(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156148
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】挿管困難判定システム、挿管困難判定装置、および挿管困難判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20231017BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065838
(22)【出願日】2022-04-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼令和3年4月26日にウェブサイトを通じて公開 ▲2▼令和3年5月 6日にウェブサイトを通じて公開
(71)【出願人】
【識別番号】301049157
【氏名又は名称】株式会社アルム
(71)【出願人】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】100168952
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】川前 金幸
(72)【発明者】
【氏名】早坂 達哉
(72)【発明者】
【氏名】河野 和晴
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】患者の挿管困難を判定すること。
【解決手段】
挿管困難判定システム10は、患者の挿管困難の判定結果を確認する人物が操作する情報端末100と、患者の挿管困難を判定するための処理を実行する挿管困難判定装置200とが通信回線を介して接続され、情報端末100は、患者の顔画像を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された患者の顔画像を挿管困難判定装置200へ送信する画像送信手段と、挿管困難判定装置200から送信された挿管困難の判定結果を受信して表示装置に表示する表示手段とを備え、挿管困難判定装置200は、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、情報端末から受信した患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、AIモデルから出力された挿管困難の判定結果を情報端末100へ送信する判定結果送信手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の挿管困難の判定結果を確認する人物が操作する情報端末と、患者の挿管困難を判定するための処理を実行する挿管困難判定装置とが通信回線を介して接続された挿管困難判定システムであって、
前記情報端末は、
前記患者の顔画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって撮影された前記患者の顔画像を前記挿管困難判定装置へ送信する画像送信手段と、
前記挿管困難判定装置から送信された前記挿管困難の判定結果を受信して表示装置に表示する表示手段とを備え、
前記挿管困難判定装置は、
前記患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、前記情報端末から受信した患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから出力された前記挿管困難の判定結果を前記情報端末へ送信する判定結果送信手段とを備えることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作製されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作製用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作製中の前記AIモデルの検証を行うことによって作製されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項5】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから出力された前記挿管困難の判定結果を表示装置に表示する表示手段とを備えることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項6】
請求項5に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作製されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項8】
請求項7に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作製用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作製中の前記AIモデルの検証を行うことによって作製されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項9】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから前記挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手段とを備えることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の挿管困難判定装置において、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の挿管困難判定装置において、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作製されることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の挿管困難判定装置において、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作製用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作製中の前記AIモデルの検証を行うことによって作製されることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項13】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手順と、
前記AIモデルから前記挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手順とをコンピューターに実行させるための挿管困難判定プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【請求項15】
請求項13または14に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作製されることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作製用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作製中の前記AIモデルの検証を行うことによって作製されることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿管困難判定システム、挿管困難判定装置、および挿管困難判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次のような挿管支援装置が知られている。この挿管支援装置は、挿入具の先端が位置する観察部位を電子画像として撮像し、撮像した電子画像をディスプレイ部に表示することにより、患者の気管への挿入具の挿入時における操作性を向上させている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者の気道確保を行うためには気管挿管が有効である。このために、患者への気管挿管を支援するための装置として、従来の挿管支援装置のような装置が存在している。一方で、患者によっては挿管困難である場合がある。このような挿管困難の患者に対して、無理な挿管手技により気管挿管を試みてしまうと、患者状況を悪化させてしまう可能性がある。このため、事前に挿管困難であることを判定することができれば、挿管困難な患者に対して無理な挿管手技により患者状況を悪化させることなく、熟練度が高い医師などに引き継ぐことができるため、人命救助に貢献することができる。このためには事前に挿管困難を判定するための仕組みが求められるが、従来はそのための技術については何ら検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による挿管困難判定システムは、患者の挿管困難の判定結果を確認する人物が操作する情報端末と、患者の挿管困難を判定するための処理を実行する挿管困難判定装置とが通信回線を介して接続された挿管困難判定システムであって、情報端末は、患者の顔画像を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された患者の顔画像を挿管困難判定装置へ送信する画像送信手段と、挿管困難判定装置から送信された挿管困難の判定結果を受信して表示装置に表示する表示手段とを備え、挿管困難判定装置は、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、情報端末から受信した患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、AIモデルから出力された挿管困難の判定結果を情報端末へ送信する判定結果送信手段とを備えることを特徴とする。
本発明による挿管困難判定システムはまた、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、AIモデルから出力された挿管困難の判定結果を表示装置に表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明による挿管困難判定装置は、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、AIモデルから挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手段とを備えることを特徴とする。
本発明による挿管困難判定プログラムは、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手順と、AIモデルから挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手順とをコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、患者の挿管困難を判定してその判定結果を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】挿管困難判定システム10の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】情報端末100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図3】挿管困難判定装置200の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図4】Cormack-Lehane分類における分類方法を模式的に示した図である。
【
図5】患者の16体位の顔画像の一例を示す図である。
【
図6】AIモデルの作製過程の一例を模式的に示した図である。
【
図8】AIモデルのGrad-CAMを説明するための第1の図である。
【
図9】AIモデルのGrad-CAMを説明するための第2の図である。
【
図10】患者の16種類の顔画像についてAIモデルを作製した結果の一例を示す図である。
【
図11】仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像とした場合の学習曲線とROC曲線の一例を示す図である。
【
図12】情報端末100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図13】挿管困難判定装置200で実行される予測処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
気管挿管は患者の気道確保を行うために有効な手段である。その一方で、気管挿管に伴う出血や気道浮腫、食道挿管等の生死にかかわる合併症が発生することも少なくない。このため、事前に患者が挿管困難であることが判断できれば無理な挿管手技により患者状況を悪化させることなく、挿管に不慣れな医師や救命救急士から、熟練した麻酔科医師や救急科医師に引き継ぐことが可能となり、人命救助への貢献が期待できる。そこで、本実施の形態における挿管困難判定システムでは、患者の顔画像と実際の挿管難易度を結びつけた深層学習(Convolutional Neural Network:CNN)を用いて作製されたAIモデル(機械学習モデル)を用いて、患者の挿管困難を判定するための仕組みを提供する。
【0009】
図1は、本実施の形態における挿管困難判定システム10の一実施の形態の構成を示すブロック図である。挿管困難判定システム10は、情報端末100と、挿管困難判定装置200とが通信回線を介して接続されている。
【0010】
図2は、本実施の形態における情報端末100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。情報端末100は、患者の挿管困難の判定結果を確認する人物、例えば医師や救急隊員が使用する端末であって、例えば、タブレット端末やスマートフォンなどが用いられる。
図2は、本実施の形態における情報端末100として、タブレット端末を用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。情報端末100は、タッチパネル101と、カメラ102と、制御装置103と、通信モジュール104とを備えている。
【0011】
タッチパネル101は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作することができる入力装置である。例えば、情報端末100の操作者は、液晶パネル上に表示されたボタンやメニュー等の表示項目を指やタッチペンを用いてタッチまたはスライドさせることにより、情報端末100を操作することができる。タッチパネル101は、操作者によるタッチやスライドといった操作を検出して、その検出信号を制御装置103へ出力する。
【0012】
カメラ102は、レンズ、撮像素子、その他周辺回路によって構成される公知の撮像装置である。カメラ102で撮影された画像や動画のデータは、制御装置103へ出力される。本実施の形態における情報端末100では、カメラ102を使用して動画や静止画を撮影することができる。
【0013】
制御装置103は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、情報端末100の全体を制御する。なお、制御装置103を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、情報端末100を動作させるためのファームウェアや種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。本実施の形態では、以下に説明する処理を実行するためのプログラムは不揮発性のメモリに記録されている。なお、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリは、不図示のカードスロットに挿入されたメモリカードなどの外部の記憶媒体を利用するようにしてもよい。
【0014】
通信モジュール104は、無線または有線により、LANや携帯電話通信網を介して情報端末100をインターネットなどの通信回線に接続させるためのモジュールを含む。本実施の形態では、情報端末100は、通信モジュール104を介して挿管困難判定装置200と通信する。
【0015】
挿管困難判定装置200は、インターネットに接続された装置であって、例えば、パソコンやサーバなどが用いられる。
図3は、本実施の形態における挿管困難判定装置200として、サーバ装置を用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。挿管困難判定装置200は、接続インターフェース201と、制御装置202と、記憶媒体203とを備えている。
【0016】
接続インターフェース201は、挿管困難判定装置200をインターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースであり、例えば、インターネットに有線で接続するための有線LANモジュールや、インターネットに無線で接続するための無線LANモジュールなどが用いられる。本実施の形態では、挿管困難判定装置200は、この接続インターフェース201を介して情報端末100と通信する。
【0017】
制御装置202は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され挿管困難判定装置200の全体を制御する。なお、制御装置202を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。例えば、接続インターフェース201を介して読み込まれたデータは、バッファメモリに一時的に記録される。
【0018】
記憶媒体203は、挿管困難判定装置200が蓄える種々のデータや、制御装置202が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記憶媒体203に記録されるプログラムのデータは、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供され、操作者が取得したプログラムのデータを記憶媒体203にインストールすることによって、制御装置202がプログラムを実行できるようになる。本実施の形態では、制御装置202は、記憶媒体203にインストールされた挿管困難判定システム用のアプリケーションを実行することにより、後述する処理を実行することができる。
【0019】
本実施の形態における挿管困難判定システム10では、気管挿管を行った患者の顔画像と、患者の挿管難易度を示す情報とを紐づける深層学習を行って作製されたAIモデルを用いて患者の挿管困難を予測する。このために、挿管困難判定装置200では、制御装置202は、患者の顔画像が入力されると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルを有し、該AIモデルを用いて患者の挿管困難を予測するための予測処理を実行する。以下、制御装置202で実行される予測処理について説明する。
【0020】
まず、本実施の形態で用いるAIモデルについて説明する。AIモデルは、気管挿管を行った患者の情報を学習処理の対象として機械学習を行うことによって作製されている。この場合、学習処理の対象とする患者は、例えば、全身麻酔を受けて気管挿管を伴う手術を行った患者とすればよい。なお、学習処理の対象とする患者には、あらかじめ除外基準を設けて、除外基準に該当する患者は、学習処理の対象から除外するようにしてもよい。本実施の形態では、例えば、20歳未満の患者、顔貌が変化する可能性がある手術患者、頚部可動範囲が変化する手術患者、麻酔経験3年未満の医師が挿管した患者、マッキントッシュ喉頭鏡を使用せずに挿管した患者、声門上器具を使用した患者、認知症や指示に従えない患者、他の研究により学習処理の対象にできない患者、および精神疾患の患者が除外基準に設定されている。
【0021】
学習処理の対象患者に対して気管挿管を行った場合、気管挿管を行った麻酔科医やその補助者などの人物は、患者の実際の挿管難易度を示す挿管難易度情報を控えておく。挿管難易度情報としては、例えば、喉頭を展開したときの視野を4段階で表したCormack-Lehane分類を用いる。Cormack-Lehane分類は公知のため詳細の説明は省略するが、
図4に示すように、喉頭蓋と声門が良好に見える場合はGrade I、声門の後部のみが見える場合はGrade II、喉頭蓋のみが見える場合はGrade III、喉頭蓋も見えない場合はGrade IVに分類される。
【0022】
また、患者の顔画像の撮影者は、学習処理の対象患者が手術を終えた後、例えば手術日の翌日に、患者の顔画像を撮影する。なお、検証段階では、患者の体位と撮影方向を変えて患者顔画像を複数パターン用意した。そして、各顔画像を対象としてAIモデルを作製し、その中から最も挿管困難の予測精度が高いものを採用するようにした。このため、本実施の形態では、事前の検証段階では、以下に示す16種類の顔画像を撮影してAIモデルを作製した。そして、検証の結果、最も挿管困難の予測精度が高いAIモデルが得られた顔画像を採用するようにした。
【0023】
本実施の形態では、例えば、
図5に示すように、患者の仰臥位の閉口中間位、開口中間位、閉口後屈、開口後屈、側面閉口中間位、側面開口中間位、側面閉口後屈、および側面開口後屈と、患者の座位の閉口中間位、開口中間位、閉口後屈、開口後屈、側面閉口中間位、側面開口中間位、側面閉口後屈、および側面開口後屈との16体位における顔画像を検証の対象とした。そして、検証の結果、上記16体位の顔画像の中から仰臥位の側面閉口中間位を撮影した仰臥位側面閉口中間位画像を患者の顔画像として用いることにした。なお、上記16体位の顔画像の中から仰臥位側面閉口中間位画像を患者の顔画像として選択した理由については後述する。
【0024】
本実施の形態における挿管困難判定装置200では、制御装置202には、上述したように、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルが搭載されている。このAIモデルは、上述した挿管難易度情報と患者の顔画像とを関連付けたAIモデル作製用情報に基づいて、患者の顔画像と挿管難易度を示す情報とを紐づける深層学習を行うことによってあらかじめ作製されている。例えば、AIモデルは、AIモデル作製用情報を学習用のトレーニングデータと、テスト用のテストデータに分類し、公知の深層学習の方法により作製される。
【0025】
本実施の形態では、AIモデルを作製する過程で、学習用情報に含まれる挿管難易度情報に基づいて、各患者の挿管難易度はEasyとDifficultのいずれかに分類されている。患者の挿管難易度は、Cormack-Lehane分類がGrade IまたはGrade IIの場合は、その患者の実際の挿管難易度は挿管が容易であることを示すEasyとし、Cormack-Lehane分類がGrade IIIまたはGrade IVの場合は、その患者の実際の挿管難易度は挿管が困難であることを示すDifficultとするように分類されている。
【0026】
AIモデルの作製においては、分類した患者の挿管難易度と学習用情報に含まれる患者の顔画像とに基づいて、患者の顔画像と患者の実際の挿管難易度を結びつける深層学習(Convolutional Neural Network:CNN)を用いて、顔画像から挿管困難を分類するAIモデルが作製される。これによって、患者の顔画像を入力すると、患者の挿管困難の予測結果としてEasyまたはDifficultを出力するAIモデルが作製される。
【0027】
図6は、本実施の形態におけるAIモデルの作成過程を模式的に示した図である。制御装置202は、
図6に示すように、患者顔画像と実際の挿管難易度を紐づける深層学習(CNN)が行われた分類器を有する。なお、
図6では、AIモデル作製用情報の80%をトレーニングデータとし、残りの20%をテストデータとする例を示している。また、
図6に示す例では、テストデータを変えた5つのデータセットを用意している。
【0028】
図7は、AIモデル作製の全体像を示す図である。AIモデルの作製は、データ拡張、転移学習、患者顔画像によるCNN、テストデータ偏りの是正、およびモデルの可視化で構成される。なお、深層学習を用いたAIモデルの作製方法は公知のため詳細な説明を省略する。
【0029】
深層学習(CNN)により特徴数値マップが得られることは公知のため詳細な説明は省略する。特徴数値マップに基づいて作製されたクラス活性化ヒートマップはAIの注目領域を示している。
図8(B)は、該AIモデルにおいて
図8(A)に示す顔画像に基づいてGrad-CAMを用いて作製されたクラス活性化ヒートマップを示している。
【0030】
図9(A)は、挿管困難の予測結果がEasyとなる患者のクラス活性化ヒートマップの一例を示している。また、
図9(B)は、Easyと分類された対象患者全体のクラス活性化ヒートマップのRGB平均値を表した図である。このように、挿管困難の予測結果がEasyとなる患者は、視点がオトガイから喉頭にかけての一か所に集中する傾向にあることがわかる。一方、
図9(C)は、挿管困難の予測結果がDifficultとなる患者のクラス活性化ヒートマップの一例を示している。また、
図9(D)は、Difficultと分類された対象患者全体のクラス活性化ヒートマップのRGB平均値を表した図である。このように、挿管困難の予測結果がDifficultとなる患者は、複数の特徴により視点が分散する傾向にあることがわかる。
【0031】
上述したように、本実施の形態では、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した仰臥位側面閉口中間位画像を患者の顔画像として用いるようにした。ここで、上述した患者の16体位における顔画像の中から仰臥位側面閉口中間位画像を選択した理由について説明する。
【0032】
事前の検証において、患者の16種類の顔画像についてAIモデルを作製した結果、各画像における挿管困難の予測結果のAUC、感度、特異度、正確度、および95%信頼度は、例えば
図10(A)に示すようになった。この結果により、最良の挿管困難の予測結果を得るためには、患者の仰臥位側面閉口中間位を用いてAIモデルを作製すればよいことがわかった。仰臥位側面閉口中間位を用いて作製したAIモデルの予測結果10aは、AUC=0.864、感度=81.8%、特異度=83.3%、正確度=80.5%、および95%信頼区間=0.731-0.969であり、
図10(B)に示すように、対象患者の既存の挿管困難予測因子のAUCよりも優れた挿管困難診断能を得られた。なお、
図11(A)は、仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像とした場合の学習曲線を示し、
図11(B)は、仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像とした場合のROC曲線を示している。また、AUCが0.864であることから、患者の仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像として用いて作製したAIモデルは、熟練した医師の目の代替になり得るとも考えられる。このため、本実施の形態では、患者の顔画像として仰臥位側面閉口中間位画像を採用することとした。
【0033】
上記の処理によってAIモデルが作製されると、制御装置202は、AIモデルを利用した予測処理が可能になる。この場合、新たな患者が発生したときに、その患者の仰臥位側面閉口中間位画像を撮影し、AIモデルに仰臥位側面閉口中間位画像を入力すれば、その患者の挿管困難の予測結果を得ることができる。これによって、患者に挿管の必要が生じたときに事前に患者への気管挿管が容易か困難かを予測することができる。例えば、気管挿管が困難であることが予測される患者の場合は、熟練した医師や麻酔科医に挿管をより迅速に依頼するなどの対応が可能となる。以下、本実施の形態の挿管困難判定システム10における予測処理の流れについて説明する。
【0034】
情報端末100を所持する人物、例えば医師や救急隊員は、患者への挿管が必要と判断した場合には、情報端末100を操作して患者の顔画像を撮影する。本実施の形態では、上述したように患者の仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像とするため、撮影者は、患者の仰臥位の側面閉口中間位の画像を撮影する。情報端末100の制御装置103は、撮影者によって撮影が指示されるとカメラ102を制御して画像を撮影し、撮影した画像を通信モジュール104を介して挿管困難判定装置200へ送信する。このとき制御装置103は、カメラ102から入力される画像をタッチパネル101に表示して、撮影者が画像を確認しながら撮影できるようにしてもよい。
【0035】
挿管困難判定装置200では、制御装置202は、情報端末100から患者の顔画像を受信すると、受信した顔画像をAIモデルに入力して、AIモデルから顔画像に基づく患者の挿管困難の予測結果を得る。制御装置202は、患者の予測結果を得た場合には、AIモデルから出力された患者の挿管困難の予測結果を示す情報を情報端末100へ送信する。
【0036】
情報端末100では、制御装置103は、挿管困難判定装置200から患者の挿管困難の予測結果を示す情報を受信すると、受信した情報をタッチパネル101に表示する。これによって、情報端末100を所持する人物は、患者の挿管困難の予測結果を把握することができる。
【0037】
図12は、本実施の形態における情報端末100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示す処理は、操作者によって挿管困難判定システム用のアプリケーションの実行が指示されると起動するプログラムとして、制御装置103によって実行される。なお、
図12に示す処理においては、上述した患者の挿管困難を予測するためのAIモデルは既に作製されているものとする。
【0038】
ステップS10において、制御装置103は、操作者によって患者の顔画像の撮影が指示されたか否かを判断する。ステップS10で否定判断した場合には、後述するステップS60へ進む。これに対して、ステップS10で肯定判断した場合には、ステップS20へ進む。
【0039】
ステップS20では、制御装置103は、上述したように、カメラ102を制御して画像を撮影する。その後、ステップS30へ進む。
【0040】
ステップS30では、制御装置103は、撮影した画像を通信モジュール104を介して挿管困難判定装置200へ送信する。その後、ステップS40へ進む。
【0041】
ステップS40では、制御装置103は、挿管困難判定装置200から患者の挿管困難の予測結果を示す情報を受信したか否かを判断する。ステップS40で肯定判断した場合には、ステップS50へ進む。
【0042】
ステップS50では、制御装置103は。挿管困難判定装置200から受信した情報をタッチパネル101に表示する。その後、ステップS60へ進む。
【0043】
ステップS60では、制御装置103は、操作者によって挿管困難判定システム用のアプリケーションの終了が指示されたか否かを判断する。ステップS60で否定判断した場合には、ステップS10へ戻る。これに対して、ステップS60で肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0044】
図13は、本実施の形態における挿管困難判定装置200で実行される予測処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示す処理は、情報端末100から患者の顔画像を受信すると起動するプログラムとして、制御装置103によって実行される。
【0045】
ステップS110において、制御装置202は、上述したように、情報端末100から受信した顔画像をAIモデルに入力する。その後、ステップS120へ進む。
【0046】
ステップS120では、制御装置202は、AIモデルから顔画像に基づく患者の挿管困難の予測結果が出力されたか否かを判断する。ステップS120で肯定判断した場合には、ステップS130へ進む。
【0047】
ステップS130では、制御装置202は、AIモデルから出力された患者の挿管困難の予測結果を示す情報を情報端末100へ送信する。その後、処理を終了する。
【0048】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)情報端末100では、制御装置103は、患者の顔画像を撮影し、撮影した患者の顔画像を挿管困難判定装置200へ送信して、挿管困難判定装置200から送信された挿管困難の判定結果を受信してタッチパネル101に表示するようにした。また、挿管困難判定装置200では、制御装置202は、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、情報端末100から受信した患者の顔画像を入力して、AIモデルから出力された挿管困難の判定結果を情報端末100へ送信するようにした。これによって、情報端末100を所持する人物は、患者の挿管困難の予測結果を把握することができる。このため、情報端末100を所持する人物は、事前に挿管困難であることが判断できるため、無理な挿管手技により患者状況を悪化させることなく、挿管に不慣れな医師や救命救急士から、熟練した麻酔科医師や救急科医師により迅速に引き継ぐことが可能となり、人命救助への貢献が期待できる。
【0049】
(2)患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像とするようにした。これによって、事前検証で最も優れた予測結果が得られた顔画像を採用することができる。また、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像を用いることによって、本実施の形態におけるAIモデルを利用したシステムは、既存の挿管困難予測因子よりも優れた挿管困難診断能を得ることができ、熟練した医師の目の代替にもなり得る仕組みを提供することができる。
【0050】
(3)AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作製されるようにした。これによって、制御装置202は、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ったAIモデル有するため、患者の顔画像を入力すれば、その画像に応じた挿管困難の判定結果が出力されるように機械学習されたAIモデルを利用することができる。
【0051】
(4)AIモデルは、患者の顔画像と挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作製用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、トレーニングデータを用いてAIモデルの学習を行い、テストデータを用いて作製中のAIモデルの検証を行うことによって作製されるようにした。これによって、患者の顔画像を入力すれば、その画像に応じた挿管困難の判定結果が出力されるAIモデルの精度を高めることができる。
【0052】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の挿管困難判定システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、患者の挿管難易度を判定するための挿管難易度情報として、例えば、喉頭を展開したときの視野を4段階で表したCormack-Lehane分類を用いる例について説明した。しかしながら、患者の挿管難易度を判定することができる情報であれば、Cormack-Lehane分類以外の方法で分類してもよい。また、Cormack-Lehane分類以外の方法で分類した場合には、その分類方法に合わせて、各患者の挿管難易度をEasyとDifficultのいずれかに分類すればよい。
【0053】
(2)上述した実施の形態では、制御装置202は、学習用情報に含まれる挿管難易度情報に基づいて、各患者の挿管難易度をEasyとDifficultのいずれかに分類する例について説明した。しかしながら、患者の挿管難易度はユーザによって事前にEasyとDifficultに分類され、学習用情報には分類済みのEasy又はDifficultの情報を含めるようにしてもよい。
【0054】
(3)上述した実施の形態では、患者の仰臥位の閉口中間位、開口中間位、閉口後屈、開口後屈、側面閉口中間位、側面開口中間位、側面閉口後屈、および側面開口後屈と、患者の座位の閉口中間位、開口中間位、閉口後屈、開口後屈、側面閉口中間位、側面開口中間位、側面閉口後屈、および側面開口後屈との16体位における顔画像を検証の対象とし、その中から最良の挿管困難の予測結果が得られた仰臥位の側面閉口中間位を撮影した仰臥位側面閉口中間位画像を患者の顔画像として用いる例について説明した。しかしながら、予測精度が所定以上となる顔画像であれば、仰臥位側面閉口中間位画像以外の画像を用いてもよい。
【0055】
(4)上述した実施の形態では、挿管困難判定システム10は、
図1に示した構成である例について説明した。しかしながら、本発明の目的を達成することができる構成であれば、挿管困難判定システム10のシステム構成は、
図1に示した構成に限定されない。例えば、挿管困難判定装置200として表示装置を備えたパソコンを用いて、挿管困難判定装置200に顔画像を入力するとAIモデルによる判定結果を表示装置に表示するようにすれば、挿管困難判定装置200を単体で利用することもできる。患者の顔画像は個人情報であるため、インターネットなどの通信を介してデータを送受信することが好ましくない場合には、このように挿管困難判定装置200を単体で利用するようにすれば、個人情報保護の効果も期待することができる。
【0056】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 挿管困難判定システム
100 情報端末
101 タッチパネル
102 カメラ
103 制御装置
104 通信モジュール
200 挿管困難判定装置
201 接続インターフェース
202 制御装置
203 記憶媒体
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の挿管困難の判定結果を確認する人物が操作する情報端末と、患者の挿管困難を判定するための処理を実行する挿管困難判定装置とが通信回線を介して接続された挿管困難判定システムであって、
前記情報端末は、
前記患者の顔画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって撮影された前記患者の顔画像を前記挿管困難判定装置へ送信する画像送信手段と、
前記挿管困難判定装置から送信された前記挿管困難の判定結果を受信して表示装置に表示する表示手段とを備え、
前記挿管困難判定装置は、
前記患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、前記情報端末から受信した患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから出力された前記挿管困難の判定結果を前記情報端末へ送信する判定結果送信手段とを備えることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項5】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから出力された前記挿管困難の判定結果を表示装置に表示する表示手段とを備えることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項6】
請求項5に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項8】
請求項7に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項9】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから前記挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手段とを備えることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の挿管困難判定装置において、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の挿管困難判定装置において、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の挿管困難判定装置において、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項13】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手順と、
前記AIモデルから前記挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手順とをコンピューターに実行させるための挿管困難判定プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【請求項15】
請求項13または14に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
【
図1】挿管困難判定システム10の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】情報端末100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図3】挿管困難判定装置200の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図4】Cormack-Lehane分類における分類方法を模式的に示した図である。
【
図5】患者の16体位の顔画像の一例を示す図である。
【
図6】AIモデルの
作成過程の一例を模式的に示した図である。
【
図8】AIモデルのGrad-CAMを説明するための第1の図である。
【
図9】AIモデルのGrad-CAMを説明するための第2の図である。
【
図10】患者の16種類の顔画像についてAIモデルを
作成した結果の一例を示す図である。
【
図11】仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像とした場合の学習曲線とROC曲線の一例を示す図である。
【
図12】情報端末100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図13】挿管困難判定装置200で実行される予測処理の流れを示すフローチャート図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
気管挿管は患者の気道確保を行うために有効な手段である。その一方で、気管挿管に伴う出血や気道浮腫、食道挿管等の生死にかかわる合併症が発生することも少なくない。このため、事前に患者が挿管困難であることが判断できれば無理な挿管手技により患者状況を悪化させることなく、挿管に不慣れな医師や救命救急士から、熟練した麻酔科医師や救急科医師に引き継ぐことが可能となり、人命救助への貢献が期待できる。そこで、本実施の形態における挿管困難判定システムでは、患者の顔画像と実際の挿管難易度を結びつけた深層学習(Convolutional Neural Network:CNN)を用いて作成されたAIモデル(機械学習モデル)を用いて、患者の挿管困難を判定するための仕組みを提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本実施の形態における挿管困難判定システム10では、気管挿管を行った患者の顔画像と、患者の挿管難易度を示す情報とを紐づける深層学習を行って作成されたAIモデルを用いて患者の挿管困難を予測する。このために、挿管困難判定装置200では、制御装置202は、患者の顔画像が入力されると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルを有し、該AIモデルを用いて患者の挿管困難を予測するための予測処理を実行する。以下、制御装置202で実行される予測処理について説明する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
まず、本実施の形態で用いるAIモデルについて説明する。AIモデルは、気管挿管を行った患者の情報を学習処理の対象として機械学習を行うことによって作成されている。この場合、学習処理の対象とする患者は、例えば、全身麻酔を受けて気管挿管を伴う手術を行った患者とすればよい。なお、学習処理の対象とする患者には、あらかじめ除外基準を設けて、除外基準に該当する患者は、学習処理の対象から除外するようにしてもよい。本実施の形態では、例えば、20歳未満の患者、顔貌が変化する可能性がある手術患者、頚部可動範囲が変化する手術患者、麻酔経験3年未満の医師が挿管した患者、マッキントッシュ喉頭鏡を使用せずに挿管した患者、声門上器具を使用した患者、認知症や指示に従えない患者、他の研究により学習処理の対象にできない患者、および精神疾患の患者が除外基準に設定されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
また、患者の顔画像の撮影者は、学習処理の対象患者が手術を終えた後、例えば手術日の翌日に、患者の顔画像を撮影する。なお、検証段階では、患者の体位と撮影方向を変えて患者顔画像を複数パターン用意した。そして、各顔画像を対象としてAIモデルを作成し、その中から最も挿管困難の予測精度が高いものを採用するようにした。このため、本実施の形態では、事前の検証段階では、以下に示す16種類の顔画像を撮影してAIモデルを作成した。そして、検証の結果、最も挿管困難の予測精度が高いAIモデルが得られた顔画像を採用するようにした。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本実施の形態における挿管困難判定装置200では、制御装置202には、上述したように、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルが搭載されている。このAIモデルは、上述した挿管難易度情報と患者の顔画像とを関連付けたAIモデル作成用情報に基づいて、患者の顔画像と挿管難易度を示す情報とを紐づける深層学習を行うことによってあらかじめ作成されている。例えば、AIモデルは、AIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータと、テスト用のテストデータに分類し、公知の深層学習の方法により作成される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
本実施の形態では、AIモデルを作成する過程で、学習用情報に含まれる挿管難易度情報に基づいて、各患者の挿管難易度はEasyとDifficultのいずれかに分類されている。患者の挿管難易度は、Cormack-Lehane分類がGrade IまたはGrade IIの場合は、その患者の実際の挿管難易度は挿管が容易であることを示すEasyとし、Cormack-Lehane分類がGrade IIIまたはGrade IVの場合は、その患者の実際の挿管難易度は挿管が困難であることを示すDifficultとするように分類されている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
AIモデルの作成においては、分類した患者の挿管難易度と学習用情報に含まれる患者の顔画像とに基づいて、患者の顔画像と患者の実際の挿管難易度を結びつける深層学習(Convolutional Neural Network:CNN)を用いて、顔画像から挿管困難を分類するAIモデルが作成される。これによって、患者の顔画像を入力すると、患者の挿管困難の予測結果としてEasyまたはDifficultを出力するAIモデルが作成される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
図6は、本実施の形態におけるAIモデルの作成過程を模式的に示した図である。制御装置202は、
図6に示すように、患者顔画像と実際の挿管難易度を紐づける深層学習(CNN)が行われた分類器を有する。なお、
図6では、AIモデル
作成用情報の80%をトレーニングデータとし、残りの20%をテストデータとする例を示している。また、
図6に示す例では、テストデータを変えた5つのデータセットを用意している。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図7は、AIモデル
作成の全体像を示す図である。AIモデルの
作成は、データ拡張、転移学習、患者顔画像によるCNN、テストデータ偏りの是正、およびモデルの可視化で構成される。なお、深層学習を用いたAIモデルの
作成方法は公知のため詳細な説明を省略する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
深層学習(CNN)により特徴数値マップが得られることは公知のため詳細な説明は省略する。特徴数値マップに基づいて
作成されたクラス活性化ヒートマップはAIの注目領域を示している。
図8(B)は、該AIモデルにおいて
図8(A)に示す顔画像に基づいてGrad-CAMを用いて
作成されたクラス活性化ヒートマップを示している。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
事前の検証において、患者の16種類の顔画像についてAIモデルを
作成した結果、各画像における挿管困難の予測結果のAUC、感度、特異度、正確度、および95%信頼度は、例えば
図10(A)に示すようになった。この結果により、最良の挿管困難の予測結果を得るためには、患者の仰臥位側面閉口中間位を用いてAIモデルを
作成すればよいことがわかった。仰臥位側面閉口中間位を用いて
作成したAIモデルの予測結果10aは、AUC=0.864、感度=81.8%、特異度=83.3%、正確度=80.5%、および95%信頼区間=0.731-0.969であり、
図10(B)に示すように、対象患者の既存の挿管困難予測因子のAUCよりも優れた挿管困難診断能を得られた。なお、
図11(A)は、仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像とした場合の学習曲線を示し、
図11(B)は、仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像とした場合のROC曲線を示している。また、AUCが0.864であることから、患者の仰臥位側面閉口中間位画像を顔画像として用いて
作成したAIモデルは、熟練した医師の目の代替になり得るとも考えられる。このため、本実施の形態では、患者の顔画像として仰臥位側面閉口中間位画像を採用することとした。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
上記の処理によってAIモデルが作成されると、制御装置202は、AIモデルを利用した予測処理が可能になる。この場合、新たな患者が発生したときに、その患者の仰臥位側面閉口中間位画像を撮影し、AIモデルに仰臥位側面閉口中間位画像を入力すれば、その患者の挿管困難の予測結果を得ることができる。これによって、患者に挿管の必要が生じたときに事前に患者への気管挿管が容易か困難かを予測することができる。例えば、気管挿管が困難であることが予測される患者の場合は、熟練した医師や麻酔科医に挿管をより迅速に依頼するなどの対応が可能となる。以下、本実施の形態の挿管困難判定システム10における予測処理の流れについて説明する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
図12は、本実施の形態における情報端末100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示す処理は、操作者によって挿管困難判定システム用のアプリケーションの実行が指示されると起動するプログラムとして、制御装置103によって実行される。なお、
図12に示す処理においては、上述した患者の挿管困難を予測するためのAIモデルは既に
作成されているものとする。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
(3)AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されるようにした。これによって、制御装置202は、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ったAIモデル有するため、患者の顔画像を入力すれば、その画像に応じた挿管困難の判定結果が出力されるように機械学習されたAIモデルを利用することができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
(4)AIモデルは、患者の顔画像と挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、トレーニングデータを用いてAIモデルの学習を行い、テストデータを用いて作成中のAIモデルの検証を行うことによって作成されるようにした。これによって、患者の顔画像を入力すれば、その画像に応じた挿管困難の判定結果が出力されるAIモデルの精度を高めることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の挿管困難の判定結果を確認する人物が操作する情報端末と、患者の挿管困難を判定するための処理を実行する挿管困難判定装置とが通信回線を介して接続された挿管困難判定システムであって、
前記情報端末は、
前記患者の顔画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって撮影された前記患者の顔画像を前記挿管困難判定装置へ送信する画像送信手段と、
前記挿管困難判定装置から送信された前記挿管困難の判定結果を受信して表示装置に表示する表示手段とを備え、
前記挿管困難判定装置は、
前記患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、前記情報端末から受信した患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから出力された前記挿管困難の判定結果を前記情報端末へ送信する判定結果送信手段とを備え、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項4】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから出力された前記挿管困難の判定結果を表示装置に表示する表示手段とを備え、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項6】
請求項5に記載の挿管困難判定システムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定システム。
【請求項7】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、
前記AIモデルから前記挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手段とを備え、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の挿管困難判定装置において、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の挿管困難判定装置において、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定装置。
【請求項10】
患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手順と、
前記AIモデルから前記挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手順とをコンピューターに実行させるための挿管困難判定プログラムであって、
前記患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記AIモデルは、気管挿管を行った患者の顔画像と挿管難易度を示す挿管難易度情報とを紐づける深層学習を行ってあらかじめ作成されることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の挿管困難判定プログラムにおいて、
前記AIモデルは、前記患者の顔画像と前記挿管難易度情報とを関連付けたAIモデル作成用情報を学習用のトレーニングデータとテスト用のテストデータに分けて、前記トレーニングデータを用いて前記AIモデルの学習を行い、前記テストデータを用いて作成中の前記AIモデルの検証を行うことによって作成されることを特徴とする挿管困難判定プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明による挿管困難判定システムは、患者の挿管困難の判定結果を確認する人物が操作する情報端末と、患者の挿管困難を判定するための処理を実行する挿管困難判定装置とが通信回線を介して接続された挿管困難判定システムであって、情報端末は、患者の顔画像を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された患者の顔画像を挿管困難判定装置へ送信する画像送信手段と、挿管困難判定装置から送信された挿管困難の判定結果を受信して表示装置に表示する表示手段とを備え、挿管困難判定装置は、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、情報端末から受信した患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、AIモデルから出力された挿管困難の判定結果を情報端末へ送信する判定結果送信手段とを備え、患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする。
本発明による挿管困難判定システムはまた、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、AIモデルから出力された挿管困難の判定結果を表示装置に表示する表示手段とを備え、患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする。
本発明による挿管困難判定装置は、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手段と、AIモデルから挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手段とを備え、患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする。
本発明による挿管困難判定プログラムは、患者の顔画像を入力すると該患者の挿管困難の判定結果を出力するように学習されたAIモデルに、患者の顔画像を入力する顔画像入力手順と、AIモデルから挿管困難の判定結果を得て出力する判定結果出力手順とをコンピューターに実行させるためのプログラムであって、患者の顔画像は、患者の仰臥位の側面閉口中間位を撮影した画像であることを特徴とする。