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特開2023-1561インストルメントパネル本体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001561
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】インストルメントパネル本体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/36 20060101AFI20221226BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20221226BHJP
   B29C 39/12 20060101ALI20221226BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20221226BHJP
   B29C 44/06 20060101ALI20221226BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20221226BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20221226BHJP
【FI】
B29C44/36
B29C39/24
B29C39/12
B29C44/00 A
B29C44/06
B29K105:04
B29L31:58
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102366
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古藤 翔
(72)【発明者】
【氏名】川本 祐司
(72)【発明者】
【氏名】富永 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】薮 秀生
(72)【発明者】
【氏名】寄田 裕介
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204AD05
4F204AD08
4F204AD16
4F204AD35
4F204AG03
4F204AG20
4F204AH25
4F204AJ08
4F204EA01
4F204EB01
4F204EB12
4F204EB22
4F204EF27
4F204EF49
4F204EK13
4F204EK17
4F214AA42
4F214AB02
4F214AC05
4F214AD05
4F214AD08
4F214AD16
4F214AD35
4F214AG03
4F214AG20
4F214AH25
4F214AJ08
4F214UA01
4F214UB01
4F214UB12
4F214UB22
4F214UD13
4F214UD17
4F214UF27
4F214UF49
(57)【要約】
【課題】パッド付きインストルメントパネル本体の製造にかかる手間を軽減する。
【解決手段】注入口部(13)がスピーカー(SP)取り付け用の開口(35)内に配置された基材(10)を用意し、基材(10)の露出予定部(11)にマスキングシート(50)を貼り付ける。次に、基材と表皮材(21)とを成形型(100)にセットして型閉めする。続いて、基材と表皮材との間に形成されたキャビティ(C)内に注入口部から樹脂原料(R)を注入し発泡させることで発泡樹脂層(25)を成形する。その後、露出予定部(11)の外周で表皮材および発泡樹脂層からなるパッド(20)を切断し、注入口部(13)と開口の周縁部分とを連結する連結部(17)を切断する。そして、パッドの露出予定部に設けられた部分とマスキングシートと注入口部とを取り除く。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(10)上に表皮材(21)と該表皮材(21)の裏側に設けられた発泡樹脂層(25)とからなるパッド(20)が設けられ、少なくとも三方が前記パッド(20)で囲まれて前記基材(10)が露出する基材露出部(30)を有し、該基材露出部(30)に付属部品(SP)を取り付けるための開口(35)が形成されたインストルメントパネル本体(2)を製造する方法であって、
注入口部(13)が前記開口(35)内に配置されて橋状の連結部(17)で前記開口(35)の周縁部分と一体に連結された基材(10)を用意し、該基材(10)のうち前記基材露出部(30)をなす露出予定部(11)にマスキングシート(50)を貼り付けて該マスキングシート(50)により前記注入口部(13)を除く開口(35,37)を塞ぐ準備工程と、
前記マスキングシート(50)を貼り付けた前記基材(10)と前記表皮材(21)とを、前記表皮材(21)が前記露出予定部(11)を含めたパッド形成部(18)に対応するように成形型(100)にセットするセット工程と、
前記成形型(100)を型閉めすることにより、前記基材(10)と前記表皮材(21)とを前記パッド形成部(18)の外周でシールして前記基材(10)と前記表皮材(21)との間にキャビティ(C)を形成する型閉め工程と、
前記注入口部(13)から前記キャビティ(C)内に樹脂原料(R)を注入して発泡させることで前記発泡樹脂層(25)を成形し、前記パッド形成部(18)に前記パッド(20)を形成するパッド形成工程と、
前記露出予定部(11)の外周で前記パッド(20)を切断し、且つ前記連結部(17)を切断するトリム工程と、
前記パッド(20)のうち前記露出予定部(11)に設けられた部分と前記マスキングシート(50)と前記注入口部(13)とを取り除き、前記基材露出部(11)で前記基材(10)を露出させる除去工程と、を含む
ことを特徴とするインストルメントパネル本体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたインストルメントパネル本体の製造方法において、
前記成形型(100)として、前記表皮材(21)がセットされる第1型(110)と、前記基材(10)がセットされる第2型(120)とを有し、前記第1型(110)の前記注入口部(13)に対応する位置に突起(113)が設けられた成形型(100)を用い、
前記型閉め工程では、前記第2型(120)に対して、前記突起(113)により前記表皮材(21)を介して前記注入口部(13)を押し付ける
ことを特徴とするインストルメントパネル本体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたインストルメントパネル本体の製造方法において、
前記成形型(100)として、前記表皮材(21)がセットされる第1型(110)に前記キャビティ(C)に対して進退可能な第1トリム刃(131)および第2トリム刃(133)を有する成形型(100)を用い、
前記トリム工程では、前記成形型(100)を型閉めした状態で、前記第1トリム刃(131)を進出させて該第1トリム刃(131)により前記露出予定部(11)の外周で前記パッド(20)を切断し、前記第2トリム刃(133)を進出させて該第2トリム刃(133)により前記連結部(17)を切断する
ことを特徴とするインストルメントパネル本体の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載されたインストルメントパネル本体の製造方法において、
前記基材露出部(30)は、一方側に前記パッド(20)から開放された開放辺(31)を有し、
前記基材(10)のうち前記開放辺(31)を含む部分には、前記型閉め工程で前記表皮材(21)との間をシールする突条部(40)が設けられ、
前記突条部(40)のうち前記開放辺(31)の両端側に位置する部分には、当該突条部(40)の他の部分(43)よりも切り込み易い脆弱部(41)が設けられ、
前記トリム工程では、前記第1トリム刃(131)により前記脆弱部(41)を切り込み、前記露出予定部(11)の外周の前記開放辺(31)を除く部分で前記パッド(20)を切断する
ことを特徴とするインストルメントパネル本体の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載されたインストルメントパネル本体の製造方法において、
前記表皮材(21)として、前記成形型(100)を型閉めした状態で、前記開放辺(31)側に前記突条部(40)よりも外側に延びる延出部(23)を有する表皮材(21)を用い、
前記除去工程では、前記延出部(23)を掴んで前記基材(10)から離間する方向へ引っ張ることにより、前記パッド(20)のうち前記露出予定部(11)に設けられた部分と前記マスキングシート(50)と前記注入口部(13)とを前記基材(10)から剥ぎ取る
ことを特徴とするインストルメントパネル本体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネル本体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用のインストルメントパネル本体として、表皮材およびウレタン発泡層からなるパッドが、基材上にウレタン発泡層を基材側に向けて一体に積層されたパッド付きインストルメントパネル本体が知られている。パッド付きインストルメントパネル本体には、特許文献1に開示されるように、パッドの中央部にスピーカーが取り付けられる部品取付部が形成される。部品取付部は、周囲をパッドで囲まれた基材露出部によって構成される。
【0003】
特許文献1に開示のインストルメントパネル本体の製造方法では、パッド全体に効率良く樹脂原料を流入させるため、パッドの中央部に位置する上記部品取付部を原料注入口として利用する。当該インストルメントパネル本体の製造方法の手順は、表皮および基材を金型にセットし、原料注入口を有するマスキングプレートを表皮と基材との間に配置した型閉め状態で、基材の部品取付部をマスキングプレートで覆って当該部品取付部をシールすると共に、原料注入口を部品取付部の装着孔と連通させ、基材およびマスキングシートと表皮材との間にキャビティを形成し、そのキャビティに原料注入口からウレタン原料を注入してウレタン発泡層を一体に形成する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-000929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなインストルメントパネル本体の製造方法では、インストルメントパネル本体の基材とは別体のマスキングプレートを用いて原料注入口を設けるので、パッドを形成する際にはインストルメントパネル本体の基材のうち部品取付部を形成する部分に対してマスキングプレートを取り付ける必要がある。また、マスキングプレートを再利用するには、当該マスキングプレートからパッドを除去しなければならない。これらのことから、パッド付きインストルメントパネル本体の製造には手間がかかる。
【0006】
本発明の目的は、パッド付きインストルメントパネル本体の製造にかかる手間を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、パッドの発泡樹脂層を形成する際において、キャビティに樹脂原料を注入するための注入口部を、基材に対して基材露出部の開口内に持たせるようにした。
【0008】
具体的には、本発明は、基材上に表皮材と該表皮材の裏側に設けられた発泡樹脂層とからなるパッドが設けられ、少なくとも三方が前記パッドで囲まれて前記基材が露出する基材露出部を有し、該基材露出部に付属部品を取り付けるための開口が形成されたインストルメントパネル本体を製造する方法を対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
【0009】
第1の発明は、注入口部が前記開口内に配置されて橋状の連結部で前記開口の周縁部分と一体に連結された基材を用意し、該基材のうち前記基材露出部をなす露出予定部にマスキングシートを貼り付けて該マスキングシートにより前記注入口部を除く開口を塞ぐ準備工程と、前記マスキングシートを貼り付けた前記基材と前記表皮材とを、前記表皮材が前記露出予定部を含めたパッド形成部に対応するように成形型にセットするセット工程と、前記成形型を型閉めすることにより、前記基材と前記表皮材とを前記パッド形成部の外周でシールして前記基材と前記表皮材との間にキャビティを形成する型閉め工程と、前記注入口部から前記キャビティ内に樹脂原料を注入して発泡させることで前記発泡樹脂層を成形し、前記パッド形成部に前記パッドを形成するパッド形成工程と、前記露出予定部の外周で前記パッドを切断し、且つ前記連結部を切断するトリム工程と、前記パッドのうち前記露出予定部に設けられた部分と前記マスキングシートと前記注入口部とを取り除き、前記基材露出部で前記基材を露出させる除去工程とを含む、インストルメントパネルの成形製造である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明のインストルメントパネル本体の製造方法において、前記成形型として、前記表皮材がセットされる第1型と、前記基材がセットされる第2型とを有し、前記第1型の前記注入口部に対応する位置に突起が設けられた成形型を用いる、インストルメントパネル本体の製造方法である。前記型閉め工程では、前記第2型に対して、前記突起により前記表皮材を介して前記注入口部を押し付ける。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明のインストルメントパネル本体の製造方法において、前記成形型として、前記表皮材がセットされる第1型に前記キャビティに対して進退可能な第1トリム刃および第2トリム刃を有する成形型を用いる、インストルメントパネル本体の製造方法である。前記トリム工程では、前記成形型を型閉めした状態で、前記第1トリム刃を進出させて該第1トリム刃により前記露出予定部の外周で前記パッドを切断し、前記第2トリム刃を進出させて該第2トリム刃により前記連結部を切断する。
【0012】
第4の発明は、第3の発明のインストルメントパネル本体の製造方法において、前記基材露出部は、一方側に前記パッドから開放された開放辺を有する、インストルメントパネル本体の製造方法である。前記基材のうち前記開放辺を含む部分には、前記型閉め工程で前記表皮材との間をシールする突条部が設けられる。前記突条部のうち前記開放辺の両端側に位置する部分には、当該突条部の他の部分よりも切り込み易い脆弱部が設けられる。前記トリム工程では、前記第1トリム刃により前記脆弱部を切り込み、前記露出予定部の外周の前記開放辺を除く部分で前記パッドを切断する。
【0013】
第5の発明は、第4の発明のインストルメントパネル本体の製造方法において、前記表皮材として、前記成形型を型閉めした状態で、前記開放辺側に前記突条部よりも外側に延びる延出部を有する表皮材を用いる。インストルメントパネル本体の製造方法である。前記除去工程では、前記延出部を掴んで前記基材から離間する方向へ引っ張ることにより、前記パッドのうち前記露出予定部に設けられた部分と前記マスキングシートと前記注入口部とを前記基材から剥ぎ取る。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、基材に一体に設けられた注入口部からキャビティに樹脂原料を注入して発泡樹脂層を成形するので、パッドを形成する際にインストルメントパネル本体に対して注入口を設けるためのマスキングプレートなどの別部品を取り付けなくて済む。また、注入口部は再び注入口部として再利用する必要がない。したがって、パッド付きインストルメントパネル本体の製造にかかる手間を軽減できる。
【0015】
第2の発明によれば、成形型を型閉めした状態で、注入口部が第1型に設けられた突起により第2型に押し付けられるので、キャビティのうち注入口部に対応する箇所に所定の厚さを確保できる。このことは、キャビティで樹脂原料を好適に流動させるのに有利である。
【0016】
第3の発明によれば、成形型に設けられた第1トリム刃によりパッドを、第2トリム刃により連結部をそれぞれ切断するので、成形型内において、パッドを形成した後に続けてパッドおよび連結部を切断できる。それにより、トリム工程を効率良く行える。
【0017】
第4の発明によれば、トリム工程でパッドを切断するときに突条部が切り込まれる。このとき切り込まれる突条部の部位は、他の部分よりも切り込み易い脆弱部である。そのことで、トリム工程でのパッドの切断が突条部で阻害されないようにして、パッドを好適に切断できる。
【0018】
第5の発明によれば、パッドの一部、マスキングシートおよび注入口部を除去するのに、表皮材に設けられた延出部を掴んで所定の方向へ引っ張る作業を行えばよい。それにより、除去工程を効率良く行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】インストルメントパネルの正面図である。
図2】インストルメントパネル本体の上面図である。
図3】インストルメントパネル本体の基材露出部を呈した上面図である。
図4】インストルメントパネル本体の基材露出部およびその周辺を例示する上面図である。
図5図4のV-V線における基材露出部およびその周辺の断面図である。
図6図8のVIで囲んだ部分にある突条部の一部を例示する平面図である。
図7図6のVII-VII線における突条部の断面図である。
図8】インストルメントパネル本体の製造において、準備工程で用意するインストルメントパネル本体の基材露出部を例示する上面図である。
図9】インストルメントパネル本体の製造で使用するマスキングシートを例示する平面図である。
図10】インストルメントパネル本体の製造における準備工程で基材の露出予定部にマスキングシートを貼り付けた状態を例示する上面図である。
図11】インストルメントパネル本体の製造におけるセット工程で基材および表皮材を成形型にセットする様子を模式的に示す、図10のXI-XI線に対応する箇所の断面図である。
図12】インストルメントパネル本体の製造における型閉め工程で成形型を型閉めした状態を模式的に示す、図11に相当する箇所の断面図である。
図13】インストルメントパネル本体の製造における型閉め工程で成形型を型閉めした状態を模式的に示す、図15のXIII-XIII線に対応する箇所の断面図である。
図14】インストルメントパネル本体の製造におけるパッド形成工程で樹脂原料をキャビティ内に注入する様子を模式的に示す、図11に相当する箇所の断面図である。
図15】インストルメントパネル本体の製造におけるパッド形成工程でパッドが形成された基材の露出予定部を例示する上面図である。
図16】インストルメントパネル本体の製造におけるトリム工程でパッドおよび連結部を切断する様子を模式的に示す、図11に相当する箇所の断面図である。
図17】インストルメントパネル本体の製造における除去工程で表皮材の延出部を引っ張る方向を例示する断面図である。
図18】インストルメントパネル本体の製造における除去工程でパッドの一部とマスキングシートと注入口部とを除去した様子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。
【0021】
-インストルメントパネルの概略構成-
図1および図2に示すインストルメントパネル1は、エンジン回転計や速度計などの各種の計器類を搭載する部分を含む樹脂製の計器板であって、車室前部に配置される。このインストルメントパネル1は、車幅方向に延びるインパネレインフォースメント(不図示)に支持されて車体に取り付けられることにより、エンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの後方側(車室側)に装備される。
【0022】
インストルメントパネル1は、その主体をなすインストルメントパネル本体2を備える。インストルメントパネル本体2は、インストルメントパネル1の上方に臨むアッパパネルを構成する。インストルメントパネル本体2の左右方向における一方側(本例では左側)は運転席に対応し、他方側(本例では右側)は助手席に対応する。インストルメントパネル本体2の運転席に対応する部分の後部には、メーターフード3が設けられる。メーターフード3の内部には、速度計などの計器類を含むメーターパネル4が装着される。
【0023】
インストルメントパネル本体2の車幅方向における中央部分には、オーディオ機器や空調機器のスイッチ類などがまとめられたセンタークラスタのパネル部品として、センターパネル5が取り付けられる。インストルメントパネル本体2に対して、センターパネル5に隣接した左側位置には左側ロアパネル6が、センターパネル5に隣接した右側位置には右側ロアパネル7が、それぞれ取り付けられる。左側ロアパネル6および右側ロアパネル7のうち助手席側に位置するロアパネル(本例では右側ロアパネル7)には、グローブボックス8が組み付けられる。
【0024】
〈インストルメントパネル本体〉
インストルメントパネル本体2は、パッド付きインストルメントパネル本体2である。基材10と、基材10上に設けられたパッド20とを有する。基材10は、インストルメントパネル本体2のベースとなる板状物である。パッド20は、クッション性を有し、インストルメントパネル本体2の表面にソフト感を持たせるものである。
【0025】
基材10は、例えば射出成形によって成形される樹脂成形体である。この基材10は、例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、ノリル樹脂などからなる。インストルメントパネル本体2の前側部分は、基材10が露出した単層領域2a(図1図3でハッチングを付さない領域)である。この単層領域2aには、車幅方向に延びる細長いフロントデフロスターエア吹出口9aが形成される。
【0026】
パッド20は、表皮材21と、表皮材21の裏側に設けられた発泡樹脂層25とによって構成される(図5参照)。表皮材21は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、サーモプラスチックウレタン(TPU)、サーモプラスチックオレフィン(TPO)などからなる。発泡樹脂層25は、基材10と表皮材21との間に設けられる。発泡樹脂層25は、例えば、発泡ポリウレタンからなる。パッド20は、発泡樹脂層25を基材10側に向けて一体に積層される。
【0027】
インストルメントパネル本体2の単層領域2aよりも後側部分は、パッド20が設けられたパッド領域2b(図1図3でドットハッチングを付した領域)である。このパッド領域2bの左右両端寄りの部分には、サイドベントエア吹出口9bが形成される。また、図3に示すように、パッド領域2bの左右方向における中央部分には、部品取付部9cが形成される。部品取付部9cは、基材10が露出する基材露出部30を有する。図2に示すように、基材露出部30には、付属部品としてのスピーカーSPが取り付けられる。そして、基材露出部30は、スピーカーグリルGRで施蓋される。
【0028】
基材露出部30は、三方がパッド20で囲まれ、一方側にパッド20から開放された開放辺31を有する。本例において、基材露出部30の開放辺31は、後側に位置する。部品取付部9cにおける基材露出部30の後側には、付属部品としてのディスプレイ装置DPが設置される。スピーカーSPは、ディスプレイ装置DPの裏側に配置される。ディスプレイ装置DPは、センターパネル5の上側に位置する。スピーカーSPおよびディスプレイ装置DPは、カーナビゲーションシステムやオーディオなどに利用される。
【0029】
図4に示すように、基材露出部30には、位置決め突片33が設けられる。位置決め突片33は、インストルメントパネル本体2の製造で使用されるマスキングシート50を位置決めするための突出部である。本例において、位置決め突片33は、基材露出部30の開放辺31とは反対側の前辺における左右両側にそれぞれ設けられる。基材露出部30にはさらに、スピーカーSPを取り付けるための第1開口35と、複数の第2開口37とが形成される。
【0030】
第1開口35は、基材露出部30の中央部分に相対的に大きく開口する。複数の第2開口37はそれぞれ、第1開口35の周辺外側で相対的に小さく開口する。第2開口37としては、スピーカーグリルGRを取り付けるためのクリップ孔37a、ハーネスクリップを留めるための孔37b、ディスプレイ装置DPを取り付けるための締結孔37c、オーディオベゼルを取り付けるためのクリップ孔37dなどが挙げられる。
【0031】
基材10のうち基材露出部30の開放辺31を含む部分には、インストルメントパネル本体2の製造過程で発泡樹脂層25を成形する際に(後述する型閉め工程で)、表皮材21との間をシールする突条部40が設けられる。突条部40は、基材露出部30の開放辺31を左右方向に延び、その開放辺31から左右両側のパッド領域2bの内部に亘って形成される。基材露出部30は、パッド20を切断して取り除くことで設けられる。
【0032】
パッド20を切断するトリミングラインTL1は、突条部40と交差する(図8参照)。突条部40は、突出先端に向かって先細る断面三角形状に形成された突起物である。図6および図7に示すように、この突条部40のうち開放辺31の両端側に位置する部分には、脆弱部41が設けられる。脆弱部41は、突条部40の他の部分である一般部43よりも薄く形成される。そのことで、脆弱部41には、一般部43よりも切り込みを入れ易い。
【0033】
脆弱部41と一般部43との間には、徐変部45が設けられる。徐変部45の厚さは、一般部43から脆弱部41に向かって徐々に薄くなる。一般部43の厚さT2は、例えば3.0mm~3.4mm程度である。これに対して、脆弱部41の厚さT1は、例えば1.8mm~2.2mm程度である。突条部40の高さHは、脆弱部41、一般部43および徐変部45で共通し、例えば2.0mm~2.5mm程度である。
【0034】
脆弱部41の長さLは、シールに必要な剛性とトリミング工程におけるトリミングラインTL1に対するトリム刃の位置のバラつきを考慮した長さに設定され、例えば4mm~6mm程度である。パッド20を切断するトリミングラインTL1は、脆弱部41の中程に設定される。すなわち、脆弱部41の中程には、パッド20を切断した際の切れ目42が形成される。この切れ目42を境として、突条部40の一方側の部分が基材露出部30の開放辺31に設けられ、他方側の部分がパッド領域2bに設けられてパッド20に覆われる。
【0035】
-インストルメントパネル本体の製造方法-
次に、インストルメントパネル本体2を製造する要領について説明する。インストルメントパネル本体2を製造する方法は、準備工程と、セット工程と、型閉め工程と、パッド形成工程と、トリム工程と、除去工程とを含む。
【0036】
〈準備工程〉
準備工程では、予め成形した基材10および表皮材21と、マスキングシート50とを用意する。図8に示すように、このとき準備する基材10の露出予定部11には、注入口部13が一体に設けられる。ここで、基材10の露出予定部11は、インストルメントパネル本体2で基材露出部30をなす部分である。注入口部13は、発泡樹脂層25を形成する際の樹脂原料Rを注入するための注入口14を有する。
【0037】
注入口部13は、基材10の裏側に向かって凹んだ凹部15と、凹部15の開口周縁に設けられたフランジ部16とを有する。注入口14は、凹部15の底面に形成される。注入口部13は、第1開口35内に配置される。フランジ部16の上下両側にはそれぞれ、橋状の連結部17が左右一対に設けられる。注入口部13は、それら連結部17で第1開口35の周縁部分と一体に連結される。
【0038】
表皮材21は、後述する成形型100を型閉めした状態で、基材露出部30の開放辺31側に突条部40よりも外側に延びる延出部23を有する(図12参照)。この延出部23は、表皮材21の一辺を構成する部分全体に亘って設けられる。表皮材21は、予め所定の形状に賦形される。表皮材21には、裏面側が凹んで表面側に突出した位置決め部24が設けられる(図13図15参照)。
【0039】
マスキングシート50は、基材露出部30の第1開口35および第2開口37を覆うカバー材である。図9に示すように、マスキングシート50は、基材露出部30に対応する形状に形成される。マスキングシート50の中央部には、注入口部13の凹部15に対応する形状の開口51が形成される。マスキングシート50の上縁部における左右両側にはそれぞれ、位置決め用の切欠き53が形成される。
【0040】
マスキングシート50は、例えば厚さ0.12mm程度のPVC材からなる。マスキングシート50の基材10に貼り付ける面には、剥ぎ取りが容易な粘着剤が塗布される。上記粘着剤の粘着力は、後述する除去工程で基材10から表皮材21と発泡樹脂層25とマスキングシート50とが一緒に剥ぎ取れるようにするため、マスキングシート50上に一体に形成される発泡樹脂層25との接着力よりも弱く設定される。
【0041】
準備工程では、図10に示すように、基材10の露出予定部11にマスキングシート50を貼り付ける。このとき、マスキングシート50の下縁を突条部40に沿わせると共に、各切欠き53を対応する位置決め突片33に係合させることにより、マスキングシート50を露出予定部11に位置決めする。そうして、マスキングシート50の開口51を凹部15の開口に対応させ、マスキングシート50により基材露出部30の注入口部13を除く開口(第1開口35、第2開口37)を塞ぐ。
【0042】
基材10と表皮材21との間に発泡樹脂層25を成形する工程では、図11に示すような成形型100を使用する。成形型100は、固定型である第1型110と、第1型110に対して接近および離間可能に配置された可動型である第2型120とを備える。
【0043】
第1型110は、表皮材21がセットされるセット面111を有する。このセット面111には、位置決め用の突起113(図13参照、図13には1つのみ示す)が複数設けられる。この突起113は、第2型120にセットされた基材10の注入口部13に対応する位置と、露出予定部11における第1開口35の外側とにそれぞれ、互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0044】
複数の突起113は、平面視で注入口14を中心として放射状をなすように配置される。各突起113は、楕円柱状(図15に示す位置決め部24に対応する形状)に形成される。各突起113の長軸は、注入口14側に向けられる。このような突起113によれば、発泡樹脂層25を形成するためのキャビティCで樹脂原料Rが流動するのを阻害し難い。
【0045】
第1型110には、図示しないモータや油圧シリンダーなどの駆動により第2型120に接近する方向へスライドするスライドブロック130が設けられる。スライドブロック130は、成形型100を型閉めした状態で第2型120に対して進退可能な第1トリム刃131および第2トリム刃133を有する。第1トリム刃131および第2トリム刃133はそれぞれ、第1型110に形成された収容孔115に収容され、スライドブロック130の進退に応じて、収容孔115から出没する。
【0046】
第1トリム刃131は、パッド20を切断する手段である。第1トリム刃131は、パッド20を切断するためのトリミングラインTL1(図15参照)に向かい合うようにコ字状に設けられる。第2トリム刃133は、一対の連結部17を切断する手段である。第2トリム刃133は、第2型120にセットされた基材10の上下両側の各連結部17を切断する各トリミングラインTL2(図15参照)に向かい合うように、一対に設けられる。
【0047】
スライドブロック130が後退位置にあるときには、第1トリム刃131および第2トリム刃133が、収容孔115に引き込まれた状態となる(図14参照)。スライドブロック130が進行位置にあるときには、第1トリム刃131および第2トリム刃133は、収容孔115から第2型120側へ進出した状態となる(図16参照)。第1トリム刃131および第2トリム刃133を収容孔115から進出させたときの、第2トリム刃133の進出長さは、第1トリム刃131の進出長さよりも長い。
【0048】
第2型120は、基材10がセットされるセット面121を有する。このセット面121には、各第2トリム刃133を受け入れる一対の溝部123が形成される。また、第2型120には、図示しない注入機に接続された注入ノズル140が設けられる。注入ノズル140は、セット面121に形成した開口124内に配置される。注入ノズル140は、型閉めした状態の成形型100内(キャビティC)に樹脂原料Rを注入する器具である。
【0049】
〈セット工程〉
次に行うセット工程では、図11に示すように、マスキングシート50を貼り付けた基材10を、マスキングシート50がセット面121とは反対側を向くように第2型120のセット面121にセットする。第2型120に基材10がセットされると、注入口部13の注入口14が、第2型120のセット面121に形成された開口124を介して注入ノズル140に接続される。そして、基材10の各連結部17とその周辺における第1開口35の周縁と注入口部13との間の隙間とが、第2型120の溝部123に対応する。
【0050】
また、セット工程では、表皮材21を、基材10の露出予定部11を含めたパッド形成部18に対応するように第1型110のセット面111にセットする。パッド形成部18は、基材10のパッド領域2bに対応する部分と露出予定部11とを合わせた部分である。このとき、表皮材21は、予め賦形された各位置決め部24を第1型110の位置決め用の突起113に被せて位置決めされる(図13参照)。スライドブロック130は、後退位置で待機する。表皮材21が第1型110にセットされると、各収容孔115は、表皮材21によって覆われる。
【0051】
〈型閉め工程〉
次に行う型閉め工程では、第2型120を第1型110に接近させるように移動させることで、図12および図13に示すように、成形型100を型閉めする。それにより、型閉めした成形型100内で基材10と表皮材21との間にキャビティCを形成する。このとき、基材10の突条部40が表皮材21を介して第1型110のセット面111に押し付けられることで、基材10と表皮材21とが、パッド形成部18の外周でシールされる。そして、表皮材21の延出部23が突条部40よりも基材10の外側に延びる。また、型閉め工程では、成形型100を型閉めすることで、第2型120に対して、第1型110の各突起113により表皮材21を介して注入口部13を押し付ける。
【0052】
〈パッド形成工程〉
次に行うパッド形成工程では、図14に示すように、注入機を動作させ、注入ノズル140に接続された注入口部13からキャビティC内にウレタン原料などの樹脂原料Rを注入して発泡させる。そのことで、基材10と表皮材21との間に発泡樹脂層25を成形し、その発泡樹脂層25と表皮材21からなるパッド20をパッド形成部18に形成する。この段階では、基材10の露出予定部11は、パッド形成部18に含まれるため、パッド20によって覆われる。図15に示すように、基材10の露出予定部11に形成された発泡樹脂層25の各突起113に対応する部分には、位置決め部24の跡の凹所27が形成される。
【0053】
〈トリム工程〉
次に行うトリム工程では、図16に示すように、成形型100を型閉めした状態で、スライドブロック130を第2型120に接近する進行方向へスライドさせる。これにより、第1トリム刃131を収容孔115から第2型120側へ進出させて、第1トリム刃131により基材10の露出予定部11の外周でパッド20を切断する。本例では、第1トリム刃131により突条部40の脆弱部41を切り込み、基材10の露出予定部11の外周の開放辺31を除く部分でパッド20を切断する。突条部40の脆弱部41は、一般部43に比べて薄いので、切れ込みを入れ易い。よって、第1トリム刃131によるパッド20の切断が突条部40によっては阻害され難い。
【0054】
また、トリム工程では、スライドブロック130を進行方向へスライドさせることで、各第2トリム刃133を収容孔115から第1型110側へ進出させて、各第2トリム刃133により一対の連結部17を切断する。各第2トリム刃133の先端部は、一対の連結部17を切断した後に、第1型110に設けられた溝部123に受け入れられる。一方、第1トリム刃131の先端部は、パッド20を切断した後に、マスキングシート50の外周で基材10の表面に突き当てられる。第1トリム刃の131先端部は、マスキングシート50の外縁部分に突き当てられてもよい。
【0055】
このようにしてパッド20および各連結部17を切断した後、成形型100を型開きし、パッド20が形成されたインストルメントパネル本体2を成形型100から取り出す。この段階のインストルメントパネル本体2では、パッド20および注入口部13が基材10の露出予定部11に残った状態にある。
【0056】
〈除去工程〉
その後に行う除去工程では、パッド20のうち露出予定部11に設けられた部分とマスキングシート50と注入口部13とを取り除き、基材露出部30で基材10を露出させる。具体的には、図17に示すように、表皮材21の延出部23を掴んで基材10から離間する方向(図17の白抜き矢印の方向)へ引っ張る。そのことにより、図18に示すように。パッド20のうちトリミングラインTL1の内側の部分、つまり露出予定部11に設けられた部分と、マスキングシート50および注入口部13とを、基材10から共に剥ぎ取る。剥ぎ取った注入口部13は、マスキングシート50を取り除いて再生材として利用できる。
【0057】
-実施形態の特徴-
この実施形態のインストルメントパネル本体2の製造方法によると、基材10に一体に設けられた注入口部13からキャビティCに樹脂原料Rを注入して発泡樹脂層25を成形するので、パッド20を形成する際にインストルメントパネル本体2に対して注入口14を設けるためのマスキングプレートなどの別部品を取り付けなくて済む。また、注入口部13は再び注入口部として再利用する必要がない。したがって、パッド20付きインストルメントパネル本体2の製造にかかる手間を軽減できる。
【0058】
この実施形態のインストルメントパネル本体2の製造方法によると、成形型100を型閉めした状態で、注入口部13が第1型110に設けられた突起113により第2型120に押し付けられるので、キャビティCのうち注入口部13に対応する箇所に所定の厚さを確保できる。このことは、キャビティCで樹脂原料を好適に流動させるのに有利である。
【0059】
この実施形態のインストルメントパネル本体2の製造方法によると、成形型100に設けられた第1トリム刃131によりパッド20を、第2トリム刃133により各連結部17をそれぞれ切断するので、成形型100内において、パッド20を形成した後に続けてパッド20および各連結部17を切断できる。それにより、トリム工程を効率良く行える。
【0060】
この実施形態のインストルメントパネル本体2の製造方法によると、トリム工程でパッド20を切断するときに突条部40が切り込まれる。このとき切り込まれる突条部40の部位は、他の部分よりも切り込み易い脆弱部41である。そのことで、トリム工程でのパッド20の切断が突条部40で阻害されないようにして、パッド20を好適に切断できる。
【0061】
この実施形態のインストルメントパネル本体2の製造方法によると、パッド20の一部、マスキングシート50および注入口部13を除去するのに、表皮材21に設けられた延出部23を掴んで所定の方向へ引っ張る作業を行えばよい。それにより、除去工程を効率良く行える。
【0062】
この実施形態のインストルメントパネル本体2の製造方法によると、基材露出部30に後方へ開放する開放辺31を形成するので、基材露出部30の開放辺31側に取り付けるディスプレイ装置DPと基材10との間にパッド20が設けられない。これによれば、ディスプレイ装置DPの組み付け方向の自由度を高めることができる。また、ディスプレイ装置DPをインストルメントパネル本体2に装着するのにパッド20が邪魔にならない。
【0063】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。上記実施形態において、さらに色々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲に属することは当業者に理解されるところである。
【0064】
例えば、上記実施形態では、トリム工程において、成形型100内でパッド20および各連結部17を切断するとしたが、これに限らない。基材10の露出予定部11にもパッド20を形成したインストルメントパネル本体2を成形型100から取り出した後に、成形型100外でパッド20および各連結部17を切断してもよい。また、トリム工程では、パッド20と連結部17とは、別々のタイミングで切断してもよい。
【0065】
上記実施形態では、トリム工程において、基材10の露出予定部11の外周の開放辺31を除く部分でパッド(20)を切断するとしたが、これに限らない。トリム工程では、基材の露出予定部11の全周に亘って枠状にパッド20を切断してもよい。この場合に製造されるインストルメントパネル本体2は、四方がパッド20で囲まれた基材露出部30を有する。
【0066】
上記実施形態では、表皮材21が有する延出部23は、表皮材21の一辺を構成する部分全体に亘って設けられるとしたが、これに限らない。当該延出部23は、表皮材21の一辺を構成する部分に舌片状に突出させて設けられてもよい。
【0067】
上記実施形態では、インストルメントパネル本体2の基材露出部30にスピーカーSPが取り付けられるとしたが、これに限らない。スピーカーSPは、インストルメント本体2の基材露出部30に取り付けられる付属部品の一例に過ぎず、そうした付属部品は、ディスプレイ、HUD(Head Up Display)、ヒーターコントローラー、デフダクト開口パネルなどの他の部品であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように、本発明は、パッド付きインストルメントパネル本体の製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0069】
C キャビティ
SP スピーカー(付属部品)
2 インストルメントパネル本体
10 基材
11 露出予定部
13 注入口部
17 連結部
18 パッド形成部
20 パッド
21 表皮材
23 延出部
25 発泡樹脂層
30 基材露出部
31 開放辺
35 第1開口(開口)
37 第2開口(開口)
40 突条部
41 脆弱部
43 一般部(他の部分)
50 マスキングシート
100 成形型
110 第1型
113 突起
120 第2型
131 第1トリム刃
133 第2トリム刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18