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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156124
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】アシストデバイス
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20231017BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
A61H1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065803
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】木村 美昭
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 永
【テーマコード(参考)】
3C707
4C046
【Fターム(参考)】
3C707XK02
3C707XK06
3C707XK17
3C707XK24
4C046AA42
4C046AA49
4C046BB02
4C046CC01
4C046DD06
4C046DD24
4C046DD36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上肢が相対的に低い位置にある場合であっても、作業者に対するアシスト力を好適に供することが可能なアシストデバイスを提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るアシストデバイス100は、作業者200に装着するいわゆる「装着型」として使用されるものであり得る。アシストデバイス100は、支持部11を含むアーム部10と、アーム部10と接続された支柱部20と、支柱部20と接続され、作業者200に装着可能な装着部30を備える。アーム部10は作業者200の背面と胴体240の側部を囲むように配置され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に対するアシスト力を発生させることが可能であり、前記作業者の脇部を支持可能な支持部を含む、アシストデバイス。
【請求項2】
前記支持部が前記作業者の上肢の動作から独立して配置される、請求項1に記載のアシストデバイス。
【請求項3】
前記支持部が、前記作業者の把持物の荷重力に対する反力受容部である、請求項1に記載のアシストデバイス。
【請求項4】
前記支持部が前記脇部の直下に位置する、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項5】
前記支持部が長尺状であり、前記支持部の長手部分が重力方向に対して交差する方向に延在する、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項6】
前記支持部が、前記作業者の胴体の側部に沿って前記胴体の前方に突き出るように配置される、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項7】
前記支持部が前記作業者の2つの前記脇部を共に支持可能となっている、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項8】
前記支持部を含むアーム部と前記アーム部と接続された支柱部を更に備え、前記支柱部が前記作業者の背面に沿って延在する、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項9】
前記支柱部が、前記作業者の把持物の荷重力に対する反力伝達部である、請求項8に記載のアシストデバイス。
【請求項10】
前記アーム部が、前記支柱部の長手延在方向に沿って上下に移動可能であり、および重力方向とは反対方向に弾性力を供する弾性部と接触又は接続可能である、請求項8に記載のアシストデバイス。
【請求項11】
前記アーム部が前記支持部と前記支持部と連続する軸部分とを備え、前記軸部分が軸回転可能となっている、請求項10に記載のアシストデバイス。
【請求項12】
前記支柱部が前記アーム部に対して交差するように配置され、前記弾性部の一端が前記支持部と接続され、他端が前記支持部よりも高い位置にある前記支柱部の所定部分と接続されている、請求項11に記載のアシストデバイス。
【請求項13】
前記アーム部が、前記支柱部に対して摺動可能に接続されている、請求項10に記載のアシストデバイス。
【請求項14】
前記弾性部が、前記アーム部と当接可能に前記アーム部の下方に配置される、請求項13に記載のアシストデバイス。
【請求項15】
前記支持部の外側主面を包囲する緩衝部材を備える、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項16】
前記支持部の外側主面を包囲する軸回転可能な筒部を備え、前記緩衝部材が前記筒部を包囲する、請求項15に記載のアシストデバイス。
【請求項17】
前記支柱部が前後に屈曲可能であり、屈曲可能な前記支柱部が前記作業者の腰部と対向可能に位置付けられる、請求項8に記載のアシストデバイス。
【請求項18】
前記支柱部と接続され、前記作業者に装着可能な装着部を更に備える、請求項8に記載のアシストデバイス。
【請求項19】
前記装着部が、前記作業者の把持物の荷重力に対する反力伝達部である、請求項18に記載のアシストデバイス。
【請求項20】
前記支持部と前記脇部とが接触する状態での重筋作業および前傾姿勢作業の少なくとも一方の作業にて用いられる、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項21】
前記重筋作業が5kg以上25kg以下の重量物の運搬作業を含む、請求項20に記載のアシストデバイス。
【請求項22】
前記作業者に装着可能な装着型である、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【請求項23】
自動車の組立てのために用いられる、請求項1~3のいずれかに記載のアシストデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアシストデバイスに関する。特に、本発明は、作業者に装着可能な装着型のアシストデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作業負荷軽減および作業環境改善等を図るために、作業者がアシストデバイスを装着した上で作業を行う手法の導入が積極的に行われている。かかるアシストデバイスでは、その構成要素である支持部に作業者の上肢を支持した状態で、ワークを把持する作業者に対してアシスト力を供することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-512666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本願発明者らは、従前のアシストデバイスには以下の点で改善する事項があることを新たに見出した。具体的には、従前のアシストデバイスにおける、作業者の上肢を支持部により支持する態様では、作業者の上肢と作業者の胴体とのなす角度が所定角度(例えば45度)未満である場合に、即ち作業者の上肢が相対的に低い位置にある場合に、作業者に対してアシスト力を供することが容易ではない場合があり得る。
【0005】
そこで、本発明は、上肢が相対的に低い位置にある場合であっても、作業者に対するアシスト力を好適に供することが可能なアシストデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
作業者に対するアシスト力を発生させることが可能であり、前記作業者の脇部を支持可能な支持部を含む、アシストデバイスが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に従えば、上肢が相対的に低い位置にある場合であっても、作業者に対するアシスト力を好適に供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスにて生じる反力の伝達経路を模式的に示した側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを用いてワークを把持する態様を模式的に示した側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素である、緩衝部材に直接的に包囲された支持部を模式的に示した拡大斜視図である。
図8】作業者の上肢が相対的に高い位置にある状態における図7の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。
図9】作業者の上肢が相対的に低い位置にある状態における図7の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素である、緩衝部材に間接的に包囲された支持部を模式的に示した拡大斜視図である。
図11】作業者の上肢が相対的に高い位置にある状態における図10の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。
図12】作業者の上肢が相対的に低い位置にある状態における図10の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。
図13】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部を上下方向に移動させる一態様を模式的に示した斜視図である。
図14】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部を上下方向に移動させる別態様を模式的に示した斜視図である。
図15】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部と弾性部とを接続させる態様を模式的に示した斜視図である。
図16】本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部と弾性部とを接触させる態様を模式的に示した斜視図である。
図17】前後に屈曲可能な支柱部を備えた本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態に係るアシストデバイスをより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比等は実物とは異なり得る。
【0010】
[アシストデバイスの構成]
以下、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成について説明する。
【0011】
上述のように、本願発明者らは、従前のアシストデバイスにおける、作業者の上肢を支持部により支持する態様では、作業者の上肢と作業者の胴体とのなす角度が所定角度(例えば45度)未満である場合に、即ち作業者の上肢が相対的に低い位置にある場合に、作業者に対してアシスト力を供することが容易ではない場合があり得ることを新たに見出した。
【0012】
そこで、本願発明者らは、これまでの作業者の上肢を支持部により支持する従来の手法の延長線上での解決を図るのではなく、この従来の手法とは異なる手法での解決策について鋭意検討した。その結果、本願発明者らは、作業者の脇部が上肢の動作に追随しにくい部分であることを見出し、これを契機として、作業者の上肢ではなく作業者の脇部を支持するという思想を有する本発明を案出するに至った(図1参照)。なお、本明細書でいう「上肢」とは、作業者の上腕、前腕、手等含むものを指す。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した側面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した分解斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスにて生じる反力の伝達経路を模式的に示した側面図である。図5は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを用いてワークを把持する態様を模式的に示した側面図である。図6は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した正面図である。
【0014】
本発明の一実施形態に係るアシストデバイス100は、作業者200に装着するいわゆる「装着型」として使用されるものであり得る(図1等参照)。本発明の一実施形態に係るアシストデバイス100は、支持部11を含むアーム部10と、アーム部10と接続された支柱部20と、支柱部20と接続され、作業者200に装着可能な装着部30を備える(図1図3参照)。一例として、アーム部10は作業者200の背面と胴体240の側部を囲むように配置され得る。
【0015】
支持部11は、例えば長尺状の円筒部材であり得る。又、支柱部20は、作業者200の背面210に沿って、具体的には背面210の長手に沿って延在する。この場合において、アーム部10と支柱部20とは、相互に交差した形態、例えば十字状をなす形態を有し得る。特に限定されるものではないが、アーム部10、支柱部20、および装着部30は例えば炭素材から構成され、各構成要素の連結部分についてはアルミ等の材料から構成され得る。
【0016】
本発明の一実施形態は、支持部11が作業者200の脇部220を支持可能であることを特徴とする。本明細書において「作業者200の脇部220」とは、作業者200の胴体240と上肢230との間に位置する部分であって、その外表面が重力方向(鉛直方向に相当)に対して交差する方向に拡がる部分を指す。本明細書でいう「支持部11が作業者200の脇部220を支持可能である」とは、脇部が支持部11により支えられた状態および/または保持された状態を指し、支持部11と脇部11とが直接的に又は後述する緩衝部材を介して間接的に接触する状態を指す。
【0017】
かかる特徴によれば、上述のように、作業者200の脇部220は上肢230の動作に追随しにくい部分であるため、この脇部220を支持する支持部11も上肢230の動作に追随しにくくなる。そのため、作業者200の上肢230の動作から独立して支持部11を配置することができる(図6参照)。即ち、上肢230の動作に追随した支持部11の移動を回避することが可能となる。
【0018】
又、脇部220を支持する支持部11は、脇部220の外表面の上記形態に対応して、重力方向に対して交差する方向に延在する形態を採ることができる。例えば、支持部11が長尺状である場合、その長手部分が重力方向に対して交差する方向に延在し得る。好ましくは、脇部220の主たる部分の外表面の形態に対応させる観点から、支持部11は脇部220の直下に配置され得る。
【0019】
以上の事から、上肢230の動作に追随した支持部11の移動が回避され得るため、従前の態様(作業者の上肢を支持部により支持する態様)と比べて、支持部11の重力方向に対して交差する延在方向の変化を抑制することが可能となる。
【0020】
これにより、支持部11と脇部220とが接触する状態での重筋作業(上肢230が相対的に低い位置での重筋作業を含む)および/または前傾姿勢作業においても、脇部220と脇部220の下方に位置する支持部11との接触により、支持部11にて重力方向とは反対方向の反力を好適に生じさせることができる(図4参照)。なお、上肢230が相対的に低い位置での重筋作業の場合、支持部11は、作業者200の把持物(ワーク300、工具等)の荷重力に対する反力400の受容部として機能し得る(図5参照)。例えば、支持部11が重力方向に対して垂直方向に延在する場合、支持部11は、重力方向に沿った把持物の荷重力の作用方向とは反対方向に向かって生じる反力400の受容部として機能し得る。
【0021】
本明細書において「作業者200の上肢230が相対的に低い位置になり得る作業」とは、支持部11と脇部220とが接触し得る状態での作業を指し、例えば、作業者200の胴体240と上腕231とのなす角度θが0度<θ<120度となる作業を指す。又、本明細書において「作業者の上肢が相対的に低い位置での重筋作業」とは、5kg以上25kg以下の重量物の運搬作業を含む。
【0022】
それ故、本発明の一実施形態にかかるアシストデバイス100によれば、上肢230が相対的に低い位置にある場合であっても、支持部11により作業者200の脇部220を支持するというシンプルな形態で作業者200に対するアシスト力を好適に供することが可能となる。なお、両方の上肢230を用いる作業にて上記アシスト力を好適に供する観点から、支持部11は作業者200の2つの脇部11を共に支持可能であることが好ましい。
【0023】
又、上記のとおり、上肢230の動作に追随した支持部11の移動が回避され得るため、従前の態様(作業者の上肢を支持部により支持する態様)と比べて、支持部11と支持部11の周囲に位置するワーク等の周囲物との接触を好適に回避することが可能となる。
【0024】
更に、上述のように、支柱部20は支持部11を含むアーム部10と接続され、装着部30は支柱部20と接続されているため、これら支柱部20および装着部30は作業者200の把持物(ワーク、工具等)の荷重力に対する反力伝達部として機能し得る。
【0025】
これにより、支持部11にて生じ得る把持物の荷重力に対する反力を支持部11側から支柱部20を介して装着部30側へと分散させることが可能となる。その結果、作業者200の胴体240、即ち体幹部の筋肉への負荷低減と、作業者200の腰椎部への負荷低減とが可能となる。それ故、作業者200の作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0026】
以下、本発明の好ましい態様について説明する。
【0027】
まず、一態様では、支持部11は作業者200の胴体240の側部に沿って胴体240の前方に突き出るように配置されることが好ましい。
【0028】
かかる配置によれば、支持部11が作業者200の胴体240の側部に沿っていることから、支持部11と支持部11の周囲に位置するワーク等の周囲物との接触をより好適に回避することが可能となる。又、脇部220と支持部11との接触状態を好適に確保することができる。
【0029】
一態様では、支持部11の外側主面11aを包囲する緩衝部材50を備えることが好ましい(図7図9参照)。
【0030】
図7は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素である、緩衝部材に直接的に包囲された支持部を模式的に示した拡大斜視図である。図8は、作業者の上肢が相対的に高い位置にある状態における図7の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。図9は、作業者の上肢が相対的に低い位置にある状態における図7の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。
【0031】
本態様は、支持部11の外側主面11aが緩衝部材50により包囲されていることを特徴とする。具体的には、支持部11の外側主面11aが緩衝部材50により直接的に包囲されている。一例として、緩衝部材50は弾力性のあるクッション部材であり得る。
【0032】
上記特徴によれば、緩衝部材50が存在しない場合と比べて、アシストデバイスの使用時に作業者200の上肢230が相対的に高い位置および相対的に低い位置のいずれの位置にある場合にて、脇部220を支持部11により支持する際に脇部220と支持部11との間にて生じ得る摩擦を緩和させることができる。これにより、作業者200に対する痛みが作業時に生じることを好適に抑制することができ、アシストデバイスのアシスト力を利用した作業を円滑に行うことが可能となる。
【0033】
一態様では、支持部11の外側主面11aを包囲する軸回転可能な筒部60を備え、緩衝部材50が当該筒部60を包囲することが好ましい(図10図12参照)。
【0034】
図10は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素である、緩衝部材に関的に包囲された支持部を模式的に示した拡大斜視図である。図11は、作業者の上肢が相対的に高い位置にある状態における図10の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。図12は、作業者の上肢が相対的に低い位置にある状態における図10の緩衝部材付きの支持部を模式的に示した部分拡大正面図である。
【0035】
本態様は、支持部11の外側主面11a上に位置する筒部60が緩衝部材50により包囲されていることを特徴とする。即ち、支持部11の外側主面11aが緩衝部材50により間接的に包囲されている。
【0036】
上記特徴によれば、支持部11の外側主面11aが緩衝部材50により直接的に包囲されている場合と比べて、アシストデバイスの使用時に作業者200の上肢230が相対的に高い位置および相対的に低い位置のいずれの位置にある場合にて、脇部220を支持部11により支持する際に支持部11と緩衝部材50との間に介在する筒部60が軸回転し得る。これにより、脇部220と支持部11との間にて生じ得る摩擦をより緩和させることができる。その結果、作業者200に対する痛みが作業時に生じることをより好適に抑制することができ、アシストデバイスのアシスト力を利用した作業をより円滑に行うことが可能となる。
【0037】
一態様では、アーム部10が、支柱部20の長手延在方向に沿って上下に移動可能であり、および重力方向とは反対方向に弾性力を供する弾性部40と接触又は接続可能であることが好ましい(図13図15参照)。
【0038】
図13は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部を上下方向に移動させる一態様を模式的に示した斜視図である。図14は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部を上下方向に移動させる別態様を模式的に示した斜視図である。図15は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部と弾性部とを接続させる態様を模式的に示した斜視図である。図16は、本発明の一実施形態に係るアシストデバイスの構成要素であるアーム部と弾性部とを接触させる態様を模式的に示した斜視図である。
【0039】
本態様は、アーム部10が支柱部20の長手延在方向に沿って上下に移動可能であることを前提とする。かかる前提によれば、脇部220と接触し得るアーム部10の構成要素である支持部11を支柱部20の長手延在方向に沿って下方へと移動させることが可能となる。これにより、支持部11と脇部220とが接触する状態での重筋作業(上肢230が相対的に低い位置での重筋作業を含む)および/または前傾姿勢作業を円滑に行うことができる。
【0040】
又、アーム部10と接触又は接続可能な弾性部40は重力方向とは反対方向に弾性力を供するものであるため、同弾性力を利用して、下方へと一旦移動したアーム部10の構成要素である支持部11を上方へと移動させることができる。従って、支持部11における重力方向とは反対方向の反力に加え、弾性部40の弾性力を利用することにより、作業者200に対するアシスト力をより好適に供することが可能となる。
【0041】
なお、支柱部20の長手延在方向に沿って、支持部11を含むアーム部10を上下に移動させる具体的態様、およびアーム部10と弾性部40とを接触又は接続させる具体的態様としては、例えば下記態様を採ることができる。
【0042】
一態様では、アーム部10Iが支持部11Iと支持部11Iと連続する軸部分12Iとを備え、軸部分12Iが軸回転可能となっていることが好ましい(図13参照)。
【0043】
本態様は、アーム部10Iの構成要素である軸部分12Iの軸回転可能であることを前提とする。具体的には、軸部分12Iは、同一平面にて、支持部11Iの長手延在方向に対して異なる方向、例えば垂直方向に延在し、かつ支持部11Iの一端と軸部分12Iの一端とが連続するように構成され得る。
【0044】
又、作業者へのアシストデバイス100Iの装着時において、軸部分12Iは作業者の背面を横切るように当該背面と対向して配置され得る。又、一例では、軸部分12Iは、支柱部20Iと固定接続された固定部13Iおよび固定部13Iの少なくとも一方の側に位置する可動部14Iを備える。
【0045】
本態様では、かかる軸部分12Iの軸回転により、軸部分12Iを含むアーム部10Iを上下方向に移動させることが可能となる。軸部分12Iと支持部11Iとは連続接続されているため、軸部分12Iの軸回転に同伴して支持部11Iを上下方向に移動させることが可能となる。
【0046】
又、本態様では、支柱部20Iがアーム部10Iに対して交差するように配置され、弾性部40Iの一端41Iが支持部11Iと接続され、他端42Iが支持部11Iよりも高い位置にある支柱部20Iの所定部分21Iと接続されることが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、本態様では、弾性部40Iは支持部11Iよりも高い位置に配置され得る。そのため、重力方向とは反対方向に弾性力を供するため、本態様の弾性部40Iとしては、一旦伸張した状態から収縮する状態へと変化し得るものを選択することが好ましい。一例として、弾性部40Iとしては、ゴム部材、引張コイルバネ等を用いることができる。これにより、下方へと一旦移動した支持部11Iを上方へと移動させることができる(図15参照)。
【0048】
別態様では、アーム部10IIは支柱部20IIに対して摺動可能に接続されていることが好ましい(図14参照)。
【0049】
具体的には、本態様では、アーム部10IIの一端側が支柱部20IIに対して摺動可能に接続され得る。一例では、支柱部20IIが長尺状である場合に、アーム部10IIは摺動部分15IIを含み、同摺動部分15IIは長尺状の支柱部20IIの一部の外周を包囲するように接続され得る。又、アーム部10IIの摺動部分15IIは、軸部分12IIからの部分的な突出部分であり得る。当該突出部分は、軸部分12IIの長手延在方向に対して異なる方向、例えば垂直方向に延在し得る。
【0050】
本態様では、かかる摺動部分15IIを含むアーム部10IIにより、全体としてアーム部10IIは支柱部20IIに対して摺動可能となる。これにより、アーム部10IIの摺動に伴い、その構成要素である支持部11IIを上下方向に移動させることが可能となる。なお、アーム部10IIは、支柱部20IIの長手部分に沿って摺動し得るのみならず、支柱部20IIの短手部分に対して軸回転可能に摺動し得る。
【0051】
又、本態様では、弾性部40IIが、摺動可能なアーム部10IIと当接可能にアーム部10IIの下方に配置されることが好ましい。
【0052】
上記構成によれば、本態様では、弾性部40IIは支持部11Iを含むアーム部10IIよりも低い位置に配置され得る。そのため、重力方向とは反対方向に弾性力を供するため、本態様の弾性部40IIとしては、一旦圧縮した状態から伸張する状態へと変化し得るものを選択することが好ましい。一例として、弾性部40IIとしては、圧縮コイルバネ等を用いることができる。これにより、下方へと一旦移動した支持部11IIを上方へと移動させることができる(図16参照)。
【0053】
一態様では、支柱部20IIIが前後に屈曲可能であり、屈曲可能な支柱部20IIIが作業者200の腰部250と対向可能に位置付けられることが好ましい。
【0054】
図17は、前後に屈曲可能な支柱部を備えた本発明の一実施形態に係るアシストデバイスを模式的に示した側面図である。
【0055】
本態様は、アシストデバイス100IIIの構成要素である支柱部20IIIが前後に屈曲可能であることを特徴とする。
【0056】
上記特徴によれば、工具500IIIを用いた前傾姿勢作業および/または支持部11IIIと脇部220とが接触する状態での重筋作業(上肢230が相対的に低い位置での重筋作業を含む)上肢230が相対的に低い位置での重筋作業にて、作業者200の背面210が前方に湾曲する場合において、湾曲した背面210に支柱部20IIIを沿わすことができる。これにより、これら作業における作業者200の作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0057】
なお、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計上の変更が可能である。
【0058】
なお、上述のような本発明の一実施形態は、次の好適な態様を包含している。
第1態様
作業者に対するアシスト力を発生させることが可能であり、前記作業者の脇部を支持可能な支持部を含む、アシストデバイス。
第2態様
上記第1態様において、前記支持部が前記作業者の上肢の動作から独立して配置される、アシストデバイス。
第3態様
上記第1態様又は上記第2態様において、前記支持部が、前記作業者の把持物の荷重力に対する反力受容部である、アシストデバイス。
第4態様
上記第1態様~上記第3態様のいずれかにおいて、前記支持部が前記脇部の直下に位置する、アシストデバイス。
第5態様
上記第1態様~上記第4態様のいずれかにおいて、前記支持部が長尺状であり、前記支持部の長手部分が重力方向に対して交差する方向に延在する、アシストデバイス。
第6態様
上記第1態様~上記第5態様のいずれかにおいて、前記支持部が、前記作業者の胴体の側部に沿って前記胴体の前方に突き出るように配置される、アシストデバイス。
第7態様
上記第1態様~上記第6態様のいずれかにおいて、前記支持部が前記作業者の2つの前記脇部を共に支持可能となっている、アシストデバイス。
第8態様
上記第1態様~上記第7態様のいずれかにおいて、前記支持部を含むアーム部と前記アーム部と接続された支柱部を更に備え、前記支柱部が前記作業者の背面に沿って延在する、アシストデバイス。
第9態様
上記第1態様~上記第8態様のいずれかにおいて、前記支柱部が、前記作業者の把持物の荷重力に対する反力伝達部である、アシストデバイス。
第10態様
上記第8態様又は上記第9態様において、前記アーム部が、前記支柱部の長手延在方向に沿って上下に移動可能であり、および重力方向とは反対方向に弾性力を供する弾性部と接触又は接続可能である、アシストデバイス。
第11態様
上記第10態様において、前記アーム部が前記支持部と前記支持部と連続する軸部分とを備え、前記軸部分が軸回転可能となっている、アシストデバイス。
第12態様
上記第10態様又は上記第11態様において、前記支柱部が前記アーム部に対して交差するように配置され、前記弾性部の一端が前記支持部と接続され、他端が前記支持部よりも高い位置にある前記支柱部の所定部分と接続されている、アシストデバイス。
第13態様
上記第10態様~上記第12態様のいずれかにおいて、前記アーム部が、前記支柱部に対して摺動可能に接続されている、アシストデバイス。
第14態様
上記第10態様~上記第13態様のいずれかにおいて、前記弾性部が、前記アーム部と当接可能に前記アーム部の下方に配置される、アシストデバイス。
第15態様
上記第1態様~上記第14態様のいずれかにおいて、前記支持部の外側主面を包囲する緩衝部材を備える、アシストデバイス。
第16態様
上記第15態様において、前記支持部の外側主面を包囲する軸回転可能な筒部を備え、前記緩衝部材が前記筒部を包囲する、アシストデバイス。
第17態様
上記第8態様~上記第16態様のいずれかにおいて、前記支柱部が前後に屈曲可能であり、屈曲可能な前記支柱部が前記作業者の腰部と対向可能に位置付けられる、アシストデバイス。
第18態様
上記第8態様~上記第17態様のいずれかにおいて、前記支柱部と接続され、前記作業者に装着可能な装着部を更に備える、アシストデバイス。
第19態様
上記第18態様において、前記装着部が、前記作業者の把持物の荷重力に対する反力伝達部である、アシストデバイス。
第20態様
上記第1態様~上記第19態様のいずれかにおいて、前記支持部と前記脇部とが接触する状態での重筋作業および前傾姿勢作業の少なくとも一方の作業にて用いられる、アシストデバイス。
第21態様
上記第20態様において、前記重筋作業が5kg以上25kg以下の重量物の運搬作業を含む、アシストデバイス。
第22態様
上記第1態様~上記第21態様のいずれかにおいて、前記作業者に装着可能な装着型である、アシストデバイス。
第23態様
上記第1態様~上記第22態様のいずれかにおいて、自動車の組立てのために用いられる、アシストデバイス。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の一実施形態に係るアシストデバイスは、自動車の組立てにて好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
100、100I~100III アシストデバイス
10、10I~10III アーム部
11、11I~11III 支持部
12I、12II 軸部分
13I 固定部
14I 可動部
15II 摺動部分
20、20I~20III 支柱部
21I 支持部よりも高い位置にある支柱部の所定部分


30、30III 装着部
40、40I,40II 弾性部
50 緩衝部材
60 筒部

200 作業者
210 作業者の背面
220 作業者の脇部
230 作業者の上肢
240 作業者の胴体
250 作業者の腰部

300 ワーク

400 反力

500III 工具
図1
図2
図3
図4
図5
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図15
図16
図17