗剤ケース112は、錠剤ケース113に隣接し、粉末洗剤(第1洗濯剤)が投入される投入空間117と、錠剤ケース113の下方に位置し、投入空間117と連通する流路118と、流路118の下流に設けられている排出口119と、を含む。経路F2(第1給水経路)は、錠剤ケース113に水を供給する。経路F1(第2給水経路)は、投入空間117に水を供給する。粉末洗剤ケース112は、錠剤ケース113から下方に間隔D1をあけて、投入空間117と排出口119との間において、投入空間117から離れる方向に下方傾斜する傾斜面118bを有する。
【0150】
このような構成によって、傾斜面118bに水が流れると、流路118の下流に進むにつれて、液面S1が錠剤ケース113から離れる。そのため、水が錠剤ケース113に当たって錠剤ケース113の内部に流入しにくくなる。
【0151】
本実施の形態の洗濯機51において、間隔D1は、錠剤ケース113の前面139(投入空間117に隣接した固形剤ケースの面)において最小である。
【0152】
このような構成によって、水が前面139から離れた錠剤ケース113の部分に当たって錠剤ケース113の内部に流入しにくくなる。
【0153】
本実施の形態の洗濯機51において、傾斜面118bは、錠剤ケース113の底壁部136に対して下方に傾斜される。
【0154】
このような構成によって、流路118の下流に進むにつれて、水面は錠剤ケース113の底壁部136から離れる。そのため、水が底壁部136に当たって錠剤ケース113の内部に流入しにくくなる。
【0155】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113の底壁部136は水平に沿って延びる。
【0156】
このような構成によって、錠剤ケース113が開閉可能な構成を有する場合、錠剤ケース113を容易に製造することができる。
【0157】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113より上流には、水除部81が設けられている。水除部81と傾斜面118bとの間の高さ寸法は、錠剤ケース113の底壁部136と傾斜面118bとの間の高さ寸法よりも小さい。
【0158】
このような構成によって、水が、前面139の付近におけるメッシュ132bを通じて、錠剤ケース113の内部に流入することをより一層抑制できる。
【0159】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113の前面139は、投入空間117と流路118との接続部分Pに位置する。水除部81の幅W1は、流路118の流入口の幅W2より大きい。
【0160】
このような構成によって、水が水除部81の側方から錠剤ケース113に流入することを抑制できる。
【0161】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113の側壁140、142にはメッシュ132a、132c(排水部)が形成される。
【0162】
このような構成によって、錠剤ケース113の底壁部136または前面139にメッシュ132a、132cを形成した場合と比較して、錠剤ケース113への水の流入を抑制できる。
【0163】
本実施の形態の洗濯機51において、錠剤ケース113は、錠剤Jを収容する給水位置K2を有する収容空間R11と、錠剤ケース113に供給された水を排水する排水空間R12と、を有する。収容空間R11は排水空間R12より投入空間117に近い位置に配置される。排水空間R12の側壁140、142にメッシュ132a、132c(排水部)が形成される。
【0164】
このような構成によって、排水空間R12を収容空間R11の前側L1に配置した場合と比較して、メッシュ132a、132cを通じた排水空間R12への水の逆流を抑制できる。
【0165】
本実施の形態の洗濯機51は、柔軟剤(第2洗濯剤)を収容する柔軟剤ケース110(第2洗濯剤ケース)と、液体漂白剤(第3洗濯剤)を収容する漂白剤ケース111(第3洗濯剤ケース)と、をさらに有する。錠剤ケース113は、柔軟剤ケース110と漂白剤ケース111との間に配置される。経路F2は、錠剤ケース113及び柔軟剤ケース110に水を供給する。経路F1は、粉末洗剤ケース112及び漂白剤ケース111に水を供給する。柔軟剤ケース110に隣接した収容空間R11の第1側壁140にはメッシュ132b(排水部)が形成される。
【0166】
このような構成によって、柔軟剤ケース110と錠剤ケース113とは経路F2を共有する。漂白剤ケース111は異なる経路F1によって給水される。そのため、錠剤ケース113と漂白剤ケース111とには異なるタイミングで給水を行うことができる。メッシュ132bが形成される第1側壁140が漂白剤ケース111から離れているため、錠剤ケース113への給水を停止しているタイミングにおいて、水が漂白剤ケース111からメッシュ132bを通過することを抑制できる。
【0167】
本実施の形態の洗濯機51において、柔軟剤ケース110と漂白剤ケース111とは、上部に洗濯剤が投入される投入口110a、111a(開口)を有する。錠剤ケース113は、上部から横方向に突出して、柔軟剤ケース110の投入口110aの縁と漂白剤ケース111の投入口111aの縁とに引っ掛かる引掛け部122を有する。
【0168】
このような構成によって、投入口110a、111aに引っ掛かる引掛け部122を設けることで、錠剤ケース113を安定的に配置できる。また、引掛け部122が投入口110a、111aの一部を覆うため、水が柔軟剤ケース110または漂白剤ケース111から錠剤ケース113に流入することを抑制できる。
【0169】
本実施の形態の洗濯機51において、柔軟剤ケース110は、柔軟剤を収容する収容スペース77(洗濯剤収容スペース)を形成する背面110d(壁部)を有する。流路118から離れた背面110dの上部に、下方に向かって凹んだ凹部形状を有する切欠き部145を有する。
【0170】
このような構成によって、柔軟剤ケース110の液面が上昇すると、切欠き部145によって水をオーバーフローさせて柔軟剤ケース110の外に排出できる。柔軟剤ケース110の液面の上昇を抑えることで、水が柔軟剤ケース110から錠剤ケース113に流入することを抑制できる。
【0171】
なお、本開示は前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0172】
なお、洗濯機51は乾燥機能付き縦型洗濯機である例について説明したが、これに限定されない。例えば、洗濯機51は乾燥機能を有しなくてもよく、ドラム型洗濯機であってもよい。
【0173】
なお、固形剤として錠剤Jを用いる例について説明したが、これに限定されない。
【0174】
なお、錠剤Jがジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを含む例について説明したが、これに限定されない。錠剤Jはジクロロイソシアヌル酸カリウム等、他のジクロロイソシアヌル酸塩を含んでもよい。
【0175】
なお、自動投入ユニット7を有する例について説明したが、これに限定されず、洗濯剤供給ユニット55は手動投入ユニット56のみを有してもよい。
【0176】
なお、錠剤Jが円盤形状を有し、縦置きの姿勢において錠剤ケース113に投入される例について説明したが、これに限定されない。例えば、錠剤Jは他の形状を有してもよく、投入口113aは錠剤Jの形状に合わせて設計される。また、錠剤Jを横置きの姿勢において錠剤ケース113に投入できるように投入口113aの形状を変更してもよい。
【0177】
なお、実施の形態1では、メッシュ132a、132b、132cが交差する2方向に延びるリブ82、83によって構成される例について説明したが、これに限定されない。メッシュ132a、132b、132cは、複数の通水孔を有する排水部または通水領域を形成するものであればよい。
【0178】
なお、柔軟剤ケース110と錠剤ケース113との経路F2が共通である例について説明したが、これに限定されない。柔軟剤ケース110の給水経路と錠剤ケース113の給水経路とは独立で設けられてもよい。
【0179】
なお、錠剤ケース113において、収容空間R11と排水空間R12とが前後方向Lに並んでいる例について説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例1、2に示すように、収容空間R11と排水空間R12とは上下方向に並んでもよい。
【0180】
[変形例1]
図17は、変形例1による錠剤ケース213の模式図である。
図17に示すように、変形例1では、収容空間R11と排水空間R12とが上から順に並ぶ点において、実施の形態1の錠剤ケース113と異なる。このような構造においても、錠剤Jを収容する収容空間R11と、排水が主に行われる排水空間R12とを分けて、排水空間R12に形成されるメッシュ232aの排水性を向上させることができる。さらに、投入口213aから供給された水は、収容空間R11に留まることなく排水空間R12に落ちるため、メッシュ232aにおける排水効率が向上する。
【0181】
[変形例2]
図18は、変形例2による錠剤ケース313の模式図である。
図18に示すように、変形例2では、上から順に排水空間R12と収容空間R11とが並ぶ点において、実施の形態1の錠剤ケース113と異なる。このような構造においても、錠剤Jを収容する収容空間R11と、排水が主に行われる排水空間R12とを分けて、排水空間R12に形成されるメッシュ332aの排水性を向上させることができる。さらに、錠剤Jは重力によって排水空間R12に留まるため、狭窄部137や保持部138を設けない場合においても、錠剤Jの排水空間R12への進入を規制することができる。このような構造によって、錠剤ケース313の構造をさらに簡単化できる。
【0182】
第1の態様における洗濯機は、水溶性を有する固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、筐体内に回転可能に設けられた洗濯槽と、固形剤を収容する固形剤ケースと、固形剤ケースに隣接し、第1洗濯剤が投入される投入空間と、固形剤ケースの下方に位置し、投入空間と連通する流路と、流路の下流に設けられている排出口と、を含む第1洗濯剤ケースと、固形剤ケースに水を供給する第1給水経路と、投入空間に水を供給する第2給水経路と、を備え、第1洗濯剤ケースは、固形剤ケースから下方に間隔をあけて、投入空間と排出口との間において、投入空間から離れる方向に下方傾斜する傾斜面を有する。
【0183】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、間隔は、投入空間に隣接した固形剤ケースの面において最小である。
【0184】
第3の態様における洗濯機として、第1または第2の態様における洗濯機において、傾斜面は、固形剤ケースの底壁部に対して下方に傾斜される。
【0185】
第4の態様における洗濯機として、第1から第3の態様のいずれかにおける洗濯機において、固形剤ケースの底壁部は水平に沿って延びる。
【0186】
第5の態様における洗濯機として、第1から第4の態様のいずれかにおける洗濯機において、固形剤ケースより上流には、水除部が設けられ、水除部と傾斜面との間の高さ寸法は、固形剤ケースの底壁部と傾斜面との間の高さ寸法よりも小さい。
【0187】
第6の態様における洗濯機として、第1から第5の態様のいずれかにおける洗濯機において、投入空間に隣接した固形剤ケースの面は、投入空間と流路との接続部分に位置し、水除部の幅は、流路の流入口の幅より大きい。
【0188】
第7の態様における洗濯機として、第1から第6の態様のいずれかにおける洗濯機において、固形剤ケースの側壁には排水部が形成される。
【0189】
第8の態様における洗濯機として、第1から第7の態様のいずれかにおける洗濯機において、固形剤ケースは、固形剤を収容する固形剤収容スペースを有する収容空間と、固形剤ケースに供給された水を排水する排水空間と、を有し、収容空間は排水空間より投入空間に近い位置に配置され、排水空間の側壁に排水部が形成される。
【0190】
第9の態様における洗濯機として、第1から第8の態様のいずれかにおける洗濯機において、第2洗濯剤を収容する第2洗濯剤ケースと、第3洗濯剤を収容する第3洗濯剤ケースと、をさらに有し、固形剤ケースは、第2洗濯剤ケースと第3洗濯剤ケースとの間に配置され、第1給水経路は、固形剤ケース及び第2洗濯剤ケースに水を供給し、第2給水経路は、第1洗濯剤ケース及び第3洗濯剤ケースに水を供給し、第2洗濯剤ケースに隣接した収容空間の側壁には排水部が形成される。
【0191】
第10の態様における洗濯機として、第1から第9の態様のいずれかにおける洗濯機において、第2洗濯剤ケースと第3洗濯剤ケースとは、上部に洗濯剤が投入される開口を有し、固形剤ケースは、上部から横方向に突出して、第2洗濯剤ケースの開口の縁と第3洗濯剤ケースの開口の縁とに引っ掛かる引掛け部を有する。
【0192】
第11の態様における洗濯機として、第1から第10の態様のいずれかにおける洗濯機において、第2洗濯剤ケースは、第2洗濯剤を収容する洗濯剤収容スペースを形成する壁部を有し、流路から離れた壁部の上部に、下方に向かって凹んだ凹部形状を有する切欠き部を有する。
【0193】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0195】
2 筐体
3 水槽
4 洗濯槽
7 自動投入ユニット
10 給水部材
12 給水ノズル
13 給水ノズル
51 洗濯機
55 洗濯剤供給ユニット
56 手動投入ユニット
81 水除部
100 ユニットケース
101 流路部材
110 柔軟剤ケース
110c 外側壁
111 漂白剤ケース
111c 外側壁
112 粉末洗剤ケース
113 錠剤ケース
113a 投入口
113b 把持部
114 本体部
117 投入空間
118 流路
118b 傾斜面
121 規制部
122 引掛け部
132a メッシュ
132b メッシュ
132c メッシュ
136 底壁部
137 狭窄部
138 保持部
139 前面
140 第1側壁
141 周壁
142 第2側壁
145 切欠き部
146 切欠き部
R11 収容空間
R12 排水空間