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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156130
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20231017BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20231017BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20231017BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20231017BHJP
   F24D 15/00 20220101ALI20231017BHJP
【FI】
F24F11/56
F24F11/52
F24F11/89
F24F6/00 E
F24D15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065812
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴也
【テーマコード(参考)】
3L055
3L072
3L260
【Fターム(参考)】
3L055BC02
3L072AB06
3L072AF11
3L260AB14
3L260BA33
3L260CA03
3L260CA12
3L260CB74
3L260FB61
(57)【要約】
【課題】浴室やそれに隣接する室内空間にユーザが入浴目的で入室した場合に、そのことを高い信頼性で検知することができる浴室システムを提供する。
【解決手段】浴室システムは、浴室空間10及びこれに隣接する室内空間20に、所定の検出範囲内の温度分布を検出し得るように設けられたセンサ11,21と、各センサ11,21によりそれぞれの検出範囲内に所定温度以上の発熱体が検出され、且つ、検出された発熱体が各センサ11,21の検出範囲において占める割合が所定割合以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人であると判定する入浴判定部32とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室空間と該浴室空間に隣接する室内空間とのうちの少なくとも一方に、所定の検出範囲内の温度分布を検出し得るように設けられたセンサと、
該センサにより前記検出範囲内に第1の所定温度以上の発熱体が検出され、且つ、当該検出された発熱体が前記検出範囲において占める割合が第1の所定割合以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人であると判定する入浴判定部とを備えることを特徴とする浴室システム。
【請求項2】
請求項1記載の浴室システムにおいて、
現在の環境温度又は現在の月日を示すデータを取得し、該データにより示される環境温度又は月日に応じて前記入浴判定部を作動状態又は非作動状態に切り換える切換部をさらに備えることを特徴とする浴室システム。
【請求項3】
請求項2記載の浴室システムにおいて、
前記入浴判定部の非作動状態において、前記センサにより前記検出範囲内に第2の所定温度以上の発熱体が検出され、且つ、当該検出された発熱体が前記検出範囲において占める割合が第2の所定割合以上である場合に、該発熱体を人として検知する人検知部をさらに備えることを特徴とする浴室システム。
【請求項4】
請求項1記載の浴室システムにおいて、
現在の環境温度又は現在の月日を示すデータを取得し、該データにより示される環境温度又は月日に応じて前記第1の所定温度を可変的に設定する判定温度設定部をさらに備えることを特徴とする浴室システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の浴室システムにおいて、
前記センサは、その検出範囲内に固定された発熱体が含まれないように設置されていることを特徴とする浴室システム。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の浴室システムにおいて、
前記センサは、前記浴室空間に隣接する室内空間に設けられており、
前記浴室空間には、該浴室空間に加熱されたミストを噴霧可能なミスト噴霧装置が設置されており、
該ミスト噴霧装置によるミストの噴霧中に、前記入浴判定部により前記検出された発熱体が入浴目的の人であると判定されたとき、当該入浴目的の人に対してミストの噴霧中である旨を報知する処理、又は前記ミスト噴霧装置によるミストの噴霧を停止させる処理を実行するミスト噴霧時処理部をさらに備えることを特徴とする浴室システム。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の浴室システムにおいて、
前記センサは、前記浴室空間に設けられており、
前記浴室空間には、該浴室空間に加熱されたミストを噴霧可能なミスト噴霧装置が設置されており、
前記センサにより前記検出範囲内に周囲温度よりも温度が低い発熱体が検出され、且つ、当該検出された発熱体が前記検出範囲において占める割合が第3の所定割合以上である場合に、該発熱体を前記浴室空間への入室者として検知する入室者検知部と、
前記ミスト噴霧装置によるミストの噴霧中に、前記入室者検知部により前記浴室空間への入室者が検知されたとき、当該検知された入室者に対してミストの噴霧中である旨を報知する処理、又は前記ミスト噴霧装置によるミストの噴霧を停止させる処理を実行するミスト噴霧時処理部とをさらに備えることを特徴とする浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室空間又はこれに隣接する室内空間におけるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、浴室に配置した人感センサを用いて入浴パターンを学習し、学習した入浴パターンに基づいて浴室の空調装置の自動制御を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-67387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に見られるように浴室に人感センサを配置した場合、該人感センサにより、人が浴室に入室したことを検知することはできるものの、その入室者が入浴目的で浴室に入室したのか、あるいは、浴室の清掃や備品の整理等、入浴以外の目的で浴室に入室したのかは判らない。
【0005】
このため、特許文献1では、入浴以外の目的で浴室に入室した場合に、人感センサによる検知データが入浴パターンの学習データとして使用されるのを防止するために、ユーザが学習禁止時間帯を設定し、その学習禁止時間帯での入室の検知データを、学習データして使用しないようにする技術が提案されている。
【0006】
しかしながら、ユーザが学習禁止時間帯の設定をし忘れたり、あるいは、設定した学習禁止時間帯を失念した場合等に、学習禁止時間帯でない時間帯に、ユーザが入浴以外の目的で浴室に入室してしまう場合もあり得る。この場合、入浴以外の目的での浴室への入室が入浴目的での入室として誤検知されてしまう。ひいては、入浴パターンを誤って学習してしまう虞がある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、浴室やそれに隣接する室内空間にユーザが入浴目的で入室した場合に、そのことを高い信頼性で検知することができる浴室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の浴室システムは、上記の目的を達成するために、浴室空間と該浴室空間に隣接する室内空間とのうちの少なくとも一方に、所定の検出範囲内の温度分布を検出し得るように設けられたセンサと、
該センサにより前記検出範囲内に第1の所定温度以上の発熱体が検出され、且つ、当該検出された発熱体が前記検出範囲において占める割合が第1の所定割合以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人であると判定する入浴判定部とを備えることを特徴とする(第1発明)。
【0009】
ここで、前記検出範囲に、着衣状態の人が存在する場合と非着衣状態の人(裸体状態の人)が存在する場合とを比較すると、着衣状態の人が存在する領域のうち、該人が着衣している衣類により覆われている箇所で前記センサにより検出される温度は、非着衣状態の人が存在する領域で前記センサにより検出される温度よりも低い温度になる。これは、衣類により覆われている箇所では、人の体表面からの放熱が衣類によって遮られるためであると考えられる。
【0010】
従って、センサの検出範囲のうち、人が存在する領域で検出される温度分布は、該人が非着衣状態である場合には、該人の存在領域のほぼ全体の温度が、ある温度以上の温度(人の体表面の温度に応じた温度)になる。また、該人が着衣状態である場合には、該人の存在領域のうち、衣類で覆われていない箇所の温度は、非着衣状態の場合に検出される温度と同等の温度になる一方、衣類で覆われている箇所の温度は、非着衣状態の場合に検出される温度よりも低い温度(ある温度よりも低い温度)になる。
また、非着衣状態で浴室空間又はこれに隣接する室内空間(例えば脱衣室空間)に存在する人は、入浴目的を有する人とみなし得る。
【0011】
そこで、本発明では、入浴判定部は、前記センサにより前記検出範囲内に第1の所定温度以上の発熱体が検出され、且つ、当該検出された発熱体が前記検出範囲において占める割合が第1の所定割合以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人であると判定する。
【0012】
これにより、入浴判定部は、浴室空間又はこれに隣接する室内空間において、入浴目的を有する人がセンサの検出範囲に存在する場合に、当該人を入浴目的を有する人として適正に検知することが可能となる。よって、第1発明によれば、浴室やそれに隣接する室内空間にユーザが入浴目的で入室した場合に、そのことを高い信頼性で検知することが可能となる。
【0013】
上記第1発明では、現在の環境温度又は現在の月日を示すデータを取得し、該データにより示される環境温度又は月日に応じて前記入浴判定部を作動状態又は非作動状態に切り換える切換部をさらに備えるという態様を採用し得る(第2発明)。
【0014】
なお、入浴判定部の作動状態は、前記センサで検出される発熱体が入浴目的の人であるか否かを判定する処理を該入浴判定部が実行し、その判定結果が、有効なものとして扱われる状態を意味する。また、入浴判定部の非作動状態は、前記センサで検出される発熱体が入浴目的の人であるか否かを判定する処理を該入浴判定部が実行しないか、又は、該入浴判定部による判定結果が無効なものとして扱われる状態を意味する。
【0015】
ここで、人が着衣する衣類が薄手のものである場合、該衣類が厚手のものである場合よりも人の体表面から放出される熱を通しやすくなる。このため、厚手の衣類を着衣した人が、センサにより、前記第1の所定温度以上の発熱体として検出されなくとも、薄手の衣類を着衣した人が、センサにより、前記第1の所定温度以上の発熱体として検出される場合があり得る。また、人が厚手の衣類を着衣するか、薄手の衣類を着衣するかは、環境温度や、季節に関連する月日と高い相関性を有する。
【0016】
そこで、第2発明では、環境温度又は月日に応じて入浴判定部を作動状態又は非作動状態に切り換える切換部を備える。これにより、薄手の衣類を着衣する可能性が高い環境温度又は月日で、入浴判定部を非作動状態にすることが可能となる。ひいては、入浴判定部が、薄手の衣類を着衣した人を、第1の所定温度以上の発熱体として検出し、ひいては、該発熱体が入浴目的を有する人であると誤判定してしまうのを防止することが可能となる。
【0017】
上記第2発明では、前記入浴判定部の非作動状態において、前記センサにより前記検出範囲内に第2の所定温度以上の発熱体が検出され、且つ、当該検出された発熱体が前記検出範囲において占める割合が第2の所定割合以上である場合に、該発熱体を人として検知する人検知部をさらに備えてもよい(第3発明)。
なお、上記第2の所定割合は、前記第1の所定割合と同じ値を採用し得るが、該第1の所定割合と若干異なる値であってもよい。
【0018】
上記第3発明によれば、入浴判定部の非作動状態であっても、センサの検出範囲に人が存在すれば、該人が入浴目的を有する人であるか否かを問わずに、該人を人検知部により検知することが可能となる。
【0019】
前記第1発明では、前記第2発明の構成を採用する代わりに、現在の環境温度又は現在の月日を示すデータを取得し、該データにより示される環境温度又は月日に応じて前記第1の所定温度を可変的に設定する判定温度設定部をさらに備えるという態様を採用することもできる(第4発明)。
【0020】
これによれば、人が厚手の衣類を着衣するか、薄手の衣類を着衣するかと、高い相関性を有する環境温度や月日に応じて好適な第1の所定温度を設定できる。このため、人が厚手の衣類を着衣しているか薄手の衣類を着衣しているかに依存することなく、着衣している人がセンサの検出範囲内に存在する場合に、該人が入浴目的を有する人と誤判定されてしまうのを防止することとが可能となる。
【0021】
上記第1~第4発明では、前記センサは、その検出範囲内に固定された発熱体が含まれないように設置されていることが好ましい(第5発明)。
これによれば、発熱する装置等の固定物が入浴目的を有する人と誤判定されてしまうのを防止することができ、ひいては、入浴判定部の判定結果の信頼性を高めることができる。
【0022】
上記第1~第5発明では、前記センサが、前記浴室空間に隣接する室内空間に設けられており、前記浴室空間に、該浴室空間に加熱されたミストを噴霧可能なミスト噴霧装置が設置されている場合には、該ミスト噴霧装置によるミストの噴霧中に、前記入浴判定部により前記検出された発熱体が入浴目的の人であると判定されたとき、当該入浴目的の人に対してミストの噴霧中である旨を報知する処理、又は前記ミスト噴霧装置によるミストの噴霧を停止させる処理を実行するミスト噴霧時処理部をさらに備えるという態様を採用し得る(第6発明)。
【0023】
これによれば、浴室空間に隣接する室内空間で入浴しようとしている人(入浴目的を有する人)が、浴室空間で例えばカビ抑制等を目的とするミスト噴霧が行われていることを知らなくとも、該人が浴室空間に入室する前にミスト噴霧が自動的に停止され、あるいは、該人が報知によってミスト噴霧中であることを認識できる。このため、該人が、ミスト噴霧状態のままで浴室空間に入室してしまうのを防止し、ひいては、浴室空間への入室時に該人に対して不快感を及ぼすのを防止することが可能となる。
【0024】
また、上記第1~第5発明では、前記センサが、前記浴室空間に設けられており、前記浴室空間に、該浴室空間に加熱されたミストを噴霧可能なミスト噴霧装置が設置されている場合に、前記センサにより前記検出範囲内に周囲温度よりも温度が低い発熱体が検出され、且つ、当該検出された発熱体が前記検出範囲において占める割合が第3の所定割合以上である場合に、該発熱体を前記浴室空間への入室者として検知する入室者検知部と、前記ミスト噴霧装置によるミストの噴霧中に、前記入室者検知部により前記浴室空間への入室者が検知されたとき、当該検知された入室者に対してミストの噴霧中である旨を報知する処理、又は前記ミスト噴霧装置によるミストの噴霧を停止させる処理を実行するミスト噴霧時処理部とをさらに備えるという態様を採用することもできる(第7発明)。
【0025】
ここで、浴室空間でのミスト噴霧中には、浴室空間の雰囲気温度が比較的高い温度になるので、該浴室空間におけるセンサの検出範囲に人が進入すると、該人の存在領域でセンサにより検出される温度はその周囲の温度よりも低い温度になる。このため、浴室空間でのミスト噴霧中には、前記入室者検知部により、浴室空間への入室者を検知することができる。
【0026】
そして、浴室空間でのミスト噴霧中に、入室者検知部により、浴室空間への入室者が検知されたときに、ミスト噴霧を停止させることで、該入室者にミストが噴霧されてしまうのを速やかに防止できる。あるいは、入室者に対する報知を行うことで、該入室者は、浴室空間から退去する等の行動を速やかにとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1Aは、本発明の実施形態の浴室システムの浴室空間及び脱衣室空間の構成を側面視で示す図、図1Bは、該浴室システムの浴室空間及び脱衣室空間の構成を平面視で示す図。
図2】第1実施形態の浴室システムの作動制御に関する構成を示すブロック図。
図3図3A及び図3Bは、それぞれ、非着衣状態の人が存在する場合に浴室側センサ及び脱衣室側センサでそれぞれ検出される温度分布を概略的に例示する図、図3C及び図3Dは、それぞれ、着衣状態の人が存在する場合に浴室側センサ及び脱衣室側センサでそれぞれ検出される温度分布を概略的に例示する図。
図4】第2実施形態の浴室システムの作動制御に関する構成を示すブロック図。
図5】第3実施形態の浴室システムの作動制御に関する構成を示すブロック図。
図6】ミスト噴霧時に人が存在する場合に浴室側センサで検出される温度分布を概略的に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1A図3Dを参照して以下に説明する。図1A及び図1Bを参照して、本実施形態の浴室システムは、浴室空間10に所定の検出範囲内の温度分布を検出し得るように設置されたセンサ11(以降、浴室側センサ11ということがある)と、浴室空間10に隣接する室内空間としての脱衣室空間20に所定の検出範囲内の温度分布を検出し得るように設置されたセンサ21(以降、脱衣室側センサ21ということがある)とを備える。
【0029】
本実施形態では、センサ11,21は、いずれも複数の赤外線感知部をマトリクス状に配列した構造の公知の赤外線アレイセンサであり、それぞれ、正面側の所定の検出範囲内の温度分布(2次元の温度分布)を検出可能である。図1A及び図1Bでは、センサ11,21のそれぞれの概略の検出範囲が一点鎖線の内側の領域として示されている。なお、センサ11,21のそれぞれで検出される温度分布は、例えば、図3A図3Dに示すようにマトリクス状に配列された複数の升目領域のそれぞれの温度によって表される。
【0030】
浴室側センサ11は、浴室空間10の例えば天井部に設置されている。また、浴室空間10には、浴室側センサ11以外に、暖房運転もしくは乾燥運転を行い得る浴室暖房装置12、浴槽13、照明装置14、図示しない給湯栓やシャワー等が取り付けられた水栓台15が固定的な設置物として設置されている。浴室暖房装置12は、本実施形態では、浴室空間10に加熱されたミストを噴霧し得るミスト噴霧装置12aを含んでおり、該ミスト噴霧装置12aを作動させることで、ミスト運転を行うことも可能である。
【0031】
ここで、暖房運転もしくは乾燥運転時の浴室暖房装置12、あるいは、湯はり状態の浴槽13、あるいは点灯状態の照明装置14は、浴室空間10に固定された発熱体に相当するものとなる。そして、本実施形態では、浴室側センサ11は、その検出範囲内に、これらの浴室暖房装置12、浴槽13及び照明装置14が含まれないように、該浴室側センサ11の正面方向を斜め下方に向けた状態で、浴室空間10の天井部に設置されている。また、浴室側センサ11は、その検出範囲が、浴室空間10に入浴目的で入室する人(例えば図1A及び図1Bに示す人P1)が存在もしくは通過し得る範囲となるように設置されている。
【0032】
補足すると、浴室側センサ11は、浴室空間10の天井部に限らず、側壁に設置されていてもよい。また、図1Aでは、浴室暖房装置12は、浴室空間10の天井部に設置されているが、側壁に設置されていてもよい。また、図1Aでは、照明装置14は、浴室空間10の側壁に設置されているが、天井部に設置されていてもよい。そして、浴室側センサ11の設置位置や向きは、浴室空間10に固定的に設置された上記の如き発熱体の位置に応じて様々な設置位置や向きに設定され得る。
【0033】
脱衣室側センサ21は、脱衣室空間20の例えば天井部に設置されている。また、脱衣室空間20には、脱衣室側センサ21以外に、例えば、洗濯機22、衣類乾燥機23、照明装置24、洗面台25が固定的な設置物として設置されている。なお、図示例の洗面台25は、その上部25aに鏡や収容棚等を有し、下部25bに洗面器、給湯栓等を有する洗面台である。
【0034】
ここで、運転時の洗濯機22、運転時の衣類乾燥機23、点灯時の照明装置24は、脱衣室空間20に固定された発熱体に相当するものとなる。そして、本実施形態では、脱衣室側センサ21は、その検出範囲内に、これらの洗濯機22、衣類乾燥機23及び照明装置24が含まれないように、該脱衣室側センサ21の正面方向を下方に向けた状態で、脱衣室空間20の天井部に設置されている。また、脱衣室側センサ21は、その検出範囲が、脱衣室空間20に入浴目的で入室する人(例えば図1A及び図1Bに示す人P2)が存在もしくは通過し得る範囲となるように設置されている。
【0035】
補足すると、脱衣室側センサ21は、脱衣室空間20の天井部に限らず、側壁に設置されていてもよい。また、図1Aでは、照明装置24は、脱衣室空間20の天井部に設置されているが、側壁に設置されていてもよい。そして、脱衣室側センサ21の設置位置や向きは、脱衣室空間20に固定的に設置された上記の如き発熱体の位置に応じて様々な設置位置や向きに設定され得る。
【0036】
次に図2を参照して、本実施形態の浴室システムはさらに、浴室暖房装置12の運転制御等を行う機能を有する制御装置30を備える。該制御装置30は、図示しないマイコン等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成される。そして、該制御装置30には、センサ11,21の検出データが入力されると共に、図示しない温度センサで検出される環境温度の検出データが入力される。
【0037】
該環境温度は、本実施形態では外気温である。ただし、環境温度は、外気温に限らず、例えば季節的な温度変化の形態が外気温と近似する温度であってもよい。例えば、屋内空間のうち、空調(暖房又は冷房)が、定常的に、もしくは一定時間以上、行われていない空間の温度(例えば、空調が定常的に行われていない脱衣室空間20の温度、あるいは、浴室暖房装置12の一定時間以上の運転停止中における浴室空間10の温度)を環境温度として用いてもよい。
【0038】
また、制御装置30は、浴室暖房装置12の運転操作用として脱衣室空間20等に設置されるリモコン12Rと通信を行うことが可能である。詳細な図示は省略するが、該リモコン12Rには、浴室暖房装置12の運転操作のための操作部(操作スイッチ等)が備えられていると共に、浴室暖房装置12の運転に関する情報を表示する表示部や、音声情報もしくは報知音を出力する発音部が備えられている。
【0039】
そして、制御装置30は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、浴室暖房装置12の運転制御を行う運転制御部31と、浴室側センサ11及び脱衣室側センサ21のそれぞれで検出される発熱体が入浴目的の人(入浴の意思を有する人)であるか否かを判定する処理を実行する入浴判定部32としての機能と、環境温度に応じて入浴判定部32を作動状態又は非作動状態に切り換える切換部33としての機能と、浴室側センサ11又は脱衣室側センサ21の検出データに基づいて、浴室空間10又は脱衣室空間20に存在する人を検知する人検知部34としての機能と、浴室暖房装置12のミスト運転時(ミスト噴霧装置12aの作動時)に、浴室側センサ11の出力に基づく入浴判定部32の判定処理の結果に応じた制御処理を実行するミスト噴霧時処理部35としての機能とを有する。
【0040】
以下に、制御装置30の上記の各機能部の処理を詳細に説明する。本実施形態では、制御装置30は、切換部33の処理を逐次実行する。該切換部33は制御装置30に入力される環境温度の検出データを定期的に監視し、現在の環境温度が所定温度Ta(例えば25℃)よりも低い温度である場合には、入浴判定部32を作動状態に設定し、現在の環境温度が該所定温度Ta以上の温度である場合には、入浴判定部32を非作動状態に設定する。この場合、所定温度Taは、基本的には、夏季等、外気温が高い場合に環境温度の検出値が該所定温度Ta以上の温度になり、冬季等、外気温が低い場合に環境温度の検出値が該所定温度Taよりも低い温度になるようにあらかじめ設定されている。
【0041】
ここで、入浴判定部32の作動状態は、浴室側センサ11及び脱衣室側センサ21のそれぞれで検出される発熱体が入浴目的の人であるか否かを判定する処理(以降、入浴判定処理という)を該入浴判定部32が実行し、その判定結果が、有効なものとして制御装置30で扱われる(例えば、制御処理のための参照データとして使用される)状態を意味する。また、入浴判定部32の非作動状態は、該入浴判定部32が入浴判定処理を実行しないか、あるいは、制御装置30が入浴判定処理の判定結果を無効なものとして扱う状態を意味する。なお、切換部33により上記の処理を実行する理由は後述する。
【0042】
制御装置30は、切換部33により入浴判定部32を作動状態に設定した場合に、入浴判定部32により、浴室空間10に関する入浴判定処理と、脱衣室空間20に関する入浴判定処理とをそれぞれ実行する。これらの判定処理は、同様の手法で行われる。
【0043】
具体的には、浴室空間10に関する入浴判定処理では、入浴判定部32は、浴室側センサ11の検出データ(温度分布の検出データ)に基づいて、浴室側センサ11の検出範囲内に所定温度T1以上の発熱体(所定温度T1以上の領域)が検出されたか否かを逐次監視する。
【0044】
そして、浴室側センサ11の検出範囲内に所定温度T1以上の発熱体が検出された場合には、入浴判定部32は、浴室側センサ11の検出範囲内で該発熱体が占める領域の割合(該検出範囲の全体に対する割合)が所定割合R1以上であるか否かを判定し、所定割合R1以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人であると判定する。
【0045】
また、脱衣室空間20に関する入浴判定処理では、入浴判定部32は、脱衣室側センサ21の検出データ(温度分布の検出データ)に基づいて、脱衣室側センサ21の検出範囲内に所定温度T1以上の発熱体(所定温度T1以上の領域)が検出されたか否かを逐次監視する。
【0046】
そして、脱衣室側センサ21の検出範囲内に所定温度T1以上の発熱体が検出された場合には、入浴判定部32は、脱衣室側センサ21の検出範囲内で該発熱体が占める領域の割合(該検出範囲の全体に対する割合)が所定割合R1以上であるか否かを判定し、所定割合R1以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人であると判定する。なお、上記所定温度T1は、本発明における第1の所定温度に相当し、所定割合R1は、本発明における第1の所定割合に相当する。
【0047】
ここで、浴室空間10で浴室側センサ11の検出範囲内に人が存在している場合において、該人が着衣状態である場合と、非着衣状態(裸体状態)である場合とを比較すると、浴室側センサ11により検出される温度は、該人が非着衣状態である場合には、例えば図3Aに示すように、該人の存在領域のほぼ全体において、ある温度以上の温度(以降、非着衣身体温度という)になる。
【0048】
上記非着衣身体温度は、人の露出した体表面からの放熱に起因する温度であり、例えば28℃以上の温度である。また、入浴開始前の浴室空間10の雰囲気温度は、通常、非着衣身体温度よりも低い。なお、図3Aでは、浴室側センサ11から見た人P1の存在領域を破線で示し、検出範囲のうち、非着衣身体温度の領域を斜線領域として示している。
【0049】
一方、浴室空間10で浴室側センサ11の検出範囲内に存在する人が着衣状態である場合には、例えば図3Cに示すように、該人の存在領域のうち、衣類で被覆されていない箇所(図3Cでは人P1の頭部)の温度は上記非着衣身体温度になるものの、衣類で被覆されている箇所(図3Cでは人P1の頭部以外の箇所)の温度は、該人の体表面からの放熱が衣類により遮られるため、非着衣身体温度よりも低い温度(以降、着衣身体温度という)になる。該着衣身体温度は、例えば28℃よりも低い温度である。そして、この場合、該人の存在領域のうち、非着衣身体温度になる領域は、該人が非着衣状態である場合よりも狭い領域になる。
【0050】
浴室側センサ11の検出範囲内に人が存在する場合に、該浴室側センサ11により検出される温度に関する上記の事項は、脱衣室側センサ21の検出範囲内に人が存在する場合に、該脱衣室側センサ21により検出される温度についても同様である。すなわち、脱衣室空間20で脱衣室側センサ21の検出範囲内に存在する人が非着衣状態である場合には、脱衣室側センサ21により検出される温度は、例えば図3Bに示すように、該人の存在領域のほぼ全体において非着衣身体温度になる。そして、脱衣室空間20の雰囲気温度は、通常、非着衣身体温度よりも低い。
【0051】
また、脱衣室空間20で脱衣室側センサ21の検出範囲内に存在する人が着衣状態である場合には、例えば図3Dに示すように、人P2の存在領域のうち、衣類で被覆されていない箇所(図3Dでは人P2の頭部)に対して検出される温度は非着衣身体温度になるものの、衣類で被覆されている箇所(図3Dでは人P2の頭部以外の箇所)に対して検出される温度は、非着衣身体温度よりも低い着衣身体温度になる。そして、この場合、該人の存在領域のうち、非着衣身体温度になる領域は、該人が非着衣状態である場合よりも狭い領域になる。
【0052】
そこで、入浴判定部32は、浴室空間10に関する入浴判定処理では、浴室側センサ11の検出範囲で所定温度T1以上(例えば28℃以上)の発熱体が検出された場合に、該検出範囲内で該発熱体が占める領域の割合(以降、発熱体領域割合という)が所定割合R1以上であるか否かを判定する。この場合、所定割合R1は、浴室側センサ11の検出範囲で検出された発熱体が非着衣状態の人である場合に、当該判定の結果が肯定的になり、着衣状態の人である場合に、当該判定の結果が否定的になるように、あらかじめ設定される。
【0053】
ここで、上記発熱体領域割合が所定割合R1以上である場合には、該発熱体は、非着衣状態の人であるので、入浴目的で浴室空間10に入室した人であるとみなし得る。また、上記発熱体領域割合が所定割合R1よりも低い場合には、該発熱体は、着衣状態の人であるので、入浴目的以外の目的で浴室空間10に入室した人であるとみなし得る。
【0054】
このため、入浴判定部32は、浴室側センサ11の検出範囲内で検出された発熱体(所定温度T1以上の温度の発熱体)に係る発熱体領域割合が所定割合R1以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人と判定する。また、入浴判定部32は、該発熱体領域割合が所定割合R1よりも低い場合には、該発熱体は、入浴目的を有する人ではないと判定する(あるいは、入浴目的以外の目的で浴室空間10に存在する人であると判定する)。
【0055】
同様に、脱衣室空間20に関する入浴判定処理では、入浴判定部32は、脱衣室側センサ21の検出範囲で所定温度T1以上(例えば28℃以上)の発熱体が検出された場合に、該発熱体に係る発熱体領域割合が所定割合R1以上であるか否かを判定する。この場合、所定割合R1は、脱衣室側センサ21の検出範囲内で検出された発熱体が非着衣状態の人である場合に、当該判定の結果が肯定的になり、着衣状態の人である場合に、当該判定の結果が否定的になるように、あらかじめ設定される。
【0056】
そして、入浴判定部32は、脱衣室側センサ21の検出範囲内で検出された発熱体(所定温度T1以上の温度の発熱体)に係る発熱体領域割合が所定割合R1以上である場合に、該発熱体が入浴目的を有する人と判定し、該発熱体領域割合が所定割合R1よりも低い場合には、該発熱体は、入浴目的を有する人ではないと判定する(あるいは、入浴目的以外の目的で浴室空間10に存在する人であると判定する)。
【0057】
なお、浴室空間10に関する入浴判定処理での所定割合R1と、脱衣室空間20に関する入浴判定処理での所定割合R1とは同じ値に設定することも可能であるが、互いに異なる値に設定されてもよい。
【0058】
例えば、図1Aに示した例では、浴室側センサ11は、その正面方向が斜め下方に向けられており、脱衣室側センサ21は、その正面方向が真下方向に向けられている。このため、浴室側センサ11の検出範囲に人が存在する場合に、該人に関して浴室側センサ11で温度を検出し得る身体領域(人の頭部から脚部に至る領域)は、脱衣室側センサ21の検出範囲に人が存在する場合に、該人に関して脱衣室側センサ21で温度を検出し得る身体領域(人の上部の領域)よりも広い領域になる。そこで、浴室空間10に関する入浴判定処理での所定割合R1が、脱衣室空間20に関する入浴判定処理での所定割合R1よりも大きい値になるように、それぞれの所定割合R1が設定され得る。
【0059】
入浴判定部32による入浴判定処理は、浴室空間10及び脱衣室空間20のそれぞれに関して上記の如く行われる。そして、制御装置30は、切換部33により入浴判定部32を作動状態に設定した場合に、入浴判定部32による入浴判定処理の判定結果に基づいて、入浴パターンを学習する処理や、浴室暖房装置12の運転を制御する処理等を実行する。例えば、浴室空間10及び脱衣室空間20のいずれかに関する判定処理によって、脱衣室空間20又は浴室空間10に入浴目的の人が存在することが検知された場合において、浴室空間10の温度が低い場合に、浴室暖房装置12の暖房運転を自動的に開始させるという制御処理を制御装置30により実行し得る。
【0060】
また、例えば、脱衣室空間20に入浴目的の人が存在することが検知されることに応じて浴室暖房装置12の暖房運転を開始させた後、浴室空間10に入浴目的の人が存在することが検知された場合に、浴室暖房装置12の暖房運転の強弱を自動的に変更するという制御処理を制御装置30により実行し得る。
【0061】
あるいは、入浴判定部32による入浴判定処理の判定結果に応じて、例えば、浴室空間10の照明装置14や、脱衣室空間20の照明装置24の点灯制御もしくは調光制御を行うことも可能である。
【0062】
ところで、夏季等、環境温度が高い状況では、人が着衣する衣類が薄手の衣類、あるいは、露出範囲が広い衣類になるため、浴室側センサ11又は脱衣室側センサ21の検出範囲内に存在する人が着衣状態であっても、着衣している衣類が厚手の衣類である場合よりも、着衣身体温度が高めの温度(非着衣身体温度により近い温度)になったり、着衣身体温度の領域が小さくなりやすい。ひいては、着衣状態の人に係る発熱体領域割合が所定割合R1以上になって、入浴判定部32により、該人が入浴目的を有する人であると誤判定されやすくなる。
【0063】
このため、本実施形態では、制御装置30は、環境温度が所定温度Ta(例えば25℃)よりも高い場合に、切換部33により、入浴判定部32を非作動状態に設定する。これにより、浴室側センサ11又は脱衣室側センサ21の検出範囲内に存在する人が着衣状態であるのに、入浴判定部32により、入浴目的を有する人であると誤判定されてしまうのを防止できる。
【0064】
本実施形態では、環境温度が所定温度Taよりも高い場合に、上記のように入浴判定部32を非作動状態に設定するので、浴室側センサ11又は脱衣室側センサ21の検出範囲に人が存在しても、その人が入浴目的を有する人であるか否かを判定することはできない。
【0065】
ただし、本実施形態では、制御装置30は、人検知部34としての機能を有している。この人検知部34は、切換部33により入浴判定部32が非作動状態に設定された場合に、浴室空間10での人検知処理と、脱衣室空間20での人検知処理とをそれぞれ実行する。浴室空間10での人検知処理では、人検知部34は、浴室側センサ11の検出データ(温度分布の検出データ)に基づいて、浴室側センサ11の検出範囲内に所定温度T2以上の発熱体(所定温度T2以上の領域)が検出されたか否かを逐次監視する。
【0066】
該所定温度T2は、例えば前記入浴判定処理における所定温度T1と同じ温度(例えば28℃)である。ただし、所定温度T2は、入浴判定処理における所定温度T1と若干異なる温度に設定されてもよい。なお、所定温度T2は、本発明における第2の所定温度に相当する。
【0067】
そして、浴室側センサ11の検出範囲内に所定温度T2以上の発熱体が検出された場合には、人検知部34は、浴室側センサ11の検出範囲内で該発熱体が占める領域の割合(発熱体領域割合)が所定割合R2以上であるか否かを判定し、所定割合R2以上である場合に、該発熱体が人であると判定する。これにより、浴室側センサ11の検出範囲内に人が存在する場合に、該人が着衣状態であるか否かを問わずに、該人を検知することができる。
【0068】
また、脱衣室空間20での人検知処理は、脱衣室側センサ21の検出データ(温度分布の検出データ)に基づいて、浴室空間10での人検知処理と同様に行われる。すなわち、人検知部34は、脱衣室側センサ21の検出データに基づいて、脱衣室側センサ21の検出範囲内に所定温度T2以上の発熱体が検出されたか否かを逐次監視する。
【0069】
そして、脱衣室側センサ21の検出範囲内に所定温度T2以上の発熱体が検出された場合には、人検知部34は、脱衣室側センサ21の検出範囲内で検出された発熱体に係る発熱体領域割合が所定割合R2以上であるか否かを判定し、所定割合R2以上である場合に、該発熱体が人であると判定する。これにより、脱衣室側センサ21の検出範囲内に人が存在する場合に、該人が着衣状態であるか否かを問わずに、該人を検知することができる。
【0070】
なお、人検知処理に関する上記所定割合R2は、浴室空間10及び脱衣室空間20のそれぞれについて、例えば前記入浴判定処理に関する所定割合R1と同じ値を使用し得る。ただし、浴室側センサ11及び脱衣室側センサ21の検出範囲に存在する人を適切に検知し得るものであれば、人検知処理に関する所定割合R2を、入浴判定処理に関する所定割合R1と異ならせてもよい。なお、所定割合R2は、本発明における第2の所定割合に相当する。
【0071】
また、制御装置30は、浴室暖房装置12のミスト運転時(ミスト噴霧装置12aの作動時)において、ミスト噴霧時処理部35の処理を実行する。該ミスト噴霧時処理部35は、浴室暖房装置12のミスト運転時において、脱衣室空間20に関する入浴判定部32の入浴判定処理の結果を逐次監視する。
【0072】
ここで、浴室暖房装置12のミスト運転は、使用者が入浴するときに実行させる場合に限らず、浴室空間10におけるカビ対策を目的として実行される場合がある。そして、この場合、入浴しようとする使用者が浴室暖房装置12のミスト運転が実行されていることを認識していない状態で、浴室空間10に入室する場合があり、ひいては、該使用者に不快感を及ぼしやすい。
【0073】
そこで、ミスト噴霧時処理部35は、浴室暖房装置12のミスト運転時に脱衣室空間20に関する入浴判定部32の入浴判定処理の結果を逐次監視する。そして、ミスト噴霧時処理部35は、入浴判定部32が、脱衣室空間20において脱衣室側センサ21を介して検知された発熱体が入浴目的を有する人であると判定した場合には、浴室暖房装置12のミスト運転を停止させるように該浴室暖房装置12を制御する。あるいは、ミスト噴霧時処理部35は、浴室空間10でミスト運転が行われている旨を示す報知情報を、表示情報もしくは音声情報としてリモコン12Rから出力させる。
これにより、浴室空間10でミスト運転が、入浴しようとする使用者(入浴目的で浴室空間10に入室しようとする使用者)に不快感を及ぼすのを防止することができる。
【0074】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図4を参照して説明する。なお、本実施形態は、制御装置30の一部の処理だけが第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
図4を参照して、本実施形態では、制御装置30は、前記切換部33の代わりに、入浴判定部32の入浴判定処理における所定温度T1を可変的に設定する判定温度設定部36としての機能を備える。この判定温度設定部36は、制御装置30に入力される環境温度の検出データを定期的に取得し、現在の環境温度に応じて入浴判定処理における所定温度T1を設定する。例えば、判定温度設定部36は、現在の環境温度が所定温度Ta(例えば25℃)よいも低い温度である場合には、入浴判定処理における所定温度T1を第1実施形態と同じ温度(例えば28℃)に設定し、現在の環境温度が所定温度Ta(例えば25℃)以上の温度である場合には、環境温度<Taである場合よりも高めの温度(例えば32℃)に設定する。
【0075】
当該高めの温度(32℃)は、着衣状態の人の衣類が薄手のものであっても、該衣類で被覆された箇所の放熱温度(浴室側センサ11又は脱衣室側センサ21で検出される温度)が当該高めの温度よりも低くなり、且つ、非着衣状態の人の放熱温度が当該高めの温度以上の温度になるようにあらかじめ実験等に基づき設定される。
【0076】
さらに、本実施形態では、入浴判定部32は、環境温度によらずに、作動状態に維持される。そして、入浴判定部32は、環境温度が所定温度Taよりも低い場合には、浴室側センサ11及び脱衣室側センサ21のそれぞれの検出範囲で発熱体を検出するための所定温度T1として、判定温度設定部36で環境温度に応じて設定された温度(例えば28℃)を用いて、第1実施形態と同様に入浴判定処理を実行する。この場合、この入浴判定処理で使用する所定割合R1は第1実施形態と同じでよい。
【0077】
また、環境温度が所定温度Ta以上である場合には、入浴判定部32は、浴室側センサ11及び脱衣室側センサ21のそれぞれの検出範囲で発熱体を検出するための所定温度T1として、判定温度設定部36で環境温度に応じて設定された温度(例えば32℃)を用いて、第1実施形態と同様に入浴判定処理を実行する。
【0078】
この場合、この入浴判定処理で使用する所定割合R1は、環境温度が所定温度Taよりも低い場合に使用する所定割合R1と同じ値でもよいが、異なる値に設定されていてもよい。すなわち、環境温度が所定温度Ta以上である場合には、環境温度が所定温度Taよりも低い場合に比べて、着衣状態の人の露出範囲が多くなりやすい。そこで、環境温度が所定温度Ta以上である場合に使用する所定割合R1は、環境温度が所定温度Taよりも低い場合に使用する所定割合R1よりも大きい値に設定されることが好ましい。
【0079】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1実施形態と同じである。本実施形態によれば、入浴判定部32の入浴判定処理で使用する所定温度T1を、上記の如く環境温度に応じて可変的に設定することで、環境温度の高低によらずに、浴室側センサ11又は脱衣室側センサ21の検出範囲内で検出された発熱体(所定温度T1以上の温度の発熱体)を、非着衣状態の人と、着衣状態の人とに区別して検知することができる。ひいては、検出された発熱体が入浴目的を有する人であるか否かを適切に判定することができる。
【0080】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図5及び図6を参照して説明する。なお、本実施形態は、制御装置30の一部の処理だけが第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0081】
図5を参照して、本実施形態では、制御装置30は、浴室暖房装置12のミスト運転時(ミスト噴霧装置12aの作動時)において、浴室側センサ11の検出データに基づいて、浴室空間10への入室者を検知する入室者検知部37としての機能をさらに備えている。
【0082】
ここで、浴室暖房装置12のミスト運転によって、高温のミストを浴室空間10に噴霧している状態で、人が浴室空間10に入室して、浴室側センサ11の検出範囲に進入した場合、図6に示すように、人P3(入室者)の存在範囲で浴室側センサ11により検出される温度(図6では斜線部の温度)は、該人P3の周囲の雰囲気温度(高温のミストが噴霧されている領域の温度。図6ではグレー色部分の温度)よりも低い温度になる。
【0083】
そこで、入室者検知部37は、浴室暖房装置12のミスト運転時に浴室側センサ11の検出データを逐次監視し、該浴室側センサ11の検出範囲内で、周囲温度よりも低い温度の発熱体を検出する。そして、入室者検知部37は、当該低い温度の発熱体が検出された場合には、さらに、浴室側センサ11の検出範囲内で当該低い温度の発熱体が占める領域の割合(発熱体領域割合)が所定割合R3以上であるか否かを判定する。
【0084】
この場合、所定割合R3は、検出された当該低い温度の発熱体が人である場合に、該人が衣状態であるか非着衣状態であるかによらずに、当該判定の結果が肯定的になり、当該低い温度の発熱体が人でない場合に、当該判定の結果が否定的になるように、あらかじめ設定される。なお、所定割合R3は、本発明における第3の所定割合に相当する。
【0085】
そして、入室者検知部37は、当該低い温度の発熱体に係る発熱体領域割合が所定割合R3以上である場合に、該発熱体が浴室空間10への入室者であると判定し、所定割合R3よりも小さい場合には、該発熱体が浴室空間10への入室者でないと判定する。
【0086】
また、本実施形態では、制御装置30は、入室者検知部37により、浴室側センサ11の検出範囲内で検出された発熱体(当該低い温度の発熱体)が入室者であると判定された場合には、ミスト噴霧時処理部35により第1実施形態に関して説明した処理と同じ処理を実行する。
【0087】
すなわち、ミスト噴霧時処理部35は、入室者検知部37により、浴室側センサ11の検出範囲内で検出された発熱体(当該低い温度の発熱体)が入室者であると判定された場合には、浴室暖房装置12のミスト運転を停止させるように該浴室暖房装置12を制御する。これにより、浴室空間10への入室者にミストが噴霧されてしまうのを防止することができる。
【0088】
あるいは、ミスト噴霧時処理部35は、浴室空間10でミスト運転が行われている旨を示す報知情報を、音声情報としてリモコン12Rから出力させる。れにより、浴室空間10への入室者は、その入室直後にミスト噴霧中であることを認識して、直ちに浴室空間10から退避することができる。なお、制御装置30が、浴室空間10の風呂リモコン等の機器の作動制御を行い得る場合には、当該報知情報を、該機器から表示情報もしくは音声情報として出力させてもよい。
【0089】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1実施形態と同じである。なお、制御装置30は、切換部33の代わりに前記判定温度設定部36を備えるものであってもよい。
【0090】
補足すると、入室者検知部37と、該入室者検知部37の判定結果(入室者の検知結果)に応じた処理を実行するミスト噴霧時処理部35とは、前記した入浴判定部32、切換部33もしくは判定温度設定部36、及び人検知部34を備えるシステムを必須とするものではなく、これらの機能部を備えないシステムにおいても採用し得る。
【0091】
[他の実施形態]
本発明は、以上説明した第1~第3実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか例示する。前記各実施形態では、切換部33の処理、あるいは、判定温度設定部36の処理で、環境温度を用いたが、該環境温度の代わりに、例えば、月日を示すデータを使用してもよい。
【0092】
例えば、月日が、夏季に該当する月日である場合に、前記環境温度が所定温度Ta以上である場合と同じ処理を切換部33又は判定温度設定部36で行い、月日が、夏季に該当する月日でない場合に、ある場合に、前記環境温度が所定温度Taよりも低い場合と同じ処理を切換部33又は判定温度設定部36で行うようにしてもよい。
【0093】
また、前記各実施形態では、人検知部34を備えたが、これを省略してもよい。また、前記各実施形態では、ミスト噴霧装置12aが、浴室暖房装置12に搭載された装置であるが、浴室暖房装置12と別の機器として浴室空間10に設置されていてもよい。
【0094】
また、第1実施形態又は第2実施形態では、浴室暖房装置12やミスト噴霧装置12aを備える浴室システムを例示したが、本発明の浴室システムは、浴室暖房装置12やミスト噴霧装置12aを備えていなくてもよい。ミスト噴霧装置12aを備えない浴室システムでは、ミスト噴霧時処理部35は不要である。
【符号の説明】
【0095】
10…浴室空間、20…脱衣室空間(浴室空間に隣接する室内空間)、11,21…センサ、12…浴室暖房装置(固定された発熱体)12a…ミスト噴霧装置、13…浴槽(固定された発熱体)、14…照明装置(固定された発熱体)、22…洗濯機(固定された発熱体)、23…衣類乾燥機(固定された発熱体)、24…照明装置(固定された発熱体)、32…入浴判定部、33…切換部、34…人検知部、35…ミスト噴霧時処理部、36…判定温度設定部、37…入室者検知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6