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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156123
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】収納庫
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20231017BHJP
   A23B 9/00 20060101ALI20231017BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20231017BHJP
   F25C 5/10 20060101ALI20231017BHJP
   F25C 1/00 20060101ALI20231017BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B02B7/00 K
A23B9/00
A23L3/00
F25C5/10 A
F25C1/00 301Z
F25D23/00 302D
F25D23/00 302L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065802
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】淺野 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】原 輝道
(72)【発明者】
【氏名】稲田 雅司
(72)【発明者】
【氏名】上野 俊一
(72)【発明者】
【氏名】土江 秀樹
【テーマコード(参考)】
3L345
4B021
4B169
4D043
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA17
3L345BB01
3L345BB06
3L345CC01
3L345DD52
3L345DD54
3L345DD57
3L345EE13
3L345EE14
3L345EE44
3L345EE53
3L345FF14
3L345FF33
3L345FF44
3L345GG12
3L345GG16
3L345GG31
3L345KK04
3L345KK05
4B021LA44
4B021LP10
4B021LW09
4B021MC06
4B169AA04
4B169GA05
4D043AA03
4D043JF08
(57)【要約】
【課題】食材、調理品または氷等の収納物を収納する収納室内を簡易な構造によって衛生的に保った状態で調湿可能とする。
【解決手段】収納庫10は、収納物を収納する収納室12と、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜31を有し、この調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることで収納室12内の湿度を調節する湿度調節装置30とを備えている。この調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることで収納室12内の湿度を調節することができるので、収納室12内を簡易な構造によって収納物の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、収納室12内に水を霧状に噴霧することで収納室12内の湿度を調節するものではないので、収納室12内に水を霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らず、収納室12内を衛生的に保つことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物を収納する収納室と、
水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜を有し、この調湿中空糸膜の内外で水蒸気を透過させることで前記収納室内の湿度を調節する湿度調節装置とを備えたことを特徴とする収納庫。
【請求項2】
請求項1に記載の収納庫において、
前記湿度調節装置は、前記調湿中空糸膜が前記収納室内に配置されたものであって、前記調湿中空糸膜には水を供給する給水源と空気を供給する給気源とが切替可能に接続されたことを特徴とする収納庫。
【請求項3】
請求項1に記載の収納庫において、
前記湿度調節装置は、前記調湿中空糸膜が前記収納室内に配置されたものであって、前記調湿中空糸膜に湯を供給する給湯源が接続されたことを特徴とする収納庫。
【請求項4】
請求項1に記載の収納庫において、
前記湿度調節装置は、前記調湿中空糸膜が前記収納室内に配置されたものであって、前記調湿中空糸膜には加湿または除湿することで湿度を調節した空気が生成される調湿空気生成室が接続されたことを特徴とする収納庫。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1項に記載の収納庫において、
前記収納室は上下に多段状に収納物を収納可能としており、
前記調湿中空糸膜を上下に多段状に収納された収納物の高さ位置に応じて配置したことを特徴とする収納庫。
【請求項6】
請求項1に記載の収納庫において、
前記収納室内に氷を製造する製氷機構部と、前記製氷機構部により製造された氷を貯える貯氷部とを備え、
前記製氷機構部は、氷を製造する製氷運転と、前記製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に実行するように制御したものであって、
前記湿度調節装置は、前記製氷機構部の周囲に前記調湿中空糸膜が配置され、前記除氷運転を実行しているときに、前記調湿中空糸膜に乾燥した空気を送出するように制御したことを特徴とする収納庫。
【請求項7】
請求項1に記載の収納庫において、
前記収納室内に氷を製造する製氷機構部と、前記製氷機構部により製造された氷を貯える貯氷部とを備え、
前記製氷機構部は、氷を製造する製氷運転と、前記製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に実行するように制御したものであって、
前記湿度調節装置は、前記製氷機構部の周囲に前記調湿中空糸膜が配置され、前記除氷運転後に前記貯氷部にて氷が満たされて前記製氷運転を待機させているときに、前記調湿中空糸膜に乾燥した空気を送出するように制御したことを特徴とする収納庫。
【請求項8】
請求項1に記載の収納庫において、
前記収納室内に氷を製造する製氷機構部と、前記製氷機構部により製造された氷を貯える貯氷部とを備え、
前記製氷機構部は、氷を製造する製氷運転と、前記製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に実行するように制御したものであって、
前記湿度調節装置は、前記貯氷部に前記調湿中空糸膜が配置され、前記調湿中空糸膜に乾燥した空気を送出可能にしたことを特徴とする収納庫。
【請求項9】
請求項1に記載の収納庫において、
前記湿度調節装置は、所定量の水を貯えて前記調湿中空糸膜が水中に浸漬される浸漬槽と、前記浸漬槽内にて前記調湿中空糸膜内の水蒸気を含んだ空気を前記収納室内に送出する送出手段とを備えたことを特徴とする収納庫。
【請求項10】
請求項9に記載の収納庫において、
前記浸漬槽内の水を加熱するヒータを設けたことを特徴とする収納庫。
【請求項11】
請求項1に記載の収納庫において、
前記湿度調節装置は、乾燥した空気中に前記調湿中空糸膜が配置される乾燥室と、前記乾燥室内にて前記調湿中空糸膜内から水蒸気を外側に透過させた空気を前記収納室に送出する送出手段とを備えたことを特徴とする収納庫。
【請求項12】
請求項9~11の何れか1項に記載の収納庫において、
前記送出手段により送出される空気の送出口を位置変更可能としたことを特徴とする収納庫。
【請求項13】
請求項1に記載の収納庫において、
前記収納室を開閉する扉と、
前記扉の開閉を検知する扉開閉検知器とを備え、
前記扉開閉検知器により前記扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに前記湿度調節装置にて前記収納室内を調湿するように制御したことを特徴とする収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材、調理品または氷等の収納物を収納室内に収納する収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、玄米を貯蔵するための低温貯蔵庫の発明が開示されている。この低温貯蔵庫は、玄米等の貯蔵物を収納可能とする貯蔵空間を有した貯蔵庫本体と、貯蔵空間内に冷気を供給する冷却ユニットと、貯蔵空間内の空気を加熱する凍結防止用の加温構造とを備えている。この低温貯蔵庫においては、貯蔵空間内の温度は玄米の貯蔵に適した例えば2~15℃の範囲の任意の温度に設定可能であり、貯蔵空間内の温度は冷却ユニットまたは加温構造の作動を制御することで玄米の貯蔵に適した設定温度となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-039631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、玄米は、上述した2~15℃の温度範囲で貯蔵するのに加えて、60~70%の湿度で保存すると品質の劣化を抑えることができると知られている。上述した特許文献1の低温貯蔵庫は玄米の貯蔵に適した設定温度となるように冷却ユニットまたは加温構造の作動が制御され、貯蔵空間(収納室)内の温度は玄米の貯蔵に適した設定温度とすることができるものの、貯蔵空間内の湿度は玄米の貯蔵に適した湿度となるように制御されていない。特に、貯蔵空間内を冷却ユニットにより冷却したときには、貯蔵空間内の空気が除湿されることになり、貯蔵空間内の湿度が低下しすぎるおそれがある。また、貯蔵庫の扉を開閉したときにも貯蔵空間内の湿潤冷気が外側に排出され、貯蔵空間内を玄米の貯蔵に適した湿度にできないおそれがあった。さらに、貯蔵空間内に水を霧状に噴霧することによって加湿することもできるが、霧状に噴霧したときの水滴が貯蔵空間内に残ることがあり、貯蔵空間内を衛生的に保ちにくくなる。本発明は、食材、調理品または氷等の収納物を収納する収納室内を簡易な構造によって衛生的に保った状態で調湿可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、収納物を収納する収納室と、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜を有し、この調湿中空糸膜の内外で水蒸気を透過させることで収納室内の湿度を調節する湿度調節装置とを備えたことを特徴とする収納庫を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した収納庫においては、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜を有し、この調湿中空糸膜の内外で水蒸気を透過させることで収納室内の湿度を調節する湿度調節装置を備えているので、収納室内の湿度は湿度調節装置の調湿中空糸膜の内外で移動する水蒸気によって湿度が調節されるようになり、収納室内を簡易な構造によって収納物の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、収納室内に水を霧状に噴霧することで収納室内の湿度を調節するものではないので、収納室内に水を霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らず、収納室内を衛生的に保つことができる。
【0007】
上記のように構成した収納庫においては、湿度調節装置は、調湿中空糸膜が収納室内に配置されたものであって、調湿中空糸膜には水を供給する給水源と空気を供給する給気源とが切替可能に接続されるようにしてもよい。収納室内を加湿したいときには、調湿中空糸膜に給水源を接続すれば、給水源から調湿中空糸膜内に供給された水が水蒸気として外側に透過され、収納室は調湿中空糸膜の外側に透過した水蒸気によって加湿されるようになる。また、収納室内を除湿したいときには、調湿中空糸膜に給気源を接続すれば、収納室内の空気に含まれる水蒸気が調湿中空糸膜内に透過するようになり、収納室は水蒸気が調湿中空糸膜の内側に透過することによって除湿されるようになる。
【0008】
上記のように構成した収納庫においては、湿度調節装置は、調湿中空糸膜が収納室内に配置されたものであって、調湿中空糸膜に湯を供給する給湯源が接続されるようにしてもよい。収納室内を加湿するときに、給湯源から調湿中空糸膜内に供給された湯が水蒸気として外側に透過され、収納室は調湿中空糸膜の外側に透過した水蒸気によって加湿される。このとき、収納室内の調湿中空糸膜には湯が供給されるので、収納物の性質に応じて収納室内の温度を高く設定していても、収納室内は温度の低下を防ぐことができる。
【0009】
上記のように構成した収納庫においては、湿度調節装置は、調湿中空糸膜が収納室内に配置されたものであって、調湿中空糸膜には加湿または除湿した空気が生成される調湿空気生成室が接続されるようにしてもよい。このようにしたときには、収納室内を加湿するときには、調湿空気生成室内で加湿された空気が調湿中空糸膜内に送出されることで、加湿された空気に含まれる水蒸気が調湿中空糸膜内から外側に透過され、収納室は調湿中空糸膜の外側に透過した水蒸気によって加湿されるようになる。また、収納室内を除湿するときには、調湿空気生成室内で除湿された空気が調湿中空糸膜内に送出されることで、収納室内の空気に含まれる水蒸気は調湿中空糸膜内に透過され、収納室は水蒸気が調湿中空糸膜内に透過することで除湿されるようになる。
【0010】
上記のように調湿中空糸膜を収納室内に配置するようにした収納庫においては、収納室は上下に多段状に収納物を収納可能としており、調湿中空糸膜を上下に多段状に収納された収納物の高さ位置に応じて配置するようにしてもよい。収納室は上下に多段状に収納される収納物の高さに応じて配置された調湿中空糸膜の内外を透過する水蒸気により加湿または除湿されるので、上下に多段状に収納される収納物は高さ位置で湿度の違いによる影響を受けにくくすることができる。
【0011】
上記のように構成した収納庫においては、収納室内に氷を製造する製氷機構部と、製氷機構部により製造された氷を貯える貯氷部とを備え、製氷機構部は、氷を製造する製氷運転と、製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に実行するように制御したものであって、湿度調節装置は、製氷機構部の周囲に調湿中空糸膜が配置され、除氷運転を実行しているときに、調湿中空糸膜に乾燥した空気を送出するように制御してもよい。除氷運転を実行しているときに、製氷機構部は、氷との接触面を融かすことで温度と湿度が高くなり、製氷機構部は温度と湿度が高い状態によって細菌やカビの繁殖や金属部品に腐食が生じるおそれがある。製氷機構部の周囲の水蒸気は乾燥した空気が送出される調湿中空糸膜内に透過され、製氷機構部の周囲は水蒸気が調湿中空糸膜内に透過されることで除湿され、製氷機構部の周囲は除湿されることで細菌やカビの繁殖や金属部品に腐食が生じにくくなる。
【0012】
上記のように構成した収納庫においては、収納室内に氷を製造する製氷機構部と、製氷機構部により製造された氷を貯える貯氷部とを備え、製氷機構部は、氷を製造する製氷運転と、製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に実行するように制御したものであって、湿度調節装置は、製氷機構部の周囲に調湿中空糸膜が配置され、除氷運転後に貯氷部にて氷が満たされて製氷運転を待機させているときに、調湿中空糸膜に乾燥した空気を送出するように制御してもよい。除氷運転後に貯氷部にて氷が満たされて製氷運転を待機しているときには、製氷機構部の周囲に残る水によって細菌やカビの繁殖や金属部品に腐食が生じるおそれがある。製氷機構部の周囲に残る水から生じる水蒸気は乾燥した空気が送出される調湿中空糸膜内に透過され、製氷機構部の周囲は水蒸気が調湿中空糸膜内に透過されることで除湿され、製氷機構部の周囲は除湿されることで細菌やカビの繁殖や金属部品に腐食が生じにくくなる。
【0013】
上記のように構成した収納庫においては、収納室内に氷を製造する製氷機構部と、製氷機構部により製造された氷を貯える貯氷部とを備え、製氷機構部は、氷を製造する製氷運転と、製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に実行するように制御したものであって、湿度調節装置は、貯氷部に調湿中空糸膜が配置され、調湿中空糸膜に乾燥した空気を送出可能にしてもよい。貯氷部内の空気に含まれている水蒸気は貯氷部内に貯えられる氷の表面に凝縮熱を付与して氷を融かすおそれがある。貯氷部内の空気に含まれている水蒸気は乾燥した空気が送出される調湿中空糸膜内に透過され、貯氷部内は調湿中空糸膜内に水蒸気が透過されることで除湿され、貯氷部内に貯えられた氷は水蒸気による凝縮熱が付与されにくくなって溶けにくくなる。
【0014】
上記のように構成した収納庫においては、湿度調節装置は、所定量の水を貯えて調湿中空糸膜が水中に浸漬される浸漬槽と、浸漬槽内にて調湿中空糸膜内の水蒸気を含んだ空気を収納室内に送出する送出手段とを備えるようにしてもよい。調湿中空糸膜内には浸漬槽内の水から透過した水蒸気が含まれるようになり、調湿中空糸膜内の水蒸気を含んだ空気が送出手段によって収納室内に送出されるので、収納室は調湿中空糸膜内の水蒸気を含んだ空気によって加湿されるようになる。この場合において、浸漬槽内の水を加熱するヒータを設けるようにしてもよい。収納室内を加湿するときに、調湿中空糸膜内には浸漬槽内の湯から透過した水蒸気が含まれるとともに、調湿中空糸膜内で水蒸気を含む空気は浸漬槽内の湯によって温められ、調湿中空糸膜内の水蒸気を含んだ温かい空気が送出手段によって収納室内に送出される。収納物の性質に応じて収納室内の温度を高く設定している場合に、収納室内に調湿中空糸膜内の水蒸気を含んだ空気を送出しても、収納室内は温度の低下を防ぐことができる。
【0015】
上記のように構成した収納庫においては、湿度調節装置は、乾燥した空気中に調湿中空糸膜が配置される乾燥室と、乾燥室内にて調湿中空糸膜内から水蒸気を外側に透過させた空気を収納室に送出する送出手段とを備えるようにしてもよい。調湿中空糸膜内の空気に含まれる水蒸気は乾燥室内の乾燥した空気中に透過され、調湿中空糸膜内には乾燥した空気が生成されるようになり、調湿中空糸膜内に生成された乾燥した空気が送出手段によって収納室内に送出されるので、収納室は調湿中空糸膜内で生成された乾燥した空気によって除湿されるようになる。
【0016】
送出手段により湿度を調節した空気を送出するようにした収納庫においては、送出手段により送出される空気の送出口を位置変更可能としてもよい。このようにしたときには、収納室内の収納物に応じた位置に湿度を調節した空気を送出することができるようになる。
【0017】
上記のように構成した各収納庫においては、収納室を開閉する扉と、扉の開閉を検知する扉開閉検知器とを備え、扉開閉検知器により扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに湿度調節装置にて収納室内を調湿するように制御してもよい。扉を開放したときに、収納室内の湿度が変動しやすいが、扉開閉検知器により扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに湿度調節装置にて収納室内を調湿するように制御することで、収納室内の湿度は扉の開放後の変動を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】貯蔵庫の第1実施形態の概略図である。
図2】貯蔵庫の制御装置のブロック図である。
図3】調湿中空糸膜を上下に蛇行させたときの概略図(a)、上下に延びる複数の直管状の調湿中空糸膜を直列に接続したときの概略図(b)であり、上下に延びる複数の直管状の調湿中空糸膜を並列に接続したときの概略図(c)であり、左右に延びる複数の直管状の調湿中空糸膜を並列に接続したときの概略図(d)である。
図4】貯蔵庫の第2実施形態の概略図である。
図5】貯蔵庫の第3実施形態の概略図である。
図6】貯蔵庫の第4実施形態の概略図である。
図7】恒温高湿庫の実施形態の概略図である。
図8】恒温高湿庫の制御装置のブロック図である。
図9】配膳車の第1実施形態の概略図である。
図10】配膳車の制御装置のブロック図である。
図11】配膳車の第2実施形態の概略図である。
図12】配膳車の第3実施形態の概略図である。
図13】配膳車の第4実施形態の概略図である。
図14】中間送出口に自在曲管を取り付けたときの拡大概略図である。
図15】ドウコンディショナーの第1実施形態の概略図である。
図16】ドウコンディショナーの制御装置のブロック図である。
図17】ドウコンディショナーの第2実施形態の概略図である。
図18】製氷機の実施形態の概略図である。
図19】製氷機の制御装置のブロック図である。
図20】食器洗浄機の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の収納庫の実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の収納庫は食材、調理品または氷等の収納物を収納可能とする貯蔵庫、恒温高湿庫、乾燥庫、配膳車、ドウコンディショナーまたは製氷機等に適用されるものであり、収納物を収納する収納室内を湿度調節可能としたものである。以下に本発明の収納庫の各実施形態について説明する。
【0020】
(貯蔵庫の第1実施形態)
図1に示した貯蔵庫(収納庫)10の第1実施形態は、玄米等の食材よりなる貯蔵物(収納物)を温度調節及び湿度調節可能に収納するものであり、ハウジング11内に玄米等の食材を温度調節及び湿度調節可能に貯蔵(収納)する貯蔵室(収納室)12を備えている。貯蔵室12は玄米を入れた袋を上下に多段状に積み重ねて貯蔵(収納)可能な大きさとなっている。貯蔵室12の外周面には断熱材が設けられており、貯蔵室12内は断熱材によって外側の温度の影響を受けにくくなっている。貯蔵室12の前面には開口部(図示省略)が形成されており、貯蔵室12の前部には開口部を開閉する扉(図示省略)が開閉自在に設けられている。貯蔵室12の上部には温度を調節するための温度調節室13が形成されており、温度調節室13内には温度調節器として冷却装置20の蒸発器25が設けられている。貯蔵室12と温度調節室13との間には循環ファン14が設けられており、貯蔵室12内の空気は循環ファン14の作動によって温度調節室13との間を循環する(図1にて空気の流れを一点鎖線で示している)。
【0021】
冷却装置20は、温度調節室13内を通過する空気を冷却することにより、貯蔵室12内を冷却するものである。冷却装置20は、周知の冷凍回路を用いたものであり、冷媒を圧縮する圧縮機21と、圧縮した冷媒ガスを冷却する凝縮器22と、液化冷媒に含まれる水分を除去するドライヤ23と、液化冷媒を膨張させるキャピラリチューブ(膨張手段)24と、膨張させた液化冷媒を気化させて温度調節室13内を冷却する蒸発器25とを備えている。蒸発器25は温度調節室13内に配置され、他の部品は温度調節室13の外側にて貯蔵室12の上側に設けた機械室15内に配置されている。循環ファン14とともに冷却装置20を作動させると、貯蔵室12内の空気が温度調節室13内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は蒸発器25で冷媒が気化することによって冷却され、冷却された空気は再び貯蔵室12内に送出され、貯蔵室12内は温度調節室13内にて冷却された空気が温度調節室13との間を循環することによって冷却される。
【0022】
貯蔵庫10は、貯蔵室12内の湿度を調節する湿度調節装置30を備えている。湿度調節装置30は、水蒸気が透過可能な水蒸気透過性能を有する調湿中空糸膜31を有し、この調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることで湿度を調節するものである。調湿中空糸膜31は、中空形状のフッ素系イオン交換樹脂膜を径方向に複数配置して管状または筒状にモジュール化した膜式の湿度調節器であり、中空形状のフッ素系イオン交換樹脂膜の内外の湿度差を等しくする性質(内外の湿度を平衡にする性質)を利用して、貯蔵室12内の湿度を調節するものである。調湿中空糸膜31内に乾燥した空気を通過させたときには、調湿中空糸膜31の外側の水蒸気が内側に透過され、調湿中空糸膜31の外側に乾燥した空気が生成され、調湿中空糸膜31内に水等の液体または加湿された空気を通過させたときには、調湿中空糸膜31の内側の水蒸気が外側に透過され、調湿中空糸膜31の外側に水蒸気を含む空気が生成される。なお、調湿中空糸膜31は、中空形状のフッ素系イオン交換樹脂膜を用いたものに限られるものでなく、水蒸気を透過可能な多孔質の中空糸膜を用いたものであってもよい。なお、湿度調節装置30の調湿中空糸膜31は貯蔵庫10の他の実施形態や後述する他の機器においても同様である。
【0023】
調湿中空糸膜31は、貯蔵室12内の後壁前面に配設されており、貯蔵室12内の後壁に左右に蛇行するように配設されている。調湿中空糸膜31の貯蔵室12の上部に配置される長手方向の一方の端部の流入口には調湿管32が接続されている。調湿中空糸膜31の貯蔵室12の底部に配置される長手方向の他方の端部には逆止弁33が接続されている。逆止弁33は、調湿中空糸膜31に給水圧が加えられたときに開放され、調湿中空糸膜31に給水圧が加えられなくなると閉止するように設定されている。
【0024】
調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部に接続された調湿管32は貯蔵室12の上部から上側の機械室15内に延出しており、調湿管32には機械室15内で三方弁よりなる切替弁34が接続されている。切替弁34は、機械室15内で水道等の給水源に給水管35を介して接続され、外気等の乾燥した空気の給気源に給気管37を介して接続されている。給水管35には給水弁36が介装されており、給水源の水は給水弁36を開放することによって給水管35から調湿中空糸膜31に給水可能となる。給気管37には給気ポンプ38が介装されており、機械室15内またはハウジング11の外側の乾燥した空気(給気源)は給気ポンプ38の作動によって給気管37から調湿中空糸膜31に給気可能となる。なお、貯蔵庫10を湿度の高い場所に設置したときには、給気管37に乾燥した空気を圧入した給気ボンベ(給気源)を接続するとともに、給気管37に給気弁を介装するようにし、給気弁を開放することによって給気ボンベの乾燥した空気を調湿中空糸膜31に供給可能としてもよい。
【0025】
給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作するとともに給水弁36を開放させると、給水源の水が調湿中空糸膜31内に供給される。調湿中空糸膜31内に供給された水は内外の湿度差を生じさせないように水蒸気として外側に透過し、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿される。給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作するとともに給気ポンプ38を作動させると、乾燥した空気が調湿中空糸膜31内に供給される。貯蔵室12内の空気中に含まれる水蒸気は内外の湿度差を生じさせないように調湿中空糸膜31の内側に透過されて乾燥した空気に含まれるようになり、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過された乾燥した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過されることで除湿される。
【0026】
貯蔵室12内には温度センサ16と湿度センサ17が設けられている。温度センサ16は貯蔵室12内の温度を検出するものであり、冷却装置20は温度センサ16の検出温度に基づいて作動が制御される。湿度センサ17は貯蔵室12内の湿度を検出するものであり、湿度調節装置30は湿度センサ17の検出湿度に基づいて作動が制御される。
【0027】
図2に示した貯蔵庫10は、制御装置100を備えており、制御装置100は、温度センサ16、湿度センサ17、冷却装置20及び湿度調節装置30とに接続されている。制御装置100は、温度センサ16の検出温度に基づき貯蔵室12内が設定温度となるように冷却装置20の作動を制御し、湿度センサ17の検出湿度に基づき貯蔵室12内が設定湿度となるように湿度調節装置30の作動を制御している。
【0028】
次に、貯蔵室12内の温度を10℃、湿度を65%に設定したときの冷却装置20と湿度調節装置30の作動について説明する。貯蔵室12内の温度制御においては、制御装置100は、温度センサ16の検出温度が設定温度より所定温度として例えば2℃高い設定上限温度(この実施形態では12℃)以上となると、冷却装置20を作動させて貯蔵室12内を冷却し、温度センサ16の検出温度が設定温度より所定温度として例えば2℃低い設定下限温度(この実施形態では8℃)以下となると、冷却装置20の作動を停止させて貯蔵室12内の冷却を停止させている。制御装置100は温度センサ16の検出温度に基づいて冷却装置20の作動を制御することで、貯蔵室12内は設定温度となるように制御される。なお、貯蔵室12内の設定温度が室温(貯蔵庫10を設置した室内の室温)に比べて高いときには、貯蔵室12内を加温するヒータ等の加温装置を設けるようにし、貯蔵室12内を冷却装置20により冷却したり、加温装置によって加温するように制御してもよい。
【0029】
また、貯蔵室12内の湿度制御において、貯蔵室12内が設定湿度よりも低くて加湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い加湿下限湿度(この実施形態では60%)以下であるときに、給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給水弁36を一定時間(調湿中空糸膜31に水が満たされる時間)開放させるように制御する。給水源の水は調湿中空糸膜31に供給されると、調湿中空糸膜31内の水は水蒸気となって外側に透過され、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿される。
【0030】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内に水を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い加湿上限湿度(この実施形態では70%)以上となっていなければ、再び給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給水弁36を一定時間開放させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31内に水を供給することで、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気により加湿するように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となると、制御装置100は、給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給気ポンプ38を一定時間(調湿中空糸膜31に空気が満たされる時間)作動させるように制御する。調湿中空糸膜31内は水が排出されて空気が満たされるようになり、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過する水蒸気によって加湿されないようになる。
【0031】
調湿中空糸膜31内の水を排出して空気を満たすようにすると、貯蔵室12内の湿度は徐々に低下する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が加湿下限湿度以下となると、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となるまで、給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給水弁36を一定時間開放させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿するように制御する。このように、湿度センサ17の検出湿度に基づいて切替弁34を操作した状態で給水弁36を開放させることで、貯蔵室12は調湿中空糸膜31に供給される水が水蒸気として外側に透過されることによって加湿制御される。
【0032】
また、貯蔵室12内が設定湿度よりも高くて除湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い除湿上限湿度(この実施形態では70%)以上であるときに、給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給気ポンプ38を一定時間(調湿中空糸膜31に空気が満たされる時間)作動させるように制御する。乾燥した空気が調湿中空糸膜31に供給されると、貯蔵室12内の水蒸気は調湿中空糸膜31の内側に透過され、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過された乾燥した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過されることで除湿される。
【0033】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内に乾燥した空気を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い除湿下限湿度(この実施形態では60%)以下となっていなければ、再び給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給気ポンプ38を一定時間作動させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31に乾燥した空気を供給することで、調湿中空糸膜31の内側に水蒸気を透過させることにより貯蔵室12内を除湿するように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が除湿下限湿度以下となると、制御装置100は、給気ポンプ38を作動させないようにして調湿中空糸膜31に乾燥した空気の供給を停止するように制御する。
【0034】
調湿中空糸膜31に乾燥した空気を供給しないようにすると、貯蔵室12内の湿度は徐々に上昇する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が除湿上限湿度以上となると、湿度センサ17の検出湿度が除湿下限湿度以下となるまで、給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給気ポンプ38を一定時間作動させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31内に水蒸気を透過させることによって除湿するように制御する。このように、湿度センサ17の検出湿度に基づいて切替弁34を操作した状態で給気ポンプ38を作動させることで、貯蔵室12は調湿中空糸膜31内に水蒸気が透過されることによって除湿制御される。
【0035】
上記のように構成した貯蔵庫(収納庫)10は、玄米等の食材よりなる貯蔵物(収納物)を収納する貯蔵室(収納室)12と、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜31を有し、この調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることで貯蔵室12内の湿度を調節する湿度調節装置30とを備えている。この貯蔵庫10においては、貯蔵室12内の湿度を調節する湿度調節装置30は、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜31を有し、この調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることで貯蔵室12内の湿度を調節可能としている。貯蔵室12内は、調湿中空糸膜31の内外で移動する水蒸気によって湿度が調節されるようになり、貯蔵室12内を簡易な構造によって貯蔵物の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、貯蔵室12内に水を霧状に噴霧することで貯蔵室12内を加湿するものでないので、貯蔵室12内に霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らないようになる。
【0036】
この貯蔵庫10においては、湿度調節装置30は、調湿中空糸膜31が貯蔵室12内に配置されたものであって、調湿中空糸膜31には水を供給する給水源から水が供給される給水管35と給気源から空気が供給される給気管37とが切替可能に接続されている。貯蔵室12内を加湿したいときには、調湿中空糸膜31に給水管35を介して給水源を接続すれば、給水管35から調湿中空糸膜31内に供給された水が水蒸気として外側に透過され、貯蔵室12は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿されるようになる。また、貯蔵室12内を除湿したいときには、調湿中空糸膜31に給気管37を介して給気源を接続すれば、貯蔵室12内の空気に含まれる水蒸気が調湿中空糸膜31の内側に透過され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過されることによって除湿されるようになる。このように、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31を用いて加湿及び除湿をすることができるので、貯蔵室12内を簡易な構造によって貯蔵物の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。
【0037】
この貯蔵庫10においては、調湿中空糸膜31は貯蔵室12内の後壁に配設されているが、本発明はこれに限られるものでなく、貯蔵室12内の左右の側壁、または、貯蔵室12内の前面の開口部を開閉する扉の少なくとも1つに調湿中空糸膜31を配設したものであってもよい。また、調湿中空糸膜31は貯蔵室12内の後壁に左右に蛇行するように配設されているが、これに限られるものでなく、図3(a)に示したように、貯蔵室12内の扉を含めた前後及び左右の側壁の少なくとも1つに上下に蛇行するように配設してもよい。また、図3(b)に示したように、上下に延びる複数の直管状の調湿中空糸膜31を左右に並べて直列に接続するようにしてもよいし、図3(c)に示したように、上下に延びる複数の直管状の調湿中空糸膜31を左右に並べて並列に接続するようにしてもよいし、図3(d)に示したように、左右に延びる複数の直管状の調湿中空糸膜31を上下に並べて並列に接続するようにしてもよいし、図には示していないが、左右に延びる複数の直管状の調湿中空糸膜31を上下に並べて直列に接続するようにしてもよい。これらの場合にも、調湿中空糸膜31を上下、左右または前後に延出する複数の調湿中空糸膜31に配設するようにしてもよい。なお、貯蔵室(収納室)内に調湿中空糸膜を配置した貯蔵庫や後述する他の機器においても同様である。
【0038】
また、この貯蔵庫10においては、貯蔵室12内を加湿する必要があって除湿する必要がない環境下では、調湿中空糸膜31に給水管35を介して給水源のみを接続するようにしてもよいし、貯蔵室12内を除湿する必要があって加湿する必要がない環境下では、調湿中空糸膜31に給気管37を介して給気源のみを接続するようにしてもよい。また、給気管37の給気口は機械室12内の圧縮機21や凝縮器22等の温度が高くなる機械部品に向けて開口させてもよく、調湿中空糸膜31に乾燥した空気を供給することができるようになる。また、給気口にはフィルタを設けるのが好ましく、調湿中空糸膜31内に埃等の異物が流入するのを防ぐことができる。
【0039】
(貯蔵庫の第2実施形態)
上述した貯蔵庫10の第1実施形態においては、湿度調節装置30の調湿中空糸膜31には水を供給する給水源と空気を供給する給気源とが給水管35と給気管37とを介して切替可能に接続されている。次に説明する貯蔵庫10の第2実施形態においては、湿度調節装置30の調湿中空糸膜31には加湿または除湿することで湿度を調節した空気が生成される調湿空気生成室40が接続されるようにしている。貯蔵庫10の第2実施形態は湿度調節装置30の一部以外は第1実施形態と同様の構成であり、貯蔵庫10の第2実施形態を貯蔵庫10の第1実施形態と異なる点を中心に以下に説明する。
【0040】
図4に示した湿度調節装置30は、加湿または除湿することで湿度を調節した空気が生成される調湿空気生成室40を機械室15内に備えている。調湿空気生成室40は調湿中空糸膜31に湿度を調節した空気を供給するための空間を形成したものであり、調湿空気生成室40には加湿するための加湿器41と除湿するための除湿器42とが設けられている。加湿器41は、給水源から調湿空気生成室40内に導出された給水管41aと、給水管41aに介装された給水弁41bと、調湿空気生成室40内にて給水管41aの先端部に設けられたスプレイノズル41cとを備えている。給水弁41bを開放させると、給水源の水が給水管41aを通ってスプレイノズル41cから調湿空気生成室40内に噴霧され、調湿空気生成室40内は空気に水蒸気が含まれるようになって加湿される。
【0041】
除湿器42は、調湿空気生成室40の一方の側壁に設けた排気ファン42aと、排気ファン42aを設けた一方の側壁に対向する他方の側壁に設けた通気口を開閉するシャッター42bとを備えている。シャッター42bを開放させた状態で排気ファン42aを作動させると、通気口から調湿空気生成室40内に外気が導入されるとともに、調湿空気生成室40内の空気が排気ファン42aから外側に排出され、調湿空気生成室40内には外側の乾燥した空気が導入され、調湿空気生成室40内は乾燥した空気が導入されることによって除湿される。なお、通気口は機械室12内の圧縮機21や凝縮器22等の温度が高くなる機械部品に向けて開口させてもよく、調湿空気生成室40内に乾燥した空気を供給することができるようになる。また、通気口にはフィルタを設けるのが好ましく、調湿空気生成室40内に埃等の異物が流入するのを防ぐことができる。
【0042】
調湿空気生成室40は、調湿管32を介して貯蔵室12内に配設した調湿中空糸膜31に接続されている。調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部及び他方の端部は調湿管32を介して調湿空気生成室40に接続されており、調湿空気生成室40と調湿中空糸膜31の一方の端部とを接続する調湿管32には空気を循環させるポンプ43が配設されている。ポンプ43を作動させると、調湿空気生成室40内にて湿度が調節された空気が調湿中空糸膜31に送出された後で再び調湿空気生成室40内に戻り、貯蔵室12内は水蒸気が調湿中空糸膜31の内外を透過することで調湿される。
【0043】
調湿空気生成室40内を加湿器41により加湿した状態でポンプ43を作動させると、調湿空気生成室40内にて加湿された空気が貯蔵室12内の調湿中空糸膜31を通過して調湿空気生成室40内に戻る。調湿中空糸膜31を通過する加湿された空気に含まれる水蒸気は外側に透過し、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿される。調湿空気生成室40内を除湿器42により除湿した状態でポンプ43を作動させると、調湿空気生成室40内にて除湿された空気が貯蔵室12内の調湿中空糸膜31を通過して再び調湿空気生成室40内に戻る。貯蔵室12内の空気中に含まれる水蒸気は調湿中空糸膜31の内側に透過されて乾燥した空気に含まれるようになり、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過された乾燥した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過されることで除湿される。
【0044】
この貯蔵庫10の第2実施形態においても、貯蔵庫10の第1実施形態と同様に、制御装置100は、温度センサ16の検出温度に基づき貯蔵室12内が設定温度となるように冷却装置20の作動を制御し、湿度センサ17の検出湿度に基づき貯蔵室12内が設定湿度となるように湿度調節装置30の作動を制御している。
【0045】
貯蔵室12内の湿度制御において、貯蔵室12内が設定湿度よりも低くて加湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い加湿下限湿度(この実施形態では60%)以下であるときに、給水弁41bを一定時間開放させるとともにポンプ43を一定時間作動させる。調湿空気生成室40内はスプレイノズル41cから噴霧される水によって加湿され、調湿空気生成室40内にて水蒸気を含む加湿された空気が貯蔵室12内の調湿中空糸膜31を通過して再び調湿空気生成室40内に戻り、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31を通過する空気に含まれる水蒸気が調湿中空糸膜31の外側に透過することで加湿される。なお、給水弁41bの開放時間は、調湿空気生成室40の湿度が貯蔵室12内を加湿するのに十分な湿度の一例として90%となるのに要する給水時間であったり、貯蔵室12内の設定湿度より少し高くした湿度として設定湿度に10%加算した湿度となるのに要する給水時間とする。
【0046】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内に水蒸気を含んだ加湿した空気を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い加湿上限湿度(この実施形態では70%)以上となっていなければ、再び給水弁41bを一定時間開放させるとともにポンプ43を一定時間作動させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31に水蒸気を含んだ加湿した空気を供給することで、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気により加湿するように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となると、制御装置100は、給水弁41bを閉止させるとともにポンプ43を停止させた状態で調湿中空糸膜31に水蒸気を含んだ空気を供給しないように制御する。
【0047】
調湿中空糸膜31に水蒸気を含んだ加湿した空気を供給しないようにすると、貯蔵室12内の湿度は徐々に低下する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が加湿下限湿度以下となると、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となるまで、給水弁41bを一定時間開放させるとともにポンプ43を一定時間作動させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿するように制御する。このように、湿度センサ17の検出湿度に基づいて給水弁41bを一定時間開放させるとともにポンプ43を一定時間作動させることで、貯蔵室12は調湿中空糸膜31に供給される水蒸気が外側に透過されることによって加湿制御される。
【0048】
また、貯蔵室12内が設定湿度よりも高くて除湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い除湿上限湿度(この実施形態では70%)以上であるときに、シャッター42bを開放させた状態で排気ファン42aを一定時間作動させるともにポンプ43を一定時間作動させるように制御する。調湿空気生成室40内は排気ファン42aによって除湿され、調湿空気生成室40内にて除湿された乾燥した空気が貯蔵室12内の調湿中空糸膜31内を通過して再び調湿空気生成室40内に戻ると、貯蔵室12内の水蒸気は調湿中空糸膜31の内側に透過され、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過された乾燥した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過されることで除湿される。
【0049】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内に乾燥した空気を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い除湿下限湿度(この実施形態では60%)以下となっていなければ、再びシャッター42bを開放させた状態で排気ファン42aを一定時間作動させるともにポンプ43を一定時間作動させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31に乾燥した空気を供給することで、調湿中空糸膜31の内側に水蒸気を透過させることにより貯蔵室12内を除湿するように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が除湿下限湿度以下となると、制御装置100は、シャッター42bを閉止させた状態で排気ファン42aを作動停止させるとともにポンプ43を作動停止させるようにして調湿中空糸膜31内に乾燥した空気の供給を停止するように制御する。
【0050】
調湿中空糸膜31に乾燥した空気の供給を停止すると、貯蔵室12内の湿度は徐々に上昇する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が除湿上限湿度以上となると、湿度センサ17の検出湿度が除湿下限湿度以下となるまで、シャッター42bを開放させた状態で排気ファン42aを一定時間作動させるともにポンプ43を一定時間作動させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31の内側に水蒸気を透過させることによって除湿するように制御する。このように、湿度センサ17の検出湿度に基づいてシャッター42bを開放させた状態で排気ファン42aを作動させるともにポンプ43を作動させることで、貯蔵室12は調湿中空糸膜31内に水蒸気が透過されることによって除湿制御される。
【0051】
この貯蔵庫10の第2実施形態においては、湿度調節装置30は、調湿中空糸膜31が貯蔵室12内に配置されたものであって、調湿中空糸膜31には加湿または除湿することで湿度を調節した空気が生成される調湿空気生成室40が接続されている。貯蔵室12内を加湿するときには、調湿空気生成室40内で加湿された空気が調湿中空糸膜31内に送出されることで、加湿された空気に含まれる水蒸気が調湿中空糸膜31内から外側に透過され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿されるようになる。また、貯蔵室12内を除湿するときには、調湿空気生成室40内で除湿された空気が調湿中空糸膜31内に送出されることで、貯蔵室12内の空気に含まれる水蒸気は調湿中空糸膜31の内側に透過され、貯蔵室12は水蒸気が調湿中空糸膜31内に透過することで除湿されるようになる。この貯蔵庫10の第2実施形態においても、貯蔵庫10の第1実施形態と同様に、貯蔵室12内は、調湿中空糸膜31の内外で移動する水蒸気によって湿度が調節されるようになり、貯蔵室12内を簡易な構造によって貯蔵物の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、貯蔵室12内に水を霧状に噴霧することで貯蔵室12内を加湿するものでないので、貯蔵室12内に霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らないようになる。
【0052】
この貯蔵庫10においては、貯蔵室12内を加湿する必要があって除湿する必要がない環境下では、調湿空気生成室40内に加湿器41のみを設けて調湿中空糸膜31に加湿した空気を供給するようにしてもよいし、貯蔵室12内を除湿する必要があって加湿する必要がない環境下では、調湿空気生成室40内に除湿器42のみを設けて調湿中空糸膜31に除湿した空気を供給するようにしてもよい。
【0053】
(貯蔵庫の第3実施形態)
上述した貯蔵庫10の第1及び第2実施形態は、貯蔵室12内に配置された調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることによって貯蔵室12内を調湿するものである。次に説明する貯蔵庫10の第3実施形態は、貯蔵室12の上側(外側)に設けた浸漬槽44内にて水中に浸漬した調湿中空糸膜31内の空気に水蒸気を含ませるようにし、調湿中空糸膜31内の水蒸気を含んだ空気を貯蔵室12内に送出することによって貯蔵室12内を加湿するようにしたものである。貯蔵庫10の第3実施形態は湿度調節装置30の一部以外は第1実施形態と同様の構成であり、貯蔵庫10の第3実施形態を貯蔵庫10の第1実施形態と異なる点を中心に以下に説明する。
【0054】
図5に示した湿度調節装置30は、調湿中空糸膜31内の空気に水蒸気を透過させるための水を貯えるための浸漬槽44を機械室15内に備えている。浸漬槽44は、給水源から導出された給水管44aと、給水管44aに介装された給水弁44bと、浸漬槽44内の水位を検出する水位センサ44cとを備えている。給水弁44bは水位センサ44cの検出水位に基づいて開閉制御されており、浸漬槽44には調湿中空糸膜31を浸漬させるのに十分な水が貯えられている。
【0055】
浸漬槽44内には調湿中空糸膜31が水中に浸漬した状態で配設され、調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部の流入口には流入側送出管45が接続されており、流入側送出管45は貯蔵室12から浸漬槽44まで延出している。調湿中空糸膜31の長手方向の他方の端部の流出口には流出側送出管46が接続されており、流出側送出管46は浸漬槽44から貯蔵室12内まで延出している。流出側送出管46は貯蔵室12内の下部まで延出し、流出側送出管46の先端送出口46aは貯蔵室12の下部で開口している。流出側送出管46の下部から上部の間の中間部には複数の分岐管により分岐して開口する複数の中間送出口46bが設けられている。
【0056】
流入側送出管45にはポンプ47が介装されており、貯蔵室12内の空気はポンプ47の作動によって浸漬槽44内の調湿中空糸膜31を通過してから再び貯蔵室12内に送出され調湿中空糸膜31との間を循環する。このとき、貯蔵室12内の空気は、浸漬槽44内の調湿中空糸膜31内を通過するときに、浸漬槽44内の水が水蒸気として調湿中空糸膜31の内側に透過され、調湿中空糸膜31内には水蒸気を含む湿潤な空気が生成される。浸漬槽44内にて調湿中空糸膜31内の水蒸気を含むようになった湿潤な空気は流出側送出管46を通って先端送出口46a及び中間送出口46bから貯蔵室12内に送出され、貯蔵室12内は水蒸気を含んだ空気が送出されることで加湿される。
【0057】
この貯蔵庫10の第3実施形態においても、貯蔵庫10の第1実施形態と同様に、制御装置100は、温度センサ16の検出温度に基づき貯蔵室12内が設定温度となるように冷却装置20の作動を制御し、湿度センサ17の検出湿度に基づき貯蔵室12内が設定湿度となるように湿度調節装置30の作動を制御している。また、浸漬槽44内の水は、調湿中空糸膜31が水中に浸漬した状態となるように、水位センサ44cの検出水位に基づいて給水弁44bの開閉が制御されている。
【0058】
貯蔵室12内の湿度制御において、貯蔵室12内が設定湿度よりも低くて加湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い加湿下限湿度(この実施形態では60%)以下となると、ポンプ47を一定時間作動させる。貯蔵室12内の空気は流入側送出管45を通って調湿中空糸膜31内に送出され、調湿中空糸膜31内に送出された空気には浸漬槽44内の水が水蒸気として透過されて水蒸気が含まれるようになる。浸漬槽44内にて調湿中空糸膜31内の水蒸気が含まれるようになった空気は流出側送出管46を通って先端送出口46a及び中間送出口46bから貯蔵室12内に送出され、貯蔵室12内には水蒸気を含んだ空気が送出されることで加湿される。
【0059】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内の水蒸気を含む空気を流出側送出管46を通して貯蔵室12内に送出後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い加湿上限湿度(この実施形態では70%)以上となっていなければ、再びポンプ47を一定時間作動させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31から水蒸気が含む空気を流出側送出管46を通して貯蔵室12内に送出することで、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31の水蒸気を含んだ空気により加湿するように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となると、制御装置100は、ポンプ47を停止させた状態で調湿中空糸膜31から貯蔵室12内に水蒸気を含んだ空気を送出しないように制御する。
【0060】
調湿中空糸膜31から貯蔵室12内に水蒸気を含んだ空気を送出しないようにすると、貯蔵室12内の湿度は徐々に低下する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が加湿下限湿度以下となると、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となるまで、ポンプ47を一定時間作動させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31から流出側送出管46を通して送出される水蒸気を含んだ空気によって加湿するように制御する。このように、貯蔵室12は、湿度センサ17の検出湿度に基づいてポンプ47を一定時間作動させることで、調湿中空糸膜31から流出側送出管46を通して貯蔵室12に水蒸気が含まれる空気が送出されることによって加湿制御される。
【0061】
この貯蔵庫10の第3実施形態においては、湿度調節装置30は、所定量の水を貯えて調湿中空糸膜31が水中に浸漬される浸漬槽44と、浸漬槽44内にて調湿中空糸膜31内の水蒸気を含んだ空気を貯蔵室12内に送出する送出手段として流入側送出管45、流出側送出管46及びポンプ47を備えている。貯蔵室12内の空気はポンプ47の作動によって流入側送出管45を通って浸漬槽44内の調湿中空糸膜31内に送出され、調湿中空糸膜31内の空気には浸漬槽44内の水から透過した水蒸気が含まれるようになり、調湿中空糸膜31内の水蒸気を含んだ空気が流出側送出管46を通って貯蔵室12内に送出されるので、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31内の水蒸気を含んだ空気によって加湿されるようになる。
【0062】
また、調湿中空糸膜31内の水蒸気を含んだ空気は、貯蔵室12の下部に配置される先端送出口46a及び下部から上部の間の中間部に配置される中間送出口46bから送出されるので、貯蔵室12内にて上下方向の位置で湿度の違いを生じにくくさせることができる。この貯蔵庫10の第3実施形態においても、貯蔵庫10の第1実施形態と同様に、貯蔵室12内は、調湿中空糸膜31の内外で移動する水蒸気によって湿度が調節されるようになり、貯蔵室12内を簡易な構造によって貯蔵物の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、貯蔵室12内に水を霧状に噴霧することで貯蔵室12内を加湿するものでないので、貯蔵室12内に霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らないようになる。
【0063】
(貯蔵庫の第4実施形態)
上述した貯蔵庫10の第3実施形態は、貯蔵室12の上側(外側)の機械室15に設けた浸漬槽44内にて水中に浸漬した調湿中空糸膜31内の空気に水蒸気を含ませるようにし、調湿中空糸膜31内の水蒸気を含ませた空気を貯蔵室12内に送出することによって貯蔵室12内を加湿するようにしたものである。次に説明する貯蔵庫10の第4実施形態は、貯蔵室12の上側(外側)の機械室15に設けた乾燥室48内にて乾燥した空気中に配置した調湿中空糸膜31内から水蒸気を透過させるようにし、調湿中空糸膜31内から外側に水蒸気を透過させて生成した乾燥した空気を貯蔵室12内に送出することによって貯蔵室12内を除湿するようにしたものである。貯蔵庫10の第4実施形態は湿度調節装置30の一部以外は第1実施形態と同様の構成であり、貯蔵庫10の第4実施形態を貯蔵庫10の第1実施形態と異なる点を中心に以下に説明する。
【0064】
図6に示した湿度調節装置30は、調湿中空糸膜31内の空気に含まれる水蒸気を外側に透過させるための乾燥した空気を満たした乾燥室48を機械室15に備えている。乾燥室48は、一方の側壁に設けた排気ファン48aと、排気ファン48aを設けた一方の側壁に対向する他方の側壁に設けた通気口を開閉するシャッター48bとを備えている。シャッター48bを開放させた状態で排気ファン48aを作動させると、通気口から乾燥室48内に乾燥した外気が導入されるとともに、乾燥室48内の空気が排気ファン48aから外側に排出され、乾燥室48内には外側の乾燥した空気が満たされる。
【0065】
乾燥室48内には調湿中空糸膜31が配設されている。調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部の流入口には流入側送出管45が接続されており、流入側送出管45は貯蔵室12から乾燥室48内まで延出している。調湿中空糸膜31の長手方向の他方の端部の流出口には流出側送出管46が接続されており、流出側送出管46は乾燥室48から貯蔵室12内まで延出している。流出側送出管46は貯蔵室12内の下部まで延出し、流出側送出管46の先端送出口46aは貯蔵室12の下部で開口し、流出側送出管46の下部から上部の間の中間部には複数の分岐管が分岐して開口する複数の中間送出口46bが設けられている。
【0066】
流入側送出管45にはポンプ47が介装されており、貯蔵室12内の空気はポンプ47の作動によって乾燥室48内の調湿中空糸膜31を通過してから再び貯蔵室12内に送出され調湿中空糸膜31との間を循環する。このとき、貯蔵室12内の空気は乾燥室48内の調湿中空糸膜31内を通過するときに、調湿中空糸膜31内の空気に含まれる水蒸気が乾燥室48内の乾燥した空気と同じ湿度となるように外側に透過し、調湿中空糸膜31内に乾燥した空気が生成される。乾燥室48内にて調湿中空糸膜31内に生成された乾燥した空気は流出側送出管46を通って先端送出口46a及び中間送出口46bから貯蔵室12内に送出され、貯蔵室12内には乾燥した空気が送出されることで除湿される。
【0067】
この貯蔵庫10の第4実施形態においても、貯蔵庫10の第1実施形態と同様に、制御装置100は、温度センサ16の検出温度に基づき貯蔵室12内が設定温度となるように冷却装置20の作動を制御し、湿度センサ17の検出湿度に基づき貯蔵室12内が設定湿度となるように湿度調節装置30の作動を制御している。
【0068】
貯蔵室12内の湿度制御において、貯蔵室12内が設定湿度よりも高くて除湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い除湿上限湿度(この実施形態では70%)以上となると、シャッター48bを開放させた状態で排気ファン48aを作動させるとともにポンプ47を一定時間作動させる。貯蔵室12内の空気は流入側送出管45を通って調湿中空糸膜31内に送出され、調湿中空糸膜31内に送出された空気に含まれている水蒸気は乾燥室48内で外側に透過されて、調湿中空糸膜31内には乾燥した空気が生成される。乾燥室48内にて調湿中空糸膜31内に生成された乾燥した空気は流出側送出管46を通って先端送出口46a及び中間送出口46bから貯蔵室12内に送出され、貯蔵室12内には乾燥した空気が送出されることで除湿される。
【0069】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内の乾燥した空気を流出側送出管46を通して送出後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い除湿下限湿度(この実施形態では60%)以下となっていなければ、再びシャッター48bを開放させた状態で排気ファン48aを作動させるとともにポンプ47を一定時間作動させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31から乾燥した空気を流出側送出管46を通して貯蔵室12内に送出することで、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31から乾燥した空気により除湿するように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が除湿下限湿度以下となると、制御装置100は、シャッター48bを閉塞させた状態で排気ファン48aを停止させるとともにポンプ47を停止させた状態として調湿中空糸膜31から貯蔵室12内に乾燥した空気を送出しないように制御する。
【0070】
調湿中空糸膜31から貯蔵室12内に乾燥した空気を送出しないようにすると、貯蔵室12内の湿度は徐々に上昇する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が除湿上限湿度以上となると、湿度センサ17の検出湿度が除湿下限湿度以下となるまで、シャッター48bを開放させた状態で排気ファン48aを作動させるとともにポンプ47を一定時間作動させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、貯蔵室12内を調湿中空糸膜31から流出側送出管46を通して送出される乾燥した空気によって除湿するように制御する。このように、貯蔵室12は、湿度センサ17の検出湿度に基づいてシャッター48bを開放させた状態で排気ファン48aを作動させるとともにポンプ47を一定時間作動させることで、貯蔵室12は調湿中空糸膜31から乾燥した空気が送出されることによって除湿制御される。
【0071】
この貯蔵庫10の第4実施形態においては、湿度調節装置30は、乾燥した空気中に調湿中空糸膜31が配置される乾燥室48と、乾燥室48内にて調湿中空糸膜31内から水蒸気を外側に透過させた空気を貯蔵室12に送出する送出手段として流出側送出管46、流入側送出管45及びポンプ47を備えている。貯蔵室12内の空気はポンプ47の作動によって流入側送出管45を通って乾燥室48内の調湿中空糸膜31内に送出され、調湿中空糸膜31内の空気に含まれる水蒸気が乾燥室48内の乾燥した空気と同じ湿度となるように外側に透過し、調湿中空糸膜31内に乾燥した空気が生成される。調湿中空糸膜31内に生成された乾燥した空気が流出側送出管46を通って貯蔵室12内に送出されるので、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31内の乾燥した空気によって除湿されるようになる。
【0072】
また、調湿中空糸膜31内で生成された乾燥した空気は、貯蔵室12の下部に配置される先端送出口46a及び下部から上部の間の中間部に配置される中間送出口46bから送出されるので、貯蔵室12内にて上下方向の位置で湿度の違いを生じにくくさせることができる。この貯蔵庫10の第4実施形態においても、貯蔵庫10の第1実施形態と同様に、貯蔵室12内は、調湿中空糸膜31の内外で移動する水蒸気によって湿度が調節されるようになり、貯蔵室12内を簡易な構造によって貯蔵物の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、貯蔵室12内に水を霧状に噴霧することで貯蔵室12内を加湿するものでないので、貯蔵室12内に霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らないようになる。
【0073】
貯蔵庫10の各実施形態においては、貯蔵室12の前面の開口部を開閉する扉の開閉を検知する扉開閉検知器を設け、扉開閉検知器により扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに湿度調節装置30にて貯蔵室12内を調湿するように制御してもよい。扉を開放したときに、貯蔵室12内の湿度が変動しやすいが、扉開閉検知器により扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに湿度調節装置30により貯蔵室12内を調湿するように制御することで、貯蔵室12内を素早く適切な湿度に調節することができる。
【0074】
(恒温高湿庫の実施形態)
特開2020-115066号公報に記載されているこの種の恒温高湿庫は、ハウジング内に配設された貯蔵室と、ハウジングと貯蔵室との間に形成されて冷気の通路となる冷却ダクトとを備えており、貯蔵室内は冷却ダクトを通過する冷気によって間接的に冷却されるものである。恒温高湿庫は、貯蔵室に冷気が直接供給されるものでないので、貯蔵室内の食品は冷風が当たることによる乾燥が生じにくくなっている。しかし、この恒温高湿庫においては、食品を搬入出する扉の開放時に、貯蔵室内の湿気を含む湿潤冷気が開口部から外側に流出し、貯蔵室内の湿度は扉の開閉を繰り返すことによって低下しやすい。
【0075】
上記の課題を解決するために、図7に示した恒温高湿庫10は、ハウジング11内に配設された貯蔵室12と、ハウジング11と貯蔵室12との間に形成されて冷気の通路となる冷却ダクト18とを備えている。ハウジング11の内周面には断熱材が設けられており、冷却ダクト18は断熱材によって外側の温度の影響を受けにくくなっている。冷却ダクト18の側部には温度を調節するための温度調節室13が形成されており、温度調節室13内には温度調節器として冷却装置20の蒸発器25が設けられている。冷却ダクト18と温度調節室13との間には循環ファン14が設けられており、冷却ダクト18内の空気は循環ファン14の作動によって温度調節室13との間を循環する。
【0076】
冷却装置20は、温度調節室13内を冷却することにより、冷却ダクト18内を冷却するものである。冷却装置20は、周知の冷凍回路を用いたものであり、冷媒を圧縮する圧縮機21と、圧縮した冷媒ガスを冷却する凝縮器22と、液化冷媒に含まれる水分を除去するドライヤ23と、液化冷媒を膨張させるキャピラリチューブ(膨張手段)24と、膨張させた液化冷媒を気化させて収納室12内を冷却する蒸発器25とを備えている。蒸発器25は温度調節室13内に配置され、他の部品は温度調節室13の外側に配置されている。循環ファン14とともに冷却装置20を作動させると、冷却ダクト18内の空気が温度調節室13内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は蒸発器25で冷媒が気化することによって冷却され、冷却された空気は再び冷却ダクト18内に送出され、冷却ダクト18内は温度調節室13内にて冷却された空気が温度調節室13との間を循環することによって冷却される。
【0077】
恒温高湿庫10は貯蔵室12内の湿度を調節する湿度調節装置30を備えており、湿度調節装置30は貯蔵室12内に調湿中空糸膜31を備えている。調湿中空糸膜31は、貯蔵室12内の後壁前面に上下に蛇行するように配設されている。調湿中空糸膜31の貯蔵室12の上部に配置される長手方向の一方の端部の流入口には調湿管32が接続されている。調湿中空糸膜31の貯蔵室12の底部に配置される長手方向の他方の端部には逆止弁33が接続されている。逆止弁33は、調湿中空糸膜31に給水圧が加えられたときに開放され、調湿中空糸膜31に給水圧が加えられなくなると閉止するように設定されている。
【0078】
調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部に接続された調湿管32は貯蔵室12の上側の機械室15内に延出しており、調湿管32には機械室15内で三方弁よりなる切替弁34が接続されている。切替弁34は、機械室15内で水道等の給水源に給水管35を介して接続され、外気等の乾燥した空気の給気源に給気管37を介して接続されている。給水管35には給水弁36が介装されており、給水源の水は給水弁36を開放することによって給水管35から調湿中空糸膜31に給水可能となる。給気管37には給気ポンプ38が介装されており、機械室15内またはハウジング11の外側の乾燥した空気(給気源)は給気ポンプ38の作動によって給気管37から調湿中空糸膜31に給気可能となる。なお、恒温高湿庫10を湿度の高い場所に設置したときには、給気管37に乾燥した空気を圧入した給気ボンベ(給気源)を接続するとともに、給気管37に給気弁を介装するようにし、給気弁を開放することによって給気ボンベの乾燥した空気を調湿中空糸膜31に供給可能としてもよい。なお、給気管37の給気口を冷却ダクト18内に配置し、冷却運転時に蒸発器25にて除湿された空気をポンプ38の作動によって調湿中空糸膜31に供給可能としてもよい。このようにしたときには、冷却ダクト18内にて冷却された空気を貯蔵室12内の調湿中空糸膜31に供給することができ、ハウジング11の外側の温度の高い外気を調湿中空糸膜31に供給しないようにして、貯蔵室12内が外気の影響を受けるのを抑制することができるようにすることができる。
【0079】
給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作するとともに給水弁36を開放させると、給水源の水が調湿中空糸膜31内に供給される。調湿中空糸膜31内に供給された水は水蒸気として外側に透過し、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿される。給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作するとともに給気ポンプ38を作動させると、乾燥した空気が調湿中空糸膜31内に供給される。貯蔵室12内の空気中に含まれる水蒸気は調湿中空糸膜31の内側に透過されて乾燥した空気に含まれるようになり、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過された乾燥した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の内側に水蒸気が透過されることで除湿される。
【0080】
貯蔵室12の前面には開口部(図示省略)が形成されており、貯蔵室12の前部には開口部を開閉する扉(図示省略)が開閉自在に設けられている。ハウジング11の前部には扉を開閉を検知する扉開閉検知器19が設けられており、扉開閉検知器19は扉が開放されたこと及び閉塞されたことを検知可能である。貯蔵室12内には温度センサ16が設けられており、温度センサ16は貯蔵室12内の温度を検出し、冷却装置20は温度センサ16の検出温度に基づいて作動が制御される。
【0081】
図8に示したように、恒温高湿庫10は、制御装置100を備えており、制御装置100は、温度センサ16、扉開閉検知器19、冷却装置20及び湿度調節装置30とに接続されている。制御装置100は、温度センサ16の検出温度に基づき貯蔵室12が設定温度となるように冷却装置20の作動を制御し、扉開閉検知器19により扉の開放を検知したことに基づき湿度調節装置30により加湿するように制御している。
【0082】
恒温高湿庫10の貯蔵室12内の湿度制御において、扉開閉検知器19により扉の開放を検知または開放後の扉の閉塞を検知すると、制御装置100は、給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給水弁36を一定時間(調湿中空糸膜31に水が満たされる時間)開放させるように制御する。給水源の水は調湿中空糸膜31に供給されると、調湿中空糸膜31内の水は水蒸気となって外側に透過され、貯蔵室12内には調湿中空糸膜31の外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿される。調湿中空糸膜31に水を供給後に所定時間経過すると、制御装置100は、給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給気ポンプ38を一定時間(調湿中空糸膜31に空気が満たされる時間)作動させるように制御する。調湿中空糸膜31内は水が排出されて空気が満たされるようになり、貯蔵室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過する水蒸気によって加湿されないようになり、貯蔵室12内が過剰に加湿されないようにする。
【0083】
上記のように構成した恒温高湿庫(収納庫)10は、野菜等の食材よりなる貯蔵物(収納物)を収納する貯蔵室(収納室)12と、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜31を有し、この調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることで貯蔵室12内の湿度を調節する湿度調節装置30とを備えている。この貯蔵庫10においては、扉の開閉を検知する扉開閉検知器19を備え、扉開閉検知器19により扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに湿度調節装置30にて貯蔵室12内を加湿(調湿)するように制御している。恒温高湿庫(収納庫)10においては、扉を開放したときに、貯蔵室12内の湿度が低下(変動)しやすいが、扉開閉検知器19により扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに湿度調節装置30の調湿中空糸膜31に水を供給するようにして、貯蔵室12内を加湿(調湿)するように制御している。これにより、貯蔵室12内の湿度は扉を開放させた後でも変動を小さくすることができる。また、貯蔵室12内の湿度が低下する扉の開放時に湿度調節装置30の調湿中空糸膜31に水を供給するようにして、貯蔵室12内を加湿するように制御しているので、貯蔵室12内の湿度を検出する湿度センサを設ける必要がなく、恒温高湿庫10のコストが高くなるのを防ぐことができる。
【0084】
なお、この恒温高湿庫10においても、上述した貯蔵庫10の第2~第3実施形態の湿度調節装置30を適用して、貯蔵室12内を加湿するようにしてもよい。また、この恒温高湿庫10においても、上述した貯蔵庫10の第1~第3実施形態と同様に貯蔵室12内に湿度センサ17を設け、湿度センサ17の検出湿度に応じて湿度調節装置30の作動を制御するようにしてもよい。この恒温高湿庫10は、貯蔵室12内を湿度調節装置30を用いて加湿するようにしたものであるが、食品を乾燥させるための乾燥庫の貯蔵室内を湿度調節装置30を用いて除湿するようにしたものであってもよい。この乾燥庫においても、貯蔵庫10の第1、第2及び第4実施形態の湿度調節装置30を適用してもよい。また、この乾燥庫においても、恒温高湿庫10と同様に扉の開閉を検知する扉開閉検知器を設け、扉開閉検知器19により扉が開放または開放後の閉塞を検知したときに湿度調節装置30にて貯蔵室12内を除湿(調湿)するように制御してもよい。さらに、乾燥庫においても、上述した貯蔵庫10の第1、第2及び第4実施形態と同様に貯蔵室12内に湿度センサ17を設け、湿度センサ17の検出湿度に応じて湿度調節装置30の作動を制御するようにしてもよい。
【0085】
(配膳車の第1実施形態)
特開2019-134885号公報に記載されているこの種の配膳車(温冷カート)は、ハウジング内に冷えた状態で食品を収納する冷蔵室と温かい状態で食品を収納する温蔵室とを備えている。冷蔵室は上述した恒温高湿庫と同様に冷蔵室の外側に冷却ダクトを設けるようにしたものがあり、冷蔵室内の食品は冷風が送出されないので乾きにくい状態で収納される。しかし、冷蔵室の外側に冷却ダクトを設けたものでは、冷蔵室の容積が小さくなる問題があった。これに対し、冷蔵室内を上述した貯蔵庫のように冷却装置による冷風により冷却するようにしたときには、冷蔵室の容積を大きくすることができる。しかし、冷蔵室内の空気は冷却装置の蒸発器で冷却されるときに除湿されるために、冷蔵室内の食品が乾燥するおそれがある。また、温蔵室はヒータにより加温された温風によって加温されるので、温蔵室内の食品が温風によって乾燥するおそれがある。
【0086】
上記の課題を解決するために、図9に示した配膳車(収納庫)10の第1実施形態は、ハウジング11内に配設された冷蔵室(収納室)12Aと温蔵室(収納室)12Bとを備えている。冷蔵室12Aは冷えた食品を収納するものであり、食品を入れた複数の食器を載せたトレイTを上下に多段状に収納可能としている。温蔵室12Bは温かい食品を収納するものであり、食品を入れた複数の食器を載せたトレイTを上下に多段状に収納可能としている。冷蔵室12Aの上側(外側)には温度を調節するための温度調節室13Aが形成されており、温度調節室13A内には温度調節器として冷却装置20の蒸発器25が設けられている。冷蔵室12Aと温度調節室13Aとの間には循環ファン14Aが設けられており、冷蔵室12A内の空気は循環ファン14Aの作動によって温度調節室13Aとの間を循環する。循環ファン14Aとともに冷却装置20を作動させると、冷蔵室12A内の空気が温度調節室13A内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は蒸発器25によって冷却され、冷却された空気は再び冷蔵室12A内に冷風として送出され、冷蔵室12A内は温度調節室13A内にて冷却された空気が温度調節室13Aとの間を循環することによって冷却される。
【0087】
温蔵室12Bの上側(外側)には温度を調節するための温度調節室13Bが形成されており、温度調節室13B内には温度調節器としてヒータ26が設けられている。温蔵室12Bと温度調節室13Bとの間には循環ファン14Bが設けられており、温蔵室12B内の空気は循環ファン14Bの作動によって温度調節室13Bとの間を循環する。循環ファン14Bとともにヒータ26を作動させると、温蔵室12B内の空気が温度調節室13B内に吸い込まれ、吸い込まれた空気はヒータ26によって暖められ、暖められた空気は再び温蔵室12B内に温風として送出され、温蔵室12B内は温度調節室13B内にて暖められた空気が温度調節室13Bとの間を循環することによって加温される。
【0088】
配膳車10は、冷蔵室12Aと温蔵室12Bの湿度を調節する湿度調節装置30A,30Bを備えている。湿度調節装置30A,30Bは冷蔵室12Aと温蔵室12Bの各後壁前面に調湿中空糸膜31A,31Bを備えている、調湿中空糸膜31A,31Bは後壁に左右に蛇行するように配設されている。調湿中空糸膜31A、31Bは冷蔵室12Aまたは温蔵室12Bに収納されるトレイTの高さ位置に応じて左右に延出するように配設されている。調湿中空糸膜31A,31Bの冷蔵室12Aと温蔵室12Bの上部に配置される長手方向の一方の端部の流入口には調湿管32A,32Bが接続されている。調湿中空糸膜31A,31Bの冷蔵室12Aと温蔵室12Bの底部に配置される長手方向の他方の端部には逆止弁33A,33Bが接続されている。逆止弁33A,33Bは、調湿中空糸膜31A,31Bに給水圧が加えられたときに開放され、調湿中空糸膜31A,31Bに給水圧が加えられなくなると閉止するように設定されている。
【0089】
調湿管32A,32Bは冷蔵室12Aと温蔵室12Bの上側の機械室15内に延出しており、調湿管32A,32Bには水道等の給水源から導出された給水管35A,35Bが接続されている。給水管35A、35Bには給水弁36A,36Bが介装されており、給水源の水は給水弁36A,36Bを開放することによって給水管35A,35Bから調湿中空糸膜31A,31Bに供給される。給水源の水が調湿中空糸膜31A,31Bに供給されると、調湿中空糸膜31A,31Bに供給された水は水蒸気となって外側に透過され、冷蔵室12Aと温蔵室12B内は調湿中空糸膜31A,31Bの外側に透過された水蒸気によって加湿される。
【0090】
冷蔵室12Aと温蔵室12B内には温度センサ16A,16Bと湿度センサ17A,17Bが設けられている。温度センサ16Aは冷蔵室12A内の温度を検出し、冷却装置20Aは温度センサ16Aの検出温度に基づいて作動が制御される。温度センサ16Bは温蔵室12B内の温度を検出し、ヒータ26は温度センサ16Bの検出温度に基づいて作動が制御される。湿度センサ17Aは冷蔵室12A内の湿度を検出し、湿度調節装置30Aは湿度センサ17Aの検出湿度に基づいて作動が制御される。湿度センサ17Bは温蔵室12B内の湿度を検出し、湿度調節装置30Bは湿度センサ17Bの検出湿度に基づいて作動が制御される。
【0091】
図10に示したように、配膳車10は、制御装置100を備えており、制御装置100は、温度センサ16A,16B、湿度センサ17A,17B、冷却装置20、ヒータ26及び湿度調節装置30A,30Bとに接続されている。制御装置100は、温度センサ16Aの検出温度に基づき冷蔵室12Aが設定温度となるように冷却装置20の作動を制御し、湿度センサ17Aの検出湿度に基づき冷蔵室12Aが設定湿度となるように湿度調節装置30Aの作動を制御している。制御装置100は、温度センサ16Bの検出温度に基づき温蔵室12Bが設定温度となるようにヒータ26の作動を制御し、湿度センサ17Bの検出湿度に基づき温蔵室12Bが設定湿度となるように湿度調節装置30Bの作動を制御している。
【0092】
また、冷蔵室12A内の湿度制御において、制御装置100は、湿度センサ17Aの検出温度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い加湿下限湿度(この実施形態では60%)以下であるときに、給水弁36Aを一定時間開放させるように制御する。給水源の水は調湿中空糸膜31Aに供給されると、調湿中空糸膜31A内の水は水蒸気となって外側に透過され、冷蔵室12A内には調湿中空糸膜31Aの外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、冷蔵室12A内は調湿中空糸膜31Aの外側に透過した水蒸気によって加湿される。
【0093】
制御装置100は、調湿中空糸膜31A内に水を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17Aの検出温度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い加湿上限湿度(この実施形態では70%)以上となっていなければ、再び給水弁36Aを一定時間開放させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31Aに水を供給することで、冷蔵室12A内を調湿中空糸膜31Aの外側に透過した水蒸気により加湿するように制御中に、湿度センサ17Aの検出湿度が加湿上限湿度以上となると、制御装置100は、給水弁36Aを閉止させた状態で調湿中空糸膜31Aに水を供給しないように制御する。
【0094】
調湿中空糸膜31Aに水を供給しないようにすると、冷蔵室12A内の湿度は徐々に低下する。制御装置100は、湿度センサ17Aの検出湿度が加湿下限湿度以下となると、湿度センサ17Aの検出湿度が加湿上限湿度以上となるまで、給水弁36Aを一定時間開放させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、冷蔵室12A内を調湿中空糸膜31Aを透過した水蒸気によって加湿するように制御する。このように、湿度センサ17Aの検出湿度に基づいて給水弁36Aを開放させることで、冷蔵室12Aは調湿中空糸膜31Aに供給される水が水蒸気として外側に透過されることによって加湿制御される。なお、温蔵室12B内の湿度制御は、湿度センサ17Bの検出湿度に基づいて給水弁36Bを開閉制御するものであり、冷蔵室12Aの湿度制御での湿度センサ17Aの検出湿度に基づく給水弁36Aの開閉制御と同様である。
【0095】
この配膳車(収納庫)10は、調理済みの食品(収納物)を収納する冷蔵室(収納室)12Aと温蔵室(収納室)12Bと、冷蔵室(収納室)12Aと温蔵室(収納室)12B内で水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜31A,31Bを有してこの調湿中空糸膜31A,31Bの外側に水蒸気を透過させることで冷蔵室12Aまたは温蔵室12B内の湿度を加湿するように調節する湿度調節装置30A,30Bとを備えている。冷蔵室12Aと温蔵室12B内は、調湿中空糸膜31A,31Bの外側に透過される水蒸気によって加湿されるので、冷蔵室12と温蔵室12B内を簡易な構造によって食品の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、冷蔵室12Aと温蔵室12B内に水を霧状に噴霧することで冷蔵室12Aと温蔵室12B内を加湿するものでないので、冷蔵室12Aと温蔵室12B内に霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らないようになる。
【0096】
また、冷蔵室12A及び温蔵室12Bは食品を入れた食器を載せるトレイTを上下に多段状に収納可能としたものであり、冷蔵室12A及び温蔵室12Bの後壁前面に取り付けられた調湿中空糸膜31A,31Bを上下に多段状に収納されたトレイTの高さ位置に応じて配設されている。冷蔵室12A及び温蔵室12Bは上下に多段状に収納されるトレイTの高さに応じて配置された調湿中空糸膜31A,31Bの外側に透過される水蒸気により加湿されるので、上下に多段状に収納されるトレイTに載せた食品は高さ位置で湿度の違いによる影響を受けにくくすることができる。
【0097】
この配膳車10においては、上述した貯蔵庫10の第2実施形態のように、調湿空気生成室40内で加湿器41により加湿した空気を生成し、調湿中空糸膜31A,31Bに調湿空気生成室40内で生成した加湿した空気を送出するようにしてもよい。
【0098】
(配膳車の第2実施形態)
上述した配膳車10の第1実施形態は、温蔵室12B内に配設された調湿中空糸膜31Bには調湿管32Bを介して給水管35Bが接続されており、調湿中空糸膜31Bに給水源の水を供給可能としている。次に説明する配膳車10の第2実施形態は、温蔵室12B内に配設された調湿中空糸膜31Bに調湿管32Bを介して給水する給水管35Bに加熱装置35Baを設けるようにして、調湿中空糸膜31Bに加熱装置35Baによって加熱された湯を供給可能としたものである。配膳車10の第2実施形態は湿度調節装置30の一部以外は第1実施形態と同様の構成であり、配膳車10の第2実施形態を配膳車10の第1実施形態と異なる点を中心に以下に説明する。
【0099】
図11に示したように、調湿中空糸膜31Bは温蔵室12B内の後壁に左右に蛇行するように配設されている。調湿中空糸膜31Bの温蔵室12Bの上部に配置される長手方向の一方の端部の流入口には調湿管32Bが接続されている。調湿管32Bは温蔵室12Bの上側の機械室15内に延出しており、調湿管32Bには水道等の給水源から導出された給水管35Bが接続されている。給水管35Bには給水弁36Bが介装されており、給水源の水は給水弁36Bを開放することによって給水管35Bを通過可能となる。給水管35Bには給水弁36Bより下流側に水を加熱する加熱装置35Baが設けられており、給水源の水は加熱装置35Baによって加熱されて湯となって給湯源となる。
【0100】
制御装置100は、湿度センサ17Bの検出温度が設定湿度より所定湿度として例えば5%低い加湿下限湿度(この実施形態では60%)以下であるときに、給水弁36Bを一定時間開放させるように制御する。給水源の水は加熱装置35Baを通過するときに湯に加熱され、加熱された湯は調湿中空糸膜31Bに供給されると、調湿中空糸膜31B内の湯は水蒸気となって外側に透過され、温蔵室12B内には調湿中空糸膜31Bの外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、温蔵室12B内は調湿中空糸膜31Bの外側に透過した水蒸気によって加湿される。このとき、調湿管32B及び調湿中空糸膜31Bには水ではなく湯が通過するので、温蔵室12B内の温度が低下しにくくなる。これにより、温蔵室12B内を加湿するようにしても、温蔵室12B内の温度が低下しにくくなり、ヒータ26により温蔵室12B内を加温するコストが高くなるのを防ぐことができる。なお、この配膳車10の第2実施形態においても、上述した配膳車の第1実施形態のと同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態では、給水管35Bに加熱装置35Baを設けることで給水源の水を給湯源としているが、これに限られるものでなく、外部の給湯源の湯を給水管35Bにより供給可能としてもよい。
【0101】
(配膳車の第3実施形態)
上述した配膳車10の第1実施形態は、冷蔵室12A内及び温蔵室12B内に配設された調湿中空糸膜31A,31Bに調湿管32A,32Bを介して給水管35A,35Bを接続するようにし、調湿中空糸膜31A,31Bに給水源の水を供給可能としたものである。次に説明する配膳車10の第3実施形態は、浸漬槽44内に調湿中空糸膜31A、31Bを浸漬し、調湿中空糸膜31A,31B内に水蒸気を透過させることで生成した水蒸気を含む湿潤な空気を冷蔵室12A及び温蔵室12Bに送出するようにしたものである。配膳車10の第3実施形態は湿度調節装置30の一部以外は第1実施形態と同様の構成であり、配膳車10の第3実施形態を配膳車10の第1実施形態と異なる点を中心に以下に説明する。
【0102】
図12に示したように、湿度調節装置30A,30Bは調湿中空糸膜31A,31B内の空気に水蒸気を透過させるための水を貯えるための浸漬槽44を機械室15内に備えている。浸漬槽44は、給水源から導出された給水管44aと、給水管44aに介装された給水弁44bと、浸漬槽44内の水位を検出する水位センサ44cとを備えている。給水弁44bは水位センサ44cの検出水位に基づいて開閉制御されており、浸漬槽44には調湿中空糸膜31を浸漬させるのに十分な水が貯えられている。
【0103】
浸漬槽44内には調湿中空糸膜31A,31Bが水中に浸漬した状態で配設され、浸漬槽44内の調湿中空糸膜31A,31Bの長手方向の一方の端部の流入口には流入側送出管45A,45Bが接続されており、流入側送出管45A,45Bは冷蔵室12A内及び温蔵室12B内から浸漬槽44まで延出している。浸漬槽44内の調湿中空糸膜31A,31Bの長手方向の他方の端部の流出口には流出側送出管46A,46Bが接続されており、流出側送出管46A,46Bは浸漬槽44から冷蔵室12A内及び温蔵室12B内まで延出している。流出側送出管46A,46Bは冷蔵室12Aと温蔵室12B内の下部まで延出し、流出側送出管46A,46Bの先端送出口46Aa,46Baは冷蔵室12A内及び温蔵室12B内の下部で開口している。流出側送出管46A,46Bの下部から上部の間の中間部には複数の分岐管により分岐して開口する複数の中間送出口46Ab,46Bbが設けられている。中間送出口46Ab,46Bbは冷蔵室12A内及び温蔵室12B内にて上下に多段状に収納されるトレイTの高さ位置に応じた位置に配置されている。
【0104】
流入側送出管45A,45Bにはポンプ47A,47Bが介装されており、冷蔵室12A内及び温蔵室12B内の空気はポンプ47A,47Bの作動によって浸漬槽44内の調湿中空糸膜31A,31Bを通過してから再び冷蔵室12A内及び温蔵室12B内に送出され調湿中空糸膜31A,31Bとの間を循環する。このとき、冷蔵室12A内及び温蔵室12B内の空気は浸漬槽44内の調湿中空糸膜31A,31B内を通過するときに、浸漬槽44内の水が水蒸気として調湿中空糸膜31A,31B内に透過され、調湿中空糸膜31A,31B内の空気には水蒸気が含まれるようになる。浸漬槽44内にて調湿中空糸膜31A,31B内の水蒸気が含まれる空気は流出側送出管46A,46Bを通って先端送出口46Aa,46Ba及び中間送出口46Ab,46Bbから冷蔵室12A内及び温蔵室12B内に送出され、冷蔵室12A内及び温蔵室12B内には水蒸気を含んだ空気が送出されることで加湿される。
【0105】
配膳車10の第3実施形態においては、先端送出口46Aa,46Ba及び中間送出口46Ab,46Bbは冷蔵室12A内及び温蔵室12B内にて上下に多段状に収納されるトレイTの高さ位置に応じて配置されている。冷蔵室12A及び温蔵室12Bは上下に多段状に収納されるトレイTの高さに応じて配置された先端送出口46Aa,46Ba及び中間送出口46Ab,46Bbから送出される空気に含まれる水蒸気によって加湿されるので、上下に多段状に収納されるトレイTに載せた食品は高さ位置で湿度の違いによる影響を受けにくくすることができる。なお、この配膳車10の第3実施形態においても、上述した配膳車の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0106】
(配膳車の第4実施形態)
上述した配膳車10の第2実施形態は、温蔵室12B内に配設された調湿中空糸膜31Bに調湿管32Bを介して接続された給水管35Bに加熱装置35Baを設けるようにし、温蔵室12B内に配設された調湿中空糸膜31Bに湯を供給可能として、調湿中空糸膜31Bを通過する湯によって温蔵室12B内の温度を低下させないようにしたものである。また、上述した配膳車10の第3実施形態は、浸漬槽44内に調湿中空糸膜31A、31Bを浸漬し、調湿中空糸膜31A,31B内に水蒸気を透過させることで生成した湿潤された空気を冷蔵室12A及び温蔵室12Bに送出するようにしたものである。次に説明する配膳車10の第4実施形態は、湯を貯える浸漬槽44Bを備え、調湿中空糸膜31Bを浸漬槽44B内の湯中に浸漬させるようにし、調湿中空糸膜31B内に水蒸気を透過させることで生成した温かい湿潤された空気を温蔵室12Bに送出するようにしたものである。配膳車10の第4実施形態は湿度調節装置30の一部以外は第1実施形態と同様の構成であり、配膳車10の第4実施形態を配膳車10の第1実施形態と異なる点を中心に以下に説明する。
【0107】
図13に示したように、湿度調節装置30Aは、調湿中空糸膜31A内の空気に水蒸気を透過させるための水を貯えるための浸漬槽44Aを機械室15内に備えている。浸漬槽44Aは、給水源から導出された給水管44Aaと、給水管44Aaに介装された給水弁44Abと、浸漬槽44A内の水位を検出する水位センサ44Acとを備えている。給水弁44Abは水位センサ44Acの検出水位に基づいて開閉制御されており、浸漬槽44Aには調湿中空糸膜31Aを浸漬させるのに十分な水が貯えられている。
【0108】
浸漬槽44A内には調湿中空糸膜31Aが水中に浸漬した状態で配設され、調湿中空糸膜31Aの長手方向の一方の端部の流入口には流入側送出管45Aが接続されており、流入側送出管45Aは冷蔵室12Aから浸漬槽44Aまで延出している。調湿中空糸膜31Aの長手方向の他方の端部の流出口には流出側送出管46Aが接続されており、流出側送出管46Aは浸漬槽44Aから冷蔵室12A内まで延出している。流出側送出管46Aは冷蔵室12A内の下部まで延出し、流出側送出管46Aの先端送出口46Aaは冷蔵室12Aの下部で開口している。流出側送出管46Aの下部から上部の間の中間部には複数の分岐管により分岐して開口する複数の中間送出口46Abが設けられている。
【0109】
流入側送出管45Aにはポンプ47Aが介装されており、冷蔵室12A内の空気はポンプ47Aの作動によって浸漬槽44A内の調湿中空糸膜31Aを通過してから再び冷蔵室12A内に送出され調湿中空糸膜31Aとの間を循環する。このとき、冷蔵室12A内の空気は浸漬槽44A内の調湿中空糸膜31A内を通過するときに、浸漬槽44A内の水が水蒸気として調湿中空糸膜31Aの内側に透過され、調湿中空糸膜31A内には水蒸気を含む湿潤な空気が生成される。浸漬槽44A内にて調湿中空糸膜31A内の水蒸気を含むようになった湿潤な空気は流出側送出管46Aを通って先端送出口46Aa及び中間送出口46Abから冷蔵室12A内に送出され、冷蔵室12A内は水蒸気を含んだ空気が送出されることで加湿される。
【0110】
湿度調節装置30Bは、調湿中空糸膜31B内の空気に水蒸気を透過させるための湯を貯えるための浸漬槽44Bを機械室15内に備えている。温蔵室12B内はヒータ26によって加温されるように制御されており、浸漬槽44Bは調湿中空糸膜31Bに生成される水蒸気を含む空気を温めるために湯を貯えている。浸漬槽44Bは、給水源から導出された給水管44Baと、給水管44Baに介装された給水弁44Bbと、浸漬槽44B内の水位を検出する水位センサ44Bcと、浸漬槽44B内の水を加熱して湯を生成するヒータ44Bdと、浸漬槽44B内の湯(水)の温度を検出する温度センサ44Beを備えている。給水弁44Bbは水位センサ44Bcの検出水位に基づいて開閉制御されており、浸漬槽44には調湿中空糸膜31Bを浸漬させるのに十分な水が貯えられている。ヒータ44Bdは温度センサ44Beの検出温度に基づいて作動が制御されており、浸漬槽44B内の水(湯)は温蔵室12B内の設定温度と同じ温度となるように制御されている。
【0111】
浸漬槽44B内には調湿中空糸膜31Bが湯中(水中)に浸漬した状態で配設され、調湿中空糸膜31Bの長手方向の一方の端部の流入口には流入側送出管45Bが接続されており、流入側送出管45Bは温蔵室12Bから浸漬槽44Bまで延出している。調湿中空糸膜31Bの長手方向の他方の端部の流出口には流出側送出管46Bが接続されており、流出側送出管46Bは浸漬槽44Bから温蔵室12B内まで延出している。流出側送出管46Bは温蔵室12B内の下部まで延出し、流出側送出管46Bの先端送出口46Baは温蔵室12Bの下部で開口している。流出側送出管46Bの下部から上部の間の中間部には複数の分岐管により分岐して開口する複数の中間送出口46Bbが設けられている。
【0112】
流入側送出管45Bにはポンプ47Bが介装されており、温蔵室12B内の空気はポンプ47Bの作動によって浸漬槽44B内の調湿中空糸膜31Bを通過してから再び温蔵室12B内に送出され調湿中空糸膜31Bとの間を循環する。このとき、温蔵室12B内の空気は浸漬槽44B内の調湿中空糸膜31B内を通過するときに、浸漬槽44B内の湯が水蒸気として調湿中空糸膜31内に透過され、調湿中空糸膜31B内の空気には水蒸気が含まれるようになる。浸漬槽44B内にて調湿中空糸膜31B内の水蒸気が含まれる空気は流出側送出管46Bを通って先端送出口46Ba及び中間送出口46Bbから温蔵室12B内に送出され、温蔵室12B内には水蒸気を含んだ空気が送出されることで加湿される。調湿中空糸膜31Bは浸漬槽44B内にて温蔵室12Bの設定温度と同じ温度に設定された湯中に浸漬されているので、浸漬槽44B内にて調湿中空糸膜31B内の水蒸気が含まれる空気は温蔵室12Bの設定温度と同じ温度となり、温蔵室12B内の温度は調湿中空糸膜31Bから送出される空気によって低下しにくくなる。これにより、温蔵室12B内を加湿するようにしても、温蔵室12B内の温度が低下しにくくなり、ヒータ26により温蔵室12B内を加温するコストが高くなるのを防ぐことができる。
【0113】
図14に示したように、これらの第3及び第4実施形態においては、中間送出口46Bbに形状を保持した状態で変形可能なフレキシブルチューブ等の自在曲管46Bcを取り付けるようにすることで、水蒸気を含んだ空気が送出される自在曲管46Bcの先端の送出口を位置変更可能としたものであってもよい。中間送出口46Bbに自在曲管46Bcを取り付けることで、トレイTに載せた特に乾燥を防止したい食品に向けて水蒸気を含んだ空気を送出することができるようになる。なお、温蔵室12B内の先端送出口46Ba、冷蔵室12A内の先端送出口46Aa及び中間送出口46Abにも形状を保持した状態で変形可能なフレキシブルチューブ等の自在曲管を取り付けるようにして、水蒸気を含んだ空気が送出される自在曲管の先端の送出口を位置変更可能としたものであってもよい。
【0114】
(ドウコンディショナーの第1実施形態)
特開2019-083694号公報に記載されているこの種のドウコンディショナー(温湿度調節庫)は、パン生地を焼成する前にフリーズ(冷凍)、リタード(冷蔵)、予熱及びホイロ(発酵)の各工程を順に実行するものである。ドウコンディショナーは、ハウジング内に配設された収納室と、収納室の右側部に形成されたダクト通路とを備えており、ダクト通路には収納室内を冷却する冷却装置の蒸発器と、収納室内を加熱するヒータと、収納室内を加湿するためのスプレイノズルとが設けられている。収納室内の空気はダクト通路に設けた循環用のファンの作動によってダクト通路との間を循環しており、収納室内はダクト通路内で冷却または加温された空気が循環することで温度調節され、収納室内はダクト通路内でスプレイノズルから水が噴霧された空気が循環することで湿度調節されている。
【0115】
この種のドウコンディショナーにおいては、収納室内の湿度調節をするために、スプレイノズルから水を噴霧するようにしているが、水を噴霧した後でスプレイノズルの先端部に水滴が残ると、スプレイノズルの先端部に細菌が繁殖し、この状態でスプレイノズルから水を噴霧すると、収納室内のパン生地に細菌が付着するおそれがある。
【0116】
上記の課題を解決するために、図15に示したドウコンディショナー10の第1実施形態は、ハウジング11内に配設された収納室12と、収納室12の後側部(一側部)にて収納室12の温度と湿度を調節するための温湿度調節室13とを備えている。温湿度調節室13内には温度調節器として冷却装置20の蒸発器25とヒータ26とが設けられている。温湿度調節室13内は上述した貯蔵庫10の各実施形態と同様に蒸発器25で冷媒が気化することによって冷却可能となっており、温湿度調節室13内はヒータ26を作動させることによって加温可能となっている。また、温湿度調節室13の上部と下部には収納室12に連通される通気口が形成され、温湿度調節室13内には収納室12との間で空気を循環させる循環ファン14が設けられている。
【0117】
循環ファン14を作動させると、収納室12内の空気が上部の通気口から温湿度調節室13内に吸い込まれ、温湿度調節室13内の空気は下部の通気口から収納室12内に送出され、収納室12内の空気は温湿度調節室13との間を循環する。循環ファン14とともに冷却装置20またはヒータ26を作動させると、収納室12内から温湿度調節室13内に吸い込まれた空気が冷却または加温され、冷却または加温された空気が温湿度調節室13内から収納室12内に送出され、収納室12内は冷却または加温された空気によって温度調節される。
【0118】
ドウコンディショナー10は、収納室12の湿度を調節する湿度調節装置30を備えており、湿度調節装置30は、水蒸気が透過可能な水蒸気透過性能を有する調湿中空糸膜31と、調湿中空糸膜31内に水蒸気を含む空気を生成させるための水を貯える浸漬槽44とを備えている。浸漬槽44は、給水源から導出された給水管44aと、給水管44aに介装された給水弁44bと、浸漬槽44内の水を排出するための排水管44fと、排水管44fに介装された排水弁44gとを備えている。浸漬槽44内には調湿中空糸膜31が水中に浸漬した状態で配設されている。調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部の流入口には流入側送出管45が接続されており、流入側送出管45は温湿度調節室13から浸漬槽44まで延出している。調湿中空糸膜31の長手方向の他方の端部の流出口には流出側送出管46が接続されており、流出側送出管46は浸漬槽44から温湿度調節室13内まで延出している。流入側送出管45の流入口と流出側送出管46の流出口は、温湿度調節室13内にて循環ファン14による空気の流れの蒸発器25とヒータ26の下流側に配置されている。
【0119】
流入側送出管45にはポンプ47が介装されており、温湿度調節室13内の空気はポンプ47の作動によって浸漬槽44内の調湿中空糸膜31を通過してから再び温湿度調節室13内に送出されて調湿中空糸膜31との間を循環する。このとき、温湿度調節室13内の空気は浸漬槽44内の調湿中空糸膜31内を通過するときに、浸漬槽44内の水が水蒸気として調湿中空糸膜31の内側に透過され、調湿中空糸膜31内には水蒸気を含む湿潤な空気が生成される。浸漬槽44内にて調湿中空糸膜31内の水蒸気を含むようになった湿潤な空気は流出側送出管46を通って温湿度調節室13内に送出され、温湿度調節室13内は水蒸気を含んだ空気が送出されることで加湿される。上述したように、循環ファン14を作動させると、収納室12内の空気は温湿度調節室13との間を循環しており、温湿度調節室13内の水蒸気を含む空気は収納室12内に送出され、収納室12内は水蒸気を含んだ空気が送出されることで加湿される。
【0120】
温湿度調節室13内には温度センサ16と湿度センサ17が設けられている。温度センサ16は温湿度調節室13内を介して収納室12内の温度を検出し、冷却装置20とヒータ26は温度センサ16の検出温度に基づいて作動が制御される。湿度センサ17は温湿度調節室13内の温度を介して収納室12内の湿度を検出し、湿度調節装置30は湿度センサ17の検出湿度に基づいて作動が制御される。
【0121】
図16に示したように、ドウコンディショナー10は、制御装置100を備えており、制御装置100は、温度センサ16、湿度センサ17、冷却装置20、ヒータ26及び湿度調節装置30とに接続されている。制御装置100は、温度センサ16の検出温度に基づき収納室12が設定温度となるように冷却装置20またはヒータ26の作動を制御し、湿度センサ17の検出湿度に基づき収納室12が設定湿度となるように湿度調節装置30の作動を制御している。
【0122】
このドウコンディショナー10においては、パン生地を焼成する前にフリーズ(冷凍)、リタード(冷蔵)、予熱及びホイロ(発酵)の各工程を順に実行するように制御しており、各工程を実行するときに、制御装置100は、温度センサ16の検出温度に基づき収納室12内が設定温度となるように冷却装置20またはヒータ26の作動を制御している。また、予熱とホイロ(発酵)の工程を実行するときに、制御装置100は、蒸気の温度制御に加え、湿度センサ17の検出湿度に基づき収納室12内が設定湿度となるように湿度調節装置30の作動を制御している。
【0123】
収納室12内の湿度制御において、収納室12内が設定湿度よりも低くて加湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度(この実施形態の予熱工程では75%)より所定湿度として例えば5%低い加湿下限湿度(この実施形態の予熱工程では70%)以下となると、ポンプ47を一定時間作動させる。温湿度調節室13内の空気は流入側送出管45を通って調湿中空糸膜31内に送出され、調湿中空糸膜31内に送出された空気には浸漬槽44内の水が水蒸気として透過されて水蒸気が含まれるようになる。温湿度調節室13内の空気は浸漬槽44内の調湿中空糸膜31内を通過するときに、浸漬槽44内の水が水蒸気として調湿中空糸膜31内に透過され、調湿中空糸膜31内の空気には水蒸気が含まれるようになる。浸漬槽44内にて調湿中空糸膜31内の水蒸気が含まれるようになった空気は流出側送出管46を通って温湿度調節室13内に送出され、収納室12内は温湿度調節室13内に送出された水蒸気を含んだ空気が循環することで加湿される。
【0124】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内の水蒸気を含んだ空気を温湿度調節室13内に送出後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い加湿上限湿度(この実施形態の予熱工程では80%)以上となっていなければ、再びポンプ47を一定時間作動させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31から水蒸気を含んだ空気を流出側送出管46を通して温湿度調節室13内に送出することで、収納室12内は温湿度調節室13内に送出された水蒸気を含んだ空気が循環することで加湿されるように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となると、制御装置100は、ポンプ47を停止させた状態で調湿中空糸膜31から温湿度調節室13内に水蒸気を含んだ空気を送出しないように制御する。
【0125】
調湿中空糸膜31から温湿度調節室13内に水蒸気を含んだ空気を送出しないようにすると、収納室12内の湿度は徐々に低下する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が加湿下限湿度以下となると、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となるまで、ポンプ47を一定時間開放させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、収納室12内を調湿中空糸膜31から温湿度調節室13に送出される水蒸気を含んだ空気を循環させることによって加湿するように制御する。このように、湿度センサ17の検出湿度に基づいてポンプ47を一定時間作動させることで、収納室12は調湿中空糸膜31から温湿度調節室13内に送出される水蒸気が含んだ空気が循環することによって加湿制御される。この実施形態では、調湿中空糸膜31の一方の端部に接続した流出側送出管46の送出口と、調湿中空糸膜31の他方の端部に接続した流入側送出管45の流入口を温湿度調節室13に配置しているが、これに限られるものでなく、流出側送出管46の先端送出口46aと流入側送出管45の流入口を収納室12に配置し、浸漬槽44内にて調湿中空糸膜31内の水蒸気を含む空気を収納室12に送出するようにしてもよい。
【0126】
上記のように構成したドウコンディショナー(収納庫)10は、パン生地よりなる収納物を収納する収納室12と、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜31を有し、この調湿中空糸膜31の内外で水蒸気を透過させることで収納室12内の湿度を調節する湿度調節装置30とを備えている。このドウコンディショナー10においては、収納室12内の湿度を調節する湿度調節装置30は、水蒸気が透過可能な調湿中空糸膜31を有し、この調湿中空糸膜31の内側に水蒸気を透過させることで収納室12内の湿度を調節可能としている。収納室12内は、調湿中空糸膜31の内側に透過する水蒸気によって湿度が調節されるようになり、収納室12内を簡易な構造によって収納物であるパン生地の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、収納室12内に水を霧状に噴霧することで収納室12内または温湿度調節室13内を加湿するものでないので、収納室12内及び温湿度調節室13内に霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らないようにすることができる。このドウコンディショナー10の第1実施形態では、温湿度調節室13の外側に設けた浸漬槽44の水中に調湿中空糸膜31を浸漬させ、調湿中空糸膜31の内側に生成される水蒸気を含んだ空気を温湿度調節室13内に送出するようにしているが、調湿中空糸膜31を温湿度調節室13に配設し、貯蔵庫10の第1及び第2実施形態のように、調湿中空糸膜31に水または加湿された空気を送出するようにして温湿度調節室13内を加湿するようにしてもよい。
【0127】
(ドウコンディショナーの第2実施形態)
また、上述したドウコンディショナー10の第1実施形態は、温湿度調節室13の外側に設けた浸漬槽44内にて水中に浸漬した調湿中空糸膜31内の空気に水蒸気を含ませるようにし、調湿中空糸膜31内の水蒸気を含んだ空気を温湿度調節室13内に送出することによって収納室12内を加湿するようにしたものである。次に説明するドウコンディショナー10の第2実施形態は、収納室12内に調湿中空糸膜31を配置し、調湿中空糸膜31に水を供給することによって収納室12内を加湿するようにしたものである。ドウコンディショナー10の第2実施形態は湿度調節装置30の一部以外は第1実施形態と同様の構成であり、ドウコンディショナー10の第2実施形態をドウコンディショナー10の第1実施形態と異なる点を中心に以下に説明する。
【0128】
図17に示したように、湿度調節装置30の調湿中空糸膜31は、収納室12内の後壁前面に配設されており、収納室12内の後壁に左右に蛇行するように配設されている。調湿中空糸膜31の収納室12の上部に配置される長手方向の一方の端部の流入口には調湿管32が接続されている。調湿中空糸膜31の収納室12の底部に配置される長手方向の他方の端部には逆止弁33が接続されている。逆止弁33は、調湿中空糸膜31に給水圧が加えられたときに開放され、調湿中空糸膜31に給水圧が加えられなくなると閉止するように設定されている。
【0129】
調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部に接続された調湿管32は収納室12の外側の機械室15内に延出しており、調湿管32には機械室15内で三方弁よりなる切替弁34が接続されている。切替弁34は、機械室15内で水道等の給水源に給水管35を介して接続され、外気等の乾燥した空気の給気源に給気管37を介して接続されている。給水管35には給水弁36が介装されており、給水源の水は給水弁36を開放することによって給水管35から調湿中空糸膜31に給水可能となる。給気管37には給気ポンプ38が介装されており、機械室15内またはハウジング11の外側の乾燥した空気(給気源)は給気ポンプ38の作動によって給気管37から調湿中空糸膜31に給気可能となる。なお、ドウコンディショナー10を湿度の高い場所に設置したときには、給気管37に乾燥した空気を圧入した給気ボンベ(給気源)を接続するとともに、給気管37に給気弁を介装するようにし、給気弁を開放することによって給気ボンベの乾燥した空気を調湿中空糸膜31に供給可能としてもよい。
【0130】
給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作するとともに給水弁36を開放させると、給水源の水が調湿中空糸膜31内に供給される。調湿中空糸膜31内に供給された水は水蒸気として外側に透過し、収納室12内には調湿中空糸膜31の外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、収納室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿される。給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作するとともに給気ポンプ38を作動させると、乾燥した空気が調湿中空糸膜31内に供給され、調湿中空糸膜31内に残る水が排出される。
【0131】
また、収納室12内の湿度制御において、収納室12内が設定湿度よりも低くて加湿制御をする必要のある環境下では、制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度(この実施形態の予熱工程では75℃)より所定湿度として例えば5%低い加湿下限湿度(この実施形態の予熱工程では70%)以下となると、給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給水弁36を一定時間開放させるように制御する。給水源の水は調湿中空糸膜31に供給されると、調湿中空糸膜31内の水は水蒸気となって外側に透過され、収納室12内には調湿中空糸膜31の外側に透過された水蒸気を含む湿潤した空気が生成され、収納室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿される。
【0132】
制御装置100は、調湿中空糸膜31内に水を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17の検出湿度が設定湿度より所定湿度として例えば5%高い加湿上限湿度(この実施形態の予熱工程では80%)以上となっていなければ、再び給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給水弁36を一定時間開放させるように制御する。一定時間毎に調湿中空糸膜31に水を供給することで、収納室12内を調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気により加湿するように制御中に、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となると、制御装置100は、給気管37と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給気ポンプ38を一定時間(調湿中空糸膜31に空気が満たされる時間)作動させるように制御する。調湿中空糸膜31内は水が排出されて空気が満たされるようになり、収納室12内は調湿中空糸膜31の外側に透過する水蒸気によって加湿されないようになる。
【0133】
調湿中空糸膜31内の水を排出して空気を満たすようにすると、収納室12内の湿度は徐々に低下する。制御装置100は、湿度センサ17の検出湿度が加湿下限湿度以下となると、湿度センサ17の検出湿度が加湿上限湿度以上となるまで、給水管35と調湿管32とを連通させるように切替弁34を操作した状態で給水弁36を一定時間開放させる制御を所定時間毎に繰り返し実行し、収納室12内を調湿中空糸膜31の外側に透過した水蒸気によって加湿するように制御する。このように、湿度センサ17の検出湿度に基づいて切替弁34を操作した状態で給水弁36を開放させることで、収納室12は調湿中空糸膜31に供給される水が水蒸気として外側に透過されることによって加湿制御される。
【0134】
ドウコンディショナー10の第2実施形態においては、収納室12内の調湿中空糸膜31の外側に水蒸気を透過させることで収納室12内の湿度を調節可能としている。収納室12内は、調湿中空糸膜31の内外で移動する水蒸気によって湿度が調節されるようになり、収納室12内を簡易な構造によって収納物であるパン生地の性質に応じた湿度に調節することができるようになる。また、収納室12内に水を霧状に噴霧することで収納室12内を加湿するものでないので、収納室12内に霧状に噴霧したときに生じる水滴が残らないようになる。このドウコンディショナー10の第2実施形態においては、調湿中空糸膜31に水を供給するようにしているが、これに限られるものでなく、貯蔵庫10の第2実施形態のように調湿空気生成室内で加湿器により加湿した空気を調湿中空糸膜に供給するようにして、収納室12内を加湿するようにしてもよい。また、このドウコンディショナー10の第2実施形態においては、収納室12内に調湿中空糸膜31を配設しているが、これに限られものでなく、ドウコンディショナー10の第1実施形態のように、収納室12の外側に設けた浸漬槽44の水中に調湿中空糸膜31を浸漬させ、調湿中空糸膜31の内側に生成される水蒸気を含んだ空気を収納室12内に送出するようにしてもよい。
【0135】
(製氷機の実施形態)
特開2019-078465号公報に記載されているこの種の製氷機は、ハウジング内にて断熱材により断熱された収納室を備え、収納室内の上部に氷を製造する製氷機構部と、収納室の下部に製氷機構部にて製造された氷を貯える貯氷部とを備えている。製氷機構部は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、製氷部との間で循環供給する製氷水を貯える製氷水タンクと、製氷水タンクの製氷水を製氷部に送出する送水ポンプと、製氷部を冷却及び加温する冷却装置とを備えている。製氷機構部は製氷部にて氷を製造する製氷運転と、製氷部で製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に繰り返し実行するように制御されている。製氷運転を実行するときには、製氷部は冷却装置の蒸発器に送出される液化冷媒が気化する気化熱によって冷却され、製氷部に送出される製氷水が凍結して氷が製造される。製氷運転後の除氷運転を実行するときには、製氷部は冷却装置の蒸発器に送出されるホットガスによって氷との接触面が加温され、製氷部にて製造された氷は製氷部との接触面で融かされて下側の貯氷部に落下して貯えられる。この種の製氷機においては、貯蔵部に氷が満たされているときには、除氷運転後に製氷運転を待機させるように制御され、貯氷部に氷が過剰に貯えられないようになっている。
【0136】
製氷機構部で除氷運転を実行しているときに、製氷部は氷との接触面を融かすためにホットガスにより加温されることで温度及び湿度が高くなり、製氷機構部は温度と湿度が高い状態によって細菌やカビの繁殖や金属部品に腐食が生じるおそれがある。また、貯氷部の氷が満たされていることで、除氷運転後に製氷運転を待機させるように制御しているときには、製氷部の蒸発器に液化冷媒が送出されずに製氷部が冷却されず、製氷機構部の周囲は高温高湿で放置されることになる。製氷機構部の周囲が高温高湿で放置されると、製氷機構部の金属部品が腐食したり、製氷機構部に細菌やカビが繁殖するおそれがある。
【0137】
上記の課題を解決するために、図18に示した製氷機(収納庫)10は、ハウジング11内に断熱材により断熱された収納室12を備え、収納室12の上部に氷を製造する製氷機構部50と、収納室12の下部に製氷機構部50にて製造された氷を貯える貯氷部12aとを備えている。貯氷部12aの前部には氷を取り出すための開口部が形成されており、貯氷部12aの前部には開口部を開閉する扉12bが開閉自在に設けられている。貯氷部12aの前部には扉12bの開放を検知するための扉開放検知器12cが設けられており、扉開放検知器12cは扉12bの開放または開放後の閉塞を検知するものである。貯氷部12aには氷が満たされたことを検知するための満氷検知器12dが設けられており、満氷検知器12dが貯氷部12aに氷が満たされたことを検知する。収納室12内の製氷機構部50の周囲と貯氷部12aの上部には湿度センサ17A,17Bが設けられており、湿度センサ17Aは収納室12内の製氷機構部50の周囲の湿度を検出し、湿度センサ17Bは収納室12内の貯氷部12aの湿度を検出するものである。
【0138】
製氷機構部50は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部51と、製氷部51との間で循環供給する製氷水を貯える製氷水タンク52と、製氷水タンク52の製氷水を製氷部に送出する送水ポンプ53と、製氷部51を冷却及び加温する冷却装置20とを備えている。冷却装置20は周知の冷凍回路を用いたものであり、冷媒を圧縮する圧縮機21と、圧縮した冷媒ガスを冷却する凝縮器22と、液化冷媒に含まれる水分を除去するドライヤ23と、液化冷媒を膨張させるキャピラリチューブ(膨張手段)24と、膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部51を冷却する蒸発器25とを備えている。冷却装置20の圧縮機21を作動させて冷媒を循環させると、冷媒が蒸発器25で気化するときの気化熱によって製氷部51が冷却される。
【0139】
また、冷却装置20は、蒸発器25にホットガスを供給するホットガス管27を備えている。ホットガス管27は圧縮機21の下流と蒸発器25の上流とを接続し、圧縮機21から送出されるホットガスを蒸発器25に導くようにしている。ホットガス管27にはホットガス弁28が介装されており、圧縮機21から送出されるホットガスはホットガス弁28を開放することによって蒸発器25に送出される。
【0140】
この製氷機10の製氷機構部50は、製氷部51にて氷を製造する製氷運転と、製氷部51で製氷運転後に氷との接触面を融かして除氷する除氷運転とを交互に繰り返し実行するように制御されている。製氷運転を実行したときには、製氷部51は蒸発器25で冷媒が気化するときの気化熱によって冷却され、製氷水タンク52から送水ポンプ53によって送出される製氷水が製氷部51で凍結して氷が製造される。製氷運転を実行することにより製氷部51で氷が製造されると除氷運転を実行し、製氷部51は蒸発器25にホットガスが送出されることで加温され、製氷部51で製造された氷は製氷部51との接触面が融かされて収納室12の下部の貯氷部12aに落下して貯えられる。貯氷部12a内の満氷検知器12dが貯氷部12a内に氷が満たされたことを検知したときには、製氷機構部50は除氷運転後に製氷運転を実行せずに待機するように制御される。
【0141】
製氷機10は、収納室12内の湿度を調節する湿度調節装置30を備えており、湿度調節装置30は、収納室12内の上部にて製氷機構部50の周囲に調湿中空糸膜31Aと、収納室12内の貯氷部12aの上部に調湿中空糸膜31Bとを備えている。調湿中空糸膜31A,31Bの長手方向の一方の端部には給気管37A,37Bが接続されており、調湿中空糸膜31A,31Bの長手方向の他方の端部には排気管39A,39Bが接続されている。給気管37は調湿中空糸膜31A,31Bの接続側と反対側でハウジング11の外側に設けた給気ボンベGに接続されており、調湿中空糸膜31A,31Bには給気ボンベGから乾燥した空気が導入可能となっている。給気管37A,37Bには給気弁37Aa,37Baが介装されており、給気ボンベG内に圧入された乾燥した空気は給気弁37Aa,37Baを開放することによって調湿中空糸膜31A,31Bに供給される。排気管39A,39Bは調湿中空糸膜31A,31Bの接続側と反対側でハウジング11の外側に延出し、調湿中空糸膜31A,31Bを通過した空気は排気管39A,39Bを通ってハウジング11の外側に排出される。
【0142】
図19に示したように、製氷機10は、制御装置100を備えており、制御装置100は、扉開放検知器12c、満氷検知器12d、湿度センサ17A,17B、冷却装置20、湿度調節装置30及び製氷機構部50に接続されている。制御装置100は、製氷機構部50で製氷運転と除氷運転を交互に実行するように制御することによって貯氷部12aに貯える氷を製造するように制御している。制御装置100は、満氷検知器12dにて貯氷部12a内の氷が満たされていることを検知したときには、除氷運転後の製氷運転を実行せずに待機するように制御している。
【0143】
上述したように、除氷運転を実行しているときに、製氷部51は氷との接触面を融かすためにホットガスにより加温されることで温度及び湿度が高くなり、製氷機構部50は温度と湿度が高い状態によって細菌やカビの繁殖や金属部品に腐食が生じるおそれがある。また、貯氷部12a内の氷が満たされたことにより、除氷運転後に製氷運転を実行せずに待機したときには、製氷機構部50の金属部品が腐食したり、製氷機構部50に細菌やカビが繁殖するおそれがある。このため、除氷運転を実行しているときや、除氷運転後に製氷運転を実行せずに待機するように制御しているときに、制御装置100は、湿度調節装置30の調湿中空糸膜31Aに乾燥した空気を送出するようにして製氷機構部50の周囲の湿度を設定湿度以下となるように制御している。
【0144】
制御装置100は、給気弁37Aaを一定時間開放させると、乾燥した空気は調湿中空糸膜31Aから排気管39Aを通ってハウジング11の外側に排出される。このとき、収納室12内の製氷機構部50の周囲の水蒸気は調湿中空糸膜31Aの内側に透過されるようになり、収納室12内の製氷機構部50の周囲は水蒸気が調湿中空糸膜31の内側に透過することによって除湿される。調湿中空糸膜31A内に乾燥した空気を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17Aの検出湿度が設定湿度以下となっていなければ、制御装置100は、再び給気弁37Aaを一定時間開放させて、収納室12内の製氷機構部50の周囲を除湿する。湿度センサ17Aの検出湿度が設定湿度以下となると、制御装置100は、給気弁37Aaを開放させないようにして調湿中空糸膜31Aに乾燥した空気を送出しないように制御する。また、除氷運転が終了して製氷運転を実行するときや、満氷検知器12dにて貯氷部12a内の氷が満たされないようになったことを検知し、製氷運転を再開するように制御したときにも、制御装置100は、給気弁37Aaを開放させないようにして調湿中空糸膜31Aに乾燥した空気を送出しないように制御する。このように、除氷運転を実行しているときや、除氷運転後に製氷運転を実行せずに待機するように制御しているときに、収納室12内の製氷機構部50の周囲は除湿されるように制御されているので、製氷機構部50の金属部品が腐食したり、製氷機構部50に細菌やカビが繁殖しにくくなる。
【0145】
また、貯氷部12aから氷を取り出すために扉12bを開放すると、貯氷部12a内よりも温度が高く水蒸気を含む空気が開口部から貯氷部12a内に流入する。貯氷部12a内の氷は流入した温度の高い空気により表面が融けやすくなるばかりか、空気に含まれる水蒸気が氷表面で冷やされると凝縮して氷表面に凝縮熱を与えるようになり、貯氷部12a内の氷はさらに融けやすくなる。このため、扉開放検知器12cにより扉12bの開放または開放後の閉塞を検知したときに、制御装置100は、湿度調節装置30の調湿中空糸膜31Bに乾燥した空気を送出するようにして貯氷部12a内の湿度を設定湿度以下となるように制御している。
【0146】
制御装置100は、給気弁37Baを一定時間開放させると、乾燥した空気は調湿中空糸膜31Bから排気管39Bを通ってハウジング11の外側に排出される。このとき、収納室12の貯氷部12a内の水蒸気は調湿中空糸膜31Bの内側に透過されるようになり、貯氷部12a内は水蒸気が調湿中空糸膜31Bの内側に透過することによって除湿される。調湿中空糸膜31B内に乾燥した空気を供給後の所定時間(例えば1分間)経過後に、湿度センサ17Bの検出湿度が設定湿度以下となっていなければ、制御装置100は、再び給気弁37Baを一定時間開放させて、貯氷部12aの周囲を除湿する。湿度センサ17Bの検出湿度が設定湿度以下となると、制御装置100は、給気弁37Baを開放させないようにして調湿中空糸膜31Bに乾燥した空気を送出しないように制御する。このように、扉開放検知器12cにより扉12bの開放または開放後の閉塞を検知したときに、収納室12の貯氷部12a内は除湿されるように制御されているので、貯えられている氷を融けにくくすることができる。なお、この実施形態では、扉開放検知器12cにより扉12bの開放または開放後の閉塞を検知したときに、制御装置100は、湿度調節装置30の調湿中空糸膜31Bに乾燥した空気を送出するようにして貯氷部12a内の湿度を設定湿度以下となるように制御しているが、これに限られるものでなく、扉開放検知器12cにより扉12bの開放または開放後の閉塞を検知することに基づくことなく、湿度センサ17Bの検出湿度が所定湿度以上であるときに湿度調節装置30の調湿中空糸膜31Bに乾燥した空気を送出するようにして貯氷部12a内の湿度を設定湿度以下となるように制御してもよい。
【0147】
(食器洗浄機の実施形態)
特開2019-141247号公報にも記載されているこの種の食器洗浄機は、洗浄室に収容された被洗浄物を洗浄するものであり、洗浄機本体の上部に洗浄室を備え、洗浄機本体の上側には洗浄室を開閉をするための下側が開口する箱形のドアが設けられている。洗浄機本体には洗浄室内の排気のための開口部が形成されており、開口部には排気の流路を形成するための筐体が接続されている。筐体内には熱交換器と排気ファンが収容されており、洗浄室内の高温の洗浄水から発生する高温の排気は排気ファンによって筐体内に導入され熱交換器により冷却されて排出される。この種の食器洗浄機では、高温の排気を排出させる筐体内に結露が生じやすく、筐体内に細菌やカビが発生するおそれがある。
【0148】
上記の課題を解決するために、図20に示した食器洗浄機10は、洗浄機本体60の上部に洗浄室61を備え、洗浄機本体60の上側には洗浄室61を開閉するための下側が開口する箱形のドア62とを備えている。洗浄機本体60の後部には洗浄室61内の排気のための開口部61aが形成されており、開口部に61aは排気の流路を形成するための筐体63が接続されている。筐体63の上部には排気口63aが形成されており、筐体63の上部には排気ファン64が設けられている。排気ファン64を作動させると、洗浄室61内の湯気を含んだ空気が筐体63内を上昇して上部の排気口63aから排出される。筐体63内には高温の排気に含まれる湯気の排出を抑制するために熱交換器65が設けられており、筐体63内を上昇する洗浄室61からの排気は熱交換器65によって冷却されることにより排気に含まれる湯気が水滴として取り除かれる。
【0149】
食器洗浄機10は筐体63内の除湿をするための湿度調節装置30を備えており、湿度調節装置30は筐体63内に調湿中空糸膜31を備えている。調湿中空糸膜31の長手方向の一方の端部には給気管37が接続されており、調湿中空糸膜31の長手方向の他方の端部には排気管39が接続されている。給気管37には給気ポンプ38が介装されており、ハウジング11の外側の乾燥した空気(給気源)は給気ポンプ38の作動によって給気管37から調湿中空糸膜31に給気可能となる。調湿中空糸膜31に供給された空気は排気管39を通ってハウジング11の外側に排出される。洗浄室61内で高温の洗浄水を用いて食器を洗浄後に、洗浄室61内の湯気を含んだ高温の空気は筐体63を上昇して排気口63aから排出される。洗浄室61内で食器を洗浄後に給気ポンプ38を作動させると、乾燥した空気は調湿中空糸膜31から排気管39を通ってハウジング11の外側に排出される。このとき、筐体63の水蒸気は調湿中空糸膜31の内側に透過されるようになり、筐体63内は水蒸気が調湿中空糸膜31の内側に透過することによって除湿される。これにより、洗浄室61内で食器を洗浄後に筐体63を乾燥させることができ、筐体63内に細菌やカビが発生するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0150】
10…収納庫(貯蔵庫、恒温高湿庫、配膳車、ドウコンディショナーまたは製氷機)、12…収納室(貯蔵室)、12a…貯氷部、30…湿度調節装置、31…調湿中空糸膜、40…調湿空気生成室、44…浸漬槽、44Bd…ヒータ、48…乾燥室、50…製氷機構部。
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